IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウルトラメモリ株式会社の特許一覧

特許7210066半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体
<>
  • 特許-半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体 図1
  • 特許-半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体 図2
  • 特許-半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体 図3
  • 特許-半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体 図4
  • 特許-半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体 図5
  • 特許-半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体 図6
  • 特許-半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体 図7
  • 特許-半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体 図8
  • 特許-半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体 図9
  • 特許-半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20230116BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20230116BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20230116BHJP
【FI】
H01L25/08 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021532655
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 JP2019028328
(87)【国際公開番号】W WO2021009920
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】515225518
【氏名又は名称】ウルトラメモリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】奥津 文武
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0062383(US,A1)
【文献】特開平11-067959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0345761(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0255411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のダイを有する半導体モジュールであって、
第1のダイと、
積層方向に交差する方向において、前記第1のダイに並設される第2のダイと、
積層方向において、前記第1のダイ及び前記第2のダイに跨って配置され、対向する前記第1のダイ及び前記第2のダイの配線面に電気的に接続される第3のダイと、
前記第1のダイ及び前記第2のダイの配線面から突出する突出端子であって、積層方向に交差する方向において前記第3のダイの少なくとも1つの側面に隣接する空間領域において突出する突出端子と、
前記突出端子に重ねて配置される再配線層と、
積層方向において前記再配線層に並設される複数の外部端子であって、前記再配線層を介して前記突出端子に電気的に接続される接続端子と積層方向において前記第3のダイと重なる位置に配置され、前記突出端子に電気的に接続されない非接続端子とを有する外部端子と、
を備える半導体モジュール。
【請求項2】
前記第2のダイは、前記突出端子から供給される電力を前記第3のダイに供給する電力供給ダイである請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記第2のダイは、積層方向に交差する方向において、前記第1のダイを挟んで一対に配置され、前記第3のダイは、前記第1のダイ及び前記一対に配置された前記第2のダイに跨って一対に配置される請求項1又は2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記第3のダイは、
積層方向において、前記第2のダイに重なるアレイ部と、
