IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイ メディカル イメージング ビー ヴイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】心臓再同期療法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/372 20060101AFI20230116BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20230116BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
A61N1/372
A61B5/055 380
A61B5/055 390
A61B6/03 360G
A61B6/03 375
A61B6/03 377
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020501562
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2018069011
(87)【国際公開番号】W WO2019012066
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】62/532,096
(32)【優先日】2017-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504048537
【氏名又は名称】パイ メディカル イメージング ビー ヴイ
【氏名又は名称原語表記】PIE MEDICAL IMAGING B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーベン、ジャン-ポール
(72)【発明者】
【氏名】バウマン、クリス
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0371833(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0206302(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0071675(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61B 6/00 ― 6/14
A61N 1/00 ― 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを実行するプロセッサを備える、心臓再同期療法(CRT)のガイダンスを提供する医療機器の作動方法であって、
a)前記プロセッサが、患者の心臓の画像データセットを受信するステップ(101)と、
b)前記プロセッサが、前記画像データセットの少なくとも1つから心臓構造の三次元(3D)解剖学的モデルを形成するステップ(102)と、
c)前記プロセッサが、前記画像データセットの少なくとも1つを使用して心筋梗塞瘢痕分布を計算するステップ(103)と、
d)前記プロセッサが、前記画像データセットの少なくとも1つを使用して心臓の機械的活性化データを計算するステップ(104)と、
e)前記プロセッサが、解剖学的ジオメトリ、機械的活性化データ、および瘢痕分布を含む3Dロードマップモデルを得るために、前記3D解剖学的モデルに前記瘢痕分布と前記機械的活性化データを重ね合わせるステップ(105)と、
f)前記プロセッサが、前記得られた3Dロードマップモデルを使用して心臓再同期療法(CRT)のガイダンスを提供するステップ
を備え、
ステップc)の前記計算が、
前記プロセッサが、瘢痕の3D表面メッシュを提供するために心筋梗塞瘢痕をセグメント化するまたは心筋梗塞瘢痕セグメンテーションを含むデータを受信するステップ、および
前記プロセッサが、梗塞の貫壁性、心内膜の貫壁性、心外膜の貫壁性および梗塞の均質性に重み付けすることにより、心筋の瘢痕分布を計算するステップであって、
梗塞の貫壁性が、梗塞をカバーする領域内の総梗塞面積の割合として計算され、
心内膜の貫壁性が、心内膜境界からの距離値で重み付けされた前記梗塞の貫壁性として計算され、
前記心外膜の貫壁性が、心外膜の境界からの距離値により重み付けされた前記梗塞の貫壁性であり、
梗塞の均一性が、検出された梗塞の形態素近似演算子によって囲まれた領域に関連する検出された梗塞の領域として計算される、
ステップ
を備える、医療機器の作動方法。
【請求項2】
前記瘢痕分布が、心内膜または心外膜の3Dジオメトリ上のカラーまたはグレー値のオーバーレイを得るために重ね合わせる前に、前記機械的活性化データで重み付けされる、請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記3D解剖学的モデルが、心臓構造、梗塞ジオメトリ、冠静脈ジオメトリ、横隔神経ジオメトリまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される情報を備える、請求項1または2に記載の作動方法。
【請求項4】
ステップd)の前記計算が、心筋の3D歪分析を使用して機械的活性化遅延を計算することを備える、請求項1-3の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項5】
機械的活性化遅延が、ピーク歪に対応する心周期全体にわたる時間を特定することにより計算される、請求項4に記載の作動方法。
【請求項6】
最新の機械的活性化を経験する前記心臓のセグメントまたはゾーンが、前記3D解剖学的モデル上で概説されるように配置されそして提示され、前記最新の機械的活性化を経験する前記セグメントまたはゾーンが、心臓再同期療法における左心室での最適なペースメーカリードの位置決めのための候補セグメントまたはゾーンである、請求項1-5の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項7】
最新の機械的活性化を経験している前記心臓の梗塞のないセグメントまたはゾーンが、前記3D解剖学的モデルで概説されるように位置付けられそして提示され、前記最新の機械的活性化を経験している前記梗塞のないセグメントまたはゾーンが、心臓再同期療法における最適なペースメーカリードのポジショニングのための候補セグメントまたはゾーンである、請求項1-6の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項8】
前記形態素近似演算子が、コード(703)内の前記梗塞領域の分割を作動させ、そして斑状梗塞領域(402)を定義するコード(706、707)間の非梗塞領域を検出するように構成されている、請求項1-7の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項9】
前記3Dロードマップモデルが、心筋瘢痕のない、最新の電気的活性化を有する冠静脈上に位置する領域を、最適な左心室リード位置(単数または複数)として識別する、請求項1-8の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項10】
前記プロセッサが、3D冠静脈の解剖学的構造および電気的活性化タイミングを含む電気解剖学的マッピング(EAM)モデルを受信するステップと、
前記プロセッサが、前記3DロードマップモデルをEAMモデルに登録して、最適な左心室リード位置を決定するステップとを、
さらに、備える、請求項1-9の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項11】
前記プロセッサが、患者固有のX線画像データを受信するステップと、
前記プロセッサが、前記3Dロードマップモデルを前記X線画像データに登録して、1つまたは複数の最適な左心室誘導位置の概要を示すステップとを、
さらに、備える、請求項1-10の何れか1項に記載の作動方法。
【請求項12】
コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに請求項1-11の何れか1項に記載の作動方法を実行させる命令を格納している非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
患者の前記心臓の画像データセットを得るための装置であって、心臓再同期療法におけるガイダンスのための3Dロードマップを決定するために請求項1―12の何れか1項に記載の作動方法を実行するように構成されているデータ処理モジュールを備える、装置。
【請求項14】
前記装置が、シネ-MRI、遅延造影、冠状動脈MRAのデータセットを得るように構成されているMRI装置であることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
さらに、造影剤ありまたはなしでX線静脈造影図を得るように構成されているX線装置を組み合わせて備え、前記データ処理モジュールが、ペースメーカリードの配置を支援するための3Dロードマップモデルを計算するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
ステップd)における前記計算が、
i)前記プロセッサが、短軸シネMRI画像シーケンスと長軸シネMRI画像シーケンス内でLV心筋をセグメント化するステップと、
ii)前記プロセッサが、ステップi)でセグメント化された心筋の変形の3D変位フィールドを計算することにより3D歪を計算するステップと、
iii)前記プロセッサが、ステップii)で計算された前記3D歪に基づいて、前記心臓のLV心内膜またはLV心外膜の3Dモデルを生成するステップと、
を備える、請求項1に記載の作動方法。
【請求項17】
ステップiii)の前記生成において、前記心臓の前記機械的活性化が、機械的活性化を心筋瘢痕分布により重み付けることにより、前記3Dモデルの表面上で色分けされる、請求項16に記載の作動方法。
【請求項18】
以下のステップを実行するプロセッサを備える、CRT植込み手順中にユーザにガイダンスを提供する医療機器の作動方法であって、
i)前記プロセッサが、非侵襲的な3次元解剖学的画像生成に基づいて、心臓の様々な部分の3Dモデルを生成するステップと、
ii)前記プロセッサが、非侵襲的な3次元解剖学的画像生成に基づいて、前記心臓の機械的活性化の3Dモデルを生成するステップと、
iii)前記プロセッサが、ステップi)の前記3Dモデルをステップii)の前記3Dモデルに登録して、3Dロードマップモデルを形成するステップと、
iv)前記プロセッサが、ステップiii)の前記形成された3Dロードマップモデルを使用して、前記CRT植込み手順中にペースメーカリードの配置をユーザにガイドするステップと、
v)前記プロセッサが、時間の経過とともに複数の画像フレームにより構成されるX線画像データセットを受信するステップと、
vi)前記プロセッサが、前記CRT植込み手順中に前記ペースメーカリードを配置する際に前記ユーザをガイドするために使用される前記X線画像データセットに、ステップiii)で形成された3Dロードマップモデルを登録するステップと、
を備える、医療機器の作動方法。
【請求項19】
ステップi)における前記心臓の異なる部分の3Dモデルを生成することが、LV心内膜、心外膜、および心筋瘢痕の3Dモデルを生成することを含む、請求項18に記載の作動方法。
【請求項20】
心内膜3Dジオメトリまたは心外膜3Dジオメトリにカラーまたはグレー値オーバーレイとして重ね合わせる前に、前記心筋瘢痕が、前記機械的活性化により重み付けされる、請求項19に記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療画像化の技術分野、特に電気生理学の分野に関するが、事前手順および/または手順のガイダンスが必要なあらゆる分野で用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0002】
心不全は西欧諸国で一般的な病気であり、そして70歳以上の人々では10%まで増加している。心不全は、息切れ、足首の腫れ、および疲労の臨床症状を特徴とする臨床症候群として定義されている。心不全と診断された患者の約25%-30%は、炉床(hearth)の電気伝導異常を示している。心臓電気生理学は、不規則な心拍としても知られている異常な心臓のリズム、心臓不整脈または異常な心拍の診断と治療を含む心臓学の下位分野である。心臓不整脈は、心臓の電気伝導系に問題があるために心拍が不規則な状態のグル-プである。「不整脈」という用語は、異常な心調律の原因となる、正常なシ-ケンスからの電気的インパルスのあらゆる変化を指し、そして年齢、心臓障害、薬物療法、遺伝学などの様々な理由がその原因になり得る。
【0003】
心臓不整脈が心臓の2つの下室に反映している場合、心室の収縮が調整されなくなる。この状態は機械的同期不全として知られていて、そして脚ブロックの閉塞の結果である可能性がある。例えば、右脚ブロック(RBBB: right bundle branch block)の間、電気伝導システムは、両方の心室を同時に作動させずに、左から右に移動する。この結果、左脚ブロック(LBBB: left bundle branch block)の閉塞により、左心室の活性化が遅れる。
【0004】
心臓再同期療法(CRT: cardiac resynchronization therapy)には、通常、鎖骨のすぐ下に50セント硬貨サイズのデバイスを植込むことが含まれる。右心室(RV)に1本、右心房に1本、左冠静脈に1本(左心室リ-ドとしても識別)の3本のワイヤ(リ-ド)が、このデバイスに接続され、そしてこのデバイスは、心拍数の異常を検出して心臓の心室の収縮を監視し、そしてそれらを修正するために小さな電気パルスを放出する。実際には、これは、心臓を「再同期化」させていて、さらに左心室(LV)の容積を減らすことにより、再モデル化のプロセスを刺激する。
