(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】カスコード複合スイッチスルーレート制御
(51)【国際特許分類】
H03K 17/16 20060101AFI20230113BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
H03K17/16 H
H03K17/687 A
(21)【出願番号】P 2021522408
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019085448
(87)【国際公開番号】W WO2020127117
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-07-02
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519383544
【氏名又は名称】アナログ・ディヴァイシス・インターナショナル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘゼキエル・ダクジュング・ランドルフ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジョージ・ネグレテ
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-008227(JP,A)
【文献】米国特許第07348826(US,B1)
【文献】特表2002-526929(JP,A)
【文献】国際公開第2018/096263(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0094218(US,A1)
【文献】特開2017-118630(JP,A)
【文献】特開2014-003110(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0091852(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0078694(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/16
H03K 17/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルーレート制御を提供する切り替え回路機構であって、
スルーレート制御式カスコード複合スイッチであって、
ドレイン端子、ソース端子、およびゲート端子を含むノーマリオフ低電圧トランジスタ(LVT)、および
前記複合スイッチを形成するように、前記LVTと直列にドレイン端子、ソース端子、およびゲート端子を含むノーマリオンカスコード高電圧トランジスタ(HVT)を備える、スルーレート制御式カスコード複合スイッチと、
入力信号を受信するように結合された入力端子と、前記LVTの前記ゲート端子に結合された出力端子とを含む、第1のゲートドライバ回路と、
ゲートドライバ出力と前記HVTの前記ゲートとの間に結合されて、前記複合スイッチのターンオンまたはターンオフのうちの少なくとも1つの間に、
前記HVTのドレイン―ゲート間容量を駆動し、前記複合スイッチにわたる切り替え信号のスルーレートを前記第1のゲートドライバ回路の駆動電流特性に制限させる、結合回路機構と、を備
え、
前記結合回路機構は、前記LVTと前記HVTとのそれぞれのゲート間に制御式電気伝導結合路を設けるように、前記HVTの前記ゲートに結合された第1の伝導端子と、前記LVTの前記ゲートに結合された第2の伝導端子とを含む、結合トランジスタを含む、切り替え回路機構。
【請求項2】
前記結合回路機構が、前記LVTをオンにバイアスをかける前記ゲートドライバ出力における信号に応答して、前記HVTのゲート-ソース伝導を阻止するためのオフセット電圧を与えるように、前記HVTの前記ゲートに結合されたオフセット電圧回路を含む、請求項1に記載の切り替え回路機構。
【請求項3】
前記結合回路機構が、前記オフセット電圧を与える少なくとも1つのp-n半導体接合を含む、請求項2に記載の切り替え回路機構。
【請求項4】
前記結合回路機構が、前記オフセット電圧を与える少なくとも1つまたは一連のダイオードを含む、請求項2または3に記載の切り替え回路機構。
【請求項5】
前記結合回路機構が、それぞれ前記HVTの前記ゲートに結合された逆並列の第1および第2のダイオードを備える、請求項1
~4のいずれかに記載の切り替え回路機構。
【請求項6】
前記HVTがJFETであり、前記LVTがMOSFETである、請求項1
~5のいずれか一項に記載の切り替え回路機構。
【請求項7】
前記結合回路機構が、前記ゲートドライバ出力に結合された異なる第1および第2の電流路を含み、そのうちの1つのみが、前記複合スイッチのターンオン移行またはターンオフ移行のうちの1つの間に有効になり前記HVTの前記ゲートに電荷を与える、請求項
1~6のいずれかに記載の切り替え回路機構。
【請求項8】
前記結合回路機構が、
前記HVTの前記ゲートを前記ゲートドライバ出力に結合するための少なくとも1つのトランジスタまたは少なくとも1つのダイオードのうちの少なくとも1つを含む、請求項1
~7のいずれかに記載の切り替え回路機構。
【請求項9】
前記結合回路機構が、前記ゲートドライバ出力と前記HVTの前記ゲートとの間の結合トランジスタを含み、前記HVTの前記ゲートに結合された第2のゲートドライバを含む、請求項1
~8のいずれかに記載の切り替え回路機構。
【請求項10】
より低い電圧トランジスタ(LVT)と直列のより高い電圧トランジスタ(HVT)を含むカスコード複合スイッチによって分けられた第1のノードと第2のノードとの間の電気伝導を制御するように切り替える方法であって、
前記LVTのゲートを駆動する第1のゲートドライバ回路を使用することと、
トランジスタまたはダイオードのうちの少なくとも1つを使用して、前記HVTと前記LVTとのゲート間に制御式結合を提供する、前記第1および第2のノードのうちの1つの切り替えスルーレートを制限することと、
少なくとも1つの結合トランジスタを使用して、前記複合スイッチの切り替え移行中に前記LVTの前記ゲートを前記HVTの前記ゲートに選択的に結合し、そうでなければ前記LVTの前記ゲートを前記HVTの前記ゲートから隔離することとを含む、方法。
【請求項11】
前記切り替えスルーレートを制限することが、前記ゲートドライバ回路によって制限された電流によって前記HVTのゲート-ドレイン静電容量を充電するまたは放電することを含む、請求
項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複合スイッチのターンオン切り替え移行またはターンオフ切り替え移行のうちの1つのみの間に、前記第1および第2のノードのうちの1つの前記切り替えスルーレートを制限することを含む、請求
項10また
は11に記載の方法。
【請求項13】
前記複合スイッチのターンオン移行およびターンオフ移行に対して前記第1および第2のノードのうちの1つの前記切り替えスルーレートを非対称に制限することを含む、請求
項10、11また
は12に記載の方法。
【請求項14】
前記LVTにオンにバイアスをかけるゲートドライバ信号に応答して、前記HVTのゲート-ソース伝導を制限または阻止するように、前記LVTと前記HVTとのゲート間にオフセット電圧を与えることを含む、請求
項10~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
より低い電圧トランジスタ(LVT)と直列により高い電圧トランジスタ(HVT)を含むカスコード複合スイッチによって分けられた第1のノードと第2のノードとの間のスルーレート制限式切り替え方法であって、
第1のゲートドライバ回路を使用して、前記LVTのゲートを駆動することと、
結合トランジスタを使用して、前記複合スイッチの切り替え移行中に前記LVTの前記ゲートを前記HVTの前記ゲートに選択的に結合し、そうでなければ前記LVTの前記ゲートを前記HVTの前記ゲートから隔離することと、を含む、方法。
【請求項16】
第2のゲートドライバ回路を使用して、前記HVTのゲートを駆動することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記結合が、前記第1のゲートドライバ回路によって与えられ、かつ制限される電流を使用して、前記HVTのゲート-ドレイン静電容量を充電または放電する、請求
項15また
は16に記載の方法。
【請求項18】
前記HVTの指定のオフセット電圧またはゲート電流の一部が、前記選択的結合中に前記LVTのゲートに結合される、請求
項15、16、また
は17に記載の方法。
【請求項19】
前記HVTの前記ゲートを前記駆動することが、前記HVTの前記ゲートを、前記HVTのソース電圧よりも正である電圧にすることを含む、請求項
15~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記HVTが、SiC、GaN、または他のワイドバンドギャップトランジスタを含む、請求
項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
切り替え回路機構であって、
カスコード複合スイッチであって、
ドレイン端子、ソース端子、およびゲート端子を含むノーマリオフ低電圧トランジスタ(LVT)と、
前記複合スイッチを形成するように前記LVTと直列に、ドレイン端子、ソース端子、およびゲート端子を含むノーマリオンカスコード高電圧トランジスタ(HVT)と、
第1の入力信号を受信するように結合された入力端子と、前記LVTの前記ゲート端子に結合された出力端子とを含む、第1のゲートドライバ回路と、
第2の入力信号を受信するように結合された入力端子と、前記複合スイッチのオン状態中に前記HVTの前記ゲートを前記HVTのソースよりも正の電圧にすることを可能にするように前記HVTの前記ゲートに結合された出力端子とを含む、第2のゲートドライバ回路と、
前記LVTと前記HVTとのそれぞれのゲート間に制御式電気伝導結合路を設けるように、前記HVTの前記ゲートに結合された第1の伝導端子と、前記LVTの前記ゲートに結合された第2の伝導端子とを含む、結合トランジスタを備える、切り替え回路機構。
【請求項22】
前記HVTの前記ゲートと前記LVTの前記ゲートとの間に結合されて、前記複合スイッチの前記切り替えオン移行中または切り替えオフ移行中に、それら間に所望の結合を提供する、結合回路機構をさらに備える、請求
項21に記載の切り替え回路機構。
【請求項23】
より低い電圧トランジスタ(LVT)と直列のより高い電圧トランジスタ(HVT)を含む、カスコード複合スイッチによって分けられた第1のノードと第2のノードとを切り替える方法であって、
第1のゲートドライバ回路を使用して、前記LVTのゲートを駆動することと、