積層方向において、前記第1のダイに重なるインタフェース部と、
を備える請求項1から3のいずれかに記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第3のダイに重なり、前記第3のダイの放熱経路である放熱部をさらに備える請求項1から4のいずれかに記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記放熱部は、前記再配線のうち前記第3のダイに重なる重複部と、前記非接続端子とによって構成される請求項に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記重複部は、
間欠的に積層される金属層と、
隣接する前記金属層の間を接続する放熱用ビアと、
を有する請求項に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記放熱部は、前記再配線層を貫通する熱放散用部材を有する請求項5に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
請求項1からのいずれかに記載の半導体モジュールと、
積層方向に貫通する複数の貫通端子であって、前記外部端子にそれぞれ接続される貫通端子を有する実装基板と、
を備える半導体モジュールの実装体。
【請求項10】
積層された複数のダイを有する半導体モジュールであって、
第1のダイと、
積層方向に交差する方向において、前記第1のダイに並設される第2のダイと、
積層方向において、前記第1のダイ及び前記第2のダイに跨って配置され、対向する前記第1のダイ及び前記第2のダイの配線面に電気的に接続される第3のダイと、
前記第1のダイ及び前記第2のダイの配線面から突出する突出端子であって、積層方向に交差する方向において前記第3のダイの少なくとも1つの側面に隣接する空間領域において突出する突出端子と、
前記突出端子に重ねて配置される再配線層と、
を備え、
前記第3のダイは、積層方向において、前記第2のダイに重なるアレイ部と、前記第1のダイに重なるインタフェース部とを備え、
前記第1のダイは、前記配線面から積層方向に延びる接続端子を備え、
前記第3のダイは、前記接続端子を介して前記第1のダイに直接接続される、
半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記憶装置としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリ(RAM)が知られている。DRAMには、演算装置(以下、論理チップという)の高性能化やデータ量の増大に耐えうる大容量化が求められている。そこで、メモリ(メモリセルアレイ、メモリチップ)の微細化及びセルの平面的な増設による大容量化が図られてきた。一方で、微細化によるノイズへの惰弱性や、ダイ面積の増加等により、この種の大容量化は限界に達してきている。
【0003】
そこで、昨今では、平面的なメモリを複数積層して3次元化(3D化)して大容量化を実現する技術が開発されている。また、複数のチップを重ねて配置することで、複数のチップの設置面積を低減する半導体モジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/0255411号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、パッケージ基板の第1面上に、アクティブ面を露出した第2チップが配置される。また、特許文献1では、第1チップは、パッケージ基板の第1面と第2チップのアクティブ面とにアクティブ面を対向させて配置される。そして、特許文献1では、第1のチップがパッケージ基板の第1面と、第2チップのアクティブ面とに電気的に接続される。
【0006】
このように、特許文献1に開示されている半導体モジュールでは、大容量化することができる。一方、特許文献1に開示されている半導体モジュールでは、パッケージ基板を用いるので、比較的製造コストが高い。そこで、製造コストを低減できればより好適である。
【0007】
本発明は、製造コストを低減可能な半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、積層された複数のダイを有する半導体モジュールであって、第1のダイと、積層方向に交差する方向において、前記第1のダイに並設される第2のダイと、積層方向において、前記第1のダイ及び前記第2のダイに跨って配置され、対向する前記第1のダイ及び前記第2のダイの配線面に電気的に接続される第3のダイと、前記第1のダイ及び前記第2のダイの配線面から突出する突出端子であって、積層方向に交差する方向において前記第3のダイの少なくとも1つの側面に隣接する空間領域において突出する突出端子と、前記突出端子に重ねて配置される再配線層と、を備える半導体モジュールに関する。
【0009】
また、前記第2のダイは、前記突出端子から供給される電力を前記第3のダイに供給する電力供給ダイであるのが好ましい。
