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特許7210075児童相談業務を支援する情報処理方法、プログラム、情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】児童相談業務を支援する情報処理方法、プログラム、情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20230116BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022196065
(22)【出願日】2022-12-08
【審査請求日】2022-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522000762
【氏名又は名称】株式会社AiCAN
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 昂太
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-346256(JP,A)
【文献】特表2004-538572(JP,A)
【文献】特開2021-126475(JP,A)
【文献】特開2020-184185(JP,A)
【文献】月刊e・コロンブス,第48巻,東方通信社 古川 猛,2021年12月28日,p.10-11
【文献】AI技術とデータ化により子どもの虐待をゼロに!~児童虐待対応支援システム「AiCAN」~ [オンライン],2021年03月31日,検索日 : 2022.12.14, URL : https://unit.aist.go.jp/spattdi/tmb/interview30.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
児童相談所の利用者に関連する利用者端末にネットワークを介して接続するサーバ端末を含む情報処理システムによる情報処理方法であって、
受付部により、前記利用者端末から、子どもに関する子どもデータの登録と、当該子どもの保護判断の支援のためのリスクアセス情報の登録を受け付けるステップと、
リスク評価部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報に基づいて、リスク評価を実行するステップと、
資料作成部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報、並びに、当該リスクアセス情報に対応する前記リスク評価の結果に基づき、前記子どもデータに対応する子どもに対する一時保護状の申請のための資料データを生成するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項2】
前記資料データを生成するステップは、さらに前記子どもデータに対応する子どもに関する調査に関する調査情報を参照して前記資料データを生成する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記資料データは、疎明資料データである、請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記資料データは、疎明資料データ及び調査記録データである、請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記リスク評価の結果は、過去の保護率または再発率もしくは重篤な虐待に該当する確率の少なくともいずれかを含み、
前記資料データは、過去の保護率または再発率もしくは重篤な虐待に該当する確率の少なくともいずれかを情報として含む、
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記資料データは、相対的に重要度が高いリスクアセスメント項目だけに基づく前記リスク評価の結果と、複数のリスクアセスメント項目を総合した前記リスク評価の結果とを両方含む、
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項7】
児童相談所の利用者に関連する利用者端末にネットワークを介して接続するサーバ端末を含む情報処理システムによる情報処理方法を実行するプログラムであって、
前記情報処理方法は、
受付部により、前記利用者端末から、子どもに関する子どもデータの登録と、当該子どもの保護判断の支援のためのリスクアセス情報の登録を受け付けるステップと、
リスク評価部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報に基づいて、リスク評価を実行するステップと、
資料作成部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報、並びに、当該リスクアセス情報に対応する前記リスク評価の結果に基づき、前記子どもデータに対応する子どもに対する一時保護状の申請のための資料データを生成するステップと、
を含む、プログラム。
【請求項8】
児童相談所の利用者に関連する利用者端末にネットワークを介して接続するサーバ端末を含む情報処理システムであって、
前記利用者端末から、子どもに関する子どもデータの登録と、当該子どもの保護判断の支援のためのリスクアセス情報の登録を受け付ける受付部と、
登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報に基づいて、リスク評価を実行するリスク評価部と、
登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報、並びに、当該リスクアセス情報に対応する前記リスク評価の結果に基づき、前記子どもデータに対応する子どもに対する一時保護状の申請のための資料データを生成する資料作成部と、
を備える、情報処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、児童相談業務を支援する情報処理方法、プログラム、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子どもの虐待に関するリスクを評価し、子どもを虐待から保護するために、関係各所で様々な取り組みを重ねられてきた。しかしながら、現場の担当者不足の課題、児童虐待の対応件数の増加等の課題が挙げられている。
【0003】
