(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230116BHJP
G08G 1/017 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/017
(21)【出願番号】P 2020566048
(86)(22)【出願日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2019001282
(87)【国際公開番号】W WO2020148863
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】514318600
【氏名又は名称】コネクトフリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】帝都 久利寿
【審査官】稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0301153(US,A1)
【文献】特表2018-508064(JP,A)
【文献】特開2012-256235(JP,A)
【文献】特開2004-43212(JP,A)
【文献】特開2013-41343(JP,A)
【文献】特開2015-84199(JP,A)
【文献】特開2007-48129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G08G 1/017
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両と、前記第1車両に通信可能に接続される第2車両とからなるシステムであって、
前記第1車両は、
前記第1車両に固有のネットワークアドレスに関連付けられた2次元パターンを示す画像データを取得する手段と、
前記第1車両の車内に配置され、前記第1車両のウィンドウに前記2次元パターンを
表示す
る装置とを備え、
前記第2車両は、
前記第2車両の前方および後方の少なくとも一方を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像された画像データに基づいて、前記第1車両
に表示された2次元パターンを取得する手段と、
前記取得された2次元パターンに関連付けられた前記第1車両に固有のネットワークを特定する手段と、
前記特定された固有のネットワークを用いて前記第1車両に所定の情報を送信する手段とを備える、システム。
【請求項2】
前記2次元パターンは、1次元バーコードまたは2次元バーコードである、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記2次元パターンは、複数の分割領域を含み、
前記複数の分割領域の各々は、前記第1車両に固有のネットワークアドレスの少なくとも一部に関連付けられた色情報を有する、請求項1
または2に記載のシステム。
【請求項4】
車両であって、
通信部と、
前記車両に固有のネットワークアドレスに関連付けられた2次元パターンを示す画像データを取得する手段と、
前記車両の車内に配置され、前記車両のウィンドウに前記2次元パターンを
表示す
る装置と、
前記車両の前方および後方の少なくとも一方を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像された画像データに基づいて、他の車両
に表示された2次元パターンを取得する手段と、
前記取得された2次元パターンに関連付けられた前記他の車両に固有のネットワークを特定する手段と、
前記特定された固有のネットワークを用いて前記他の車両に所定の情報を送信する手段とを備える、車両。
【請求項5】
第1車両と、前記第1車両に通信可能に接続される第2車両とからなるシステムにおいて実行される方法であって、
前記第1車両において、前記第1車両に固有のネットワークアドレスに関連付けられた2次元パターンを示す画像データを取得するステップと、
前記第1車両の車内に配置され
た装置が前記第1車両のウィンドウに前記2次元パターンを
表示するステップと、
前記第2車両において、前記第2車両の前方および後方の少なくとも一方を撮像するカメラにより撮像された画像データに基づいて、前記第1車両に表示された2次元パターンを取得するステップと、
前記第2車両において、前記取得された2次元パターンに関連付けられた前記第1車両に固有のネットワークを特定するステップと、
前記第2車両において、前記特定された固有のネットワークを用いて前記第1車両に所定の情報を送信するステップとを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両と通信を行うための方法、プログラム及びシステムに関する。特に、本開示は、車両とモノ(例えば、他車両、交通インフラ設備又は歩行者)との間のV2X(Vehicle-to-Everything)通信に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信技術の発展は目覚ましく、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレットだけでなく、車両、家電、センサ装置等のあらゆるモノ(things)がインターネット等の通信ネットワークに接続されつつある。このように、地球上の数兆個のデバイスが通信ネットワークに接続されるIoT(Internet of Things)社会が近い将来に実現されることが予想されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されているように、現在のIoT技術では、インターネットサービス事業者(ISP)がインターネットに接続される各デバイスのIPアドレスを管理している。例えば、所定の装置がインターネットに接続される場合、ISPが当該所定の装置にIPアドレス(特に、グローバルIPアドレス)を割り当てる。その後、当該所定の装置は、ISPによって割り当てられたIPアドレスを用いてインターネット上のWEBサーバにアクセスすることが可能となる。このように、インターネット等の通信ネットワークに装置を接続させる場合では、ISP等のIPアドレスを管理する事業者の介入が必要となっている。
