(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】肝臓送達に基づくゲムシタビンプロドラッグであるヌクレオシドの環状リン酸エステル化合物および応用
(51)【国際特許分類】
C07H 19/11 20060101AFI20230113BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20230113BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230113BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230113BHJP
C07H 1/02 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
C07H19/11 CSP
A61K31/7068
A61P1/16
A61P35/00
C07H1/02
(21)【出願番号】P 2020533180
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2018122821
(87)【国際公開番号】W WO2019120299
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】201711407838.2
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518453741
【氏名又は名称】浙江柏拉阿図医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】席志堅
(72)【発明者】
【氏名】徐華強
(72)【発明者】
【氏名】陸春平
(72)【発明者】
【氏名】伍中山
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104211742(CN,A)
【文献】特表2009-504677(JP,A)
【文献】特表2008-508319(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101475594(CN,A)
【文献】国際公開第2009/073506(WO,A2)
【文献】特表2021-506841(JP,A)
【文献】BOYER,S.H. et al.,Synthesis and Characterization of a Novel Liver-Targeted Prodrug of Cytosine-1-β-D-arabinofuranoside Monophosphate for the Treatment of Hepatocellular Carcinoma,Journal of Medicinal Chemistry,2006年,Vol.49, No.26,p.7711-7720
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 19/11
C07H 1/02
A61K 31/7068
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式で表される化合物から選ばれる一の化合物、又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項2】
前記式
に示される化合物の塩は、
前記式
に示される化合物が無機酸または有機酸と反応して形成される薬用塩であり、あるいは、前記式
に示される化合物の塩は、式
に示される化合物が塩基と反応して形成される薬用塩であることを特徴とする、
請求項1に記載の化合物、又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項3】
治療有効量の請求項1または2に記載の化合物又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物と、
薬学的に許容される補助剤、希釈剤または担体とを含むことを特徴とする、
医薬組成物。
【請求項4】
肝がんを治療及び/または予防する医薬組成物の調製への請求項1または2に記載の化合物又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝臓特異的デリバリー技術(肝臓送達)(Liver Specific D
elivery(LSD))に基づく抗癌プロドラッグであるヌクレオシドの環状リン酸
エステル化合物の調製および応用、又はその光学異性体、水和物、溶媒和物、薬用塩およ
び医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肝がんは、肝臓で発生する原発性悪性腫瘍であり、肝硬変または肝線維化した患者にでよ
く見られる。WHOの統計によれば、毎年、世界で肝がんで亡くなっている人が70万超
であり、肝がんは、2番目に死亡率の高い癌である。ウイルス性肝炎は、肝がんを引き起
こす要因であり、アジアとアフリカは、B型とC型ウイルス性肝炎の流行により、肝がん
が最も高頻度で発生する地区になっている。現在、肝がんへの治療は、学際的総合治療で
あり、主として手術、局所凝固療法、介入治療、放射線療法、化学療法、標的治療が含ま
れる。
【0003】
現在、肝がんを治療するヌクレオシド類化学療法医薬品には限りがあり、フルオロウラシ
ルのみが第二選択療法に用いられ、ヌクレオシドが肝がんのような固形腫瘍に適用できな
い。シタラビンは、細胞内にホスホキナーゼの作用で一リン酸の形に転化され、さらにリ
ン酸化されて三リン酸の形にならなければ、腫瘍細胞のDNA複製を阻害できず、固形腫
瘍にデオキシシチジンキナーゼが足りないため、固形腫瘍に活性成分がより少なく、治療
効果がよくない。
【0004】
本発明は、肝臓特異的デリバリー技術により、キナーゼリン酸化工程を回避する上で、肝
中の活性成分の濃度向上に成功した。
【0005】
環状リン酸エステルによって修飾されたゲムシタビンプロドラッグは、肝でCYP3A酵
素代謝を経て、ホスホキナーゼなしに、一リン酸化合物を生成する。具体的に、ヌクレオ
シド類化学療法医薬品は、細胞内で一連のホスホキナーゼの作用で三リン酸の形に転化し
なければ、腫瘍細胞のDNA複製を阻害できない。環状リン酸エステル(4-アリール-
2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホリナン)前駆体構造は、優れた肝臓特異的デリ
バリー機能を有し、メカニズムが非常に明らかであり、即ち、4-アリール置換位置は、
肝細胞でのシトクロムP450アイソザイムファミリーのうちのCYP3Aによって特異
的に触媒され、水酸基を生成し、開環して負に帯電したリン酸中間体を生成し、当該物質
は、細胞膜を通過しにくくて細胞内に残り、ホスホジエステラーゼ触媒下で、加水分解、
β-脱離反応を経て、ヌクレオチド一リン酸化合物を生成し、続いて、ヌクレオチドキナ
ーゼ作用下で、生物学的活性を有するヌクレオチド三リン酸化合物を生成するとともに、
代謝副生成物であるアリールビニルケトンは、肝細胞に富んだ抗酸化およびフリーラジカ
ル成分であるグルタチオンと、1,4-付加反応を行い、クリアランスされ、当該付加生
成物は、副作用を有することがはまだ報告されていない。
【0006】
ゲムシタビンは、毒性と副作用がより大く、肝臓特異的デリバリー技術により、肝中での
濃度を向上させ、毒性と副作用の低減に寄与する。
【0007】
現在、活性が高く、肝臓送達性が強く、副作用が低い肝腫瘍治療薬がまだ見つからなかっ
た。そのため、本分野で、さらに強い肝臓特異的を持つ副作用が低い高活性の腫瘍治療薬
の開発を切望している。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、抗癌のゲムシタビンの環状リン酸エステルを合成し、その芳香族環置換基に対
してさらに改善することにより、肝臓送達作用を有する一連のプロドラッグを得、それら
は治療効果がさらに高く、毒性と副作用が小さくなる。
【0009】
本発明の第一態様によれば、式Iに示される化合物、又はその光学異性体、薬学的に許容
される塩、水和物または溶媒和物を提供する。
R
1は、独立してハロゲン、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シアノ基、置換または非置換
のC1-C6アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換または
