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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】静電チャック、及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230113BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230113BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20230113BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/302 101R
H01L21/205
H02N13/00 D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021082591
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2021180308
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0058285
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コ、ヒョン タク
(72)【発明者】
【氏名】イ、サン キ
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-068538(JP,A)
【文献】登録実用新案第3201051(JP,U)
【文献】特開2020-021958(JP,A)
【文献】国際公開第2019/208191(WO,A1)
【文献】特開2006-190805(JP,A)
【文献】特開2018-125463(JP,A)
【文献】特開2017-063011(JP,A)
【文献】特開2014-130901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
H01L 21/205
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を静電気力でチャッキングする上側のチャック本体と、
前記チャック本体の温度を調節するための下側のチャックベースと、
前記チャック本体と前記チャックベースとの間に配置され、熱伝達流体を用いる熱伝達層と
前記チャック本体を前記チャックベースに対して上下方向に移動させるチャック昇降ユニットとを含む、静電チャック。
【請求項2】
前記熱伝達層は前記チャック本体と前記チャックベースとの間に前記熱伝達流体を収容する熱伝達空間を提供するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記熱伝達層は、前記チャック本体と前記チャックベースとの間の外側領域に介在された環形のアウターシール(outer seal)を含むことにより、前記チャック本体と前記チャックベースとの間にギャップを形成するとともに前記チャック本体、前記チャックベース及び前記アウターシールによって限定された前記熱伝達空間を提供することを特徴とする、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記アウターシールは、前記熱伝達空間と連通して前記熱伝達流体が導入される中空を有することを特徴とする、請求項3に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記アウターシールは耐熱性素材を含むことを特徴とする、請求項3に記載の静電チャック。
【請求項6】
前記アウターシールをカバーするシール保護部材をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の静電チャック。
【請求項7】
前記熱伝達空間に熱伝達流体供給ラインが連結されることを特徴とする、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項8】
前記熱伝達空間に熱伝達流体回収ラインが連結されることを特徴とする、請求項7に記載の静電チャック。
【請求項9】
前記チャック本体は前記チャックベース上に前記熱伝達層と物理的に接触するように載せられることを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項10】
前記チャック本体の下部には下方に延びたインサートが提供され、前記チャックベースには前記インサートが挿入される位置決め空間が備えられ、前記熱伝達層は前記インサートが通過する貫通空間を有することを特徴とする、請求項9に記載の静電チャック。
【請求項11】
前記熱伝達層は、前記チャック本体と前記チャックベースとの間で前記貫通空間の周囲から相対的に近い内側領域及び相対的に遠い外側領域にそれぞれ介在された環形のインナーシール(inner seal)及び環形のアウターシール(outer seal)を含むことにより、前記チャック本体と前記チャックベースとの間にギャップを形成するとともに前記チャック本体、前記チャックベース、前記インナーシール及び前記アウターシールによって限定されて前記熱伝達流体を収容する熱伝達空間を提供することを特徴とする、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項12】
前記インサートは電源ラインが導入される空洞を有することを特徴とする、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項13】
前記熱伝達層は前記チャックベースの上部に提供されることを特徴とする、請求項9に記載の静電チャック。
【請求項14】
前記位置決め空間は前記チャックベースを上下方向に貫通する孔として提供され、前記インサートは前記位置決め空間を通過する長さを有するように提供され、前記チャック昇降ユニットは前記インサートの下部に連結されることを特徴とする、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項15】
前記チャック昇降ユニットは前記チャック本体を上側に移動させて前記チャック本体を前記チャックベースから離隔させて分離することを特徴とする、請求項に記載の静電チャック。
【請求項16】
前記チャック昇降ユニットは前記チャック本体を下側に移動させて前記チャック本体を前記熱伝達層に密着させることを特徴とする、請求項に記載の静電チャック。
【請求項17】
前記チャックベースはヒーティングエレメント及びクーリングエレメントの少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項18】
前記熱伝達流体は不活性気体であることを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項19】
基板処理空間を提供する工程チャンバーと、前記基板処理空間に配置された静電チャックとを含み、
前記静電チャックは、
基板を静電気力でチャッキングする上側のチャック本体と、
前記チャック本体の温度を調節するための下側のチャックベースと、
