(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】財務情報を規定の書式で出力する財務情報出力装置、財務情報出力方法及び財務情報出力用プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20230116BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
(21)【出願番号】P 2020201518
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】P 2019221146
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519436518
【氏名又は名称】エクイティ・エックス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100173510
【氏名又は名称】美川 公司
(72)【発明者】
【氏名】倉田 章雄
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037049(JP,A)
【文献】特開2011-076557(JP,A)
【文献】特開平04-047448(JP,A)
【文献】特開2003-233703(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0046203(US,A1)
【文献】特開2001-306935(JP,A)
【文献】特開2010-148066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未上場会社を含む対象会社に対応する企業価値・株式価値算定書を作成するための前提条件を示す前提条件情報を
、前記企業価値・株式価値算定書の出力を受ける使用者端末から取得する前提条件情報取得手段と、
前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき前記対象会社の財務諸表の内容を示す財務諸表情報を
前記使用者端末から取得する財務諸表情報取得手段と、
前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき
上場済みの類似会社
の前記使用者端末における選択及び
当該反映させるべき財務パラメー
タの選択を受け付ける受付手段と、
前記使用者端末において選択された前記類似会社についての財務情報である類似会社財務情報を、前記使用者端末とは異なる外部情報サーバから取得する類似会社財務情報取得手段と、
各前記取得された前提条件情報及び財務諸表情報
並びに類似会社財務情報を用いて、前記
使用者端末において選択されている前記類似会社の情報
及び当該類似会社財務情報並びに前記財務パラメータに基づいた財務報告情報を算出する算出手段と、
前記算出された財務報告情報を
、前記企業価値・株式価値算定書のページごとの財務報告データであってPDF形式を含む汎用フォーマットの財務報告データに変換する変換手段と、
前記変換された財務報告データを
、前記企業価値・株式価値算定書として
前記使用者端末宛に送信して出力させる
送信手段と、
を備え
、
前記変換手段は、
前記算出された財務報告情報をJSONデータの形式に加工する第1加工手段と、
前記JSONデータの形式に加工された前記財務報告情報を、前記算出された財務報告情報を引用したHTMLで前記ページごとに更に加工する第2加工手段と、
前記HTMLで更に加工されたJSONデータの形式を有する前記財務報告情報を、前記企業価値・株式価値算定書の前記使用者端末における出力用として各前記ページの出力態様ごとにCSSを用いて予め生成された当該ページごとのテンプレートに当て嵌めて前記財務報告データとしての当該出力態様を固定化しつつ、前記財務報告情報に対応した前記汎用フォーマットの前記財務報告データを前記ページごとに生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする財務情報出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の財務情報出力装置において、
前記使用者端末における前記企業価値・株式価値算定書の前記出力は、当該企業価値・株式価値算定書の前記使用者端末における表示出力及び印刷出力であり、
前記生成手段は、前記汎用フォーマットにおける表示形式の崩れを防止するための固定化用のCSS形式の表示様式設定データを用いて前記財務報告データとしての表示態様を固定化すると共に、当該汎用フォーマットにおける印刷形式の崩れを防止するための固定化用のCSS形式の印刷様式設定データを用いて前記財務報告データとしての印刷態様を固定化することにより、前記財務報告データとしての前記出力態様の固定化を行うことを特徴とする財務情報出力装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の財務情報出力装置において、
前記受付手段は、前記類似会社の情報及び前記財務パラメータについての前記使用者端末における調整を更に受け付け、
前記算出手段は、前記調整された類似会社の情報及び当該類似会社についての前記類似会社財務情報、並びに当該調整された財務パラメータに基づいて前記財務報告情報を算出することを特徴とする財務情報出力装置。
【請求項4】
請求項
1から請求項3
のいずれか一項に記載の財務情報出力装置において、
前記
生成手段は、前記テンプレートとして前記
ページごとに既定されている量を超える量の前記財務報告情報を除きつつ、前記
ページごとに前記財務報告データ
を生成することを特徴とする財務情報出力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の財務情報出力装置において、
前記
送信手段は、前記変換された財務報告データを前記企業価値・株式価値算定書の
ページごとに
前記使用者端末に送信することを特徴とする財務情報出力装置。
【請求項6】
前提条件情報取得手段と、財務諸表情報取得手段と、受付手段と、
類似会社財務情報取得手段と、算出手段と、変換手段と、
送信手段と、を備える財務情報出力装置において実行される財務情報出力方法であって、
未上場会社を含む対象会社に対応する企業価値・株式価値算定書を作成するための前提条件を示す前提条件情報を
、前記企業価値・株式価値算定書の出力を受ける使用者端末から前記前提条件情報取得手段により取得する前提条件情報取得工程と、
前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき前記対象会社の財務諸表の内容を示す財務諸表情報を
前記使用者端末から前記財務諸表情報取得手段により取得する財務諸表情報取得工程と、
