(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
F01N3/08 B
(21)【出願番号】P 2021570969
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2020065111
(87)【国際公開番号】W WO2020240036
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-29
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515269659
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・アドヴァンスド・イノベーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ドシー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・レオナール
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・デューズ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・ジャンヌトー
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ルクリヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・シノー
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-074074(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010062982(DE,A1)
【文献】国際公開第2013/087663(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03263861(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0265406(US,A1)
【文献】国際公開第2012/152498(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)であって、ポンプステータ(31)と、加熱手段と、底部(15)、および前記底部(15)に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部(3、17)を画定する第1の複数の壁(16)を具備する熱拡散体(14)と、を備え、前記底部(15)および/または前記底部(15)に対してほぼ垂直な少なくとも1つの壁が、前記ポンプステータの少なくとも1つの位置決め手段(18)および/または前記ポンプステータの第1の取付手段(19)および/または前記加熱手段の少なくとも1つの第2の取付手段(20)を備え、前記ポンプステータ(31)と前記熱拡散体(14)とのアセンブリがプラスチック材料によってオーバーモールドされ、前記取付装置(1)が、ポンプによって圧送される水溶液を排出することができる少なくとも1つの第1の貫通穴(21)
を備えるとともに、前記ポンプに水溶液を供給することができる第2の貫通穴(22)を備える、自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)。
【請求項2】
前記加熱手段が、加熱抵抗、PTC(正温度係数)タイプの加熱要素、および熱伝達流体の循環ループの中から選ば
れる、請求項1に記載の自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)。
【請求項3】
前記加熱手段の前記第2の取付手段(20)が、前記熱拡散体(14)における前記底部(15)に対してほぼ垂直な少なくとも1つの壁にある受容部であって、前記水溶液と接することのない、受容部である、請求項1または2に記載の自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)。
【請求項4】
前記底部(15)に対してほぼ垂直な第2の複数の壁(29)が、前記第1の内部容積部(3、17)に内接する第2の内部容積部(30)であって、前記ポンプステータ(31)のためのハウジングの役を果たす、第2の内部容積部(30)を画定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)。
【請求項5】
ほぼ垂直な
前記第1の複数の壁(16)が、噴射ポンプの接続部を受けることができる少なくとも1つのハウジングを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)。
【請求項6】
ほぼ垂直な
前記第1の複数の壁(16)および/または前記熱拡散体の前記底部(15)が、少なくとも1つの第4のオーバーモールド貫通穴(24)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)。
【請求項7】
前記車載タンクへの取付手段(2)であって、溶着ジョイント、カムロック継手、メイソンジャー、シールによる機械的組立ての中から選ば
れる、前記車載タンクへの取付手段(2)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)。
【請求項8】
