(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】荷捌き場所斡旋システム、荷捌き場所斡旋方法及び荷捌き場所斡旋プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20230116BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230116BHJP
G06Q 10/083 20230101ALI20230116BHJP
【FI】
G06Q50/30
G08G1/00 D
G06Q10/083
(21)【出願番号】P 2018191961
(22)【出願日】2018-10-10
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153040
【氏名又は名称】川井 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】大塚 絋平
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-152728(JP,A)
【文献】特開2016-045628(JP,A)
【文献】特開平10-109584(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158863(WO,A1)
【文献】特開2005-221289(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157730(WO,A1)
【文献】特開2018-122650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00-57/32
B65G 60/00-61/00
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室の荷物の荷捌きをするための荷捌き場所に関する情報を提供する荷捌き場所斡旋システムであって、
各車両の荷室内における荷物の配置及び荷物の量に関する荷室状況情報を取得する荷室状況取得部と、
前記荷室状況情報に基づいて、荷室内における荷物の配置の変化が所定程度以上あり且つ荷物の量の変化が所定程度未満であるという所定事象が検出された場合に、前記所定事象が発生したときの前記車両の位置情報を取得する位置取得部と、
前記位置情報に基づいて、荷捌きが行われた荷捌き場所を判定する判定部と、
荷捌きを実施可能な場所である荷捌き可能場所に関する情報であって少なくとも位置情報を含む荷捌き可能場所情報を予め記憶している記憶手段を参照して、前記荷捌き場所から所定距離以内の荷捌き可能場所を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された荷捌き可能場所に関する情報を出力する出力部と、
を備える荷捌き場所斡旋システム。
【請求項2】
荷物を輸送中の車両の位置を示す輸送車両位置情報を取得する輸送車両位置取得部、をさらに備え、
前記抽出部は、前記輸送車両位置情報に示される車両の位置が、前記判定部により判定された前記荷捌き場所と所定の距離以内である場合に、当該荷捌き場所から所定の距離以内の前記荷捌き可能場所を抽出し、
前記出力部は、前記抽出部により抽出された荷捌き可能場所に関する情報を、前記荷物を輸送中の車両に通知する、
請求項1に記載の荷捌き場所斡旋システム。
【請求項3】
荷物を輸送する輸送車両の運行ルートを示す運行ルート情報を取得する運行ルート情報取得部、をさらに備え、
前記抽出部は、前記運行ルート情報に示される前記輸送車両の運行ルート上または前記運行ルートから所定距離以内に前記判定部により判定された前記荷捌き場所がある場合に、当該荷捌き場所から所定の距離以内の前記荷捌き可能場所を抽出し、
前記出力部は、前記抽出部により抽出された荷捌き可能場所に関する情報を、前記輸送車両の管理者の端末に通知する、
請求項1または2に記載の荷捌き場所斡旋システム。
【請求項4】
前記荷室状況情報は、荷室内に設けられたセンサにより取得された距離画像に基づいて生成され、
前記荷室内における荷物の配置の変化は、前記距離画像により示される荷物の表面の位置を示す情報に基づいて検出され、
前記荷室内における荷物の量の変化は、前記距離画像により示される荷物の表面の位置を示す情報に基づいて推定された、前記荷物により占められている空間領域に関する情報に基づいて検出される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の荷捌き場所斡旋システム。
【請求項5】
前記荷室状況情報は、荷室内に設けられたセンサにより取得された光学画像に基づいて生成され、
前記荷室内における荷物の配置の変化は、前記光学画像から所定の画像処理技術により抽出された物体の位置の変化に基づいて検出される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の荷捌き場所斡旋システム。
【請求項6】
前記荷室内における荷物の量の変化は、前記車両の軸重情報に基づいて検出される、
請求項1~5のいずれか一項に記載の荷捌き場所斡旋システム。
【請求項7】
前記判定部は、前記位置取得部により取得された複数の位置情報に対してクラスタリング処理を行い、クラスタ化された複数の位置情報に対する所定の統計処理により算出された位置を、前記荷捌き場所として判定する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の荷捌き場所斡旋システム。
【請求項8】
前記荷室状況取得部は、前記荷室のドアの開閉を検出したときに、荷室状況情報の取得を実施する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の荷捌き場所斡旋システム。
【請求項9】
車両の荷室の荷物の荷捌きをするための荷捌き場所に関する情報を提供する荷捌き場所斡旋システムにおける荷捌き場所斡旋
方法であって、
各車両の荷室内における荷物の配置及び荷物の量に関する荷室状況情報を取得する荷室状況取得ステップと、
