IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本学術サポートの特許一覧 ▶ 横山 諒一の特許一覧

特許7209985多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法
<>
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図1
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図2
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図3
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図4
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図5
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図6
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図7
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図8
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図9
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図10
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図11
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図12
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図13
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図14
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図15
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図16
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図17
  • 特許-多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20230116BHJP
【FI】
G06T19/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022149594
(22)【出願日】2022-09-20
【審査請求日】2022-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522082827
【氏名又は名称】株式会社日本学術サポート
(73)【特許権者】
【識別番号】521519102
【氏名又は名称】横山 諒一
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】神保 岳大
(72)【発明者】
【氏名】横山 諒一
(72)【発明者】
【氏名】井元 裕也
(72)【発明者】
【氏名】袖村 巧
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-501970(JP,A)
【文献】特開2007-80015(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194441(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06F 3/04815
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シークバーで次元が示されるシークバー次元と、表示用データによって表示される次元である非シークバー次元とで、多次元データを表示する表示処理を実行するよう構成されたコンピュータシステムであって、
前記表示処理は、
前記多次元データにおける前記多次元のうち、前記シークバー次元となる次元と、前記シークバー次元以外の他の次元である前記非シークバー次元となる次元と、を決定するユーザの操作を受け付けること、
前記操作に基づき決定された前記シークバー次元において、前記表示用データとして表示される表示箇所を示すための前記シークバーを表示すること、
前記操作に基づいて、前記表示用データを生成して、表示すること、
前記操作に基づいて、非シークバー次元データ対応情報を生成して、表示すること、
を含み、
前記表示用データを生成することは、前記多次元データのうち、前記操作に基づいて決定された前記非シークバー次元のデータであって、前記シークバーで示される前記表示箇所における前記データを、前記表示用データとして生成することを含み、
前記非シークバー次元データ対応情報は、前記多次元データのうち、前記操作に基づいて決定された前記シークバー次元の各箇所における前記非シークバー次元のデータそれぞれから生成される情報であり、前記シークバーにおける前記シークバー次元の各箇所に対応して表示される
コンピュータシステム。
【請求項2】
前記シークバーは、前記シークバー次元の各箇所における前記非シークバー次元データ対応情報を同時に表示するよう構成されている
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記非シークバー次元データ対応情報は、前記シークバー上で、ユーザによって指定された箇所に対応するものが表示され、非指定の箇所については非表示とされる
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記多次元データは、多次元のヒートマップを含み
前記非シークバー次元データ対応情報は、前記操作に基づいて決定された前記シークバー次元の各箇所における前記非シークバー次元の前記ヒートマップから生成される
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
前記表示用データは、前記表示用データを表示するための表示領域に表示され、
前記操作に基づいて非シークバー次元が変更されると、前記表示領域に表示される表示用データが、変更前の非シークバー次元の表示用データから、変更後の非シークバー次元の表示データに切り替わるよう構成されている
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記操作に基づいて非シークバー次元が変更されると、前記シークバーにおいて、前記シークバー次元の各箇所に対応して表示される前記非シークバー次元データ対応情報が、変更前の非シークバー次元の非シークバー次元データ対応情報から、変更後の非シークバー次元の非シークバー次元データ対応情報に切り替わるよう構成されている
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
シークバーで次元が示されるシークバー次元と、表示用データによって表示される次元である非シークバー次元とで、多次元データを表示するためにコンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、
前記多次元データにおける前記多次元のうち、前記シークバー次元となる次元と、前記シークバー次元以外の他の次元である前記非シークバー次元となる次元と、を決定するユーザの操作を受け付けること、
前記操作に基づき決定された前記シークバー次元において、前記表示用データとして表示される表示箇所を示すための前記シークバーを表示すること、
前記操作に基づき、前記表示用データを生成して、表示すること、
前記操作に基づき、非シークバー次元データ対応情報を生成して、表示すること、
を含み、
前記表示用データを生成することは、前記多次元データのうち、前記操作に基づいて決定された前記非シークバー次元のデータであって、前記シークバーで示される前記表示箇所における前記データを、前記表示用データとして生成することを含み、
前記非シークバー次元データ対応情報は、前記操作に基づいて決定された前記シークバー次元の各箇所における前記非シークバー次元のデータそれぞれから生成される情報であり、前記シークバーにおける前記シークバー次元の各箇所に対応して表示される
コンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動画などの経時的に変化するデータの再生時点を示すために、シークバーが用いられることがある。従来のシークバーは、例えば、動画などの経時的に変化するデータの先頭時点から終了時点までを示すバー上に、移動自在に設けられたスライダを備える。スライダの位置は、データの再生時点を示す。
【0003】
