(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】支持脚レベル設定器
(51)【国際特許分類】
E04F 21/00 20060101AFI20230116BHJP
E04F 15/024 20060101ALI20230116BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
E04F21/00 A
E04F15/024 603B
G01C15/00 105R
(21)【出願番号】P 2018247712
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】316001674
【氏名又は名称】センクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】小林 淳彦
(72)【発明者】
【氏名】立部 篤史
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112417(JP,A)
【文献】特開2017-160682(JP,A)
【文献】特開平07-075973(JP,A)
【文献】特開平10-115523(JP,A)
【文献】特開平04-072509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/00
E04F 15/024
G01C 15/00
E04G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床に立設されたフリーアクセスフロアのフロアパネルの支持脚のパネル支持台に係合してこれを回転させる係合部材と、
前記係合部材を回転させる駆動部を有する本体部と、
前記駆動部へ動力を供給し、前記駆動部の動作を制御する動力操作部と、
前記本体部と前記動力操作部を接続する接続ケーブルと、を備え、
前記係合部材が回転することにより、前記支持脚の前記パネル支持台が上下移動するように構成され
、
前記本体部は、
鉛直上下方向に伸びる支柱と、
前記駆動部を有し、前記支柱に沿って鉛直上下方向に移動可能に設けられた可動部と、を備え、
前記係合部材が前記支持脚の前記パネル支持台に係合された状態で、前記支柱の下端部が前記基礎床に当接するように前記支柱が立設されるように構成された
ことを特徴とする支持脚レベル設定器。
【請求項2】
前記可動部は、
レーザー光を受光した時に、前記動力操作部に対して前記係合部材の回転を停止させる信号を出力する第1受光部と、
前記第1受光部に対して鉛直上方向に所定の間隔をおいて離れた位置に設けられ、前記レーザー光を受光した時に、前記動力操作部に対して前記係合部材の回転を変化させる信号を出力する第2受光部と、を有するセンサー部を備え、
前記駆動部は、前記係合部材を異なる回転速度で回転させることができ、
前記動力操作部は、前記センサー部からの信号に応じて前記駆動部を制御し、
前記係合部材が異なる回転速度で回転することにより、前記支持脚の前記パネル支持台が異なる速度で上昇するように構成された
ことを特徴とする請求項
1に記載の支持脚レベル設定器。
【請求項3】
前記可動部は、
レーザー光を受光した時に、前記動力操作部に対して前記係合部材の回転を変化させる信号を出力する第1受光部と、
前記第1受光部に対して鉛直上方向に所定の間隔をおいて離れた位置に設けられ、前記レーザー光を受光した時に、前記動力操作部に対して前記係合部材の回転を停止させる信号を出力する第2受光部と、を有するセンサー部を備え、
前記駆動部は、前記係合部材を異なる回転速度で回転させることができ、
前記動力操作部は、前記センサー部からの信号に応じて前記駆動部を制御し、
前記係合部材が異なる回転速度で回転することにより、前記支持脚の前記パネル支持台が異なる速度で下降するように構成された
ことを特徴とする請求項
1に記載の支持脚レベル設定器。
【請求項4】
前記係合部材の回転を変化させる信号は、前記係合部材の回転を減速させる信号である
ことを特徴とする請求項
2又は
3に記載の支持脚レベル設定器。
【請求項5】
前記動力操作部には、作業者が前記動力操作部を装着するための装着具が設けられた
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載の支持脚レベル設定器。
【請求項6】
前記支柱には、前記支柱の傾きを検知するための水準器が設けられた
ことを特徴とする請求項
1から
5のいずれかに記載の支持脚レベル設定器。
【請求項7】
前記支柱の下端部には、略球形の接地部が設けられた
ことを特徴とする請求項
1から
6のいずれかに記載の支持脚レベル設定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーアクセスフロアの支持脚の高さ位置を設定するために用いられる支持脚レベル設定器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の基礎床の上方に空間を隔てて第2の床面を形成するフリーアクセスフロアにおいては、建築構造物の基礎床の上に複数の支持脚が立設され、これら複数の支持脚によって、複数のフロアパネルが基礎床の上方に所定の間隔をおいて支持されるようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、このようなフリーアクセスフロアはその施工時において、上記第2の床面を水平に設置するために、基礎床の上に立設された複数の支持脚について、それぞれの支持脚のパネル支持台の基礎床からの高さ位置を所定の高さに設定する作業(レベル設定作業)を行う必要があり、細かな傾斜や凹凸のある基礎床の上に立設された多数の支持脚について、効率よく正確にレベル設定作業を行うための支持脚レベル設定器が用いられていた(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
図8ないし
図11は、フリーアクセスフロア6の支持脚2のレベル設定作業に用いられる従来の支持脚レベル設定器30について説明するために参照する図である。
【0005】
フリーアクセスフロア6においては、
図10に示すように、建築構造物の鉄筋コンクリート等により形成された基礎床3の上に支持脚2が立設され、この支持脚2によって複数のフロアパネル4が下側から支持されるようになっていた。
【0006】
フリーアクセスフロア6の支持脚2は、
図11(a)に示すように、基礎床3の上に立設される脚部16と、この脚部16の上部に設けられたパネル支持台14を備えていた。
【0007】
支持脚2の脚部16は、板状のベースプレート16aと、ベースプレート16aの上面の略中央から