前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき
上場済みの類似会社
の前記使用者端末における選択及び
当該反映させるべき財務パラメー
タの選択を前記受付手段により受け付ける受付工程と、
前記使用者端末において選択された前記類似会社についての財務情報である類似会社財務情報を、前記使用者端末とは異なる外部情報サーバから前記類似会社財務情報取得手段により取得する類似会社財務情報取得工程と、
各前記取得された前提条件情報及び財務諸表情報
並びに類似会社財務情報を用いて、前記
使用者端末において選択されている前記類似会社の情報
及び当該類似会社財務情報並びに前記財務パラメータに基づいた財務報告情報を前記算出手段により算出する算出工程と、
前記変換手段により、前記算出された財務報告情報を
、前記企業価値・株式価値算定書のページごとの財務報告データであってPDF形式を含む汎用フォーマットの財務報告データに変換する変換工程と、
前記変換された財務報告データを
、前記企業価値・株式価値算定書として
前記使用者端末宛に前記送信手段により送信して出力させる
送信工程と、
を含
み、
前記変換工程は、
前記算出された財務報告情報をJSONデータの形式に加工する第1加工工程と、
前記JSONデータの形式に加工された前記財務報告情報を、前記算出された財務報告情報を引用したHTMLで前記ページごとに更に加工する第2加工工程と、
前記HTMLで更に加工されたJSONデータの形式を有する前記財務報告情報を、前記企業価値・株式価値算定書の前記使用者端末における出力用として各前記ページの出力態様ごとにCSSを用いて予め生成された当該ページごとのテンプレートに当て嵌めて前記財務報告データとしての当該出力態様を固定化しつつ、前記財務報告情報に対応した前記汎用フォーマットの前記財務報告データを前記ページごとに生成する生成工程と、
を含むことを特徴とする財務情報出力方法。
【請求項7】
送信手段を備える財務情報出力装置に含まれるコンピュータを、
未上場会社を含む対象会社に対応する企業価値・株式価値算定書を作成するための前提条件を示す前提条件情報を
、前記企業価値・株式価値算定書の出力を受ける使用者端末から取得する前提条件情報取得手段、
前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき前記対象会社の財務諸表の内容を示す財務諸表情報を
前記使用者端末から取得する財務諸表情報取得手段、
前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき
上場済みの類似会社
の前記使用者端末における選択及び
当該反映させるべき財務パラメー
タの選択を受け付ける受付手段、
前記使用者端末において選択された前記類似会社についての財務情報である類似会社財務情報を、前記使用者端末とは異なる外部情報サーバから取得する類似会社財務情報取得手段、
各前記取得された前提条件情報及び財務諸表情報
並びに類似会社財務情報を用いて、前記
使用者端末において選択されている前記類似会社の情報
及び当該類似会社財務情報並びに前記財務パラメータに基づいた財務報告情報を算出する算出手段、
前記算出された財務報告情報を
、前記企業価値・株式価値算定書のページごとの財務報告データであってPDF形式を含む汎用フォーマットの財務報告データに変換する変換手段、及び、
前記変換された財務報告データを
、前記企業価値・株式価値算定書として
前記使用者端末宛に送信させて出力させる
送信制御手段、
として機能させる財務情報出力用プログラムであって、
前記変換手段として機能する前記コンピュータを、
前記算出された財務報告情報をJSONデータの形式に加工する第1加工手段、
前記JSONデータの形式に加工された前記財務報告情報を、前記算出された財務報告情報を引用したHTMLで前記ページごとに更に加工する第2加工手段、及び、
前記HTMLで更に加工されたJSONデータの形式を有する前記財務報告情報を、前記企業価値・株式価値算定書の前記使用者端末における出力用として各前記ページの出力態様ごとにCSSを用いて予め生成された当該ページごとのテンプレートに当て嵌めて前記財務報告データとしての当該出力態様を固定化しつつ、前記財務報告情報に対応した前記汎用フォーマットの前記財務報告データを前記ページごとに生成する生成手段、
として機能させることを特徴とする財務情報出力用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、財務情報出力装置、財務情報出力方法及び財務情報出力用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、財務情報を、財務報告書としての規定の書式で例えば表示又は印刷出力する財務情報出力装置及び財務情報出力方法並びに当該財務情報出力用のプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般に、未上場会社についての企業価値・株式価値算定書を作成する場合、類似会社や財務に関するパラメータの多様性により、その算定式数は六万以上にも及び、非常に専門性が高い、複雑な計算やデータの加工が必要となる等、作成に多大な時間と労力を有し、手入力及び計算式を誤って入力することなどが頻発する。その結果、不必要に膨大な紙を印刷し、修正し、破棄することになる。このような問題に鑑みて為された先行技術を開示した文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。この特許文献1には、複数の異なる書式を持つ財務報告書から所望の項目の値を容易に取得して一つの財務報告書を作成するための発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明では、上記所望の項目の企業価値・株式価値算定書の作成を容易化することについては考慮されておらず、当該企業価値・株式価値算定書自体の作成に必要となる時間や労力、及び大量の印刷や紙の非効率な使用についての問題は未解決である。