【0010】
また、前記第2のダイは、積層方向に交差する方向において、前記第1のダイを挟んで一対に配置され、前記第3のダイは、前記第1のダイ及び前記一対に配置された前記第2のダイに跨って一対に配置されるのが好ましい。
【0011】
また、前記第3のダイは、積層方向において、前記第2のダイに重なるアレイ部と、積層方向において、前記第1のダイに重なるインタフェース部と、を備えるのが好ましい。
【0012】
また、半導体モジュールは、前記第3のダイに重なり、前記第3のダイの放熱経路である放熱部をさらに備えるのが好ましい。
【0013】
また、半導体モジュールは、積層方向において前記再配線層に並設される複数の外部端子であって、前記再配線層を介して前記突出端子に電気的に接続される接続端子と積層方向において前記第3のダイと重なる位置に配置され、前記突出端子に電気的に接続されない非接続端子とを有する外部端子をさらに備えるのが好ましい。
【0014】
また、前記放熱部は、前記再配線のうち前記第3のダイに重なる重複部と、前記非接続端子とを含むのが好ましい。
【0015】
また、前記重複部は、間欠的に積層される金属層と、隣接する前記金属層の間を接続する放熱用ビアと、を有するのが好ましい。
【0016】
また、前記放熱部は、前記再配線層を貫通する熱放散用部材を有するのが好ましい。
【0017】
また、本発明は、上記の半導体モジュールと、積層方向に貫通する複数の貫通端子であって、前記外部端子にそれぞれ接続される貫通端子を有する実装基板と、を備える半導体モジュールの実装体に関する。
【0018】
また、本発明は、積層された複数のダイを有する半導体モジュールの製造方法であって、第1のダイ及び第2のダイの一方の面に突出端子を形成する工程と、前記第1のダイ及び前記第2のダイを支持基板に並設する工程と、前記第1のダイ及び前記第2のダイに跨って第3のダイを配置する工程と、前記第1のダイ、前記第2のダイ、前記第3のダイ、及び前記突出端子をモールドする工程と、前記第3のダイの露出面に跨って配置されるとともに、前記突出端子に電気的に接続される再配線層を形成する工程と、前記支持基板を除去する工程と、を備える半導体モジュールの製造方法に関する。
【0019】
また、前記第1のダイ及び前記第2のダイを前記支持基板に並設する工程において、前記支持基板には、前記第1のダイ及び前記第2のダイの組が複数配置されるのが好ましい。
【0020】
また、半導体モジュールの製造方法は、前記モールドする工程の後、前記再配線層を形成する工程の前に、前記第3のダイと前記突出端子とを露出すべく研磨する工程をさらに備えるのが好ましい。
【0021】
また、半導体モジュールの製造方法は、前記第3のダイに重なる位置に、前記再配線層を貫通する熱放散用部材を配置する工程をさらに備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、製造コストを低減可能な半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る半導体モジュール及び半導体モジュールの実装体を示す概略断面図である。
図2】第1実施形態の半導体モジュールの製造途中を示す概略断面図である。
図3】第1実施形態の半導体モジュールの製造途中を示す概略断面図である。
図4】第1実施形態の半導体モジュールの製造途中を示す概略斜視図である。
図5】第1実施形態の半導体モジュールの製造途中を示す概略断面図である。
図6】第1実施形態の半導体モジュールの製造途中を示す概略断面図である。
図7】第1実施形態の半導体モジュールの製造途中を示す概略断面図である。
図8】本発明の第2実施形態の半導体モジュールの放熱部を示す概略構成図である。
図9】本発明の第3実施形態の半導体モジュールの放熱部を示す概略断面図である。
図10】本発明の変形例に係る半導体モジュールの放熱部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の各実施形態に係る半導体モジュール1、その製造方法、及び半導体モジュール1の実装体100について、図1から図9を参照して説明する。
各実施形態に係る半導体モジュール1は、例えば、演算装置(第1のダイ11、以下、論理チップという)と、単層又は積層型RAMを含むRAMモジュールであるRAM部13とを再配線層16上に配置したSIP(system in a package)である。特に制限されないが、半導体モジュール1は、半田ボール102を備えた実装基板101に実装された半導体モジュールの実装体100で基板(マザーボード等、図示せず)上に配置され、半田ボール102(電源ボール等)を用いて電気的に接続される。あるいは、半導体モジュール1は実装基板101と、半田ボール102を介さずに基板上に直接配置されても良い。半導体モジュール1は、基板から電力を得るとともに、基板との間でデータ送受信が可能である。なお、以下の各実施形態において、半導体モジュール1の積層方向(厚さ方向)は、積層方向Cとして説明される。また、半導体モジュール1の積層方向Cに沿って、基板の配置される側は、下方として説明される。半導体モジュール1の積層方向Cに沿って、第1のダイ11の配置される側は、上方として説明される。