特許文献1は、動画をシークバーとともに表示することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-97137号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献1に示すような従来のシークバーは、データの時間次元における表示箇所を示しているにすぎない。つまり、従来のシークバーは、シークバーが示す次元であるシークバー次元が、時間次元である。
【0006】
ここで、シークバーを用いて表示される多次元データは、多次元であるゆえに、ディスプレイ等における表示に制約が生じることがある。表示の制約は、データの観察又は解析を困難にすることがある。
【0007】
本発明者らは、多次元データの表示を、多様な態様で行うことで、多次元データの観察又は解析を容易にする、という着想を得た。多次元データを多様な態様で表示することで、かかる困難性の軽減が期待できる。
【0008】
したがって、多次元データを多様な態様で表示できるようにすることが望まれる。
【0009】
本開示のある側面は、コンピュータシステムである。開示のシステムは、シークバーで次元が示されるシークバー次元と、表示用データによって表示される次元である非シークバー次元とで、多次元データを表示する表示処理を実行するよう構成されたコンピュータシステムであって、前記表示処理は、前記多次元データにおける前記多次元のうち、前記シークバー次元となる次元と、前記シークバー次元以外の他の次元である前記非シークバー次元となる次元と、を決定するユーザの操作を受け付けること、前記操作に基づき決定された前記シークバー次元において、前記表示用データとして表示される表示箇所を示すための前記シークバーを表示すること、前記操作に基づいて、前記表示用データを生成して、表示すること、前記操作に基づいて、非シークバー次元データ対応情報を生成して、表示すること、を含み、前記表示用データを生成することは、前記多次元データのうち、前記操作に基づいて決定された前記非シークバー次元のデータであって、前記シークバーで示される前記表示箇所における前記データを、前記表示用データとして生成することを含み、前記非シークバー次元データ対応情報は、前記操作に基づいて決定された前記シークバー次元の各箇所における前記非シークバー次元のデータそれぞれから生成される情報であり、前記シークバーにおける前記シークバー次元の各箇所に対応して表示される。
【0010】
本開示の他の側面は、コンピュータ実装方法である。開示の方法は、シークバーで次元が示されるシークバー次元と、表示用データによって表示される次元である非シークバー次元とで、多次元データを表示するためにコンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、前記多次元データにおける前記多次元のうち、前記シークバー次元となる次元と、前記シークバー次元以外の他の次元である前記非シークバー次元となる次元と、を決定するユーザの操作を受け付けること、前記操作に基づき決定された前記シークバー次元において、前記表示用データとして表示される表示箇所を示すための前記シークバーを表示すること、前記操作に基づき、前記表示用データを生成して、表示すること、前記操作に基づき、非シークバー次元データ対応情報を生成して、表示すること、を含み、前記表示用データを生成することは、前記多次元データのうち、前記操作に基づいて決定された前記非シークバー次元のデータであって、前記シークバーで示される前記表示箇所における前記データを、前記表示用データとして生成することを含み、前記非シークバー次元データ対応情報は、前記操作に基づいて決定された前記シークバー次元の各箇所における前記非シークバー次元のデータそれぞれから生成される情報であり、前記シークバーにおける前記シークバー次元の各箇所に対応して表示される。
【0011】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、コンピュータシステムの構成図である。
図2図2は、コンピュータシステムによって実行される処理のフローチャートである。
図3図3は、入力データ、出力データ、及び分類モデルの概要図である。
図4図4は、データ表示のフローチャートである。
図5図5は、データ表示のための領域の概要図(選択次元=T)である。
図6図6は、データ表示のための領域の概要図(選択次元=T)である。
図7図7は、データ表示のための領域の概要図(選択次元=T)である。
図8図8は、データ表示のための領域の概要図(選択次元=T)である。
図9図9は、データ表示のための領域の概要図(選択次元=Z)である。
図10図10は、4次元データの表現のバリエーションを示す概要図である。
図11図11は、表示用データの生成の概念図である。
図12図12は、データ表示のための領域の概要図(選択次元=Z)である。
図13図13は、表示用データの生成の概念図である。
図14図14は、データ表示のための領域の概要図(選択次元=Z)である。
図15図15は、データ表示のための領域の概要図(選択次元=Z)である。
図16図16は、データ表示のための領域の概要図(選択次元=Y)である。
図17図17は、データ表示のための領域の概要図(選択次元=X)である。
図18図18は、シークバーの変形例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<1.多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法>
【0014】
(1)実施形態に係るシステムは、シークバーで次元が示されるシークバー次元と、表示用データによって表示される次元である非シークバー次元とで、多次元データを表示する表示処理を実行するよう構成されたコンピュータシステムであって、前記表示処理は、前記多次元データにおける前記多次元のうち、前記シークバー次元となる次元と、前記シークバー次元以外の他の次元である前記非シークバー次元となる次元と、を決定するユーザの操作を受け付けること、前記操作に基づき決定された前記シークバー次元において、前記表示用データとして表示される表示箇所を示すための前記シークバーを表示すること、前記操作に基づいて、前記表示用データを生成して、表示すること、前記操作に基づいて、非シークバー次元データ対応情報を生成して、表示すること、を含み、前記表示用データを生成することは、前記多次元データのうち、前記操作に基づいて決定された前記非シークバー次元のデータであって、前記シークバーで示される前記表示箇所における前記データを、前記表示用データとして生成することを含み、前記非シークバー次元データ対応情報は、前記操作に基づいて決定された前記シークバー次元の各箇所における前記非シークバー次元のデータそれぞれから生成される情報であり、前記シークバーにおける前記シークバー次元の各箇所に対応して表示される。
【0015】
この場合、ユーザの操作によって、多次元のうち、シーク次元及び非シークバー次元となる次元を任意に決定することができるため、シークバーが示す次元(シークバー次元)を変更することができる。また、シークバー次元の変更に伴って、表示データによって表示される次元(非シークバー次元;表示次元)も変更されるため、表示用データの表示態様も変更することができる。
【0016】
さらに、本実施形態では、シークバー次元の各箇所に対応して非シークバー次元データ対応情報が生成して表示されるため、非シークバー次元データを表示用データとして表示するために、シークバーのどの箇所をユーザが指定すべきかの参考となる情報をユーザに提示することができる。しかも、非シークバー次元データ対応情報は、非シークバー次元の変更に伴って変更されるため、適切な非シークバー次元データ対応情報が表示される。
【0017】
なお、多次元データは、3次元の空間次元と時間次元とを有する4次元時空間データであり得る。多次元データは、3次元データであってもよいし、5次元以上のデータであってもよい。表示される多次元データの次元数は、シークバーで次元が示されるシークバー次元の次元数と、表示用データによって表示される次元である非シークバー次元(表示次元)の次元数とを加えた数である。シークバー次元の次元数は、1でもよいし、2以上であってもよい。非シークバー次元(表示次元)の次元数は、例えば、2以上であり、好ましくは、3以上である。表示用データは、例えば、2次元画像データであってもよいし、3次元画像データであってもよい。表示用データは、例えば、複数の2次元データの組み合わせ、又は、複数の3次元データの組み合わせによって構成されていてもよい。
【0018】
(2)前記シークバーは、前記シークバー次元の各箇所における前記非シークバー次元データ対応情報を同時に表示するよう構成されているのが好ましい。
【0019】
(3)前記非シークバー次元データ対応情報は、前記シークバー上で、ユーザによって指定された箇所に対応するものが表示され、非指定の箇所については非表示とされるのが好ましい。
【0020】
(4)前記多次元データは、多次元のヒートマップを含むのが好ましい。前記非シークバー次元データ対応情報は、前記操作に基づいて決定された前記シークバー次元の各箇所における前記非シークバー次元の前記ヒートマップから生成されるのが好ましい。
【0021】
