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特許7210079Polar符号のビット分布のスケーラビリティを実現するための、強化分極重み付け
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】Polar符号のビット分布のスケーラビリティを実現するための、強化分極重み付け
(51)【国際特許分類】
   H03M 13/13 20060101AFI20230116BHJP
【FI】
H03M13/13
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019561943
(86)(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018031389
(87)【国際公開番号】W WO2018208672
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/503,172
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505000815
【氏名又は名称】コーヒレント・ロジックス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】シェルビー,ケヴィン・エイ
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02899911(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0079999(US,A1)
【文献】Huawei, HiSilicon,Construction schemes for polar codes[online],3GPP TSG RAN WG1 #88 R1-1701702,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_88/Docs/R1-1701702.zip>,2017年02月07日
【文献】三木 信彦 Nobuhiko MIKI,Polar符号の移動通信システムへの適用と5G標準化動向,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.116 No.396,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2017年01月12日,第116巻,pp.205-210
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 13/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Polar符号化済みデータを伝送するための方法であって、前記方法は:
Polar符号化されるデータを保存するステップ;
前記データをPolar符号化するための符号化率を決定するステップ;
ビットシーケンス内の各ビット位置に関連する信頼性を、各前記ビット位置に対応する加重和のシーケンスを算出することによって決定するステップであって、各前記ビット位置の前記信頼性は、各前記ビット位置の加重和から決定され、各前記ビット位置に対応する前記加重和は、各前記ビット位置の二値展開にわたる加重和であり、前記加重和は、第1の乗法因子によって重み付けされ、前記第1の乗法因子は、前記符号化率に少なくとも部分的に基づいて選択される、ステップ;
前記ビット位置を、各前記ビット位置の信頼性に基づいてランク付けするステップ;
前記ランク付けに基づいて、前記データを、情報ビットとして、Polar符号の最も信頼性の高いビット位置に割り振るステップ;
前記ビット位置のうちの残りの部分を、前記Polar符号の凍結ビットとして割り振るステップ;
前記情報ビット及び前記凍結ビットをPolar符号化するステップ;並びに
Polar符号化済みの前記情報ビット及び前記凍結ビットを伝送するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の乗法因子は更に、前記Polar符号のブロックサイズに少なくとも部分的に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の乗法因子は、第1のべき指数を含むべき演算量を含み、
前記第1のべき指数は、合計される二値展開の各項のべきを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記べき演算量は更に、第2のべき指数を含み、
前記第2のべき指数は、前記符号化率に少なくとも部分的に基づいて微調整できる、調整可能なパラメータを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のべき指数は、前記第2のべき指数を1/4となるように選択することによって得られる分配に対して、前記Polar符号の前記情報ビットの分配を、より早い前記ビット位置へと広げるように、選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の乗法因子は更に、前記Polar符号が、対応するPolar符号を近似するように選択され、
前記対応するPolar符号は、決定された符号化率を実装し、かつ、代替的なPolar符号構築法を用いて構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記Polar符号は、強化分極重み付け法に従って構築され、
前記対応するPolar符号の構築法は、fractally enhanced kernel(FRANK)Polar符号構築法を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
Polar符号化される第2のデータを保存するステップ;
前記第2のデータをPolar符号化するための第2の符号化率を決定するステップ;
前記ビットシーケンス内の各前記ビット位置に関連する第2の信頼性を決定するステップであって、前記第2の信頼性は、各前記ビット位置に対応する加重和の第2のシーケンスを用いて決定され、前記加重和は、前記第2の符号化率に少なくとも部分的に基づいて選択された第2の乗法因子によって重み付けされ、前記第2の乗法因子は、前記第1の乗法因子とは異なる、ステップ;
各前記ビット位置の信頼性に基づいて、前記ビット位置の第2のランク付けを実施するステップ;
前記第2のランク付けに基づいて、前記第2のデータを、第2の情報ビットとして、第2のPolar符号の最も信頼性の高いビット位置に割り振るステップ;
前記ビット位置のうちの残りの部分を、前記第2のPolar符号の第2の凍結ビットとして割り振るステップ;
前記第2の情報ビット及び前記第2の凍結ビットをPolar符号化するステップ;並びに
Polar符号化済みの前記第2の情報ビット及び前記第2の凍結ビットを伝送するステップ
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ラジオ;
メモリ;並びに
前記ラジオ及び前記メモリに動作可能に連結された、1つ以上の処理要素
を備える、ユーザ機器デバイス(UE)であって、
前記ラジオ、前記メモリ、及び前記1つ以上の処理要素は:
Polar符号化されるデータを前記メモリに保存し;
前記Polar符号化に関連する符号化率を決定し;
ビットシーケンス内の各ビット位置に関連する信頼性を決定し、ここで各前記ビット位置の前記信頼性は、各前記ビット位置の二進展開にわたる加重和を計算することによって決定され、前記加重和は、前記符号化率に基づいて重み付けされ;
前記ビット位置を、各前記ビット位置の前記信頼性に基づいてランク付けし;
前記ランク付けに基づいて、前記データを、情報ビットとして、Polar符号の最も信頼性の高いビット位置に割り振り;
前記ビット位置の残りの部分を、前記Polar符号の凍結ビットとして割り振り;
前記情報ビット及び前記凍結ビットをPolar符号化し;
前記ラジオを介して、Polar符号化済みの前記情報ビット及び前記凍結ビットを伝送する
よう構成される、ユーザ機器デバイス(UE)。
【請求項10】
前記加重和は更に、前記Polar符号のブロックサイズに少なくとも部分的に基づいて重み付けされる、請求項9に記載のユーザ機器デバイス(UE)。
【請求項11】
前記加重和は、第1の乗法因子によって重み付けされ、
前記符号化率に基づいて前記加重和に重み付けすることは、前記符号化率に基づいて前記第1の乗法因子を選択することを含む、請求項9に記載のユーザ機器デバイス(UE)。
【請求項12】
前記第1の乗法因子は、第1のべき指数を含むべき演算量を含み、
前記第1のべき指数は、合計される二値展開の各項のべきを含む、請求項11に記載のユーザ機器デバイス(UE)。
【請求項13】
前記べき演算量は更に、第2のべき指数を含み、
前記第2のべき指数は、前記符号化率に少なくとも部分的に基づいて微調整できる、調整可能なパラメータを含む、請求項12に記載のユーザ機器デバイス(UE)。
【請求項14】
前記第2のべき指数は、前記第2のべき指数を1/4となるように選択することによって得られる分配に対して、前記Polar符号の前記情報ビットの分配を、より早い前記ビット位置へと広げるように、選択される、請求項13に記載のユーザ機器デバイス(UE)。
【請求項15】
前記第1の乗法因子は更に、前記Polar符号が、対応するPolar符号を近似するように選択され、
前記対応するPolar符号は、決定された符号化率を実装し、かつ、代替的なPolar符号構築法を用いて構築される、請求項11に記載のユーザ機器デバイス(UE)。
【請求項16】
前記Polar符号は、強化分極重み付け法に従って構築され、
前記対応するPolar符号の構築法は、fractally enhanced kernel(FRANK)Polar符号構築法を含む、請求項15に記載のユーザ機器デバイス(UE)。
【請求項17】
1つ以上の処理要素を備える、装置であって、
前記1つ以上の処理要素は、無線デバイスに:
Polar符号化されるデータを保存すること;
前記データをPolar符号化するための符号化率を決定すること;
ビットシーケンス内の各ビット位置に関連する信頼性を決定することであって、前記ビットシーケンス内の各前記ビット位置に関連する前記信頼性を決定するにあたって、前記処理要素は、各前記ビット位置に対応する加重和のシーケンスを算出するよう構成され、各前記ビット位置の前記信頼性は、各前記ビット位置の加重和から決定され、各前記ビット位置に対応する前記加重和は、各前記ビット位置の二値展開にわたる加重和であり、前記加重和は、第1の乗法因子によって重み付けされ、前記第1の乗法因子は、前記符号化率に少なくとも部分的に基づいて選択される、決定すること;
前記ビット位置を、各前記ビット位置の信頼性に基づいてランク付けすること;
前記ランク付けに基づいて、前記データを、情報ビットとして、Polar符号の最も信頼性の高いビット位置に割り振ること;
前記ビット位置のうちの残りの部分を、前記Polar符号の凍結ビットとして割り振ること;
前記情報ビット及び前記凍結ビットをPolar符号化すること;並びに
