(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】板ばね装置
(51)【国際特許分類】
F16F 1/18 20060101AFI20230113BHJP
F16F 1/368 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
F16F1/18 G
F16F1/18 Z
F16F1/368 A
(21)【出願番号】P 2021561530
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 JP2020044143
(87)【国際公開番号】W WO2021107070
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2019214204
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】江口 剛司
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑介
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-013132(JP,B1)
【文献】実開昭62-037639(JP,U)
【文献】実開昭63-160449(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/18
F16F 1/368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に重ねられて設けられた複数の板ばねを備え、
上下方向で互いに隣り合う2つの板ばねのうちのいずれか一方の板ばねの表面に規制突起が設けられ、いずれか他方の板ばねの表面に窪み部が形成され、前記規制突起は前記窪み部に挿入され、
上下方向から見て、前記規制突起および前記窪み部それぞれの長手方向が、前記板ばねの長手方向と一致し、
上下方向から見て、前記板ばね、前記規制突起および前記窪み部それぞれの中心部が、互いに一致し、
前記規制突起は、上下方向および長手方向に直交する板幅方向を向き、かつ長手方向に延び、上下方向から見て、前記板ばね、前記規制突起および前記窪み部それぞれの中心部を板幅方向に挟む両側に位置する第1側面および第2側面を備え、
前記窪み部は、板幅方向を向き、かつ長手方向に延び、前記規制突起を板幅方向に挟んで互いに対向する第3側面および第4側面を備え、
前記第1側面と前記第3側面とが、板幅方向で互いに対向し、
前記第2側面と前記第4側面とが、板幅方向で互いに対向し、
前記第1側面および前記第3側面のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から第1の方向に向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第1傾斜面が形成され、
前記第2側面および前記第4側面のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から、前記第1の方向と反対側の第2の方向に向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第2傾斜面が形成されている、板ばね装置。
【請求項2】
上下方向から見て、長手方向に対する前記第1傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する前記第2傾斜面の傾斜角度とが互いに同じになっている、請求項1に記載の板ばね装置。
【請求項3】
前記第1側面および前記第3側面のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から前記第2の方向に向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第3傾斜面が形成され、
前記第2側面および前記第4側面のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から前記第1の方向に向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第4傾斜面が形成されている、請求項1または2に記載の板ばね装置。
【請求項4】
上下方向から見て、長手方向に対する前記第3傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する前記第4傾斜面の傾斜角度とが互いに同じになっている、請求項3に記載の板ばね装置。
【請求項5】
上下方向から見て、長手方向に対する前記第1傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する前記第2傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する前記第3傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する前記第4傾斜面の傾斜角度とが互いに同じになっている、請求項3または4に記載の板ばね装置。
【請求項6】
前記規制突起の板幅方向の幅は、前記規制突起が形成された前記板ばねの表面から上下方向に離れるに従い狭くなり、
前記窪み部の板幅方向の幅は、前記窪み部が形成された前記板ばねの表面から上下方向に離れるに従い狭くなっている、請求項1から5のいずれか1項に記載の板ばね装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板ばね装置に関するものである。
本願は、2019年11月27日に、日本に出願された特願2019-214204号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下方向に重ねられて設けられた複数の板ばねを備えた板ばね装置が知られている。この種の板ばね装置として、複数の板ばねのうち、1つの板ばねにおける板幅方向の両端部に、上下方向に延びる挟持板を各別に設け、これらの挟持板によって、残りの板ばねを板幅方向に挟む構成が知られている。この構成により、上下方向で互いに隣り合う板ばねが、上下方向に延び、かつ複数の板ばねの中心部を通る中心軸線回りに相対回転することが抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の板ばね装置では、挟持板が板ばねに対して出っ張るため、スペース上の制約が生ずる可能性がある。また、上下方向で互いに隣り合う板ばねが、中心軸線回りに相対回転したときに、挟持板が形成されていない板ばね、および挟持板が、例えば互いに線接触する等、耐久性を確保することが困難である可能性がある。