(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】係留システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B63B 21/00 20060101AFI20230116BHJP
F03B 13/26 20060101ALI20230116BHJP
F03B 13/10 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
B63B21/00 B
F03B13/26
F03B13/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017204731
(22)【出願日】2017-10-23
【審査請求日】2020-10-15
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595064050
【氏名又は名称】國立清華大學
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】曹 哲之
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-529435(JP,A)
【文献】米国特許第4850190(US,A)
【文献】特開2006-160025(JP,A)
【文献】特開2015-169173(JP,A)
【文献】特開2014-58911(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0140524(US,A1)
【文献】特開昭58-15765(JP,A)
【文献】実開昭48-78595(JP,U)
【文献】特開2004-268821(JP,A)
【文献】特開昭59-32581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/00,
B63H 9/06,
F03B 13/10,13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペイロードに対して移動する流体に前記ペイロードを展開し、前記ペイロードをアンカーポイントから前記流体の移動経路にわたる位置に設置するための係留システムであって、
主テザーと、
前記主テザーの第1端に取り付けられ、前記アンカーポイントに固定されるアンカー手段と、
前記主テザーの第2端に取り付けられ、前記流体に浸した主帆手段と、
を備え、
前記ペイロードは、前記主テザーの前記第2端に取り付けられ、
前記主帆手段に対して移動する前記流体は前記主帆手段に流体力学的揚力を生成して、前記ペイロードを前記流体の前記移動経路に対して横方向に引っ張り、
前記主帆手段は、前記ペイロードの位置を前記アンカーポイントに対して横方向に変更するように、前記流体力学的揚力の大小及び方向の変更を引き起こす揚力調整手段をさらに備え、
前記主帆手段上に位置される重心調整手段をさらに備え
、
前記主帆手段は、前記ペイロード上の前記主帆手段の後ろの後流の影響を最小にするため、1組の主帆テザーで前記主テザーに取り付けられることにより、前記主帆手段を前記ペイロードと一定の距離で保持することを特徴とする、係留システム。
【請求項2】
前記重心調整手段は、ウィンチと、滑車と、バラストウエイト及び1組のブイが取り付けられるエンドレスロープとを備える調整可能なバラスト機構であることを特徴とする、請求項
1に記載の係留システム。
【請求項3】
前記主帆手段は、前記主帆手段の形状を支持するための内側フレーム及び複数の外側フレームを有するリブシステムをさらに備えることを特徴とする、請求項
2に記載の係留システム。
【請求項4】
前記ペイロードは、流体力学的パワーを変換するための少なくとも1つの発電タービンを備えることを特徴とする、請求項
1に記載の係留システム。
【請求項5】
前記ペイロードは、アレイテザーと、複数のペイロードユニットを備え、各前記ペイロードユニットは前記アレイテザー上の異なる位置に取り付けられることを特徴とする、請求項
1に記載の係留システム。
【請求項6】
複数のアレイ帆手段をさらに備え、各前記アレイ帆手段は、前記アレイテザー上の異なる位置に取り付けられ、前記アレイ帆手段の流体力学的揚力は、前記ペイロードユニットを前記流体の前記移動経路に対して横方向に引っ張ることにより、前記主テザー及び前記アレイテザーは、前記主帆手段上及び前記アレイ帆手段上の流体力学的揚力の相対的大小関係の調整により前記流体の経路に対して異なる角度で展開されることを特徴とする、請求項
5に記載の係留システム。
【請求項7】
各前記ペイロードユニットは、流体力学的パワーを変換するための少なくとも1つの発電タービンを備えることを特徴とする、請求項
6に記載の係留システム。
【請求項8】
前記主帆手段は、1組の主帆テザーにより前記主テザーに取り付けられ、
各前記アレイ帆手段は、前記ペイロード上の前記主帆手段及び前記アレイ帆手段の後ろの後流の影響を最小にするため、1組のアレイ帆テザーにより前記アレイテザーに取り付けられ、
前記主帆手段は、前記主帆テザーによりタンデムに接続され、又は前記主帆テザーにより前記主テザーに連続的に接続される複数の主帆をさらに備え、
各前記アレイ帆手段は、少なくとも1つのアレイ帆を備え、
各前記アレイ帆手段は、前記流体を通る前記アレイ帆手段により生成される流体力学的揚力の大小及び方向の変更を引き起こし、複数の調整可能な制御面を有する揚力調整手段をさらに備えることを特徴とする、請求項
7に記載の係留システム。
【請求項9】
前記主帆テザー及び前記アレイ帆テザーのそれぞれは、前記主帆テザー及び前記アレイ帆テザーのそれぞれの張力を対応の帆の異なる部分に平均に分布するように、前記主帆及び前記アレイ帆のそれぞれに複数の位置に接続される索具システムをさらに備えることを特徴とする、請求項
8に記載の係留システム。
【請求項10】
前記主帆及び前記アレイ帆のそれぞれは、位置で組み立てられる複数の独立な帆部分を備え、
各前記帆部分は、桁構造と、リブ構造とを備え、
前記リブ構造は、帆輪郭の形状を支持する内側フレーム及び外側フレームを備え、前記帆部分の内部には前記流体を含み、
前記アレイ帆は、複数の調整可能なバラスト機構を備える重心調整手段をさらに備え、
各前記調整可能なバラスト機構は、ウィンチと、滑車と、バラストウエイト及び1組のブイが取り付けられるエンドレスロープとを備えることを特徴とする、請求項
9に記載の係留システム。
【請求項11】
前記アンカーポイントは、前記流体の流れ方向に面する斜面に位置され、
前記アンカー手段は、死荷重アンカーを備え、
前記死荷重アンカーは、第1グループの大型死荷重を形成するように、共に連動且つ積層可能な複数のアンカーブロックを備えることを特徴とする、請求項
7に記載の係留システム。
【請求項12】
前記死荷重アンカーは、複数の連動アンカーブロックを備える第2グループの大型死荷重をさらに備え、
前記第2グループの大型死荷重は、前記第1グループの大型死荷重に対して一定の角度で配向され、
前記第1グループの大型死荷重及び前記第2グループの大型死荷重は、前記主テザーの展開角度の変化に適応するように、前記主テザーを共に保持することを特徴とする、請求項
11に記載の係留システム。
【請求項13】
前記アンカーポイントは、岩表面上に位置され、
前記アンカー手段は、第1死荷重アンカーと、前記岩表面に構成される第1ノッチ構造とを備え、前記第1死荷重アンカーは、前記第1ノッチ構造に合わせるように設計される突出部を有することを特徴とする、請求項
7に記載の係留システム。
【請求項14】
前記アンカー手段は、第2死荷重アンカーと、前記岩表面に構成されて前記第1死荷重アンカーに対して一定の角度で配向される第2ノッチ構造とを備え、前記第1死荷重アンカー及び前記第2死荷重アンカーは、前記主テザーの展開角度の変化に適応するように、前記主テザーを共に保持することを特徴とする、請求項
13に記載の係留システム。
【請求項15】
前記アンカーポイントは、自然な階段構造を有する岩表面に位置され、
前記アンカー手段は、前記自然な階段構造に適合し、接触面積を最大にするための崩壊可能端を有するアンカーを備えることを特徴とする、請求項
7に記載の係留システム。
【請求項16】
流れ方向が大幅に変化する場合、前記アレイテザーに取り付けられるアレイ帆手段及び前記ペイロードユニットの線形フォーメーションを維持するための補助アンカーシステムをさらに備え、前記補助アンカーシステムは、前記アレイテザーに沿って異なる位置に分布される複数の補助係留ユニットを備え、
各前記補助係留ユニットは、前記流体の固体底上の補助アンカーに位置される補助アンカーラインと、前記アレイテザーに沿って異なる位置の1つに位置される伸縮可能な補助係留ラインと、前記補助アンカーラインと前記伸縮可能な補助係留ラインとを接続する着脱可能な連結システムとを備えることを特徴とする、請求項
7に記載の係留システム。
【請求項17】
前記アンカー手段は、前記アンカーポイントに固定されるアンカーと、前記アンカーに取り付けられるアンカーラインと、取り外し且つ再接続可能な第1部分及び第2部分を有するアンカー連結具機構とを備え、
前記第1部分は前記アンカーラインに取り付けられ、前記第2部分は前記主テザーの第1端に取り付けられることを特徴とする、請求項
7に記載の係留システム。
【請求項18】
垂直方向の力をバランスするように、前記主テザーの第2端に取り付けられる昇降ブイをさらに備え、前記昇降ブイは、流動抵抗の変化に適応するための浮力調整手段をさらに備えることを特徴とする、請求項
7に記載の係留システム。
【請求項19】
前記アンカー手段は、前記アンカーポイントに固定されるアンカーと、前記アンカーに取り付けられるアンカーラインと、取り外し且つ再接続可能な第1部分及び第2部分を有するアンカー連結具機構とを備え、
前記第1部分は前記アンカーラインに取り付けられ、前記第2部分は前記主テザーの前記第1端に取り付けられ、
前記係留システムは、前記ペイロードの位置決めの許容範囲を拡大するため、一距離で分布される複数の付加的なアンカーポイントと、前記付加的なアンカーポイントで前記アンカーライン及び前記アンカー連結具機構の前記第1部分を有する前記アンカーの複数の付加的な組とをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の係留システム。
【請求項20】
前記ペイロードは、流体力学的パワーを変換するための発電手段を備えることを特徴とする、請求項
19に記載の係留システム。
【請求項21】
望ましくない流れパターン期間中に前記アレイ帆、前記主帆及び前記発電
タービンの過回転を防止するように、前記係留システムに沿う複数の拘束索具システムをさらに備え、前記拘束索具システムは、ウィンチと、対応の
前記アレイ帆、
前記主帆及び
前記発電タービンに取り付けられる索条とを備えることを特徴とする、請求項
8に記載の係留システム。
【請求項22】
少なくとも1つのペイロードを前記ペイロードに向かって移動する流動流体に展開し、前記ペイロードを第1アンカーポイントから前記流動流体の移動経路にわたって目標位置に設置するための係留方法であって、
第1アンカーを主テザーの第1端に取り付けて、前記第1アンカーを前記第1アンカーポイントに固定するステップと、
前記ペイロードを前記主テザーの第2端に取り付けるステップと、
流体力学的揚力生成手段を前記主テザーの前記第2端に取り付けるステップと、
前記流動流体からの揚力を得るように、前記流体力学的揚力生成手段を調整して、前記揚力を前記流動流体の流動経路に対して横方向に作用することにより、前記ペイロードを前記目標位置に引っ張るステップと、
前記主テザーに取り付けられた主帆手段上に位置される重心調整手段を用いて、前記主帆手段が安定に維持するように、前記主帆手段の重心を調整するステップと、を含
み、
前記流体力学的揚力生成手段は、前記ペイロード上の前記流体力学的揚力生成手段の後ろの後流の影響を最小にするため、1組のテザーで前記主テザーに取り付けられることにより、前記流体力学的揚力生成手段を前記ペイロードと一定の距離で保持することを特徴とする、係留方法。
【請求項23】
前記流動流体は、蛇行速度コアを有する水流であり、
前記ペイロードは、流体力学的パワーを変換するための発電手段を備え、
前記流体力学的揚力生成手段の調整のステップは、
(i)前記目標位置を蛇行速度コア内の移動目標位置とするステップと、
(ii)前記ペイロードを前記移動目標位置に再配置するように、前記流体力学的揚力生成手段を一定に調整することにより、前記発電手段をほとんどの場合に速度コア内に配置するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項
22に記載の係留方法。
【請求項24】
一距離にわたって分布される複数の付加的なアンカーポイントを設定し、付加的なアンカーをそれぞれの前記付加的なアンカーポイントに固定するステップと、
前記主テザーの第1端を前記第1アンカーから取り外して、前記付加的なアンカーポイントの1つに移動して、前記付加的なアンカーポイントに対応する前記付加的なアンカーに取り付けることにより、前記ペイロードを有する前記主テザー及び前記流体力学的揚力生成手段を前記第1アンカーポイントから前記付加的なアンカーポイントの1つに移転するステップと、
前記ペイロードの位置決めの範囲を拡大するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項
23に記載の係留方法。
【請求項25】
流体力学的パワーを変換するための発電手段を前記発電手段に向かって移動する流動流体に展開し、前記発電手段を第1アンカーポイントから前記流動流体の移動経路にわたって目標位置に設置するための係留方法であって、
第1アンカーを主テザーの第1端に取り付けて、前記第1アンカーを前記第1アンカーポイントに固定するステップと、
前記発電手段を前記主テザーの第2端に取り付けるステップと、
流体力学的揚力生成手段を前記主テザーの前記第2端に取り付けるステップと、
前記流動流体からの揚力を得るように、前記流体力学的揚力生成手段を調整して、前記揚力を前記流動流体の流動経路に対して横方向に作用することにより、前記発電手段を前記目標位置に引っ張るステップと、
一距離にわたって分布される複数の付加的なアンカーポイントを設定し、付加的なアンカーをそれぞれの前記付加的なアンカーポイントに固定するステップと、
前記主テザーの前記第1端を前記第1アンカーから取り外して、前記付加的なアンカーポイントの1つに移動して、前記付加的なアンカーポイントに対応する前記付加的なアンカーに取り付けることにより、前記発電手段を有する前記主テザー及び前記流体力学的揚力生成手段を前記第1アンカーポイントから前記付加的なアンカーポイントの1つに移転するステップと、
前記発電手段の位置決めの範囲を拡大するステップと、
移転のステップの期間、少なくとも1つの動力船を使用して、前記主テザー上の張力を緩めるように、前記主テザーの前記第2端で又は付近で前記発電手段及び前記流体力学的揚力生成手段を牽引して保持して、第2動力船を使用して、前記主テザーの前記第1端を移動するステップをさらに含むことを特徴とする係留方法。
【請求項26】
流体力学的パワーを変換するための発電手段を前記発電手段に向かって移動する流動流体に展開し、前記発電手段を第1アンカーポイントから前記流動流体の移動経路にわたって目標位置に設置するための長距離移転方法であって、
第1アンカーを主テザーの第1端に取り付けて、前記第1アンカーを前記第1アンカーポイントに固定するステップと、
前記発電手段を前記主テザーの第2端に取り付けるステップと、
流体力学的揚力生成手段を前記主テザーの前記第2端に取り付けるステップと、
前記流動流体からの揚力を得るように、前記流体力学的揚力生成手段を調整して、前記揚力を前記流動流体の流動経路に対して横方向に作用することにより、前記発電手段を前記目標位置に引っ張るステップと、
一距離にわたって分布される複数の付加的なアンカーポイントを設定し、付加的なアンカーをそれぞれの前記付加的なアンカーポイントに固定するステップと、
前記主テザーの前記第1端を前記第1アンカーから取り外して、前記付加的なアンカーポイントの1つに移動して、前記付加的なアンカーポイントに対応する前記付加的なアンカーに取り付けることにより、前記発電手段を有する前記主テザー及び前記流体力学的揚力生成手段を前記第1アンカーポイントから前記付加的なアンカーポイントの1つに移転するステップと、
前記発電手段の位置決めの範囲を拡大するステップとを含み、
前記発電手段を有する前記主テザー及び前記流体力学的揚力生成手段を移転する前記ステップは、長距離移転のための1グループの動力船を使用して、前記主テザーの前記第1端及び前記第2端で又は付近で牽引するステップをさらに含むことを特徴とする長距離移転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月21日に、米国特許商標庁に出願する米国仮特許出願第62/410881号の優先権を主張し、その全開示を参照により本明細書に組み入れることとする。
【0002】
本開示は、新しい概念の係留システム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
速度Vで断面積Aを流れる密度ρの流体の力学的パワーは
【数1】
である。
黒潮と湾流の流速は、1~2m/sを超えることがある。黒潮の断面積エネルギーは4~10GWの間で変動し、年間平均は約6GWであり、湾岸の断面積エネルギーは5~25GWで変動し、年間平均は約12GWである。しかし、海流のエネルギーを利用することは多くの困難がある。海流発電には大きな発展性があっても、実用的かつ経済的なシステムの実現にはいくつか重大な困難に直面する。もう一つの問題は、海流発電システムの効率に影響を及ぼす水流速度コア(current velocity cores)のトラックの変化(又は蛇行と称される)である。また、地理的位置に関連するもう一つの問題は、これらの海域で台風又はハリケーンが頻繁に発生することである。
