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特許72099702-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンズイミダゾール誘導体化合物、及び、これを含む医薬
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  • 特許-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンズイミダゾール誘導体化合物、及び、これを含む医薬 図1
  • 特許-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンズイミダゾール誘導体化合物、及び、これを含む医薬 図2A
  • 特許-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンズイミダゾール誘導体化合物、及び、これを含む医薬 図2B
  • 特許-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンズイミダゾール誘導体化合物、及び、これを含む医薬 図2C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンズイミダゾール誘導体化合物、及び、これを含む医薬
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20230116BHJP
   A61K 51/00 20060101ALI20230116BHJP
   C07B 59/00 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K51/00 200
C07B59/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019561617
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2018047092
(87)【国際公開番号】W WO2019131458
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2017253837
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230250
【氏名又は名称】日本メジフィジックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504136993
【氏名又は名称】独立行政法人国立病院機構
(74)【代理人】
【識別番号】100091502
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 正威
(72)【発明者】
【氏名】井澤 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】奥村 侑紀
(72)【発明者】
【氏名】福井 友理恵
(72)【発明者】
【氏名】市川 浩章
(72)【発明者】
【氏名】眞矢 啓史
(72)【発明者】
【氏名】池永 美穂
(72)【発明者】
【氏名】奥平 宏之
(72)【発明者】
【氏名】土井 祥寛
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 光栄
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/213247(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/199205(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物又はその塩。
【化1】


〔式中、Xは水素原子又はハロゲン原子を示し、Xはフッ素原子又はニトリル基を、Xは放射性ハロゲン原子を示す。〕
【請求項2】
前記式(1)中、Xが水素原子である、請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
前記式(1)中、Xがフッ素原子である、請求項2記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
前記式(1)中、Xがハロゲン原子である、請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
前記式(1)中、Xが放射性フッ素原子である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含む医薬。
【請求項7】
副腎疾患の画像診断剤である請求項6に記載の医薬。
【請求項8】
ポジトロン放出断層撮影用の画像診断剤である請求項6に記載の医薬。
【請求項9】
下記式(2)で表される化合物又はその塩。
【化2】



〔式中、Xは水素原子又はハロゲン原子を示し、Xはフッ素原子又はニトリル基を、Rはハロゲン原子、置換若しくは非置換アルキルスルホニルオキシ基、又は、置換若しくは非置換アリールスルホニルオキシ基を示す。〕
【請求項10】
請求項9に記載の化合物又はその塩から、放射性ハロゲン化反応により、下記式(1)で表される放射性化合物又はその塩を製造する方法。
【化3】


〔式中、Xは水素原子又はハロゲン原子を示し、Xはフッ素原子又はニトリル基を、Xは放射性ハロゲン原子を示す。〕
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンズイミダゾール誘導体化合物、及び、これを含む医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
副腎皮質の異常により発症する疾病として、原発性アルドステロン症(PA)が知られている。原発性アルドステロン症は、副腎腺腫又は副腎の過形成により、アルドステロン合成酵素(CYP11B2)が過剰発現し(非特許文献1)、副腎から自律的にアルドステロン産生が促進され、高血圧や低カリウム血症を引き起こす病気である。片側副腎病変の場合は、手術で摘出することにより治療できるが、両側病変の場合は、薬物療法による治療が採用される。
【0003】
原発性アルドステロン症の薬物療法としては、現在、主にアルドステロン受容体拮抗薬が用いられている。その他の薬物治療のターゲット分子としてアルドステロン合成酵素であるCYP11B2が考えられている(非特許文献2)。
【0004】
エトミデートは、海外では静脈麻酔薬として用いられているが、コルチゾール、コルチコステロン及びアルドステロンの生合成のために必要な11βヒドロキシラーゼ(CYP11B1)に主に結合し、これを阻害することによって副腎皮質ステロイド合成を抑制することが知られている(非特許文献3)。そのため、血漿中のアルドステロン濃度及びコルチゾール濃度の低下を引き起こすという副作用が報告されている(非特許文献4)。
【0005】
また、近年、アルドステロン産生腺腫を始めとする副腎病変の非侵襲的な局所診断を目指し、シングルフォトン断層撮影(SPECT)やポジトロン放出断層撮影(PET)による副腎病変の画像化の試みがヒトでなされている。特許文献1,2、非特許文献5~8には、副腎ステロイド生合成酵素を標的とした各種放射性標識化合物が報告されている。たとえば、非特許文献5,8には11C標識メトミデート、非特許文献6には18F標識エトミデート、及び、非特許文献7、9には123I標識ヨードメトミデートを用いた臨床研究の結果が報告されている。これらの放射性標識化合物により、副腎病変を画像化できることが報告されている。
【0006】
本発明者らは、2-(3-ピリジニル)-1H-ベンゾイミダゾール誘導体化合物が、アルドステロン産生腫瘍に特異的に集積することを知見し、当該化合物を副腎疾患の画像診断剤やアルドステロン産生腫瘍の治療剤等として使用することを既に提案している(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2007/144725号
【文献】国際公開第2011/151411号
【文献】国際公開第2012/012478号
【文献】国際公開第2015/199205号
【非特許文献】
【0008】
【文献】Kazutaka Nanba et al.,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(2013)Vol.98,No.4,1567-74
【文献】Amar,et al.,Hypertension,(2010)Vol.56,831~8
【文献】de Jong et al.,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(1984)Vol.59,No.6,1143~7
【文献】Forman et al.,Anesthesiology(2011)Vol.114,No.3,695~707
【文献】Georg Zettinig,et al.,European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging(2004)Vol.31,No.9,p.1224~1230
【文献】Wolfgang Wadsak,et al.、European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging(2006)Vol.33,No.6,p.669~672
【文献】Stefanie Hahner,et al.,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(2008)Vol.93,No.6,p.2358~2365
【文献】Timothy J.Burton,et al.,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(2012)Vol.97,No.1,p.100~109
【文献】Stefanie Hahner,et al.,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(2013)Vol.98,No.4,1508~18
【発明の概要】
【0009】
特許文献3には、CYP11B2選択性の高い化合物が開示されているが、副腎の正常部位に対するアルドステロン産生腫瘍への特異的集積については何ら示されていない。
【0010】
また、特許文献4は、2-(3-ピリジニル)-1H-ベンゾイミダゾール誘導体化合物のヒトアルドステロン産生腫瘍に対する特異的な一定の結合性は開示しているが、ヒトアルドステロン産生腫瘍に対しより高い結合性を有する化合物が求められていた。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アルドステロン産生腫瘍に特異的且つより高い結合性を有する化合物、及びこれを含む医薬を提供することにある。
【0012】
すなわち、本発明の一の態様は、下記式(1)で表される化合物又はその塩を提供するものである。
【0013】
【化1】
【0014】
上記式(1)中、Xは水素原子又はハロゲン原子を示し、Xはフッ素原子又はニトリル基を示し、Xは放射性ハロゲン原子を示す。Xが水素原子である場合は、Xはフッ素原子であることが好ましい。Xがハロゲン原子である場合は、Xはフッ素原子又はニトリル基の何れであってもよい。