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、かさ張りを抑え、耐久性を確保しながら、上下方向で互いに隣り合う板ばねが、中心軸線回りに相対回転するのを抑えることができる板ばね装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の板ばね装置は、上下方向に重ねられて設けられた複数の板ばねを備え、上下方向で互いに隣り合う2つの板ばねのうちのいずれか一方の板ばねの表面に規制突起が設けられ、いずれか他方の板ばねの表面に窪み部が形成され、前記規制突起は前記窪み部に挿入され、上下方向から見て、前記規制突起および前記窪み部それぞれの長手方向が、前記板ばねの長手方向と一致し、上下方向から見て、前記板ばね、前記規制突起および前記窪み部それぞれの中心部が、互いに一致し、前記規制突起は、上下方向および長手方向に直交する板幅方向を向き、かつ長手方向に延び、上下方向から見て、前記板ばね、前記規制突起および前記窪み部それぞれの中心部を板幅方向に挟む両側に位置する第1側面および第2側面を備え、前記窪み部は、板幅方向を向き、かつ長手方向に延び、前記規制突起を板幅方向に挟んで互いに対向する第3側面および第4側面を備え、前記第1側面と前記第3側面とが、板幅方向で互いに対向し、前記第2側面と前記第4側面とが、板幅方向で互いに対向し、前記第1側面および前記第3側面のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から第1の方向に向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第1傾斜面が形成され、前記第2側面および前記第4側面のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から、前記第1の方向と反対側の第2の方向に向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第2傾斜面が形成されている。
【0007】
この発明によれば、上下方向で互いに隣り合う2つの板ばねのうちのいずれか一方の板ばねの表面に、いずれか他方の板ばねの表面に形成された窪み部に挿入された規制突起が設けられている。したがって、上下方向から見たときの、板ばね、規制突起および窪み部それぞれの中心部を通り、かつ上下方向に延びる中心軸線回りに、上下方向で互いに隣り合う板ばねが相対回転したときに、規制突起の第1側面および窪み部の第3側面が互いに当接し、かつ規制突起の第2側面および窪み部の第4側面が互いに当接することにより、この相対回転を規制することができる。
この際、第1側面および第3側面のうちのいずれか一方の側面に、長手方向に沿って中央部から第1の方向に向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第1傾斜面が形成され、第2側面および第4側面のうちのいずれか一方の側面に、長手方向に沿って中央部から、第1の方向と反対側の第2の方向に向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第2傾斜面が形成されている。したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばねが、中心軸線回りに相対回転したときに、規制突起の第1側面および窪み部の第3側面が、第1傾斜面によって互いに面接触し、かつ規制突起の第2側面および窪み部の第4側面が、第2傾斜面によって互いに面接触する。これにより、第1~第4側面に応力が集中する部分が生ずるのを抑制することが可能になり、耐久性を確保することができる。
上下方向から見て、規制突起および窪み部それぞれの長手方向が、板ばねの長手方向と一致している。したがって、板ばね装置に負荷が加えられ、複数の板ばねが上下方向にたわみ変形したときに、規制突起および窪み部それぞれの長手方向が、板ばねの板幅方向に延びている構成と比べて、規制突起を窪み部から外れにくくすることができる。
規制突起および窪み部が、上下方向で互いに隣り合う2つの板ばね同士の間に設けられている。したがって、複数の板ばねに対して突出する部分を生じさせずに、前述の作用効果を奏功させることが可能になり、板ばね装置のかさ張りを防ぐことができる。
【0008】
上下方向から見て、長手方向に対する前記第1傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する前記第2傾斜面の傾斜角度とが互いに同じになってもよい。
【0009】
この場合、上下方向から見て、長手方向に対する第1傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する第2傾斜面の傾斜角度とが互いに同じになっている。したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばねが、中心軸線回りに相対回転し、規制突起の第1側面および窪み部の第3側面が互いに当接し、かつ規制突起の第2側面および窪み部の第4側面が互いに当接したときに、第1~第4側面に応力が集中する部分が生ずるのを確実に抑制することができる。
【0010】
前記第1側面および前記第3側面のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から前記第2の方向に向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第3傾斜面が形成され、前記第2側面および前記第4側面のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から前記第1の方向に向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第4傾斜面が形成されてもよい。
【0011】
この場合、第1~第4傾斜面が設けられている。したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばねの中心軸線回りの回転方向によらず、規制突起の第1側面および窪み部の第3側面を互いに面接触させ、かつ規制突起の第2側面および窪み部の第4側面を互いに面接触させることが可能になる。これにより、第1~第4側面に応力が集中する部分が生ずるのを確実に抑制することができる。
【0012】
上下方向から見て、長手方向に対する前記第3傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する前記第4傾斜面の傾斜角度とが互いに同じになってもよい。