【0005】
一方で、通信ネットワークの接続に対するユーザの利便性を向上させるために、グローバルIPアドレスを管理するISPやプライベートIPアドレスを管理するDHCPサーバを介さずに、装置に固有のIPアドレスを発行することができる技術が現在開発されている。このようなIPアドレスの一例としては、EVER/IP(登録商標)が挙げられる。当該技術によれば、通信機能を有する装置Aは、ISP等を介せずに、認証局によって認証された公開鍵に基づいて装置Aに固有のIPアドレスを発行することができる。また、通信機能を有する装置Bは、ISP等を介せずに、認証局によって認証された公開鍵に基づいて装置Bに固有のIPアドレスを発行することができる。さらに、装置A及び装置Bのうちどちらか一方が他方のIPアドレスを知ることができれば、装置Aと装置Bとの間の通信が確立される。
【0006】
また、来るべきIoT社会において、特に注目を集めているのが通信機能を備えたコネクティッド車両である。現在、自動車産業では、自動運転技術を筆頭とした第4次産業革命による技術のパラダイムシフトが起こっている。特に、運転者を介在しない完全自動運転モードで走行可能な完全自動運転車(ロボットカー)が将来的に道路上を走行する場合には、車両と車両との間の車車間通信(V2V通信)、車両と交通インフラ設備(信号機等)との間の路車間通信(V2I通信)、並びに車両と歩行者との間の歩車間通信(V2P通信)が今後益々重要となってくる。
【0007】
この点において、V2V通信では、第1の車両が当該第1の車両の周辺に存在する複数の車両のうち第2の車両に情報を送信する場合には、第1の車両は、周辺に向けて情報をブロードキャストすることが想定される。一方で、第1の車両が第2の車両のみに情報を送信するためには、現在の技術では非常に複雑な通信手法を採用する必要があると考えられる。上記観点より、比較的容易に車両とモノとの間のV2X通信を実現するための手法を検討する余地がある。
【0008】
本開示は、周辺に存在する複数の車両のうち特定の車両と比較的容易に通信を行うことが可能な方法、プログラム及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る方法は、
車両に表示されると共に、前記車両に固有のネットワークアドレスに関連付けられた2次元パターンを示す画像データを取得するステップと、
前記取得された画像データに基づいて前記ネットワークアドレスを特定するステップと、
前記ネットワークアドレスを用いて前記車両と通信を行うステップと、
を含む。
【0010】
上記方法によれば、車両に表示された2次元パターンを示す画像データから車両に固有のネットワークアドレスが自動的に特定される。さらに、自動的に特定されたネットワークアドレスを用いて車両と通信を行うことが可能となる。例えば、第1車両は、当該第1車両の周辺に存在する複数の車両のうち第2車両にメッセージを送信したい場合に、第2車両に表示された2次元パターンを撮像することで当該第2車両にメッセージを送信することができる。このように、周辺に存在する複数の車両のうち特定の車両と比較的容易に通信を行うことが可能な方法を提供することができる。
【0011】
また、前記2次元パターンを生成するステップと、
前記2次元パターンを前記車両に表示させるステップと、
をさらに含んでもよい。
【0012】
上記方法によれば、2次元パターンが生成された上で、当該2次元パターンが車両に表示される。このように、所定の状況に応じて2次元パターンを外部に向けて表示させることが可能となる。換言すれば、車両の走行状態に応じて2次元パターンを非表示とさせることが可能となる。
【0013】
また、前記2次元パターンは、前記車両のウィンドウに表示されてもよい。
上記方法によれば、2次元パターンが車両のウィンドウに表示されるため、車両の外部からの2次元パターンの視認性を上げることが可能となる。このように、2次元パターンを比較的容易に撮像することができる。
【0014】
また、前記2次元パターンは、前記車両のナンバープレートに表示されてもよい。
上記方法によれば、2次元パターンが車両のナンバープレートに表示されるため、車両の外部からの2次元パターンの視認性を上げることが可能となる。このように、2次元パターンを比較的容易に撮像することができる。
【0015】
また、前記2次元パターンは、1次元又は2次元バーコードであってもよい。
また、前記2次元パターンは、複数の分割領域を含んでもよい。
【0016】
前記複数の分割領域の各々は、前記ネットワークアドレスの一部に関連付けられた色情報を有してもよい。
【0017】
本開示の別の態様に係る方法は、
車両に固有のネットワークアドレスに関連付けられた2次元パターンを生成するステップと、
前記2次元パターンを前記車両に表示させるステップと、
を含む。
【0018】
上記方法によれば、車両に固有のネットワークアドレスに関連付けられた2次元パターンが生成された上で、当該2次元パターンが車両に表示される。このように、例えば、車両の外部に存在する他車両は、2次元パターンに基づいて車両のネットワークアドレスを特定することが可能となる。従って、周辺に存在する複数の車両のうち特定の車両と比較的容易に通信を行うことができる方法を提供することができる。
【0019】
本開示のさらに別の態様に係る方法は、
車両の登録番号が表示されたナンバープレートを示す画像データを取得するステップと、
前記取得された画像データに基づいて前記車両の登録番号を特定するステップと、
前記車両の登録番号に関する情報を送信するステップと、
前記車両の登録番号に関連付けられた前記車両に固有のネットワークアドレスを受信するステップと、
前記受信したネットワークアドレスを用いて前記車両と通信を行うステップと、
を含む。
【0020】
