(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】金属に適用される代替コーティングのための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/082 20060101AFI20230116BHJP
B65D 41/04 20060101ALI20230116BHJP
C09D 123/08 20060101ALI20230116BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20230116BHJP
C09D 7/41 20180101ALI20230116BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20230116BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20230116BHJP
B41F 7/16 20060101ALI20230116BHJP
B41M 1/28 20060101ALI20230116BHJP
B05C 1/02 20060101ALN20230116BHJP
B05C 1/08 20060101ALN20230116BHJP
【FI】
B32B15/082 Z
B65D41/04
C09D123/08
C09D7/65
C09D7/41
B05D7/14 P
B05D7/24 301F
B05D7/24 302P
B41F7/16
B41M1/28
B05C1/02 102
B05C1/08
(21)【出願番号】P 2018514951
(86)(22)【出願日】2016-09-15
(86)【国際出願番号】 US2016051979
(87)【国際公開番号】W WO2017048984
(87)【国際公開日】2017-03-23
【審査請求日】2019-08-30
(32)【優先日】2015-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518089964
【氏名又は名称】ジースリー・エンタープライゼズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】カニンガム、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】メツガー、ケネス
(72)【発明者】
【氏名】カ、ティミー・サス
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-500210(JP,A)
【文献】特開2005-342911(JP,A)
【文献】特表2003-529624(JP,A)
【文献】特表2013-500211(JP,A)
【文献】特開平09-278897(JP,A)
【文献】特表平05-505644(JP,A)
【文献】特開2010-043186(JP,A)
【文献】特開昭62-141046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
C08J 3/00- 3/28、 99/00
B05D 1/00- 7/26
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08C 19/00- 19/44
C08F 6/00-246/00、301/00
C09D 1/00- 10/00、101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側および内側を備える深絞り用の金属シートと、
前記外側に配されたコーティング層であって、少なくとも部分的に第1の中和塩基で中和された第1のエチレンアクリル酸コポリマー、および顔料を備える、コーティング層と、
前記コーティング層の上に配されたオーバーワニス層であって、少なくとも部分的に第2の中和塩基で中和された第2のエチレンアクリル酸コポリマー、および第1のワックスを備える、オーバーワニス層と、
前記内側に配された内側ラッカー層であって、少なくとも部分的に第3の中和塩基で中和された第3のエチレンアクリル酸コポリマー、および第2のワックスを備える、内側ラッカー層と、
を備え
、
前記コーティング層、前記オーバーワニス層、および前記内側ラッカー層のそれぞれは、単一型ポリマーを含み、
前記単一型ポリマーは、前記単一型ポリマーの総重量に対して約19.5~21.5重量パーセントのアクリル酸含量を有し、
前記第1のエチレンアクリル酸コポリマー、前記第2のエチレンアクリル酸コポリマー、および前記第3のエチレンアクリル酸コポリマーは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
前記第1の中和塩基、前記第2の中和塩基、および前記第3の中和塩基は、互いに同一であっても異なっていてもよく、
前記第1のワックスおよび前記第2のワックスは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
前記金属シート、前記コーティング層、前記オーバーワニス層、および前記内側ラッカー層は、深絞りプロセスによって伸長されスクリューキャップ閉じ具に形成される、装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、前記第1のエチレンアクリル酸コポリマーが、前記第1のエチレンアクリル酸コポリマーの総重量に対して約20.5重量パーセントのアクリル酸含量を有する装置。
【請求項3】
請求項1の装置において、前記第1のエチレンアクリル酸コポリマーのアクリル酸官能基の約25乃至約100モルパーセントが前記第1の中和塩基を用いて中和される装置。
【請求項4】
請求項2の装置において、前記第1のエチレンアクリル酸コポリマーのアクリル酸官能基の約25モルパーセントが前記第1の中和塩基を用いて中和される装置。
【請求項5】
請求項2の装置において、前記第1のエチレンアクリル酸コポリマーのアクリル酸官能基の約100モルパーセントが前記第1の中和塩基を用いて中和される装置。
【請求項6】
請求項1の装置において、前記コーティング層は、前記第1のエチレンアクリル酸コポリマーを約15重量パーセント含む水性コーティング組成物に由来する装置。
【請求項7】
請求項1の装置において、前記コーティング層は、前記第1のエチレンアクリル酸コポリマーを約45重量パーセント含む水性コーティング組成物に由来する装置。
【請求項8】
請求項1の装置において、前記コーティング層には、前記顔料が、前記コーティング層の前記第1のエチレンアクリル酸コポリマーの総重量に対して1乃至70重量パーセンで含まれる装置。
【請求項9】
請求項1の装置において、前記オーバーワニス層には、前記第1のワックスが、前記オーバーワニス層の前記第2のエチレンアクリル酸コポリマーの総重量に対して1乃至50重量パーセントで含まれる装置。
【請求項10】
請求項1の装置において、前記第1のワックスおよび第2のワックスが、カルナウバワックスを含む装置。
【請求項11】
請求項10の装置において、前記カルナウバワックスが、前記オーバーワニス層および前記内側ラッカー層における固形分の総重量に対して約10重量パーセントで含まれる装置。
【請求項12】
請求項1の装置において、前記第1の中性塩基が、第1のエチレンアクリル酸コポリマーのアクリル酸官能基の約35モルパーセント乃至約45モルパーセントをイオノマー化する水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む装置。
【請求項13】
外側および内側を備える深絞り用の金属シートを提供するステップと、
前記外側にコーティング層を設けるステップであって、前記コーティング層は、少なくとも部分的に第1の中和塩基で中和された第1のエチレンアクリル酸コポリマー、および顔料を
含む、ステップと、
前記コーティング層の上にオーバーワニス層を設けるステップであって、前記オーバーワニス層は、少なくとも部分的に第2の中和塩基で中和された第2のエチレンアクリル酸コポリマー、および第1のワックスを
含む、ステップと、
前記
金属シートの前記内側に内側ラッカー層を設けるステップであって、前記内側ラッカー層は、少なくとも部分的に第3の中和塩基で中和された第3のエチレンアクリル酸コポリマー、および第2のワックスを
含む、ステップと、
を含
み、
前記コーティング層、前記オーバーワニス層、および前記内側ラッカー層のそれぞれは、単一型ポリマーを含み、
前記単一型ポリマーは、前記単一型ポリマーの総重量に対して約19.5~21.5重量パーセントのアクリル酸含量を有し、
前記第1のエチレンアクリル酸コポリマー、前記第2のエチレンアクリル酸コポリマー、および前記第3のエチレンアクリル酸コポリマーは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
前記第1の中和塩基、前記第2の中和塩基、および前記第3の中和塩基は、互いに同一であっても異なっていてもよく、
前記第1のワックスおよび前記第2のワックスは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
前記金属シート、前記コーティング層、前記オーバーワニス層、および前記内側ラッカー層を、深絞りプロセスによって伸長させスクリューキャップ閉じ具を形成する、方法。
【請求項14】
請求項13の方法において、前記第1のエチレンアクリル酸コポリマーが約20.5パーセントのアクリル酸含量を含む方法。
【請求項15】
請求項13の方法において、水酸化アンモニウム及び水酸化ナトリウムの任意の組み合わせを用いて前記第1のエチレンアクリル酸コポリマーのアクリル酸官能基の25乃至100モルパーセントを中和することを更に含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国仮特許出願第62/218,870号(2015年9月15日出願)の利益を主張しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