このような背景の中で、虐待リスクの判断の自動化技術として、例えば、特許文献1において、子どもの身体を撮像し、撮像された画像を基に虐待兆候を自動で判別する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許6801902号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1は、虐待兆候判定に重きが行われているが、例えばその判定結果を参照した後に子どもを一時保護すると判断した際の一時保護状に関する請求手続きの負担について依然として課題がある。一時保護状は、児童相談所が子どもを保護者から引き離す際に、親の同意がない場合に一時保護前または一時保護後速やかに裁判所へ請求する必要があるものであり、児童相談所が提出する資料に基づいて裁判所が一時保護の要否を審査する。
【0006】
しかしながら、現場の担当者不足が課題である中で専門性のある申請資料(特に疎明資料、調査記録など)を作成する必要があるが、児童相談所職員だけでは裁判官が求める観点を理解することが難しい場合があるため、資料作成の準備に時間がかかり迅速な保護が難しくなる。一方で、弁護士が作成するとしても児童相談所に常勤弁護士がほとんどいないため、同様に必要なタイミングで迅速に資料作成することが難しい。
【0007】
そこで、本発明は、児童相談所における資料作成業務(特に一時保護状のための資料作成業務)を支援するための情報処理方法、プログラム、情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様における、児童相談所の利用者に関連する利用者端末にネットワークを介して接続するサーバ端末を含む情報処理システムによる情報処理方法であって、受付部により、前記利用者端末から、子どもに関する子どもデータの登録と、当該子どもの保護判断の支援のためのリスクアセス情報の登録を受け付けるステップと、リスク評価部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報に基づいて、リスク評価を実行するステップと、資料作成部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報、並びに、当該リスクアセス情報に対応する前記リスク評価の結果に基づき、前記子どもデータに対応する子どもに対する一時保護状の申請のための資料データを生成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、児童相談所における資料作成業務(特に一時保護状のための資料作成業務)を支援するための情報処理方法、プログラム、情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係る、情報処理システムを示すブロック構成図である。
図2図1のサーバ端末100を示す機能ブロック構成図である。
図3図1の利用者端末200を示す機能ブロック構成図である。
図4】サーバ100に格納される子どもデータの一例を示す図である。
図5】サーバ100に格納される受付データの一例を示す図である。
図6】受付データの登録の際に用いられるチェックシート(表面)の一例を示す図である。
図7】受付データの登録の際に用いられるチェックシート(裏面)の一例を示す図である。
図8】本発明の第一実施形態に係る、情報処理方法に係るフローチャートの一例である。
図9】本発明の第一実施形態に係る、情報処理方法に係るフローチャートの他の一例である。
図10】本発明の第一実施形態に係る、情報処理方法に係るフローチャートのさらに他の一例である。
図11】利用者端末に表示される、アプリケーションのホーム画面例を示す図である。
図12】利用者端末に表示される、アプリケーションのリスクアセス評価を要求するための画面例を示す図である。
図13】利用者端末に表示される、アプリケーションの画像を登録するための画面例を示す図である。
図14】利用者端末に表示される、アプリケーションのリスクアセス項目の入力のための画面例を示す図である。
図15】利用者端末に表示される、アプリケーションのチャットコミュニケーション機能を利用するための画面例を示す図である。
図16】利用者端末に表示される、アプリケーションのリスクアセス評価結果の出力のための画面例を示す図である。
図17】本発明の第一実施形態に係る、情報処理方法に係るフローチャートの一例である。
図18】本発明の第一実施形態に係る、資料データの一例である。
図19】本発明の第一実施形態に係る、資料データの一例である。
図20】本発明の第一実施形態に係る、資料データの一例である。
図21】本発明の第一実施形態に係る、資料データの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による情報処理方法、プログラム、情報処理システムは、以下のような構成を備える。
[項目1]
児童相談所の利用者に関連する利用者端末にネットワークを介して接続するサーバ端末を含む情報処理システムによる情報処理方法であって、
受付部により、前記利用者端末から、子どもに関する子どもデータの登録と、当該子どもの保護判断の支援のためのリスクアセス情報の登録を受け付けるステップと、
リスク評価部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報に基づいて、リスク評価を実行するステップと、
資料作成部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報、並びに、当該リスクアセス情報に対応する前記リスク評価の結果に基づき、前記子どもデータに対応する子どもに対する一時保護状の申請のための資料データを生成するステップと、
を含む、情報処理方法。
[項目2]
前記資料データを生成するステップは、さらに前記子どもデータに対応する子どもに関する調査に関する調査情報を参照して前記資料データを生成する、項目1に記載の情報処理方法。
[項目3]
前記資料データは、疎明資料データである、項目1または2に記載の情報処理方法。
[項目4]
前記資料データは、疎明資料データ及び調査記録データである、項目1または2に記載の情報処理方法。
[項目5]
前記リスク評価の結果は、過去の保護率または再発率もしくは重篤な虐待に該当する確率の少なくともいずれかを含み、
前記資料データは、過去の保護率または再発率もしくは重篤な虐待に該当する確率の少なくともいずれかを情報として含む、
項目1または2に記載の情報処理方法。
[項目6]
前記資料データは、相対的に重要度が高いリスクアセスメント項目だけに基づく前記リスク評価の結果と、複数のリスクアセスメント項目を総合した前記リスク評価の結果とを両方含む、
項目1または2に記載の情報処理方法。
[項目7]
児童相談所の利用者に関連する利用者端末にネットワークを介して接続するサーバ端末を含む情報処理システムによる情報処理方法を実行するプログラムであって、
前記情報処理方法は、
受付部により、前記利用者端末から、子どもに関する子どもデータの登録と、当該子どもの保護判断の支援のためのリスクアセス情報の登録を受け付けるステップと、
