(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】食品を加工するための家庭用機器及びそのためのスプラッシュガード
(51)【国際特許分類】
A47J 43/044 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A47J43/044
(21)【出願番号】P 2020564120
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2019059457
(87)【国際公開番号】W WO2019219310
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】102018207506.9
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517368671
【氏名又は名称】デロンギ・ブラウン・ハウスホールド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンガーテン,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】クレーマン,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】デクスハイメール,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】レブサック,ダニエール
(72)【発明者】
【氏名】クレインマグド,テア
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-058645(JP,A)
【文献】米国特許第06035771(US,A)
【文献】特表2014-528778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0014207(US,A1)
【文献】実開昭62-148233(JP,U)
【文献】特開平11-244159(JP,A)
【文献】国際公開第98/024350(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を加工するための家庭用機器であり:
- ボウルであって、食品を前記ボウル内に導入する開口を有し、食品を加工するためのツールを前記ボウル内に装入可能である、ボウルと、
- スプラッシュガードであって、前記スプラッシュガードの境界領域が前記開口の先端部の内壁に対向するように、前記ボウルの前記開口の前記先端部に装入されることができ、前記食品が前記ボウルの外に飛び散るのを妨げるスプラッシュガードと、
- 前記スプラッシュガードを先に前記開口内に取り付けなくても、前記ボウルの前記開口内に装入されることができるカバーと、
を備え、
前記スプラッシュガードは、前記カバーが前記スプラッシュガード内に侵入することなしに前記スプラッシュガード上に載置されるように、前記スプラッシュガードの中心から前記境界領域まで実質的に平坦に延在するプレートを有し、
前記スプラッシュガードは、食品のための供給管を有し、前記供給管を介して食品は前記ボウル内に導入されることができる、
家庭用機器。
【請求項2】
前記カバーは、
外部モータユニットが結合されることができるモータ結合部と、
歯車機構を介して、前記モータ結合部に結合されるトランスミッション結合部であって、前記外部モータユニットによって生成されて前記モータ結合部に加えられるトルクを出力するように構成されたトランスミッション結合部と、を備える、
請求項1記載の家庭用機器。
【請求項3】
前記スプラッシュガードは、
前記トランスミッション結合部によって出力されるトルクが前記ツールに伝達されるように、前記トランスミッション結合部と前記ツールとに結合される中間結合要素を備える、
請求項2記載の家庭用機器。
【請求項4】
前記中間結合要素は、
同軸状に配置された内側の第2結合要素及び外側の第2結合要素を有し、前記内側の第2結合要素及び前記外側の第2結合要素は、同時に異なる回転速度で駆動されるように設計されている、
請求項3記載の家庭用機器。
【請求項5】
前記内側の第2結合要素及び前記外側の第2結合要素は一体的に形成されている、
請求項
4記載の家庭用機器。
【請求項6】
前記内側の第2結合要素及び前記外側の第2結合要素は、前記カバーに対向する側、及び/又は、使用中に加工されるべき食品に対向する側にトルクを伝達するための異なる幾何学的形状を有する、
請求項
4又は5いずれか1項記載の家庭用機器。
【請求項7】
前記カバーと前記スプラッシュガードとの間に予付勢力を生成するデバイスであって、前記予付勢力は前記カバーと前記スプラッシュガードとを互いに押し離すように方向づけられている、デバイスをさらに備え、