【0005】
CRTは、死亡率と罹患率の大幅な低下と生活の質の改善を示す、心不全患者に対する効果的な治療戦略として確立されて来ている。CRTが臨床結果と予後の改善において顕著な効果を示すにもかかわらず、CRTデバイスを植込んだ患者の最大40%というかなりの割合の患者が、この療法の恩恵を受けていない、いわゆる「ノンレスポンダ」である。CRTの効果が低下する理由は、a)CRTを植込んだ患者の準最適選択基準、およびb)左心室リ-ドの準最適配置に起因する。
【0006】
準最適患者の選択:欧州心調律協会(European heart rhythm association)の専門家コンセンサスペ-パである、非特許文献1および非特許文献2によると、CRTに適した患者には、a)NYHAクラスIIIまたはIVの心不全症状を示す患者、b)心エコ-検査で通常評価されるLV駆出率が35%未満である患者、およびc)心電図検査(ECG)で測定されるQRS複合体の延長(>120msec)に基づく同期不全の証拠が認められる患者が、該当する。
【0007】
CRTへの反応は、非特許文献3によって説明されているように、植込み前の心臓同期不全の存在に関係する。非特許文献4は、短軸心エコ-検査に基づくスペックルトラッキングアプロ-チを使用して、半径方向歪解析により同期不全を評価した。しかしながら、心エコ-検査に基づくスペックルトラッキングは、特に、超音波の物理的制限により信号振幅が著しく減少する瘢痕(心筋梗塞)の領域では、技術的に困難になり得る。さらに、超音波は、極めてオペレ-タに依存するので、結果として大きなばらつきが生じてしまう。
【0008】
LVリ-ドの準最適位置:患者内にLVリ-ドを植込むことは、技術的にはかなり複雑な手順である。CRTを植込むトレ-ニングには、重要な学習曲線がある。植込みの期間と透視時間はかなり長くなることがあり、冠静脈洞への挿管ができない、ガイドデリバリ-カテ-テルが不安定である、冠静脈狭窄、または閉塞、等のいくつかの理由により、植込みは、失敗する可能性がある。心臓ペ-シングおよびCRTに関するヨ-ロッパのガイドライン(非特許文献5)に記載されている従来のアプロ-チは、(画像診断法が、植込み手順の間に使用される)X線血管造影中に得られた解剖学的情報に基づいて、LVリ-ド配置戦略を定義し、そして後外側壁の冠静脈枝をタ-ゲットにする。この戦略は、LBBBによって引き起こされる左室同期不全患者では、通常、後外側壁が心室の最新の活性化部位であるという主張に基づいている。
【0009】
非特許文献6によれば、LVリ-ドの最適な配置位置は、心筋瘢痕のない、電気的活性化が最も新しく行われた領域として定義される。非特許文献7は、LVリ-ドを最新の機械的活性化部位に配置しかつ心筋瘢痕がないことにより、CRT応答が改善されると結論付けた。瘢痕がないことは、半径方向の歪み振幅>10%として定義された。しかしながら、超音波の物理的限界およびそれがオペレ-タに極めて依存することのため、心エコ-歪分析は、機械的活性化と心筋瘢痕の領域を評価するための最良の手法にはならない。
【0010】
非特許文献8は、冠静脈の電気解剖学的マッピング(EAM)に基づいて、電気活性化が最も新しく行われた領域にLVリ-ドを配置することが、実行可能であり、かつ臨床的に実行することが可能であることを、遡及フィ-ジビリティスタディによって、実証した。
【0011】
特許文献1は、2つのX線血管造影図(静脈造影図)に基づく3D冠静脈再構成から得られる冠静脈の3次元モデル上でデバイスを追跡することにより、医師がリ-ドを配置することを支援する方法を記載している。医師は、ランダムな位置でデバイスを作動させることができ、そしてこのシステムは、医師がリ-ドを最適な位置にナビゲ-トすることを支援する目的で、電気的応答を3Dモデルに重ね合わせることが出来る。しかしながら、この方法では、心筋梗塞の位置が考慮されず、さらに、ガイダンスが、冠静脈内のランダムな位置でデバイスを作動させることによって得られた結果に基づいているので、手順は試行錯誤で行われる。
【0012】
したがって、CRTを改善するための、より正確で、完全に客観的でかつ再現可能なアプロ-チが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第8,700,128号
【文献】米国特許第6,252,402号
【文献】米国特許第7,332,912号
【文献】米国特許第9,256,936号
【非特許文献】
【0014】
【文献】Daubert 外による、「心不全における心臓再同期療法に関する2012 EHRA/ HRS専門家コンセンサスステ-トメント:インプラントおよびフォロ-アップの推奨と管理」、Heart Rhythm 2012, 9(9), 1524-1576
【文献】Auger外による、「心臓再同期療法の患者評価:過去、現在、および画像技術の未来」、Canadian Journal of Cardiology 2010:26(1)
【文献】Gorcsanoy外による、「心臓再同期療法のための心エコ-検査:性能と報告に関する推奨事項- the Heart Rhythm Societyによって承認されたthe American Society of Echocardiography Dyssynchrony Writing Groupからの報告」、J Am Soc Echocardiogr 2008,21(3),191-213
【文献】Delgado 外による、「心臓再同期療法を受けている虚血性心不全患者の長期生存を予測するための左心室同期不全、左心室リ-ド位置、および心筋瘢痕の相対的メリット」、Circulation 2011,123(1):70-78
【文献】Brignole 外による、「心臓ペ-シングと心臓再同期療法に関する2013 ESCガイドライン:the European Heart Rhythm Association (EHRA)と共同開発されたthe European Society of Cardiology (ESC)の心臓ペ-シングと再同期療法に関するタスクフォ-ス」、Europace 2013, 15(8):1070-1118)
【文献】Vernooy 外による、「心臓再同期療法を改善する戦略」、Nat Rev Cardiol 2014, 11(8): 481-493
【文献】Khan 外による、「標的左心室リ-ド配置」(タ-ゲト)研究、「心臓再同期療法をガイドするための標的左室リ-ド配置:タ-ゲット研究:無作為化対照試験」、Journal of the American College of Cardiology 2012, 59(17):1509-1518
【文献】Rad外による、「冠静脈電気解剖学的マッピングによって導かれる最新の活性化領域における左心室リ-ドの配置」、Europace 2015, 17(1):84-93
【文献】van Geuns外による、「輪郭検出に3次元情報を使用したシネMR画像の自動定量的左心室解析」、Radiology 2006 Jul;240(1):215-21
【文献】Gruszczynska外による、「DE MRIによる心筋梗塞の定量分析のための異なるアルゴリズム:剖検標本測定との比較」、Acad Radiol. 2011 Dec;18(12):1529-36
【文献】Xu 外による、J. 2000. 変更可能なモデルを用いる医療画像のセグメンテ-ション、SPIE Press, Chapter 3, 129-174
【文献】LeCun外による、「深層学習」、 Nature 521 (7553) (2015), p436-444
【文献】Wolterink外による、「ペアの畳み込みニュ-ラルネットワ-クを使用した心臓ct血管造影における自動冠動脈カルシウムスコアリング」、Medical Image Analysis 2016, p123-136
【文献】Crum外による、「非剛体画像登録:理論と実践」、The British Journal of Radiology; 77 (2004), S140-S153
【文献】Zhuang外による、「心臓MRIの心臓全体の自動セグメンテ-ションのための登録ベ-スの伝搬フレ-ムワ-ク」、IEEE Transaction on Medical Imaging 2010 Sep;29(9):1612-25
【文献】Goff R外による、「ヒト横隔神経解剖学のMRI再構成と凍結バル-ン切除療法の計算モデリング」、Ann Biomed Eng. 2016; 44: 1097-1106
【文献】Qian外による、「後期ガドリニウムで造影されたMR画像での心筋の自動セグメンテ-ション」、J Cardiovasc Magn Reson. 2014; 16 (Suppl 1): P346
【文献】Sheehan外による、「局所心室機能を特徴付ける中心線法の利点と応用」、Circulation 1986, Aug;74(2):293-305
【文献】Gupta外による、「心臓MR灌流画像処理技術:調査」、Med Image Anal. 2012 May;16(4):767-85
【文献】Suever外による、「機械的同期不全と心臓再同期療法を受けている患者の術中電気遅延時間との関係」。J Cardiovasc Magn Reson vol 16, 2014
【文献】Geuns外による、「セグメンテ-ション法によって特定される。「輪郭検出に3次元情報を使用することによるシネMR画像の自動定量的左室分析」、Radiology 2006 Jul;240(1):215-21
【文献】Cerqueira外による、「心臓の断層画像化のための標準化された心筋セグメンテ-ションと命名法」、Circulation, vol.105, 2002: pp. 539-542
【文献】Amidror外による、「電子イメ-ジングシステムの散乱デ-タ補間法:調査」J. Electron。によって説明されているように、delaunay四面体化補間法に基づいている。J. Electron. Imaging 2202, vol. 11, no. 2: 157
【文献】Slomka外による、「マルチプラナ-、マルチブレスホ-ルド心臓シネMRイメ-ジングのための患者の運動補正」、Imaging, vol. 25, no. 5, pp. 965-973, 2007
【文献】Liu等による「3次元ソリッドのためのメッシュフリ-の半径方向点補間法(PRIM)」、Comput. Mech. 2005, vol. 36, no. 6, pp. 421-430
【文献】Suever外による、「3DスパイラルシネDENSE磁気共鳴イメ-ジングを使用した健康な被験者の右心室の緊張、ねじれ、および同期不全」、IEEE Transactions vol. 36, issue 5, 2017: pp. 1076-1085
【文献】Misch 外による、「磁気共鳴画像法による局所左室同期不全の3次元定量化」、Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc 2011: pp. 2646-2649
【文献】Layによる、「線形代数とその応用」、2012, 4th edition, p142-143, Addison-Wesley Longman
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本明細書の実施形態の目的は、心臓再同期療法におけるガイダンスとして、より一般的には、ペ-スメ-カのリ-ドを受け取るのに最適と考えられる領域を識別するために、使用される画像マップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本明細書の実施形態によれば、心臓再同期療法(CRT)におけるガイダンスを提供するためのデバイス、コンピュ-タプログラム製品およびコンピュ-タ実装方法が提供される。このデバイス、プログラム製品および方法は、特定の実行可能な命令で構成される1つ以上のコンピュ-タシステムの制御下で、
a)患者の心臓の画像デ-タセットを受信するステップと、
b)例えば、心臓構造、梗塞ジオメトリ、冠静脈ジオメトリ、横隔神経ジオメトリ、またはそれらの組み合わせを備える画像デ-タセットの少なくとも1つから、心臓構造の3次元(3D)解剖学的モデルを形成するステップと、
c)画像デ-タセットの少なくとも1つから心筋梗塞瘢痕分布を計算するステップと、
d)例えば、好ましくは、ピ-ク歪に対応する心臓サイクル全体にわたる時間を特定することにより、心筋3D歪分析を使用して、画像デ-タセットの少なくとも1つから心臓機械的活性化デ-タを計算するステップと、
e)例えば、心内膜または心外膜の3Dジオメトリにカラ-またはグレ-値のオ-バ-レイを取得するために重ね合わせる前に、瘢痕分布に機械的活性化デ-タを重み付けすることにより、解剖学的ジオメトリおよび/または機械的活性化デ-タおよび/または梗塞瘢痕分布を含む3Dロ-ドマップモデルを取得するために、瘢痕分布と機械的活性化デ-タを3D解剖学的モデルに重ね合わせるステップと、
を備える。
【0017】
一実施形態では、最新の機械的活性化を経験する前記心臓のセグメントまたはゾ-ン、または前記心臓の梗塞のないセグメントまたはゾ-ンが、前記3D解剖学的モデルで概説されるように位置付けられかつ提示され、当該セグメントまたはゾ-ンが、心臓再同期療法におけるペ-スメ-カのリ-ドの最適な位置決めのための候補セグメントまたはゾ-ンである。
【0018】
一実施形態では、ステップc)は、
