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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】口径算出装置および口径算出方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230116BHJP
   E03B 7/00 20060101ALI20230116BHJP
   E03B 1/00 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
G06Q50/06
E03B7/00 Z
E03B1/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018191023
(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公開番号】P2020060910
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】502167083
【氏名又は名称】株式会社管総研
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昌彦
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-057179(JP,A)
【文献】特開2002-047695(JP,A)
【文献】特開2001-297120(JP,A)
【文献】特開平10-021288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
E03B 7/00
E03B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管網を特定の広さを有するブロックとして構成する複数の水道管のそれぞれについて、適正な口径を算出するための口径算出装置であって、
前記配管網を構成する複数の水道管のうち、口径を算出するものとして選択された複数の算出対象水道管について動水勾配の平均値を求める動水勾配平均値算出部と、
前記動水勾配の平均値に基づいて、前記複数の算出対象水道管のそれぞれについて適正な口径を算出する適正口径算出部と、を備えることを特徴とする、口径算出装置。
【請求項2】
前記動水勾配の平均値は、前記水道管のそれぞれの長さに応じて重み付けされた加重平均であることを特徴とする請求項1に記載の口径算出装置。
【請求項3】
前記適正口径算出部が算出した口径と、既存の水道管の口径とを、対比可能な状態で表示する対比表示部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の口径算出装置。
【請求項4】
前記適正口径算出部が算出した口径を既存の水道管の口径と比較し、口径の増減を示す情報である口径増減情報を生成する増減情報生成部と、
前記配管網を示すマップであって、前記水道管のそれぞれが、前記口径増減情報に応じた態様で示されたマップを表示するマップ表示部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の口径算出装置。
【請求項5】
配管網を特定の広さを有するブロックとして構成する複数の水道管のそれぞれについて、適正な口径を算出するための口径算出方法であって、
前記配管網を構成する複数の水道管のうち、口径を算出するものとして選択された複数の算出対象水道管について動水勾配の平均値を求める動水勾配平均値算出ステップと、
前記動水勾配の平均値に基づいて、前記複数の算出対象水道管のそれぞれについて適正な口径を算出する適正口径算出ステップと、を含むことを特徴とする口径算出方法。
【請求項6】
請求項1に記載の口径算出装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記動水勾配平均値算出部および前記適正口径算出部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道管について適正な口径を算出するための口径算出装置および口径算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、水道管の布設に関し、配管口径を決定するための方法の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】岡山市水道局、「配水管布設工事標準設計マニュアル」、平成25年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に開示されている方法では、水道管の口径を決定するために解析を繰り返し、試行錯誤する必要がある。このため、水道管の口径を決定する効率が悪いという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、水道管の口径を効率よく算出することが可能な口径算出装置などを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る口径算出装置は、配管網を構成する複数の水道管のそれぞれについて、適正な口径を算出するための口径算出装置であって、前記配管網を構成する複数の水道管のうち、口径を算出するものとして選択された複数の算出対象水道管について動水勾配の平均値を求める動水勾配平均値算出部と、前記動水勾配の平均値に基づいて、前記複数の算出対象水道管のそれぞれについて適正な口径を算出する適正口径算出部と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、動水勾配平均値算出部が算出した、算出対象水道管の動水勾配の平均値に基づいて、適正口径算出部が適正な口径を算出する。したがって、配管網の設計者は、試行錯誤を繰り返すことなく、水道管の口径を効率よく算出できる。