Polar符号化済みの前記情報ビット及び前記凍結ビットを伝送すること
を実施させるよう構成される、装置。
【請求項18】
前記第1の乗法因子は更に、前記Polar符号のブロックサイズに少なくとも部分的に基づいて選択される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の乗法因子は、第1のべき指数及び第2のべき指数を含むべき演算量を含み、
前記第1のべき指数は、合計される二値展開の各項のべきを含み、
前記第2のべき指数は、前記符号化率に少なくとも部分的に基づいて微調整できる、調整可能なパラメータを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記第2のべき指数は更に、前記第2のべき指数を1/4となるように選択することによって得られる分配に対して、前記Polar符号の前記情報ビットの分配を、より早い前記ビット位置へと広げるように、選択される、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は概して、Polar符号の構築に関する。
【背景技術】
【0002】
Polar符号は、多様な技術的用途で使用されている。Polar符号の構築時、凍結ビット及び情報ビットを、Polar符号内の特定のビット位置に割り振る。Polar符号構築のための既存のアルゴリズムは、計算的に非効率である場合があり、又はPolar符号に望ましくない特徴を導入する場合がある。従って、この分野において改善が望まれている。
特許文献1は、ハイブリッドPolar符号を生成するための方法及び装置を開示している。上記方法は:N×Nの第1の行列、及びN個のビットを含むシーケンスを取得するステップであって、Nは上記ハイブリッドPolar符号の符号長さであり、上記第1の行列のN個の行は、上記シーケンス中の上記N個のビットに一対一対応し、Nは正の整数である、ステップ;上記N個のビットの信頼性を決定し、上記第1の行列の上記N個の行それぞれの重みを決定するステップ;上記N個のビットの上記信頼性と、上記第1の行列の上記N個の行の上記重みとに従って、上記N個のビットの中からK個のビットを情報ビットとして選択するか、又は上記N個のビットの上記信頼性と、上記第1の行列の上記N個の行の上記重みとに従って、上記第1の行列のK個の行を選択して、符号化に使用されるK×Nの第2の行列を構築することにより、上記情報ビットの位置に従って又は上記第2の行列に従って情報ビットシーケンスを符号化して、上記ハイブリッドPolar符号を生成するステップであって、Kは符号化されることになる情報ビットシーケンスの長さであり、N以下である、ステップを含む。本発明の実施形態では、あるビットの信頼性を考慮するだけでなく、第1の行列の列であり、かつ上記ビットに対応する、ある列の重みも考慮することにより、Polar符号の性能を改善できる。
特許文献2は、符号化方法及び符号化デバイスを開示する。上記符号化方法は:符号化対象の情報ビットを巡回冗長検査CRCによって符号化し、続いて、CRCによって符号化された上記ビットを、Polar符号の構築パラメータによって決定されたインタリーバに入力するステップであって、上記インタリーバは、CRCによって符号化された上記ビットをインターリーブして、インターリーブドビットを出力する、ステップ;及び出力された上記インターリーブドビットを上記Polar符号で符号化して、符号化済みPolar符号を取得するステップを含む。上記方法を用いて、Polar符号が比較的短い場合又は中程度の長さのものである場合に、上記Polar符号の最小符号距離が十分に大きくならないという従来技術の課題を解決する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州公開特許第2899911号
【文献】米国公開特許第2016/0079999号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
Polar符号の構築においてビット位置の信頼性を決定するためのシステム及び方法の様々な実施形態を記載する。例えば、いくつかの実施形態は、ユーザ機器(user equipment:UE)又は基地局(base station:BS)に関連してよく、これらは、少なくとも1つのラジオ、メモリ、及び1つ以上の処理要素を備え、また本明細書に記載の動作のサブセット又は全てを実施するよう構成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、UEは、Polar符号化済みデータを構築して伝送する。Polar符号化されるデータを保存してよく、また上記データをPolar符号化するための符号化率を決定してよい。ビットシーケンス内の各ビット位置に関連する信頼性は、各上記ビット位置に対応する加重和のシーケンスを算出することによって決定してよい。各ビット位置の信頼性は、それぞれの加重和から決定してよく、ここで、各ビット位置に対応する加重和は、各ビット位置の二値展開にわたる加重和である。上記加重和を、第1の乗法因子によって重み付けしてよく、上記第1の乗法因子は、上記符号化率に少なくとも部分的に基づいて選択してよい。
【0006】
上記ビット位置を、それぞれの信頼性に基づいてランク付けしてよく、上記ランク付けに基づいて、上記データを、情報ビットとして、上記Polar符号の最も信頼性の高いビット位置に割り振ってよい。上記ビット位置のうちの残りの部分は、上記Polar符号の凍結ビットとして割り振ってよい。上記情報ビット及び上記凍結ビットをPolar符号化してよく、続いて上記UEは、Polar符号化済みの上記情報ビット及び上記凍結ビットを伝送してよい。
【0007】
この「発明の概要」は、本文書に記載されている主題の一部の簡潔な概観を提供することを意図したものである。従って、上述の特徴は単なる例であり、本明細書に記載の主題の範囲又は精神を多少なりとも狭めるものと解釈してはならないことを理解されたい。本明細書に記載の主題の他の特徴、態様、及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【0008】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を、以下の図面と併せて考察すると、本発明のより良好な理解を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、いくつかの実施形態による、無線通信環境を示す図である。
図2図2は、いくつかの実施形態による、基地局のカバレッジが重複する無線通信環境を示す図である。
図3図3は、いくつかの実施形態による、例示的な基地局を示すブロック図である。
図4図4は、いくつかの実施形態による、例示的なUEを示すブロック図である。
図5図5は、n=11である場合の、チャネルの分極の例を示す。
図6図6は、n=3である場合の例示的なPolarエンコーダを示す。
図7図7は、いくつかの実施形態による、強化分極重み付け(polarization weighting:PW)コード構築を用いて、Polar符号を有するメッセージを符号化するための、トランスミッタのための例示的な方法を示すフローチャートである。
図8図8は、いくつかの実施形態による、符号サイズの多様な値に関するクロック速度の関数としての、PW順序付けシーケンスレイテンシのプロットである。
図9図9は、いくつかの実施形態による、合計ビット数の関数としての、PWを用いた信号の出力及び誤差のグラフである。
図10図10は、いくつかの実施形態による、フラクタル拡張カーネル(FRActally eNhanced Kernel:FRANK)Polar符号構築に従って採用される典型的な相互情報(mutual information:MI)再帰法を示す。
図11図11は、いくつかの実施形態による、異なる複数の値のNに関する、FRANKを用いた、クロック速度の関数としての再帰レイテンシのプロットである。
図12図12は、いくつかの実施形態による、4ビットネストβ展開のグラフである。
図13図13は、いくつかの実施形態による、β展開の異なる複数の項がmの関数としてどのように変動するかのグラフである。
図14図14は、いくつかの実施形態による、合成チャネルインデックスの関数としての正規化された分極重みのグラフである。
図15図15は、いくつかの実施形態による、FRANKを用いて情報ビットを分配する方法を示す概略図である。
図16図16は、いくつかの実施形態による、mの様々な値に応じた、強化PWを用いた、ビットインデックスの関数としてのビット位置の散布図である。
図17a-17b】図17a、17bは、いくつかの実施形態による、mの2つの値に関する、合成チャネルインデックスの関数としての、割り当てられたビット位置の散布図である。
図18図18は、4つの異なる値の符号レートに関して、計算されたチャネルの信頼性からの実際に割り当てられるビット位置を、様々なmの値を有する強化PWを用いて得られる結果と比較した、4つの散布図を示す。
図19図19は、いくつかの実施形態による、符号レートの関数としての、計算されたチャネル信頼性に対する、強化PWを用いて得られた割り当てられたチャネルの信頼性の平均誤差を示す散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は様々な修正例及び代替形態を許容するものであるが、その特定の実施形態を例として図示し、本明細書において詳細に説明する。しかしながら、図面及びその詳細な説明は、開示されている特定の形態に本発明を限定することを意図したものではなく、反対に、添付の請求項によって定義される本発明の精神及び範囲内にあるあらゆる修正形態、均等物及び代替物を包含することを意図したものであることを理解されたい。
【0011】
本発明の実施形態の詳細な説明
参考文献の援用
以下の参考文献は、その全体が、本明細書に十分にかつ完全に記載されているかのように、参照により本出願に援用される。
1. R1‐1701702, “Construction schemes for polar codes”, Huawei, HiSilicon, TSG RAN WG1 #88, Feb. 2017.
2. R1‐1706130, “FRANK polar construction: nested extension design of polar codes based on mutual information”, Qualcomm Inc., TSG RAN WG1 #88bis, Apr. 2017.
3. R1‐1613006, “A Dynamically Configurable Multi‐mode NR Decoder Implementation”, Coherent Logix Inc., 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #87, Nov. 2016.
4. “β‐expansion: A Theoretical Framework for Fast and Recursive Construction of Polar Codes”, Cornell University Library, Apr 19, 2017.