前記荷室状況情報に基づいて、荷室内における荷物の配置の変化が所定程度以上あり且つ荷物の量の変化が所定程度未満であるという所定事象が検出された場合に、前記所定事象が発生したときの前記車両の位置情報を取得する位置取得ステップと、
前記位置情報に基づいて、荷捌きが行われた荷捌き場所を判定する判定ステップと、
荷捌きを実施可能な場所である荷捌き可能場所に関する情報であって少なくとも位置情報を含む荷捌き可能場所情報を予め記憶している記憶手段を参照して、前記荷捌き場所から所定距離以内の荷捌き可能場所を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出された荷捌き可能場所に関する情報を出力する出力ステップと、
を有する荷捌き場所斡旋方法。
【請求項10】
コンピュータを、車両の荷室の荷物の荷捌きをするための荷捌き場所に関する情報を提供する荷捌き場所斡旋システムとして機能させるための荷捌き場所斡旋プログラムであって、
前記コンピュータに、
各車両の荷室内における荷物の配置及び荷物の量に関する荷室状況情報を取得する荷室状況取得機能と、
前記荷室状況情報に基づいて、荷室内における荷物の配置の変化が所定程度以上あり且つ荷物の量の変化が所定程度未満であるという所定事象が検出された場合に、前記所定事象が発生したときの前記車両の位置情報を取得する位置取得機能と、
前記位置情報に基づいて、荷捌きが行われた荷捌き場所を判定する判定機能と、
荷捌きを実施可能な場所である荷捌き可能場所に関する情報であって少なくとも位置情報を含む荷捌き可能場所情報を予め記憶している記憶手段を参照して、前記荷捌き場所から所定距離以内の荷捌き可能場所を抽出する抽出機能と、
前記抽出機能により抽出された荷捌き可能場所に関する情報を出力する出力機能と、
を実現させる荷捌き場所斡旋プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷捌き場所斡旋システム、荷捌き場所斡旋方法及び荷捌き場所斡旋プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両による荷物の輸送中においては、いわゆる荷捌きが行われる。荷捌きは、荷室内の荷物を、出荷先別に仕分けたり、整理したりすることである。従来、荷捌きは、車両を道路上に停車させて行われることが多かった。一方、車両による配送業務において、配送車両の乗員に対して、各顧客に対応した具体的な停車位置を提示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり、荷捌きは道路上に停車させて行われているが、公道等の他車両が往来する場所に停車させて荷捌きの作業を実施することは、他車の交通の妨げになったり、安全性の問題があったりするため、好ましくない。特許文献1に記載された技術のように、停車可能な場所の位置情報を予め有しておき、その情報を輸送車両に提供しようとしても、輸送車両にとって好ましい荷捌き場所は様々であるので、その車両にとって適切な場所の位置情報を提供することは困難である。
【0005】
そこで本発明は、荷物を輸送している車両にとって適切な荷捌き可能場所に関する情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る荷捌き場所斡旋システムは、車両の荷室の荷物の荷捌きをするための荷捌き場所に関する情報を提供する荷捌き場所斡旋システムであって、各車両の荷室内における荷物の配置及び荷物の量に関する荷室状況情報を取得する荷室状況取得部と、荷室状況情報に基づいて、荷室内における荷物の配置の変化が所定程度以上あり且つ荷物の量の変化が所定程度未満であるという所定事象が検出された場合に、所定事象が発生したときの車両の位置情報を取得する位置取得部と、位置情報に基づいて、荷捌きが行われた荷捌き場所を判定する判定部と、荷捌きを実施可能な場所である荷捌き可能場所に関する情報であって少なくとも位置情報を含む荷捌き可能場所情報を予め記憶している記憶手段を参照して、荷捌き場所から所定距離以内の荷捌き可能場所を抽出する抽出部と、抽出部により抽出された荷捌き可能場所に関する情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明の一形態に係る荷捌き場所斡旋方法は、車両の荷室の荷物の荷捌きをするための荷捌き場所に関する情報を提供する荷捌き場所斡旋システムにおける荷捌き場所斡旋システムであって、各車両の荷室内における荷物の配置及び荷物の量に関する荷室状況情報を取得する荷室状況取得ステップと、荷室状況情報に基づいて、荷室内における荷物の配置の変化が所定程度以上あり且つ荷物の量の変化が所定程度未満であるという所定事象が検出された場合に、所定事象が発生したときの車両の位置情報を取得する位置取得ステップと、位置情報に基づいて、荷捌きが行われた荷捌き場所を判定する判定ステップと、荷捌きを実施可能な場所である荷捌き可能場所に関する情報であって少なくとも位置情報を含む荷捌き可能場所情報を予め記憶している記憶手段を参照して、荷捌き場所から所定距離以内の荷捌き可能場所を抽出する抽出ステップと、抽出ステップにおいて抽出された荷捌き可能場所に関する情報を出力する出力ステップと、を有する。
【0008】
本発明の一形態に係る荷捌き場所斡旋プログラムは、コンピュータを、車両の荷室の荷物の荷捌きをするための荷捌き場所に関する情報を提供する荷捌き場所斡旋システムとして機能させるための荷捌き場所斡旋プログラムであって、コンピュータに、各車両の荷室内における荷物の配置及び荷物の量に関する荷室状況情報を取得する荷室状況取得機能と、荷室状況情報に基づいて、荷室内における荷物の配置の変化が所定程度以上あり且つ荷物の量の変化が所定程度未満であるという所定事象が検出された場合に、所定事象が発生したときの車両の位置情報を取得する位置取得機能と、位置情報に基づいて、荷捌きが行われた荷捌き場所を判定する判定機能と、荷捌きを実施可能な場所である荷捌き可能場所に関する情報であって少なくとも位置情報を含む荷捌き可能場所情報を予め記憶している記憶手段を参照して、荷捌き場所から所定距離以内の荷捌き可能場所を抽出する抽出機能と、抽出機能により抽出された荷捌き可能場所に関する情報を出力する出力機能と、を実現させる。
【0009】