(5)前記表示用データは、前記表示用データを表示するための表示領域に表示され、前記操作に基づいて非シークバー次元が変更されると、前記表示領域に表示される表示用データが、変更前の非シークバー次元の表示用データから、変更後の非シークバー次元の表示データに切り替わるよう構成されているのが好ましい。
【0022】
(6)前記操作に基づいて非シークバー次元が変更されると、前記シークバーにおいて、前記シークバー次元の各箇所に対応して表示される前記非シークバー次元データ対応情報が、変更前の非シークバー次元の非シークバー次元データ対応情報から、変更後の非シークバー次元の非シークバー次元データ対応情報に切り替わるよう構成されているのが好ましい。
【0023】
(7)実施形態に係る方法は、シークバーで次元が示されるシークバー次元と、表示用データによって表示される次元である非シークバー次元とで、多次元データを表示するためにコンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、前記多次元データにおける前記多次元のうち、前記シークバー次元となる次元と、前記シークバー次元以外の他の次元である前記非シークバー次元となる次元と、を決定するユーザの操作を受け付けること、前記操作に基づき決定された前記シークバー次元において、前記表示用データとして表示される表示箇所を示すための前記シークバーを表示すること、前記操作に基づき、前記表示用データを生成して、表示すること、前記操作に基づき、非シークバー次元データ対応情報を生成して、表示すること、を含み、前記表示用データを生成することは、前記多次元データのうち、前記操作に基づいて決定された前記非シークバー次元のデータであって、前記シークバーで示される前記表示箇所における前記データを、前記表示用データとして生成することを含み、前記非シークバー次元データ対応情報は、前記操作に基づいて決定された前記シークバー次元の各箇所における前記非シークバー次元のデータそれぞれから生成される情報であり、前記シークバーにおける前記シークバー次元の各箇所に対応して表示される。
【0024】
<2.多次元データを表示するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法の例>
【0025】
図1は、実施形態に係るコンピュータシステム10を示している。システム10は、多次元データの表示処理等の処理を実行する。システム10は、1又は複数のコンピュータによって構成され得る。図1では、一例として、システム10は、一つのコンピュータによって構成されている。システム10を構成するコンピュータは、例えば、ネットワーク15に接続されたサーバである。サーバは、ネットワークを介して接続された端末30(クライアント端末)に、多次元のデータを表示させる処理及びその他の必要な処理を実行し得る。ネットワーク15は、例えば、インターネット又はローカルエリアネットワークである。なお、システム10は、スタンドアロン型であってもよい。
【0026】
端末30は、ネットワーク15に接続可能なコンピュータである。端末30を構成するコンピュータは、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレットである。端末30は、ディスプレイ31を備え得る。端末30は、ネットワーク15を介してシステム10に接続することができる。端末30のディスプレイ31は、多次元のデータを表示し得る。実施形態に係るシステム10は、一例として、端末30のディスプレイ31に多次元のデータを表示させるための処理等を実行する。
【0027】
システム10は、プロセッサ10A及び記憶装置10Bを備えるコンピュータによって構成され得る。記憶装置10Bは、プロセッサ10Aに接続されている。記憶装置10Bは、例えば、一次記憶装置及び二次記憶装置を備える。一次記憶装置は、例えば、RAMである。二次記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)である。記憶装置10Bは、プロセッサ10Aによって実行されるコンピュータプログラム10Cを備える。プロセッサ10Aは、記憶装置10Bに格納されたコンピュータプログラム10Cを読み出して実行する。
【0028】
コンピュータプログラム10Cは、多次元のデータを表示するための指令及びその他の必要な指令を示すプログラムコードを有する。
【0029】
記憶装置10Bは、様々なデータ又は情報を保存し得る。記憶装置10Bは、多次元のデータを表示するための処理等に用いられる様々なデータを保存し得る。記憶装置10Bは、例えば、後述の入力データ100、出力データ150、及び学習済みモデル180を保存し得る。
【0030】
図2は、実施形態に係るシステム10がデータ表示のため実行する処理の一例を示している。図2の処理は、入力データ100を取得し、入力データ100から出力データ150を得て、出力データ150を表示することを含む。以下では、出力データ150が、システム10によって表示される。出力データ150は、一例として、入力データ100における注目領域を示すデータが、入力データ100に付加されたデータである。
【0031】
入力データ100及び出力データ150は、多次元データである。入力データ100及び出力データ150は、一例として、4次元データである。入力データ及び出力データ150の次元数は、3又は5以上であってもよい。図3に示す入力データ100及び出力データ150は、一例として、3次元空間次元(X,Y,Z)と、1次元の時間次元Tと、を有する4次元時空間データである。ただし、多次元データにおける各次元の種類は特に限定されない。多次元データは、時間次元を有していなくてもよい。空間次元は、2次元(例えば、X次元及びY次元)であってもよい。多次元データは、空間次元を有していなくてもよい。多次元データにおける次元は、空間次元及び時間次元のように物理的な意味のある物理次元である必要はない。多次元データにおける次元は、システム10の設計者又はユーザが自由に定義し得る。
【0032】
図3に示す3次元空間次元は、次元Xと、次元Xに直交する次元Yと、次元X,Yに直交する次元Zと、を有する。時間次元Tを有する4次元データである入力データ100は、例えば、複数の異なる時点における3次元空間データ101,102,103,104,105が、時間次元Tに沿って配置されて構成されている。同様に、出力データ150も、複数の異なる時点における3次元空間データ101,102,103,104,105が、時間次元Tに沿って配置されて構成されている。4次元データである入力データ100及び出力データ150は、3次元空間データが経時的に変化する。
【0033】
3次元空間次元と時間次元とを有する4次元データは、例えば、3次元動画である。3次元動画は、3次元画像が経時的に変化するデータである。3次元画像は、例えば、ボクセルデータ又はポリゴンデータである。ボクセルデータは、3次元画像を、ボクセルと呼ばれる要素で表したデータである。ポリゴンデータは、3次元画像を、ポリゴンと呼ばれる要素で表したデータである。
【0034】
3次元画像は、例えば、医用画像である。3次元の医用画像は、例えば、ヒト又は動物の体内を立体的に撮影した画像である。医用画像には、体内の臓器などの構造又は機能が現れる。医用画像は、例えば、Computed Tomography(コンピュータ断層撮影;CT)画像、又は、Magnetic Resonance(核磁気共鳴;MR)画像である。
【0035】
4次元データとしての医用画像は、例えば、複数の異なる時点で撮影された3次元医用画像の組み合わせである。4次元データとしての医用画像は、3次元空間次元(X,Y,Z)と、1次元の時間次元Tと、を有する。4次元データとしての医用画像は、3次元空間にある体内の動きを可視化する。4次元データを出力できるMagnetic Resonance Imaging(MRI)装置は、4次元MRI装置とも呼ばれる。
【0036】
図2に戻り、システム10は、入力データ100を取得する(ステップS21)。システム10は、例えば、4次元MRI装置などの医用画像撮影装置から出力された4次元医用画像を、入力データ100として取得する。医用画像撮影装置は、例えば、ネットワーク15を介して、システム10に接続されている。システム10は、例えば、ネットワーク15を介して、入力データ100を取得する。システム10は、取得した入力データ100を記憶装置10Bに保存する。
【0037】
システム10は、入力データ100を分類モデル180に与えて、分類結果を得る(ステップS22)。分類モデル180は、例えば、入力データ100を分類するよう機械学習された学習済みモデルである。モデル180は、分類器と呼ばれてもよい。機械学習は、例えば、ディープラーニングである。分類モデル180は、例えば、ニューラルネットワークを有するモデルである。ニューラルネットワークは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)である。
【0038】
入力データ100が医用画像である場合、分類モデル180は、一例として、患者の診断又は診断支援のため、患者の体内を撮影した医用画像を分類する。すなわち、モデル180は、予測クラスを出力する。医用画像の分類によって、例えば、患者の疾患が検出される。