上記方法によれば、車両のナンバープレートを示す画像データから所定の車両の登録番号が特定される。さらに、車両の登録番号に関連付けられた車両に固有のネットワークアドレスが取得された上で、当該取得されたネットワークアドレスを用いて車両と通信を行うことが可能となる。例えば、第1車両は、当該第1車両の周辺に存在する複数の車両のうち第2車両にメッセージを送信したい場合に、第2車両のナンバープレートを撮像することで当該第2車両にメッセージを送信することができる。このように、周辺に存在する複数の車両のうち特定の車両と比較的容易に通信を行うことが可能な方法を提供することができる。
【0021】
上記方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。さらに、当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体が提供される。
【0022】
本開示の一態様に係る車両は、
少なくとも一つのプロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、
を備える。
【0023】
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサにより実行されると、前記車両は上記方法を実行するように構成されている。
【0024】
上記構成によれば、車両の外部に存在する他車両と比較的容易に通信を行うことが可能な車両を提供することができる。
【0025】
本開示の一態様に係るシステムは、第1車両と、前記第1車両に通信可能に接続される第2車両とからなる。
【0026】
前記第2車両は、
前記第1車両に固有のネットワークアドレスに関連付けられた2次元パターンを示す画像データを取得し、
前記取得された画像データに基づいて前記ネットワークアドレスを特定し、
前記ネットワークアドレスを用いて前記第1車両に所定の情報を送信する、
ように構成される。
【0027】
上記構成によれば、第2車両は、第1車両に表示された2次元パターンを示す画像データから第1車両に固有のネットワークアドレスを自動的に特定することができる。さらに、第2車両は、第1車両のネットワークアドレスを用いて第1車両と通信を行うことができる。このように、2次元パターンを用いて第1車両と第2車両との間の車車間通信(V2V通信)を比較的容易に実現可能なシステムを提供することができる。
【0028】
また、前記第1車両は、
前記2次元パターンを生成し、
前記生成された2次元パターンを外部に向けて表示する、
ように構成されてもよい。
【0029】
本開示の別の一態様に係るシステムは、第1車両と、前記第1車両に通信可能に接続される第2車両と、通信ネットワークを介して前記第2車両に通信可能に接続された管理サーバとからなる。
【0030】
前記システムは、
前記第1車両の登録番号が表示されたナンバープレートを示す画像データを取得し、
前記取得された画像データに基づいて前記第1車両の登録番号を特定し、
前記通信ネットワークを介して前記第1車両の登録番号に関する情報を前記管理サーバに送信し、
複数の車両の登録番号の各々が複数の車両のネットワークアドレスのうちの対応する一つに関連付けられた管理テーブルを参照することで、前記第1車両の登録番号に基づいて前記第1車両に固有のネットワークアドレスを特定し、
前記通信ネットワークを介して前記ネットワークアドレスを前記第2車両に送信し、
前記送信されたネットワークアドレスを用いて前記第1車両と通信を行う、
ように構成される。
【0031】
上記構成によれば、第1車両のナンバープレートを示す画像データから第1車両の登録番号が特定される。さらに、管理テーブルに基づいて第1車両の登録番号に関連付けられた第1車両に固有のネットワークアドレスが特定される。次に、第2車両は、第1車両のネットワークアドレスを用いて第1車両と通信を行うことが可能となる。このように、ナンバープレートを用いて第1車両と第2車両との間のV2V通信を比較的容易に実現可能なシステムを提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
本開示によれば、周辺に存在する複数の車両のうち特定の車両と比較的容易に通信を行うことが可能な方法、プログラム及びシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態(以下、単に「第1実施形態」という。)に係る通信ネットワークを通じて互いに通信可能に接続される2つの車両からなるV2V通信システムを示す図である。
【
図2】車両システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るV2V通信方法を説明するためのシーケンス図である。
【
図4】車両のフロントウィンドウに表示される2次元色パターンの一例を示す図である。
【
図5】車両のリアウィンドウに表示される2次元色パターンの一例を示す図である。
【
図6】車両のフロントウィンドウに表示される2次元バーコードの一例を示す図である。
【
図7】車両のナンバープレートに表示された2次元バーコードの一例を示す図である。
【
図8】車両のナンバープレートに表示された2次元色パターンの一例を示す図である。
【
図9】後方車両が前方車両に表示された2次元色パターンを撮像する様子を示す図である。
【
図10】通信ネットワークを介してデータが後方車両から前方車両に送信される様子を説明するための図である。
【
図11】本発明の第2実施形態(以下、単に「第2実施形態」という。)に係るV2V通信システムを示す図である。
【
図12】第2実施形態に係るV2V通信方法を説明するためのシーケンス図である。
【
図13】管理サーバに保存された管理テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
第1実施形態のV2V通信システム100について図面を参照しながら以下に説明する。最初に、