背景
【0002】
建設業(例えば、屋根及び壁の製造業者)、輸送業(例えば、自動車及びトラクタートレーラー製造業者)、及び包装産業(例えば、ワインスクリューキャップ閉じ具及びソーダ缶製造業者)を含む多くの産業は、ステンレス鋼、錫、アルミニウムのような予め印刷された金属及びプラスチックをそれらの最終製品に用いている。
【0003】
従来の溶媒系コーティング及びインクは、可撓性、良好な伸び特性及び耐擦傷性を有し、これはコーティング後に曲げ、折り畳み及び/又は伸長を必要とする金属原料にとって有用な特性である。これらのコーティングに使用される溶媒は、伝統的に高揮発性有機化合物(VOC)濃度を有する。これらの溶媒は、コーティングの流動学的特性、例えば粘度を調節するために使用され、被覆された製品に欠陥がないことを可能にする。高VOC溶媒はまた、汚染物質を溶解又は分散させることによって、プレコートされた金属表面上の残留グリース又は汚れの影響を最小にする。これは、コーティング均質性及び良好な接着のために金属表面の湿潤性を向上させる。更に、溶媒は、コーティングの平坦化、稠度、流動、固形物硬化速度、及び乾燥時間に役立つ。
【0004】
従来の高VOCコーティングは、熱及び空気対流による溶媒蒸発によって硬化又は乾燥される。これらの溶媒系コーティングは、溶媒が基板に塗布された液体層から駆逐されるにつれて凝固する。コーティング固化工程の間に、有機溶媒が処理空気中に放出され、処理排気ストリーム中にVOCが生じる。VOCの使用は、地方、州及び連邦規制によって、多くの地理的地域で制限されている。VOCは、単一の化合物又は揮発性エーテル、酢酸塩、芳香族化合物、グリコールエーテル及び脂肪族炭化水素の混合物を含むことができる。製造業者は、典型的には、ロータ濃縮器、再生触媒酸化装置(RCO)及び再生熱酸化装置(RTO)などのVOC制御システムを使用する必要がある。これらのVOC制御システムは高い初期投資費用を必要とし、継続的な運転コストをもたらす。更に、VOC制御システムから排出される処理済み空気流の定期的な分析テスト、検査による管理費、報告費用、コンプライアンス問題により課せられる罰金など、継続的な費用が発生する。
【0005】
製造業者はVOC排出量の削減又は排除を促す規制を受けているため、溶媒系コーティングの代わりに低VOCコーティング及びゼロVOCコーティングが開発されている。これらの代替コーティングは、高固形分、水性、無溶媒液体エネルギー硬化(紫外線(UV)及び電子線(EB))及び高温溶融及び粉体コーティング用途のための100パーセント固形分を含む様々な形態で導入されている。これらの代替コーティングは市販されており、極端な変形を必要としない金属製品に首尾よく使用される。しかしながら、これらの容易に利用可能な代替コーティングが極度の変形の前に金属に施された場合、一部のコーティング剥離の結果として、それらは典型的には金属及び/又はそれ自体への接着性を失うことが示されている(コーティング間接着の失敗)。これらのコーティングは、所要の弾性が不足しており、深絞り工程のように、部品が細長くなるにつれてコーティングの破断をもたらすことも示されている。
【0006】
更に、多くの従来のコーティングは、食品及び飲料と直接的又は間接的に接触する製品に使用される場合、現在調査されている4,4’-(プロパン-2,2-ジイル)ジフェノール(BPA)を含有する。BPAは、缶の金属表面に直接接触することから食品を保護するために施される金属缶コーティングの通常成分である。
【0007】
明らかに、食品又は飲料が包装材料と直接接触すると、測定可能な量の包装材料の成分が食品中に移行して摂取される可能性がある。この移行の可能性は食品包装材料の市場前レビューの一環として食品医薬品局(FDA)によって評価される。この評価は、移行レベルが安全であるかどうかを評価するFDAの食品連絡通知プログラムの構成要素である。
【0008】
BPAは多くの食品包装材料に共通して用いられているため、BPAをこれらの用途に安全に使用することへの関心の高まりは、一般の人々の意識や科学的関心の高まりに起因している。その結果、多くの科学的研究が公開されている。これらの研究のあるものは、コーティングなどの食品接触材料から食品に移行する低レベルのBPAの摂取の安全性に関する疑問を提起している。
【0009】
BPAの健康影響に関する科学的データは決定的なものではないが、ホルモン失調、癌、心臓の問題に関する懸念が高まっている。実際、米国FDAは、哺乳瓶、シッピーカップ、乳児用調合包装にBPA系材料を使用することに対する許可を取りやめるように食品添加物規制を改正した。更なる留意事項及び規制措置が予想されるため、包装材料からのBPAの除去は賢明なことである。
概要
【0010】
金属に適用可能な代替コーティングのための装置及び方法が開示される。一実施形態によれば、装置は、エチレンアクリル酸コポリマー、中和塩基、及び水を有する組成物を含む。エチレンアクリル酸コポリマーは、水の約15重量パーセント乃至約45重量パーセントの濃度である。装置は、この組成物で被覆された金属を更に含む。
【0011】
他の特徴及び利点は、例として様々な実施形態の特徴を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、例示的なアルミニウムワイン閉じ具を示す図解である。
【0013】
【
図2】
図2は、一実施形態によりコイル状金属にコーティングを施すための例示的なシステムを図解する。
【0014】
【
図3】
図3は、一実施形態により金属シートにコーティングを施すための例示的なシステムを図解する。
【0015】
【
図4A】
図4Aは、一実施形態により金属シートにインクを塗布するための例示的なシステムを図解する。
【0016】
【
図4B】
図4Bは、一実施形態により金属シートにインクを塗布するための他の例示的なシステムを図解する。
【0017】
【
図5】
図5は、一実施形態によりEAAコポリマーに基づく水性コーティング対従来の溶媒系コーティングの商業的オーブン曲線を比較するチャートを示す。
【0018】
【
図6】
図6は、一実施形態により1の最良から4の最悪までのSutherland摩擦試験ランキング等級スケールを示す。
【0019】
【
図7】
図7は、一実施形態により1の最良から6の最悪までのTabar接着試験ランキング等級スケールを示す。
【0020】
【
図8】
図8は、一実施形態により1の最良から6の最悪までのシェルの上部摩擦試験ランキング等級スケールを示す。
【0021】
【
図9】
図9は、一実施形態により1の最良から7の最悪までの70パーセントイソプロピルアルコール摩擦試験のランキング等級スケールを示す。
【0022】
【
図10】
図10は、一実施形態により市販の直接ロールコーティング処理を用いて塗布された水性コーティングの硬化オーブン曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、コーティング及びインクが施された後の急激な曲げ及び広範囲の伸張のような過酷な変形を必要とするものを含む金属部品(例えば、深絞り金属部品)のためのコーティング及びインク塗布処理と共に環境に優しい平坦金属コーティング及びインクを説明する。
【0024】
本システム及び方法は、揮発性有機化合物(VOC)を殆ど若しくは全く含まないコーティング及びインク材料を使用する深絞り用途のために、機能的又は機能的かつ装飾的なコーティング、又はコーティング/インクの組み合わせを金属(例えば、金属シート、金属コイル)へ施すことを含む。一実施形態によれば、本システム及び方法は、飲料包装用途の深絞りスクリューキャップの製造に使用されるアルミニウム板金の両面にコーティング又はコーティング/インクの組み合わせを施すことを含む。しかしながら、コーティング又はコーティング及びインクの組み合わせは、任意の種類の金属に施すことができる。
【0025】
簡潔に言えば、一般論として、様々な実施形態は、エチレンアクリル酸コポリマー、中和塩基、及び水を含むコーティング組成物に関する。一実施形態では、エチレンアクリル酸コポリマーは、全組成物の約15重量パーセント乃至約45重量パーセントである。他の実施形態では、エチレンアクリル酸コポリマーは、約20.5パーセントのアクリル酸含量を含むことができる。アクリル酸官能基の25乃至約100モルパーセントが水酸化アンモニウムで中和されていてもよい。水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムなどのアクリル酸官能基を中和するために他の塩基も使用できることが示されている。組成物は、多くの用途を有することができるが、一実施形態では、組成物は、タイ層コーティング、カラーコーティング、オーバーワニスコーティング、又はスクリューキャップ製造用の内側ラッカーコーティングを形成するための一次コーティングとして使用される。
【0026】
特定の実施形態では、約25モルパーセントのアクリル酸官能基を水酸化アンモニウムと反応させる。しかしながら、他の実施形態では、100モルパーセントのアクリル酸官能基を水酸化アンモニウムと反応させる。他の実施形態では、水酸化アンモニウム及び水酸化ナトリウムは、アクリル酸官能基の約25乃至約100モルパーセントを中和するために、任意の組み合わせで使用することができる。更に、約25乃至約70モルパーセントのアクリル酸官能基を水酸化アンモニウム及び水酸化ナトリウムと反応させることができる。好ましい実施形態では、水酸化アンモニウムはアクリル酸官能基の約30モルパーセントを中和し、水酸化ナトリウムはアクリル酸官能基の約40モルパーセントを中和する。他の実施形態において、水酸化アンモニウムは、中和されたアクリル酸官能基の約25乃至約70モルパーセントの約0乃至約100パーセントを中和する。0パーセント水酸化アンモニウムを用いてアクリル酸を中和する場合、25乃至70モルパーセントのアクリル酸官能基は、水酸化ナトリウムのみを用いて中和される。100パーセント水酸化アンモニウムがアクリル酸官能基を中和するために使用される場合、水酸化ナトリウムは使用されない。