【0025】
[第1実施形態]
次に、第1実施形態に係る半導体モジュール1、その製造方法、及び半導体モジュール1の実装体100について、図1から図7を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る半導体モジュール1の構成について説明する。
【0026】
半導体モジュール1は、積層された複数のダイを有する。半導体モジュール1は、図1に示すように、第1のダイ11と、第2のダイ12と、第3のダイ13と、突出端子14と、モールド材15と、再配線層16と、外部端子17と、放熱部18と、を備える。
【0027】
第1のダイ11は、例えば、論理チップ(MPU)である。本実施形態において、第1のダイ11は、例えば、正面視矩形に構成される。第1のダイ11は、配線面(図示せず)を下方に向けて配置される。
【0028】
第2のダイ12は、例えば、電力供給用のダイである。第2のダイ12は、積層方向に交差する方向において、第1のダイ11に並設される。本実施形態において、第2のダイ12は、例えば、正面視矩形に構成される。また、本実施形態において、第2のダイ12は、積層方向に交差する方向において、第1のダイ11を挟んで一対に配置される。第2のダイ12は、第1のダイ11と同様に、配線面(図示せず)を下方に向けて配置される。第2のダイ12は、後述する突出端子14から供給される電力を後述する第3のダイ13に供給する。
【0029】
第3のダイ13は、例えば、DRAMである。第3のダイ13は、積層方向において、第1のダイ11及び第2のダイ12に跨って配置される。第3のダイ13は、配線面(図示せず)を上方に向けて配置される。第3のダイ13は、対向する第1のダイ11及び第2のダイ12の配線面に電気的に接続される。第3のダイ13は、例えば、第1のダイ11及び第2のダイ12のそれぞれの配線面から延びる接続端子141によって接続される。具体的には、第3のダイ13は、第1のダイ11及び第2のダイ12のそれぞれの配線面から延びるピラー(Cuピラー)やバンプ等を用いて接続される。本実施形態において、第3のダイ13は、アレイ部131と、インタフェース部132と、を備える。
【0030】
アレイ部131は、第3のダイ13の一部であり、メモリセルアレイの配置される部位である。本実施形態において、アレイ部131は、積層方向において、第2のダイ12に重なる位置に配置される。具体的には、アレイ部131は、積層方向において、第2のダイ12からの電力を受給可能な位置に配置される。
【0031】
インタフェース部132は、第3のダイ13の一部であり、メモリインタフェースの配置される部位である。本実施形態において、インタフェース部132は、積層方向において、第1のダイ11に重なる位置に配置される。具体的には、インタフェース部132は、積層方向において、第1のダイ11から電力を受給可能な位置に配置される。また、インタフェース部132は、積層方向において、接続端子141を介して第1のダイ11に直接接続される。
【0032】
突出端子14は、第1のダイ11及び第2のダイ12のそれぞれの配線面から突出する導電性の端子である。突出端子14は、例えば、第1のダイ11及び第2のダイ12のそれぞれの配線面のうち、第3のダイ13とは重ならない平面領域から突出する。換言すると、突出端子14は、積層方向に交差する方向において、第3のダイ13の少なくとも1つの側面に隣接する空間領域において突出する。突出端子14は、第1のダイ11又は第2のダイ12の配線面から、第3のダイ13の上面の高さと同じ又は略同じ高さまで伸びる長さを有する。突出端子14は、第1のダイ11及び第2のダイ12の信号線、電力供給線、又はアース線として機能する。本実施形態において、突出端子14は、第1のダイ11及び第2のダイ12の配線面から、第3のダイ13の四方の側面を囲繞する空間領域において突出する。
【0033】
モールド材15は、例えば、エポキシ樹脂である。モールド材15は、積層方向Cに交差する方向において、第1のダイ11、第2のダイ12、第3のダイ13、及び突出端子14を被覆する。
【0034】
再配線層16は、例えば、突出端子14に重ねて配置される層である。再配線層16は、例えば、二酸化ケイ素や窒化ケイ素、ポリイミド等で形成される複数の絶縁層のそれぞれの内部に、導電性の配線やビアを配置して構成される。再配線層16は、例えば、絶縁層161の内部に、再配線層16を貫通して突出端子14と電気的に接続される導電ビア162を配置した構成を有する。本実施形態において、再配線層16は、突出端子14の突出方向先端面と、第3のダイ13の配線面(図示せず)とは反対側の露出面とに跨って配置される。また、本実施形態において、再配線層16は、第3のダイ13に重なる位置に、積層方向Cに貫通する放熱用の放熱ビア163を配置した構成を有する。