前記トランスミッション結合部と前記中間結合要素とは、リリース状態において係合しておらず、したがって前記ツールを駆動することができない、
請求項
3乃至6いずれか1項記載の家庭用機器。
【請求項8】
前記デバイスは、
前記スプラッシュガードに設けられた1つ以上のピンと、
1つ以上の予付勢されたエジェクタ要素であって、前記カバーに設けられており、前記ピンに圧縮力をかける、エジェクタ要素と、
を有する、
請求項
7記載の家庭用機器。
【請求項9】
前記カバーを前記ボウルに着脱可能に固定する固定手段をさらに有し、
前記固定手段は、前記ボウルにロックするように設計された前記カバー内のロックデバイスである、
請求項1乃至8いずれか1項記載の家庭用機器。
【請求項10】
前記ボウルは、前記開口に対向する端部においてボスをさらに有し、前記ボスは前記ツールを回転可能に軸支するように設計されている、
請求項1乃至9いずれか1項記載の家庭用機器。
【請求項11】
前記スプラッシュガードの前記プレートは波形のプロファイルを有する、
請求項1乃至10いずれか1項記載の家庭用機器。
【請求項12】
前記スプラッシュガードの前記プレートは補強リブを有する、
請求項1乃至11いずれか1項記載の家庭用機器。
【請求項13】
前記スプラッシュガードは、前記ツールに結合するためのバヨネット結合部を有する、
請求項1乃至12いずれか1項記載の家庭用機器。
【請求項14】
食品を加工するツールをさらに備える、
請求項1乃至13いずれか1項記載の家庭用機器。
【請求項15】
請求項1乃至14いずれか1項記載の家庭用機器のためのスプラッシュガード
であって、
前記スプラッシュガードは、前記カバーが前記スプラッシュガード内に侵入することなしに前記スプラッシュガード上に載置されるように、前記スプラッシュガードの中心から前記境界領域まで実質的に平坦に延在するプレートを有し、
前記スプラッシュガードは、食品のための供給管を有し、前記供給管を介して食品は前記ボウル内に導入されることができる、
スプラッシュガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を加工するための家庭用機器、及びかかる機器ためのスプラッシュガードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルドの家庭用機器は、個人的及び専門的の両方で広く使用されている。ハンドヘルドスティックブレンダーとハンドヘルドフードプロセッサは特に普及している。これらの機器は、通常、様々な用途のための様々な取り外し可能なツール及び付属品と共に販売されており、その結果、これらの機器は大きなフレキシビリティを提供する。
【0003】
このような付属品には、とりわけ、チョッパー又はフードプロセッサーとも呼ばれる、食品を加工又は粉砕するためのアタッチメントが含まれる。これらは、ボウルと、ボウル内に配置されることができる様々な加工ツールと、速度を低下させる歯車機構を備えたカバーとから構成されている。カバーは、カバーの下面に設けられた加工ツールを歯車機構に結合するとともに、カバーの上面に設けられたモータユニットを歯車機構に結合するように構成されている。モータユニットは、内部に電動モータを含んでいる。歯車機構は、モータの回転速度をツールに適したレベルに減速する。カバーは、機器が使用されている間、さらなる食品の追加を容易にするために、しばしば供給管を有する。
【0004】
市場で入手可能な付属品の大部分では、カバーは、取り外し不可能な内蔵歯車機構を有する。かかる配置の実施例は、CN101 138 466Aにおいて開示されている。この実施形態では、カバーは食器洗い機で洗浄することができない。なぜなら、さもなければ、水がカバー及びそこに配置された歯車機構に浸透し、それによってカバーが損傷するか、又は長期的には破壊されるからである。
【0005】
これは、使用中にカバーの下面及び供給管の内部の両方が加工されるべき食品と接触しているため、使用のたびに清掃しなければならないという問題がある。しかしながら、歯車機構は、典型的には、カバーの上部分と下部分との間に設けられており、取り外し不能な構造になっており、外部モータユニットが結合される力入力シャフトが上部分を貫通して延在し、加工ツールが結合される出力結合部が下部分を貫通して延在している。このような設計を有するカバーを食器洗い機内に配置すると、食器洗い機内での加熱・冷却による圧力差により、カバー内部に、したがって歯車機構にも水が侵入し、経年劣化が生じる。
【0006】
しかしながら、歯車機構とカバーを食洗機内部の使用条件に耐えられるように密閉することは、手頃なコストでは不可能である。このために、例えばCN101138 466Aの装置のような機器の製造業者は、一般的に、食器洗い機内でカバーを清掃することは許されないと明示的に述べている。一部のデバイスでは、カバーを流水で洗浄することは許されず、湿った布を用いて洗浄することしかできない。さもなければ、カバーに徐々に水が溜まり、歯車機構を破壊してしまう。そのため、カバーは手で洗う必要がある。しかしながら、カバーは加工食品と直接接触するので、頻繁に激しく汚れてしまうため、あまり使い勝手が良くない。また、供給管内の領域には手が届きにくい。
