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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】ホルダ
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20230116BHJP
   F16B 2/20 20060101ALI20230116BHJP
   G02C 11/00 20060101ALN20230116BHJP
   A44B 6/00 20060101ALN20230116BHJP
【FI】
A47G29/00 B
F16B2/20 D
G02C11/00
A44B6/00 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018093502
(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公開番号】P2019198403
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】511256370
【氏名又は名称】株式会社MARIO DEL MARE
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】下平 万里夫
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-043619(JP,U)
【文献】登録実用新案第3011069(JP,U)
【文献】実開昭64-051407(JP,U)
【文献】実開昭60-020814(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0277276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00
F16B 2/20
G02C 11/00
A44B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着対象に装着され保持対象を保持する平板状のホルダ本体を備え、
前記ホルダ本体は、前記保持対象を保持可能な円形孔である保持部と、
前記装着対象を装着可能な2つの装着部と、を有し、
2つの前記装着部は、それぞれ前記保持部の近傍かつ、前記保持部の径方向に延びる一の直線の直上に、前記保持部を間に挟むように配置され、
前記保持対象が保持される保持点に働く力の作用線は、2つの前記装着部の間に存在し、
前記装着部は、前記ホルダ本体に向かって付勢され、前記装着対象を前記ホルダ本体の下面とで挟持可能な挟持点をそれぞれ有し、
2つの前記挟持点のうち、少なくとも前記ホルダ本体の縁辺に近い側で前記装着対象を挟持可能な挟持点は、平板状の前記ホルダ本体と当接可能に設けられるホルダ。
【請求項2】
前記挟持点を前記ホルダ本体に向かって付勢させる付勢手段をさらに備え、
前記付勢手段は、複数の前記挟持点が設けられた天秤部を有していることを特徴とする、請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記付勢手段は、回動軸を介して前記天秤部と接続する操作片を有し、
前記回動軸は、前記天秤部の中心に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のホルダ。
【請求項4】
前記挟持点を前記ホルダ本体に向かって付勢させる付勢手段をさらに備え、
前記付勢手段は、少なくとも1つの前記挟持点が設けられた操作片と、
前記操作片に接続され少なくとも1つの前記挟持点が設けられた板ばねと、を有していることを特徴とする、請求項1に記載のホルダ。
【請求項5】
前記板ばねは、前記操作片に接続される接続部と、この接続部の基端側からホルダ本体側に向かって立ち上がる可動ばね部と、この可動ばね部の先端を操作片側に向かって屈曲させた屈曲部と、を有することを特徴とする、請求項4に記載のホルダ。
【請求項6】
前記ホルダ本体が環状に形成されていることを特徴とする、請求項1~5の何れかに記載のホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メガネやボールペン等の保持対象を衣類等の身近なものに着脱自在に装着可能なホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、メガネやボールペン等は、収納ケースに入れ、鞄や机にしまっておき、必要な時にケースから取り出して使用される。しかしながら、老眼鏡のように、文字を読む際にのみ使用する場合や、咄嗟にペンが必要となった場合には、ケースからの出し入れが億劫であったり、収納場所を忘れてしまったりと、必要な時にすぐに使えないことも多く見られる。