非置換のC1-C6アルコキシ基、置換または非置換のC1-C6アルキルアミン基、置
換または非置換のC1-C6カルボキシル基、置換または非置換のC2-C6エステル基
、置換または非置換のC2-C6アルカノイル基、置換または非置換のC2-C6アルキ
ルアミド基から選択され、ここで、前記の置換とは、ハロゲン、C1-C3アルキル基、
C1-C3ハロゲンアルキル基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シアノ基からなる群から
選択される1つ以上の置換基を有することをいい、
R
2、R
3は、それぞれ独立してハロゲン(FまたはCl)であり、
R
4は、水素、置換または非置換のC1-C6アルキル基、置換または非置換のC3-C
8シクロアルキル基、置換または非置換のC2-C6エステル基、置換または非置換のC
2-C10アルカノイル基からなる群から選択され、ここで、前記の置換とは、ハロゲン
、C1-C3アルキル基、C1-C3ハロゲンアルキル基、ニトロ基、水酸基、アミノ基
、シアノ基からなる群から選択される1つ以上の置換基を有することをいい、
mは、0、1、2または3であり、
【0010】
他の好ましい例において、R4は、水素、置換または非置換のC1-C6アルキル基、置
換または非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換または非置換のC2-C6エステル
基、置換または非置換のC2-C6アルカノイル基からなる群から選択され、ここで、前
記の置換とは、ハロゲン、C1-C3アルキル基、C1-C3ハロゲンアルキル基、ニト
ロ基、水酸基、アミノ基、シアノ基からなる群から選択される1つ以上の置換基を有する
ことをいう。
【0011】
他の好ましい例において、前記の化合物は、以下のものから選択される。
R
2、R
3は、それぞれ独立してハロゲン(FまたはCl)であり、
かつ、式I及び式II中、キラルが明記しない限り、キラル中心のそれぞれは、R型また
はS型であり、
【0012】
他の好ましい例において、R2がClであり、且つR3がFであり、R2がClであり、
且つR3がClであり、あるいはR2がFであり、且つR3がClである。
【0013】
他の好ましい例において、前記の光学異性体には、互変異性体、シストランス異性体、配
座異性体、メソ化合物、およびエナンチオトピックまたはジアステレオトピックな関係に
ある光学異性体が含まれる。
【0014】
他の好ましい例において、前記の化合物は、以下のものから選択される。
【0015】
他の好ましい例において、前記式I及び式IIに示される化合物の塩は、式I及び式II
に示される化合物と無機酸または有機酸との薬用塩であり、あるいは、前記式I及び式I
Iに示される化合物の塩は、式I及び式IIに示される化合物が塩基と反応して形成され
る薬用塩である。前記の式I及び式IIに示される化合物またはその塩は、無定形物質ま
たは結晶である。
【0016】
本発明の第二態様によれば、医薬組成物を提供し、前記の医薬組成物は、治療有効量の本
発明の第一態様に記載の化合物又はその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物また
は溶媒和物と、薬学的に許容される補助剤、希釈剤または担体とを含む。
【0017】
本発明の第三態様によれば、肝がん(HCC)に関連する急性または慢性疾患を治療及び
/または予防する医薬組成物の調製への、本発明の第一態様に記載の化合物又はその光学
異性体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の使用を提供する。
本発明の第四態様によれば、本発明の第一態様に記載の式Iに示される化合物の調製方法
を提供し、前記方法は、以下の工程を含む。
(i-a)不活性溶媒において、式IIに示される化合物と酸、塩化アシル、ハロアルキ
ル基とを反応させ、式Iに示される化合物を形成する、
ここで、各基は前記の通りである。
【0018】
他の好ましい例において、前記の工程(i-a)中、前記の試薬は、ジシクロヘキシルカ
ルボジイミド(DCC)、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンまた
はそれらの組み合せからなる群から選択され、好ましくは、DCC及びトリエチルアミン
である。
【0019】
他の好ましい例において、前記の工程(i-a)中、前記の不活性溶媒は、N,N-ジメ
チルホルムアミド、ジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはそれらの組み合せからな
る群から選択され、好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミド及びジクロロメタン溶媒
である。
【0020】
他の好ましい例において、前記の工程(i-a)の反応温度が-0-100℃(好ましく
は25±5℃程度)である。
【0021】
他の好ましい例において、前記の工程(i-a)の脱保護反応の反応時間が0.5-24
時間であり、好ましくは、0.5-8時間である。
(i-b)不活性溶媒において、式IIaに示される化合物でTBSを除去し、式IIに
示される化合物を形成する、
【0022】
他の好ましい例において、前記の工程(i-b)中、前記のTBSを除去する試薬は、T
BAF、氷酢酸、希塩酸またはそれらの組み合せからなる群から選択され、好ましくは、
塩酸エタノール溶液及びTBAFである。
【0023】
他の好ましい例において、前記の工程(i-b)中、前記の不活性溶媒は、N,N-ジメ
チルホルムアミド、テトラヒドロフランまたはそれらの組み合せからなる群から選択され
、好ましくは、テトラヒドロフラン溶媒である。
【0024】
他の好ましい例において、前記の工程(i-b)の反応温度が-50-30℃(好ましく
は25±5℃程度)である。
【0025】
他の好ましい例において、前記の工程(i-b)の脱保護反応の反応時間が0.5-6時
間であり、好ましくは、0.5-3時間であり、より好ましくは、0.5-2時間である
。
【0026】
他の好ましい例において、前記の式IIaに示される化合物は、以下の方法により調製さ
れる。
(i-c)不活性溶媒において、式IIbに示される化合物をPA4001-3と置換反
応させ、式IIaに示される化合物を得る、
他の好ましい例において、工程(i-c)中、前記反応は、グリニャール試薬存在下で行
い、好ましくは、前記のグリニャール試薬は、tert-ブチルマグネシウムクロリド(
t-BuMgCl)からなる群から選択される。
【0027】
他の好ましい例において、前記の工程(i-c)の置換反応は、-50-30℃で(好ま
しくは25±5℃程度で)行う。
【0028】
他の好ましい例において、前記の工程(i-c)の置換反応の反応時間は、1-72時間
であり、好ましくは、3-48時間であり、より好ましくは、6-24時間である。
【0029】
他の好ましい例において、前記の工程(i-c)の不活性溶媒は、N,N-ジメチルホル
ムアミド、テトラヒドロフラン、またはそれらの組み合せからなる群から選択され、好ま
しくは、テトラヒドロフラン溶媒である。
【0030】
注釈:
dFdC:ゲムシタビン、4-アミノ-1-(3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5
-ヒドロキシメチルオキソラン-2-イル)-1H-ピリミジン-2-オン、cas:9
5058-81-4
dFdCMP:4-アミノ-1-(3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-モノリン
酸エステルメチレンオキソラン-2-イル)-1H-ピリミジン-2-オン
本発明の範囲内で、本発明の上述の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説
明する各技術的特徴とは、互いに組み合わせることができ、それにより新しいまたは好ま
しい技術案を構成できる。スペースの制限のため、ここでは繰り返しない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明者は、長期にわたって鋭意検討を重ねたところ、大量の化合物をスクリーニングして
研究することにより、特定の構造を有する式Iおよび式IIに示される化合物(ただし、
ベンゼン環部分の2位および5位が特定のハロゲンである)は、驚くべきことに、非常に