【0007】
これらの問題を考えると、WO2013/181692 A1及びWO2013/0977702 A1に記載された解決策が有利である。これらの実施形態では、カバーは、食品を追加するための供給管を構成する単一の部分だけで構成されている。歯車機構は、カバーの頂部に配置されており、ユーザーによって容易に取り外されることができる。このように、歯車機構は使用後に取り外されるすことができ、カバーを歯車機構なしで食洗機に入れることができる。この結果、使用中にかなりの範囲で食品と接触する部分(すなわち、カバーの下面及び供給管)は、歯車機構に損傷を与えることなく、食器洗い機で洗浄することができるので、状況はかなり改善される。WO2013/181692には、歯車機構の出力がツールに直接接触することを防止する中間結合部も示されている。食品と歯車機構との間のさらに良好な分離が、それによって達成される。
【0008】
この実施形態は、少なくとも上述の欠点を緩和するが、本発明者らが指摘するように、新たな欠点も生じる。歯車機構をカバー内に配置するために、カバーは、その上面に深い凹部を有する。これは、US9,572,457の
図9見られるように、鋭いコーナーを有する深い空洞と狭いニッチをその下面に有する結果となる。しかしながら、本発明者らが確認したように、これらのコーナー及びニッチは、噴霧された水がそれらの中に容易に到達できないため、食器洗い機では最適に洗浄することができない。また、本発明者らが見出したように、食品の残渣がそこに蓄積される傾向があり、食品の種類(例えば、酵母生地)に依存して、付着することもあり、そのため、除去することがさらに困難である。したがって、対応する構成要素は、より単純に構成された構成要素よりも徹底的に洗浄されなければならないが、食器洗い機では、限られた結果でしか洗浄することができない。
【0009】
さらに、すべてのユーザーが食器洗い機を所有し、又は使用しているわけではない。図示の実施形態の亀裂のある幾何学的形状のために、歯車機構を内蔵した前述の実施形態よりも、手で洗浄することはさらに困難である。
【0010】
さらなる先行技術は、米国特許第2004/0213085 A1号に開示されている。市販の先行技術製品には、「All In One」の名称で市販されているBreville BSB530XLがある。Braun MQ70フードプロセッサーは、先行技術の別の例である。欧州特許第3 3117 A1号は、請求項の前文に該当する特徴を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】PCT国際公開第2013/181692号公報
【文献】PCT国際公開第2013/097702号公報
【文献】米国特許登録第9572457号公報
【文献】米国特許公開第2004/0213085号公報
【文献】欧州特許公開第3 311 717号公報
【発明の概要】
【0012】
発明者は、先行技術の前述の欠点に着目しており、本発明の目的は、これらの欠点を緩和すること、又はそれらを完全に除去することである。特に、本発明の目的は、食品に接触する機器の構成要素を食器洗い機で洗浄することができるが、手で容易に洗浄することもできる、食品を加工するための家庭用機器を提供することである。
【0013】
本発明は、請求項1により定義される。好ましい実施形態は、従属請求項において定義される。さらに、本発明は、請求項16によっても定義される。
【0014】
請求項1に係る発明は、食品を加工するための家庭用機器である。このような家庭用機器は、例えば、食品加工装置、又はハンドブレンダー(Handmixer)又はスティックブレンダー(Stabmixer)のための付属装置であってもよい。
【0015】
この家庭用機器は、加工されるべき食品を開口から導入することができるボウルを有する。食品は、このボウルの中で加工される。
【0016】
このボウルには、食品を加工するためのツールを装入可能又は挿入可能(einsetzbar)である。かかるツールは、例えば、回転するとボウル内の食品を粉砕するシャフトに取り付けられたブレードであり得る。しかしながら、他のツール、例えば、既に粉砕された食品を混合又は混練することを意図したツールを使用することもできる。
【0017】