【0027】
更に他の実施形態では、組成物は、水中に約15重量パーセントの濃度のエチレンアクリル酸コポリマー分散液を含むことができる。エチレンアクリル酸コポリマー分散液はまた、約45重量パーセントの水中濃度であってもよい。一実施形態では、エチレンアクリル酸コポリマーは、Primacor 5980Iであってもよい。 更に、Primacor 5980Iのアクリル酸官能基の約35パーセント乃至約45パーセントは、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いて中和し得る。
【0028】
一実施形態では、組成物は、1重量パーセントと70重量パーセントとの間の顔料対エチレンアクリル酸コポリマーの濃度を有する顔料を含むことができる。
【0029】
他の実施形態において、組成物は、1重量パーセントと50重量パーセントとの間のワックス対エチレンアクリル酸コポリマーの濃度を有するワックスを含み得る。ワックスはカルナウバワックスであってもよく、カルナウバワックスは全コーティング固形分の約10重量パーセントの濃度であってもよい。
【0030】
本明細書に開示される他の実施形態は、組成物を形成する方法である。この方法は、エチレンアクリル酸コポリマーを水と15乃至45重量パーセントの濃度で混合し、エチレンアクリル酸コポリマー/水混合物を塩基と共に加熱してアクリル酸官能基の25乃至100モルパーセントを中和することを含む。一実施形態では、混合物を110℃に加熱する。
【0031】
この方法はまた、顔料をエチレンアクリル酸コポリマー分散液と1乃至70重量パーセントの顔料濃度でエチレンアクリル酸コポリマーに混合することを含むことができる。他の実施形態では、この方法は、ワックスをエチレンアクリル酸コポリマー分散液と1乃至50重量パーセントの濃度のワックスとをエチレンアクリル酸コポリマーに混合することを含むことができる。
【0032】
一実施形態では、エチレンアクリル酸コポリマーは、約20.5重量パーセントの含量のアクリル酸を有する。更に、分散液を作製する方法は、水酸化アンモニウム及び水酸化ナトリウムの任意の組み合わせによるアクリル酸官能基の25乃至100モルパーセントの中和を含む。好ましい実施形態では、水酸化アンモニウムはアクリル酸官能基の約30モルパーセントを中和し、水酸化ナトリウムはアクリル酸官能基の約40モルパーセントを中和する。
【0033】
本明細書に開示される更に他の実施形態は、金属基板をコーティングする方法に関する。一実施形態では、この方法は、金属基板を第1のコーティング組成物で被覆することを含み、第1のコーティング組成物は、25乃至100モルパーセントのアクリル酸官能基を中和することにより生成される15パーセント乃至45パーセント重量濃度の水中のエチレンアクリル酸コポリマー分散液を含む。この方法はまた、周囲温度約75°F(約23.9℃)から100°F(約37.8℃)へ5秒間で金属基板を加熱することにより、金属基板上の第1のコーティング組成物を硬化させることを含む。更に別の実施形態では、金属基板上の第1のコーティング組成物を、周囲温度約75°F(約23.9℃)から250°F(約120.1℃)へ120秒間で金属基板を加熱することにより、硬化される。他の温度及び時間を硬化処理に用いてもよい。
【0034】
一実施形態では、この方法は、金属基板を第2のコーティング組成物でコーティングすることを含むことができる。第2のコーティング組成物は、アクリル酸官能基の25乃至100モルパーセントを中和することにより生成される15乃至45重量パーセントの濃度の水中のエチレンアクリル酸コポリマー分散液と、エチレンアクリル酸コポリマーに対する1重量パーセントと70重量パーセントとの間の濃度を有する顔料とを含む。
【0035】
他の実施形態では、この方法は、金属基板を第3のコーティング組成物でコーティングすることを含むことができる。第3のコーティング組成物は、アクリル酸官能基の25乃至100モルパーセントを中和することにより生成される15乃至45重量パーセントの濃度の水中のエチレンアクリル酸コポリマー分散液と、エチレンアクリル酸コポリマーに対する1重量パーセントと50重量パーセントとの間のワックスの濃度を有するワックスとを含む。
【0036】
本方法の他の実施形態は、揮発性有機化合物(VOC)を含まないコーティング組成物で金属基板をコーティングすることを含む。
【0037】
本方法の別の実施形態は、BPA非意図(NI:non―intent)状態を有するコーティング組成物で金属基板をコーティングすることを含む。
【0038】
従来の解決策の欠点に対処するために、本実施形態について、代替的なコーティング及びコーティング/インクの組み合わせを述べると共に、環境に優しい溶媒(ゼロ又は非常に低いVOC)又は無溶媒(ゼロVOC)コーティング及びコーティング/インク組み合わせを用いて、金属表面上のコーティング又はコーティング/インクに損傷を与えることなく、金属の曲げ、折り畳み、及び伸張能力を維持しながら、代替的なコーティング及びコーティング/インク組み合わせを金属(例えば、金属シート、及び金属コイル)へ施す方法を説明する。
【0039】
図1は、一実施形態による例示的なアルミニウムワイン閉じ具18を示す。この種の個々のアルミニウムワイン閉じ具は、直径30mm×長さ60mmの寸法を有することができ、金属の両面に溶媒系コーティングを予め施した平坦な金属シート上に深絞り法を用いて形成することができる。
【0040】
コイル又はフラットシートコーターを用いて金属基板にコーティングを施す。
図2は、コイル状金属にコーティングを施すための例示的なシステムを示す。金属基板20は、コイルコーター工程24への供給時にコイル形態で供給される。金属基板20はアンコイラ26で巻き戻され、入口アキュムレータ28に通されて、コーティング処理列への着実な供給が確実にされる。次いで、非コイル状金属基板20を前処理ステーション30に通し、そこで金属表面を洗浄し、場合によってはその表面エネルギーを増加させるよう処理し、場合によってはサイズ又はベースコートなどのタイコーティングでコーティングする。金属がタイコートで被覆されている場合は、乾燥ステーション32で乾燥された後、コイルコーター24に送られる。コイルコーター24は、主色又は機能性コーティングを金属基板に施す主コーターステーション34を含む。次いで、金属基板上の色(カラー)又は機能性コーティングを硬化炉36で硬化させる。次に、コイルコーター24のトップコートステーション38で、保護オーバーワニス(protective over-varnish)などのトップコートを金属基板に塗布し、仕上げオーブン40で硬化させる。次いで、基板は、被覆金属を迅速に冷却するために水冷ステーション42に入り、その後、適切な張力及び巻き戻し速度で被覆された金属を連続的に巻き戻すことを可能にする出口アキュムレータ44に入る。
【0041】
コーティングコーティング工程は、1回又は複数回のパスで金属基板の片面又は両面に複数のコーティング層を施すことができる。
図3は、一実施形態による金属シートにコーティングを施すための例示的なシステムを示す。
図3に示すように、金属シート50は、シート又はプレート供給機52に貯蔵させてもよい。シート供給機52からは、各金属シート50がコンベア(図示せず)へ送られる。これらシートは、塗布ローラ54でコーティングを施される前に、清浄して表面エネルギーを増加させる(図示せず)ように処理することができる。コーティングの適用中、シートは加圧ローラ56によってその下を支持される。
図3に示すように、コンベヤは、金属シートをベースコータ58の操作に移動させ、ここで金属シート50は塗布ローラ54と加圧ローラ56との間に供給される。コーティングトレー60は、一連のローラ62を用いてコーティング材料を塗布ローラ54に転写し、塗布ローラは、各金属シートにそれが通過する際に塗布を施す。コーティング材料がベースコータ58にて塗布された後、金属シート50は、ウィケットオーブン64へ送られ、これは、個々の金属シートを保持し、オーブンを介して所定の速度で搬送するウィケット66を含む。被覆された金属シートは、所定の温度にてウィケットオーブン64内で加熱され、乾燥され、冷却されて、次いで、シート又はプレートスタッカ68に移される。
【0042】
コーティングは液体であり、これは装飾的、機能的又は装飾的及び機能的目的のために基板(例えば、アルミニウム金属)の内側及び/又は外側に施される結合剤、顔料、染料又はワックスを含み得るが、これらに限定されるものではない。コーティングは、基板を完全に覆う技術を用いて施してもよく、又は基板の選択的な部分を特に覆うように施してもよい。これらは、タイ層コーティングを含み、このタイ層コーティングは透明で、比較的に低い顔料含有コーティングを包含するベースコーティングを含み、その後のコーティングの金属への接着を補助するように施されると共に、これらは装飾目的のためのカラーコーティング、及びカラーコート及び印刷されたアートワークを保護するためのオーバーワニスコーティングを含む。
【0043】
金属パッケージング構成要素の内面及び外面に施されるコーティングは、構成要素の用途に応じて異なる機能を有することができる。例えば、食品に直接接触する金属パッケージング構成要素上の内面コーティングは、食品内容物による腐食から金属を保護し、金属汚染から食品を保護する。内面コーティングには、最終製品の機能性を助ける薬剤も含まれている。例えば、キャップをボトルから取り外すのに必要なトルクを低減するために、スクリューキャップ閉じ具の場合にはワックスのようなスリップ剤を使用することができる。外面コーティングは装飾のために施され、腐食からパッケージ又はパッケージ構成要素を保護し、印刷されたデザインを傷や擦り傷から保護するために施される。
【0044】
インクは、金属と直接接触するか、又はシート供給式オフセット・リソグラフィー・プリンターを使用して金属に予め適用された被膜上で、平坦な金属シートに塗布される。