前記チャック本体と前記チャックベースとの間に配置され、熱伝達流体を用いる熱伝達層と
前記チャック本体を前記チャックベースに対して上下方向に移動させるチャック昇降ユニットとを含む、基板処理装置。
【請求項20】
基板処理空間を提供する工程チャンバーと、前記基板処理空間に配置された基板支持アセンブリーと、前記基板処理空間にプラズマを発生させるためのプラズマ発生器とを含み、
前記基板支持アセンブリーは、
基板を静電気力でチャッキングする上側のチャック本体、高周波電力が印加され、前記チャック本体の温度を調節するための下側のチャックベース、前記チャック本体と前記チャックベースとの間に配置され、熱伝達流体を収容する熱伝達空間を提供するように構成された熱伝達層、及び前記チャック本体を前記チャックベースに対して上下方向に移動させるチャック昇降ユニットを含む静電チャックと、
前記チャック本体の周囲に配置され、前記基板を取り囲むように提供されるフォーカスリングと、
前記熱伝達空間及び前記基板と前記チャック本体との間にそれぞれ熱伝達流体を供給し、前記熱伝達空間に供給された前記熱伝達流体の圧力を制御する第1圧力制御器、及び前記基板と前記チャック本体との間に供給された前記熱伝達流体の圧力を制御する第2圧力制御器を有する熱伝達流体供給ユニットとを含み
記チャックベースは前記基板を冷却するための冷却流体が流れる冷却流路を含む、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、ウエハー(wafer)などの基板を保持するのに使われる静電チャック(ESC)、この静電チャックを含む基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体などを製造するために食刻工程などの基板処理工程を遂行中に基板の位置を固定させる目的で静電チャックが多く使われている。
【0003】
一般に、静電チャックは、基板を静電気力でチャッキングする上側のチャック本体、チャック本体を支持する下側のチャックベース、及びチャック本体とチャックベースとの間のボンディング層(bonding layer)を含むことにより、チャック本体とチャックベースがボンディング層を介して互いに結合された構成を有する。ボンディング層はシリコン(silicone)からなる。
【0004】
このような静電チャックは、ボンディング層が、素材的特性上、約150℃以上の温度で損傷されるから、高温条件で熱伝達効率が低下したり、使用自体が不可能な問題点がある。
【0005】
また、チャック本体がチャックベースに結合される点のため、チャック本体をチャックベースから分離しにくく、これにより維持管理が難しい問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許第10-1430745号公報
【文献】韓国公開特許第10-2016-0148093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施例は、高温条件で安定的に使用可能な静電チャック、これを含む基板処理装置などを提供しようとする。
【0008】
本発明の実施例は、維持管理面で有利な静電チャック、これを含む基板処理装置などを提供しようとする。
【0009】
解決しようとする課題はこれに制限されず、言及しなかったその他の課題は通常の技術者であれば以下の記載から明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例によれば、基板を静電気力でチャッキングする上側のチャック本体と、前記チャック本体の温度を調節するための下側のチャックベースと、前記チャック本体と前記チャックベースとの間に配置され、熱伝達流体を用いる熱伝達層と、前記チャック本体を前記チャックベースに対して上下方向に移動させるチャック昇降ユニットとを含む静電チャックを提供する。
【0011】
前記熱伝達層は前記チャック本体と前記チャックベースとの間に前記熱伝達流体を収容する熱伝達空間を提供するように構成されることができる。
【0012】
前記熱伝達層は、前記チャック本体と前記チャックベースとの間の外側領域に介在された環形のアウターシール(outer seal)を含むことにより、前記チャック本体と前記チャックベースとの間にギャップを形成するとともに前記チャック本体、前記チャックベース及び前記アウターシールによって限定された前記熱伝達空間を提供することができる。
【0013】
前記アウターシールは、前記熱伝達空間と連通して前記熱伝達流体が導入される中空を有することができる。
【0014】
前記アウターシールは耐熱性素材を含むことができる。
【0015】
本発明の実施例による静電チャックは、前記アウターシールをカバーするシール保護部材をさらに含むことができる。
【0016】
前記熱伝達空間には熱伝達流体供給ラインが連結されることができる。また、前記熱伝達空間には熱伝達流体回収ラインが連結されることができる。
【0017】
本発明の実施例によれば、基板を静電気力でチャッキングする上側のチャック本体と、前記チャック本体の温度を調節するための下側のチャックベースと、前記チャック本体と前記チャックベースとの間に配置され、熱伝達流体を用いる熱伝達層とを含み、前記チャック本体が前記チャックベース上に前記熱伝達層と物理的に接触するように載せられた、静電チャックを提供することができる。具体的に、前記チャック本体は前記チャックベース上に自重のみによって載せられ、前記チャックベースとの間に配置された前記熱伝達層と物理的に接触することができる。前記熱伝達層は前記チャックベースの上部に提供されることができる。
【0018】
前記チャックベース上に自重のみによって載せられて前記熱伝達層と物理的に接触した前記チャック本体の下部には下方に延びたインサートが提供され、前記チャックベースには前記インサートが挿入される位置決め空間が備えられ、前記熱伝達層は前記インサートが通過する貫通空間を有することができる。前記インサートは電源ラインが導入される空洞を有することができる。
【0019】
ここで、前記熱伝達層は、前記チャック本体と前記チャックベースとの間で前記貫通空間の周囲から相対的に近い内側領域及び相対的に遠い外側領域にそれぞれ介在された環形のインナーシール(inner seal)及び環形のアウターシール(outer seal)を含むことにより、前記チャック本体と前記チャックベースとの間にギャップを形成するとともに前記チャック本体、前記チャックベース、前記インナーシール及び前記アウターシールによって限定されて前記熱伝達流体を収容する熱伝達空間を提供することができる。
【0020】
本発明の実施例による静電チャックは、自重のみによって載せられた前記チャック本体及び前記チャックベースを前記熱伝達層に対して密着した状態に維持させるチャック押圧ユニットをさらに含むことができる。
【0021】
記チャック昇降ユニットは前記チャック本体を下側に移動させて前記チャック本体を前記熱伝達層に密着させることができる。
【0022】
前記チャックベースはヒーティングエレメント及びクーリングエレメントの少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0023】
前記熱伝達流体は不活性気体であってもよい。
【0024】