家庭用機器は、スプラッシュガードをさらに備える。このスプラッシュガードは、ボウルの開口に装入することができ、ボウル内で加工される食品の飛び散りを防止するか、少なくともより困難にするためのカバーである。スプラッシュガードは、連続プレートとして形成される必要はない。スプラッシュガードは、例えば、器具の使用中に食品をボウルに導入することを可能にするための通路を有することができる。また、スプラッシュガードは、スプラッシュガードの外側からボウルの内側にあるツールへの力の伝達を可能にするために、スプラッシュガードを通って延在する中間結合要素を有することができる。スプラッシュガードは、食品がボウルから飛び散るのを防止するために、スプラッシュガードの境界領域が開口の内壁と対向するように設計されている。換言すれば、スプラッシュガードは、ボウルの開口の内壁からわずかな歯車ップしかなく、加工される食品の通り抜けを許容しないか、又は最小限の程度しか許容しないように寸法決めされている。このことにより、スプラッシュガードの上に配置された家庭用機器の構成要素が加工される食品に接触することを防止する。付加的に又は代替的に、スプラッシュガードの外径にシール要素を取り付けることができ、これによりシール性がさらに改善される。
【0018】
さらに、本発明に係る家庭用機器は、スプラッシュガードをボウルの開口に装入した後にボウルの開口に装入することができるカバーを備えている(カバーは、予めスプラッシュガードを導入又はセット(einzufuehren)しなくても開口に装入することも可能であるが、場合によっては、機能しない家庭用機器となり得る)。使用中、スプラッシュガードが加工される食品が存在するボウルのスペースとカバーとの間にあるように、カバーが配置される。したがって、スプラッシュガードは、家庭用機器によって加工される食品がカバーに到達しこれを汚染するのを防止する(又は少なくとも妨げる)。このようにして、例えば、歯車機構を備えることもできるカバーは、清潔に保たれ、さもなければカバーに当たるであろう加工される食品は、今や、スプラッシュガードのみに当たって、これのみを汚す。したがって、それは、家庭用機器の使用後にカバーを徹底的に洗浄する必要はなく、むしろ、スプラッシュガードを洗浄するだけで充分である。
【0019】
本発明によれば、スプラッシュガードは、実質的に平坦に延在して境界領域で終わるプレートを備える。
境界領域は、開口の内壁と対向する領域である。スプラッシュガードのプレートが実質的に平坦に延在するという特徴は、スプラッシュガードが、例えばカバー又は歯車機構などの構成要素を収容するための凹部を有しないとして理解されるべきである。逆に、スプラッシュガードは、その上面(すなわち、使用中にカバーと対向する(gegenueberlieget)面)において平坦であり、実質的な窪みを有しない。特に、境界領域を含む周辺部には、先行技術の場合のような膨張部又は類似の肥厚した領域は存在しない。換言すれば、スプラッシュガードのプレートは、スプラッシュガードの中心から半径方向外方に見たとき、スプラッシュガードの上面が半径方向に実質的に垂直に延在しないように設計されている。特に、プレートが境界領域で終わるという特徴はまた、スプラッシュガードの平坦領域と開口の内面に対向して配置されたセクションとの間に軸方向に延在する領域がないことを意味する。
【0020】
スプラッシュガードは、実質的に平坦に延在し、境界領域で終わるプレートを備えているので、このスプラッシュガードは、食器洗い機においても容易に洗浄することができる。食品が蓄積し得るニッチは存在しないか、浅い深さとソフトな遷移を有するニッチが少し存在するだけであり、このことは、スプラッシュガードのプレートが実質的に平坦であり、この平坦な領域が境界領域で終わるという特徴によって得られる。これに対して、WO 2013/097702 A1の
図6に示される対応する構成要素17では、例えば、食品が蓄積され得るようなニッチが存在し、これらは洗浄が困難である。したがって、本発明によれば、カバーは、スプラッシュガードに侵入することなく、スプラッシュガード上に載置される。
【0021】
上述したように、本発明の家庭用機器は、食品が蓄積し、洗浄が困難であるニッチがないため、対応する家電製品は、よりユーザーフレンドリーである:スプラッシュガードは、デリケートな構成要素(例えば、歯車機構など)を含まないので、また、全ての部品は、食器洗い機で使用される水によって容易に到達され、洗浄されることができるので、食器洗い機で洗浄されることができる。しかしながら、カバーは、例えば歯車機構を含むので、しばしば食器洗い機で洗浄することができないが、スプラッシュガードによって汚れから保護されており、したがって、徹底的な洗浄を必要としない。したがって、対応する家庭用機器は、ユーザーフレンドリーであり、衛生的である。
【0022】
好ましくは、スプラッシュガードは、食品をボウルに導入することができる食品用の供給管を備える。対応する供給管は、使用者が器具を使用するときでも、器具に接触するリスクなしに、ボウルに食品を入れ、それらをそこで加工できることを確実にする。好ましくは、カバーは、カバーが家庭用機器上に配置されるときに、供給管がそれを通って延在する開口を有する。
【0023】