【0003】
まぶしい時に装着し、薄暗い場所では不必要となるサングラス等も同様であるが、これらの保持品はその都度ケースに収納せず、衣類のポケット等に仮収納することも多くある。これらは装着者の動作により安定性を失い落下、破損等が発生することも考えられる。
【0004】
そこで、眼鏡を取り外した際にそのまま身に装着するためのホルダが提案されている。例えば、特許文献1には、ネクタイ留の表面に眼鏡のフレームを通す穴あき具を取り付けたメガネ掛け具付ネクタイ留めの技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、ペンダントヘッドの中央部に切り込みを入れ、そこに眼鏡のテンプル部分を差し込んで固定する、ペンダントとしても使用可能なメガネホルダの技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3011069号公報
【文献】特許出願公開第2013-73231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のメガネ掛け具付ネクタイ留めは、タイバー式とタイタック式があるが、両者とも穴あき具が一点のみで支持されている状態である。そのため、メガネ等を掛けた際に荷重が一点に集中してしまうことにより、タイバー式ではホルダ本体がモーメント力を受けて回転してしまい、タイタック式では衣類に空いた穴に力が集中するため、衣類を傷める等の可能性が考えられる。
【0008】
また、眼鏡はテンプル部でのみ掛けられた状態であり、掛部を除いた全ての部分が自由に動くことが予想される。つまり、装着者の動きに合わせて眼鏡本体が揺れ、装着者の動作時に障害となる、または安定性を失い落下につながるという問題がある。
【0009】
さらに、特許文献2の記載にあるメガネホルダは、装飾品としての効果や落下防止、収納場所忘れ防止の効果はあるものの、眼鏡自体の着脱が困難であることやペンダントヘッドの挙動が装着者の動作を妨げる可能性等が問題として挙げられる。
【0010】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものであり、保持対象や装着対象によらず安定した装着性を有し、加えて安定した保持力を有するホルダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明では以下の手段を採用した。
本発明に係るホルダは、装着対象に装着され保持対象を保持するホルダ本体を備え、前記ホルダ本体は、前記保持対象を保持可能な保持部と、前記装着対象に装着可能な2以上の装着部と、を有し、前記保持対象が保持される保持点に働く力の作用線が、少なくとも2つの前記装着部の間に存在することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るホルダによれば、ホルダ本体を2つ以上の装着部で支持することにより、ホルダ自体が回転することを抑制するのに加え、保持対象を安定して保持することができる。
【0013】
さらに、装着部の少なくとも2つが、保持対象により保持点に働く力の作用線を挟んで左右両側に配置することにより、保持対象の荷重が左右両側から各装着部に分散してかかるため、安定して装着対象に装着に加え、保持対象も保持できる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記保持部は、少なくとも2つの前記装着部の間に配置されていることを特徴とする。
このように、保持部が装着部の間に配置されることにより、保持対象による力を装着部同士で分散して、よりバランスよく支持することができるため、ホルダ本体の安定した装着を可能し、保持対象の保持に十分な力を有する。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記装着部は、前記ホルダ本体に向かって付勢されて前記装着対象を挟持可能な挟持点を有していることを特徴とする。
このように、装着部において、さらに付勢し挟持できる機構を採用することにより、装着対象をホルダ本体と挟持点とで挟み込む装着形式となり、保持力、装着性の向上が見込める。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記挟持点を前記ホルダ本体に向かって付勢させる付勢手段をさらに備え、前記付勢手段は、複数の前記挟持点を有した天秤部を有していることを特徴とする。
このように、付勢手段を備えた挟持点同士を接続する天秤部を有する構成とすることにより、挟持点でより強固に挟持し、さらに天秤部によっても装着対象を挟持できる。なお、この天秤部は、生地などの装着対象がたわむ現象を配慮したものである。つまり、天秤部が装着対象に密着可能となり、挟持点に加えて天秤部によっても挟持できる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記付勢手段は、回動軸を介して前記天秤部と接続する操作片を有し、前記回動軸は、前記天秤部の中心に配置されていることを特徴とする。