【0039】
図3に示すモデル180は、一例として、4次元Convolutional Neural Network(4D-CNN)である。図3に示すモデル180は、一例として、4次元畳み込み層181と、全結合層183と、を備える。4次元畳み込み層181は、4次元の入力データ100が入力され、入力データ100の特徴185を出力する。特徴185は、例えば、特徴マップ(feature map)である。入力データ100が4次元データであることに対応して、ここでの特徴185は4次元のテンソルである。特徴185には、必要に応じて、プーリングなどの処理が施される。
【0040】
特徴185は、全結合層183に与えられる。全結合層183は、分類結果187を出力する。分類結果187は、例えば、クラススコアである。
【0041】
システム10は、例えば、クラスアクティベーションマップ(CAM)の生成部190を備える。CAMは、4次元の入力データ100におけるどの領域が、モデル180による予測クラスに寄与したかを示す。予測クラスに寄与した領域は注目領域と呼ばれる。CAMは、ニューラルネットワークによる予測について視覚的な説明を提供する。CAMは、例えば、ヒートマップとして表現される。ヒートマップで表現されたCAMは、予測クラスへの寄与の度合いが色の濃淡で表現される。入力データ100が4次元データであることに対応して、ここでのCAMは、4次元データである。図3に示すように、入力データ100が経時的に変化するデータである場合、CAMなどの注目領域データ151,152,153,154,155も、経時的に変化するデータである。CAMなどの注目領域データは、入力データの次元数と同じ次元数を有する。
【0042】
生成部190は、例えば、Gradient-weighted Class Activation Mapping(Grad-CAM)法によって、CAMを生成する(図2のステップS23)。Grad-CAM法では、生成された特徴マップ185を利用して、入力データ100の各領域が、予測クラスに対してどの程度の影響を与えているかが計算される。この計算には、影響を与えている勾配及び重み係数が利用される。
【0043】
CAMの生成手法は、勾配法(最急降下法)、Guided Backpropagation、又はGuided Grad-CAMであってもよい。
【0044】
また、生成部190は、入力データ100の注目領域を可視化するためのその他の手法によってマップ(注目領域マップ)を生成してもよい。CAMは、サリエンシーマップ(saliency map)とも呼ばれる。生成部190は、サリエンシーマップの生成のために知られている手法を用いて、マップを生成してもよい。サリエンシーマップを生成することは、サリエンシーディテクション(Saliency detection)とも呼ばれる。
【0045】
図3に示すように、システム10は、一例として、生成部190が生成したマップ(注目領域データ151,152,153,154,155)を、入力データ100に重畳することで、出力データ150を生成する(図2のステップS24)。システム10は、この出力データ150等を表示するための処理を実行する(ステップS25)。注目領域データ151,152,153,154,155がヒートマップとして表される場合、そのヒートマップは、所定の透明度を持って、入力データ100に重畳され得る。ヒートマップが透明度を有することで、入力データ100及びヒートマップの両方を観察することが可能な出力データ150が得られる。
【0046】
システム10は、出力データ150等を、端末30のディスプレイ31に表示させるためのデータを、端末30へ送信する。
【0047】
なお、システム10は、入力データ100から出力データ150を生成する機能を有していなくてもよい。システム10は、出力データ150に相当するデータを外部から取得し、取得したデータを表示する処理を実行してもよい。また、出力データ150に相当するデータは、予めシステム10の記憶装置10Bに格納されていてもよい。また、システム10が表示するデータは、入力データ100に相当するデータであってもよい。以下では、出力データ150を、「4次元データ150」、又は、単に「データ150」ということがある。
【0048】
図4は、図2のステップS25のデータ表示のための処理手順を示している。システム10は、一例として、初期設定で設定された表示方法で、出力データ150を表示するための表示用データ300T-1を生成する。この表示用データ300T-1は、初期表示用データとも呼ばれる。システム10は、初期表示用データ300T-1をディスプレイ31に表示させる(ステップS41)。初期設定された表示方法は、例えば、動画であるデータ150の開始時点における3次元画像を、所定の方向に投影した平面画像としてディスプレイ31に表示させることである。
【0049】
図4のステップS42では、4次元データ150が有する4次元(X,Y,Z,T)のうち、シークバーが示す次元(シークバー次元)を選択する操作が行われる。ステップS42の選択操作は、後述の領域210においてなされる。次元を選択することで、後述の領域250における表示態様が切り替わる。なお、ここでは、操作によってシークバー次元が決定されると、多次元(4次元)のうちのシークバー次元が以外の残りの次元が、非シークバー次元(表示次元)として決定される。
【0050】
図4のステップS43では、4次元(X,Y,Z,T)のうち、ステップS42で選択されなかった非選択の3次元(非シークバー次元;表示次元)でデータ150を表した表示用データが生成され、表示される。表示用データは、後述の領域250において表示される。図4のステップS44では、シークバー又は表示用データに対する操作を受け付け、その操作に応じて、領域250に表示される表示用データを変更する。表示用データが変更されることで、様々な観点からデータ150を観察できる。これらのステップS42からステップS44の詳細は、後述される。
【0051】
図5は、表示用データ300T-1等が表示される領域200の例を示している。図5に示す領域200の表示内容は、図4のステップS41での表示内容に相当し得る。領域200は、例えば、端末30のディスプレイ31に表示される。システム10は、表示用データ等の表示のため、例えば、領域200をディスプレイ31に表示させるために必要なデータを端末30に送信する。領域200は、例えば、端末30にインストールされたWEBブラウザのビューポート又は端末30にインストールされたその他のアプリケーションのビューポートとして構成される。端末30にインストールされたWEBブラウザ又はその他のアプリケーションは、システム10から提供されたデータを表示する。領域200は、マウスポインタPを使った操作又はユーザの指を使ったタップ操作などのユーザ操作を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースとして構成され得る。
【0052】
領域200は、表示用データ300T-1を表示するための領域250(表示領域25)を備え得る。領域250は、例えば、3次元データ(3次元画像)である表示用データが2次元データ(平面画像)として描画されるビューポートである。図5の領域250は、3次元画像の動画である4次元データ150における任意の時点の3次元静止画を、表示用データ300T-1として表示し得る。また、図5の領域250は、4次元データ150である3次元動画を、表示用データ300T-1として表示し得る。領域250は、表示用データ300T-1の表示の仕方を変化させるためのユーザ操作(ステップS44の操作)を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースとして構成され得る。この点については後述される。
【0053】
領域200は、シークバー230を備え得る。図5に示すシークバー230は、領域250に表示される画像の表示時点td1(再生時点td1)を示す。図5における表示時点td1は、4次元データ150における時間次元Tの表示箇所である。表示時点td1は、例えば、シークバー230に沿って移動自在に配置されたスライダ231によって示され得る。シークバー230は、表示時点td1をユーザ操作(ステップS44の操作)によって指定できるグラフィカルユーザインターフェースとして構成されている。なお、図5に示すシークバー230は、一つであるが、二以上あってもよい。シークバー230の数を多くすることで、多次元データ150の次元数が大きくなっても、表示用データの次元数の増加を抑えることができる。
【0054】
図5に示すシークバー230は、シークバー230における長手方向位置(図5において左右方向位置)を示すスライダ231によって、領域250に表示される動画の開始時点Tminから動画の終了時点Tmaxまでの間の任意の箇所を示すことができる。すなわち、図5に示すシークバー230は、領域250に表示される表示用データ300T-1が、4次元データ150の時間次元Tにおけるどの箇所の画像であるかを示す。なお、シークバー230において、表示時点td1を示す表示は、スライダ231に限られない。