荷捌きが行われた場合には、荷室内の荷物の量は変わらずに、荷物の配置が変わるという事象が発生する可能性が高い。上記の形態によれば、荷室内における荷物の配置の変化が所定程度以上あり且つ荷物の量の変化が所定程度未満であるという所定事象が検出された場合に、その所定事象が発生したときの車両の位置情報が取得され、取得された位置情報に基づいて、荷捌きが実施された場所としての荷捌き場所が判定される。これにより、荷捌きが行われた実績がある場所が的確に判る。荷捌きの実績がある場所は、輸送において、現実に荷捌きを行いたい場所である。荷捌き可能場所を予め記憶している記憶手段から、荷捌き場所から所定距離以内の荷捌き可能場所が抽出され、抽出された荷捌き可能場所に関する情報が出力されるので、荷物を輸送している車両にとって適切な荷捌き可能場所に関する情報を提供することが可能となる。
【0010】
別の形態に係る荷捌き場所斡旋システムは、荷物を輸送中の車両の位置を示す輸送車両位置情報を取得する輸送車両位置取得部、をさらに備え、抽出部は、輸送車両位置情報に示される車両の位置が、判定部により判定された荷捌き場所と所定の距離以内である場合に、当該荷捌き場所から所定の距離以内の荷捌き可能場所を抽出し、出力部は、抽出部により抽出された荷捌き可能場所に関する情報を、荷物を輸送中の車両に通知することとしてもよい。
【0011】
上記形態によれば、輸送車両の位置が、荷捌き場所と所定の距離以内である場合に、荷捌き可能場所に関する情報が輸送車両に提供される。即ち、輸送車両は、荷捌きが実施された実績がある場所に近付いたときに、荷捌き可能場所に関する情報を得ることができるので、荷捌きを実施したいと考える可能性が高いタイミングで、当該輸送車両にとって適切な荷捌き可能場所の情報を得ることが可能となる。
【0012】
別の形態に係る荷捌き場所斡旋システムは、荷物を輸送する輸送車両の運行ルートを示す運行ルート情報を取得する運行ルート情報取得部、をさらに備え、抽出部は、運行ルート情報に示される輸送車両の運行ルート上または運行ルートから所定距離以内に判定部により判定された荷捌き場所がある場合に、当該荷捌き場所から所定の距離以内の荷捌き可能場所を抽出し、出力部は、抽出部により抽出された荷捌き可能場所に関する情報を、輸送車両の管理者の端末に通知することとしてもよい。
【0013】
輸送車両の運行ルート上等に荷捌きが実施された実績がある場合には、その場所は、輸送車両にとって荷捌きを実施したい場所である可能性が高い。上記形態によれば、輸送車両の運行ルート上等に荷捌きが実施された荷捌き場所が存在する場合に、当該荷捌き場所の近くに所在する荷捌き可能場所に関する情報が抽出及び提供されるので、輸送車両の管理者に対して適切な荷捌き可能場所に関する情報を提供できる。
【0014】
別の形態に係る荷捌き場所斡旋システムでは、荷室状況情報は、荷室内に設けられたセンサにより取得された距離画像に基づいて生成され、荷室内における荷物の配置の変化は、距離画像により示される荷物の表面の位置を示す情報に基づいて検出され、荷室内における荷物の量の変化は、距離画像により示される荷物の表面の位置を示す情報に基づいて推定された、荷物により占められている空間領域に関する情報に基づいて検出されることとしてもよい。
【0015】
上記形態によれば、荷室内の状況が距離画像として取得される。距離画像には、荷室内の表面の位置を示す情報が含まれるので、距離画像に基づいて、荷物の配置の変化が適切に検出できる。また、荷物の表面の位置を示す情報に基づいて、荷室内における荷物に占められている空間領域を推定できるので、荷物の量の変化が適切に検出される。
【0016】
別の形態に係る荷捌き場所斡旋システムでは、荷室状況情報は、荷室内に設けられたセンサにより取得された光学画像に基づいて生成され、荷室内における荷物の配置の変化は、光学画像から所定の画像処理技術により抽出された物体の位置の変化に基づいて検出されることとしてもよい。
【0017】
上記形態によれば、荷室内の状況が光学画像として取得されるので、所定の画像処理技術により荷室内の荷物の形状等を判別できるので、荷物の配置の変化が、光学画像に基づいて適切に検出される。
【0018】
別の形態に係る荷捌き場所斡旋システムでは、荷室内における荷物の量の変化は、車両の軸重情報に基づいて検出されることとしてもよい。
【0019】
荷物の量の変化は、車両の軸重の変化に反映される。上記形態によれば、軸重情報が取得されることにより、荷物の量の変化が適切に検出される。
【0020】
別の形態に係る荷捌き場所斡旋システムでは、判定部は、位置取得部により取得された複数の位置情報に対してクラスタリング処理を行い、クラスタ化された複数の位置情報に対する所定の統計処理により算出された位置を、荷捌き場所として判定することとしてもよい。
【0021】
上記形態によれば、荷物の配置及び量の変化に関する所定事象が発生した場所の複数の位置情報がクラスタリングされることにより、位置情報の集合として取得され、その位置情報の集合に基づいて荷捌き場所が判定されるので、荷捌きが行われた可能性の高い場所が適切に判定される。
【0022】
別の形態に係る荷捌き場所斡旋システムでは、荷室状況取得部は、荷室のドアの開閉を検出したときに、荷室状況情報の取得を実施することとしてもよい。
【0023】
上記形態によれば、荷捌きが行われるときには、荷室のドアの開閉が必ず伴うので、ドアの開閉を契機として荷室状況情報を取得することにより、適切なタイミングでの荷捌き場所の判定を実施できる。また、荷室の荷捌き場所の判定処理をドアの開閉時に限ることにより、処理負荷の軽減を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一側面によれば、荷物を輸送している車両にとって適切な荷捌き可能場所に関する情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態に係る荷捌き場所斡旋装置を含むシステムの装置構成を示す図である。
【
図2】荷捌き場所斡旋装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】荷捌き場所斡旋装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】車両の端末の機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】運行管理者の端末の機能的構成を示すブロック図である。