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、複雑な財務情報を含む企業価値・株式価値算定書であっても、汎用フォーマットの企業価値・株式価値算定書として迅速に出力することが可能な財務情報出力装置及び財務情報出力方法並びに当該財務情報出力用のプログラムを提供し、これにより、手作業の過程を削減すると共に、繰り返し企業価値・株式価値算定書を印刷し、修正をする必要がないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、未上場会社を含む対象会社に対応する企業価値・株式価値算定書を作成するための前提条件を示す前提条件情報を、前記企業価値・株式価値算定書の出力を受ける使用者端末から取得する通信部等の前提条件情報取得手段と、前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき前記対象会社の財務諸表の内容を示す財務諸表情報を前記使用者端末から取得する通信部等の財務諸表情報取得手段と、前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき上場済みの類似会社の前記使用者端末における選択及び当該反映させるべき財務パラメータの選択を受け付ける通信部等の受付手段と、前記使用者端末において選択された前記類似会社についての財務情報である類似会社財務情報を、前記使用者端末とは異なる外部情報サーバから取得する通信部等の類似会社財務情報取得手段と、各前記取得された前提条件情報及び財務諸表情報並びに類似会社財務情報を用いて、前記使用者端末において選択されている前記類似会社の情報及び当該類似会社財務情報並びに前記財務パラメータに基づいた財務報告情報を算出する処理部等の算出手段と、前記算出された財務報告情報を、前記企業価値・株式価値算定書のページごとの財務報告データであってPDF形式を含む汎用フォーマットの財務報告データに変換する処理部等の変換手段と、前記変換された財務報告データを、前記企業価値・株式価値算定書として前記使用者端末宛に送信して出力させる通信部等の送信手段と、を備え、前記変換手段は、前記算出された財務報告情報をJSONデータの形式に加工する処理部等の第1加工手段と、前記JSONデータの形式に加工された前記財務報告情報を、前記算出された財務報告情報を引用したHTMLで前記ページごとに更に加工する処理部等の第2加工手段と、前記HTMLで更に加工されたJSONデータの形式を有する前記財務報告情報を、前記企業価値・株式価値算定書の前記使用者端末における出力用として各前記ページの出力態様ごとにCSSを用いて予め生成された当該ページごとのテンプレートに当て嵌めて前記財務報告データとしての当該出力態様を固定化しつつ、前記財務報告情報に対応した前記汎用フォーマットの前記財務報告データを前記ページごとに生成する処理部等の生成手段と、を備える
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、通信部等の前提条件情報取得手段と、通信部等の財務諸表情報取得手段と、通信部等の受付手段と、通信部等の類似会社財務情報取得手段と、処理部等の算出手段と、処理部等の変換手段と、通信部等の送信手段と、を備える財務情報出力装置において実行される財務情報出力方法であって、未上場会社を含む対象会社に対応する企業価値・株式価値算定書を作成するための前提条件を示す前提条件情報を、前記企業価値・株式価値算定書の出力を受ける使用者端末から前記前提条件情報取得手段により取得する前提条件情報取得工程と、前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき前記対象会社の財務諸表の内容を示す財務諸表情報を前記使用者端末から前記財務諸表情報取得手段により取得する財務諸表情報取得工程と、前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき上場済みの類似会社の前記使用者端末における選択及び当該反映させるべき財務パラメータの選択を前記受付手段により受け付ける受付工程と、前記使用者端末において選択された前記類似会社についての財務情報である類似会社財務情報を、前記使用者端末とは異なる外部情報サーバから前記類似会社財務情報取得手段により取得する類似会社財務情報取得工程と、各前記取得された前提条件情報及び財務諸表情報並びに類似会社財務情報を用いて、前記使用者端末において選択されている前記類似会社の情報及び当該類似会社財務情報並びに前記財務パラメータに基づいた財務報告情報を前記算出手段により算出する算出工程と、前記変換手段により、前記算出された財務報告情報を、前記企業価値・株式価値算定書のページごとの財務報告データであってPDF形式を含む汎用フォーマットの財務報告データに変換する変換工程と、前記変換された財務報告データを、前記企業価値・株式価値算定書として前記使用者端末宛に前記送信手段により送信して出力させる送信工程と、を含み、前記変換工程は、前記算出された財務報告情報をJSONデータの形式に加工する第1加工工程と、前記JSONデータの形式に加工された前記財務報告情報を、前記算出された財務報告情報を引用したHTMLで前記ページごとに更に加工する第2加工工程と、前記HTMLで更に加工されたJSONデータの形式を有する前記財務報告情報を、前記企業価値・株式価値算定書の前記使用者端末における出力用として各前記ページの出力態様ごとにCSSを用いて予め生成された当該ページごとのテンプレートに当て嵌めて前記財務報告データとしての当該出力態様を固定化しつつ、前記財務報告情報に対応した前記汎用フォーマットの前記財務報告データを前記ページごとに生成する生成工程と、を含む。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、通信部等の送信手段を備える財務情報出力装置に含まれるコンピュータを、未上場会社を含む対象会社に対応する企業価値・株式価値算定書を作成するための前提条件を示す前提条件情報を、前記企業価値・株式価値算定書の出力を受ける使用者端末から取得する前提条件情報取得手段、前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき前記対象会社の財務諸表の内容を示す財務諸表情報を前記使用者端末から取得する財務諸表情報取得手段、前記企業価値・株式価値算定書として反映させるべき上場済みの類似会社の前記使用者端末における選択及び当該反映させるべき財務パラメータの選択を受け付ける受付手段、前記使用者端末において選択された前記類似会社についての財務情報である類似会社財務情報を、前記使用者端末とは異なる外部情報サーバから取得する類似会社財務情報取得手段、各前記取得された前提条件情報及び財務諸表情報並びに類似会社財務情報を用いて、前記使用者端末において選択されている前記類似会社の情報及び当該類似会社財務情報並びに前記財務パラメータに基づいた財務報告情報を算出する算出手段、前記算出された財務報告情報を、前記企業価値・株式価値算定書のページごとの財務報告データであってPDF形式を含む汎用フォーマットの財務報告データに変換する変換手段、及び、前記変換された財務報告データを、前記企業価値・株式価値算定書として前記使用者端末宛に送信させて出力させる送信制御手段、として機能させる財務情報出力用プログラムであって、前記変換手段として機能する前記コンピュータを、前記算出された財務報告情報をJSONデータの形式に加工する第1加工手段、前記JSONデータの形式に加工された前記財務報告情報を、前記算出された財務報告情報を引用したHTMLで前記ページごとに更に加工する第2加工手段、及び、前記HTMLで更に加工されたJSONデータの形式を有する前記財務報告情報を、前記企業価値・株式価値算定書の前記使用者端末における出力用として各前記ページの出力態様ごとにCSSを用いて予め生成された当該ページごとのテンプレートに当て嵌めて前記財務報告データとしての当該出力態様を固定化しつつ、前記財務報告情報に対応した前記汎用フォーマットの前記財務報告データを前記ページごとに生成する生成手段、として機能させる。