-瘢痕の3D表面メッシュを提供するために心筋梗塞瘢痕をセグメント化する、または心筋梗塞瘢痕セグメンテ-ションを備えるデ-タを受信するステップ、および
-梗塞の貫壁性、心内膜の貫壁性、心外膜の貫壁性、および梗塞の均質性を重み付けすることにより、心筋の瘢痕分布を計算するステップであって、
梗塞の貫壁性が、前記梗塞を覆う前記領域内の総梗塞面積の割合として計算され、
心内膜貫壁性が、前記心内膜境界からの距離値で重み付けされた前記梗塞貫壁性として計算され、
前記心外膜の貫壁性が、是心外膜境界からの距離値で重み付けされた前記梗塞の貫壁性であり、そして
前記梗塞の均一性が、前記検出された梗塞の形態素近似演算子によって囲まれた前記領域に関連する前記検出された梗塞の領域として計算される、
ステップを備える。
【0019】
前記形態素近似演算子は、通常、コ-ド内の前記梗塞領域の区分を操作し、そして斑状梗塞領域を定義するコ-ド間の非梗塞領域を検出するように構成されている。
【0020】
一実施形態では、前記3Dロ-ドマップモデルは、心筋瘢痕がない、最新の電気的活性化が行われた冠静脈に位置する領域を、最適な左心室リ-ド位置(単数または複数)として識別する。
【0021】
一実施形態によれば、前記心臓の機械的活性化計算は、
i)短軸シネMRI画像シ-ケンスと長軸シネMRI画像シ-ケンス内でLV心筋をセグメント化するステップと、
ii)ステップi)でセグメント化された心筋の変形の3D変位フィ-ルドを計算して3D歪を計算するステップと、
iii)ステップii)で計算された前記3D歪に基づいて、前記心臓の前記LV心内膜またはLV心外膜の3Dモデルを生成するステップと
を備える。
【0022】
前記心臓の前記機械的活性化は、機械的活性化に心筋瘢痕分布を重み付けすることにより、前記3Dモデルの表面上で色分けされることが好ましい。
【0023】
一態様によれば、最適な左心室リ-ド位置(単数または複数)を概説するために決定するために、3D冠静脈の解剖学的構造および電気的活性化タイミングを含む電気解剖学的マッピング(EAM)モデルが、受信されかつ前記3Dロ-ドマップモデルに登録される。
【0024】
一実施形態では、最適な左心室リ-ド位置(単数または複数)の概要を示すために、X線静脈造影図のような患者固有のX線画像デ-タが、受信されそして前記3Dロ-ドマップモデルに登録される。
【0025】
本明細書の実施形態は、デジタルコンピュ-タのメモリに直接ロ-ド可能であるコンピュ-タ製品であって、前記製品がコンピュ-タで実行されるときに前記記載された請求項の方法を実行するためのソフトウェアコ-ド部分を備えるコンピュ-タ製品にも関する。
【0026】
一実施形態は、本明細書の実施形態による方法を実行して心臓再同期療法におけるガイダンスのための3Dロ-ドマップを決定するように構成されているデ-タ処理モジュ-ルを備える、患者の心臓の画像デ-タセットを取得する装置を提供する。
【0027】
一実施形態では、前記装置は、シネ-MRI、遅延造影、冠動脈MRA、等のデ-タセットを取得するように構成されているMRI装置である。
【0028】
一態様によれば、前記MRI装置は、造影剤ありまたはなしでX線静脈造影図を取得するように構成されているX線装置と組み合わされていて、前記デ-タ処理モジュ-ルが、ペ-スメ-カリ-ドの配置を支援する3Dロ-ドマップモデルを計算するように構成されている。
【0029】
本明細書の実施形態によれば、CRTを植込む処置中に、ユ-ザにガイダンスを提供する方法は、
i)非侵襲的3次元解剖学的画像生成に基づいて、前記心臓の様々な部分の3Dモデルを生成するステップと、
ii)非侵襲的3次元解剖学的画像生成に基づいて、前記心臓の機械的活性化の3Dモデルを生成するステップと、
iii)ステップi)の前記3Dモデルをステップii)の前記3Dモデルに登録して、3Dロ-ドマップモデルを形成するステップと、
iv)ステップiii)の前記形成された3Dロ-ドマップモデルを使用して、前記CRT植込み手順中にペ-スメ-カリ-ドの配置をユ-ザにガイドするステップ
を備える。
【0030】
ステップi)における前記心臓の異なる部分の3Dモデルを生成することは、LV心内膜、心外膜、および心筋瘢痕の3Dモデルを生成することを含むことが有利である。
【0031】
一実施形態では、前記方法は、さらに、
時間の経過とともに複数の画像フレ-ムで構成されるX線画像デ-タセットを受信するステップ、そして
前記CRT植込み手順中に前記ペ-スメ-カリ-ドを配置する際に前記ユ-ザをガイドするために使用するために、iii)で形成した前記3Dロ-ドマップモデルを前記X線画像デ-タセットに登録するステップ、
を備える。
【0032】
本明細書の実施形態の特徴およびそこから得られる利点は、添付の図面に示される非限定的な実施形態の以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】好ましい実施形態における本発明のステップのフローチャートを示す。
図2A】本明細書の一実施形態によるMRユニットのブロック図の例を示す。
図2B】本明細書の実施形態によるMRシステムの例示的なMRI収集の機能ブロック図を示す。
図3】3D心内膜および3D梗塞モデルの形成方法を視覚化したものである。
図4A】LV内膜、心外膜、梗塞およびRV内膜を含む3Dモデルの例を示す。
図4B】短軸MRIに基づくLV心内膜、心外膜、梗塞、RV内膜および冠静脈洞を含む3Dモデルの例を示す。
図5】3D冠静脈ジオメトリを備えた3D心臓モデルの例を示す。
図6】最も一般的なタイプの心筋瘢痕の概要を示す。
図7】心筋の瘢痕分布の計算例を示す。
図8】心筋の歪の異なる方向が、心筋の歪の計算に使用される異なるシネMRI画像データセットのいくつかの例を含むことを示す。
図9】円周方向歪の例を含む短軸シネMRI画像データセット内の計算された変位フィールドの例を示す。
図10】機械的活性化を計算する方法のフローチャートを示す。
図11】複数のLAおよびSAシネMRIデータセットを16セグメントモデルに結合する視覚的表現を含む、米国心臓協会の16セグメントモデルを示す。
図12】3Dで視覚化された1つのSA画像フレームと、結果の3D変位を示す。
図13】1心周期内の全体の半径方向、円周方向、および縦方向の歪みのグラフを示す。
図14】最新の活性化を使用して、16セグメントAHAモデルで表される機械的活性化マップの形成方法を視覚化したものである。
図15】3D表面モデルでエンコードされた機械的活性化色を示す。
図16】TDC曲線の相互相関を使用した機械的活性化マップの形成方法を示す。
図17】3Dロードマップ形成の例を示す。
図18】別の好ましい実施形態における本発明のステップのフローチャートを示す。
図19】X線静脈造影図の例を示す。
図20】本明細書の一実施形態によるX線シネ蛍光撮影ユニットのブロック図の例を示す。
図21】例示的なシングルプレーン血管造影システムの機能ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
磁気共鳴撮像装置は、順次撮像を実行するように構成されている撮像ユニットを含む。この装置は、静磁場に置かれた被験者(すなわち患者)に無線周波磁場を印加する。高周波磁場の印加により、被験者から発生した磁気共鳴信号が検出される。検出された信号を使用して、画像が形成される。磁気共鳴撮像法は、勾配磁場を被験者に印加することにより、磁気共鳴信号に空間位置情報を追加する勾配コイルも含む。無線周波数パルスと勾配の様々な組み合わせを使用して、様々なMRIシ-ケンスを形成することが出来る。MRIパルスシ-ケンスは、プログラムされた、変化する磁気勾配のセットである。異なるパルスシ-ケンスにより、放射線科医は、同じ組織を様々な方法で画像化することができ、シ-ケンスの組み合わせにより重要な診断情報が明らかになる。図2Aは、MRIシステムの高レベルのブロック図の例を示す。(様々な機能ブロックによって定義される)システムの部分は、専用ハ-ドウェア、アナログおよび/またはデジタル回路、および/またはメモリに格納されたプログラム命令を操作する1つ以上のプロセッサにより実装させることが出来る。図2AのMRIシステムは、患者201用の調整可能なテ-ブル202、デ-タ処理モジュ-ル203、および磁石システム206を含む。デ-タ処理モジュ-ル203は、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサに本明細書に記載される動作を実行するように命令するプログラム命令を格納するメモリとを含む。デ-タ処理モジュ-ル203は、本明細書で説明され、図面に示される画像、証印、デ-タ、および他の情報などの情報をユ-ザに提示するディスプレイも含む。デ-タ処理モジュ-ル203は、撮像法の動作を制御するような、本明細書の動作に関連してユ-ザから入力を受信するためのユ-ザインタ-フェ-スも含む。例えば、スキャンパラメ-タは、選択または変更させることが出来、患者の画像は表示させても良く、そして補完画像を取得するときに使用される投影パ-スペクティブを選択する関心領域の測定および視覚的および/または定量的制御を含む後処理は、実行させることが出来る。デ-タ処理モジュ-ル203は、本明細書で参照され、かつ参照により組み込まれている特許および刊行物内に記載されているシステムのうちの1つまたは複数の部分に対応する、またはそれらを含んでいても良い。MRIシステムの重要な面の1つは、磁石システム206である。磁石システム206は、一般に、大きな、管または円筒状磁石を含む。磁石は、通常、ヘリウム冷却された超伝導線のコイルから作られた電磁石である。これらのコイルに流れる電流は、磁場を生成する。永久磁石を使用することも出来る。磁場は、テスラで測定される特定の磁場強度を有する。磁石システム206の重要な面は、磁場の均一性である。これは、指定された領域または体積にわたってほとんど変化しない磁場である。しかしながら、製造上の欠陥および近くに鉄柱があると言う様な介入室の問題により、磁場の歪みが発生する場合がある。これらの不均一性は、シムシステム207を使用して修正される。修正は、手動または自動で実行させることが出来る。特許文献1および特許文献2は、永久磁石に基づくシステムのシミング技術の例を開示する。臨床MRI水素の場合、人体の原子が重要である。各水素原子の核は、核スピン角運動量とも呼ばれるスピンを有する。つまり、水素原子の核は一定の速度で軸の周りを常に回転する。磁場内に配置されると、回転軸は傾斜して磁場に整列する。磁石システム206によって生成される強い静磁場は、磁場の強さに依存する特定の周波数で人体の各水素原子のスピンを整列させる。次に、無線周波数システム209は、検査被験者の身体の部分に向けて、無線周波数パルス(RFパルス)を放出し、これは、水素陽子が移動する特定の周波数範囲に同調する。これにより、水素陽子の一部が静磁場と180度ずれて移動しそして他の水素陽子と同位相になる。
【0035】
無線周波数システム209は、一般に、送信コイルを備える。
【0036】
送信コイルは、通常、スキャナの本体に組み込まれていて、そしてRF信号を送信して、主磁場に垂直な有効磁場を生成する。
【0037】
体内の様々な水素原子に吸収されるエネルギは、エコ-または反射されて、体から外に出て戻る。勾配システム208は、オンおよびオフに切り替えられて、患者201から黒を反射するエコ-を測定し、したがって組織信号を定位化する。一般に、勾配システム208は、1つまたは複数の勾配コイルと勾配増幅器からなる。
【0038】
勾配コイルは、通常、MRIスキャナのボアのすぐ内側にある円筒状のシェル上のワイヤまたは薄い導電性シ-トのル-プである。これらのコイルに電流が流れると、二次磁場が発生する。この勾配磁場は、予測可能なパタ-ンで主磁場をわずかに歪ませ、これにより陽子の共鳴周波数が位置の関数として変化する。通常、3組の勾配:x、y、z勾配が、使用される。
【0039】
各コイルセットは、独立した電力増幅器によって駆動され、そして画像生成に必要な直交磁場歪みを生成する、x成分、y成分、z方向に沿ってそれぞれz成分が線形に変化する傾斜磁場を形成する。
【0040】
次に、デ-タ収集システム210が、エコ-を受信する。デ-タ取得システム210は、陽子からの信号を測定しそして後処理のためにそれらをデジタル化する役割を担っている。一般に、デ-タ収集システム210は、コイル、前置増幅器、および信号処理システムから構成されている。
【0041】
コイルは、RFパルスに続く陽子からの誘導電圧を検出する。コイルは、戻り信号の特定の周波数に同調されている。前置増幅器は、陽子によって生成された信号を処理することができるように、磁石室またはコイル自体の内部に配置されている低ノイズの高ゲイン増幅器である。
【0042】
さらに、信号処理システムは、例えば、信号のさらなる増幅、信号のkHz信号への復調、信号を実数部と虚数部に分割した後、A/Dコンバ-タ(ADC)によって検出するロ-パスフィルタを提供する。数学的デ-タ(k空間)としての陽子からの信号は、逆フ-リエ変換(IFT)を適用することにより、臨床医が解釈できる画像に変換される。
【0043】
ストレ-ジ204は、再構成された直後に取得されて来た患者画像を格納するために使用される。これは、通常、DICOM(Digital Imaging and Communications in Mediシネ:医療におけるデジタルイメ-ジングおよび通信)のような(ベンダに依存しない)汎用言語で行われる。このストレ-ジは、ハ-ドディスクまたはPACS(picture archiving and communication system:画像ア-カイブおよび通信システム)サ-バまたはVNA(vendor neutral archive)205とすることが出来る。
【0044】