【
図6】荷室状況情報の取得のためのセンサの配置の例を示す図である。
【
図7】距離画像に基づく、荷室内の荷物を表す点群の生成及びボクセルの生成を示す図である。
【
図8】荷捌き場所記憶部の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
【
図9】荷捌き可能場所記憶部の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
【
図10】荷捌き場所斡旋システムにおいて実施される荷捌き場所斡旋方法の処理内容を示すフローチャートである。
【
図11】荷捌き場所斡旋システムにおいて実施される荷捌き場所斡旋方法の処理内容を示すフローチャートである。
【
図12】荷捌き場所斡旋プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る荷捌き場所斡旋装置を含むシステムの装置構成を示す図である。
図1に示されるシステム1は、荷捌き場所斡旋装置10(荷捌き場所斡旋システム)、車両Vに搭載される端末30及び輸送車両の運行管理者の端末40を含んで構成される。車両Vは、荷物を運ぶための荷室を有する。車両Vの荷室には、荷室内の状況を検出するためのセンサCが設けられている。本実施形態の端末30は、センサCにより取得された情報を荷室状況情報として荷捌き場所斡旋装置10装置にネットワークNを介して送信する。ネットワークNは、無線ネットワークである。荷捌き場所斡旋装置10は、車両の荷室の荷物の荷捌きをするための荷捌き場所に関する情報を提供する荷捌き場所斡旋システムを構成する。なお、
図1には、3台の車両V及び端末30が示されているが、その数は限定されない。
【0028】
図2は、荷捌き場所斡旋装置10の機能的構成を示すブロック図である。荷捌き場所斡旋装置10は、例えば、サーバ等のコンピュータにより構成される。本実施形態の荷捌き場所斡旋装置10は、
図2に示すように、機能的には、荷室状況取得部11、位置取得部12、判定部13、抽出部14、出力部15、輸送車両位置取得部16及び運行ルート情報取得部17を備える。
【0029】
図3は、荷捌き場所斡旋装置10のハードウェア構成図である。荷捌き場所斡旋装置10は、物理的には、
図3に示すように、CPU101、RAM及びROMといったメモリにより構成される主記憶装置102、ハードディスク等で構成される補助記憶装置103、通信制御装置104などを含むコンピュータシステムとして構成されている。荷捌き場所斡旋装置10は、入力デバイスであるキーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置105及びディスプレイ等の出力装置106をさらに含むこととしてもよい。
【0030】
図2に示した各機能は、
図3に示すCPU101、主記憶装置102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信制御装置104等を動作させるとともに、主記憶装置102や補助記憶装置103におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶装置102や補助記憶装置103内に格納される。なお、端末30及び端末40も、
図3に示すようなハードウェア構成を有するコンピュータシステムとして構成されてもよい。なお、本実施形態では、各機能部11~17が、荷捌き場所斡旋装置10に構成されることとしているが、複数のコンピュータに分散して構成されることとしてもよい。また、各機能部11~17の一部は、端末30に構成されることとしてもよい。
【0031】
車両Vに搭載される端末30は、コンピュータシステムとして構成されてもよい。端末30を構成する装置は限定されず、例えば、車両Vに備え付けられるコンピュータ端末であってもよいし、高機能携帯電話機(スマートフォン)、タブレット型のコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの携帯端末であってもよい。また、端末40を構成する装置は限定されず、据え置き型のコンピュータ装置であってもよいし、高機能携帯電話機(スマートフォン)、タブレット型のコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの携帯端末であってもよい。
【0032】
図4は、端末30の機能的構成の例を示す図である。端末30は、積荷情報取得部31、位置情報取得部32及び荷捌き可能場所情報受信部33を含む。また、端末30は、センサC、軸重センサW及びGPS装置Gの検出値を取得可能である。
【0033】
センサCは、例えば、距離画像を取得する深度センサにより構成される。センサCは、後述するように、荷室の天面に設けられ、荷室内の距離画像を撮像する。また、センサCは、光学画像を取得するカメラにより構成されてもよい。この場合には、センサCは、荷室内の示す光学画像を撮像する。
【0034】
軸重センサWは、車両の重量を示す軸重情報を取得する。取得された軸重情報は、例えば、CAN(Controller Area Network)を介して積荷情報取得部31に送信される。なお、軸重センサWは、車両Vにおいて必須の構成要素ではない。
【0035】
GPS装置Gは、車両の所在位置を示す位置情報を取得する装置である。取得した位置情報は、位置情報取得部32に送信される。ディスプレイDは、種々の情報を表示可能な表示手段である。
【0036】
積荷情報取得部31は、各種センサから積荷情報を取得する。センサCが深度センサにより構成される場合には、積荷情報取得部31は、荷室内を撮像した距離画像をセンサCから取得する。センサCがカメラにより構成される場合には、積荷情報取得部31は、荷室内を撮像した光学画像をセンサCから取得する。また、積荷情報取得部31は、軸重センサWにより検出された軸重情報を取得してもよい。
【0037】
積荷情報取得部31は、取得した距離画像、光学画像及び軸重情報を、荷室状況情報として荷捌き場所斡旋装置10に送信する。
【0038】
位置情報取得部32は、GPS装置Gにより取得された車両Vの所在位置を示す位置情報を取得する。そして、位置情報取得部32は、取得した位置情報を荷捌き場所斡旋装置10に送信する。