本発明の実施例によれば、基板処理空間を提供する工程チャンバーと、前記基板処理空間に配置された静電チャックとを含み、前記静電チャックは、基板を静電気力でチャッキングする上側のチャック本体と、前記チャック本体の温度を調節するための下側のチャックベースと、前記チャック本体と前記チャックベースとの間に配置され、熱伝達流体を用いる熱伝達層と、前記チャック本体を前記チャックベースに対して上下方向に移動させるチャック昇降ユニットとを含む、基板処理装置を提供する。
【0025】
本発明の実施例による基板処理装置において、前記チャック本体は前記チャックベース上に自重のみによって載せられて前記チャックベースとの間に配置された前記熱伝達層と物理的に接触することができる。
【0026】
ここで、自重のみによって載せられた前記チャック本体の下部には下方に延びたインサートが提供され、前記チャックベースは前記インサートが前記熱伝達層を貫通して挿入される位置決め空間を有することができる。
【0027】
また、本発明の実施例による基板処理装置は、前記チャック本体と前記チャックベースを前記熱伝達層に対して密着した状態に維持させるチャック押圧ユニットをさらに含むことができる。
【0028】
ここで、前記位置決め空間は前記チャックベースを上下方向に貫通する孔として提供され、前記インサートは前記位置決め空間を通過する長さを有するように提供されることができる。そして、前記チャック押圧ユニットは、前記チャックベースの下方に配置され、前記インサートの下部に連結された補助プレートと、前記補助プレートに下方に力を加える押圧力発生機構とを含むことができる。
【0029】
一方、本発明の実施例による基板処理装置は、前記チャック押圧ユニットの代わりに前記チャック本体を前記チャックベースに対して上下方向に移動させるチャック昇降ユニットをさらに含むことができる。このために、前記位置決め空間は前記チャックベースを上下方向に貫通する孔として提供され、前記インサートは前記位置決め空間を通過する長さを有するように提供されることができる。そして、前記チャック昇降ユニットは前記インサートの下部に連結されることができる。
【0030】
本発明の実施例によれば、基板処理空間を提供する工程チャンバーと、前記基板処理空間に配置された基板支持アセンブリーと、前記基板処理空間にプラズマを発生させるためのプラズマ発生器とを含み、前記基板支持アセンブリーは、基板を静電気力でチャッキングする上側のチャック本体、高周波電力が印加され、前記チャック本体の温度を調節するための下側のチャックベース、記チャック本体と前記チャックベースとの間に配置され、熱伝達流体を収容する熱伝達空間を提供するように構成された熱伝達層、及び前記チャック本体を前記チャックベースに対して上下方向に移動させるチャック昇降ユニットを含む静電チャックと、前記チャック本体の周囲に配置され、前記基板を取り囲むように提供されるフォーカスリングと、前記熱伝達空間及び前記基板と前記チャック本体との間にそれぞれ熱伝達流体を供給し、前記熱伝達空間に供給された前記熱伝達流体の圧力を制御する第1圧力制御器、及び前記基板と前記チャック本体との間に供給された前記熱伝達流体の圧力を制御する第2圧力制御器を有する熱伝達流体供給ユニットとを含み、前記チャックベースは前記基板を冷却するための冷却流体が流れる冷却流路を含む、基板処理装置を提供することができる。
【0031】
本発明の実施例によれば、前記のように構成される基板処理装置を用いる基板処理方法であって、前記基板を処理するうち、前記熱伝達空間の前記熱伝達流体の圧力を前記第1圧力制御器によって制御し、前記基板と前記チャック本体との間の前記熱伝達流体の圧力を前記第2圧力制御器によって制御する、基板処理方法を提供することができる。
【0032】
ここで、前記基板を前記チャック本体によってチャッキングする前には、前記熱伝達空間の前記熱伝達流体の圧力を前記第1圧力制御器によって所望の水準に一定に制御することができる。
【0033】
そして、前記基板を前記チャック本体によってチャッキングした後には、前記基板と前記チャック本体との間の前記熱伝達流体の圧力を前記第2圧力制御器によって制御し、このように前記基板と前記チャック本体との間の前記熱伝達流体の前記圧力を前記第2圧力制御器によって制御する間は前記熱伝達空間の前記熱伝達流体の前記圧力を前記第1圧力制御器によって所望の水準に一定に制御することができる。
【0034】
また、チャッキングされた前記基板をチャッキング解除する間も、前記熱伝達空間の前記熱伝達流体の前記圧力を前記第1圧力制御器によって所望の水準に一定に制御することができる。
【0035】
課題の解決手段は以下で説明する実施例、図面などからより具体的で明確になるであろう。また、以下では前述した解決手段以外の多様な解決手段をさらに提示することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の実施例によれば、チャック本体とチャックベースとの間の熱伝達層が熱伝達流体を用いてチャック本体とチャックベースとの間の熱伝達を遂行するように構成されるから、高温条件でもチャック本体とチャックベースとの間の熱伝達を熱伝達流体を介して安定的に遂行することができ、これにより基板処理工程の信頼性を一層向上させることができる。
【0037】
本発明の実施例によれば、熱伝達層がボンディングの機能なしに熱伝達機能を果たし、チャック本体がチャックベース上に拘束なしに自重のみによって載せられて熱伝達層と物理的に接触するから、チャック本体を持ち上げればチャック本体をチャックベースから分離することができ、よってチャックベースの維持管理を一層便利に遂行することができる。
【0038】
発明の効果はこれに限定されず、言及しなかったその他の効果は通常の技術者であればこの明細書及び添付図面から明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1実施例による基板処理装置の構成を示す断面図である。
図2図1に示した静電チャックを示す分解図である。
図3図1に示した静電チャックを示す断面図である。
図4図2に示したチャックベースを示す平面図である。
図5図3に示したインナーシールを示す拡大図である。
図6図3に示したアウターシールを示す拡大図である。
図7】本発明の第2実施例による基板処理装置の構成及び作動を示す断面図である。
図8】本発明の第2実施例による基板処理装置の構成及び作動を示す断面図である。
図9】本発明の第3実施例による基板処理装置の構成及び作動を示す断面図である。
図10】本発明の第3実施例による基板処理装置の構成及び作動を示す断面図である。
図11】本発明の実施例による基板処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を説明する。参考までに、本発明の実施例を説明するために参照する図面において、構成要素の大きさ、線の厚さなどは理解の便宜上多少誇張して表現されていることもある。また、本発明の実施例を説明するのに使われる用語は主に本発明での機能を考慮して定義したものなので、使用者や運用者の意図、慣例などによって変わることができる。したがって、用語に対してはこの明細書全般にわたる内容に基づいて解釈されなければならない。
【0041】