【0004】
重要な問題の1つは、海底の深さにより海洋建設に伴って潜在的な高コストになる。黒潮では、海流が流れる多くの領域が1000mよりも深く、一部が3000mよりも深いである。台湾の近傍では、緑島北部への海底隆起だけで水深400m未満の海底が見出されることができる。しかし、その隆起は、硬い安山岩の可能性が高く、その上面にはほとんど堆積物がない。これによって、埋め込みアンカーは、不適用の可能性が高くて、この深さでの打ち込みのコストが非常に高価になる。その固着の困難以外、海底隆起において比較的浅い丘の面積が限られている。従来の下流係留方法が使用される場合、その制限される足場では、大規模な電力システムのための多数のタービンを係留することができない。また、フロリダ海流の場合、フロリダ海峡(Florida Straits)の海底は、海岸から500m以上の深さまで徐々に傾斜して、水流の速度コアが海岸から約30kmの距離にある。海洋建設の基準に基づいて、500mは依然として非常に深い。フロリダ海峡の下の地形は、南部のマイアミテラス(Miami terrace)の地域を除いて比較的平坦であり、多くの地域は泥、砂又は堆積物に覆われる。しかし、この領域での固着は異なる問題に直面することがある。サンゴ及び深い岩礁が幅広い存在するため、高速コアの流軸は実際、アンカーに適切として判別される領域の外に位置する。
【0005】
もう一つの問題は、海流発電システムの効率に影響を及ぼす水流速度コアのトラックの変化(又は蛇行と称される)である。例えば、北緯23度に沿って、台湾近傍の黒潮では、平均水流軸(流速>1.2m/sec)は、夏から冬にかけて約3kmを偏移し、海岸までの最短距離は約21kmである。春には、その流軸は陸上から外方に約16kmを偏移する。平均0.8m/sの流速境界もほぼ同じ量を偏移する。フロリダ海流において、海洋モデルのシミュレーションでは、北緯27度付近、且つ水深50mの海流速度コアの季節的偏移が約10kmであることを示す。これは測定結果と一致している。パワーキャプチャが流速の3乗に比例することを考慮すると、海流蛇行に適応する能力は、システムの容量係数を大幅に向上させることができる。
【0006】
日本では、黒潮の「大蛇行」の問題は特に深刻である。
図39に示すように、10年平均の高エネルギー密度帯は海岸に近いように見えるが、過去に観測された実際の海流流路は、2つの典型的な安定タイプでより広い範囲に分布する。大部分の時間では、海流が「非大蛇行(NLM)」と称される第1種類の流路に従って、大隅諸島と紀伊半島との間の海岸に接近して流れる。紀伊を通過した後、海流は時には沿岸流路(near shore path, nNLM)をとって、時には沖合流路(offshore path, oNLM)をとる。他の時では、海流は、四国の南に進入した後、海岸から偏移して離れた「大蛇行(LM)」と称される第2種類の流路をとる(Kawabe M.Variation of current path, velocity, and volume transport of the Kuroshio in relation with the Large Meander. Journal of Physical Oceanography 1995, vol. 25, p. 3103を参照する)。最近の大蛇行は、2004年から2005年に発生し、1年以上続いて、
図39に示す10年間平均高エネルギー密度帯の期間内に発生した(海洋エネルギーWebGISデータセット(東京大学及びJAMSTEC(日本国立研究開発法人海洋研究開発機構)のMarine Energy Web GIS Dataset、オンラインで利用可能なアドレス:http://www.todaiww3.k.u-tokyo.ac.jp/nedo_p/jp/webgis/ (accessed on 10 October 2016)を参照する)。即ち、発電システムがその海流帯、特に東部地域に設置される場合、システムは通年に相当量の発電がないことがある。流体力学的パワーシステムにとっては、年率0.8~0.9の能力係数は高いが、大規模な投資として、時折、1年以上にわたる停電が許容されるはずがない。記録(匿名.黒潮、気象庁ウェブサイト(Japan Metrological Agency website), Dec. 20, 2013、オンラインで利用可能なアドレス:http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/shindan/sougou/html_vol2/2_2_2_vol2.html (Accessed June 2016))によると、1905年以来、10回の大蛇行期間があり、それぞれ1年から10年まで続き、これらの期間の合計は約40年である。NLM期間中に、時折の短期間の海岸偏移にもかかわらず、流軸は岬から約30~50km離れる。しかし、大蛇行(LM)期間では、その距離は大きく変動して100~300kmまで増加する。これによって、これは日本南部の黒潮の潜在的な発電にとって非常に深刻な問題である。また、海洋渦と台風も海中の海流方向の短期的変化を引き起こす可能性がある。発電システムは水中浮遊状態に維持する必要があるため、このような流れのパターンへの適応は、大規模実施の要求と深海の状況を考慮する必要がある。更にまた、地理的位置に関連するもう一つの問題は、これらの海域で台風やハリケーンが頻繁に発生することである。
【0007】
商業会社と学術研究は、様々な海流発電システムの概念及び設計を提案している。上記システムの大部分は、それぞれの浮体ユニットのために個別のアンカーを適用する。Chenの設計(Chen F. The Kuroshio Power Plant. Springer International Publishing Switzerland 2013)の場合でも、大型プラットフォームは多くの別々のラインで係留される。個別独立した固着は、浅海における潮汐力に対しては通常の設置であるかもしれないが、深海フローティングシステムに適用する場合は非常に高価である。大規模な海流からエネルギーを抽出するため、広い地域を覆う大量のタービンが必要である。深海底の広い地域に分布する多数の個々のアンカーポイントは、海洋建設の複雑さと長時間作業の必要を意味する。多くのフローティングシステムの個々の係留は、海流方向の変更による干渉を回避するように、係留ラインを短くし、システムをまばらに分布する必要があることを意味する。これにより、海底面積の使用は非効率的であり、重力アンカーが使用される場合、係留ラインが短いために、その使用も非効率的である。また、桐生の研究(Kiryu Y.日本のエネルギー自立への道(日本),2015年、オンラインで利用可能なアドレス:http://www.sakinavi.net/energy/kurosio1.html (Accessed June 2016)、日本特許5622013及び特許5656155を参照)に海流蛇行、特に大蛇行の問題を考慮した以外、上記の設計には考慮することはない。個々の短い係留ラインの使用は、発電システムが基本的な位置固定システムであり、大蛇行の状況は言うまでもなく、海流流路の短期的な変化に適応するために適切な位置調整を行うこともできない。桐生の「エネルギー船」の概念では、水中浮遊システムと比べて、表面浮遊型動力船(surface floating power vessels)の使用は、特に暴風雨ではシステム安定性の問題があり、コストの問題もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の目的によれば、係留システムは、ペイロードに対して移動する流体に前記ペイロードを展開し、ペイロードをアンカーポイントから流体の移動経路にわたる位置に設置するためのものである。前記係留システムは、主テザーと、主テザーの第1端に取り付けられ、アンカーポイントに固定されるアンカー手段と、主テザーの第2端に取り付けられ、流体に浸した主帆手段とを備える。ペイロードは、主テザーの第2端に取り付けられ、主帆手段に対して移動する流体は主帆手段に流体力学的揚力を生成して、ペイロードを流体の移動経路に対して横方向に引っ張る。
【0009】
より好ましいことは、主帆手段は、ペイロードの位置をアンカーポイントに対して横方向に変更するように、流体力学的揚力の大小及び方向の変更を引き起こすことができる揚力調整手段をさらに備えることができる。
【0010】
より好ましいことは、係留システムは、主帆手段上に位置される複数の調整可能なバラスト機構をさらに備えることができ、調整可能なバラスト機構は、ウィンチと、滑車と、バラストウエイト及び1組のブイが取り付けられるエンドレスロープとを備えることができる。
【0011】
より好ましいことは、主帆手段は、主帆手段の形状を支持するための内側フレーム及び複数の外側フレームを有するリブシステムをさらに備えることができる。
【0012】
より好ましいことは、ペイロードは、流体力学的パワー(fluid kinetic power)を変換するための少なくとも1つの発電タービンを備えることができ、主帆手段は、発電タービン上の主帆手段の後ろの後流(flow wakes)の影響を最小にするため、1組の主帆テザーで主テザーに取り付けられることにより、主帆手段を発電タービンンと一定の距離で保持することができる。
【0013】
より好ましいことは、ペイロードは、アレイテザーと、複数のペイロードユニットを備え、各ペイロードユニットはアレイテザー上の異なる位置に取り付けられることができる。
【0014】
より好ましいことは、係留システムは、複数のアレイ帆手段をさらに備え、各アレイ帆手段は、アレイテザー上の異なる位置に取り付けられ、アレイ帆手段の流体力学的揚力は、ペイロードユニットを流体の移動経路に対して横方向に引っ張ることにより、主テザー及びアレイテザーは、主帆手段上及びアレイ帆手段上の流体力学的揚力の相対的大小関係の調整により流体の経路に対して異なる角度で展開されることができる。
【0015】
より好ましいことは、各ペイロードユニットは、流体力学的パワーを変換するための少なくとも1つの発電タービンを備えることができる。
【0016】
より好ましいことは、主帆手段は、1組の主帆テザーにより主テザーに取り付けられ、各アレイ帆手段は、ペイロード上のアレイ帆手段の後ろの後流の影響を最小にするため、1組のアレイ帆テザーによりアレイテザーに取り付けられ、主帆手段は、主帆テザーによりタンデムに接続され、又は主帆テザーにより主テザーに連続的に接続される複数の主帆をさらに備え、各アレイ帆手段は、少なくとも1つのアレイ帆を備え、各アレイ帆手段は、流体を通るアレイ帆手段により生成される流体力学的揚力の大小及び方向の変更を引き起こすことができ、主帆及びアレイ帆上に位置される複数の調整可能な制御面を有する揚力調整手段をさらに備えることができる。
【0017】
より好ましいことは、主帆テザー及び前記アレイ帆テザーのそれぞれは、主帆テザー及びアレイ帆テザーのそれぞれの張力を対応の帆の異なる部分に平均に分布するように、主帆及びアレイ帆のそれぞれに複数の位置に接続される索具システムをさらに備えることができる。
【0018】
より好ましいことは、主帆及びアレイ帆のそれぞれは、位置で組み立てられる複数の独立な帆部分を備え、各帆部分は、桁構造と、リブ構造とを備え、リブ構造は帆輪郭の形状を支持する内側フレーム及び外側フレームを備え、帆部分の内部には流体を含み、主帆及びアレイ帆のそれぞれは重心調整手段をさらに備え、重心調整手段は複数の調整可能なバラスト機構を備え、各調整可能なバラスト機構は、ウィンチと、滑車と、バラストウエイト及び1組のブイが取り付けられるエンドレスロープとを備えることができる。
【0019】
より好ましいことは、アンカーポイントは流体の流れ方向に面する斜面に位置され、アンカー手段は死荷重アンカーを備え、死荷重アンカーは、第1グループの大型死荷重を形成するように、共に連動且つ積層可能な複数のアンカーブロックを備えることができる。
【0020】
より好ましいことは、死荷重アンカーは、複数の連動アンカーブロックを備える第2グループの大型死荷重をさらに備え、第2グループの大型死荷重は、第1グループの大型死荷重に対して一定の角度で配向され、第1グループの大型死荷重及び第2グループの大型死荷重は、主テザーの展開角度の変化に適応するように、主テザーを共に保持することができる。
【0021】
より好ましいことは、アンカーポイントは岩表面上に位置され、アンカー手段は、第1死荷重アンカーと、岩表面に構成される第1ノッチ構造とを備え、第1死荷重アンカーは、第1ノッチ構造に合わせるように設計される突出部を有することができる。
【0022】
より好ましいことは、アンカー手段は、第2死荷重アンカーと、岩表面に構成されて第1死荷重アンカーに対して一定の角度で配向される第2ノッチ構造とを備え、第1死荷重アンカー及び第1死荷重アンカーは、主テザーの展開角度の変化に適応するように主テザーを共に保持することができる。
【0023】
より好ましいことは、アンカーポイントは自然な階段構造を有する岩表面に位置され、アンカー手段は、自然な階段構造に適合し、接触面積を最大にするための崩壊可能端(collapsible end)を有するアンカーを備えることができる。
【0024】
より好ましいことは、係留システムは、流れ方向が大幅に変化する場合、アレイテザーに取り付けられるアレイ帆手段及びペイロードユニットの線形フォーメーションを維持するための補助アンカーシステムをさらに備え、補助アンカーシステムは、アレイテザーに沿って異なる位置に分布される複数の補助係留ユニットを備え、各補助係留ユニットは、流体の固体底上の補助アンカーに位置される補助アンカーラインと、アレイテザーに沿って異なる位置の1つに位置される伸縮可能な補助係留ラインと、補助アンカーラインと伸縮可能な補助係留ラインとを接続する着脱可能な連結システムとを備えることができる。
【0025】
より好ましいことは、アンカー手段は、アンカーポイントに固定されるアンカーと、アンカーに取り付けられるアンカーラインと、取り外し且つ再接続可能な第1部分及び第2部分を有するアンカー連結具機構とを備え、第1部分はアンカーラインに取り付けられ、第2部分は主テザーの第1端に取り付けられることができる。
【0026】
より好ましいことは、係留システムは、垂直方向の力をバランスするように、主テザーの第2端に取り付けられる昇降ブイをさらに備え、昇降ブイは流動抵抗の変化に適応するための浮力調整手段をさらに備えることができる。
【0027】
より好ましいことは、アンカー手段は、アンカーポイントに固定されるアンカーと、アンカーに取り付けられるアンカーラインと、取り外し且つ再接続可能な第1部分及び第2部分を有するアンカー連結具機構とを備え、第1部分はアンカーラインに取り付けられ、第2部分は主テザーの第1端に取り付けられ、係留システムは、ペイロードの位置決めの許容範囲を拡大するため、一距離で分布される複数の付加的なアンカーポイントと、付加的なアンカーポイントでアンカーライン及びアンカー連結具機構の第1部分を有するアンカーの複数の付加的な組とをさらに備えることができる。
【0028】
より好ましいことは、ペイロードは、流体力学的パワーを変換するための発電手段を備えることができる。
【0029】
より好ましいことは、係留システムは、望ましくない流れパターン期間中にアレイ帆、前記主帆及び前記発電タービンの過回転を防止するように、前記係留システムに沿う複数の拘束索具システムをさらに備え、拘束索具システムは、ウィンチと、対応のアレイ帆、主帆及び発電タービンに取り付けられる索条とを備えることができる。
【0030】
本開示のもう一つの目的によれば、係留方法は、少なくとも1つのペイロードをペイロードに向かって移動する流動流体に展開し、ペイロードを第1アンカーポイントから流動流体の移動経路にわたって目標位置に設置するためのものである。その方法は、第1アンカーを主テザーの第1端に取り付けて、第1アンカーを第1アンカーポイントに固定するステップと、ペイロードを主テザーの第2端に取り付けるステップと、流体力学的揚力生成手段を主テザーの第2端に取り付けるステップと、流動流体からの揚力を得るように、流体力学的揚力生成手段を調整して、揚力を流動流体の流動経路に対して横方向に作用することにより、ペイロードを目標位置に引っ張るステップとを含む。
【0031】
より好ましいことは、流動流体は蛇行速度コア(meandering velocity core)を有する水流であり、ペイロードは流体力学的パワーを変換するための発電手段を備え、流体力学的揚力生成手段の調整のステップは、(i)目標位置を蛇行速度コア内の移動目標位置とするステップと、(ii)ペイロードを前記移動目標位置に再配置するように、流体力学的揚力生成手段を一定に調整することにより、発電手段をほとんどの場合に速度コア内に配置するステップとをさらに含むことができる。
【0032】
より好ましいことは、係留方法は、一距離にわたって分布される複数の付加的なアンカーポイントを設定し、付加的なアンカーをそれぞれの前記付加的なアンカーポイントに固定するステップと、主テザーの第1端を第1アンカーから取り外して、付加的なアンカーポイントの1つに移動して、付加的なアンカーポイントに対応する付加的なアンカーに取り付けることにより、ペイロードを有する主テザー及び流体力学的揚力生成手段を第1アンカーポイントから付加的なアンカーポイントの1つに移転するステップと、ペイロードの位置決めの範囲を拡大するステップとをさらに含むことができる。
【0033】