【0039】
荷捌き可能場所情報受信部33は、荷捌き場所斡旋装置10の出力部15により出力された荷捌き可能場所に関する情報を受信する。また、荷捌き可能場所情報受信部33は、受信した荷捌き可能場所に関する情報をディスプレイDに表示させてもよい。なお、荷捌き可能場所に関する情報の出力については後述する。
【0040】
なお、端末30が、荷捌きが行われた場所である荷捌き場所の情報の収集の局面にのみ関与する場合には、端末30は、荷捌き可能場所情報受信部33を含まなくてもよい。また、端末30が、荷捌き場所の情報の収集の局面には関わらず、荷捌き可能場所情報の提供の局面にのみ関与する場合には、端末30は、積荷情報取得部31を含まなくてもよい。
【0041】
図5は、輸送車両の運行管理者の端末40の機能的構成の例を示す図である。端末40は、運行ルート情報送信部41及び荷捌き可能場所情報受信部42を含む。
【0042】
運行ルート情報送信部41は、輸送車両の運行管理者により設定及び入力された、輸送車両の運行ルート情報を荷捌き場所斡旋装置10に送信する。運行ルート情報は、輸送車両の運行ルートを示す情報であって、例えば、輸送車両の経由地及び目的値の位置情報を含む。運行ルート情報は、連続的な位置情報の集合であってもよい。
【0043】
荷捌き可能場所情報受信部42は、荷捌き場所斡旋装置10の出力部15により出力された荷捌き可能場所に関する情報を受信する。また、荷捌き可能場所情報受信部42は、受信した荷捌き可能場所に関する情報を表示装置(図示せず)に表示させてもよい。
【0044】
図6は、本実施形態における車両Vを模式的に示す図である。
図6に示すように、車両Vは、荷物を輸送するための荷室Rを有する。荷室Rには、センサCが床面以外に設けられる。
図6に示す例では、荷室Rは、天面に設けられた2台のセンサCを有する。センサCは、撮像方向を鉛直下方に向けている。
【0045】
センサCは、例えば、対象までの距離の情報を含む距離画像を取得するセンサであって、例えば、いわゆるTOF(Time Of Flight)センサにより構成される。センサCにより取得された距離画像は、対象物までの距離の情報を各画素に有する。
【0046】
センサCは、荷物Bが置かれた荷室Rの距離画像を取得する。センサCにより取得された距離画像は、センサCから荷物Bの表面または荷室Rの床面までの距離を示す情報を、各画素に含む。
【0047】
また、センサCは、前述のとおり、光学画像を取得するカメラにより構成されてもよい。その場合には、センサCは、荷物Bを含む荷室内の様子が表された光学画像を取得する。
【0048】
再び
図3を参照して、荷捌き場所斡旋装置10の各機能部を説明する。荷室状況取得部11は、各車両Vの荷室内における荷物の配置及び荷物の量に関する荷室状況情報を取得する。具体的には、荷室状況取得部11は、車両Vの荷室内を撮像した距離画像を荷室状況情報として端末30の積荷情報取得部31から取得する。また、荷室状況取得部11は、荷室内を撮像した光学画像、車両Vの重量を示す軸重情報を荷室状況情報として取得してもよい。
【0049】
図7は、距離画像に基づく、荷室内の荷物を表す点群の生成及びボクセルの生成を模式的に示す図である。
図7に示す例では、まず、荷室状況取得部11は、荷物Bが置かれた荷室Rを撮像した距離画像DI2を取得する。距離画像DI2は、荷物Bの表面を示す画像di2-1及び荷室の床面を示す画像di2-2を含む。距離画像DI2の各画素は、対象までの距離の情報を含む。
【0050】
荷室状況取得部11は、距離画像DI2に基づき、周知の手法による事前の測定及び計算に基づいて準備された変換マトリクスを用いて、距離画像DI2に表された各画素の情報を点群ds2に変換する。変換マトリクスは、センサCの撮像方向を基準とする座標系を、荷室Rの空間を表す座標系に変換するための情報である。
【0051】
荷室Rの空間の3次元座標系は、荷室Rの床面の左前方を原点として、右方向をX軸、後方向をY軸、上方向をZ軸とするように設定される。センサCは、荷室Rの天面に、鉛直下方向を撮像方向として設けられるので、センサCにおける座標系は、鉛直下方向をZ軸とし、Z軸に直交する面上にX軸及びY軸が沿うように設定される。このように設定されたセンサCにより取得された距離画像DI2は、画像面上において互いに直交するX軸及びY軸並びに画像奥行き方向に沿うZ軸により構成される座標系を有する。
【0052】
変換マトリクスの生成のために、センサCの撮像方向を示すベクトルと、空の荷室の床面を撮像して得られる床面の距離画像に基づいて得られた床面の法線ベクトルとに基づいて、センサCの姿勢を示す姿勢情報が算出される。そして、変換マトリクスは、センサCの荷室R内における位置を示す位置情報とセンサCの姿勢情報とに基づいて算出される。
【0053】
点群ds2のうち、点群ds2-1は、荷物の表面に相当する。点群ds2-1は、図示されるように、荷室空間を表す座標系において、荷物の表面(上面)の位置に配される。点群ds2のうち、点群ds2-2は、荷物が置かれておらず上方に露出された床面に相当する。点群ds2-2は、図示されるように、車両の荷室Rの空間を表す座標系において、上方に露出された床面(Z=0)に相当する位置に配される。
【0054】
荷室状況取得部11は、距離画像に基づいて生成された点群に基づいて、荷物及び床面のそれぞれを表す荷物ボクセル及び床面ボクセルを生成してもよい。荷物ボクセルは、荷室R内に存在する荷物の表面の荷室空間内における位置を示す情報である。床面ボクセルは、荷室R内における、床面の位置を示す情報である。
【0055】
図7に示されるように、荷室状況取得部11は、荷物の表面に相当する点群ds2-1に基づいて、荷物ボクセルvx2を生成する。また、荷室状況取得部11は、床面の位置を示す点群ds2-2に基づいて、床面ボクセルvx1を生成する。
【0056】
荷室状況取得部11は、車両Vの荷室Rのドアの開閉の検出を契機として、荷室状況情報の取得を実施することとしてもよい。具体的には、荷室状況取得部11は、車両Vの端末30の積荷情報取得部31が荷室Rのドアの開閉の検出を契機として取得した各種センサの情報を、荷室状況情報として取得することができる。
【0057】
