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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】フィルム状半導体封止材
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20230116BHJP
   C08L 71/10 20060101ALI20230116BHJP
   C08L 33/00 20060101ALI20230116BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230116BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20230116BHJP
   C08K 5/3437 20060101ALI20230116BHJP
   C08K 5/5419 20060101ALI20230116BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20230116BHJP
   C08G 59/18 20060101ALI20230116BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20230116BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08L71/10
C08L33/00
C08K3/013
C08K5/09
C08K5/3437
C08K5/5419
C08L9/00
C08G59/18
H01L23/30 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019556120
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(86)【国際出願番号】 JP2018036828
(87)【国際公開番号】W WO2019102719
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2017226724
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】福原 佳英
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 裕美
(72)【発明者】
【氏名】発地 豊和
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/103637(WO,A1)
【文献】特開2017-039934(JP,A)
【文献】特開2009-262227(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158828(WO,A1)
【文献】特開2015-137299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 63/00-63/10
C08K 3/00-13/08
C08G 59/00-59/72
C08L 9/00-9/10
C08L 101/00-101/16
H01L 23/29、23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ベンゾオキサジン構造を有する化合物、
(B)室温にて液状のエポキシ樹脂、
(C)質量平均分子量(Mw)が10000以上の高分子化合物、
(D)平均粒径1μm以下の充填剤、および
(E)酸基を有する、200℃での加熱減量が30%以下の化合物を含有するフィルム状半導体封止材であって、
前記(C)成分の高分子化合物が、質量平均分子量(Mw)が10000以上のフェノキシ樹脂、または、質量平均分子量(Mw)が10000以上のアクリルコポリマーであり、
前記(E)成分の化合物が、オレイン酸、ステアリン酸、および、アビエチン酸からなる群から選択される少なくとも1つである、フィルム状半導体封止材。
【請求項2】
前記(A)成分のベンゾオキサジン構造を有する化合物が、下記式(1)または式(2)に示す化合物である、請求項1に記載のフィルム状半導体封止材。
【化1】
【化2】
【請求項3】
前記(B)成分の室温にて液状のエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のいずれかを含む、請求項1または2に記載のフィルム状半導体封止材。
【請求項4】
さらに(F)シランカップリング剤を含む、請求項1~のいずれかに記載のフィルム状半導体封止材。
【請求項5】
前記(F)成分のシランカップリング剤が、下記式(3)、または式(4)のいずれかの化合物を含む、請求項に記載のフィルム状半導体封止剤。
【化3】
【化4】
【請求項6】
さらに(G)ポリブタジエン骨格を含むエラストマーを含む、請求項1~のいずれかに記載のフィルム状半導体封止材。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載のフィルム状半導体封止材を用いた半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体実装時にNCF(Non Conductive Film)として使用されるフィルム状半導体封止材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体実装においては、IC(Integrated Circuit)チップの電極(バンプ)が形成されている面と、基板の電極(電極パット)が形成された面とを対峙させ、ICチップのバンプと基板の電極パッドとを電気的に接続するフリップチップ法が行われている。