より好ましいことは、係留方法は、移転のステップの期間に、少なくとも1つの動力船を使用して、主テザー上の張力を緩めるように、主テザーの第2端で又は付近でペイロード及び流体力学的揚力生成手段を牽引して保持して、第2動力船を使用して、主テザーの前記第1端を移動するステップをさらに含むことができる。
【0034】
より好ましいことは、ペイロードを有する主テザー及び流体力学的揚力生成手段の移転のステップは、長距離移転のための1グループの動力船を使用して、主テザーの第1端及び第2端で又は付近で牽引するステップをさらに含むことができる。
【0035】
以上によって、本発明の最も基本的な構成では、海面下に沈み込み、一端が長いテザー上に取り付けられる1組の水中帆(hydro sails)及び発電機タービンを含む。水中帆システムは、タービンをアンカーポイントから横方向に離れることにより、タービンを海流にわたって横方向に展開することができる。台湾南東部の黒潮に適用する場合、流れに渡る配置は、アンカーポイントを浅い海域に設置され、沖合から遠く離れたタービンを深海の高速流れに配置することにより、深度の問題を緩和することができる。フロリダ海流の場合、利用可能なアンカー領域は、海底の海洋底生態系の存在による制限があるので、高速コアの外にある可能性が高くて、同様の方法でのCSAMシステムの適用は問題を解決することができる。迎角のローリング又は変更により、水中帆は、速度コアのトラック偏差に適応するように、システムの水平位置を能動的に調整して、発電タービンを常に最高速水流内に配置して殆どの場合に最大容量で作動させることができる。暴風雨の期間、水中帆はシステムを引き下げ、沈み深度を増やすことにより、荒れた海の状態を避けることができる。基本的な構成は、線形アレイに連結することができ、線形アレイは2次元フォーメーションを形成することができる。時々通過する大きな渦の妨害を防止するため、補助アンカーシステムは、海流の流れ方向が変化する場合、発電機を良好なフォーメーションに維持するように設計される。また、様々な時間スケールでの蛇行に適応するため、最初の係留揺動動作(tethered-sway actions)の他、複数のアンカーポイント内の係留される発電機の線形アレイを移転する方法を工夫して、CSAMシステムに拡張横変位能力(extended lateral displacement capacity)を提供する。本発明の線形アレイの構成は線形アレイを海中で容易に長距離に輸送することができる。発電システムは現場間で大規模な輸送が可能であるため、日本の南部で発生する大蛇行問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【0037】
【
図2】
図1のシナリオの簡略化の力分析の平面図を示す。
【0038】
【
図3】異なるアスペクト比のゲッティンゲン(G▲o▼ttingen)624輪郭を有する翼の揚力係数及び抗力係数を示す。
【0039】
【0040】
【
図5】本開示の実施例による相対的な水平位置を示す。
【0041】
【
図6】本開示の実施例による主要な展開角度及び水平変位の範囲の2D図を示す。
【0042】
【
図7】本開示の実施例による主要な展開角度を示す。
【0043】
【
図8】本開示の実施例による最大相対水平変位を示す。
【0044】
【
図9】本開示の実施例による水中帆の概念設計を示す。
【0045】
【
図10】本開示の実施例による帆体部分の構造を示す。
【0046】
【
図11】本開示の実施例による線形フォーメーションの構成を示す。
【0047】
【
図12】本開示の実施例による1つの線形アレイ構造を示す。
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【
図16】黒潮における速く幅狭い海流の例示的なシナリオを示す。
【0052】
【
図17】フロリダ海流における速く幅狭い海流の例示的なシナリオを示す。
【0053】
【
図18】本開示の実施例による2Dフォーメーションを示す。
【0054】
【0055】
【
図20】
図18に示される3つの2Dフォーメーションを示す。
【0056】
【
図21】本開示の実施例による調整可能なバラスト機構を示す。
【0057】
【
図22】本開示の実施例による水中帆の構造を示す。
【0058】
【0059】
【
図24】(a)水平面と、(b)斜面上との死荷重の力分析を示す。
【0060】
【
図25】本開示の実施例による有効な水平耐力(effective horizontal capacity)を示す。
【0061】
【
図26】本開示の実施例による抗力停止アンカー(drag-stop anchor)の概念を示す。
【0062】
【
図27】本開示の実施例による有効な水平耐力を示す。
【0063】
【
図28】本開示の実施例によるアンカーブロックの崩壊可能な前端を示す。
【0064】
【
図29】本開示の実施例によるアンカーブロックを固着するための概念を示す。
【0065】
【0066】
【
図31】本開示の実施例によるアンカーブロックを固着するための概念を示す。
【0067】
【
図32】本開示の実施例による係留システムを移動するための概念を示す。
【0068】
【
図33】本開示の実施例によるアンカー結合機構の構造を示す。
【0069】
【
図34】本開示の実施例による主テザーの構造を示す。
【0070】
【
図35】本開示の実施例による補助アンカーシステムの概念を示す。
【0071】
【
図36】
図35に示される補助アンカーシステムの捜索及び位置決めのメカニズムの概念を示す。
【0072】
【
図37】
図35に示される補助アンカーシステムの着脱可能な結合機構の概念を示す。
【0073】
【
図38】本開示の実施例による過回転を防止するための構成を示す。
【0074】
【
図39】日本南部の黒潮の特徴的な流路及びエネルギー密度分布を示す。
【0075】
【
図40】2002年から2011年までのNLM期間及びLM期間における黒潮南部の黒潮の平均エネルギー密度の分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下の説明において、本開示の実施形態についての完全な理解を提供するために、特定の詳細が提示される。しかし、本開示の実施形態は1つ又は複数の特定の詳細がなく、又は他の構成要素と組み合わせても実現可能であることは当業者にとって明らかである。従来の実施形態又は操作は、本開示の様々な実施形態の態様を分かりやすくするために、詳細には示されない又は記載されない。
【0077】
基本的な分析モデル
【0078】
本開示の例示的な実施例によれば、
図1は、流れにわたる能動的な係留(Cross-stream Active Mooring,CSAM)の基本概念の概略図を示す。係留システムは、主テザーTMと、主テザーTMの一端に位置されるアンカーポイントANと、他の端に取り付けられる水中帆HSとを備える。水中帆HSは、ほぼ垂直方向に配向されるスパンを有する基本的な翼(又は帆)の輪郭であり。イドロセイルHS及び多くの主テザーTMは、水中に浸され、中性浮力に近い状態に維持される。発電タービンGTUは、水中帆HSの一端に近い主テザーTMに取り付けられる。海流は発電タービンGTUに抗力を発生させて、その抗力は発電タービンGTUを下流方向に引っ張る。その時、海流が水中帆HSの主体に流れた場合、発電タービンGTUが取り付けられる主テザーTMをアンカーポイントANから横方向に引き離す揚力が生成される。水中帆HSからの揚力及び発電タービンGTUからの抗力によって形成される合成力は、主テザーTMを海流方向に対する斜度で引っ張る。そのため、システム及び主テザーTMは、海流に対する斜度で展開されて係留されることができる。これにより、アンカーポイントANは海岸に近い水中の台地又は丘に配置され、且つ水中帆HS及び発電タービンGTUを海岸から離れて海流の速度コアに配置されることができる。発電タービンGTU及び水中帆HSの位置は、水中帆HSによる引張り力と発電タービンGTU上の抗力との相対的大小関係によって決定される。
図1に示すように、相対的大小関係の調整により、例えば、最内位置1と最外位置2との間のアンカーポイントANに対するハイドロタービンの位置を調整することができる。また、
図1において、LSSは陸上変電所(land substation)であり、LGは陸上電力網(land power grid)である。
【0079】
図2は、
図1のシナリオの簡略化平面図を示し、水中帆HS及びマルチラインジョイントTHにある力ベクトルを有する。簡略化及び明瞭化のために、z方向のすべての力成分をバランスし、これは異なるサブシステムの浮力の適切な制御によって達成することができ、且つ示されるすべての力ベクトルが水平成分であることを仮定する。システムに作用する主要な力は、主テザーTMと帆テザーTSのそれぞれの張力T
b及びT
a、水中帆上の流体力学的揚力L
s、及び発電タービンGTUと水中帆HS上の抗力である。この分析では、主テザーTM、帆テザーTS及び使用される任意の主要なブイの抗力は無視される。係留ラインが短い場合、その小さい正面面積は、発電タービンGTU及び水中帆HS上の主要な抗力と比べて非常に小さな抗力をもたらすため、その近似は明らかになる。係留ラインが長い場合、流線形設計は抗力を低く維持するように使用することができる。システムが静的状態にある、即ち、すべてのサブシステムが地面に対して静止して保持する場合、水中帆HS上の力平衡は以下のようになる:
【数2】
発電タービンGTU上の力平衡は以下のようになる:
【数3】
以上により、以下の主要な展開角度γ
b(主テザー)と帆の展開角度γ
a(水中帆)との関係が導かれる:
【数4】
水中帆上の揚力と抗力(L
sとD
s)は以下のように表される:
【数5】
その中、ρは、流動流体の密度であり、V
0は、流速であり、C
Lsは、水中帆HSの揚力係数であり、C
Dsは、水中帆HSの抗力係数であり、A
sは、水中帆HSの平面面積(planform area)(翼面積)である。翼理論によれば、C
LsとC
Dsは水中帆HSの形状(翼輪郭)に基づき、且ついずれも水流に対する水中帆HSの迎角(αの関数である。発電タービン上の抗力D
tは以下のように表される:
【数6】
その中、C
Dtは、発電タービンGTUの抗力係数(又は推力係数と称される)であり、A
tは、発電タービンGTUのロータ掃引面積(swept area)であり、Rは、発電タービンロータの半径である。
【0080】
式(7)~(9)を式(5)及び(6)に挿入することにより、展開角度に関する式は以下のようになる:
【数7】
これにより、システムの幾何学的レイアウトは、システムの幾何学的パラメータ及び
水中帆HSの迎角のみにより決定される。そのため、水中帆HSの迎角の調整は、システムの幾何学的フォーメーションを変更し、発電タービンGTUの位置を変更することができる。
【0081】
推力係数C
Dtは、ロータのブレード先端の速度比(λ=ΩR/V
o、Ω は回転の周波数)であり、ベッツ基礎理論(fundamental Betz theory)によって推定されることができる。発電タービンGTUが最大効率で電力を抽出する場合、推力係数C
Dt=8/9(~0.89)(Gasch Rら、”Blade geometry”, Chap. 5 of Wind power plants: Fundamentals, Design, Construction and Operation、Gasch, R.とTwele, J. 編、Berlin: Springer-Verlag、2012を参照)である。よって、式(11)は、以下のようになる:
【数8】
【0082】
水平変位と展開角度の範囲
【0083】
提案システムの1つの主要な性能係数は、
図2の水平変位Sの範囲である。式(11)又は(12)によって、システムの幾何学的パラメータが定められる場合、主要な展開角度γ
bと水中帆の迎角αとの関係を発見することができる。
【0084】
推定を容易にし、概念の機能を実証するため、例示的な発電タービンGTUの分析モデルが40メートルのロータ直径を有すると仮定する。これは、A
t=π(20m)
2=1257m
2とする。水中帆HSについて、ゲッティンゲン624エーロフォイル輪郭を例とする。
図3は、異なる翼アスペクト比(ARs)でのゲッティンゲン624エーロフォイルC
Ls及びC
Dsの揚力係数及び抗力係数を示す。例示的な水中帆の平面面積A
sは、1400m
2に設定され、単一の発電タービンGTUの掃引面積にほぼ相当し、又はA
t/A
s=0.9である。
【0085】
特筆すべきことは、多くのエーロフォイル輪郭の抗力/揚力データは現在の分析で使用されることができる。水の密度はエアーの約800倍(1025/1.29)であり、その粘度はエアーの約50倍(9x10
-4/18x10
-6(Pa・s)である。同一流速の水中及び空気中での同一寸法の物体について、対応するレイノルズ数(Reynolds number)の大小は16:1であり、以下にように:
【数9】
その中、ρは流体密度であり、μは流体の動粘度であり、Vは、平均流速であり、Dは、管径である。言い換えれば、レイノルズ数に基づく類似原理により、1m/秒の水流での水中帆HSの場合は、空気中に16m/秒の速度で飛行する帆、或いは空気中に160m/秒の速度又は約580km/hrで飛行する1/10サイズの帆の場合と同等である。空気中のこれらの速度は、一般的なハンググライダーからプロペラ駆動飛行機までの速度にほぼ対応する。これにより、一般的には、翼からのデータを海流中の水中帆HSに応用することができる。
【0086】
本開示の例示的な実施例によれば、主要な展開角度γ
bと水中帆の迎角αと間の関係は、異なるARについて、式(10)及び(11)から求められることができる。その結果は
図4及び
図5に示される。
【0087】
固定のアスペクト比ARについて、水中帆の特定の迎角αは特定の主要な展開角度γ
bに対応する。迎角αの変更は、システムの主要な展開角度γ
bを変更することができる。一般的には、水中帆の迎角αの増加は、システムをアンカーポイントANから横に離れる、即ち、主要な展開角度γ
bがより小さくなる。水中帆の迎角αの減少は、主要な展開角度γ
bを増加させ、システムをアンカーポイントANに近くて移動する。
図6は、x-y平面上の例示的なシステムの主要な展開角度γ
b及び相対的水平変位の範囲を示す。
【0088】
図7に示すように、水中帆HSの平面面積A
sが発電タービンの掃引面積に対して増加する場合、主要な展開角度γ
bが減少する。即ち、システムは揚力の増加によりアンカーポイントANから離れて引っ張られる。しかし、より大きな平面面積A
sは、必ずしもシステムのより大きな水平変位を与えるとは限らない。
図8に示すように、固定のアスペクト比AR=4の水中帆HSについて、最大相対的水平変位cosγ
bは、A
t/A
s=0.97の近くに現れる。これは、水中帆HS設計のガイドラインを提供する。
【0089】
水中帆システムの概念設計
【0090】
水中帆HSの設計は、システム全体へのコストの影響を最小限に抑えるように、高揚力及び低抗力を達成すべきであり、構成が簡単且つ容易に行える。
【0091】
本開示の例示的な実施例によれば、
図9は、水中帆HSの例示的な概念設計を示す。水中帆HS、凧(又はグライダー)のようなもので90度のロール角近くで水中を「飛行」する。グライダーのように、帆の形状は二面体及び後退角(sweepback)を有することにより、ローリング(rolling)に対して安定性を提供する。ローリング及びピッチング(pitching)安定性は索具システムRS及び尾部CSEでの制御面によってさらに補助される。帆CSF及び尾部CSEでの制御面は水中帆HSの迎角αを調整する。エンドプレートWEP、又は類似の翼端装置は、ダウンウォッシュを軽減することができる。
【0092】
高揚力及び低抗力を提供するため、帆体HSBは、桁(spar)、リブ(rib)及び外皮(skin)を備える飛行機の翼と類似する構造を採用することにより、予定のエーロフォイル輪郭が使用されることができる。上端及び下端の帆面は海水に開放され、水中帆HSの内部に海水が満たされる。ブイは上部の帆面の内側に配置されて、水中帆HSは、その翼幅が垂直方向で中性浮力に近い状態に維持される。索具システムRSは、帆テザーTS上の張力が帆体の異なる部分に均等に分配されるように、機体FSL及び帆領域に分布される複数の位置で引っ張る。そのため、帆外皮内部のフレーム構造における強度及び材料に対する要求を最小にすることができる。帆体は、水中帆HSを水中に降下させる直前、位置に1つずつ組立することができるいくつかの個別部分(HSC1~HSC6)に分けることができます。これにより、輸送費及び設置費を大幅に削減する。
【0093】
本開示の例示的な実施例によれば、
図10は、帆体HSBの部分の例示的な設計を示す。リブRIBは、内側フレームIF及びエーロフォイル輪郭の形状を有する湾曲外側フレームCFにより形成される。桁はリブRIBを連結する金属トラス構造SPARであってもよい。リブRIBの前縁及び後縁もスラブに接続される。金属構造の表面上の開放空間は張力網NETに覆われて、外皮のような耐海水性織物FABにより包まれる。張力網NETは、表面変形又は衝撃損傷の防止のための支持を提供する。織物FABは、摩擦抗力(skin drag)を最小にするように滑らかな帆表面を提供する。さらに、桁トラスSPARは、水中帆HSが不均一な外力に耐えるためにある程度の柔軟性を有するように、テンセグリティ構造を備えることができる。海洋ロープで通常に使用されるナイロンを使用して張力網NETを作ることができる。海洋用ヨットの帆布に使用されるダクロン(Jamestown Distributors of Bristol, Rhode Island, USA, 2008のウェブサイトで2015年2月に検索され、匿名、“Rope, Running Rigging, Docking & Mooring Line and Rope Care explained”を参照)、或いは耐引裂性、耐摩耗性、耐塩水性及び耐日光性を有し、海岸膨脹可能なボート(coastal inflatable boats)に使用される(Coastal Inflatables of Dover, New Hampshire, USA, 2016のウェブサイトで2016年3月に検索され、匿名、“Korean PVC fabric”を参照)PVC被覆ポリエステル織物を被覆織物として使用されることができる。
