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特許7210058眼内偽水晶体コンタクトレンズならびに関連システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】眼内偽水晶体コンタクトレンズならびに関連システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20230116BHJP
【FI】
A61F2/16
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021085035
(22)【出願日】2021-05-20
(62)【分割の表示】P 2020066515の分割
【原出願日】2015-09-22
(65)【公開番号】P2021118972
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】62/053,771
(32)【優先日】2014-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/860,629
(32)【優先日】2015-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519366178
【氏名又は名称】オンポイント ビジョン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケイディ、ケヴィン ジェイ.
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-528300(JP,A)
【文献】特表2020-526336(JP,A)
【文献】特表2013-528098(JP,A)
【文献】特表2004-528065(JP,A)
【文献】国際公開第1991/013597(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内偽水晶体コンタクトレンズを含む器具であって、
前記眼内偽水晶体コンタクトレンズが、
第1の光学レンズと、
前記第1の光学レンズから延伸する複数の突起であって、前記第1の光学レンズと少なくとも部分的に同一平面上にある突起と、
前記突起に部分的に埋設され、又はそれを通過するように構成された複数のアンカーであって、前記アンカーが、前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを人工眼内レンズに固定するために、前記人工眼内レンズの第2の光学レンズを形成するレンズ材料に導入されるように構成され、前記第1の光学レンズの光軸に沿って延伸するアンカーと
を含む、器具。
【請求項2】
前記アンカーが、異なるタイプの人工眼内レンズに前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを結合するように構成されている、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記眼内偽水晶体コンタクトレンズ上に設置され、且つ少なくとも1つの薬剤を送達するように構成された少なくとも1つの薬剤溶出デバイスを更に含む、請求項1又は2に記載の器具。
【請求項4】
前記アンカーが、前記突起から内側に反対の角度で、前記第1の光学レンズの前記光軸に向かって延伸する、請求項1~3の何れか一項に記載の器具。
【請求項5】
前記アンカーの一部が、前記突起に埋設されている、請求項1~4の何れか一項に記載の器具。
【請求項6】
前記突起が、前記アンカーを受け入れるように構成された孔を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の器具。
【請求項7】
前記アンカーが、有刺ピン又はリブ付ピンを含む、請求項1~6の何れか一項に記載の器具。
【請求項8】
前記人工眼内レンズに対して特定配向を前記第1の光学レンズにもたせるために、前記第1の光学レンズが、前記光軸の周囲に不均一な重量分布を有する、請求項1~7の何れか一項に記載の器具。
【請求項9】
前記第1の光学レンズが、単焦点又は球面状である、請求項1~8の何れか一項に記載の器具。
【請求項10】
前記第1の光学レンズが、多焦点又は非球面状である、請求項1~8の何れか一項に記載の器具。
【請求項11】
前記アンカーが、前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを前記人工眼内レンズに対して固定するときに、
前記第1の光学レンズの後面の第1の部分が、前記第2の光学レンズに接触し、且つ、
前記第1の光学レンズの前記後面の第2の部分が、前記第2の光学レンズから離間したままであるように、前記第1の光学レンズが構成されている、請求項1~10の何れか一項に記載の器具。
【請求項12】
眼内偽水晶体コンタクトレンズであって、
第1の光学レンズ、
前記第1の光学レンズから延伸する複数の突起であって、前記第1の光学レンズと少なくとも部分的に同一平面上にある突起、及び
前記突起に部分的に埋設され、又はそれを通過するように構成された複数のアンカーであって、前記第1の光学レンズの光軸に沿って延伸するアンカー
を含む眼内偽水晶体コンタクトレンズと、
第2の光学レンズを含む人工眼内レンズであって、前記第2の光学レンズがレンズ材料で形成されている、人工眼内レンズと
を含むシステムであって、
前記アンカーが、前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを前記人工眼内レンズに固定するために、前記人工眼内レンズの前記第2の光学レンズを形成する前記レンズ材料に導入されるように構成されている、システム。
【請求項13】
前記人工眼内レンズが、前記眼内偽水晶体コンタクトレンズに結合され、又はそれを受け入れるように特別に設計されていない、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記眼内偽水晶体コンタクトレンズ上に設置され、且つ少なくとも1つの薬剤を送達するように構成された少なくとも1つの薬剤溶出デバイスを更に含む、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記アンカーが、前記突起から内側に反対の角度で、前記第1の光学レンズの前記光軸に向かって延伸する、請求項12~14の何れか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記眼内偽水晶体コンタクトレンズが、前記アンカーの前記レンズ材料への挿入のための位置を特定するように構成された位置合わせマーキングを更に含む、請求項12~15の何れか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記人工眼内レンズに対する特定配向を前記第1の光学レンズにもたせるために、前記第1の光学レンズが、前記光軸の周囲に不均一な重量分布を有する、請求項12~16の何れか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記アンカーが、前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを前記人工眼内レンズに対して固定するときに、
前記第1の光学レンズの後面の第1の部分が、前記第2の光学レンズに接触し、且つ、
前記第1の光学レンズの前記後面の第2の部分が、前記第2の光学レンズから離間したままであるように、前記第1の光学レンズが構成されている、請求項12~17の何れか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の光学レンズが、多焦点又は非球面状である、請求項12~18の何れか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、移植型光学デバイスに関する。より具体的には、本開示は、眼内偽水晶体コンタクトレンズならびに関連システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健常者の眼において、角膜に入射した光線は、瞳孔を通過し、天然の水晶体が眼の網膜上に光線を収束する。しかしながら、白内障やその他の障害が原因で、天然の眼の水晶体を人工眼内レンズ(IOL)と交換する必要にせまられることがある。「偽水晶体」の用語は、天然の水晶体が眼内レンズと交換されている眼を説明するために用いられている。
【0003】