優れた抗肝がん活性を有し、肝臓送達性を大きく向上させ、また毒性と副作用を顕著に低
減できることを初めて発見した。本発明者らは、以上の知見に基づき、本発明を完成した
。
【0032】
用語
本発明に用いられる用語「C1-C6アルキル基」とは、1~6個の炭素原子を有する直
鎖または分岐鎖アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、
ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、または類似基をいう
。
本発明に用いられる用語「C2-C6アルカノイル基」とは、「1~6個の炭素原子を有
する直鎖または分岐鎖アルキル基-カルボニル基」構造の置換基、例えばアセチル基、プ
ロピオニル基、ブチリル基、または類似基をいう。
本発明に用いられる用語「C1-C6アルキルアミン基」とは、「1~6個の炭素原子を
有する直鎖または分岐鎖アルキル基-アミン基」構造の置換基、例えばメチルアミノ基、
ジメチルアミノ基、エチルアミン基、プロピルアミン基、ジエチルアミン基、または類似
基をいう。
用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びIをいう。
本発明において、用語「含有する」、「含む」または「からなる」は、それぞれの成分が
一緒に本発明の混合物または組成物に応用できることをいう。そのため、用語「主に..
.から構成する」及び「...から構成する」は、用語「含有する」に含まれる。
本発明において、用語「薬学的に許容される」成分とは、ヒト及び/または動物に適用し
て、過度の副反応(例えば、毒性、刺激及びアレルギー反応)なしに合理的なリスク/ベ
ネフィット比を有する物質をいう。
本発明において、用語「有効量」とは、目的の疾患または状况を治療、緩和または予防す
る治療剤の量、或いは検出できる治療または予防効果を表現する量をいう。ある対象に対
する正確な有効量は、当該対象の体型や健康状態、病症の性質と程度、および投与される
治療剤及び/または治療剤の組み合わせに依頼する。そのため、予め正確な有効量を指定
することが無駄である。しかしながら、ある所定の状况について、当該有効量は、一般的
な実験で決定でき、臨床的にも医師が判断できるものである。
本発明において、特に記載されない限り、用語「置換」とは、基上の1つ以上の水素原子
がハロゲン、C1-C3アルキル基、C1-C3ハロゲンアルキル基、ニトロ基、水酸基
、アミノ基、シアノ基からなる群から選択される置換基で置換されることをいう。
特に記載されない限り、本発明に記載のすべての化合物には、存在可能なすべての光学異
性体、例えばキラル単一化合物、または種々なキラルの異なる化合物の混合物(即ちラセ
ミ化合物)が含まれる。本発明に記載のすべての化合物のうち、各不斉炭素原子は、R型
またはS型、またはR型とS型との混合物であってもよい。
本発明に用いられる用語「本発明の化合物」とは、式I及び式IIに示される化合物をい
う。当該用語は、さらに式I及び式IIに示される化合物の種々な結晶形、薬学的に許容
される塩、水和物または溶媒和物を含む。
本発明に用いられる用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物と酸または塩基
との、医薬品として適用される塩をいう。薬学的に許容される塩は、無機塩と有機塩を含
む。好ましい塩は、本発明の化合物と酸との塩である。塩形成に適合な酸は、塩酸、臭化
水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シ
ュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン
酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等
の有機酸、およびアスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸が含まれるが、これら
に限らない。
本発明におけるいくつの化合物は、水または種々な有機溶媒で結晶または再結晶し、この
場合に、種々な溶媒和物を形成できる。本発明の溶媒和物は、化学量論の水和物のような
溶媒和物を含み、さらに、低圧昇華乾燥法で調製された、変数である水を含有する化合物
を含む。
なお、本発明の化合物が調製された後、種々な熱力学的に安定な異性体、例えば互変異性
体、配座異性体、メソ化合物及びエナンチオトピックまたはジアステレオトピックな関係
にある光学異性体等が存在する可能性があり、当業者にとって、本発明の開示を読んだ上
、上記の変更が自明なことになろう。
【0033】
式Iに示される化合物及びその調製
肝臓送達機構により、抗癌ヌクレオチド類医薬品を肝細胞で放出させる効率的かつ低毒性
の肝臓送達プロドラッグを提供するために、発明者は、式Iに示される化合物を調製した
。
ここで、
各R
1は、それぞれ独立して、ハロゲン、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シアノ基、置換
または非置換のC1-C6アルキル基、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル基
、置換または非置換のC1-C6アルコキシ基、置換または非置換のC1-C6アルキル
アミン基、置換または非置換のC1-C6カルボキシル基、置換または非置換のC1-C
6エステル基、置換または非置換のC2-C6アルカノイル基、置換または非置換のC2
-C6アルキルアミド基から選択され、ここで、前記の置換とは、ハロゲン、C1-C3
アルキル基、C1-C3ハロゲンアルキル基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シアノ基か
らなる群から選択される1つ以上の置換基を有することをいい、
R
2、R
3は、それぞれ独立してハロゲン(FまたはCl)であり、
R
4は、独立して水素、置換または非置換のC1-C6アルキル基、置換または非置換の
C3-C8シクロアルキル基、置換または非置換のC1-C6エステル基、置換または非
置換のC2-C6アルカノイル基から選択され、ここで、前記の置換とは、ハロゲン、C
1-C3アルキル基、C1-C3ハロゲンアルキル基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、シ
アノ基からなる群から選択される1つ以上の置換基を有することをいい、
mは、0、1、2または3である、
且つ、式I中、キラルが明記しない限り、キラル中心のそれぞれは、R型またはS型であ
る。
【0034】
前記の化合物は、消旋体であっても、光学異性体であってもよく、両方とも一定の抗癌活
性を有する。好ましくは、前記の式Iに示される化合物は、以下の構造を有する。
【0035】
他の好ましい例において、前記のP2とリン酸エステル環構造での4位の芳香族基とは互
いにシス型になり、且つP2がR型であり、C4がS型である。
【0036】
他の好ましい例において、R2がClであり、且つR3がFであり、あるいはR2がCl
であり、且つR3がClであり、あるいはR2がFであり、且つR3がClである。
【0037】
他の好ましい例において、前記の光学異性体には、互変異性体、シストランス異性体、配
座異性体、メソ化合物、及びエナンチオトピックまたはジアステレオトピックな関係にあ
る光学異性体が含まれる。
【0038】
他の好ましい例において、前記の化合物は、以下のものから選択される。
一般式IIに示される化合物の調製方法は、以下のとおりである。
テトラヒドロフラン溶液にPA4001-3化合物を加え、その後、0℃で、tert-
ブチルマグネシウムクロリドを滴下し、30分間反応させ、その後、一気にIIb化合物
を加え、一晩反応させ、クエンチし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し
、得られた中間体IIa、IIaを塩酸エタノール溶液に加え、保護基TBSを除去し、
一般式IIに示される化合物を得、IIと酸、塩化アシル、ハロアルキル基と反応させて
一般式Iに示される化合物を得た。
ここで、各反応物は、市販品のまま入手してもよく、市販の原材料を用いて、本分野での
一般的な方法により調製されてもよい。
【0039】
医薬組成物及び施用方法
本発明の化合物は、肝がんへの阻害活性に優れるため、本発明の化合物及びその種々な結
晶形、薬学的に許容される無機または有機塩、水和物または溶媒和物、および本発明の化