このフリップチップ法では、電極同士の接続部分を外部から保護し、ICチップと基板との線膨張係数の違いに起因する応力を緩和するために、通常、電極接続後に、アンダーフィル剤と呼ばれる液状の熱硬化性接着剤を半導体チップと基板との間に流し込み硬化させるようにする。
【0003】
近年、ICチップの微細化が急速に進んでいる。これに伴い、隣接する電極間のピッチや、半導体チップと基板との間のギャップが益々狭くなる傾向にある。このため、毛細管現象を利用してアンダーフィル剤をICチップと基板との間に流し込むと、ボイドが発生したり、アンダーフィル剤の流し込みに長時間を要する等の問題が発生してしまう。
このため、NCP(Non Conductive Paste)と呼ばれる液状の接着剤、もしくは、NCF(Non Conductive Film)と呼ばれるフィルム状の接着剤を予め基板に塗布、もしくは、貼付し、その後、フィリップチップボンダー等による、加熱圧接(Thermal Compression Bonding:TCB)で樹脂を硬化させ、ICチップのバンプと基板の電極パッドとを接続する、いわゆる先入れ法が試みられている(特許文献1参照)。
【0004】
NCFに要求される特性として、ボイドフリーであり、電気的接続性およびその信頼性に優れることが求められる。また、ラミネーター等の装置内または装置間をテープ状で搬送させる必要があり、ハンドリング性の確保のために、折り曲げに対する耐性が要求される。また、折り曲げに対する耐性が不十分だと、TCB工程後に実施されるダイシング工程でNCFに欠けやバリが発生して実装不良となるおそれがある。
実装作業開始時の位置決めを行う際、ウエハ上に貼付したNCFを介して、ウエハやチップの目印となる認識マークを確認するため、透明性に優れることが求められる。
【0005】
フリップチップ法では電気的接続がはんだを用いて実施される場合が多い。適用されるはんだ材質は鉛フリーはんだを使用する場合が多く、従来の鉛はんだに比べて融点が高くなる傾向がある。これに伴い、NCFを用いたフリップチップ実装時の温度も高くなる傾向がある。
高温化に伴い、副反応や成分の揮発によるボイドなどの欠陥が発生しやすくなる傾向があり、ボイドなどの欠陥防止と接続性の両立は困難であった。
【0006】
ベンゾオキサジン構造を有する化合物は、硬化反応が高温で進行するため、常温取扱時は安定であり、はんだ融点になる温度まで反応が開始しづらく、副次的な反応によるアウトガスの発生を抑制でき、また、エポキシ樹脂類似のジヒドロオキサジン環の開環重合反応を利用するものであるため、硬化メカニズムとしてもアウトガスの発生をほとんど伴わないといった特徴がある。特許文献2は、ベンゾオキサジン構造を有する化合物を含有する半導体装置用接着剤組成物を提案している。
しかしながら、ベンゾオキサジン構造を有する化合物は、フィルム特性としては脆く壊れやすい。そのため、NCFの成分として使用した場合、折り曲げに対する耐性が不十分であることが明らかになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4752107号明細書
【文献】特開2008-231287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解決するため、上述したNCFの要求特性を満たすフィルム状半導体封止材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、
(A)ベンゾオキサジン構造を有する化合物、
(B)室温にて液状のエポキシ樹脂、
(C)質量平均分子量(Mw)が10000以上の高分子化合物、
(D)平均粒径1μm以下の充填剤、および
(E)酸基を有する、200℃での加熱減量が30%以下の化合物
を含有する、フィルム状半導体封止材を提供する。
【0010】
本発明のフィルム状半導体封止材において、前記(A)成分のベンゾオキサジン構造を有する化合物が、下記式(1)または式(2)に示す化合物であることが好ましい。
【化1】
【化2】
【0011】
本発明のフィルム状半導体封止材において、前記(B)成分の室温にて液状のエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のいずれかを含むことが好ましい。
【0012】
本発明のフィルム状半導体封止材において、前記(E)成分の化合物はカルボン酸類であることが好ましい。
【0013】
本発明のフィルム状半導体封止材において、前記(E)成分の化合物は、オレイン酸、ステアリン酸、アビエチン酸、およびマレイン酸樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0014】
本発明のフィルム状半導体封止材は、さらに(F)シランカップリング剤を含むことが好ましい。
【0015】
本発明のフィルム状半導体封止材において、前記(F)成分のシランカップリング剤が、下記式(3)、または式(4)のいずれかの化合物を含むことが好ましい。
【化3】
【化4】
【0016】
本発明のフィルム状半導体封止材は、さらに(G)エラストマーを含むことが好ましい。
【0017】