第2のゲートドライバ回路を使用して、前記複合スイッチのオン状態の間に、前記HVTの前記ゲートを前記HVTのソースよりも正の電圧にすることと、
少なくとも1つの結合トランジスタを使用して、前記LVTと前記HVTとのそれぞれのゲート間に制御式電気伝導結合路を設けることであって、前記結合トランジスタは、前記HVTの前記ゲートに結合された第1の伝導端子と、前記LVTの前記ゲートに結合された第2の伝導端子を備えることと、を含む、方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの結合トランジスタを使用して、前記複合スイッチの切り替え移行中に前記LVTの前記ゲートを前記HVTの前記ゲートに選択的に結合し、そうでなければ前記LVTの前記ゲートを前記HVTの前記ゲートから隔離することを含む、請求
項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月17日に出願された米国特許出願第16/222,700号に対する優先権を主張する。
【0002】
本明細書は、概して、ただし限定としてではなく、電子回路に関係し、より具体的には、ただし限定としてではなく、電磁両立性(EMC)を必要とする高電圧(HV)切り替え用途用を含む、スルーレート制御を含み得るような、カスコード複合スイッチ動作のためのデバイス、回路機構、および方法に関係する。
【背景技術】
【0003】
電界効果トランジスタ(FET)または他のトランジスタは、その伝導端子にわたって印加された電圧にも関わらず、電流がほとんどトランジスタデバイスを流れていない「オフ」状態と、このようなトランジスタの伝導端子にわたって電圧が、このようなトランジスタの伝導端子間でトランジスタを流れる電流にも関わらず、極小さいことが望まれ得る「オン」状態とを非常に素早く移行することが可能であり得るスイッチとして使用され得る。トランジスタを動作させるこのようなスイッチ挙動は、FETのゲート端子などのトランジスタの制御端子に印加される適正電圧を選択することによって制御され得る一方、FETのドレイン端子およびソース端子などのFETの伝導端子は、理想的な導電性「オン」状態および非導電性「オフ」状態を提供する、切り替え動作を行うのを担っている。
【0004】
トランジスタは、例えば、切り替えモード電力変換器を使用した電力変換の目的で、または電動モータ制御の目的などで、「オン」状態と「オフ」状態とを素早く切り替え得るスイッチとして使用され得る。特定の高電力送達用途では、トランジスタの伝導端子(例えば、FETドレイン端子およびFETソース端子)にわたって印加されている大きな電圧、および伝導端子にわたって電圧降下がほとんどない「オン」状態における大きな電流、にも関わらず、「オフ」状態で極小さな電流を伝導することができるはずである高電圧スイッチを使用する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
この目的のために、1つの手法としては、大きな「オフ」状態電圧および大きな「オン」状態電流の目標を達成するように設計されたノーマリ「オン」高電圧トランジスタ(HVT)と、HVTをその「オン」状態と「オフ」状態に変換するように設計された、ノーマリ「オフ」低電圧トランジスタ(LVT)との直列の2つのスイッチから成る、カスコード複合スイッチを作り出すことである。これらの2つのトランジスタは、様々な材料から構築され得、HVTは、窒化ガリウム(GaN)または炭化ケイ素(SiC)などのワイドバンドギャップ(WBG)半導体から構築され、LVTは、ケイ素(SiC)などの低価格材料から構築される。
【0006】
残念ながら、このようなカスコード複合スイッチは、「オン」状態と「オフ」状態との切り替えの間、過度に素早い移行に悩まされることが多い。高スルーレートとしても知られるこれらの素早い移行は、望まぬ電磁干渉(EMI)を引き起こす可能性があり、またはモータ駆動の場合、モータ巻線に使用される導電線間の絶縁に損傷を与える可能性がある。
【0007】
本発明者らは、数ある中でも、問題が多くの切り替え用途に、特に、例えば、電力変換の目的などで、1つ以上のトランジスタを非常に素早く切り替えることが望ましい場合がある高電圧切り替え用途に存在することを認識している。例えば、高電力送達では、FETのドレイン端子およびソース端子などのこれらのスイッチ伝導端子にわたって印加されている大きな電圧にも関わらず、「オフ」状態におけるスイッチ伝導端子間にゼロ電流を伝導することができる高電圧トランジスタスイッチを使用する必要があり得る。 残念ながら、本発明者らが認識しているように、スイッチを素早く切り替えすぎると、回路から電磁エネルギーを放射させる可能性があり、これは、電磁干渉(EMI)を引き起こす可能性があり、ひいては、それが、場合によっては、電磁放出に対する政府規制に背く可能性がある。具体的には、「オフ」状態と「オン」状態とで移行すると、切り替えデバイスの伝導端子(例えば、ドレインおよびソース)にわたって変化する電圧(Vds)により、寄生回路静電容量全体にわたって変位電流が生じる可能性がある。次に、このような変位電流は、縮小版のアンテナと同様の回路の物理的構造によってEMIに変換される。この変位電流の大きさは、
【0008】
切り替えノードの時間に対する電圧の変化の比率(dV/dtまたは「スルーレート」)に比例する。したがって、本発明者らが認識しているように、ある特定の用途では、切り替え中にこの変位電流を低減するようにdV/dtを制御することが対象となる場合があり、これが今度はEMIを低減するのに役立ち得る。電動モータ制御などの他の用途では、dV/dtを制御するかまたは切り替えのスルーレートを制限することは、モータ巻線間の絶縁を保護するのに役立ち得る。
【0009】
切り替えへの取り組みでは、ドライバ回路を使用してMOSFETのゲート制御端子を駆動するなど、強化モード(例えば、印加正制御電圧のないノーマリ「オフ」)金属酸化膜半導体FET(MOSFET)もしくは他のFETまたは他のトランジスタスイッチが使用され得る。(注記:本明細書では、MOSFETに「金属」ゲートがなくてもよいことを認識し、例えば、ポリシリコンまたは他のこのようなゲートが、当業であれば理解しているように、MOSFETという用語に含まれることが意図されており、同様に、MOSFETに、ゲートに隣接する「酸化物」絶縁体がなくてもよく、例えば、窒化ケイ素または他のゲート絶縁体が、当業者であれば理解しているように、MOSFETという用語に含まれることが意図されている)。インバータ回路または他のゲートドライバ回路でMOSFETを駆動する際、このようなFETのドレイン端子におけるある程度のdV/dt制御が、FETのドレイン対ゲート静電容量(Cdg)によって自然に得られ得る。このドレイン対ゲート静電容量Cdgは、固有の「ミラー」静電容量として概念化され得、以下でより詳細に説明する通り、FETを「オフ」から「オン」または「オン」から「オフ」に切り替える間など、FETのドレイン端子におけるドレイン電圧が変化すると、FETのゲートに変位電流を引き起こす。ゲートドライバ回路は、FETのミラー静電容量Cdgのこの充電または放電に適合するように供給することができる電流量を制限するように「電流制限式」であるように設計され得、これは、ある程度のスルーレート(dV/dt)制御を提供することができ、今度はそれが、EMIを許容可能なレベルに制限することに役立ち得る。
【0010】
しかしながら、本発明者らが認識しているように、切り替えトランジスタと直列に別のトランジスタ(「カスコード」トランジスタ)を追加して、代わりに単一のトランジスタが切り替えに使用された場合よりも、複合スイッチが「オフ」であるときにより大きなドレイン電圧に耐える(「スタンドオフする」)ことができる「複合スイッチ」を形成することが望ましい場合があり、このような2トランジスタ複合スイッチには、切り替え低電圧トランジスタ(LVT)およびカスコード高電圧トランジスタ(HVT)が含まれ得る。例えば、電動自動車モータ制御を含む、多くのこのような高電圧(HV)切り替用途がある。ただし、本発明者らが認識しているように、複合スイッチにカスコードトランジスタを含めることは、HVTのミラー静電容量Cdgを、複合スイッチの切り替えトランジスタを駆動するゲートドライバ回路によって与えられるドライバ電流から隔離し、そのため、本技法の非存在下では、複合スイッチのスルーレート(dV/dt)がうまく制御されないことがあり、所望されるよりも多い電磁エネルギーを放出してしまうことがあり、政府規制または特定の用途の要件の面からは許容できない場合があるEMI問題を引き起こし得る。
【0011】
これらおよび他の問題に対処することに役立つように、本発明者らは、複合スイッチに、EMI低減のために切り替え中に電磁エネルギー放射を制限し、電気モータ用途においてモータ巻線を保護するのに役立てるなど、複合スイッチのより良いスルーレート(dV/dt)制御を提供することに役立つ追加の回路機構が提供され得ることを認識している。追加のスルーレート制御回路機構は、本明細書でさらに説明する通り、複合スイッチの「オン」から「オフ」への移行、または「オフ」から「オン」への移行のうちの一方のみに対して、または両方の移行に対してスルーレート制御を提供するように構成され得る。スルーレート制御回路機構は、ダイオードまたはトランジスタ結合を含み得、複合スイッチを形成するカスコードおよび切り替えトランジスタデバイスの独立した制御を含み得る。スルーレート制御回路機構は、複合スイッチが「オフ」であるときに高スタンドオフ電圧を与える特定のHV用途で有用であり得るような、複合スイッチ(または他のワイドバンドギャップ半導体カスコードスイッチ)の空乏モード(例えば、ノーマリ「オン」)接合型電界効果トランジスタ(JFET)もしくは他のFETまたは他のカスコードトランジスタを制御するように構成され得る。
【0012】
さらに、本発明者らは、複合スイッチが「オン」状態であるときに「ノーマリオン」HVTに制御可能に順方向バイアスをかけることによって、効率およびオン状態抵抗を改善することができることも認識している。具体的には、HVTのゲートを「オン」状態で正にすることにより、その抵抗が低減され、その飽和電流が増加する。HVTが接合型電界効果トランジスタ(JFET)である場合、このようなオン状態では、JFETのゲートソース接合電圧またはゲート電流を監視することなどによって、JFETの温度が監視され得る。このような温度情報は、制御、効率最適化、故障監視、または他の目的に使用され得る。
【0013】
この概要は、本特許出願の発明の主題の概要を提供することを意図している。本発明の排他的または網羅的な説明を提供することを意図するものではない。発明を実施するための形態は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
必ずしも縮尺通りではない図面では、様々な図において同様の数字が同様の構成要素を記述し得る。同様の数字に付いている異なる文字接尾辞は、同様の構成要素の異なる例を表している場合がある。図面は、概して、例として、ただし限定としてではなく、本明細書に述べられている様々な実施形態を示す。