図4A及び4Bは、インクを金属シートに塗布するための例示的なシステムを示す。一実施形態では、オフセット印刷は、プレートからブランケットに転写され、次いで金属の印刷面に転写されるインク入れ画像からなる。これらのシステムは、紫外線硬化型インクを含む疎水性インクと、像担持体に塗布された水性噴射溶液とを使用するリソグラフィー処理と共に用いることができる。インクは、噴射用液と共にローラを介して像担持体へ供給される。像担持体の非印刷領域は、非印刷領域にインクが付かないように保つためにインクをはじく噴射溶液を引き寄せる。硬化したコーティングの表面にインクを塗布して、固体色又は装飾的な要素を金属に施すことができる。これらのインクは、硬化して、透明オーバーワニスコーティングでオーバーコーティングすることによって保護することができる。
【0045】
図4Aに示すように、金属シート70は、シート又はプレート供給機72に貯蔵されてもよい。シート供給機72から、各金属シート70は、コンベア(図示せず)に送られ、次いでリトグラフコータ73に送られる。コンベアの一方の側にブランケットシリンダ74があり、リトグラフコータ73のコンベアの反対側に加圧ローラ76がある。インク塗布機77は、一連のローラを通じてブランケットシリンダ74にインクを移送する。
図4に示すように、コンベヤは金属シートをリトグラフコータ73に搬送し、ここで金属シート70はブランケットシリンダ74と加圧ローラ76との間を移動し、ブランケットシリンダ74は各金属シートがコンベヤ上を通過するごとにシートにコーティングを施す。リトグラフコータ73でインク入れ画像を受け取った後、金属シート50は、コンベヤの両側に塗布ローラ80と加圧ローラ82とを含むオーバーワニスコータ78に送ることができる。オーバーワニスを貯蔵するワニストレー84が一連のローラ86を介して塗布ローラ80へ塗布し、次いでオーバーワニスは塗布ローラ80を介して金属シートに塗布される。ワニスを受け取った後、被覆された金属シートは、個々の金属シートを保持するウィケット90を含むウィケットオーブン88に送られる。被覆された金属シートは、ウィケットオーブン88内で乾燥され、次いで、シート又はプレートスタッカ92に移される。
【0046】
図4Bの実施形態に示すように、金属シート100は、この金属シート100の一方の側における圧胴シリンダ102と金属シート100の反対側におけるオフセットシリンダ104との間のオフセット印刷アセンブリに供給される。付加的なローラ106を使用して、金属シートを印刷アセンブリへ供給することを支援することもできる。インク塗布機108は、一連のローラを介して
図4Bに示すようにプレートシリンダ110にインクを移送する。水(又は水を含む組成物)を貯蔵する水トレー112が、一連のローラ114を通じてプレートシンダ110に水を塗布する。プレートシリンダ110から、インクはオフセットシリンダ104に移送される。金属シート100が圧胴シリンダ102とオフセットシリンダ104との間にあるとき、オフセットシリンダ104は金属シート100がオフセット印刷アセンブリを通過する際に金属シート100にインクコーティングを施す。
図4Aで説明した上述の実施形態と同様に、インク入れ画像を含む金属シートは、オーバーワニスコータに送られ、次いで硬化のためにオーブンに送られ得る。
【0047】
本システムは、コーティング及びコーティング/インク組み合わせに1つ以上の望ましい特性を与える。かかる特性には、低減された硬化エネルギー、短縮された硬化時間、金属への強い接着性、良好な溶媒耐摩擦性、良好な耐摩耗性、高度の可撓性、250%を超える伸長能力、現実の環境における許容される耐ブロッキング性、及びBPA非意図的(NI)状態が含まれるが、これらに限定されるものではない。本システムは、プレコーティング金属処置工程を含むことができ、これにより疎水性汚染物質を除去し、直接火炎、オゾン、コロナ、及び/又はプラズマや、これらに限定されることのない手段により、表面エネルギーを増加させる。本システムは、コーティング塗布工程を含むこともでき、これはロール、反転ロール、グラビア、乾燥オフセット、湿潤オフセット、スロットダイ、カーテン、ナイフ、ロッド、圧力ロッド及びスプレーコーター技術を特徴とするが、これらに限定されるものではない。このシステムは更に、コーティング後の硬化工程を含むことができ、これは、限定されるものではないが、環境に優しい溶媒の除去を含み、例えば、強制対流を用いる水、強制対流加熱空気、誘導加熱、強制換気と組み合わせた誘導加熱、IRエネルギー、強制換気と組み合わせたIRエネルギー、無線周波数、及び強制換気と組み合わせた無線周波数である。更に、本システムは、硬化した水性コーティングに装飾を施すUVインク印刷工程を含むことができる。インク印刷工程には、オフセットリソグラフィ、フレキソ、インクジェット、ゼログラフィー、及びグラビアが含まれるが、これらに限定されるものではない。インクを硬化させる工程には、水銀蒸気ランプ、鉄ドープ水銀蒸気ランプ、ガリウムドープ水銀蒸気ランプ、蛍光ランプ、及びLEDから発生するUV光が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
この技術を使用することにより、従来の高VOC溶媒コーティング及びインクよりも低いエネルギー及び硬化時間を必要とする環境に優しいコーティング及びインクが得られる。コーティングを施すためのこの改良された硬化効率の例は、
図5に見ることができる。ここでは、本明細書に開示された技術(水性コーティング)と従来の溶媒系コーティングシステムの市販オーブン曲線とを比較している。
【0049】
本明細書に記載の技術を用いて被覆及び装飾された金属は、平坦なシート上で良好に機能し、厳しい深絞り用途のための優れた性能特性を有する。更に、食品安全性に関して、硬化したコーティングはBPI-NI状態を有するように設計することができる。
【0050】
一実施形態によれば、第1の水性コーティング組成物が与えられる。これはエチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、中和塩基、及び脱イオン化水又は軟水を含む。ペレット形態の固体EAAコポリマーを、塩基を包含する加熱水中で撹拌する。化合物の組み合わせを含むことができる塩基は、所望のパーセントのEAAコポリマーのカルボン酸基と反応するように所定の濃度で添加される。種々の相対量のEAA、塩基及び水が、撹拌され適宜の分散温度で使用されて、得られる水性コーティング特性(EAA粒子サイズ及びコーティング粘度を含む)を変化させる。例えば、アクリル酸の中和を30から70モルパーセントへ、水中のEAAコポリマーの濃度を20から43重量パーセント(攪拌強度及び分散温度を一定に保つ)へ変更することにより、15乃至450nmの平均粒径及び75乃至3000000cpの粘度を有する安定なEAA分散液が形成された。次いで、得られた水性分散液は、種々のコーティング塗布工程において最適に機能するように調整することができる。
【0051】
得られたEAAコーティングはアルミニウムに強く接着するが、それ自体へ強く接着する傾向もある。EAAコーティングのこの特性は周知であり、その工業上の主な用途の1つが熱シールコーティングである理由である。個々のシートの互いの接着が望ましくないシート金属コーティング用途では、この特性は「ブロッキング(blocking)」として知られる欠陥をもたらす。ブロッキングは、スタック内の隣接するアルミニウムシートが互いに接着するときに生じる。事実上、シートは互いに結合して商業的処理の困難性、又は廃棄物として廃棄される必要性が生じる。開示された工程は、コーティング製造の前段階工程及びコーティング塗布工程の条件の変化と共に、平坦なシートのスタック内で互いに接触する層のコーティングに対する直接的な修正によってこの問題に対処する。
【0052】
完成部品の要求に応じて、外観又は性能特性を変えるために、EAA被覆された平坦なシート金属は、顔料又はワックスのような他の添加剤を含む単一のコーティングでコーティングすることができる。
【0053】
EAAコーティングは単一コートとして使用することができるが、この技術は多重コート系に適している。金属又は装飾的な色の要求に応じて、透明なサイズコーティング又は「軽く」着色したベースコートからなるタイ層が必要な場合がある。カラーコーティングが必要であり、金属に充分に接着しない場合、第1のEAA分散液からなる透明なサイズコーティングを施し、最初に金属にフィルム形成することができる。このコーティングは、アルミニウムと、任意の数の相溶性顔料、例えば、カラーコーティングと混合された第1のEAA分散液からなる第2のコーティングとに強く接着するように設計されている。更に、カラーコーティングが保護を必要とする場合、又はブロッキング欠陥を引き起こす傾向がある場合、第3のコーティングが適用される。このコーティングは、適合するワックス分散液と混合された第1のEAAコーティングからなることができる。最後に、金属の食品接触側は、食品接触用に認可された顔料及び/又はワックスと混合したBPA-NI EAAコーティングでコーティングして、統合されたパッケージの処理効率又は性能を改善することができる。
【0054】
他の態様は、平坦な金属に塗布されたEAAコーティング上に印刷するための遊離基又はカチオン性UVインクの使用を含む。遊離基UVコーティングは、深絞りプロセスでの使用に必要な伸長特性を有することは一般には知られていないが、本発明者らは、オリゴマー/モノマー系が、金属伸長処理に先だって、及び金属伸長処理の間に、EAAコーティングに強く接着するように設計されていれば、遊離基UVコーティングを首尾よく使用できることを見いだした。実質的に、適切に処方されたUVインクは、高延伸EAAコーティングに「乗り(ride)」、深絞り用途で機能することを可能にする。この試みを用いると、サイズコーティング、ベースコーティング、又は主カラーコーティングは、深絞りに先立って全体的なカラーカバレッジ又は選択的なアートワークを追加するために、フラッドプリント又はスポットプリントのような100パーセント固形UVインキでオーバープリントできる。この技術は、深絞り用途など、金属が歪んだ後に画像を表示するように設計された特殊アートワークの印刷(歪み印刷)を含むことができる。