図2Bは、ユ-ザインタ-フェ-スモジュ-ルからのコマンドの下で動作し、かつデ-タ分析モジュ-ル703にデ-タを提供するMRシステム702を含む、本明細書の実施形態による例示的なMR取得の機能ブロック図である。
【0045】
臨床医または他のユ-ザは、患者201のMRI画像を取得し、そしてこの画像をDICOM形式でハ-ドディスク204またはPACSまたはVNAサ-バ205に格納する。
【0046】
MRIシステム702は、例えば、心臓および大動脈の関心容積のMRデ-タを取得する。このMRシステムは、通常、磁石システム、無線周波数システム、勾配システム、デ-タ収集システム、およびデ-タストレ-ジを含む。
【0047】
このデ-タ分析モジュ-ル703は、パ-ソナルコンピュ-タ、ワ-クステ-ション、または他のコンピュ-タ処理システムによって実現させても良い。このデ-タ分析モジュ-ル703は、MRIシステム702により取得されたMRデ-タを処理して、例えば、3Dロ-ドマップモデルを生成する。このユ-ザインタ-フェ-スモジュ-ル701は、ユ-ザと対話し、そしてデ-タ分析モジュ-ル703と通信する。このユ-ザインタ-フェ-スモジュ-ル701は、視覚出力のためのディスプレイスクリ-ン、タッチ入力のためのタッチスクリ-ン、入力用のマウスポインタまたは他のポインティングデバイス、音声入力用のマイク、音声出力用のスピ-カ、入力用のキ-ボ-ドおよび/またはキ-パッド、等のような様々な種類の入出力デバイスを含むことが出来る。
【0048】
次に、図1を参照して実施形態を開示する。ここに示される動作は、任意の論理シ-ケンスで実行させることができ、かつ部分的に省略することができることは、明らかである。図1に提示される実施形態の目的は、医師(例えば、電気生理医師)が最適なCRT治療戦略を準備および決定するために、使用することができるロ-ドマップを提供することである。
【0049】
図1からわかるように、ワークフローは、いくつかのステップにより構成されている。先ず、図1のステップ101に記述されるように、患者固有の画像データが、得られる。患者固有の画像データは、非侵襲的心臓磁気共鳴画像(MRI: magnetic resonance imaging)検査中に得られる。この非侵襲的MRI検査から、短軸(SA)および長軸(LA)標準シネMRI並びに遅延造影MRIの両方が、提示される必要がある。さらに、冠動脈MRA画像データも取得することが出来る。オプションとして、3D冠静脈の解剖学的構造と電気的活性化タイミングの両方を含む電気解剖学的マッピング(EAM: electro anatomic mapping)を、追加で取得することも出来る。
【0050】
図1のステップ102では、3次元(3D)心臓モデルが形成される。3D心内膜および3D梗塞モデルの形成方法は、図3に視覚化されている。この心臓3Dモデルは、遅延造影患者固有画像デ-タセットが取得される心位相で形成される。一般に、これは、造影末期の心臓期を表す。臨床医または他のユ-ザは、遅延造影患者固有画像デ-タセット内で左心室(LV: left ventricle)心筋境界(すなわち、LV心内膜境界およびLV心外膜境界、例えば、図4A、ラベル403、402を参照)を識別(セグメント化)する。オプションでは、右心室(RV: right ventricle)の血液プ-ル(図4A、404)も識別される。図4A、401は、遅延造影患者固有画像デ-タセット内の1つの短軸画像フレ-ムを示すことに留意されたい。セグメンテ-ションは、ユ-ザが、手動、半自動または自動で実行させることが出来る。半自動の例は、非特許文献9により提供されている。図3において、ラベル301は、左心室全体を心底から心尖まで包含する、心内膜セグメンテ-ションの結果を3Dで示す。一般的に、LVは、遅延造影患者固有の画像デ-タセット内で、(心底から心尖まで)約25枚のスライスによりカバ-される。ここで、心底とは、LVの血液プ-ルが、それぞれ僧帽弁と大動脈弁によって左心房と上行大動脈から分離されている心臓の位置を指し、心尖は、LVの心底とは反対側のLVの先端を表す。セグメンテ-ションは、通常、2次元(2D)画像フレ-ムで実行され、そして3Dへの変換は、DICOMヘッダを介してMR画像生成システムから取得された絶対システム座標を使用して、行われる。3D表面メッシュを取得するために、連続スライスの3D座標間の三角測量が実行されて、図3、302に示されるような3D表面メッシュが形成される。同じ方法を使用して、LV心外膜およびRV心内膜(血液プ-ル)の3D表面メッシュを生成することも出来る。
【0051】
心筋瘢痕(図4A、405)のセグメンテ-ションは、ユ-ザが、手動または半自動または自動で実行することが出来る。非特許文献10には、半自動の心筋瘢痕セグメンテ-ションの例が提供されている。心筋瘢痕は通常複雑な3Dジオメトリであるため、心筋瘢痕組織の3D表面メッシュを生成するためには、異なる方法が採用される。まず、3Dセグメント化された瘢痕境界の患者固有の遅延造影画像デ-タセットの連続スライス間の補間に基づいて、追加の3D座標が、形成される(図3、305)。次に、図3、306に示されるように、レイトレ-スに基づいて表面メッシュアルゴリズムを実行して、最終的な3D瘢痕表面メッシュが形成される。LV心内膜および3D LV心筋瘢痕の3D表面メッシュの例は、図3、304に示されている。図4A、406は、LV心内膜(407)、LV心外膜(408)LV心筋瘢痕(409)およびRV血液プ-ル(410)を見ることが出来る3D表面メッシュ(3D心臓モデル)を示す。図4A内の406により提供される例では、RV心筋瘢痕は存在しないが、上記と同じアプロ-チを使用して、RV心筋瘢痕の3D表面メッシュを生成することができる。
【0052】
オプションで、患者固有の遅延造影画像デ-タセット(図4B、411)内で冠静脈洞をセグメント化することも出来る(図4B、413)。図4B、414は、冠静脈洞(415)の3D表現を含む3D心臓モデルを示す。
【0053】
オプションでは、詳細な3D冠静脈ジオメトリが、3D心臓モデルに追加される(図5参照)。これは、患者固有の冠動脈磁気共鳴血管造影(MRA)画像デ-タセットから3D冠静脈ジオメトリを抽出することにより達成される。図5、501は、そのようなMRAデ-タセットの例を示していて、ここでは、冠静脈洞(502)が、可視であり、そして左心房(503)から発している。図5、504は、冠静脈の解剖学的構造が見える(505)心臓の3D容積レンダリング表現を示す。詳細な3D冠静脈ジオメトリは、画像セグメンテ-ション技術によって抽出される。例えば、冠静脈は、3D変形可能セグメンテ-ション法(非特許文献11)によってセグメント化することが出来る。
【0054】
冠静脈をセグメント化する別の方法は、機械学習アルゴリズムの使用である。機械学習は、「明示的にプログラミングされていなくてもコンピュ-タに学習する能力を与える」コンピュ-タサイエンスのサブフィ-ルドである。人工知能のパタ-ン認識と計算学習理論の進化から発展して来た機械学習は、デ-タから学習し、そしてデ-タに予測を行うことが出来るアルゴリズムの研究と構築を探求する。このようなアルゴリズムは、デ-タ駆動の予測または決定を行うことにより、厳密に静的なプログラム命令に従うことなく、サンプル入力からモデルを構築する。機械学習は、明示的なアルゴリズムの設計とプログラミングを実行することが出来ない様々なコンピュ-ティングタスクで採用されている。機械学習アルゴリズムは、自然画像の処理に広く使用されていて(非特許文献12)そして最近では、例えば、非特許文献13で提供されているように、分類およびセグメンテ-ションタスクの医療画像分析にも使用されている。
【0055】
既知のクラスラベル(例えば、冠静脈の解剖学的構造、左心室、左心房などの識別)を持つ画像のデ-タセット(例えば、冠動脈MRA)が与えられると、機械学習システムは,新しい画像のクラスラベルを予測することが出来る。このようなシステムには、少なくとも2つの部分がある。機械学習の第1の部分は、画像から与えられた特徴ベクトルを形成するためのアルゴリズムである特徴抽出(エクストラクタ)である。特徴ベクトルは、画像デ-タセットから測定または抽出される一連の要因(例、複数の数値)を備え、これらは、被験者のオブジェクト(この場合は冠静脈の解剖学的構造)の性質を説明または特徴付ける。これらの特徴は、次いで、システムの第2の部分である分類子によって使用され、不可視の画像から抽出された不可視の特徴ベクトルを分類する。(大規模な)画像デ-タベ-スとそれらのラベルが既知でありかつ事前に機械学習アルゴリズムをトレ-ニングするために使用された特徴ベクトルとが与えられた場合、(画像をトレ-ニングする)(既知の)ラベルを有する画像の場合と同じ方法で抽出された特徴に基づいて、不可視画像を分類することが、可能になる。
【0056】
冠静脈の特徴は、MRAデ-タセットから抽出される。このために、冠静脈の特徴(例、ガウス、ハラリックテクスチャ特徴)を記述する如何なる工学的特徴も使用することが出来る。また、畳み込みオ-トエンコ-ダのようなエンコ-ド方法によって抽出された冠静脈の特徴を使用することも出来る。これらの特徴の如何なる組み合わせも選択することが出来る。畳み込みオ-トエンコ-ダ(CAE: convolutional autoencoder)は、画像デ-タから特徴を抽出する手法である。オ-トエンコ-ダの目的は、一般的には次元削減のために、デ-タのセットの表現(エンコ-ド)を学習することである。オ-トエンコ-ダは、エンコ-ダデコ-ダパラダイムに基づいていて、入力は、まず通常の低次元空間(エンコ-ダ部分)に変換され、次いで、伸張されて、初期デ-タ(デコ-ダ部分)が再現される。これは、教師ありまたは教師なしの態様でトレ-ニングされ、ラベルのないデ-タから一般に有用な特徴を抽出する。これは、入力の冗長性を検出および削除し、そして堅牢で識別可能な表現でデ-タ分析の重要な側面を提示することを可能にする。CAEは、画像の全てのデ-タを小さなベクトルに圧縮する。この小さなベクトルには、デコ-ダが画像を再構成するのに十分な情報が含まれている必要がある。これにより、このエンコ-ダは、圧縮されている画像に関する特徴を学習することを強制される。
【0057】
図5に戻ると、3D心臓モデルは、詳細な冠静脈ジオメトリにより伸張されている。上記で説明したように、3D冠静脈は、患者固有のMRA画像デ-タセットに基づいて抽出され、そして図4Aまたは4Bを参照して前述したように、LV心内膜、LV心外膜、LVおよび/またはRV心筋瘢痕およびRV血液プ-ルが、患者固有の遅延造影デ-タセットに基づいて抽出される(図5、506、507)。
【0058】
患者固有の遅延造影画像デ-タセットの取得と患者固有のMRA画像デ-タセットの取得は、同時には行われないため、2つの患者固有の画像デ-タセットを共通の座標系に合わせるための登録を実行する必要がある。一般に、心臓のMR検査は、いくつかの画像デ-タセットを取得する。例えば、SAシネMRI、LAシネMRI、遅延造影、冠動脈MRA、等は、全て、順次に取得され、この結果、これらの画像デ-タセット間に患者の動きが存在する可能性がある。患者固有の遅延造影画像デ-タセットと患者固有のMRAデ-タセットの位置合わせは、例えば、非特許文献14または非特許文献15に記載されている画像登録技術によって実行させることが出来る。
【0059】
この登録プロセスの後、図5の508に示されるように、患者固有のMRA画像デ-タセットに基づいてセグメント化された冠静脈ジオメトリが、患者固有の遅延造影画像デ-タセットに基づく心臓構造の3D表面メッシュと組み合わされる。冠静脈のセグメンテ-ションから生じる解剖学情報は、3D心臓モデル内の共通座標系で、冠静脈洞(509)、大心臓静脈(510)、左辺縁静脈(511)および小心臓静脈(512)のように視覚化される(508)。
【0060】
CRT処置中は、慢性しゃっくりを防ぐために、横隔神経刺激を避ける必要がある。現在、横隔神経刺激の回避は、植込み手順中の追加のアクションによって実行される。オプションでは、横隔神経の3Dジオメトリが、3D心臓モデルに含まれる(102)。これは、例えば、T2造影MRIを患者固有の画像デ-タに追加することにより(101)行うことが出来、そして例えば、非特許文献16により教示されるように、横隔神経を抽出することが出来る。
【0061】
図1のステップ103では、心筋内の心筋瘢痕の空間分布が計算される。心筋瘢痕は、心筋全体に異なって分布する可能性がある。図6は、心筋内の瘢痕の均一性と瘢痕の空間的位置に関連している、最も一般的なタイプの心筋瘢痕の概要を示す。例えば、601は、心筋の厚さ全体をカバ-する梗塞を意味する壁全体の梗塞を示す。このような領域は、このような位置が、CRTデバイスによる誘導電気信号の伝播を著しく妨げる、またはさらにはブロックするであろうことから、LVリ-ドの配置には適していない。同じことが、心外膜下梗塞(605)にも当てはまる。しかしながら、梗塞が心内膜下(604)の場合、LVの心内膜(例えば、EBRシステムからのWiSE-CRTシステム)に配置された電極(LVリ-ド)による誘導電気信号の伝播は、効果的である。心外膜静脈によるLVリ-ドの配置は、CRTデバイスによる誘導電気信号の伝播を再び妨げるであろう、そして中層心筋梗塞(603)が、心内膜と心外膜の両方のアプロ-チによる誘導電気信号の伝播を潜在的に妨害する。さらに、微小な斑状梗塞(602)の場合には、誘導された電気信号の伝播は、予測不可能であろう。
【0062】