図1を参照して第1実施形態に係るV2V通信システム100について説明する。
図1に示すように、V2V通信システム100は、前方車両である車両1Aと、後方車両である車両1Bとによって構成されている。車両1Aと車両1Bは、通信ネットワーク3に通信可能に接続されるように構成されている。通信ネットワーク3は、IPネットワークであって、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)及びインターネットのうちの少なくとも一つを含む。車両1A,1Bは、無線基地局等のアクセスポイントを介して通信ネットワーク3に接続されてもよい。
【0035】
次に、
図2を参照して車両1A,1Bの車両システム2について以下に説明する。本実施形態では、車両1A,1Bは同一の車両システム2を備えているものとする。また、以降では、説明の便宜上、車両1A,1Bを単に車両1と総称する場合がある。
図2は、車両1に搭載された車両システム2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、車両システム2は、車両制御部4と、前方カメラ5と、後方カメラ6と、LiDARユニット7と、HMI(Human Machine Interface)8を備える。さらに、車両システム2は、記憶装置9と、無線通信部10と、GPS(Global Positioning System)11と、プロジェクタ装置12を備える。また、車両システム2は、走行制御装置として、ステアリング装置13と、ブレーキ装置14と、アクセル装置15とを備える。
【0036】
車両制御部4は、車両1を制御するように構成されている。車両制御部4は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、複数のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路とを含む。
【0037】
プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、MPU(Micro Processing Unit)と、GPU(Graphics Processing Unit)とのうちの少なくとも一つを含む。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、車両制御プログラム及び本実施形態に係る通信方法を実現するための通信処理プログラムが記憶されてもよい。RAMには、上記プログラムに加えて車両制御データ及び/又は車両の周辺環境を示す周辺環境データが一時的に記憶されてもよい。
【0038】
プロセッサは、記憶装置9又はROMに組み込まれた各種プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成される。特に、プロセッサがメモリに記憶された通信処理プログラムを実行することで、車両1は本実施形態に係る通信方法を実行するように構成される。尚、記憶装置9に記憶される各種プログラムは、無線通信部10を通じて通信ネットワーク3上に存在する外部サーバから取得されてもよい。
【0039】
図1,2に示すように、前方カメラ5は、車両1の前方側部分に配置されており、車両1の前方領域を撮像することで車両1の前方領域を示す画像データを生成するように構成されている。例えば、車両1Bの前方カメラ5は、前方車両である車両1Aを撮像するように構成されている。後方カメラ6は、車両1の後方側部分に配置されており、車両1の後方領域を撮像することで車両1の後方領域を示す画像データを生成するように構成されている。例えば、車両1Aの後方カメラ6は、後方車両である車両1Bを撮像するように構成されている。前方カメラ5及び後方カメラ6の各々は、CMOS又はCCD等の撮像素子を含んでいる。前方カメラ5及び後方カメラ6は、画像データを車両制御部4に送信するように構成されている。
【0040】
LiDARユニット7は、車両1の周辺環境を検出するように構成されている。特に、LiDARユニット7は、車両1の周辺環境を示す点群データを取得した上で、当該点群データを車両制御部4に送信するように構成されている。
【0041】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダルを含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイ(例えば、HUD)である。
【0042】
記憶装置9は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置(ストレージ)であって、各種プログラムや各種データを格納するように構成されている。
【0043】
無線通信部10は、車両1を通信ネットワーク3に接続するように構成されている。具体的には、無線通信部10は、他車両等の外部装置及び/又は無線基地局と通信するための各種通信処理回路及びアンテナ等を含んでもよい。無線通信の規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、LPWA又は第5世代移動通信システム(5G)である。車両1は、無線通信部10を介して他車両とV2V通信を行ってもよいし、歩行者によって携帯された携帯端末(例えば、スマートフィン、タブレット、ウェアラブルデバイス等)とV2P通信を行ってもよい。さらに、車両1は、無線通信部10を介して交通インフラ設備(例えば、信号機等)とV2I通信を行ってもよい。このように、車両1は、無線通信部10を介してV2X通信を実行することができる。また、車両1は、他車両等の外部装置とアドホックモードにより直接通信してもよいし、通信ネットワーク3を介して通信してもよい。
【0044】
GPS11は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部4に送信するように構成されている。プロジェクタ装置12は、画像(特に、2次元パターン)をフロントウィンドウ21又はリアウィンドウ22に投影するように構成されている。プロジェクタ装置12は、例えば、レーザ光を出射するように構成された光源(例えば、RGBレーザ光源)と、レーザ光源から出射されたレーザ光を偏向するように構成された光偏向装置と、レンズ等の光学系部材とを備える。