【0008】
また、本発明の一態様に係る口径算出装置において、前記動水勾配の平均値は、前記水道管のそれぞれの長さに応じて重み付けされた加重平均である。
【0009】
上記の構成によれば、適正口径算出部は、水道管の長さに応じて重み付けされた、単純平均よりも適正な平均値に基づいて、水道管の構成を算出できる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る口径算出装置は、前記適正口径算出部が算出した口径と、既存の水道管の口径とを、対比可能な状態で表示する対比表示部をさらに備える。
【0011】
上記の構成によれば、配管網の設計者は、適正口径算出部が算出した口径と既存の水道管の口径とを、対比表示部による表示によって容易に対比できる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る口径算出装置は、前記適正口径算出部が算出した口径を既存の水道管の口径と比較し、口径の増減を示す情報である口径増減情報を生成する増減情報生成部と、前記配管網を示すマップであって、前記水道管のそれぞれが、前記口径増減情報に応じた態様で示されたマップを表示するマップ表示部と、をさらに備える。
【0013】
上記の構成によれば、マップ表示部は、水道管のそれぞれを口径増減情報に応じた態様で示したマップを表示する。したがって、配管網の設計者は、配管網における水道管の口径の増減を視覚的に認識できる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る口径算出方法は、配管網を構成する複数の水道管のそれぞれについて、適正な口径を算出するための口径算出方法であって、前記配管網を構成する複数の水道管のうち、口径を算出するものとして選択された複数の算出対象水道管について動水勾配の平均値を求める動水勾配平均値算出ステップと、前記動水勾配の平均値に基づいて、前記複数の算出対象水道管のそれぞれについて適正な口径を算出する適正口径算出ステップと、を含む。
【0015】
上記の構成によれば、水道管の口径を効率よく算出できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係る口径算出装置および口径算出方法によれば、水道管の口径を効率よく算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る口径算出装置の要部の構成を示すブロック図である。
図2】配管網の概略の一例を示す図である。
図3】対比表示部による表示の一例を示す図である。
図4】実施形態1に係る口径算出装置における処理を示すフローチャートである。
図5】実施形態2に係る口径算出装置の要部の構成を示すブロック図である。
図6】増減情報生成部が生成する口径増減情報の一例を示す図である。
図7】マップ表示部が表示するマップの例を示す図である。
図8】実施形態2に係る口径算出装置における処理を示すフローチャートである。
図9】実施形態3に係る口径算出装置の要部の構成を示すブロック図である。
図10】水圧変動量表示部による水圧変動量の表示の例を示す図である。
図11】実施形態3に係る口径算出装置における処理を示すフローチャートである。
図12】流向変化情報をマップにより表示する例を示す図である。
図13】流量変化率情報をマップにより表示する例を示す図である。
図14】流量情報をマップにより表示する例を示す図である。
図15】流速情報をマップにより表示する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0019】
図2は、配管網の概略の一例を示す図である。図2に示す配管網は、配水池Pと、配水池Pから配水される配管網の領域であるブロックBLを含む。水は、水源(不図示)から浄水場(不図示)で浄化された後、配水池Pを経由してブロックBLへ送水される。
【0020】
図1は、本実施形態に係る口径算出装置1の要部の構成を示すブロック図である。口径算出装置1は、配管網を構成する複数の水道管のそれぞれについて、適正な口径を算出する。図1に示すように、口径算出装置1は、制御部10、表示部20、記憶部30、および入力部90を備える。
【0021】
制御部10は、水道管について適正な口径を算出するための演算処理などを行う。制御部10は、動水勾配平均値算出部11、適正口径算出部12、および対比表示部13を備える。
【0022】