図11(a)中上方に伸びるように立設された丸棒状の支柱16bを備え、この支柱16bの外周部にはオネジ部16cが形成されていた。
【0008】
支持脚2のパネル支持台14は、
図11(a)中上下方向に軸線を有する円筒形状の下方筒状部14aと、下方筒状部14aの上端部からその半径方向(水平方向)の外側に向けて放射状に広がる略円板状(
図11(b)参照)の支持部18と、支持部18の上面の略中央から
図11(a)中上方向に突出するように形成された、下方筒状部14aと同一軸線上にその軸線を有する円筒形状の上方筒状部14bを備えていた。
【0009】
そして、
図11(a)に示すように、パネル支持台14の下方筒状部14aには、その円筒形状の中心孔の内周部にメネジ部14cが形成されており、このメネジ部14cに対して脚部16の支柱16bに形成されたオネジ部16cが下側からネジ結合されていた。
【0010】
これにより、パネル支持台14の下方筒状部14aに脚部16の支柱16bがネジ結合された状態で、そのネジの螺旋軌跡に沿ってパネル支持台14が脚部16に対して相対ネジ回転することによって、パネル支持台14の支持部18と脚部16のベースプレート16aの間隔、すなわち、パネル支持台14の支持部18の基礎床3からの高さ位置を変更することができるようになっていた。
【0011】
そして、パネル支持台14の支持部18の基礎床3からの高さ位置が所望の高さに設定された状態で、
図11(a)に示すように、パネル支持台14の下方筒状部14aの側面に開口するメネジ孔14eに高さ固定ボルト7をネジ結合し、この高さ固定ボルト7を、その先端部が脚部16の支柱16bに向かって進むように締め付けることにより、パネル支持台14の支持部18の基礎床3からの高さ位置が固定されるようになっていた。
【0012】
また、
図11(a)及び(b)に示すように、パネル支持台14の支持部18の上面には平坦な支持面18aが形成され、この支持面18aと上方筒状部14bの外周面との間の角部を埋めるように、支持面18aから上方に突出し、かつ上方筒状部14bの外周面から半径方向外側に伸びる4つの板状の突起19が、上方筒状部14bの軸線を中心として、互いの角度が略90度になるように放射状に形成されていた。
【0013】
このような支持脚2を用いたフリーアクセスフロア6においては、
図10に示すように、最大で4つのフロアパネル4が、それぞれの四隅部を互いに突き合わせるように配置された状態で、基礎床3の上に立設された支持脚2のパネル支持台14の支持面18aの上に載置されていた。
【0014】
このとき、
図10に示すように、パネル支持台14に形成された4つの突起19が、パネル支持台14の支持面18aの上に載置された4つのフロアパネル4の、互いに突き合わせるように配置された四隅部の、互いに隣り合う四隅部の間に配置されるようになっており、これにより、パネル支持台14の支持面18aの上に載置されたフロアパネル4の水平方向の位置ずれが防止されるようになっていた。
【0015】
そして、
図11(a)に示すように、支持脚2のパネル支持台14の上方筒状部14bには、その円筒形状の中心孔の内周部にメネジ部14dが形成され、
図10に示すように、このメネジ部14dに対して皿ボルト20のオネジ部20bが上側からネジ結合され、この皿ボルト20を、その頭部20aがパネル支持台14の支持部18に接近するように締め付けることにより、フロアパネル4の四隅部がパネル支持台14の支持部18と皿ボルト20の頭部20aの間に挟まれて動かないように固定されていた。
【0016】
このようにして、複数のフロアパネル4が複数の支持脚2によって支持されることにより、基礎床3の上方に所定の空間を隔てて第2の床面が形成されるフリーアクセスフロア6が構成されるようになっていた。
【0017】
そして、このようなフリーアクセスフロア6に用いられる複数の支持脚2について、それぞれの支持脚2のパネル支持台14の支持部18の基礎床3からの高さ位置を所定の高さに設定する作業(レベル設定作業)を効率よく正確に行うために、
図8に示すような支持脚レベル設定器30が用いられていた。
【0018】
従来の支持脚レベル設定器30は、
図8に示すように、略箱状の本体部31と、略二股棒状の結合部材32と、略円板状の係合部材33を備えていた。
【0019】
支持脚レベル設定器30の本体部31は、その内部に、本体部31の
図8中手前側の側面に設けられた細長い長方形の受光窓36aを有する受光部36と、
図8中上下方向に伸びる回転軸を備えたモーター37aを有する駆動部37を備え、本体部31の上部には、作業者が支持脚レベル設定器30を保持するための略棒状のグリップ34と、作業者が手動で支持脚レベル設定器30を起動/停止するためのスイッチ35が設けられていた。
【0020】
支持脚レベル設定器30の結合部材32は、その上端部が本体部31の駆動部37のモーター37aの回転軸に結合されると共に、その二股に分岐した下端部が係合部材33の上面に固定されていた。
【0021】
支持脚レベル設定器30の係合部材33は、
図8中上下方向に所定の厚さを有する略円板状に形成され、その上面の略中央には、係合部材33を厚さ方向に貫通する係合孔33aが形成され、この係合孔33aの水平断面形状は、支持脚2の支持面18a上における、上方筒状部14bと4つの突起19の下端部の外形の水平断面(
図11(b)参照)よりわずかに大きく形成されていた。
【0022】
このような従来の支持脚レベル設定器30は、
図9(a)に示すように、その係合部材33が支持脚2のパネル支持台14の支持部18の上に載置され、係合部材33の下面が支持脚2の支持面18aに接触すると共に、上方筒状部14bと4つの突起19が係合孔33aの下側からその内部に挿通されるようにして、支持脚2に取り付けることができるようになっていた。
【0023】
そして、この状態でスイッチ35を操作して支持脚レベル設定器30を起動して、駆動部37のモーター37aが回転することにより、支持脚2のパネル支持台14の4つの突起19が、係合部材33の係合孔33aの内側面に係合して、パネル支持台14を脚部16に対して相対ネジ回転し、その結果、パネル支持台14の支持部18の基礎床3からの高さ位置が変更されるようになっていた。
【0024】
このような従来の支持脚レベル設定器30を用いて、支持脚2のレベル設定作業を行うためには、まず、
図9(a)に示すように、基礎床3より上方の所定の高さ位置に水平方向にレーザー光22を照射するレーザー光発生装置21を設置し、レベル設定作業を行う支持脚2を、予めパネル支持台14の高さ位置が最も低い状態にして基礎床3の上に立設し、支持脚2のパネル支持台14の支持部18の上に支持脚レベル設定器30を取り付けて、支持脚レベル設定器30の受光部36の受光窓36aがレーザー光発生装置21の方向を向くように、支持脚レベル設定器30の向きを設定する。