【
図1A】複合スイッチとは対照的な、単トランジスタ手法の切り替えの例を示す。
【
図1B】複合スイッチとは対照的な、別の単トランジスタ手法の切り替えの例を示す。
【
図2】高電圧トランジスタ(HVT)と直列の低電圧トランジスタ(LVT)を含み得るような、複合スイッチを含み得る切り替え手法の例を示す。
【
図3A】HVTの制御端子がLVTの制御端子に電気接続されている複合スイッチを含み得るような、切り替え手法の例を示す。
【
図3B】
図3Aに示すものと同様であるが、HVTとLVTとの制御端子間の電圧差を許容しながら、ゲートドライバにHVTの制御端子を結合する、切り替え手法の例を示す。
【
図4A】一方または両方の切り替え移行の独立したまたは非対称のスルーレート制御を提供するためなどに、複合スイッチを使用することができる様々な切り替え手法の代表的な例を示す。
【
図4B】一方または両方の切り替え移行の独立したまたは非対称のスルーレート制御を提供するためなどに、複合スイッチを使用することができる様々な切り替え手法の代表的な例を示す。
【
図4C】一方または両方の切り替え移行の独立したまたは非対称のスルーレート制御を提供するためなどに、複合スイッチを使用することができる様々な切り替え手法の代表的な例を示す。
【
図5】結合回路機構が、
図4A、
図4B、または
図4Cの例に示すダイオードのうちの1つ以上に加えてまたはその代替として、1つ以上のトランジスタを含み得る、切り替え手法の例を示す。
【
図6】結合回路機構が、様々な、別々の、または独立した制御電圧レベルが、結合トランジスタに使用可能であるか、またはHVTに供給可能であるか、またはその両方である、所望される場合、切り替え移行中のみなど、複合スイッチのLVTとHVTとの制御端子間に所望の程度の結合を提供し得るような結合トランジスタを含み得る、切り替え手法の例を示す。
【
図7】本スルーレート制御技法の図解例による動作方法の態様の例を示す。
【
図8】本スルーレート制御技法の図解例による動作方法の態様の例を示す。
【
図9A】
図9A(V
GS=0V)および
図9B(V
GS>0V、ゲート-ソース接合ダイオード順方向バイアス)は、その動作のオーム領域におけるJFETに対するゲートドライブ電圧の影響を示すJFETの概念化断面図を示す。
【
図9B】
図9A(V
GS=0V)および
図9B(V
GS>0V、ゲート-ソース接合ダイオード順方向バイアス)は、その動作のオーム領域におけるJFETに対するゲートドライブ電圧の影響を示すJFETの概念化断面図を示す。
【
図10A】
図10A(V
GS=0V)および
図10B(V
GS>0V、ゲートソース接合ダイオード順方向バイアス)は、その動作の飽和領域におけるJFETに対するゲートドライブ電圧の影響を示すJFETの概念化断面図を示す。
【
図10B】
図10A(V
GS=0V)および
図10B(V
GS>0V、ゲートソース接合ダイオード順方向バイアス)は、その動作の飽和領域におけるJFETに対するゲートドライブ電圧の影響を示すJFETの概念化断面図を示す。
【
図11】破曲線がJFETのゲート-ソース接合ダイオードに順方向バイアスをかけた値におけるV
GS=0を示し、実曲線がその値におけるV
GS>0を示す、ゲート-ソース電圧V
GSの異なる値ごとの概念化I
DS対V
DS特性曲線を示すグラフである。
【
図12A】JFETのゲート-ソース間PN接合の概念化エネルギー帯域図を示す(V
GS=0Vの場合)。
【
図12B】JFETのゲート-ソース間PN接合の概念化エネルギー帯域図を示す(V
GS>0Vの場合)。
【
図13】カスコード複合スイッチが「オン」状態である場合にJFETのゲート-ソース接合ダイオードに順方向バイアスをかけるように複合スイッチにバイアスがかけられ得る電流制御例を示す回路概略図である。
【
図14】
図13の電流制御例に使用され得るような電流制限式HVTドライバ回路機構の例を示す。
【
図15】
図13に示されているものと同様であるが、JFETのゲート電圧の固定または適合バイアス電圧制御を使用している回路概略図である。
【
図16A】閉ループフィードバックサーボ制御を必要とすることなく、固定電圧V
JDDを合成する技法の例を概念的に示す。
【
図16B】閉ループフィードバックサーボ制御を必要とすることなく、固定電圧V
JDDを合成する技法の例を概念的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、数ある中でも、高電圧(HV)複合スイッチには、望ましくないEMIを引き起こす可能性のある切り替え中の電磁エネルギー放射を制限するためなどに、複合スイッチのより良いスルーレート(dV/dt)制御を提供することに役立つ追加の回路機構が提供され得る、ことを認識している。追加のスルーレート制御回路機構は、以下でさらに説明するように、複合スイッチの「オン」から「オフ」への移行もしくは「オフ」から「オン」への移行のうちの一方のみに、またはその両方にスルーレート制御を提供するように構成され得る。スルーレート制御回路機構は、ダイオードまたはトランジスタ結合を含み得、複合スイッチを形成するカスコードおよび切り替えトランジスタデバイスの独立した制御を含み得る。スルーレート制御回路機構は、複合スイッチが「オフ」である場合に、高スタンドオフ電圧を与えるある特定のHV用途で有用であり得るような、複合スイッチ(または他のワイドバンドギャップ半導体カスコードスイッチ)の空乏モード(すなわち、ノーマリ「オン」)接合型電界効果トランジスタ(JFET)もしくは他のFETまたは他のカスコードトランジスタを制御するように構成され得る。
【0016】
さらに、複合スイッチが「オン」状態である場合、「ノーマリオン」JFETに制御可能に順方向バイアスをかけることによって、効率およびオン状態抵抗を改善することができる。このようなオン状態では、JFETのゲート-ソース接合電圧またはゲート電流を監視することなどによって、JFET温度が監視され得る。このような温度情報は、制御または他の目的に使用され得る。
【0017】
カスコード複合スイッチスルーレートの制御
図1Aは、比較のために、複合スイッチとは対照的な、単トランジスタ手法100の切り替えの例を示す。
図1Aでは、FET102を切り替える強化モード(ノーマリ「オフ」)は、制御またはゲート端子を含み得、第1および第2の伝導端子を含み得る。スイッチ伝導端子には、
図1Aに示すものなど、切り替えられるノード106に接続され得るドレイン端子と、接地または他の基準ノードに接続され得るソース端子と、が含まれ得る。切り替えFET102は、ドライバ回路104によって駆動されるそのゲート端子Gを有し得る。ドライバ回路104には、例えば、インバータ回路、非反転バッファ回路などが含まれ得る。切り替えトランジスタのゲート-ドレイン静電容量Cdgが
図1Aに明確に示されているが、Cdgは、別個のコンデンサである必要はないが、代わりに、切り替えFET102自体の固有のゲート-ドレイン静電容量であり得る。
【0018】
図1Aの例では、FET102を切り替える場合、切り替えられるノード106のdV/dtスルーレート制御が自然に得られ得る。FET102のC
dgにより、ノード106にあるFET102のドレインにおける電圧が、FET102のソースにおける安定した接地または他の基準電圧に対して変わると、FET102のゲートに変位電流が生じる。切り替え中のこの変位電流は、ゲートドライバ回路104によって提供される。ゲートドライバ回路104は、ドライバ回路104の出力に、また切り替えFET102のゲート端子に、結合されているプルアップFETもしくはプルダウンFETまたはその両方の特定のプロセス相互コンダクタンスに相応の幅/長さサイズ決めを選択することによって確立され得るような、うまく制御され、限られた電流駆動能力を備えるように、「電流制限式」であるように構成され得る。ゲートドライバ回路104が電流制限式である場合、切り替えFET102のノード106におけるドレインのdV/dtスルーレートは、「ミラーフィードバック」現象のために、以下のように電流によって直接制御され得る。
dV/dt=I
gate/C
dg 式1
【0019】
図1Bは、複合スイッチとは対照的な、別の単トランジスタ手法150の切り替えの例を示す。
図1Bの例では、電流を制御するように、ドライバ104とFET102のゲートGとの間に抵抗が加えられ得る。
図1Bの例では、ドライバ104のソーシング電流は、ドライバ104の出力とFET102のゲートGとの間に置かれた抵抗R
onによって制限される。R
onとR
offとの並列組み合わせによってドライバ104のシンキング電流が制限される。
図1Bの例では、ダイオードD
offは、R
offと直列しており、このR
offとD
offとの直列組み合わせは、抵抗R
onと並列に配置されている。ダイオードD
offは、高から低に102のゲートGを切り替える一環で、FET102のゲートGが低から高に切り替えられるとダイオードD
offがオフになることから、R
onのみによって制限されるドライバ104の電流ソーシングよりも低い抵抗(R
offと並列のR
on)によってドライバ104の電流シンキングが制限され得るような、R
offを通る並列路を提供する。このように、
図1Bの例では、ゲートドライバ回路104の電流、したがってノード106のdV/dtは、切り替えFET102のドレインとゲートとの間のC
dgミラーフィードバックに起因して起こる、切り替えFET102の抵抗R
onおよびR
offならびに「ミラープラトー」によって制御され得る。
図1Bの例では、ノード106の正dV/dtとノード106の負dV/dtとは、上の説明の通り、R
onによって、またR
onとR
offとの並列組み合わせによって確立されたソーシング電流とシンキング電流との異なる値に起因して、同じ値である必要はない。
【0020】
図2は、複合スイッチ201を含み得る切り替え手法200の例を示す。複合スイッチは、カスコード空乏モード(ノーマリ「オン」)JFET203または他のカスコードトランジスタ(例えば、MOSFET、HEMT、または他の電界効果もしくは他のトランジスタなど)など、カスコード高電圧トランジスタ(HVT)と直列の切り替えFET202または他のトランジスタ(例えば、バイポーラ、電界効果など)などの強化モード(ノーマリ「オフ」)低電圧トランジスタ(LVT)を含み得る。空乏モードJFET203または他の型の空乏モードHVTは、複合スイッチのスタンドオフ電圧を改善することに役立ち得、すなわち、複合スイッチが202、203によって形成されている場合に、切り替えノード206と、切り替えFET202のソースが結合されている接地または基準ノードとの間の電圧量が「オフ」状態である。空乏モードカスコードJFET203は、切り替えFET202とは異なる型の半導体を使用して製造され得る。例えば、空乏モードカスコードJFET204は、空乏モードカスコードJFET203にわたる、ひいては、複合スイッチ201にわたるスタンドオフ電圧を改善することに役立つワイドバンドギャップ半導体材料を含み得る。JFET203のこのようなワイドバンドギャップ半導体材料には、例えば、GaNまたはSiCなど、化合物半導体が含まれ得る。ワイドバンドギャップ半導体JFETは、空乏モードデバイスとして容易に使用可能であり、本明細書では、JFETに重点が置かれているが、他の型のトランジスタを使用することもできる。