さらに、カバーは、外部モータユニットが結合され得るモータ結合部を備えることが好ましい。対応するモータ結合部は、家庭用機器とは別個に設けられたモータユニットを用いて家庭用機器が動作することができるように役立つ。さらに、カバーは、モータ結合部に結合されたトランスミッション結合部を備え、トランスミッション結合部は、外部モータによって発生されてモータ結合部に作用するトルクを出力するように構成されている。好ましくは、モータ結合部とトランスミッション結合部との間のこの結合は、歯車機構を介して行われる。このような設計により、カバーは、外部からボウル内に配置されたツールへの力伝達を可能にするように働く。対応する家庭用機器は、外部駆動なのでユーザーフレンドリーであり、外付けモータユニットを他の付属品と組み合わせて使用することもできるので安価である。歯車機構は、好ましくは、ツールがボウル内で駆動される速度が、入力された速度よりも十分に小さいことを保証する減速機である。
【0024】
好ましくは、トランスミッション結合部は、トランスミッション結合部によって提供されるべき両方の回転速度を同時に伝達することができるように、同軸に配置された内側の第1結合要素及び外側の第1結合要素を含む。内側の第1結合要素及び外側の第1結合要素は、異なる速度で回転することができ、2つの別個の構成要素として形成されることができる。
【0025】
このコンテクストにおいて、スプラッシュガードは、さらに好ましくは、トランスミッション結合部とツールとに結合される中間結合要素を含み、したがって、トランスミッション結合部によって出力されるトルクがツールに伝達される。中間結合要素は、カバーとツールとの間に設けられる。
【0026】
対応する中間結合要素を設けることによって、ツールにトルクをかけるための、スプラッシュガード内の非閉鎖開口(unverschlossene Oeffnung)は必要とされない。したがって、この機能はカバーの汚れを防ぐのにも役立つ。この点に関し、ツールは、好ましくは、スプラッシュガードが取り付けられるまでカバーだけで駆動できないように設計される。これにより、ツールがカバーから直接駆動されるのを防止する。これは、適用される安全基準(IEC 60335など)によれば許容されないであろう。なぜなら、スプラッシュガードがない場合には供給管もなく、したがって、接触に対する充分な保護がないからである。対応する特徴は、ツールの(短い)長さ、又はその結合の対応する設計によって達成され得る。
【0027】
中間結合要素は、異なる回転速度で同時に駆動されるように設計された2つの同軸に配置された要素、すなわち、内側の第2結合要素及び外側の第2結合要素を有することが好ましい。換言すれば、それらは互いに独立して回転することができる。このようにして、ツールを内側の第1結合要素又は外側の第1の結合要素に選択的に結合することによって、ツールを必要に応じてより速く又はより遅く駆動することができる。
【0028】
この点において、内側の第2結合要素及び/又は外側の第2結合要素は、一体に形成されることが好ましい。このような第2の結合要素は、製造が容易であり、デリケートではなく、耐用年数が増加する。
【0029】
さらに、カバーに対向する面及び/又はカバーから離れている面では、内側及び外側の第2結合要素は、両面間のトルク伝達のために異なる幾何学形状を有することが好ましい。ツールは、(それぞれ関連する)第2結合要素の出力側にのみ結合することができるように設計されているので、もはや複数の第1の結合要素の1つに直接結合することはできない。これは、スプラッシュガードが取り付けられていない場合にツールがカバーに直接接続されることを防止し、次いで、上述のように、安全性を向上させる。
【0030】
さらに、スプラッシュガードとカバーの組み合わせをボウルから一体的に取り外すことができることが好ましい。これにより、ボウルを空にするときなどの使い勝手が向上する。
【0031】
また、家庭用機器は、カバーとスプラッシュガードとを互いに押し離す(voneinander wegdrueckt)ように方向づけられた予付勢力をカバーとスプラッシュガードとの間に生成するデバイスを備えることが好ましい。これにより、家庭用機器の安全性が向上する。このような予付勢力は、ユーザーが機器装置を意図せずに動作させることができない確率を増加させる。中間結合要素が存在する場合、予付勢力が対応する対抗力によって相殺されない限り、中間結合要素はトランスミッション結合部から分離され、その結果、スプラッシュガード、カバー、及びツールが所期のとおりに取り付けられ、対応する対抗力(Gegenkraft)が生成された場合、ツールにのみトルクを加えることができるようになる。この対抗力は、ボウル内でスプラッシュガードを支持すること及びボウル内でカバーを係止することによって、組み立てられた状態で生成される。これは、ボウルがカバーとスプラッシュガードと共に正しく取り付けられていないと、ユーザーが意図せずにツールを動作させることができないようにする。なぜなら、さもないとユーザーが動作中のツールに触れることが可能になってしまうからである。通常、このような接触は、スプラッシュガード及びカバーによって防止される。これにより、家庭用機器の安全性を向上させることができる。