【0035】
外部端子17は、例えば、複数のバンプや、複数の半田ボールで構成される。外部端子17は、積層方向Cにおいて再配線層16に並設される。本実施形態において、外部端子17は、接続端子171と、非接続端子172と、を備える。
【0036】
接続端子171は、再配線層16の導電ビア162の露出位置に配置される。これにより、接続端子171は、再配線層16を介して突出端子14に電気的に接続される。接続端子171は、例えば、信号端子、電力供給端子、又はアース端子として機能する。
【0037】
非接続端子172は、積層方向において、第3のダイ13と重なる位置に配置される。非接続端子172は、突出端子14に接続されず、第3のダイ13の放熱端子として機能する。
【0038】
放熱部18は、第3のダイ13の放熱用に設けられる構成である。放熱部18は、第3のダイ13に重なり、第3のダイ13の放熱経路として構成される。本実施形態において、放熱部18は、再配線層16のうち第3のダイ13に重なる重複部181と、外部端子17の非接続端子172と、によって構成される。
【0039】
次に、本実施形態の半導体モジュール1の実装体100の構成について説明する。
半導体モジュール1の実装体100は、半導体モジュール1と、実装基板101と、半田ボール102と、を備える。なお、半導体モジュール1の実装体100には、接続端子171の位置に、接続端子171を封止するアンダーフィル19が配置される。
【0040】
実装基板101は、例えば、有機基板である。本実施形態において、実装基板101は、積層方向Cに交差する方向において、半導体モジュール1よりも大きな面積を有して構成される。実装基板101は、一方の面で接続端子171に接続される。実装基板101には、積層方向Cに貫通する複数の貫通端子110が配置される。具体的には、実装基板101には、積層方向Cに貫通して接続端子171に接続される貫通導電端子111と、積層方向Cに貫通して非接続端子172に接続される貫通放熱端子112と、が配置される。
【0041】
半田ボール102は、実装基板101の他方の面に配置される。半田ボール102は、貫通端子110に接続される。
【0042】
次に、本実施形態の半導体モジュール1及び半導体モジュール1の実装体100の動作について説明する。
貫通導電端子111及び接続端子171を介して供給される電力及び信号は、再配線層16及び突出端子14を介して第1のダイ11及び第2のダイ12に供給される。第1のダイ11は、供給された信号に基づいて動作するともに、第3のダイ13のインタフェース部132に電力及び信号を供給する。また、第2のダイ12は、突出端子14を介して供給される電力を第3のダイ13のアレイ部131に供給する。
【0043】
第3のダイ13は、第1のダイ11及び第2のダイ12から供給される電力により発熱する。放熱部18は、第3のダイ13によって発生する熱について、貫通放熱端子112を介して、実装基板101の外部に放熱する。
【0044】
次に、半導体モジュール1及び半導体モジュール1の実装体100の製造方法について説明する。
最初に、半導体モジュール1が製造される。半導体モジュール1の製造方法は、第1のダイ11及び第2のダイ12に突出端子14を形成する工程と、第1のダイ11及び第2のダイ12を支持基板200に並設する工程と、第3のダイ13を配置する工程と、モールドする工程と、研磨する工程と、再配線層16を形成する工程と、外部端子17を配置する工程と、支持基板200を除去する工程と、を備える。
【0045】
まず、図2に示すように第1のダイ11及び第2のダイ12に突出端子14を形成する工程が実施される。突出端子14を形成する工程では、第1のダイ11及び第2のダイ12の一方の面に突出端子14が形成される。突出端子14は、例えば、第1のダイ11及び第2のダイ12の配線面から突出して形成される。また、第1のダイ11及び第2のダイ12と、第3のダイ13との接続端子141は、突出端子14の形成に併せて形成される。
【0046】
次いで、第1のダイ11及び第2のダイ12を配置する工程が実施される。第1のダイ11及び第2のダイ12は、仮接着層201を介して、配線面とは逆の面を支持基板200に積層方向Cに交差する方向に並設される。ここで、支持基板200は、例えば、ウェハやパネル等である。本実施形態において、第1のダイ11及び第2のダイ12を配置する工程では、第1のダイ11及び第2のダイ12の組が支持基板200上に複数配置される。
【0047】
次いで、第3のダイ13を配置する工程が実施される。第3のダイ13を配置する工程では、図3及び図4に示すように、第3のダイ13が、第1のダイ11及び第2のダイ12に跨って配置される。第3のダイ13を配置する工程では、第3のダイ13が突出端子14に隣接する空間領域に配置され、接続端子141を介して第1のダイ11及び第2のダイ12に電気的に接続される。
【0048】