【0025】
このとき、レーザー光発生装置21から照射されるレーザー光22は、
図9(a)に示すように、支持脚レベル設定器30の受光部36の受光窓36aより上方に照射されるように、その高さ位置を設定する。
【0026】
そして、スイッチ35を操作して支持脚レベル設定器30を起動して、駆動部37のモーター37aが回転すると、支持脚2のパネル支持台14が脚部16に対して相対ネジ回転し、それに伴い支持脚2のパネル支持台14の支持部18が上昇し、支持部18の上に載置された支持脚レベル設定器30の高さ位置も上昇する。
【0027】
そして、
図9(b)に示すように、支持脚レベル設定器30の受光窓36aの高さ位置がレーザー光22の高さ位置まで、支持脚2のパネル支持台14の支持部18が上昇し、支持脚レベル設定器30の受光窓36aにレーザー光22が照射されると、受光部36からモーター37aの回転を停止させる停止信号31aが駆動部37に対して出力される。
【0028】
そして、停止信号31aを受信した駆動部37がモーター37aの回転を停止することにより、支持脚2のパネル支持台14の支持部18の上昇が停止し、支持脚2のパネル支持台14の支持部18の高さ位置が目的の高さに設定される。
【0029】
このように、支持脚2のパネル支持台14の支持部18の基礎床3からの高さ位置Hは、
図9(b)に示すように、基礎床3からレーザー光22までの距離L1と、支持脚レベル設定器30の係合部材33の下面から受光部36の受光窓36aまでの距離L2の差として決定されるため、これらの距離L1,L2を予め適切に設定することにより、支持脚2のパネル支持台14の支持部18の基礎床3からの高さ位置Hを目的の高さに正確に設定することができるようになっていた。
【0030】
このように、従来の支持脚レベル設定器30を用いることにより、基礎床3の上に立設された多数の支持脚2のレベル設定作業を、効率よく正確に行うことができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【文献】特開2008-2126号公報
【文献】特開2018-112417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
しかしながら、上述したような従来の支持脚レベル設定器30においては、大きな重量を有する支持脚レベル設定器30用いて、基礎床3の上に立設された多数の支持脚2についてレベル設定作業を行わなければならないため、作業者の身体への負担が大きくなり、その結果、レベル設定作業の効率が低下するおそれがあるという問題があった。
【0033】
すなわち、従来の支持脚レベル設定器30の本体部31の内部には、受光部36や駆動部37だけでなく、駆動部37を動かすための電力を供給する電源や、スイッチ35の操作や受光部36から出力された信号に応じて駆動部37の動作を制御する電子回路や、それらを接続する配線等も収納されているため、支持脚レベル設定器30の本体部31が大型化し、支持脚レベル設定器30の重量の増加を招いていた。
【0034】
そして、支持脚2のレベル設定作業を行う作業者は、そのような支持脚レベル設定器30を持ち上げて、支持脚2のパネル支持台14の上に載置し、支持脚レベル設定器30の動作中は、支持脚レベル設定器30のグリップ34を保持して、支持脚レベル設定器30が傾かないようにその姿勢を維持し続ける必要があった。
【0035】
そして、支持脚レベル設定器30の動作中は、
図9に示すように、支持脚レベル設定器30の重量の全てが、支持脚2のパネル支持台14にかかるようになっており、それ加えて、支持脚レベル設定器30の動作によって支持脚2のパネル支持台14が上昇し、それに伴い支持脚レベル設定器30も上昇するため、支持脚レベル設定器30は非常に不安定になっていた。
【0036】
だからといって、作業者が支持脚レベル設定器30の姿勢を維持するために、支持脚レベル設定器30を強い力でパネル支持台14に押し付けてしまうと、それにより駆動部37のモーター37aの回転が停止してしまうおそれがあった。
【0037】
そのため、支持脚2のレベル設定作業を行う作業者は、力加減に十分に注意しながら、支持脚レベル設定器30がパネル支持台14から外れないように、支持脚レベル設定器30の姿勢を維持し続ける必要があった。
【0038】
そして、フリーアクセスフロア6の施工時において、作業者が、基礎床3の上に立設された多数の支持脚2の全てに対して、大きな重量を有する支持脚レベル設定器30を用いて、十分に注意しながら慎重にレベル設定作業を行うことにより、作業者の身体への負担が大きくなって作業者の疲労を招き、その結果、作業速度の低下や作業のやり直しが発生して、レベル設定作業の効率が低下するおそれがあった。
【0039】
また、上述したような従来の支持脚レベル設定器30においては、支持脚2のレベル設定作業に要する時間を更に短縮しようとした場合に、却ってレベル設定作業の効率が低下したり、支持脚レベル設定器自体のコストが増加したりするおそれがあるという問題があった。
【0040】
すなわち、従来の支持脚レベル設定器30を用いた支持脚2のレベル設定作業において、その作業時間を短縮するためには、1つの支持脚2のパネル支持台14の高さ位置をより素早く設定する必要があり、そのためには、支持脚レベル設定器30の駆動部37のモーター37aの回転数を大きくする必要があった。
【0041】
しかしながら、駆動部37のモーター37aの回転数を大きくすると、駆動部37が停止信号31aを受信してから(
図9(b)参照)、モーター37aが完全に停止するまでに要する時間が長くなるため、支持脚レベル設定器30の受光部36がレーザー光22を受光してから、支持脚2のパネル支持台14の上昇が完全に停止するまでに時間かかり、パネル支持台14の高さ位置が目的とする高さ位置からずれてしまうおそれがあった。
【0042】
そして、支持脚2のパネル支持台14の高さ位置がずれてしまうと、レベル設定作業を最初からやり直さなければならず、却って作業効率が低下するおそれがあった。
【0043】
また、例えば、駆動部37のモーター37aにステッピングモーター等を採用し、モーターの停止を正確に制御することも考えられるが、そのようなモーターは非常に高価であり、モーターの制御を行う複雑な電子回路も必要となるため、支持脚レベル設定器自体のコストが増加するおそれがあった。