【0055】
一実施形態によれば、商業的に入手可能な水性コーティング、例えばMichelman 4983R(エチレンアクリル酸コポリマー分散液)、Michelman P1853(エチレンアクリル酸コポリマー分散液)、Michelman 4983RHS(高固形分、Michelman 4983Rの大粒径版)、Michelman MDU20(特許ポリマー分散液)、Dow Adcote 37P295(エチレンビニールアセテートコポリマー分散液)、Dow Adcote 37-220(エチレンコポリマー分散液のアイオノマー)、BASF Joncryl 60(スチレンアクリル樹脂のアンモニア溶液)、BASF Joncryl 74A(アクリルコポリマーエマルジョン)、BASF Joncryl 77(アクリルコポリマーエマルジョン)、BASF Joncryl 89(アクリルコポリマーエマルジョン)、BASF Joncryl 1695(アクリルコポリマーエマルジョン)、DOW HYPOD(商標)8503(高分子量ポリオレフィン分散液)、DOW HYPOD(商標)1001(高分子量ポリオレフィン分散液)、及びDOW HYPOD(商標)9105(高分子量ポリオレフィン分散液)は、単独で又は組み合わせで平坦シート又はコイル状金属に施すためのコーティングとして使用できる。
【0056】
一実施形態によれば、約20.5重量パーセントのアクリル酸含量を有するエチレンアクリル酸コポリマーを使用して水性コーティングが作製される。固体EAAペレットを、アクリル酸官能基の25乃至100モルパーセントを中和するために、水酸化アンモニウムで約15重量パーセントと45重量パーセントとの間の濃度の脱イオン水中で混合する。混合物を攪拌下で約110℃(なお、約85℃から140℃に加熱することもできる)に加熱する。得られたEAA分散液は、平坦なシート又はコイル金属へ施すための一次被覆として使用される。
【0057】
一実施形態では、水性コーティングは、19.5乃至21.5重量パーセントの範囲のアクリル酸含量を有するエチレンアクリル酸コポリマーを使用して作製される。この実施形態では、固形EAAペレットを45重量パーセントの濃度の脱イオン水中にて水酸化アンモニウムで混合して、25モルパーセントのアクリル酸官能基を中和する。混合液を撹拌下で110℃に加熱する。得られたEAA分散液は、平坦な金属又はコイル状金属へ施すための一次被覆として使用される。
【0058】
他の実施形態では、約20.5重量パーセントの範囲のアクリル酸含量を有するエチレンアクリル酸コポリマーを使用して水性コーティングが作製される。固体EAAペレットを15重量パーセントの濃度の脱イオン水中で混合し、110℃に加熱し、攪拌しながら、アクリル酸官能基100モルパーセントを水酸化アンモニウムを用いて中和する。得られたEAA分散液は、平坦なシート又はコイル金属への適用のための一次被覆として使用される。
【0059】
他の実施形態によれば、水性ベース及びカラーコーティングは、1乃至70重量パーセントの顔料対EAAコポリマー固形分の濃度の適切な顔料を、約19.5乃至21.5重量パーセントのアクリル酸と混合したEAAペレットを用いて生成されたEAA分散液水中で20乃至43重量パーセントのEAAの脱イオン水を含み、アクリル酸官能基を水酸化アンモニウムを用いて30乃至70モルパーセント中和させる。得られたEAA分散液は、平坦なシート又はコイル状金属へ施すためのベース又はカラーコーティングとして使用される。
【0060】
他の実施形態によれば、水性保護オーバーワニスコーティングは、19.5乃至21.5重量パーセントのアクリル酸を有するEAAペレットを使用して作製されたEAA水性分散液中に、1乃至50重量パーセントのワックス対全EAAコポリマー固形分の範囲の濃度で、20乃至43重量パーセントの脱イオン水と水中で混合され、アクリル酸官能基が水酸化アンモニウムを用いて30乃至70モルパーセントで中和されたものである。得られたEAA分散液は、コーティングされた平坦な金属シート又はコイルにおけるブロッキングの可能性を最小にする保護ワニスコーティングとして使用される。
【0061】
他の実施形態によれば、19.5乃至21.5重量パーセントのアクリル酸含量を有するエチレンアクリル酸コポリマーを使用して水性コーティングが作製される。固体EAAペレットを25重量パーセントのEAAの脱イオン水中で水酸化アンモニウム及び水酸化ナトリウムと混合してアクリル酸官能基の70モルパーセントを中和し、水酸化ナトリウムを用いて40モルパーセントのアクリル酸官能基を中和し、残りの30モルパーセントを中和するために水酸化アンモニウムを使用する。混合物を攪拌しながら110℃に加熱する。得られたナトリウムイオノマーEAA分散液は、平坦な金属又はコイルへ施すための一次被覆として使用される。
【0062】
他の実施形態によれば、水性系及びカラーコーティングは、適切な顔料を、1乃至70重量パーセントの顔料対全EAAコポリマー固形分の範囲の濃度で、EAAペレット(25乃至40重量パーセントのEAAと混合された約20.5重量パーセントのアクリル酸を有し、且つ水酸化アンモニウム及び水酸化ナトリウムを用いて30乃至70モルパーセントで中和されたアクリル酸官能基を有するもの)を用いて形成されたEAA水性分散液中に混合することによって作製された。水酸化ナトリウムは、中和された全体の30乃至70モルパーセントの0乃至100パーセントを中和するために使用される。得られたEAAナトリウムイオノマー分散液は、平坦な金属又はコイル状金属へ施すためのベース又はカラーコーティングとして使用される。
【0063】
他の実施形態によれば、水性保護オーバーワニスコーティングは、適合性ワックスを、1乃至50重量パーセントのワックス対全コーティング固形分の範囲の濃度で、EAAペレット(25乃至40重量パーセントのEAAで脱イオン水と混合された19.5乃至21.5重量パーセントのアクリル酸を有し、且つ、水酸化アンモニウム及び水酸化ナトリウムを用いて30乃至70モルパーセント中和されたアクリル酸官能基を有する)を用いて生成されたEAA水性分散液中に混合することにより作製された。水酸化ナトリウムは、中和された全体の30乃至70モルパーセントの0乃至100パーセントを中和するために使用される。得られたEAAナトリウムイオノマー分散液は、コーティングされた平坦な金属シート又はコイルにおけるブロッキングの可能性を最小にする保護ワニスコーティングとして使用される。
【0064】
好ましい実施形態によれば、水性保護オーバーワニスコーティングは、適合するワックスを、全EAAコポリマー固形分に対して1乃至50重量パーセントのワックス固形分の範囲の濃度で、EAAペレット(20乃至30重量パーセントのEAAの脱イオン水と混合された19.5乃至21.5重量パーセントアクリル酸を有し、且つ水酸化アンモニウム及び水酸化ナトリウムを用いて65乃至75モルパーセントで中和されたアクリル酸官能基を有する)を用いて生成されたEAA水性分散液中へ混合することにより作製される。水酸化ナトリウムは、中和された全65乃至75モルパーセントの50乃至70パーセントを中和するために使用される。得られたEAAナトリウムイオノマー分散液は、コーティングされた平坦な金属シート又はコイルのブロッキングの可能性を最小にする保護ワニスコーティングとして使用される。
【0065】
特定の実施形態によれば、保護オーバーワニスに使用されるワックスは、カルナウバ又は酸化高密度ポリエチレンであってもよい。他の実施形態では、ワニスに使用されるワックスは、脂肪酸アミド又はビスアミド、モンタン酸エステル、微結晶、パラフィン、酸化低密度ポリエチレン又はフィッシャー・トロプシュワックスであってもよい。これらのワックスは、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0066】
特定の実施形態において、被覆されるべき金属は、コイル形態又はシート形態であり得る。特定の実施形態では、金属は、コーティングの直前に、炎を用いて残留表面汚染物質を除去するように処理することができる。金属はまた、コーティングの前に、プラズマ処理、オゾン処理、又はコロナ処理を使用することによってその表面エネルギーを改質するために処理してもよい。
【0067】
特定の実施形態では、金属は、8011合金などのアルミニウムであってもよい。
【0068】
特定の実施形態では、コーティングは、ダイレクトロールコーター、反転ロールコーター、ロッドコーター、圧力ロッドコーター、スプレーコーター、スロットダイコーター、又はカーテンコーターを使用してコイル状又はシート金属に施すことができる。
【0069】
一実施形態によれば、コーティングは、約0.25ミリグラム/平方インチ(6.45平方センチ)から約15ミリグラム/平方インチ(6.45平方センチ)で施すことができる。本開示において使用される場合、「約」又は「概ね」は所定量の10パーセント以内を意味する。更に、カラーコーティングは、金属表面に直接、又は金属表面上の透明な(サイズコーティング)又は軽く着色された(ベースコーティング)タイ層に施すことができる。一実施形態では、着色層は、ワニス塗膜によって保護することができる。
【0070】
特定の実施形態では、コーティング乾燥機は、金属シートのためのウィケット搬送システム又はシートが平坦なままである熱風強制対流式オーブンを使用する熱風強制対流式オーブンであってもよい。
【0071】
特定の実施形態では、強制空気対流を有する赤外線加熱システム、又は強制的な空気対流を有する誘導加熱システムであり、ここでは金属シートが、ウィケット搬送システムを使用して搬送されるか又はシートが平坦なままである。当該技術分野で知られているように、他の乾燥システムを使用することができる。
【0072】
コーティング乾燥処理中、金属(例えば、アルミニウム)コイル又はシートは、オーブン内で約75°F(23.89℃)の周囲温度から約100°F(37.78℃)乃至約500°F(260℃)の温度に加熱することができる。好ましい実施形態では、アルミニウムコイル又はシートは、周囲温度からオーブン内で約150°F(65.56℃)乃至約250°F(121.11℃)の温度に加熱される。アルミニウムコイル又はシートは、周囲温度から約5乃至120秒で所望の最終温度まで加熱することができる。好ましい実施形態では、アルミニウムコイル又はシートは、周囲温度から20乃至80秒で所望の温度に加熱される