次いで、モールドする工程が実施される。モールドする工程では、第1のダイ11、第2のダイ12、第3のダイ13、及び突出端子14がモールド材15によりモールドされる。モールドする工程では、例えば、第1のダイ11、第2のダイ12、第3のダイ13、及び突出端子14がモールド材15により被覆される。
【0049】
次いで、研磨する工程が実施される。研磨する工程では、第3のダイ13及び突出端子14の突出方向先端側に配置されるモールド材15が研磨される。研磨する工程では、例えば、グラインダーを用いて、突出端子14の突出方向先端側に配置されるモールド材15と、第3のダイ13の配線面とは反対側の面とが研磨される。その結果、研磨する工程では、図5に示すように、第3のダイ13と突出端子14とが積層方向Cにおいて露出する。
【0050】
次いで、再配線層16を形成する工程が実施される。再配線層16を形成する工程では、図6に示すように、再配線層16が形成される。再配線層16を形成する工程では、絶縁層161の形成及びビアの形成が交互に繰り返される。これにより、突出端子14に接続されるビアが形成される。
【0051】
次いで、外部端子17を配置する工程が実施される。外部端子17を配置する工程により、図7に示すように、再配線層16の露出面に外部端子17が配置される。外部端子17は、再配線層16のビアに接続される。具体的には、積層方向Cで突出端子14に重なる位置には、接続端子171が配置される。一方、第3のダイ13に重なる位置には、非接続端子172が配置される。
【0052】
次いで、支持基板200を除去する工程が実施される。これにより、半導体モジュール1が形成される。
【0053】
次に、半導体モジュール1の実装体100の製造方法について説明する。
半導体モジュール1の実装体100の製造方法は、実装基板101を接続する工程と、半田ボール102を配置する工程と、を備える。
【0054】
まず、実装基板101を接続する工程が実施される。実装基板101を接続する工程では、実装基板101の一方の面が外部端子17に接続される。具体的には、実装基板101を接続する工程では、外部端子17に、実装基板101の一方の面側に露出する貫通導電端子111及び貫通放熱端子112が接続される。また、実装基板101を接続する工程では、外部端子17の位置に、アンダーフィル19が配置される。
【0055】
次いで、半田ボール102を配置する工程が実施される。半田ボール102を配置する工程では、実装基板101の他方の面側に半田ボール102が配置される。具体的には、半田ボール102を配置する工程では、実装基板101の他方の面から露出する貫通導電端子111及び貫通放熱端子112に半田ボール102が配置される。
【0056】
以上、本実施形態に係る半導体モジュール1、その製造方法、及び半導体モジュール1の実装体100は、以下の効果を奏する。
(1)積層された複数のダイを有する半導体モジュール1であって、第1のダイ11と、積層方向Cに交差する方向において、第1のダイ11に並設される第2のダイ12と、積層方向Cにおいて、第1のダイ11及び第2のダイ12に跨って配置され、対向する第1のダイ11及び第2のダイ12の配線面に電気的に接続される第3のダイ13と、第1のダイ11及び第2のダイ12の配線面から突出する突出端子14であって、積層方向Cに交差する方向において第3のダイ13の少なくとも1つの側面に隣接する空間領域において突出する突出端子14と、突出端子14に重ねて配置される再配線層16と、を備える。従来のパッケージ基板に代えて、再配線層16によって半導体モジュール1を構成した。これにより、パッケージ基板を用いる場合に比べ、コストを削減することができる。また、第1のダイ11と第3のダイ13とが近接されて電気的に接続されるので、第1のダイ11及び第3のダイ13の間で送受信される信号のバンド幅を向上することができる。さらに、第1のダイ11と第2のダイ12が支持基板200に載置・固定されるため、第3のダイ13との位置合わせ精度が向上し、第3のダイ13との接続端子141のピッチを狭くすることで端子数を増やすことができる。
【0057】
(2)第2のダイ12は、突出端子14から供給される電力を第3のダイ13に供給する電力供給ダイである。これにより、第1のダイ11のみから第3のダイ13に電力を供給する場合に比べ、第2のダイ12からも電力を供給することができるので、より安定的に第3のダイ13に電力を供給することができる。
【0058】
(3)第2のダイ12は、積層方向Cに交差する方向において、第1のダイ11を挟んで一対に配置され、第3のダイは、第1のダイ及び一対に配置された第2のダイに跨って一対に配置される。これにより、複数の第3のダイ13を第1のダイ11に接続することができるので、容易に大容量化を実現することができる。
【0059】