【0013】
この場合、上下方向から見て、長手方向に対する第3傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する第4傾斜面の傾斜角度とが互いに同じになっている。したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばねが、中心軸線回りに相対回転し、規制突起の第1側面および窪み部の第3側面が互いに当接し、かつ規制突起の第2側面および窪み部の第4側面が互いに当接したときに、第1~第4側面に応力が集中する部分が生ずるのを確実に抑制することができる。
【0014】
上下方向から見て、長手方向に対する前記第1傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する前記第2傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する前記第3傾斜面の傾斜角度と、長手方向に対する前記第4傾斜面の傾斜角度とが互いに同じになってもよい。
【0015】
この場合、第1~第4傾斜面の、長手方向に対する上下方向から見た各傾斜角度が互いに同じになっている。したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばねの中心軸線回りの回転方向によらず、第1~第4側面に加えられる各負荷を同等にすることが可能になり、耐久性を確実に確保することができる。
【0016】
前記規制突起の板幅方向の幅は、前記規制突起が形成された前記板ばねの表面から上下方向に離れるに従い狭くなり、前記窪み部の板幅方向の幅は、前記窪み部が形成された前記板ばねの表面から上下方向に離れるに従い狭くなってもよい。
【0017】
この場合、規制突起の板幅方向の幅が、この規制突起が形成された板ばねの表面から上下方向に離れるに従い狭くなり、窪み部の板幅方向の幅が、この窪み部が形成された板ばねの表面から上下方向に離れるに従い狭くなっている。したがって、規制突起および窪み部それぞれの幅が、上下方向の全域にわたって同じになっている構成と比べて、第1~第4側面の各平面積を広く確保することが可能になり、規制突起の第1側面および窪み部の第3側面が互いに面接触し、かつ規制突起の第2側面および窪み部の第4側面が互いに面接触したときに、第1~第4側面に応力が集中する部分が生ずるのを確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、かさ張りを抑え、耐久性を確保しながら、上下方向で互いに隣り合う板ばねが、中心軸線回りに相対回転するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る第1実施形態として示した板ばね装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示す板ばね装置のII-II線矢視断面図である。
【
図3】
図1に示す板ばね装置のIII-III線矢視断面図である。
【
図4】本発明に係る第2実施形態の板ばね装置の断面図である。
【
図5】本発明に係る第3実施形態の板ばね装置の断面図である。
【
図6】本発明に係る第4実施形態の板ばね装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る板ばね装置の第1実施形態を、
図1~
図3を参照しながら説明する。
本実施形態の板ばね装置1は、上下方向に重ねられて設けられた複数の板ばね11、12を備えている。
【0021】
板ばね11、12は、例えば樹脂、金属、若しくは繊維強化樹脂(FRP)等により形成される。繊維強化樹脂に含まれる繊維としては、例えばガラス繊維、および炭素繊維等が挙げられる。図示の例では、板ばね11、12は、ガラス製の短繊維を含有した繊維強化樹脂により形成されている。繊維は、板ばね11、12の長手方向に延びた状態で、樹脂中に含有されている。
【0022】
複数の板ばね11、12のうち、上方に位置する親板ばね11は、長手方向に沿って中央部から端部に向かうに従い、上方に向けて延び、下方に向けて突の曲面状に湾曲している。複数の板ばね11、12のうち、下方に位置する子板ばね12は、長手方向に沿って中央部から端部に向かうに従い、下方に向けて延び、上方に向けて突の曲面状に湾曲している。親板ばね11および子板ばね12それぞれの長手方向の中央部は、互いに当接して上下方向に積層されている。
【0023】
上下方向から見たときの複数の板ばね11、12の各中心部は、互いに一致している。複数の板ばね11、12の各中心部を上下方向に貫くボルトBが設けられ、このボルトBにナットNが螺着されることにより、複数の板ばね11、12が一体に固定されている。
以下、上下方向に延び、複数の板ばね11、12の各中心部を通る直線を中心軸線Oという。
【0024】
親板ばね11における長手方向の両端部に、上下方向および長手方向に直交する板幅方向に開口する装着筒部11aが設けられている。装着筒部11aを介して板ばね装置1が車体等に連結される。
図示の例では、親板ばね11および子板ばね12が1つずつ設けられているが、例えば複数ずつ設けられてもよい。
【0025】
そして、本実施形態では、
図2および
図3に示されるように、上下方向で互いに隣り合う2つの板ばね11、12のうちの一方の板ばね12の表面に、他方の板ばね11の表面に形成された窪み部13に挿入された規制突起14が設けられている。
規制突起14および窪み部13は、板ばね11、12における長手方向の中央部に設けられている。上下方向から見て、窪み部13は、規制突起14より大きくなっている。なお、規制突起14および窪み部13を、板ばね11、12における長手方向の全長にわたって設けてもよい。
【0026】
図示の例では、窪み部13は、親板ばね11の下面に形成され、規制突起14は、子板ばね12の上面に形成されている。
なお、窪み部13を、子板ばね12の上面に形成し、規制突起14を、親板ばね11の下面に設けてもよい。規制突起14は、子板ばね12を形成する材質と同じ材質で形成されてもよいし、異なる材質で形成されてもよい。規制突起14は、子板ばね12と別体であってもよい。なお、規制突起14を子板ばね12と別体で設ける場合には、規制突起14と子板ばね12とは、接着または嵌合により固定してもよい。規制突起14を、子板ばね12と異なる材質で形成する場合には、規制突起14の材質としては、例えば、樹脂、金属、若しくは繊維強化樹脂(FRP)が挙げられる。同様に、窪み部13は親板ばね11と別体であってもよい。なお、窪み部13を親板ばね11と別体で設ける場合には、窪み部13と親板ばね11とは、接着または嵌合により固定してもよい。窪み部13を、親板ばね11と異なる材質で形成する場合には、窪み部13の材質としては、例えば、樹脂、金属、若しくは繊維強化樹脂(FRP)が挙げられる。