心筋内の瘢痕の均一性と瘢痕の空間的位置を定量化するために、図7を参照する。心外膜境界(701)と心内膜境界(702)は、セグメント化する必要がある。これは、手動または(半)自動アプロ-チの何れかで実行させることが出来る。自動セグメント化方法の例は、非特許文献17によって説明されている。次のステップは、前述のように心筋内の梗塞をセグメント化することである。次に、例えば、非特許文献18に記載されているSheehan中心線アルゴリズムを使用して、心筋壁は、いくつかの領域に分割される。他の方法、例えば、心筋が、心室の中心から心外膜の境界に向かって半径方向に定義される領域に分割される半径方向の細分化アルゴリズムも使用することが出来る。図7では、心筋は、中心線アルゴリズムを使用して、99のコ-ドにより100の領域に分割されている(図7、703)。梗塞の貫壁性は、梗塞をカバ-する領域内の総梗塞面積のパ-セントである梗塞面積として計算される。図7では、これはコ-ド705および706によって識別される。心内膜の貫壁性は、各領域が距離値で重み付けされている点を加えて、梗塞の貫壁性と同じ方法で計算される。心内膜境界(702)と(心内膜境界に最も近い)梗塞境界の距離が、例えば、1ピクセルサイズ以内の場合、この重みは1、これ以外の場合は0である。心外膜貫壁性に対しては、距離を、心外膜の境界(702)から(心外膜の境界に最も近い)梗塞の境界までとして、同じアプロ-チが使用される。様々な重み関数、例えば、梗塞と被験者の境界との間の距離の関数としての非線形重み、を定義することが出来る。
【0063】
梗塞の均一性を評価するために、検出された梗塞の形態素近似演算子で囲まれた領域に関連する、検出された梗塞の領域が、計算される。画像処理内で、形態素近似演算子が、事前に定義された領域内のギャブを埋める。この領域の識別には、コ-ドが使用される(703)。この領域は、梗塞スポットが最後のコ-ドまで識別される第1のコ-ドとして定義される。斑状梗塞領域の正確な検出を可能にするために(図4、402)、(コ-ド間に梗塞がない)空領域が許可される。この空領域は、例えば、1つの領域とすることが出来るであろう。1つの空領域が許可された例では、許可された斑状梗塞領域のサイズは、コ-ド706と707の間の領域として定義される。
【0064】
前述したように、最終的な心筋の瘢痕分布を、電極を心外膜(冠静脈内)に配置するかまたは電極を心内膜に配置するかに応じて、計算することは有用である。この配置の選択が、CRT手順の前に知られている場合も、またはこの選択が、医師がCRT手順を計画するのを支援するためのステップ105の出力の結果である場合もある。最終的な心筋の瘢痕は、次の方程式(
【数1】
):
【数2】
によって計算される
【0065】
ここで、電極の心外膜配置と心内膜配置の間でパラメ-タは異なるであろう。例えば、心内膜アプロ-チの場合、パラメ-タβの値はパラメ-タγの値よりも小さくなるであろう。最後のステップは、最終的な心筋の瘢痕分布を正規化することである。
【0066】
オプションとして、心筋虚血を心筋瘢痕分布に組み込むこともが出来る。心筋虚血とは、心筋への酸素供給を妨げることを指し、そして主に冠動脈狭窄(狭窄、通常はアテロ-ム性動脈硬化症による)によって引き起こされる。心筋の筋肉は「損傷」とみなされる可能性があるため、心筋虚血を罹患している側(領域)にLVリ-ドを配置することは避けることが望ましいであろう。CRT処置を実行または検討する前に、先ず、経皮的冠動脈インタ-ベンション処置(PCI)を検討すべきか否かを評価することは、医師に対して追加情報を提供することにもなるであろう。PCIは、心臓の冠状動脈の狭窄(ステノシス)を治療するために使用される最小限の侵襲的処置である。心筋虚血は、MRI灌流画像デ-タセットを使用して評価することが出来る。非特許文献19に記載されているように、いくつかの方法が、心筋灌流を計算するために使用することが出来る。計算された灌流は、例えば、重み付けされた灌流結果を方程式に追加することにより、
【数3】
に組み込むことが出来る。オプションとして、冠動脈は、MRA画像デ-タセットに基づいてセグメント化させ、そして3Dジオメトリは、3D心臓モデルに含めることが出来る。
【0067】
図1のステップ104では、心筋の最新の機械的活性化が計算される。心臓のポンプ作用は、心臓の様々な心室の収縮を調整する独自の電気伝導システムによって、規制される。右心房の洞結節(洞房結節またはSA結節とも呼ばれる)から電気インパルスが発せられると、正常な心拍が始まる。洞結節は、心臓の速度とリズムを設定する役割を担っているため、心臓のペ-スメ-カと呼ばれる。洞結節から発せられる電気的インパルスは、心房全体に広がって、それらを収縮させそして血液を心室に圧搾する。電気インパルスは、洞結節から房室結節(AV結節とも呼ばれる)に移動する。この場合、インパルスは非常に短い期間減速され、そしてその後、Hisの束を介して心室への伝導経路に継続する。Hisの束は、束枝と呼ばれる左右の経路に分岐する。心臓の心底で、束は、さらにプルキンエ繊維に分岐し始める。インパルスがこれらの繊維に到達すると、心室の筋繊維が収縮する。健常な心臓では、左右の束の間の同期した電気的活性化により、左右の心室の同期した機械的収縮がもたらされ、その結果、良好なポンプ機能が得られる。電気的活性化においてこの同期が分散されている場合、心臓は、例えば、LBBBの場合のように、非同期に収縮するであろう。非特許文献20によって報告されているように、電気的活性化とその結果として生じる機械的活性化との間には強い相関関係がある。機械的活性化を評価するためには、心筋の歪解析が展開される。
【0068】
心筋歪は、心筋の局所的または全体の変形の尺度である。変形という用語は、心周期中の形状および寸法の心筋の変化を指す。例えば、バンドル分岐ブロックがLBBBまたはRBBBの何れかの場合、心筋の様々な領域内に、変形の局所的な不均一性が存在する。心筋の変形または歪の分析は、一般に、3つの心臓軸(半径方向、円周方向、および縦方向)に合わせた局所座標系に従って実行される。図8には、これらの3つの方向が示されていて、801は縦方向の歪み、802は円周方向の歪み、803は半径方向の歪みである。これら3つの歪成分全てを評価するために、標準のMRI心臓収集:短軸シネMRI画像デ-タセット(808)、および1つ以上の長軸シネMRI画像デ-タセット(805、806、807)が使用される。短軸デ-タセット(808)内では、円周方向(802)の歪と半径方向(803)の歪を評価することが出来る。長軸デ-タセット内では、縦方向(801)および半径方向(803)の歪を評価することが出来る。これらの2D歪み成分は、先ず、画像登録手法によって変形を定義し、次にこの変形に基づいて歪みを計算することによって、計算される。歪は、長さの相対的な変化として定義される。歪のラグランジュ方程式では、εL=(L-L0)/L0=ΔL/L0、(ここで、L0はベ-スライン長、Lは結果の長さ)である。この方程式は、無次元尺度として、元の長さに対する歪を定義する(ここで、短縮はマイナスになり、そして延長はプラスになる)。これは、通常、パ-セントで表される。別の定義であるオイラ-歪は、瞬間的な長さに関する歪を定義する:εE=ΔL/L。経時変化の場合、ラグランジュ歪:εL=ΣΔL/ L0、およびオイラ-歪εE=Σ(ΔL/L)。
【0069】
画像処理によって変形を定義する一例は、ブロックマッチングアルゴリズムを使用することである。ブロックマッチングアルゴリズムは、関心領域内の参照画像
【数4】
内の各ピクセル
【数5】
の周りのブロックを考慮した。この参照画像
【数6】
は、例えば、心周期内の造影末期時点、および例えば、非特許文献21に示されるセグメンテ-ション方法により識別される心筋の関心領域とすることが出来る。関心領域は、周囲の心筋組織を含むように造影させても良い。各ピクセル
【数7】
の周りのブロックは、任意の形状とサイズとして定義することが出来る。類似性測定の助けを借りて、我々は、第2の画像フレ-ム(この心臓周期内の次の時間)で類似または等しいブロックを探している。この画像は、時間の関係で第1のものとは異なり、そしてフロ-ティング画像
【数8】
と呼ばれる。このプロセスは、次のように記載することが出来る:
【数9】
ここで、SおよびPは、それぞれ、ピクセルの周囲の類似度およびパッチである。
【数10】
および
【数11】
は、両方のx方向およびy方向の変位(変形)を特徴付ける。類似性は、最大化させるべきであるので、最も関連性の高いパッチが選択される。類似性尺度Sとして、相互相関を、1つのパッチ内のピクセルの量で使用しても良い。オプションとして、大きな変位を効率的に計算するために、ピラミッド型アプロ-チが使用される。ピラミッド型アプロ-チは、処理をいくつかのレベルに分割する。ピラミッド内の各レベルに対して、画像が縮小され、そして変位フィ-ルドが、画像が最も縮小される最高レベルから開始して、フル解像度の画像が処理される最低レベルまで、計算される。各レベルからの結果の変位フィ-ルドは、ピラミッド内の次のレベルの開始点として使用される。このプロセスは、1心周期に沿った2D変形を取得するために、1心周期内の全ての画像に対して繰り返される。図9のラベル901は、短軸シネMRIデ-タセット内の計算された変位フィ-ルドの例を示す。この例は、1つの画像に重ねられた2つの連続した短軸シネMRI画像フレ-ム間の変位ベクトルを示す。
【0070】
前述のように、歪はラグランジアン変形から取得でき、変形勾配
【数12】
から数学的に導出することが出来る。
【数13】
【数14】
ここで、
【数15】
は単位行列、
【数16】
は変位勾配、そして
【数17】
は、歪テンソルである。この歪みの定義は、使用される画像のxおよびy方向にあり、そして心筋の動きとは一致しない。したがって、デカルト歪または変位が局所円筒座標系に変換される別の座標系が導入される。半径方向軸
【数18】
図8、803)が、心筋に垂直であり、かつ空洞から離れる方向を指す場合、縦軸
【数19】
図8、801)は、R軸に垂直であり、かつ心室の心底に向かっていて、そして円周軸
【数20】
図8、802)は、
【数21】
および
【数22】
軸に垂直である。
【数23】
ここで、
【数24】
は(円筒/極)歪テンソルを表し、
【数25】
は回転行列を表す。2DシネMRI画像デ-タセットでは、局所座標系は、それが短軸方向であるか、またはそれが長軸方向であるかに依存する。短軸シネMRIデ-タセット(図8、808)の場合、心室への半径方向および円周方向の歪方向は、次のように定義される。
【数26】
図9のラベル902は、901に示される変位の結果から生じる円周方向の歪成分を示す。長軸シネMRIデ-タセット(図8、805-806-807)の場合、局所座標系は、左心室の心底から心尖へのラインを定義することにより得られ、そして
【数27】
は、左心室歪の半径方向および縦方向の成分を表すであろう。
【数28】
このラインは、2つのポイントを使用して、心室の心尖に対応すべきである、第1のポイントに対して心内膜の輪郭に属する最も遠いポイントを見出すことによって、心内膜と心外膜の輪郭の端と、第2のポイントとを平均することによって、定義される。
【0071】
オプションとして、短軸および長軸のシネMRIデ-タセットから取得された2D歪は、心臓全体を表す3Dモデルに入れることも出来る。このようなモデルの1つは、図11の1101に示されるような、米国心臓協会(AHA: American Heart Association)の16セグメントモデルである。本明細書の以下の部分では16 AHAセグメントモデルと呼ばれるこのモデルは、非特許文献22により説明されている。簡単に言えば、心臓は、心底から心尖まで3つのセクション:基底、中間腔、および心尖に分けられ、それぞれのセクションは、それぞれ6、6、および4つのセグメントに分割されている。セグメントの総数が、16個のセグメントを生成するので、これは、16 AHAセグメントと呼ばれる。短軸(3つの短軸シネMRIデ-タセット:図11の1102、1103、および1104の場合)シネMRIデ-タセットおよび長軸(3つの長軸シネMRIデ-タセット:図11の1105、1106、1107の場合)シネMRIデ-タセットから得られる2D歪値は、デ-タセット内のそれらの位置に対応する16 AHAセグメントのそれぞれに配置される。
【0072】
オプションとして、3D歪は、2D短軸シネMRIデ-タセットと長軸シネMRIデ-タセットに基づいて計算させることが出来る。3D歪計算については、図10のフロ-チャ-トを参照されたい。ステップ1001および1002は、それぞれ、短軸シネMRI画像デ-タセット(図8の808)および長軸シネMRI画像デ-タセット(図10の805、および/または806および/または807)の検索を表す。2D シネMRI画像デ-タセット内の変位フィ-ルドは、前述したようにステップ1003および1004内で計算される。2D MRI画像デ-タセットから抽出された全ての変位情報は、1つの3D変位モデルに変換される。この3Dプロセスは、短軸および長軸のシネMRIからの変位である、2DシネMRI画像デ-タセット上に以前に記述された全ての変位または歪を使用する。短軸および長軸シネMRI画像デ-タセット内で、これらの画像フレ-ム(1スライス内の心周期を表す、時間内の全ての画像)は、フェ-ズ(トリガ時間)によって組織化され、そして短軸シネMRIデ-タセットに対して、これらのスライスは、例えば、心底から心尖までソ-トされる。
【0073】
ステップ1005で、各画像フレ-ムに対して、心筋マスク内のピクセルは、3Dに変換され、そしてこれらのピクセルは、変位ベクトルの原点を表す。ベクトルの端は、xおよびy方向の(ステップ1003および1004において)計算された変位を、現在のピクセル(まだ2D座標系)に追加することによって計算される。これにより、変位したピクセルの位置が取得され、これは、次いで3Dに変換される。この3D変換は、次の変換行列を適用して、その3D位置に変換することにより、関心容積内の各ピクセルに対して実行される:
【数29】

(u,v)-2D画像座標;
(x,y,z)-変換された3D座標;
(Px,Py,Pz)-DICOMから取得した画像位置;
(Ux,y,z,Vx,y,z)-DICOMから取得した画像の向き;
(Δ,Δ)-DICOMから取得されたピクセル間隔
【0074】
図12において、1201は、3Dで視覚化された1つの短軸画像フレ-ムと、1202によって方程式7の変換を適用した後の結果である3D変位フィ-ルドを示す。図12で、1203は、1つの長軸シネMRI(1204)から結果的に得られる変位ベクトルを含む、短軸シネMRI内のスライスから結果的に得られる全ての変位ベクトルの結合を表す。
【0075】
得られた短軸と長軸の変位を1つの3D変位に結合するために、補間法が使用される。これは、長軸ビュ-のデ-タを使用して補間関数を形成し、次いで短軸位置での変位の値を推定することにより実現される。短軸が、長軸デ-タセットと比較して心筋容積の大部分をカバ-し、一方短軸デ-タセットは縦歪に関する情報を含まないので、これは、行われる。
【0076】
補間関数は、例えば、非特許文献23に記載されるドロ-ニ(Delaunay)不規則四面体分割補間法に基づく。本質的に、このアプロ-チは、2つのステップから構成される。第1に、散らばっているポイントを、ドロ-ニ不規則四面体分割化を使用して四面体化し、つまり、デ-タセット容積を様々な形状とサイズの「ピラミッド」に細分化し、次で局所補間スキ-ムを使用する各四面体、つまり、研究対象のポイントに最も近い四面体を、局所補間を実行するために使用する。
【0077】
次に、結果のベクトルは、例えば、複数のベクトル成分を平均化するまたは追加することによって結合され、この結果、異なる左心室ビュ-からの情報を含む単一の変位フィ-ルドが得られる。
【0078】
オプションとして、例えば、患者の呼吸および/または動きによる異なるシネMRI画像デ-タセット間の動きは、例えば、非特許文献24によって考えているように修正させることが出来る。簡単に言えば、非特許文献24は、3D変換された画像間の交差を計算し、そしてコスト測定を適用してそれらの間の相関の程度を決定するプロセスを記載する。次で、これらの画像の1つが、特定の範囲で繰り返し移動させる。この範囲では、この範囲の新しい位置のそれぞれに対して、画像間の交差とコスト測定値が再計算される。相関を最大化する位置が、最適な画像位置として定義される。
【0079】
図10のステップ1006で、3D歪が計算される。ステップ1005で記述した3D変位フィ-ルドを有すると、2Dプロセスと同様に、変位フィ-ルドの空間勾配を計算する必要がある。これは、例えば、非特許文献25に記載されているRPIM(Radial Point Interpolation Method)法によって、行うことが出来る。PRIM法を使用する利点は、この方法により、メッシュを構築する必要無しに変位フィ-ルドの導関数を推定できることである。これに代えて、RPIM法は、変位フィ-ルドの連続かつ微分可能な内挿から分析的に勾配を計算する。
【0080】
前のステップで得られた方向導関数から、この歪は、2D歪と同様であるが3Dドメインに拡張されている方程式を使用して、計算させることが出来る。まず、次の方程式を使用して、変形勾配テンソル(
【数30】
)が計算される:
【数31】
ここで、
【数32】
は、それぞれ、x、y、z方向の変位の内挿であり、
【数33】
は、単位行列である。その後、次の式を使用してグリ-ンデカルト(Green Cartesian)歪テンソル(
【数34】
)が計算される。
【数35】
これは、次の歪成分と言う結果になる。
【数36】
【0081】
心臓のパフォ-マンスを適切に特徴付けるには、この歪みは、心臓の局所座標系、つまり半径方向、円周方向、および縦方向の歪み(図8に、それぞれ、示される803、802、801)に変換する必要がある。この変換を実行する方法の一例は、非特許文献26により紹介されている。簡単に言うと、局所座標系の主な方向は、心室の3Dジオメトリに基づいて決定される。最初に、半径方向は、心室内に向かう心室表面に垂直なベクトルとして定義される。縦方向は、心尖に向かう表面に接するベクトルとして定義される。円周方向は、半径方向と縦方向の外積として計算される。これらの主な方向は、行列
【数37】
に入れられる。
【数38】
ここで、
【数39】
は、半径方向、円周方向、および縦方向を指すベクトルである。方程式4を基本として使用するが、3Dドメインに拡張して、局所座標系での次の歪みが、得られる:
【数40】
ここで、対角成分:
【数41】
は、それぞれ半径方向、円周方向、および縦方向の歪である。
【0082】
歪分析には、心周期全体にわたる心臓変形情報が含まれる。この情報は、例えば、経時的な歪値の曲線プロットとして表示させることが出来る(図13)。図13は、1つの心周期内の全体の半径方向歪(1301)、円周方向歪(1302)、および縦方向歪(1303)のグラフを示す(x軸は、心拍数が毎分60拍の場合の心臓時間を表す)。全体の歪みは、各位置での平均歪値として計算される。図10のステップ1007で、この計算された歪みから、全サイクルにわたる機械的活性化情報(例えば、機械的活性化遅延)を計算することができる。機械的活性化遅延の計算方法の一例は、歪曲線が、(ピ-ク歪としても知られている)最大(絶対)歪を示す時間を特定することである。心臓の様々なセグメントおよび部分の3D歪情報が利用可能であるので、心臓の様々なセグメントおよび部分の機械的活性化情報は、計算することが出来る。心臓の様々なセグメントおよび部分の機械的活性化情報から、最も新しく機械的活性化を経験した心臓のセグメントまたは部分を特定させることが出来る。この情報の表示方法の一例は、各AHAセグメントの歪曲線(半径方向、縦方向、円周方向、または3D歪ベクトル)が利用可能である、16 AHAセグメントモデルに従って表示することである(図14の1401)。ここで表示される情報は、例えば、各セグメントでピ-ク歪が発生したタイミング(図14の1402)である。例えば、最新のピ-ク歪を示す複数のセグメントは、最新の機械的活性化を経験したセグメントと見なされる。一例を図14に示す。AHAセグメント7(図14の1403)は、ピ-ク歪までのより早い時間を示し、AHAセグメント5(図14の1404)は、ピ-ク歪になるまでの最新時間を示す。したがって、この例では、AHAセグメント5は、最新の機械的活性化を経験したセグメントの1つと見なされる。
【0083】
機械的活性化情報を表示する別の例は、3D表面モデルで視覚化することである。3D表面モデルは、例えば、前の手順で記述された機械的活性化遅延に対応するモデルの部分を色分けすることにより、マークすることが出来る。例えば、機械的活性化遅延が最も高い部分には明るい色合いが与えられる(図15 )。したがって、この例では、より明るい色合いの3D表面モデルの領域が、最も新しく機械的活性化(図15の1501)が行われた部分と見なされる。
【0084】
機械的活性化遅延の計算方法に関する別の例は、非特許文献27により提示されている。簡単に言えば、機械的活動パタ-ン曲線のそれぞれが、被験者固有の参照曲線と比較される。比較方法の一例は、テスト曲線(図16の1601)と参照曲線(図16の1602)の相互相関を使用することである。この比較を使用して、テスト曲線と参照曲線のタイミングの差が取得される(1603)。機械的活性化遅延を最終的に計算する方法の一例は、各テスト曲線のタイミングの差を最初の移動セグメントと比較することである。上述した非特許文献27の方法は、各シネMRI短軸スライス内の半径方向心内膜運動パタ-ンから計算された時間変位曲線(TDC: time displacement cycle)に依存する。半径方向心内膜運動パタ-ンは、心周期中のLV血液プ-ルの重心と心内膜境界上の各ポイント(例えば、等間隔の360ポイント)との間の距離として計算される。全てのTDCと識別された参照TDCとの相互相関後、遅延が計算され、そして組織同期インデックス(TSI: tissue synchronization index)が、TDC遅延時間の標準偏差として表すことが出来る。遅延は基準TDCに対して計算されるため、計算されたTDC遅延は真の機械的遅延を表しない。機械的遅延を確立するには、計算された遅延を、心周期の開始に関連付ける必要がある。これは、各フレ-ムのトリガ時間と相互相関から生じる遅延を組み合わせることにより実現される。オプションでは、参照TDCの識別は、長軸シネMRIデ-タセットを含ませることにより、長軸シネMRIデ-タセットの収縮時間を決定し、そして各短軸スライスのTDCの決定時にこの情報を統合することにより、改善するであろう。オプションとして、この遅延は、心周期のパ-センテ-ジで表される。
【0085】
図1のステップ105では、3Dロ-ドマップモデルが形成される。このロ-ドマップは、図18を参照して以下に記載されるように、CRT手順の事前手順計画として、CRT手順中のガイダンスとして、またはEAMと組み合わせたCRT手順中のガイダンスとして使用することが出来る。
【0086】
3Dロ-ドマップモデルは、3Dモデルのパラメトリックオ-バ-レイとして視覚化される定量的情報を含むいくつかの解剖学的3Dジオメトリが組み込まれている3Dモデルである。定量的情報には、例えば、LV心内膜または心外膜モデルの3D表面のような、例えば、3D解剖学的構造上のパラメトリックオ-バ-レイとして視覚化される機械的活性化(図1、104)を含む心筋瘢痕分布(図1、103)が含まれる。パラメトリックオ-バ-レイは、例えば、対応する場所の異なるカラ-またはグレ-のト-ンによって方程式13から得られる結果のような、位置固有の定量結果を視覚化する方法である。カラ-または灰色のト-ンは、その特定の空間位置での特定の定量値を表す。3Dロ-ドマップはいくつかの方法で形成することが出来る。選択の方法は、上述のガイダンスの目的に大きく依存する。
【0087】
CRT処置を処置前に計画することに焦点を当てた第1の方法は、ステップ102(図1)から得られる完全な3D解剖学的ジオメトリを使用する。この例は、508(図5)に示されている。これは、全ての3D心臓構造と3D梗塞ジオメトリが表されていることを意味する。このような例では、3D心外膜ジオメトリは、透明に視覚化されることが望ましい。次に、図1のステップ103の結果として計算された心筋瘢痕分布は、例えば、心内膜3Dジオメトリまたは心外膜3Dジオメトリ上にカラ-またはグレ-値オ-バ-レイとしてこの重み付け結果を重ね合わせる前に、計算された機械的活性化により重み付けされる(図1のステップ104)。この重み付けは、線形または非線形の重み付けとすることが出来る。例えば、この線形重み付けは、方程式13:
【数42】
により実現させることが出来る。ここで、最終的な心筋瘢痕分布は、
【数43】
の結果であり、そして0から1の間で正規化されていて、そして機械的活性化は図1のステップ104の結果である。以前に述べたように、LVリ-ドの配置は、心内膜または心外膜(冠静脈内)の何れかに行うことが出来る。したがって、医師は、心内膜3Dジオメトリまたは心外膜3Dジオメトリの何れかに、このカラ-オ-バ-レイをマップすることを選択することが出来る。これにより、CRTの手順を柔軟に計画することが可能になりかつ医師が関心のある患者に最適な選択を行うことが可能になるであろう。さらに、医師は、3Dロ-ドマップモデルを回転、ズ-ム、およびパンすることができるため、特定の関心領域(例えば、梗塞組織、機械的活性化の相違)を詳細に検査して、手術前に最適な計画を立てることが可能になる。
【0088】
図18を参照して以下に説明する)CRT手順中のガイダンスに焦点を当てた第2の方法は、3D心臓モデルを使用し、そしてオプションで3D冠静脈ジオメトリおよび/または3D横隔神経ジオメトリを含む。この3D心臓モデルは、3D LV心内膜またはLV 3D心外膜、およびオプションでRV心内膜、冠静脈、横隔神経に基づいており、前述の心内膜または心外膜の何れかのLVリ-ド配置戦略に依存する。このような3Dロ-ドマップ形成の例は、図17に示される。図17の中で、1701は、図1のステップ103の結果として、3D心内膜ジオメトリにカラ-またはグレ-値のオ-バ-レイとして重ねられた3D心筋瘢痕分布を示す。この例では、白は心筋梗塞がないことを表し、黒は
【数44】
から生じる重度の心筋梗塞を表す。この例では、
【数45】
で使用されるパラメ-タが、心内膜LVリ-ド配置に対して選択されることに注意されたい。図1のステップ104の結果としての3D機械的活性化は、3D心内膜ジオメトリにカラ-またはグレ-値オ-バ-レイとして重ねられる(図17、1702)。この例(1702)では、白は短い機械的活性化遅延を表し、黒は長い機械的活性化遅延を表す。次に、3D表現1701と1702の両方が、1703で表される1つの3Dロ-ドマップモデルにマ-ジされる。この例では、白い斑点(1704)は、梗塞心筋領域を表し、そして最適なLVリ-ド位置は、最も暗い色(「X」、1705)で表される位置となるであろう。前述したように、最適なLVリ-ドの配置位置は、心筋瘢痕がない、最新の電気的活性化が行われた(そして機械的活性化は電気的活性化と相関するため、機械的活性化が使用される)領域として定義される。心外膜LVリ-ド配置戦略では、LVリ-ドは、冠静脈内に配置される。実行可能な位置に関する情報を提供するために、3D冠静脈ジオメトリの視覚化により、実行可能なLVリ-ドの位置を評価することが可能になる。図17、1708は、1703と同じ図を示しているが、1708では3D冠静脈ジオメトリが3Dロ-ドマップモデルに含まれている(1707)。顕著に判るように、冠静脈がこの領域に重なっていないため、心外膜LVリ-ド配置戦略では最適なLVリ-ド位置(1705)に到達することは出来ない。ここでは、最も適するLVリ-ドの配置位置は、1706であろう。ここは、心筋の瘢痕、最新の機械的活性化がなく、かつ冠静脈を通してアクセス可能である。オプションとして、3D横隔神経ジオメトリが、カラ-オ-バ-レイに含まれるまたは組み込まれていて、そして最も適さない値を表す(1703または1708の例では、最も明るい色(1704))。また、この方法は、CRT手順中のガイダンスに焦点を当てて記述されている。記述された3Dロ-ドマップの視覚化は、最適な治療戦略で医師を支援する前手順としても使用することが出来る。