患者の眼に眼内レンズを入れる前に、一般的には、医師またはその他の担当者が、患者の眼に対して所望の屈折矯正をもたらすように設計された眼内レンズを選択する。例えば、眼内レンズには、近視(近眼)、遠視(老眼)、乱視、または患者の眼に自然と生ずるその他の屈折異常を矯正するように設計された光学レンズを装備することができた。しかしながら、患者の眼に対して選択をした眼内レンズが、患者の眼のある種の屈折異常を十分に矯正できずに終わる(また、かような屈折異常を引き起こしかねない)ことが多々ある。この屈折異常は、「残存」屈折異常と称されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残存屈折異常を矯正するための様々な選択肢は従来からあるものの、そのいずれにも欠点がある。例えば、患者の眼内のとある眼内レンズを、別の眼内レンズと交換することはできるが、この手法は、一般的には、外科的合併症を招く危険性が大いにある。残存屈折異常を矯正するために、患者の眼の角膜に対して(レーシックなどの)切除手術が行われることがあるが、この手法は、特に高齢の患者において、望ましくない重篤な副作用を招くことがある。既存の眼内レンズの前に他の眼内レンズ(「ピギーバック」IOLとよく称されている)を挿入することもできたが、この手法は、一般的には、最終的な屈折度合の予測が困難となる侵襲的方法である。加えて、角膜内レンズ(ICL)を、患者の眼の角膜内に挿入することができるが、この手法は、侵襲の度合が大きい場合が多く、また、高度の拒絶を示すことがある。概して、上記した手法は、一般的には予測不可能であり、また、手術危険度も非常に高い。また、上記した手法で用いられるデバイス類では、残存屈折異常を解消および「好転」させることは難しく、その結果、誘発性視覚異常の患者が取り残される危険性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、眼内偽水晶体コンタクトレンズならびに関連システムおよび方法に関する。
【0006】
第1の実施形態において、器具は、第1の光学レンズと、複数のアンカーと、を含む、眼内偽水晶体コンタクトレンズを含む。当該第1の光学レンズは、眼の残存屈折異常を少なくとも部分的に矯正するように構成されている。当該アンカーは、当該眼内偽水晶体コンタクトレンズを眼内レンズに対して固定するために、当該眼内レンズの前面を通じて当該眼内レンズの第2の光学レンズを形成しているレンズ材料内に挿入されるように構成されている。
【0007】
第2の実施形態において、システムは、眼内偽水晶体コンタクトレンズと、眼内レンズを含む。当該眼内偽水晶体コンタクトレンズは、眼の残存屈折異常を少なくとも部分的に矯正するように構成されている第1の光学レンズと複数のアンカーとを含む。当該眼内レンズは、第2の光学レンズを含み、当該第2の光学レンズは、レンズ材料から形成されている。当該アンカーは、当該眼内偽水晶体コンタクトレンズを当該眼内レンズに対して固定するために、当該眼内レンズの前面を通じてレンズ材料内に挿入されるように構成されている。
【0008】
第3の実施形態において、器具は、眼の残存屈折異常を少なくとも部分的に矯正するように構成されている第1の光学レンズを含む眼内偽水晶体コンタクトレンズを含む。当該眼内偽水晶体コンタクトレンズは、当該第1の光学レンズ上に設置された少なくとも1つの薬剤溶出デバイスも含み、そして、少なくとも1つの薬剤を送達するように構成されている。当該眼内偽水晶体コンタクトレンズは、眼内の眼内レンズに接続されるように構成されており、当該残存屈折異常は、少なくとも部分的に当該眼内レンズに起因するものである。
【0009】
その他の技術的特徴部分は、以下に示した図面、詳細な説明、および請求の範囲での記載をもってすれば、当業者に自明のことと考えられる。
【0010】
本開示とその特徴事項についての完全な理解をさらに促すために、添付した図面を参照しながら、以下に本開示についての説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズ(IOPCL)の第1の実施例を示す図である。
図2】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズ(IOPCL)の第1の実施例を示す図である。
図3】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズ(IOPCL)の第1の実施例を示す図である。
図4】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの第2の実施例を示す図である。
図5】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの第2の実施例を示す図である。
図6】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの第2の実施例を示す図である。
図7】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの第2の実施例を示す図である。
図8】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの第3の実施例を示す図である。
図9】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの第4の実施例を示す図である。
図10】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの一例に接続した眼内レンズ(IOL)の一例を示す図である。
図11】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの一例に接続した眼内レンズ(IOL)の一例を示す図である。
図12】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの一例に接続した眼内レンズ(IOL)の一例を示す図である。
図13】患者の眼に載置された本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの一例と眼内レンズの一例を示す図である。
図14】患者の眼に載置された本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズの一例と眼内レンズの一例を示す図である。
図15】眼内レンズに眼内偽水晶体コンタクトレンズを接続するための本開示のアンカーの一例を示す図である。
図16】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図17】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図18】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図19】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図20】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図21A】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図21B】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図22A】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図22B】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図23】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図24】本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズでのその他の構成を例示する図である。
図25】眼内レンズと共に本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズを使用する方法を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載の本発明の要旨を説明するために用いた後述する図1図25と様々な実施形態は、例示目的のものに他ならず、本発明の範囲を限縮する意図として解釈すべきではない。当業者であれば、本発明の要旨が、適切に構成されたいかなるタイプのデバイスまたはシステムについても実施可能であることは理解されるであろう。
【0013】
本開示は、眼内レンズ(IOL)と組み合わせて使用することができる様々な眼内偽水晶体コンタクトレンズ(IOPCL)を提供する。概して、眼内偽水晶体コンタクトレンズとは、患者の眼内に移植することが可能であり、かつ患者の眼内の眼内レンズの前面に装着されるコンタクトレンズ型のデバイスのことを指す。本眼内偽水晶体コンタクトレンズは、水晶体切除(白内障)手術後など、眼内レンズを移植した後に存在する残存屈折異常を実質的に矯正する。
【0014】