(4)第3のダイ13は、積層方向Cにおいて、第2のダイ12に重なるアレイ部131と、積層方向Cにおいて、第1のダイ11に重なるインタフェース部132と、を備える。これにより、より電力を必要とするアレイ部131に対して、第2のダイ12から直接電力を供給することができる、一方、アレイ部131に比べて小電力で済むインタフェース部132には、論理チップである第1のダイ11から電力が供給される。したがって、第1のダイ11からのみ第3のダイ13に電力を供給する場合に比べ、より安定的に電力を供給することができる。また、インタフェース部132は通信相手である第1のダイ11から電力が供給されるので、信号電圧レベルの整合性と信号品質を向上することができる。
【0060】
(5)半導体モジュール1は、第3のダイ13に重なり、第3のダイ13の放熱経路である放熱部18をさらに備える。これにより、基板101に近い側に配置される第3のダイ13に対応する放熱部18を形成することができるので、第3のダイ13をより安定して動作させることができる。
【0061】
(6)半導体モジュール1は、積層方向Cにおいて再配線層16に並設される複数の外部端子17であって、再配線層16を介して突出端子14に電気的に接続される接続端子171と積層方向Cにおいて第3のダイ13と重なる位置に配置され、突出端子14に電気的に接続されない非接続端子172とを有する外部端子17をさらに備える。これにより、再配線層16上に、接続端子171及び非接続端子172を同様に配置することができる。したがって、半導体モジュール1に放熱部18を配置しつつ、製造コストを削減することができる。
【0062】
(7)放熱部18は、再配線のうち第3のダイ13に重なる重複部181と、非接続端子172とによって構成される。これにより、再配線層16及び外部端子17で配線及び放熱の構成を兼ねることができる。したがって、半導体モジュール1を製造するコストを削減することができる。
【0063】
(8)半導体モジュール1の実装体100は、上記の半導体モジュール1と、積層方向Cに貫通する複数の貫通端子110であって、外部端子17にそれぞれ接続される貫通端子110を有する実装基板101と、を備える。これにより、半導体モジュール1をマザーボード等の基板に容易に実装することができる。
【0064】
(9)積層された複数のダイを有する半導体モジュール1の製造方法であって、第1のダイ11及び第2のダイ12の一方の面に突出端子14を形成する工程と、第1のダイ11及び第2のダイ12を支持基板200に並設する工程と、第1のダイ11及び第2のダイ12に跨って第3のダイ13を配置する工程と、第1のダイ11、第2のダイ12、第3のダイ13、及び突出端子14をモールドする工程と、第3のダイ13の露出面に跨って配置されるとともに、突出端子14に電気的に接続される再配線層16を形成する工程と、支持基板200を除去する工程と、を備える。これにより、再配線層16を用いて半導体モジュール1を形成することができるので、半導体モジュール1の製造コストを低減することができる。
【0065】
(10)第1のダイ11及び第2のダイ12を支持基板200に並設する工程において、支持基板200には、第1のダイ11及び第2のダイ12の組が複数配置される。これにより、パッケージ基板ごとに半導体モジュール1を形成する場合に比べ、複数の半導体モジュール1を一度に製造できる。したがって、半導体モジュール1の製造コストを削減することができる。
【0066】
(11)半導体モジュール1の製造方法は、モールドする工程の後、再配線層16を形成する工程の前に、第3のダイ13と突出端子14とを露出すべく研磨する工程をさらに備える。したがって、モールドした後に、突出端子14の突出方向の先端と、第3のダイ13の露出面との高さを同一又は略同一にすることができる。したがって、突出端子14に電気的に接続される再配線層16の形成を容易にすることができ、半導体パッケージ100の製造コストを低減することができる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体モジュール1、その製造方法、及び半導体モジュール1の実装体100について図8を参照して説明する。第2実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態に係る半導体モジュール1は、放熱部18の重複部181の構成が、第1の実施形態と異なる。
【0068】
重複部181は、図8に示すように、金属層183と、絶縁層161と、放熱用ビア184と、を備える。重複部181は、積層方向Cにおいて、第3のダイ13に放熱用ダイアタッチ材182を介して配置される。
【0069】
金属層183は、例えば、銅層であり、積層方向Cにおいて間欠的に配置される。金属層183は、例えば、積層方向Cに沿って、後述する絶縁層161と交互に配置される。本実施形態において、金属層183は、例えば、正面視矩形に形成され、積層方向Cにおいて、第3のダイ13の重なる面と同じ又は略同じ大きさで形成される。
【0070】
絶縁層161は、例えば、二酸化ケイ素や窒化ケイ素、ポリイミド等で形成される層である。絶縁層161は、積層方向Cに沿って金属層183と交互に配置される。
【0071】