【0009】
請求項1、請求項6又は請求項7のいずれか一項に記載の発明によれば、企業価値・株式価値算定書を作成するための前提条件、及び企業価値・株式価値算定書として反映させるべき未上場会社を含む対象会社の財務諸表の内容並びに企業価値・株式価値算定書として反映させるべき上場済みの類似会社の類似会社財務情報をそれぞれ取得し、それらを用いて、企業価値・株式価値算定書として反映させるべき上場済みの類似会社の情報及び財務パラメータに基づいた財務報告情報を算出し、その財務報告情報を、PDF形式を含む汎用フォーマットの財務報告データに変換し、その変換された財務報告データを企業価値・株式価値算定書として送信して出力させる。このとき、財務報告情報の財務報告データへの変換に当たっては、算出された財務報告情報をJSONデータの形式に加工し、当該JSONデータの形式に加工された財務報告情報を、それを引用したHTMLでページごとに更に加工し、当該更に加工されたJSONデータの形式を有する財務報告情報を、出力用として各ページの出力態様ごとにCSSを用いて生成された当該ページごとのテンプレートに当て嵌めて財務報告データとしての出力態様を固定化しつつ、汎用フォーマットの財務報告データをページごとに生成する。よって、複雑な財務情報を含む信頼性の高い企業価値・株式価値算定書を、類似会社及び財務パラメータそれぞれの自由な取捨選択を反映させつつ、汎用フォーマットの報告書として迅速に出力することができる。このとき、汎用フォーマットの報告書としての財務報告データの出力態様が財務報告情報の内容自体によって変わる(乱れる)こと、及びその出力時にテンプレートが壊れることを確実に防止できる。これらにより、手作業の過程を削減すると共に、繰り返し企業価値・株式価値算定書を印刷し、修正をする必要がないようにすることで、当該印刷用の紙を大幅に削減することができる。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の財務情報出力装置において、前記使用者端末における前記企業価値・株式価値算定書の前記出力は、当該企業価値・株式価値算定書の前記使用者端末における表示出力及び印刷出力であり、前記生成手段は、前記汎用フォーマットにおける表示形式の崩れを防止するための固定化用のCSS形式の表示様式設定データを用いて前記財務報告データとしての表示態様を固定化すると共に、当該汎用フォーマットにおける印刷形式の崩れを防止するための固定化用のCSS形式の印刷様式設定データを用いて前記財務報告データとしての印刷態様を固定化することにより、前記財務報告データとしての前記出力態様の固定化を行うように構成される。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、使用者端末における企業価値・株式価値算定書の出力が企業価値・株式価値算定書の使用者端末における表示出力及び印刷出力であり、汎用フォーマットにおける表示形式の崩れを防止するための固定化用のCSS形式の表示様式設定データを用いて財務報告データとしての表示態様を固定化すると共に、汎用フォーマットにおける印刷形式の崩れを防止するための固定化用のCSS形式の印刷様式設定データを用いて財務報告データとしての印刷態様を固定化することにより、財務報告データとしての出力態様の固定化を行う。よって、企業価値・株式価値算定書を、確実に固定化された汎用フォーマットの報告書として迅速に出力することができる。
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の財務情報出力装置において、前記受付手段は、前記類似会社の情報及び前記財務パラメータについての前記使用者端末における調整を更に受け付け、前記算出手段は、前記調整された類似会社の情報及び当該類似会社についての前記類似会社財務情報、並びに当該調整された財務パラメータに基づいて前記財務報告情報を算出するように構成される。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、類似会社の情報及び財務パラメータについての使用者端末における調整を更に受け付け、当該調整された類似会社の情報及び当該類似会社についての類似会社財務情報、並びに当該調整された財務パラメータに基づいて財務報告情報を算出するので、汎用フォーマットの報告書としての財務報告データの正確性を高めることができる。
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の財務情報出力装置において、前記生成手段は、前記テンプレートとして前記ページごとに既定されている量を超える量の前記財務報告情報を除きつつ、前記ページごとに前記財務報告データを生成するように構成される。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、テンプレートとして企業価値・株式価値算定書のページごとに既定されている量を超える量の前記財務報告情報が除かれつつ、ページごとに財務報告データが生成されるので、財務報告として必要でない財務報告情報が除かれることで、財務報告データを迅速に出力することができる。
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の財務情報出力装置において、前記送信手段は、前記変換された財務報告データを前記企業価値・株式価値算定書のページごとに前記使用者端末に送信するように構成される。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、財務報告データを前記企業価値・株式価値算定書のページごとに使用者端末に送信するので、当該使用者端末において当該ページ毎に汎用フォーマットの報告書を出力することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、企業価値・株式価値算定書を作成するための前提条件、及び企業価値・株式価値算定書として反映させるべき未上場会社を含む対象会社の財務諸表の内容並びに企業価値・株式価値算定書として反映させるべき上場済みの類似会社の類似会社財務情報をそれぞれ取得し、それらを用いて、企業価値・株式価値算定書として反映させるべき上場済みの類似会社の情報及び財務パラメータに基づいた財務報告情報を算出し、その財務報告情報を、PDF形式を含む汎用フォーマットの財務報告データに変換し、その変換された財務報告データを企業価値・株式価値算定書として送信して出力させる。このとき、財務報告情報の財務報告データへの変換に当たっては、算出された財務報告情報をJSONデータの形式に加工し、当該JSONデータの形式に加工された財務報告情報を、それを引用したHTMLでページごとに更に加工し、当該更に加工されたJSONデータの形式を有する財務報告情報を、出力用として各ページの出力態様ごとにCSSを用いて生成された当該ページごとのテンプレートに当て嵌めて財務報告データとしての出力態様を固定化しつつ、汎用フォーマットの財務報告データをページごとに生成する。