【0021】
図2の例に示すように、高電圧ノーマリオンJFET203または他の高電圧FET(HVT)もしくは他のHVTと直列の低電圧強化モード(ノーマリ「オフ」)切り替えFET202(LVT)を使用するような、複合トランジスタスイッチ(「複合スイッチ」)201を構築することが望ましい場合がある。JFET203は、そのオフ状態で大きな電圧に耐えることができるが、それがノーマリオン(例えば、負ゲート-ソース電圧がオフになることが必要となる)であるため、ノーマリオフ強化モードMOSFET切り替えFET202が、JFET203のソースと直列に含まれている。
【0022】
FET202がそのゲートGにゼロボルトをセットすることによってオフになる場合、これにより、JFET203が負ゲート-ソース電圧を受けることから、ノード208にあるFET202のドレインは、JFET203がオフになるのに必要な(正)電圧まで変わる。
【0023】
上の説明の通り、FET202とJFET203とのこの直列カスコード配置には、これらのデバイスのそれぞれに異なる半導体材料が使用されるのを可能にするという利点があり、それぞれがその特定の使用に合わせて選択または構成され得る。しかしながら、JFET203のドレイン-ゲート間電荷は、ゲートドライバ回路104の出力に接続されているFET202のゲートGにフィードバックするのではなく、FET202のソース端子にある複合トランジスタ201のソースに直接分路される(
図2に示す通り、FET202のソースへのJFET203のゲートの接続を介して)。このように、
図2の例では、JFET203が、ノード208にあるFET202のドレインにおけるそのドレイン電圧からFET202のゲートGを遮蔽していると言える。したがって、
図2に示すFET202(ひいては、複合トランジスタ201)は、その切り替えノード206からゲートノードGへのミラーフィードバックを経ることはない。これにより、切り替えノード206に制御が不十分な大きいdV/dtが生じる可能性があり、ドライバ回路104によって与えられたゲート電流が制御されるとしても結果としてEMIをもたらす。
【0024】
図3Aは、
図2の例に示されているように、JFET203のゲートがFET202のソースにではなく、FET202のゲートGに電気接続されている状態の複合スイッチ201を含み得るような切り替え手法300の例を示す。
図3Aに示す切り替え手法300は、
図2に関して上に説明したものなど、切り替え手法200の特定の問題を解決することに役立ち得る。
図3Aに示すように、切り替え中のJFET203のC
gdの充電または放電は、切り替えられたノード206のスルーレートdV/dtを制御するために
図1Aに関して述べられたミラーフィードバック挙動を活かすことができる、FET202を駆動するゲートドライバ104によって提供される。
図1Aに関して上述したように、
図3Aの例では、JFET203のドレインノード206のdV/dtがFET202のゲートGに充電するドライバ回路104の出力からの同じゲートドライブ電流によって制限される。しかしながら、
図3Aの例では、FET202がオンである場合(FET202のゲートGが負電圧にされる場合)、空乏モードJFET203のゲート-ソース接合ダイオードが、オンになり、JFET203のゲートとソースとの間に電流を伝える。これには2つの望ましくない影響があり得る。第一に、大規模な電流引き込みおよび電力浪費を被る可能性がある。第二に、ゲートドライバ回路104に、FET202のゲートGを完全に正に(例えば、ドライバ回路104に給電するのに供給される上部電源電圧に)することをできなくさせ、FET202に、FET202のノードGにおける電圧がそのようには制限されない場合よりも大きな「オン」抵抗を持たせるようにし得る。これらの望ましくない影響により、
図3Aの手法は有用な用途を見つけることができない。
【0025】
図3Bは、
図3Aに示すものと同様であるが、JFT203のC
dtがゲートドライバ回路104によって提供されるが、FET202のゲートノードGにおける電圧とJFET203のゲートにおける電圧との電圧差を許容するのが望ましい場合があることが分かっている、切り替え手法350の例を示す。このような電圧差は、オフセット電圧(電圧ソースV
ggで
図3Bに概念的に表される)を与えることができる結合回路機構を、ドライバ回路104の出力とJFET203のゲートとの間などに含めることによって提供され得る。オフセット電圧V
ggは、
図3Bに示すように、FET202のゲートGとJFET203のゲートとの間に現れる。
【0026】
オフセット電圧V
ggが十分に大きい場合、FET202のゲートGは、複合スイッチ201がその「オン」状態であるときに空乏モードJFETのゲート-ソース接合をオンにするのを回避するほど低くJFET203のゲートにおける電圧を維持しながら十分に正にされ得、過度の電流引き込みおよび電力消費を回避し、
図3Bにおける複合スイッチ201がその「オン」状態であるときにFET202の低「オン」抵抗を得るほどに、FET202のゲートGが正であることを可能にする。さらに、
図3Bの例では、JFET203のミラーフィードバックにより、ノード206のスルーレートdV/dtが、
図3Aに関して上述した所望されない挙動を引き起こすことなく、EMIを低減することに役立ち得る電流制限式ドライバ回路104によって与えられるゲートドライブ電流によって十分に制御されることが可能になる。オフセット電圧V
ggを発生させる際、1つ以上のダイオード、トランジスタ、またはスイッチが本明細書でさらに説明するように使用され得る。オフセット電圧V
ggは、一定である必要はなく、オフセット電圧V
ggは、空乏モードJFET203のゲート-ソース接合ターンオンを回避するために、
図3Bに示す複合スイッチ201の「オン」状態では必要とされるが、
図3Bに示す複合スイッチ201の「オフ」状態では、異なるまたはゼロのオフセット電圧V
ggが与えられ得る。ドライバ回路104の出力とFET202またはJFET203のうちの一方または両方との間の結合回路機構の相応の構成などによって、複合スイッチの「オン」状態と「オフ」状態とで、オフセット電圧が異なり得る例を含めて、さらなる例および説明を以下に提供する。
【0027】
図4Aは、結合回路機構が第1のダイオードD
offを含み得、第1のダイードD
offでは、そのアノードがJFET203のゲートに電気接続されるか電気結合され、そのカソードがFET202のゲートGおよびドライバ回路104の出力に結合されている、複合スイッチ201を使用することができる切り替え手法400の例を示す。結合回路機構は、第2のダイオードD
onをさらに含み得、第2のダイオードD
onでは、そのアノードがFET202のソースに結合され、そのカソードがJFET203のゲートに結合されている。D
offまたはD
onのうちの一方または両方は、所望の大きさのオフセット電圧V
ggを発生させるように、直列連鎖の1つ以上のダイオードを含み得る。
図4Aの切り替え手法400では、複合スイッチ201のターンオフのみに、電流制限式ゲートドライバ104による206における切り替えノードの制御されたdV/dtがある一方、複合スイッチ201のターンオンでは、206における切り替えノードの制御されたdV/dtがない。
【0028】
図4Aでは、複合スイッチ201がオフになると、JFET203のゲートおよびC
dgを電流制限式電流ドライバ回路104の出力に結合するように、D
offに順方向バイアスがかけられ、オンになり、それにより電流制限式ドライバ回路104の放電C
gdを介して、ノード206のスルーレート制限を提供する一方、D
onでは、その切り替え移行中に逆バイアスがかけられ、オフのままである。
【0029】
図4Aでは、複合スイッチ201がオンになると、D
offに逆バイアスがかけられ、JFET203のゲートがドライバ回路の出力から隔離される。この切り替え移行中、JFET203のゲートがFET202のソースに結合され、FET202のソースは、電流制限式ドライバ回路104を介してではなく、接地または他の基準ノードからD
onを介して、JFET203のC
dgが充電されるように、接地または他の基準ノードに接続されている。
【0030】
図4Bは、結合回路機構が第1のダイオードD
offを含み得、第1のダイオードD
offでは、そのアノードがJFET203のゲートに電気接続されるか電気結合され、そのカソードがドライバ回路104の出力に代わって、FET202のソースに結合されている、複合スイッチ201を使用することができる切り替え手法420の例を示す。結合回路機構は、一例では、1つ以上のダイオードを含み得るように、第2のダイオードD
onをさらに含み得、第2のダイオードD
onでは、そのアノードがFET202のゲートGに、またドライバ回路104の出力にも結合され、そのカソードがオフセット電圧発生器V
ggなどを通してJFET203のゲートに結合されている。D
offまたはD
onのうちの一方または両方は、例えば、所望の電圧降下を生成するように、直列連鎖の1つ以上のダイオードを含み得る。
図4Bの切り替え手法420では、複合スイッチ201のターンオンのみに、電流制限式ゲートドライバ104による206における切り替えノードの制御されたdV/dtがある一方、複合スイッチ201のターンオフでは206における切り替えノードの制御されたdV/dtがない。
【0031】
図4Bでは、複合スイッチ201がオンになると、JFET203のゲートを電流制限式電流ドライバ回路104の出力に結合し、JFET203のC
dgを放電させるようにD
onに順方向バイアスがかけられ、オンになり、それにより、電流制限式ドライバ回路104を介してノード206のスルーレート制限を提供する一方、D
offでは、その切り替え移行中に逆バイアスがかけられ、オフのままである。
【0032】
図4Bでは、複合スイッチ201がオフになると、D
onに逆バイアスがかけられ、JFET203のゲートがドライバ回路104の出力から隔離される。この切り替え移行中、JFET203のゲートがFET202のソースに順方向バイアスをかけられたD
offを介して結合され、FET202のソースは、電流制限式電流ドライバ回路104を介してではなく、接地または他の基準ノードからD
offを介して、JFET203のC
dgが充電されるように、接地または他の基準ノードに接続されている。
【0033】
図4Cは、結合回路機構が第1のダイオードD