【0027】
上下方向から見て、規制突起14および窪み部13それぞれの長手方向が、板ばね11、12の長手方向と一致している。図示の例では、上下方向から見て、規制突起14および窪み部13はそれぞれ、長方形状を呈する。上下方向から見たときの規制突起14および窪み部13それぞれの中心部が、複数の板ばね11、12の各中心部と一致している。
【0028】
なお、規制突起14および窪み部13それぞれにおける長手方向の両端縁は、上下方向から見て、例えば、長手方向の外側に向けて突の曲線状等を呈してもよい。また、規制突起14および窪み部13それぞれにおける長手方向の両端部の板幅方向の幅は、長手方向の外側に向かうに従い、狭くなってもよい。
【0029】
規制突起14は、板幅方向を向き、かつ長手方向に延びる第1側面21および第2側面22を備えている。第1側面21および第2側面22は、上下方向から見て、中心軸線Oを板幅方向に挟む両側に位置する。
図示の例では、規制突起14は、直方体状に形成されており、第1側面21および第2側面22の各上端部同士を連結し、上方を向く上端面14aを備えている。規制突起14における長手方向の両端面14bは、上下方向に真直ぐ延びている。
なお、規制突起14は、上端面14aを有しなくてもよく、規制突起14における長手方向の両端面14bは、例えば、子板ばね12の上面から上方に向かうに従い、規制突起14の長さを短くするように、長手方向の内側に向けて延びてもよい。また、規制突起14は、直方体状に限らず適宜変更してもよい。
【0030】
窪み部13は、板幅方向を向き、かつ長手方向に延びる第3側面23および第4側面24を備えている。第3側面23および第4側面24は、規制突起14を板幅方向に挟んで互いに対向する。
図示の例では、窪み部13の内部空間は、直方体状に形成されており、窪み部13は、第3側面23および第4側面24の各上端部同士を連結し、下方を向く上端面13aを備えている。窪み部13における長手方向の両端面13bは、上下方向に真直ぐ延びている。
なお、窪み部13は、上端面13aを有しなくてもよく、窪み部13における長手方向の両端面13bは、例えば、親板ばね11の下面から上方に向かうに従い、窪み部13の長さを短くするように、長手方向の内側に向けて延びてもよい。
【0031】
規制突起14の第1側面21と窪み部13の第3側面23とが、板幅方向で互いに対向し、規制突起14の第2側面22と窪み部13の第4側面24とが、板幅方向で互いに対向している。
第1側面21および第3側面23における長手方向の中央部同士は、板幅方向に互いに当接、若しくは近接している。第2側面22および第4側面24における長手方向の中央部同士は、板幅方向に互いに当接、若しくは近接している。規制突起14の上端面14aは、窪み部13の上端面13aに当接、若しくは近接している。
本実施形態では、
図3に示されるように、第1側面21および第3側面23における長手方向の中央部同士は、板幅方向に互いに近接している。第2側面22および第4側面24における長手方向の中央部同士は、板幅方向に互いに近接している。規制突起14および窪み部13の各上端面14a、13a同士は、互いに当接している。
なお、
図3の例では、第1側面21および第3側面23は、それぞれ近接した平面を有しているが、それぞれ近接した曲面を有していても良い。また、第2側面22および第4側面24は、それぞれ近接した平面を有しているが、それぞれ近接した曲面を有していても良い。
【0032】
規制突起14の板幅方向の幅は、この規制突起14が形成された子板ばね12の上面から上方に離れるに従い狭くなっている。すなわち、第1側面21および第2側面22は、子板ばね12の上面から上方に向かうに従い、互いに近付くように板幅方向の内側に向けて延びている。
窪み部13の板幅方向の幅は、この窪み部13が形成された親板ばね11の下面から上方に離れるに従い狭くなっている。すなわち、第3側面23および第4側面24は、親板ばね11の下面から上方に向かうに従い、互いに近付くように板幅方向の内側に向けて延びている。
【0033】
第1側面21および第3側面23のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第1傾斜面16が形成されている。
図示の例では、第1傾斜面16は、窪み部13の第3側面23のうち、長手方向の中央部と、第1の方向Xの端部23aと、の間における全域にわたって設けられている。第3側面23における第1の方向Xの端部23aは、長手方向に沿って真直ぐ延びている。
【0034】
第2側面22および第4側面24のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から、第1の方向Xと反対側の第2の方向Yに向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第2傾斜面17が形成されている。
図示の例では、第2傾斜面17は、窪み部13の第4側面24のうち、長手方向の中央部と、第2の方向Yの端部24aと、の間における全域にわたって設けられている。第4側面24における第2の方向Yの端部24aは、長手方向に沿って真直ぐ延びている。
【0035】
上下方向から見て、長手方向に対する第1傾斜面16の傾斜角度θ1と、長手方向に対する第2傾斜面17の傾斜角度θ2とが互いに同じになっている。これにより、上下方向で互いに隣り合う板ばね11、12が、中心軸線O回りに相対回転したときに、規制突起14の第1側面21および第1傾斜面16の面接触と、規制突起14の第2側面22および第2傾斜面17の面接触と、が同時に生ずるようになっている。なお、これらの傾斜角度θ1、θ2を互いに異ならせてもよい。
【0036】
第1側面21および第3側面23のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第3傾斜面18が形成されている。
図示の例では、第3傾斜面18は、窪み部13の第3側面23のうち、長手方向の中央部と、第2の方向Yの端部23bと、の間における全域にわたって設けられている。第3側面23における第2の方向Yの端部23bは、長手方向に沿って真直ぐ延びている。
【0037】
第2側面22および第4側面24のうちのいずれか一方の側面には、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第4傾斜面19が形成されている。