【0094】
そのため、この設計は、安価な材料で構成され、軽量、モジュール化、柔軟、中性浮力に近い状態を有する主要な張力構造化システムである。
【0095】
水中帆による能動的な係留構成、線形フォーメーション及び操縦
【0096】
揚力を最大にするため、水中帆HSは高速流れで維持される必要であり、大きなアスペクト比ARを有すべきである。海流の速度コアは一般的に海面に近いので、海流の速度は50~100m以下の水深で減少し始める。水中帆の翼幅は実際にこの範囲に限定される。高アスペクト比の需要に加えて、単一の帆の平面面積は限定される。十分な帆総面積を得るため、複数の水中帆HSが実際の実施には必要である。本開示の例示的な実施例によれば、4つの各40mx8.75mの帆、又は2つの各70mx10mの帆を使用することにより、As=1400m2である例示的な水中帆HSを得ることができる。
【0097】
本開示の例示的な実施例によれば、
図11(a)及び
図11(b)は、線形フォーメーションの提案システムの能動的な係留の例示的な構成を示す。各発電タービンシステムは、前接続板FCBにより取り付けられる2つの40m直径の発電タービンGTUを備える。4つの各70mx10mの面積の水中帆HSにより、As=1400m
2である例示的なツインタービンシステムの面積を得る。タービンTGから主テザーTM上のマルチラインジョイントTJまでの距離を設定することにより、40
o-70
o範囲の主要な展開角度γ
bで発電タービンGTUを主テザーTMから離れて保持する。隣接する発電タービンGTUの間の距離は、ウィンドファームレイアウト(K▲u▼hn M, “Offshore Windfarms”, Chap. 16 of Wind power plants: Fundamentals, Design, Construction and Operation、Gasch, R.とTwele, J.編、Berlin: Springer-Verlag、2012を参照)に使用される4~8つのロータ直径間隔規則に基づいて概略的に設定される。線形アレイの発電タービンGTUは基本的に同じ深さで水平に係留される。しかし、主テザーTMはある角度でアンカーポイントANまで延出される必要である。ジョイントTJでの昇降ブイは下向きの引張り力をバランスするように使用される。
【0098】
帆CSF上の制御面(
図9を参照)の制御により、水中帆HSは主テザーTMの周りに転動し、引っ張り方向を変更することができる。暴風雨の期間、水中帆HSは海面に近いところの荒い状態を避けるためにシステムをより深く引っ張ることができる。
【0099】
本開示の例示的な実施例によれば、
図12に示すように、水中帆HSは、主テザーTMの周りに転動して、主テザーTMを通過移動して、主テザーTMの他の側に到達することにより、システムの展開をアンカーポイントANの反対側に変えることができる。
図12において、タービン及び水中帆(HS
m1、HS
m2…及びHS
a1、HS
a2…)の線形アレイは水中帆の転動により(3での)水流の右側から(2での)中央及び(4での)反対側に移動することができる。この側変え能力(side-switching capability)により、水平変位の範囲を増加させることができる。
【0100】
発電タービンユニット
【0101】
提案システムは、特定型の発電タービンGTUに限定される。原則的には、さまざまな型の流体力学的パワー発生装置は、適切な係留及び浮力設計を有する発電機-タービンユニット(generator-タービン unit)に使用されることができる。現在の目的のため、2つの例示的な発電タービンGTUの例示的なGTUを仮定する。
図11(b)における側面図に示すように、動作条件下で、発電タービンGTUは発電タービンGTUに内蔵される浮力及び前接続板によって生成される一部の揚力よって、主テザーTMの水深よりわずかに上昇されることができる。これは、側変えの過程では、発電タービンGTUと主テザーTMとの間の干渉を回避する。
【0102】
海流コアへのアクセス及び追跡
【0103】
図5から分かるように、AR≧4の例示的なシステムによりアンカーポイントANから離れる相対横変位は水中帆HSの動作範囲における主テザーTMの長さの約0.3~約0.8倍の長さであってもよい。これにより、主テザーTMの長さが10kmである場合、システムは8kmまで横方向に移動し、片側での水平変位範囲が5kmを有することができる。システムが側変え能力を持たせる場合、それはアンカーポイントANのいずれかの側からの8km内に位置することができる。この能力により、システムは、容易にアンカーする位置から速度コアに到達し、その変動を追跡することができる。
【0104】
図2を参照し、テザー上の流動抵抗を無視して、静的状態の力平衡、即ち、海岸に対して静止に保持するすべてのサブシステムは、テザーの張力とそれらの展開角度との間の関係を以下にように:
【数10】
水中帆HSによる揚力を以下の式に挿入し、
【数11】
主テザーTMの張力は以下のように表す:
【数12】
そして、帆テザーTSの張力は、
【数13】
既定の流速V
0で既定の幾何学的パラメータを有するシステムの場合、張力は水中帆の迎角αのみの関数である。本開示の例示的な実施例によれば、分析的なシステムは、ロータ半径R=20m(タービン掃引面積A
t=πR
2=1257m
2)の単一の発電タービンGTUと、ゲッティンゲン624翼輪郭を有する平面面積A
s=1400m
2の水中帆HSとを備えることを仮定し、異なる水中帆の迎角αに対する展開角度γ
a(α)及びγ
b(α)を算出する(
図4を参照)。これらの結果から、張力を算出することができる。
【0105】
表1には、式(16)及び(17)ごとに算出される異なる流速V
0,での2つの極端位置における例示的なシステムの主テザー及び帆テザー上の張力(T
bとT
a)を示す。例示的なシステムは、直径40mの単一の発電タービンGTUを備え、発電タービンGTUはゲッティンゲン624翼輪郭及び4のアスペクト比ARを有し、面積A
s=1400m
2の水中帆システムHSを備える。2つの極端位置はα=14°及び-4°に近い、且つ
図3及び
図4に示すようにC
Ls、γ
b及びγ
aの値に対応する。また、出力係数(power coefficient)C
p=0.5と仮定して、流れパワー密度及びシステムパワー容量の対応値を示す。海水密度はρ=1025kg/m
3と仮定する。固定の流速V
0に対して、システムは最も内側の位置(γ
b=74°)から最も外側の位置(γ
b=40°)に移動する場合、主テザー上の張力T
bはほぼ倍増する。
図1に示すように、システムが2つの発電タービンGTUを備える場合、負荷は倍増する。
【表1】
【0106】
テザー構造及び抗力低減
【0107】
海洋用途のケーブル及び係留ラインは、ワイヤーロープ、チェーン、様々なタイプのポリマーロープ、管状パイプを含むことができる。亜鉛めっきワイヤロープは、広く使用され、単位長さ当たり且つ単位積載能力当たりの最小コストを有する。チェーンは、衝突及び摩擦な問題がある位置である小区間で一般的に使用される。ダクロン(ポリエステル)及びナイロンのようなポリマーロープは、その軽量及び耐腐食性を有するためにヨットで一般的に使用される(http://www.jamestowndistributors.com/userportal/search_subCategory.do?categoryName=Rope and Running Rigging&category=87&refine=1&page=GRID, 2008で2015年6月に検索されるProduct information from website of Jamestown Distributors of Bristol, Rhode Island, USAを参照)。具体的には、ダイニーマ(Dyneema)又はスペクトラ(Spectra)のような高弾性ポリエチレン(high-modulus polyethylene,HMPE)ロープは、石油掘削産業でのワイヤーロープの代替品として使用される(2015年6月に検索されるGilmore J, “HMPE rope technology enables deeper and safer operations”, Offshore Engineer 2013, August (digital edition)を参照)。しかし、それらはかなり高価なものである(at http://www.apsltd.com/c-1486-single-braids-dyneema-vectran.aspx, 2015で2015年6月に検索されるProduct information from website of Annapolis Performance Sailing of Annapolis, Maryland, USAを参照)。管状パイプは、海底石油掘削産業の張力脚プラットホーム(Tension-Leg Platforms)での緊張した垂直係留ラインとして使用される(Gerwick BC, Construction of Marine and Offshore Structures, 3rd Edition, CRC Press, 2007を参照)。
【0108】
最も経済的な且つ柔軟な張力負荷機械素子はワイヤロープである。例えば、標準的な2インチの直径のワイヤーロープは、3.5の操作安全係数で約51トンの負荷容量を有する。表1によれば、このサイズのワイヤーロープを使用する場合、6本のロープは、1.5~1.6m/sの流速で動作する単一のタービンシステム操作のための主テザーTMに十分な張力容量(tension capacity)を提供することができる。2つのタービンを有するシステムについて、少なくとも12本のロープが必要である。帆テザーTSについて、4本のロープは、1.5m/sの流速で動作する単一のタービンシステムに必要であり、且つ8本のロープはツインタービンシステムに使用される。
【0109】
上記で導かれた解析モデルでは、テザー上の流動抵抗は無視される。帆テザーTSがそれほど長くないため、帆テザーTS上の抗力は、発電タービンGTU上の抗力に比べて小さい。帆テザーTSの目的は、水中帆HSが主テザーTMを適切な距離からタービンから離れることにより、水中帆HSの後流が発電タービンGTUに入る流れのパターンに最小の影響を及ぼすことができる。例えば、隣接する風力タービンの間の典型的な間隔(K▲u▼hn M, “Offshore Windfarms“, Chap. 16 in Wind power plants: Fundamentals, Design, Construction and Operation 、Gasch, R.とTwele, J. 編、Berlin: Springer-Verlag、2012を参照)に従って、発電タービンGTUの直径の4~6倍を採用する場合、この適切な距離は、40mのタービンロータ直径に対して160~240mのみである。これにより、テザーの正面面積は、タービンの掃引面積Atに比べて小さい。
【0110】
帆テザーTSが比較的短いため、システム全体に対する重量影響も無視される。表1におけるVo=1.5m/sの場合、例えば、標準の2インチ直径ワイヤーロープは毎メートルの重量が11.02kg(7.39lb/ ft)(インガソールランドのウェブサイト(Ingersollrand website),7/28/2000で2014年12月に検索されるMcClamrock M, “Wire rope chart - 6x37 & 6x19, IWRC, EIPS rope”を参照)であるため、2インチ直径且つ240m長さの4本のワイヤーロープは、安全係数3.5で51トンの積載能力をそれぞれ有し、重さが約10.6トンである。この重量は、ロープの最大張力219トンに比べて小さい。これにより、テザーTSの垂直偏向は小さくなる。
【0111】
主テザーTMについて、数キロメートルを有することができるため、テザーの投影正面面積の重量及び効果が顕著になることができる。特別な配置及び設計は、その影響を減らすことができる。
【0112】
主テザーTMとして配置される単一のロープ上の流動抵抗は、以下のように表す:
【数14】
その中、C
Dcはテザーの抗力係数であり、A
cfはロープの投影正面面積であり、l
cはロープの長さであり、d
cはテザーの直径である。テザーロープ上の抗力D
cの重要性はこれをタービン上の抗力D
tとの比較によって評価することができる。
【数15】
その中、C
Dtはタービンの抗力係数(又は推力係数と称され)、例えば、
【数16】
単一のロープは海流方向に対して傾斜角で配向される長細状円柱とみなすことができる。これにより、その断面輪郭は、流れに対して楕円として表示される。また、それは非常に長くて、2次元物体とすることができる。乱流における楕円輪郭を有する2次元物体の抗力係数C
Dcは0.1~0.2である(Shames IH, Mechanics of Fluids, 2nd edition, Chapter 10 Boundary-Layer Theory, New York: McGraw Hill, 1982.を参照)。本開示の例示的な実施例によれば、主要な展開角度γ
bの範囲は40
o~74
oであり、タービン推力係数C
Dt=0.89の場合、l
c=1000m及びd
c=2インチ=0.0508mのワイヤーロープを有するとさらに仮定して、式(20)からの抗力比率は、
【数17】
複数のロープの場合、その比率は、正面面積及び抗力係数を最小にするように、ロープを水平配列に整列させ、且つロープを流線形カバーで覆うことによってほぼ維持することができる。本開示の例示的な実施例によれば、
図13に示すように、1.6m/sの定格流量で単一のタービンシステムをつなぐための6本の2インチのワイヤーロープ上の流線形カバーは、アスペクト比が約1:10(厚さと弦長さ)であり、0.1まで下がる抗力係数を提供することができる(Shames IH, Mechanics of Fluids, 2nd edition, Chapter 10 Boundary-Layer Theory, New York: McGraw Hill, 1982.を参照)。例示的なツインタービンシステムについて、約1:4のアスペクト比を達成するように、12本の需要なロープを覆うことができ、0.06まで下がる抗力係数を有することができる。この配置は正面面積がほぼ倍増するが、式(20)の分母での総タービン掃引面積A
tも倍増する。これにより、抗力の比率は、
【数18】
【数19】
そのため、分析モデルでは、主テザーTM上の流動抵抗は無視されることができる。
【0113】
1.6 m/sの流れで例示的なツインタービンシステムをつなぐため、12本の2インチのワイヤーロープが必要である。長さが10km(10000メートル)である場合、ロープ重量データ(インガソールランドのウェブサイト,7/28/2000で2014年12月に検索されるMcClamrock M, “Wire rope chart - 6x37 & 6x19, IWRC, EIPS rope”を参照)に基づいて、主テザーTMの重量は合計約1322.4トンである。ブイは、システムを引きずられないように、テザーを浮遊状態又は中性浮力に近い状態に維持する必要である。
【0114】
ブイシステムは、総正面面積ができるだけ小さくなり、十分な浮力を提供するように設計される。楕円体は非常に小さい抗力係数を提供し、飛行船及び潜水艦に使用される同様の形状が示される。1:4(短軸と長軸)のアスペクト比を有する楕円は、乱流で0.06まで下がる抗力係数C
Dbを有する(Shames IH, Mechanics of Fluids, 2nd edition, Chapter 10 Boundary-Layer Theory, New York: McGraw Hill, 1982を参照)。浸された楕円ブイの浮力は、
【数20】
その中、R
aは楕円の半短軸であり、R
cは楕円の半長軸である。楕円上の抗力は、
【数21】
その中、R
a
2は投影正面面積である。総浮力量B
b totが必要であると仮定して、ブイの必要な数は、
【数22】
よって、ブイからの総抗力は、
【数23】
そのため、固定の総浮力量について、各個のより大きいサイズのブイ又はより少ない数のブイはより少ない総抗力を得る。これは浮力が線形次元の立方体に比例し、抗力がそれの平方に比例するためである。従って、楕円形の大容積のブイを使用すべきである。
【0115】
本開示の例示的な実施例によれば、20つのブイは10kmの長さの主テザーTMに使用されると仮定し、各ブイは、約64.5m
3の海水に相当する、500m又は66.1トンを負荷する必要がある。ブイは、1:4のアスペクト比を有する楕円であり、0.9の浮力効率を有すると仮定し、ブイの体積とサイズは以下から求められることができ、
【数24】
その中、R
a=1.63(m)、R
c=4Ra=6.52(m)
ブイ上の抗力の影響は、式(18)及び式(25)により、ブイなしのテザー上の抗力との比較により評価することができ、
【数25】
その中、D
csは主テザーTMの500m部分の抗力のであり、l
cs=500m。上記に説明されるように、2つの抗力係数C
DbとC
Dcはいずれも0.06であり、展開角度γ
bは40
o~74
oの間で変化する。これらの数値を挿入すると、抗力の比率は、
【数26】
式(23)と式(30)を組み合わせて、タービン上の抗力に比べて、ブイを有するテザー上の結合の流動抵抗は、