従来の手法とは異なり、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、手術危険度が小さいままに移植することができる。さらに、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、眼内偽水晶体コンタクトレンズを移植した直後でも、患者に目視をさせることができる。さらに、残存屈折異常を矯正するために他のレンズが必要である場合や、必要に応じて除去した場合でさえも、眼内偽水晶体コンタクトレンズは容易に交換することができる。加えて、現在利用可能な術中波面収差などの手法を用いて、眼内偽水晶体コンタクトレンズを移植している真最中に屈折度合を計測することができ、このことは、所望の屈折度合の獲得について即座に確認するうえで役立つ。
【0015】
図1図3は、本開示の1番目の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ(IOPCL)100を示している。具体的には、図1は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の斜視図であり、図2は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の平面図であり、かつ図3は、図2の線A-Aに関する眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の断面図である。
【0016】
図1図3で示したように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、光学レンズ102を含む。光学レンズ102は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の一部として図示されており、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を透過する光線を屈折させる。そして、光学レンズ102を透過した光線は、患者の眼の網膜に到達する前に、固定された眼内レンズを透過する。
【0017】
光学レンズ102は、あらゆる適切な素材、例えば、シリコーンやアクリルなどから形成することができる。また、光学レンズ102は、金型や旋盤切削製造プロセスを用いるなどのあらゆる適切な方法で形成することができる。広範なジオプターを有する他のレンズ102を設計および製造することができ、また、各々の光学レンズ102は、あらゆる屈折異常を適正に矯正するように構成することができる。矯正可能な屈折異常の種類として、近視、遠視、および乱視などがある。
【0018】
この例において、光学レンズ102は、凸状の上面と凹状の底面を有している。しかしながら、光学レンズ102は、矯正しようとする(少なくとも1部の)屈折異常の種類に応じて、他のあらゆる適切な形状とすることもできる。具体例として、光学レンズ102は、凸状、凹状、球面状、非球面状、円環状、単焦点、または多焦点のものとすることもできる。眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の光学レンズ102として好適に使用されるレンズプラットフォームは、患者の眼にもたらす所望の屈折矯正に応じて選択することができる。光学レンズ102それ自体を、(トーリックプラットフォームの形成のためなど)眼内レンズに対して所望の方向で配置させるために、光学レンズ102の重量を大きくしたり、あるいは光学レンズ102を着色し、光発色性に加工し、または紫外線(UV)吸収剤を含有させたりするなど、光学レンズ102に対して、必要または所望に応じて、その他の様々な特徴を付加させることもできる。
【0019】
複数の突起104a~104bが、光学レンズ102の複数の箇所から伸びている。突起104a~104bは、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の下方に伸びている複数のアンカー106a~106bを固定するために使用される。突起104a~104bの各々は、あらゆる適切な素材から形成することができ、また、あらゆる適切な方法で形成することができる。例えば、突起104a~104bを、光学レンズ102を形成する本体の一部とすることができ、すなわち、光学レンズ102それ自体は拡張することとなる。しかしながら、このようにする必要があるとは限らない。例えば、光学レンズ102を、突起104a~104bと一体的に形成したり、または突起104a~104bに固定された止め輪の内部に設置してみたり、あるいは接着剤やその他の好適な接着手段を用いて、突起104a~104bを光学レンズ102に取り付けることもできる。この例では2つの突起104a~104bを図示しているが、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、単一の突起を含めて、いかなる個数の突起でも利用することができる。
【0020】
アンカー106a~106bは、眼内レンズに対して眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を固定するために使用される。例えば、患者の眼に対して眼内偽水晶体コンタクトレンズ100が挿入された後に、外科医またはその他の担当者は、突起104a~104bまたは眼内偽水晶体コンタクトレンズ100のその他の箇所を眼内レンズ上に載置することができる。こうすることで、アンカー106a~106bは、眼内レンズの前方(前側)表面に対して導入され、そして、眼内レンズに対する眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の固定を補助する。アンカー106a~106bの各々は、眼内レンズに対する眼内偽水晶体コンタクトレンズの固定に適したあらゆる構造を具備する。この例では、アンカー106a~106bを、有刺ピンまたはリブ付ピンで表しているが、ねじくぎなどのその他のタイプのアンカーも使用することができる。アンカー106a~106bの各々は、あらゆる適切な素材から形成することができ、また、あらゆる適切な方法で形成することができる。この例では2つのアンカー106a~106bを図示しているが、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、単一のアンカーを含めて、いかなる個数のアンカーも利用することができることに留意されたい。
【0021】
図1図3に記載の眼内偽水晶体コンタクトレンズ100では、アンカー106a~106bを、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の突起104a~104bに永久埋め込みすることができる。しかしながら、このようにする必要があるとは限らない。
【0022】
図4図7は、本開示の2番目の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ400を示している。特に、図4は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の斜視図であり、かつ図5は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の平面図である。また、図6は、図5の線B-Bに関する眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の断面図であり、かつ図7は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の底面図である。
【0023】
図4図7で示したように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を構成しているものと同一または同様の様々な要素を具備している。例えば、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400は、光学レンズ402と複数の突起404a~404bを含む。また、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400は、複数のアンカー406a-406bを用いて、眼内レンズに対して固定されている。しかしながら、この例での眼内偽水晶体コンタクトレンズ400は、突起404a~404bを通って形成された孔408a~408bを含んでおり、アンカー406a~406bは、その孔408a~408bへと挿入される。
【0024】