本発明による静電チャックは、半導体、フラットパネルディスプレイ(flat panel display、FPD)などの製造のためにウエハー、ガラス(glass)などの基板を処理するのに使われる多様な基板処理装置に適用することができる。よって、本発明による静電チャックを含む基板処理装置は基板処理工程として食刻、アッシング(ashing)、蒸着、洗浄などの工程を遂行するものであり得るが、本発明の実施例はプラズマを用いる方式の基板処理装置のうち食刻工程を遂行する乾式食刻装置(dry etcher)を中心に説明する。
【0042】
本発明の第1実施例による基板処理装置の構成を図1に示す。図1を参照すると、本発明の第1実施例による基板処理装置は、プラズマを用いて、基板5に対する処理工程として食刻工程を遂行するように構成され、このために、工程チャンバー100、基板支持アセンブリー(substrate support assembly)10、シャワーヘッド(shower head)600、工程ガス供給ユニット700、及び電磁場形成ユニット及びバッフルユニット(baffle unit)800を含む。工程ガス供給ユニット700は、工程チャンバー100の内部に提供すべき工程ガスを供給し、電磁場形成ユニットは工程チャンバー100の内部に電磁場を形成し、工程チャンバー100の内部に提供された工程ガスをプラズマ状態に励起させる。
【0043】
工程チャンバー100は外部から遮断可能な基板処理空間111を提供し、基板5は基板処理空間111でプラズマによって処理される。工程チャンバー100はチャンバー本体110を含む。チャンバー本体110は内部に基板処理空間111を有するように形成される。チャンバー本体110は金属からなることができる。例えば、チャンバー本体110の素材はアルミニウム(Al)であることができる。このようなチャンバー本体110は接地されることができる。
【0044】
チャンバー本体110の壁には基板処理空間111と連通する基板出入口112が少なくとも一つ以上備えられ、基板5は基板出入口112を通して基板処理空間111に搬入されるか基板処理空間111から搬出される。基板出入口112は出入口開閉ユニット120によって開閉可能である。
【0045】
チャンバー本体110の底部には基板処理空間111と連通する排気ポート(exhaust port)113が少なくとも一つ以上備えられ、排気ポート113には排気作用を遂行する排気ユニット130が接続される。排気ユニット130は、排気ポート113に連結された排気ライン、及び排気ラインに連結された真空ポンプ(vacuum pump)を含むことができる。排気ユニット130の排気作用によれば、基板処理空間111を減圧して基板処理工程を真空雰囲気の下で遂行することができ、基板処理工程を遂行する過程で発生する副産物や基板処理空間111に残留するガスを外部に排出することができる。
【0046】
チャンバー本体110の内面にはライナー(liner)140が提供されることができる。ライナー140によれば、チャンバー本体110の内面を、基板処理工程を遂行する過程で発生する副産物、基板処理空間111に残留するガスなどから保護することができる。例えば、ライナー140は、チャンバー本体110の内壁にチャンバー本体110の内壁に沿って提供されることができ、基板出入口112に対応する部分に基板出入口112と連通して基板5の搬入及び搬出を許す開口が備えられることができる。
【0047】
基板支持アセンブリー10はチャンバー本体110の内部に設けられる。基板支持アセンブリー10は、基板処理空間111の下部領域に配置されて基板5を支持する。基板支持アセンブリー10はチャンバー本体110の底から上側に離隔した高さに位置することができる。基板支持アセンブリー10は、静電チャック11、下部カバー13、絶縁部材14及び連結体15を含む。
【0048】
図2図4は静電チャック11を示す。図2図4を参照すると、静電チャック11は、基板5を静電気力でチャッキングする上側のチャック本体200、チャック本体200を支持する下側のチャックベース300、及びチャック本体200とチャックベース300との間に介在された熱伝達層400を含む。
【0049】
チャック本体200は基板5が置かれる支持上面を提供する。チャックベース300は、チャック本体200の温度調節によって基板5の温度を調節するためのクーリングエレメント310を含む。熱伝達層400は、熱伝達流体を用いてチャック本体200とチャックベース300との間の熱伝達を遂行することにより、基板処理工程中に基板処理空間111がプラズマなどによって高温に上昇しても熱伝達を安定的に遂行することができる。
【0050】
チャック本体200は非導電性素材からなる。チャック本体200はチャックベース300上に拘束なしに自重のみによって載せられ、自重のみによって維持されて熱伝達層400と物理的に接触する。すなわち、チャック本体200が熱伝達層400と単純に接触した状態に維持される。よって、チャック本体200を上側に持ち上げれば、チャック本体200がチャックベース300から分離されるので、チャック本体200に長期使用などによって汚染、損傷などが発生したとき、チャック本体200を容易に交替することができるなど、静電チャック11の維持管理を便利に遂行することができる。
【0051】
チャック本体200の下部には下方に延びたインサート510が提供され、チャックベース300にはインサート510が挿入される位置決め空間305が備えられ、熱伝達層400はインサート510が通過する貫通空間405を有する。インサート510はチャック本体200の下部中央に配置されることができる。位置決め空間305はインサート510に対応するように形成され、チャック本体200の上下方向移動は許すがチャック本体200側方向移動は規制することにより、チャック本体200をチャックベース300の上側に正確にセットすることができるように誘導する。
【0052】
図2は位置決め空間305がチャックベース300に上下方向に貫通された孔状を有するように提供されるものを示しているが、インサート510の長さによっては、位置決め空間305が下側に凹んでいる溝状を有するように提供することもできる。
【0053】
インサート510は金属素材を含み、チャック本体200の下部にろう付け(brazing)によって結合されることができる。例えば、非導電性素材からなるチャック本体200の下部でインサート510を結合すべき部分に金属膜を蒸着した後、金属膜とインサート510との間に金属材のフィラーを挿入し、挿入されたフィラーを加熱して溶融させた後、溶融フィラーを冷却して接合層を形成する方式でろう付けを遂行することができる。
【0054】
熱伝達層400はチャックベース300の上部に提供されて位置が固定される。熱伝達層400は、チャック本体200とチャックベース300との間に熱伝達流体を収容する熱伝達空間410を提供するように構成され、気密性を提供するためのシール(seal)を含む。シールは、チャック本体200とチャックベース300との間に介在されることにより、チャック本体200をチャックベース300から上側におよそシールの厚さの分だけ離隔させ、チャック本体200とチャックベース300との間に貫通空間405と連通して周囲が開放したギャップを形成する。例えば、熱伝達層400は、このようなシールとしてインナーシール(inner seal)420とアウターシール(outer seal)430とを含む。他の例として、図示とは違い、熱伝達層400はアウターシール430のみ含むこともできる。