【数27】
そのため、分析モデルでは、ブイを有する主テザーTM上の流動抵抗は無視されることができ、
図2示すように、テザーがx-y平面で直線を示す。
【0116】
上記に説明されるブイシステム設計では、流動抵抗を減少させるため、テザーに沿って分布される限定数の大型ブイは使用される。基本的には、間隔を置いたフローティングブイ上のテザーの長い部分は、長い且つ可変的なスパンに掛ける。2つの支持ブイの間のテザー部分は、下方に偏向して曲線を形成する。そのため、これらの曲線は、発電タービンGTU及び水中帆HSのシステムの実際位置に影響する主テザーTMの全長に及ぼす影響を確認する必要がある。
【0117】
カテナリー理論は、2つの支持体の間に懸架されるケーブルの形状と、ケーブルの長さとそのスパンとの間の関係とを以下のように与える(Stahl AW, Transmission of Power by Wire Ropes, 2nd ed., New York: D. Van Nostrand Company, 1889を参照):
【数28】
その中、wは単位長さあたりのケーブル重量であり、T
cはケーブルの最低位置の張力であり、その位置は(x、y)の原点であり、1は原点から位置xまでの曲線の長さである。2つのブイの間に懸架されるテザー部分の長さはl
csであり、スパンはs
cであると仮定して、それらの関係は以下のように表すことができる。
【数29】
T
bは、水平面上の主テザーTMの張力であり、式(16)により算出される。w
ciは海水にされた主テザーTMの単位長さあたりの正味重量(net weight)であり、それは空気中の単位長さあたりのテザー重量との以下の関係を有し、
【数30】
先に説明した12本の2インチのロープ及びl
cs=500mの例示的なツインタービンシステムから続けて、空気中の単位長さあたりの主テザーTMの重量は
w
c =11.02kgw/m x12=132.24kgw/mである。
上記の情報及び表1からの張力データにより、いくつかの典型的な場合における隣接するブイの間のスパンは、式(34)により算出され、表2に示される。システムが定格流量の1.5m/sの流れで最も外側の位置に延出される場合、テザーはほぼ直線状であることが分かる。システムが内側位置に移動し、より低い水流速度にある場合にのみ、張力の減少によりスパンが減少し始める。しかし、0.5m/sの遅い流れの場合でも、有効テザー長さの全体的な損失は、最も外側の位置で10kmのうち324mだけである。最も内側の位置でのみ、有効テザー長さの全体的な損失は、最も外側の位置で、10km外で、わずか324mである。最内位置のみにおいて、有効テザー長さの損失は10%に達する。しかし、システムはほぼ下流に分布されるので、この損失はあまり重要ではない。
【表2】
【0118】
これによって、システムの目標動作範囲では、カテナリーによるテザー偏向の影響は、システムの水平変位能力に非常に小さい。
【0119】
電力ケーブルの係留
【0120】
発電タービンGTUからの動力伝達ケーブルを海岸に接続する2つの方法がある。1つの方法は、テザーに取り付けることにより、発電タービンGTUからのケーブルを主テザーTMに沿ってアンカーポイントANの位置に配置し、そしてアンカーポイントANから海底の海岸に接続する。この方法の利点は、主テザーTMに取り付けられる電力ケーブルの部分だけは付加的なブイが必要であり、これらの付加的なブイは主テザーTMのブイシステムと一体化することができる。しかし、深海に配置される電力ケーブルは、非常に高い建設費がかかる。
【0121】
もう一つの方法は、
図1に示すように、ケーブルをそれぞれに配置し、ケーブルを懸架するために別個のブイシステムを使用することである。適切な設計及び材料選択により、この方法は費用が大幅に安くなることができる。
【0122】
2つの隣接するブイの間に懸架される電力ケーブルの部分はその重量のために下方へ偏向する。また、それも流動抵抗による水流の下流方向へ偏向する。そのため、電力ケーブルの実際スパンはケーブルの長さよりも短い。近似として、これは、カテナリー方程式を2つの方向にそれぞれに適用することによって分析することができる。
【0123】
2つのブイの間に懸架されるケーブル部分の長さがl
pcsであり、スパンはs
pcであると仮定して、それらの関係は式(34)のように表すことができる:
【数31】
その中、w
pciは海水中の単位長さあたりのケーブル重量であり、T
wは重量によって生じる張力である。電力ケーブルはその重量によりその形状を形成し、そして流動抵抗はケーブルの全体長さにわたって水平流動抵抗を平均することにより、水平方向の最終的な曲線を形成すると仮定し、その水平流動抵抗は、上記の式におけるケーブル比重のパラメータとし、w
dで表す。そのため、電力ケーブルの最終総スパンS
pctと流動抵抗を応用する前のスパンn
spcとの間の関係は
【数32】
その中、T
dは水平流動抵抗により生じる張力であり、nは電力ケーブル部分の数である。また、w
dは以下のように表す:
【数33】
その中、D
pcsは単一のケーブル部分上の流動抵抗であり、D
pcbは単一のブイ上の流動抵抗であり、d
pcは電力ケーブルの直径であり、C
Dpcはケーブルの抗力係数であり、C
Dpcbはブイの抗力係数であり、R
b
2はブイの正面面積であり、V
cは流速である。そのため、ケーブル上の総張力は、(T
w+T
d)であり、海底電力ケーブルの表層上に通常に配置される鋼外装ワイヤー(steel armor wires)によって採用される。これにより、係留システムの設計は、鋼外装ワイヤーの耐久限界内でパ電力ケーブルの総張力を維持し、水中帆HSの揚力に比べて張力が十分に小さいように維持するため、式(36)及び式(37)により電力ケーブルの総長さ、所望の総スパン、隣接するブイの間のケーブル部分の長さ及びブイの間のスパンを選択することにより、電力ケーブルの張力は水中帆HSの機能に過度に影響されない。
【0124】
本開示の例示的な実施例によれば、例示的なツインタービンシステムについて以下に説明する。
【0125】
表1に基づいて、1.5m/sの流れで動作するツインタービンシステムは、2MWよりもわずかに上回る発電容量を有する。総送電容量が3MWに設定され、発電機が3相デルタ接続(3-phase delta connection)を使用する場合、2MWの容量を有する各芯線の3芯ケーブルは要求を満たすことができる。洋上風車接続用の200Aの電流を流すことができる典型的な20kV 3芯海底ケーブルが使用されることができる。例えば、空気中の総重量が19.4kg/mであり、91mmの外径を有するSAX-W35のような1つのケーブルは、海水中の推定正味重量wpciは12.7kg/mである。ケーブル表面層の周りに直径5mmの鋼外装ワイヤーを有する銅コアを使用するケーブルは、約15トンの耐張力限界が推定される。表1に基づいて、設計目標は、電力ケーブルの総張力(Tw+Td)は、この耐張力限界以下に維持され、システム動作中の水中帆HSの揚力に比べて十分に小さくなり、1.2-1.6m/sの流速範囲で25~250トンである。
【0126】
ケーブルの低張力に維持するように、ケーブル上の流動抵抗を低く維持する必要がある。目標を達成するために、流速V
c及び抗力係数C
Dpcの両方を減少させる必要がある。ケーブルを低い水流速度の深さに配置することが好ましい。例えば、台湾南部の黒潮では、200mの水深での平均海流速度が0.2-0.0m/sまで下がる。電力ケーブルに流線形カバーを付加することにより、抗力係数をさらに減少させることができる。例えば、遅い層流(slow laminar flow)において、2次元円形輪郭の抗力係数が1.2までに達することができる(Shames IH, Mechanics of Fluids, 2nd edition, Chapter 10 Boundary-Layer Theory, New York: McGraw Hill, 1982を参照)。0.1 m/sの流速では、4:1以上のアスペクト比と、1メートル以上の弦長さとを有する流線形カバーにより覆われる電力ケーブルは乱流状態での流れを維持することができ、抗力係数C
Dpcを0.1まで下げる。1メートルの弦長さは91mm直径の単一の過大なケーブルが現れる。しかし、
図13に示す状況と同様に、複数のユニットのツインタービンシステムが形成される場合、複数の電力ケーブルはアレイに配置され、1メートル以上の幅のカバーはちょうど適切なものである。
【0127】
上記の説明により、設計の例が作成される。ケーブル部分の長さlpcs=250mが選択される。1:4アスペクト比及び0.9浮力効率を仮定して、対応のブイはケーブルを中性浮力に近い状態に維持し、Rb=0.59mの半短軸を有する。システムが2つの極端位置に位置される場合、隣接するブイの間のスパンspcは、ケーブル重量のみによって影響され、175mから225mまで変化すると仮定する。システムが2つの極端位置に位置される場合、流動抵抗の効果を付与した後、総水平スパンは20000m及び25000mに設定される。これにより、ケーブルは海岸から少なくとも20kmを延長し、5kmの水平変位の範囲を有することができる。そのため、ブイ(又はケーブル部分)の総数はn=125であり、ケーブル総長さは31250mである。
【0128】
表3には、2つの極端位置に対応するケーブルの算出される流動抵抗及び張力を示す。表1に示すように、ブイを備える電力ケーブル全体上の総流動抵抗は、数トンの下で維持することができ、主テザーの張力のごく一部だけは動作条件にある。同様に、電力ケーブルの総張力も数トンに限定され、水中帆HSの動作揚力に比べてはるかに小さい。
【0129】
電力ケーブルが発電タービンGTU及び水中帆HSシステムに膨大な力を及ぼす場合、この力に対抗するため、水中帆HSのサイズを増加させ、又は追加の昇降(引張)機構、例えば、帆形のブイ又はブイに取り付けられた小型の水中帆HSを追加する。
【0130】
電力ケーブルは、所望の深さに沈み込まれて浮遊される必要がある。これは、水中浮遊構造(sub-merged buoyant structure)(Gerwick BC, Construction of Marine and Offshore Structures, 3rd ed., pp. 740, CRC Press, 2007を参照)と称される応用により行われることができ、異なるサイズのブイの使用又はケーブルに沿って様々な間隔でケーブルを配置することにより実施することで、任意の2つの隣接するブイの間の電力ケーブル部分がカテナリによる下方への偏向を有し、且つケーブル及びブイシステム全体も複数部分のカテナリー曲線を有することができる。そのため、ケーブルに沿う任意のブイが上方に移動する場合、それらのブイはより多くのケーブルの長さを取り上げて、増加のケーブル重量はそれらのブイを引き下げる。任意のブイが下方に移動する場合、これらのブイが運ぶケーブル重量は少なくなるため、深さが復帰する。水中帆HSの操縦により、システム全体の深さ及び曲率はケーブル全体の張力の大小及び方向を変更することによって設定されることができる。
【表3】
a:乱流中の2次元円形輪郭
b:乱流中の4:1以上のアスペクト比を有する2次元楕円輪郭
【0131】
大規模フォーメーション
【0132】
本開示の例示的な実施例によれば、複数の発電タービンGTU(発電タービンユニット)は共に係留されることにより、線形アレイになることができる。
図14に示すように、発電タービンGTUは、テザーに沿って連続的に分布されるジョイント(TJ
a1、TJ
a2…)上のアレイテザーTAに取り付けられ、基本的に同一水深で水平に係留される。主テザーTM上のタービンTGからジョイントTJまでの距離は、ロータが40
o-70
o範囲の展開角度で主テザーTMから離れるように設定される。隣接する2つの発電タービンGTU間の距離は、ウィンドファームレイアウトで使用される4~8つのロータ直径間隔規則に基づいてほぼ設定される。主テザーTMは、アンカーポイントANまである角度で下方に延出される。ジョイントTJでの昇降ブイLBは、下向きの引張り力をバランスする。また、1組の水中帆(HS
a1、HS
a2…)はジョイントに取り付けられ、各帆は発電タービンGTUに対応する。これにより、線形アレイシステムは、GTU及び水中帆セットの連続ステージを含む。機械学(力平衡)に基づいて、それぞれのシステムとして各ステージから推定されるアレイテザーの張力を合計して、テザーの各部分の総張力を得ることができることを示す。また、各ステージからの下流方向の力成分は、線形アレイに沿って上流方向に向かって蓄積される。流れ方向に垂直する方向、即ち、水中帆HSの揚力方向についても同様である。そのため、流れ及び幾何学的条件が各ステージで同一である場合、アレイ全体に沿って同じアレイ展開角度γ
b,aが維持されることができる。x-y平面上の単純な2つステージの例を使用する力分析を
図15に示し、上記の観点を説明する。
【0133】
海流の高速コアを追跡するように、線形アレイシステクがその横方向位置を変更する、即ち、主テザーTMの展開角度γ
b,mを変更する場合、主テザーTAの展開角度γ
b,aが変更しないことが好ましい。さもなければ、海流に面する線形アレイの正面の幅が変化し、エネルギー捕捉効率に影響を及ぼし、複数の線形アレイの形成をより複雑にする可能性がある。そうでなければ、海流に面する線形アレイの正面幅が変化し、エネルギー捕捉効率に影響を及ぼし、複数の線形アレイの形成をより複雑にする可能性がある。これは、主要な海流の全幅は最大100kmが可能であるが、その最大速度コア又はそれの主要な支流の幅はわずか数千メートルのように狭くすることで、長い線形アレイが小さなアレイ角度で展開する場合、その正面幅は過大になって、高速コアが完全に覆うことができない。
図16は黒潮における速く幅狭い海流の例示的なシナリオを示し、
図17はフロリダ海流における他の例を示す。特筆すべきことは、海流の力学的パワーはその流速の3乗に比例するため、5%の流速低下はほぼ15%の電力損失をもたらすことがある。この考慮により、
図16及び
図17の2つのシナリオにおける「高速コアFCR」は2~5kmを超えないようにする。これにより、すべての発電機を高速コアに維持することが重要である。解決方法は、水中帆HSを2つのグループに分ける。水中帆(HS
a1、HS
a2…)のステージグループは、対応するステージにそれぞれ取り付けられる水中帆を備え、その機能は、アレイ角度γ
b,aの維持により線形アレイの所望の正面幅を維持することである。主要な水中帆のグループ(HS
m1、HS
m2…)のグループは、先行部分LS、即ち、ジョイントTJ
m1前の部分のすべてのステージの前に設置される。これらの帆は、主テザーTMの展開角度、即ち、線形アレイ全体の展開角度γ
b,mを調整するために使用される。
【0134】
2つのグループ配置の水中帆HSの機能は、
図18を用いてさらに説明することができる。LA1が8つステージの線形アレイを示し、ステージの帆が70
oの展開角度でアレイテザーTAを維持すると仮定して、主テザーTMの展開角度は、先行部分LSでの主帆が最大限可能な力でシステムを引っ張ることによって40°の角度に維持されることができる。アレイセールの状況及びその上の状況が変化しなければ、これらの主帆による引張り力を低減することにより、アレイテザーの展開角度を変更することなく、線形アレイ全体はLA1とLA7との間の任意位置に移動されることができる。このため、係留配置では、テザー上の任意の力は、テザーの下流の幾何学的レイアウトではなく、テザーの上流の幾何学的レイアウトのみに影響することができる。
【0135】
この2つのグループの配置は、帆全体面積を増加させない。表1からの数値は、大きなアレイ展開角度γ
b,aの維持が水中帆HSからの最大引張り力の一部のみを必要とすることを示す。それにより、多くのフル帆能力(full sail capacities)は、個々のステージから離れて移動され、先行部分に設置されるため、この配置を実現することができる。
図14の例示的な設計に示すように、線形アレイは、8つステージを含む。表1からの数値に基づいて、各ステージは、2つの直径40mの例示的なタービンと、約70
oのアレイ展開角度γ
b,aを維持可能な、面積約70mx10mの1つの帆を有する。先行部分では、12つの大型主帆が使用される。全体では、分析モデルに基づいて、タービンあたりの平均帆面積は約1400m
2であり、線形アレイ全体を移動することにより、主要な展開角度γ
b,mを40
oまで下げることができる。
【0136】
2つのグループの配置により、ほぼ固定のアレイ展開角度を有すると共に、可変の主要な展開角度を有する2次元フォーメーションは、複数の線形アレイを並行に配置し、それらを密接に離間した固着位置に係留することによって形成されることができる。
図18は、3つの8つステージ線形アレイを備える2次元フォーメーションを示し、その2次元フォーメーションは、1.2~1.5 m/sの流速と仮定して、総発電容量26.4~52.8MWを有する48つのタービンを備える。各アレイテザーの展開角度はγ
b,a=70
oに設定され、各線形アレイの正面幅は1000mよりわずかに小さい。隣接する線形アレイの間の間隔は、ウィンドファームで使用される4~8つのロータ直径規則に基づいてほぼ選択される。(K▲u▼hn M, “Offshore Windfarms”, Chap. 16 in Wind power plants: Fundamentals, Design, Construction and Operation、Gasch, R.とTwele, J. 編、Berlin: Springer-Verlag、2012を参照)。そのため、2次元フォーメーションは約1×3kmの面積を占め、正面幅が約1500mを有する。すべての線形アレイの主要な展開角度γ
b,mが40
o~70