荷捌きが行われるときには、荷室のドアの開閉が必ず伴うので、このように、ドアの開閉を契機として荷室状況情報を取得することにより、適切なタイミングでの荷捌き場所の判定を実施できる。また、荷室の荷捌き場所の判定処理をドアの開閉時に限ることにより、処理負荷の軽減を図ることができる。
【0058】
再び
図2を参照して、位置取得部12は、荷室状況情報に基づいて、荷室内における荷物の配置の変化が所定程度以上あり且つ荷物の量の変化が所定程度未満であるという所定事象が検出された場合に、その所定事象が発生したときの車両Vの位置情報を取得する。
【0059】
まず、荷室内の荷物に関する所定事象の検出について説明する。位置取得部12は、荷室状況取得部11により、時系列における所定の契機(例えば、荷室のドアの開閉及び所定時間の経過等)に取得された荷室状況情報を参照する。
【0060】
例えば、距離画像に基づく荷室状況情報が取得される場合には、位置取得部12は、距離画像に基づいて生成された点群の位置の変化またはボクセルの位置及び形状の変化を、荷室内における荷物の配置の変化を示す情報として取得できる。
【0061】
また、位置取得部12は、距離画像に基づいて生成された荷物ボクセルの下方の空間領域及び荷室内においてセンサCから死角となる空間領域に補間ボクセルを生成し、荷物ボクセル及び補間ボクセルの容積を、荷物の量の情報として得ることができるので、荷物ボクセル及び補間ボクセルの容積の変化を、荷物の量の変化を示す情報として取得できる。
【0062】
また、位置取得部12は、荷物ボクセル及び補間ボクセルにより占められる荷室の床の面積または荷物ボクセル及び補間ボクセルにより占められない空き床の面積を、荷物の量の情報として得ることができるので、荷物ボクセル及び補間ボクセルにより占められる荷室の床の面積または空き床面積の変化を、荷物の量の変化を示す情報として取得できる。
【0063】
また、光学画像に基づく荷室状況情報が取得される場合には、位置取得部12は、光学画像に対する周知の画像処理技術により抽出した物体の位置の変化を、荷室内における荷物の配置の変化を示す情報として取得できる。
【0064】
また、車両Vの軸重情報が荷室状況情報として取得される場合には、位置取得部12は、軸重情報の変化を、荷物の量の変化を示す情報として取得できる。
【0065】
荷捌きが行われた場合には、荷室内の荷物の量は変わらずに、荷物の配置が変わるという事象が発生する可能性が高い。これに鑑みて、位置取得部12は、種々の荷室状況情報のいずれかに基づいて、荷室内における荷物の配置の変化が所定程度以上あり且つ荷物の量の変化が所定程度未満であるという事象を所定事象として検出する。そして、位置取得部12は、所定事象が検出された場合に、その所定事象が発生したときの車両Vの位置情報を、位置情報取得部32から取得する。位置取得部12は、このように取得した位置情報を蓄積する。
【0066】
なお、荷物の配置の変化及び荷物の量の変化の検出の基準とする所定程度は、例えば、数パーセント程度の値に設定してもよい。この値は、実験的に求められることとしてもよいし、荷捌き場所斡旋システムの管理者により適宜設定されることとしてもよい。
【0067】
判定部13は、位置取得部12により取得された位置情報に基づいて、荷捌きが行われた場所としての荷捌き場所を判定する。具体的には、判定部13は、位置取得部12により取得された一の位置情報を荷捌き場所として判定してもよい。
【0068】
また、判定部13は、位置取得部により取得された複数の位置情報に対してクラスタリング処理を行い、クラスタ化された複数の位置情報に対する所定の統計処理(例えば、重心位置の算出等)により算出された位置を、荷捌き場所として判定してもよい。
【0069】
判定部13は、位置取得部12により取得された位置情報に基づいて判定した荷捌き場所の情報を、荷捌き場所記憶部21に記憶させる。
図8は、荷捌き場所記憶部21の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
図8に示すように、荷捌き場所記憶部21は、判定された荷捌き場所を識別するIDに関連付けて、荷捌き場所のそれぞれの位置情報を記憶している。
【0070】
以上説明したように、荷室状況取得部11、位置取得部12及び判定部13の機能により、荷捌きが実施された実績がある場所である荷捌き場所の情報の蓄積が実現される。
【0071】
再び
図2を参照して、抽出部14は、荷捌き可能場所記憶部22を参照して、荷捌き場所から所定距離以内の荷捌き可能場所を抽出する。荷捌き可能場所記憶部22は、荷捌きを実施可能な場所である荷捌き可能場所に関する情報を予め記憶している記憶手段である。
【0072】
図9は、荷捌き可能場所記憶部22の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
図9に示すように、荷捌き可能場所記憶部22は、荷捌き可能場所を識別するIDに関連付けて、当該荷捌き可能場所の所在位置を示す位置情報を記憶している。また、荷捌き可能場所記憶部22は、各荷捌き可能場所に関連付けて、使用可能時間帯、提供者及び面積の情報を記憶していてもよい。
【0073】
使用可能時間帯は、当該荷捌き可能場所を荷捌きのために使用できる時間帯を示す情報である。提供者は、当該荷捌き可能場所の提供主体を示す情報である。輸送車両が、ある荷捌き可能場所を利用して荷捌きを実施した場合に、当該荷捌き可能場所の提供主体に対して、その利用に応じた利用料が支払われることとすることができる。面積は、当該荷捌き可能場所の面積を示す情報であって、荷捌きのために停車できる車両の大きさの上限の判断に用いることができる。
【0074】
図9に示される荷捌き可能場所に関する情報は、例えば、当該荷捌き可能場所の提供者から荷捌き場所斡旋システムの管理者に対して提供されることができる。
【0075】
抽出部14は、荷捌き場所記憶部21に記憶された荷捌き場所の位置から所定の距離以内に所在する荷捌き可能場所を、荷捌き可能場所記憶部22に記憶されている位置情報に基づいて抽出する。
【0076】
出力部15は、抽出部により抽出された荷捌き可能場所に関する情報を出力する。出力部15は、種々の態様により荷捌き可能場所に関する情報を出力できる。例えば、出力部15は、所定のコンピュータのディスプレイに荷捌き可能場所に関する情報を表示させることにより出力してもよい。また、出力部15は、後に実施される所定の処理のために、所定の記憶手段に記憶させることにより荷捌き可能場所に関する情報を出力してもよい。