【0055】
インナーシール420とアウターシール430はいずれも環形に形成される。インナーシール420は大きさがアウターシール430より小さくてアウターシール430の内側に位置することができる。インナーシール420はチャック本体200とチャックベース300との間でインサート510が通過する貫通空間405の周囲から相対的に近い内側領域に介在されて気密作用を遂行し、アウターシール430は貫通空間405の周囲から相対的に遠い外側領域に介在されて気密作用を遂行する。熱伝達層400はこのようなインナーシール420、アウターシール430、チャック本体200及びチャックベース300によって限定された空間を熱伝達空間410として提供する。熱伝達空間410に収容された熱伝達流体は、インナーシール420によって貫通空間405側への漏洩が防止され、アウターシール430によってギャップ(チャック本体とチャックベースとの間)の周囲側への漏洩が防止される。インナーシール420が提供されない場合、熱伝達層400は、アウターシール430、チャック本体200、チャックベース300及びインサート510によって限定された空間を熱伝達空間410として提供することもできる。
【0056】
図5はインナーシール420を示す。図5を参照すると、インナーシール420は、チャック本体200の下面に上面が接触する環形の上部部材421、上部部材421と上下間隔を置いて対向するように配置され、チャックベース300の上面に下面が接触する環形の下部部材422、及び上部部材421の内側と下部部材422の内側を連結する環形の連結部材423を含むことにより、内部に環形の中空424が備えられ、上部部材421の外側と下部部材422の外側との間に中空424を熱伝達空間410と連通させる連結開口425が備えられた構造を有する。インナーシール420は、上部部材421、下部部材422及び連結部材423が一体型であることができる。インナーシール420は下部部材422がチャックベース300に定着部材426を介して結合されて位置が固定される。インナーシール420及び定着部材426は基板処理工程中に発生する高温に充分に耐えることができる耐熱性素材からなる。例えば、インナーシール420は、耐熱性、耐久性、弾性係数などに優れたポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)素材を含むことができる。
【0057】
図6はアウターシール430を示す。図6を参照すると、アウターシール430は、チャック本体200の下面に上面が接触する環形の上部部材431、上部部材431と上下に間隔を置いて対向するように配置され、チャックベース300の上面に下面が接触する環形の下部部材432、及び上部部材431の外側と下部部材432の外側を連結する環形の連結部材433を含むことにより、内部に環形の中空434が備えられ、上部部材431の内側と下部部材432の内側との間に中空434を熱伝達空間410と連通させる連結開口435が備えられた構造を有する。アウターシール430は、上部部材431、下部部材432及び連結部材433が一体型であることができる。アウターシール430は、下部部材432がチャックベース300に定着部材436を介して結合されて位置が固定される。アウターシール430及び定着部材436は基板処理工程中に発生する高温に充分に耐えることができる耐熱性素材からなる。例えば、アウターシール430は、耐熱性、耐久性、弾性係数などに優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)素材を含むことができる。
【0058】
熱伝達空間410には熱伝達流体供給ユニットが連結される。熱伝達流体供給ユニットは、熱伝達空間410に熱伝達流体を設定によって制御された量で供給することができ、供給された熱伝達流体を熱伝達空間410から設定によって制御された量で回収することができる。また、これにより熱伝達空間410から使用された熱伝達流体を排出し、新しい熱伝達流体を熱伝達空間410にずっと供給することにより、熱伝達層400の熱伝達効率の低下を防止することができる。熱伝達流体は気体であることができる。具体的に、熱伝達流体は不活性気体を含むことができる。一例として、不活性気体はヘリウム(He)を含むことができる。
【0059】
図3を参照すると、熱伝達流体供給ユニットは、熱伝達流体供給源325、第1圧力制御器415、第1熱伝達流体供給ライン416及び第1ラヒングライン(first roughing line)417を含むことができる。第1圧力制御器415は、熱伝達流体供給源325から熱伝達流体を受けることができ、受けた熱伝達流体の一部又は全部を第1ラヒングライン417を通して排気ユニット130に提供して排出することができる。第1ラヒングライン417は第1圧力制御器415と排気ユニット130との間に連結されることができる。第1圧力制御器415は熱伝達流体供給源325からの熱伝達流体の一部又は全部を第1熱伝達流体供給ライン416を通して熱伝達空間410に供給することができる。熱伝達流体供給ユニットは、熱伝達空間410から熱伝達流体を回収する熱伝達流体回収ライン419をさらに含み、熱伝達流体回収ライン419が熱伝達空間410と第1圧力制御器415との間に連結されることにより、基板処理工程を遂行中に熱伝達流体を熱伝達空間410に連続的に供給することができ、第1圧力制御器415による熱伝達流体の供給流量及び回収流量の制御によって熱伝達空間410の熱伝達流体の圧力を基板処理工程に要求される水準に適切に調節することができる。熱伝達流体回収ライン419を介して熱伝達空間410から第1圧力制御器415に提供された熱伝達流体は排気ユニット130の作用によって第1ラヒングライン417を介して基板処理空間111の外部に排出されることができる。
【0060】
熱伝達流体供給ユニットによって熱伝達空間410に供給される流体は熱伝達空間410に充填され、インナーシール420とアウターシール430との間の連結開口425、435を通してインナーシール420及びアウターシール430の中空424、434に導入されて中空424、434にも充填される。インナーシール420及びアウターシール430の中空424、434に充填された熱伝達流体はインナーシール420とアウターシール430の上部部材421、431と下部部材422、432とを互いに離隔させる方向に押圧してインナーシール420とアウターシール430による気密性を向上させる。
【0061】
静電チャック11は、アウターシール430を基板処理工程中に発生するプラズマなどから保護するシール保護部材550をさらに含む。シール保護部材550はアウターシール430の外側に配置され、環形に形成され、アウターシール430をカバーする。シール保護部材550は、バンド、シール(seal)などの形態を有するように提供されることができる。
【0062】
チャック本体200は、誘電体(dielectric substance)から基板5が置かれる支持上面を有する板状に構成されることができる。チャック本体200は、チャック電極210及びヒーティングエレメント220を含む。
【0063】
