(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】回転角度制御装置、自動隙間調整器、および自動車ブレーキ
(51)【国際特許分類】
F16D 65/58 20060101AFI20230113BHJP
F16H 1/16 20060101ALI20230113BHJP
F16D 7/02 20060101ALI20230113BHJP
F16D 41/20 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
F16D65/58
F16H1/16
F16D7/02 F
F16D41/20 A
(21)【出願番号】P 2021523605
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 CN2020088459
(87)【国際公開番号】W WO2021088340
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】201911064001.1
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521180016
【氏名又は名称】ビーピーダブリュー (メイショウ) アクスル カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イエ、ティアンツェン
(72)【発明者】
【氏名】イエ、ジアダ
(72)【発明者】
【氏名】リャオ、ジルン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、ヨンジエ
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109372917(CN,A)
【文献】中国実用新案第2474803(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/58
F16H 1/16
F16D 7/02
F16D 41/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転角度制御装置であって、
マンドレル(12)と、
前記マンドレル(12)上に被せられたトランスミッションギア(13)と、
前記マンドレル(12)上に被せられ、前記トランスミッションギア(13)から離れたクラッチスリーブ(15)の片側に位置する端面に第1軸方向座ぐり(141)を有する、クラッチスリーブ(15)と、
前記マンドレル(12)上に被せられ、前記トランスミッションギア(13)に隣接する第2ウォーム(18)の片側に位置する端面に第2軸方向座ぐり(161)を有する、第2ウォーム(18)と、
前記マンドレル(12)上に被せられ、前記第1軸方向座ぐり(141)および前記第2軸方向座ぐり(161)の内側穴表面と締まり嵌めされた外側円形表面を有する拡張ばね(16)と
、
前記拡張ばね(16)と前記マンドレル(12)との間に位置するスペーサスリーブ(17)と
を含み、
前記スペーサスリーブ(17)の外径は、後退しようとする前記拡張ばね(16)の内側穴サイズよりも小さく、前記スペーサスリーブ(17)の外径はまた、締まり嵌めの後の前記拡張ばね(16)の内側穴サイズよりも小さい、回転角度制御装置。
【請求項2】
前記トランスミッションギア(13)と前記クラッチスリーブ(15)との周方向における間に、事前設定された回転隙間があり、
前記トランスミッションギア(13)は、前記拡張ばね(16)が、前記拡張ばね(16)の外側円形表面に対する前記クラッチスリーブ(15)の前記第1軸方向座ぐり(141)の摩擦力によって径方向に後退するように回転し、それによって前記拡張ばね(16)および前記第2ウォーム(18)に対する前記クラッチスリーブ(15)の回転に滑りを生じるように、第1の回転方向で前記第2ウォーム(18)に対して前記クラッチスリーブ(15)に当接するように回転するときに、前記クラッチスリーブ(15)を前記第1の回転方向に沿って回転するよう駆動するように、および
前記拡張ばね(16)が、前記拡張ばね(16)の前記外側円形表面に対する前記クラッチスリーブ(15)の前記第1軸方向座ぐり(141)の摩擦力によって径方向に拡張するように回転し、それによって前記拡張ばね(16)および前記第2ウォーム(18)に対する前記クラッチスリーブ(15)の係止を生じ同期回転するように、前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向で前記第2ウォーム(18)に対して前記クラッチスリーブ(15)に当接するように回転するときに、前記クラッチスリーブ(15)を前記第2の回転方向に沿って回転するよう駆動するように