光学レンズ402は、あらゆる適切な素材、例えば、シリコーンやアクリルなどから形成することができる。また、光学レンズ402は、金型や旋盤切削製造プロセスを用いるなどのあらゆる適切な方法で形成することができる。広範なジオプターを有する他のレンズ402を設計および製造することができ、また、各々の光学レンズ402は、あらゆる屈折異常を適正に矯正するように構成することができる。この例において、光学レンズ402は、凸状の上面と凹状の底面を有しているが、光学レンズ402は、矯正しようとする(少なくとも1部の)屈折異常の種類に応じて、他のあらゆる適切な形状とすることもできる。具体例として、光学レンズ402は、凸状、凹状、球面状、非球面状、円環状、単焦点、または多焦点のものとすることもできる。眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の光学レンズ402として好適に使用されるレンズプラットフォームは、患者の眼にもたらす所望の屈折矯正に応じて選択することができる。光学レンズ402それ自体を、(トーリックプラットフォームの形成のためなど)眼内レンズに対して所望の方向で配置させるために、光学レンズ402の重量を大きくしたり、あるいは光学レンズ402を着色し、光発色性に加工し、または紫外線(UV)吸収剤を含有させたりするなど、光学レンズ402に対して、必要または所望に応じて、その他の様々な特徴を付加させることもできる。
【0025】
突起404a~404bの各々は、あらゆる適切な素材から形成することができ、また、あらゆる適切な方法で形成することができる。例えば、突起404a~404bを、光学レンズ402を形成する本体の一部とすることができ、すなわち、光学レンズ402それ自体は拡張することとなる。しかしながら、このようにする必要があるとは限らない。例えば、光学レンズ402を、突起404a~404bと一体的に形成したり、または突起404a~404bに固定された止め輪の内部に設置してみたり、あるいは接着剤やその他の好適な接着手段を用いて、突起404a~404bを光学レンズ402に取り付けることもできる。
【0026】
アンカー406a~406bの各々は、眼内レンズに対する眼内偽水晶体コンタクトレンズの固定に適したあらゆる構造を具備する。この例では、アンカー406a~406bを、有刺ピンまたはリブ付ピンで表しているが、ねじくぎなどのその他のタイプのアンカーも使用することができる。アンカー406a~406bの各々は、あらゆる適切な素材から形成することができ、また、あらゆる適切な方法で形成することができる。
【0027】
孔408a~408bの各々は、あらゆる適切な大きさ、形状、および寸法にすることができる。また、孔408a~408bの各々は、あらゆる適切な方法で形成することができる。例えば、幾つかの実施形態において、突起404a~404bが形成された後に、機械式ドリルまたはレーザードリルを用いるなどして、対応する突起404a~404bに対して孔408a~408bを設けることができる。その他の実施形態において、突起404a~404bの各々に、対応する孔408a~408bを設けることができる。
【0028】
本明細書では、2つの突起404a~404b、2つのアンカー406a~406b、そして、2つの孔408a~408bを示したが、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400は、あらゆる個数の突起、アンカー、および孔を含むことができることに留意されたい。また、突起404a~404bの各々は、単一の円筒状の孔408a~408bを含むものとして示しているが、突起404a~404bの各々は、あらゆる適切な形状の1つ以上の孔を含むことができる。
【0029】
患者の眼に対して眼内偽水晶体コンタクトレンズ400が挿入された後に、外科医またはその他の担当者は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400を眼内レンズ上に載置することができる。眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の挿入前、挿入中、または挿入後に、外科医またはその他の担当者は、アンカー406a~406bを、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400に設けた孔408a~408bを介して挿入することができる。外科医またはその他の担当者は、アンカー406a~406bまたは眼内偽水晶体コンタクトレンズ400のその他の箇所を眼内レンズ上に載置することができる。こうすることで、アンカー406a~406bは、眼内レンズの前面を通って導入され、そして、眼内レンズに対する眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の固定を補助する。
【0030】
図8は、本開示の3番目の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ800を示している。この実施形態での眼内偽水晶体コンタクトレンズ800は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400と構造的に同様である。眼内偽水晶体コンタクトレンズ800は、光学レンズ802、突起804a~804b、そして、アンカーを受け入れるように構成された孔808a~808bを含む。光学レンズ402、突起404a~404b、および孔408a~408bに関する上記したすべての開示を、図8での対応する要素に適用する。
【0031】
この例では、孔808a~808bは、上記した孔408a~408bと比較して、大きな角度で傾斜されている。孔808a~808bでの大きな傾斜角は、ある特定の条件下で必要とされ、または所望される。例えば、孔808a~808bでの大きな傾斜角は、眼内レンズの前面がさらに大きく傾斜している場合に、眼内レンズの端部近傍にて眼内偽水晶体コンタクトレンズ800を固定するために使用することができる。
【0032】
様々な従来技術の方法は、眼内レンズに対して「アドオン」レンズを固定するものであったが、これら従来技術の方法は、ある特定の眼内レンズと共に使用するために設計されたある特定のアドオンレンズと、その特定のアドオンレンズと共に使用するために設計されたその特定の眼内レンズとを必要としている。すなわち、これらのアドオンレンズは、ある特定のタイプの眼内レンズと一緒でないと使用することができず、眼内レンズとは、アドオンレンズと共に使用するために特別に設計されたものである。具体例として、アドオンレンズは、対応する特定の眼内レンズの構造に符合するように設計される触覚部やその他の構造を含むことができ、あるいは眼内レンズに、特定のタイプのアドオンレンズを受け入れるように設計された窪みを備えることができる。この手法は、多くの理由から問題を含んでいると言える。例えば、多くの患者には、すでに眼内レンズが入れられており、かつアドオンレンズと共に用いるためにデザインされる新規の眼内レンズを移植するために、既存の眼内レンズの除去を試みることは、現実的ではなく、あるいは危険ですらあるかもしれない。
【0033】
本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズのアンカーは、眼内レンズを形成する既存のレンズ材料へと導かれるので、図1図8に示された実施形態での眼内偽水晶体コンタクトレンズ100、400、800は、これらの課題の解消にむけた助けとなる。換言すれば、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100、400、800では、あらゆる特定の眼内レンズでの個別の構造に特化して機能するように設計をする必要がない。むしろ、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100、400、800が眼内レンズ上に載置された時に、そのアンカーを、眼内レンズのレンズ材料へ導入することができるように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100、400、800は、大きさだけを加減すればよい。このことは、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100、400、800を、異なるタイプの眼内レンズやすでに患者に移植されている既存の眼内レンズを含む多種多様の眼内レンズと共に使用することを許容するものである。新規の眼内レンズと、眼内偽水晶体コンタクトレンズを装着するために、既存の眼内レンズを患者から除去する必要はない。
【0034】
さらに、眼内レンズから眼内偽水晶体コンタクトレンズ100、400、800を除去するために、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100、400、800のアンカーを、眼内レンズのレンズ材料から容易に除去することができる。何よりも、異なった屈折矯正を必要としていたり、所望されていたりする場合には、除去される眼内偽水晶体コンタクトレンズに代えて、別の眼内偽水晶体コンタクトレンズを入れることを許容する。
【0035】
図9は、本開示の4番目の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ900を示している。図9に示したように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900は、上記した光学レンズと同一または同様のものであり得る光学レンズ902を含む。眼内偽水晶体コンタクトレンズ900は、上記した突起と同一または同様のものであり得る突起904a~904bも含む。