【0032】
さらに、好ましくは、デバイスはスプラッシュガード上に設けられた1つ以上のピンを備え、また、デバイスはカバー内に設けられており、1つ以上のピンに圧縮力を加えることができる予付勢されたエジェクタ要素を備えることもできる。このような装置の設計は、実装が容易であり、したがって、安価であるが安全な家庭用機器をもたらす。
【0033】
さらに、好ましくは、家庭用機器は、カバーをボウルに着脱可能に固定する(loesbaren Befestigen)ための固定手段を備える。対応する固定手段を設けることは、カバーが不所望にボウルから外れることを防止するため、家庭用機器の安全性とその使い勝手の両方を向上させる。固定手段は、ボウルの対応する突起又は対応する凹部に係合するように設計されたラッチデバイスをカバー内に備えることが好ましい。このようなラッチデバイスは、ユーザーにとって使用が容易であり、したがって、ユーザーの使い勝手が改善される。
【0034】
家庭用機器は、好ましくは、ボウル内で開口と対向する端部においてボスを有し、それによってツールを回転可能に取り付けることができるようにする。このようなボスは、ボウル内で回転するツールの良好で安定したガイドをもたらす。
【0035】
スプラッシュガードのプレートは、波形プロファイルを有することが好ましい。スプラッシュガードのプレートの対応する設計は、スプラッシュガードの剛性を増加させ、洗浄を容易にする。
【0036】
あるいは、プレートを波形プロファイルなしで設計することもでき、リブを下面に取り付けて剛性を高めることもできる。しかしながら、この実施形態は、洗浄することがより困難である。
【0037】
また、好ましくは、スプラッシュガードのプレートは補強リブを有する。この特徴もスプラッシュガードの寿命を向上させる。
【0038】
さらに、スプラッシュガードは、特定のツールに結合するために、その下面の周囲にバヨネット結合部を有することが好ましい。家庭用機器の対応する設計は、それを様々な異なるツールと共に使用できるようにする。
【0039】
加えて、好ましくは、家庭用機器は、食品を加工するためのツールも有する。このツールは、典型的には、ボウルに装入される。このような家庭用機器は、上述の利点を有する。
【0040】
さらに、本発明によれば、スプラッシュガードは、請求項の1つに記載された家庭用機器のためのものである。このようなスプラッシュガードは、上述の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1a】
図1a)及び1b)は、組み立てられた本発明による家庭用機器を示す図であって、
図1b)はモータユニット10’の無い家庭用機器を示す図である。
【
図1b】
図1a)及び1b)は、組み立てられた本発明による家庭用機器を示す図であって、
図1b)はモータユニット10’の無い家庭用機器を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1b)の家庭用機器の個別の構成要素を示す図である。
【
図3】
図3は、カバーの下面の斜視図を示す図である。
【
図4a】
図4a)及び4b)は、スプラッシュガードの上面及び下面を示す図である。
【
図4b】
図4a)及び4b)は、スプラッシュガードの上面及び下面を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1の家庭用機器において用いられることができるツールを示す図である。
【
図6】
図6は、
図1b)の家庭用機器の断面図を示す図である。
【
図7】
図7は、家庭用機器のスプラッシュガード及びカバーが組み立てられ、押し合わせられた状態を示す図である。
【
図8】
図8は、家庭用機器のスプラッシュガード及びカバーが予め組み立てられた状態であって、例えばボウルに装入されていない場合に、エジェクタ要素のバネ力によって押し離されている状態を示す図である。
【0042】
図1は、本発明による、食品を加工するための家庭用機器10を組み立てた図である。
図1a)は、別個のモータユニット10’が装入又は装着された(eingesetzt)家庭用機器10を示す。
図1b)は、このモータユニット10’が無い家庭用機器10を示す。
【0043】
図1a)及び
図1b)から分かるように、家庭用機器10は、外側にハンドル13が設けられたボウル12を備えている。ボウル12の開口には、スプラッシュガード14(
図1には示されていない)が、装入される。このスプラッシュガード14から上方に、供給管18が突出し、動作中に食品をボウル12に導入することを可能にする。カバー16がこのスプラッシュガード14上に配置されている。このカバー16は開口28を有し、この開口を通って供給管18が延在し、開口は供給管18を取り囲んでいる。さらに、カバー16は、モータユニット10’を装入できる上部分20を有している。