本発明のフィルム状半導体封止材は、前記(G)成分のエラストマーがポリブタジエン骨格を含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明は、本発明のフィルム状半導体封止材を用いた半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明のフィルム状半導体封止材は、折り曲げ耐性に優れるため、ラミネーター等の装置内または装置間での搬送や、装置への取り付けの際にハンドリング性に優れる。また、NCFとして使用する際に、TCB工程後に実施されるダイシング工程で欠けやバリが発生するおそれがない。
本発明のフィルム状半導体封止材は、視認性に優れているため、NCFとして使用した際に、ウエハ上に貼付したNCFを介して、ウエハやチップの目印となる認識マークを確認できる。
本発明のフィルム状半導体封止材は、NCFとして使用する際に、TCB工程での実装性に優れる。
本発明のフィルム状半導体封止材は、NCFとして使用した際に、耐吸湿リフロー性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のフィルム状半導体封止材は、以下に示す(A)~(E)成分を必須成分として含有する。
(A)ベンゾオキサジン構造を有する化合物
(A)成分のベンゾオキサジン構造を有する化合物は、硬化反応が高温で進行するため、常温取扱時は安定であり、はんだ融点になる温度まで反応が開始しづらく、副次的な反応によるアウトガスの発生を抑制でき、また、エポキシ樹脂類似のジヒドロオキサジン環の開環重合反応を利用するものであるため、硬化メカニズムとしてもアウトガスの発生をほとんど伴わないといった特徴を有しており、本発明のフィルム状半導体封止材をNCFとして使用する際に、フィルムの保存安定性と硬化性能に寄与する成分である。
【0021】
本発明のフィルム状半導体封止材は、(A)成分のベンゾオキサジン構造を有する化合物が、下記式(1)または式(2)に示す化合物であることが好ましい。
【化5】
【化6】
フィルム特性の観点からは、(A)成分のベンゾオキサジン構造を有する化合物は、式(2)に示す化合物が好ましい。
【0022】
(B)室温にて液状のエポキシ樹脂
(B)室温にて液状のエポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」と記載する。)は、本発明のフィルム状半導体封止材をNCFとして使用する際に、フィルムの取扱性に寄与する成分である。
(A)成分のベンゾオキサジン構造を有する化合物は、上述したNCFにとって好ましい特徴を有しているが、フィルム特性としては脆く壊れやすい。(B)成分として、液状エポキシ樹脂を併用し、適度な柔軟性を付与することにより、フィルムとしての取扱いが可能になる。
【0023】
本発明における液状エポキシ樹脂は、室温(25℃)における粘度が100000mPa・s以下であることが好ましい。
【0024】
本発明における液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の平均分子量が約400以下のもの;p-グリシジルオキシフェニルジメチルトリスビスフェノールAジグリシジルエーテルのような分岐状多官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂の平均分子量が約570以下のもの;ビニル(3,4-シクロヘキセン)ジオキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルカルボン酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、アジピン酸ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)5,1-スピロ(3,4-エポキシシクロヘキシル)-m-ジオキサンのような脂環式エポキシ樹脂;3,3´,5,5´-テトラメチル-4,4´-ジグリシジルオキシビフェニルのようなビフェニル型エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、3-メチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルのようなグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ならびに1,3-ジグリシジル-5-メチル-5-エチルヒダントインのようなヒダントイン型エポキシ樹脂;ナフタレン環含有エポキシ樹脂が例示される。また、1,3-ビス(3-グリシドキシプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのようなシリコーン骨格をもつエポキシ樹脂も使用することができる。さらに、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグルシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルのようなジエポキシド化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルのようなトリエポキシド化合物等も例示される。
中でも好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂である。さらに好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である。
(B)成分としての液状エポキシ樹脂は、単独でも、2種以上併用してもよい。
【0025】