図示の例では、第4傾斜面19は、窪み部13の第4側面24のうち、長手方向の中央部と、第1の方向Xの端部24bと、の間における全域にわたって設けられている。第4側面24における第1の方向Xの端部24bは、長手方向に沿って真直ぐ延びている。
【0038】
上下方向から見て、長手方向に対する第3傾斜面18の傾斜角度θ3と、長手方向に対する第4傾斜面19の傾斜角度θ4とが互いに同じになっている。これにより、上下方向で互いに隣り合う板ばね11、12が、中心軸線O回りに相対回転したときに、規制突起14の第1側面21および第3傾斜面18の面接触と、規制突起14の第2側面22および第4傾斜面19の面接触と、が同時に生ずるようになっている。なお、これらの傾斜角度θ3、θ4を互いに異ならせてもよい。
【0039】
本実施形態では、上下方向から見て、長手方向に対する第1傾斜面16の傾斜角度θ1と、長手方向に対する第2傾斜面17の傾斜角度θ2と、長手方向に対する第3傾斜面18の傾斜角度θ3と、長手方向に対する第4傾斜面19の傾斜角度θ4とが互いに同じになっている。
なお、上下方向から見て、長手方向に対する第1傾斜面16および第2傾斜面17の各傾斜角度θ1、θ2と、長手方向に対する第3傾斜面18および第4傾斜面19の各傾斜角度θ3、θ4と、を互いに異ならせてもよい。
【0040】
規制突起14における第1側面21および第2側面22は、全域にわたって長手方向に沿って真直ぐ延びている。
窪み部13における第3側面23および第4側面24は、長手方向に沿って中央部から端部23a、23b、24a、24bに向かうに従い、窪み部13の幅が広くなるように、互いに離間している。
【0041】
窪み部13の第3側面23における長手方向の中央部に、第1傾斜面16と第3傾斜面18とを段差なく接続する接続部分25が設けられる。接続部分25は、板幅方向の内側に向けて突の曲面状に形成されている。窪み部13の第4側面24における長手方向の中央部に、第2傾斜面17と第4傾斜面19とを段差なく接続する接続部分26が設けられる。接続部分26は、板幅方向の内側に向けて突の曲面状に形成されている。
【0042】
図示の例では、上下方向から見て、各接続部分25、26の曲率半径rは、互いに同じになっているが、互いに異ならせてもよい。
上下方向から見て、第1傾斜面16、第3傾斜面18、および接続部分25の全体は、単一または変曲の円弧形状を呈してもよい。第2傾斜面17、第4傾斜面19、および接続部分26の全体は、単一または変曲の円弧形状を呈してもよい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態による板ばね装置1によれば、上下方向で互いに隣り合う2つの板ばね11、12のうちのいずれか一方の板ばね12の表面に規制突起14が設けられ、いずれか他方の板ばね11の表面に窪み部13が形成され、規制突起14が窪み部13に挿入されている。
したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばね11、12が、中心軸線O回りに相対回転したときに、規制突起14の第1側面21および窪み部13の第3側面23が互いに当接し、かつ規制突起14の第2側面22および窪み部13の第4側面24が互いに当接する。これにより、板ばね11、12の相対回転を規制することができる。
また、窪み部13および規制突起14が設けられていない従来の板ばね装置に比べて、板ばね11、12における窪み部13および規制突起14が設けられている部分の曲げ剛性を向上させることができる。
また、窪み部13および規制突起14が設けられていない従来の板ばね装置においては、板ばね装置の各板ばねの中立軸は、板ばねの上下方向における中央に位置することとなる。本実施形態においては、窪み部13および規制突起14を設けることにより、
図3に示されるように、板ばね11、12の中立軸C1,C2の位置を移動させることができ、これにより板ばね装置1が上下方向に機能する際に発生する引張りや圧縮の応力比を変化させることができる。すなわち、窪み部13および規制突起14の形成によって応力を最適化し、板ばね装置1の上下方向への耐久性を向上させることができる。
【0044】
この際、第1側面21および第3側面23のうちのいずれか一方の側面に、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第1傾斜面16が形成されている。第2側面22および第4側面24のうちのいずれか一方の側面に、長手方向に沿って中央部から、第1の方向Xと反対側の第2の方向Yに向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れる第2傾斜面17が形成されている。
したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばね11、12が、中心軸線O回りに相対回転したときに、規制突起14の第1側面21および窪み部13の第3側面23が、第1傾斜面16によって互いに面接触し、かつ規制突起14の第2側面22および窪み部13の第4側面24が、第2傾斜面17によって互いに面接触する。これにより、第1~第4側面21~24に応力が集中する部分が生ずるのを抑制することが可能になり、耐久性を確保することができる。
【0045】
また、第1傾斜面16は、第1側面21および第3側面23のうちのいずれか一方の側面に、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れるよう形成されている。第2傾斜面17は、第2側面22および第4側面24のうちのいずれか一方の側面に、長手方向に沿って中央部から、第2の方向Yに向かうに従い、いずれか他方の側面から板幅方向に離れるよう形成されている。したがって、板ばね11、12が相対回転したときに当接する場合を除き、第1側面21と第3側面23とは、少なくとも長手方向の中央部を除く部分において互いに接触しておらず、第2側面22と第4側面24とは、少なくとも長手方向の中央部を除く部分において互いに接触していない。したがって、板ばね11、12同士の接触による摩擦の発生を低減することができ、板ばね装置1の耐久性が向上する。
【0046】
上下方向から見て、規制突起14および窪み部13それぞれの長手方向が、板ばね11、12の長手方向と一致している。したがって、板ばね装置1に負荷が加えられ、複数の板ばね11、12が上下方向にたわみ変形したときに、規制突起14および窪み部13それぞれの長手方向が、板ばね11、12の板幅方向に延びている構成と比べて、規制突起14を窪み部13から外れにくくすることができる。
【0047】