このように、天秤部の接続に回動軸を使用することにより、天秤部の中央を中心として回動自在に動くことが可能となる。このため、装着対象の厚さや、角度等の条件によらず装着対象の状態に合わせて天秤部が回動し、密着して装着することができる。つまり、天秤部が装着対象に密着することにより、装着対象への装着性と保持対象の保持性を同時に向上させることができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記挟持点を前記ホルダ本体に向かって付勢させる付勢手段をさらに備え、前記付勢手段は、少なくとも1つの前記挟持点が設けられた操作片と、前記操作片に接続され少なくとも1つの前記挟持点が設けられた板ばねと、を有していることを特徴とする。
このように、付勢手段として天秤部の代わりに板ばねを配置すると、板ばねは外力が働かない限り動かないため、装着時に加えホルダを取り外す際にも、装着対象に引っかかることなく滑らかな着脱が可能となる。また、板ばねも付勢機構として作用するため、付勢機構を有する箇所が増え、さらに板ばねが装着対象の厚さや角度等の条件により上下に可動して調節することができるため、より安定して装着することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記板ばねは、前記操作片に接続される接続部と、この接続部の基端側からホルダ本体側に向かって立ち上がる可動ばね部と、この可動ばね部の先端を操作片側に向かって屈曲させた屈曲部と、を有することを特徴とする。
このように、板ばねが接続部によりしっかりと操作片に接続され、ホルダ本体に向かって立ち上がる可動ばね部を有することにより、可動ばね部が外力によって弾性変形と、外力が解放されることによって元に戻ろうとする復元力とで上下に動き、装着対象の条件によらず挟持することができる。また、板ばねに屈曲部を設けることにより、特にホルダを取り外す際に装着対象に沿って滑らかに動くことができるため、装着対象への引っかかり等を防止し、装着対象の損傷等も防ぐことができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記ホルダ本体が環状に形成されていることを特徴とする。
このように、ホルダ本体が環状に形成されていることにより、保持対象の脱落を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、保持対象や装着対象によらず、安定した装着性を有し、加えて安定した保持力を有するホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態1に係るホルダの斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係るホルダの斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係るホルダの平面図である。
図4】本発明の実施形態1に係る保持対象をホルダに取り付ける様子を示す説明図である。
図5】本発明の実施形態1に係るホルダの使用状態を示す説明図である。
図6】本発明の実施形態1に係るホルダの使用状態を示す説明図である。
図7】本発明の実施形態1に係るホルダの使用状態を示す説明図である。
図8】本発明の実施形態2に係るホルダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を図面に示した好ましい実施形態1及び実施形態2について図1図8を参照して説明する。本発明の技術的範囲は、添付図面に示した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、適宜変更が可能である。
【0024】
<実施形態1>
図1ないし図2は本実施形態に係るホルダH1の構成を説明する図である。図1は、ホルダH1を斜め下方から観察した斜視図である。図2は、ホルダH1を斜め上方から観察した斜視図である。図3は、ホルダH1を上方から観察した平面図である。
【0025】
本発明の実施形態1に係るホルダH1は、シャツS等の装着対象に装着可能であり、眼鏡G等の保持対象を保持可能な、ホルダ本体1を備えている。
ホルダ本体1は、眼鏡G等の保持対象を保持可能な保持部2と、シャツS等の装着対象に装着可能な2以上の装着部3と、を有している。
【0026】
装着対象としては、本実施形態に示すシャツSの前立て部S1以外にも、ネクタイや襟元、袖口、ベルト、ポケット等の衣服各部に装着することができる。さらに、鞄のポケットやショルダー部、帽子、車のサンバイザー等に装着が可能である。