リスク評価部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報に基づいて、リスク評価を実行するステップと、
資料作成部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報、並びに、当該リスクアセス情報に対応する前記リスク評価の結果に基づき、前記子どもデータに対応する子どもに対する一時保護状の申請のための資料データを生成するステップと、
を含む、プログラム。
[項目8]
児童相談所の利用者に関連する利用者端末にネットワークを介して接続するサーバ端末を含む情報処理システムであって、
前記利用者端末から、子どもに関する子どもデータの登録と、当該子どもの保護判断の支援のためのリスクアセス情報の登録を受け付ける受付部と、
登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報に基づいて、リスク評価を実行するリスク評価部と、
登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報、並びに、当該リスクアセス情報に対応する前記リスク評価の結果に基づき、前記子どもデータに対応する子どもに対する一時保護状の申請のための資料データを生成する資料作成部と、
を備える、情報処理システム。
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。そして、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0013】
(実施形態1)
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る業務支援システム(情報処理システム)を示すブロック構成図である。本システム1は、児童相談所の職員等の利用者が利用する利用者端末200と、児童相談に関する情報を記録/管理する児童相談記録システム300と、を仲介するサーバ端末100と、により構成される。なお、ここで、児童相談記録システム300の全部または一部の機能をサーバ端末100に備えることもでき、全部の機能をサーバ端末100に備える場合は、本システム1において児童相談記録システム300を不要としてもよい。もしくは、児童相談記録システム300の全部または一部の機能を利用者端末200上で実行されるアプリケーションなどによる利用者端末200の機能としてもよい。
【0014】
サーバ端末100と、利用者端末200とは、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0015】
サーバ端末100は、児童相談所の職員等の利用者に関連する、複数の利用者端末200A、200Bに対して業務効率化支援のためのアプリケーションを提供し、複数の利用者端末200A、200Bの各々から登録された情報を管理し、登録された情報に基づいて、例えば、子どもの虐待の可能性に関するリスクアセス評価を行い、評価結果を提供したり、資料作成(特に、子どもに対する一時保護状を申請するための資料作成であって、例えば、疎明資料や調査記録などの作成)を支援する装置であり、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。本実施形態においては、説明の便宜上サーバ端末として1台を例示しているが、これに限定されず、複数台であってもよく、認証サーバやデータベースサーバなど役割の異なるサーバを有していてもよい。
【0016】
利用者端末200A、200Bは、上記の通り、児童相談所の職員等の利用者であって、サーバ端末100により提供されるアプリケーションを利用する利用者が所有する、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォンや携帯電話、PDA等により構成しても良い。以下、説明の便宜のため、利用者端末200A、200Bを総称して、利用者端末200として説明を行う。
【0017】
また、本システムは、ネットワークNWを介して、児童相談記録システム300と接続し、利用者端末200を利用する利用者は、サーバ端末100または児童相談記録システム300に対し、子どもに関連する子どもデータを始めとした様々な情報を登録することができ、サーバ端末100は、児童相談記録システム300に対し、情報を送受信することができ、データの連携を図ることができる。ここで、児童相談記録システム300は、児童相談の記録や行政文書の発行を主たる機能とするシステムであって、例えば、子どもに関連する児童番号や受付番号の発番、受診券や一時保護決定通知書等の発行、行政情報と連携した家族情報及び負担金の管理、及び手続の進行管理等を実行するシステムである。他方、本システムは、利用者とのコミュニケーションや意思決定の支援、資料作成の支援を主たる機能とするシステムであって、児童相談所内外での記録の入力、閲覧および共有を可能とし、利用者同士(児童相談所職員同士)のチャットコミュニケーション、子どもの写真の登録及び共有、及び過去の一時保護傾向等のシミュレーション等を実行するシステムである。上記の通り、サーバ端末100と児童相談記録システム300とはネットワークNWを介して接続し、例えば、QRコード(登録商標)、児童番号または受付番号をキーとして、相互にデータ連携が行われるため、利用者は、サーバ端末100及び児童相談記録システム300双方に対して情報を入力、登録する必要がなく、一方のシステムに情報を登録することで他方のシステムへの同期が可能である。なお、上述の通り、児童相談記録システム300の全部または一部の機能をサーバ端末に備えることで、サーバ端末100において処理を完結可能な場合は、QRコード(登録商標)等によるデータ連携を不要とすることとしてもよい。
【0018】
本実施形態では、システム1は、サーバ端末100と、利用者端末200及び児童相談記録システム300とを備え、利用者が各々、利用者端末200、児童相談記録システム300を利用して、サーバ端末100に対する操作を行う構成として説明するが、サーバ端末100がスタンドアローンで構成され、サーバ端末自身に、利用者が操作を行う機能を備えても良い。
【0019】
図2は、図1のサーバ端末100の機能ブロック構成図である。サーバ端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0020】
通信部110は、ネットワークNWを介して利用者端末200及び児童相談記録システム300と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、閉域ネットワーク等の通信規約により通信が行われる。