【0077】
次に、荷捌き可能場所の抽出及び荷捌き可能場所に関する情報の出力の具体例を説明する。本実施形態の荷捌き場所斡旋装置10は、輸送車両位置取得部16を更に備えることができる。輸送車両位置取得部16は、荷物を輸送中の車両の位置を示す輸送車両位置情報を取得する。
【0078】
具体的には、荷物を輸送中の車両Vの端末30の位置情報取得部32から、当該車両Vの所在位置を示す位置情報が送信される。輸送車両位置取得部16は、このように送信された位置情報を、輸送車両位置情報として取得する。
【0079】
抽出部14は、輸送車両位置情報に示される車両Vの位置が、荷捌き場所記憶部21に記憶された複数の荷捌き場所のうちのいずれかの荷捌き場所の位置と所定の距離以内である場合に、当該荷捌き場所から所定の距離以内の荷捌き可能場所を、荷捌き可能場所記憶部22に記憶された荷捌き可能場所の中から抽出する。
【0080】
出力部15は、抽出された荷捌き可能場所に関する情報を、位置情報の送信元である荷物を輸送中の車両Vに通知する。車両Vの端末30の荷捌き可能場所情報受信部33は、出力部15により送信された荷捌き可能場所に関する情報を受信し、例えばディスプレイDに荷捌き可能場所に関する情報を表示させる。
【0081】
このように、輸送車両の位置が、荷捌き場所と所定の距離以内である場合に、荷捌き可能場所に関する情報が輸送車両に提供される。即ち、輸送車両は、荷捌きが実施された実績がある場所に近付いたときに、荷捌き可能場所に関する情報を得ることができるので、荷捌きを実施したいと考える可能性が高いタイミングで、当該輸送車両にとって適切な荷捌き可能場所の情報を得ることが可能となる。
【0082】
続いて、荷捌き可能場所の抽出及び荷捌き可能場所に関する情報の出力の他の具体例を説明する。本実施形態の荷捌き場所斡旋装置10は、運行ルート情報取得部17を更に備えることができる。運行ルート情報取得部17は、荷物を輸送する輸送車両の運行ルートを示す運行ルート情報を取得する。
【0083】
具体的には、例えば、輸送車両の運行管理者の端末40の運行ルート情報送信部41から、輸送車両の運行ルートを示す運行ルート情報が送信される。運行ルート情報取得部17は、このように送信された運行ルート情報を取得する。
【0084】
抽出部14は、運行ルート情報に示される輸送車両の運行ルート上または運行ルートから所定距離以内に、荷捌き場所記憶部21に記憶された複数の荷捌き場所のうちのいずれかの荷捌き場所がある場合に、当該荷捌き場所から所定の距離以内の荷捌き可能場所を、荷捌き可能場所記憶部22に記憶された荷捌き可能場所の中から抽出する。
【0085】
出力部15は、抽出された荷捌き可能場所に関する情報を、運行ルート情報の送信元である運行管理者の端末40に通知する。運行管理者の端末40の荷捌き可能場所情報受信部42は、出力部15により送信された荷捌き可能場所に関する情報を受信し、例えば表示装置等に荷捌き可能場所に関する情報を表示させる。
【0086】
輸送車両の運行ルート上等に荷捌きが実施された実績がある場合には、その場所は、輸送車両にとって荷捌きを実施したい場所である可能性が高い。このように、輸送車両の運行ルート上等に荷捌きが実施された荷捌き場所が存在する場合に、当該荷捌き場所の近くに所在する荷捌き可能場所に関する情報が抽出及び提供されるので、輸送車両の管理者に対して適切な荷捌き可能場所に関する情報を提供できる。
【0087】
なお、抽出部14は、現在時刻及運行ルート情報に含まれる各地の到着時刻等の情報に基づいて、それらの時刻が、荷捌き可能場所記憶部22において荷捌き可能場所に関連付けられている時間帯に含まれることを、荷捌き可能場所の抽出の条件に加えてもよい。
【0088】
また、抽出部14は、車両Vの大きさの情報にもとづいて、車両の大きさが、荷捌き可能場所記憶部22において荷捌き可能場所に関連付けられている面積以下であることを、荷捌き可能場所の抽出の条件に加えてもよい。
【0089】
次に、
図10及び
図11を参照して、本実施形態の荷捌き場所斡旋装置10の動作について説明する。
図10は、荷捌き場所斡旋装置10において実施される荷捌き場所斡旋方法における、荷捌きが行われた場所である荷捌き場所の情報の収集の局面の処理内容を示すフローチャートである。
【0090】
ステップS1において、荷室状況取得部11は、車両Vの荷室内における荷物の配置及び荷物の量の初期状態を示す荷室状況情報を取得する。
【0091】
ステップS2において、荷室状況取得部11は、車両Vの荷室Rのドアの開閉の有無を検出し、ドアの開閉を検出した場合には、ステップS3において、荷室状況取得部11は、ドアの開閉が検出された時の荷室状況情報を取得する。ステップS2及びステップS3の処理は、車両Vの端末30の積荷情報取得部31が荷室Rのドアの開閉の検出を契機として取得した各種センサの情報を、荷室状況取得部11が荷室状況情報として取得することであってもよい。ステップS2において、荷室のドアの開閉が検出されなかった場合には、ステップS2の処理が繰り返される。
【0092】
ステップS4において、位置取得部12は、ステップS3において取得された荷室状況情報の初期の荷室状況情報との比較に基づいて、荷室内における荷物の配置の変化の有無を検出する。荷物の配置の変化が所定程度以上であると判定された場合には、処理はステップS5に進む。一方、荷物の配置の変化が所定程度以上であると判定されなかった場合には、処理はステップS2に戻る。
【0093】
ステップS5において、位置取得部12は、ステップS3において取得された荷室状況情報の初期の荷室状況情報との比較に基づいて、荷室内における荷物の量の変化の有無を検出する。荷物の量の変化が所定程度未満であると判定された場合には、処理はステップS6に進む。一方、荷物の量の変化が所定程度未満であると判定されなかった場合には、処理はステップS2に戻る。なお、処理がステップS4またはステップS5からステップS2に戻るときに、比較の基準とする荷室状況情報を、ステップS3において取得された荷室状況情報に更新する。即ち、ステップS4及びステップS5において比較の基準となる荷室状況情報は、本フローチャートの処理の初期においては、ステップS1において取得された初期の荷室状況情報であるが、ステップS2以降の処理の2回目以降の繰り返しにおいては、ステップS3において取得された荷室状況情報となる。これにより、荷捌きを伴わない少量の荷物の増減及び配置変更を荷捌きが発生したものとして誤って判断されることが防止される。