保持対象としては、本実施形態に示す眼鏡G以外にも、サングラス等のアイウェアやペン等の文具、アクセサリー、ドライバー等の工具、イヤホン、ヘッドホン等を例示することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、ホルダ本体1を装着対象に装着した際に、装着対象が露出する表面側を上方向とし、逆に裏面側を下方向として、X軸方向に沿って上下方向を定める。また、ホルダ本体1の中心から装着対象の端部に向かう方向を基端方向とし、逆に装着対象の内側に向かう方向を先端方向として、Y方向に沿って長さ方向を定める。さらに、Z方向に沿って、ホルダ本体1の幅方向を定める。
【0028】
ホルダ本体1は、一方が先細りの楕円形(卵形)に形成され、保持対象の一部を掛けて保持するための環状に形成された保持部2と、装着対象に安定して装着するための2つ以上の装着部3と、後述する押圧部5と、を有している。
【0029】
保持部2は、保持対象が保持部2と接して掛止される保持点21を有する。保持部2のサイズは保持対象の一部が掛けられる大きさであれば良く、保持対象のサイズに近いほど保持力が高くなる。例えば、様々なデザインが施された眼鏡Gのテンプルを容易に挿通できるよう、保持部2の幅は、好ましくは10~50mmの範囲に設定されている。
【0030】
本実施形態では、ホルダ本体1が、一方が先細りの楕円形である例を示したが、ホルダH1のデザインコンセプトに合わせて任意の形状を採用することができ、ロゴやエンブレム等のデザインを採用しても良い。また、環状に限らず、切り欠きを有した形状(U字型や鉤型等)を採用することも可能である。ホルダ本体1のデザインにロゴやエンブレム等を施す場合には、周囲の人々に対しての宣伝効果を発揮させることができる。
さらに、装着部3を複数備えることで、装着性及び保持力が増すため、多様なサイズを選択することができる。なお、ホルダ本体1が環状に形成されている場合には、保持対象の落下を抑制することができる。
【0031】
保持部2は、円形孔である例を示したが、ホルダ本体1と同様に、U字型や弧状の保持部2を採用しても良い。また、円形孔を1つ形成したデザインを示したが、この円形孔(保持部2)を複数形成しても良いし、ホルダH1のデザインコンセプトに合わせて任意の形状(例えば、四角形やハート形、星形等)を採用することもできる。
【0032】
装着部3は、ホルダ本体1を装着対象に装着するための部位であり、2つ以上の装着部3がホルダ本体1に備えられている構成を採用している。ここで、装着部3の配置は保持対象の保持力に配慮したものであり、保持対象が掛けられることによって保持点21に働く力の作用線Aが、少なくとも2つの装着部3の間に配置されるように、装着部3が設けられている。
【0033】
ここで、装着部3の配置は、少なくとも2つの装着部3の間に保持部2が配置されるようにしても良い。また、3つ以上の装着部3を配置する場合、ホルダ本体1の任意の場所に配置して良い。
また、この構成ではホルダ本体1に装着部3が設けられ、保持部2に装着対象の生地がホルダ本体1に密着した状態であるが、装着対象の生地等がたわむ特徴により、保持対象の差し込みも容易に可能とし、かつ安定して保持することができる。
【0034】
図3は、本実施形態に係るホルダH1の平面図である。装着部3と保持点21と力の作用線Aの関係が示されており、本実施形態で装着部3は保持点21に働く力の作用線Aと保持部2を間に挟むように配置されている。なお、保持点21と保持点21に働く力の作用線Aは保持部2に保持対象が掛けられることで発現する。
このような構成により、保持対象による荷重を装着部3に均等に力を分散させることが可能となり、装着対象を挟持し、保持対象を保持することができる。
【0035】
装着部3における装着方法は様々存在し、その中から最良のものを選択することができる。例えば、ネクタイピン等に用いられるタックピンやクリップ、衣服に穴を開けずに装着可能な面ファスナーやマグネット等を採用することができる。
【0036】
この装着部3は、ホルダ本体1に向かって付勢され、装着対象をホルダ本体1とで挟持可能な挟持点31を有する構成であることが望ましい。このように、挟持点31を有することにより、装着対象をホルダ本体1とで挟み込んで装着することが可能となり、同時に保持対象を安定して保持する力を発揮することができる。
【0037】
本実施形態におけるホルダH1は付勢手段4を有し、挟持点31が両端に配置された天秤部411を備えている。この付勢手段4は、可動挟持片a41と固定部43、可動挟持片a41と固定部43をつなぐ腰部44を有しており、固定部43によりホルダ本体1と接続している。
【0038】
なお、本実施形態で付勢手段4には、コイルばねによる付勢機構が設けられている。付勢機構としては、コイルばねに限らず材料自体の復元力を利用したものや、磁石を利用したもの等、慣用の機構を採用することが当然に可能である。