offを含み得、第1のダイオードでD
offでは、そのアノードがJFET203のゲートに電気接続されるか電気結合され、そのカソードがFET202のゲートおよびドライバ回路104の出力に結合されている、複合スイッチ201を使用することができる切り替え手法450の例を示す。結合回路機構は、一例では、1つ以上のダイオードを含み得るように、第2のダイオードD
onをさらに含み得、第2のダイオードD
onでは、そのアノードがFET202のゲートGに、またドライバ回路104の出力にも結合され、そのカソードがオフセット電圧発生器V
ggを通してJFET203のゲートに結合されている。D
offまたはD
onのうちの一方または両方は、例えば、所望の電圧降下を生成するように、直列連鎖の1つ以上のダイオードを含み得る。
図4Cの切り替え手法450では、複合スイッチ201のターンオンおよびターンオフの両方には、電流制限式ゲートドライバ104による206における切り替えノードの制御されたdV/dtがある。
【0034】
図4Cでは、複合スイッチ201がオンになると、電流制限式電流ドライバ回路104の出力にJFET203のゲートを結合して、JFET203のC
dgを放電させるように、D
onに順方向バイアスがかけられ、オンになり、それにより、この切り替え移行中に、電流制限式ドライバ回路104を介してノード206のスルーレート制限を提供する一方、この切り替え移行中に、D
offには、逆バイアスがかけられ、オフのままである。
【0035】
図4Cでは、複合スイッチ201がオフになると、JEFT203のゲートが順方向バイアスをかけられたD
offを介してドライバ回路104の出力に結合されるように、またJEFT203のC
dgが電流制限式電流ドライバ回路104から順方向バイアスをかけられたD
offを介して充電されるように、D
onに逆バイアスがかけられるがD
offには順方向バイアスがかけられ、それにより、この切り替え移行中にノード206のスルーレートを制限する。
【0036】
上の説明の通り、複合スイッチ201が「オン」である場合に、空乏モードJFET203のゲート-ソースダイオードターンオンを阻止するように、オフセット電圧Vggの量が選択されるかまたは確立され得、そうでなければ過度の電力を消費し、FET202、ひいては複合スイッチ201の低「オン」抵抗を得ることを妨げる可能性がある。
【0037】
図5は、結合回路機構が、
図4A、
図4B、または
図4Cの例に示す1つ以上のダイオードに加えてまたはその代替として、1つ以上のトランジスタを含み得る、切り替え手法500の例を示す。
図5の例では、ダイオードD
offは、複合スイッチ201がオフになるときに電流制限式ドライバ回路104を介してノード206のスルーレートdV/dt制御を提供するようになど、
図4Aおよび
図4Cに関して図示し、上述したのと同様の配置で、そのアノードがFET203のゲートに結合され、そのカソードが、ドライバ回路104の出力およびFET202のゲートGに結合されている。npnバイポーラ接合トランジスタ(BJT)Q
onなどのトランジスタが、
図4CのダイオードD
onに取って代わり、そのエミッタはJFET203のゲートに結合され、その集電器がドライバ回路104の出力およびFET202のゲートGに結合され、その基板が、FET202のソースに結合され、次に、FET202のソースが
図5に示すものなどの接地または他の基準ノードに結合され得る。
【0038】
図5の例では、JFET203のゲートは、FET202のソースに結合されているBJT Q
onの基板によって制御されるとき、JFET203のゲート電圧がFET202のソース電圧を下回った場合のみ、BJT Q
onによってFET202のゲートGに結合される。これにより、複合スイッチ201の「オン」状態で空乏モードJFET203のゲート-ソースダイオードをオンにすることなく、FET202のゲートGを完全に正にすることができ、BJT Q
onは、所要電圧を自動的にスタンドオフする。
【0039】
図5に示す例に対する変形形態には、Q
onの場合にはMOSFET、またはBJT、または別の型のトランジスタを使用し、プログラムされたもしくは他の指定の電圧または調整可能電圧でもQ
onの制御端子(例えば、ゲートまたは基板)を駆動することが含まれ得る。変形形態において、
図5においてQ
onがD
onに取って代わる際に示されたものに類似した同様の様態で、適切なトランジスタがダイオードD
offに取って代わることができる。追加のまたは代替的な変形形態において、単一のBJTもしくはFETまたは他のトランジスタが、電流制限式ドライバ回路104へのJFET203の選択的結合を提供することによって、JFET203のC
dgの所望の充電または放電を提供し、今度はそれが切り替えノード206の所望のスルーレート制御されたdV/dtを提供するなど、ターンオンダイオードおよびターンオフダイオードの両方の役割を果たすのに使用され得る。これは、本明細書に説明の通り、EMIを阻止するのに役立つ可能性がある。追加の変形形態において、ドライバ104に結合されているJFET203ゲート電流の一部が、結合トランジスタQ
onの電流ゲイン(ベータ)を低減することによって、または半導体処理技法を採用することによってもしくは当業者にはよく知られている既存の「電流ミラー」型回路技法を使用して複数のトランジスタを使用する所望のベータのトランジスタを合成することなどによって、調整され得る。ベータの低減によって、ドライバ回路104によってではなく結合トランジスタQ
onのベース電流によってJFET203のゲート電流の取り当て増加を引き起こす。ベータが低減されたトランジスタは、バイポーラ接合トランジスタ、FET、または別のトランジスタ型を使用して合成され得る。
【0040】
図6は、結合回路機構が、JFET203のゲートと、FET202のゲートGにも接続されているMOSFETドライバ回路104Aの出力との間にその伝導端子が位置している可能性のある、結合FET625などの結合トランジスタを含み得る、切り替え手法600の例を示す。複合スイッチ201の「オン」状態および「オフ」状態で、JFET203のゲートを所望のそれぞれの電圧にするのに、別個のJFETドライバ回路104Bが含まれ得る。別個のJFETドライバ回路104Bは、MOSEFTドライバ回路104Aに設けられている電源とは異なる(例えば、電圧がより高いまたは電圧がより低い、上部供給レール)電源から給電され得る。ドライバ回路104Aおよび104Bのうちの一方または両方は、ドライバ回路104Aおよび104Bのうちの一方または両方内の出力プルアップまたはプルダウントランジスタのうちの一方または両方の適切な選択などによって、電流制限式であり得る。例えば、JFETドライバ回路104Bは、JFET203のゲートにおけるその出力電圧がJFET203が許容するどのような特定の電圧でも帯びるような、電流制限式であるようにサイズが決められている出力プルアップトランジスタを含み得る。
【0041】
結合FET625は、
図6の複合スイッチ201の「オン」から「オフ」へまたは「オフ」から「オン」への切り替え移行のうちの所望される一方または両方の間だけ「一瞬停止」または同様に短時間オンになりさえすればよく、このような状態への移行が達成された後の複合スイッチ201の「オン」状態または「オフ」状態のうちの一方または両方の間、結合FET625がオンのままである必要はない。結合FET625のゲート端子に印加される電圧は、MOSFETドライバ回路104Aに供給するのに使用される上部電源レールおよび下部電源レール(例えば、V
DD、V
SS)内にあるように制限される必要はない。例えば、結合FET626は、所望される場合、切り替え移行中など、一瞬停止され得るか、そうでなければ過度のV
DDの供給電圧で駆動され得る。高電圧複合スイッチでは、このスイッチは、FET202とJFET203とのそれぞれのゲート間のオフセット電圧V
ggの量を調整することができる。追加的にまたは代替的に、選択された一方または両方の切り替え移行時などにおいて、結合トランジスタ625を使用して、JFET203のゲート電流の所望の一部がFET202のゲートに結合されるのを可能にするために結合トランジスタ626を使用することが望まれる場合、電流ゲイン(ベータ)は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)技法または電流ミラー回路技法を採用して、
図5の考察で先に述べたものなど、ベータが低減されたトランジスタを合成することによって調整され得る。
【0042】
これにより、例えば、望まれる場合、ただし複合スイッチ201がその「オン」状態またはその「オフ」状態のいずれかに留まっている間、切り替え移行後、JFETが別の方法で自らのJFETドライバ回路104Bによってバイアスがかけられるように、ノード206のスルーレートを電流制限式MOSFETドライバ回路104によって制限することが可能になり得る。これにより、複合スイッチの「オン」状態の間などに、JFET203のチャネル抵抗を低減し、その伝導性を増加させることに役立ち得るように、JFET203のソースにおける電圧よりも正の電圧でJFET203のゲートを駆動することが可能になる。この切り替え移行が終わった後、結合トランジスタ625を無効にすることができ、それにより、過度の電流がJFET203のゲートに流れることなく、ドライバ104AがFET202を完全に増強することが可能になる。したがって、FET202は完全に増強され得、高「オン」抵抗を受けない。
【0043】
次に、ドライバ104Bは、FET202のゲートにおける電圧とは無関係に、JFET203のゲートを駆動することが許容され得る。JFET203の伝導性を高めるかまたは最大限にするが、ゲートダイオード伝導性に起因して過度の電力損失を引き起こすような強い電流でそれを駆動しないように、JFET203のゲートが幾分正であることが望ましい場合がある。ドライバ104Bは、限られた電流を与え、それによって、JFET203の伝導性を高めるかまたは最大限にしながら過度の電力損失を回避するように構成され得る。
【0044】
本明細書に説明の通り、複合スイッチの高電圧トランジスタ(HVT)および低電圧トランジスタ(LVT)を適宜制御することに役立ち得るような結合回路機構を提供するための様々な技法は、政府規制によってまたは特定の用途の必要性によって排除され得る、そうでなければ回路から放射されることがあるEMIを阻止または制限するように、切り替えノードの十分に制御されたスルーレートによる高電圧切り替え動作を含み得るなどの利点を提供するのに役立ち得る。
【0045】
図7は、本技法の図解例による動作方法700の態様の例を示す。702において、複合スイッチのLVT(例えば、LVFET)の制御端子(例えば、ゲート端子)が、本明細書で説明する通り、電流制限式であり得るゲートドライバ回路104などの第1のゲートドライバ回路を使用して駆動され得る。704において、複合スイッチの切り替えノードのスルーレートをトランジスタまたはダイオードのうちの少なくとも1つを使用することなどによって制限し、切り替え移行中などに、LVTを駆動するのに使用される電流ドライバ回路のドライブ電流制限によってHVTのミラー静電容量C