【0021】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、子どもに関連する各種データを格納する、子どもデータ格納部121、受付に関連する各種データを格納する、受付データ格納部122等を有する。さらに、記憶部120は、利用者端末200、児童相談記録システム300と通信を行ったデータを一時的に記憶することもできる。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120またはサーバ端末100外に構築されていてもよい。
【0022】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、利用者端末200または児童相談記録システム300からの入力を受け付ける受付部131と、各種データを参照し、所定の処理する、データ管理部132と、利用者により入力された情報を分析し、評価を実行するリスク評価部133、資料データ(特に、登録された子どもデータ及びリスクアセス情報、並びに、当該リスクアセス情報に対応するリスク評価の結果に基づき、子どもデータに対応する子どもに対する一時保護状のための資料データ(特に疎明資料や調査記録など))を生成する資料作成部134等を有する。この受付部131、データ管理部132、リスク評価部133、資料作成部134は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるサーバ端末100により実行される。
【0023】
受付部131は、サーバ端末100が提供し、利用者端末200において、ウェブブラウザまたはアプリケーションを介して表示される画面等のユーザインターフェースを介して、利用者が、所定の入力を行ったとき、利用者端末200から通信部110を介して指示や各種情報を受け付ける。または、サーバ端末100または利用者端末200からの要求に応じて、児童相談記録システム300から通信部110を介して情報を受付ける。
【0024】
データ管理部132は、子どもデータや受付データ、評価データ、資料データなどの各種データを管理し、対応するデータ格納部への登録や読み出しなどの所定の処理を行う。
【0025】
リスク評価部133は、利用者端末200(または児童相談記録システム300)から登録された情報に基づいて、子どもの虐待のリスクを評価する処理を行う。
【0026】
資料作成部134は、利用者端末200(または児童相談記録システム300)から登録された情報やリスク評価部133により生成されるリスク評価情報(リスク評価の結果)に基づいて、資料データを生成する(特に、登録された子どもデータ及びリスクアセス情報、並びに、当該リスクアセス情報に対応するリスク評価の結果に基づき、子どもデータに対応する子どもに対する一時保護状のための資料データ(特に疎明資料や調査記録など)を生成する)処理を行う。
【0027】
図3は、図1の利用者端末200を示す機能ブロック構成図である。利用者端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、カメラ240と、制御部250とを備える。
【0028】
通信部210は、ネットワークNWを介してサーバ端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0029】
表示操作部220は、利用者が指示を入力し、制御部250からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザインターフェースであり、利用者端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、利用者端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である利用者端末200により実行される。表示操作部を介して、利用者は、提供される適性試験に対して、キーボードの場合は、キーボードの押下、マウスの場合は、マウスによりカーソルの移動、タッチパネルの場合は、タップ、スワイプ、ピンチ操作等を行うことができる。
【0030】
記憶部230は、各種制御処理や制御部250内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、サーバ端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0031】
カメラ240は、例えば、子どもの身体の部位を撮像する機能を備えるものである。
【0032】
制御部250は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、利用者端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0033】
なお、サーバ端末100に表示操作部の機能を備える構成としても良く、この場合、利用者端末200を備えない構成としても良い。
【0034】
なお、児童相談記録システム300の機能構成についても、サーバ端末100または利用者端末200と実質同一であるので、説明を省略する。
【0035】
図4は、サーバ端末100に格納される子どもデータの一例を示す図である。
【0036】
図4に示す子どもデータ1000は、子どもに関連する各種データを格納する。図4において、説明の便宜上、一子ども(子どもID「10001」で識別される子ども)の例を示すが、複数の子どもの情報を格納することができる。子供IDに紐づく子どもに関連する各種データとして、例えば、子どもに関する子ども情報(子どもの氏名、住所、Eメールアドレス等の連絡先、性別、年齢、学校名、学年、担任名、通学状況、タグ情報等)、保護者情報(保護者の氏名、ID、住所、連絡先、性別等)、関係者情報(関係者の氏名、ID、住所、連絡先、性別等)、家族グループ情報(家族グループ名、ID、グループ名の説明、グループのメンバー(過去の婚姻関係、内縁の夫婦関係による保護者等も含む)、関係機関情報(関係機関名、ID、種別(医療機関、警察、教育機関等)、住所、連絡先)等を含むことができる。
【0037】
図5は、サーバ端末100に格納される受付データの一例を示す図である。
【0038】
図5に示す受付データ2000は、受付に関連する各種データを格納する。図5において、説明の便宜上、一受付(受付ID「20001」で識別される受付)の例を示すが、複数の受付の情報を格納することができる。受付は、例えば登録された子どもに関する子どもデータ(例えば子どもID)等に対応づけて登録されてもよいが、管理目的に応じて、保護者情報(例えば保護者ID)、関係機関情報(例えば、関係機関ID)、利用者ID(利用者が属する利用機関に関する利用機関IDを含む)などのいずれかの任意のIDに紐づけて登録されてもよい。特に、緊急時においては、子どもに関する子どもデータを登録するよりも先に、まず受付処理を行うことがあるため、その場合には利用者ID(利用機関ID)に対応付けて受付データを管理し、子どもデータの登録後に受付データを子どもデータ(子どもID)に対応付けて登録するようにしてもよい。なお、受付データは、受付部131により受付られたデータであるが、子ども情報等に対応付けられた後は、対応付けた情報の一部(例えば、子ども情報の一部など)として管理されてもよい。