放熱用ビア184は、絶縁層161を貫通するビアである。放熱用ビア184は、積層方向Cにおいて金属層183を接続する。本実施形態において、放熱用ビア184は、正面視においてマトリクス状に配置される。これにより、重複部181が熱により膨張したとしても、重複部181全体を金属層183とする場合に比べ、半導体モジュール1の安定性を向上することができる。
【0072】
以上、本実施形態に係る半導体モジュール1、その製造方法、及び半導体モジュール1の実装体100は、以下の効果を奏する。
(12)重複部181は、間欠的に積層される金属層183と、隣接する金属層183の間を接続する放熱用ビア184と、を有する。これにより、第3のダイ13の放熱効率を向上するとともに、重複部181の熱による膨張に対しても安定性を高めることができる。
【0073】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る半導体モジュール1、その製造方法、及び半導体モジュール1の実装体100について、図9を参照して説明する。第3実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第3実施形態に係る半導体モジュール1は、放熱部18が、重複部181に代えて、熱放散用部材185を有する点で第1実施形態及び第2実施形態と異なる。これに伴い、再配線層16は、第3のダイ13に重なる位置を貫通して形成される。また、第3実施形態に係る半導体モジュール1の製造方法は、熱放散用部材185を配置する工程をさらに備える点で、第1実施形態及び第2実施形態と異なる。
【0074】
熱放散用部材185は、例えば、放熱用のダイアタッチ材182であってもよい。熱放散用部材185は、積層方向Cにおいて、第3のダイ13の配線面とは逆の面と、実装基板101の一面との間に配置される。具体的には、熱放散用部材185は、積層方向Cにおいて、第3のダイ13の配線面とは逆の面と、実装基板101の一面とに接触配置される。
【0075】
熱放散用部材185を配置する工程では、第3のダイ13に重なる位置に、再配線層16を貫通する熱放散用部材185が配置される。熱放散用部材185を配置する工程は、研磨する工程の後に実施される。
【0076】
以上、本実施形態に係る半導体モジュール1、その製造方法、及び半導体モジュール1の実装体100は、以下の効果を奏する。
(13)放熱部18は、再配線層16を貫通する熱放散用部材185を有する。これにより、第3のダイ13において発生した熱について、熱放散用部材185を介して実装基板101に伝えることができる。積層方向Cに沿う方向において、第3のダイ13の配線面とは逆の面に重なる位置の全体に熱放散用部材185を配置することができるので、放熱効率をより向上することができる。
【0077】
(14)半導体モジュール1の製造方法は、第3のダイ13に重なる位置に、再配線層16を貫通する熱放散用部材185を配置する工程をさらに備える。再配線層16が形成されていない第3のダイ13に重なる位置に熱放散用部材185を単に配置するだけでよいので、半導体モジュール1の製造コストをより低減することができる。
【0078】
以上、本発明の半導体モジュール、その製造方法、及び半導体モジュールの実装体の好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記第2実施形態において、図10に示すように、非接続端子172に代えて、熱放散用部材185を配置してもよい。熱放散用部材185を用いることで、非接続端子172よりも重複層に接触する面積が広がるので、放熱効率を向上することができる。
【0079】
また、上記実施形態において、第1のダイ11を論理チップとし、第3のダイ13をDRAMとしたが逆であってもよい。即ち、複数の論理チップに対して、1つのDRAMを接続するような構成であってもよい。また、ここで1つのDRAMを例えばインターフェースチップとしてもよい。即ち、複数の論理チップに対して、1つのインターフェースチップを接続するような構成であってもよい。
【0080】
また、上記実施形態において、第1のダイ11は、広く論理チップ全般に適用されても良く、第3のダイ13はDRAMに限定されず、広く不揮発性RAM(例えばMRAM、ReRAM、FeRAM等)を含むRAM(Random Access Memory)全般に適用されても良い。
【符号の説明】
【0081】
1 半導体モジュール
11 第1のダイ
12 第2のダイ
13 第3のダイ
14 突出端子
16 再配線層
17 外部端子
18 放熱部
100 半導体モジュールの実装体
101 実装基板
102 半田ボール
110 貫通端子
131 アレイ部
132 インタフェース部
171 接続端子
172 非接続端子
181 重複部
183 金属層
184 放熱用ビア
185 熱放散用部材
200 支持基板
C 積層方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10