【0039】
本実施形態においては、挟持点31が天秤部411の両端に配置された例を示したが、少なくとも2点の挟持点31が、前述した配置位置が限定された2つの装着部3と対応した位置にあれば良い。その他の挟持点31はホルダ本体1上の任意の場所に1個又は複数個備えられていても良いし、備えられていなくても良い。
【0040】
固定部43は、ホルダ本体1の裏面基端側に固定され、可動挟持片a41の安定した動作を可能としている。また、固定部43の基端側端部には、可動挟持片a41に向かって屈曲した腰部44が形成されている。この腰部44と可動挟持片a41の間には、軸42を介して回動自在に接続することに配慮し、コイルばねによる付勢機構を有するばね部45が形成されている。
【0041】
可動挟持片a41は、軸42を介して腰部44と接続されている操作片a413と、この操作片a413の先端に取り付けられた天秤部411とが設けられている。
【0042】
操作片a413は、先端側で回動軸412により回動自在に天秤部411と接続され、基端側には可動挟持片a41を操作するための操作部a414が設けられている。この操作片a413は、操作部a414よりも先端側で腰部44と接続されている。
【0043】
天秤部411は、回動軸412により回動自在に接続されており、装着対象にホルダH1を装着する際に、可動挟持片a41が大きく開くことを可能とするため、滑らかな装着を実現することができる。また、天秤部411の両端には、挟持点31が設けられ、実際にはこの挟持点31とホルダ本体1とで装着対象を挟持する。
装着後は、天秤部411が装着対象の形状に合わせて任意に回転し、ホルダ本体1とで装着対象を挟持することが可能であるため、装着対象の厚みや角度等の状態によらずホルダH1の安定した装着を可能とする。
【0044】
具体的なホルダH1の装着方法は、ホルダ本体1に備えられている押圧部5と操作部a414を押圧して可動挟持片a41を開き、ホルダH1の装着位置を決定する。その後、操作部a414の押圧を解放すると、ばね部45の付勢機構により、ホルダ本体1に向けて付勢され、ホルダ本体1と可動挟持片a41とで装着対象を挟み込むことで装着できる。
【0045】
天秤部411は、ホルダ本体1自体の装着力に加え、保持対象に対する保持力にも配慮し、本実施形態では挟持点31にさらに、ホルダ本体1に向けた突起が設けられている。 前述のホルダH1の装着方法において、天秤部411が両端の挟持点31に突起を有することで、さらなる挟持力を発揮することができる。
【0046】
このように、挟持点31の2点で装着対象を挟持・固定するため、装着したホルダH1自体が回転することを抑制することもできる。なお、これらの突起は2つに限定されるわけではなく、2点以上の突起を設けても良いし、面で支持する機構を採用しても良い。また、装着対象との接触箇所を複数点設けることは、装着における安定性に加え、装着対象の型崩れを抑制することができる効果を有する。
【0047】
天秤部411は、保持対象の保持力を向上させる方法として、保持対象が保持部2の保持点21に掛止されるだけでなく、装着対象の裏側から、付勢手段4によりホルダ本体1に向かって付勢し挟持されるため、保持対象自体にも力が伝わり、固定される効果を有する。なお、この効果は、装着対象の生地がたわむ現象に着目して見出されたものである。
【0048】
ホルダ本体1に備えられている押圧部5は、付勢手段4の可動挟持片a41を開閉する際に、操作部a414と同時に指で挟む部分である。本実施形態においては、この押圧部5が湾曲しており、何れの指を使用した際でも容易に、大きく可動挟持片a41を開閉することできる構成となっている。また、押圧部5が湾曲していることにより、押圧しやすく、ホルダH1を取り外す際にも一度に大きく付勢手段4の可動挟持片a41を開閉することができるため、装着対象に引っかかり糸を伸ばしてしまう等の事象を起こりにくくすることができる。
【0049】
本実施形態では付勢手段4を、可動挟持片a41が天秤部411を有する、いわゆるワイパー型のクリップ体を活用した例を示したが、2点以上を支持可能である機構であれば、慣用のクリップ方式(例えばスライド式やワニ口式等)や、マグネット、ピン等を採用することができる。
【0050】
次に、図4ないし図7を参照して、本発明の実施形態1に係るホルダH1の使用方法について詳細に説明する。
図4は本実施形態に係るホルダH1を装着対象であるシャツSに装着する手順を示す説明図である。
【0051】
図4(a)は操作片a413の基端に配置される操作部a414を押圧し、ホルダ本体1と可動挟持片a41の間に間隙を形成し、装着部位であるシャツSの前立て部S1に移動する様子を示した図である。なお、図3に示すように、操作部a414を押圧する際に、指の掛かるホルダ本体1の押圧部5が湾曲し、可動挟持片a41を開閉しやすい構造となっている。