【0045】
ステアリング装置13は、車両制御部4から送信されたステアリング制御信号に応じて車両1の進行方向を変えるように構成されている。ブレーキ装置14は、車両制御部4から送信されたブレーキ制御信号に応じて車両1を減速又は停止させるように構成されている。アクセル装置15は、車両制御部4から送信されたアクセル制御信号に応じて車両1を加速させるように構成されている。
【0046】
次に、
図1~3及び
図9を主に参照して第1実施形態に係るV2V通信方法について以下に説明する。
図3は、第1実施形態に係るV2V通信方法を説明するためのシーケンス図である。以降の説明では、
図1に示す車両1Aと車両1Bは
図2に示す車両システム2を備えているものとする。
【0047】
最初に、
図3に示すように、車両1Aの車両制御部4は、車両1Aに関連する所定の条件が満たされたかどうかを判定する(ステップS1)。ここで、所定の条件とは、車両1Aの走行状態に関連した条件又は車両1Aの周辺環境に関連した条件である。例えば、車両1Aの走行状態に関連した条件として、車両制御部4は、車両1Aが走行しているかどうかを判定する。また、車両1Aの周辺環境に関連した条件として、車両制御部4は、車両1Aの周辺に他車両が存在するかどうかを判定する。
【0048】
次に、ステップS1の判定条件が満たされた場合に(ステップS1でYES)、車両制御部4は、車両1Aに固有のIPアドレス(例えば、グローバルIPアドレス)に関連付けられた2次元パターンを生成する(ステップS2)。一方、ステップS1の判定条件が満たされない場合には(ステップS1でNO)、ステップS1の判定処理が繰り返し実行される。
【0049】
車両1AのIPアドレスは、例えば、16進数の32桁で表示されたIPv6に対応するIPアドレス(128ビット)である。当該IPアドレスは、認証局で認証された車両1Aの公開鍵に基づいて生成されてもよい。具体的には、車両制御部4は、車両1Aの通信に用いるための秘密鍵(512ビット)及び当該秘密鍵に対応する公開鍵(256ビット)を生成した後に、公開鍵と所定のハッシュ関数とに基づいてハッシュ値(256ビット)を生成する。次に、当該生成されたハッシュ値が所定の条件を満たす場合に、車両制御部4は、生成されたハッシュ値に基づいて車両1AのIPアドレスを生成する。その後、車両1Aは、無線通信部10を介して公開鍵に関連付けられた電子証明書を認証局から取得する。具体的には、車両1Aは、公開鍵を認証局に登録すると共に、登録された公開鍵に関連した電子証明書を認証局から取得する。より具体的には、車両1Aは、通信ネットワーク3を介して認証局のサーバに公開鍵と電子証明書の発行要求(証明書署名要求)を送信する。次に、認証局のサーバは、受信した電子証明書の発行要求に応じて、車両1Aの公開鍵を登録すると共に、当該公開鍵に関連付けられた電子証明書を発行する。その後、認証局のサーバは、通信ネットワーク3を介して、発行された電子証明書を車両1Aに送信する。このように、車両1Aの公開鍵が認証局で認証されているため、当該公開鍵に基づいて生成されたIPアドレスも認証局によって間接的に認証されている。さらに、このように生成されたIPアドレスは、車両1Aに固有のIPアドレスとなり、車両1Aの識別情報として機能する。本実施形態では、車両1AのIPアドレス(128ビット)は既に生成されていることが前提となっている。尚、車両1AのIPアドレスは、IPv4(32ビット)に対応するIPアドレスであってもよい。さらに、車両1Aは、IPアドレスを生成した後に、生成されたIPアドレスが既に存在しているIPアドレスと同一であるかどうかを調べるための処理を実行してもよい。例えば、車両1Aは、生成されたIPアドレスをIPアドレス管理サーバに送信する。その後、IPアドレス管理サーバは、車両1Aから送信されたIPアドレスがデータベース上に登録された複数のIPアドレスに含まれるかどうか判定する。送信されたIPアドレスがデータベース上に登録された複数のIPアドレスに含まれない場合には、IPアドレス管理サーバは、IPアドレスの使用を許可する許可信号を車両1Aに送信してもよい。
【0050】
次に、ステップS3において、車両制御部4は、生成された2次元パターンを車両1Aに表示させる。ここで、2次元パターンは、車両1AのIPアドレスの情報(128ビット)を少なくとも含んでいる。また、2次元パターンは、IPアドレス以外の車両1Aに関する情報を含んでいてもよい。
【0051】
図4に示すように、2次元パターンは2次元色パターン33であってもよい。2次元色パターン33は、複数の分割領域R(本例では、16個の分割領域R)を含んでいる。複数の分割領域Rの各々は、車両1(車両1A,1B)のIPアドレスの一部に関連付けられた色情報を有する。例えば、IPアドレスが128ビットの情報量を有する場合に、16個の分割領域Rの各々は8ビットの色情報(256色)を有してもよい。16個の分割領域Rの色情報(8ビット)によって128ビットのIPアドレスに関する情報を構成することができる(8ビット×16=128ビット)。さらに、2次元色パターン33がIPアドレス以外の車両1に関する情報を含む場合には、分割領域Rの数は17個以上であってもよい。尚、各分割領域Rの各々が4つの色情報(赤、青、緑、白)を有する場合には、各分割領域Rは2ビットの情報量を有する。この場合には、64個の分割領域Rによって車両1AのIPv6に関する情報(128ビット)を提供することができる。
【0052】
また、車両制御部4は、2次元色パターン33を車両1Aに表示させることを指示する指示信号をプロジェクタ装置12に送信する。その後、プロジェクタ装置12は、指示信号に従って2次元色パターン33を車両1に表示させてもよい。例えば、