前記熱拡散体(14)が、底部(15)と、前記底部(15)に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部(17)を画定する第1の複数の壁(16)と、を備え、前記ポンプステータの前記第1の取付手段(19)と前記加熱手段の前記第2の取付手段(20)とが一体の部品である、請求項1から7のいずれか一項に記載の自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)。
【請求項9】
底部(15)と、前記底部(15)に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部(17)を画定する第1の複数の壁(16)と、を備える前記熱拡散体(14)が、アルミニウムをベースと
する、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の取付装置(1)を備える自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールであって、前記ポンプステータ内に挿入されたポンプロータを含むモジュール。
【請求項11】
請求項10に記載のモジュールを備える水溶液タンク。
【請求項12】
自動車の車載タンク内に収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置(1)の製造方法であって、
- 底部(15)と、前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部(17)を画定する第1の複数の壁(16)と、を備える熱拡散体(14)を製造するステップと、
- ポンプステータ(31)を前記第1の内部容積部(17)内に設置するステップと、
- 底部(15)と、前記底部(15)に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部(17)を画定する第1の複数の壁(16)と、を備えるポンプステータ(31)と熱拡散体(14)とのアセンブリ
をオーバーモールドするステップと、
を少なくとも含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置と、前記取付装置を備える自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールと、前記モジュールを備える車両の車載水溶液タンクと、に関する。より詳細には、本発明は、自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置の製造方法に関する。
【0002】
本発明は、特に尿素溶液の利用を必要とする自動車の排ガスの汚染除去の分野で、さらに車両のエンジンの給気回路における水の噴射の分野でも利用することができる。水の噴射の場合、その水は給気と混ざり、燃焼温度を下げ、NOxと呼ばれる汚染物質の排出を減らすとともに、ノッキングに対する感度を低くしてガソリンエンジンなどの性能を高めることができる。
【背景技術】
【0003】
尿素溶液は、温度が-11℃、水の場合は0℃より下がると凍結し始める。そのため、自動車のための水溶液の貯蔵システムは、尿素溶液または水、好ましくは脱塩水の凍結を防ぐために用意された加熱手段をタンク内に含む。
【0004】
しかし、車両が走行を終えて停車し、たとえば-40℃前後の温度にまで至り得る厳冬の外部条件のもとで車両が屋外に駐車される場合、その加熱手段は動作を止めることになり、タンクに収容される尿素溶液または水、好ましくは脱塩水の氷への変化が始まり、数十分のうちに尿素溶液または水、好ましくは脱塩水の全体が凍結に至る可能性がある。
【0005】
そのため、水溶液の分配モジュールの近くに位置する水または尿素を迅速に解凍することができる加熱手段をタンク内部に設けておくことが欠かせない。
【0006】
特許文献1は、可撓性加熱手段を備える尿素水溶液の分配モジュールを開示している。このような可撓性加熱体は、モジュール内へのその取付に問題があるばかりでなく、タンクへの前記モジュールの取付にも問題があって、タンク内に尿素水溶液の分配モジュールを取り付ける際に可撓性加熱体が損傷する可能性がある。
【0007】
特許文献2は、自動車の車載タンクに収容される尿素水溶液の分配モジュールのための取付装置であって、少なくとも1つのPTC(正温度係数)型の加熱要素を備える熱拡散体からなる非可撓性加熱手段を備える取付装置を開示している。特許文献2で開示されている非可撓性加熱手段は、HDPEプラスチック材料がオーバーモールドされている。尿素水溶液の分配モジュールは、全体的にも部分的にも熱拡散要素を含まない。このモジュールには、前記モジュール各部の間に多数のシール手段が必要となることや、追加の加熱体を設ける必要があるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2008/138960号パンフレット
【文献】米国特許第9702287号明細書
【非特許文献】
【0009】
【文献】「Plastics and Composites Welding Handbook」、ISBN 1-56990-313-1、23頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、特に従来技術のそうした欠点を補うことを目的とする。
【0011】
より詳細には、本発明の目的の1つは、その実施形態のうちの少なくとも1つでは、自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置であって、シール手段や加熱手段の類で必要となる付属品の数が少ない、取付装置を提供することにある。