【0044】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、フリーアクセスフロアのフロアパネルの支持脚のレベル設定作業において、作業者の身体への負担を軽減し、作業効率を向上させると共に、装置自体のコスト増加を防止することができる支持脚レベル設定器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0045】
上記課題を解決するために、本発明による支持脚レベル設定器は、
基礎床に立設されたフリーアクセスフロアのフロアパネルの支持脚のパネル支持台に係合してこれを回転させる係合部材と、
前記係合部材を回転させる駆動部を有する本体部と、
前記駆動部へ動力を供給し、前記駆動部の動作を制御する動力操作部と、
前記本体部と前記動力操作部を接続する接続ケーブルと、を備え、
前記係合部材が回転することにより、前記支持脚の前記パネル支持台が上下移動するように構成され、
前記本体部は、
鉛直上下方向に伸びる支柱と、
前記駆動部を有し、前記支柱に沿って鉛直上下方向に移動可能に設けられた可動部と、を備え、
前記係合部材が前記支持脚の前記パネル支持台に係合された状態で、前記支柱の下端部が前記基礎床に当接するように前記支柱が立設されるように構成された
ことを特徴とするものである。
【0047】
また、本発明による支持脚レベル設定器は、
前記可動部は、
レーザー光を受光した時に、前記動力操作部に対して前記係合部材の回転を停止させる信号を出力する第1受光部と、
前記第1受光部に対して鉛直上方向に所定の間隔をおいて離れた位置に設けられ、前記レーザー光を受光した時に、前記動力操作部に対して前記係合部材の回転を変化させる信号を出力する第2受光部と、を有するセンサー部を備え、
前記駆動部は、前記係合部材を異なる回転速度で回転させることができ、
前記動力操作部は、前記センサー部からの信号に応じて前記駆動部を制御し、
前記係合部材が異なる回転速度で回転することにより、前記支持脚の前記パネル支持台が異なる速度で上昇するように構成された
ことを特徴とするものである。
【0048】
また、本発明による支持脚レベル設定器は、
前記可動部は、
レーザー光を受光した時に、前記動力操作部に対して前記係合部材の回転を変化させる信号を出力する第1受光部と、
前記第1受光部に対して鉛直上方向に所定の間隔をおいて離れた位置に設けられ、前記レーザー光を受光した時に、前記動力操作部に対して前記係合部材の回転を停止させる信号を出力する第2受光部と、を有するセンサー部を備え、
前記駆動部は、前記係合部材を異なる回転速度で回転させることができ、
前記動力操作部は、前記センサー部からの信号に応じて前記駆動部を制御し、
前記係合部材が異なる回転速度で回転することにより、前記支持脚の前記パネル支持台が異なる速度で下降するように構成された
ことを特徴とするものである。
【0049】
また、本発明による支持脚レベル設定器は、
前記係合部材の回転を変化させる信号は、前記係合部材の回転を減速させる信号である
ことを特徴とするものである。
【0050】
また、本発明による支持脚レベル設定器は、
前記動力操作部には、作業者が前記動力操作部を装着するための装着具が設けられた
ことを特徴とするものである。
【0051】
また、本発明による支持脚レベル設定器は、
前記支柱には、前記支柱の傾きを検知するための水準器が設けられた
ことを特徴とするものである。
【0052】
また、本発明による支持脚レベル設定器は、
前記支柱の下端部には、略球形の接地部が設けられた
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0053】
このような本発明の支持脚レベル設定器によれば、
基礎床に立設されたフリーアクセスフロアのフロアパネルの支持脚のパネル支持台に係合してこれを回転させる係合部材と、
前記係合部材を回転させる駆動部を有する本体部と、
前記駆動部へ動力を供給し、前記駆動部の動作を制御する動力操作部と、
前記本体部と前記動力操作部を接続する接続ケーブルと、を備え、
前記係合部材が回転することにより、前記支持脚の前記パネル支持台が上下移動するように構成されたことにより、
フリーアクセスフロアのフロアパネルの支持脚のレベル設定作業において、作業者の身体への負担を軽減し、作業効率を向上させると共に、装置自体のコスト増加を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る支持脚レベル設定器40の正面図である。
【
図2】
図1に示す支持脚レベル設定器40の本体部41の側面図である。
【
図3】支持脚レベル設定器40の本体部41を示す図であり、
図3(a)はその上面図であり、
図3(b)は
図2におけるA-A線矢視断面図である。
【
図4】支持脚レベル設定器40の係合部材43を示す図であり、
図4(a)はその斜視図であり、
図3(b)はその底面図である。
【
図5】支持脚レベル設定器40の係合部材43の、支持脚2への取り付け方法を説明するための概略斜視図である。
【
図6】支持脚レベル設定器40を用いた支持脚2のレベル設定作業の手順を説明するための概略側面図である。
【
図7】支持脚レベル設定器40を用いた支持脚2のレベル設定作業の手順を説明するための概略側面図である。
【
図8】従来の支持脚レベル設定器30を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示す支持脚レベル設定器30を用いた支持脚2のレベル設定作業の手順を説明するための概略側面図である。
【
図10】フリーアクセスフロア6の構造を示す概略側面図である。
【
図11】フリーアクセスフロア6の支持脚2を示す図であり、
図11(a)はその側面図であり、
図11(b)はその上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明に係る支持脚レベル設定器を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0056】
図1から
図7は、本発明の一実施の形態に係る支持脚レベル設定器40について説明するために参照する図である。
【0057】
本実施の形態に係る支持脚レベル設定器40は、
図1に示すように、支持脚2のパネル支持台14(
図6参照)に係合してこれを回転させる係合部材43と、係合部材43を回転させて支持脚2のレベル設定作業を行う本体部41と、本体部41の操作や制御を行う動力操作部42と、本体部41と動力操作部42を接続する十分な長さを有する接続ケーブル45を備えている。
【0058】
支持脚レベル設定器40の本体部41は、