構成されている、請求項1に記載の回転角度制御装置。
【請求項3】
前記トランスミッションギア(13)は、軸方向に沿って延在するスロット(13a)を有し、前記スロット(13a)内へ軸方向に挿入可能なインサートブロック(15a)が、前記第2ウォーム(18)から離れた前記クラッチスリーブ(15)の一端に設けられ、前記インサートブロック(15a)は、前記スロット(13a)に対して回転可能であり、前記インサートブロック(15a)の周方向幅は、前記トランスミッションギア(13)と前記クラッチスリーブ(15)との間に前記事前設定された回転隙間を形成するために、前記スロット(13a)の周方向幅よりも小さい、請求項2に記載の回転角度制御装置。
【請求項4】
前記マンドレル(12)上に被せられ、前記トランスミッションギア(13)と前記クラッチスリーブ(15)との間に配置された戻しねじりばね(14)をさらに含み、前記戻しねじりばね(14)の両端のフックは、前記スロット(13a)および前記インサートブロック(15a)の側壁にそれぞれ留められている、
請求項3に記載の回転角度制御装置。
【請求項5】
前記拡張ばね(16)は右巻きの拡張ばねであり、前記第1の回転方向は反時計回り方向であり、前記第2の回転方向は時計回り方向である、請求項1に記載の回転角度制御装置。
【請求項6】
前記スペーサスリーブ(17)の軸方向長さは、前記第1軸方向座ぐり(141)および前記第2軸方向座ぐり(161)の深さの合計よりも短い、請求項
1に記載の回転角度制御装置。
【請求項7】
一端が前記第2ウォーム(18)の末端に当接し、他端が隙間除去空洞(19a)を有するシャフトスリーブ(19)と、
前記隙間除去空洞(19a)内に被せられた隙間除去ばね(20)と
をさらに含み、
前記シャフトスリーブ(19)は、前記マンドレル(12)上に被せられ、バックルを通じて前記マンドレル(12)に接続されている、
請求項1に記載の回転角度制御装置。
【請求項8】
前記スリーブ(19)は、前記隙間除去空洞(19a)と連通している第5貫通穴(28)をさらに含み、前記第5貫通穴(28)の内壁は、前記隙間除去空洞(19a)内に延在する弾性クランプブロック(29)を有し、前記第5貫通穴(28)に面する前記弾性クランプブロック(29)の片側は誘導斜面(31)を有し、前記マンドレル(12)は、前記弾性クランプブロック(29)と係合するクランプスロット(30)を有する、請求項
7に記載の回転角度制御装置。
【請求項9】
互いに連通している第1貫通穴(2)および第2貫通穴(3)、ならびに前記第1貫通穴(2)の軸と平行であって前記第1貫通穴(2)および前記第2貫通穴(3)と連通している取り付け穴(10)を有するハウジング(1)と、
前記第1貫通穴(2)内に設けられたウォームギア(4)と、
前記第2貫通穴(3)内に設けられ、前記ウォームギア(4)と係合する第1ウォーム(5)と、
前記第1ウォーム(5)の一端に配置されたコイルばね(6)と、
前記第1ウォーム(5)の他端に被せられたクラッチギア(7)と、
前記第1貫通穴(2)の一端に配置され、ギアリング(9)を含む制御ディスクアセンブリと、
前記取り付け穴(10)内に設けられた、請求項1から
8のいずれか一項に記載の回転角度制御装置と
を含み、
前記回転角度制御装置の前記トランスミッションギア(13)は前記ギアリング(9)と係合し、前記回転角度制御装置の前記第2ウォーム(18)は前記クラッチギア(7)と係合する、自動隙間調整器。
【請求項10】
前記制御ディスクアセンブリは、
前記第1貫通穴(2)の軸方向に沿って前記第1貫通穴(2)の片側を覆い、前記取り付け穴(10)の開口部を遮蔽するカバープレート(22)と、
制御アーム(8)とをさらに含み、前記制御アーム(8)および前記ギアリング(9)は、それぞれ前記カバープレート(22)の両側に配置され、前記ギアリング(9)にしっかりと接続されており、
前記制御アーム(8)および前記ギアリング(9)は、前記カバープレート(22)に対して同期して回転可能である、
請求項
9に記載の自動隙間調整器。
【請求項11】
前記取り付け穴(10)は止まり穴であり、前記回転角度制御装置は、シャフトスリーブ(19)および隙間除去ばね(20)をさらに含み、前記シャフトスリーブ(19)は、前記第2ウォーム(18)上に被せられてバックルを通じて前記マンドレル(12)に接続されており、前記スリーブ(19)の一端は前記第2ウォーム(18)の末端に当接し、前記スリーブ(19)の他端は隙間除去空洞(19a)を有し、前記隙間除去ばね(20)の一端は前記隙間除去空洞(19a)の中に当接し、前記隙間除去ばね(20)の他端は前記設置穴(10)の中に当接している、請求項