【0012】
本発明は、その実施形態のうちの少なくとも1つでは、自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールを提供すること、さらに、自動車のための水溶液タンクを提供することも目的とする。
【0013】
本発明の別の目的は、その実施形態のうちの少なくとも1つでは、自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置の製造方法を実際に用いることにある。
【0014】
具体的な一実施形態に従えば、本発明は、自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、そのような取付装置は、ポンプステータと、加熱手段と、底部、および前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁を具備する熱拡散体と、を備え、前記底部および/または底部に対してほぼ垂直な少なくとも1つの壁が、ポンプステータの少なくとも1つの位置決め手段および/またはポンプステータの第1の取付手段および/または加熱手段の少なくとも1つの第2の取付手段を備え、ポンプステータと熱拡散体とのアセンブリがプラスチック材料によってオーバーモールドされ、取付装置は、ポンプによって圧送される水溶液を排出することができる少なくとも1つの第1の貫通穴を、好ましくは取付装置の底部の領域に、より好ましくは熱拡散体の領域に備えるとともに、ポンプに水溶液を供給することができる第2の貫通穴を備える。
【0016】
本発明の基本的な原理は、加熱手段から、さらにポンプのステータからも放出される熱の拡散の最適化に基づいたものであるが、それによってジョイントなどのシール手段の数を減らすことも可能になる。
【0017】
そのため、本発明は、自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置の実施において全く新しい創意に富むアプローチに立脚しており、プラスチック材料でオーバーモールドされた、ポンプステータおよび熱拡散体を含むアセンブリからなる取付装置は、ポンプによって圧送された水を排出することができる少なくとも1つの第1の貫通穴を、好ましくは取付装置の底部の領域に備え、前記熱拡散体は、ポンプステータの少なくとも1つの第1の取付手段および/または加熱手段の少なくとも1つの第2の取付手段を備える。
【0018】
「前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁」という表現は、底部と、底部に対してほぼ垂直な第1の複数の壁と、が輪郭を形成し、その輪郭の上部が、ほぼ垂直な第1の複数の壁のほぼ垂直な壁の最大数の上縁を通る平面に相当し、前記輪郭が、底部およびほぼ垂直な第1の複数の壁との組合せで第1の内部容積部を画定することをいう。別法として、底部に対してほぼ垂直な複数の壁の上縁は、カバーによって全体または一部を互いに連結することができる。前記ほぼ垂直な複数の第1の壁は、互いに連続したほぼ垂直な壁によって、または、たとえば、底部に対して規定される高さの一部もしくは全体にわたってスリットのある壁のように、互いに部分的もしくは全面的に不連続なほぼ垂直な壁によって構成することができる。1つまたは複数の不連続性を有するほぼ垂直な第1の複数の壁の場合は、壁と壁との間の隙間を仮想的な壁で置き換えることで、第1の内部容積部は、前記第1の複数の壁を構成するほぼ垂直な壁の全体によって画定され、第1の内部容積部はさらに、底部と、ほぼ垂直な第1の複数の壁のほぼ垂直な壁の最大数の上縁を通る平面に相当する上部と、によって画定される。
【0019】
「水溶液」という表現は、尿素または水、好ましくは脱塩水を含んだ水溶液をいう。「脱塩水」という表現は、25℃で100μS/cm以下、さらには25℃で50μS/cm以下、好ましくは25℃で5μS/cm以下の電気伝導度を有する水溶液をいう。
【0020】
未満または超という概念は、車両における取付装置の最終的な位置に関して定義され、地盤面を基準として定義される。ある要素の下縁は、同じ要素または壁の上縁よりも地盤面に近い。
【0021】
「ポンプステータの少なくとも1つの位置決め手段および/またはポンプステータの第1の取付手段および/または加熱手段の少なくとも1つの第2の取付手段を備える少なくとも1つのほぼ垂直な壁」は、前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁の一部をなす壁であることも、そのほぼ垂直な第1の複数の壁とは別個のものであることもできる。そのほぼ垂直な壁がほぼ垂直な第1の複数の壁とは別個のものである場合、前記ほぼ垂直な壁はツメの形をなし、それによってポンプステータ内で前記ツメの収容部に挿入されるようにしたものであってもよい。あるいは、そのほぼ垂直な壁がほぼ垂直な第1の複数の壁とは別個のものである場合、前記ほぼ垂直な壁は、ポンプステータにあるツメを受けることができる収容部の形を有するものであってもよい。
【0022】
有利には、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、加熱手段は、加熱抵抗、PTC(正温度係数)タイプの加熱要素、および熱伝達流体の循環ループの中から選ばれ、好ましくはPTC(正温度係数)タイプの加熱要素である。
【0023】