【0039】
受付に関連する各種データとして、例えば、受付の基本情報(受付日時、入力者、虐待種別(身体的虐待、ネグレクト等)、対応の開始日等)、緊急出動または調査保護の少なくともいずれかをすべきかの検討に関するリスクアセス情報、リミットアセスメントへの該当有無に関する情報、子どもに関する画像情報、子どもの創傷情報、子どもの心理診断情報、子どもの家の状況に関する情報、意思決定結果情報及び/または安全確認結果情報、対応した実施に関する項目(一時保護を実施したか、一時保護を解除したか、児童養護施設等への措置を実施したか、児童養護施設等への措置を解除したか、里親への措置を実施したか、里親への措置を解除したか、関係機関との連携を実施したか、社会資源やサービスの利用を実施したか、基礎自治体や地域コミュニティでの見守り体制の構築または利用を実施したか)、調査記録の決裁者等、調査情報(調査日時、調査タイトル、議事録(調査結果(事実))、見立てに関する情報、今後の対応に関する情報、調査によって得た追加情報(リスクアセス情報(調査によって得た分の情報)、調査時に取得した子どもの画像、調査時に取得した子どもの創傷情報、調査時に取得した子どもの心理診断情報及び調査時に取得した子どもの家の状況に関する情報、調査のための次回面談日時、調査完了時でのステータス、調査完了時のセーフティスケール(児童の安全について、感覚的な数値での入力結果情報)、対応内容、調査記録の決裁者等)、評価データ(過去の保護率に関する情報、重篤虐待に該当する確率、再発率、対応日数、実施が必要な調査に関する情報、過去の類似ケース(複数の虐待タイプのうち該当する虐待タイプに関する情報)、レーダーチャート(重篤な虐待に該当する確率や再発率や対応日数等のバランスを示すチャート)など)、リコメンド情報(今後の対応についてのリコメンドや参考情報)、資料データ(一時保護状の申請のための疎明資料データ、調査記録データ)等の情報を格納することができる。なお、受付時には、上記例示した各種データの少なくとも一部に関するデータが受け付けられる。
【0040】
リスクアセス情報とは、例えば、入力日時情報、重篤確認項目チェック情報(例えば図6に示されるSランク項目であって、例えば1つでもチェックが付いた場合に安全確保されるべきと判断される項目に関するチェック情報であって、例えば緊急出動を検討するための項目チェック情報または調査保護を検討するための項目チェック情報の少なくともいずれかを含む)、要調査項目チェック情報(例えば図7に示されるA、Bランク項目であって、例えば1つでもチェックが付いた場合に安全確保が検討されるべきと判断される項目に関するチェック情報。特に、調査時に確認される項目に関するチェック情報)を含む。
【0041】
リミットアセスメントとは、保護者と誓約を交わし、それを破った場合の強制介入を予め約束する内容であって、例えば、法的措置中に指導や支援の必要性を予め保護者に伝えたにも関わらず、指定した面接を無断キャンセルすることや、家庭訪問を拒否する、子どもに傷があるなど、子どもの安全が確認できないといった事態の有無を確認する項目が含まれる。リミットアセスメントへの該当有無に関する情報は、上述のリミットアセスメントに関する一以上の項目への該当があるかどうかを示す情報であり得る。リミットアセスメントに関する項目は、共通に設定されていてもよいし、子ども情報または保護者情報の少なくとも何れかに関連付けて利用者により設定された任意の項目であってもよい。
【0042】
図6及び図7は、受付データの登録の際に用いられるチェックシートの一例を示す図である。
【0043】
チェックシートは、一例として図6及び図7に示されるようにチェックリストを含む。チェックリストは、一時保護(通告/送致)の要否判断までに確認する重篤項目(Sランク項目)、一時保護(通告/送致)の要否判断までに要調査するAランク項目、援助方針会議までに要調査するBランク項目と大きく3つの大区分に分かれており、さらにSランク項目として、重篤身体的虐待に関する項目、重篤ネグレクトに関する項目、性的虐待の疑いに関する項目、重篤その他虐待に関する項目の中区分に分かれ、中区分に対しても最終的に10から20のチェック項目に分けられている。各チェック項目においては、一例として、調査前における疑い、調査後における疑い、調査による該当の確認の3つについて児童相談所の職員等がチェックを行う。さらに、チェックシートは、一例として、児童相談所の職員等が子どもの一時保護に関する意思決定と判断理由を記載する欄を設けられている。その他、チェックシートは、一例として、受付データに対応する情報を記入する欄が設けられている。
【0044】
<処理の流れ>
図8を参照しながら、本実施形態の情報処理システム1が実行する情報処理方法の処理の流れについて説明する。本発明の第一実施形態に係る、情報処理方法に係るフローチャートの一例である。
【0045】
ここで、本システム1を利用するために、利用者(例えば、児童相談所の職員等)は、利用者端末200の各々のウェブブラウザまたはアプリケーション等を利用してサーバ端末100にアクセスし、初めてサービスを利用する場合は、新規利用者登録を行い、既に利用者アカウントを取得済の場合は、例えばIDとパスワードを入力する等の所定の認証を受けてログインすることで、サービスが利用可能となる。この認証後、ウェブサイト、アプリケーション等を介して所定のユーザインターフェース画面が提供され、図8に示すステップS101へ進む。ここで、図11は、利用者端末200に表示されるアプリケーションのホーム画面例を示す。利用者は、本画面上で、登録メニューを選択することで下記に説明する登録を行うことができる。図11においては、登録された子どもデータの一覧情報及び対応するステータス情報、更新日情報、評価情報、決済者情報等が示されている。
【0046】
まず、ステップS101の処理として、サーバ端末100の制御部130の受付部131は、通信部110を介して、利用者端末200から、子どもに関する子ども情報等の基本情報の登録を受け付ける。サーバ端末100の制御部130のデータ管理部132は、受け付けた基本情報を、記憶部120の子どもデータ格納部121に、子どもデータ1000として子どもIDに関連づけて格納する。ここで、利用者は、児童相談記録システム300に上記基本情報を登録している場合、利用者端末200において所定の読み出し登録操作(例えば内蔵されたカメラによりQRコード(登録商標)の読み取り、表示された画面上で児童番号等の番号を入力する操作や、子どもデータ読み出し要求をサーバ端末100または利用者端末200から児童相談記録システム300に送信する操作など)を行うことで、児童相談記録システム300に登録されている基本情報をサーバ端末100により提供されるアプリケーションにインポートすることもできる。