gdの充電または放電を制限することなどによって、HVTとLVTとの制御端子間に制御式結合を提供することができる。
【0046】
図8は、本技法の図解例による動作方法800の態様の例を示す。802において、複合スイッチのHVTの制御端子が、第1のドライバ回路を使用して駆動され得る。804において、LVTの制御端子が、第2のドライバ回路を使用して駆動され得る。806において、LVTとHVTとの制御端子間に、例えば、所望される場合、切り替え移行中のみ、一時停止することなどによって、制御式結合(例えば、結合トランジスタを介して)が提供され得る。結合トランジスタ制御端子電圧は、第1および第2のドライバ回路のうちの一方または両方に与えられる電源電圧によって制限される必要はない。第1および第2のドライバ回路の電源は、同じである必要はなく、例えば、LVTに結合されたドライバ回路に、より高い電源電圧を与えて、LVTのより低い「オン」抵抗を提供することが有用であり得る。
【0047】
高電圧トランジスタ(HVT)がノーマリオフ低電圧トランジスタ(LVT)と直列である、本明細書に記載のカスコード複合トランジスタ切り替え構造は、HVTとLVTとのゲート電圧が異なることを可能にしながら、HVTのドレインdV/dtを制御するのを可能にするように、HVTの電荷が1つ以上のトランジスタ、1つ以上のダイオード、またはその組み合わせを使用することなどによってLVTのゲートに結合されるように構成され得る。複合トランジスタスイッチは、例えば、第1の経路がその電荷をLVTのゲートに送ることができる一方、別の第2の経路がそうしないような、スイッチの切り替えノードにおける正のdV/dt切り替え移行と負のdV/dt切り替え移行とで異なる電流経路を提供することができ、それによって、望まれる場合、非対称のdV/dt制御を可能にする。複合トランジスタは、本明細書で説明するように、一方または両方の切り替え移行時に、HVTのゲート電流の所望の一部をLVTのゲートに結合するように構成され得る。LVT切り替えトランジスタのゲートに送られる電流は、本明細書で説明する通り、HVTのdV/dtを制御するように制限され得る。複合スイッチが切り替え移行を経ないが代わりに、その「オン」状態または「オフ」状態のうちの一方に留まる場合、HVTおよびLVTの制御ノードの独立した制御を可能にしながら、切り替え移行中に結合を動的に制御するように、切り替え移行中のみなどに活発に駆動され得る(例えば、制御式に一時停止されるかそうでなければ短時間オンにされる)ような結合トランジスタが提供され得る。さらに、HVTゲートは、HVTの「オン」状態伝導性を高めるように、LVTを制御するのに使用される正電圧レベルとは無関係のそのソースノードよりも正電圧にされ得る。
【0048】
JFETカスコードHVTのゲートソース接合ダイオードの順方向バイアスかけの制御
JFETは通常、空乏モード(すなわち、ノーマリオン)デバイスであり、これは、JFETのゲートソース電圧(VGS)がゼロであるとき、大きなドレイン-ソース電流(IDS)が、ドレイン-ソース電圧降下(VDS)がほとんどないJFETのこのようなドレイン端子とソース伝導端子との間を流れることができるような、伝導チャネルがJFETのドレイン端子とソース伝導端子との間にあることを意味する。空乏モード(ノーマリオン)JFETをオフにするには、負のVGSを印加して、電流IDSがゼロになるように電荷キャリアの伝導チャネルを空にし、それによってドレイン-ソース電圧VDSが大きくなることを可能にする必要がある。
【0049】
パワーエレクトロニクス回路機構の場合、「ノーマリオン」特性が望ましくない場合がある。例えば、電力投入またはリセット状態で、制御回路が制御を引き受ける前にパワーエレクトロニクス回路が励起される場合、「ノーマリオン」スイッチは、大きな無制御の電流を伝導し得、結果として破壊されることもあり得る。したがって、「ノーマリオフ」特性が望まれ得る。これは、複合スイッチ配置で「ノーマリオン」JFET高電圧トランジスタ(HVT)と直列に「ノーマリオフ」低電圧トランジスタ(LVT)を追加することによって達成され得る。
【0050】
図2に戻ると、示すように、複合スイッチ201においてLVT FET202と直列のカスコードHVTデバイスとして「ノーマリオン」JFET203を使用する場合、JFET203のゲート-ソース電圧は、複合スイッチ201が「オン」状態であるときにゼロボルトにされ得、JFET203およびLVT FET202の両方がオンにされ、伝導する。これは、JFET203のゲート端子をFET202のソース端子に電気接続することによって達成され得る。このような状態では、JFET203のゲート-ソース接合ダイオードには、順方向バイアスがかけられない。
【0051】
JFET203に「ノーマリオフ」JFETを使用することにより、正方向制御電圧駆動信号を使用した切り替えに直列接続の「ノーマリオフ」LVT FET202を使用する必要性を回避することができる一方、このようなノーマリオフJFETは、より複雑であり、製造に費用が嵩み、一般的ではなく、多くの用途では、桁違いの費用がかかる場合がある。
【0052】
本発明者らはまた、数ある中でも、カスコードHVT JFET203のゲートに正ゲート駆動電圧を印加すること(すなわち、JFET203のゲート-ソース接合ダイオードに順方向バイアスをかけるようになど、JFET203のソースに対して正)が、「ノーマリオン」JFET203を使用した
図2に示す回路機構の可換挙動には加えられないが、そうすることにはまだ価値があり得ることを認識している。より具体的には、複合スイッチ201が「オン」状態である場合など、そうすることにより、JFET203の伝導性を著しく改善することができる。これは、JFET203のオン状態抵抗を低減することができ、JFET203がその動作の「線形」領域を離れ、その動作の「飽和」領域に入るJFET203のドレイン-ソース電流I
DSの値を増加させるのに有利に役立ち得る。
【0053】
図6に戻ると、複合スイッチ201のオン状態中に、JFET203のゲートに順方向バイアスをかけるのに、JFET203用のドライバ回路が採用され得る。
【0054】
JFET203のゲート-ソース接合に順方向バイアスがかけられるこのような状態では、JFET203のこのような順方向バイアス接合電圧(または対応するゲート電流)もまた、JFET203の温度を示すものとして使用され得る。JFET203の順方向バイアス接合電圧VGSは、絶対温度に対して相補的(CTAT)である。さらに、切り替えモードパワーエレクトロニクスまたは他の回路における特定の電力レベルなどにおいて、JFET203、ひいては複合スイッチ201が所与の回路用途でどの程度良好にまたはどの程度効率的に動作しているかを示すものとして、JFET203の温度が使用され得る。例えば、JFET203の温度の表示は、JFET203の温度の表示が指定の閾値を超えた場合、またはそれが指定の程度を超えて変化した場合など、故障状態などの警報を与えるのに使用され得る。しかしながら、JFET203の構成要素を劣化させるまたは消耗させないように、JFET203のゲート-ソース接合ダイオードの順方向バイアスかけで複合スイッチ201を動作させることは、慎重に制御されるべきである。例えば、オン状態抵抗の低減、飽和電流の増加、温度感知能力、およびJFET203のゲート-ソース接合ダイオードに順方向バイアスをかけることによる過度の電力損失を避けることができるようにそうすること、のうちの1つ以上の結果としての恩恵を得ることに役立つように、「ノーマリオン」JFET203のゲートを正VGSにするいくつかの例を、以下でさらに説明する。
【0055】
図9A(V
GS=0V)および
図9B(V
GS>0V、ゲート-ソース接合ダイオード順方向バイアス)は、JFET203の概念化断面図を示し、例えば、JFETの伝導端子V
DSにわたる電圧が小さいときの、ゲート駆動電圧がその動作のオーム領域におけるJFETに及ぼす影響を示す。この例では、JFETデバイスのソース領域、ドレイン領域、およびチャネル領域は、Nドープされ、チャネル領域内の伝導に遊離電子を与える一方、ゲートは、Pドープされ、JFETデバイスに制御端子を提供する。チャネルの断面ガースは、JFETデバイスのオン状態抵抗を示す。より大きなガースは、さらなるドレイン-ソース電流伝導を可能にし、それによってJFETのオン状態抵抗を低下させる。それによってチャネルには自由電子がなくなるため、ゲート-ソースPN接合ダイオードに十分な負電圧を印加することによって、この「ノーマリオン」JFETトランジスタをオフにすることができる。
図9Aは、ゼロゲート-ソース電圧V
GS=0であるそのオン状態のJFETを示す。JFETが「オン」であっても、PN接合の拡散電位の形成に起因してチャネルは、部分的に空乏である。
図9Bは、JFETデバイスのソース端子に対してゲート端子に正順方向バイアスが印加された状態の同じJFETを示す。このような正バイアス電圧をゲートに印加することは、接合の拡散電位を低減させ、空乏領域を縮小させ、チャネルガースを拡大させる。したがって、正ゲートバイアスは、JFETのオン状態抵抗を低下させる。
【0056】
図10A(V
GS=0V)および
図10B(V
GS>0V、ゲート-ソース接合ダイオード順方向バイアス)は、V
DSが大きいときの、JFETの動作飽和領域へのゲート駆動電圧の影響を示すJFETの概念化断面図を示す。
図10Bの正ゲートバイアスは、
図10Aのゼロゲートバイアスに存在するよりも大きなチャネルガースに対応するものとして示されている。したがって、正ゲートバイアスは、ゼロゲートバイアス電圧状態に比べ大きな飽和電流を、JFETを動作させる飽和領域にもたらす。
【0057】
図11は、ゲート-ソース電圧V
GSの異なる値ごとの概念化電流I
DS対電圧V
DS特性曲線を示すグラフであり、破曲線は、JFETのゲート-ソース接合ダイオードに順方向バイアスをかける値における、V
GS=0を示し、実曲線は、V
GS>0を示す。
図11に示すように、V
DSの低い値では、JFET動作のオーム領域において、正のゲート-ソースバイアス電圧は、所与のV
DSに対してドレインーソース電流I
DSを増加させる。この増加したI
DS/V
DS傾斜は、V
GS=0条件に対してV
GS>0の場合に、
図11で確認することができるような、オーム領域におけるより低いオン状態抵抗を示唆する。このより低いオン状態抵抗により、V
GS=0の場合よりもV
GS>0の場合、JFETは、オーム領域でより効率的に動作することができる。JFET動作の飽和領域では、大きなドレイン-ソース電圧V
DSにおいて、正のゲート-ソースバイアス電圧V
GS>0が、V
GS=0条件に対して、飽和電流I