チャック電極210はチャック本体200の内部に提供され、チャック電源ライン217を介してチャック電源215と電気的に連結される。チャック電源215は直流電源を含むことができる。チャック電極210とチャック電源215との間にはチャック電源スイッチ216が適用され、チャック電極210とチャック電源215はチャック電源スイッチ216のオン(on)及びオフ(off)作動によって互いに電気的に連結されるか互いに電気的に分離されることができる。チャック電源スイッチ216がオンに作動すれば、基板5とチャック電極210との間には静電気力が発生し、基板5は発生した静電気力によってチャック本体200にチャッキングされることができる。
【0064】
ヒーティングエレメント220であるヒーターはチャック本体200の内部に提供される。ヒーター220はチャック電極210の下方に配置されることができる。ヒーター220はヒーター電源ライン237を介してヒーター電源235と電気的に連結される。ヒーター220はヒーター電源235からの電流に抵抗して熱を発生させるように構成されることができる。ヒーター220は螺旋状コイルを含むことができる。ヒーター220とヒーター電源235との間にはヒーター電源スイッチ236が適用されることができる。ヒーター220とヒーター電源235はヒーター電源スイッチ236のオン及びオフ作動によって互いに電気的に連結されるか互いに電気的に分離されることができる。ヒーター電源スイッチ236がオンに作動すれば、ヒーター220では熱が発生し、発生した熱はチャック本体200を介して基板5に伝達され、基板5は伝達された熱によって基板処理工程に要求される温度に維持されることができる。よって、ヒーター220は基板加熱ユニットを構成する。
【0065】
チャックベース300は金属板を含むことができる。一例によれば、チャックベース300は全体が金属板から構成されることができる。チャックベース300は高周波電源ライン337を介して、電源として高周波電力を発生させる高周波電源335と電気的に連結される。高周波電源335としてはRF電源が提供されることができる。チャックベース300と高周波電源335との間には高周波電源スイッチ336が適用され、チャックベース300と高周波電源335は高周波電源スイッチ336のオン及びオフ作動によって互いに電気的に連結されるか互いに電気的に分離されることができる。高周波電源スイッチ336がオンに作動すれば、チャックベース300は高周波電源335から高周波電力を受ける。よって、チャックベース300は電磁場形成ユニットを構成する下部電極として機能することができる。
【0066】
クーリングエレメント310はチャックベース300の内部に適用され、冷却流体が流れる冷却流路として提供される。冷却流路310は冷却流体供給ライン317を介して冷却流体供給源315と連結される。冷却流体供給源315又は冷却流体供給ライン317には冷却流体を冷却する冷却器が設けられる。冷却流体供給ライン317には開閉バルブ316が設けられることができる。冷却流路310に供給された冷却流体はチャックベース300を冷却し、チャックベース300は冷却流体によって冷却されながらチャック本体200とともに基板5を冷却させ、基板5を工程に要求される温度に維持させることができる。図示されてはいないが、冷却流体は冷却流体回収ラインに沿って冷却流路310から冷却流体供給源315に回収されることができる。
【0067】
チャック本体200にはチャック本体200に置かれた基板5の下面に熱伝達流体を供給する複数の上部供給路201が備えられる。上部供給路201は互いに離隔してチャック本体200を上下方向に貫通する形状を有するように提供される。チャックベース300には複数の下部供給路301が備えられる。下部供給路301はチャックベース300の内部からチャックベースの上面に延びた形状を有するように提供され、上部供給路201に対応する個数及び位置を有するように備えられて上部供給路201と連結される。チャックベース300の内部には下部供給路301を連結する分配流路302が備えられる。上部供給路201と下部供給路301との間のそれぞれには気密性を提供するシーリング部材が介在されることができる。シーリング部材は下部供給路301の上端側に適用されることができる。
【0068】
図3を参照すると、分配流路302は第2熱伝達流体供給ライン326を介して熱伝達流体供給源325と連結される。前述したように、熱伝達流体は不活性気体を含むことができ、不活性気体はヘリウムを含むことができる。チャック本体200上に基板5がチャッキングされるに先立ち、第2圧力制御器329は、熱伝達流体供給源325から熱伝達流体を受けることができ、熱伝達流体を第2ラヒングライン328を介して排気ユニット130に提供して排出することができる。第2ラヒングライン328は第2圧力制御器329と排気ユニット130との間に連結されることができる。チャック本体200に基板5がチャッキングされれば、第2圧力制御器329は熱伝達流体供給源325からの熱伝達流体を第2熱伝達流体供給ライン326を介して分配流路302に供給することができる。熱伝達流体は下部供給路301と上部供給路201を順次経由して基板5の下面に供給される。また、熱伝達流体が第2ラヒングライン328を介して排気ユニット130にも流れることができる。基板5の下面に供給された熱伝達流体はプラズマから基板5に伝達された熱を静電チャック11に伝達する媒介体の役割を果たす。例えば、第2圧力制御器329は基板5の下面に供給される熱伝達流体の圧力を制御することができる。基板5をチャッキング解除するために、第2圧力制御器329は、基板5の下面に供給された熱伝達流体を上部供給路201、下部供給路301、第2熱伝達流体供給ライン326及びダンプライン(dump line)327を介して排気ユニット130に排出することができる。基板5の下面に残存する熱伝達流体はダンプライン327を介して排気ユニット130に排出されるか回収されることができる。
【0069】
一方、分配流路302は、第2熱伝達流体供給ライン326を介して、熱伝達流体供給源325とは違う別途の熱伝達流体供給源325と連結されることもできる。
【0070】
チャック本体200は基板5が載せられる支持上面が基板5に比べて小さなサイズを有するように形成され、チャック本体200によって支持された基板5は縁領域が支持上面の外側に位置することができる。チャック本体200の周囲にはフォーカスリング(focus ring)12が配置されることができる。フォーカスリング12は上面外側部分が上面内側部分より高くなるように段差を有することができる。フォーカスリング12の上面内側部分はチャック本体200の支持上面と同じ高さに位置する。フォーカスリング12の上面内側部分は基板5においてチャック本体200の支持上面を外れた縁領域を支持する。フォーカスリング12の上面外側部分は基板5を取り囲むように提供される。フォーカスリング12は基板5の全領域でプラズマ密度が均一に分布するように電磁場を制御する。よって、基板5の全領域にわたってプラズマを均一に形成して基板5をより均一に食刻することができる。
【0071】
下部カバー13は静電チャック11の下側に配置される。下部カバー13は基板支持アセンブリー10の下端部を構成する。下部カバー13はチャンバー本体110の底から上側に離隔して位置する。下部カバー13は上部の開放した空間が内部に形成される。下部カバー13の底面は金属素材から構成されることができる。