【0044】
図2は、
図1b)の家庭用機器10の個別の構成要素を示す。カバー16は、実質的に円形のシリンダの形状を有し、そこからモータユニット10’を受け容れるためのレセプタクル20が上面に延在する。カバー16はさらに、ボウル12の開口12’に装入されることができる凹部セクション16’を備え、それによって閉鎖される(abschliesst)。さらに、カバー16は、ボウル12の対応する突起(図示せず)に係合することができるキャッチ24を備え、それによりカバー16をボウル12に対してロックすることができる。このキャッチ24は、ボウル12からカバー16を取り外すことができるようにするために、ボタン22によって解除することができる。
【0045】
スプラッシュガード14は、ボウル12の開口12’に装入され得る実質的に平坦なプレート15を備え、カバー16は、凹部セクション16’が開口12’によって囲まれるようにスプラッシュガード14の上部に配置され得る。スプラッシュガード14は、突起を有する境界領域14’を含み、この境界領域14’は、使用中に開口部12’の内壁に当接し、したがって、ボウル12で加工される食品が飛び散るのを防止するか、少なくとも困難にする。使用中にカバー16に対向するスプラッシュガード14の面に供給管18が延在する。同じ面には、ピン17(ここでは4本)が設けられており、後述するカバー16のエジェクタ要素32と相互作用する。スプラッシュガード14はまた、中間結合要素19を含み、それはカバー16内の対応するトランスミッション結合部30に結合されることができ、したがって中間結合要素19にトルクが加えられる。
【0046】
図3は、カバー16の下面図を示す。このカバー16は、実質的に円形の断面を有する。その凹部セクション16’にはガイド溝32が設けられており、カバー16を開口部12’に対して位置決めすることができ、回転させないようにする。供給管18が最小限のクリアランスで通過できるように設計された開口28がカバー16を貫通している。さらに、エジェクタ要素26(ここでは4本)が開口26’に設けられており、これらは、図示されていないばねによって予付勢されており、対応する開口に装入されたピン17に外向きの力を及ぼすようになっている。
【0047】
トランスミッション結合部30は、カバー16の中央に配置されている。このトランスミッション結合部30は、トルクを、このトランスミッション結合部30に装入されるスプラッシュガード14の中間結合要素19にかけるように働く。詳細には、このトランスミッション結合部30は、ツールの高速用の内側第1結合要素30bと、ツールのより低い回転速度用の外側第1結合要素30aとを備える。これら両第1結合要素30a、30bは、カバー16内の歯車機構62に結合され、モータ結合21から入力されたトルクを伝達し、これをスプラッシュガード14の中間結合要素19に出力する。その際、内側の第1の結合要素30bは、モータ結合部21の回転速度がそれぞれ同じ場合に、外側の第1の結合要素30aよりも高速で回転するように設計される。
【0048】
図4a)及び4b)は、スプラッシュガード14の上面図又は下面図を示す。スプラッシュガード14は、実質的に平坦なプレート15を備え、ここでは波形36を有する。これらの波形36は半径方向に延在し、プレート15を補強するのに役立つ。さらに、(ここでは4本の)ピン17が形成されている。これらのピン17の位置は、エジェクタ要素26の位置に配置されており、したがって、ピン17はカバーの開口26’に入ることができ、その後、エジェクタ要素26がそれぞれ、ピン17に、カバー18とスプラッシュガード14とが互いに押し離す(voneinander wegdrueckt)ように配向されたリセット力を及ぼす。
【0049】
プレート15の中央には、中間結合要素19が回転可能に取り付けられた貫通部(Durchbruch)が設けられている。この中間結合要素19は、カバー16の外側第1結合要素30a又は内側第1結合要素30bと係合する内側第2結合要素19b及び外側第2結合要素19aを備え、したがって、内側第1結合要素30bは内側第2結合要素19bにトルクを与え、又は外側第1結合要素30aは外側第2結合要素19aにトルクを与えることができる。このようにして、中間結合要素19を、トランスミッション結合部30によって回転させることができる。内側の第2結合要素19b及び外側の第2結合要素19aを、互いに独立して回転させることができる。
【0050】
スプラッシュガード14の下面には、中間結合要素19の部分としての出力セクション38があり、この出力セクションは、ツール50の対応する結合部56(