図1に示すように、鉛直上下方向(図中上下方向)に伸びる支柱44と、支柱44の長さ方向(図中上下方向)中程の位置に、支柱44に沿って鉛直上下方向に移動可能に設けられた可動部46と、可動部46の図中右側の下部に設けられた略箱状のセンサー部48を備えている。
【0059】
本体部41の支柱44は、
図2に示すように、鉛直上下方向(図中上下方向)に細長く伸び、その長さ方向に対して垂直な断面が略正方形(
図3(b)参照)の四角柱状に形成されている。
【0060】
そして、支柱44の上端部にはグリップ44aが設けられると共に、支柱44の下端部には略球形の接地部44bが設けられ、支柱44のグリップ44aの上面の略中央には、略円板状(
図3(a)参照)の水準器44cが設けられている。
【0061】
この水準器44cは、例えば、内部に液体と1つの気泡が封入された透明な密閉容器であって、上方から水準器44cの内部の気泡の位置を確認することにより、支柱44が鉛直方向に対して傾いているか分かるようになっている。
【0062】
そして、
図2に示すように、支柱44の長さ方向(図中上下方向)中程の位置の、支柱44の前面側(図中左側)の側面には、支柱44の長さ方向に沿って平行に伸びるようにスライドレール44dが設けられている。
【0063】
スライドレール44dは、
図3(b)に示すように、その長さ方向(図の紙面に垂直方向)に垂直な断面が略C字型に形成され、その略C字型の開口部側を本体部41の前面側(図中下側)に向け、開口部と反対側が支柱44の前面側(図中下側)の側面に接触するように、支柱44の側面に固定されている。
【0064】
そして、本体部41の可動部46は、
図2に示すように、支柱44dの前面側(図中左側)の側面に設けられたスライドレール44dの前面側(図中左側)に設けられている。
【0065】
可動部46は、
図3(b)に示すように、支柱44の長さ方向(図の紙面に垂直方向)に対して垂直な断面が略コ字型に形成され、水平方向(図中左右方向)に所定の幅を有する背板46aと、背板46aの水平方向の両端部から本体部41の前面側(図中下側)に略直角に折れ曲がるように形成された2つの側板46bを備えて構成されている。
【0066】
そして、可動部46の背板46aと2つの側板46bに囲まれたその内側部には、
図1に示すように、鉛直上下方向(図中上下方向)に平行な回転軸47bを有するモーター47aを備えた略円筒状の駆動部47が、2つの側板46bに挟まれるように設けられている(
図3(b)参照)。
【0067】
この駆動部47のモーター47aには、例えば、DCモーターを用いることができ、モーター47aに加える電圧の大きさによって、モーター47aの回転数やトルクを調節することができるようになっている。
【0068】
また、
図1に示すように、可動部46の2つの側板46bのうちの、図中右側の側板46bには、図中左右方向に所定の厚さを有し、図中上下方向に細長く伸びる板状の台板46cが、2つのスペーサー部材46dを介して、側板46bから図中右側に少し距離をおいて固定されており、台板46cの図中右側面の上端部付近には、略箱状の配線箱46eが設けられている。
【0069】
そして、駆動部47のモーター47aに電力を供給するための電源ケーブル47cの一方の端部が駆動部47の上部に接続されると共に、電源ケーブル47cの反対側の端部が配線箱46eの上部に接続されている。
【0070】
また、
図1に示すように、可動部46の図中右側の側板46bに設けられた台板46cの図中右側面の下端部付近には、略箱状のセンサー部48が設けられている。
【0071】
本体部41のセンサー部48は、
図2に示すように、その内部に、レーザー光22(
図6参照)を受光するための第1受光部48a及び第2受光部48bを備え、これらの第1受光部48a及び第2受光部48bはそれぞれが、センサー部48の前面側(図中左側)の側面に設けられた略円形(
図1参照)の受光窓48c,48dと、これらの受光窓48c,48dを通過したレーザー光22を受光する受光素子(不図示)、受光素子がレーザー光22を受光したときに信号を出力する出力端子(不図示)等を備えている。
【0072】
そして、
図1及び
図2に示すように、第2受光部48bは、第1受光部48aに対して鉛直上方向に所定の間隔をおいて離れた位置に設けられ、第2受光部48bの受光窓48dは、センサー部48の前面側の側面の、第1受光部48aの受光窓48cに対して鉛直上方向に所定の間隔Dをおいて離れた位置に設けられている。
【0073】
そして、センサー部48の第1受光部48a及び第2受光部48bから出力された信号を伝達するための信号ケーブル48eの一方の端部がセンサー部48の上部に接続されると共に、反対側の端部が配線箱46eの下部に接続されている(
図1参照)。
【0074】
また、
図2に示すように、可動部46の背板46aの背面側(図中右側)には、複数の(6つの)スライド部材49が、スライドレール44dの長さ方向(図中上下方向)に沿って略一列に並ぶように設けられている。
【0075】
これらのスライド部材49はそれぞれが、
図3(b)に示すように、可動部46の背板46aの背面側(図中上側)から図中上方に垂直に伸びる軸部49aと、軸部49aの先端部に設けられた、軸部49aと同一の軸線上に回転軸を有する車輪状の輪部49bを備えて構成されている。
【0076】
そして、これら複数のスライド部材49のそれぞれが、その輪部49bがスライドレール44dの略C字型の断面の内側部に配置されると共に、輪部49bから伸びる軸部49aがスライドレール44dの略C字型の断面の開口部分を挿通するように配置されることにより、可動部46が支柱44のスライドレール44dに取り付けられている。
【0077】
これにより、可動部46が鉛直上下方向に移動すると、スライド部材49の輪部49bがスライドレール44dの内側で回転し、それにより、可動部46がスライドレール44dの長さ方向に沿って滑らかに移動することができるようになっている。
【0078】
そして、
図1に示すように、このような支持脚レベル設定器40の本体部41の、駆動部47への動力の供給や、センサー部48からの信号の受信、受信した信号に応じた駆動部47の動作の制御等を行うための動力操作部42が、本体部41とは別に設けられている。
【0079】
支持脚レベル設定器40の動力操作部42は、支持脚レベル設定器40を操作するスイッチ42aと、センサー部48からの信号を受信して駆動部47の動作の制御を行う制御部42bと、駆動部47の動力である電力を供給する電源部42cを備えている。
【0080】
そして、これらの制御部42b、及び電源部42cが、略箱状の筐体42dの内部に収納されると共に、スイッチ42aが筐体42dの外側から操作可能に設けられ、さらに筐体42dの外側面には、フック状の装着具42eが設けられている。
【0081】