合物を主な活性成分として含む医薬組成物は、がん、特に肝がん及びそれに関連する症状
を治療、予防および緩和することに適用できる。
【0040】
本発明の医薬組成物は、安全有効量の範囲内において、本発明の化合物またはその薬理学
的に許容される塩及び薬理学的に許容される賦形剤または担体を含む。ここで、「安全有
効量」とは、重い副作用を引き起こさなくて病状を顕著に改善するに十分な化合物の量を
いう。通常、医薬組成物は、0.1-1000mgの本発明の化合物/剤を含有し、より
好ましくは、0.5~500mgの本発明の化合物/剤を含有する。好ましくは、前記の
「一剤」は、一つのカプセルまたは錠剤をいう。
【0041】
「薬学的に許容される担体」とは、一つまたは複数の相容性固体または液状充填材または
ゲル物質をいい、人に適用し、十分な純度及び十分に低い毒性を持つ必要がある。ここで
、「相容性」とは、組成物中の各成分同士、または本発明の化合物と互いにブレンドでき
、化合物の薬物効果を顕著に低減しないことをいう。薬学的に許容される担体のいくつか
の例として、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、エチルセルロースナトリウム、セルロースアセテート等)、ゼラチン、タルク、固形
潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油
(例えば、大豆油、ごま油、落花生油、オリーブ油等)、ポリオール(例えば、プロピレ
ングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトール等)、乳化剤(例えば、トゥイ
ーン(登録商標))、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、調味剤、安
定剤、抗酸化剤、防腐剤、発熱性物質除去水等が挙げられる。
【0042】
本発明の化合物または医薬組成物の施用方式については、特に限定されず、代表的な施用
方式は、経口投与、直腸内投与、非経口投与(静脈内投与、筋肉内投与または皮下投与)
、及び局所投与を含む(これらに限らない)。特に好ましい施用方式は、経口投与である
。
経口投与のための固体剤形は、カプセル、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤を含む。これらの
固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムのよう
な一般的な不活性賦形剤(または担体)の少なくとも一つと混合し、あるいは下述の成分
と混合する:(a)充填材または相溶化剤、例えば、澱粉、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マ
ンニトール及びケイ酸、(b)粘着剤、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン
酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及びアラビアガム、(c)保湿剤、例え
ば、グリセリン、(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、じゃがいも澱粉または
キャッサバ澱粉、アルギン酸、ある複合ケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、(e)溶解遅延
剤、例えばパラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、第四級アミン化合物、(g)湿潤剤
、例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセリル、(h)吸着剤、例えば、カ
オリン、及び(i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混
合物。カプセル、錠剤及び丸剤では、剤形が緩衝剤を含んでも良い。
【0043】
錠剤、シューガーピルズ、カプセル、丸剤及び顆粒剤のような固体剤形は、ケーシング、
本分野での公知の他の材料のようなコーティング及びシェル材により調製されることがで
きる。その中、不透明剤を含んでもよく、また、このような組成物では、活性化合物また
は化合物の放出が遅延して、消化道内のある部位で放出されてもよい。用いられる埋込成
分の例として、ポリマー及びワックス類物質が挙げられる。必要に応じて、活性化合物は
、上述の賦形剤の中の一つまたは複数と、マイクロカプセルになる可能性がある。
【0044】
経口投与のための液状剤形としては、薬学的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップ
またはチンキ剤が挙げられる。液状剤形には、活性化合物以外に、本分野で通常に用いら
れる不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エタノール
、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタン
ジオール、ジメチルホルムアミドおよび油、特に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油
、オリーブ油、ひまし油及びごま油またはこれらの混合物等が含まれる。
【0045】
組成物には、これらの不活性希釈剤以外に、助剤、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘
味料、矯味剤及び香料が含まれる。
【0046】
懸濁液には、活性化合物以外に、懸濁剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール
、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アル
ミニウムメトキシド及び寒天またはこれらの混合物等が含まれる。
【0047】
非経口注射のための組成物は、生理学的に許容される無菌の含水または非水溶液、分散液
、懸濁液または乳液、及び改めて無菌の注射溶液または分散液に溶解するための無菌粉末
が含まれる。適切な含水及び非水担体、希釈剤、溶媒または賦形剤には、水、エタノール
、ポリオール及びそれらの適切な混合物が含まれる。
【0048】
局所投与のための本発明の化合物の剤形には、軟膏剤、散剤、パッチ剤、噴射剤及び吸入
剤が含まれる。活性成分は、無菌条件下で生理学的に許容される担体及び任意の防腐剤、
緩衝剤、または必要に応じて必要としうる推進剤とともに混合される。
【0049】
本発明の化合物は、単独投与されてもよく、または他の薬学的に許容される化合物と併用
して投与されてもよい。
【0050】
医薬組成物を使用するとき、安全有効量の本発明の化合物を、治療される哺乳動物(例え
ば、人)に適用し、ここで、施用時の使用量は、薬学的に認められる効果的な投与使用量
であり、60kgの人に対して、1日あたり投与使用量は、通常0.2~1000mg、
好ましくは0.5~500mgである。無論、具体的な使用量は、投与経路、患者の健康
状態等の要素を考えする上で定めなければならず、熟練した医師にとっての技能範囲にあ
る。
【0051】
本発明は、主として以下の利点を含む。
(1)肝臓送達性が高く、化合物が肝細胞でのシトクロムP450アイソザイムファミリ
ーのうちのCYP3Aのみに特異的に触媒され、活性分子が生成させ、当該活性分子は、
大量の負の電荷を持ち、肝外に排出されにくく、そのため、肝での濃度がより高く、肝臓
送達効果を達成する。
(2)活性が高く、肝臓送達性により、より多くの医薬品が肝に存在し、抗癌活性も顕著
に向上させることができる。
(3)毒性と副作用が低い:同じ使用量のプロドラッグは、肝臓外で、活性分子に代謝さ
れる量が非常に少ないため、腎臓、骨髄等の主な臓器への毒性が大きく低減される。
以下、具体な実施例により、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を例示
するためだけに使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである
。以下の実施例で具体な条件が明記されない実験方法は、一般的な条件で、またはメーカ
ーによって推奨される条件で行う。特に明記しない限り、百分率及び部数は、重量として
算出される。
【0052】
実施例1 PA4001(比較例)