o内に維持される場合、長さ約4.5kmの主テザーTMの使用により、2次元フォーメーションは約1.5kmの横変位の範囲を有する。主テザーTMの周りに水中帆HSを回転することができる場合、アンカー領域のいずれかの側上の横変位の範囲は約3.5kmである。隣接するアンカーポイントの間の間隔は約75メートルである。
図19は、
図18の2次元フォーメーションの先行部分の周りの概略図を示す。また、係留システムを有する電力ケーブルの一部を示す。
【0137】
大規模展開は、2次元フォーメーションにおける各線形アレイの長さ及び容量を増加させ、システムレイアウト全体及び展開角度を維持することにより形成される。
図20に示すように、複数の2次元フォーメーションは、システムの総正面幅を増加させるように並行に配置されることもできる。
図20は3つの2次元フォーメーション(FM1~FM3)の例示的なレイアウトを示し、その中の各は
図18に示す設計であり、並行に配置され、水平位置は10と12との間で調整可能である。
【0138】
水中帆の重心調整のための機構
【0139】
水中帆HSが垂直位置の近くに配向される場合、頂端付近のブイ及びバラスト(又はフレーム構造の重量)は帆を安定に維持することができる。水中帆HSがローリング操縦(rolling maneuver)を実行するため、
図12に示すように、帆の重心は帆の位置及び配向に基づいて変更される必要がある。
図21は、帆体の内側に設置される、ウィンチWINと、滑車PULと、一側にバラストウエイトMBAが取り付けられるエンドレスロープERPと、他の側に位置される1組のブイMSBとを備える調整可能なバラスト機構を示す。これにより、ウィンチWINは、バラスト及びブイをロープに沿って反対方向に移動し、相対的な位置を変更することにより、帆体の重心を変更することができる。この機構は、ブイMSBだけを有するバラストしか使用しないこともできる。
図22に示すように、帆体HSB(CMA1~CMA2)における2つの機構及び機体FSL(CMA3)における1つの機構の3つの機構は、ローリング及びピッチングのために水中帆HSの重心を効果的に調整することができる。
【0140】
海流の速度変動に関しては、
図23は、昇降ブイLBの例示的な実施例を示す。海流速度が遅くなる場合、
図14を参照する線形アレイの先行部分LSの昇降ブイLBの浮力を減少させる必要がある。これはいくつかの工学的な方法によって行うことができる。例えば、
図23(a)では、浮力を調整するため、空気ポンプAPMP及び空気抜き弁AVAを有する機構がブイに使用されることにより、ブイに海面からの空気を入れ又はブイから空気を抜くことができる。水位5001によって示されるように、ブイがより多くの水を含む場合、浮力が小さい。そうでなければ、水位5002によって示されるように、ブイの浮力が大きい。
図23(b)に示すように、ブイは、浮力を減少させるためにその一部が海面上に浮くことができるように、スパー形状であってもよい。ブイLBは低浮力位置にあることを示す。LBaは高浮力位置を示す。ウィンチWINは、マルチラインジョイントTJ
m3の深さを制御するように使用される。また、
図23(c)を参照し、ブイは、ウインチを備えるラインによってマルチラインジョイントTJ
m3にそれぞれ接続される小型ブイ(LB1-LB3)の集合体であってもよい。選択される延長ラインによって、いくつかの小型ブイ(例えば、LB2及びLB3)を海面に放出することにより、総浮力を低減する。LB2a及びLB3aは、2つのブイLB2及びLB3の高浮力位置を示す。
【0141】
基本アンカー方法1:斜面上の死荷重(Deadweight-on-slope)
【0142】
本開示の例示的な実施例によれば、2つのアンカー方法が表示される。第1方法の基本的概念は、死荷重アンカー(deadweight anchors)を展開するように、水流方向に面する海底地形の斜面を見つけて、斜面上の重力及びアンカーラインの張力による摩擦を使用することにより、アンカー耐力(anchor capacity)を増加させる。
図24(b)はこの概念を示す。
【0143】
図24(a)に示すように、死荷重アンカーが水平海底に設置される場合、アンカーラインの張力の水平成分はアンカーによる静摩擦を超えることができない、即ち、
【数34】
その中、システムに作用する主要な力はテザーの張力T
alであり、Wは重力であり、θ
alはアンカーラインの角度であり、fはアンカーと海底との間の摩擦係数であり、(W-T
alsinθ
al)は海底への通常の力である。上記の関係は、海水中の死荷重の正味重量に対する最大水平力の割合は
【数35】
これは、水平海底上の死荷重アンカーの有効な水平耐力(及び有効な摩擦係数)である。
図24(b)に示すように、斜面上の死荷重アンカーの場合、アンカーがちょうど斜面上に移動するように引っ張れる状況において、最大耐力はアンカーラインの張力を推定することによって算出される。斜面表面に垂直する力による摩擦は、
【数36】
その中、θ
slopeは斜面の角度であり、θ
alはアンカーラインの角度である。注意すべきことは、T
al sin(θ
slope -θ
al)という項(term)は、斜面表面の法線方向に作用するアンカーラインにおける張力からの力成分である。(θ
slope-θ
al)>0の場合、この項は摩擦引張力(friction pull)を向上させる。(θ
slope-θ
al)<0の場合、この項は摩擦引張力を減少させる。引張り力に抵抗する他の力成分は、斜面を指す死荷重成分からの直接重力であり、
【数37】
アンカーラインが死荷重アンカーを斜面上方に引っ張る傾向がある場合、アンカーラインの張力は、斜面表面に沿った成分が斜面表面に沿ったアンカー上の総下向きの引張り力Fnf+Fsに等しい程度に達する、即ち、
【数38】
式(41)~式(43)を結合し、再配列により斜面上の死荷重アンカーの有効な水平耐力を表す:
【数39】
θ
slope = θ
alの特別な場合では、式(44)は、以下のようになる:
【数40】
式(40)、(44)及び(45)から算出されることにより、
図25は、水平面上の死荷重の場合と比較して、接触摩擦係数fの異なる値により異なる角度の斜面上の斜面上の死荷重アンカーの有効なアンカー効率を示す。斜面上の死荷重アンカーは水平面上の死荷重よりもはるかに高い効率を有する。アンカーラインの角度が小さく、傾斜角が10~30度である場合、水平面が0.5~0.7未満に対して、耐力は0.8~1.8を超えることができる。
【0144】
基本アンカー方法2:抗力停止アンカー(Drag-stop anchoring)
【0145】
第2方法は抗力停止アンカーと称される。この方法は硬い岩盤に適用される。岩石の地形には、水流方向に面する急斜面又はほぼ垂直なライザーエッジ(riser edge)を有する階段状構造又は浅い突出部を見つけて、止め具(stop)とする階段構造又は移動制限器を使用するように、ライザーエッジに対して死荷重アンカーを設置する。止め具に対してアンカー及びアンカーラインを設定することにより、アンカー耐力は接触摩擦係数に限定されず、階段構造の強度及びアンカーのサイズに決定される。
図26は基本の概念を示す。アンカーの水平耐力は2つの条件によって限定される。アンカーラインの張力の大小及び角度が過大になる場合、アンカーはA点の周りに時計回りに回転することによって跳ね上げて浮かれて、前端が階段をスキップし、或いは(B点の周りに回転)階段から上方に直接に引っ張ることができる。この2つの条件による力平衡は以下の2つの式のようになる:
【数41】
その中、L
aはアンカーブロックの長さであり、H
aはアンカーブロックの高さであり、式(46)と式(47)は、水平アンカー効率を限定する以下の2つの関係につながる:
【数42】
海底が平坦である、即ち、θ
slope=0の場合、2つの関係は以下のようになる:
【数43】
これは、高い水平耐力を有するため、θ
alは小さく、L
a/H
aは大きくすべきであることを示す。
【0146】
図27は、式(48)と式(49)に基づいて異なる条件での異なるアンカーライン角度の抗力停止アンカーの有効な水平耐力を示す。アンカーラインの角度が30度未満のすべての場合、水平面上の従来死荷重アンカーは大幅に改善される。より高いL
a/H
a値はより高い耐力を得る。より高い傾斜角は、より広い高耐力範囲をもたらす。抗力停止アンカーが斜面に設置される場合、少なくとも25~30度のアンカーライン角度で高耐力を得ることができる。
【0147】
抗力停止式アンカーの総耐力は、アンカーブロックの重量及び摩擦効果をさらに含むことができる。即ち、
図25からの対応する耐力を
図27の耐力に加算することができる。これにより、低いアンカーライン角度では、
図25に示す仕様で、4~6の有効アンカー耐力を達成し、水平面上に従来死荷重アンカーに比べて約10倍改善することができる。
【0148】
アンカーラインの張力は、流速、タービン負荷、及び主テザーの展開角度γ
bの変化に応じて変化する。アンカーラインの張力が減少する場合、死荷重アンカーが斜面から滑り落ちて、システムを深くまで引き込むことを防止が必要である。これはいくつかの方法で処理することができる。先ずに、アンカーが下方に滑る傾向がある場合、アンカーと斜面との間の静摩擦はその方向を逆転させ、ほとんどの場合、下方への滑りを防止することができる。以下の条件は、アンカーが実際に滑り落ちることを防止する
【数44】
式(41)及び(42)を挿入すると、
【数45】
これは、アンカーが下方に滑り落ちることを防止するため、アンカーライン上の最小水平張力であり、正味の死荷重の一部として表される。
図25に示すように、
図25の条件及び設計パラメータを使用する計算では、θ
slopeが30
oより大きく、fが0.5より小さい場合のみ、必要な最小張力が正数になることを示す。
【0149】
図25に示すように、静摩擦のみで下向きの滑りの防止が不十分である場合、必要な最小張力が小さいので、逆方向の従来死荷重アンカーを追加することによって、他の上向き力を生成することができる。他の確実な方法は、自然な止め具を使用することである。例えば、死荷重の操作位置より下から遠くないところで勾配が平坦になる場合、地形は自然な「止め具」となり、アンカーはそこに「止まる(parked)」ことができる。
【0150】
アンカーの構成、実施及び展開
【0151】
本開示の例示的な実施例によれば、40mの例示的な発電タービンGTUと、ゲッティンゲン624エーロフォイル輪郭を使用し、平面面積1400m2を有する水中帆システムHSとを分析に使用する。例示的な発電タービンユニットGTUは2つタービンと上記の平面面積の2倍の大きさを有する1組の水中帆HSを備えると仮定して、先行技術文献「2016年4月にこの雑誌に提出されるTsao CC, “Marine Current Power with Cross-stream Active Mooring: Part II”」の表1に基づいて、1.5-1.6m/sの水流での主テザーTM上の最大対応張力は約600トンである。
【0152】
主テザーTMの長さが5~10kmであり、アンカーポイントANの深さが200~500mであると仮定して、対応のアンカーライン角度θ
alは約1
o~6
oである。
図25に基づいて、最適な条件で斜面上の死荷重方法を適用し、0.8~2のアンカー耐力を得ることができる。600トンのアンカー力を得るため、750~300トンの死荷重に相当する。
図25及び
図27に基づいて、抗力停止アンカーが使用される場合、4~6の総アンカー耐力を得ることができ、例示的な発電タービンGTUについて、150~100トンのアンカーブロックの重量が十分である。可能であれば、抗力停止アンカーの方法が好ましい。
【0153】
実際の実施では、最も理想的な状況は、好ましい場所の基盤に好適な自然の階段構造が見出されることである。抗力停止アンカーは使用されて、潜水工業最小限に限定されることができる。その位置を探索するため、高分解能のサイドスキャンソナーを適用することができる。高解像度サイドスキャンソナー(High resolution side scan sonar)は適用されることができる。アンカーブロックは予め製作されたケーソンの形態であってもよい。それらは曳船(tug)によって水上に浮かぶ場所に引かれ、そして浸されて海底の位置に降下する。
【0154】
変更されない岩盤表面の自然な階段構造は不規則な形状を有する可能性が非常に高い。これにより、最大接触面積を有するため、形状に適合するアンカーブロックを作製することが好ましい。本開示の例示的な実施例によれば、1つの方法は、アンカーブロックの前端を崩壊可能にすることであり、例えば、
図28(a)に示すように、コンクリートの1つの設計例は空隙(voids)を有する組込型構造であり、或いは
図28(b)に示すように、局所的な高圧縮は、局所的な材料を離脱して、前端の全体的な形状変化をさせることができる。もう一つの設計は、
図28(c)に示すように、前端方向への圧縮強度を徐々に低下させるように、徐々に変化するコンクリート組成物を有するアンカーブロックを鋳造することであり、空隙構造と同様の機能を提供することができる。
【0155】
自然な岩盤表面上に理想的な階段構造が見出されない場合、切断又は制御爆破により自然な岩盤表面を変更するように行うことができる。例えば、海底研削超高圧水流切断技術(ubsea abrasive water jet cutting technology)は現在、深さ3000mで動作し、厚さ250 mmまでの鋼(2016年1月に検索されるMaslin E, “Subsea waterjet cutting goes ultra-deep and ultra-high pressure”, OE:2013/October (Digital Edition)を参照)、或いは厚さ1200mmまでの高強度コンクリート(2016年2月に検索され、匿名、“UHP Abrasive Water Jet Cutting”, in company website of the DECO nv of Brugge, Belgiumを参照)を切断することができる。
図29(a)に示すように、岩表面の隆起部上に異なる方向の複数のスリットを切断することにより、ノッチは形成されて、階段構造として使用されることができる。平坦な表面では、同様の切断手順で溝を形成することができる。
図29(b)に示すように、アンカーブロックは、底部で溝に合わせて、凹形抗力停止構成(recessed Drag-stop configuration)となる突出部を含むように形成されることができる。
【0156】
本開示の例示的な実施例によれば、
図30に示すように、システムの主要な展開角度γ
bの変動に適応するように、2組のアンカーの2組の階段構造を相対角度で配向させることができ、主テザーTMを共同で保持支持ことができる。
【0157】
岩盤上の段階構造の切断は、依然として海底操作に関する。しかし、杭打ち又は穿孔では、多数の穴を形成するようにより多くの材料を除去する必要があるが、
図29(a)に示すスリットの材料のみを除去する必要があるため、作業コストは穿孔又は杭打ちよりもはるかに低いと予想される。
【0158】
また、斜面上の死荷重アンカーの適用は基本的に困難な海底操作が必要としない。しかし、アンカー効率が低いため、より多くのアンカー質量が必要であり、より多くのアンカー質量は、抗力停止アンカーの使用と比べて、海上船舶による輸送及び操作がより多くなることを表す。
【0159】
アンカーの通常の材料は、鋼及びコンクリートを含む。コンクリートは、2,400 kg/m3の密度(2016年2月に検索され、匿名、”Concrete in Practice: what, why and how?” CIP 31, pub. by National Ready Mixed Concrete Association, 2000を参照)に基づいて、水中で1400kgw/m3の正味重量を有する。小売価格(量産可能(ready to pour))は立方ヤード当たり(0.765m3)約75~150ドルであり、水中のトン当たりの正味重量の費用が70~140ドルに相当する。また、鋼は、水中のトン当たりの正味重量の費用が約470~820に相当する。コンクリートの使用は明らかにより経済的である。
【0160】
コンクリートの圧縮強度は、25Mpaを超えることがある(2016年2月に検索され、匿名、”Concrete in Practice: what, why and how?” CIP 31, pub. by National Ready Mixed Concrete Association, 2000を参照)。25Mpaの圧縮強度では、わずか0.25 m2の見掛け接触面積は、1つの発電タービンGTUにより生じる600トンの最大アンカー引張り力に耐えることが十分である。抗力停止アンカーの設置で数平方メートルの接触領域は数十台の発電タービンGTUの線形アレイを固定することができる。
【0161】
重量150トンの、1つの例示的な発電タービンGTUが固定可能なアンカーブロックは、ケーソンとして浮遊させるため、150m3以上の見掛け体積を有すべきであり、例えば、長さ12m×幅6.25m×高さ2mのサイズであり、La/Ha=6を与える。
【0162】
図31の例示的な設計に示すように、アンカーブロックを緩く連動且つ積み上げ可能な形状とすることにより、全アンカー重量は、集中し且つ安定する方式で増加することができる。例えば、8つのアンカーブロックは、(1.2~1.5m/sの流れで)8.8~17.6MWの総発電容量を有する8つの例示的な発電タービンGTUの1つの線形アレイを少なくとも固定することができる。ブロックの占有面積は、30m×20m未満である。抗力停止アンカーの設置では、8つステージのアレイの階段構造における必要な接触面積は2m