ここで、熱伝達流体の循環ループでは、入側温度が(典型的には最高120℃に)「調節された」流体によって大きな出力を運ぶことができる。PTCは、高い出力を組み込むことができ、(過熱および機器劣化のリスクを防ぐため)モジュールの温度、水溶液および充填レベルに応じた自動調整の恩恵にもあずかることができる。
【0024】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、ポンプステータの少なくとも1つの要素は、熱拡散体と接する。
【0025】
そのため、そのような実施形態では、ポンプが熱を持つことによって放散されるエネルギーを回収し、それを水溶液の加熱に利用することができる。
【0026】
「ポンプステータの少なくとも1つの要素が熱拡散体と接する」という表現は、ポンプステータの少なくとも1つの要素が熱拡散体に触れることをいう。
【0027】
好ましい一実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、ポンプステータと、加熱手段と、底部、および前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁を備える熱拡散体であって、前記底部および/または少なくとも1つのほぼ垂直な壁が、ポンプステータの少なくとも1つの第1の取付手段および/または加熱手段の少なくとも1つの第2の取付手段を備える、熱拡散体と、が、プラスチック材料によってオーバーモールドされる。
【0028】
そのため、そのような実施形態では、シールおよび取付を行うゾーンの数を制限することができるとともに、ステータおよび加熱手段のための電気接続を「乾燥ゾーン」に設けることができる。
【0029】
「乾燥ゾーン」という表現は、前記ゾーンに水溶液がないことをいう。
【0030】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置は、ポンプによって圧送された水を排出することができる第1の貫通穴によって流体連通された端栓を外側部位に備える。
【0031】
それにより、その端栓の存在は、自動車の排ガスの汚染除去システムの場合には尿素の、または、自動車の熱機関の燃焼室への注水の場合には水の、それぞれの水溶液の注入ラインの容易な取付を可能にする。
【0032】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、加熱手段の第2の取付手段は、熱拡散体における底部に対してほぼ垂直な少なくとも1つの壁にある受容部であって、水溶液と接することのない、受容部である。
【0033】
「受容部」という用語は、加熱手段の第2の取付手段が加熱手段を受けることができるようになっていることをいう。受容部は、加熱手段を容易に挿入できる案内手段を備えていることができる。この案内手段は、たとえばスライダシステムであることができる。受容部は、加熱手段が受容部から簡単に外れるのを防ぐ離脱防止手段を備えることもできる。受容部は、ポケット形をなすことができる。
【0034】
それにより、加熱手段は、オーバーモールドの前後いずれであっても容易に組み込むことができる。
【0035】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、前記底部に対してほぼ垂直な第2の複数の壁は、第1の内部容積部に内接する第2の内部容積部であって、ポンプステータのためのハウジングの役を果たす、第2の内部容積部を画定する。
【0036】
「前記底部に対してほぼ垂直な第2の複数の壁が、第2の内部容積部を画定する」という表現は、底部と、底部に対してほぼ垂直な第2の複数の壁と、が輪郭を形成し、その輪郭の上部が、ほぼ垂直な第2の複数の壁のほぼ垂直な壁の最大数の上縁を通る平面に相当し、前記輪郭が、底部およびほぼ垂直な第2の複数の壁との組合せで第2の内部容積部を画定することをいう。前記ほぼ垂直な複数の第2の壁は、互いに連続したほぼ垂直な壁によって、または、たとえば、底部に対して規定される高さの一部もしくは全体にわたってスリットのある壁のように、互いに部分的もしくは全面的に不連続なほぼ垂直な壁によって構成することができる。好ましくは、ほぼ垂直な第2の複数の壁は、互いに連続したほぼ垂直な壁によって構成される。1つまたは複数の不連続性を有するほぼ垂直な第2の複数の壁の場合は、壁と壁との間の隙間を仮想的な壁で置き換えることで、第2の内部容積部は、前記第2の複数の壁を構成するほぼ垂直な壁の全体によって画定され、第2の内部容積部はさらに、底部と、ほぼ垂直な第2の複数の壁のほぼ垂直な壁の最大数の上縁を通る平面に相当する上部と、によって画定される。
【0037】
そのため、このような実施形態では、水溶液の圧送および加熱を最適化することができる。このような実施形態では、ポンプステータは、第2の内部容積部の中に押入され、前記ステータのサイズは、その体積が前記第2の内部容積部とほぼ同じものとなる。
【0038】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、ほぼ垂直な第1の複数の壁は、噴射ポンプの接続部を受けることができる少なくとも1つのハウジングを備える。
【0039】
そのため、噴射ポンプは、第1の内部容積部を満たすことができ、それによって水溶液の圧送が保証される。
【0040】
ほぼ垂直な壁と噴射ポンプとを使用することにより、「動的死容積」が減る。「動的死容積」という表現は、走行条件下で(タンクの偏心したゾーンに向かう液体の運動があるとき)タンク内の「汲出し可能」でない水溶液の体積のことをいう。ポンプを取り囲むほぼ垂直な第1の複数の壁の存在によって作り出される「カップ」または「トラップ」を追加することで、水溶液の一部分をその「カップ」または「トラップ」の中に貯えて、その動的死容積を減らすことができる。