図5参照)と係合することができる外側の出力結合部38aと内側の出力結合部38bを備える。外側の出力結合部38aは、外側の第2結合要素19aの一部であり、内側の出力結合部38bは、内側第2結合要素19bの一部である。結合部56は、ツールに応じて内側の出力結合部38a又は外側の出力結合部38bと係合するように設計され、その結果、高速又は低速のいずれかの回転速度がこのツール50に伝達され得る。スプラッシュガード14の境界領域14’にそれぞれ凹部34が配置され、凹部34は、溝32の機能に対応し、スプラッシュガード14をボウル12に対して位置決めし、スプラッシュガード14が回転するのを妨げるように機能する。カバー16におけるこれらの凹部34及び溝32の数は制限されない。
【0051】
図5は、家庭用機器10において使用可能なツール50の一例を示す。ツール50は、食品を捏ねる又は粉砕する(Kneten)ための(ここでは2本の)アーム54がその上に設けられたシャフト52を有する。アーム54と反対側の(gegenueberliegt)シャフト52の端部には、中間結合要素19の出力部38(又は、より正確には、内側又は外側出力部38a、38bのいずれか)に結合する結合部56が配置される。
【0052】
図6は、
図1b)の家庭用機器10の断面図を示す図である。図示のように、ツール50は、ボウル12の下面に設けられたボス60に回転可能に取り付けられており、したがって、ツール50がボウル12内のシャフト52の軸の周りを回転できる。シャフト52の上端において、結合部56は、スプラッシュガード14内で回転可能に軸支されている中間結合要素19の出力セクション38と係合する。この中間結合要素19は、歯車機構62を介してモータ結合21に接続されるトランスミッション結合部30と係合する。この状態においてモータがモータ結合部21にトルクを与えると、トルクは歯車機構62を介してトランスミッション結合部30に伝達され、ここから中間結合要素19に伝達され、最終的にツール50に伝達され、したがって、このツール50がボウル12の内部で回転し、ボウル12の内部にある食品を粉砕する。
【0053】
図7及び
図8は、カバー16及びスプラッシュガード14からなるアセンブリの断面図である。
図7において、スプラッシュガード14及びカバー16は、押し合わされて(zusammengeschoben)おり、したがってエジェクタ要素32が予付勢力に逆らってカバー16内に押し込まれている。この状態では、中間結合要素19は、トランスミッション結合部30と係合しており、したがってトランスミッション結合部30は、中間結合要素19にトルクを与えることができる。これは、モータ結合部21に加えられたトルクが中間結合要素19に伝達され、したがって中間結合要素19に結合されたツール50が回転できることを意味する。もし、このような状態でユーザーがツール50内に到達できれば、ユーザーに傷害を与え、ツール50にも損傷を与える可能性がある。
【0054】
これを避けるために、エジェクタ要素32とピン17が設けられており、これらは、
図8に示すように、カバーがボウル上に載置されていないときにカバー16をスプラッシュガード14から押し離す(wegdruecken)ように設計されている。この状態では、中間結合エ要素19とトランスミッション結合部30との間には係合が生じず、したがって、モータ結合部21に加わるトルクは中間結合要素19を回転させず、したがって、相応にこの中間結合要素19に配置されたツール50は駆動回転されない。従って、この状態では、ユーザーがこのような回転ツール50で自身を傷つけることは不可能であろう。しかしながら、これは、家庭用機器、又はカバー16とスプラッシュガード14とからなるアセンブリの、「静止状態」又は通常状態であるため、家庭用機器の通常状態は安全である。
【0055】
カバー16及びスプラッシュガード14が押し合わされているときにのみ、モータ結合部21に加わるトルクが中間結合要素19を回転させることができる。しかし、このためには、エジェクタ素子32のリセット力に対する対抗力(Gegenkraft)が生成されなければならない。
図1bに示すように、家庭用機器10が組み立てられた状態では、この対抗力は、特に、キャッチ24を用いて発生される。カバー16をボウル12にロックできることにより、カバー16がスプラッシュガード14から押し出されることが防止される。したがって、
図1bに示す状態では、中間結合要素19は、トランスミッション結合部30と係合し、キャッチ24によってこの状態に保持される。しかしながら、原則として、このキャッチ24を省略することも可能であろうが、その場合には、カバー16がスプラッシュガード14に十分に強く押し付けられるように、異なる方法(例えば、相応に大きいカバー16の重量によって、又はユーザーが加える力によって)で確実にしなければならない。
【0056】
したがって、1つ以上のピン17、1つ以上の予付勢されたエジェクタ要素32及びキャッチ24組み合わせ、又は家庭用機器への固定手段は、高いレベルの安全を提供すると同時にユーザーフレンドリーでもある。