【0015】
本発明の他の態様は、下記式(2)で表される化合物又はその塩を提供するものである。
【0016】
【化2】
【0017】
上記式(2)中、Xは水素原子又はハロゲン原子を示し、Xはフッ素原子又はニトリル基を、Rはハロゲン原子、置換若しくは非置換アルキルスルホニルオキシ基、又は、置換若しくは非置換アリールスルホニルオキシ基を示す。
【0018】
本発明の他の態様において、上記式(2)で表される化合物又はその塩から、放射性ハロゲン化反応により、上記式(1)で表される放射性化合物又はその塩を製造する方法を提供することができる。
【0019】
本発明によれば、ヒトアルドステロン産生腫瘍に特異的且つ高い結合性を有する化合物、及びこれを含む医薬が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】化合物[18F]100(対照)、[18F]101、[18F]102及び[18F]103をそれぞれ用いて実施例の評価1で得られたオートラジオグラムであり、試料1~6はそれぞれ病変領域の異なる関心領域を示し、化合物[18F]100(対照)の左側の欄に示されているのは同様の試料の免疫組織化学染色の結果である。図中のオートラジオグラムは各領域(病変領域,正常領域)への放射能の集積を、標準線源を基準に同一のスケールで表示したオートラジオグラムである。また、図中「免疫組織化学染色」欄の矢印はヒトアルドステロン産生腫瘍の病変領域を示す。
図2A】実施例で得られた化合物[18F]101の肝臓、腎臓及び脾臓における体内分布の経時変化を示すグラフである。
図2B】実施例で得られた化合物[18F]102の肝臓、腎臓及び脾臓における体内分布の経時変化を示すグラフである。
図2C】実施例で得られた化合物[18F]103の肝臓、腎臓及び脾臓における体内分布の経時変化を示すグラフである。図中「*」は実験回数が1回であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びアスタチン原子から選択される少なくとも一種である。
【0022】
また、本発明において、「塩」とは、医薬として許容されるものであればよい。例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、又は、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(グルクロン酸、ガラクツロン酸など)、α-ヒドロキシ酸(クエン酸、酒石酸など)、アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸など)、芳香族酸(安息香酸、ケイ皮酸など)、スルホン酸(p-トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸など)などの有機酸から誘導される塩にすることができる。
【0023】
本発明において、「放射性ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の放射性同位体から選択される少なくとも一種であり、好ましくは、18F、34mCl、76Br、123I、124I又は125Iを用いることができる。ここで、本発明において「放射性ヨウ素原子」とは、123I、124I又は125Iのいずれかをいう。
【0024】
アルドステロン産生腫瘍への結合性を高める観点から、上記式(1)において、Xが水素原子である場合は、Xはフッ素原子であることが好ましい。また、同様の観点から、上記式(1)において、Xがハロゲン原子である場合は、Xはフッ素原子又はニトリル基であることが好ましい。また、同様の観点から、上記式(1)において、Xがフッ素原子である場合は、Xはフッ素原子又はニトリル基であることが好ましい。
上記式(1)中、Xのハロゲン原子として放射性ハロゲン原子を用いることにより、核医学検査用の画像診断剤の用途に応用することができる。
【0025】
本発明に係る化合物の好ましい態様として、下記化学式で表される3つの化合物が挙げられる。
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
本発明において、置換又は非置換アルキルスルホニルオキシ基としては、炭素数1~12のアルキルスルホニルオキシ基が好ましい。置換アルキルスルホニルオキシ基は、アルキル鎖の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。また、本発明において、置換又は非置換アリールスルホニルオキシ基としては、置換又は非置換ベンゼンスルホニルオキシ基が好ましく、より好ましくは置換ベンゼンスルホニルオキシ基である。置換アリールスルホニルオキシ基は、アリール環の水素原子が炭素数1~12のアルキル基、又は、ニトロ基で置換されていることが好ましい。置換又は非置換アルキルスルホニルオキシ基及び置換又は非置換アリールスルホニルオキシ基の好ましい具体例としては、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、p-ニトロベンゼンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0030】
以下、上記式(1)で表される放射性化合物の製造方法の一例について、下記スキーム1を用いつつ説明する。上記式(1)で表される化合物において、Xがヒドロキシ基の化合物を出発物質とし、ヒドロキシ基に、上記式(2)中、Rで示す基(ハロゲン原子、置換若しくは非置換アルキルスルホニルオキシ基、又は、置換若しくは非置換アリールスルホニルオキシ基)を導入し、上記式(2)で表される化合物を標識前駆体として得る(スキーム1、ステップa)。次いで、放射性ハロゲン化物イオンを用いたRで示す基への求核置換反応を行い、上記式(1)で表される放射性化合物を得る(スキーム1、ステップb)。
【0031】
【化6】
【0032】
ここで、「放射性ハロゲン化物イオン」としては、放射性フッ化物イオン(例えば、[18F]フッ化物イオン)、放射性塩化物イオン(例えば、[34mCl]塩化物イオン)、放射性臭化物イオン(例えば、[76Br]臭化物イオン)、放射性ヨウ化物イオン(例えば、[123I]ヨウ化物イオン、[124I]ヨウ化物イオン、[125I]ヨウ化物イオン、)が挙げられる。放射性フッ化物イオンを用いる場合、標識前駆体としては、上記式(2)で表される化合物中、Rが、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、置換若しくは非置換アルキルスルホニルオキシ基、又は、置換若しくは非置換アリールスルホニルオキシ基であることが好ましい。また、放射性塩化物イオンを用いる場合、標識前駆体としては、上記式(2)で表される化合物中、Rが、臭素原子、ヨウ素原子、置換若しくは非置換アルキルスルホニルオキシ基、又は、置換若しくは非置換アリールスルホニルオキシ基であることが好ましい。また、放射性臭化物イオンを用いる場合、標識前駆体としては、上記式(2)で表される化合物中、Rが、ヨウ素原子、置換若しくは非置換アルキルスルホニルオキシ基、又は、置換若しくは非置換アリールスルホニルオキシ基であることが好ましい。また、放射性ヨウ化物イオンを用いる場合、標識前駆体としては、上記式(2)で表される化合物中、Rは、置換若しくは非置換アルキルスルホニルオキシ基、又は、置換若しくは非置換アリールスルホニルオキシ基であることが好ましい。これら放射性ハロゲン化物イオンを用いた求核置換反応は、アルカリ金属の炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム)などの塩基存在下に行うことが好ましい。
【0033】
例えば、放射性フッ化物イオンを用いて放射性フッ素化反応を行うことにより、上記式(1)で表される放射性化合物において、Xが放射性フッ素原子の放射性化合物を得ることができる。放射性フッ素化反応は、塩基存在下に行うことが好ましく、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]-ヘキサコサン(商品名:クリプトフィックス222)等の各種相間移動触媒存在下に行ってもよい。
【0034】
上記式(1)で表される放射性化合物又はその塩を医薬として用いる場合には、放射性ハロゲン化反応後、未反応の放射性ハロゲン及び不溶性の不純物を、メンブランフィルター、種々の充填剤を充填したカラム、HPLC等により精製することが望ましい。
【0035】
本発明では、このようにして製造された化合物又はその塩から、医薬を調製することもできる。本明細書において「医薬」とは、上記式(1)で表される化合物又はその塩を生体内への投与に適した形態で含む処方物であると定義することができる。この医薬は、経口的または非経口的(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、髄腔内、局所的、経直腸的、経皮的、経鼻的または経肺的)に投与することができる。経口投与のための投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤などの剤形が挙げられる。また、非経口投与のための投与形態としては、例えば、注射用水性剤、注射用油性剤、坐剤、経鼻剤、経皮吸収剤(ローション剤、乳液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、ゲル剤、貼付剤(テープ剤、経皮パッチ製剤、湿布剤等)、外用散剤等)等などの形態が挙げられる。
【0036】
本発明に係る医薬は、従来公知の技術を用いて調製され、製剤分野において通常使用される無毒性かつ不活性な担体を含有することも可能である。本発明の医薬に含有できる担体としては、製剤分野において常用され、かつ上記式(1)で表される化合物又はその塩と反応しない物質であれば限定されず、賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、崩壊剤、緩衝剤、溶解補助剤、等張化剤、溶解補助剤、pH調節剤、界面活性剤、乳化剤、懸濁化剤、分散剤、沈殿防止剤、増粘剤、粘度調節剤、ゲル化剤、無痛化剤、保存剤、可塑剤、経皮吸収促進剤、老化防止剤、保湿剤、防腐剤、香料等が挙げられる。これら担体は、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0037】
また、本発明に係る医薬は、生物体内に導入すると、アルドステロン産生腫瘍に特異的に高集積することができる。このため、上記式(1)中、Xのハロゲン原子として放射性ハロゲン原子を用いることで、放射能検出器、シングルフォトン断層撮影スキャナー、陽電子放射断層撮影スキャナー、シンチグラフィー等を用いて生物体外から非侵襲的に放射線を検出することにより、アルドステロン産生腫瘍や副腎疾患を画像化することができる。したがって、本発明の医薬は、核医学検査用の画像診断剤として使用することができ、具体的には、ポジトロン放出断層撮影(PET)用の画像診断剤やシングルフォトン断層撮影(SPECT)用の画像診断剤の用途に用いることができる。例えば、放射性ハロゲン原子として18F、76Br、124I等の陽電子放出核種を用いた場合は、ポジトロン放出断層撮影用の画像診断剤として用いることができ、放射性ハロゲン原子として123Iを用いた場合は、シングルフォトン断層撮影用の画像診断剤として用いることができる。また、上記式(1)中、Xのハロゲン原子に、19Fのような核磁気シグナル測定に適した元素を用いることで、核磁気共鳴撮像装置(MRI)を用いて、アルドステロン産生腫瘍を画像化することも可能である。