【0055】
図5では、時点td1における3次元画像を所定の視線方向に投影した平面画像が、表示用データ300T-1として領域250に表示されている。また、図5の表示用データ300T-1は、時点td1における3次元画像に含まれるヒートマップ350T-1も有している。したがって、領域250を観察するユーザは、表示用データ300T-1及びヒートマップ350T-1の両方を観察できる。
【0056】
スライダ231は、マウスポインタPなどを用いたユーザ操作によって、シークバー230の長手方向に移動させることができる。図5に示すように、シークバー230において、表示時点td1が指定されている場合、領域250には、4次元データ150において時間次元Tにおける表示箇所td1の3次元データが表示用データ300T-1として表示される。つまり、4次元データ150を、次元X,Y,Z,Tを用いて、(X,Y,Z,T)のように表現した場合、シークバー230において表示箇所td1(次元T=td1)が指定されていると、領域250には、(X,Y,Z,td1)である表示用データ300T-1が表示される。
【0057】
そして、シークバー230のスライダ231を、図5に示す箇所td1から、図6に示す箇所td2へ移動させるユーザ操作が行われた場合、領域250には、(X,Y,Z,td2)である表示用データ300T-2が表示される。図6では、表示時点td2における表示用データ300T-2が示されている。(X,Y,Z,td2)は、4次元データ150である(X,Y,Z,T)における時点td2の3次元画像である。表示用データ300T-2は、表示時点td2におけるヒートマップ350T-2も有している。
【0058】
このように、ここでの4次元データ150は、3次元データが経時的に変化するデータであるため、時間次元Tにおける表示箇所を変化させると、領域250に表示される表示用データも、変化し得る。また、時間次元Tにおける表示箇所を変化させると、領域250に表示されるヒートマップ350T-1も変化し得る。
【0059】
図5に示すシークバー230は、シークバー次元である時間次元Tにおける各時点(各箇所)における、ヒートマップの強さを、非シークバー次元データ対応情報として示すよう構成されている。非シークバー次元データ対応情報は、表示用データとして表示されていない非シークバー次元データを可視化して、シークバー230における表示箇所の指定を容易にするための情報である。多次元データである4次元データ150は、前述のようにヒートマップを含んでいる。シークバー次元(時間次元)におけるヒートマップの強さ(非シークバー次元データ対応情報)は、シークバー次元(時間次元)の各箇所(各時点)における非シークバー次元(空間次元)のヒートマップそれぞれからシステム10によって生成される。
【0060】
図5に示すシークバー230は、ヒートマップの強さを、シークバー230中のグラデーションによって示している。つまり、このグラデーションが、シークバー次元である時間次元Tにおける各箇所の非シークバー次元データ対応情報を示している。このグラデーションは、シークバー次元(時間次元T)の各箇所におけるヒートマップの強さに対応した濃淡を有する。例えば、シークバー230中の濃い部分(黒い部分)は、ヒートマップが示す値が強いことを示し、薄い部分(白い部分)は、ヒートマップが示す値が弱いことを示す。ここでのヒートマップの強さは、例えば、時間次元Tにおける各箇所(各時点)における3次元データ(X,Y,Z)に含まれるヒートマップが示す値の総和、平均値、中央値、又は最大値のいずれかである。シークバー230が示すヒートマップの強さは、3次元データ(X,Y,Z)に含まれるヒートマップが示す値から求められるその他の値であってもよい。シークバー230によって表されるヒートマップの強さは、3次元データ(X,Y,Z)の領域全体から求められる必要はなく、3次元データ(X,Y,Z)における任意の一部の3次元領域のように限定された領域におけるヒートマップが示す値の総和、平均値、中央値、又は最大値等であってもよい。
【0061】
シークバー230がヒートマップの経時的変化を示していることで、シークバー230は、ヒートマップの経時的変化を視覚的にユーザに提供することができる。したがって、ユーザは、シークバー230に表示されたグラデーションを参考に、シークバー230を操作して、ヒートマップが強い時点又は弱い時点の3次元画像(X,Y,Z)を領域250に表示させて観察することができる。
【0062】
ここで、シークバー230に関し観点を変えて説明すると、図5に示すシークバー230は、4次元データ150において、予測クラスへ寄与する領域350T-1に関する値の経時的変化を示すよう構成されているともいえる。図5において、予測クラスへ寄与する領域350T-1に関する値は、シークバー230内のグラデーションで示されている。予測クラスへ寄与する領域350T-1に関する値は、各時点における、予測クラスへ寄与する度合いの総和、平均値、中央値、最大値、又はその他の値である。
【0063】
なお、ヒートマップの経時的変化又は予測クラスへ寄与する領域350T-1に関する値の経時的変化は、シークバー230の外に表示されてもよい。つまり、ヒートマップの経時的変化又は予測クラスへ寄与する領域350T-1に関する値の経時的変化は、シークバー230とは別に表示されてもよい。
【0064】
図5に示すように、領域200は、動画の再生ボタン235を備える。再生ボタン235は、ユーザ操作によって選択可能なグラフィカルユーザインターフェースである。再生ボタン235が、選択されると、動画は、動画の開始時点Tmin又はスライダ231が示す箇所から、再生される。ここでの再生は、領域250に表示される表示用データ300T-1を経時的に変化させることである。すなわち、ここでの再生は、4次元データ150を構成する3次元空間データ300T-1を、時間次元Tに沿って変化させることである。4次元データ150が動画として再生される場合、領域250では、3次元画像300T-1が経時的に変化する。この場合、スライダ231は、再生に伴う時間進行に従って、終了時点へ向かう方向(図5の右方向)へ、自動的に移動する。
【0065】
なお、再生中において、再生ボタン235の表示は、停止操作するためのボタンの表示に切り替わる。停止操作するためのボタンは、停止ボタン又は一時停止ボタンである。停止操作するためのボタンが操作されると、スライダ231の移動が停止し、領域250には、停止した時点における静止画が表示される。
【0066】
前述のように、領域250は、表示用データ300T-1の表示を変更させるためのユーザ操作(ステップS44の操作)を受け付けるグラフィカルユーザインターフェースとして構成され得る。領域250における表示の変更は、例えば、表示用データ300T-1の視野方向の変更、及び、表示用データ300T-1における表示面の変更の少なくともいずれか一つである。3次元データの表示面の変更は、3次元データ内部を示す表示面の変更を含み得る。
【0067】
図7は、領域250において表示される表示用データ300T-1の視野方向の変更の仕方の一例を示している。視野方向の変更は、領域250に表示されたオブジェクト(オブジェクトは、例えば、図5,7において表示用データ300T-1として現れた立方体。)の観察方向を変更することである。視野方向の変更は、例えば、マウスポインタPを、表示用データ300T-1上、又は、表示用データ300T-1の近傍において左右上下方向のいずれかに移動させることによってなされる。図7は、表示用データ300T-1として現れた立方体が、図5に比べて傾いて表示されていることを示している。このように、図7では、図5に比べて、視野方向が変更されている。
【0068】
図8は、領域250において表示される表示用データ300T-1の内部を示す表示面の変更の仕方の一例を示している。内部を示す表示面の変更のため、領域250は、グラフィカルユーザインターフェースとして、断面指示表示CS-X,CS-Y,CS-Zを備え得る。断面指示表示CS-X,CS-Y,CS-Zは、ユーザ操作によって、移動自在である。表示用データ300T-1は、3次元画像(X,Y,Z)において、断面指示表示CS-X,CS-Y,CS-Zによって指示された断面を表示するよう構成される。
【0069】
断面指示表示CS-Xは、3次元データ(X,Y,Z)のYZ平面に平行な断面の、X次元方向における位置を、ユーザ操作によって指定するために用いられる。例えば、断面指示表示CS-Xは、マウスポインタP1によって選択され、図8の左右方向(X次元方向)に移動される。断面指示表示CS-Xの位置が変更されることで、3次元画像において表示用データ300T-1として表示されるYZ断面が変化する。
【0070】
断面指示表示CS-Yは、3次元データ(X,Y,Z)のZX平面に平行な断面の、Y次元方向における位置を、ユーザ操作によって指定するために用いられる。例えば、断面指示表示CS-Yは、マウスポインタP2によって選択され、図8の斜め方向(Y次元方向)に移動される。断面指示表示CS-Yの位置が変更されることで、3次元画像において表示用データ300T-1として表示されるZX断面が変化する。
