(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】リバウンド眼圧計ドッキングステーション
(51)【国際特許分類】
A61B 3/16 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A61B3/16
(21)【出願番号】P 2021570421
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(86)【国際出願番号】 US2020030362
(87)【国際公開番号】W WO2020251691
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-01-05
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518411383
【氏名又は名称】ライカート インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REICHERT,INC.
【住所又は居所原語表記】3362 Walden Avenue,Suite 100,Depew,NY 14043,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス エム シュヴァイツァー
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ジェイ ボナヴェンチュラ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エー テイラー
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0022748(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0137939(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0201414(US,A1)
【文献】icare tonometer PRO USER'S AND MAINTENANCE MANUAL,Icare Finland Oy,2012年01月,v1.1 01/12 EN
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式リバウンド眼圧計と、眼圧計プローブを搭載したプローブコンテナとを受け入れるドッキングステーション(受台)であって、
前記プローブコンテナにカバーが連携され、
前記カバーは、前記眼圧計プローブが前記プローブコンテナ内に閉じ込められる閉位置と、ユーザが前記眼圧計プローブにアクセスできる開位置との間で、前記プローブコンテナに対して相対的に移動可能であり、
前記リバウンド眼圧計の一部を受け入れるための上方に開いたドッキング空洞と、前記プローブコンテナを受け入れるためのコンテナ容器とを有するベースを含む支持アセンブリを備え、
前記支持アセンブリは、前記プローブコンテナが前記コンテナ容器に挿入されたときに、前記カバーを前記閉位置から前記開位置に移動させる作動部材を含むことを特徴とするドッキングステーション。
【請求項2】
前記支持アセンブリは、前記コンテナ容器への前記プローブコンテナの挿入時に、前記プローブコンテナ及び前記カバーが挿入される挿入路を規定し、
前記作動部材は、前記挿入路に延びる突起を備え、該突起は前記プローブコンテナではなく前記カバーと係合するように配置され、それにより、前記コンテナ容器への前記プローブコンテナのさらなる挿入により、前記カバーが前記閉位置から前記開位置に移動することを特徴とする請求項1に記載のドッキングステーション。
【請求項3】
前記カバーは、前記閉位置から前記開位置まで前記プローブコンテナに対して相対的にスライドするようになっていることを特徴とする請求項2に記載のドッキングステーション。
【請求項4】
前記突起は、前記挿入路の下方に延びる張り出した突起であることを特徴とする請求項2に記載のドッキングステーション。
【請求項5】
前記支持アセンブリは、前記ベースに取り付けられたルーフをさらに含み、前記ルーフは、前記挿入路の少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項4に記載のドッキングステーション。