【0047】
ここで、図9に示すように、基本情報として、受付部131は、順不同であるが、子どもの氏名、住所、Eメールアドレス等の連絡先、性別、年齢、学校名、学年、担任名、通学状況、タグ情報等の、子どもに関する子ども情報の登録を受け付け(ステップS201)、保護者の氏名、ID、住所、連絡先、性別等の、保護者に関する保護者情報の登録を受け付け(ステップS202)、続いて、叔父、叔母、子どもの兄の友人、母親の交際相手等の関係者の氏名、ID、住所、連絡先、性別等の、子どもの関係者に関する関係者情報の登録を受け付け(ステップS203)、家族グループ名、ID、グループ名の説明、グループのメンバー(子ども、兄弟、過去の婚姻関係、内縁の夫婦関係による保護者等も含む)等の、家族グループに関する家族グループ情報の登録を受け付け(ステップS204)、また、関係機関名、ID、種別(医療機関、警察、教育機関等)、住所、連絡先等の、関係機関に関する関係機関情報の登録を受け付ける(ステップS205)ことができる。なお、基本情報は一例であって全ての情報が登録されていなくてもよいし、他の情報が含まれていてもよい。また、各IDは基本情報の登録時にサーバ端末100により自動的に本アプリケーション独自のIDとして登録されてもよい。
【0048】
次に、ステップS102の処理として、受付部131は、利用者端末200から、受付データの登録を受け付ける。まず、利用者は、利用者端末200に表示されるアプリケーション画面上で、受付の基本情報(虐待種別(身体的虐待、ネグレクト等)、対応の開始日時等)などの受付データの入力を行う。サーバ端末100の制御部130のデータ管理部132は、受け付けた受付データを、記憶部120の受付データ格納部122に、受付データ2000として受付IDに関連づけて格納する。ここで、利用者は、児童相談記録システム300に上記受付データを登録している場合、利用者端末200において所定の読み出し登録操作(例えば内蔵されたカメラによりQRコード(登録商標)の読み取り、表示された画面上で児童番号等の番号を入力する操作や、子どもデータ読み出し要求をサーバ端末100または利用者端末200から児童相談記録システム300に送信する操作など)を行うことで、児童相談記録システム300に登録されている受付データをサーバ端末100により提供されるアプリケーションにインポートすることもできる。
【0049】
図10に示すように、受付データに関連づけて、受付部131は、順不同であるが、利用者端末200から、対応日時、調査タイトル、議事録(調査結果(事実))、見立て、今後の対応等の、調査情報の登録を受け付け(ステップS301)、子どもの画像情報及び/または子どもの創傷情報、子どもの心理診断情報及び子どもの家の状況に関する情報等の、子ども画像関連情報の登録を受け付け(ステップS302)、続いて、リスクアセス情報(調査前に得た情報、または、調査によって得た情報)の登録を受け付け(ステップS303)、また、チャットアプリケーションを介して、複数の利用者間によって入力された入力情報を受け付ける(ステップS304)ことができる。サーバ端末100の制御部130のデータ管理部132は、受け付けた基本情報を、記憶部120の受付データ格納部122に、受付データ2000として受付IDに関連づけて格納する。
【0050】
ここで、上記調査情報の登録は、所外に出動している職員から得た情報を基に児童相談所内で職員が行う操作として想定され、上記子ども画像関連情報の登録及び上記リスクアセス情報の登録は、子どもの安全確認を行うために所外に出動する職員が行う操作として想定され、また、上記チャットコミュニケーションについては、所外に出動している職員が、調査結果を報告し、所内の職員が送信した対応方法を確認するための操作として想定されるなど、一連の登録情報は所内外の複数の職員により入力され受け付けられるものであってもよい。
【0051】
ここで、図13に画像の登録画面例を示す。利用者は、画像の登録画面において、画像(例えば利用者端末200に内蔵のカメラにより撮影された画像やデジタルカメラやスマートフォン等の携帯機器で撮影後に利用者端末200に保存された画像など)を取り込み、画像の種類として、創傷、心理診断、家の状況等を選択する。画像の種類として創傷が選択された場合には、さらに創傷に関する、子どもの体の部位を選択し、また、創傷・骨折の種類として、傷、あざ、噛み跡、熱傷、脱毛、眼の充血等を選択し、さらに、創傷・骨折の詳細をリスト(変色、出血、腫れ、ただれ、古傷、ケロイド、多発または混在、変形/開大/欠損等)から選択することができる。心理診断に関する画像としては、子どもが描いた絵の撮影画像や、医療機関で受けた発達特性の所見書類画像などであり得る。家の状況に関する画像としては、部屋内の状況(特にゴミの状況など)や創傷の原因となった家のもの(例えば、階段から落ちたという証言がある場合には家の階段の撮影画像など)などであり得る。その他、これらに限らず、子どもに関連する画像であればどのような画像でもよく、例えば創傷の原因となったものが家の外(例えば、公園や学校など)にある場合も含まれる際には、関係施設に関する画像として別途選択して保存可能としてもよい。
【0052】
また、ここで、図15にチャットコミュニケーションの画面例を示す。利用者は、アプリケーション画面の上部に表示される、チャットコミュニケーションを利用するためのアイコンを選択することで、チャットコミュニケーションを行う相手として、個人またはグループ名のリストが表示され、各個人またはグループ名を選択することで、利用者間でチャットコミュニケーションを行うことができる。
【0053】