【0071】
断面指示表示CS-Zは、3次元データ(X,Y,Z)のXY平面に平行な断面の、Z次元方向における位置を、ユーザ操作によって指定するために用いられる。例えば、断面指示表示CS-Yは、マウスポインタP2によって選択され、図8の上下方向(Z次元方向)に移動される。断面指示表示CS-Zの位置が変更されることで、3次元画像において表示用データ300T-1として表示されるXY断面が変化する。
【0072】
表示される断面が変更可能であることで、3次元画像の内部及び3次元画像内部の3次元ヒートマップの観察が容易となる。
【0073】
なお、領域250における表示用データ300T-1の表示を変更させることは、領域250が静止画を表示しているときに行えてもよいし、領域250が動画を表示しているときに行えてもよい。また、領域250における表示用データ300T-1の表示を変更させるための手法は、図7及び図8に示す手法に限られず、3次元画像の表示を変更させるための従来公知の様々な手法を採用し得る。
【0074】
図5に戻り、領域200には、入力データ100の分類結果(図2のステップS22参照)を示す表示220を含む。分類結果を示す表示220は、例えば、入力データ100である医用画像に対応する患者の疾患名を示す。この場合の疾患名は、システム10によって推測された疾患名である。
【0075】
例えば、システム10のユーザである医師は、分類結果を示す表示220に示された疾患名を参照することができる。医師は、システム10が推測した疾患名を参考に、患者の診断を行う。医師は、例えば、領域250を参照し、システム10による疾患名の推測に寄与した領域(注目領域)を示すヒートマップ350T-1から、システム10による推測の妥当性を検討したり、ヒートマップ350T-1で示される注目領域を注意深く観察することで、より詳細な診断を行ったりすることができる。
【0076】
静的な体内の様子ではなく、体内の経時的な変化の仕方が診断に重要な疾患の場合、体内の経時的な変化を示す4次元データ150を表示させることは、医師による診断を支援する上で有利である。
【0077】
ただし、図5から図7に示す表示は、制約があり、医師などのユーザによるデータの観察又は解析に十分であるとは限らない。図5から図7に示す表示態様の制約の一つは、シークバー230が示す次元が、時間次元Tに限られていることである。この制約のため、図5から図7に示す領域250の表示態様では、例えば、時間次元Tにおける異なる箇所のデータを同時に示すことができない。
【0078】
この制約の緩和のため、図5に示す領域200は、シークバー230が示す次元(シークバー次元)を選択するための領域210を備え得る。図5に示す領域210は、4次元データ150が有する4次元X,Y,Z,Tのうち、シークバー230によって示される一つの次元を選択操作(ステップS42の操作)をするためのグラフィカルユーザインターフェースとして構成されている。以下では、4次元X,Y,Z,Tのうち、領域210によって選択された次元(シークバー次元)を「選択次元」という。選択次元の決定によって、4次元データX,Y,Z,Tのうちの選択次元以外の残りの次元も自ずと決定される。なお、4次元データX,Y,Z,Tのうち、選択次元以外の残りの次元を「非選択次元」という。非選択次元は、「非シークバー次元」又は「表示次元」と呼ばれてもよい。領域250には、4次元データ150を非選択次元で表した表示用データが表示され得る。なお、ステップS42の操作は、非シークバー次元(表示次元)を選択する操作として構成され、当該操作に基づく非シークバー次元の決定によって、自ずとシークバー次元が決定されてもよい。
【0079】
選択次元の数は、データ150の次元数未満であれば、2以上であってもよい。例えば、次元T及び次元Zの2次元が選択次元であってもよい。この場合、領域200は、次元Tを示すシークバーと、次元Zを示すシークバーと、を備えることができる。また、この場合、領域250には、4次元データを、非選択次元である次元X及び次元Yの2次元で表した表示用データが表示され得る。
【0080】
選択次元(シークバー次元)は、初期設定では、一例として、時間次元Tであり得る。すなわち、初期設定(図4のステップS41)での領域200の表示の際には、図5に示すように、シークバー230はシークバー次元である時間次元Tを示し、領域250は、非シークバー次元である非選択次元(X,Y,Z)の3次元データを表示用データ300T-1として表示し得る。
【0081】
システム10のユーザは、次元を選択するための領域210を操作して、シークバー230が示す次元及び領域250の表示用データの次元を、切り替えることができる(ステップS43の切り替え)。また、領域210の操作によって、シークバー230に表示されるグラデーション(非シークバー次元データ対応情報)も切り替えられる。これらの切り替えのため、図9に示すように、領域210は、次元切替ボタン210X,210Y,210Z,210Tを備える。ボタン210Xは、次元Xを選択次元として選択するためのボタンである。ボタン210Yは、次元Yを選択次元として選択するためのボタンである。ボタン210Zは、次元Zを選択次元として選択するためのボタンである。ボタン210Tは、次元Tを選択次元として選択するためのボタンである。データ150が有する次元X,Y,Z,Tのうち、選択次元(シークバー次元)として選択されなかった次元は、非選択次元(非シークバー次元)になる。
【0082】
例えば、図9に示すように、ユーザは、マウスポインタPを操作して、ボタン210Zを選択することで、シークバー230が示す次元を、図5に示す次元Tから、次元Zに変更することができる。
【0083】
図9に示すように、領域200は、シークバー230が示す次元の種類を示す表示233を有する。つまり、表示233は、選択次元を示す。図9の表示233は、シークバー230が示す次元が、次元Zであることを示す「Z」の文字を含む。一方、図5の表示233は、シークバー230が示す次元が、時間次元Tであることを示す「T」の文字を含む。
【0084】
選択次元(シークバー次元)が時間次元Tである場合、4次元データ150は、3次元空間データ(X,Y,Z)が経時的に変化する動画として構成される。同様に、時間次元T以外の次元X,Y,Zのいずれかが選択次元(シークバー次元)である場合、4次元データ150は、非選択次元(非シークバー次元)である残り3次元の空間データが経時的に変化する動画として構成され得る。すなわち、選択次元が時間次元Tである場合、4次元データ150は、図10のデータ150Tのように、3次元データ(X,Y,Z)が、次元Tに沿って変化するデータとして把握される。データ150Tは、3次元データ(X,Y,Z)が経時的に変化する動画として表示され得る。
【0085】
また、選択次元が次元Zである場合、4次元データ150は、図10のデータ150Zのように、3次元データ(X,Y,T)が、次元Zに沿って変化するデータとして把握され得る。データ150Zは、次元Zを時間次元とみなして、3次元データ(X,Y,T)が経時的に変化する動画として表示され得る。
【0086】
また、選択次元が次元Yである場合、4次元データ150は、図10のデータ150Yのように、3次元データ(X,Z,T)が、次元Yに沿って変化するデータとして把握され得る。データ150Yは、次元Yを時間次元とみなして、3次元データ(X,Z,T)が経時的に変化する動画として表示され得る。
【0087】
また、選択次元が次元Xである場合、4次元データ150は、図10のデータ150Xのように、3次元データ(Y,Z,T)が、次元Xに沿って変化するデータとして把握され得る。データ150Xは、次元Xを時間次元とみなして、3次元データ(Y,Z,T)が経時的に変化する動画として表示され得る。
【0088】
図9に戻り、選択次元(シークバー次元)として次元Zが選択されて選択次元が変更された場合、領域250に表示される表示用データは、変更前の非シークバー次元の表示用データ(例えば、(X,Y,Z)の3次元データ)から、変更後の非シークバー次元の表示用データである3次元データ(X,Y,T)に切り替わる。また、シークバー230は、領域250に示される画像が、4次元データの次元Z(シークバー次元)におけるどの箇所の3次元画像であるかを示すものに切り替わる。さらに、選択次元(シークバー次元)の変更に伴って、非シークバー次元が変更されると、シークバー230のグラデーション(非シークバー次元データ対応情報)は、変更前の非シークバー次元の非シークバー次元データ対応情報から、変更後の非シークバー次元の非シークバー次元データ対応情報に切り替わる。
【0089】
図9に示すシークバー230は、4次元データ150における次元Zの最小値Zminから最大値Zmaxまでの間の任意の箇所を示す。次元Zの最小値Zminは、領域250に表示される動画150Zの開始時点であり、最大値Zmaxは、領域250に表示される動画の終了時点である。
【0090】