動水勾配平均値算出部11は、配管網を構成する複数の水道管のうち、口径を算出するものとして選択された複数の算出対象水道管について、動水勾配の平均値を算出する。本実施形態では、動水勾配平均値算出部11が算出する動水勾配の平均値は、水道管のそれぞれの長さに応じて重み付けされた加重平均である。このため、適正口径算出部12は、水道管の長さに応じた、より適正な動水勾配の平均値に基づいて口径を算出できる。ただし、動水勾配平均値算出部11は必ずしも加重平均を算出する必要はなく、単純平均を算出してもよい。
【0023】
適正口径算出部12は、動水勾配平均値算出部11が算出した動水勾配の平均値に基づいて、前記複数の算出対象水道管のそれぞれについて適正な口径を算出する。本実施形態では、適正口径算出部12は、以下の式(1)により適正な口径を算出する。
【0024】
D=1.6258×C-0.38×Q10.38×I-0.205 (1)
D:適正な口径
C:流速定数(例えば、110)
Q1:既存の水道管における解析流量
I:既存の水道管における平均動水勾配
式(1)は、一般にヘーゼンウィリアムス式と称される式である。
【0025】
また、水道管の口径を、予め決定された複数種類の口径から選択する場合、適正口径算出部12は、式(1)により口径を算出した後、当該口径に基づいて最終的な水道管の口径を選択してもよい。この場合、例えば適正口径算出部12は、式(1)により算出した口径以上、かつ最も小さい口径を最終的な水道管の口径として選択してよい。
【0026】
対比表示部13は、適正口径算出部12が算出した口径と、既存の水道管の口径とを、対比可能な状態で表示する表示制御部である。これにより、口径算出装置1のユーザは、適正口径算出部12が算出した口径と、既存の水道管の口径とを、容易に対比し、比較することができる。なお、制御部10は必ずしも対比表示部13を備える必要はなく、例えば適正口径算出部12が算出した口径のみを表示する表示制御部を備えていてもよい。
【0027】
図3は、対比表示部13による表示の一例を示す図である。図3においては、既存の水道管の口径(既存口径)および最終的な水道管の口径(最終口径)について、75mm、100mm、150mm、200mm、250mm、および300mmの6種類のうちから選択された値が示されている。なお、対比表示部13は、適正口径算出部12が上記(1)式に基づいて算出した口径をさらに表示してもよい。また、対比表示部13は、それぞれの水道管の長さまたは解析流量といった、口径の算出に使用したデータを併せて表示してもよい。
【0028】
また、制御部10は、適正口径算出部12が算出した口径の水道管における流速および流量を算出してもよい。具体的には、制御部10は、例えば以下の式(2)および(3)により、適正口径算出部12が算出した口径の水道管における流速および流量を算出してよい。
【0029】
V=0.35464×C×D0.63×I0.54 (2)
Q2=0.27853×C×D2.63×I0.54 (3)
V=適正口径算出部12が算出した口径の水道管における流速
Q2=適正口径算出部12が算出した口径の水道管における流量
式(2)および(3)におけるC、DおよびIについては式(1)と同様である。
【0030】
表示部20は、対比表示部13により制御され、制御部10による演算の結果を口径算出装置1のユーザに対して表示する表示装置である。表示部20は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの、画像を表示可能な表示装置であってよい。
【0031】
記憶部30は、制御部10における演算制御に必要な情報を記憶する記憶装置である。記憶部30は、例えば上述した式(1)を記憶する。
【0032】
入力部90は、ユーザが制御部10に対する入力を行うための入力装置である。入力部90は、例えばキーボード、マウス、またはタッチパネルなどであってよい。
【0033】
なお、口径算出装置1は、表示部20、記憶部30および入力部90のうち1以上を備えていなくてもよい。例えば口径算出装置1が表示部20を備えていない場合、口径算出装置1は、表示部20として動作可能な表示装置と通信可能に接続されていればよい。同様に、口径算出装置1が記憶部30および/または入力部90を備えていない場合、口径算出装置1は、記憶部30として動作可能な記憶装置、および/または入力部90として動作可能な入力装置と通信可能に接続されていればよい。
【0034】
図4は、口径算出装置1における処理(口径算出方法)を示すフローチャートである。口径算出装置1においては、処理が開始される前に、ユーザにより、配管網を構成する複数の水道管の情報が入力されるとともに、口径を算出する算出対象水道管が選択される。
【0035】
口径算出装置1による処理では、まず、動水勾配平均値算出部11が、算出対象水道管の動水勾配の平均値を算出する(S1、動水勾配平均値算出ステップ)。次に、適正口径算出部12が、算出対象水道管のそれぞれについて適正な口径を算出する(S2、適正口径算出ステップ)。その後、対比表示部13が、適正口径算出部12が算出した口径と、既存の水道管の口径とを対比可能な状態で表示する(S3)。