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4001-2の合成:
化合物PA4001-1(5.0g、19mmol)とイミダゾール(14.3g、11
4mmol)をDMF(50ml)に溶解させ、氷浴でゆっくりtert-ブチルジメチ
ルクロロシラン(TBSCl、14.3g、95mmol)を加え、窒素雰囲気下で、室
温で反応を一晩攪拌し、反応終了後、ゆっくり水(400mL)に加え、15分間攪拌し
、酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピ
ン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:MeOH:
DCM(V:V)=1:30)、PA4001-2(9.3g)を得、収率99%であっ
た。
工程2)化合物PA4001-3の合成:
化合物PA4001-2(9.3g、19mmol)をメタノール(95ml)に加え、
氷浴で40%のトリフルオロ酢酸水溶液(50ml)を加え、室温で3時間攪拌し、飽和
NaHCO
3溶液で速く中和し、エバポレーターでメタノールを除去し、水(200mL
)を加え、酢酸エチル(3×150mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分
離精製し(溶離液:MeOH:DCM(V:V)=1:20)、白色固体である化合物P
A4001-3(6.0g)を得、収率84%であった。
工程3)化合物PA4001-5の合成:
化合物PA4001-3(377mg、1mmol)を無水テトラヒドロフランに溶解さ
せ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(3.0mL、
3.0mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4001-4(442mg、1.2mm
ol)を加え、室温で一晩攪拌した。飽和塩化アンモニウム(20mL)を加えてクエン
チし、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製
し(DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA4001-5(270mg)を得、
収率44%であった。
工程4)化合物PA4001の合成:
化合物PA4001-5(270mg、0.44mmol)をTHF(8mL)に加え、
氷浴でゆっくり1mol/LのTBAF溶液(1mL)を滴下し、室温で2時間攪拌した
。反応終了後、50mLの水を加え、酢酸エチル(4×40mL)で抽出し、飽和食塩水
で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグ
ラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:MeOH:DCM(V:V)=1:20)、
さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し(展開剤:MeOH:DC
M(V:V)=1:10)、最後にCombiflashクロマトグラフィーカラムによ
り精製し、凍結乾燥してライトホワイト固体であるPA4001(33mg)を得、収率
15%であった。
【0053】
実施例2 PA4002
合成経路:
工程1)化合物PA4002-2の合成:
化合物PA4001-3(377mg、1mmol)を無水テトラヒドロフランに溶解さ
せ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(3.0mL、
3.0mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4002-1(464mg、1.2mm
ol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム(20mL)を
加えてクエンチし、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムに
より分離精製し(DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA4002-2(90m
g)を得、収率14.3%であった。
工程2)目的の化合物PA4002の合成:
化合物PA4002-2(90mg、0.143mmol)をTHF(5mL)に加え、
氷浴でゆっくり1mol/LのTBAF溶液(0.35mL)を滴下し、室温で2h攪拌
した。反応終了後、100mlの水を加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロ
マトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:MeOH:DCM(V:V)=1:2
0)、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し(展開剤:MeOH
:DCM(V:V)=1:10)、最後にCombiflashクロマトグラフィーカラ
ムにより精製し、凍結乾燥して、ライトホワイト固体であるPA4002(14.5mg
)を得、収率19.7%であった。
【0054】
実施例3 PA4003
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4003-2の合成:
化合物PA4001-3(377mg、1mmol)を無水テトラヒドロフランに溶解さ
せ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(3.0mL、
3.0mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4003-1(464mg、1.2mm
ol)を加え、室温で一晩攪拌した。飽和塩化アンモニウム(20mL)を加えてクエン
チし、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製
し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA4003-2(250mg
)を得、収率43%であった。
工程2)目的の化合物PA4003の合成:
化合物PA4003-2(100mg、0.174mmol)をTHF溶液(5mL)に
加え、氷浴でゆっくり1mol/LのTBAF溶液(0.42mL)を滴下し、室温で2
h攪拌した。反応終了後、120mlの水を加え、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し
、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲ
ルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:MeOH:DCM(V:V)=
1:20)、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し(展開剤:M
eOH:DCM(V:V)=1:10)、最後にCombiflashクロマトグラフィ
ーカラムにより精製し、凍結乾燥して、ライトホワイト固体であるPA4003(8mg
)を得、収率10%であった。
【0055】
実施例4 PA4004
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4004-2の合成:
化合物PA4001-3(2.0g、5.3mmol)を無水テトラヒドロフランに溶解
させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(18.6m
L、18.55mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4004-1(3.07g、7
.95mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム(1
00mL)を加えてクエンチし、酢酸エチル(3×80mL)で抽出し、飽和食塩水で洗
浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフ
ィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA
4004-2(1.6g)を得、収率48%であった。