図9に示すシークバー230は、領域250に表示される画像の表示箇所za1(再生箇所ta1)を示している。システム10は、4次元データ150のうち、次元Zにおける表示箇所za1の3次元データ(X,Y,za1,T)を、表示用データ300Z-1として生成し、生成された表示用データ300Z-1を、領域250に表示させる。
【0091】
図11は、4次元データ150から、次元Zにおける表示箇所za1の3次元データ(X,Y,za1,T)である表示用データ300Z-1を生成する方法の概念図を示している。
【0092】
図11に示すように、4次元データ150は、時間次元Tの複数の箇所Tmin,t1,・・・,Tmaxにおける3次元データ(X,Y,X,Tmin),(X,Y,Z,t1),・・・,(X,Y,Z,Tmax)の集合であり得る。この場合、システム10は、時間次元Tの各箇所Tmin,t1,・・・,Tmaxにおける3次元データ(X,Y,Z,Tmin),(X,Y,Z,t1),・・・,(X,Y,Z,Tmax)から、次元Zの表示箇所za1におけるX次元及びY次元のデータ(X,Y,za1,Tmin),(X,Y,za1,t1),・・・,(X,Y,za1,Tmax)を抽出する。抽出された各データには、ヒートマップで表された領域を含み得る。
【0093】
システム10は、抽出されたデータ(X,Y,za1,Tmin),(X,Y,za1,t1),・・・,(X,Y,za1,Tmax)を時間次元Tにおける順番に沿って並べることで、表示箇所za1の3次元データ(X,Y,za1,T)である表示用データ300Z-1を生成する。図9に示すように、生成された表示用データ300Z-1が、領域250に表示される。
【0094】
図9では、次元Zの表示箇所za1における3次元画像を所定の視線方向に投影した平面画像が、表示用データ300Z-1として領域250に表示されている。また、図9の表示用データ300T-1は、箇所za1における3次元画像に含まれるヒートマップ350T-1も有している。したがって、領域250を観察するユーザは、表示用データ300T-1及びヒートマップ350T-1の両方を観察できる。図9の領域250を観察することで、ユーザは、4次元データ150の箇所za1におけるXY平面の時間次元Tにおける変化を一つの3次元画像300Z-1から把握することができる。
【0095】
シークバー230のスライダ231を、図9に示す箇所za1から、図12に示す箇所za2へ移動させるユーザ操作が行われた場合、領域250には、(X,Y,za2,T)である表示用データ300T-2が表示される。(X,Y,za2,T)は、4次元データ150である(X,Y,Z,T)における次元Zの箇所za2での、3次元画像である。表示用データ300Z-2は、表示箇所za2におけるヒートマップ350Z-2も有している。
【0096】
図13は、4次元データ150から、次元Zにおける表示箇所za2の3次元データ(X,Y,za2,T)である表示用データ300Z-2を生成する方法の概念図を示している。図13に示す方法は、表示箇所が異なる点以外は、図11に示す方法と同様である。
【0097】
すなわち、図13に示すように、システム10は、時間次元Tの各箇所Tmin,t1,・・・,Tmaxにおける3次元データ(X,Y,Z,Tmin),(X,Y,Z,t1),・・・,(X,Y,Z,Tmax)から、次元Zの表示箇所za2におけるX次元及びY次元のデータ(X,Y,za2,Tmin),(X,Y,za2,t1),・・・,(X,Y,za2,Tmax)を抽出する。抽出された各データには、ヒートマップで表された領域を含み得る。
【0098】
システム10は、抽出されたデータ(X,Y,za2,Tmin),(X,Y,za2,t1),・・・,(X,Y,za2,Tmax)を時間次元Tにおける順番に沿って並べることで、表示箇所za2の3次元データ(X,Y,za2,T)である表示用データ300Z-2を生成する。図12に示すように、この表示用データ300Z-2が、領域250に表示される。
【0099】
このように、4次元データ150は、3次元データ(X,Y,T)が次元Zにおける箇所に応じて、表示用データとして表される。このため、シークバー230によって、次元Zにおける表示箇所を変化させると、領域250に表示される表示用データも、変化し得る。また、次元Zにおける表示箇所を変化させると、領域250に表示されるヒートマップも変化し得る。
【0100】
図9,12に示すシークバー230は、シークバー次元である次元Zにおける各箇所における、ヒートマップの強さを、非シークバー次元データ対応情報として示すよう構成されている。図5に示すシークバー230は、ヒートマップの強さを、シークバー230中のグラデーションによって示している。このグラデーションが、非シークバー次元である次元Zにおける各箇所の非シークバー次元対応情報を示している。このグラデーションは、シークバー次元である次元Zの各箇所におけるヒートマップの強さに対応した濃淡を有する。例えば、シークバー230中の濃い部分(黒い部分)は、ヒートマップが示す値が強いことを示し、薄い部分(白い部分)は、ヒートマップが示す値が弱いことを示す。ここでのヒートマップの強さは、例えば、次元Zにおける各箇所における3次元データ(X,Y,T)に含まれるヒートマップが示す値の総和、平均値、中央値、又は最大値のいずれかである。シークバー230が示すヒートマップの強さは、3次元データ(X,Y,T)に含まれるヒートマップが示す値から求められるその他の値であってもよい。シークバー230によって表されるヒートマップの強さは、3次元データ(X,Y,T)の領域全体から求められる必要はなく、3次元データ(X,Y,T)における任意の一部の3次元領域のように限定された領域におけるヒートマップが示す値の総和、平均値、中央値、又は最大値等であってもよい。
【0101】
シークバー230がヒートマップのZ次元における変化を示していることで、シークバー230は、ヒートマップのZ次元における変化を視覚的にユーザに提供することができる。したがって、ユーザは、シークバー230に表示されたグラデーションを参考に、シークバー230を操作して、ヒートマップが強い時点又は弱い時点の3次元画像(X,Y,T)を領域250に表示させて観察することができる。
【0102】
ここで、シークバー230に関し観点を変えて説明すると、図9,12に示すシークバー230は、4次元データ150において、予測クラスへ寄与する領域350Z-1に関する値のZ次元における変化を示すよう構成されているともいえる。図9,12において、予測クラスへ寄与する領域350Z-1に関する値は、シークバー230内のグラデーションで示されている。予測クラスへ寄与する領域350Z-1に関する値は、Z次元の各箇所における、予測クラスへ寄与する度合いの総和、平均値、中央値、最大値、又はその他の値である。
【0103】
なお、ヒートマップの経時的変化又は予測クラスへ寄与する領域350Z-1に関する値の経時的変化は、シークバー230の外に表示されてもよい。つまり、ヒートマップの経時的変化又は予測クラスへ寄与する領域350Z-1に関する値の経時的変化は、シークバー230とは別に表示されてもよい。
【0104】
図9又は図12において、再生ボタン235が選択操作されると、領域250には、Z次元の最小値Zmin又はスライダ231が示す箇所から、動画が再生される。ここでの動画は、3次元データ(X,Y,T)の次元Zにおける変化を、経時的変化として示す。
【0105】
図9に示す領域250も、図7及び図8において説明したのと同様に、表示用データ300Z-1の表示の仕方を変更させるためのユーザ操作を受け付けることができる。
【0106】
例えば、図14に示すように、表示用データ300Z-1の視野方向の変更が可能である。視野方向の変更は、例えば、マウスポインタPを、表示用データ300Z-1上、又は、表示用データ300Z-1の近傍において左右上下方向のいずれかに移動させることによってなされる。図14は、表示用データ300Z-1として現れた立方体が、図9に比べて傾いて表示されていることを示している。このように、図14では、図9に比べて、視野方向が変更されている。
【0107】
また、図15に示すように、領域250において表示される表示用データ300Z-1の内部を示す表示面の変更が可能である。内部を示す表示面の変更のため、領域250は、グラフィカルユーザインターフェースとして、断面指示表示CS-X,CS-Y,CS-Tを備え得る。断面指示表示CS-X,CS-Y,CS-Tは、ユーザ操作によって、移動自在である。表示用データ300T-1は、3次元画像(X,Y,T)において、断面指示表示CS-X,CS-Y,CS-Tによって指示された断面を表示するよう構成される。
【0108】
このように、次元Zが選択次元として選択された場合、シークバー230が示すシークバー次元が次元Zであり、領域250に表示される非シークバー次元についての3次元データが(X,Y,T)である以外は、時間次元Tが選択次元である場合と同様の表示がなされ、同様の操作が可能である。
【0109】