【0041】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、ほぼ垂直な第1の複数の壁および/または熱拡散体の底部は、少なくとも1つの第4のオーバーモールド貫通穴を備える。
【0042】
そうすることで、拡散体に対するプラスチックの機械的定着によって、拡散体とプラスチック材料との間の熱的接触が保証される。第4のオーバーモールド貫通穴は、もっぱらプラスチック素材と熱拡散体との間の機械的掛着を高めるためのものである。第4の貫通穴は、プラスチック素材によるオーバーモールドが行われて、自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置が形成された時点で隠れる。
【0043】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置は、前記タンクへの取付手段であって、溶着ジョイント、カムロック継手(a raccord a came)、メイソンジャー(pot de type Mason)、シールによる機械的組立ての中から選ばれ、好ましくは溶着ジョイントである、前記タンクへの取付手段を備える。
【0044】
そのため、溶着ジョイントによる溶着は、構成要素の数を少なくすることができ、それによってコストを下げることができるばかりでなく、よりコンパクトなシステムを得ることが可能であり、溶着境界も機械的な組立てよりコンパクトである。
【0045】
好ましい一実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、熱拡散体は、底部と、前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁と、を備え、ポンプステータの第1の取付手段と加熱手段の第2の取付手段とは一体の部品である。
【0046】
そのため、拡散体は、単一の部品によって製作され、それによってコストが削減されるとともに、オーバーモールドの成形型における位置決めおよび保持が簡易になる。
【0047】
好ましい一実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、底部と、前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁と、を備える熱拡散体は、アルミニウムをベースとし、好ましくは陽極酸化アルミニウム製である。
【0048】
「アルミニウムをベースとし」という表現は、拡散体が、アルミニウム50重量%以上、好ましくはアルミニウム75重量%以上、より好ましくはアルミニウム90重量%以上を含むことをいう。
【0049】
それにより、拡散体の熱伝導度および拡散体の使用特性は最適化される。
【0050】
好ましい一実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、ポンプに水溶液を供給することができる第2の貫通穴は、前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁の上部に位置する。好ましくは、第2の貫通穴の周囲は、前記底部に対してほぼ垂直な第1の複数の壁の上縁によって構成される。
【0051】
そのため、そのような実施形態では、動作時に噴射ポンプによって吸い込まれた溶液の越流も、凍結時の氷の膨張も、さらには、充填手段がモジュール上方に開口する場合の充填時の第1の内部容積部の直接充填も可能である。
【0052】
好ましい別法の実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置では、ポンプに水溶液を供給することができる第2の貫通穴は、前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁の1つに位置する。
【0053】
それにより、そのような実施形態では、充填手段がモジュールより上方に開口していない場合に、最低レベルのモジュールの充填が確保されるようにすることができる。開口の大きさは、動作時に第1の内部容積部から出る流量が、典型的には約10kg/時に抑えられるように決定される。
【0054】
好ましい一実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置は、ポンプに水溶液を供給することができる第3の貫通穴であって、前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁の1つに位置する、第3の貫通穴を備える。
【0055】
そうすることで、その第3の貫通穴は、モジュール内の第1の内部容積部の周りにある水溶液を戻すために、噴射ポンプの吸込みゾーンに接続することができる。
【0056】
好ましい実施形態によれば、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置は、加熱手段およびポンプからなるアセンブリに共通の電気接続手段を備える。
【0057】
そのため、この接続手段は、車両の電気回路へのモジュールの接続に利用することができ、それによってかさ張りもコストも減らすことができる。
【0058】