規制突起14および窪み部13が、上下方向で互いに隣り合う2つの板ばね11、12同士の間に設けられている。したがって、複数の板ばね11、12に対して突出する部分を生じさせずに、前述の作用効果を奏功させることが可能になり、板ばね装置1のかさ張りを防ぐことができる。
【0048】
上下方向から見て、長手方向に対する第1傾斜面16の傾斜角度θ1と、長手方向に対する第2傾斜面17の傾斜角度θ2とが互いに同じになっている。したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばね11、12が、中心軸線O回りに相対回転し、規制突起14の第1側面21および窪み部13の第3側面23が互いに当接し、かつ規制突起14の第2側面22および窪み部13の第4側面24が互いに当接したときに、第1~第4側面21~24に応力が集中する部分が生ずるのを確実に抑制することができる。
【0049】
第1~第4傾斜面16~19が設けられている。したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばね11、12の中心軸線O回りの回転方向によらず、規制突起14の第1側面21および窪み部13の第3側面23を互いに面接触させ、かつ規制突起14の第2側面22および窪み部13の第4側面24を互いに面接触させることが可能になる。これにより、第1~第4側面21~24に応力が集中する部分が生ずるのを確実に抑制することができる。
【0050】
上下方向から見て、長手方向に対する第3傾斜面18の傾斜角度θ3と、長手方向に対する第4傾斜面19の傾斜角度θ4とが互いに同じになっている。したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばね11、12が、中心軸線O回りに相対回転し、規制突起14の第1側面21および窪み部13の第3側面23が互いに当接し、かつ規制突起14の第2側面22および窪み部13の第4側面24が互いに当接したときに、第1~第4側面21~24に応力が集中する部分が生ずるのを確実に抑制することができる。
【0051】
上下方向から見て、長手方向に対する第1傾斜面16の傾斜角度θ1と、長手方向に対する第2傾斜面17の傾斜角度θ2と、長手方向に対する第3傾斜面18の傾斜角度θ3と、長手方向に対する第4傾斜面19の傾斜角度θ4とが互いに同じになっている。したがって、上下方向で互いに隣り合う板ばね11、12の中心軸線O回りの回転方向によらず、第1~第4側面21~24に加えられる各負荷を同等にすることが可能になり、耐久性を確実に確保することができる。
【0052】
規制突起14の板幅方向の幅が、この規制突起14が形成された子板ばね12の上面から上方に離れるに従い狭くなり、窪み部13の板幅方向の幅が、この窪み部13が形成された親板ばね11の下面から上方に離れるに従い狭くなっている。
したがって、規制突起14および窪み部13それぞれの幅が、上下方向の全域にわたって同じになっている構成と比べて、第1~第4側面21~24の各平面積を広く確保することが可能になる。したがって、規制突起14の第1側面21および窪み部13の第3側面23が互いに面接触し、かつ規制突起14の第2側面22および窪み部13の第4側面24が互いに面接触したときに、第1~第4側面21~24に応力が集中する部分が生ずるのを確実に抑制することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る板ばね装置の第2実施形態を、
図4を参照しながら説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0054】
本実施形態の板ばね装置1Aは、第1実施形態の板ばね装置1と、規制突起14の構成において異なる。
図4に示すように、本実施形態においては、上下方向から見て、規制突起14の板幅方向の幅が、長手方向における中央部から両端部に向かうに従い、広くなっている。
【0055】
具体的には、規制突起14の第1側面121に、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、中心軸線Oを通り長手方向に沿った仮想線Vから板幅方向に離れる第5傾斜面31が形成されている。
第5傾斜面31は、窪み部13の第3側面23に形成される第1傾斜面16と板幅方向で対向している。上下方向から見て、長手方向に対する第1傾斜面16の傾斜角度θ1は、長手方向に対する第5傾斜面31の傾斜角度θ5よりも大きくなっている。したがって、第1傾斜面16は、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、第1側面121(第5傾斜面31)から板幅方向に離れるよう形成されている。言い換えると、第5傾斜面31は、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、第3側面23(第1傾斜面16)から板幅方向に離れるよう形成されている。
【0056】
規制突起14の第2側面122に、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、仮想線Vから板幅方向に離れる第6傾斜面32が形成されている。
第6傾斜面32は、窪み部13の第4側面24に形成される第2傾斜面17と板幅方向で対向している。上下方向から見て、長手方向に対する第2傾斜面17の傾斜角度θ2は、長手方向に対する第6傾斜面32の傾斜角度θ6よりも大きくなっている。したがって、第2傾斜面17は、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、第2側面122(第6傾斜面32)から板幅方向に離れるよう形成されている。言い換えると、第6傾斜面32は、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、第4側面24(第2傾斜面17)から板幅方向に離れるよう形成されている。
【0057】
規制突起14の第1側面121に、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、仮想線Vから板幅方向に離れる第7傾斜面33が形成されている。
第7傾斜面33は、窪み部13の第3側面23に形成される第3傾斜面18と板幅方向で対向している。上下方向から見て、長手方向に対する第3傾斜面18の傾斜角度θ3は、長手方向に対する第7傾斜面33の傾斜角度θ7よりも大きくなっている。したがって、第3傾斜面18は、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、第1側面121(第7傾斜面33)から板幅方向に離れるよう形成されている。言い換えると、第7傾斜面33は、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、第3側面23(第3傾斜面18)から板幅方向に離れるよう形成されている。