【請求項6】
前記張り出した突起は、前記ルーフから下方に延びていることを特徴とする請求項5に記載のドッキングステーション。
【請求項7】
前記コンテナ容器は、前記ルーフによって部分的に覆われていることを特徴とする請求項5に記載のドッキングステーション。
【請求項8】
前記コンテナ容器は、前記プローブコンテナの挿入方向に下方に傾斜していることを特徴とする請求項5に記載のドッキングステーション。
【請求項9】
前記支持アセンブリは、収納凹部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のドッキングステーション。
【請求項10】
前記支持アセンブリは、前記ベースに取り付けられたルーフをさらに含み、前記ルーフは、前記
コンテナ容器への前記プローブコンテナの挿入時に前記プローブコンテナ及び前記カバーが挿入される挿入路の少なくとも一部を覆い、前記ルーフは前記収納凹部を含むことを特徴とする請求項9に記載のドッキングステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼圧(Intraocular Pressure:IOP)を測定するために被検者の眼に接触するための使い捨てプローブを利用するタイプの接触式眼圧計のドッキングステーション(受台)に関する。
【背景技術】
【0002】
リバウンド眼圧計は、眼圧を測定するために眼の角膜に向かって制御された方法で可動式測定プローブを推進する手持ち式の器具である。測定中、プローブは角膜に接触し、眼圧に依存する速度で減速し、角膜から離れる方向にリバウンドして装置の筐体に戻る。リバウンド眼圧計は、測定プローブの動きを検出し、検出されたプローブの動きに基づいて眼圧を測定する。例えば、測定プローブは、装置の筐体内のコイル内を移動する磁化されたシャフトを有していてもよい。コイルは、電磁力によってプローブを角膜に向かって推進するために瞬間的に通電され、その後、コイルへの通電が遮断された後、移動するプローブによってコイルに電流が誘導され、時間の関数としてプローブの速度を表す検出可能な電圧信号を提供してもよい。この電圧信号を記録し、処理して、測定された眼圧値を決定してもよい。
【0003】
衛生上の理由から、角膜に接触する測定プローブは、リバウンド眼圧計装置の使い捨て部品である。典型的な測定プローブは、細い金属シャフトと、角膜組織を損傷することなく角膜に短時間接触するための丸みを帯びた先端部を有するシャフトの端部に設けられたプラスチック製器具とからなる。市販されている眼圧計プローブは、上蓋で閉じられた長方形の箱型コンテナに一括して入れられているのが一般的である。コンテナの中では、個々のプローブが、取り外し可能な円筒形のキャップで一端を閉じた小さな円筒形のチューブに包装されている。チューブとキャップを合わせると、直径約5mm、長さ約45mmの小さな円筒形の瓶になる。
【0004】
新しいプローブを使用するために、操作者は、コンテナのカバーを開け、コンテナからプローブチューブを引き出し、プローブチューブからキャップを取り外し、プローブチューブをリバウンド眼圧計の測定ヘッドの近くに配置し、プローブチューブを傾けて、プローブのシャフトがリバウンド眼圧計の測定ヘッドに受け入れられるように、プローブをチューブから滑り出させなければならない。
【0005】
新しいプローブを入手して設置する手順には、実用上の欠点がある。コンテナ上のカバーを開くと、特にカバーがコンテナ上でパカッと開閉するような場合には、コンテナからプローブチューブがごちゃごちゃと、時には意図せず、こぼれ落ちることがある。また、コンテナのカバーを開けると、コンテナが不意にテーブルなどの支持面から床に叩きつけられ、プローブチューブが四方八方に飛び散ってしまうことがある。プローブチューブは円筒形なので、家具などの下に転がってしまい、回収できないことが多い。同時に、操作者はコンテナから取り出した選択されたプローブチューブを既に持っている場合があり、操作者が手順を中断せずに、選択されたプローブチューブを支持面に置くことなく、こぼれ落ちたプローブチューブを拾うことが困難になり、そこで紛失する可能性がある。また、コンテナが不意に地面にたたきつけられなかったとしても、操作者は、リバウンド眼圧計にプローブを取り付けた後に、空のチューブとキャップをテーブルまたは支持面に置くか、空のチューブとキャップを捨てるための廃棄物容器を見つけなければならない。