【0036】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0037】
図5は、本実施形態に係る口径算出装置2の要部の構成を示すブロック図である。図5に示すように、口径算出装置2は、制御部10の代わりに制御部40を備える点で口径算出装置1と相違する。制御部40は、対比表示部13を備えず、増減情報生成部14およびマップ表示部15を備える点で制御部10と相違する。ただし、口径算出装置2は、増減情報生成部14およびマップ表示部15に加えて、対比表示部13をさらに備えていてもよい。
【0038】
増減情報生成部14は、適正口径算出部12が算出した口径を既存の水道管の口径と比較し、口径の増減を示す情報である口径増減情報を生成する。例えば水道管の口径が、予め決定された複数種類の口径から選択されるものである場合、口径増減情報は、適正口径算出部12が算出した口径が既存の水道管の口径と比較して何段階増加したか、または何段階減少したか、といった情報であってよい。また、最終的な水道管の口径を任意の値に決定できる場合、口径増減情報は、適正口径算出部12が算出した口径と既存の水道管の口径との差分を示す情報であってもよい。
【0039】
図6は、増減情報生成部14が生成する口径増減情報の一例を示す図である。図6に示す例では、図3に示した例と同様、既存の水道管の口径(既存口径)および最終的な水道管の口径(最終口径)について、75mm、100mm、150mm、200mm、250mm、および300mmのうちから選択された値が示されている。口径増減情報は、最終口径が既存口径と比較して、何段階増加または減少したかを示す値となっている。
【0040】
マップ表示部15は、配管網を示すマップを表示部20に表示する。マップ表示部15が表示するマップにおいては、水道管のそれぞれが、口径増減情報に応じた態様で示される。例えばマップ表示部15は、水道管のそれぞれが口径増減情報に応じて異なる種類の線で示されたマップを表示してもよい。また、マップ表示部15は、水道管のそれぞれが口径増減情報に応じて異なる色または太さの線で示されたマップを表示してもよい。マップ表示部15がこのようなマップを表示することで、口径算出装置が算出した口径に基づいて配管網を更新した場合における水道管の口径の増減を、ユーザが視覚的に認識しやすくなる。
【0041】
図7は、マップ表示部15が表示するマップの例を示す図である。図7に示されているマップは、図6に口径増減情報の例を示した配管網とは別の配管網についてのマップであり、1つの配水池Pから配水される1つの大ブロックBLの配管網を示している。図7においては、それぞれの水道管が口径増減情報に応じて以下のように示されている。
・1段階増加:一点鎖線
・1段階減少:破線
・2段階減少:太い実線
・変化なし:細い実線
なお、マップ表示部15は、図7に示したようなマップだけでなく、図6に示したような表についても併せて表示部20に表示してもよい。
【0042】
図8は、口径算出装置2における処理を示すフローチャートである。口径算出装置2における処理は、ステップS3の代わりにステップS4およびS5が実行される点で、図4に示した、口径算出装置1における処理と異なる。口径算出装置2においても、口径算出装置1と同様、処理が開始される前に、ユーザにより、配管網を構成する複数の水道管の情報が入力されるとともに、口径を算出する算出対象水道管が選択される。
【0043】
口径算出装置2における処理では、まず、動水勾配平均値算出部11および適正口径算出部12がそれぞれ、口径算出装置1における処理と同様のステップS1およびS2を行う。次に、増減情報生成部14が、口径増減情報を生成する(S4)。その後、マップ表示部15が、水道管のそれぞれが口径増減情報に応じた態様で示された、配管網を示すマップを表示部20に表示する(S5)。
【0044】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。
【0045】
図9は、本実施形態に係る口径算出装置3の要部の構成を示すブロック図である。図9に示すように、口径算出装置3は、制御部10の代わりに制御部50を備える点で口径算出装置1と相違する。制御部50は、対比表示部13を備えず、水圧変動量算出部16および水圧変動量表示部17を備える点で制御部10と相違する。ただし、口径算出装置3は、水圧変動量算出部16および水圧変動量表示部17に加えて、(i)対比表示部13と、(ii)増減情報生成部14およびマップ表示部15と、のうちいずれか一方、または両方をさらに備えていてもよい。
【0046】
水圧変動量算出部16は、適正口径算出部12が算出した口径に基づいて、配管網の任意の地点における水圧変動量を算出する。水圧変動量算出部16は、公知の手法により口径変更前の水圧および口径変動後の水圧を算出し、さらに当該水圧の差を算出することで求めることができる。水圧変動量表示部17は、水圧変動量算出部16が算出した水圧変動量を表示部20に表示する。
【0047】