【0089】
第3の方法は、EAMと組み合わせたCRT手順中のガイダンスに焦点を当てている。この状況では、3Dロ-ドマップモデルが、3D EAMモデルに登録され、そしてこの登録されたモデルは、CRT手順中に使用されて、最適なLVリ-ド位置をガイドする。この目的のために、図4B、414に提示される冠静脈洞のジオメトリは、3D EAMとの登録を実行するために使用されることが、好ましい。3Dロ-ドマップモデルは、上述した第1の方法または第2の方法の何れか、またはこれらの任意の組み合わせとすることが出来る。
【0090】
第4の方法は、CRTを埋込む患者の患者選択基準を改善する方法を提供することに照準を当てている。例えば、LBBBの患者は、CRTにより最も恩恵を受けることが知られている。 LBBBは、左心室が右心室と比較して収縮の遅れを示す、心臓の非同期収縮をもたらす。これは、LV心筋に沿った機械的活性化の定量化によって評価することができ、そしてLV心内膜表面またはLV心外膜表面の何れかにパラメトリックオーバーレイとして重ね合わせることが出来る。図1のステップ104に記載されているように、計算されたTDC遅延またはTSIと同様に、心筋歪の何れかを、使用することができる。オプションとして、図1のステップ102内で計算される心筋瘢痕分布は、例えば、方程式13で説明されるパラメトリックオーバーレイに組み込むことが出来る。
【0091】
さらに、3Dロ-ドマップは、このセクションで説明した4つの方法に限定されることはなく、利用可能な情報の任意の組み合わせを使用して3Dロ-ドマップを形成することが出来る。さらに、ユ-ザは、様々な方程式(例、方程式0、方程式13)のパラメ-タを変更することが出来、これにより、基礎となる心筋の状態に関する洞察の造影が可能になる。例えば、前述したように、CRT手順の実行前にPCI手順を検討するために、心筋虚血を個別に識別させても良い。別の例は、図6を参照して前述したように、心筋梗塞のより詳細なタイプを評価することである。
【0092】
次に、図18を参照して実施形態が開示される。ここに示された動作は、任意の論理シ-ケンスで実行させることが出来、そしてその一部を省略することも出来ることは、明らかであろう。図18に示される実施形態の目的は、最適なLV誘導治療戦略(例えば、最適なLV誘導位置)において、医師(例えば、電気生理専門家)を支援するCRT処置中のガイダンスを提供することである。
【0093】
先ず、患者固有の3Dロードマップモデル(1801)が、取得される。この患者固有のロードマップモデルは、図1の手順で説明するように生成することが出来る。患者固有の3Dロードマップモデルに加えて、CRT手順中に得られた患者固有のX線画像データが、取得される(1802)。これは、造影液が冠静脈洞に注入されるX線血管造影画像シーケンスを意味するX線静脈造影図、またはX線透視画像データセットと呼ばれる造影液のないX線画像とすることが出来る。何れの場合にも、X線画像データセットは、通常、経時的な複数の画像フレームで構成され、そしてガイダンス(1804)の場合にはリアルタイムのX線画像データである。このガイダンスは、通常、リアルタイムのX線透視画像データセットで提供される。しかしながら、例えば、PACSまたはVNAから取得されたX線画像データについてのリアルタイムX線静脈造影図に関するガイダンスを、提供することも出来る。
【0094】
次のステップ(図18、1803)は、患者固有の3Dロ-ドマップモデルをX線静脈造影図に登録することに関する。登録プロセスのために、患者固有の3Dモデルが形成される心時相に対応するX線静脈造影図内の画像フレ-ムが、選択されることが、好ましい。X線システムのジオメトリ(回転、角度、倍率など)が知られていると、この3Dモデルは、例えば、非特許文献28に教示される2DX線静脈造影図に投影される。RV心尖(図19、1902)および/またはRV心房(図19、1901)に配置されたワイヤの位置に関する知識を使用して、登録プロセスをガイドすることが出来る。患者固有の3Dロ-ドマップモデルに冠静脈のジオメトリが含まれる場合、X線静脈造影図(図19、1903)に表示される静脈も、登録プロセスのガイドに使用することが出来る。
【0095】
図18のステップ1804において、医師にガイダンスが提供される。ステップ1803の結果は、いわゆる静的整列オ-バ-レイとなる。X線画像デ-タセットに重ねられた、提示されたオ-バ-レイは、いくつかの方法で医師に提示することが出来る。例えば、心臓の構造(RV室、LV室、梗塞および/または冠静脈)は、透明の有無にかかわらず異なる色を使用して、X線画像デ-タセットにそれぞれ重ね合わせることが出来る。さらに、方程式13を使用した心筋梗塞分布(図1、103)の有無にかかわらず、機械的活性化(図1、104)を、色分けしたり、および/または適切なリ-ド配置を、識別色を使用して造影することが出来る。
【0096】
さらに、例えば、医師に3Dロ-ドマップモデルの前面のみを示すことにより、または裏面に対向する3Dロ-ドマップモデルの前面に異なるカラ-マップを割り当てることにより、患者固有の3Dロ-ドマップモデルの前面と背面は、区別させることが出来る。オプションとして、異なるグレ-ドの不透明度を適用して、患者固有の3Dロ-ドマップモデルの前面と背面を区別することも出来る。
【0097】
オプションとして、静的に位置合わせされたオ-バ-レイを、患者の呼吸動作を動的に追跡するように、調整することが出来る。これを可能にするために、X線静脈造影図のガイドワイヤ(例えば、RV心尖(図19、1902)および/またはRV心房(図19、1901)に配置されたワイヤ)の1つの動きが、追跡される。これは、例えば、X線静脈造影の画像フレ-ムの1つ内の、ガイドワイヤの先端、RV心尖リ-ド、またはRV心房リ-ドを自動的に検出することにより実行することが出来る。次に、ガイドワイヤの先端を含む領域でテンプレ-トを形成することが出来る。次に、このテンプレ-トは、X線静脈造影の後続の画像フレ-ムで使用して、最初の画像フレ-ムに対する各フレ-ムのガイドワイヤの変位を取得し、変位パタ-ンを生成することが出来る。ワイヤの変位パタ-ンには、心臓と呼吸の両方の動きが含まれる。変位パタ-ンの低周波項は、患者の呼吸運動に対応する。次に、変位パタ-ンのこの低周波部分を、静的に位置合わせされたオ-バ-レイに適用し、患者の呼吸運動に合わせて動的に移動するオ-バ-レイを形成することが出来る。
【0098】
さらにオプションとして、患者固有の3Dロ-ドマップを登録するときに、患者の心臓の動きを考慮することも出来る。 シネMRIデ-タセットから、ステップ1005で説明したように心筋の3D変位が計算される。この情報を使用して3Dロ-ドマップモデルを変形し、3Dロ-ドマップモデルを経時的に生成することが出来る。各変形3Dロ-ドマップモデルはECG信号と直接関係しているため、対応する変形3Dロ-ドマップモデルは、X線静脈造影図の画像フレ-ムが取得された心位相に属するものを選択出来る。 3Dロ-ドマップモデルを変形する別のアプロ-チは、シネMRI画像デ-タセット内の心腔のセグメンテ-ションに基づいて心腔の3D変形を計算することである。
【0099】
これに代えて、特許文献4「移動器官の標的領域内の物体を追跡するための方法および装置」によって教示される方法に基づいて、X線静脈造影図に存在する静脈を使用してガイダンスを実行することも出来る。この方法は、例えば、患者固有のX線静脈造影図に表示され、かつ被験者のオブジェクトと同じ周期的な動きパタ-ンを持つ1つ以上の特徴の動きを追跡することによって、実行することが出来る。追跡可能な特徴の例には、造影剤で満たされた静脈などの解剖学的構造や、ガイドワイヤなどの介入ツ-ルが含まれる。リアルタイムのX線透視画像デ-タセットには、2本のワイヤ、右心房にある1本(図19、1901)、および右心室の心尖にある他の1本(図19、1902)が、存在する。これらの特徴の動きは、通常、心拍と呼吸の動きに起因する周期的な動きに起因する。静脈とガイドワイヤの動きは同じソ-スによって制御されるため、動きの位相は、常に同期している。特徴の1つが不明瞭な場合(例えば、静脈のコントラストの欠如)、両方の特徴の周期運動パタ-ン、特徴の1つの位置、および周期運動の位相に関する知識を使用して、隠された特徴の位置を得ることが出来る。まず、造影剤が満たされた静脈とガイドワイヤの位置が、ユ-ザによって定義される。特徴の位置を知ると、システムは、特徴の視覚特性をキャプチャするテンプレ-トを取得することが出来る。これらのテンプレ-トを使用して、他のフレ-ムの特徴を、認識することが出来る。特徴の不明瞭が検出されると、間接的な特徴追跡が使用される。ガイドワイヤの位置は、周期運動の位相およびガイドワイヤと静脈との間の動的な幾何学的関係とともに使用される。図18の登録ステップ1803中に静脈の位置に対する心周期中の静脈の位置を決定することにより、3Dロ-ドマップモデルの位置は、心周期を通して同じ運動パタ-ンに従うように、調整させることが出来る。
【0100】
少なくとも1つの実施形態の技術的効果は、同時に2つの撮像法(の結果)を使用して、ガイドワイヤおよび/またはカテ-テルまたは他の外来対象物の移動および配置を案内する能力である。1つの撮像法は、冠静脈が撮像されかつ表示されるように、造影剤のボ-ラスが導入されているX線透視法としても良い。他の撮像法は、形成された患者固有の3Dロ-ドマップが、相互の登録によりX線画像デ-タのガイダンスとして使用される、磁気共鳴である。次に、オペレ-タは、X線画像と磁気共鳴ベ-スの3Dロ-ドマップの両方を使用して、ガイドワイヤを進めても良い。
【0101】
この一実施形態は、2次元血管造影画像を取得するために、スタンドアロンシステムで使用する、または例えば、X線透視システムまたは他の任意の画像システムに直接含ませることが出来る。図20は、X線シネフルオログラフィックシステムの高レベルブロック図の例を示す。このブロック図では、実施形態は、実施形態がこのようなシステムにどのように統合できるかの例として、含まれている。
【0102】
(様々な機能ブロックで定義される)システムの部分は、専用ハ-ドウェア、アナログおよび/またはデジタル回路、および/またはメモリに格納されたプログラム命令を操作する1つ以上のプロセッサにより実装させることが出来る。
【0103】
図20のX線システムは、X線ビ-ム803を生成する高電圧発生器802を備えたX線管801を含む。高電圧発生器802は、X線管801に電力を制御および送達する。電圧発生器802は、X線管801のカソ-ドと回転アノ-ドとの間の真空ギャップに高電圧を印加する。
【0104】
X線管801に印加される電圧により、X線管801の陰極から陽極への電子移動が発生し、制動放射とも呼ばれるX線光子発生効果が生じる。生成された光子は、画像検出器806に向けられるX線ビ-ム803を形成する。
【0105】
X線ビ-ム803は、とりわけ、X線管801に与えられる電圧および電流によって決定される最大値までの範囲のエネルギのスペクトルを有する光子からなる。
【0106】
次に、X線ビ-ム803は、調整可能なテ-ブル805上の患者804を通過する。X線ビ-ム803のX線光子は、患者の組織を様々な程度まで貫通する。患者804の異なる構造は、放射線の異なる部分を吸収し、ビ-ム強度を変調する。
【0107】
患者804から放出される変調されたX線ビ-ム803‘は、X線管の反対側に位置する画像検出器806によって検出される。この画像検出器806は、間接的または直接的な検出システムであり得る。
【0108】
画像検出器806は、X線出口ビ-ム803 'を増幅された可視光画像に変換する真空管(X線画像増強器)からなる。次いで、この増幅された可視光画像は、画像表示および記録のためにデジタルビデオカメラのような可視光画像レセプタに送信される。これにより、デジタル画像信号が生成される。
【0109】
直接検出システムの場合、画像検出器806は、フラットパネル検出器から構成される。フラットパネル検出器は、X線出口ビ-ム803 'をデジタル画像信号に直接変換する。
【0110】
画像検出器806から生じるデジタル画像信号は、デジタル画像処理ユニット807を通過する。デジタル画像処理ユニット807は、806からのデジタル画像信号を、例えば、DICOMの標準画像ファイル形式で、補正された(例えば、反転されたおよび/またはコントラスト強調された)X線画像に変換する。補正されたX線画像は、ハ-ドドライブに格納することが出来る808。
【0111】
さらに、図20のX線システムは、Cア-ム809から構成されている。Cア-ムは、患者804と調整可能なテ-ブル805が、X線管801と画像検出器806の間にあるように、X線管801と画像検出器806を保持する。Cア-ムは、Cア-ム制御810を使用して、制御された方法で所望の位置に移動(回転および角度付け)させ、特定の投影を取得することが出来る。Cア-ム制御は、特定の投影でのX線記録のために所望の位置にCア-ムを調整するための手動または自動入力を可能にする。
【0112】