【0019】
従って、複雑な財務情報を含む信頼性の高い企業価値・株式価値算定書を、類似会社及び財務パラメータそれぞれの自由な取捨選択を反映させつつ、汎用フォーマットの報告書として迅速に出力することができる。また、汎用フォーマットの報告書としての財務報告データの出力態様が財務報告情報の内容自体によって変わる(乱れる)こと、及びその出力時にテンプレートが壊れることを確実に防止できる。これらにより、手作業の過程を削減すると共に、繰り返し企業価値・株式価値算定書を印刷し、修正をする必要がないようにすることで、当該印刷用の紙を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態の企業価値・株式価値算定書出力システムの概要構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理を示すフローチャートである。
【
図3】実施形態の報告書化処理を説明する概念図である。
【
図4】実施形態の企業価値・株式価値算定書の出力例を示す図(I)である。
【
図5】実施形態の企業価値・株式価値算定書の出力例を示す図(II)である。
【
図6】実施形態の企業価値・株式価値算定書の出力例を示す図(III)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお以下に説明する実施形態は、例えば未上場会社である対象会社の企業価値・株式価値算定書をオンラインで作成して使用者に提供する企業価値・株式価値算定書提供システムに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0022】
また、
図1は実施形態の企業価値・株式価値算定書出力システムの概要構成を示すブロック図であり、
図2は実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理を示すフローチャートであり、
図3は実施形態の報告書化処理を説明する概念図であり、
図4乃至
図6は実施形態の企業価値・株式価値算定書の出力例をそれぞれ示す図である。
【0023】
(I)
実施形態の企業価値・株式価値算定書出力システムの構成及び動作の概要について
図1に示すように、実施形態に係る企業価値・株式価値算定書出力システムSは、各使用者がそれぞれ使用する使用者端末T1、使用者端末T2、使用者端末T3、…及び使用者端末Tn(nは自然数。以下、同様。)と、実施形態のサーバ装置SVと、外部情報サーバGVと、インターネット等のネットワークNWと、を備えて構成されている。なお以下の説明において、使用者端末T1、使用者端末T2、使用者端末T3、…及び使用者端末Tnに共通の事項を説明する場合、これらを纏めて単に「使用者端末T」と称する。このとき、外部情報サーバGVは、上場企業についての財務諸表等からなる上場企業財務データを当該上場企業ごとに蓄積して提供する外部情報サーバである。そして、各使用者端末Tと、サーバ装置SVと、外部情報サーバGVと、は、ネットワークNWを介して種々のデータの授受が可能に接続されている。なお、使用者端末Tは、具体的には、対応する使用者が操作するパーソナルコンピュータ又はタブレット端末等により実現される。そして、上記サーバ装置SVが本発明の「財務情報出力装置」の一例に相当する。更に、実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理は、サーバ装置SVを中心として実行される。
【0024】
次にサーバ装置SVは、通信部1と、CPU、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる処理部2と、キーボード及びマウス等からなる操作部3と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ4と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等からなる記録部5と、を備えて構成されている。このとき、上記通信部1が本発明の「前提条件情報取得手段」の一例、「財務諸表情報取得手段」の一例、「受付手段」の一例及び「類似会社財務情報取得手段」の一例にそれぞれ相当し、処理部2が本発明の「算出手段」の一例、「変換手段」の一例及び「出力手段」の一例にそれぞれ相当する。
【0025】
以上の構成において通信部1は、処理部2の制御の下、ネットワークNWを介した各使用者端末Tのそれぞれ及び外部情報サーバGVとの間のデータの授受を制御する。また記録部5は、後述する実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理の実行に必要なプログラムや種々のデータ及びパラメータ等を不揮発性に記録する。一方、操作部3は、当該操作部3においてサーバ装置SVの管理者等により必要な操作が行われると、当該操作に対応した操作信号を生成して処理部2に出力する。これにより処理部2は、操作部3からの操作信号に基づいて、実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理を主として実行する。このとき処理部2は、必要な情報をディスプレイ4に表示して上記管理者等に提示する。
【0026】
一方各使用者端末Tは、それぞれに、通信部10と、CPU、ROM及びRAM等からなる処理部11と、キーボード及びマウス等からなる操作部12と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ13と、HDD又はSSD等からなる記録部14と、を備えて構成されている。
【0027】
以上の構成において通信部10は、ネットワークNWを介したサーバ装置SVとの間のデータの授受を制御する。また、記録部14は、使用者端末Tとしての実施形態に係る処理に必要なプログラム等を記録する。一方、操作部12は、当該操作部12において上記使用者により必要な操作が行われると、当該操作に対応した操作信号を生成して処理部11に出力する。これにより処理部11は、操作部12からの操作信号に基づいて、使用者端末Tとしての実施形態の処理を主として実行する。