(B)成分の液状エポキシ樹脂の含有量は、(A)成分の化合物100質量部に対して、0.5~70質量部であることが好ましく、1~67質量部であることがさらに好ましい。
【0026】
(C)質量平均分子量(Mw)が10000以上の高分子化合物
(C)成分の質量平均分子量(Mw)が10000以上の高分子化合物(以下、「高分子化合物」と記載する。)は、フィルム形成能を付与する成分であり、フィルム形成時の寄り、ハジキなどを防止してフィルム形成を助ける。ここで、寄りとは、フィルム形成工程中に、フィルム端部が中央部へ向かって縮んでしまうことを指し、ハジキとは、フィルム形成工程中にフィルム表面にクレータ様の凹凸が発生してしまうことを指す。
(C)成分の質量平均分子量(Mw)が10000未満だと十分なフィルム形成能が得られず、フィルム形成時の寄り、ハジキなどを防止できない。
(C)成分の質量平均分子量(Mw)の上限は特に限定されないが、500000以下のものを用いることがワニスへの溶解性という点で好ましく、200000以下のものを用いることがより好ましい。
【0027】
(C)成分の高分子化合物としては、質量平均分子量(Mw)が10000以上のフェノキシ樹脂、または、質量平均分子量(Mw)が10000以上のアクリルコポリマーを用いることができる。
(C)成分としてのフェノキシ樹脂は、質量平均分子量(Mw)が10000以上である限り特に限定されないが、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA-ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂が好ましい。
(C)成分としてのアクリルコポリマーは、質量平均分子量(Mw)が10000以上である限り特に限定されないが、ソフトブロックセグメントとハードブロックセグメントを有する共重合体が好ましく、ソフトブロックセグメントとしてポリブチルアクリレート構造と、ハードブロックセグメントとしてポリメタクリレート構造を有することがより好ましい。
【0028】
(C)成分の高分子化合物の含有量は、(A)成分の化合物100質量部に対して、15~450質量部であることが好ましく、20~400質量部であることがさらに好ましい。
【0029】
(D)平均粒径1μm以下の充填剤
(D)成分の充填剤は、本発明のフィルム状半導体封止材をNCFとして使用する際に、実装された半導体パッケージの信頼性を向上させる目的で添加される。
(D)成分の充填剤としては、平均粒径が1μm以下のものを用いる。その理由は、フィルムの視認性、5~80μm程度の狭ギャップへの流れ込み性に優れているからである。充填剤として、平均粒径が1μm超のものを用いた場合、フィルムの視認性が低下し、NCFとして使用した際に、ウエハ上に貼付したNCFを介して、ウエハやチップの目印となる認識マークを確認できない場合がある。
(D)成分の充填剤としては、平均粒径が0.7μm以下のものを用いることがより好ましい。
【0030】
(D)成分の充填剤は、平均粒径が1μm以下である限り特に限定されず、無機充填剤を使用することができる。具体的には非晶質シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、チッ化ホウ素、チッ化アルミニウム、炭化ケイ素、チッ化珪素等が挙げられる。
これらの中でも、シリカ、特に、非晶質の球状シリカが、化学的安定性、粒度調整の容易性、樹脂成分への分散性の理由から好ましい。
なお、ここで言うシリカは、製造原料に由来する有機基、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基を有するものであってもよい。非晶質の球状シリカは、溶融法、燃焼法、ゾルゲル法など、公知の製造方法によって得られるが、所望の粒度や不純物含有量、表面状態などの特性に応じて、その製造方法を適宜選択することができる。
また、充填剤として用いるシリカとしては、特開2007-197655号公報に記載の製造方法によって得られたシリカ含有組成物を用いてもよい。
【0031】
なお、充填剤の形状は特に限定されず、球状、不定形、りん片状等のいずれの形態であってもよい。なお、充填剤の形状が球状以外の場合、充填剤の平均粒径とは該充填剤の平均最大径を意味する。
【0032】
また、充填剤として、シランカップリング剤等で表面処理が施されたものを使用してもよい。表面処理が施された充填剤を使用した場合、充填剤の凝集を防止する効果が期待される。
【0033】
(D)成分の充填剤の含有量は本発明のフィルム状半導体封止材の各成分の合計質量に対する質量%で5~75質量%であることが好ましく、10~70質量%であることがより好ましい。
【0034】
(E)酸基を有する、200℃での加熱減量が30%以下の化合物
(E)成分の酸基を有する化合物は、本発明のフィルム状半導体封止材をNCFとして使用する際に、フラックス活性剤をなす成分である。
本発明のフィルム状半導体封止材は、(E)成分を含有することにより、NCFとして使用した際に、電気的接続性およびその信頼性が高い。
【0035】
(E)成分の酸基を有する化合物として、200℃での加熱減量が30%以下の化合物を用いることにより、NCFとして使用する際に、TCB工程におけるボイドの発生が抑制される。
200℃での加熱減量は以下の手順で測定できる。
熱重量分析装置を用い、低温から高温へ定速昇温(例えば10℃/分)させ、昇温中の温度毎における加熱減量を測定することにより求めることができる。
酸基を有する、200℃での加熱減量が30%以下の化合物としては、オレイン酸、またはステアリン酸を用いることができる。