【0036】
上記した眼内偽水晶体コンタクトレンズとは異なり、本明細書に記載の突起904a~904bは、触覚ループ906a~906bと接続されている。患者の眼の水晶体嚢の一部908a~908bに対して眼内偽水晶体コンタクトレンズ900を固定するために、触覚ループ906a~906bは使用される。触覚ループ906a~906bは、あらゆる適切な素材から形成され、また、あらゆる適切な方法で形成することができる。例えば、触覚ループ906a~906bを、ポリイミドから形成することができる。また、触覚ループ906a~906bは、あらゆる適切な大きさ、形状、および寸法を有することができる。具体例として、触覚ループ906a~906bを、約2mm~4mmの長さとすることができる。また、所望であれば、触覚ループ906a~906bを下方に(約3°の角度などで)傾斜させて、前嚢壁に対する固着を容易にすることもできる。
【0037】
本明細書では、2つの突起と2つの触覚ループが示されているが、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900は、いかなる個数の突起と触覚ループを含むことができることに留意されたい。また、図示してはいないが、触覚ループとアンカーとの組み合わせも、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900において利用することができる。例えば、突起904a~904bを触覚ループ906a~906bに対して固定することができ、また、アンカーを、突起904a~904bに挿入または埋設することもできる。その他の例として、突起の一方を触覚ループ906a~906bに対して固定し、そして、アンカーを、他方の突起904a~904bに挿入または埋設することもできる。
【0038】
また、アンカーおよび触覚ループが、眼内レンズに対して眼内偽水晶体コンタクトレンズを固定するためのものであると上記されているが、眼内レンズに対して眼内偽水晶体コンタクトレンズを固定するために、その他のあらゆる適切な機構が利用できることに留意されたい。例えば、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、光学レンズ(突起の有無を問わない)を含むことができ、そして、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、眼内レンズの前面で、表面張力を介して眼内レンズ上の所定の位置に保持されることとなる。
【0039】
上記した様々な眼内偽水晶体コンタクトレンズは、あらゆる大きさ、形状、および寸法とすることができる。例えば、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、約4mm~約6mmの範囲の直径とすることができる。また、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、それらの光学レンズに応じて変化させた曲率ベースで利用することができる。当然のことながら、特定の患者の眼の残存屈折異常を矯正するために1つ以上の特定の曲率が必要とされる場合には、眼内偽水晶体コンタクトレンズを、当該患者の眼のために特別に設計することもできる。
【0040】
本明細書に記載の眼内偽水晶体コンタクトレンズは、非侵襲的に患者の眼に移植することができ、また、眼内レンズ上に容易に設置することができる。眼内偽水晶体コンタクトレンズは、眼内レンズの前面の上に載置されるものであって、一般的には、外科医または他の担当者は移植作業を行っている間に容易にそこまで到達できるため、この移植は非侵襲的である。また、幾つかの眼内偽水晶体コンタクトレンズでは、患者の眼のスクラス(suculus)などの患者の眼の内部の解剖学的構造に対する眼内偽水晶体コンタクトレンズの固定を必要とせずに、眼内レンズに対する固定が可能であるので、この移植は非侵襲的である。
【0041】
眼内偽水晶体コンタクトレンズの非侵襲的な移植と設置の容易性は、水晶体切除術後などに認められる好ましくない残存屈折異常を矯正するための安全かつ効果的な屈折外科手術を提供する。屈折手段として、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、微細に調整をして所望の屈折を得て患者の視力を改善する目的で、偽水晶体患者の目下の屈折異常を改変しようとする外科医の手腕に寄与する。この機能の具体例は、単眼または両眼の正視を実現するために、中間視覚機能および近視覚機能を許容する単眼近視を誘発するために、多焦点を導入するために、そして、好ましくない残存乱視を治療するために、患者の眼の調整を許容することを含む。
【0042】
図1図9では、眼内偽水晶体コンタクトレンズの例を記載しているが、様々な改変を図1図9に加えることができる。例えば、上記した図での特定の特徴の組み合わせについての記載の有無にかかわらず、図1図9に示された特徴の組み合わせを、単一の眼内偽水晶体コンタクトレンズで用いることができる。また、各々の眼内偽水晶体コンタクトレンズは、図に示した各々の要素を、あらゆる適切な個数で含むことができる。加えて、アンカーおよび触覚ループを、光学レンズからの突起物として示しているが、(光学レンズが、残存屈折異常を矯正するために必要な光学レンズよりも大きな場合など)アンカーおよび触覚ループを、むしろ光学レンズに対して直接に用いることができる。
【0043】
図10図12は、本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の一例に接続した眼内レンズ(IOL)1000の一例を示す図である。特に、図10は、システムの斜視図であり、図11は、システムの平面図であり、かつ図12は、図11の線C-Cに関するシステムの断面図である。
【0044】
図10および図11に示したように、眼内レンズ1000は、光学レンズ1002および複数の触覚部1004a~1004bを含む。光学レンズ1002は、眼に入射する光線(眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を透過する光線を含む)を受け、そして、患者の眼の網膜上に収束する。触覚部1004a~1004bは、光学レンズ1002を患者の眼内の所望の位置での支持を補助する。例えば、眼内レンズ1000全体を、患者の眼の水晶体嚢内に置くことができ、そして、触覚部1004a~1004bは、光学レンズ1002を所望の位置で支持するために、水晶体嚢の内壁と接触することができる。
【0045】
図10図12に示した通り、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、眼内レンズ1000の上に載置され、そして、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100のアンカー106a~106bは、眼内レンズ1000の前面を通って、光学レンズ1002のレンズ材料1006へと導かれる。上記したように、この操作は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を、眼内レンズ1000に対して固定する。さらに、この操作は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100と共に使用するために特別に設計される眼内レンズ1000を必要とせずに行うことができ、また、眼内レンズ1000と共に使用するために特別に設計される眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を必要とせずに行うことができる。
【0046】
患者の眼にすでに眼内レンズ1000が移植されており、かつ過剰な手術危険度を負わないと除去することができず、または(偽水晶体が長期間あるが故に)除去することが全く不可能である場合などの様々な条件下では、この操作が効果的である。また、選択した眼内偽水晶体コンタクトレンズ100が、残存屈折異常を改善せず、あるいは眼内偽水晶体コンタクトレンズ100が、新たな屈折異常を招くようであれば、眼内レンズ1000から眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を除去するために、レンズ材料1006からアンカー106a~106bを引き抜くことができる。次いで、同一の方法または同様の方法で、別の眼内偽水晶体コンタクトレンズを、眼内レンズ1000の上に載置することができる。
【0047】