【0012】
用語
以下は、本出願において使用される用語の用語集である。
【0013】
メモリ媒体‐いずれの様々な種類のメモリデバイス又はストレージデバイス。用語「メモリ媒体」は、インストール媒体(例えばCD-ROM、フロッピーディスク若しくはテープデバイス);コンピュータシステムメモリ若しくはDRAM、DDR、RAM、SRAM、EDO RAM、ラムバスRAM等のランダムアクセスメモリ;又は磁気メディア(例えばハードドライブ)、光学ストレージ若しくはROM、EPROM、FLASH等の不揮発性メモリ;レジスタ又は他の同様のタイプのメモリ素子等を含むことを意図している。メモリ媒体はその他のタイプのメモリ又はその組み合わせも同様に含んでよい。更に、メモリ媒体は、プログラムを実行する第1のコンピュータ内に配置してよく、及び/又はインターネット等のネットワークを介して第1のコンピュータに接続された第2の異なるコンピュータ内に配置してよい。後者の場合、第2のコンピュータは第1のコンピュータに、実行のためのプログラム命令を提供してよい。用語「メモリ媒体」は、異なる位置、例えばネットワークを介して接続された異なるコンピュータ内にあってよい2つ以上のメモリ媒体を含んでよい。
【0014】
キャリア媒体‐上述のメモリ媒体、並びにバス、ネットワーク及び/又は電気若しくは光信号といった信号を搬送する他の物理伝送媒体といった物理伝送媒体。
【0015】
プログラマブルハードウェア要素‐これは、プログラマブル又は実配線相互接続によって接続された、複数のプログラマブル機能ブロックを備える、様々なハードウェアデバイスを含む。例としては、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、PLD(プログラマブル論理デバイス)、FPOA(フィールドプログラマブルオブジェクトアレイ)、CPLD(複合PLD)が挙げられる。プログラマブル機能ブロックは、粒度が細かいもの(組み合わせ論理又はルックアップテーブル)から、粒度が粗いもの(算術論理ユニット又はプロセッサコア)にまで及んでよい。プログラマブルハードウェア要素は、「再構成可能論理(reconfigurable logic)」と呼ばれる場合もある。
【0016】
特定用途向け集積回路(ASIC)‐この用語は、その通常の意味の全範囲を有することが意図されている。用語「ASIC」は、汎用プログラマブルデバイスではなく、ある特定の用途のためにカスタマイズされた集積回路を含むことが意図されているが、ASICSは、構成ブロックとしてプログラマブルプロセッサコアを含んでもよい。携帯電話用チップ、MP3プレイヤー用チップ、及び他の多数の単機能ICが、ASICの例である。ASICは通常、Verilog又はVHDLといったハードウェア記述言語で記述される。
【0017】
プログラム‐用語「プログラム」は、その通常の意味の全範囲を有することが意図されている。用語「プログラム」は:1)メモリに保存でき、プロセッサが実行可能な、ソフトウェアプログラム;又は2)プログラマブルハードウェア要素若しくはASICを構成するために使用できる、ハードウェア構成プログラムを含む。
【0018】
ソフトウェアプログラム‐用語「ソフトウェアプログラム」は、その通常の意味の全範囲を有することが意図されており、メモリ媒体に保存でき、プロセッサが実行可能な、いずれのタイプのプログラム命令、コード、スクリプト及び/若しくはデータ、又はこれらの組み合わせを含む。例示的なソフトウェアプログラムとしては:テキストベースプログラミング言語、例えばC、C++、PASCAL、FORTRAN、COBOL、JAVA(登録商標)、アセンブリ言語といった命令型又は手続き型原語で書かれたプログラム;グラフィカルプログラム(グラフィカルプログラミング言語で書かれたプログラム);アセンブリ言語プログラム;機械言語にコンパイルされたプログラム;スクリプト;及び他のタイプの実行可能なソフトウェアが挙げられる。ソフトウェアプログラムは、何らかの方法で相互運用される2つ以上のソフトウェアプログラムを含んでよい。
【0019】
ハードウェア構成プログラム‐プログラマブルハードウェア要素又はASICをプログラム又は構成するために使用できるプログラム、例えばネットリスト又はビットファイル。
【0020】
コンピュータシステム‐用語「コンピュータシステム」は、パーソナルコンピュータシステム(PC)、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク家電、インターネット家電、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、グリッドコンピューティングシステム又はその他のデバイス若しくはデバイスの組み合わせを含む、様々なタイプの計算又は処理システムのいずれかを指す。一般に、用語「コンピュータシステム」は、メモリ媒体からの命令を実行する少なくとも1つのプロセッサを有するいずれのデバイス(又は複数のデバイスの組み合わせ)を包含するものとして広く定義できる。
【0021】
自動的に(automatically)‐その作用又は動作を直接指定又は実施するユーザ入力を必要とせずに、コンピュータシステム(例えばコンピュータシステムが実行するソフトウェア)又はデバイス(例えば回路構成、プログラム可能なハードウェア要素、ASIC等)が実施する動作又は操作について用いる。従って用語「自動的に」は、ユーザが手動で実施又は指定する操作(ここでユーザが操作を直接実施するために入力を提供する)と対照的なものである。自動処理は、ユーザが提供する入力によって開始される場合があるが、これに続く「自動的に」実施される動作は、ユーザが指定するものではなく、即ち「手動で」実施される(ユーザが各動作の実施を指定する)ものではない。例えばユーザが、各フィールドを選択し、(例えば情報をタイピングすることによって、チェックボックスを選択することによって、無線選択によって等で)情報を指定する入力を提供することによって、電子フォームを埋める場合、仮にコンピュータシステムがユーザの動作に応答して上記フォームを更新しなければならないとしても、これは上記フォームを手動で埋めたことになる。このようなフォームはコンピュータシステムによって自動で埋めることができ、この場合コンピュータシステム(例えばコンピュータシステム上で実行されるソフトウェア)は、フォームのフィールドを分析して、フィールドへの回答を指定するいずれのユーザ入力を必要とせずにフォームを埋める。上述のように、ユーザはフォームを自動で埋める動作を発動する場合はあるが、実際にフォームを埋める動作には関わらない(例えばユーザはフィールドへの回答を手動で指定せず、回答は自動的に完了する)。本明細書は、ユーザが行う動作に応答して自動的に実施される操作の様々な例を提供する。
【0022】
頭字語の定義
3GPP:第三世代パートナーシッププログラム
5G:第5世代(3GPP)セルラー規格
BMS:バイナルメモリレス対称
FEC:前方誤り訂正
FRANK:フラクタル拡張カーネル
PW:分極重み
RAN:無線アクセスネットワーク
TSG:技術規格グループ
UPO:ユニバーサル半順序
WG:ワーキンググループ
【0023】
詳細な説明
図1:無線通信環境
図1は、複数の通信システムを含む例示的な(かつ簡略化された)無線環境を示す。図1は、複数のユーザ機器デバイス(UE)106A~Cと通信する基地局(BS)102を含む、例示的な通信システムを示す。基地局102は、複数の無線通信デバイスとのセルラー通信を行うセルラー基地局であってよい。あるいは、基地局102は、例えば802.11規格又は関連する規格に従って、Wi‐Fi通信を行うための無線アクセスポイントであってよい。UE106は、スマートフォン、タブレットデバイス、コンピュータシステム等の様々なデバイスのうちのいずれであってよい。基地局102及び無線通信デバイス106のうちの一方又は両方は、本明細書に記載のPolar符号化論理を含んでよい。
【0024】
図示されている実施形態では、異なる複数のUE及び基地局は、放送ネットワーク及び/又はパケット交換セルラーネットワークを介して通信するよう構成される。図1のシステムは可能なシステムの単なる一例であり、必要に応じて様々なシステムのいずれにおいて実施形態を実装してよいことに留意されたい。
【0025】
セルラー基地局102は、トランシーバ基地局(base transceiver station:BTS)又はセルサイト(cell site)であってよく、UE106A~Cとの無線通信を可能にするハードウェアを含んでよい。基地局102はまた、コアネットワークと通信するようにも構成してよい。コアネットワークは、1つ以上の外部ネットワークに連結してよく、上記外部ネットワークは、インターネット、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)及び/又は他のいずれのネットワークを含んでよい。従って基地局102は、UEデバイス106BとUEデバイス106Cとの間、並びに/又はUEデバイス106A~Cとネットワークとの間の通信を促進できる。
【0026】
同一の又は異なるラジオアクセス技術(radio access technology:RAT)又はセルラー通信規格に従って動作する基地局102及び他の基地局は、複数のセルのネットワークとして提供してよく、上記ネットワークは、1つ以上のRATによって、広範な地理的領域にわたって、UE106A~Cと、同様のデバイスとに、継続的な又は略継続的な重複するサービスを提供できる。
【0027】
基地局102は、UE106A~Cと放送通信するよう構成してよい。用語「放送(broadcast)」は、ある特定のデバイスにアドレス指定されるのではなく、ある放送地域内の複数の受信デバイスに対して伝送される、一対多の伝送を指す。更に、放送伝送は典型的には、一方向(トランスミッタからレシーバ)である。いくつかの状況において、制御信号(例えば視聴率情報)をレシーバから放送トランスミッタに返すことができるが、コンテンツデータは一方向にのみ伝送される。対照的に、セルラー通信は典型的には双方向性である。「セルラー(cellular)」通信はまた、複数のセル間の引き渡し(handoff)を伴ってよい。例えばUE106A(及び/又はUE106B~C)が、セルラー基地局102が提供するセルの外に移動すると、上記UEは別のセルラー基地局に引き渡されてよい(また上記引き渡しは、基地局102及び上記別のセルラー基地局が実施する動作を含めて、ネットワークによって処理されてよい)。対照的に、第1の放送基地局がカバーする範囲から第2の放送基地局がカバーする範囲へとユーザが移動すると、ユーザは第2の放送基地局からコンテンツを受信するように切り替えることができるが、基地局は引き渡しを促進する必要はない(例えば基地局は単に放送を継続し、ある特定のUEがどの基地局を使用しているかは問題としない)。
【0028】