ここで、リスクアセス情報の入力のために、利用者は、例えば、図12の示すような、受付データ入力画面において、リスクアセス情報の記録メニューを選択し、リスクアセス情報の登録フォームを選択することができる。リスクアセス情報の登録フォームにおいて受け付ける情報(上述の受付に関連する各種データ)として、具体例としては、1)受付日時(リスクアセスメントを行った日などを入力)、2)入力者(入力者を選択)、3)通告受理時の情報(通告受理時の情報を入力、選択)、4)緊急出動(緊急出動を検討するためのリスクアセスメント項目の該当項目を選択)、5)調査保護検討(調査保護を検討するためのリスクアセスメント項目の該当項目を選択)、6)リミットアセスメント該当(リミットアセスメントに該当しているかをチェック)、7)画像の添付(「創傷」、「心理診断」、「家の状況」、「その他」の画像を登録。創傷の場合には、体の部位やけがの状況についても入力)、8)意思決定、安全確認(意思決定の結果を選択。入力情報に基づいて、再発率や重篤な虐待に該当する確率や対応日数などのシミュレーション結果や過去の類似ケースを確認可能)、9)実施項目(実施した対応を選択肢、その対応日時を入力)、10)決裁者(調査記録の決裁者を設定)などがあり得る。また登録フォームの機能として、過去に登録した内容の少なくとも一部をコピーする機能(コピーしたいリスクアセス情報に関連する子どもIDを選択してコピーを生成するなど)を有していてもよい。また、図14の画面例に示すように、利用者は、「リスクアセス変遷」というメニューを選択することで、リスクアセス情報に含まれる項目の少なくとも一部(例えば、緊急出動または調査保護の少なくともいずれかをすべきかの検討に関する項目)のリスクアセス情報を、少なくとも日時情報に基づいて各子どものリスクアセス情報の各項目の更新情報を時系列で確認できる(すなわち、変遷を確認できる)ように表示をする。これは、例えば、リスクアセス情報を日時情報及び子どもIDに関連づけて登録することで可能となる。リスクアセス情報の入力においては、図6及び7に例示するチェックシートを参照して利用者が利用者端末200上のアプリケーションを介してアセスメント項目として入力操作を受け付けてもよいし、チェックシートと少なくとも一部が同一または類似の項目がアプリケーション上で入力フォームとして入力可能なユーザインターフェース画面を表示して入力操作を受け付けてもよいし、利用者端末200のカメラ240により撮影したチェックシート画像を画像解析してチェック内容を自動で入力されるようにしてもよい。また、リスクアセス情報の変遷が表示されている画面にてアセスメント項目の少なくとも一部の内容を変更する(例えば、チェックとする、または、チェックを解除する)操作が可能であってもよい。
【0054】
次に、図8のステップS103に戻り、制御部130のリスク評価部133は、登録された子どもの基本情報、受付データ(特に、リスクアセス情報)に基づいて、子どもの虐待の可能性に関するリスクアセス評価を行う(すなわち、評価データを生成する)。生成された評価データは、受付IDに紐づけて受付データとして記憶されてもよい。リスク評価部133は、例えば、入力情報として、過去の子どもの基本情報(年齢、性別、住所(市町村))、受付情報(虐待種別、受付時間、受付区分(新規、再通告、再受付)及び受付情報に関連づけられたリスクアセス情報(受付経路、主たる虐待者、リスクアセスメントの各項目への該当状況)、リミットアセスメントへの該当有無に関する情報、子どもに関する画像情報、子どもの創傷情報、子どもの心理診断情報、子どもの家の状況に関する情報、意思決定結果情報及び/または安全確認結果情報、対応した実施に関する項目(一時保護を実施したか、一時保護を解除したか、児童養護施設等への措置を実施したか、児童養護施設等への措置を解除したか、里親への措置を実施したか、里親への措置を解除したか、関係機関との連携を実施したか、社会資源やサービスの利用を実施したか、基礎自治体や地域コミュニティでの見守り体制の構築または利用を実施したか)の該当情報、調査情報(調査日時、調査タイトル、議事録(調査結果(事実))、見立てに関する情報、今後の対応に関する情報、調査によって得た追加情報(リスクアセス情報(調査によって得た分の情報)、調査時に取得した子どもの画像、調査時に取得した子どもの創傷情報、調査時に取得した子どもの心理診断情報及び調査時に取得した子どもの家の状況に関する情報、調査のための次回面談日時、調査完了時でのステータス、調査完了時のセーフティスケール(児童の安全について、感覚的な数値での入力結果情報)、対応内容等)の一部または全部の情報を入力すると、出力情報として、過去の保護率(一時保護される傾向を表す指標)、過去の類似ケース(虐待を36タイプに分類し、当該ケースが最も近いパターンの特徴を表示。同じパターンに属する過去の事例がある場合には、過去のケース記録を表示)、及び、重篤な虐待に該当する確率、再発率及び対応日数等の情報の一部または全部を出力するリスク評価学習モデルを利用して評価データ(出力情報)を生成してもよい。学習モデルは、上述の入力情報の少なくとも一部と出力情報に対応する結果情報を過去のデータから抽出するなどして教師データとして事前に学習したものであってよく、記憶部120に格納されていてもよいし、外部サーバに格納されていてもよい。学習時の教師データにおいては、上述の入力情報のうち、より多くの種類の入力情報を含む方がより精緻な出力情報(重篤な虐待に該当する確率等)を出力可能となる。他の例として、リスク評価部133は、例えば、入力情報(特にリスクアセス情報)の一部または全部の内容の組み合わせに応じて類似の過去の事例を抽出し、抽出された過去の事例の結果から統計値を算出して上述の出力情報の一部または全部を生成してもよい。なお、これらの各種情報や評価データの生成方法については例示であって、これらに限定されるものではない。また、リスク評価部133は、評価のために参照する受付データとして、例えば、調査情報または写真情報の少なくともいずれかをさらに参照して評価データを生成してもよい。
【0055】
次に、ステップS104の処理として、リスク評価部133は、上記ステップにおいて生成された出力情報を利用者端末200に送信し、利用者端末200のアプリケーションのユーザインターフェース画面に出力情報が所定のフォーマットで表示される。
【0056】
図16は、利用者端末に表示される、業務支援アプリケーションのリスクアセス評価結果の出力のための画面例を示す図である。利用者は、利用者端末200に表示されるアプリケーションの個人ページ画面において「シミュレーション」タブを選択することで、図16に示すような、過去の保護率に関する情報や、再発確率、対応日数、重篤度(重篤な虐待に該当する確率)に関する3指標でケースの特徴を示すレーダーチャート、及び過去の類似ケースについて可視化された画面が表示される。ここで、過去の保護率に関する情報について、値が高い場合には、類似ケースが過去一時保護される傾向があったことを示すものであり、一時保護する/しないという観点から、利用者に対し、緊急度の判断をサポートする。また、レーダーチャートは、重篤度(複数の待分類(例えば、36パターン)のうち、重篤ケースと定義した分類(例えば、24パターン)に該当する確率)や再発率(該当する類似ケース群における再発確率)や対応日数(該当するケース群における終結までに要した日数)などのバランスを表し、レーダーチャートの面積が大きい場合には、重篤である、再発率が高いなどの特徴があり、終結までに時間がかかる傾向があったことを意味する。過去の類似ケースは、過去の事例を複数タイプ(例えば、36タイプ)に分類し、当該ケースがもっとも近いパターンの特徴を表示する。同じパターンに属する過去の事例がある場合には、過去のケース記録を表示する。本例においては、ケース47として、「再受付の身体的虐待事例」が表示され、当該事例は、市町村通告が多く、30%で頭部顔面、腹部の外傷、27%で虐待継続兆候に該当し、7%で通告者が暴力を目撃、保護者と話し合いが困難な場合があり、過去事例の5.2%にみられるパターンであることが理解される。利用者は、過去のケース記録を確認することで、ケースがどのように変化するかのヒントを得ることができる。