図12において、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の外側部は、実際に、レンズ材料1006へと導かれていることに留意されたい。しかしながら、このことは必要であるとは限らない。さらに、図12において、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の外側部だけがレンズ材料1006と接触しており、また、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100内の光学レンズ102の下面の残余部分が、レンズ材料1006から離間している。しかしながら、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100内の光学レンズ102の下面のさらに多くの部分(または実質的に全表面)を、レンズ材料1006と接触させることができる。
【0048】
図10図12は、眼内偽水晶体コンタクトレンズの一例に接続した眼内レンズの一例を示しているが、図10図12に対して様々な改変を加えることもできる。例えば、眼内レンズ1000を、上記したコンタクトレンズ400または800のような、あらゆる他の眼内偽水晶体コンタクトレンズと接続することができる。また、数多くの眼内レンズが利用可能であり、かつ眼内レンズ1000は、ある特定の眼内レンズである。眼内偽水晶体コンタクトレンズは、その他のあらゆる適切な眼内レンズと接続することができる。
【0049】
図13および図14は、眼内レンズ1000の一例と、患者の眼内の本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズ1300の一例と、を示す。図13および図14に示したように、眼1300は、角膜1302、強膜1304、および虹彩1306を含む。角膜1302は、眼1300の前方部に位置し、眼1300に入る光線を透過する。強膜1304は、眼の頑丈な外側の白色部である。虹彩1306は、眼の瞳孔の大きさを調節し、それにより、角膜1302から眼1300の内部に入る光線の量を調節する。
【0050】
眼1300は、概して、眼1300の天然の水晶体を支持する水晶体嚢1308も含む。しかしながら、この例では、天然の水晶体は除去されており、かつ眼内レンズ1000と交換されている。眼内レンズ1000の触覚部1004a~1004bは、眼内レンズ1000の光学レンズ1002を眼内の所望の位置に納められるように、水晶体嚢1308内の眼内レンズ1000の支持を助けている。
【0051】
また、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、水晶体嚢1308内の眼内レンズ1000の上に載置される。眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、眼内レンズ1000の前面、つまりは、眼1300に対して眼内レンズ1000の前方表面の上に載置される。光線の修正を行う眼内偽水晶体コンタクトレンズ100に到達する以前に、光線は角膜1302を透過し、そして、瞳孔を通過する。次いで、修正を受けた光線は、眼内レンズ1000の光学レンズ1002を通過し、そして、改めて修正を受ける。そして、二度にわたって修正を受けた光線は、眼1300の奥にある網膜へと到達するために、眼1300の残余の箇所を通る。
【0052】
眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の光学レンズ102を適切に選択することで、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、眼内レンズ1000を移植した後になおも解消されていない残存屈折異常を適切に矯正することができる。眼内偽水晶体コンタクトレンズ100が、残存屈折異常を適切に矯正していない場合や、あるいは眼内偽水晶体コンタクトレンズ100が、新たな屈折異常を招いている場合などは、必要に応じて、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を除去して、他の眼内偽水晶体コンタクトレンズと交換することもできる。
【0053】
図13および図14は、眼内レンズの一例と患者の眼内にある眼内偽水晶体コンタクトレンズの一例を示しているが、図13および図14に対して様々な改変を加えることもできる。例えば、眼内レンズ1000を、上記したコンタクトレンズ400または800のような、あらゆる他の眼内偽水晶体コンタクトレンズと接続することができる。また、数多くの眼内レンズが利用可能であり、かつ眼内偽水晶体コンタクトレンズは、眼1300内のその他のあらゆる適切な眼内レンズと接続することができる。加えて、眼内レンズを眼の水晶体嚢内に置く必要はなく、その場合、眼内偽水晶体コンタクトレンズも水晶体嚢内に置かない。
【0054】
図15は、眼内レンズに眼内偽水晶体コンタクトレンズを接続するための本開示のアンカー1500の一例を示す。例えば、アンカー1500は、上記した眼内偽水晶体コンタクトレンズのいずれとも組み合わせて使用することができる。
【0055】
図15に示したように、アンカー1500は、頭部1502と軸部1504を含む。頭部1502は、アンカー1500の頂部であり、軸部1504より大きく描かれているが、アンカー1500の使われ方(頭部1502が突起に埋設される場合があるなど)に応じて変わるものであって、このようにするとは限らない。軸部1504は、頭部1502から鋭利な先端部1506に向けて下方に伸びる。先端部1506は、眼内レンズのレンズ材料に挿入されるように設計される。また、軸部1504は、有刺箇所またはリブ付箇所1508も含んでおり、これらは、眼内レンズのレンズ材料へ挿入されるように設計されており、かつ眼内レンズのレンズ材料からの軸部1504の除去に対して抵抗する(しかし、実質的に阻むものではない)。この構造は、眼内レンズのレンズ材料への眼内偽水晶体コンタクトレンズの固定を補助しつつ、必要であれば、または所望されれば、患者の眼からの眼内偽水晶体コンタクトレンズの除去も依然と許容する。
【0056】
図15では、眼内レンズに対して眼内偽水晶体コンタクトレンズを固定するためのアンカー1500の一例を記載しているが、様々な改変を図15に加えることができる。例えば、アンカーは、あらゆる大きな頭部が無くとも使用でき、またはあらゆる有刺箇所またはリブ付箇所が無くとも使用できる。また、眼内レンズに対して眼内偽水晶体コンタクトレンズを固定するために、その他のあらゆるアンカーが使用できる。
【0057】
図16図24は、本開示の眼内偽水晶体コンタクトレンズで利用できるその他の構成を例示している。これら構成の適切でない組み合わせ、これら構成のある適切な組み合わせ、またはこれら構成のあらゆる適切な組み合わせに、上記したあらゆる眼内偽水晶体コンタクトレンズを含む眼内偽水晶体コンタクトレンズを用いることができる。
【0058】
図16は、上記した対応する要素と同一または同様とすることができる光学レンズ1602と突起1604a~1604bを含む眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600の平面図である。図示していないが、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600も、複数のアンカーを受け入れるように構成された複数の孔を含む。
【0059】
加えて、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600は、位置合わせマーキング1606a~1606bを含む。位置合わせマーキング1606a~1606bは、概して、孔に一旦通されたアンカーの所望の位置または最適の位置を決定する。例えば、光学レンズ1602および突起1604a~1604bは実質的に透明にすることができるので、突起1604a~1604bに挿入され、かつ眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600の下部に位置するアンカーを、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600越しに見ることができる。位置合わせマーキング1606a~1606bは、下層側にある眼内レンズのレンズ材料にアンカーが曲がって挿入されておらず、ましてやレンズ材料が完全に欠落することもなく、下層側にある眼内レンズのレンズ材料にアンカーが真っすぐに挿入されているか否かの確認を助けるために、外科医または他の担当者が使用することができる。加えて、これらのマーカー1606a~1606bは、外科医または他の担当者が、光学レンズ1602を所望の軸に定めることを可能にするために、トーリック適用における屈折矯正(シリンダー)を特定するために使用することができる。
【0060】
図17は、上記した対応する要素と同一または同様とすることができる光学レンズ1702と突起1704a~1704bを含む眼内偽水晶体コンタクトレンズ1700の平面図である。突起1704a~1704bは、複数のアンカーを受け入れるように構成された孔を含んでいるものとして記載されているが、アンカーの先端が突起1704a~1704bに埋設されている場合などもあるので、必要とされないこともある。
【0061】