従来、放送伝送は、セルラー放送とは異なる周波数リソースを用いて実施されている。しかしながらいくつかの実施形態では、これらの異なるタイプの伝送の間で周波数リソースを共有する。例えばいくつかの実施形態では、放送基地局は、予定された時間区間中に1つ以上の周波数帯域を、パケット交換通信のためのセルラー基地局が使用するために譲渡するよう構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、放送又はセルラー基地局が伝送する制御信号により、エンドユーザデバイスは、完全な信号接続性(これはネットワークの混乱を除去できる)を維持すること、(例えば基地局が伝送を行っていない場合に、低電力モードのまま保持する時間を決定することによって)バッテリ寿命を延長すること、及び/又は(例えばまだらになったカバレッジ若しくは一時的なネットワーク停止として、スペクトル共有期間を知覚するのではなく)能動的にカバレッジ検出を管理することが可能となる。
【0030】
基地局102及びUE106A、106B、106Cは、UMTS、LTE‐A、CDMA2000(例えば1xRTT、1xEV‐DO、HRPD、eHRPD)、米国テレビジョン規格委員会(Advanced Television Systems Committee:ATSC)規格、デジタルビデオ放送(Digital Video Broadcasting:DVB)といった他の可能な選択肢の中でも特に、LTE、5G New Radio(NR)、次世代放送プラットフォーム(Next Generation Broadcast Platform:NGBP)、W‐CDMA、TD‐SCDMA及びGSM(登録商標)のような、様々なRAT(無線通信技術又は遠距離通信規格とも呼ばれる)のうちのいずれを用いて、伝送媒体を介して通信するよう構成してよい。一般に、基地局102とUE106A、106B、106Cとの間の伝送はいずれも、本明細書に記載の実施形態による、伝送されるデータをPolar符号化するための、Polar符号構築の強化PWの方法を利用してよい。
【0031】
本出願では、例示を容易にするために放送及びセルラーネットワークについて議論しているが、これらの技術は本開示の範囲を限定することを意図したものではなく、本開示のスペクトル共有技法は、他の実施形態において、様々なタイプの無線ネットワークのうちのいずれの間で使用してよい。
【0032】
図2:複数の基地局を有する無線通信環境
図2は、伝送媒体を介して、UE106A~106Cとして表される1つ以上のユーザ機器(UE)デバイスと通信する基地局102A、102Bを含む、例示的な無線通信システムを示す。図2の通信環境は、図1において上述したものと同様に機能できる。しかしながら、図2は、中央のUE106Bが、基地局102A、102B両方の範囲内で動作できることを示している。これらの実施形態では、UE106Bは、基地局102Aからの通信を受信しようとしたときに、基地局102Bからの通信を誤って受信する場合がある。
【0033】
図3‐基地局
図3は、基地局102の例示的なブロック図を示す。いくつかの実施形態では、基地局102は、図2の基地局102A等の放送基地局及び/又は図2の基地局102B等のセルラー基地局であってよい。図3の基地局は、可能な基地局の単なる一例であることに留意されたい。図示されているように、基地局102は、基地局102のためのプログラム命令を実行できる1つ以上のプロセッサ304を含んでよい。1つ以上のプロセッサ304はまた、メモリ管理ユニット(memory management unit:MMU)340にも連結でき、MMU340は、1つ以上のプロセッサ304からアドレスを受信して、これらのアドレスをメモリ(例えばメモリ360及び読み出し専用メモリ(read only memory:ROM)350)内の場所へ、又は他の回路若しくはデバイスへと移すよう構成してよい。
【0034】
基地局102は、少なくとも1つのネットワークポート370を含んでよい。ネットワークポート370は、電話網に連結して、UEデバイス106等の複数のデバイスに、上述のような上記電話網へのアクセスを提供するよう構成してよい。いくつかの実施形態では、ネットワークポート370(又は追加のネットワークポート)はテレビジョンネットワークに連結してよく、放送用コンテンツを受信するよう構成してよい。また、又はあるいは、ネットワークポート370(又は追加のネットワークポート)は、セルラーネットワーク、例えばセルラーサービスプロバイダのコアネットワークに連結するよう構成してよい。上記コアネットワークは、UEデバイス106等の複数のデバイスに、移動性関連サービス及び/又は他のサービスを提供してよい。場合によっては、ネットワークポート370はコアネットワークを介して電話網に連結してよく、及び/又はコアネットワークが、(例えばセルラーサービスプロバイダがサービス提供する他のUEデバイス106間に)電話網を提供してよい。
【0035】
基地局102は、少なくとも1つのアンテナ334を含んでよい。この少なくとも1つのアンテナ334は、無線トランシーバとして動作するよう構成してよく、更に、ラジオ330を介してUEデバイス106と通信するよう構成してよい。図示されている実施形態では、アンテナ334は通信チェーン332を介してラジオ330と通信する。通信チェーン332は、受信チェーン、伝送チェーン又はこれら両方であってよい。ラジオ330は、様々なRATを介して通信するよう構成してよい。
【0036】
基地局102の1つ以上のプロセッサ304は、例えばメモリ媒体(例えば非一時的コンピュータ可読メモリ媒体)に記憶されたプログラム命令を実行することによって、本出願に記載の方法の一部又は全てを実装するよう構成してよい。あるいはプロセッサ304は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又はASIC(特定用途向け集積回路)、又はこれらの組み合わせといった、プログラマブルハードウェア要素として構成してよい。
いくつかの実施形態では、プロセッサ、MMU、及びメモリは、分散型マルチプロセッサシステムであってよい。例えば、プロセッサシステムは、散在する複数のプロセッサ及びメモリを備えてよく、ここで、処理要素(機能ユニットとも呼ばれる)はそれぞれ、データメモリルータとも呼ばれる複数のメモリに接続される。プロセッサシステムは、本明細書に記載の方法を実装するようプログラムされていてよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、基地局102は、放送通信及び双方向性パケット交換通信の両方を実施するよう構成される。これらの実施形態では、基地局102は例えば、複数のラジオ330、通信チェーン332及び/又はアンテナ334を含んでよい。他の実施形態では、本開示のスペクトル共有技法を、放送伝送のみ又はパケット交換通信のみを実施するよう構成された異なる複数の基地局が実施してよい。
【0038】
図4‐ユーザ機器(UE)
図4は、UE106の例示的な簡略化されたブロック図を示す。UE106は、上で定義されている様々なデバイスのうちのいずれであってよい。UEデバイス106は、様々な材料のいずれで構成してよいハウジングを含んでよい。
【0039】
図示されているように、UE106は、システム・オン・チップ(system on chip:SOC)400を含んでよく、このSOC400は、様々な目的のための複数の部分を含んでよい。SOC400は、UE106の様々な他の回路に連結してよい。例えばUE106は:(例えばNANDフラッシュ410を含む)様々なタイプのメモリ;(例えばコンピュータシステム、ドック、充電ステーション等に連結するための)コネクタインタフェース420;ディスプレイ460;LTE、5G New Radio(NR)、GSM、Bluetooth(登録商標)(BT)、WLAN及び/又は放送等のための無線通信回路構成430を含んでよい。UE106は更に、SIM(加入者識別モジュール)機能を実装した1つ以上のスマートカードを備えてよい。無線通信回路構成430は、アンテナ435等の1つ以上のアンテナに連結してよい。
【0040】
図示されているように、SOC400は、UE106のためのプログラム命令を実行できる1つ以上のプロセッサ402と、グラフィックス処理を実施でき、ディスプレイ460にディスプレイ信号を提供できる、ディスプレイ回路構成404とを含んでよい。1つ以上のプロセッサ402はまた、メモリ管理ユニット(MMU)440に連結してよく、このMMU440は、1つ以上のプロセッサ402からアドレスを受信して、これらのアドレスをメモリ(例えばメモリ(例えば読み出し専用メモリ(ROM)又は別のタイプのメモリ)406)、NANDフラッシュメモリ410)内の場所へ、並びに/又はディスプレイ回路構成404、無線通信回路構成430、コネクタI/F420及び/若しくはディスプレイ460といった他の回路若しくはデバイスへと移すよう構成してよい。MMU440は、メモリ保護及びページテーブル変換又はセットアップを実施するよう構成してよい。いくつかの実施形態では、MMU440を、1つ以上のプロセッサ402の一部分として含めてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ、MMU、及びメモリは、分散型マルチプロセッサシステムであってよい。例えば、プロセッサシステムは、散在する複数のプロセッサ及びメモリを備えてよく、ここで、処理要素(機能ユニットとも呼ばれる)はそれぞれ、データメモリルータとも呼ばれる複数のメモリに接続される。プロセッサシステムは、本明細書に記載の方法を実装するようプログラムされていてよい。
【0041】
いくつかの実施形態(図示せず)では、UE106は、例えば図2の放送基地局102Aから、無線放送を受信するよう構成される。これらの実施形態では、UE106は放送ラジオレシーバを含んでよい。いくつかの実施形態では、UE106は、異なる周波数帯域を用いて同時に、及び/又は異なるタイムスライス中に同一の周波数リソースを用いて、放送データを受信し、パケット交換セルラー通信(例えばLTE)を実施するよう構成される。これにより、ユーザは、(例えばスプリットスクリーンモードでの)インターネットのブラウジング、ウェブアプリケーションの使用、又はストリーミング音声の聴取といった他のタスクを実施しながら、TV放送を視聴できる。他の実施形態では、本開示の技法を、放送レシーバとして又はセルラー通信用に構成され、かつこれら両方としては構成されていないデバイスを用いるシステムにおいて使用してよい。
【0042】