【実施例
【0038】
以下、実施例を記載して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【0039】
実施例中、各化合物の分子構造は、1H‐NMRスペクトルで同定した。NMR装置として、AVANCEIII(ブルカー製)を使用し、共鳴周波数を500MHz、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として使用し、TMS共鳴を0.00ppmに設定した。全ての化学シフトはデルタスケール(δ)上のppmであり、そしてシグナルの微細分裂については、略号(s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、dd:ダブルダブレット、dt:ダブルトリプレット、m:マルチプレット、bs:ブロードシングレット、quin:クインテット)を用いて示した。
以下、実施例において「室温」は、25℃である。
各化合物の合成例において、化合物合成における各ステップは、必要に応じて繰り返し行い、他の合成において中間体等として用いる際に必要な量を確保した。
【0040】
(参考例1)化合物100の合成
国際公開第2015/199205の図1に示すスキームに従い、化合物100の合成を行った。
【0041】
(参考例2)化合物[18F]100の合成
国際公開第2015/199205の図2に示すスキームに従い、化合物[18F]100の合成を行った。
【0042】
(実施例1)化合物101の合成
下記スキーム2に従い、化合物101の合成を行った。
【0043】
N-(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)-2-フルオロエチルアミン(化合物2)の合成
2,4―ジフルオロニトロベンゼン(化合物1)(109.7μL、1.0mmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解したのち、アルゴンガス雰囲気下、氷冷下にて、炭酸カリウム(691.0mg、5.0mmol)と2-フルオロエチルアミン(298.6mg、3.0mmmol)を加え、室温にて2日間撹拌した。反応終了後、室温にて水を加えたのち、ジクロロメタンで3回抽出を行った。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n―ヘキサン/酢酸エチル=20/1→10/1)にて精製を行い、N-(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)-2-フルオロエチルアミン(化合物2)(231.2mg、1.14mmol)を得た。
化合物2のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.36(bs、1H)、8.25(dd、J=9.5、6.1Hz、1H)、6.52(dd、J=11.3、2.6Hz、1H)、6.44-6.41(m、1H)、4.70(dt、J=47、5.0Hz、2H)、3.62(dq、J=25、4.1Hz、2H)。
【0044】
3-フルオロ-N-[2-フルオロエチル]-1、6-フェニレンジアミン(化合物3)の合成
N-(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)-2-フルオロエチルアミン(化合物2)(231.2mg、1.14mmol)を酢酸エチル(4.0mL)に溶解したのち、塩化スズ(II)(867.4mg、4.57mmol)と水(82.3μL、4.57mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、8時間加熱還流した。反応終了後、4M水酸化ナトリウム水溶液を加え、析出した沈殿物を濾過し、得られた濾液を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n―ヘキサン/酢酸エチル=5/1→2/1)にて精製を行い、3-フルオロ-N-[2-フルオロエチル]-1、6-フェニレンジアミン(化合物3)(137.9mg、0.801mmol)を得た。
化合物3のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ6.66-6.63(m、1H)、6.39-6.35(m、2H)、4.67(dt、J=47、4.9Hz、2H)、3.41(dt、J=27、4.8Hz、1H)、3.18(bs、2H)。
【0045】
5-{6-フルオロ-1-[2-フルオロエチル]ベンゾイミダゾール-2-イル}ピリジン-3-メタノール(化合物4)の合成
5-ヒドロキシメチル-3-ピリジンカルボキシアルデヒド(109.9mg、0.801mmmol)をN,N‘-ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解したのち、氷冷下にて3-フルオロ-N-[2-フルオロエチル]-1、6-フェニレンジアミン(化合物3)(137.9mg、0.801mmol)を溶解したN、N’-ジメチルホルムアミド溶液(2mL)とOxone(登録商標)一過硫酸塩化合物(590.8mg、0.961mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて2時間30分撹拌した。反応終了後、氷冷下にて飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n-ヘキサン/メタノール=10/5/1)にて精製を行い、5-{6-フルオロ-1-[2-フルオロエチル]ベンゾイミダゾール-2-イル}ピリジン-3-メタノール(化合物4)(148.7mg、0.514mmol)を得た。
化合物4のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.87(d、J=2.1Hz、1H)、8.76(d、J=2.1Hz、1H)、8.13(t、J=2.1Hz、1H)、7.78(dd、J=8.9、4.9Hz、1H)、7.15-7.09(m、2H)、4.86(d、J=5.6Hz、2H)、4.80(dt、J=47、4.8Hz、2H)、4.50(dt、J=25、4.8Hz、2H)。
【0046】
6-フルオロ-1-(2-フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物101)の合成
5-{6-フルオロ-1-[2-フルオロエチル]ベンゾイミダゾール-2-イル}ピリジン-3-メタノール(化合物4)(148.7mg、0.514mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解したのち、トリエチルアミン(214.3μL、1.54mmol)を加えた。さらに、-20℃にてp-トルエンスルホン酸無水物(335.5mg、1.03mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、-20℃で4時間撹拌した。さらに、トリエチルアミン(214.3μL、1.54mmol)及びp-トルエンスルホン酸無水物(335.5mg、1.03mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、-20℃で3時間撹拌した。反応終了後、トリエチルアミン(1.1mL、7.71mmol)及びイミダゾール(349.9mg、5.14mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて一晩撹拌した。反応終了後、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製を行い、得られた画分を減圧濃縮し、酢酸エチルに溶解させ飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。続いて、洗浄した酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、6-フルオロ-1-(2-フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物101)(31.5mg、0.0931mmol)を得た。
化合物101のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.94(d、J=2.0Hz、1H)、8.64(d、J=2.2Hz、1H)、7.87(t、J=1.9Hz、1H)、7.77(dd、J=9.5、4.9Hz、1H)、7.62(s、1H)、7.14(s、1H)、7.13-7.09(m、2H)、6.96(t、J=1.3Hz、1H)、5.26(s、2H)、4.77(dt、J=47、4.7Hz、2H)、4.42(dt、J=25、4.8Hz、2H)。
【0047】
(実施例2)化合物[18F]101の合成
下記スキーム2に従い、化合物[18F]101の合成を行った。
【0048】
2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物6)の合成
2-アミノエタノール(化合物5)(2.2mL、40.0mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解したのち、室温下にて、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(15.6mL、60.0mmol)とイミダゾール(5.44g、80.0mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて一晩撹拌した。反応終了後、氷冷下で水を加えたのち、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル→酢酸エチル/メタノール=10/1→5/1)にて精製を行い、2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物6)(12.2g、40.7mmol)を得た。
化合物6のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ7.67-7.65(m、4H)、7.44-7.36(m、6H)、3.70(t、J=5.3Hz、2H)、2.84(t、J=5.3Hz、2H)、2.79(bs、2H)、3.08(bs、2H)、1.07(s、9H)。
【0049】
N-(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)-2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物7)の合成