工程2)目的の化合物PA4004の合成:
化合物PA4004-2(1.6g、2.56mmol)を25%の塩酸エタノール溶液
(12mL)に加え、室温で4h攪拌した。反応終了後、飽和NaHCO
3溶液でpH値
が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去した後、100mlの水を
加え、酢酸エチル(4×80mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィーカラムによ
り精製し、ライトホワイト固体であるPA4004(1.05g)を得、収率80%であ
った。
【0056】
実施例5 PA4006
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4006-2の合成:
化合物PA4001-3(300mg、0.8mmol)を無水テトラヒドロフランに溶
解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(2.8m
L、2.8mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4006-1(482mg、1.2
mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム溶液(20
mL)を加えてクエンチし、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し
、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィー
カラムにより分離精製し(DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA4006-2
(180mg)を得、収率35%であった。
工程2)目的の化合物PA4006の合成:
化合物PA4006-2(180mg、0.28mmol)をMeOH(3mL)中に加
え、氷浴でゆっくりTFA溶液(1mL)を滴下し、室温で16h攪拌した。反応終了後
、100mlの水を加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカ
ラムにより分離精製し(溶離液:MeOH:DCM(V:V)=1:20)、さらにシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し(展開剤:MeOH:DCM(V:V
)=1:10)、最後にCombiflashクロマトグラフィーカラムにより精製し、
凍結乾燥してライトホワイト固体であるPA4006(40mg)を得、収率27%であ
った。
【0057】
実施例6 PA4008
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4008-2の合成:
化合物PA4001-3(300mg、0.8mmol)を無水テトラヒドロフランに溶
解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(2.8m
L、2.8mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4008-1(464mg、1.2
mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム(20mL
)を加えてクエンチし、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラ
ムにより分離精製し(DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA4008-2(1
90mg)を得、収率38%であった。
工程2)目的の化合物PA4008の合成:
化合物PA4008-2(190mg、0.3mmol)をMeOH(3mL)中に加え
、氷浴でゆっくりTFA溶液(1mL)を滴下し、室温で16h攪拌した。反応終了後、
100mlの水を加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラ
フィーカラムにより精製し、凍結乾燥して、ライトホワイト固体であるPA4008(1
23mg)を得、収率79%であった。
【0058】
実施例7 PA4009
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4009-2の合成:
化合物PA4001-3(300mg、0.8mmol)を無水テトラヒドロフランに溶
解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(2.8m
L、2.8mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4009-1(464mg、1.2
mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム(20mL
)を加えてクエンチし、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラ
ムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA4009
-2(230mg)を得、収率46%であった。
工程2)目的の化合物PA4009の合成:
化合物PA4009-2(230mg、0.37mmol)をMeOH(3mL)中に加
え、氷浴でゆっくりTFA溶液(1mL)を滴下し、室温で16h攪拌した。反応終了後
、100mlの水を加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカ
ラムにより分離精製し(溶離液:MeOH:DCM(V:V)=1:20)、さらにシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し(展開剤:MeOH:DCM(V:V
)=1:10)、最後にCombiflashクロマトグラフィーカラムにより精製し、
凍結乾燥してライトホワイト固体であるPA4009(45mg)を得、収率24%であ
った。
【0059】
実施例8 PA4010
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4010-2の合成:
化合物PA4001-3(320mg、0.85mmol)を無水テトラヒドロフランに
溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(3mL
、3mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4010-1(390mg、1.0mmo
l)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム(100mL)を
加えてクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムに
より分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA4010-2
(194mg)を得、収率36.6%であった。
工程2)目的の化合物PA4010の合成:
化合物PA4010-2(194mg、0.3mmol)を25%の塩酸エタノール溶液
(4mL)に加え、室温で4h攪拌した。反応終了後、飽和NaHCO
3溶液でpH値が
中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去した後、加20ml水、酢酸
エチル(4×40mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィーカラムにより精製し、
ライトホワイト固体であるPA4010(30mg)を得、収率20%であった。
【0060】
実施例9 PA4011
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4011-2の合成:
化合物PA4001-3(300mg、0.80mmol)を無水テトラヒドロフランに
溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(2.8
mL、2.8mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4011-1(464mg、1.
2mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム(20m
L)を加えてクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し
、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィー
カラムにより分離精製し(DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA4011-2
(200mg)を得、収率40%であった。
工程2)目的の化合物PA4011の合成:
化合物PA4011-2(200mg、0.33mmol)をTHF(5mL)に加え、
氷浴でゆっくり1mol/LのTBAF溶液(0.48mL)を滴下し、室温で2h攪拌
した。反応終了後、100mlの水を加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロ
マトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:MeOH:DCM(V:V)=1:2
0)、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し(展開剤:MeOH
:DCM(V:V)=1:10)、最後にCombiflashクロマトグラフィーカラ
ムにより精製し、凍結乾燥してライトホワイト固体であるPA4011(95mg)を得
、収率58%であった。
【0061】
実施例10 PA4012
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4012-2の合成:
化合物PA4001-3(300mg、0.77mmol)をテトラヒドロフラン(5m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
2.7mL、2.7mmol、3.5eq)を滴下し、滴下終了後、反応液を室温で2時
間攪拌し、再度0℃に冷却し、PA4012-1(380mg、0.92mmol)を加
え、その後、反応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反
応をクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、
濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液
:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、白色固体であるPA4012-2(280
mg)を得、収率54%であった。
工程2)目的の化合物PA4012の合成:
化合物PA4012-2(250mg、0.47mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で反応を2時間攪拌した。反応終了後、飽和NaHC
O
3溶液でpH値が7.5程度になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去し
た後、酢酸エチル(3×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより
分離精製し(溶離液:DCM:MeOH(V:V)=20:1)、粗生成物を得、粗生成
物をCombiflashクロマトグラフィーカラムにより精製し、ライトホワイト固体
であるPA4012(25mg)を得、収率11%であった。
【0062】
実施例11 PA4013
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4013-2の合成:
化合物PA4001-3(377mg、1.0mmol)をテトラヒドロフラン(40m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
3.5mL、3.5mmol)を滴下し、滴下終了後、室温で反応液を1時間攪拌し、再
度0℃に冷却し、PA4013-1(371mg、1.0mmol)を加え、その後、反
応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応をクエンチし
、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン乾
燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeO
H(V:V)=20:1)、白色固体であるPA4013-2(218mg)を得、収率
35%であった。
工程2)目的の化合物PA4013の合成:
化合物PA4013-2(218mg、0.35mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で反応を2時間攪拌した。反応終了後、飽和NaHC
O
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去した後、
酢酸エチル(2×70mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィーカラムに
より精製し、白色固体であるPA4013(89mg)を得、収率51%であった。
【0063】
実施例12 PA4014
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4014-2の合成:
化合物PA4001-3(300mg、0.80mmol)を無水テトラヒドロフランに
溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(2.8
mL、2.8mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4014-1(445mg、1.
2mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム(20m
L)を加えてクエンチし、酢酸エチル(3×120mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し
、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィー
カラムにより分離精製し(DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA4014-2
(310mg)を得、収率38%であった。
工程2)目的の化合物PA4014の合成:
化合物PA4014-2(310mg、0.51mmol)をTHF(5mL)に加え、
氷浴でゆっくり1mol/LのTBAF溶液(0.76mL)を滴下し、室温で2h攪拌
した。反応終了後、100mlの水を加え、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、飽
和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルク
ロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:MeOH:DCM(V:V)=1:
20)、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し(展開剤:MeO
H:DCM(V:V)=1:10)、最後にCombiflashクロマトグラフィーカ
ラムにより精製し、凍結乾燥して、ライトホワイト固体であるPA4014(150mg
)を得、収率60%であった。
【0064】
実施例13 PA4017
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4017-2の合成:
化合物PA4001-3(377mg、1.0mmol)をテトラヒドロフラン(40m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
3.5mL、3.5mmol)を滴下し、滴下終了後、室温で反応液を1時間攪拌し、再
度0℃に冷却し、PA4017-1(371mg、1.0mmol)を加え、その後、反
応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応をクエンチし
、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン乾
燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeO
H(V:V)=20:1)、白色固体であるPA4017-2(180mg)を得、収率
29%であった。
工程2)目的の化合物PA4017の合成:
化合物PA4017-2(180mg、0.29mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で反応を2時間攪拌した。反応終了後、飽和NaHC
O
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去した後、
酢酸エチル(2×80mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィーカラムに
より精製し、白色固体であるPA4017(83mg)を得、収率58%であった。
【0065】
実施例14 PA4018
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4018-2の合成:
化合物PA4001-3(200mg、0.53mmol)を無水テトラヒドロフランに
溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(1.9
mL、1.9mmol)を滴下し、2時間攪拌し、PA4018-1(321mg、0.
8mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム(20m
L)を加えてクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し
、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィー
カラムにより分離精製し(DCM:MeOH(V:V)=20:1)、PA4018-2
(120mg)を得、収率35%であった。
工程2)目的の化合物PA4018の合成:
化合物PA4018-2(120mg、0.19mmol)をTHF(5mL)に加え、
氷浴でゆっくり1mol/LのTBAF溶液(0.28mL)を滴下し、室温で2h攪拌
した。反応終了後、100mlの水を加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、シリカゲルクロ
マトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:MeOH:DCM(V:V)=1:2
0)、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し(展開剤:MeOH
:DCM(V:V)=1:10)、最後にCombiflashクロマトグラフィーカラ
ムにより精製し、凍結乾燥してライトホワイト固体であるPA4018(20mg)を得
、収率20%であった。
【0066】
実施例15 PA4021
合成経路:
実験部分:
工程1)化合物PA4021-2の合成:
化合物PA4001-3(377mg、1.0mmol)をテトラヒドロフラン(40m
l)に溶解させ、氷浴で、ゆっくり1Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(
3.5mL、3.5mmol)を滴下し、滴下終了後、室温で反応液を1時間攪拌し、再
度0℃に冷却し、PA4021-1(402mg、1.0mmol)を加え、その後、反
応液を室温で一晩攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)で反応をクエンチし
、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、スピン乾
燥し、シリカゲルクロマトグラフィーカラムにより分離精製し(溶離液:DCM:MeO
H(V:V)=20:1)、白色固体であるPA4021-2(210mg)を得、収率
39.7%であった。
工程2)目的の化合物PA4021の合成:
化合物PA4021-2(210mg、0.39mmol)を3.6%の塩酸エタノール
溶液(10ml)に溶解させ、室温で反応を2時間攪拌した。反応終了後、飽和NaHC
O
3溶液でpH値が中性になるまで中和し、エバポレーターでエタノールを除去した後、
酢酸エチル(2×60mL)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥し、濾過し、スピン乾燥し、Combiflashクロマトグラフィーカラムに
より精製し、白色固体であるPA4021(64mg)を得、収率31%であった。
【0067】
表1 各実施例で調製された化合物が下記の表に示される
【0068】
表2 各実施例に調製された化合物のNMRが下記の表に示される
【0069】
実施例16 インビトロでのヒト肝ミクロソーム代謝の評価
測定方法:
1)試薬の供給源
ヒト肝ミクロソーム(HLM、Human Liver Microsomes)は、I
VT(In Vitro Technologies)から購入され、ロット番号がSS
Pであり、商品番号がX008070である。
試験化合物PA4001、PA4002、PA4003、PA4004は、ZHEJIA
NG PALO ALTO PHARMACEUTICALS INCによって合成され
、メタノール(国薬試薬)に溶解させ、濃度が25mMである保存液にした。
2)反応プロセス
酵素触媒反応は、100mMのKH
2PO
4緩衝溶液(pH 7.4)で行い、試験化合
物濃度が25μMであり、ヒト肝ミクロソーム濃度が2mg/mlであり、NADPH濃
度が2mMであった。反応は、最後に添加されたNADPHによって開始され、恒温振と
う水浴で5min反応させた直後、1.5倍体積の内部標準(PMPA)含有メタノール
を加えて反応を停止させた。
3)サンプル処理と分析方法
I サンプル前処理:
Eppendorf卓上型遠心分離機により、最大回転数13,600rpmで20分間
遠心した。上澄み液を取り、窒素送風機で乾かした後、再度移動相A(0.1%ギ酸v/
vの水溶液)に溶解させた。
II 液相勾配:
分析カラム:Waters、Acquity UPLC HSS T3 column
流速:0.5ml/min
カラム温度:40℃
III 質量分析の条件
イオン源:エレクトロスプレーのイオン源
イオンモード:陽イオンモード
キャピラリー電圧:3.0kV
温度:500℃
脱溶媒ガス流量:100L/h
スキャン時間:0.025s
コーン電圧:40V
衝突エネルギー:18eV
Q1(m/z):358
Q3(m/z):152
【0070】
表3 インビトロでのヒト肝ミクロソーム代謝化合物が一リン酸生成物dFdCMPを放
出するレート
結果分析:インビトロで、化合物PA4001、PA4002、PA4003、PA40
04のいずれも、ヒト肝ミクロソームによって活性化されて一リン酸代謝生成物になり、
異なる化合物は、転化速度に有意な差が見られた。PA4002とPA4004は、意外
とdFdCMPに転化される速度が、PA4001よりも高くなり、且つPA4003よ
りもはるかに高くなった。その中、PA4002とPA4004の転化速度は、それぞれ
PA4003の7.3倍と9.5倍であり、それぞれPA4001の1.0倍と1.3倍
であった(表3)。
【0071】
実施例17 インビトロでのヒト肝ミクロソーム代謝の評価
測定方法:
1)試薬の供給源
ヒト肝ミクロソーム(HLM、Human Liver Microsomes)は、I
VT(In Vitro Technologies)から購入され、商品番号がX00
8070であり、ロット番号がIQFである。
試験化合物は、ZHEJIANG PALO ALTO PHARMACEUTICAL
S INCによって合成され、メタノール(国薬試薬)に溶解させ、濃度が25mMであ
る保存液にした。
2)反応プロセス
酵素触媒反応は、100mMのKH
2PO
4緩衝溶液(pH 7.4)で行い、試験化合
物濃度が25μMであり、ヒト肝ミクロソーム濃度が2mg/mlであり、NADPH濃
度が2mMであった。反応は、最後に添加されたNADPHによって開始され、恒温振と
う水浴で5min反応させた直後、1.5倍体積の内部標準(PMPA)含有メタノール
を加えて反応を停止させた。
3)サンプル処理及び分析方法
I サンプル前処理:
Eppendorf卓上型遠心分離機により、最大回転数13,600rpmで20分間
遠心した。上澄み液を取り、窒素送風機で乾かした後、再度移動相A(0.1%ギ酸v/
vの水溶液)に溶解させた。
II 液相勾配:
[0277]
分析カラム:Waters、Acquity UPLC HSS T3 column
流速:0.5ml/min
カラム温度:40℃
III 質量分析の条件
イオン源:エレクトロスプレーのイオン源
イオンモード:陽イオンモード
キャピラリー電圧:3.0kV
温度:500℃
脱溶媒ガス流量:100L/h
スキャン時間:0.025s
コーン電圧:40V
衝突エネルギー:18eV
Q1(m/z):358
Q3(m/z):152
表4 インビトロでヒト肝ミクロソーム代謝化合物が一リン酸生成物dFdCMPを放出
するレート
結果分析:インビトロで、各化合物のいずれも、ヒト肝ミクロソームによって活性化され
て一リン酸代謝生成物になり、異なる化合物の転化速度は、有意な違いがあった。PA4
012とPA4011は、意外とdFdCMPに転化される速度がPA4004よりも顕
著に高くなった。その中、PA4012とPA4011の転化速度は、それぞれPA40
04の3.5倍と3.2倍(表4)であった。
以上のようにして、本発明に係る式I及び式IIに示される化合物は、より高い活性、及
びより低い毒性や副作用を持つため、より高い安全性を有する。
本発明において言及されるすべての文献は、本発明において参照として援用され、各文献
は、単独的に参照として引用される。さらに、本発明の上記の内容を読んだ後、当業者は
本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も本出願の添付
の特許請求の範囲によって定義される範囲内にあることを理解すべきである。