UEデバイス106の1つ以上のプロセッサ402は、例えばメモリ媒体(例えば非一時的コンピュータ可読メモリ媒体)に記憶されたプログラム命令を実行することによって、本出願に記載の特徴の一部又は全てを実装するよう構成してよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサ402は、複数の並列化された処理要素のマルチプロセッサアレイを備えてよい。例えば、1つ以上のプロセッサ402は、参考文献6に詳細に説明されているHyperXアーキテクチャ、又は別の並列プロセッサアーキテクチャに従って設計されていてよい。これらの実施形態では、並列化された処理要素のうちの個々の処理要素は、それぞれ、連続キャンセルリスト(successive cancellation list:SCL)復号手順の別個のビット経路上で、復号手順を実施するよう構成されていてよく、又はこれらは、別個の符号化されたメッセージに対して、復号手順を実施するよう構成されていてよい。あるいは(又は更に)、1つ以上のプロセッサ402は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)といった、プログラマブルハードウェア要素として構成してよい。あるいは(又は更に)、UEデバイス106の1つ以上のプロセッサ402は、他の構成部品400、404、406、410、420、430、435、440、460のうちの1つ又は複数と併せて、本出願に記載の特徴の一部又は全てを実装するよう構成してよい。
【0043】
UE106は、ディスプレイ460を有してよく、これは、容量性タッチ電極を組み込んだタッチスクリーンであってよい。ディスプレイ460は、様々なディスプレイ技術のうちのいずれに基づくものであってよい。UE106のハウジングは、マイクロフォン、データポート、及び場合によっては様々なタイプのボタン、例えばボリュームボタン、リンガボタン等といった、様々な要素のうちのいずれのための開口を内包してよく、又は備えてよい。
【0044】
UE106は、複数のラジオアクセス技術(RAT)をサポートしてよい。例えばUE106は、汎欧州デジタル移動電話方式(Global System for Mobile Communications:GSM)、ユニバーサル移動体遠距離通信システム(Universal Mobile Telecommunications System:UMTS)、符号分割多元アクセスCDMA(例えばCDMA2000 1XRTT又は他のCDMAラジオアクセス技術)、LTE(ロングタームエボリューション)、LTEアドバンスド(LTE‐A)、5G NR、及び/又は他のRATのうちの2つ以上等の、様々なRATのうちのいずれかを用いて通信するよう構成してよい。例えばUE106は、LTE及びGSM等の少なくとも2つのラジオアクセス技術をサポートしてよい。必要に応じて、様々な異なる又は他のRATをサポートしてよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、UE106は、音声及び/又はビデオコンテンツを搬送できる放送ラジオ伝送を受信するようにも構成される。更に他の実施形態では、UE106は、放送ラジオ伝送を受信するよう構成してよく、また基地局との双方向通信を実施するよう構成しなくてよい(例えばUE106はメディアプレイバックデバイスであってよい)。
【0046】
Polar符号
Polar符号は、多様な技術的用途においてますます使用されている。例えば、UE(UE106等)と基地局(BS102等)との間の5G NR通信は、Polar符号を採用し得ることが予想される。Polar符号は、ある特定のタイプの前方誤り訂正(FEC)コードである。
【0047】
メモリレス二元対称チャネルの容量達成符号を構築するための方法は、当該技術分野で公知である。図5は、Polar符号を利用したチャネル分極として知られる現象を示し、長さN=2048ビットのPolar符号は、n=11段階のPolar符号化によって符号化される。図1で説明したように、得られるPolar符号は、チャネル分極として知られる現象を利用し、この現象は、物理チャネルWを、複数の合成チャネルW の配列に変換し、上記合成チャネルそれぞれの容量、即ちチャネル入力と出力との間の最大相互情報は、1(非常に信頼性が高い)、又は0(非常に信頼性が低い)に向かう傾向がある。これに対応して、対応するビット確率は、符号の長さN=2が正のゼロでない整数値nと共に増加するに従って、それぞれ1及び0.5に近づく。
【0048】
最も信頼性の高いチャネル上のビットに情報を配置することにより、データを転送でき、これらのビットは情報ビットと呼ばれる場合がある。最も信頼性の低いチャネル上に配置されたビットは、固定値、例えば0、又は別の公知の値若しくはトランスミッタ及びレシーバの両方にとって既知の値のセットに設定してよく、これらのビットは凍結ビットと呼ばれる場合がある。凍結ビット、及び符号行列に対するそのマッピングは、トランスミッタ及びレシーバの両方にとって既知であってよい。その結果、凍結ビットの位置は、復号プロセスの一部としてのレシーバでの復号アルゴリズムによって、これらの既知の値に設定される。ブロック長さNのPolar符号の構築は:合成チャネルの信頼性を反映した、順序付きシーケンスを識別するステップ;最も信頼性の高いチャネル位置にユーザ情報を割り当てるステップ;及び最も信頼性の低いチャネル位置に(全てゼロのデータセットを除外しない)凍結ビットパターンを割り当てるステップを含む。
【0049】
Polar符号は、生成行列Gで記述される線形ブロック符号のクラスを形成する。ブロック長さNのPolar符号は:
【0050】
【数1】
【0051】
に従って生成でき、ここでFは、他の可能性の中でも:
【0052】
【数2】
のクロネッカー積を示す。
【0053】
Polar符号は、ブロック長さN内での、k個の情報ビット及び(N-k)個の凍結ビットの位置によって定義される。符号レート:
【0054】
【数3】
【0055】
は、ブロック長さに対する非凍結ビットの比として表される。符号レートは、ブロックあたりの非凍結ビットの個数を変更することによって線形に調整できる。典型的には、ブロック長さNは、2のべき乗となるように選択され、従ってN=2(ただしnは自然数)である。
【0056】
いくつかの実施形態では、チャネル分極は、二元メモリレス対称(BMS)チャネルW:X→Yを、合成チャネルのペア:W:X→Y及びW:X×Yへと分割し、ここで:
【0057】
【数4】
【0058】
【数5】
である。
【0059】
ここで:
【0060】
【数6】
【0061】
は、排他的OR(XOR)演算を示す。この分割をn回適用して、N=2の合成チャネルを得ることができる(例えば上記参考文献[1]を参照)。
【0062】
対応する相互情報(MI)は、以下のように計算できる:
【0063】
I(W)=2I(W)-I(W)
【0064】
I(W)=I(W)
【0065】
それぞれ二値展開(b,b,…,bn-1),b∈{0,1}を有する合成チャネルのセットは:
【0066】
【数7】
として定義できる。
【0067】
相互情報I(W )>I(W )である場合、合成チャネルW は、W より高い信頼性を有すると決定でき、
【0068】
【数8】
と表され、ここでI(W)≡I(X;Y)である。
【0069】
相互情報は:
【0070】
【数9】
【0071】
として定義できるが、これは、ランダム変数のペアが共有する情報の尺度、即ち一方の変数を把握することによって他方の把握の不確定性がどの程度低減されるかを提供し、ここでp(x,y)は、X及びYの同時確率関数であり、p(x)及びp(y)は、それぞれX及びYの周辺確率分布関数である。X及びYが独立している場合:
【0072】
【数10】
【0073】
をもたらすp(x,y)=p(x)p(y)、即ちランダム変数XとYとの間の相互情報は、ゼロである。
【0074】
図6:例示的なPolarエンコーダ
図6は、ブロック長さN=2に関する、サンプルのPolar符号構築を示す。エンコーダは、入力uを用いて開始され、これらの入力は出力xへと符号化される。情報ビットは、太字で示される。残りの入力は、凍結ビット値0に割り当ててよい。各段階sでは、エンコーダは、右に向かって図示されている符号化ツリーに従ってビットのペアを組み合わせる。
【0075】
Polar符号の構築
Polar符号の構築は、合成チャネルの信頼性のランク付けを反映するための、ビット位置の置換を伴う。長さNの符号を構築するために、情報ビットのセットを、K個の最も信頼性の高い位置にマッピングし、その一方で凍結ビットのセットを残りのN-K個のチャネル位置に配置する。符号レートは、R=K/N、即ち符号ブロック長さに対する情報ビットの数の比として計算される。
【0076】
所与のブロックサイズNに関する正確な合成チャネルの信頼性を計算するために必要な再帰は、相当な計算負荷を表す。その結果、計算的にコストが比較的低い方法が多数提案されており、これにより、正確なチャネルの信頼性を近似する方法で、ビット位置の順序付けに到達する。換言すれば、計算負荷及び時間要件を低減するために、Polar符号の情報ビットを割り振る近似的方法が開発されている。
【0077】
Polar符号の構築に関して、分極重み(PW)(上記参考文献[1]を参照)及びフラクタル拡張カーネル(FRANK)Polar符号構築(例えば上記参考文献[2]を参照)といった様々な方法が知られている。PW及びFRANKはいずれも、Polar符号の情報ビットを妥当な精度で割り当てることができるが、これらはいずれも、その精度(例えば正確な合成チャネルの信頼性に対するその精度)、計算のレイテンシ、及び有限精度の影響に関する制限を示す。
【0078】
本明細書中の実施形態は、従来のPW及びFRANKによるPolar符号の構築を、強化PW Polar符号構築の実装によって改善し、計算の効率及び情報ビットの割り振りを改善する。本明細書中のいくつかの実施形態は、上述の参考文献[3]に記載されているもの等の有限精度メモリ・イン・ネットワークプロセッサ(Memory in Network Processor:MiNP)アーキテクチャに実装されるような、ビット位置の順序付けシーケンス及び割り当ての効率的な計算のための新規の手段を提示する。
【0079】
強化分極重み(PW)
本明細書中の実施形態は、Polar符号の情報ビットの割り振りのための強化PW法を説明する。強化PWは、β展開として公知の技法を利用し、これは、Polar符号構築に使用される順序付けシーケンスの迅速な決定を可能とする、理論的フレームワークを提供する。強化PWは、一般化されたβ展開を利用し、その手順は以下のように要約できる:
【0080】
合成チャネルインデックスi=0,1,…,N-1の二値展開として
【0081】
【数11】
【0082】
を得る。ただしb∈{0,1}、j=[0,1,…,n-1]である。
【0083】
分極重み:
【0084】
【数12】
ただし
【0085】
【数13】
を計算する。
【0086】
ここで、整数値m>0は、展開率、即ち:
【0087】
【数14】
を決定する。
【0088】
【数15】
【0089】
となるようにソートした後、得られたインデックスを順序付けシーケンスq N-1として保存する。
【0090】
従来のPWの実装は、β展開に固定値m=4を使用する。本明細書中の実施形態は、β展開をmの他の値に一般化することにより、従来のPWの実装を改善する。有利には、以下で更に詳細に説明するように、Polar符号の符号化率及び/又はブロックサイズに基づいてmを戦略的に選択することにより、結果として得られる情報ブロック割り振りの精度を改善できる。