2,4-ジフルオロニトロベンゼン(化合物1)(66.9μL、0.606mmol)をジクロロメタン(2.0mL)に溶解したのち、アルゴンガス雰囲気下、氷冷下にて、炭酸カリウム(420.5mg、3.04mmol)と2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物6)(546.7mg、1,83mmol)を加え、室温にて一晩撹拌した。反応終了後、室温にて水を加えたのち、ジクロロメタンで3回抽出を行った。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=20/1→10/1)にて精製を行い、N-(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)-2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物7)(286.9mg、0.654mmol)を得た。
化合物7のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.51(bs、1H)、8.22(dd、J=9.5、6.2Hz、1H)、7.67-7.65(m、4H)、7.43-7.36(m、6H)、6.43(dd、J=11.5、2.6Hz、1H)、6.37-6.33(m、1H)、3.90(t、J=5.4Hz、2H)、3.47(q、J=5.4Hz、2H)、1.07(s、9H)。
【0050】
3-フルオロ-N-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]-1,6-フェニレンジアミン(化合物8)の合成
N-(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)-2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物7)(286.9mg、0.654mmol)をメタノール(3.0mL)に溶解したのち、アルゴンガス雰囲気下にて、10%パラジウムカーボン(11.2mg)を加えた。続いて、水素ガス雰囲気下、室温にて一晩撹拌した。反応終了後、セライトろ過し、ろ液を減圧濃縮して粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル=20/1→5/1)にて精製を行い、3-フルオロ-N-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]-1、6-フェニレンジアミン(化合物8)(122.4mg、0.300mmol)を得た。
化合物8のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ7.67(dd、J=6.0、1.3Hz、4H)、7.43-7.41(m、2H)、7.39-7.36(m、4H)、6.62(dd、J=8.3、5.7Hz、1H)、6.34-6.28(m、2H)、4.16(bs、1H)、3.91(t、J=5.4Hz、2H)、3.21(q、J=5.2Hz、2H)、3.08(bs、2H)、1.07(s、9H)。
【0051】
5-{6-フルオロ-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール-2-イル}ピリジン-3-メタノール(化合物9)の合成
5-ヒドロキシメチル-3-ピリジンカルボキシアルデヒド(40.8mg、0.298mol)をN,N‘-ジメチルホルムアミド(0.5mL)に溶解したのち、氷冷下、3-フルオロ-N-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]-1,6-フェニレンジアミン(化合物8)(122.4mg、0.300mol)とOxone(登録商標)一過硫酸塩化合物(221.3mg、0.360mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて30分撹拌した。反応終了後、氷冷下にて飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えたのち、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n-ヘキサン/メタノール=10/5/1)にて精製を行い、5-{6-フルオロ-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール-2-イル}ピリジン-3-メタノール(化合物9)(131.3mg、0.250mmol)を得た。
化合物9のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.96(d、J=2.1Hz、1H)、8.73(d、J=2.1Hz、1H)、8.12(t、J=2.1Hz、1H)、7.77(dd、J=8.8、4.8Hz、1H)、7.38-7.36(m、6H)、7.29-7.28(m、4H)、7.09-7.05(m、1H)、6.91(dd、J=8.7、2.4Hz、1H)、4.76(d、J=5.8Hz、2H)、4.40(t、J=5.7Hz、2H)、3.94(t、J=5.7Hz、2H)、0.89(s、9H)。
【0052】
6-フルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物10)の合成
5-{6-フルオロ-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール-2-イル}ピリジン-3-メタノール(化合物9)(131.3mg、0.250mmol)をジクロロメタン(2.5mL)に溶解したのち、氷冷下、トリエチルアミン(104.4μL、0.750mmol)とp-トルエンスルホン酸無水物(163.0mg、0.500mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて1時間30分撹拌した。反応終了後、水を加え、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して粗生成物を得た。イミダゾール(85.0mg、1.25mmol)をN,N‘-ジメチルホルムアミド(0.2mL)に溶解したのち、氷冷した。トリエチルアミン(174.1μL、1.25mmol)を加えたのち、先に得た粗生成物をN,N‘-ジメチルホルムアミド(0.8mL)に溶解して加え、アルゴンガス雰囲気下、室温で4時間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール=30/1→20/1→10/1)にて精製を行い、6-フルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物10)(128.1mg、0.222mmol)を得た。
化合物10のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ9.06(d、J=2.2z、1H)、8.55(d、J=2.2Hz、1H)、7.92(t、J=2.2Hz、1H)、7.76(dd、J=8.8、4.8Hz、1H)、7.55(s、1H)、7.40-7.35(m、6H)、7.29-7.27(m、4H)、7.09-7.05(m、2H)、6.90-6.86(m、2H)、5.13(s、2H)、4.34(t、J=5.5Hz、2H)、3.94(t、J=5.5Hz、2H)、0.89(s、9H)。
【0053】
2-{6-フルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール-1-イル}エタノール(化合物11)の合成
6-フルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物10)(128.1mg、0.222mmol)をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解したのち、室温にてテトラブチルアンモニウムフルオリド(0.33mL、テトラヒドロフラン溶液、約1M、0.33mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて1時間30分撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール=20/1→10/1→5/1)にて精製を行い、2-{6-フルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール-1-イル}エタノール(化合物11)(25.8mg、0.0765mmol)を得た。
化合物11のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ9.07(d、J=2.2Hz、1H)、8.64(d、J=2.2Hz、1H)、7.87(t、J=2.2Hz、1H)、7.73(dd、J=8.9、4.8Hz、1H)、7.62(s、1H)、7.15(d、J=2.4Hz、1H)、7.13(s、1H)、7.12(dt、J=10.3、2.4Hz、1H)、6.98(t、J=1.3Hz、1H)、5.27(s、2H)、4.21(t、J=5.7Hz、2H)、3.99(t、J=5.7Hz、2H)、2.44(bs、1H)。
【0054】
6-クロロ-5-フルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(p-トルエンスルホニルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物12)の合成
2-{6-フルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール-1-イル}エタノール(化合物11)(20.0mg、0.0593mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解したのち、p-トルエンスルホニルクロリド(22.6mg、0.119mol)、トリエチルアミン(24.8μL、0.176mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて3時間撹拌した。反応終了後、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール=20/1→10/1)にて精製を行い、得られた画分を減圧濃縮し、酢酸エチルに溶解させ水で洗浄した。続いて、洗浄した酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮し、6-フルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(p-トルエンスルホニルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物12)(10.9mg、0.0229mmol)を得た。
化合物12のH-NMR(溶媒:重メタノール):δ8.82(d、J=2.1Hz、1H)、8.70(d、J=2.1Hz、1H)、8.02(t、J=2.1Hz、1H)、7.90(s、1H)、7.62(dd、J=8.8、4.7Hz、1H)、7.28(dd、J=6.4、1.8Hz、3H)、7.21(dd、J=8.9、2.4Hz、1H)、7.13-7.10(m、1H)、7.06(t、J=2.3Hz、3H)、5.46(s、2H)、4.49(t、J=5.9Hz、2H)、4.25(t、J=5.9Hz、2H)、2.32(s、3H)。
【0055】
化合物[ 18 F]101の合成