【0073】
特定の実施形態では、水性ポリマーでコーティングされたアルミニウムコイル又はシートは、遊離基UVインク又はカチオンUVインクを用いてオーバープリントされてもよい。
例1:一次EAAコーティング製造
【0074】
観察用に石英窓を備えた2リットルのParrシリーズ4520ベンチトップ撹拌反応器を用いてEAA分散液を調製した。
【0075】
425グラムのPrimacor 59801EAA(The Dow Chemical Company、2030 Dow Center、Midland、MI48674)、1220.4グラムの脱イオン水、54.6グラムのアクアアンモニア28パーセントアイテム511561-1(Hi Valley Chemical、1134W850N、Centerville、UT84014)(60Fでの比重を測定し、重量パーセントのアンモニアに変換することにより25.7パーセントであることが判明した実際の含有率表示)を反応容器に添加して1700グラムの分散液を生成した。反応器ボンベを組み立て、通気口を閉じ、加熱マントルに入れ、反応物が60乃至80℃に達するまで450乃至500rpmで混合しながら加熱し、その時点で混合速度を675rpmに上げた。温度を一定で撹拌しながら110℃まで上昇させ続け、反応器の通気孔を閉止した。バッチを110℃で1時間保持し、全てのEAAを分散させた。
【0076】
EAAが完全に分散した後、加熱マントルを取り外し、攪拌を300乃至450rpmに下げた。EAA分散温度が28乃至35℃に低下するまで、20乃至26℃の水を内部冷却コイルに通すことにより、冷却を開始した。次に、反応器を排気し、分散液をステンレス鋼ビーカーに注ぎ、室温に冷却しながら脱気した。約24時間後、EAA分散液を0.8mmステンレス鋼ストレーナに通してポリエチレン貯蔵容器に入れた。分散液の外観は半透明であった。
例2:一次EAAナトリウムイオノマーコーティング製造
【0077】
観察用の石英窓を備えた2リットルのParrシリーズ4520ベンチトップ撹拌反応器を使用して、EAAナトリウムイオノマー分散液を調製した。
【0078】
435.4グラムのPrimacor 5980I EEA(The Dow Chemical Company,2030 Dow Center,Midland,MI48674)、1201.5グラムの脱イオン水、24.5グラムのアクアアンモニア28パーセントアイテム511561-1(Hi Valley Chemical、1134W850N、Centerville、UT84014)(60Fでの比重を測定し、重量パーセントのアンモニアに変換することにより25.7パーセントであることが判明した実際の含有率表示)及び38.6グラムのナトリウム水酸化物、50パーセント溶液、製造コード110014(Brenntag Specialities Inc.,Camino Sobrante #215,Orinda,CA 94563)を反応容器に添加して1700グラムの分散液を製造した。反応器ボンベを組み立て、通気口を閉じ、加熱マントルに入れ、反応物が60乃至80℃に達するまで450乃至500rpmで混合しながら加熱し、その時点で混合速度を675rpmに上げた。温度を一定で撹拌しながら110℃まで上昇させ続け、反応器の通気孔を閉止した。このバッチを110℃で保持した。温度を1時間上昇させ、全てのEAAを分散させた。
【0079】
EAAが完全に分散した後、加熱マントルを取り外し、攪拌を300乃至450rpmに下げた。EAA分散温度が28乃至35℃に低下するまで、20乃至26℃の水を内部冷却コイルに通すことにより、冷却を開始した。次に、反応器を排気し、分散液をステンレススチールビーカーに注ぎ、室温に冷却しながら脱気した。約24時間後、EAA分散液を0.8mmステンレススチールストレーナに通してポリエチレン貯蔵容器に通した。分散液の外観は半透明であった。例3:Michelman 4983R-ホワイトベースコーティング製造
【0080】
Michem(登録商標)Prime 4983R(Michelman,Inc.,9080 Shell Road,Cincinnati,Ohio)分散液の95グラムをUline(部品番号S-19520)1/2パイント(0.24リットル)錫スズめっき鋼缶に秤量した。ピペットを用いて、5グラムのSun Chemical(WHD-9507)”Sunsperse White 6”(Sun Chemical Corporation,35 Waterview Boulevard,Parsippany,NJ 07054)を分散液に量り入れた。直ちに、700rpmに設定された30mm直径 316 SS軸方向インペラーに嵌合されたCole-Parmerミキサー(Model#50006-01)を用いて、コーティング及び顔料分散液を一緒に混合した。混合速度を700rpmから2000rpmに徐々に増加させた。2000rpmに達したら、更に60秒間混合を続けた。次いで、缶を錫めっきした鋼製の蓋を用いて保管するために閉じた。
例4:一次EAA-白色ベースコーティング製造
【0081】
例1で作製したEAA分散液95グラムをUline(部品番号S-19520)1/2パイント(0.24リットル)錫めっき鋼缶に秤量した。ピペットを用いて、5グラムのSun Chemical(WHD-9507)”Sunsperse White 6”(Sun Chemical Corporation,35 Waterview Boulevard,Parsippany,NJ07054)を分散液に量り入れた。直ちに、700rpmに設定された30mm直径 316 SS軸方向インペラーに嵌合されたCole-Parmerミキサー(Model#50006-01)を用いて、コーティング及び顔料分散液を一緒に混合した。混合速度を700rpmから2000rpmに徐々に増加させた。2000rpmに達したら、更に60秒間混合を続けた。次いで、缶を錫めっきした鋼製の蓋を用いて保管するために閉じた。
例5:一次EAAナトリウムイオノマー-白色ベースコーティング製造
【0082】
例2で作製したEAA分散液95グラムをUline(部品番号S-19520)1/2パイント(0.24リットル)錫めっき鋼缶に秤量した。ピペットを用いて、5グラムのSun Chemical(WHD-9507)”Sunsperse White 6”(Sun Chemical Corporation,35 Waterview Boulevard,Parsippany,NJ07054)を分散液に量り入れた。直ちに、700rpmに設定された30mm直径 316 SS軸方向インペラーに嵌合されたCole-Parmerミキサー(Model#50006-01)を用いて、コーティング及び顔料分散液を一緒に混合した。 混合速度を700rpmから2000rpmに徐々に増加させた。2000rpmに達したら、更に60秒間混合を続けた。次いで、缶を錫めっきした鋼製の蓋を用いて保管するために閉じた。
例6:Michelman 4983R-カラーコーティング製造
【0083】
Michem(登録商標)Prime 4983R EAA分散液87グラムをUline(部品番号S-19520)1/2パイント(0.24リットル)錫めっき鋼缶に秤量した。ピペットを用いて、13グラムのSun Chemical(BPD-0015)”Sunsperse Blue 15:3”(Sun Chemical Corporation,35 Waterview Boulevard,Parsippany,NJ07054)を分散液に量り入れた。直ちに、700rpmに設定された30mm直径 316 SS軸方向インペラーに嵌合されたCole-Parmerミキサー(Model#50006-01)を用いて、コーティング及び顔料分散液を一緒に混合した。混合速度を700rpmから2000rpmに徐々に増加させた。2000rpmに達したら、更に60秒間混合を続けた。次いで、缶を錫めっきした鋼製の蓋を用いて保管するために閉じた。
例7:一次EAA-カラーコーティング製造
【0084】
例1で作製したEAA分散液87グラムをUline(部品番号S-19520)1/2パイント(0.24リットル)錫めっき鋼缶に秤量した。ピペットを用いて、13グラムのSun Chemical(BPD-0015)”Sunsperse Blue 15:3”(Sun Chemical Corporation,35 Waterview Boulevard,Parsippany,NJ07054)を分散液に量り入れた。直ちに、700rpmに設定された30mm直径 316 SS軸方向インペラーに嵌合されたCole-Parmerミキサー(Model#50006-01)を用いて、コーティング及び顔料分散液を一緒に混合した。混合速度を700rpmから2000rpmに徐々に増加させた。2000rpmに達したら、更に60秒間混合を続けた。次いで、缶を錫めっきした鋼製の蓋を用いて保管するために閉じた。
例8:一次EAAナトリウムイオノマー-カラーコーティング製造
【0085】
例2で作製したEAA分散液87グラムをUline(部品番号S-19520)1/2パイント(0.24リットル)錫めっき鋼缶に秤量した。ピペットを用いて、13グラムの”Sunsperse Blue 15:3”,BPD-0015(Sun Chemical Corporation,35 Waterview Boulevard,Parsippany,NJ07054)を分散液に量り入れた。直ちに、700rpmに設定された30mm直径 316 SS軸方向インペラーに嵌合されたCole-Parmerミキサー(Model#50006-01)を用いて、コーティング及び顔料分散液を一緒に混合した。混合速度を700rpmから2000rpmに徐々に増加させた。2000rpmに達したら、更に60秒間混合を続けた。次いで、缶を錫めっきした鋼製の蓋を用いて保管するために閉じた。