図10は、水圧変動量表示部17による水圧変動量の表示の例を示す図である。図10に示す例では、水圧変動量が、図7に示した配管網のマップと同様のマップを用いて示されている。図10に示すマップにおいては、水圧変動量を算出した地点のうち、水圧の変動量が0.01MPa以上かつ0.05MPa未満である地点に「◎」のマークが示され、水圧の変動量が0.05MPa以上である地点に「●」のマークが示されている。また、水圧変動量が0.01MPa未満である地点については特にマークは示されていない。
【0048】
なお、水圧変動量表示部17は、必ずしも地点ごとにマークを用いて水圧変動量を示す必要はなく、水圧変動量が一定の範囲内である区間ごとに異なる種類、太さまたは色の線で水道管を示してもよい。また、水圧変動量表示部17は、必ずしもマップを用いて水圧変動量を示す必要はなく、例えば表の形式で水圧変動量を示してもよい。また、図10に示す例では、水圧変動量表示部17は、水圧変動量を、増加および減少のいずれであるかに関係なく変動幅のみに応じた態様で示しているが、水圧が増加した地点と減少した地点とを異なる態様で表示してもよい。水圧変動量表示部17が水圧変動量を表示することで、口径算出装置が算出した口径に基づいて配管網を更新した場合における水圧の変動をユーザが認識しやすくなる。
【0049】
図11は、口径算出装置3における処理を示すフローチャートである。口径算出装置3における処理は、ステップS3の代わりにステップS6およびS7が実行される点で、図4に示した、口径算出装置1における処理と異なる。口径算出装置3においても、口径算出装置1と同様、処理が開始される前に、ユーザにより、配管網を構成する複数の水道管の情報が入力されるとともに、口径を算出する算出対象水道管が選択される。
【0050】
口径算出装置3における処理では、まず、動水勾配平均値算出部11および適正口径算出部12がそれぞれ、口径算出装置1における処理と同様のステップS1およびS2を行う。次に、水圧変動量算出部16が、水圧変動量を算出する(S6)。その後、水圧変動量算出部16が、水圧変動量を示すマップを表示部20に表示する(S7)。
【0051】
(変形例)
本発明に係る口径算出装置は、口径増減情報および水圧変動量以外の情報を表示部20に表示する表示制御部をさらに備えていてもよい。当該表示制御部による表示について、以下に例示する。
【0052】
図12は、流向変化情報をマップにより表示する例を示す図である。流向変化情報とは、適正口径算出部12が口径を算出した配管網における流向が、既存の配管網における流向から変化する水道管を示す情報である。図12においては、流向が変化する水道管が太い実線で示されている。
【0053】
図13は、流量変化率情報をマップにより表示する例を示す図である。流量変化率情報とは、適正口径算出部12が口径を算出した水道管における流量の、既存の水道管における流量に対する変化を示す情報である。図13においては、流量が10%以上減少する水道管が太い実線で示され、10%以上増加する水道管が一点鎖線で示されている。また、流量の変化率が10%未満の水道管は、細い実線で示されている。
【0054】
図14は、流量情報をマップにより表示する例を示す図である。流量情報とは、適正口径算出部12が口径を算出した水道管における流量を示す情報である。図14においては、(i)流量が5m/h以上かつ10m/h未満である水道管が破線で示され、(ii)流量が10m/h以上かつ50m/h未満である水道管が太い実線で示され、(iii)流量が50m/h以上である水道管が一点鎖線で示されている。また、流量が5m/h未満である水道管は、細い実線で示されている。
【0055】
図15は、流速情報をマップにより表示する例を示す図である。流速情報とは、適正口径算出部12が口径を算出した水道管における流速を示す情報である。図15においては、(i)流速が0.4m/s以上かつ0.6m/s未満である水道管が破線で示され、(ii)流速が0.6m/s以上かつ1.0m/s未満である水道管が太い実線で示され、(iii)流速が1.0m/s以上である水道管が一点鎖線で示されている。また、流速が0.4m/s未満である水道管は、細い実線で示されている。
【0056】
本発明に係る口径算出装置が備える表示制御部は、上述した各情報について、マップ以外の方法、例えば表を用いた方法で表示部20に表示してもよい。また、表示制御部は、上述した情報以外の情報を表示部20に表示してもよい。
【0057】
〔ソフトウェアによる実現例〕
口径算出装置1~3の制御ブロック(特に動水勾配平均値算出部11、適正口径算出部12、対比表示部13、増減情報生成部14、マップ表示部15、水圧変動量算出部16、および水圧変動量表示部17)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0058】
後者の場合、口径算出装置1~3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0059】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1、2、3 口径算出装置
11 動水勾配平均値算出部
12 適正口径算出部
13 対比表示部
14 増減情報生成部
15 マップ表示部
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