【0036】
(E)成分の酸基を有する化合物は、カルボン酸類であることが好ましい。
(E)成分の酸基を有する化合物は、オレイン酸、ステアリン酸、アビエチン酸、およびマレイン酸樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることがより好ましい。マレイン酸樹脂としては、市販品を用いることができる。一例をあげると、マルキードNo.32(製品名、荒川化学工業株式会社製)がある。
【0037】
(E)成分の酸基を有する化合物の含有量は、(A)成分の化合物100質量部に対して、0.5~35質量部であることが好ましく、1~32質量部であることがさらに好ましい。
【0038】
本発明のフィルム状半導体封止材は、さらに以下の成分を任意成分として含有してもよい。
【0039】
(F)シランカップリング剤
(F)成分のシランカップリング剤は、本発明のフィルム状半導体封止材をNCFとして使用した際に、ICチップや基板に対する密着性を向上させる目的で添加される。
(F)成分のシランカップリング剤としては、エポキシ系、アミノ系、ビニル系、メタクリル系、アクリル系、メルカプト系等の各種シランカップリング剤を用いることができる。これらの中でも、下記式(3)、または式(4)のいずれかの化合物を含むことが、密着性が高い等の理由から好ましい。
【化7】
【化8】
【0040】
(F)成分としてシランカップリング剤を含有させる場合、シランカップリング剤の含有量は本発明のフィルム状半導体封止材の各成分の合計質量に対する質量%で0.1~3.5質量%であることが好ましく、0.2~3.0質量%であることがより好ましい。
【0041】
(G)エラストマー
(G)成分のエラストマーは、本発明のフィルム状半導体封止材をNCFとして使用した際に、弾性率や応力を調整する目的で添加される。
(G)成分のエラストマーとしては、ポリブタジエン骨格を含むものが柔軟性、取扱性、相溶性の理由から好ましい。ポリブタジエン骨格を含むエラストマーとしては、エポキシ変性ポリブタジエン、カルボキシル基末端アクリロニトリル-ブタジエンを用いることができる。
【0042】
(G)成分としてエラストマーを含有させる場合、エラストマーの含有量は(A)成分の化合物100質量部に対して、0.1~25質量部であることが好ましく、0.2~20質量部であることがさらに好ましい。
【0043】
(その他の配合剤)
本発明のフィルム状半導体封止材は、上記(A)~(G)成分以外の成分を必要に応じてさらに含有してもよい。このような成分の具体例としては、硬化促進剤、レオロジー調整剤、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、着色剤、表面調整剤が挙げられる。また、本発明のフィルム状半導体封止材の粘度、靭性等を調整する目的でその他固形樹脂を含有させてもよい。上記の固形樹脂としては、固形のエポキシ樹脂を用いてもよい。また、(A)成分、(B)成分以外の熱硬化性樹脂、たとえば、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂、アミノ樹脂、イミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン樹脂を配合してもよい。各配合剤の種類、配合量は常法通りである。
【0044】
(フィルム状半導体封止材の製造)
本発明のフィルム状半導体封止材は、慣用の方法により製造することができる。例えば、溶剤の存在下または非存在下で、上記(A)成分~(E)成分、さらに必要に応じて配合する上記(F)成分、(G)成分、およびその他の配合剤を加熱真空混合ニーダーにより混合して樹脂組成物を調製する。
上記(A)成分~(E)成分、さらに必要に応じて配合する上記(F)成分、(G)成分、およびその他の配合剤が所望の含有割合となるように、所定の溶剤濃度に溶解し、それらを10~80℃に加温された反応釜に所定量投入し、回転数100~1000rpmで回転させながら、常圧混合を3時間行った後、真空下(最大1Torr)でさらに3~60分混合攪拌することができる。
上記の手順で調製された樹脂組成物を溶剤で希釈してワニスとし、これを支持体の少なくとも片面に塗布し、乾燥させた後、支持体付のフィルム状半導体封止材、または、支持体から剥離したフィルム状半導体封止材として提供することができる。
【0045】
ワニスとして使用可能な溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等の高沸点溶剤等が挙げられる。溶剤の使用量は特に限定されず、従来から使用されている量とすることができるが、好ましくは、フィルム状半導体封止材の各成分に対して20~90質量%である。
【0046】
支持体は、フィルム状半導体封止材の製造方法における所望の形態により適宜選択され、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム等の金属箔、ポリエステル、ポリエチレン等の樹脂のキャリアフィルム等が挙げられる。本発明のフィルム状半導体封止材を、支持体から剥離したフィルムの形態として提供する場合、支持体は、シリコーン化合物等の離型剤で離型処理されていることが好ましい。
【0047】
ワニスを塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、スロットダイ方式、グラビア方式、ドクターコーター方式等が挙げられ、所望のフィルムの厚みなどに応じて適宜選択される。塗布は、乾燥後に形成されるフィルムの厚みが、所望の厚みになるように行われる。このような厚みは、当業者であれば、溶剤含有量から導くことができる。