【0028】
(II)
実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理について
次に、主としてサーバ装置SVの処理部2を中心として実行される、実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理について、
図2乃至
図6を用いて説明する。なお、実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理は、例えば実施形態のサーバ装置SVの電源がオンとされたタイミングから開始される。
【0029】
図2に示すように、実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理においてサーバ装置SVの処理部2は、初めに、当該企業価値・株式価値算定書の作成対象たる例えば未上場の対象会社に対応する対象会社データを、当該企業価値・株式価値算定書の出力が所望されている使用者が使用する使用者端末Tから取得する(ステップS1)。この対象会社データは、当該対象会社のレコード等を例えば記録部5において作成するために当該使用者端末Tにおいて使用者により入力されたデータであり、ネットワークNWを介して当該使用者端末Tから取得される。対象会社データとしてより具体的には、例えば、当該対象会社のステータス(上場会社又は未上場会社のいずれかであるステータス)を示すデータ、当該対象会社の名称を示すデータ、当該対象会社に親会社がある場合におけるその親会社の名称を示すデータ、当該対象会社が例えば登記されている国の名称を示すデータ、当該国の通貨を示すデータ、当該通貨の単位を例えば千、百万、十億、兆、で示すデータ、当該対象会社の株式の保有比率を示すデータ、及び当該対象会社の業種を示すデータ等が含まれている。
【0030】
上記ステップS1で対象会社データが取得されたら、次に処理部2は、出力すべき企業価値・株式価値算定書の作成に当たっての前提条件(いわゆるAssumption)を示す前提条件データを上記使用者が使用する使用者端末Tから取得する(ステップS2)。この前提条件データは、当該使用者端末Tにおいて使用者により入力された上記前提条件を示すデータであり、ネットワークNWを介して当該使用者端末Tから取得される。
【0031】
ここで、当該前提条件に含まれる情報には、例えば、企業価値・株式価値算定書を作成する評価基準日を示す情報、対象会社についての、会社名を示す情報、属する国を示す情報、その国の通貨を示す情報、企業価値・株式価値算定書に反映させるべき通貨単位を示す情報、業種を示す情報、法人実効税率を示す情報、直近四半期末を示す情報、直近年度末を示す情報、類似取引及び公募増資の参照期間を示す情報、類似取引の案件数を示す情報、公募増資の案件数を示す情報、国債利回りを示す情報、発行済株式総数を示す情報、自己株式数を示す情報及び繰越欠損金を示す情報等が挙げられる。
【0032】
次に処理部2は、出力すべき企業価値・株式価値算定書の作成に必要な上記対象会社の財務諸表を示す財務諸表データを、上記前提条件データの取得元たる使用者端末Tから取得する(ステップS3)。この財務諸表データは、上記対象会社の現在の財務状況に対応する上記財務諸表を示すデータであり、ネットワークNWを介して当該使用者端末Tから取得される。
【0033】
ここで、当該財務諸表に含まれる情報には、例えば、
(i)上記対象会社の損益計算書(Income Statement)において、売上高を示す情報、EBIT(Earnings Before Interest and Taxes(支払金利前税引前利益))を示す情報、支払利息を示す情報及び当期純利益を示す情報、
(ii)当該対象会社の貸借対照表(Balance Sheet)において、現金及び現金同等物を示す情報、流動資産を示す情報、固定資産を示す情報、流動負債を示す情報、固定負債を示す情報、有利子負債を示す情報、株主資本を示す情報、その他の包括利益累計額を示す情報、少数株主持分を示す情報、総資産を示す情報、並びに、
(iii)当該対象会社のキャッシュフロー計算書(Cashflow statement)において、減価償却費及びのれん償却費を示す情報並びに設備投資費を示す情報
等が挙げられる。
【0034】
次に処理部2は、出力すべき企業価値・株式価値算定書の作成に用いるべきとして選択された上場の類似会社(以下、単に「類似会社」と称する)の情報を、上記前提条件データ及び財務諸表データの取得元たる使用者端末Tから取得する(ステップS4)。この類似会社の情報は、企業価値・株式価値算定書の作成に当たって使用されるべきものとして上記使用者端末Tにおいて選択された類似会社の情報であり、ネットワークNWを介して当該使用者端末Tから取得される。
【0035】
次に処理部2は、上記前提条件データ、上記財務諸表データ及び上記類似会社の情報の取得元たる使用者端末Tにおいて、企業価値・株式価値算定書の作成に当たって選択されている上記類似会社についての財務データ(当該類似会社の財務諸表等を含む上場企業財務データ)を、上記類似会社の情報等の取得と同時に外部情報サーバGVから取得する(ステップS4)。なお以下の説明において、外部情報サーバGVから取得される財務データを、単に「外部財務データ」と称する。この外部財務データは、ネットワークNWを介して当該外部情報サーバGVから取得される。
【0036】
そして処理部2は、上記ステップS2で取得した前提条件データ、上記ステップS3で取得した財務諸表データ、上記ステップS4で取得した類似会社の情報及び外部財務データを用いて、当該財務諸表データ等について予め設定されている算定式等の数式に基づき、企業価値・株式価値算定書内に記載又はその内容が図形等で表現されるべき各値を算出する(ステップS5)。
【0037】
次に処理部2は、ステップS5で算出された各値に対応する(又は当該各値が反映された)財務パラメータであって、企業価値・株式価値算定書の作成に当たって使用されるべき財務パラメータを生成/取得する(ステップS6)。この財務パラメータの具体的内容及びその値(初期値を含む)は、例えば記録部5に記録される。そして処理部2は、ステップS5で算出された各値に対応する当該財務パラメータを改めて生成/取得する。
【0038】