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、手持ち式リバウンド眼圧計及び使い捨て眼圧計プローブを運ぶプローブコンテナを受け入れるためのドッキングステーションを提供するものである。ドッキングステーションは、一般に、リバウンド眼圧計の一部を受け入れるための上方に開いたドッキング空洞を有するベースと、プローブコンテナを受け入れるためのコンテナ容器とを含む支持アセンブリを備える。支持アセンブリは、コンテナ内の眼圧計プローブがユーザによってアクセス可能となるように、コンテナがコンテナ容器に挿入されると、プローブコンテナに関連するカバーを閉位置から開位置に移動させるように配置された作動部材を備えることを特徴とする。
【0007】
一実施形態では、支持アセンブリは、コンテナ容器へのコンテナの挿入中にコンテナおよびカバーが挿入される挿入路を規定してもよく、作動部材は、挿入路に延びる突起であって、コンテナではなくカバーに係合するように配置され、コンテナ容器へのコンテナのさらなる挿入によってカバーが閉位置から開位置に移動するようになっていてもよい。例えば、作動部材は、挿入路の下方に延びる張り出した突起を含んでいてもよい。
【0008】
支持アセンブリは、プローブ自体が眼圧測定で使用するためにチューブから取り出された後に、空の円筒形プローブチューブおよび対応するキャップを置くための便利な空間を提供する収納凹部をさらに含んでもよい。
【0009】
本開示のドッキングステーションは、プローブコンテナの安定したホームを提供してプローブがこぼれ落ちるのを防ぎ、患者の周りの作業領域をよく整理された安全な状態に保つのに役立つ。
【0010】
本発明の性質および動作モードは、これから、添付の図面と共になされる以下の詳細な説明において、より完全に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に従って形成されたリバウンド眼圧計ドッキングステーションの斜視図であり、ここでは、ドッキングステーションによって受け入れ可能なリバウンド眼圧計および眼圧計プローブのコンテナも示されている。
【
図2】
図1に示されるドッキングステーションの別の斜視図である。
【
図3】ドッキングステーションの分解斜視図である。
【
図4】ドッキングステーションの上面平面図である。
【
図5】
図4のV-V線に概ね沿って取ったドッキングステーションの断面図である。
【
図6A】ドッキングステーションのコンテナ容器への眼圧計プローブのコンテナの挿入を示す、
図5と同様の一連の断面図である。
【
図6B】ドッキングステーションのコンテナ容器への眼圧計プローブのコンテナの挿入を示す、
図5と同様の一連の断面図である。
【
図6C】ドッキングステーションのコンテナ容器への眼圧計プローブのコンテナの挿入を示す、
図5と同様の一連の断面図である。
【
図6D】ドッキングステーションのコンテナ容器への眼圧計プローブのコンテナの挿入を示す、
図5と同様の一連の断面図である。
【0012】
発明の詳細な説明
図1は、本開示の一実施形態に従って形成されたドッキングステーション10を示す。ドッキングステーション10は、手持ち式リバウンド眼圧計2と、眼圧計プローブ4を運ぶプローブコンテナ3とを受け入れて支持するための実用性を有する。カバー5は、コンテナ3に関連付けられており、眼圧計プローブ4がコンテナ内に閉じ込められている閉位置と、眼圧計プローブ4がユーザによってアクセス可能である開位置との間で、コンテナ3に対して移動可能である。
【0013】
次に、ドッキングステーション10について、
図1に加えて
図2~5を参照して説明する。ドッキングステーション10は、リバウンド眼圧計2の一部を受け入れるための上方に開いたドッキング空洞16と、プローブコンテナ3を受け入れるためのコンテナ容器18とを有するベース14を含む支持アセンブリ12を備えていてもよい。支持アセンブリ12は、コンテナ3がコンテナ容器18に挿入されると、カバー5を閉位置から開位置に移動させるように配置された作動部材20をさらに含む。図示された実施形態によって例示されるように、支持アセンブリ12は、ベース14に取り付けられたルーフ15を含んでもよい。
【0014】