DSを増加させる。これは、JFETデバイスがより広い電流範囲にわたってオーム状態のままであるため、JFETデバイスが、過熱のリスクなしに回路により多くの電力を送達することを可能にすることに役立ち得る。飽和領域の開始もまた、V
GS=0の場合よりもV
GS>0の場合に、V
DSのより高い値で有利に生じる。
【0058】
図12Aは、JFETのゲート-ソース間PN接合の概念化エネルギー帯域図(V
GS=0Vの場合)を示し、価電子帯端、伝導帯端、およびフェルミエネルギー準位を示す。印加電圧がゼロの場合、デバイス全体にわたりフェルミエネルギーが一定であるため、拡散電位障壁がJFETデバイスのゲートソースPN接合内に現れない、すなわち、電位が変化するスパンは空乏領域の範囲を示す。
【0059】
図12Bは、JFETのゲート-ソース間PN接合の概念化エネルギー帯図(V
GS>0Vの場合)を示し、価電子帯端、伝導帯端、およびフェルミエネルギー準位を示す。この正印加電圧は、JFETのPN接合の拡散電位障壁を低下させ、空乏領域の範囲を低減し、チャネルのガースを増加させる。さらに、拡散電位のこの低減により、ゲートからチャネル領域への正孔の、またチャネル領域からゲート領域への電子のある程度の伝導が起こる。過度の伝導は、JFETに発熱および起こり得る損傷をもたらす可能性があるため、望ましくない場合がある。しかしながら、適度な伝導は、有用であり、拡散電位が印加正電圧によって大幅に打ち消されていることを示す。拡散電位は温度によって決まるため、このような適度なゲート電流伝導をもたらす印加電圧の測定値をJFET温度の表示として使用することができ、これは、故障表示、経年変化表示、または別の目的などで監視するのに有用であり得る。
【0060】
図13は、JFET203のゲートに結合された出力端子を含むHVTゲートドライバ回路1304を含み得るバイアスかけ回路機構1302によって、複合スイッチ201にバイアスがかけられ得る例を示す回路概略図であり、HVTゲートドライバ回路1304は、カスコード複合スイッチ201が「オン」状態のときにJFET203のゲート-ソース接合ダイオードに順方向バイアスをかけるように、JFET203のゲートにバイアスをかけるように構成されている。HVTゲートドライバ回路1304は、カスコード複合スイッチ201が「オン」状態であるとき、JFET203のゲート-ソース接合ダイオードの順方向バイアスの程度を制御するためのJFETゲートバイアス電圧制御回路機構またはJFETゲートバイアス電流制御回路機構のうちの少なくとも1つを含み得る。
図13の例では、本明細書でさらに説明する通り、HVTゲートドライバ回路1304には、カスコード複合スイッチ201が「オン」状態であるとき、JFET203のゲート-ソース接合ダイオードに順方向バイアスがかけられるとJFET203のゲート電流を制限するように構成され得る、電流ソースI
JGによって描写されるような電流制限回路が含まれ得る。
【0061】
図13の例では、バイアスかけ回路機構1302は、複合スイッチ201を整流するために、それらのスイッチタイミングがほぼ一致し得るが、「ノーマリオフ」モードまたは強化モードのLVT FET202のゲートにバイアスをかけるように構成され得る、LVTゲートドライバ回路1306とは別個であり得る、「ノーマリオン」モードまたは空乏モードJFET203のゲートにバイアスをかけるように構成されたHVTゲートドライバ回路1304を含み得る。HVTゲートドライバ回路1304およびLVTゲートドライバ回路1306の両方には、高入力インピーダンスがあり得、この両方は、接地または別の基準ノードであり得る上部電源レールVDDおよび下部電源レールVSSから給電され得る。LVTゲートドライバ回路1306には、低出力インピーダンスがあり得るが、HVTゲートドライバ回路1304には、
図13に示すように、電流制限電流ソースI
JGの出力インピーダンスによって決まるまたは左右される出力インピーダンスがあり得る。JFET203のゲート電流を電流制限電流ソースI
JGの限られた電流に電流制限することによって、そのゲート-ソース接合に順方向バイアスがかけられているときのJFET203内の過剰な電力消散が回避されるか、または指定の値などに制限され得る。JFET203のゲート電流が、JFET203のゲートソース間およびゲートチャネル間接合に順方向バイアスをかけることから、JFETのチャネルの空乏は、V
GS=0条件などに対して低減または最小化され得る。これは、チャネルを「開く」または上で説明したようなチャネルガースを改善するのに役立ち得、JFET203のドレインからJFET203のソースまでの伝導性を高める、改善する、または最大限にするのに役立ち得る。伝導率変調は、V
GS>0でJFET203のこのようなドレイン-ソース伝導をさらに改善するのに役立ち得る。より具体的には、JFET203のPN接合ダイオードに順方向バイアスをかけることにより、ゲートは、JFETの伝導性を増加させるように、チャネル領域に正孔を注入する。追加の正孔の結果として、追加の電子が、準中立性を維持するようにチャネル領域内に備わり、これらの追加の電子は、ドレイン-ソース伝導性を強化することができる。
【0062】
複合スイッチ201の切り替え中、その高められたまたは最大伝導状態に素早くJEFT203をすることに役立つように、例えば、JFET203のゲート静電容量を迅速に充電することに役立つように、複合スイッチ201を「オフ」から「オン」に切り替える場合、より大きな値(例えば、2倍、10倍、100倍、1000倍、またはそれ以上)をIjgが有することが望ましい場合があり、これは、複合スイッチ201の動作効率を改善することができる。したがって、電流制限式電流ソースIJGの電流値は、切り替えオン移行中により大きな電流を与え、JFET203のゲート電流を、JFET203の続く「オン」期間のすべてまたは一部でより低い値に低減するように動的に制御され得る。このより大きな値の電流の持続期間は、固定持続期間値であってもよく、または、タイマー回路、電圧検出器回路、もしくは、複合スイッチ201の、より具体的にはJFET203の「切り替えオン」状態と「オン」状態とを区別することができる同様の形態の状態推定器を使用することなどによる、適応持続期間値であってもよい。
【0063】
図13に示す例では、LVT FET202およびそのLVTゲートドライバ回路1306が、その「オン」状態と「オフ」状態とで複合スイッチ201を整流するのを主に担うことができることに気づき得る。HVTゲートドライバ回路1304は、その「オン」状態におけるJFET203の伝導性を強化するのを主に担うことができる。したがって、複合スイッチ201におけるHVT JFET203およびLVT FET202のタイミング動作に関して、制御信号をLVTゲートドライバ回路1306およびHVTゲートドライバ回路1304に提供し、その制御信号のタイミングを計る制御回路機構は、JFET203のチャネル領域に溜った電荷が、JFET203のドレインを介して、かつそれに接続された回路機構を介してではなく、「オン」FET202を介して放電され得、次に、FET202をオフにするように、FET202がまだオンである間にJFET203をオフにするのを開始するように、ターンオフタイミングを設けるように構成され得る。「オン」から「オフ」への切り替えのこのようなタイミングは、非重複クロック回路機構などを含む制御回路機構によって達成され得る。
【0064】
図13はまた、その反転入力端子がJFET203のソース端子に電気接続または電気結合され、その非反転入力がJFET203のゲート端子に電気接続または電気結合されている状態で示されている、温度検知増幅器1308などの温度検知回路機構を含む例を示す。このようにまたは同様の方法で、FET203のゲート-ソース電圧V
GSを測定することによって、
図13に示す例では、温度感知増幅器1308の結果として生じる出力を介して使用可能にすることができるような、温度の表示が生成され得る。JFET203のゲート-ソース接合に、JFET203を通る適度なゲート電流で順方向バイアスがかけられると、JFET203のV
GSが、そのゲート-ソース間PN接合ダイオードの伝導によって決まる。このダイオードの電流-電圧関係が、温度によって予測可能に変わるため、検知されたV
GSは、JFET203の温度の表示である。このような温度情報は、例えば比較回路を使用することなどによって、温度センス増幅器によって出力された電圧を、固定またはプログラム可能な故障状態基準電圧と比較することなどによって、例えば過剰温度故障状態を検出するのに使用され得る。別の例では、この温度情報は、温度検知アンプ1308によって監視される温度を低減させる傾向がある様態で、1つ以上の制御パラメータを調整することなどによって、例えば、その「オン」状態で、その動作効率を改善するかまたは最適化することができるように、複合スイッチ201の動作制御を変えるのに、例えば、クローズドループ方式で、使用され得る。このような温度ベースの効率情報は、複合スイッチ201、より具体的にはJFET203が「オン」である間にのみ現れるため、JFET203が「オフ」であるときにこのような情報を保持するように、このような情報を捕捉および格納することに役立つようにメモリ回路が含まれ得る。温度検知増幅器1308によって出力された検知温度は、サンプル/ホールド回路機構を使用して格納すること、情報をパルス幅変調(PWM)信号もしくは他の信号に変換すること、またはアナログ-デジタル変換(ADC)回路を使用することなどによって情報をデジタル化することを含み得るような任意の数の様態のうちの1つで処理され得る。
【0065】
図14は、基準電流ソースまたはシンクI
JGによってバイアスがかけられ得るような、電流ミラー回路(P1、P2)の電流ミラー出力トランジスタP2を介して上部電源レールVDDに接続され得るようなインバータ回路(P3、N1)を含み得るような、HVTドライバ回路機構1304の例を示す。このように、
図14の例では、トランジスタP3およびN1は、切り替えを担うことができる一方、電流ミラー回路トランジスタP1およびP2は、最終的にJFET203のゲートに与えられるプルアップ電流を制御することができる。トランジスタサイズ、供給電圧、またはその両方は、追加的にまたは代替的に、JFET203への摩耗または損傷を回避するように、適宜電流制限されたゲート電流でJFET203のゲートにバイアスをかけるように変えられ得る。
【0066】
図15は、JFET203のゲート電圧のバイアス電圧制御を使用して、JFET203のゲート-ソース接合に制御可能に順方向バイアスをかけるような、
図13に示すものと同様の回路概略図である。
図15の例では、複合スイッチ201には、JFET203のゲートに結合された出力端子を含むHVTゲートドライバ回路1504を含み得るバイアスかけ回路機構1502によってバイアスがかけられ得、HVTゲートドライバ回路1504は、カスコード複合スイッチ201が「オン」状態であるときにJFET203のゲート-ソース接合ダイオードに順方向バイアスをかけるようにJFET203のゲートにバイアスをかけるように構成されている。