【0048】
乾燥の条件は、ワニスに使用される溶剤の種類や量、ワニスの使用量や塗布の厚みなどに応じて適宜設計され、特に限定されるものではないが、例えば、60~150℃であり、大気圧下で行うことができる。
【0049】
次に本発明のフィルム状半導体封止剤の特性について述べる。
【0050】
本発明のフィルム状半導体封止材は、視認性に優れており、後述する実施例において、初期実装状態での視認性の評価結果が良好である。そのため、NCFとして使用した際に、ウエハ上に貼付したNCFを介して、ウエハやチップの目印となる認識マークを確認できる。
【0051】
本発明のフィルム状半導体封止材は、折り曲げ耐性に優れており、後述する実施例において、フィルム性評価で割れが生じない。そのため、ラミネーター等の装置内または装置間での搬送や、装置への取り付けの際にハンドリング性に優れる。また、NCFとして使用する際に、TCB工程後に実施されるダイシング工程で欠けやバリが発生するおそれがない。
本発明のフィルム状半導体封止材は、NCFとして使用する際に、TCB工程での実装性に優れており、後述する実施例において、初期実装状態でのボイドの評価、および接続性評価が良好である。
本発明のフィルム状半導体封止材は、NCFとして使用した際に、耐吸湿リフロー性が良好であり、後述する実施例において、吸湿リフロー時のボイド/デラミネーション評価が良好である。
本発明のフィルム状半導体封止材は、短時間での実装が可能であり、生産性が高い。
本発明のフィルム状半導体封止材は、フラックス効果を併せ持っており、はんだ接続性に優れる。
【0052】
本発明のフィルム状半導体封止材は、上記の特性により、NCFとして好適である。
【0053】
次に本発明のフィルム状半導体封止材の使用手順を以下に示す。
本発明のフィルム状半導体封止材を用いて半導体パッケージを実装する場合、基板上の半導体チップを実装する位置へフィルム状半導体封止材を所望の形状にてラミネーター等で貼り付ける。
また、半導体回路が形成されたウエハ上へラミネーター等にて貼り付けた後、ダイサー等により個々のチップへ切り出すこともできる。ラミネーション条件は特に限定されないが、加熱、加圧、減圧などの条件を適宜組み合わせることができる。特に微細な凹凸へボイド等の欠陥なく貼り付けるためには、加熱温度は40~120℃、減圧度は1hPa以下、圧力は0.1MPa以上が好ましい。
フィルム状半導体封止材をラミネーション等により貼り付けた後、フリップチップボンダー等により基板上のチップ搭載位置へ加熱圧接(TCB)によって半導体チップを実装する。TCB条件は特に限定されないが、半導体チップサイズ、バンプ材質、バンプ数等によりTCB条件を適宜選択することができる。
加熱温度は50~300℃、時間は1~20秒、圧力は5~450Nであることが好ましい。
【0054】
本発明の半導体装置は、半導体装置の製造時に、本発明のフィルム状半導体封止材を使用したものである限り特に限定されない。本発明の半導体装置の具体例としては、フリップチップ構造を有する半導体装置が挙げられる。フリップチップは、バンプと呼ばれる突起状の電極を有しており、この電極を介して基板等の電極と接続される。バンプ材質としては、はんだ、金、銅等が上げられ、それぞれ単独、もしくは銅上へはんだ層を形成させた構造が例示される。フリップチップと接続される基板としてはFR-4等の単層、または積層された有機基板、シリコン、ガラス、セラミックなどの無機基板があり、銅および銅上への金メッキまたはスズメッキ、銅上へのOSP(Organic Solderability Preservative)処理、はんだ層等を形成した電極が用いられる。フリップチップ構造の半導体装置としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリーデバイス、CPU(Central Processing Unit)GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサーデバイス、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、LCD(Liquid Crystal Display)等に使用されるドライバーIC等が挙げられる。
【実施例
【0055】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
(実施例1~26、比較例1~7)
下記表に示す配合割合となるように各原料を混合し、混合物が50wt%の濃度となるように溶剤中に溶解・分散させて塗工用ワニスを調製した。溶剤はメチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製)を使用した。
離型剤を塗布したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(35μm厚)上へ塗工用ワニスを約20μmまたは約35μmの乾燥厚みとなるよう塗工した。その後、塗工用ワニスを塗工した離型剤処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを乾燥機中で80℃にて10分間乾燥して溶剤を除去し、20μm厚と35μm厚の2種のフィルムを作製した。なお、表中の各組成に関する数値は質量部を表している。
【0057】
フィルム状樹脂組成物の作成時に使用した成分は以下の通り。