18F]フッ化物イオン含有H 18O(放射能量2330MBq、合成開始時補正値)を、Sep-Pakカラム(商品名:Sep-Pak(登録商標)Light Cartridge Accell(登録商標) Plus QMA Carbonate、Waters社製、充填剤の充填量130mg)に通液し、[18F]フッ化物イオンを吸着捕集した。このカラムに炭酸カリウム水溶液(42.4μmol/L、0.3mL)及びクリプトフィックス222(商品名、メルク社製)(14mg、37.2μmol)のアセトニトリル溶液(0.7mL)を通液して、[18F]フッ化物イオンを溶出した。これをアルゴンガス通気下110℃に加熱して水を蒸発させた後、アセトニトリル(0.5mL×2)を加えて共沸させ乾固させた。ここに6-クロロ-5-フルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(p-トルエンスルホニルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物12)(3mg、0.0102mmol)を溶解したジメチルスルホキシド溶液(0.6mL)を加え、100℃で6分加熱した。反応終了後、注射用水(2.0mL)を加え、下記の条件のHPLCに付して6-フルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物[18F]101)画分を分取した。
<HPLC条件>
カラム:Develosil RPAQUEOUS(商品名、野村化学社製、サイズ:10×250mm)
移動相:10mM炭酸水素アンモニウム溶液/アセトニトリル=70/30
流速:4.0 mL/分
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波長:254nm)
当該画分に水10mLを添加した液をSep-Pak C18カラム(商品名:Sep-Pak(登録商標) Light C18 Cartridges、Waters社製、充填剤の充填量130mg)に通液し、6-フルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物[18F]101)を当該カラムに吸着捕集した。このカラムを水5mLで洗浄した後、エタノール1mLを通液して6-フルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物[18F]101)を溶出させることで、6-フルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物[18F]101)のエタノール溶液を得た。得られた放射能量は合成直後において707MBq(合成開始後49分)であった。また、下記の条件によるTLC分析を行ったところ、その放射化学的純度は98.3%であった。
<TLC分析条件>
TLCプレート:Silica Gel 60 F254(製品名、メルク社製)
展開相:アセトニトリル/水/ジエチルアミン=10/1/1
RI検出器:Rita Star、raytest社製
【化7】
【0056】
(実施例3)化合物102の合成
下記スキーム3に従い、化合物102の合成を行った。
【0057】
N-(4,5-ジフルオロ-2-ニトロフェニル)-2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物2)の合成
2,4,5-トリフルオロニトロベンゼン(化合物1)(1.00g、5.65mmol)をジクロロメタン(25mL)に溶解したのち、室温にて2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(1.69g、5.65mmol)と炭酸カリウム(2.34g、17.0mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、同温にて一晩撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン→ヘキサン/酢酸エチル=10/1)にて精製を行い、N-(4,5-ジフルオロ-2-ニトロフェニル)-2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物2)(1.72g、3.78mmol)を得た。
化合物2のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.41(bs、1H)、8.05(dd、1H、JHH=8.4、HF=10.8Hz)、7.66-7.64(m、4H)、7.44-7.42(m、2H)、7.39-7.36(m、4H)、6.56(dd、1H、JHH=6.7、HF=12.6Hz)、3.90(t、J=5.4Hz、2H)、3.40(dt、J=5.4、5.4Hz、2H)、1.06(s、9H)。
【0058】
5-{5,6-ジフルオロ-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール-2-イル}ピリジン-3-メタノール(化合物3)の合成
N-(4,5-ジフルオロ-2-ニトロフェニル)-2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物2)(1.72g、3.78mmol)を酢酸エチル(25mL)に溶解したのち、塩化スズ(II)(2.87g、15.1mmol)と水(0.272mL、15.1mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、一晩加熱還流した。反応終了後、溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)にて精製を行い、得られた化合物をN,N‘-ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解したのち、室温にて5-ヒドロキシメチル-3-ピリジンカルボキシアルデヒド(391mg、2.85mmol)とペルオキシ一硫酸カリウム(商品名:Oxone(登録商標))(2.10g、3.42mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、同温にて2時間撹拌した。反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)にて精製を行い、5-{5、6-ジフルオロ-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール-2-イル}ピリジン-3-メタノール(化合物3)(1080mg、1.99mmol)を得た。
化合物3のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.93(d、J=2.1Hz、1H)、8.72(d、J=2.1Hz、1H)、8.10(t、J=2.1Hz、1H)、7.60(dd、1H、JHH=8.3、HF=10.3Hz)、7.61-7.36(m、6H)、7.30-7.25(m、4H)、6.99(dd、1H、JHH=6.9、HF=9.8Hz)、4.77(brs、2H)、4.38(t、J=5.5Hz、2H)、3.93(t、J=5.5Hz、2H)、0.90(s、9H)。
【0059】
2-(p-トルエンスルホニルオキシメチルピリジン-3-イル)-5,6-ジフルオロ-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物4)の合成
5-{5,6-ジフルオロ-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール-2-イル}ピリジン-3-メタノール(化合物3)(1080mg、1.99mmol)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、アルゴンガスで置換したのち、0℃にてトリエチルアミン(333μL、2.39mmol)とp-トルエンスルホン酸無水物(714mg、2.19mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、同温にて1時間撹拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、ジクロロメタンで3回抽出した。合せたジクロロメタン層を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)にて精製を行い、2-(p-トルエンスルホニルオキシメチルピリジン-3-イル)-5,6-ジフルオロ-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物4)(858mg、1.23mmol)を得た。
化合物4のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ9.01(d、J=2.1Hz、1H)、8.61(d、J=2.1Hz、1H)、8.07(t、J=2.1Hz、1H)、7.81(d、J=8.3Hz、2H)、7.59(dd、1H、JHH=8.3、HF=10.3Hz)、7.41-7.27(m、12H)、6.97(dd、1H、JHH=6.9、HF=9.7Hz)、5.09(s、2H)、4.35(t、J=5.4Hz、2H)、3.94(t、J=5.4Hz、2H)、0.88(s、9H)。
【0060】
2-{5,6-ジフルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール-1-イル}エタノール(化合物5)の合成
イミダゾール(127mg、1.86mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解したのち、0℃にて水素化ナトリウム(74.4mg、1.86mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、同温にて10分撹拌した。同温にて2-(p-トルエンスルホニルオキシメチルピリジン-3-イル)-5,6-ジフルオロ-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物4)(858mg、1.23mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、同温にて15分間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をテトラヒドロフラン0.2mLに溶解したのち、0℃にてテトラブチルアンモニウムフルオリド(3.1mL、テトラヒドロフラン溶液、約1M、3.1mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて15分間撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)にて精製を行い、2-{5,6-ジフルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール-1-イル}エタノール(化合物5)(235mg、0.660mmol)を得た。
化合物5のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ9.03(d、J=2.1Hz、1H)、8.61(d、J=2.1Hz、1H)、7.91(t、J=2.1Hz、1H)、7.57(s、1H)、7.52(dd、1H、JHH=7.3、HF=10.2Hz)、7.27(dd、1H、JHH=6.8、HF=9.7Hz)、7.06(s、1H)、6.96(t、J=1.3Hz、1H)、5.26(s、2H)、4.20(t、J=5.5Hz、2H)、3.98(t、J=5.5Hz、2H)、3.31(m、1H)。