【0052】
図4(b)は、図4(a)のままの状態でホルダH1を先端方向にスライドさせ、装着位置まで移動させる。装着部3はホルダ本体1に設けられているため、本実施形態における可動挟持片a41及び、その天秤部411が保持部2の位置から簡単に把握できる。これにより装着対象への無駄な接触の防止につながり、滑らかな装着を可能とする。また、ホルダ本体1は全体に面取りが施されているため、装着対象に触れても引っ掛かりは起こらない。
【0053】
最後に、図4(c)に示すように、操作部a414の押圧を解放し、ばね部45の付勢機構により挟持点31を有する天秤部411をホルダ本体1に向けて付勢することで、前立て部S1の生地を挟持して、ホルダH1がシャツSに装着される。
【0054】
図5は、保持対象である眼鏡GをホルダH1に取り付ける様子を示す説明図である。眼鏡Gをホルダ本体1に掛止する場合には、ホルダH1の幅方向(図1及び図2のZ方向)に平行な軌道で、保持部2である円形孔に眼鏡Gのテンプル部を差し込む。
【0055】
この時、ホルダ本体1の保持部2は裏から可動挟持片a41の天秤部411及び挟持点31で挟持されている。眼鏡Gを差し込む際には、装着対象の生地が眼鏡Gを差し込む軌道上にあるが、生地は柔らかく、硬い眼鏡G等の保持対象を押し当てると、生地がたわむため、無理なく差し込むことができる。
【0056】
さらに、ホルダ本体1裏側の天秤部411及び挟持点31により、生地を挟持しているため、装着対象はホルダ本体1と付勢手段4との間に挟持されることは自明であるが、保持対象も同時に、装着対象とホルダ本体1との間でしっかりと挟持することができる。この構成では、ホルダ本体1と装着対象、保持対象、付勢手段4が互いに作用するため、高い装着性、保持性を有する。
【0057】
図6及び図7は、本実施形態に係るホルダH1の使用状態を示す説明図である。図6のように、胸元に近い位置の前立て部S1にホルダH1を取り付けいて使用しても良いし、図7のように、襟部S2に近い位置の前立て部S1にホルダH1を取り付けて使用しても良い。装着者Pの状況や気分によって好きな位置にホルダH1を装着することができる。
【0058】
例えば、図7のように襟部S2に近い位置に装着した場合には、椅子に座った状態で眼鏡Gが机や食器等に接触しない位置に保持することが可能であるし、車のシートベルトに当たらない位置に配置することも可能である。
【0059】
また、図6図7のようにホルダH1を装着した場合には、眼鏡Gの荷重が可動挟持片a41における挟持点31でしっかりと保持し、さらに天秤部411でホルダ本体1全体に力を分散するため、前立て部S1や襟部S2の型崩れを抑制することができる。特に、Tシャツや柔らかい生地のブラウス等の襟元にホルダH1を装着した場合であっても襟元の形が崩れ難い。
【0060】
図6及び図7に示すように、保持対象の眼鏡Gが保持部2に掛かることにより保持点21と保持点21に働く力の作用線Aが存在する。これらの保持点21と力の作用線Aにより2つの装着部3の位置が決定し、このような装着部3の配置により、安定した装着性と保持力を発揮することができる。
【0061】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係るホルダH2について、図8を参照して詳細に説明する。この実施形態2に係るホルダH2は、先の実施形態1に係るホルダH1とは異なる付勢手段4を採用したことを特徴とする。なお、同実施形態において、先の実施形態1と基本的に同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0062】
図8は、実施形態2に係るホルダH2を斜め上方から観察した斜視図である。なお図8においては、ホルダ本体1は破線で示している。
この実施形態2に係るホルダH2は、実施形態1と同様に、眼鏡G等の保持対象を保持可能な保持部2と、シャツS等の装着対象に装着可能な2以上の装着部3と、を有するホルダ本体1を備えている。
【0063】
また、弾性変形による復元力を活用した付勢手段4をさらに備え、可動挟持片b46と固定部43、可動挟持片b46と固定部43をつなぐ腰部44を有しており、固定部43によりホルダ本体1と接続している。固定部43は、ホルダ本体1の裏面基端側に固定され、可動挟持片b46の安定した動作を可能としている。また、固定部43の基端側端部には、可動挟持片b46に向かって屈曲した腰部44が形成されている。この腰部44と可動挟持片b46の間には、軸42を介して回動自在に接続することに配慮し、コイルばねによる付勢機構を有するばね部45が形成されている。
【0064】
可動挟持片b46は、軸42を介して腰部44と接続されている操作片b461と、この操作片b461の先端側に取り付けられた板ばね47とが設けられている。
【0065】