(A)ベンゾオキサジン構造を有する化合物
(A1)下記式(1)に示す化合物(製品名P-d型、四国化成工業株式会社製)
【化9】
(A2)下記式(2)に示す化合物(製品名F-a型、四国化成工業株式会社製)
【化10】
(B)液状エポキシ樹脂
(B1)ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂・ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂混合物(製品名EXA835LV、DIC株式会社製、粘度:2000~2500mPa・s)
(B2)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(製品名EXA850CRP、DIC株式会社製、粘度:3500~5500mPa・s)
(B3)ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(製品名EXA830CRP、DIC株式会社製、粘度:1100~1500mPa・s)
(B´)ビスフェノールA型半固形エポキシ樹脂(製品名EPICRON860、DIC株式会社製、粘度:1180Pa・s)
(C)高分子化合物
(C1)アクリルコポリマー(製品名M52N、アルケマ株式会社製、Mw:約80000)
(C2)アクリルコポリマー(製品名LA4258、株式会社クラレ製、Mw:約80000)
(C3)ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂、製品名jER4250、三菱化学株式会社製、Mw:60000)
(D)シリカフィラー
(D1)製品名Sciqas、平均粒径0.05μm(堺化学工業株式会社製)
(D2)製品名Sciqas、平均粒径0.1μm(堺化学工業株式会社製)
(D3)製品名Sciqas、平均粒径0.4μm(堺化学工業株式会社製)
(D4)製品名Sciqas、平均粒径0.7μm(堺化学工業株式会社製)
(D´)製品名SOE-5、平均粒径1.5μm(株式会社アドマテックス製)
(E)酸基を有する化合物
(E1)オレイン酸(和光純薬工業株式会社製)、200℃での加熱減量:1.7%
(E2)ステアリン酸(和光純薬工業株式会社製)、200℃での加熱減量:0.8%
(E3)アビエチン酸(東京化成工業株式会社製)、200℃での加熱減量:0.9%
(E4)マレイン酸樹脂(製品名マルキードNo32、荒川化学工業株式会社製)、200℃での加熱減量:0.8%
(E´)p-トルイル酸(和光純薬工業株式会社製)、200℃での加熱減量:32.5%
(F)シランカップリング剤
(F1)3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(式(3))(製品名:KBM403、信越化学株式会社製)
【化11】
(F2)N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(式(4))(製品名:KBM573、信越化学株式会社製)
【化12】
(G)エラストマー
(G1)エポキシ変性ポリブタジエン(製品名PB3600、東亜合成株式会社製)
(G2)カルボキシル基末端アクリロニトリル-ブタジエン(製品名CTBN、CVC Thermoset Specialties製)
【0058】
上記の手順で作製したフィルムを用いて、以下の評価を実施した。
【0059】
(フィルム性)
上記の手順でPET上に形成されたフィルムを10mm×100mmに切断して試験片を作製した。この試験片を180度折り曲げて、クラックが発生するかどうかを確認した。上記の手順を20μmと35μmの各膜厚にてN=5で実施した。各膜厚N=5の全てで両膜厚クラックが発生しなかった場合は○とし、1試験片でもクラックが発生した場合は×とした。
【0060】
(初期実装状態)
上記の手順で作製した20μm厚フィルムをNCFとして使用し、下記手順により、基板上にテスト用チップを実装した。
使用した基板は、サイズが10mm×10mm×0.725mm(t)のシリコン基板であり、電極材料としてCu上へNiとAuでメッキ処理したものである。
テスト用チップは、サイズが7.3mm×7.3mm×0.125mm(t)であり、42μmφ×10μmのCuピラー上へはんだ層(10μm)を形成したバンプが1048個設けられている。上記サイズのテスト用チップが連なった構造のシリコンウエハ上へ20μm厚NCFを真空加圧ラミネーター(株式会社名機製作所社製、商品名MLP500/600)を用いて下記条件でラミネートした。
真空度:1hPa以下
温度:70℃
加圧:0.4MPa
時間:180sec
ラミネート後、ダイサーを用い、シリコンウエハをNCFを含め所定のサイズ(7.3mm×7.3mm)へ個片化しテスト用チップとした。その後、フリップチップボンダー(パナソニックファクトリーソリューションズ株式会社製、商品名FCB3)を用いて、テスト用チップとシリコン基板とをNCFへ260℃の温度がかかるように加熱圧接(TCB)した。上記の手順をN=5で実施した。
視認性:フリップチップボンダーにて位置合わせ工程中、N=5の全てで認識エラーが発生しなかった場合は○とし、1試験片でも認識エラーが発生した場合を×とした。
ボイド: 作製した試験片を超音波探傷装置(Scanning Acoustic Tomography、SAT)を用いて反射法にて観察した。N=5の全てで画像上、ボイドの陰影が観察されなかった場合を○とし、1試験片でも陰影が観察された場合を×とした。