【0058】
規制突起14の第2側面122に、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、仮想線Vから板幅方向に離れる第8傾斜面34が形成されている。
第8傾斜面34は、窪み部13の第4側面24に形成される第4傾斜面19と板幅方向で対向している。上下方向から見て、長手方向に対する第4傾斜面19の傾斜角度θ4は、長手方向に対する第8傾斜面34の傾斜角度θ8よりも大きくなっている。したがって、第4傾斜面19は、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、第2側面122(第8傾斜面34)から板幅方向に離れるよう形成されている。言い換えると、第8傾斜面34は、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、第4側面24(第4傾斜面19)から板幅方向に離れるよう形成されている。
【0059】
なお、上下方向から見て、長手方向に対する第5傾斜面31の傾斜角度θ5と、長手方向に対する第6傾斜面32の傾斜角度θ6と、長手方向に対する第7傾斜面33の傾斜角度θ7と、長手方向に対する第8傾斜面34の傾斜角度θ8とが互いに同じになっている。
【0060】
本実施形態の板ばね装置1Aにおいても、第1実施形態の板ばね装置1と同様の作用効果を奏功させることが可能である。
また、窪み部13に第1~第4傾斜面16~19が設けられていることに加えて、規制突起14に第5~第8傾斜面31~34が設けられている。この構成とすることで、板ばね11、12の相対回転を規制する効果を維持しつつ、接触面積を大きく取ることができかつ力のかかる方向を板幅方向および長手方向に分散させることができるため、より板ばね装置1Aの耐久性を向上させることができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る板ばね装置の第3実施形態を、
図5を参照しながら説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0062】
本実施形態の板ばね装置1Bは、第1実施形態の板ばね装置1と、窪み部13および規制突起14の構成において異なる。
図5に示すように、本実施形態においては、上下方向から見て、窪み部13の板幅方向の幅が、長手方向における中央部から両端部に向かうに従い、狭くなっている。また、規制突起14の板幅方向の幅が、長手方向における中央部から両端部に向かうに従い、狭くなっている。
【0063】
具体的には、窪み部13の第3側面223に、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、中心軸線Oを通り長手方向に沿った仮想線Vに板幅方向に近づく第1傾斜面216が形成されている。
規制突起14の第1側面221に、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、仮想線Vに板幅方向に近づく第5傾斜面231が形成されている。
第5傾斜面231は、第1傾斜面216と板幅方向で対向している。上下方向から見て、長手方向に対する第1傾斜面216の傾斜角度θ21は、長手方向に対する第5傾斜面231の傾斜角度θ25よりも小さくなっている。したがって、第1傾斜面216は、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、第1側面221(第5傾斜面231)から板幅方向に離れるよう形成されている。言い換えると、第5傾斜面231は、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、第3側面223(第1傾斜面216)から板幅方向に離れるよう形成されている。
【0064】
窪み部13の第4側面224に、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、仮想線Vに板幅方向に近づく第2傾斜面217が形成されている。
規制突起14の第2側面222に、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、仮想線Vに板幅方向に近づく第6傾斜面232が形成されている。
第6傾斜面232は、第2傾斜面217と板幅方向で対向している。上下方向から見て、長手方向に対する第2傾斜面217の傾斜角度θ22は、長手方向に対する第6傾斜面232の傾斜角度θ26よりも小さくなっている。したがって、第2傾斜面217は、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、第2側面222(第6傾斜面232)から板幅方向に離れるよう形成されている。言い換えると、第6傾斜面232は、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、第4側面224(第2傾斜面217)から板幅方向に離れるよう形成されている。
【0065】
窪み部13の第3側面223に、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、仮想線Vに板幅方向に近づく第3傾斜面218が形成されている。
規制突起14の第1側面221に、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、仮想線Vに板幅方向に近づく第7傾斜面233が形成されている。
第7傾斜面233は、第3傾斜面218と板幅方向で対向している。上下方向から見て、長手方向に対する第3傾斜面218の傾斜角度θ23は、長手方向に対する第7傾斜面233の傾斜角度θ27よりも小さくなっている。したがって、第3傾斜面218は、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、第1側面221(第7傾斜面233)から板幅方向に離れるよう形成されている。言い換えると、第7傾斜面233は、長手方向に沿って中央部から第2の方向Yに向かうに従い、第3側面223(第3傾斜面218)から板幅方向に離れるよう形成されている。
【0066】
窪み部13の第4側面224に、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、仮想線Vに板幅方向に近づく第4傾斜面219が形成されている。
規制突起14の第2側面222に、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、仮想線Vに板幅方向に近づく第8傾斜面234が形成されている。