9に記載の自動隙間調整器。
【請求項12】
軸方向に沿って前記第2貫通穴(3)の両端にそれぞれ配置された上部カバー(23)および下部カバー(24)をさらに含む、
請求項
9に記載の自動隙間調整器。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記第2貫通穴(3)と連通している第4貫通穴をさらに含み、前記自動隙間調整器は、前記第4貫通穴内に位置するオイルノズル(25)と、前記オイルノズル(25)を覆う防塵カバー(26)とをさらに含む、請求項
9に記載の自動隙間調整器。
【請求項14】
請求項
9から
13のいずれか一項に記載の自動隙間調整器を含む自動車ブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2019年11月4日に出願された中国特許出願第201911064001.1号に基づいており、その優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、自動車ブレーキの技術分野に関し、特に回転角度制御装置、自動隙間調整器、および自動車ブレーキに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車ブレーキの自動隙間調整器は、調整器の回転角度を制御することによって、ブレーキ隙間の自動調整機能を実現する。調整器の回転角度が設定値よりも大きいと、調整器の自動調整機能がトリガされ得る。関連技術では、回転角度制御装置は、互いに噛み合う一方向ラチェット歯によって実現される。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様によれば、回転角度制御装置が提供される。装置は、マンドレルと、マンドレル上に被せられたトランスミッションギアと、マンドレル上に被せられ、トランスミッションギアから離れたクラッチスリーブの片側に位置する端面に第1軸方向座ぐりを有する、クラッチスリーブと、マンドレル上に被せられ、トランスミッションギアに隣接する第2ウォームの片側に位置する端面に第2軸方向座ぐりを有する、第2ウォームと、マンドレル上に被せられ、第1軸方向座ぐりおよび第2軸方向座ぐりの内側穴表面と締まり嵌めされた外側円形表面を有する拡張ばねとを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、トランスミッションギアとクラッチスリーブとの周方向における間に、事前設定された回転隙間があり、トランスミッションギアは、拡張ばねが、拡張ばねの外側円形表面上のクラッチスリーブの第1軸方向座ぐりの摩擦力によって径方向に後退するように回転し、それによって拡張ばねおよび第2ウォームに対するクラッチスリーブの回転に滑りを生じるように、第1の回転方向で第2ウォームに対してクラッチスリーブに当接するように回転するときに、クラッチスリーブを第1の回転方向に沿って回転するよう駆動するように、および拡張ばねが、拡張ばねの外側円形表面に対するクラッチスリーブの第1軸方向座ぐりの摩擦力によって径方向に拡張するように回転し、それによって拡張ばねおよび第2ウォームに対するクラッチスリーブの係止を生じ同期回転するように、第1の回転方向と反対の第2の回転方向で第2ウォームに対してクラッチスリーブに当接するように回転するときに、クラッチスリーブを第2の回転方向に沿って回転するよう駆動するように、構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、トランスミッションギアは、軸方向に沿って延在するスロットを有し、スロット内へ軸方向に挿入可能なインサートブロックが、第2ウォームから離れたクラッチスリーブの一端に設けられ、インサートブロックは、スロットに対して回転可能であり、インサートブロックの周方向幅は、トランスミッションギアとクラッチスリーブとの間に事前設定された回転隙間を形成するために、スロットの周方向幅よりも小さい。
【0007】
いくつかの実施形態では、回転角度制御装置は、マンドレル上に被せられ、トランスミッションギアとクラッチスリーブとの間に配置された戻しねじりばねをさらに含み、戻しねじりばねの両端のフックは、スロットおよびインサートブロックの側壁にそれぞれ留められている。
【0008】
いくつかの実施形態では、拡張ばねは右巻きの拡張ばねであり、第1の回転方向は反時計回り方向であり、第2の回転方向は時計回り方向である。
【0009】
いくつかの実施形態では、回転角度制御装置は、拡張ばねとマンドレルとの間に位置するスペーサスリーブをさらに含み、スペーサスリーブの外径は、後退しようとする拡張ばねの内側穴サイズよりも小さく、スペーサスリーブの外径はまた、締まり嵌めの後の拡張ばねの内側穴サイズよりも小さい。