ここで、当財務パラメータの具体的な内容としては、例えば、類似会社としての上場会社の株価の参照期間、企業価値/売上高倍率の選択、企業価値/償却前営業利益倍率の選択、企業価値/営業利益倍率の選択、PER(Price Earnings Ratio(株価収益率))の選択、PBR(Price Book-value Ratio(株価純資産倍率))の選択、企業価値/売上高倍率の上限、企業価値/償却前営業利益倍率の上限、企業価値/営業利益倍率の上限、PERの上限、PBRの上限、類似取引の参照期間、類似取引における対象会社の所属する国、リスク・プレミアムの上書き、流動性ディスカウントの上書き、DCF(Discount Cash Flow)の永久成長率法の採用の選択、永久成長率の上書き、永久成長率の感応度の上書き、Exitマルチプル法の採用の選択、Exitマルチプルの上書き、Exitマルチプルの感応度の上書き、WACC(Weighted Average Cost of Capital(加重平均資本コスト))の上書き、対象会社のD/Eレシオ(Debt Equity Ratio(負債資本倍率))による資本構成としてのWACC、対象会社のネットD/Eレシオによる資本構成としてのWACC、対象会社に類似する類似会社のD/Eレシオによる資本構成としてのWACC、及び当該類似会社のネットD/Eレシオによる資本構成としてのWACC等が挙げられる。
【0039】
その後処理部2は、ステップS5における各値の算出結果に対応付けられてステップS6で生成/取得された財務パラメータを、上記前提条件データ等の取得元たる使用者端末TにネットワークNWを介して送信し、当該送信先の使用者端末Tのディスプレイ13においてプレビュー表示させ、当該使用者端末Tの使用者に確認させる(ステップS7)。そして処理部2は、当該使用者端末Tの操作部12において、類似会社の情報及び/又は財務パラメータの調整が終了した旨の操作が実行されたか否かを確認する(ステップS8)。ステップS8の確認において、当該調整が終了していない旨の操作が行われた場合(ステップS8:NO)、処理部2は、プレビュー表示されている算出結果(ステップS7参照)に対応して、当該使用者端末Tの操作部12を用いて入力された当該使用者による類似会社の情報及び/又は財務パラメータの調整操作を受け付ける(ステップS9)。ステップS9における調整操作の結果は、ネットワークNWを介して処理部2により取得される。その後処理部2は、上記ステップS5に戻り、ステップS9で受付られた調整操作の内容が反映された類似会社の情報及び/又は財務パラメータの調整を用いた上記ステップS5乃至ステップS8の処理を繰り返す。このとき、上記ステップS7のプレビュー表示がサーバ装置SVのディスプレイ4を用いて行われ、その内容に対する上記ステップS8及び上記ステップ9の調整操作が、サーバ装置SVの操作部3を用いて上記管理者等により行われてもよい。
【0040】
一方、ステップS8の確認において、当該使用者端末Tの操作部12において類似会社の情報及び/又は財務パラメータの調整が終了した旨の操作が行われ、それが処理部2において受け付けられた場合(ステップS8:YES)、処理部2は、上記ステップS5乃至ステップS9の処理結果を企業価値・株式価値算定書としての体裁に加工する報告書化処理を実行し(ステップS10)、その結果を記録部5に記録する(ステップS11)。このステップS10の報告書化処理において、処理部2は先ず、類似会社の情報及び/又は財務パラメータが調整済みである上記ステップS5の算出結果を、JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)データに加工する。その後処理部2は、ユーザー・インターフェースにおいて、当該JSONデータを保存し、上記企業価値・株式価値算定書の各ページに必要な算出結果を引用したHTML(Hyper Text Markup Language)で当該JSONデータを加工し、当該HTMLで加工されたJSONデータの形式を有する財務報告データを生成する。そして処理部2は、その財務報告データたるHTMLを、実施形態の企業価値・株式価値算定書としての形式に対応するようにCSS(Cascading Style Sheet)を用いて予め生成されたテンプレートに当て嵌めて更に加工して企業価値・株式価値算定書の形式に変換することで、実施形態の企業価値・株式価値算定書への上記報告書化処理を実行する。このとき、ステップS10の報告書化処理では、コンピュータによる処理において汎用されているフォーマット(例えば、PDF(Portable Document Format)形式。当該汎用されているフォーマットを、以下、単に「汎用フォーマット」と称する。)を用いて上記企業価値・株式価値算定書に相当する報告書データを生成する。
【0041】
ここで、上記ステップS10の報告書化処理について、より具体的に
図3を用いて説明する。即ち当該報告書化処理において、先ず記録部5には、実施形態の企業価値・株式価値算定書を構成する各
ページそれぞれにおける諸データが記載される区画の位置/大きさや記載位置、記載時に使用されるべきフォントの色や大きさ、記載される図形としての形状や色、並びに記載される表としての行数/列数や色等を固定化するようにCSSを用いて予め生成されたテンプレートTPを、当該
ページ分だけ記録している。これにより処理部2は、
図3に示すように、予め設定された特定のブラウザ上で動作するライブラリ(ツール)20を用いて、上記HTML化されたJSONデータの形式を有する上記財務報告データ21を、その
ページに対応するテンプレートTPを記録部5から読み出して当該テンプレートTPに当て嵌めつつ、当該
ページごとのページデータP1、…、ページデータPmからなるページデータ群PP(実施形態の企業価値・株式価値算定書としてのページデータ群PP)を生成する。このとき処理部2は、財務報告データ21に含まれている例えば表のデータが、当該表に対応するテンプレートTPで予め規定されている行数又は列数を超えた行数又は列数の表データであった場合、その超えた分の行又は列は無視して(即ち当該超えた分の行又は列を除いて)ページデータP1等を生成する。次に処理部2は、各ページデータP1等を含むページデータ群PPの使用者端末Tのディスプレイ13上における表示上の汎用フォーマットに則った固定化(即ち、汎用フォーマットにおける表示形式の崩れを防止するための固定化)のためのCSS形式の表示様式設定データ22を用いて、その表示態様を固定化する。その後処理部2は更に、当該ページデータ群PPの使用者端末Tにおける印刷出力の際の印刷態様上の汎用フォーマットに則った固定化(即ち、汎用フォーマットにおける印刷形式の崩れを防止するための固定化)のためのCSS形式の印刷様式設定データ23を用いて、その印刷態様を固定化する。これら表示様式設定データ22及び印刷様式設定データ23は、記録部5に予め記録されているものが処理部2により読み出されて用いられる。以上の一連の処理により、使用者端末Tにおける上記汎用のフォーマットを用いた表示又は印刷用の報告書データ24が生成される。そして処理部2は、生成された報告書データ24を記録部5に記録し(ステップS11)、後述するステップS12以降の処理に供させる。このとき処理部2は、例えば操作部3における操作等に応じて、企業価値・株式価値算定書のページ