【0061】
5,6-ジフルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(p-トルエンスルホニルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物6)の合成
2-{5,6-ジフルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール-1-イル}エタノール(化合物5)(235mg、0.161mmol)をジクロロメタン(10.0mL)に溶解したのち、p-トルエンスルホン酸無水物(431mg、1.32mmol)、トリエチルアミン(184μL、1.32mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて15分間撹拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせたジクロロメタン層を乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)にて精製を行い、5,6-ジフルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(p-トルエンスルホニルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物6)(129mg、0.253mmol)を得た。
化合物6のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.84(d、J=2.1Hz、1H)、8.64(d、J=2.1Hz、1H)、7.87(t、J=2.1Hz、1H)、7.66(s、1H)、7.53(dd、1H、JHH=7.3、HF=10.1Hz)、7.41(d、J=8.4Hz、2H)、7.14-7.12(m、3H)、7.11(dd、1H、JHH=6.7、HF=9.5Hz)、7.03(t、J=1.2Hz、1H)、5.29(s、2H)、4.37(t、J=5.3Hz、2H)、4.23(t、J=5.3Hz、2H)、2.38(s、3H)。
【0062】
5,6-ジフルオロ-1-(2-フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物102)の合成
テトラブチルアンモニウムフルオリド(9.8μL、テトラヒドロフラン溶液、約1M、9.81μmol)を減圧濃縮した後、ジメチルスルホキシド(0.2ml)に溶解した。室温にて5、6-ジフルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(p-トルエンスルホニルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物6)(10.0mg、19.6μmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて1時間、40℃にて一晩撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチル/ヘキサンの混合溶液(1/1)で3回抽出した.合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗製生物を下記の条件のHPLCにて精製を行い、5,6-ジフルオロ-1-(2-フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物102)(1.2mg、3.36μmol)を得た。
化合物102のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.92(d、J=1.9Hz、1H)、8.65(d、J=1.9Hz、1H)、7.83(s、1H)、7.71-7.47(m、3H)、7.16(s、1H)、6.97(s、1H)、5.28(s、2H)、4.20(dt、J=47、4.7Hz、2H)、3.98(dt、J=26、4.7Hz、2H)。
<HPLC条件>
カラム:Xbridge Phenyl 10μm(商品名、Waters社製、サイズ:10×250mm)
移動相A:10mM炭酸水素アンモニウム溶液
移動相B:メタノール
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を下記表1のように変えて濃度勾配制御する。
【表1】

流速:4.0 mL/分
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波長:293nm)
【0063】
(実施例4)化合物[18F]102の合成
18F]フッ化物イオン含有H 18O(放射能量4540MBq、合成開始時補正値)を、Sep-Pak カラム(商品名:Sep-Pak(登録商標) Light Cartridge Accell(登録商標) Plus QMA Carbonate、Waters社製、充填剤の充填量130mg)に通液し、[18F]フッ化物イオンを吸着捕集した。このカラムに炭酸カリウム水溶液(42.4μmol/L、0.3mL)及びクリプトフィックス222(商品名、メルク社製)14mg(37.2μmol)のアセトニトリル溶液(0.7mL)を通液して、[18F]フッ化物イオンを溶出した。これをアルゴンガス通気下110℃に加熱して水を蒸発させた後、アセトニトリル(0.5mL×2)を加えて共沸させ乾固させた。ここに5,6-ジフルオロ-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(p-トルエンスルホニルオキシ)エチル]ベンゾイミダゾール(化合物6)(5mg、0.00981mmol)を溶解したアセトニトリル/ジメチルスルホキシド(9:1)混液(1.0mL)を加え、100℃で5分加熱した.反応終了後、注射用水(2.0mL)を加え、下記の条件のHPLCに付して5,6-ジフルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物[18F]102)画分を分取した。
<HPLC条件>
カラム:Develosil RPAQUEOUS(商品名、野村化学社製、サイズ:10×250mm)
移動相:10mM炭酸水素アンモニウム溶液/アセトニトリル=65/35
流速:4.0 mL/分
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波長:254nm)
当該画分に水10mLを添加した液をSep-Pak C18カラム(商品名:Sep-Pak(登録商標) Light C18 Cartridges、Waters社製、充填剤の充填量130mg)に通液し、5,6-ジフルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物[18F]102)を当該カラムに吸着捕集した。このカラムを水5mLで洗浄した後、エタノール1mLを通液して5,6-ジフルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-2-[5-(イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]ベンゾイミダゾール(化合物[18F]102)のエタノール溶液を得た。得られた放射能量は合成直後において789MBq(合成開始後61分)であった。また、下記の条件によるTLC分析を行ったところ、その放射化学的純度は99.1%であった。
<TLC分析条件>
TLCプレート:Silica Gel 60 F254(製品名、メルク社製)
展開相:アセトニトリル/水/ジエチルアミン=10/1/1
RI検出器:Rita Star、raytest社製
【化8】
【0064】
(実施例5)化合物103の合成
下記スキーム4に従い、化合物103の合成を行った。
【0065】
2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物2)の合成
2-アミノエタノール(化合物1)(2.2mL、40.0mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解したのち、室温下にて、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(15.6mL、60.0mmol)とイミダゾール(5.44g、80.0mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて一晩撹拌した。反応終了後、氷冷下で水を加えたのち、ジクロロメタンで3回抽出を行った。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=100/0→10/1→5/1)にて精製を行い、2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物2)(12.2g、40.7mmol)を得た。
化合物2のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ7.67-7.65(m、4H)、7.44-7.36(m、6H)、3.70(t、J=5.3Hz、2H)、2.84(t、J=5.3Hz、 H)、2.79(br、2H)、3.08(br、2H)、 1.07(s、9H)。
【0066】
2,5-ジフルオロ-4-ニトロベンゾニトリル(化合物4)の合成
1-ブロモ-2,5-ジフルオロベンゼン(化合物3)(0.440mL、4.00mmol)を硫酸(5.00mL)に溶解したのち、氷冷下、硝酸カリウム(445mg、4.40mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて1時間間撹拌した。反応終了後、水を加え、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物(952mg、4.00mmol)をN-メチルピロリドン(6.00mL)に溶解したのち、室温にてシアン化銅(565mg、6.32mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて7時間撹拌した。反応終了後、硫酸ナトリウム及び水を加え、ジエチルエーテルで3回抽出した。合わせたジエチルエーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して2,5-ジフルオロ-4-ニトロベンゾニトリル(化合物4)(541mg、2.94mmol)を得た。
【0067】
5-{[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]アミノ}-2-フルオロ-4-ニトロベンゾニトリル(化合物5)の合成