図4に示すように、プロジェクタ装置12が車両1の前方側部分に搭載されている場合、プロジェクタ装置12は、2次元色パターン33をフロントウィンドウ21上に表示してもよい。一方、
図5に示すように、プロジェクタ装置12が車両1の後方側部分に搭載されている場合、プロジェクタ装置12は、2次元色パターン33をリアウィンドウ22上に表示してもよい。また、車両1の前方側部分及び後方側部分のそれぞれにプロジェクタ装置12が搭載されてもよい。この場合、
図9に示すように、車両1A,1Bのフロントウィンドウ21及びリアウィンドウ22のそれぞれに2次元色パターン33が表示されてもよい。
【0053】
また、2次元パターンは、1次元バーコード又は2次元バーコード(例えば、QRコード(登録商標))であってもよい。例えば、
図6に示すように、車両1の前方側部分に配置されたプロジェクタ装置12は、2次元バーコード32をフロントウィンドウ21上に表示してもよい。また、図示されていないが、車両1の後方側部分に配置されたプロジェクタ装置12は、2次元バーコード32をリアウィンドウ22上に表示してもよい。プロジェクタ装置12によって投影された2次元バーコードは、多色2次元バーコードであってもよいし、単色2次元バーコードであってもよい。例えば、2次元バーコードは、赤、青、緑、白のうちの2以上の色の組み合わせによって構成されてもよい。
【0054】
尚、
図7に示すように、フロントウィンドウ21の代わりにナンバープレート23中の所定の表示領域に2次元バーコード32Aが表示されてもよい。この場合、図示しないプロジェクタ装置がナンバープレート23中の所定の表示領域に2次元バーコード32Aを表示してもよい。さらに、
図8に示すように、ナンバープレート23A中の所定の表示領域に2次元色パターン33Aが表示されてもよい。この場合、図示しないプロジェクタ装置がナンバープレート23A中の所定の表示領域に2次元色パターン33Aを表示してもよい。このように、2次元パターンが表示される場所は特に限定されるものではない。
【0055】
また、本実施形態では、ステップS1からS3の処理を通じて、2次元パターン(2次元色パターン33や2次元バーコード32等)が生成された上で、当該2次元パターンが車両1Aに表示されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、2次元パターンが表示されたステッカが、車両1に貼り付けられていてもよい。この場合、2次元パターンが表示されたステッカは、車両1のフロントウィンドウ21及び/又はリアウィンドウ22に貼り付けられてもよい。また、ステッカは、車両1の前方側に取り付けられたナンバープレート及び/又は車両1の後方側に取り付けられたナンバープレートに貼り付けられてもよい。このように、ステッカが車両1に貼り付けられることで、2次元パターンが車両1に表示される。尚、ステッカが貼り付けられる場所は特に限定されるものではない。また、ステッカに表示された2次元バーコードは、赤、青、緑、白のうちの2以上の色の組み合わせによって構成されてもよいし、黒と白の2色の組み合わせによって構成されてもよい。
【0056】
次に、
図3に戻ると、ステップS4において、車両1Bは車両1Aに表示された2次元パターンを撮像する。具体的には、2次元パターンが2次元色パターン33である場合、
図9に示すように、後方車両である車両1Bに搭載された前方カメラ5は、前方車両である車両1Aのリアウィンドウ22に表示された2次元色パターン33を撮像する。その後、前方カメラ5は、2次元色パターン33を示す画像データを生成する。
【0057】
次に、前方カメラ5は、生成された画像データを車両1Bの車両制御部4に送信する。このように、車両制御部4は、前方カメラ5から画像データを取得する(ステップS5)。その後、ステップS6において、車両制御部4は、取得された画像データに基づいて車両1AのIPアドレスを特定する。具体的には、車両制御部4は、2次元色パターン33を示す画像データを解析することで2次元色パターン33に含まれる車両1AのIPアドレスに関する情報を取得する。この点において、車両制御部4は、2次元色パターン33の各分割領域Rの256色の色情報(例えば、赤、青、緑色等)を特定した上で、256色の色情報と8ビットのデータとが互いに関連付けられたテーブルを参照することで、各分割領域Rの色情報に対応する8ビットのデータを特定してもよい。
【0058】
一方、2次元パターンが2次元バーコード32である場合では、車両1Bの車両制御部4は、2次元バーコード32を示す画像データを解析することで2次元バーコード32に含まれる車両1AのIPアドレスに関する情報(128ビット)を取得してもよい。
【0059】
次に、ステップS7において、車両1Bの車両制御部4は、取得された車両1AのIPアドレスを送信先アドレスとして指定することで、無線通信部10を通じて車両1Aに所定のメッセージを送信する。その後、車両1Aの車両制御部4は、車両1Bから送信された所定のメッセージを受信する(ステップS8)。
図10に示すように、車両1Bからのメッセージは通信ネットワーク3を介して車両1Aに送信される。尚、車両1Bは、車両1Aとアドホックモードで互いに通信可能に接続されてもよいし、又は通信ネットワークに接続されていないアクセスポイントを介して互いに通信可能に接続されてもよい。また、車両1Bが手動運転モードで走行中の場合には、車両1Bは、運転者からの入力操作に応じて車両1Aに所定のメッセージを送信してもよい。一方、車両1Bが自動運転モードで走行中の場合には、車両1Bは、自動運転走行を実行する人工知能(AI)プログラムからの指示に応じて、車両1Aに所定のメッセージを自動的に送信してもよい。
【0060】