9:カルナウバワックス分散体の製造
【0086】
550グラムの”GC-704 CWE Carnauba WAX Emulsion”(Green Chem Coatings,Bishop,GAME)を1200mLのVollrathステンレス鋼ビーカーに入れ、周囲温度にて400rpmで撹拌した。330グラムの脱イオン水をゆっくりと添加して、安定な25パーセント固体カルナウバワックスエマルションを得た。分散液を周囲温度で60秒間混合し、次いで0.8mmのステンレス鋼ストレーナに通して保存用ポリエチレン容器に通した。
例10:一次EAA-オーバーワニスコーティング製造
【0087】
例1で作製したEAA分散液90グラムをUline(部品番号S-19520)1/2パイント(0.24リットル)錫スズめっき鋼缶に秤量した。ピペットを用いて、例9で作成した「カルナウバワックス分散液」10gを分散液中に量り入れた。直ちに、700rpmに設定された30mm直径 316 SS軸方向インペラーに嵌合されたCole-Parmerミキサー(Model#50006-01)を用いて、コーティング及びワックス分散液を一緒に混合した。混合速度を700rpmから2000rpmに徐々に増加させた。2000rpmに達したら、更に60秒間混合を続けた。次いで、缶を錫めっきした鋼製の蓋を用いて保管するために閉じた。
例11:一次EAAナトリウムイオノマー-オーバーワニスコーティング製造
【0088】
例2で作製したEAA分散液90グラムをUline(部品番号S-19520)1/2パイント(0.24リットル)錫スズめっき鋼缶に秤量した。ピペットを用いて、例9で作成した「カルナウバワックス分散液」10gを分散液中に量り入れた。直ちに、700rpmに設定された30mm直径 316 SS軸方向インペラーに嵌合されたCole-Parmerミキサー(Model#50006-01)を用いて、コーティング及びワックス分散液を一緒に混合した。混合速度を700rpmから2000rpmに徐々に増加させた。2000rpmに達したら、更に60秒間混合を続けた。次いで、缶を錫めっきした鋼製の蓋を用いて保管するために閉じた。
例12:ラボコーティングアルミニウムパネル-Michelman 4983Rカラーコーティング
【0089】
0.009インチ(0.02センチ)厚の33.33インチ(84.66センチ)×35.72インチ(90.73センチ)の市販のシート8011合金アルミニウムから4インチ(10.16センチ)×15インチ(38.1センチ)のラボシートを切断する。プロパントーチを使用して疎水性汚染物質を除去し、その表面エネルギーを増加させるために、燃焼実験パネルを使用する。燃焼後24時間以内に、慎重にラボシートをドローダウンプレート上に置いた。スプリング付きクリップを使用して、ラボシートをドローダウンプレートに固定した。ラボシートの幅方向に清潔なMeyer#10ロッドを配置した。約5mLの「例6」カラーコーティングを、Meyerロッドの直前のラボシートに注意深くピペットで入れた。滑らかで均一な動きを用いて、Meyerロッドをラボシートの長手方向に端部まで引っ張った。ラボオーブン(Sheldon Ovens#SM05 89409-456)でオーブン硬化する前に、ドローダウンプレートから被覆されたラボシートを取り出し、ホルダーに置いた。被覆されたラボシート及びホルダーを210°F(99.8℃)の空気温度のオーブンに60秒間置いた。乾燥したラボシートをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却した。更なる試験及び深絞り性能のために、コーティングされたラボシートを保管した。
【0090】
「コーティング厚さ」、「Sutherland摩擦」、「Taberコーティング接着力」、及び「ブロッキング」のために平坦なラボシートを試験した。
【0091】
コーティング厚さは、ElektroPhysik Mini Test 720(ElektroPhysik Dr.Steingroever GmbH & Co. KG,Pasteurstr.15,50735 ケルン,ドイツ)を用いて、4インチ(10.16センチ)×15インチ(38.1センチ)パネル上の6箇所を測定することによって決定した。
【0092】
Sutherland摩擦は、Sutherland摩擦試験機Model 2000(Danilee Co.,LLC,27223 Starry Mountain,San Antonio,TX 78260)のゴムベースパッド上に矩形を固定して、6インチ(15.24センチ)×2.5インチ(6.35センチ)の長方形に被覆パネルを切断することによって行い、41b重量に3M 261Xラッピングフィルム(Electronics Markets Materials Division 3M Electronics 3M Center,Building 21-1 W-10,900 Bush Avenue St.Paul,MN 55144)の片を取り付け、41b重量を6インチ(15.25センチ)×2.5インチ(6.35センチ)の長方形パネルを使用し、サンプルを速度設定4で500サイクル摩擦した。次いで、試料を、
図6に示すSutherland摩擦ランキング等級スケールを用いてランク付けした。全ての結果において、低いスコアは高いスコアよりも優れている。
【0093】
Taberコーティング接着試験は、コーティングされたパネルを6インチ(15.25センチ)×1.5インチ(3.81センチ)の矩形に切断し、Gardco接着試験多重歯カッター(Paul N.Gardner Company Inc.,316 N.E.First Street, Pompano Beach,FL 33060)を用いてコーティングを通じてクロスハッチパターンに切断し、PA-280630テープ(Interpolymerにより製造され、Paul N.Gardner Company Inc.により販売されている)の新鮮なストリップをグリッド上に置き、指でクロスハッチ上のテープを平滑化し、平滑化後に60乃至120秒間テープを完全にサンプルに付着させ、サンプルのテープを素早く引き剥がした。これにはパネルの表面に平行に近い力を使用した。次いで、試料を、
図7に示すTaber接着等級スケールを用いてランク付けした。結果については、低いスコアは高いスコアよりも優れている。
【0094】
ブロッキング試験は、被覆されたパネルを5つの4インチ(10.16センチ)×2.5インチ(6.35センチ)の長方形に切断し、長方形を互いに積み重ね、129°F(53.89℃)予熱したオーブンに入れ、重量11ポンド(4989.52グラム)をオーブンからサンプルを引き上げてオーブンから抜き取り、オーブンから取り出して5分以内に次の等級スケール(全ての結果がLTBより低い)を用いた。
【表1】
【0095】
【0096】
ラボ3ドロープレスを使用して、平坦シートから直径30mm、長さ60mmのシェルを作成した。
【0097】
少量のミネラルオイルを清浄で糸屑のない布に塗布し、塗装されたシートの両面を擦って潤滑鉱物油の軽い層を塗布した。潤滑シートを第1のドローステーションに置き、直径約52mm、高さ約29mmの第1のドローシェルを作製した。
【0098】
第1のドローシェルが受け入れ可能であれば、それを第2のドローステーションに移動し、ドローツールにシェルを置いた。直径約39mm、高さ約45mmの第2ドローシェルを作成した。
【0099】
第2のドローシェルが受け入れ可能な場合は、第3のドローステーションに移動し、シェルをドローツールに置いた。直径約30mm、高さ約60mmの第3のドローシェルを作成した。
【0100】
平坦なシートから30×60の形状までの引き抜きに耐えたコーティングを有するシェルについては、「トップラブ」及び「ソルベントラブ」試験を行って、コーティングの耐久性を判定した。
【0101】
シェルトップ摩擦試験は、Digital Ink Rub Tester、Model 10-18(Testing Machines Inc.,40 McCullough Drive,New Castle,DE 19720)のゴムベースパッド上に磨耗した厚紙片を置くことによりなされた。シェルホルダー固定具をテスターに固定し、上面側が段ボールに接触するようにシェルを固定具に置き、摩擦テスターを休止することなく500サイクルで作動させた。摩擦したシェルは、
図8に示す等級スケールを用いてランク付けした。このランク付けでは、低いスコアは高いスコアよりも優れている。
【0102】
シェル溶媒摩擦試験は、1680 Glass Packaging Instituteの仕上げを有するガラス瓶にシェルを置き、非常に安定した圧力をかけて、70パーセントイソプロピルアルコール(IPA)に浸漬した約2インチ(5.08センチ)×約3インチ(7.62センチ)の長方形ペーパータオルによりシェルを手で擦り、30サイクルに亘って前後往復させた。摩擦されたシェルは、
図9に示される等級スケールを用いてランク付けした。このランク付けでは、低いスコアは高いスコアよりも優れている。
【0103】
結果を表Bに示す。
【表3】
例13:ラボコーティングアルミニウムパネル-一次EAAカラーコーティング
【0104】
0.009インチ厚の8011合金アルミニウムの33.33インチ(84.66センチ)×35.72インチ(90.73センチ)の市販のシートから4インチ(10.16センチ)×15インチ(38.1センチ)のラボシートを切断する。プロパントーチを使用して疎水性汚染物質を除去し、その表面エネルギーを増加させるために、ラボパネルを炎に晒した。炎に晒した後24時間以内に、慎重にラボシートをドローダウンプレート上に置いた。スプリング付きクリップを使用して、ラボシートをドローダウンプレートに固定した。ラボシートの幅方向に清潔なMeyer#10ロッドを配置した。約5mLの「例7」カラーコーティングを、Meyerロッドの直前のラボシートに注意深くピペットで入れた。滑らかで均一な動きにより、Meyerロッドをラボシートの長手方向に引いた。ラボオーブン(Sheldon Ovens#SMO5 89409-456)でオーブン硬化する前に、ドローダウンプレートから被覆されたラボシートを取り出し、ホルダーに置いた。被覆されたラボシート及びホルダーを210°F(98.9℃)の空気温度のオーブンに60秒間置いた。乾燥したラボシートをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却させた。更なる試験及び深絞り性能のために、被覆されたラボシートを保管した。