オーバーモールドのプラスチック材料は、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(PA)、たとえばポリフタルアミド(PPA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリケトン(PK)またはポリオレフィン、好ましくはポリエチレン(PE)、より好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE)をベースとするプラスチック材料の群から選択されるプラスチック材料である。自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置の前記タンクへの取付手段が溶着ジョイントである場合、選択されるプラスチック材料は、ポリオレフィン、好ましくはポリエチレン(PE)、より好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE)のように、タンクを構成するプラスチック材料と化学的相溶性を有する材料である。
【0059】
「~をベースとするプラスチック材料の群」という表現は、そのプラスチック材料が、選択されたプラスチック材料を50重量%以上含むことをいう。
【0060】
あるプラスチック材料が別のプラスチック材料と「化学的相溶性を有する」とは、双方のプラスチック材料が、追加素材を加える必要なしに溶着して一体となり得る化学種をそれぞれ含むことをいう。すなわち、化学的相溶性を有するプラスチック材料は、溶融することによって互いに緊密に結合することができ、それによって特に、互いの間にポリマー鎖の分子の絡み合いがもたらされる。2つのプラスチック材料の溶着は、接触部位で自着現象が起こる2つのプラスチック材料の着接であると理解することができる。自着現象は、接触部位に熱を加えることによって起こる。熱の作用によって2つの材料を溶着させる動作を熱溶着という。以下では、「溶着」を、「熱溶着」の同義語として使用する。
【0061】
あるプラスチック材料と別のプラスチック材料との「ポリマー鎖の分子の絡み合い」とは、2つのプラスチック材料が圧縮されて一体となり、自着現象が起きている状態のことをいう。このような自着現象は、分子間拡散とポリマー界面を通した分子鎖の絡み合いとが強い結合を形成することを記述するものである。表面エネルギーに関する粘着(または類似のものであるとないとにかかわりなく、2つの材料間の二次化学結合)とは異なり、自着は、分子鎖の絡み合いと、類似の材料、すなわち化学的相溶性のある物質どうしのポリマー鎖の二次結合と、に関するものである。理想的な条件のもとでは、2つのポリマー材料の界面が2つのポリマー材料のそれぞれの母材と識別不能になったときに、拡散は完全なものとなる。たとえば、2つの熱可塑性ポリマー材料の場合、その界面で熱可塑性ポリマー-熱可塑性ポリマーの接触を得た後、分子間の拡散と絡み合いを経ることで初めてその過程を終結させ、良好な溶着を形成することができる。この自着現象については、たとえば非特許文献1に説明がある。
【0062】
底部、ほぼ垂直な壁、および貫通穴のそれぞれの概念は、熱拡散体にも、自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置にも共通するものである。ただし、熱拡散体固有のものであり、オーバーモールド後にプラスチック素材で埋められる第4の貫通穴の概念については、区別されるべきである。また、取付装置の底部に対してほぼ垂直な壁の中には、オーバーモールドによってそこに挿入される熱拡散体になくてよいものがあることは、当業者には自明である。
【0063】
本発明の第2の目的は、本発明による取付装置を備える自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールであって、ポンプステータ内に挿入されたポンプロータを含む、モジュールを供給することである。
【0064】
本発明の第3の目的は、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールを備えるタンクに関する。
【0065】
本発明はさらに、自動車両の車載タンク内に収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置の製造方法であって、
- 底部と、前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁と、を備える熱拡散体を製造するステップと、
- ポンプステータを第1の内部容積部内に設置するステップと、
- 底部と、前記底部に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部を画定する第1の複数の壁と、を備えるポンプステータと熱拡散体とのアセンブリを、好ましくはプラスチック材料で、オーバーモールドするステップと、
を含む製造方法に関する。
【0066】
熱拡散体を製造するステップには、プレス成形、曲げ加工、切断および溶着、またはダイキャストによって行うことができる成形ステップが含まれる。好ましくは、成形ステップはダイキャストによって行われる。
【0067】
ポンプステータの寸法はポンプステータの第1の取付手段の寸法とほぼ同じであるため、とりわけ、ポンプステータの第1の取付手段が、底部に対してほぼ垂直でありかつ第2の内部容積部を画定する第2の複数の壁に相当するときにはそうなるため、第1の内部容積部内にステータを設置するステップは、ポンプステータを押し込んで取り付ける挿入作業を含むことができる。その場合は、ポンプステータの位置決め手段とポンプステータの第1の取付手段とは一体となり、底部に対してほぼ垂直でありかつ第2の内部容積部を画定する第2の複数の壁によって構成される。
【0068】