【0094】
ステップS6において、位置取得部12は、ステップS4及びステップS5の判定処理を経て所定事象の発生を検出したので、その所定事象が発生したときの車両Vの位置情報を、位置情報取得部32から取得する。
【0095】
ステップS7において、判定部13は、位置取得部12により取得された位置情報に基づいて、荷捌きが行われた実績のある場所としての荷捌き場所を判定する。そして、ステップS8において、判定部13は、判定した荷捌き場所の情報を、荷捌き場所記憶部21に記憶させる。なお、
図10に示す例では、ステップS8の処理の後に、荷捌き場所の情報の収集の処理が終了することとしているが、ステップS8の処理の後に、処理がステップS2に戻ることとしてもよい。この場合においても、比較の基準とする荷室状況情報が、ステップS3において取得された荷室状況情報に更新される。
【0096】
図11は、荷捌き場所斡旋装置10において実施される荷捌き場所斡旋方法における、荷捌き可能場所情報の提供の局面の処理内容を示すフローチャートである。
【0097】
ステップS11において、荷捌き場所斡旋装置10は、斡旋(提供)処理の契機となる所定の情報を取得する。所定の情報は、例えば、輸送車両位置取得部16により取得される輸送車両の位置情報及び運行ルート情報取得部17により取得される運行ルート情報等である。
【0098】
ステップS12において、抽出部14は、所定の情報に応じて、荷捌き場所記憶部21から荷捌き場所の情報を抽出する。所定の情報が輸送車両の現在の位置情報である場合には、抽出部14は、輸送車両の現在位置から所定の距離以内の荷捌き場所の情報を抽出する。所定の情報が、運行ルート情報である場合には、抽出部14は、運行ルート上または運行ルートから所定距離以内に所在する荷捌き場所の情報を抽出する。
【0099】
なお、抽出部14は、斡旋(提供)処理の契機となる所定の情報によらず、一の荷捌き場所の情報を抽出してもよい。また、抽出部14は、ランダムに荷捌き場所を抽出してもよい。また、抽出部14は、荷捌き場所記憶部21に記憶されている全ての荷捌き場所を抽出してもよい。
【0100】
ステップS13において、抽出部14は、荷捌き可能場所記憶部22を参照して、ステップS12において抽出された荷捌き場所から所定距離以内に所在する荷捌き可能場所の情報を抽出する。
【0101】
ステップS14において、出力部15は、ステップS13において抽出された荷捌き可能場所の情報を、所定の態様で出力する。
【0102】
次に、
図12を参照して、コンピュータを荷捌き場所斡旋装置10として機能させるための荷捌き場所斡旋プログラムを説明する。荷捌き場所斡旋プログラムP1は、メインモジュールm10、荷室状況取得モジュールm11、位置取得モジュールm12、判定モジュールm13、抽出モジュールm14、出力モジュールm15、輸送車両位置取得モジュールm16及び運行ルート情報取得モジュールm17を含む。
【0103】
メインモジュールm10は、荷捌き場所斡旋処理を統括的に制御する部分である。荷室状況取得モジュールm11、位置取得モジュールm12、判定モジュールm13、抽出モジュールm14、出力モジュールm15、輸送車両位置取得モジュールm16及び運行ルート情報取得モジュールm17を実行することにより実現される機能はそれぞれ、
図2に示される荷捌き場所斡旋装置10の荷室状況取得部11、位置取得部12、判定部13、抽出部14、出力部15、輸送車両位置取得部16及び運行ルート情報取得部17の機能と同様である。
【0104】
荷捌き場所斡旋プログラムP1は、例えば、磁気ディスクや光ディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体M1によって提供される。また、荷捌き場所斡旋プログラムP1は、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0105】
以上説明した本実施形態の荷捌き場所斡旋装置10、荷捌き場所斡旋方法及び荷捌き場所斡旋プログラムP1によれば、荷捌きが行われた場合には、荷室内の荷物の量は変わらずに、荷物の配置が変わるという事象が発生する可能性が高いことに鑑みて、荷室内における荷物の配置の変化が所定程度以上あり且つ荷物の量の変化が所定程度未満であるという所定事象が検出された場合に、その所定事象が発生したときの車両の位置情報が取得され、取得された位置情報に基づいて、荷捌きが実施された場所としての荷捌き場所が判定される。これにより、荷捌きが行われた実績がある場所が的確に判る。荷捌きの実績がある場所は、輸送において、現実に荷捌きを行いたい場所である。荷捌き可能場所を予め記憶している記憶手段から、荷捌き場所から所定距離以内の荷捌き可能場所が抽出され、抽出された荷捌き可能場所に関する情報が出力されるので、荷物を輸送している車両にとって適切な荷捌き可能場所に関する情報を提供することが可能となる。
【0106】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0107】
1…システム、10…荷捌き場所斡旋装置、11…荷室状況取得部、12…位置取得部、13…判定部、14…抽出部、15…出力部、16…輸送車両位置取得部、17…運行ルート情報取得部、21…荷捌き場所記憶部、22…荷捌き可能場所記憶部、30…端末、31…積荷情報取得部、32…位置情報取得部、33…荷捌き可能場所情報受信部、40…端末、41…運行ルート情報送信部、42…荷捌き可能場所情報受信部、C…センサ、D…ディスプレイ、G…GPS装置、M1…記憶媒体、m10…メインモジュール、m11…荷室状況取得モジュール、m12…位置取得モジュール、m13…判定モジュール、m14…抽出モジュール、m15…出力モジュール、m16…輸送車両位置取得モジュール、m17…運行ルート情報取得モジュール、N…ネットワーク、P1…荷捌き場所斡旋プログラム、V…車両。