眼内偽水晶体コンタクトレンズ1700は、光学レンズ1702の少なくとも一部に形成された薬剤溶出性マトリックス1706も含む。この例では、薬剤溶出性マトリックス1706を、少なくとも1つの薬剤、できれば、薬剤の放出を調節するゲルや他の手段に薬剤が納まったものが塗布されている光学レンズ1702での小さな区画として示している。一旦移植が施されると、薬剤溶出性マトリックス1706は、患者の眼に向けて薬剤を放出する。
【0062】
あらゆる適切な薬剤、例えば、緑内障やブドウ膜炎の治療薬(これらに限定されない)などを光学レンズ1702に塗布することができる。この塗布作業には、あらゆる適切な塗布パターンが利用でき、また、あらゆる適切な方法で実施することができる。例えば、約0.5mmの厚さを有し、パターンの中心に開口部または「ドーナツの穴」を有するリングなどの輪状パターンで薬剤を塗布することができる。光学レンズ1702の光学中心における「スリットデザイン」などの光学的有効性(焦点深度の増大、シリンダー現象、あるいは好ましくない収差の改善など)を伴う視力改善をもたらすような他の塗布方法を用いることもできる。
【0063】
図18は、上記した対応する要素と同一または同様とすることができる光学レンズ1802と突起1804a~1804bを含む眼内偽水晶体コンタクトレンズ1800の平面図である。突起1804a~1804bは、複数のアンカーを受け入れるように構成された孔を含んでいるものとして記載されているが、アンカーの先端が突起1804a~1804bに埋設されている場合などもあるので、必要とされないこともある。
【0064】
眼内偽水晶体コンタクトレンズ1800は、光学レンズ1802の少なくとも一部に形成された薬剤溶出性フィルム1806も含む。この例では、フィルム1806を、少なくとも1つの薬剤を送達することができる薬剤溶出性物質が塗布されている光学レンズ1802での連続区画として示している。あらゆる適切な薬剤を光学レンズ1802に塗布することができ、また、この塗布作業には、あらゆる適切な塗布パターンが利用でき、また、あらゆる適切な方法で実施することができる。この例では、約0.5mmの厚さを有するリングなどの輪状パターンで薬剤を塗布することができる。光学レンズ1802の光学中心における「スリットデザイン」などの光学的有効性を伴う視力改善をもたらすような他の塗布方法を用いることもできる。具体例として、フィルム1806を、薬剤溶出性ヒドロゲルとすることができる。
【0065】
図19は、上記した対応する要素と同一または同様とすることができる光学レンズ1902と突起1904a~1904bを含む眼内偽水晶体コンタクトレンズ1900の斜視図である。突起1904a~1904bは、複数のアンカーを受け入れるように構成された孔を含んでいるものとして記載されているが、アンカーの先端が突起1904a~1904bに埋設されている場合などもあるので、必要とされないこともある。
【0066】
眼内偽水晶体コンタクトレンズ1900は、光学レンズ1902の端部の少なくとも一部に沿って形成された薬剤溶出性リング1906も含む。リング1906は、一旦移植が施されると、患者の眼の中に少なくとも1つの薬剤を溶出させる。リング1906は、光学レンズ1902の周囲全体に連続的に配置してもよく、あるいはそうしなくともよい。幾つかの実施形態において、1つ以上のリング1906を用いることができ、これらリングの各々は、長さが約3mmで、幅が約0.5mmである。特定の実施形態において、リング1906は、光学レンズ1902の端部に沿って形成されたポリイミドまたはその他の貯留槽とすることができる。
【0067】
図17図19では、眼内偽水晶体コンタクトレンズのための薬剤溶出性構造の具体例を例示していることに留意されたい。しかしながら、1つ以上の他のあらゆるタイプの薬剤溶出性構造を、眼内偽水晶体コンタクトレンズの1つ以上の箇所で使用することができる。
【0068】
図20は、上記した対応する要素と同一または同様とすることができる光学レンズ2002を含む眼内偽水晶体コンタクトレンズ2000の断面図である。また、眼内偽水晶体コンタクトレンズ2000は、複数の突起2004a~2004bを含む。上記した例において、突起は、対角にて固定した光学レンズから離間して伸びているので、眼内レンズの前面へのアンカーの順方向固定配置を確実ならしめることを助ける生体の拮抗作用を引き出すことができる。しかしながら、このことは必要とされないこともあり、また、図20の眼内偽水晶体コンタクトレンズ2000の突起2004a~2004bは、概して、互いに線状に伸びている。突起2004a~2004bに設けた孔2006a~2006bは、図20に示したように、垂直方向に真っ直ぐに形成することができ、あるいは(図19に示したように)傾斜を付けて形成することができ、それは、アンカーを、光学レンズ2002の中心軸に向けて内側に向けることを助けることとなる。
【0069】
図21A図24は、眼内偽水晶体コンタクトレンズを含むことができる様々な光学レンズの例を示している。しかしながら、他のあらゆる適切な光学レンズを、眼内偽水晶体コンタクトレンズに使用することができる。図21Aおよび図21Bでは、厚みが違う光学レンズ2100および2150が示されている。光学レンズ2100は、中央部の厚みが大きく、また、上面側と底面側の双方が概して球面状である。光学レンズ2150は、中央部の厚みが小さく、また、上面側が幾分か平坦化されている。
【0070】
図22Aおよび図22Bは、個々に拡張部2202および2252を備えた光学レンズ2200および2250の例を示している。拡張部2202および2252は、光学レンズ2200および2250のその他の対応する箇所よりも大きな重量を有しており、拡張部2202および2252の大きな重量が故に、光学レンズ2200および2250を、図22Aおよび図22Bに示した配向にする。換言すれば、光学レンズ2200および2250は、光学レンズ2200および2250の中央軸の周囲に不均一な重量分布を有しているのである。例えば、光学レンズ2200および2250が球面状で、かつ患者の眼に固有の屈折異常(乱視など)を矯正する上で特定の配向を必要とする場合に、この例は有用なものとなり得る。拡張部2202および2252は、光学レンズ内の1つの四分円に設けた光学レンズの拡張端部など、光学レンズのあらゆる拡張部を意味するものである。
【0071】
図22Aにおいて、拡張部2202は、概して、光学レンズ2200の端部の上面側表面と底面側表面と同等の上面側表面と底面側表面を備えている。図22Bは、光学端部を強調している透視図である。拡張部2202および2252の各々は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ2200および2250が、要求された軸にシリンダー矯正を位置合わせすることを可能とし、そして、良好な安定性をもたらし、かつ好ましくない回転を回避するための手段を提供する。
【0072】
図23は、光学レンズ2300の一例を示しており、レンズ2300は、トーリックレンズである。トーリックレンズとは、異なる屈折力を有し、かつ異なる垂直配向に焦点距離を有するレンズを指す。このことは、図23に示されており、光学レンズ2300の上面2302は、一方向に(図面に対して垂直に)湾曲しており、かつ光学レンズ2300の底面2304は、垂直方向に(図面の左から右へと)湾曲している。
【0073】
図24は、多焦点を支持する非球面状光学レンズ2400の一例を示している。図24において、光学レンズ2400は、中央部2402と、球面状部分2402を包囲している1つ以上の環状部2404~2406と、を含む。他の区画2402~2406を、異なる屈折力をもたらすように設計することができる。例えば、区画2402~2406の一部を近見視力のために設計する一方で、区画2402~2406のその他の部分を遠見視力のために設計することもできる。
【0074】
概して、残存屈折異常を抱えた患者に対して所望の屈折矯正を行うために、多種多様な光学レンズが、眼内偽水晶体コンタクトレンズに用いることができる。特定の患者に対する1つ以上の 眼内偽水晶体コンタクトレンズを、患者の眼に必要とされる屈折矯正のタイプに応じて、選択または設計することができる。
【0075】
図16図24では、眼内偽水晶体コンタクトレンズを用いて利用することができるその他の特性の例について示しているが、図16図24に対して様々な改変を加えることができる。例えば、各々の眼内偽水晶体コンタクトレンズまたは光学レンズは、眼内偽水晶体コンタクトレンズまたは光学レンズについて示した個々の特性を、あらゆる個数で含むことができる。また、他の特性、あるいは追加の特性を、上記した眼内偽水晶体コンタクトレンズを用いて利用することができる。
【0076】