【0091】
更に、3GPP 5G Polar符号構築のために提案されたPW法は、β展開に基づくものである(参考文献2参照)が、競合するフレームワークであるFRANK(フラクタル拡張カーネル)(参考文献3参照)は、従来のPW法を上回る主要な利点として、符号レート(即ち所与のブロックサイズNに関する情報ビットKの数)に応じたスケーラビリティを主張する。可変展開因子、例えばβ=21/mを含むようにPW法を拡張した、本明細書中の実施形態は、以下で更に詳細に説明するように、FRANKに関連する計算に関する短所の一部を伴うことなく、FRANKが示すものに相当する様式で符号レートに応じてスケールするビット分配をもたらすことができる。例えば、βを、計算されたチャネルの信頼性に対する結果的な一致が改善されるような様式で、ブロックサイズ及び符号レートに基づいて微調整してよい。
【0092】
図7:強化PW Polar符号構築
図7は、Polar符号化データを伝送するための方法を示すフローチャートであり、ここでPolar符号は、いくつかの実施形態による強化PWを用いて構築されている。図7に示す方法は、他のデバイスの中でもとりわけ、これ以前の図に図示されているシステム又はデバイスのうちのいずれと共に使用してよい。例えば、図7に示す方法は、別のUE若しくは基地局102と通信するUE106によって、又はUE若しくは別の基地局と通信する基地局によって使用される。より一般には、上記方法は、あるデバイスから別のデバイスへの、いずれの有線又は無線Polar符号化伝送に採用できる。様々な実施形態では、図示されている方法の要素のうちのいくつかは同時に実施してよく、図示されているものとは異なる順序で実施してよく、又は省略してよい。必要に応じて追加の方法の要素も実施してよい。図示されているように、この方法は以下のように動作できる。
【0093】
702では、Polar符号化されることになるデータを保存してよい。このデータは、UEデバイス、又はPolar符号化されたデータを伝送するよう構成された別のタイプのデバイスのメモリに保存してよい。
【0094】
704では、上記データをPolar符号化するための符号化率を決定してよい。符号化率Kは、信号強度、チャネルの状態、伝送パワー、デバイスのバッテリレベル等を含む様々な因子に基づいて決定してよい。例えば、チャネルの状態が良好であれば、より高い符号化率を用いて、より効率的なスループットでデータを伝送できる。対照的に、チャネルの状態が良好でなければ、より低い符号化率を用いることによって、データが極めて信頼性の高いビットにおいてのみ伝送されることを保証し、伝送誤りの可能性を低減できる。
【0095】
706では、ビットシーケンス内の各ビット位置に関連する信頼性を決定してよい。上記信頼性は、各上記ビット位置に対応する加重和のシーケンスを算出することによって決定してよい。各ビット位置の信頼性は、それぞれの加重和から決定してよく、ここで、各ビット位置に対応する加重和は、各ビット位置の二値展開にわたる加重和である。例えば、上記加重和を、既に様々に説明した一般化されたβ展開を利用した強化PWに従って、実施してよい。
【0096】
上記データをPolar符号化するための、決定された上記符号化率に基づいて、上記和に重み付けしてよい。例えば、第1の乗法因子によって上記加重和に重み付けしてよく、ここで上記第1の乗法因子は、上記符号化率に少なくとも部分的に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、上記乗法因子は、べき演算量(例えば何らかの値のxに関する2、又は別のべき演算量)であってよく、このべき演算量は第1のべき指数を含んでよく、ここで上記第1のべき指数は、合計される二値展開の各項のべきである。例えば、以下で更に詳細に説明するように、8=2に対応する二値展開中の項は、第1のべき指数3に関連していてよい。いくつかの実施形態では、上記べき演算量は更に、第2のべき指数1/mを含んでよく、ここで上記第2のべき指数は、上記符号化率に少なくとも部分的に基づいて微調整できる、調整可能なパラメータを含む。
【0097】
以下で更に詳細に説明するように、比較的高い符号レートでの正確なチャネルの信頼性は、比較的大きな値のmを使用すると、強化PWによってより良好に近似できる。例えば以下の図18~19に示すように、K=16という低い符号レート(図18の左上)に関して、正確なチャネルの信頼性(図18の「IDX」)は、m=14によってよりもm=2によってより良好に近似される。対照的に、K=64及びK=128という比較的高い符号レート(図18の左下及び右下)では、m=2よりもm=14によってより良好に近似される。図16に示すように、より大きな値のmによって、比較的小さな値のmに比べて、より早いビット位置においてより多くの情報ビットによる情報ビット割り振りが得られる。同様に、より大きな符号化率により、より早いビット位置を用いた情報ビット割り振りを促進する、正確なチャネルの信頼性が得られる。従来のPWの実装による1つの制約は、比較的高い符号レートに関する、比較的早いビット位置への情報ビットの割り振りの非効率さである。比較的高い符号レートに関して比較的大きな値のmを使用し、また比較的低い符号レートに関して比較的小さな値のmを使用することにより、強化PWは、正確なチャネルの信頼性をより良好に近似できる。
【0098】
いくつかの実施形態では、上記第2のべき指数は更に、第1のべき指数1/4を選択することによって得られるものに対して、Polar符号の情報ビットの分配を、より早いビット位置へと広げるように、選択される。例えば図16に示すように、より大きな値のmは、より小さな値のmに比べて、ビットシーケンスのビット位置全体により広く広がった情報ビット割り振りをもたらす。正確なチャネルの信頼性に対応する情報ビット割り振りは、符号化率が大きいほど、ビットシーケンス全体により広く分配されるため、mをm=4より大きく増大させることにより、より大きな符号化率に関して、正確なチャネルの信頼性に対応する情報ビット割り振りをより良好に近似できる。
【0099】
いくつかの実施形態では、Polar符号のブロックサイズに基づいて、上記和に更に重み付けしてよい(例えば乗法因子を、Polar符号のブロックサイズに基づいて更に選択してよい)。例えば、表4を参照して以下で更に詳細に説明するように、Polar符号に採用されるブロックサイズ及び符号化率の各値に関して、誤差の大きさをmの様々な値に関して決定してよい。決定される信頼性と正確なチャネルの信頼性との間の不一致を最小化するmの値を選択してよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、上記乗法因子は更に、上記Polar符号が、対応するPolar符号を近似するように選択され、上記対応するPolar符号は、決定された符号化率を実装し、代替的なPolar符号構築法を用いて構築される。例えば、上記Polar符号は、強化分極重み付け法に従って構築してよく、上記対応するPolar符号の構築法は、FRANK Polar符号構築法を含んでよい。表3を参照して以下で更に詳細に説明するように、符号化率Kの値に応じてmの値を変更することによって、強化PW Polar符号構築及びFRANK Polar符号構築に関して、K011[192,255]での同一の情報ビットの割り振りを得ることができる。
【0101】
状況によっては、FRANKは、より望ましい情報ビット割り振りをもたらす場合がある(例えばFRANKは、Polar符号のより早い位置により多くの情報ビットを割り振る傾向を有し、これはレシーバによるより迅速な情報ビットの受信につながり、正確なチャネルの信頼性に対するより良好な近似をもたらす)。しかしながら、以下で更に詳細に説明するように、FRANKは、不利な有限精度の影響を受ける場合があり、その一方でPWでは有限精度の影響を無視できる。従って、強化PWは、これを用いてFRANKの有限精度の影響を回避しながらFRANKの情報ビット割り振りを近似でき、Polar符号構築のための既存の方法に対して有意な改善を提供できる。
【0102】
再び図7を参照すると、708では、上記ビット位置を、それぞれの信頼性に基づいてランク付けしてよい。例えば、上記ビット位置を、決定されたそれぞれの信頼性の昇順にランク付けしてよい。
【0103】
710では、上記ランク付けに基づいて、上記データを、情報ビットとして、最も信頼性の高いビット位置に割り振ってよい。上記ビット位置の残りは、上記Polar符号の凍結ビットとして割り振ってよい。
【0104】
712では、上記情報ビット及び上記凍結ビットを符号化してよい。例えば、上記情報ビット及び上記凍結ビットを、Polar符号化アルゴリズムによって処理して、Polar符号化情報ビット及び凍結ビットを得てよい。
【0105】
714では、上記Polar符号化情報ビット及び凍結ビットを伝送してよい。例えばUEは、上記Polar符号化情報ビット及び凍結ビットを、Polar符号化メッセージとして、別の遠隔UE又は基地局に無線伝送してよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、ステップ702~714を参照して説明した上記方法を、第2の符号化率に従ってPolar符号化される第2のデータに対して繰り返してよい。例えば、Polar符号化される上記第2のデータを保存してよく、上記第2のデータをPolar符号化するための第2の符号化率を決定してよい。上記第2の符号化率が上記第1の符号化率と異なる場合、第2の信頼性を、加重和を用いて決定してよく、上記加重和は、上記第2の符号化率に基づいて選択された第2の乗法因子によって重み付けされる。換言すれば、データ伝送の後続の回では、UEは、特定のデータ伝送それぞれに使用される符号化率に基づいて、信頼性の決定を適合させてよい。例えばUEはこれに対応して、ビット位置それぞれの第2の信頼性に基づく、ビット位置の第2のランク付けを実施してよく、最も信頼性の高いビット位置の第2のデータを、上記第2のランク付けに基づく第2のPolar符号の情報ビットとして符号化してよく、ビット位置の残りの部分を上記第2のPolar符号の凍結ビットとして割り振ってよく、上記第2のPolar符号の上記情報ビット及び上記凍結ビットを伝送してよい。
【0107】
FRANK、PW、強化PWの詳細な分析
以下の節は、FRANK法、PW法、強化PW法のそれぞれに関する情報ビット割り振りの結果の更に詳細な分析を提示する。これらの節は、上述の図7の方法によって発生する利点の更なる詳細及び裏付けを提供する。
【0108】
ユニバーサル半順序(Universal Partial Order:UPO)
いずれの二元対称チャネルに関して、信頼性の尺度の半順序が存在する。この信頼性の尺度は、それぞれ合成チャネルの1つのインデックスに対応するN個のビット位置にわたる全順序シーケンスを形成するには不十分となり得、従って半順序とみなされる。