2,5-ジフルオロ-4-ニトロベンゾニトリル(化合物4)(0.541g、2.94mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解したのち、室温にて2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチルアミン(化合物2)(2.04g、6.82mmol)と炭酸カリウム(1.57g、11.4mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて13時間撹拌した。反応終了後、水を加え、ジクロロメタンで2回抽出した。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)にて精製を行い、5-{[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]アミノ}-2-フルオロ-4-ニトロベンゾニトリル(化合物5)(1.08g、2.33mmol)を得た。
化合物5のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.21(br、1H)、8.03(d、J=9.1Hz、1H)、7.64(dd、J=8.1、1.4Hz、4H)、7.46-7.41(m、2H)、7.40-7.36(m、4H)、7.09(d、J=5.2Hz、1H)、3.92(t、J=5.2Hz、2H)、3.41(dd、J=10.7、5.2Hz、2H)、1.07(s、9H)。
【0068】
4-アミノ-5-{[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]アミノ}-2-フルオロベンゾニトリル(化合物6)の合成
5-{[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]アミノ}-2-フルオロ-4-ニトロベンゾニトリル(化合物5)(1.08g、2.33mmol)を酢酸エチル(8.0mL)に溶解したのち、塩化スズ(II)(1.77g、9.32mmol)と水(0.17mL、9.32mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、1時間加熱還流した。反応終了後、4N水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)にて精製を行い、4-アミノ-5-{[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]アミノ}-2-フルオロベンゾニトリル(化合物6)(670mg、1.55mmol)を得た。
化合物6のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ7.67-7.65(m、4H)、7.47-7.43(m、2H)、7.41-7.37(m、4H)、6.67(d、J=6.1Hz、1H)、6.44(d、J=10.2Hz、1H)、4.03(s、2H)、3.92(t、J=5.1Hz、2H)、3.43(t、J=5.7Hz、1H)、3.13(dd、J=10.5、5.8Hz、2H)、1.08(s、9H)。
【0069】
1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]-5-フルオロ-2-[5-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-イル]-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物7)の合成
5-ヒドロキシメチル-3-ピリジンカルボキシアルデヒド(212mg、1.55mmol)をN,N‘-ジメチルホルムアミド(6mL)に溶解したのち、氷冷下、4-アミノ-5-{[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]アミノ}-2-フルオロベンゾニトリル(化合物6)(670mg、1.55mmol)とペルオキシ一硫酸カリウム(商品名:Oxone(登録商標))(1.14g、1.86mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて2時間撹拌した.反応終了後、0℃にて飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えたのち、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン/メタノール=10/5/1)にて精製を行い、1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]-5-フルオロ-2-[5-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-イル]-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物7)(853mg、1.55mmol)を得た。
化合物7のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.94(d、J=2.1Hz、1H)、8.76(d、J=2.1Hz、1H)、8.14(t、J=2.1Hz、1H)、7.59(d、J=9.2Hz、1H)、7.44-7.41(m、3H)、7.37-7.35(m、4H)、7.32-7.29(m、4H)、4.79(s、2H)、4.42(t、J=5.5Hz、2H)、3.96(t、J=5.5Hz、2H)、0.91(s、9H)。
【0070】
2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物8)の合成
1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]-5-フルオロ-2-[5-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-イル]-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物7)(853mg、1.55mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解したのち、氷冷下、トリエチルアミン(0.65mL、4.65mmol)とp-トルエンスルホン酸無水物(1.01g、3.10mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて15分撹拌した。反応終了後、水を加え、ジクロロメタンで2回抽出した。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して粗生成物を得た。イミダゾール(527mg、7.75mmol)をN、N‘-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解した溶液に氷冷下、トリエチルアミン(1.08mL、7.75mmol)を加えたのち、先に得た粗生成物をN、N‘-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解して加え、アルゴンガス雰囲気下、室温で17時間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)にて精製を行い、2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物8)(311mg、0.518mmol)を得た。
化合物8のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ9.07(d、J=2.1Hz、1H)、8.63(d、J=2.2Hz、1H)、7.90(t、J=2.1Hz、1H)、7.58(d、J=9.2Hz、1H)、7.56(s、1H)、7.45-7.41(m、2H)、7.39(d、J=5.2Hz、1H)、7.36-7.34(m、4H)、7.31-7.28(m、4H)、7.11(t、J=1.0Hz、1H)、6.89(t、J=1.3Hz、1H)、5.18(s、2H)、4.36(t、J=5.5Hz、2H)、3.96(t、J=5.4Hz、2H)、0.91(s、9H)。
【0071】
2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-5-フルオロ-1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物9)の合成
2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-1-[2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル]-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物8)(311mg、0.518mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解したのち、氷冷下、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)(0.78mL、0.78mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて20分撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1→5/1)にて精製を行い、2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-5-フルオロ-1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物9)(167mg、0.461mmol)を得た。
化合物9のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ9.08(d、J=1.9Hz、1H)、8.71(d、J=2.2Hz、1H)、7.87(s、1H)、7.76(d、J=9.4Hz、1H)、7.64(s、1H)、7.59(d、J=9.3Hz、1H)、7.15(s、1H)、6.98(s、1H)、5.31(s、2H)、4.26(t、J=5.4Hz、2H)、4.03(d、J=5.3Hz、2H)。
【0072】
2-{2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-6-シアノ-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}エチル-4-メチルベンゼンスルホネート(化合物10)の合成
2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-5-フルオロ-1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物9)(50.0mg、0.138mmol)をジクロロメタン(1.5mL)に溶解したのち、氷冷下、トリエチルアミン(58.5μL、0.420mmol)とp-トルエンスルホン酸無水物(91.4mg、0.280mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1→10/1)にて精製を行い、2-{2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-6-シアノ-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}エチル-4-メチルベンゼンスルホネート(化合物10)(13.9mg、0.0269mmol)を得た。