2に過ぎない。これにより、1つ又は2つの小さな溝のみの切断が必要である。また、1つ又は2つの先行ブロックのみが溝に係合する必要があり、他のブロックは「付加的な(add-on)」ブロックであってもよい。
【0163】
システム故障モードの設計
【0164】
より好ましくは、海流速度が突然に増加し、或いは流れの方向が非主要方向(non-dominant directions)へ変化する場合、システムの損傷又は損失を防止するため、タービンブレードは、突進抗力(thrust drag)を減少させるために、それらをフェザリング位置(feather positions)に置くことができるように、ピッチ制御能力を有すべきである。
【0165】
可能な係留故障は、テザーの破損、或いは抗力停止アンカーの場合、階段構造の破損又は階段からのアンカーの滑り(例えば、非常に強い地震)などのシナリオを含む。階段構造の故障を防止する1つの方法は、平行な冗長溝を切断し、先行のアンカーブロックの下部に冗長な突出特徴を形成することにより、ブロックが引っ張られて移動される場合、新しい停止構造が形成されることができる。
【0166】
システムは中性浮力に近い状態にする必要があるが、依然として浮遊することができる。操作では、水中帆及び2つのタービンを接続する水平前接続板はシステムを操作深さまで引き下げる。係留故障の場合、システムは浮き上がり、海で失われないことができる。
【0167】
速度調整の方案
【0168】
水中帆HSの迎角の調整は外側への移動速度を制御することができる。速く移動するために、水中帆HSは、その迎角が目的地での静止バランスに要求される迎角よりも大きくなるように傾斜して、即ち、ピッチをオーバーシュートすることができ、システムはより大きな引張り力及びより高い平均速度を得ることができる。システムが最終位置の近くに移動される場合、水中帆HSは目標角度までピに戻すように傾斜する。流量変化が遅い場合、水中帆はより小さな迎角に傾斜することもできます。
【0169】
システム移動中には、タービンが最大ベッツ効率(maximal Betz efficiency)で発電し続ける場合、タービンは非常に強い推力に耐えて、システムの移動速度を限定する。しかし、タービンブレードがフェザリングに向かって傾斜する場合、タービン上の推力を大幅に減少させることができ、より高い運動速度を達成することができる。
【0170】
内側へのシステム速度について、初期の内向き速度は、以下に説明するドリフト速度よりも速いことはできないと推測できる。内側への移動では、最終的な目的地に関係なく、水中帆HSは、初期段階で小さな迎角に傾斜することができることにより、ほとんどの移動過程では、帆テザーの張力は最小になる。水中帆HSから外側への強い引張り力の損失のため、主テザーTM及びマルチラインジョイントTJの間のケーブルもまた、初期段階で張力を損失する。これにより、システムはドリフトし、海流はタービンを下流側及び内側に運び、主テザーTMだけによって繋がれる。これらは、例示的なシステムの最初の内向き速度の限界である。水中帆HSの迎角を大きくすることにより、外側への引張り力を増加させて、内側への移動が遅くなる。γbが所望の最終角度に近づく場合、水中帆HSは、制動するように所望の迎角に傾斜して、システムを最終的な目的地に落ち着かせることができる。
【0171】
概念設計及び可能性研究
【0172】
線形アレイが大容量の横変位を得るため、代替的なかつ費用効率の良い方法は、比較的短い主テザーTMを使用し、リニアアレイを複数のアンカーポイント間で移転すると共に、アンカーポイントに固定される場合、システムは依然として横方向に揺れることができる。この方法では、線形アレイの水平変位の範囲はアンカーポイントの数及びスパンのみに限定される。アンカーはCSAMシステムの費用構造に占める割合が小さいため、効率的且つ経済的な方法を設計して開発することができれば、固着位置の横方向移転の方法は、長いテザーの使用に比べて大きな明らかなコスト優位性を有することができる。大蛇行(LM)効果に適応する需要は、主に、短期間の取り扱いではなく、長期的な代替のための予防措置を考慮すると、より短いテザーと付加的なアンカーポイントとの組み合わせがもっと合理的になる。CSAM概念の長い直線アレイの集中的な固定を可能にする特徴は、この方法にとっても有利である。
【0173】
複数のアンカーポイント間で移転する方法では曳船又は1つグループの曳船は、アンカーから取り外した後、テザーを牽引して、線形アレイ全体を他のアンカーポイントに移動するように使用される。
図32は、多数のアレイの形成における1つの線形アレイを曳船により1つのアンカーポイントから他のアンカーポイントへ移動させる手順を示す。ステップ1(
図32(a)では、線形アレイLA1を揺動して、所望の変位方向に向かって最も遠い位置(位置2)へ移動する。主曳船(TB1及びTB2)は主テザーTM1の浅い端部でアレイと接続して牽引すると共に、他の曳航TB3は主テザーTMの深い端部でアンカー連結具(anchor coupling)ANCと接続する。通常には、牽引接続点は海面上のANCBのようなブイでマークされることにより、曳船はブイ列を回収して牽引ラインの接続を行うことができる。ステップ2(
図32(b))では、線形アレイにおけるすべてのタービン及び水中帆HSをフェザリング位置に位置することにより、システム上の流動抵抗を減少させる。そして、主曳船(TB1及びTB2)は、主テザーTMの張力を緩めるように、システムを上流へ短い距離で牽引し、曳船TB3はアンカー連結具を外すことができる。そして、ステップ3(
図32(c))では、曳船TB3は連結具を有する主テザーTMの深い端部を次のアンカーポイントに牽引し、次のアンカーに接続すると共に、主曳船(TB1及びTB2)は線形アレイを適切な位置に基本的に保持することにより、主テザーTMに最小張力を有する十分な弛度を与える。テザーが新しいアンカーと接続される場合、ステップ4(
図32(d))では、水中帆HSは線形アレイの保持且つ位置決めの機能を再開し、主曳船から引き継ぐ。現在、線形アレイは新しいアンカーポイントの左側に位置されるため、新しいアンカーポイントで初期位置を維持するように、左に揺動することができる。そして、すべての曳船は2つの牽引ケーブル接続を解除することができる。ステップ5(
図32(e))では、第2線形アレイ(LA2)は、所望の変位方向に向かって最も遠い位置に揺動すると共に、曳船はそれらへの作業を準備するように再配置する。上記の手順では、ほとんどの側方移動はCSAMシステムによって行われる。多くの横移動はCSAMシステムにより行われる。線形アレイが牽引される場合、主曳船は長距離移動しない。それらは基本的にアレイを保持し、又は短い距離だけで移動するため、曳船TB3及びアンカー連結具を次のアンカーポイントに達することが十分である。そのため、主曳船が牽引される場合、速く移動する必要はない。また、曳船TB3は、基本的に主テザーのみを牽引し、その流動抵抗が総抗力の部分より少ないため、牽引を行い時、速く移動することができる。
【0174】
図33は、アンカー結合機構の概念設計及びその操作を示す。連結具は、主テザーの深い端部に取り付けられる雄部ANC_Mと、アンカーラインに取り付けられる雌部とを備える。係合の場合、雄部品のキーは、開いたガイドウェイを通って雌部ANC_Fのスロット内にスライドすることにより、2つの部品のフック周縁(フック周縁)(HRK及びHRS)を係合する。フック周縁は、雄部がテザーの引張り力で座部に下向きに設置されるように、若干傾斜する(
図33(b))。短突出係止構造Sは、着座した雄部がフック周縁から離れて後退することを防止する(
図33(c))。主テザーの荷重が緩和される場合のみ、牽引ラインによる上方への引張り力によって雄部を外し、連結具を解除することができる(
図33(d))。曳船TB3の操作に対する重要な問題の1つは、迅速かつ正確に連結することである。この目的のため、2つのブイ(ANB_L及びANB_R)は水中に雌連結具を懸架し、又は連結具の位置もマークする。牽引ラインの端に近く取り付けられる水中カメラモジュールは、牽引を案内するように牽引ラインに沿って下に向かうように見える。主テザーを有する雄連結具が牽引され、下流から雌連結具に接近して、先ずに2つのブイの間(位置21)で移動する。カメラを雌部の位置に固定する場合、曳船はスロットを通って(位置22まで)上流に雄部を牽引して、牽引ラインを徐々に緩めて雄連結具を雌部に下向き移動することにより、連結を行う(
図33(a))。
【0175】
この曳船に基づく移送システムの技術的実現可能性は、曳航式要件とシステム移転速度に関する予備分析によって説明することができる。
【0176】
先ず、曳船は、線形アレイ全体を牽引するために十分なボラードプル能力(bollard pull capacity)を有する必要があり、線形アレイ全体の流動抵抗を克服する。上述した例示的なタービンを例として、1.5-1.6m/sの流速で、2つの例示的なタービンを備える発電タービンユニット(GTU)は、CSAMステージを形成するように、2x1400m
2の総平面面積を有する上述の水中帆のシステムと、600トンの最大対応操作張力に耐えるように、12本の2インチ鋼ワイヤーロープ(又は同様な能力の張力部材)を備える主テザーとが必要である。3x8(24)の例示的な発電タービンユGTUを備える長い直線アレイの例では、主テザーは24x12の2インチ鋼ワイヤーロープが必要であり、並行に整列且つパッケージされて、
図34に示すような構造が形成される。その構造の断面形状は、流線形カバーでテザー上に配置されて、流動抵抗を低減する。全負荷で操作する場合、すべてのタービン上の抗力(又は推力)は以下のように表す:
【数46】
その中、C
Dtはタービンの抗力係数(ベッツ理論によって0.89と等しい)であり、A
ttはすべてのタービンの総掃引面積である。一定速度の流れでは、D
ttは一定である。これにより、D
ttに関して、システムの他の部分又は異なる操作状況での流動抵抗を論じることが容易になる。
例示的な線形アレイ全体が操作し、展開角度γb、mが小さい場合、
図12の位置3に示すように、流れがテザーを流れる。横方向流動抵抗(cross flow drag)は以下のように表す:
【数47】
その中、C
Dccは横方向流動抗力係数であり、A
cfはテザーの投影正面面積である。テザー上のこの抗力D
ccの意義は、すべてのタービンD
ttに対する抗力と比較することによって以下のように評価することができる。
【数48】
その長さのため、テザーは2次元物体とされ、その断面輪郭は流れに対して依然として楕円形とされる。乱流での楕円形輪郭を有する2次元物体の抗力係数C
Dcは0.1~0.2である(Shames I.H. Mechanics of Fluids, 2nd edition, Chapter 10: Boundary-Layer Theory. New York: McGraw Hill, 1982を参照)。テザーの投影正面面積は以下のように表す:
【数49】
その中、l
c及びt
cはテザーの長さ及び厚さである。参照例として、展開角度γ
bが40
o~74
oの範囲であり、
図34からのt
c≒0.5m、且つl
c=10kmをさらに仮定する例示的な長い線形システムについて、式(54)からの抗力の平均比は以下のように推定する:
【数50】
線形アレイが操作モードを解除して牽引の準備ができている場合、牽引では取り外した線形アレイ上の抗力を低減するため、タービンブレードはフェザリング方向に配置され、水中帆HSも最低抗力及び揚力をもたらす迎角に配置される。線形アレイ全体上の総抗力はタービンD
ttf、水中帆D
stf、テザーD
cl及びテザーを懸架するブイD
b上の流動抵抗を含む、即ち、
【数51】
式(57)では、D
clは、主テザー及びアレイテザーの両方が下流方向に配置されるため、テザーに沿って縦流により生じる抗力である。D
clを推定するため、テザーのカバーの楕円断面輪郭は部分の円に近似することができ、シリンダーに沿った流れによる縦方向抗力の結果を適用することができる、即ち、
【数52】
その中、A
csはテザーの総表面面積であり、C
DclはReid R.O.; Wilson B.W. Boundary Flow along a Circular Cylinder. National Engineering and Science Company, TR 204-4 (March 1962)を参照する表面粗さに基づいて0.002~0.02の範囲である。
図34と同じ構造の長さ10kmのテザーを有する3x8台の発電タービンGTUの線形アレイの例について、A
csは約4x10000m
2である。D
ttに対するテザー上の対応する縦方向抗力の比率は、
【数53】
ブイは、テザーを中性浮力に近い状態に維持するように、テザーに沿って取り付けられるため、テザーの重さがシステムを海底に沈下しない。総浮力の一定量の場合、総抗力を小さくするように、個々のブイのサイズが大きくなる、或いはブイの数が少なくなる。これは、浮力は線形次元の3乗に比例し、抗力はその2乗に比例するためである。これにより、楕円形を有する大体積のブイが使用すべきである。例えば、20つのブイが例示的な線形アレイの長さ10kmの主テザーに使用されると仮定して、各ブイは500mのテザーを負荷する。
図16に示す構成に基づいて、重量11.02kg/mの2インチのワイヤーロープ及び19.4kg/mの電力ケーブルにより、電力ケーブルを有する主テザーの500m部分の重量は、海水で1435トンであり、0.85のブイ効率を有し、4.7m×18.8mの半軸長さのスフェロイドブイにより懸架されることができる。アスペクト比1:4のスフェロイドは、乱流で0.06と低い抗力係数C
Dbを有する(Shames I.H. Mechanics of Fluids, 2nd edition, Chapter 10: Boundary-Layer Theory. New York: McGraw Hill, 1982を参照)。ブイ上の抗力はテザー上の縦方向抗力と比較することができる:
【数54】
その中、n
b=20、R
a=4.7m。C
Dclは0.002~0.02の範囲であり、その比率D
b/D
clは1.0~0.1の範囲である。式(59)により、以下のようになる:
【数55】
フェザリングのタービン上の流動抵抗D
ttfは全負荷抗力D
ttに対して推定することもできる:
【数56】
その中、D
tfはフェザリング条件(feathered condition)での単一のタービン上の抗力であり、A
tfは非回転のタービンブレードの平面面積であり、C
Dtfはフェザリング条件でのタービンの抗力係数であり、翼輪郭のタービンブレードの抗力係数である。比率A
tf/A
tは、基本的にロータの硬さ程度であり、タービン翼の場合、先端速度比(tip speed ratio)約5のタービンブレードについて約10%である。翼輪郭のロータブレードは0.02未満の抗力係数を有する。これにより、比率D
ttf/D
ttは0.22未満である。
水中帆について、(
図3に基づいて)迎角が最小に設定される場合、α=4°であり、例示的な水中帆C
Dsの抗力係数は約0.02である。D
ttに対する「フェザリング」状態でのすべての帆の抗力の比率は、
【数57】
その中、D
sは水中帆上の抗力である。
上記のすべての結果を式(57)に挿入して、例示的な線形アレイ上の総流動抵抗を以下のように与える:
【数58】
そのため、1m/sの流速で、D
tt=2,750トンの力であり、総流動抵抗は約83~121トンである。水中帆は抗力を引き起こす多くの表面面積を有するため、多くの抗力は水中帆から生じる。この抗力は、抗力と流速の二次関係を利用して、システムを海流がより遅く流れるより深い深さに沈み込むことにより減少することができる。例えば、流速が0.7m/sまで低下する場合、抗力は、50%未満又は40~60トンまで低下することができる。7000~10000馬力(5220~7460kW)以上の曳船は、一般に100トン以上のボラードプルを有する。3~4000馬力以上の定期的な港湾曳船は、約50~60トンのボラードプルを有する(例えば、http://www.sunmachinery.com/tug_boats_for_sale.html(Accessed September 2016)からのデータを参照)。これにより、このような能力を有するいくつかの曳船は、一緒に作業して約0.7~1.0m/sの海流で長い線形アレイを保持し、或いは線形アレイを若干速い速度で移動させることができ、これは32に示す牽引及び再配置操作に十分である。
【0177】
この曳船に基づく移動システムによる横移動速度は、典型的な曳船のサービス速度に基づいて推定することができ、約10~15ノット(5~7.5m/s又は18~27km/hr)である。隣接するアンカーポイントの間の10kmの間隔を仮定する場合、2つの隣接するアンカーポイントの間の往復の移動時間は1時間未満になることができる。牽引ラインの接続/切断、且つアンカーライン(テザー)及び送電ラインの連結/分離(decoupling)が合理的に迅速に行うとさらに仮定して、10kmの1つの固定点のステップで1つの線形アレイの横方向移転は2時間で完了することができる。そのため、12時間の1日作業日で、1つの小さいグループの曳船によって、6つの線形アレイを10km移転し、又は3つの線形アレイを20km移転することができる。多重交替(multiple shifts)及び/又は自動化により、移転速度は倍増することができる。
【0178】
アンカー位置の移転において、電力伝送ケーブルの接続の考慮も必要である。線形アレイが固定されるアンカーポイントに固定され、横変位がCSAMシステムの揺動のみにより実現する場合、懸架且つ固定の電力ケーブルの接続システムは