【0109】
Addition:インデックスCが二元表現(b、b、1、b)を有する合成チャネルを考えると、二元インデックスCが二元表現(b、b、0、b)を有する合成チャネルより信頼性が低い。1つ又は複数のビット位置での
【0110】
【数16】
の発生を考えると:
【0111】
【数17】
【0112】
【数18】
となる。
【0113】
Left‐Swap:
【0114】
【数19】
【0115】
となるようないわゆるLeft‐swapを考えると、このパターンは複数回出現でき、またビット位置は隣り合っている必要はない:
【0116】
【数20】
【0117】
【数21】
【0118】
上述の特性は、チャネルインデックスのペア(x,y)間の相対的な信頼性を評価するために使用され、ここで上記チャネルインデックスのサブセットは、Addition又はLeft‐swap又はこれらの組み合わせによって決定できない。その結果、これらの順序はUPOにとって未知となる(「半順序(partial order)」という用語の理由)。
【0119】
3(0,1,1)及び4(1,0,0)
【0120】
7(0,1,1,1)及び12(1,1,0,0)
【0121】
UPOは、このアプローチがいずれの二元対称チャネルに適用されるため、「ユニバーサル(universal)」と呼ばれる。
【0122】
分極重み(PW)
PW Polar符号構築は、二項展開(binary expansion:BE)に基づく方法であり、信頼性の順序の問題に対処することを目的とする。PW Polar符号構築を用いて、順序付けシーケンス、及び情報/凍結ビットの位置を引き出すための手順は、以下のようにまとめることができる:
【0123】
信号対雑音比(signal‐to‐noise ratio:SNR)非依存型信頼性推定を:各サブチャネルの信頼性を計算し(オフライン動作);最大符号長さNmaxのPolar符号に関する順序付けインデックスシーケンス
【0124】
【数22】
【0125】
を保存することによって、実施する。サブチャネルの信頼性の順序は、重みシーケンス
【0126】
【数23】
【0127】
によって推定され、これは以下のように算出される:
【0128】
【数24】
(ただしb∈{0,1}、j=[0,1,…,n-1])と仮定すると、
【0129】
【数25】
となり、ここでn=log(N)である。
【0130】
PWに関する設計の分析‐計算負荷
符号構築のPW法は、以下の2セットの計算を伴う:(i)各xドメインインデックスの加重和を累積する;(ii)上記加重和をランク付けして、uドメインマッピングを決定する。
【0131】
PWにおいて加重和を計算する際、βの進行は、式:
【0132】
【数26】
【0133】
を用いてオフラインで計算できる。加重和の計算は、
【0134】
【数27】
【0135】
の形式の一連の和となり、重み付けセット全体n・Nの実積和演算W N-1に関してn・Nの実積和演算が必要となる。この計算は、レイテンシの低減のために必要に応じて、次元i又はjに沿って並列化してよい。
【0136】
ランク付けの実施にあたって、加重和を、N・logNの複雑性でランク付けしてよい。この複雑性は、n=logNの場合にn・Nへと短縮される。この計算は容易には並列化できない。しかしながら、適度なブロックサイズがある場合、この計算はオンラインで実施できる。
【0137】
図8:レイテンシの分析‐PW順序付けシーケンスの生成
図8は、符号サイズNの様々な値に関するクロック速度の関数としてのPW順序付けシーケンスレイテンシのプロットである。図示されているように、順序付けシーケンスの計算に関するレイテンシは、最小1GHzのクロックの場合に、並列性がないと仮定すると、20μs未満である。最小500MHzのクロックの場合、レイテンシは、最大ブロックサイズに関してさえ、50μs未満のままとなる。加重和の計算を並列化する可能性を考慮すると、レイテンシは、図8に示したもの未満に更に低減できる。
【0138】
図9:量子化誤差分析‐PW順序付けシーケンスの生成
図9は、合計ビット数の関数としての、PWを用いた信号の出力(|W|)及び誤差(|W-W)のグラフである。加重和の計算のダイナミックレンジは、i=0=[000…0]の場合はゼロによって、i=N-1=[111…1]の場合はΣβによって制限される。
【0139】
【数28】
【0140】
とすると、加重和の最大値は、Wmax=19.8556であることを示すことができる。小数点の左側に5ビットがあり、残りのビットが小数部分を表すために使用されると仮定したビット表現の範囲に関する、相対二乗平均誤差を図9に示す。量子化ノイズ出力は、適度なビット幅に関して75dB未満に低減される。図9に示されている評価に使用されているMiNPアーキテクチャは、16ビットデータに基づくものである。図示されているように、量子化誤差は、PW法に関しては無視できる。
【0141】
フラクタル拡張カーネル(FRANK)
FRANK Polar符号構築は、オンラインでの構築を可能とするために記述の複雑性が低い、スケーラブルなPolar符号シーケンス構築のための理論的に正当なフレームワークを提供するために導入された。FRANKを用いて、順序付けシーケンス、及び情報/凍結ビットの位置を引き出すための手順は、以下のようにまとめることができる:
【0142】
1)ネスト相互情報(mutual information:MI)密度発展法(density evolution:DE)又は他のスキームに基づいて、短い参照シーケンスを構築する。
【0143】
2)各(N,K)符号に関して、長い符号語を短い長さのグループ(最も短い長さは、構築された上記短い参照シーケンスの長さに等しい)に再帰的に分割し、情報(info)ビットの個数Kiを、MI比の式による情報ビット比に基づいて、またパンクチャリングされたビット及び/又は短縮されたビットを考慮して、各グループに割り振る。
【0144】
3)長さNref以下のブロックに到達したときに、長さNrefのグループの情報ビット位置を、上記短い参照シーケンス、及び当該情報ビットの個数に基づいて生成する。
【0145】
図10:FRANK MI再帰
図10は、FRANK Polar符号構築に従って採用される典型的な相互情報(MI)再帰法を示す。
【0146】
符号サイズが2のべき乗N=2である場合、情報ビットの分配はMI算出に基づいており、再帰への入力MIは容量MI=R=K/N(即ちチャネル符号がサポートできる最大レート)に設定される。各グループに関するレート割り振り、例えばR0、R1、及びこれに続くR00、R01、R10、R11等の再帰的算出は、図10に示すように実行される。
【0147】
FRANKに関する設計の分析‐計算負荷
FRANKの計算負荷は通常、R及び2R-Rの計算ペアによって支配される。NrefのM個のセグメントはそれぞれ、m=logMの段階を必要とし、これにより2+2+2+…の計算ペアが発生する。各ペアは、1段階毎に、1ペアあたり合計2回の演算として、1回の乗算及び1回の積和を必要とする。演算の総数は
【0148】
【数29】
【0149】
によって与えられる。N=1024及びNref=64であり、M=16はm=4の段階を必要とする。総演算数は26200である。異なる複数の値のNに関する、FRANKを用いた、クロック速度の関数としての再帰レイテンシのプロットである図11に示すように、対応するレイテンシは、いずれのクロック速度に関して無視できる。
【0150】
FRANK‐有限精度の影響
FRANKを用いて構築されたPolar符号に関する精度の要件は、R-Rの項によって決定され、これは、低い符号レート及び長いブロックサイズに関して、固定小数点表現でアンダーフローを引き起こす場合があり、これにより、割り当てられるビットインデックスの数が、選択された符号レートに必要なものよりも少なくなる。しかしながら、K個の情報ビットをM個のサブブロックに分配することに関連する粗い粒度を採用すると、精度要件を緩和できる。ヒューリスティックなアプローチでは、正確な計算に関して、13又は14個の固定小数点ビットで十分となり得ることが示唆されている。
【0151】
長さNrefの各グループ間での情報ビット分配の選択は、参考文献[2]において、通信路容量を達成する符号の考案に役立つものとして確立されている。以下の表1は、FRANKに関するK分布を、強化PWに関するものと並べて列挙している。なお、強化PWのK分布は、FRANKの符号シーケンスの上部における情報ビットのスパース性を近似するために微調整されていてよい。公平な並列比較を促進するために、このような配慮を行った。従来のPWのベースラインの場合、即ちm=4、は、太字で強調されている。
【0152】
【表1】
【0153】
本明細書中の実施形態は、PW符号構築をFRANK符号構築と並べて分析することにより、Polar符号構築に関する効率の改善を提供する修正PW符号を得る。これら2つの方法を調査して、実装の観点からのいずれの実質的な差異を特定した。PWのレイテンシは、FRANKより高いものの小さく(<50μs)、これはNRの予想されたスロット時間に匹敵する。その結果、符号構築に関するレイテンシは、前のブロック復号期間に隠れることができる。
【0154】
PW構築による有限精度の影響は無視できるものであり(関心対象の信号より>75dB小さい)、これは、適度なビット幅に関してもオンライン計算が可能であることを示唆している。対照的に、FRANKによる有限精度の要件は、エンコーダ及びデコーダがビットの同一のK分布に到達することを保証するための注意深い処理の恩恵を得ることができる。これは特に、Rの項が支配的になり始める、ブロックサイズが長く符号レートが低い場合に当てはまる。
【0155】
オンライン計算が可能であることを考えると、強化PWに関するK分布を微調整することにより、レートの一致についての考慮事項に関して同様の開始点を提供しながらも、FRANKの有限精度の影響による制限を伴うことなく、FRANKに関するK分布を近似できる。
【0156】
強化PW:数値例
以下のリストは、加算性白色ガウス雑音(additive white Gaussian noise:AWGN)上での伝送を想定した、N=16、m=4、β=2j・1/4という特定の例に関する、強化PWの実装に使用されるβ展開を用いた数値的な結果を記述する。
【0157】
分極重み:
15=[0 1.0000 1.1892 2.1892 1.4142 2.4142 2.6034 3.6034 1.6818 2.6818 2.8710 3.8710 3.0960 4.0960 4.2852 5.2852] .
【0158】
順序付きシーケンス:
15=[0 1 2 4 8 3 5 6 9 10 12 7 11 13 14 15].
【0159】
以下のサンプルチャネル割り当ては、全てがゼロである凍結ビットのフィールドを想定した場合の、K=6に関する結果である:
15=[0 0 0 0 0 0 0 0 0 u 0 u].