このように、本実施形態によれば、車両1Bは、車両1Aに表示された2次元パターンを示す画像データから車両1Aに固有のIPアドレスを自動的に特定することができる。さらに、車両1Bは、自動的に特定されたIPアドレスを用いて車両1Aと通信を行うことが可能となる。例えば、車両1Bは、車両1Bの周辺に存在する複数の車両のうち車両1Aにメッセージを送信したい場合に、車両1Aに表示された2次元パターンを撮像することで車両1Aにメッセージを送信することができる。このように、車両1Bの周辺に存在する複数の車両のうち特定の車両1Aと比較的容易に通信を行うことが可能なV2V通信方法を提供することができる。さらに、車両1Aは、車両1Bからメッセージを受信した後に、送信先アドレスとして車両1BのIPアドレスを知ることができるため、車両1Bに所定のメッセージを送信することができる。さらに、車両1A,1Bはお互いのIPアドレスを知ることができるため、車両1A,1Bとの間の双方向通信が実現可能となる。
【0061】
また、本実施形態によれば、車両1Aは、車両1AのIPアドレスに関連付けられた2次元パターンを生成した上で、当該生成された2次元パターンを外部に向けて表示している。このように、所定の状況に応じて2次元パターンを外部に向けて表示することが可能となる。換言すれば、車両1Aの走行状態や車両1Aの周辺環境に応じて2次元パターンを非表示にすることが可能となる。例えば、車両1Aが駐車場で停止している場合には、2次元パターンを非表示にすることで、悪意を持った第三者に車両1AのIPアドレスが把握されてしまう状況を防止することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、2次元パターン(2次元色パターン33や2次元バーコード32)が車両1Aのフロントウィンドウ21及び/又はリアウィンドウ22に表示される場合には、外部に対する2次元パターンの視認性を上げることが可能となる。同様に、2次元パターンが車両1Aのナンバープレート23に表示される場合にも、外部に対する2次元パターンの視認性を上げることが可能となる。
【0063】
尚、本実施形態では、車両1Bが車両1Aに表示された2次元パターンを撮像した上で、2次元パターンを示す画像データに基づいて車両1AのIPアドレスを特定しているが、車両1Aが車両1BのIPアドレスを特定してもよい。この場合、
図9に示すように、車両1Aの後方カメラ6は、車両1Bのフロントウィンドウ21に表示された2次元色パターン33を撮像してもよい。その後、車両1Aの車両制御部4は、2次元色パターン33を示す画像データに基づいて、車両1Aに固有のIPアドレスを特定してもよい。この結果、車両1Aは、車両1BのIPアドレスを送信先IPアドレスとして指定することで、通信ネットワーク3を介して車両1Bに所定の情報を送信することができる。このように、所定のサーバを介さない車両1Aと車両1Bとの間のV2V通信(P2P通信)を実現することができる。
【0064】
また、本実施形態では、車両1のIPアドレスに関連付けられた2次元パターンが車両1に表示されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、2次元パターンの代わりに車両1のIPアドレス自身が車両1に表示されてもよい。例えば、車両1の登録番号と共にIPアドレスがナンバープレート23に表示されてもよい。また、車両1のIPアドレスを表示するための専用プレートが車両1に取り付けられてもよい。
(第2実施形態)
次に、
図11及び
図12を参照することで第2実施形態に係るV2V通信システム100Aについて以下に説明する。
図11は、第2実施形態に係るV2V通信システム100Aを示す図である。
図12は、第2実施形態に係るV2V通信方法を説明するためのシーケンス図である。
【0065】
図11に示すように、V2V通信システム100Aは、前方車両である車両1Cと、後方車両である車両1Dと、通信ネットワーク3上に配置された管理サーバ40とを備える。車両1C、車両1D及び管理サーバ40は、通信ネットワーク3に通信可能に接続されている。また、車両1Dは、通信ネットワーク3を介して管理サーバ40に通信可能に接続されている。車両1C及び車両1Dは、
図2に示す車両システム2を備えているものとする。また、以降の説明では、車両1C及び車両1Dを単に車両1と総称する場合がある。
【0066】
管理サーバ40は、プロセッサと、メモリと、記憶装置と、通信インターフェースとを備える。尚、これらの構成要素についての図示は省略する。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPUとのうちの少なくとも一つである。メモリは、ROMとRAMを含む。記憶装置は、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリのうちの少なくとも一つを含む。記憶装置には後述する管理テーブルが保存されてもよい。通信インターフェースは、管理サーバ40を通信ネットワーク3に接続するように構成されている。
【0067】
最初に、
図12に示すように、車両1Dは、車両1Cの後方側部分に配置されたナンバープレート23を撮像する(ステップS10)。具体的には、車両1Dに搭載された前方カメラ5(
図11参照)は、前方車両である車両1Cのナンバープレート23を撮像する。その後、前方カメラ5は、ナンバープレート23を示す画像データを生成する。
【0068】
次に、前方カメラ5は、生成された画像データを車両1Dの車両制御部4に送信する。このように、車両制御部4は、前方カメラ5から画像データを取得する(ステップS11)。その後、ステップS12において、車両制御部4は、取得された画像データに基づいて、車両1Cのナンバープレート23に表示された車両1Cの登録番号(車両登録番号)を特定する。次に、車両制御部4は、無線通信部10及び通信ネットワーク3を介して車両1Cの登録番号に関する情報と共にIPアドレス問い合わせ信号を管理サーバ40に送信する(ステップS13)。
【0069】
ステップS14において、管理サーバ40は、車両1Dから車両1Cの登録番号に関する情報及びIPアドレス問い合わせ信号を受信する。その後、管理サーバ40は、記憶装置に保存された管理テーブル(
図13参照)を参照することで、車両1Cの登録番号に基づいて車両1CのIPアドレスを特定する(ステップS15)。例えば、