図12に示すように適用されることができる。この方法の基本的な設計パラメータが説明且つ分析される(Tsao C.C. Marine Current Power with Cross-stream Active Mooring: Part II. Submitted to Renewable Energy in May 2016.を参照)。しかし、長い電力ケーブル上の追加の流動抵抗により線形アレイ上の追加の引く力に抵抗するため、海流のアンカー位置移転システムにこの配置を適用することは、付加的な水中帆が必要なことがある。また、線形アレイの発電タービンGTUからの電力ケーブルは、テザーに沿ってアンカーに接続され、そして海岸に通じる電力伝送ケーブルに接続されることができる。この方法では、
図32(e)に示すように、陸地からの長い電力伝送ケーブルは各アンカー位置に接続され、それぞれ懸架されて固定されるシステムは電力ケーブルを支持することにより、線形アレイが影響を受けないようにする。線形アレイからの電力ケーブルとアンカーポイントに通じる電力伝送ケーブルとの間には、海底で何回も容易に接続且つ断線可能な電気的連結システムが必要である。少なくとも2つの基本的な電気的連結方法は、直接的な電気的接触(プラグとレセプタクル)又は電磁誘導(トランス構造)による方法である。接触型連結は、制御された環境の概念に基づく開発されることができる。例えば、シーメンス(Siemens)製のSpecTRON海底嵌合コネクタは、接合及び取り外す(un-mating)過程で海水から接点を隔離するため、二重冗長誘電油浸式(double redundancy dielectric oil flooded)及び圧力平衡型シール(pressure-balanced sealing)による伸縮可能なプラグピンプラグピンを使用する(Siemens AG product brochure. SpecTRON: Siemens subsea medium and high power electrical connector systems for the oil and gas industry. Siemens energy business website, 2016. http://www.energy.siemens.com/mx/pool/hq/industries-utilities/oil-gas/applications/subsea/products/connectors/SpecTRON_July_2013.pdf (Accessed October 2016)を参照)。誘導型連結は、基本的には、1次巻線コイル及び2次巻線コイルを腐食防止及び電気抵抗遮蔽を有する着脱可能な部品に分ける。海底電気的連結システムは、機械的アンカー連結具と並んで設置されることができ、アンカー連結具の係合の後に動作する(且つ離脱の前に停止にする)ことができる。
【0179】
例示的なタービンに対応する電力ケーブルの物理的なサイズ及び重量は対応するテザーよりも比較的に小さいので、電力ケーブルは、テザーが上記の分析から得られる流動抵抗の値を大幅に変化しないサイズを含む。
図34は、主テザーに沿って配置される電力ケーブルを示す。
【0180】
渦の乱れに対する補助的アンカー
【0181】
説明されるCSAMシステムのレイアウトは、発電タービンが限定且つ集中の場所に固定される線形アレイの長いテザー上に設置されることを特徴とする。このフォーメーションは、大きな縦方向距離の海流の流れに追従する能力に最も良い表現が得られる。しかし、渦又は台風、或いは他の望ましくない一時的な流れパターンの通過によって生じる円形の流れパターンの通過では、システムの破壊を防止するため、特に大規模な実施では、付加的なアンカー機能が必要である。
【0182】
原則として、システムが1つの点に基本的に固定されるので、CSAMシステムを備えるタービンの線形アレイ全体を流れ方向の変化に追従して回転させることができる。しかし、アンカーポイントでの回転機構が複雑であり、特に複数の線形アレイが考慮される場合、電力伝送ケーブルの回転も考慮する必要がある。
【0183】
より簡単な方法は、アレイテザーに沿って補助アンカーにより線形アレイを係留することにより、非定常流れパターンの通過期間に線形アレイの配向を維持することである。海の渦の内部の流速は通常遅い。そのため、この一時的な旋回式の流れパターンの期間では、主な目標は、発電を継続することはなく、システムのフォーメーションを維持し、損傷を防止する必要がある。これにより、需要に応じて、タービン及び水中帆は、抗力を軽減するためにフェザリングすることができる。さらに、より遅い流れはシステム上のより小さい流動抵抗に対応する。そのため、戦略的な位置でのより少ない容量の少数のアンカーは、線形アレイを位置に維持することができる。本開示の例示的な実施例によれば、
図35は3×8つステージの例示的な線形アレイを有する概念を示す。例示的な線形アレイは、3つの部分を備え、各部分は8つステージのタービン(8つのツインタービンユニット)を有する。4つの補助アンカー(AAN_1~AAN_4)は、各部分の2端を係留するように使用される。上記の部分では、フェザリング条件でそのシステム上の総流動抵抗を推定した。横方向流れ又は縦方向流れのいずれであれ、上記の推定に基づいて、総抗力は、システム内のすべてのタービン上の総全負荷推力D
tt,の5%未満であることを示す。0.7m/sの流速では、これは約63トンの総抗力に相当する。従って、各補助アンカーは、16トン未満の水平力しか必要しなくなり、従来のアンカー耐力が0.5であると仮定して、約32トンのコンクリート重力アンカーを有する単一の1.5インチのワイヤーロープのアンカーラインによって取り扱うことができる。
【0184】
CSAMシステムの横方向揺動及びアンカー位置移転システムの機能に影響を与えないため、補助アンカーは、需要に応じて係合又は離脱できるように、伸縮及び着脱を可能にする必要がある。着脱可能な係留システムは、海底に予め設置される対応するアンカーポイントに引っ掛けるため、線形アレイからアンカー結合機構を有する伸縮可能な係留ラインをその先端に海底まで展開することにより達成することができる。遠隔操縦式電気式ウインチは、係留ラインを展開する又は引き込むことができる。アンカー結合機構は、システムから引き出される電気によって作動され、遠隔又は自動的に制御されることができる。この着脱可能な係留システムの1つの問題点は、展開される係留ラインが予め設置されるアンカーポイントを見つけて係合させることを如何に確保することである。本開示の例示的な実施例によれば、
図36(a)は、この問題を取り扱うように、捜索及び位置決めのメカニズムの概念を示す。係留ラインMLはカプセルハウジングから深くまで降下される。ドリフトアンカーDAはその端部に取り付けられ、連結具機構CPSはドリフトアンカーの少し前に取り付けられる。係留ライン及び付属品は中性浮力を有するように構成されるので、海流におけるドリフトアンカーの抗力効果でラインを下流に延出する。重量クランプ(clump weight)CLKは、係留ラインに沿って選択位置に加えられて、ラインを所定の深さまで引き下げることにより、重量クランプとドリフトアンカーとの間のラインの部分は所定の深さで水平に下流に延出する。カプセルからラインの引き上げ又は引き下げは、ラインの水平部分MLHの深さを調整することができる。また、アンカーラインAALは、その一端がアンカーブロックに取り付けられ、他の端が連結ボールCPBを有する。ブイは連結ボール及びアンカーラインを持ち上げて海底に附着される。アンカーを係合させるため、連結具機構CPSを連結ボールCPBに連結する。
図36(b)に示すように、これは、線形アレイを横方向に揺動させて、係留ラインの水平部分MLHはアンカーラインの位置付近を掃引し、アンカーラインAALを横切って最終的に接触してブラッシング(brushes)することにより完成する。そして、係留ラインの一端にある連結具機構は、そのフックの1つでアンカーラインに引っ掛けて、アンカーラインを連結ボールに当たるまでスライドさせて、ボールをソケット空間に連結する。係留ラインの水平部分MLHは、流れ方向でのカプセルに対する海底上のアンカーの許容可能な位置誤差を増加させる。この過程では、アンカーラインの浮動剛性を係留ラインの水平部分の形状剛性よりもはるかに高く維持することにより、係留ラインは、以外の方法ではなく、アンカーライン上にブラッシングされることが重要である。一般的には、これは、アンカーライン上の大きなブイ、大きな重量クランプCLK、及びあまり強くないドリフトアンカーの使用により達成することができる。ソケットとボールが結合される場合、カプセル中のウインチは所望の線長を維持するため、ラインを引き上げることができる。
【0185】
本開示の例示的な実施例によれば、
図37(a)は、連結具機構CPSの設計概念を示し、アンカーラインをつかむ側フックの1つを示す。側フックは回転して、「フックの準備完了(ready to hook)」の状態で表示される。連結ソケットは、2つの側フックと、2つの下部ジョーと、構造基体に固定される1つの上部ジョーとによって限られる空間によって形成される。2つの下部ジョーは回転可能であり、軸の反対側までの長いアームを有する。下部ジョーが任意の力に耐えない場合、長い腕は重力により下方に回転し、ジョーを閉じる。電気的に作動されるピンは、下部ジョーを長いアームの端部からロックする。ソケット空間が形成され、開放力にその抵抗する能力は、レバレッジ比が大きいために非常に大きい。
図37(b)に示すように、係留ラインが持続的に引っ張られ場合、機構CPSは、カプラーボールCPBがソケット空間に落ちて連結が完了するまでアンカーラインを上方にスライドさせる。連結を解除するため、ロックピンユニットはロックピンを引っ込めることにより、連結ボールはアンカーラインからの引張り力でソケットから出ることができる。同時に、
図37(c)に示すように、側フックは後方に回転して、道を空けて、ボールに追従するブイをガイドして連結具機構を離れる。
【0186】
CSAMシステムの設計では、発電タービンGTUは2つの係留線CAに取り付けられることにより、発電タービンGTUは、アレイテザーTAと干渉することなく、流れ方向に追従する。発電タービンGTUと前接続板FCBは中性浮力を有するように構成され、前接続板は、発電タービンGTUをアレイテザーの上に上昇するために追加の揚力を提供することもできる。水中帆HSも帆テザーを介してアレイテザーに取り付けられることにより、水中帆が発電タービンに影響を与えない後、水中帆は発電タービンGTU及び後流の前方に直接に配置されない。主テザーTM及びアレイテザーTAが補助アンカーによって固定され、円形の流れパターンに影響される場合、発電タービンGTU及び水中帆HSの移動は、360度の回転を回避するために制限される必要もある。
図38に示すように、一般的には、過回転を防止するため、ウィンチRWと索条(TRとSR)の拘束索具システムを適用して、(前センターボードでの)発電タービンGTU及び(テール付近の)ハイドロセイルを引っ張ることができる。
図38(a)~(c)に示すように、電気式ウインチは、異なる条件及び流れ方向で索条の長さを調整する。
図38(d)~(e)に示すように、流れが正面から来る場合、索条の機能はそれほど重要ではない。
【0187】
日本南部の黒潮発電所のシステム
【0188】
図40は、地形図に重畳されるME Web GIS データセットからのシミュレーション結果(東京大学及びJAMSTEC(日本国立研究開発法人海洋研究開発機構)のMarine Energy Web GIS Dataset、オンラインで利用可能なアドレス:http://www.todaiww3.k.u-tokyo.ac.jp/nedo_p/jp/webgis/)に基づいて、2002年~2011年のNLM期間とLM期間における日本南部黒潮の平均パワー密度の分布を示す。NLMの高パワー密度帯では、水深が500~1000m未満である広い面積の海底は、室戸岬及び潮岬の沖合に存在することを示す。可能なLM効果ではない場合、これらの場所は発電に適切な領域であってもよい。本研究で説明されるCSAMと拡張横変位技術により、可能な大蛇行期間にある程度に対応可能な日本南部の海流発電所のシステムを設計して全体システムとすることができる。この概念は、NLM期間中にCSAMに基づく発電システムをすべての3つの岬の沖合にある理想的な領域に展開して動作することであり、その中の足摺岬の沖合にある領域は、「予備場所(backup sites)」とし、LM期間の2番目に高いパワー密度帯(750-1000W/m2)に位置される予備のアンカーポイントを有する。LMが発生する場合、室戸岬地区及び潮岬地区の沖合にあるシステムをこれらの予備場所に移転し、発電を続けることができる。即ち、「通常の」NLM期間では、最大限の流量パワー密度で動作する3つの領域の発電グループを有する。可能なLM期間では、2つの東部岬の沖合に位置される発電グループは、電力が出力できない低速流れに残されることではなく、少なくとも2番目に高いパワー密度で再配置して動作することができる。
【0189】
注意すべきことは、本発明は、海洋又は海流発電の応用を参照して主に説明されるが、この流れにわたる能動的な係留の概念は、発電用タービン以外のペイロードに適用することもできる。例えば、ソナー、流速計又は水中マイクなどのセンサーはペイロードであってもよい。これらの装置は、河川又は潮流を含む流体流れにわたって配置されることができ、水中帆の調整により流体に移動されることができる。
【0190】
海流又は河川の他、本発明は、相対的な流体流れの状況に適用することもでき、例えば、水域に航行船から、且つ水中帆を有するペイロードを展開して牽引し、航行船をアンカーポイントとして使用する。
【0191】
本発明は、主に、係留されるペイロードを横方向に引っ張る流体力学的力(fluid dynamic force)を生成するように流体流れを利用するための手段とする翼型水中帆の使用を説明するが、他の形状又は構造の装置は、流れの中で流体力学的揚力を生成する限り使用されることもできる。例えば、流れ中の迎角を有する楕円体又は平板は、流体力学的揚力を生成することができる。これにより、最も広い概念では、水中帆は、任意の流体に力学的揚力を生成可能な装置であってもよい。
【0192】
注意すべきことは、翼に制御面(例えば、フラップ)を使用する他、水中帆又はグライダーの迎え角を調整するための方法がある。1つの例は、索具システム(RS)の選択的な糸(selective strings)の長さを引っ張って変更することである。これは、システムの流体力学的揚力の大小及び角度の変化を引き起こすことができる。
【0193】
注意すべきことは、ロープに取り付けられるバラストウェイト及びブイの使用の他、水中帆の重心を調整するための方法がある。1つの例は、ポンプを有するチューブシステムによって連結される2つのバッグを使用することにより、(バラストとする)水及び(ブイとする)空気を2つのバッグの間に移動することである。
【0194】
注意すべきことは、本発明は、特定の地理的位置の応用に特に適切ないくつかの特徴を含むが、これらに限定されなく、これらの地理的関連の応用概念も当技術分野で初めて説明される。例えば、何十年もの記録によって、日本地域では、北緯32.2度~北緯32.7度と東経133.2度~東経133.7度との間の足摺岬の南東沖合に位置され、500~1000mの深さを有する土佐南部の尾根領域は、NLM及びLM期間で比較的安定な海流経路を有することは明らかである。この領域の海底尾根は、黒潮の流れ方向に面する斜面とほぼ整列するため、本発明のアンカー手段のための良好な場所であってもよい。同様の状況は、台湾地域の台東と緑島との間の海底尾根とフロリダ海流のマイアミテラス地域にもある。
【0195】
本開示における特定の実施形態の手段は、図面を参照して説明されるが、特許請求の範囲に記載される本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者によって様々な変更及び変形が可能である。この変形及び変更は、本開示の明細書によって制限されるべきである。
【符号の説明】
【0196】
AN:アンカーポイント
As:水中帆の平面面積
AAN_1~AAN_4:補助アンカー
At:ロータ掃引面積
AR:アスペクト比
ANCB、ANB_L、ANB_R、BUOY:ブイ
AAL:アンカーライン
APMP:空気ポンプ
AVA:空気抜き弁
ANC:アンカー連結具
ANC_M:雄部
ANC_F:雌部
CLs:水中帆の揚力係数
CDs:水中帆の抗力係数
CDt:発電タービンの抗力係数
CSE:尾部
CSF:帆
CF:外側フレーム
CPS:連結具機構
CLK:重量クランプ
CPB:連結ボール
CA:係留ライン
Dt、Ds:抗力
DA:ドリフトアンカー
FCB:前接続板
FSL、CMA3:機体
FAB:織物
FCR:高速コア
FM1~FM3:2次元フォーメーション
GTU:発電タービン
HS、HSa1、HSa2、HSm1、HSm2...:水中帆
HRK、HRS:フック周縁
HSB、CMA1、CMA2:帆体
Ha:アンカーブロックの高さ
IF:内側フレーム
LB:昇降ブイ
LB1~LB3:小型ブイ
LBa、LB2a、LB3a:高浮力位置
La:アンカーブロックの長さ
Ls:流体力学的揚力
LA1~LA3:線形アレイ
LS:先行部分
LSS:陸上変電所
LG:陸上電力網
ML:係留ライン
MLH:水平部分
MBA:バラストウエイト
NET:張力網
PUL:滑車
R:半径
RW:ウィンチ
RS:索具システム
RIB:リブ
S:水平変位
SPAR:金属トラス構造
TA、TM、TM1:主テザー
TJ、TJa1、TJa2...、TJm1、TJm2、TJm3:マルチラインジョイント
TS:帆テザー
TB1、TB2、TB3:曳船
Tb、Ta、Tal:張力
TG:タービン
TR、SR:索条
V0:流速
WEP:エンドプレート
W:重力
γb、…γb,m:主要な展開角度
γa、γb,a:展開角度
ρ:流動流体の密度
α:迎角
5001、5002:水位