第8傾斜面234は、第4傾斜面219と板幅方向で対向している。上下方向から見て、長手方向に対する第4傾斜面219の傾斜角度θ24は、長手方向に対する第8傾斜面234の傾斜角度θ28よりも小さくなっている。したがって、第4傾斜面219は、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、第2側面222(第8傾斜面234)から板幅方向に離れるよう形成されている。言い換えると、第8傾斜面234は、長手方向に沿って中央部から第1の方向Xに向かうに従い、第4側面224(第4傾斜面219)から板幅方向に離れるよう形成されている。
【0067】
なお、上下方向から見て、長手方向に対する第1傾斜面216の傾斜角度θ21と、長手方向に対する第2傾斜面217の傾斜角度θ22と、長手方向に対する第3傾斜面218の傾斜角度θ23と、長手方向に対する第4傾斜面219の傾斜角度θ24とが互いに同じになっている。
また、上下方向から見て、長手方向に対する第5傾斜面231の傾斜角度θ25と、長手方向に対する第6傾斜面232の傾斜角度θ26と、長手方向に対する第7傾斜面233の傾斜角度θ27と、長手方向に対する第8傾斜面234の傾斜角度θ28とが互いに同じになっている。
【0068】
本実施形態の板ばね装置1Bにおいても、第1実施形態の板ばね装置1と同様の作用効果を奏功させることが可能である。
また、窪み部13に第1~第4傾斜面216~219が設けられており、規制突起14に第5~第8傾斜面231~234が設けられている。この構成とすることで、板ばね11、12の相対回転を規制する効果を維持しつつ、接触面積を大きく取ることができかつ力のかかる方向を板幅方向および長手方向に分散させることができるため、より板ばね装置1Bの耐久性を向上させることができる。
【0069】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る板ばね装置の第4実施形態を、
図6を参照しながら説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0070】
本実施形態の板ばね装置1Cにおいては、窪み部13および規制突起14の組が、板幅方向に2つ配置されている。なお、本実施形態の窪み部13および規制突起14の構成は、第1実施形態のものと同一である。本実施形態において、第2実施形態または第3実施形態の窪み部13および規制突起14を用いてもよい。
上下方向から見て、2つの窪み部13および規制突起14の組は、中心軸線Oを挟んで配置される。上下方向から見て、2つの窪み部13および規制突起14の組は、中心軸線Oについて点対称に設けられる。これにより、上下方向で互いに隣り合う板ばね11、12が、中心軸線O回りに相対回転したときに、窪み部13および規制突起14の一方の組における第1側面21と第3側面23との当接および第2側面22と第4側面24との当接と、窪み部13および規制突起14の他方の組における第1側面21と第3側面23との当接および第2側面22と第4側面24との当接と、が同時に生ずるようになっている。
【0071】
本実施形態の板ばね装置1Cにおいても、第1実施形態の板ばね装置1と同様の作用効果を奏功させることが可能である。
また、規制突起14を2つ設けることにより、応力が分散され、各規制突起14における応力が緩和されることで、板ばね装置1Cの耐久性を向上させることができる。また、接触面積が増大することで板ばね11、12の相対回転を規制する効果を向上させることができる。
なお、規制突起14は2つに限らず、3つ以上設けても良い。
【0072】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0073】
例えば上記第1実施形態では、第1傾斜面16および第3傾斜面18が、窪み部13の第3側面23に形成され、第2傾斜面17および第4傾斜面19が、窪み部13の第4側面24に形成された構成を示した。しかしながら、第1傾斜面16および第3傾斜面18のうちの少なくとも一方を、規制突起14の第1側面21に形成し、第2傾斜面17および第4傾斜面19のうちの少なくとも一方を、規制突起14の第2側面22に形成してもよい。
【0074】
例えば、上記第1実施形態において、第1傾斜面16を規制突起14の第1側面21に形成し、かつ第4傾斜面19を規制突起14の第2側面22に形成してもよい。また、第2傾斜面17を規制突起14の第2側面22に形成し、かつ第3傾斜面18を規制突起14の第1側面21に形成してもよい。
第3傾斜面18および第4傾斜面19を有しない構成を採用してもよい。
【0075】
例えば、上記第1実施形態において、規制突起14および窪み部13は、板ばね11、12における長手方向の中央部から板ばね11、12における長手方向の両端縁までの間の、任意の位置まで延びるよう設けてもよい。
なお、規制突起14および窪み部13を長手方向に延長した場合、隣接する板ばね11、12に横方向(すなわち、板幅方向)の力を伝達できるため、板ばね11、12の強度が向上するとともに、板ばね装置1の全体の横剛性が向上する。
規制突起14および窪み部13を、板ばね11、12における長手方向の中央部に設ける場合において、板ばね11、12の断面積を長手方向に亘って一定とすると、板ばね11、12の中央部において、板ばね11、12の板幅方向の幅を減少させるために板ばね11、12の厚さ(すなわち、上下方向の長さ)が増加し、板ばね11、12の曲げ剛性が向上する。この結果、ボルトBが設けられる板ばね11、12の中心部におけるせん断応力や曲げ応力を低減することができ、板ばね装置1の強度が向上する。
【0076】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態、および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、かさ張りを抑え、耐久性を確保しながら、上下方向で互いに隣り合う板ばねが、中心軸線回りに相対回転するのを抑えることができる。
【符号の説明】
【0078】
1、1A、1B、1C 板ばね装置
11、12 板ばね
13、213 窪み部
14、114、214 規制突起
16、216 第1傾斜面
17、217 第2傾斜面
18、218 第3傾斜面
19、219 第4傾斜面
21、121、221 第1側面
22、122、222 第2側面
23、223 第3側面
24、224 第4側面
31、231 第5傾斜面
32、232 第6傾斜面
33、233 第7傾斜面
34、234 第8傾斜面
O 中心軸線
X 第1の方向
Y 第2の方向
θ1~θ8、θ21~θ28 傾斜角度