支持アセンブリ12は、コンテナ容器18へのコンテナ3の挿入の際に、カバー5付きのプローブコンテナ3が挿入される挿入路22を規定してもよい。ルーフ15は、挿入路22の少なくとも一部を覆ってもよい。作動部材20は、挿入路22内に延在し、コンテナ3ではなくカバー5と係合するように配置された突起を備えていてもよい。図示された実施形態では、作動部材20は、挿入路22の中に下方に延びる張り出した突起である。例えば、作動部材20は、ルーフ15から下方に延びる張り出した突起であってもよい。代替的な実施形態では、作動部材20は、挿入路22に横方向に延びる横方向の突起として、または挿入路22に上方向に延びる隆起した突起として構成されてもよい。
【0015】
コンテナ容器18は、ユーザがコンテナ容器18に受け取られたコンテナ3に容易にアクセスできるように、ルーフ15によって部分的にのみ覆われてもよい。
図5に最もよく見られるように、コンテナ容器18は、コンテナ3の挿入方向に下向きに傾斜していてもよい。コンテナ容器18は、コンテナ3がコンテナ容器18に完全に挿入されたときに、コンテナ3の先端が当たる端部壁19で終端してもよい。
【0016】
支持アセンブリ12は、測定プローブ4が使用前に無菌状態で包装された円筒形プローブチューブ6および対応するキャップ7を受け入れる大きさの収納凹部24をさらに含んでもよい。図示された実施形態では、ルーフ15は収納凹部24を含むが、収納凹部24は、支持アセンブリ12の他の場所、例えば、ベース14上に配置されてもよい。
【0017】
ドッキングステーション10は、眼圧計2に電力を供給するための充電式バッテリ(図示せず)を充電するための充電ステーションとして、また、眼圧計が外部コンピュータ(図示せず)と通信できるようにするデータリンクとして機能してもよい。これらの目的のために、ドッキングステーション10は、ドッキングされた眼圧計2に電気的に接続されるUSBポート30を含んでもよい。眼圧計のバッテリは、標準的な電源コンセントに差し込まれたUSB電源アダプタを介して充電されてもよい。眼圧計の測定データおよび使用データは、外付けコンピュータの通信ポートに差し込まれたUSBデータケーブルを介して、眼圧計のローカルメモリから、ハードドライブストレージを有する外付けコンピュータにアップロードされてもよい。逆に、ソフトウェアの更新は、USBデータケーブルを介して、外部コンピュータから眼圧計にダウンロードされてもよい。
【0018】
ベース14およびルーフ15は、プラスチックから成形されてもよい。ルーフ15は、ベース14の対応するニッチ28と嵌合するように配置された弾力性のある取り付け部材26を含み、ルーフ15をベース14にスナップオン方式で組み付けることができるようにしてもよい。
【0019】
次に、
図6A~6Dを参照して、コンテナ容器18へのコンテナ3の手動挿入を説明する。
図6Aに図示されているように、コンテナ3の先端部3Aは、挿入の準備のために挿入路22と整列される。
図6Aに見られるように、カバー5は、眼圧計プローブ4がコンテナ3内に閉じ込められるように、コンテナ3に対して閉じた位置にある。
【0020】
図6Bは、コンテナ3が挿入路22に移動されるときの、カバー5を有するコンテナ3を示す。
図6Bでは、コンテナ3の先端部3Aはまだ作動部材20に到達しておらず、カバー5はまだコンテナ3に対して閉じた位置にある。
【0021】
図6Cは、コンテナ3の先端部3Aが作動部材20に到達した直後の、カバー5を有するコンテナ3を示す。
図6Cでは、カバー5は依然として閉じた位置にあるが、カバー5の先端縁5Aは今や作動部材20によって係合されている。コンテナ3は作動部材20によって係合されていない。
【0022】
最後に、
図6Dは、先端部3Aが端部壁19に突き当たるまで、コンテナ3をコンテナ容器18の中にさらに完全に挿入した様子を示している。理解されるように、コンテナ3のさらなる挿入は、カバー5を、閉位置から、
図6Dに示す開位置に移動させ、眼圧計プローブ4がユーザによってアクセス可能となる。本実施形態では、作動部材20によって係合されたカバー5は、コンテナ3の挿入が続けられたときに、コンテナ3に対して伸縮自在にスライドする。
【0023】
本開示では例示的な実施形態を説明しているが、詳細な説明は、添付の特許請求の範囲を、記載された特定の実施形態に限定することを意図していない。特許請求の範囲は、特許請求の範囲に含まれる可能性のある、記載された実施形態のそのような代替物、修正物、および等価物をカバーすることを意図している。