【0010】
いくつかの実施形態では、スペーサスリーブの軸方向長さは、第1軸方向座ぐりおよび第2軸方向座ぐりの深さの合計よりも短い。
【0011】
いくつかの実施形態では、回転角度制御装置は、一端が第2ウォームの末端に当接し、他端が隙間除去空洞を有するシャフトスリーブと、隙間除去空洞内に被せられた隙間除去ばねとをさらに含み、シャフトスリーブは、マンドレル上に被せられ、バックルを通じてマンドレルに接続されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、スリーブは、隙間除去空洞と連通している第5貫通穴をさらに含み、第5貫通穴の内壁は、隙間除去空洞内に延在する弾性クランプブロックを有し、第5貫通穴に面する弾性クランプブロックの片側は誘導斜面を有し、マンドレルは、弾性クランプブロックと係合するクランプスロットを有する。
【0013】
本開示の一態様によれば、自動隙間調整器が提供される。自動隙間調整器は、互いに連通している第1貫通穴および第2貫通穴、ならびに第1貫通穴の軸と平行であって第1貫通穴および第2貫通穴と連通している取り付け穴を有するハウジングと、第1貫通穴内に設けられたウォームギアと、第2貫通穴内に設けられ、ウォームギアと係合する第1ウォームと、第1ウォームの一端に配置されたコイルばねと、第1ウォームの他端に被せられたクラッチギアと、第1貫通穴の一端に配置され、ギアリングを含む制御ディスクアセンブリと、取り付け穴内に設けられた上記の回転角度制御装置とを含み、回転角度制御装置のトランスミッションギアはギアリングと係合し、回転角度制御装置の第2ウォームはクラッチギアと係合する。
【0014】
いくつかの実施形態では、制御ディスクアセンブリは、第1貫通穴の軸方向に沿って第1貫通穴の片側を覆い、取り付け穴の開口部を遮蔽するカバープレートと、制御アームとをさらに含み、制御アームおよびギアリングは、それぞれカバープレートの両側に配置され、ギアリングにしっかりと接続されており、制御アームおよびギアリングは、カバープレートに対して同期して回転可能である。
【0015】
いくつかの実施形態では、取り付け穴は止まり穴であり、回転角度制御装置は、シャフトスリーブおよび隙間除去ばねをさらに含み、シャフトスリーブは、第2ウォーム上に被せられてバックルを通じてマンドレルに接続されており、スリーブの一端は第2ウォームの末端に当接し、スリーブの他端は隙間除去空洞を有し、隙間除去ばねの一端は隙間除去空洞の中に当接し、隙間除去ばねの他端は設置穴の中に当接している。
【0016】
いくつかの実施形態では、自動隙間調整器は、軸方向に沿って第2貫通穴の両端にそれぞれ配置された上部カバーおよび下部カバーをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、第2貫通穴と連通している第4貫通穴をさらに含み、自動隙間調整器は、第4貫通穴内のオイルノズルと、オイルノズルを覆う防塵カバーとをさらに含む。
【0018】
本開示の一態様では、自動車ブレーキが提供される。自動車ブレーキは、上記の自動隙間調整器を含む。
【0019】
本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、本明細書とともに、本開示の原理を説明する。
【0020】
本開示は、以下の添付図面を参照して、以下の詳細な説明からより明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の自動隙間調整器の実施形態による概略的構造分解図である。
【
図2】本開示の回転角度制御装置の実施形態による概略的構造分解図である。
【
図3】本開示の回転角度制御装置の実施形態による取り付け構造の部分断面図である。
【
図4】本開示の回転角度制御装置の実施形態による外部構造の概略図である。
【
図7】本開示の自動隙間調整器の実施形態による制御ディスクアセンブリの構造図である。
【
図8】本開示の回転角度制御装置の実施形態によるシャフトスリーブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面に示される様々な部分の寸法は、実際の縮尺にしたがって描かれていないことを理解すべきである。加えて、同一または類似の構成要素を示すために、同一または類似の参照符号が使用される。
【0023】