化合物10のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.88(d、J=2.1Hz、1H)、8.69(d、J=2.1Hz、1H)、7.92(t、J=2.1Hz、1H)、7.78(d、J=8.2Hz、2H)、7.70(s、1H)、7.56(d、J=9.0Hz、1H)、7.43(d、J=8.5Hz、2H)、7.17(d、J=8.0Hz、2H)、7.03(s、1H)、5.32(s、2H)、4.45(t、J=5.1Hz、2H)、4.26(t、J=5.1Hz、2H)、2.40(s、3H)。
【0073】
2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-5-フルオロ-1-(2-フルオロエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物103)の合成
2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-5-フルオロ-1-(2-ヒドロキシメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物10)(10.0mg、0.0194mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解したのち、室温にて三フッ化N、N-ジエチルアミノ硫黄(10.9μL、0.0831mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、同温にて30分間撹拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてさらに1時間撹拌した後、クロロホルムで3回抽出した。合わせたクロロホルム層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン→ヘキサン/酢酸エチル=10/1)にて精製を行い、2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-5-フルオロ-1-(2-フルオロエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物103)(1.6mg、0.00439mmol)を得た。
化合物103のH-NMR(溶媒:重クロロホルム):δ8.95(d、J=2.1Hz、1H)、8.70(d、J=2.1Hz、1H)、7.83(t、J=2.1Hz、1H)、7.72(d、J=5.2Hz、1H)、7.63-7.61(m、2H)、7.16(s、1H)、6.97(s、1H)、5.29(s、2H)、4.78(dt、1H、JHH=4.6、HF=46.7Hz)、4.47(dt、1H、JHH=4.6、HF=25.5Hz)。
19F-NMR(溶媒:重クロロホルム、共鳴周波数:470MHz):δ-113.7(t、HF=7.2Hz)、-219.3(dd、HF=46.7Hz、HF=25.5Hz)。
【0074】
(実施例6)化合物[18F]103の合成
18F]フッ化物イオン含有H 18O(放射能量2470MBq、合成開始時補正値)を、Sep-Pak カラム(商品名:Sep-Pak(登録商標) Light Cartridge Accell(登録商標) Plus QMA Carbonate、Waters社製、充填剤の充填量130mg)に通液し、[18F]フッ化物イオンを吸着捕集した。このカラムに炭酸カリウム水溶液(42.4μmol/L、0.3mL)及びクリプトフィックス222(商品名、メルク社製)14mg(37.2μmol)のアセトニトリル溶液0.7mLを通液して、[18F]フッ化物イオンを溶出した。これをアルゴンガス通気下110℃に加熱して水を蒸発させた後、アセトニトリル(0.5mL×2)を加えて共沸させ乾固させた。ここに2-{2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-6-シアノ-5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル}エチル-4-メチルベンゼンスルホネート(化合物10)(5mg、0.00968mmol)を溶解したアセトニトリル/ジメチルスルホキシド(9:1)混液(1.0mL)を加え、100℃で5分加熱した。反応終了後、注射用水(2.0mL)を加え、下記の条件のHPLCに付して2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-5-フルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物[18F]103)画分を分取した。
<HPLC条件>
カラム:Develosil RPAQUEOUS(商品名、野村化学社製、サイズ:10×250mm)
移動相:10mM炭酸水素アンモニウム溶液/アセトニトリル=75/25
流速:4.0 mL/分
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波長:254nm)
当該画分に水10mLを添加した液をSep-Pak C18カラム(商品名:Sep-Pak(登録商標) Light C18 Cartridges、Waters社製、充填剤の充填量130mg)に通液し、2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-5-フルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物[18F]103)を当該カラムに吸着捕集した。このカラムを水5mLで洗浄した後、エタノール1mLを通液して2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-5-フルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物[18F]103)を溶出させることで、2-[5-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)ピリジン-3-イル]-5-フルオロ-1-(2-[18F]フルオロエチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(化合物[18F]103)のエタノール溶液を得た。得られた放射能量は合成直後において795MBq(合成開始後82分)であった。また、下記の条件によるTLC分析を行ったところ、その放射化学的純度は98.7%であった。
<TLC分析条件>
TLCプレート:Silica Gel 60 F254(製品名、メルク社製)
展開相:アセトニトリル/水/ジエチルアミン=10/1/1
RI検出器:Rita Star、raytest社製
【化9】
【0075】
評価1:ヒト副腎腫瘍を用いたインビトロオートラジオグラフィー
アルドステロン産生腫瘍部位を有する病変領域及び隣接部に正常領域を含むヒト副腎組織凍結標本を用いて、インビトロオートラジオグラフィーを実施した。具体的には、該標本を凍結組織切片作製用包埋剤(ティシュー・テック O.C.T. コンパウンド、サクラファインテックジャパン株式会社製)で包埋し、ヒト副腎組織を7μmの厚さに薄切した切片をスライドガラスに貼付したもの(-80℃保管、以下、ヒト副腎切片)を実験に使用した。
参考例2、実施例2、4若しくは6で得られた化合物[18F]100、[18F]101、[18F]102若しくは[123I]103又は化合物[123I]IMTO(リファレンス化合物)の溶液をバイアルに分注し,ラジオアイソトープ・ドーズ・キャリブレータ―(CRC-15R、キャピンテック社製)で放射能量を測定した。各溶液をヒト血漿に加えて調製した溶液(以下、反応液)を、オートウェル・ガンマシステム(ARC-7001、株式会社日立製作所製)にて放射能濃度を測定した。
プレインキュベーションとして、ヒト副腎切片をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に37℃、5分間浸漬し、次いでヒト血漿に37℃、5分間浸漬した。次いで、反応工程として、反応液にヒト副腎切片を37℃、10分間浸漬させた。その後、ヒト副腎切片をヒト血漿で37℃、2分間、5回洗浄した後に、風乾した。また、スライドガラスに円形に切り抜いたろ紙を貼り付けたものに、反応液を既知量浸み込ませ、風乾したものを標準線源とした。
風乾後のヒト副腎切片及び風乾後の標準線源をイメージングプレート(BAS-SR2040、富士フイルム社製)(IPシート)に曝露し、フルオロ・イメージアナライザー(Typhoo FLA 7000 IP、GEヘルスケアジャパン社製)でオートラジオグラムを取得した。取得したオートラジオグラム上の病変領域及び正常領域に関心領域(ROI)を設定し、放射能カウントを求めた。標準線源についてもROIを設定し、放射能カウントを求めた。
ヒト副腎切片について得たオートラジオグラムは,各領域(病変領域,正常領域)の放射能カウント(補正値)を標準線源に対する補正値として式(1)のように求めた。
【数1】

本発明の化合物(化合物[18F]101,102及び103)の各領域(病変領域、正常領域)への結合性は、[123I]IMTO(リファレンス化合物)の各領域における放射能カウント(補正値)を1とした場合の相対値として、式(2)及び(3)のように求めた。また、病変/正常比を式(4)のように求めた。
【数2】

【数3】

【数4】
【0076】
得られた結果を図1及び表2に示す。図1から明らかなとおり、本発明の化合物(化合物[18F]101、[18F]102及び[18F]103)は、化合物[18F]100(参考例2)よりも病変部位(試料1~6)をより高濃度に表示しており、病変部位に対する集積性が高いことが示された。また、表2から、本発明の化合物は、病変領域の結合性(B2)の値が従来の化合物[18F]100(参考例2)よりも高く、病変/正常比(B2/B1)も従来の化合物[18F]100(参考例2)と同等又はそれ以上であり、集積量が高く、病変部位に対する結合特異性も高いことが示された。
【0077】
【表2】
【0078】
評価2:体内動態分布実験
無麻酔下の正常ラット3例に本発明の化合物(化合物[18F]101、[18F]102及び[18F]103)を投与した。投与後60分、180分点において、イソフルラン麻酔下15分間のイメージングデータを収集した。イメージングデータは、ポジトロン放出断層撮影(PET)装置(機器:eXplore VISTA、GEヘルスケアジャパン株式会社)より、画像再構成後、肝臓、腎臓及び脾臓に関心容積(VOI)を設定し、各組織の標準摂取率(SUV)を式(5)のように求めた。結果を図2に示す。
【数5】
【0079】
図2で示すように、本発明の化合物[18F]101、[18F]102、[18F]103は、いずれも、副腎の周辺組織(肝臓、腎臓、脾臓)において、経時的に放射能集積が低下しており、副腎の画像化において障害となる高い放射能集積は認められなかった。
【0080】
この出願は、2017年12月28日に出願された日本出願特願2017-253837号を基礎とする優先権を主張し、その開示の総てをここに取り込む。
図1
図2A
図2B
図2C