オーバーモールドするステップは、ポンプステータ-熱拡散体アセンブリに組み込まれた加熱手段のオーバーモールドをさらに含むことができ、前記加熱手段は、そのための受容部内に設けられる。
【0069】
本発明のその他の特徴および利点は、限定的でない参考例としてのみ示す好ましい実施形態についての説明および添付の図面を読むことによって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置の図である。
【
図2】
図1に示された本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置の側方図である。
【
図3】
図1および
図2に示された本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置に組み込まれた熱拡散体であって、プラスチック材料によるオーバーモールド前の熱拡散体の図である。
【
図4】
図3の熱拡散体をその底部から見た図である。
【
図5】本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置の別の実施形態の図である。
【
図6】
図5に示された本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置に組み込まれた熱拡散体であって、プラスチック材料によるオーバーモールド前の熱拡散体の図である。
【
図8】
図5に示された本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1と関連づけながら、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置1の一実施形態を紹介する。取付装置1は、タンクへの取付手段2であって、溶着ジョイントである、取付手段2を備える。取付装置1は、少なくとも1つの第1の内部容積部3と第2の内部容積部4とをさらに備え、第2の内部容積部4は、ポンプステータと、ポンプロータの挿入ゾーン5および前記ポンプロータの取付手段6と、を備える。取付装置1は、取付装置の底部8の領域の、ポンプによって圧送される水溶液を排出することができる少なくとも1つの第1の貫通穴7と、ポンプに水溶液を供給することができる第2の貫通穴9と、を備える。第1の貫通穴7は、端栓10を形成する外側部位と流体連通する。ポンプに水溶液を供給することができる第2の貫通穴9は、第1の内部容積部の上部に位置し、第2の貫通穴9の周囲は、底部8に対してほぼ垂直な第1の複数の壁の上縁によって構成される。取付装置1は、噴射ポンプの接続部を受けることができるハウジング11をさらに備える。取付装置1は、レベルセンサのための調整管12を具備することもできる。
【0072】
図2は、
図1に示された本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置1の側方図である。取付装置1は、タンクへの取付手段2であって、溶着ジョイントである、取付手段2を備えていることがわかる。取付装置1は、少なくとも1つの第1の内部容積部3と第2の内部容積部4とをさらに備え、第2の内部容積部4は、ポンプステータと、ポンプロータの挿入ゾーン5および前記ポンプロータの取付手段6と、を備える。第1の貫通穴7は、端栓10を形成する外側部位と流体連通する。第2の貫通穴9は、ポンプに水溶液を供給することができる。ポンプに水溶液を供給することができる第2の貫通穴9は、第1の内部容積部の上部に位置し、第2の貫通穴9の周囲は、底部に対してほぼ垂直な第1の複数の壁の上縁によって構成される。取付装置1は、噴射ポンプの接続部を受けることができるハウジング11をさらに備える。取付装置1は、レベルセンサのための調整管12を具備することもできる。取付装置1は、ポンプに水溶液を供給することができる第3の貫通穴13であって、前記底部に対してほぼ垂直でありかつ第1の内部容積部3を画定する第1の複数の壁のうちの1つの壁に配置された、第3の貫通穴13をさらに具備する。その第3の貫通穴は、モジュール内の第1の内部容積部3の周囲にある水溶液を戻すために、噴射ポンプの吸込みゾーンに接続される。
【0073】
図3は、
図1および
図2に示された本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置に組み込まれた熱拡散体14であって、プラスチック材料によるオーバーモールド前の熱拡散体14を示している。熱拡散体14は、底部15と、前記底部15に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部17を画定する第1の複数の壁16と、を備え、前記底部15は、ポンプステータの少なくとも1つの位置決め手段18とポンプステータの第1の取付手段19とを備える。熱拡散体14における底部15に対してほぼ垂直な少なくとも1つの壁16は、加熱手段の少なくとも1つの第2の取付手段20を備え、熱拡散体14は、少なくとも1つの第1の貫通穴21を、好ましくは底部15の領域に備え、さらに第2の貫通穴22を備える。第2の貫通穴22は、第1の内部容積部17の上部に位置し、第2の貫通穴22の周囲は、底部15に対してほぼ垂直な第1の複数の壁16の上縁によって構成される。熱拡散体14は、底部15に対してほぼ垂直でありかつ第1の内部容積部17を画定する第1の複数の壁16のうちの1つの壁に位置する第3の貫通穴23をさらに具備する。熱拡散体14は、少なくとも1つの第4のオーバーモールド貫通穴24、好ましくは複数の第4のオーバーモールド貫通穴24を、熱拡散体14のほぼ垂直な第1の複数の壁16および/または底部15の領域に具備する。底部15に対してほぼ垂直な第1の複数の壁16は、熱拡散体がオーバーモールドされるときに噴射ポンプの接続部を受けることができるハウジング25であって、凹部の形をなす、ハウジング25をさらに備える。ほぼ垂直な第1の複数の壁は、レベルセンサのための調整管を形成することができるハウジング26も備える。熱拡散体14は、底部15に対してほぼ垂直な第3の複数の壁27であって、上方を閉ざされ、ポンプステータのそばに配設される加熱手段のハウジングの役を果たすことができる第4の取付手段を備える、第3の複数の壁27をさらに備える。