以下、本開示の様々な例示的な実施形態が、添付図面を参照して詳細に説明される。例示的な実施形態の説明は単に例示的なものであり、本開示、その用途、または使用に対する限定を意図するものでは決してない。本開示は、多くの異なる形態で実施され得るが、これらは本明細書に記載される実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本開示を徹底的かつ完全なものにし、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。別途具体的に記載されない限り、これらの実施形態で列挙される構成要素およびステップの相対的な配置、材料組成、数式、および数値は、限定ではなく単なる例示として説明されることに留意すべきである。
【0024】
本開示で使用される単語「第1」、「第2」、および類似の単語は、いかなる順序、量、または重要性を示すものでもなく、単に異なる部分を区別するのに役立つ。「含む(including)」または「含む(containing)」のような類似の単語は、単語の前の要素が単語の後に列挙される要素を包含するが、他の要素を包含する可能性を排除するものではないことを意味する。用語「上」、「下」、「左」、「右」などは、相対的な位置関係を表すためにのみ使用され、相対的な位置関係は、記載される物体の絶対位置が変化した場合、相応に変化し得る。
【0025】
本開示では、特定の装置が第1の装置と第2の装置との間に位置すると記載されているとき、特定の装置と第1の装置または第2の装置との間に中間装置があってもよく、あるいは中間装置がなくてもよい。特定の装置が他の装置に接続されていると記載されているとき、特定の装置は、前記他の装置に中間装置なしで直接接続されてもよく、あるいは、前記他の装置に直接接続されずに中間装置を伴ってもよい。
【0026】
本開示で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、別途定義されない限り、本開示の当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。また、一般的な辞書で定義される用語は、本明細書で明示的に定義されない限り、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化または極端に形式化された意味で解釈されるべきではないことも、理解されるべきである。
【0027】
関連技術の当業者に知られている技術、方法、および装置は、詳細に論じられない場合があるが、必要に応じて、これらの技術、方法、および装置は本明細書の一部と見なされるべきである。
【0028】
いくつかの関連技術では、一方向ラチェットの強度などの要因により、N個の歯(Nは通常10~20個の歯で構成される)は一般に、調整伝達機構として周方向に配置され得る。調整器の回転角度が設定値よりも大きく、一方向ラチェットの歯車噛み合い部が1つの歯を横切って駆動されるとき、ブレーキの戻りストローク中に回転が発生し、調整機構は隙間を補正するために駆動される。調整器の回転角度が設定値よりも大きいが、次の歯と噛み合うように一方向ラチェットの歯車噛み合い部を駆動するのに十分ではないときは、他の機構によってゆっくりと補正することしかできず、調整器の自動調整動作が遅れる。たとえば、初期の隙間が調整される自動調整器を用いて自動車が新しく組み立てられた後、設定された隙間とするためにブレーキを30~60フィート踏む必要がある。また、調整器が自動的に調整された後、ブレーキ隙間に大きな変動がある。
【0029】
これを考慮して、本開示は、調整アームの自動調整動作をより迅速かつ確実に実現することができる、回転角度制御装置、自動隙間調整器、および自動車ブレーキを提供する。
【0030】
図1に示されるように、これは本開示の自動隙間調整器の実施形態による概略的構造分解図である。
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、自動隙間調整器は、ハウジング1、ウォームギア4、第1ウォーム5、コイルばね6、クラッチギア7、制御ディスクアセンブリ、および回転角度制御装置を含む。ハウジング1は、互いに連通している第1貫通穴2および第2貫通穴3、ならびに第1貫通穴2の軸と平行であって第1貫通穴2および第2貫通穴3と連通している取り付け穴10を有する。
【0031】
ウォームギア4は第1貫通穴2の中に設けられ、第1ウォーム5は、第2貫通穴3内に設けられ、ウォームギア4と係合する。コイルばね6は、第1ウォーム5の一端に配置されており、クラッチギア7は、第1ウォーム5の他端に被せられている。制御ディスクアセンブリは、第1貫通穴2の一端に配置され、ギアリング9を含む。回転角度制御装置は、取り付け穴10内に設けられている。
【0032】
図2に示されるように、これは本開示の回転角度制御装置の実施形態による概略的構造分解図である。