【0072】
絶縁部材14は静電チャック11と下部カバー13との間に配置される。絶縁部材14は下部カバー13の開放上部を覆う。絶縁部材14は絶縁体を含むことができる。絶縁部材14はチャックベース300と下部カバー13を電気的に絶縁させる。
【0073】
連結体15は下部カバー13の外部とチャンバー本体110の壁を連結し、基板支持アセンブリー10をチャンバー本体110の内部で支持し、下部カバー13を接地する。連結体15は複数からなり、下部カバー13の周囲に沿って互いに離隔するように間隔を置いて配置されることができる。
【0074】
連結体15は内部が空いている構造を有するように提供される。熱伝達空間410に連結された第1熱伝達流体供給ライン416及び熱伝達流体回収ライン419、冷却流路310に連結された冷却流体供給ライン317及び冷却流体回収ライン、分配流路302に連結された第2熱伝達流体供給ライン326、チャック電極210に連結されたチャック電源ライン217、ヒーター220に連結されたヒーター電源ライン237、チャックベース300に連結された高周波電源ライン337などは連結体15の中空内部を通して下部カバー13の内部に導入されることができる。また、このように導入されたラインは絶縁部材14を通過した後、インサート510を通して静電チャック11の内部に導入されることができる。このために、インサート510は内部にラインが導入される空洞511が上下方向に設けられた構造を有することができる。
【0075】
シャワーヘッド600はチャンバー本体110の天井側に設けられる。シャワーヘッド600は基板処理空間111の上部領域に静電チャック11と対向するように配置される。シャワーヘッド600は、工程ガス供給ユニット700からの工程ガスを基板処理空間111に吐き出す。シャワーヘッド600は、シャワープレート610及び支持部材620を含む。
【0076】
シャワープレート610はチャンバー本体110の天井から下側に離隔した高さに位置する。シャワープレート610は工程ガスを下側に吐き出す吐出口611を有する。吐出口611は、シャワープレート610を上下方向に貫通する形状に形成され、基板処理空間111に工程ガスを均一に供給することができる個数及び構造を有するように提供されることができる。シャワープレート610は金属素材を含む。シャワープレート610の表面は、プラズマによるアーク発生を防止するために、選択的に又は全体的に陽極化処理されることができる。このようなシャワープレート610は電源として高周波電力を発生させる高周波電源と電気的に連結されるか接地される。よって、シャワープレート610は電磁場形成ユニットを構成する上部電極として機能することができる。
【0077】
支持部材620はチャンバー本体110の天井に装着された状態でシャワープレート610の縁部を支持する。支持部材620はチャンバー本体110の天井とシャワープレート610の上面との間の周囲を遮断するように形成される。支持部材620は非金属素材からなることができる。
【0078】
工程ガス供給ユニット700は基板処理空間111に工程ガスを提供する。工程ガス供給ユニット700は、工程ガス供給源710、工程ガス供給ノズル720、工程ガス供給ライン730及び流量制御バルブ740を含む。工程ガス供給ノズル720はチャンバー本体110の天井にシャワーヘッド600と連結された構造を有するように設けられ、シャワーヘッド600に工程ガスを供給する。工程ガス供給ライン730は工程ガス供給源710と工程ガス供給ノズル720を連結する。流量制御バルブ740は工程ガス供給ライン730に設けられる。工程ガス供給ライン730を介して工程ガス供給ノズル720に提供される工程ガスの流量は流量制御バルブ740によって調節することができる。
【0079】
電磁場形成ユニットはシャワーヘッド600及び工程ガス供給ユニット700とともにプラズマ発生器を構成する。電磁場形成ユニットは、基板処理空間111に互いに平行に上下に配置された上部電極と下部電極を含むことにより、プラズマをCCP(capacitive coupled plasma)方式で発生させるように構成される。上部電極はシャワープレート610として提供されることができ、下部電極はチャックベース300として提供されることができる。これとは違い、電磁場形成ユニットは、プラズマをICP(inductively coupled plasma)方式で発生させるように構成されることができ、このためにアンテナを含むことができる。
【0080】
バッフルユニット800はバッフルを含む。バッフルは基板支持アセンブリー10の周囲に沿って設けられ、チャンバー本体110の壁と静電チャック11の周囲との間に配置されることができる。バッフルには複数の工程ガス通過孔が形成されることができる。基板処理空間111に供給された工程ガスはバッフルの工程ガス通過孔を通過して排気ポート113に排出されることができる。基板処理空間111での工程ガスの流れはバッフル及び工程ガス通過孔の形状などによって制御することができる。
【0081】
一方、本発明の第1実施例による基板処理装置は、チャック本体200とチャックベース300を熱伝達層400に密着した状態に維持させるチャック押圧ユニットをさらに含むことができる。図示されてはいないが、チャック押圧ユニットは、チャック本体200に適用されてチャック本体200の自重を増加させるウェイト(weight)を含むことができる。ウェイトによれば、チャック本体200をチャックベース300に対して押圧して熱伝達層400に対するチャック本体200及びチャックベース300の接触圧力を強化することにより、チャック本体200とチャックベース300を熱伝達層400により緊密に密着させることができる。基板処理工程を遂行するうち、熱伝達空間410の内圧は第1圧力制御器415によって熱伝達流体が漏洩しない水準に維持されることが好ましい。ウェイトを適用すれば、熱伝達層400に対するチャック本体200の押圧力を増加させることができ、これにより熱伝達空間410の内圧をより高圧に維持して熱伝達流体による熱伝達効率を向上させることができる。
【0082】
本発明の第2実施例による基板処理装置の構成を図7及び図8に概略的に示す。図7及び図8に示すように、本発明の第2実施例による基板処理装置は、本発明の第1実施例と比較して見ると、その他の構成及び作用はいずれも同一であるが、チャック押圧ユニット910がシリンダーなどの押圧力発生機構912を用い、熱伝達層400に対するチャック本体200及びチャックベース300の接触圧力を強化してチャック本体200及びチャックベース300を熱伝達層400に密着した状態に維持させるように構成された点のみ違う。これを詳細に説明すれば次のようである。
【0083】
インサート510はチャックベース300及び絶縁部材14を上下方向に順次貫通し、下端部が下部カバー13の内部に位置する。チャック押圧ユニット910は、補助プレート911及び押圧力発生機構912を含む。補助プレート911は下部カバー13の内部にチャックベース300と対向するように配置され、インサート510の下端部に連結される。押圧力発生機構912は、補助プレート911に下方に力を加えてチャック本体200をチャックベース300に対して押圧することができる。