図16は、次元Yが選択次元(シークバー次元)として選択された場合を示している。この場合も、シークバー230が示す次元が次元Yであり、領域250に表示される3次元データの次元(非シークバー次元)が(X,Z,T)である以外は、時間次元Tが選択次元(シークバー次元)である場合と同様の表示がなされ、同様の操作が可能である。図16の領域250を観察することで、ユーザは、4次元データ150の箇所ybにおけるXZ平面の時間次元Tにおける変化を一つの3次元画像300Y(表示用データ300Y)から把握することができる。
【0110】
また、図16のシークバー230は、ヒートマップのY次元における変化を示している。つまり、図16のシークバー230は、非シークバー次元データ対応情報であるグラデーションによって、ヒートマップのY次元における変化を視覚的にユーザに提供することができる。したがって、ユーザは、シークバー230に表示されたグラデーションを参考に、シークバー230を操作して、ヒートマップが強い時点又は弱い時点の3次元画像(X,Z,T)を領域250に表示させて観察することができる。
【0111】
図17は、次元Xが選択次元(シークバー次元)として選択された場合を示している。この場合も、シークバー230が示す次元が次元Xであり、領域250に表示される3次元データに次元(非シークバー次元)が(Y,Z,T)である以外は、時間次元Tが選択次元である場合と同様の表示がなされ、同様の操作が可能である。図17の領域250を観察することで、ユーザは、4次元データ150の箇所xcにおけるYZ平面の時間次元Tにおける変化を一つの3次元画像300X(表示用データ300X)から把握することができる。
【0112】
また、図17のシークバー230は、ヒートマップのX次元における変化を示している。つまり、図17のシークバー230は、非シークバー次元データ対応情報であるグラデーションによって、ヒートマップのX次元における変化を視覚的にユーザに提供することができる。したがって、ユーザは、シークバー230に表示されたグラデーションを参考に、シークバー230を操作して、ヒートマップが強い時点又は弱い時点の3次元画像(Y,Z,T)を領域250に表示させて観察することができる。
【0113】
以上のように、本実施形態によれば、選択次元を切り替えることで、領域250におけるデータ150の表示態様を切り替えることができる。したがって、ユーザは、多様な観点から、データ150を観察することができる。データ150が医用画像である場合、多様な観点からの観察を容易にする本システム10は、医師の診断を支援するために有用である。
【0114】
図18は、シークバー230の変形例に係るシークバー230A,230Bを示している。図18では、参考として、図5に示すシークバー230の概略も示されている。図5に示すシークバー23は、シークバー次元の各箇所における非シークバー次元データ対応情報を同時に表示するよう構成されている。すなわち、非シークバー次元データ対応情報であるグラデーションは、シークバー230内に全体的に表示されているため、ユーザは、シークバー次元における複数の各箇所の非シークバー次元データ対応情報を、同時に視認することができる。これに対して、図18に示すシークバー230Aは、スライダ296が移動自在に設けられたバー237を備えている。シークバー230Aは、図5に示すシークバー230のように、選択次元におけるヒートマップの変化を示してはいないが、その代わり、スライダ238は、スライダ238が存在する箇所におけるヒートマップの強さを示している。例えば、図18に示すように、選択次元が時間次元Tであり、マウスポインタPによって、スライダ238が時間t3の位置に配置された場合、シークバー230Aにおいて、スライダ238内の色は、時間t3における3次元データ(X,Y,Z)のヒートマップの強さを示す。また、マウスポインタP-Aによって、スライダ238Aが時間t2の位置に配置された場合、スライダ238A内の色は、時間t2における3次元データ(X,Y,Z)のヒートマップの強さを示し、マウスポインタP-Bによって、スライダ239が時間t1の位置に配置された場合、スライダ238B内の色は、時間t1における3次元データ(X,Y,Z)のヒートマップの強さを示す。このように、非シークバー次元データ対応情報(ヒートマップの強さ)は、シークバー230A上で、ユーザによって指定された箇所に対応するものが表示され、非指定の箇所については非表示とされなくてもよい。
【0115】
また、ヒートマップの強さを示す表示239は、スライダによって示される必要はなく、図18に示すシークバー230Bのように、スライダ231とは別の表示ボックス239によって示されてもよい。例えば、図18に示すシークバー230Bのように、マウスポインタPが、シークバー230Bの時間t3の位置に配置された場合、マウスポインタPに対応する時間t3における3次元データ(X,Y,Z)のヒートマップの強さが、表示ボックス239によって示される。マウスポインタP―Aが、シークバー230Bの時間t2の位置に配置された場合、マウスポインタP-Aに対応する時間t2における3次元データ(X,Y,Z)のヒートマップの強さが、表示ボックス239Aによって示される。マウスポインタP―Bが、シークバー230Bの時間t1の位置に配置された場合、マウスポインタP-Bに対応する時間t1における3次元データ(X,Y,Z)のヒートマップの強さが、表示ボックス239Bによって示される。
【0116】
このように、シークバーは、図5等に示すように選択次元の各箇所におけるデータ150に関する値(例えば、ヒートマップの強さ)を示すように構成されている必要はなく、前記シークバー230A,230B上で指定された箇所におけるデータ150に関する値(例えば、ヒートマップの強さ)を示すよう構成されていてもよい。このように、非シークバー次元データ対応情報(ヒートマップの強さ)は、シークバーにおけるシークバー次元の各箇所に対応して表示されれば足り、シークバー上に表示される必要はなく、シークバー外において、シークバーの各箇所と対応付けて表示されてもよい。
【0117】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、システム10によって表示されるデータは、3次元の空間次元と時間次元とを有する4次元時空間データに限られず、2次元の空間次元と時間次元とを有する3次元時空間データであってもよい。この場合、3次元時空間データのうちの一つの選択次元が、シークバー230によって示され、3次元時空間データが、残りの2次元で領域250に表示され得る。
【0118】
また、上記の説明では、選択次元は、多次元データ150が有する全ての次元(X,Y,Z,T)の中から選択されたが、全ての次元(X,Y,Z,T)の中から選択可能である必要はない。すなわち、選択次元は、多次元データ150が有する全ての次元のうちの一部の複数次元(例えば、次元Zと次元T)の中から選択されてもよい。
【符号の説明】
【0119】
10 :コンピュータシステム
10A :プロセッサ
10B :記憶装置
10C :コンピュータプログラム
15 :ネットワーク
30 :端末
31 :ディスプレイ
100 :入力データ
101 :3次元空間データ
102 :3次元空間データ
103 :3次元空間データ
104 :3次元空間データ
105 :3次元空間データ
150 :出力データ
150T :データ
150X :データ
150Y :データ
150Z :データ
151 :注目領域データ
152 :注目領域データ
153 :注目領域データ
154 :注目領域データ
155 :注目領域データ
180 :分類モデル(学習済みモデル)
181 :4次元畳み込み層
183 :全結合層
185 :特徴マップ
187 :分類結果
190 :生成部
200 :領域
210 :領域
210T :次元切替ボタン
210X :次元切替ボタン
210Y :次元切替ボタン
210Z :次元切替ボタン
220 :表示
230 :シークバー
231 :スライダ
233 :表示
235 :再生ボタン
250 :領域(表示領域)
300T-1 :表示用データ
300T-2 :表示用データ
300X :表示用データ
300Y :表示用データ
300Z-1 :表示用データ
300Z-2 :表示用データ
350T-1 :ヒートマップ
350T-2 :ヒートマップ
350Z-1 :ヒートマップ
350Z-2 :ヒートマップ
CS-X :断面指示表示
CS-Y :断面指示表示
CS-Z :断面指示表示
CS-T :断面指示表示
P :マウスポインタ
【要約】
【課題】多次元データを多様な態様で表示できるようにする
【解決手段】開示のシステムは、多次元データを表示する表示処理を実行するよう構成されたコンピュータシステムであって、前記表示処理は、前記多次元データにおける前記多次元のうち、シークバー次元となる次元と、前記シークバー次元以外の他の次元である非シークバー次元となる次元と、を決定するユーザの操作を受け付けること、前記操作に基づき決定された前記シークバー次元において、前記表示用データとして表示される表示箇所を示すための前記シークバーを表示すること、前記操作に基づいて、前記表示用データを生成して、表示すること、前記操作に基づいて、非シークバー次元データ対応情報を生成して、表示すること、を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18