これにより、支持脚2のレベル設定作業を行う作業者は、自身の衣服の一部、例えば、ベルト等に、動力操作部42のフック状の装着具42eを引っ掛けて動力操作部42を装着し、スイッチ42aを操作することができるようになっている。
【0082】
そして、このような本体部41と動力操作部42は、
図1に示すように、十分な長さの接続ケーブル45によって互いに接続されている。
【0083】
接続ケーブル45は、本体部41の可動部46の台板46cに設けられた配線箱46eにそれぞれ接続された、駆動部47に電力を供給するための電源ケーブル47cと、センサー部48から出力された信号を伝達するための信号ケーブル48eが、配線箱46eの内部で一本にまとめられたものであり、その一方の端部が配線箱46eの上部に接続されると共に、反対側の端部が動力操作部42に接続されている。
【0084】
そして、
図1及び
図2に示すように、このような支持脚レベル設定器40本体部41の可動部46の駆動部47には、
図4に示すような係合部材43が設けられている。
【0085】
支持脚レベル設定器40の係合部材43は、
図4(a)に示すように、略円板状に形成されたベース部43aと、ベース部43aの上面の略中央から上方に向けて垂直に伸びる回転軸部43bと、ベース部43aの下面から下方に向けて突出する複数の(4つの)円柱状の係合脚部43cを備えている。
【0086】
係合部材43の4つの係合脚部43cは、
図4(b)に示すように、ベース部43aの下面における、係合部材43の回転軸部43bの中心を中央とする略正方形のそれぞれの頂点を構成するような位置に形成されている。
【0087】
このような係合部材43の回転軸部43bの上端部が、
図1に示すように、係合部材43支持脚レベル設定器40の本体部41の、駆動部47に設けられたモーター47aの回転軸47bの下端部に結合されており、モーター47aの回転軸47bが回転すると、係合部材43がその回転軸部43bを中心として回転するようになっている。
【0088】
このような係合部材43を、パネル支持台14の支持面18aの上に載置すると、
図5(b)に示すように、係合部材43の4つの係合脚部43cが、支持脚2のパネル支持台14に設けられた4つの突起19の間の支持面18aにそれぞれ配置されるようになっている。
【0089】
そして、この状態で係合部材43がその回転軸部43bを中心に回転することにより、係合部材43の4つの係合脚部43cが、支持脚2のパネル支持台14の4つの突起19の側面にそれぞれ接触して係合し、さらに係合部材43が回転することにより、パネル支持台14が脚部16に対して相対ネジ回転するようになっている。
【0090】
このように、支持脚レベル設定器40は、係合部材43が支持部18の上に載置されるように支持脚2のパネル支持台14に取り付けられ(
図6参照)、その状態で駆動部47のモーター47aが回転することにより、その回転力が係合部材43を介して支持脚2のパネル支持台14に伝達され、パネル支持台14が脚部16に対して相対ネジ回転するようになっている。
【0091】
このような支持脚レベル設定器40を用いて、支持脚2のレベル設定作業を行うには、まず、
図6に示すように、基礎床3より上方の所定の高さ位置に水平方向にレーザー光22を照射するレーザー光発生装置21を設置し、レベル設定作業を行う支持脚2を、予めパネル支持台14の高さ位置が最も低い状態にして基礎床3の上に立設する。
【0092】
そして、支持脚レベル設定器40の本体部41の支柱44を、その接地部44bが基礎床3の床面に当接するように基礎床3の上に立設し、係合部材43を支持脚2のパネル支持台14の支持部18の上に載置することにより、支持脚レベル設定器40の本体部41を支持脚2のパネル支持台14に取り付ける。
【0093】
そして、本体部41のセンサー部48の第1受光部48a及び第2受光部48bの受光窓48c,48dがレーザー光発生装置21の方向(図中左側)を向くように、支持脚レベル設定器40の本体部41の向きを設定する。
【0094】
このとき、レーザー光発生装置21から照射されるレーザー光22は、
図6に示すように、本体部41のセンサー部48の第2受光部48bの受光窓48dより上方に照射されるように、その高さ位置が設定されている。
【0095】
そして、支持脚2のレベル設定作業を行う作業者は、支持脚レベル設定器40の動力操作部42を自身のベルト等に装着すると共に、支持脚レベル設定器40の本体部41の支柱44のグリップ44aを保持し、支柱44に設けられた水準器44cを確認しながら、本体部41が鉛直方向から傾かないようにその姿勢を調整する。
【0096】
そして、作業者が動力操作部42のスイッチ42aを操作し、支持脚レベル設定器40が起動されると、動力操作部42から接続ケーブル45を通って本体部41の駆動部47へ電力が供給され、それにより、駆動部47のモーター47aが回転する(
図1参照)。
【0097】
その結果、
図6に示すように、モーター47aの回転軸47b(
図1参照)に固定された係合部材43が高速の回転速度S1で回転し、それにより、係合部材43が係合する支持脚2のパネル支持台14が脚部16に対して相対ネジ回転して、支持脚2のパネル支持台14が上昇し、それに伴い、パネル支持台14の支持部18の上に載置された係合部材43が設けられた、本体部41の可動部46が支柱44に設けられたスライドレール44dに沿って鉛直上方向に移動する。
【0098】
そして、
図7(a)に示すように、本体部41の可動部46に設けられたセンサー部48の第2受光部48bの受光窓48dの高さ位置がレーザー光22の高さ位置まで、支持脚2のパネル支持台14の支持部18が上昇し、センサー部48の第2受光部48bの受光窓48dにレーザー光22が照射されると、第2受光部48bから係合部材43の回転速度を減速させる減速信号41aが出力される。
【0099】
第2受光部48bから出力された減速信号41aは、センサー部48の信号ケーブル48e及び接続ケーブル45を通って、動力操作部42の制御部42bへ伝達され(
図1参照)、減速信号41aを受信した制御部42bが本体部41の駆動部47へ供給される電力を変更することにより、駆動部47のモーター47aの回転が減速される。
【0100】
その結果、
図7(a)に示すように、モーター47aの回転軸47b(
図1参照)に固定された係合部材43がその回転速度を、高速の回転速度S1から低速の回転速度S2に減速させる。
【0101】
そして、係合部材43は減速された低速の回転速度S2で回転を継続し、それにより、係合部材43が係合する支持脚2のパネル支持台14も、減速信号41aを受信する前よりゆっくりとした速度で上昇を継続する。