図3から
図6と併せて
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、回転角度制御装置は、マンドレル12、トランスミッションギア13、クラッチスリーブ15、第2ウォーム18、および拡張ばね16を含む。トランスミッションギア13は、マンドレル12上に被せられており、ギアリング9と噛み合うことができる。クラッチスリーブ15は、マンドレル12上に被せられており、トランスミッションギア13から離れたクラッチスリーブ15の片側に位置する端面に第1軸方向座ぐり141を含む。第2ウォーム18は、マンドレル12上に被せられており、トランスミッションギア13に隣接する第2ウォーム18の端面に第2軸方向座ぐり161を含む。拡張ばね16は、マンドレル12上に被せられており、第1軸方向座ぐり141および第2軸方向座ぐり161の内側穴表面と締まり嵌めされた外側円形表面を有する。第2ウォーム18は、クラッチギア7と噛み合うことができる。
【0033】
本実施形態では、拡張ばね16の両端の外側円形表面は、クラッチスリーブ15の第1軸方向座ぐり141および第2ウォーム18の第2軸方向座ぐり161の内側穴表面とそれぞれ締まり嵌めされている。このようにして、拡張ばね16の外側円形表面は、第1軸方向座ぐり141および第2軸方向座ぐり161の内側穴表面との摩擦対をそれぞれ形成し、これによってねじりばねクラッチ機構を形成する。
【0034】
第2ウォーム18が固定され、クラッチスリーブ15が第1の回転方向(たとえば、反時計回り方向)に回転しようとすると、拡張ばね16は、クラッチスリーブ15が摩擦力に逆らって第2ウォーム18に対して回転できるように、摩擦対の圧力を低減するように、摩擦力の作用の下で後退方向に向けて変形しようとする。第2ウォーム18が固定され、クラッチスリーブ15が第1の回転方向と反対の第2の回転方向(たとえば、時計回り方向)に回転しようとすると、拡張ばね16は、クラッチスリーブ15が摩擦力によって制限されて相対的に回転することなく拡張ばね16および第2ウォーム18との係止状態となるように、第2の回転方向のクラッチスリーブ15の回転トルクが増加するにつれて摩擦対の圧力が増加するように、摩擦力の作用の下で外向きに拡張しようとする。このとき、拡張ばね16は、全工程の間、一方向クラッチとして作用する。
【0035】
一方向ラチェットを使用する関連技術と比較すると、本実施形態では、拡張ばね16が一方向クラッチとして使用されることで、周方向において無限に等分割を実施することができる。これにより、より速い無段階調整を達成して関連技術における自動調整機能の遅れの問題を回避し、運転の安全性を保証する。また、調整器が自動的に調整された後、ブレーキ隙間に小さな変動がある。
【0036】
本実施形態の拡張ばねは、巻きばねを使用する関連技術に比べ、係止されたときに外向き張力の傾向を示す。このような伸び傾向により、拡張ばねと第1軸方向座ぐりおよび第2軸方向座ぐりの内側穴表面との間の摩擦力を増加させることができ、これによって自己係止効果を奏する。言い換えると、拡張ばねと軸方向座ぐりとの間の摩擦嵌めにより、より大きいトルクを伝達して滑り故障を回避するように、巻きばねと比較して大きい係止力を達成することができ、これにより、調整器の自動調整機能が故障しないことを保証し、運転の安全性を保証する。
【0037】
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、トランスミッションギア13とクラッチスリーブ15との周方向における間に、事前設定された回転隙間αがある。トランスミッションギア13が、第1の回転方向でクラッチスリーブ15に当接するよう第2ウォーム18に対して回転できるとき、拡張ばね16が、径方向に後退するように拡張ばね16の外側円形表面上のクラッチスリーブ15の第1軸方向座ぐり141の摩擦力によって回転させられるように、クラッチスリーブ15は、第1の回転方向に沿って回転するよう駆動され、これにより、拡張ばね16および第2ウォーム18に対するクラッチスリーブ15の回転に滑りを引き起こす。
【0038】
トランスミッションギア13が、クラッチスリーブ15に当接するために、第1の回転方向と反対の第2の回転方向で第2ウォーム18に対して回転するとき、トランスミッションギア13はまた、拡張ばね16が、径方向に拡張するように拡張ばね16の外側円形表面上のクラッチスリーブ15の第1軸方向座ぐり141の摩擦力によって回転させられるように、クラッチスリーブ15を第2の回転方向に沿って回転するよう駆動することもでき、これにより、拡張ばね16および第2ウォーム18に対するクラッチスリーブ15の係止が生じ、同期回転する。