【0067】
このように、
図15は、
図14に関して図示され、説明されたような電流制限式電流ソース使用することによってではなく代わりに、慎重に選択された低インピーダンス電圧ソースでJFET203のゲート電圧を駆動することによって、JFET203のゲート電流を制限することが可能であることを示す。
図15の例では、HVTドライバ回路機構1504は、電流制限される必要はない。代わりに、HVTドライバ回路機構1504に給電する上部電源電圧レールV
JDDが、JFET203が「オン」であるときに、それが過剰な電流を伝導しないように慎重に制御され得る。これは、JFET203のゲート電流(またはその表示)を感知し、またこのような情報を閉ループサーボ方式で使用して、JFET203のゲート電流の所望の値を得るように、上部電源電圧レールV
JDDを調整することによって達成され得る。本主題の範囲内であることが可能であり、そのように想定されているゲート電流を直接検知するかまたは測定する代わりに、ゲート電流の間接的な表示が、
図13に関して上に述べた技法と同様の温度検知増幅器1508を使用して、このような間接的な表示として温度を使用することなどで、上部電源電圧レールV
JDDの電圧を制御するための制御変数として、代替的にまたは追加的に使用され得る。温度検知増幅器1508によって出力された温度情報を電圧制御回路機構1510に提供することができ、電圧制御回路機構1510は、このような入力情報を使用して出力制御信号を生成し、V
JDDを生成する電圧制御式電圧ソースを制御することができる。LVTドライバ回路機構1306は、JFET203のゲート電流に依存する必要のない上部電源電圧V
DDを与えることができる別個の上部電源電圧レールから給電され得る。追加的にまたは代替的に、ゲート電流センサ回路が使用され得、検知されたゲート電流を使用して、JFET203の温度の表示を提供することができる。
【0068】
図16Aおよび
図16Bは、
図15に示すような閉ループフィードバックサーボ制御を必要とせずに、固定電圧V
JDDを合成する技法の例を概念上示す。
図16Aは、集積回路内のバンドギャップ電圧基準に採用される概念を示す。絶対温度に比例する(PTAT)電圧V
PTAT(様々な電流密度のPN接合ダイオードにわたる電圧間の差に基づくことができるような)が、絶対温度に相補的な(CTAT)電圧V
CTAT(同じ集積回路上の単一のPN接合ダイオードにわたる電圧に基づくことができるような)と合計され得る。CTAT電圧とPTAT電圧との和は、
図16Aのバンドギャップ電圧V
BGとして示されている、特定の動作電圧においてほぼ温度不変であり得る。
図16Bは、バンドギャップ電圧V
BGが3.2ボルトである場合、JFETが炭化ケイ素で構成されていると例示目的で仮定して、V
JDDを生成するのにこの技法がどのように採用され得るかを示す。
図16Bに示すように、それぞれの増幅器を使用して、それぞれ相応のスケーリング定数k
1とk
2とでV
PTATとV
CTATとをスケーリングすることなどによって、JFETのPN接合ダイオード電圧を模倣する電圧が合成され得る。この配置は、JFET(SiCダイ上の)が、別個のSi集積回路上にあり得る他の回路機構に物理的に近くに位置すると想定することができ、それにより、これら2つのそれぞれの回路が、結果として生じるJFETゲート電流がこれらの2つの回路間の温度差を示すことができるように、同様の温度であると想定され得る。
【0069】
温度監視を含む本明細書に記載の例へのさらなる例では、複合切り替え回路機構は、JFET温度、JFET動作、JFET経年変化、カスコード複合スイッチ動作、またはカスコード複合スイッチ経年変化のうちの少なくとも1つの表示を提供するのに使用され得るような、ローカルまたは遠隔の監視インターフェース回路に温度または別のJFETパラメータに関する情報を伝えるような無線または有線の通信回路機構をさらに含み得る。
【0070】
本明細書に記載の例へのさらなる例では、切り替え回路機構には、複合スイッチを通る負荷電流を監視するための負荷電流監視回路機構が含まれ得る。制御回路機構は、負荷電流監視回路機構に結合され得、負荷電流に少なくとも部分的に基づいて、複合スイッチの少なくとも一部のJFETゲートバイアス電圧、JFETゲート電流バイアス、またはスイッチタイミング制御信号のうちの少なくとも1つを制御するように構成され得る。例えば、高負荷電流条件下では、JFET203のより低いオン状態抵抗を有し、それにより、より低い負荷電流条件の場合よりも大きなゲート電流でJFET203にバイアスをかけることが望ましい場合がある。同様に、高負荷電流条件下のオフオン間移行電流がより高い負荷電流条件でより高くなることを可能にし得るように、より高い負荷電流下で、JFET203のより低いオン状態抵抗により素早く切り替わることが望ましい場合がある。
【0071】
本明細書に記載の切り替え回路機構が、切り替えモード電源回路機構、電源遮断回路機構、モータドライバ回路機構、または電気機械式トランスデューサドライバ回路機構のうちの少なくとも1つに含まれ得るか、またはそれらとの組み合わせられ得ることを認識されたい。
【0072】
上の説明は、発明を実施するための形態の一部を成す添付図面への言及を含む。図面は、例として、本発明が実施され得る具体的な実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ばれる。このような例は、図示または記載されたものに加えて要素を含み得る。しかしながら、本発明者らは、図示または記載の要素のみが提供される例も想定している。さらに、本発明者らはまた、特定の例(またはその1つ以上の態様)に関して、または本明細書に図示もしくは記載された他の例(またはその1つ以上の態様)に関して、図示または記載されたそれらの要素のいずれかの組み合わせまたは入れ替えを使用する例も想定している。
【0073】
本明細書と参照により組み込まれるいずれかの文書との間に矛盾する使用法がある場合には、本明細書の使用法が優先される。
【0074】
本明細書では、「a」または「an」という用語は、特許文献で一般的であるように、「少なくとも1つ」または「1つ以上」の任意の他の例または使用法とは関係なく、1つまたは複数を含むように使用される。本明細書では、「または」という用語は、特に断りのない限り、非排他的であることを指し、または「AまたはB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、および「AおよびB」を含むように使用される。本明細書では「含む(including)」および「そこでは(in which)」という用語は、「備える(comprising)」および「その場合(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の同等語として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、非限定式であり、すなわち、請求項でこのような用語の後に列挙されたものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、定式、またはプロセスは、依然としてその請求項の範囲内にあると考えられる。また、以下の特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単に標識として使用され、その対象に数値的な要件を課すことを意図するものではない。
【0075】
本明細書に記載の方法例は、少なくとも部分的に機械またはコンピュータ実施式であり得る。いくつかの例には、上の例に記載されたような方法を行うように電子デバイスを構成するように動作可能な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体が含まれ得る。このような方法の実装形態には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードが含まれ得る。このようなコードには、様々な方法を行うためのコンピュータ可読命令が含まれ得る。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を成し得る。さらに、例では、コードは、実行中または他の時点などで、1つ以上の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形に格納され得る。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例には、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードもしくはメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0076】
上の説明は、例示のためのであり、限定的なものではない。例えば、上記の例(またはその1つ以上の態様)を互いに組み合わせて使用することができる。当業者などであれば、上の説明を検討することで、他の実施形態を使用することができる。要約は、読み手に技術的開示の性質を素早く確認させるために、37C.F.R.§1.72(b)に準拠して提供される。要約は、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するのに使用されないという理解の下で提出されている。また、上の発明を実施するための形態では、本開示を簡素化するために、様々な特徴がグループにまとめられている場合がある。これは、特許請求されていない開示された特徴がいずれかの請求項に不可欠であることを意図するとして解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴にない場合がある。したがって、以下の特許請求の範囲は、例または実施形態として発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態としてそれ自体で成り立ち、かつこのような実施形態が、様々な組み合わせまたは入れ替えで互いに組み合わせられ得ることが想定される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に関連して、このような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに決められるべきである。
【符号の説明】
【0077】
104 ドライバ回路
106 ノード
201 複合トランジスタスイッチ
206 切り替えノード
208 ノード
625 結合トランジスタ
1302 バイアスかけ回路機構
1304 ドライバ回路機構
1304 ゲートドライバ回路
1306 ゲートドライバ回路
1308 温度検知増幅器
1502 バイアスかけ回路機構
1504 ゲートドライバ回路
1508 温度検知増幅器
1510 電圧制御回路機構