【0074】
図4は、
図3の熱拡散体14をその底部15から見たところを示している。ほぼ垂直な第1の複数の壁16は、加熱手段の少なくとも1つの第2の取付手段20を備える。熱拡散体14は、ほぼ垂直な第3の複数の壁27であって、上方を閉ざされ、ポンプステータのそばに配設される加熱手段のハウジングの役を果たすことができる第4の取付手段28を備える、第3の複数の壁27をさらに備える。底部15に対してほぼ垂直な第1の複数の壁16は、複数の第4のオーバーモールド貫通穴24を有することが見て取れる。
【0075】
図5は、本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置1の別の実施形態を示している。取付装置1は、タンクへの取付手段2であって、溶着ジョイントである、取付手段2を備える。取付装置1は、少なくとも1つの第1の内部容積部3と第2の内部容積部4とをさらに備え、第2の内部容積部4は、ポンプステータと、ポンプロータの挿入ゾーン5および前記ポンプロータの取付手段6と、を備える。取付装置1は、取付装置の底部8の領域の、ポンプによって圧送される水溶液を排出することができる少なくとも1つの第1の貫通穴(
図5には図示せず)と、ポンプに水溶液を供給することができる第2の貫通穴9と、を備える。第1の貫通穴は、端栓10を形成する外側部位と流体連通する。ポンプに水溶液を供給することができる第2の貫通穴9は、第1の内部容積部の上部に位置し、第2の貫通穴9の周囲は、底部8に対してほぼ垂直な第1の複数の壁の上縁によって構成される。取付装置1は、噴射ポンプの接続部を受けることができるハウジング11をさらに備える。取付装置1は、レベルセンサのための調整管12を具備することもできる。
【0076】
図6は、
図5に示された本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置に組み込まれた熱拡散体14であって、プラスチック材料によるオーバーモールド前の熱拡散体14を示している。熱拡散体14は、底部15と、前記底部15に対してほぼ垂直でありかつ少なくとも1つの第1の内部容積部17を画定する第1の複数の壁16と、を備え、前記底部15は、ポンプステータの少なくとも1つの位置決め手段18とポンプステータの第1の取付手段19とを備える。ポンプステータの位置決め手段18およびポンプステータの第1の取付手段19は一体化されて、底部15に対してほぼ垂直でありかつ第2の内部容積部30を画定する第2の複数の壁29によって構成されており、第2の内部容積部30は、第1の内部容積部17に内接し、ポンプステータのハウジングの役を果たす。熱拡散体14の少なくとも1つのほぼ垂直な壁16は、加熱手段の少なくとも1つの第2の取付手段20を備え、熱拡散体14は、少なくとも1つの第1の貫通穴21を、好ましくは底部15の領域に備え、さらに第2の貫通穴22を備える。第2の貫通穴22は、第1の内部容積部17の上部に位置し、第2の貫通穴22の周囲は、底部15に対してほぼ垂直な第1の複数の壁16の上縁によって構成される。熱拡散体14は、少なくとも1つの第4のオーバーモールド貫通穴24、好ましくは複数の第4のオーバーモールド貫通穴24を、熱拡散体14のほぼ垂直な第1の複数の壁16および/または底部15の領域に具備する。底部15に対してほぼ垂直な第1の複数の壁16は、熱拡散体がオーバーモールドされるときに噴射ポンプの接続部を受けることができるハウジング25であって、凹部の形をなす、ハウジング25をさらに備える。ほぼ垂直な第1の複数の壁は、レベルセンサのための調整管12を形成することができるハウジング26も備える。
【0077】
図7は、
図6の熱拡散体14をその底部15から見たところを示している。ほぼ垂直な第1の複数の壁16は、加熱手段の少なくとも1つの第2の取付手段20を備える。底部15に対してほぼ垂直な第1の複数の壁16は、複数の第4のオーバーモールド貫通穴24を有することが見て取れる。
【0078】
図8は、
図5に示された本発明による自動車の車載タンクに収容される水溶液の分配モジュールのための取付装置1の横断面図を示す。取付装置1のこの横断面図は、ポンプステータ31および熱拡散体14のプラスチック素材によるオーバーモールドを示している。
【符号の説明】
【0079】
1 取付装置
2 タンクへの取付手段
3 第1の内部容積部
4 第2の内部容積部
5 ポンプロータの挿入ゾーン
6 ポンプロータの取付手段
7 第1の貫通穴
8 底部
9 第2の貫通穴
10 端栓
11 ハウジング
12 調整管
14 熱拡散体
15 底部
16 第1の複数の壁
17 第1の内部容積部
18 位置決め手段
19 ポンプステータの第1の取付手段
20 加熱手段の第2の取付手段
21 第1の貫通穴
22 第2の貫通穴
23 第3の貫通穴
24 第4のオーバーモールド貫通穴
25 ハウジング
26 ハウジング
27 第3の複数の壁
28 第4の取付手段
29 第2の複数の壁
30 第2の内部容積部
31 ポンプステータ