【0039】
いくつかの実施形態では、拡張ばね16は右巻きの拡張ばねであり、第1の回転方向は反時計回り方向であり、第2の回転方向は時計回り方向である。たとえば、自動車が制動動作を行うと、ギアリング9は、トランスミッションギア13を反時計回りに回転するよう駆動する。トランスミッションギア13は、事前設定された回転隙間α回転した後、クラッチスリーブ15を反時計回りに回転するよう駆動し、拡張ばね16は、摩擦力の作用の下で後退方向に向けて変形しようとする。クラッチスリーブ15の内側穴表面および拡張ばね16の外側円形表面によって形成された摩擦対の圧力は低下し、これに応じて摩擦力も低下する。クラッチスリーブ15は、摩擦力に逆らって第2ウォーム18に対して回転子、回転角度は、クラッチスリーブ15の回転角度から事前設定された回転隙間αを引いたものである。
【0040】
制動動作が完了した後に自動車が元の位置に戻ると、ギアリング9は、トランスミッションギア13を時計回りに回転するよう駆動する。トランスミッションギア13は、事前設定された回転隙間α回転した後、クラッチスリーブ15を時計回りに回転するよう駆動し、拡張ばね16は、摩擦力の作用の下で拡張方向に向けて変形しようとする。摩擦によって制限されるクラッチスリーブ15は、拡張ばね16および第2ウォーム18と係合し、一体型剛性構造を形成する。このとき、クラッチスリーブ15は、設定値α°を超える過回転角度をなくすために、第2ウォーム18を時計回りに回転するよう駆動する。
【0041】
図2、
図3、および
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、回転角度制御装置は、スペーサスリーブ17をさらに含む。スペーサスリーブ17は、拡張ばね16とマンドレル12との間に位置し、スペーサスリーブ17の外径は、後退しようとする拡張ばね16の内側穴サイズよりも小さい。したがって、スペーサスリーブ17の外径もまた、干渉組み立て後の拡張ばね16の内側穴サイズよりも小さい。
【0042】
拡張ばね16とマンドレル12との間に位置するスペーサスリーブ17は、拡張ばね16を制限する効果を生じ、拡張ばね16の接線方向における過剰な変形によって引き起こされるクラッチスリーブ15と第2ウォーム18との間のずれの危険性を低減するために、クラッチスリーブ15、拡張ばね16、および第2ウォーム18が係止されて応力下にあるときにクラッチスリーブ15、拡張ばね16、および第2ウォーム18の間の同軸関係を維持することができ、これにより、製品の耐用年数を効果的に改善する。
【0043】
いくつかの実施形態では、スペーサスリーブ17の軸方向長さは、クラッチスリーブ15と第2ウォーム18との間の軸方向位置を制限しないように、第1軸方向座ぐり141および第2軸方向座ぐり161の深さの合計よりも短い。
【0044】
図5および
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、トランスミッションギア13は、軸方向に沿って延在するスロット13aを含み、スロット13aに軸方向に挿入可能なインサートブロック15aが、第2ウォーム18から離れたクラッチスリーブ15の一端に設けられている。インサートブロック15aは、スロット13aに対して回転可能であり、インサートブロック15aの周方向幅は、トランスミッションギア13とクラッチスリーブ15との間に事前設定された回転隙間を形成するために、スロット13aの周方向幅よりも小さい。
【0045】
トランスミッションギア13のスロット13aおよびクラッチスリーブ15のインサートブロック15aの数は、それぞれ1つ以上であり得る。あるいは、スロット13aおよびインサートブロック15aの数はいずれも2つであり、2つのスロット13aおよび2つのインサートブロック15aを含む適合する構造は、トランスミッションギア13とクラッチスリーブ15との間でより大きな支持力を達成し、より信頼性の高い構造を作ることができる。
【0046】
図6では、スロット13aは、第1の側壁171および第2の側壁172を有する。トランスミッションギア13が時計回りにα°回転すると、第1の側壁171はクラッチスリーブ15のインサートブロック15aの側壁に当接し、トランスミッションギア13はクラッチスリーブ15を時計回りに回転するよう駆動する。次に、トランスミッションギア13が反時計回りにα°さらに回転すると、第2の側壁172はクラッチスリーブ15のインサートブロック15aの側壁に当接し、トランスミッションギア13はクラッチスリーブ15を反時計回りに回転するよう駆動する。
【0047】
図2から