接続:作製した試験片のうち、1試験片を抜き出し、研磨にて接続断面を削りだした断面にてペリフェラル部を1列断面観察した。テスト用チップのはんだと、BottomチップのPadとの界面のはんだ濡れがあるか走査型電子顕微鏡にて確認し、はんだ濡れが確認された場合を○とし、はんだ濡れが確認されなかった場合を×とした。
【0061】
(吸湿リフロー)
上記の手順で作製した試験片を85℃/60%RHの条件下で168時間放置した(JEDEC level2吸湿条件)。その後、最高到達温度260℃のリフロー炉を3回通過させた。上記の手順をN=4で実施した。吸湿リフローの実施後、試験片を超音波探傷装置(Scanning Acoustic Tomography、SAT)を用いて反射法にて観察した。N=4の全てで画像上、ボイド/デラミネーションの陰影が観察されなかった場合を○とし、1試験片でも陰影が観察された場合を×とした。
【0062】
(密着強度)
150℃で20分乾燥したFR-4基板と、半導体チップとして、2mm角のSiN膜付きSiチップを準備した。1mmφのフィルム状半導体封止剤を、基板上に載置して、フィルム状半導体封止剤上に、半導体チップをマウントした。この後、175℃で2.5時間、フィルム状半導体封止剤を硬化させた。アイコ-エンジニアリング製卓上強度試験器(型番:1605HTP)を使用して、せん断モードで密着強度(単位:N/mm2)を測定した。N=10で実施し、密着強度の平均値を求めた。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
実施例1~26は、いずれもフィルム性(割れ)、初期実装状態(ボイド、接続、視認性)、吸湿リフロー(ボイド/デラミネーション)が良好であった。なお、実施例2は、実施例1に対し、(A)成分のベンゾオキサジン構造を有する化合物を変えた実施例である。実施例3,4は、実施例2に対し、(C)成分の高分子化合物を変えた実施例である。実施例5~7は、実施例2に対し、(D)成分として、平均粒径が異なるシリカフィラーを使用した実施例である。実施例8,9は、実施例2に対し、(B)成分の液状エポキシ樹脂を変えた実施例である。実施例10は、実施例2に対し、(F)成分のシランカップリング剤を変えた実施例である。実施例11は、実施例2に対し、(F)成分のシランカップリング剤を配合せず、(B)成分の液状エポキシ樹脂の配合割合を変えた実施例である。実施例12は、実施例2に対し、(B´)成分の半固形エポキシ樹脂を配合せず、(B)成分の液状エポキシ樹脂、および(C)成分の高分子化合物の配合割合を変えた実施例である。実施例13は、実施例2に対し、(D)成分のシリカフィラーの配合割合を変えた実施例である。実施例14は、実施例2に対し、(B)成分の液状エポキシ樹脂、(B´)成分の半固形エポキシ樹脂、および(D)成分のシリカフィラーの配合割合を変えた実施例である。実施例15は、実施例2に対し、(G)成分のエラストマーを配合せず、(C)成分の高分子化合物を2種類併用し、(B)成分の液状エポキシ樹脂の配合割合を変えた実施例である。実施例16は、実施例2に対し、(B)成分の液状エポキシ樹脂、および(F)成分のシランカップリング剤の配合割合を変えた実施例である。実施例17は、実施例2に対し、(F)成分のシランカップリング剤、および(G)成分のエラストマーの配合割合を変えた実施例である。実施例18は、実施例2に対し、(E)成分の化合物、および(G)成分のエラストマーの配合割合を変えた実施例である。実施例19は、実施例2に対し、(B´)成分の半固形エポキシ樹脂、および(E)成分の化合物の配合割合を変えた実施例である。実施例20、25、26は、実施例2に対し、(E)成分の化合物を変えた実施例である。実施例21は、実施例2に対し、(B)成分の液状エポキシ樹脂、および(E)成分の化合物の配合割合を変えた実施例である。実施例22は、実施例2に対し、(B´)成分の半固形エポキシ樹脂を配合せず、(C)成分の高分子化合物を2種類併用し、各成分の配合割合を変えた実施例である。実施例23は、実施例2に対し、(C)成分の高分子化合物、および(G)成分のエラストマーを変えた実施例である。実施例24は、実施例2に対し、(G)成分のエラストマーを配合せず、(B)成分の液状エポキシ樹脂、(B´)成分の半固形エポキシ樹脂、(C)成分の化合物、および(D)成分のシリカフィラーの配合割合を変えた実施例である。
比較例1は、(D´)成分として、平均粒径1μm超のシリカフィラーを使用した例であり、初期実装状態における視認性が×であった。そのため、初期実装状態における他の評価、および、吸湿リフロー評価は実施しなかった。比較例2は、(E)成分の化合物を配合しなかった例であり、初期実装状態における接続性が×であった。そのため、吸湿リフロー評価は実施しなかった。比較例3は、(D)成分のシリカフィラーを配合しなかった例であり、吸湿リフロー評価が×であった。比較例4は、(E´)成分として、200℃での加熱減量が30%超の化合物を使用した例であり、初期実装状態におけるボイドが×であった。そのため、吸湿リフロー評価は実施しなかった。比較例5,6は、(B)成分の液状エポキシ樹脂を配合しなかった例であり、フィルム性の評価が×であった。そのため、初期実装状態における評価、および吸湿リフロー評価は実施しなかった。比較例5,6の結果から、(G)成分のエラストマーを含有する場合でも、(B)成分の液状エポキシ樹脂を含まない場合はフィルム特性が劣ることが確認できる。比較例7は、(A)成分の化合物を配合しなかった例であり、初期実装状態におけるボイドが×であった。そのため、吸湿リフロー評価は実施しなかった。