【0057】
利用者は、上記リスクアセス評価結果を参照し、また、他に登録された調査情報、子ども画像関連情報、及びチャットコミュニケーションを介して入力された情報を基に、子どもの一時保護要否等の判断を行うことができる。
【0058】
図17を参照しながら、本実施形態の情報処理システム1が実行する資料データ作成処理の流れについて説明する。
【0059】
まず、ステップS401の処理として、サーバ端末100の制御部130の資料作成部134は、子どもデータ格納部121及び受付データ格納部122から、資料作成の要求に関連付けられた子どもIDに対応する子どもデータ及び受付データ(特にリスクアセス情報、リスク評価の結果(リスクデータ))を取得する。
【0060】
次に、ステップS402の処理として、資料作成部134は、利用者端末200で実行されるアプリケーション上で入力フォームとして入力可能なユーザインターフェース画面を介して、所定の調査情報を取得する。より具体的には、入力を求められる調査情報は、図18-19に例示されるように、1(1)事案の概要、1(2)児童の家族について、1(3)本件一時保護に至る経緯、などの申し立て事案の概要に関する情報であってもよい。さらに、受付データの参照または利用者による入力操作などに応じて子供に対して一時保護が行われた後であることを判定した場合には(すなわち、一時保護後であることを判定した場合には)、図19-20に例示されるように2(1)本件一時保護後の経過、2(2)親権者の意向、2(3)児童の状況・意向、などの一時保護後の調査・支援の経過・意向に関する情報について調査情報として入力フォームを提示するなどして入力を求めるようにしてもよい。なお、資料作成部134は、これらの調査情報(必要に応じて、さらに子どもデータや受付データの少なくともいずれかも追加)に基づき、調査記録用のフォーマットを読み出して調査記録データを生成してもよい。
【0061】
次に、ステップS403の処理として、資料作成部134は、取得した各データ(特に、子どもデータ、リスクアセス情報、リスクアセス情報に対応する評価データ)に基づき、子どもに対する一時保護状の申請のための資料データ(いわゆる疎明資料データ)を生成する。より具体的には、疎明資料用のフォーマットを読み出して、図19-21に例示されるような、3(1)リスクアセスメントの検討(例えば、チェック項目から特に調査により該当すると判定された項目の一部または全部の一覧情報や、過去の保護率や半年以内の再発率、重篤虐待に該当する確率等の評価データなど)、3(2)保護の必要性、などの引き続いての一時保護の必要性を示す疎明資料データを生成してもよい。疎明資料データの生成においては、フォーマットに各データから必要なデータを抽出して割り当てて生成されてもよいし、利用者に一部の説明情報を手入力させるように入力フォームを提示するようにしてもよい。なお、疎明資料データは、図19-21に例示される3引き続いての一時保護の必要性に関する情報のみが記載されていてもよいし(その場合、必要に応じて上述の調査記録データを合わせて添付する)、図18-21に例示されるように調査情報をさらに参照して調査記録データの情報を疎明資料データに含めるようにしてもよい。また評価データは、図20に例示されるように、相対的に重要度が高いリスクアセスメント項目(例えば重篤項目)だけに基づく評価データと、複数のリスクアセスメント項目を総合した評価データとを両方含むようにしてもよい。
【0062】
次に、ステップS404の処理として、資料作成部134は、上記ステップにおいて生成された資料データ(特に、疎明資料データまたは調査記録データの少なくともいずれかの資料データ)を利用者端末200に送信し、利用者端末200のアプリケーションのユーザインターフェース画面に資料データが所定のフォーマットで表示される。利用者端末200に送信された資料データは、利用者端末200に所定のデータ形式でダウンロード可能であったり、印刷装置(不図示)で印刷可能に送信する機能を有していたりしてもよい。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、利用者は、児童相談所内外から児童の状況に関する情報をタイムリーに参照することができ、また、リスクアセス評価結果等を参照することで、児童の一時保護要否判断を迅速かつ適切に行うことができる。さらに、登録された子どもデータや受付データに基づき資料データ(特に疎明資料データや調査記録データ)を生成可能とすることで、児童の一時保護状の申請のための資料作成を迅速かつ適切に行うことができる。
【0064】
なお、上述の実施形態においては、一時保護状の申請のための資料データを生成する構成を例示したが、これに限らず、特にリスクアセス情報に対応する評価データ(過去の保護率、重篤な虐待に該当する確率、再発率及び対応日数などの評価データ)が利用可能な児童相談における書類データ(例えば、各種診断情報を示す書類データなど)を生成するように構成を変更してもよい。
【0065】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 情報処理システム
100 サーバ端末
110 通信部
120 記憶部
130 制御部
200 利用者端末
300 児童相談記録システム
NW ネットワーク
【要約】
【課題】児童相談所における資料作成業務(特に一時保護状のための資料作成業務)を支援する方法等を提供する。
【解決手段】
児童相談所の利用者に関連する利用者端末にネットワークを介して接続するサーバ端末を含む情報処理システムによる情報処理方法であって、受付部により、前記利用者端末から、子どもに関する子どもデータの登録と、当該子どもの保護判断の支援のためのリスクアセス情報の登録を受け付けるステップと、リスク評価部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報に基づいて、リスク評価を実行するステップと、資料作成部により、登録された前記子どもデータ及び前記リスクアセス情報、並びに、当該リスクアセス情報に対応する前記リスク評価の結果に基づき、前記子どもデータに対応する子どもに対する一時保護状の申請のための資料データを生成するステップと、を含む。
【選択図】図17
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21