【0160】
図12:ネストβ展開、N=512(n=9)、m=4
図12は、mの特定の値に関するβ展開の項の順序付きシーケンスを示すツリー図である。なお、この順序付きシーケンスは、UPOの信頼性に似たものとなるように、βを変更することによって(即ちmを変更することによって)微調整してよい。
【0161】
チャネル信頼性に関するUPOは、特定の条件が満たされている限り保持される。例えば:
C(W0011)>C(W1000)β+1>β;同等に、β-(β+1)<0
C(W1001)>C(W0110)β+1>β+β;同等に、β+β-(β+1)<0
【0162】
例えば、図13は、m<2.5に関して、これらの基本条件のうちの1つ以上が満たされない場合を示す。選択されているmの値は、比較的少ないK位置への情報ビットの分配及び結果として得られる誤差性能を含む、他の考慮事項によって支配され得る。
【0163】
図14:β展開、N=512(n=9)、m=4
図14は、N=512及びm=4に関する、情報ビットの割り振りの例示的な順序付きシーケンスq N-1を示す。図示されているように、計算された信頼性は一般に、合成チャネルインデックスと共に増大し、上記インデックスが増大する際に、位置がずれた複数の降下が発生する。
【0164】
図15:再帰的情報ビット割り振り
図15は、FRANKによって採用される再帰的ビット割り振りプロセスを示す概略図である。図示されているように、FRANKは、割り当てられた符号レートに従って情報ビットを分配するための再帰的手順を、以下のように規定する:
【0165】
チャネルインスタンスに割り振られる情報ビットの割合:K0=R0/R*K/2
【0166】
チャネルインスタンスに割り振られる情報ビットの割合:K1=R1/R*K/2
【0167】
符号レートは、平均W及びW相互情報をそれぞれ反映する:R=(R0+R1)/2
【0168】
複数の段階で実行される場合、FRANKは、ビット割り当てを固定長のサブブロックへと分割することを目的とする。例として図15を用いると、比較的少ないK位置は、所与の段階において比較的少ないインデックスを有するものとして定義できる。この定義によると、K000は、K001に比べて少ないK位置を表し、K000-K001は、K010-K011が占めるK位置よりも少ないK位置を占めるなどする。
【0169】
このアプローチは、意図した符号レートに比例して、比較的少ないK位置への情報ビットの分配をもたらし得る。符号レートが高くなるほど、比較的少ないK位置に割り振られる情報ビットの個数が大きくなる。比較として、PWビット分配は、符号レートの関数として、比較的少ないK位置において比較的平坦となる(参考文献4参照)。例えば、以下の表2中で太字で強調されているK011[192,255]を参照。
【0170】
【表2】
【0171】
本明細書に記載の実施形態によると、可変のβ=21/mを用いる強化PWを実装することにより、ビットの順序付けを微調整して、FRANKによって実現されるものを近似した、強化PW法を用いた情報ビット分配を実現できるようになる。例えば表3は、K011[192,255]におけるビットの割り振りを、強化PWによるβ展開を用いて微調整して、FRANKによって実現されるものと一致させたことを示す。
【0172】
【表3】
【0173】
図16:ビット位置の置換
図16は、mの様々な値に関する、強化PWを用いた情報ビット割り振りの散布図である。順序付きシーケンスは、入力インデックスを割り当てられたビット位置に変換する置換の結果として解釈できる。従来の二値展開は、m=1、即ちβ=21/1=2に対応し、置換のない入力シーケンスのインデックス付けと同一の順序をもたらす(図16の対角線)。置換は、mの値の増加(即ちβの減少)に伴って情報ビット割り振りが大きく変動することを示す。換言すれば、m=1を超えてmが増大すると、図16に示されている対角線から大幅に逸脱した情報ビット割り振りがもたらされる。
【0174】
なお、βの減少(即ちmの増大)に伴い、情報ビットの割り当ては、インデックスN=512から始めて下方に向かって、ビットインデックス内のより早い位置において、比較的少ないK位置を探索する。チャネル置換の変動性が大きいほど、情報ビットをビット位置により広く分配でき、所与の符号レートに関する平均相互情報により似せることができる。
【0175】
図17a~17b:ビット分配
図17a~17bは、N=512、かつm=4(左)及びm=14(右)に関する、情報ビット割り振りの順序付きシーケンスq N-1の並列比較を示す。mの値の増大(即ちβの減少)に伴い、結果として生じるチャネル割り当ては、より高いチャネルインデックスにおいてよりかなり多くの空白を示し、これは、比較的少ないK位置に対する情報ビットのより幅広い分配を示す。例えば、比較的大きな値であるm=14は、比較的多くの「空白(whitespace)」をもたらすことが分かり、これは、情報ビット割り振りのより広い(即ち比較的単調でない)分配を示す。図17a~17bは、mの値が大きいほど、Polar符号のより早い位置で情報ビットが割り振られる様子を示し、これにより、ブロックサイズ及び符号化率の値に応じて、正確なチャネルの信頼性をより正確に近似できる。
【0176】
チャネルの順序付け
符号の性能の重要な尺度は、チャネル割り当てが、図18に符号レートR=K/Nの関数としての「IDX」として挙げられている、計算されたチャネルの信頼性にどの程度適合しているかである。順序付きシーケンスのビットインデックスが、計算されたチャネルの信頼性によって示されるビットインデックスに近づくほど、符号の性能は良好である。
【0177】
図18:チャネルの順序付け
図18は、正確なチャネルの信頼性(「IDX」)と比較した場合の、4つの異なる値の符号化率Kに関する、及び様々な値のmに関する、割り当てられるビット位置(即ち情報ビット割り振り)を示す。β展開(及びこの点に関してFRANK)が、計算されたチャネルの信頼性を考慮して達成される順序付けを最もよく近似するため、符号割り当てに相当なミスマッチが存在することが多い。しかしながら、低い符号レート、例えばK=16では、チャネル割り当ての誤差は、割り当てられるβの値とは独立して、比較的小さくなることが明らかである。誤差率はKと共に着実に上昇する。しかしながら、βの値の一部が、他の値よりも、割り当てられるビット位置における平均により良く一致する、複数のクロスオーバポイントが存在する。例えば、割り当てられるチャネルの信頼性の平均誤差が図19に示されており、最小の誤差は、所与のブロックサイズ及び符号レートに関するβの最良の選択を示す。
【0178】
以下の表4は、様々な符号レートの値及び様々なブロックサイズに関する、割り当てられるチャネルの信頼性において最小の平均誤差が得られる値mを列挙している。いくつかの実施形態では、所与の符号レート及びブロックサイズ構成に関して、チャネルの信頼性の誤差を最小化する値に基づいてmがオフラインで決定される、修正されたアプローチを実装してよい。そして、選択した上記符号レート及びブロックサイズ構成に関して、β=21/mを入力パラメータとして使用して、ベータ展開を実行時間において続行してよい。
【0179】
【表4】
【0180】
修正型β展開手順
いくつかの実施形態では、修正型β展開手順を以下のように実施してよい:
【0181】
i.合成チャネルインデックス、i=0、1、…、N-1の二値展開として
【0182】
【数30】
【0183】
を得る。ただしb∈{0,1}、j=[0,1,…,n-1]である。
【0184】
ii.符号レート及びブロックサイズの所与の組み合わせに関して、チャネル信頼性割り当ての誤差を最小化すると考えられるパラメータmを、入力として得る
【0185】
iii.分極重み
【0186】
【数31】
ただし
【0187】
【数32】
を計算する。ただし、整数値m>0は、展開率、即ち
【0188】
【数33】
を決定する。
【0189】
iv.
【0190】
【数34】
【0191】
となるようにソートした後、得られたインデックスを順序付けシーケンスq N-1として保存する。
【0192】
ステップiiに挿入されるものとして、mの選択は、割り当てられた符号レート/ブロックサイズの組み合わせに関して望ましい値のmを決定するためのオフライン計算を伴ってよい。その後、選択された値β=21/mの場合に、オンライン計算を続けてよい。この修正型アプローチは、実行時間においてチャネル信頼性の評価におけるβ展開の計算の効率を維持しながら、ビットの割り当てを、符号レートの関数としてチャネルの信頼性により良好に一致するよう、微調整するための手段を組み込むことができる。
【0193】
本開示の実施形態は、様々な形態のいずれにおいて実現できる。例えばいくつかの実施形態では、本発明は、例えばコンピュータ実装型の方法、コンピュータ可読メモリ媒体又はコンピュータシステムとして実現できる。他の実施形態では、本発明は、ASIC等の1つ以上の専用設計のハードウェアデバイスを用いて実現できる。他の実施形態では、本発明は、FPGA等の1つ以上のプログラマブルハードウェア要素を用いて実現できる。
【0194】
いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読メモリ媒体は、プログラム命令及び/又はデータを記憶するよう構成してよく、このプログラム命令は、コンピュータシステムによって実行された場合に、上記コンピュータシステムに、例えば本明細書に記載の方法実施形態のうちのいずれか、又は本明細書に記載の方法実施形態のうちのいずれかの組み合わせ、又は本明細書に記載の方法実施形態のうちのいずれかのいずれのサブセット、又はこのようなサブセットのいずれの組み合わせである、方法を実施させる。
【0195】
いくつかの実施形態では、計算デバイスは、プロセッサ(又はプロセッサのセット)及びメモリ媒体を含むよう構成してよく、メモリ媒体はプログラム命令を記憶し、ここでプロセッサは、メモリ媒体からプログラム命令を読み出して実行するよう構成され、プログラム命令は、本明細書に記載の様々な方法実施形態のうちのいずれか(又は本明細書に記載の方法実施形態のうちのいずれかの組み合わせ、又は本明細書に記載の方法実施形態のうちのいずれかのいずれのサブセット、又はこのようなサブセットのいずれの組み合わせ)を実装するために実行可能である。上記デバイスは、様々な形態のいずれにおいて実現できる。
【0196】
以上、具体的な実施形態について説明したが、これらの実施形態は、ある単一の実施形態がある特定の特徴に関して記載されている場合であっても、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。本開示中で提供されている特徴の例は、特段の記載がない限り、限定ではなく例示を意図したものである。以上の説明は、本開示の利益を有する当業者に明らかであるような代替例、修正例及び均等物を包含することを意図したものである。
【0197】
本開示の範囲は、本明細書で(明示的若しくは暗黙的に)開示されたいずれの特徴若しくは特徴の組み合わせ、又はこれらのいずれの一般化形態を、これらが本明細書中で対処される問題のうちのいずれ又は全てを軽減するかどうかに関わらず、含む。従って、本出願(又はそれ以前に請求された出願)の審査中に、このような特徴のいずれの組み合わせに対して、新たな請求項が作成される場合がある。特に、添付の請求項を参照すると、従属請求項からの特徴を、独立請求項からの特徴と組み合わせてよく、また各独立請求項からの特徴を、添付の請求項に列挙された具体的な組み合わせだけでなくいずれの適切な方法で組み合わせてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17a
図17b
図18
図19