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、回転角度制御装置は、戻しねじりばね14をさらに含む。戻しねじりばね14は、マンドレル12上に被せられ、トランスミッションギア13とクラッチスリーブ15との間に位置している。戻しねじりばね14の両端のフックは、トランスミッションギア13およびクラッチスリーブ15が外力を受けない状態で、戻しねじりばね14がトランスミッションギア13およびクラッチスリーブ15を設定位置に保持できるように、スロット13aおよびインサートブロック15aの側壁にそれぞれ留められている。
【0048】
図3から
図5および
図8を参照すると、いくつかの実施形態では、回転角度制御装置は、シャフトスリーブ19および隙間除去ばね20をさらに含む。シャフトスリーブ19の一端は第2ウォーム18の末端に当接し、シャフトスリーブ19の他端は隙間除去空洞19aを有する。隙間除去ばね20は、隙間除去空洞19a内に重ねられている。シャフトスリーブ19は、マンドレル12上に被せられ、バックルを通じてマンドレル12に接続されている。
【0049】
図8では、シャフトスリーブ19は、隙間除去空洞19aと連通している第5貫通穴28をさらに含み、第5貫通穴28の内壁は、隙間除去空洞19a内に延在する弾性クランプブロック29を有する。第5貫通穴28に面する弾性クランプブロック29の片側は、誘導斜面31を有し、マンドレル12は、弾性クランプブロック29と係合するクランプスロット30を有する。
【0050】
組み立て中、組み立てが簡便になるよう、マンドレル12の前端は、弾性ブロック29をマンドレル12のクランプスロット30の中に埋め込むために、トランスミッションギア13、戻しねじりばね14、クラッチスリーブ15、拡張ばね16、スペーサスリーブ17、第2ウォーム18、および第5貫通穴28を連続して通過する。シャフトスリーブ19とマンドレル12との間でより強固な設置を行うために、シャフトスリーブ19は、複数の弾性クランプブロック29を有してもよい。クランプスロット30は、円形クランプスロットであってもよい。
【0051】
図1および
図7を参照すると、いくつかの実施形態では、自動隙間調整器の制御ディスクアセンブリは、カバープレート22および制御アーム8をさらに含んでもよい。カバープレート22は、第1貫通穴2の軸方向に沿って第1貫通穴2の片側を覆い、取り付け穴10の開口部を遮蔽する。取り付け穴10は段付き穴であってもよく、取り付け穴10の加工を容易にし、製造コストを削減し、防水および防塵効果を向上させるために、カバープレート22によって取り付け穴10の片側が遮蔽される。
【0052】
制御アーム8およびギアリング9は、カバープレート22の両側にそれぞれ位置しており、ギアリング9にしっかりと接続されている(リベット留めなど)。制御アーム8およびギアリング9は、カバープレート22に対して同期して回転し得る。前述の隙間除去ばね20の一端は、隙間除去空洞19a内に当接してもよく、前述の隙間除去ばね20の他端は、取り付け穴10内に当接してもよい。
【0053】
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、自動隙間調整器は、軸方向に沿って第2貫通穴3の両端にそれぞれ配置された上部カバー23および下部カバー24をさらに含む。上部カバー23および下部カバー24は、第2貫通穴3の両端を封止する効果を生み出すことができる。加えて、ハウジング1は、第2貫通穴3と連通している第4貫通穴をさらに含み、自動隙間調整器は、第4貫通穴内に位置するオイルノズル25と、オイルノズル25を覆う防塵カバー26とをさらに含む。摩耗を低減し、性能を改善し、耐用年数を延ばすために、オイルノズル25からハウジング1内に潤滑油などが注入され得る。
【0054】
上述の自動隙間調整器の様々な実施形態は、自動車ブレーキに適用され得る。したがって、本開示は、上記の自動隙間調整器のいずれかを含む自動車ブレーキも提供する。
【0055】
本明細書では、本開示の様々な実施形態が詳細に説明されてきた。本開示の概念を曖昧にすることを回避するために、当該技術分野で公知のいくつかの詳細は記載されていない。上記の説明により、当業者は、本明細書に開示される技術的解決策を実施する方法を完全に知るだろう。
【0056】
本開示のいくつかの特定の実施形態は、例として詳細に説明されてきたが、当業者は、上記の例が単に説明を目的としており、本開示の範囲を限定するように意図するものではないことを、理解すべきである。本開示の範囲および精神から逸脱することなく、上記実施形態への修正、および同等に技術的特徴の一部の置換がなされ得ることは、当業者によって理解されるべきである。本開示の範囲は、添付の請求項によって定義される。