図13に示すように、管理テーブルでは、複数の車両の登録番号の各々が複数の車両のIPアドレスのうちの対応する一つと関連付けられている。このように、管理サーバ40は、管理テーブルを参照することで、車両1Cの登録番号に対応する車両1CのIPアドレスを特定することができる。
【0070】
次に、ステップS16において、管理サーバ40は、特定された車両1CのIPアドレスに関する情報を通信ネットワーク3を介して車両1Dに送信する。車両1Dは、管理サーバ40から車両1CのIPアドレスに関する情報を受信した後に(ステップS17)、当該受信した車両1CのIPアドレスを送信先アドレスとして指定することで、所定のメッセージを車両1Cに送信する(ステップS18)。
【0071】
このように、本実施形態によれば、車両1Cのナンバープレート23を示す画像データから車両1Cの登録番号が特定される。その後、管理サーバ40に保存された管理テーブルに基づいて車両1Cの登録番号に関連付けられた車両1Cに固有のIPアドレスが特定される。次に、車両1Dは、管理サーバ40から送信された車両1CのIPアドレスを用いて車両1Cと通信を行うことが可能となる。このように、ナンバープレート23を用いて車両1Cと車両1Dとの間のV2V通信を比較的容易に実現することが可能となる。
【0072】
尚、本実施形態では、車両1Cの後方側部分に配置されたナンバープレート23を用いて車両1Cと車両1Dとの間のV2V通信が実現されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、車両1Dの前方側部分に配置されたナンバープレートを用いて車両1Cと車両1Dとの間のV2V通信が実現されてもよい。この場合、車両1Cの後方カメラ6によって車両1Dのナンバープレートが撮像された上で、車両1Dの登録番号に関する情報が管理サーバ40に送信される。その後、管理サーバ40は、管理テーブルを参照することで車両1Dの登録番号に対応する車両1DのIPアドレスを特定した上で、車両1DのIPアドレスを通信ネットワーク3を介して車両1Cに送信する。このように、車両1Cは、車両1DのIPアドレスを用いて所定のメッセージは車両1Dに送信することができる。つまり、所定のサーバを介さない車両1Cと車両1Dとの間のV2V通信(P2P通信)を実現することができる。
【0073】
また、第1及び第2実施形態に係る車両1をソフトウェアによって実現するためには、V2V通信プログラムが車両1の記憶装置又はROMに予め組み込まれていてもよい。また、V2V通信プログラムは、磁気ディスク(例えば、HDD、フレキシブルディスク)、光ディスク(例えば、CD-ROM,DVD-ROM、Blu-ray(登録商標)ディスク)、光磁気ディスク(例えば、MO)、フラッシュメモリ(例えば、SDカード、USBメモリ、SSD)等のコンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されていてもよい。この場合、コンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されたV2V通信プログラムが記憶装置に組み込まれてもよい。さらに、記憶装置に組み込まれた当該V2V通信プログラムがRAM上にロードされた上で、プロセッサがRAM上にロードされた当該V2V通信プログラムを実行してもよい。このように、第1及び第2実施形態(以下、まとめて本実施形態という。)に係るV2V通信方法を実現することができる。
【0074】
また、V2V通信プログラムは、通信ネットワーク3上の外部サーバから無線通信部10を介してダウンロードされてもよい。この場合も同様に、ダウンロードされた当該V2V通信プログラムが記憶装置に組み込まれてもよい。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0076】
本実施形態では、車両1のネットワークアドレスの一例としてインターネットプロトコルに対応したネットワークアドレスであるIPアドレスについて説明しているが、ネットワークアドレスはIPアドレスに限定されるものではない。例えば、車両1のネットワークアドレスは、インターネットプロトコル以外の所定の通信プロトコルに対応したネットワークアドレスであってもよい。
【0077】
また、本実施形態では、2つの車両1間におけるV2V通信システムについて説明したが、本実施形態はV2V通信システムに限定されるものではない。例えば、本発明は、車両1と交通インフラ設備(例えば、信号機等)との間のV2I通信システム及び車両1と歩行者によって携帯された携帯端末(例えば、スマートフォン等)との間のV2P通信システムにも適用可能である。つまり、本発明は、車両1と通信機能を有するモノとの間のV2X通信システムに適用可能である。
【0078】
例えば、V2I通信システムでは、カメラ等の撮像装置を有する交通インフラ設備は、車両1に表示された2次元パターンを撮像することで、撮像された2次元パターンに関連付けられた車両1のIPアドレスを特定することができる。その後、交通インフラ設備は、車両1のIPアドレスを用いて車両1と通信を行うことが可能となる。
【0079】
また、V2P通信システムでは、撮像装置を有する携帯端末は、車両1に表示された2次元パターンを撮像することで、撮像された2次元パターンに関連付けられた車両1のIPアドレスを特定することができる。その後、携帯端末は、車両1のIPアドレスを用いて車両1と通信を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0080】
1,1A,1B,1C,1D:車両、2:車両システム、3:通信ネットワーク、4:車両制御部、5:前方カメラ、6:後方カメラ、7:LiDARユニット、8:HMI、9:記憶装置、10:無線通信部、11:GPS、12:プロジェクタ装置、21:フロントウィンドウ、22:リアウィンドウ、23:ナンバープレート、32:2次元バーコード、33:2次元色パターン、40:管理サーバ