図20のX線システムは、シングルプレ-ンまたはバイプレ-ン撮像システムの何れかとすることが出来る。バイプレ-ン画像生成システムの場合、それぞれが、X線管801、画像検出器806、およびCア-ム制御810からなる複数のCア-ム809が、存在する。
【0113】
さらに、調整可能なテ-ブル805は、テ-ブル制御811を使用して移動させることが出来る。調整可能なテ-ブル805は、x、y、z軸に沿って移動させることが出来るだけではなく、特定のポイントを中心に傾けることも出来る。
【0114】
X線システムには汎用ユニット812も存在する。この汎用ユニット812は、Cア-ム制御810、テ-ブル制御811、およびデジタル画像処理ユニット807と対話するために使用することが出来る。
【0115】
本発明の実施形態は、以下の図20のX線システムによって実施される。臨床医または他のユ-ザは、Cア-ム制御810を使用して、Cア-ム809を患者804に対して望ましい位置に移動させることにより、特定の投影で患者804のX線血管造影画像を取得する。患者804は、ユ-ザが、テ-ブル制御811を使用して、すでに、特定の位置に移動させた調整可能なテ-ブル805上に横たわる。
【0116】
次いで、X線画像が、高電圧発生器802、X線管801、画像検出器806、および上述のデジタル画像処理ユニット807を使用して、生成される。次に、この画像はハ-ドドライブ808に格納される。このX線画像を使用して、汎用処理ユニット812は、3Dロ-ドマップモデルをX線静脈造影図に登録し、そしてユ-ザにLVリ-ドの位置決めのガイダンスを提供する。
【0117】
MRとX線システムの関係が、図21に示されている。
【0118】
本明細書では、処置前および処置前のCRT処置を支援するために、医師に情報を提供するための方法および装置のいくつかの実施形態が、記載されおよび例示されてた。本発明の特定の実施形態が記述されて来たが、本発明は、当該技術分野で許される範囲で広く、明細書も同様に読むことを意図しているので、本発明を特定の実施形態に限定することは意図されていない。例えば、データ処理操作は、医用画像技術で一般的に使用されるPACSのようなデジタルストレージに格納された画像にオフラインで実行させることが出来る。したがって、特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、提供された本発明にさらに他の修正を加えることができることを、当業者は理解するであろう。別の例では、本発明は、心室頻拍を患う患者に利用させることができる。心室性頻拍は、心臓不整脈の一種であり、これは、不適切な電気的活動からも発生するが、現在は心臓の下部のポンプ室から発生している。心室頻拍の治療オプションの1つは、カテーテルアブレーション療法である。この手順では、長く細いワイヤまたはカテーテルを、脚の静脈から心腔に挿入することにより、心室性頻脈の原因を特定する。心臓不整脈に重要な領域が特定されると、無線周波数エネルギの局所的な照射が適用され、直径約4~5 mmの小さな火傷が生じる。VTの治療に必要な火傷の数は、患者ごとに異なる。心臓に瘢痕組織がある患者では、心室頻拍の原因となる異常な電気回路をアブレートまたは切除するために、瘢痕内およびその周囲で切除を行っても良い。特に、カテーテルアブレーション手順を計画するために、心筋瘢痕の分布に関する洞察は、医師に有用な情報を提供する。特に、不均一な梗塞領域(斑状梗塞(図6、601)は、心室壁の異常な電気回路を引き起こすことが知られている。さらに、術後効果は、本明細書で記載された発明によって評価させることが出来る。
【0119】
本明細書で説明される実施形態は、主に、(いくつかの形態の)MRI画像デ-タセットを参照して開示されて来た。当業者は、この教示が他の画像化様式、例えば、コンピュ-タ断層撮影、超音波、SPECT、PET、超音波、回転血管造影、等に等しく拡張することが出来ることを理解するであろう。コンピュ-タ断層撮影(CT)に焦点を当てた例として、3Dロ-ドマップモデル(図1、105)を形成することも出来る。多相造影CTはシネMRIと同等であり、そして機械的活性化の計算(図1、104)を可能にする。生存率CTは、遅延増強MRIと同等であり、心筋瘢痕分布の計算(図1、103)を可能にする。冠動脈コンピュ-タ断層撮影血管造影法は、横隔神経の評価だけでなく、冠静脈の解剖学的構造の評価も可能にする。同様に、灌流CTは、灌流MRIと同等であり、そして心筋虚血を3Dロ-ドマップモデルに組み込むことを可能にする。
【0120】
本明細書で記述される実施形態は、上述のような様々なデ-タストアおよび他のメモリおよび記憶媒体を含んでいても良い。これらは、1つまたは複数のコンピュ-タに局在する(および/または常駐する)記憶媒体、ネットワ-ク上のコンピュ-タの一部または全てから離れた場所、等、様々な場所に配置させることが出来る。実施形態の特定のセットでは、情報は、当業者によく知られているストレ-ジエリアネットワ-ク(「SAN」)に存在させても良い。同様に、コンピュ-タ、サ-バ、または他のネットワ-クデバイスに起因する機能を実行させるために必要なファイルは、必要に応じて局所におよび/またはリモ-トに格納させることが出来る。システムに、コンピュ-タ化されたデバイスが含まれる場合、各デバイスには、バスを介して電気的に接続することができるハ-ドウェア要素を含めることが出来る。ハ-ドウェア要素は、例えば、少なくとも1つの中央処理装置(「CPU」または「プロセッサ」)、少なくとも1つの入力デバイス(マウス、キ-ボ-ド、コントロ-ラ、タッチスクリ-ン、キ-パッド、等)および少なくとも1つの出力デバイス(ディスプレイデバイス、プリンタ、スピ-カ、等)を含む。このようなシステムは、ディスクドライブのような1つまたは複数のストレ-ジデバイス、光学ストレ-ジデバイス、およびランダムアクセスメモリ(「RAM」)または読み取り専用メモリ(「ROM」)のようなソリッドステ-トストレ-ジデバイス、リム-バブルメディアデバイス、メモリカ-ド、フラッシュカ-ド、等を含んでいても良い。
【0121】
このようなデバイスは、また、コンピュータ可読記憶媒体リーダ、通信デバイス(例、モデム、ネットワークカード(無線または有線)、赤外線通信デバイス、等)および上述した作業メモリを含むことが出来る。コンピュータ可読記憶媒体リーダは、リモートの、局所の、固定および/またはリムーバブル記憶装置を表すコンピュータ可読記憶媒体、そして一時的および/またはより恒久的にコンピュータが読み取り可能な情報を、収容する、格納する、送信するおよび取得するための記憶媒体に接続する、またはこれらを受入れるように構成することが出来る。システムおよび様々なデバイスには、通常、オペレーティングシステムおよびクライアントアプリケーションまたはWebブラウザのようなアプリケーションプログラムを含む、少なくとも1つのワーキングメモリデバイス内にある多数のソフトウェアアプリケーション、モジュール、サービス、または他の要素も含まれるであろう。代替実施形態が、上記のものから多数の変形を有していても良いことは理解されるべきである。例えば、カスタマイズされたハードウェアを使用したり、および/または特定の要素をハードウェア、(アプレットのようなポータブルソフトウェアを含む)ソフトウェア、またはその両方に実装したりすることも出来るであろう。さらに、ネットワーク入力/出力デバイスのような他のコンピューティングデバイスへの接続が採用されても良い。
【0122】
様々な実施形態は、更に、コンピュ-タ可読媒体上で前述の説明に従って実装される命令および/またはデ-タを受信、送信、または格納することを含んでいても良い。コ-ドまたはコ-ドの一部を格納するための記憶媒体およびコンピュ-タ可読媒体は、揮発性および不揮発性、リム-バブルおよび非限定的などの記憶媒体および通信媒体を含む、当技術分野で既知または使用される任意の適切な媒体を含めることができるコンピュ-タで読み取り可能な命令、デ-タ構造、プログラムモジュ-ル、またはRAMROM、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(「EEPROM」)を含む他のデ-タなどの情報を格納および/または送信するための方法または技術で実装されたリム-バブルでないメディア、フラッシュメモリまたは他のメモリテクノロジ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(「CD-ROM」)、デジタルバ-サタイルディスク(DVD)または他の光学ストレ-ジ、磁気カセット、磁気テ-プ、磁気ディスクストレ-ジまたは他の磁気ストレ-ジデバイスまたは所望の情報を格納するために使用することが出来かつシステムデバイスからアクセスすることが出来る任意の他の媒体を含むことが出来る。本明細書で提供される開示および教示に基づいて、当業者は、様々な実施形態を実施する他の方法および/または方法を理解するであろう。
【0123】
したがって、明細書および図面は、制限的な意味ではなく、例示的な意味を持つと見なされるべきである。しかし、特許請求の範囲に記載されている本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることは明らかであろう。
【0124】
他の変形は、本開示の精神内にある。したがって、開示された技術は、様々な修正および代替の構成の影響を受けやすいが、その特定の例示された実施形態は、図面に示されていて、そして上記で詳細に説明されてきた。しかしながら、本発明を、開示された特定の形態に限定する意図はないが、反対に、添付の請求項で定義されているように、本発明の精神および範囲内にある全ての修正、代替構成、および同等物を網羅することを意図していることを理解されたい。
【0125】
開示された実施形態を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲において)用語「a」および「an」および「the」および類似の冠詞の使用は、本書に別段の記載がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「収容する(containing)」という用語は、特に断りのない限り、オ-プンエンドの用語(つまり、「~を含むが、これに限定されない」という意味)と解釈される。「接続された(connected)」という用語は、変更されず、物理的な接続を指す場合、何かが介在している場合でも、部分的または全体的に含まれる、接続される、または結合されると、解釈される。本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書で特に明記しない限り、個々の値が本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれていない限り、範囲内に含まれる各個別の値を個別に参照する簡略な方法として機能することを意図しているにすぎない。用語「セット」(例えば、「アイテムのセット」)または「サブセット」の使用は、特に明記しない限り、または文脈によって矛盾しない限り、1つまたは複数のメンバ-を含む空でないコレクションとして解釈される。さらに、文脈で特に注記または矛盾しない限り、対応するセットの「サブセット」という用語は、必ずしも対応するセットの適切なサブセットを示すものではなく、サブセットと対応するセットは等しくても良い。
【0126】
本明細書で記述されるプロセスの動作は、本明細書で特に指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で記述されるプロセス(またはその変形および/または組み合わせ)は、実行可能命令で構成された1つまたは複数のコンピュ-タシステムの制御下で実行させても良く、そして1つまたは複数のプロセッサで、ハ-ドウェアまたはそれらの組み合わせによって集合的に実行するコ-ド(例、実行可能命令、1つまたは複数のコンピュ-タプログラムまたは1つまたは複数のアプリケ-ション)として実装させても良い。コ-ドは、例えば、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な複数の命令を含むコンピュ-タプログラムの形で、コンピュ-タ可読記憶媒体に格納することができる。コンピュ-タ可読記憶媒体は、非一時的であっても良い。
【0127】
本開示を実施するための発明者に知られている最良の形態を含む、本開示の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。発明者は、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、発明者は、本開示の実施形態が本明細書に具体的に記載された以外の方法で実施されることを意図する。したがって、本開示の範囲には、適用法で許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題の全ての修正および同等物が含まれる。さらに、その全ての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書で特に明記しない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、本開示の範囲に含まれる。
【0128】
以下または本明細書の他の場所で引用される出版物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個別におよび具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に示されるのと同じ程度に参照により組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21