ごと(
図3参照)に報告書データ24を抜き出して記録部5に記録することも可能である。
【0042】
最後に、処理部2は、上記ステップS10で生成されてステップS11で記録部5に記録されている報告書データ24を、上記前提条件データ等を送信してきた使用者端末Tに送信し、当該使用者端末Tのディスプレイ13に表示させたり、或いは、当該使用者端末Tに接続された図示しないプリンタにおいて印刷出力させたりする(ステップS12)。なお、当該報告書データ24について、使用者端末Tによりその記録(保存)が指定された場合、処理部2は、送信した報告書データ24を、当該使用者端末Tごとに記録部5に記録する。また処理部2は、上記ステップS12の処理を企業価値・株式価値算定書のページごとに実行してもよい。
【0043】
ここで、上記ステップS12において使用者端末Tに例えば表示される企業価値・株式価値算定書の態様としては、例えば、
図4に例示する上記前提条件を含む
企業価値・株式価値算定書R1全体の表示や、
図5に例示する類似(競合)会社の財務状況との比較(COMPETITIVE LANDSCAPE)R2の表示、又は、
図6に例示する企業価値(ENTERPRISE VALUE)R3の表示などが挙げられる。
【0044】
そして、処理部2は、上記企業価値・株式価値算定書を表示等させている使用者端末Tから、実施例の企業価値・株式価値算定書出力処理を終了する旨の指示を受信したか否かを判定すること等により、実施例の企業価値・株式価値算定書出力処理を終了するか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13の判定において、実施例の企業価値・株式価値算定書出力処理を引き続き継続する場合(ステップS13:NO)、処理部2は、上記ステップS1以降の処理を実行する。なお、実施例の企業価値・株式価値算定書出力処理を引き続き継続する場合としては、例えば、上記前提条件を変更したり、上記類似会社の情報及び上記財務パラメータを変更したりすることによる企業価値・株式価値算定書出力処理の継続が挙げられる。一方ステップS13の判定において、実施例の企業価値・株式価値算定書出力処理を終了する場合(ステップS13:YES)、処理部2は、当該企業価値・株式価値算定書出力処理を終了する。
【0045】
以上、それぞれ説明したように、実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理によれば、企業価値・株式価値算定書を作成するための前提条件、及び対象会社の財務諸表の内容をそれぞれ取得し、それらを用いて、企業価値・株式価値算定書として反映させるべき類似会社の情報及び財務パラメータに基づいた企業価値・株式価値等の各数値を算出し、その算出結果を汎用フォーマットの報告書データ24に変換し、その変換された報告書データ24を企業価値・株式価値算定書として出力させる。よって、複雑な財務情報を含む企業価値・株式価値算定書を、財務パラメータの自由な取捨選択を反映させつつ、汎用フォーマットの報告書として出力することができる。これにより、手作業の過程を削減すると共に、繰り返し企業価値・株式価値算定書を印刷し、修正をする必要がないようにすることができる。
【0046】
また、企業価値・株式価値算定書として反映させるべき類似会社の外部財務データを更に取得し、当該外部財務データを更に用いて報告書データ24を算出し、自動数値検査機能を通して、より信頼性の高い企業価値・株式価値算定書を、財務パラメータの自由な取捨選択を反映させつつ、汎用フォーマットの報告書として出力することができる。
【0047】
更に、企業価値・株式価値算定書の出力用として当該企業価値・株式価値算定書のページごとに既定されているテンプレートTPを用いて報告書データ24としての表示又は印刷の態様が固定化されつつ、財務報告データ21が報告書データ24に変換されるので、汎用フォーマットの報告書としての報告書データ24の出力態様が、財務報告データ21の内容自体によって変わる(乱れる)こと、及びその出力時にテンプレートTPが壊れることを防止できる。
【0048】
更にまた、テンプレートTPとして企業価値・株式価値算定書のページごとに規定されている例えば表の行数を超える行数の財務報告データ21が除かれつつ報告書データ24に変換されるので、財務報告として必要でない財務報告データ21が除かれることで、財務報告データ21を迅速に報告書データ24に変換することができる。
【0049】
なお、上述した実施形態の企業価値・株式価値算定書出力処理の前提として、対象会社を新たに追加する場合、使用者端末Tにおいては、当該新たな会社に対応する上記前提条件が選択/入力される。これにより、サーバ装置SVの処理部2は、当該入力された前提条件にそうとする前提条件データを取得して、当該新たな作成対象(対象会社)についての実施例の企業価値・株式価値算定書出力処理を実行することになる。
【0050】
また、
図2に示すフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはネットワークNWを介して取得して記録しておき、それらを汎用のマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を、実施形態の処理部2として機能させることも可能である。
【0051】
また、上述した実施形態では、企業価値・株式価値算定書の出力処理に対して本発明を適用した場合について説明したが、これ以外に、当該企業価値・株式価値算定書及び他の財務関連書面等を含む一般の財務報告書の出力処理に対しても、本発明は広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上、それぞれ説明したように、本発明は企業価値・株式価値算定書出力システムの分野に利用することが可能であり、特に未上場の対象会社の企業価値・株式価値算定書を類似会社としての上場会社の外部財務データに対応づけて作成する企業価値・株式価値算定書出力システムの分野に適用すれば、特に顕著な効果が得られる。また、企業価値・株式価値算定書以外にも、あらゆる計算結果をJSONデータにし、CSS/HTMLで加工することにより、PDF形式等の汎用フォーマットにして、多様な形の報告書を出力することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1、10 通信部
2、11 処理部
3、12 操作部
4、13 ディスプレイ
5、14 記録部
20 ライブラリ
21 財務報告データ
22 表示様式設定データ
23 印刷様式設定データ
24 報告書データ
S 企業価値・株式価値算定書出力システム
T 使用者端末
SV サーバ装置
GV 外部情報サーバ
NW ネットワーク
TP テンプレート
P1、Pm ページデータ
PP ページデータ群