【0102】
そして、
図7(b)に示すように、本体部41のセンサー部48の第1受光部48aの受光窓48cの高さ位置がレーザー光22の高さ位置まで、支持脚2のパネル支持台14の支持部18が上昇し、センサー部48の第1受光部48aの受光窓48cにレーザー光22が照射されると、第1受光部48aから係合部材43の回転を停止させる停止信号41bが出力される。
【0103】
第2受光部48bから出力された停止信号41bは、センサー部48の信号ケーブル48e及び接続ケーブル45を通って、動力操作部42の制御部42bへ伝達され(
図1参照)、停止信号41bを受信した制御部42bが本体部41の駆動部47へ供給される電力を遮断することにより、駆動部47のモーター47aの回転が停止される。
【0104】
その結果、
図7(a)に示すように、モーター47aの回転軸47b(
図1参照)に固定された係合部材43の回転が停止し、それにより、係合部材43が係合する支持脚2のパネル支持台14の上昇も停止する。
【0105】
このとき、係合部材43は、第1受光部48aがレーザー光22を受光した時点で(
図7(b)参照)、低速の回転速度S2で回転しているため、係合部材43が高速で回転していた時に比べて、その回転を極めて短時間で停止することができ、これにより、支持脚2のパネル支持台14の支持部18の上昇もすぐに停止するため、支持脚2のパネル支持台14の支持部18の高さ位置を目的の高さ位置Hに正確に設定することができる。
【0106】
このように、支持脚2のパネル支持台14の支持部18の基礎床3からの高さ位置Hは、
図7(b)に示すように、基礎床3からレーザー光22までの距離L1と、支持脚レベル設定器40の係合部材43の係合脚部43cの下端部から第1受光部48aの受光窓48cまでの距離L3の差として決定されるため、これらの距離L1,L3を予め適切に設定することにより、支持脚2のパネル支持台14の支持部18の基礎床3からの高さ位置Hを目的の高さに正確に設定することができるようになっている。
【0107】
また、モーター47aが高速の回転速度S1から低速の回転速度S2まで減速するのに要する時間によって、2つの受光部の受光窓の間の間隔D(
図2及び
図7(b)参照)が決定されるため、間隔Dを大きくすることにより、支持脚レベル設定器40の起動時のモーター47aの回転速度S1をより高速にすることができる。
【0108】
このような支持脚レベル設定器40を用いることにより、支持脚2のレベル設定作業の作業者の身体への負担を軽減することができる。
【0109】
すなわち、本実施の形態に係る支持脚レベル設定器40は、支持脚2のパネル支持台14に係合する係合部材43が設けられた本体部41の可動部46が、本体部41の支柱44に沿って鉛直上下方向に移動可能に設けられているため、支持脚2のレベル設定作業中に、支持脚レベル設定器40の動作によって支持脚2のパネル支持台14が上昇しても本体部41の支柱44が上昇しないようになっている。
【0110】
これにより、支持脚2のレベル設定作業の作業者は、支柱44のグリップ44aを保持することにより、本体部41の姿勢を維持することができ、また、支柱44をどんなに強い力で保持しても、それによって係合部材43がパネル支持台14に押し付けられてその回転が停止することがないようになっている。
【0111】
そのため、支持脚2のレベル設定作業の作業者は、力加減を気にすることなく、十分な力で支柱44のグリップ44aを保持するだけで、容易かつ確実に支持脚レベル設定器40の本体部41の姿勢を維持し続けることができるようになっている。
【0112】
また、支柱44の下端部に設けられた接地部44bにより、支柱44と基礎床3の床面との接触部の面積が小さくなるため、本体部41の姿勢を調整しようとして支柱44を傾けた際に、基礎床3の床面の細かな傾斜や凹凸の影響を受けにくく、本体部41の姿勢の調整がし易くなっている。
【0113】
また、支柱44の上部に水準器44cが設けられていることにより、レベル設定作業の作業中であっても、支柱44の傾きを常に視覚的に確認することができるようになっているため、本体部41の姿勢の調整がし易くなっている。
【0114】
そして、支持脚レベル設定器40を操作するスイッチ42aや、駆動部47の動作を制御する制御部42bや、駆動部47に電力を供給する電源部42cを収納した動力操作部42を本体部41と別に設け、動力操作部42が作業者の衣服に装着できるようになっていることにより、支持脚レベル設定器40の本体部41の軽量化を図ることができる。
【0115】
このように、本実施の形態に係る支持脚レベル設定器40は、支持脚2のレベル設定作業において、本体部41の姿勢を容易かつ確実に維持し続けることができ、作業者が繰り返し持ち上げる本体部41を軽量化することができるため、作業者の身体への負担を軽減することができるようになっている。
【0116】
そして、このような支持脚レベル設定器40を用いることにより、支持脚2のレベル設定作業を迅速かつ正確に行うことができる。
【0117】
すなわち、受光部を2つ設けることにより、支持脚2のパネル支持台14の支持部18の高さ位置が目的の高さ位置Hに達する前の段階で、係合部材43の回転速度の減速を開始させることができるため、パネル支持台14の支持部18の高さ位置が目的の高さ位置Hに達したときには、係合部材43の回転速度は十分に減速され、その回転を短時間で停止することができるようになっている。
【0118】
これにより、支持脚レベル設定器40を起動時の係合部材43の回転速度S1を高速にしても、支持脚2のパネル支持台14の支持面18aの基礎床3からの高さ位置を正確に設定することができるため、支持脚2のレベル設定作業を迅速に行うことができる。
【0119】
そして、このような支持脚レベル設定器40を用いることにより、ステッピングモーター等の高性能かつ高価なモーターや、その制御を行うための複雑な電子回路が不要なため、支持脚レベル設定器40自体のコストが増加することを防止することができる。
【0120】
このように、本実施の形態に係る支持脚レベル設定器40によれば、フリーアクセスフロアのフロアパネルの支持脚のレベル設定作業において、作業者の身体への負担を軽減し、作業効率を向上させると共に、装置自体のコスト増加を防止することができる。
【0121】
なお、本実施の形態に係る支持脚レベル設定器40においては、
図6及び
図7に示すように、係合部材43が回転することによって、支持脚2のパネル支持台14の高さ位置が最も低い状態(
図6参照)から上昇するように構成されているが、これと反対に、係合部材43が回転することによって、支持脚2のパネル支持台14の高さ位置が下降するように構成されていてもよい。