【0084】
一例として、押圧力発生機構912は、補助プレート911とチャックベース300との間に配置された空圧式又は油圧式のシリンダーを含むことができる。シリンダーは、一側が補助プレート911に支持され、他側が絶縁部材14に支持されることができる。シリンダーが伸張すれば、絶縁部材14と補助プレート911には絶縁部材14と補助プレート911が互いに離隔する方向に力が加わる。よって、インサート510を介して補助プレート911と連結されたチャック本体200には下方に力が作用し、チャックベース300には上方に力が作用し、チャック本体200とチャックベース300はその間の熱伝達層400を押圧することができる(図8参照)。もちろん、シリンダーが収縮すれば、熱伝達層400に対するチャック本体200及びチャックベース300の押圧が解除される(図7参照)。
【0085】
他の例として、補助プレート911とチャックベース300との間に、シリンダーの代わりに、スプリングなどの弾性部材が圧縮状態で介在されることもでき、モーターによって伸縮するボールスクリューを含む機構が適用されることもできる。絶縁部材14が除かれた場合には、押圧力発生機構912がチャックベース300の下面に支持されることができる。下部カバー13が除かれた場合には、押圧力発生機構912がチャンバー本体110の底と静電チャック11との間に提供されることができる。
【0086】
インサート510は補助プレート911に分離可能に結合されることができる。よって、インサート510を補助プレート911から分離し、チャック本体200を持ち上げれば、チャック本体200はチャックベース300から分離されることができる。
【0087】
本発明の第3実施例による基板処理装置の構成を図9及び図10に概略的に示す。図9及び図10に示すように、本発明の第3実施例による基板処理装置は、本発明の第1実施例又は第2実施例と比較して見ると、その他の構成及び作用はいずれも同一であるが、チャック押圧ユニットの代わりにチャック昇降ユニット950を適用した点のみ違う。これを詳細に説明すれば次のようである。
【0088】
インサート510はチャックベース300及び絶縁部材14を上下方向に順次貫通し、下端部が下部カバー13の内部に位置する。チャック昇降ユニット950は下部カバー13の内部に設けられ、インサート510の下端部に連結される。チャック昇降ユニット950は、空圧又は油圧を用いるシリンダーを含むこともでき、モーターの回転運動を直線運動に変換してインサート510に伝達する動力伝達機構を含むこともできる。
【0089】
チャック本体200がチャック昇降ユニット950によって上昇すれば、チャック本体200はチャックベース300から上側に離隔する(図9参照)。チャック本体200が上昇するに先立ち、熱伝達層400への熱伝達流体の供給が遮断され、熱伝達層400から熱伝達流体が回収されることができる。チャック本体200がチャックベース300から離隔すれば、チャック本体200を冷却した後、チャック本体200内のヒーターで加熱するとき、チャック本体200をより迅速に加熱することができる。
【0090】
チャック本体200がチャック昇降ユニット950によって下降すれば、チャック本体200はチャックベース300上に載せられ、チャック本体200とチャックベース300との間のギャップには熱伝達層400を構成する熱伝達空間が提供される。チャック昇降ユニット950は、チャック本体200を下降させたとき、チャック本体200が熱伝達層400に密着するように位置させることができる(図10参照)。
【0091】
一方、チャック昇降ユニット950はインサート510と分離可能に結合されることができる。
【0092】
図11は本発明の第1~第3実施例による基板処理装置のいずれか一つによって遂行される基板処理方法を例示するフローチャートである。図11図1図10を参照して説明する。
【0093】
S110段階で、第1圧力制御器415は、熱伝達流体供給源325からの熱伝達流体をチャック本体200とチャックベース300との間に設けられた熱伝達層400の熱伝達空間410に供給することができる。第1圧力制御器415は、熱伝達空間410に供給された熱伝達流体の圧力を制御することができる。第2圧力制御器329は、熱伝達流体供給源325からの熱伝達流体をチャック本体200上にローディングされた基板5の下面(すなわち、基板5とチャック本体200との間)に供給せずに第2ラヒングライン328を介して排出することができる。S110段階はアイドル(idle)段階ともいうことができる。
【0094】
S120段階で、まず、基板5を静電気力でチャック本体200上にチャッキングすることができる。その後、第2圧力制御器329は、熱伝達流体を基板5の下面に供給することができ、チャック本体200と基板5との間の空間の熱伝達流体の圧力を制御することができる。第2圧力制御器329がチャック本体200と基板5との間の空間の熱伝達流体の圧力を制御するうち、第1圧力制御器415は、S110段階と同様に、熱伝達空間410に熱伝達流体をずっと供給し、熱伝達空間410の熱伝達流体の圧力を制御することができる。S120段階はチャッキング段階ともいうことができる。
【0095】
S130段階で、基板5に対する工程を遂行することができる。S130段階でも、第2圧力制御器329は熱伝達流体を基板5の下面に供給することができ、チャック本体200と基板5との間の間隙の熱伝達流体の圧力を制御することができる。S130段階でも、第1圧力制御器415は熱伝達空間410に熱伝達流体を供給し、熱伝達空間410の熱伝達流体の圧力を制御することができる。S130段階は基板処理工程の遂行段階ともいうことができる。
【0096】
S140段階で、基板5のチャッキング解除(dechucking)のために、第2圧力制御器329はチャック本体200と基板5との間の空間の熱伝達流体をダンプするか排出することができる。基板5がチャッキング解除されるうちにも、第1圧力制御器415は熱伝達空間410に熱伝達流体を供給し、熱伝達空間410の熱伝達流体の圧力を制御することができる。S140段階はチャッキング解除段階ともいうことができる。
【0097】
以上で本発明を説明したが、本発明は開示の実施例及び添付の図面に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内で通常の技術者によって多様に変形可能である。また、本発明の実施例で説明した技術的思想はそれぞれ独立的に実施されることもでき、二つ以上が互いに組み合わせられて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0098】
5 基板
10 基板支持アセンブリー
11 静電チャック
12 フォーカスリング
13 下部カバー
14 絶縁部材
15 連結体
100 工程チャンバー
200 チャック本体
300 チャックベース
400 熱伝達層
410 熱伝達空間
420 インナーシール
430 アウターシール
510 インサート
550 シール保護部材
600 シャワーヘッド
700 工程ガス供給ユニット
910 チャック押圧ユニット
950 チャック昇降ユニット
図1
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