図25は、本開示にしたがって、眼内レンズと共に眼内偽水晶体コンタクトレンズを使用する方法2500の例を示している。図25に示したように、眼内レンズを装着した患者の眼での残存屈折異常が、ステップ2502で確認される。この作業には、例えば、担当者が、患者の視力を検査し、そして、眼内レンズ1000を移植した後もなお屈折異常が残存していることを確認する、ことも含めることができる。この検査は、術中波面収差測定法を用いるなどして、あらゆる適切な方法で実施することができる。この検査の目的の一つは、患者の眼に眼内レンズの移植を行った後に、患者の眼にどのような屈折異常が存在しているのかを確認可能にすることにある。この検査は、水晶体切除術法を行った後など、いかなる適切な時点でも実施することができる。
【0077】
眼内偽水晶体コンタクトレンズは、ステップ2504で、確認された残存屈折異常を(望ましくは)矯正するために選択される。この作業には、例えば、担当者が、キットから眼内偽水晶体コンタクトレンズを選択し、選択した眼内偽水晶体コンタクトレンズが、確認された残存屈折異常を実質的に緩和する光学レンズを備える、ことも含めることができる。また、この作業には、担当者が、キットから光学レンズを選択し、かつその光学レンズを眼内偽水晶体コンタクトレンズに挿入し、選択した光学レンズが、確認された残存屈折異常を実質的に解消する、ことも含めることができる。さらに、この作業には、担当者が、特別設計の光学レンズを備えた眼内偽水晶体コンタクトレンズを取得し、あるいは眼内偽水晶体コンタクトレンズに挿入するための特別設計の光学レンズを取得し、それら特別設計の光学レンズが、確認された残存屈折異常を実質的に解消する、ことも含めることができる。概して、適切な眼内偽水晶体コンタクトレンズを取得するためには、いかなる手段でも利用することができる。
【0078】
選択した眼内偽水晶体コンタクトレンズは、ステップ2506で、患者の眼に挿入される。この作業には、例えば、外科医または他の担当者が、患者の眼を小さく切開し、かつその切開箇所を介して眼内に眼内偽水晶体コンタクトレンズを挿入する、ことも含めることができる。小さな切開箇所を介して眼内偽水晶体コンタクトレンズを挿入するために、眼内偽水晶体コンタクトレンズを、巻いたり、折り畳んだり、さもなくば、断面の大きさを縮減することもできる。
【0079】
1つ以上のアンカーが、ステップ2508で、患者の眼内で、眼内レンズに対して眼内偽水晶体コンタクトレンズを固定するために使用される。この作業には、例えば、外科医または他の担当者が、眼内レンズの上の所望の位置に(かつ、可能であれば、所望の配向で)眼内偽水晶体コンタクトレンズを載置する、ことも含めることができる。また、この作業には、患者の眼内の眼内レンズのレンズ材料にアンカーを打ち込むために、外科医または他の担当者が、眼内偽水晶体コンタクトレンズまたは眼内偽水晶体コンタクトレンズのアンカーを押し込む、ことも含めることができる。さらに、この作業には、患者の眼内の水晶体嚢の一部分の周囲に、眼内偽水晶体コンタクトレンズの触覚ループを配置する、ことも含めることができる。
【0080】
ステップ2510で、患者の視力検査を行う。この視力検査は、術中波面収差測定法を用いるなどして、あらゆる適切な方法で実施することができる。また、この視力検査は、眼内偽水晶体コンタクトレンズを移植している外科手術の最中や、あるいは外科手術が終わった後など、あらゆる適切な時点で実施することができる。ステップ2512で、検査した視力が良好であるか否かを判断する。この作業には、例えば、患者の眼に依然として残存屈折異常が認められるか否かを判断し、かつ異常が認められる場合には、その程度までをも判断する、ことも含めることができる。
【0081】
ステップ2514で、眼内偽水晶体コンタクトレンズを交換するか否かを判断する。この作業には、例えば、担当者および患者が、残存する残存屈折異常(もしあれば)に不都合を感じているか否か、あるいはそれが患者にとって問題であるか否かを判断する、ことも含めることができる。もしそうであれば、問題点を分析および解決するために、他の手段を講じることもできる。例えば、現在移植されている眼内偽水晶体コンタクトレンズの移植位置を再調整して、シリンダー軸の矯正を図ることができる。これが失敗に終わった場合には、ステップ2516で、他の眼内偽水晶体コンタクトレンズが選択される。この作業には、例えば、担当者が、(望ましくは)現在挿入されている眼内偽水晶体コンタクトレンズよりも良好な屈折矯正を患者の眼にもたらす、他の眼内偽水晶体コンタクトレンズを選択する、ことも含めることができる。ステップ2518で、現在挿入されている眼内偽水晶体コンタクトレンズは、患者の眼から除去される。この作業には、例えば、外科医または他の担当者が、眼内レンズのレンズ材料から現在挿入されている眼内偽水晶体コンタクトレンズのアンカーを除去し、かつ患者の眼から現在挿入されている眼内偽水晶体コンタクトレンズを除去する、ことも含めることができる。そして、このプロセスは、ステップ2506へ戻され、そこでは、新たに選択した眼内偽水晶体コンタクトレンズを患者の眼に挿入することができ、そして、視力検査が繰り返すことができる。
【0082】
図25は、眼内レンズと共に眼内偽水晶体コンタクトレンズを使用する方法2500の一例を示しているが、図25に対して様々な改変を加えることができる。例えば、一連のステップとして示しているが、図25に示した様々なステップは、重複してもよく、並行して実施してもよく、順序を変えて実施してもよく、あるいは幾度でも実施することができる。
【0083】
本願明細書を通じて使用した幾つかの用語および語句の定義を説明することは、好都合であると思われる。用語「含む(include)」および「含む(comprise)」、ならびに、その派生語は、限定を意図していない含むを意味している。用語「または(or)」は、包含的であり、「および/または」を意味する。語句「と固定する(associated with)」ならびにその派生語は、を含む(to include)、内に含まれる(be included within)、と相互に接続される(interconnect with)、含む(contain)、内に含まれる(be contained within)、に接続される(connect to or with)、に結合される(couple to or with)、と連通可能である(be communicable with)、と協力する(cooperate with)、交互に配置される(interleave)、並置される(juxtapose)、に隣接する(be proximate to)、に結び付けられる(be bound to or with)、有する(have)、の性質を有する(have a property of)、と関係を有する(have a relationship to or with)など、を意味する場合がある。語句「少なくとも1つの(at least one of)」は、要素の一覧とともに使用する場合に、1つ以上の列挙した要素の異なる組み合わせを使用することができ、列挙した1つの要素だけが必要になる場合がある、ことを意味する。例えば、「A、BおよびCの少なくとも1つ」は、A、B、C、AとB、AとC、BとC、およびAとBとCの組み合わせのいずれをも含む。
【0084】
本願明細書に記載した説明を、あらゆる特定の要素、ステップ、または機能が、特許請求の範囲に含まれていなくてはならない必須または不可欠な要素である、と解釈すべきではない。また、「~ための手段(means for)」または「~ためのステップ(step for)」という適切な表現が、特定の請求項で明示的に用いられており、そして、機能を特定する分詞句が続いていない限りは、添付した特許請求の範囲または請求項に記載の要素に関して、いずれの請求項も、35U.S.C.§112(f)の規定を行使することは意図されない。請求項に記載の特徴事項それ自体に基づいて修正または改良がさらに加えられるので、請求項に記載の「機構(mechanism)」、「モジュール(module)」、「デバイス(device)」、「ユニット(unit)」、「成分(component)」「要素(element)」「部材(member)」「器具(apparatus)」、「機械(machine)」、「システム(system)」、「プロセッサー(processor)」、「プロセッシングデバイス(processing device)」、または「コントローラー(controller)」などの用語(これらに限定されない)の使用は理解がされており、かつ当業者に周知の構造を示す意図がされており、および35U.S.C.§112(f)の規定を行使することは意図されていない。
【0085】
本願明細書では、特定の実施態様と一般的に関連する方法について説明を行ってきたが、これらの実施形態および方法の改変および変形は、当業者に自明の事項である。したがって、実施形態の例に関する上記説明は、本開示を定義するものではなく、または本開示に対して制限を課すものでもない。その他の変更、置換、および改変も、以下の請求の範囲で定義された本開示の要旨と範囲から逸脱しない範囲で可能である。
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