【0122】
その場合、レベル設定作業を行う支持脚2は、予めパネル支持台14の高さ位置を最も高い状態にして基礎床3の上に立設され、レーザー光発生装置21から照射されるレーザー光22は、支持脚レベル設定器40の本体部41のセンサー部48の第1受光部48aの受光窓48cより下方に照射されるように、その高さ位置が設定される。
【0123】
そして、動力操作部42のスイッチ42aを操作することにより、本体部41の可動部46の駆動部47に設けられた係合部材43が高速の回転速度S1で回転し、それに伴い支持脚2のパネル支持台14が下降し、パネル支持台14の支持部18に載置された本体部41の可動部46が支柱44に沿って下降する。
【0124】
そして、本体部41のセンサー部48の第1受光部48aの受光窓48cの高さ位置がレーザー光22の高さ位置まで、支持脚2のパネル支持台14が下降して、受光窓48cにレーザー光22が照射されると、減速信号41aが第1受光部48aから動力操作部42に対して出力されるようになっており、減速信号41aを受信した動力操作部42が駆動部47の動作を制御し、係合部材43の回転速度が低速の回転速度S2に減速される。
【0125】
そして、支持脚2のパネル支持台14はゆっくりとした速度で下降を継続し、本体部41のセンサー部48の第2受光部48bの受光窓48dの高さ位置がレーザー光22の高さ位置まで、支持脚2のパネル支持台14が下降して、受光窓48dにレーザー光22が照射されると、停止信号41bが第2受光部48bから動力操作部42に対して出力されるようになっており、停止信号41bを受信した動力操作部42が駆動部47の動作を制御し、係合部材43の回転が停止され、支持脚2のパネル支持台14の下降が停止する。
【0126】
このように、係合部材43が回転することによって、支持脚2のパネル支持台14が下降するように構成されていても、レーザー光22を受光したセンサー部48の第1受光部48aが減速信号41aを出力すると共に、レーザー光22を受光したセンサー部48の第2受光部48bが停止信号41bを出力するようにすることにより、フリーアクセスフロアのフロアパネルの支持脚のレベル設定作業を迅速かつ正確に行うことができ、レベル設定作業における作業者の身体への負担を軽減し、作業効率を向上させると共に、装置自体のコスト増加を防止することができるようになっている。
【0127】
なお、本発明は、前記実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の目的を達成することができる範囲内であれば、種々の変更が可能である。
【0128】
例えば、前記実施の形態に係る支持脚レベル設定器40は、
図4に示すような係合部材43を備えているが、係合部材43は支持脚2のパネル支持台14に係合できるように形成されていればよいため、例えば、従来の支持脚レベル設定器30の結合部材32と係合部材33を合わせたような形状の係合部材43を用いてもよい。
【0129】
また、前記実施の形態に係る支持脚レベル設定器40の係合部材43は、本体部41の駆動部47のモーター47aの回転軸47bに固定されているが、係合部材43の回転軸部43bとモーター47aの回転軸47bを着脱可能に結合されるようにしてもよい。
【0130】
そして、様々な形状の係合部材43を用意して、これを交換することにより、様々な種類の支持脚2のレベル設定作業ができるようにしてもよい。
【0131】
また、前記実施の形態に係る支持脚レベル設定器40の本体部41のセンサー部48は、本体部41の可動部46の台板46cに固定されていたが、センサー部48を台板46cに沿って上下方向にスライド移動可能に設けることにより、係合部材43の係合脚部43cの下端部から第1受光部48aの受光窓48cまでの距離L3を変更できるようにしてもよい。
【0132】
そして、センサー部48に設けられた第1受光部48aや第2受光部48bを、センサー部48の内部で上下方向に移動可能に設けることにより、第1受光部48aの受光窓48cと第2受光部48bの受光窓48dの間の間隔Dを変更できるようにしてもよい。
【0133】
また、前記実施の形態に係る支持脚レベル設定器40の係合部材43の、中心軸部43bや係合脚部43cを上下方向に伸縮可能に形成することにより、係合部材43の係合脚部43cの下端部から第1受光部48aの受光窓48cまでの距離L3が変更できるようになっていてもよい。
【0134】
また、前記実施の形態に係る支持脚レベル設定器40の本体部41の支柱44には、略円板状の透明な密閉容器の内部に液体と1つの気泡が封入されたような水準器44cが設けられているが、水準器44cはこのようなものに限定される必要はなく、例えば、支柱44の傾きを電気的に検知し、支柱44の傾きに応じた音や表示を通知するようなものであってもよい。
【0135】
そして、そのような水準器44cで検知した支柱44の傾きを電気信号として出力し、その信号を受信した動力操作部42の制御部42bが、支柱44が垂直な状態で立設されている場合にだけ係合部材43が回転するように、駆動部47に供給する電力を制御してもよい。
【符号の説明】
【0136】
2 支持脚
3 基礎床
4 フロアパネル
6 フリーアクセスフロア
7 高さ固定ボルト
14 パネル支持台
14a 下方筒状部
14b 上方筒状部
14c メネジ部
14d メネジ部
14e メネジ孔
16 脚部
16a ベースプレート
16b 支柱
16c オネジ部
18 支持部
18a 支持面
19 突起
20 皿ボルト
20a 頭部
20b オネジ部
21 レーザー光発生装置
22 レーザー光
30 支持脚レベル設定器
31 本体部
31a 停止信号
32 結合部材
33 係合部材
33a 係合孔
34 グリップ
35 スイッチ
36 受光部
36a 受光窓
37 駆動部
37a モーター
40 支持脚レベル設定器
41 本体部
41a 減速信号
41b 停止信号
42 動力操作部
42a スイッチ
42b 制御部
42c 電源部
42d 筐体
42e 装着具
43 係合部材
43a ベース部
43b 回転軸部
43c 係合脚部
44 支柱
44a グリップ
44b 接地部
44c 水準器
44d スライドレール
45 接続ケーブル
46 可動部
46a 背板
46b 側板
46c 台板
46d スペーサー部材
46e 配線箱
47 駆動部
47a モーター
47b 回転軸
47c 電源ケーブル
48 センサー部
48a 第1受光部
48b 第2受光部
48c 受光窓
48d 受光窓
48e 信号ケーブル
49 スライド部材
49a 軸部
49b 輪部
D 間隔
H 高さ位置
L1,L2,L3 距離
S1,S2 回転速度