板ばね47は、操作片b461と接続する接続部471と、この接続部471の基端側からホルダ本体1に向かって立ち上がる可動ばね部472と、この可動ばね部472の先端を操作片b461に向かって屈曲させた屈曲部473と、を有している。
【0066】
操作片b461は、先端に挟持点31を有し、挟持点31よりも基端側で接続部471により板ばね47が接続されている。基端には可動挟持片b46を操作するための操作部b462が設けられている。この操作片b461は、操作部b462よりも先端側で腰部44と接続されている。
【0067】
可動ばね部472は、接続部471により操作片b461に接続し、ホルダ本体1に向かって滑らかに立ち上がっていることにより、屈曲部473に配置された挟持点31に外力(装着対象の挟持を含む)が生じると弾性変形し、逆に外力が解放されると復元力によって元の状態に戻るばねの機能を有している。屈曲部473に荷重がかかることにより、上下に位置を調節し、装着対象を挟持することができる。
このため、装着対象の厚さや角度等の条件によらず、常に同じ力で装着対象に取り付けることができる。ばね部45だけでなく、板ばね47によっても付勢力が作用するため、さらなる挟持力が期待できる。また、保持対象が重い場合も、この可動ばね部472の位置を調整することで、より大きな挟持力を引き出すことが可能である。
【0068】
可動挟持片b46は可動挟持片a41と異なり、回動自在に動く天秤部411の代わりに装着対象に装着する等の外力が加わることで上下に動く板ばね47を有している。
この構成により、装着時は実施形態1と同様に可動挟持片b46が大きく開くことを可能とし、滑らかな装着を実現することができることに加え、取り外す際にも屈曲部473が動いて装着対象に基端側の挟持点31が引っかかる等の事象を回避することができる。さらに、屈曲部473により、特に取り外す際に装着対象に沿ってホルダH2を動かすことができるため、より装着対象への引っかかり事象を防ぐことができる。これらにより、装着対象を傷める等の事象も回避可能となる。
【0069】
以上のように、本発明によれば、保持対象が掛けられることによって保持点21に働く力の作用線Aが、少なくとも2つの装着部3の間に配置されるように、装着部3が設けられていることにより、ホルダ本体1を2点以上で支持することが可能であり、ホルダH1又はホルダH2が回転することの抑制に加え、保持対象を安定して保持することができる。
さらに、装着部3を増やすことにより、保持対象の荷重が分散して各点に作用するため、装着対象の型崩れや損傷を抑制することができる。
【0070】
すなわち、装着部3が1つである場合には、ホルダH1又はホルダH2は容易に回転し、1点に保持対象の荷重が集中するため装着対象が損傷する可能性があったが、装着部3を2つ以上に増やし、かつ保持点21に働く力の作用線Aの両側に装着部3を分散させることにより、より安定した装着性、保持力を発揮し、さらに装着対象を傷めずにホルダH1又はホルダH2を装着し、保持対象を保持することができる。
【0071】
また、実施形態1によれば、挟持点31は天秤部411に設けられているため、装着対象の生地の裏側から挟持することができる。そのため、装着対象は、ホルダ本体1と付勢手段4との間に挟持されるだけでなく、保持対象も同時に、装着対象とホルダ本体1との間でしっかりと挟持することができる。
また、この時、保持部2は装着対象の生地を挟んで裏から天秤部411及び挟持点31で挟持されている。保持対象を保持部2に差し込む際には、装着対象の生地が保持対象を差し込む軌道上にあるが、生地は柔らかいため、保持対象を押し当てると、生地がたわみ、無理なく差し込むことができる。
【0072】
実施形態2によればホルダH2は、ホルダH1の天秤部411の代わりに板ばね47を有しているため、付勢機構を有する場所が2つに増えることとなり、より大きな挟持力を持っている。装着方法や、保持機構等は、ホルダH1と同様であるが、板ばね47が固定され、可動ばね部472も装着対象に装着する時の外力等の力以外では動かないため、装着時に加え、挟持点31が装着対象に引っかからずに取り外すことができる。さらに、屈曲部473を有することにより、装着対象に沿った滑らかな取り外しを実現することができる。
【符号の説明】
【0073】
H1,H2 ホルダ
S シャツ
G 眼鏡
P 装着者
A 力の作用線
1 ホルダ本体
2 保持部
3 装着部
4 付勢手段
5 押圧部
21 保持点
31 挟持点
41 可動挟持片a
42 軸
43 固定部
44 腰部
45 ばね部
46 可動挟持片b
47 板ばね
411 天秤部
412 回動軸
413 操作片a
414 操作部a
461 操作片b
462 操作部b
471 接続部
472 可動ばね部
473 屈曲部
図1
図2
図3
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図7
図8