【0105】
例12に記載の方法を用いて、平坦なラボシートをTaberコーティング接着、Sutherland摩擦、コーティング厚さ、及びブロッキングについて試験した。結果を表Cに示す。
【表4】
【0106】
ラボ3ドロープレスを使用して、シートから直径30mm、長さ60mmのシェルを作成した。(方法については例12を参照)。
【0107】
平坦なシートから30×60の形状までの引き抜きに耐えたコーティングを有するシェルについては、例12に記載の方法を用いて、「トップ摩擦」及び「溶媒摩擦」試験を行い、コーティングの耐久性を測定した。結果を表Dに示す。
【表5】
例14:ラボコーティングアルミニウムパネル-一次EAAサイズ及びカラーコーティング
【0108】
0.009インチ(0.023センチ)厚の8011合金アルミニウムの33.33インチ(84.66センチ)×35.72インチ(90.73センチ)の市販のシートから4インチ(10.16センチ)×15インチ(38.1センチ)のラボシートを切断した。プロパントーチを使用して疎水性汚染物質を除去し、その表面エネルギーを増加させるためにラボパネルを炎に晒した。炎に晒した後24時間以内に、慎重にラボシートをドローダウンプレート上に置いた。スプリング付きクリップを使用して、ラボシートをドローダウンプレートに固定した。ラボシートの幅方向に清潔なMeyer#5ロッドを配置した。約5mLの「例1」のサイズコーティングを、Meyerロッドの直前のラボシートに注意深くピペットで入れた。滑らかで均一な動きを用いて、Meyerロッドをラボシートの長手方向に引いた。湿った被覆されたラボシート及びホルダーを、250°F(121℃)に予熱したオーブンに60秒間置いた。乾燥したラボシートをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却させた。
【0109】
スプリング付きクリップを使用して、硬化されたサイズコーティングラボシートをドローダウンプレート上に固定した。ラボシートの幅方向に清潔なMeyer#10ロッドを配置した。約5mLの「例7」のカラーコーティングを、Meyerロッドの直前のラボシートに注意深くピペットで入れた。滑らかで均一な運動を用いて、Meyerロッドをラボシートの長手方向に引いた。ラボオーブン(Sheldon Ovens#SMO5 89409-456)でオーブン硬化する前に、ドローダウンプレートから被覆されたラボシートを取り出し、ホルダーに置いた。被覆されたラボシート及びホルダーを210°F(98.9℃)の空気温度のオーブンに60秒間置いた。乾燥したラボシートをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却させた。
【0110】
更なる試験及び深絞り性能のために、被覆されたラボシートを保管した。例12に記載の方法を用いて、平坦なラボシートをTaberコーティング接着、Sutherland摩擦、コーティング厚さ、及びブロッキングについて試験した。結果を表Eに示す。
【表6】
【0111】
ラボ3ドロープレスを使用して、シートから直径30mm、長さ60mmのシェルを作成した。(方法については例12を参照)。
【0112】
平坦なシートから30×60の形状までの引き抜きに耐えたコーティングを有するシェルについては、例12に記載の方法を用いて、「トップ摩擦」及び「溶媒摩擦」試験を実施して、コーティングの耐久性を判定した。結果を表Fに示す。
【表7】
例15:ラボコーティングアルミニウムパネル-一次EAAサイズ、色及びオーバーワニスコーティング
【0113】
0.009インチ(0.023センチ)厚の8011合金アルミニウムの33.33インチ(84.66センチ)×35.72インチ(90.73センチ)の市販シートから4インチ(10.16センチ)×15インチ(38.1センチ)のラボシートを切断した。プロパントーチを使用して疎水性汚染物質を除去し、その表面エネルギーを増加させるために、ラボパネルを炎に晒した。炎に晒した後24時間以内に、慎重にラボシートをドローダウンプレート上に置いた。スプリング付きクリップを使用して、ラボシートをドローダウンプレートに固定した。ラボシートの幅方向に清潔なMeyer#5ロッドを配置した。約5mLの「例1」のサイズコーティングを、Meyerロッドの直前のラボシートに注意深くピペットで入れた。滑らかで均一な動きを用いて、Meyerロッドをラボシートの長手方向に引いた。被覆されたラボシート及びホルダーを210°F(98.9℃)の空気温度のオーブンに60秒間置いた。乾燥したラボシートをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却させた。
【0114】
スプリング付きクリップを使用して、硬化されサイズコーティングされたラボシートをドローダウンプレート上に固定した。ラボシートの幅方向に清潔なMeyer#10ロッドを配置した。約5mLの「例7」のカラーコーティングを、Meyerロッドの直前のラボシートに注意深くピペットで入れた。滑らかで均一な動きを用いて、Meyerロッドをラボシートの長手方向に引いた。ラボオーブン(Sheldon Ovens#SMO5 89409-456)でオーブン硬化する前に、ドローダウンプレートから被覆されたラボシートを取り出し、ホルダーに置いた。被覆されたラボシート及びホルダーを210°F(98.9℃)の空気温度のオーブンに60秒間置いた。乾燥したラボシートをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却させた。
【0115】
スプリング付きクリップを使用して、硬化したサイズとカラーコーティングしたラボシートをドローダウンプレートに固定した。ラボシートの幅方向に亙って清潔なMeyer#10ロッドを配置した。約5mLの「例10」のオーバーワニスコーティングを注意深くピペットで加え、Meyerロッドの直前のラボシート上にコーティングを施した。滑らかで均一な動きを用いて、Meyerロッドをラボシートの長手方向に引いた。ラボオーブン(Sheldon Ovens#SMO5 89409-456)でオーブン硬化する前に、ドローダウンプレートから被覆されたラボシートを取り出し、ホルダーに置いた。被覆されたラボシート及びホルダーを210°F(98.9℃)の空気温度のオーブンに60秒間置いた。乾燥したラボシートをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却させた。更なる試験及び深絞り性能のために、被覆されたラボシートを保管した。
【0116】
例12に記載の方法を用いて、平坦なラボシートをTaberコーティング接着、Sutherland摩擦、コーティング厚さ、及びブロッキングについて試験した。結果を表Gに示す。
【表8】
【0117】
ラボ3ドロープレスを使用して、シートから直径30mm、長さ60mmのシェルを作成した。(方法については例12を参照)
【0118】
平坦なシートから30×60のシェルまでの引き抜きに耐えたコーティングについて、例12に記載の方法を用いて「トップ摩擦」及び「溶媒摩擦」試験を実施して、コーティングの耐久性を測定した。結果を表Hに示す
【表9】
例16:ラボコーティングアルミニウムパネル-一次EAAナトリウムイオノマーのサイズ、色及びオーバーワニスコーティング
【0119】
0.009インチ(0.023センチ)厚の8011 合金アルミニウムの33.33インチ(84.66センチ)×35.72インチ(90.73センチ)の市販のシートから4インチ(10.16センチ)×15インチ(38.1センチ)のラボシートを切断した。プロパントーチを使用して疎水性汚染物質を除去し、その表面エネルギーを増加させるために、ラボパネルを炎に晒した。炎に晒した後24時間以内に、慎重にラボシートをドローダウンプレート上に置いた。スプリング付きクリップを使用して、ラボシートをドローダウンプレートに固定した。ラボシートの幅方向に清潔なMeyer#5ロッドを配置した。約5mLの「例2」のサイズコーティングを、Meyerロッドの直前のラボシートに注意深くピペットで入れた。滑らかで均一な動きを用いて、Meyerロッドをラボシートの長手方向に引いた。被覆されたラボシート及びホルダーを210°F(98.9℃)の空気温度のオーブンに60秒間置いた。乾燥したラボシートをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却させた。
【0120】
スプリング付きクリップを使用して、硬化されたサイズコーティングされたラボシートをドローダウンプレート上に固定した。ラボシートの幅方向に清潔なMeyer#10ロッドを配置した。約5mLの「例8」のカラーコーティングを、Meyerロッドの直前のラボシートに慎重にピペットで入れた。滑らかで均一な動きを用いて、Meyerロッドをラボシートの長手方向に引いた。ラボオーブン(Sheldon Ovens#SMO5 89409-456)でオーブン硬化する前に、ドローダウンプレートから被覆されたラボシートを取り出し、ホルダーに置いた。被覆されたラボシート及びホルダーを210°F(98.9℃)の空気温度のオーブンに60秒間置いた。乾燥したラボシートをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却した。
【0121】
スプリング付きクリップを使用して、硬化したサイズ及びカラーコーティングされたラボシートをドローダウンプレートに固定した。ラボシートの幅方向に清潔なMeyer#10ロッドを配置した。慎重に約5mLの「例11」のオーバーワニスコーティングを、マイヤーロッドの直前のラボシート上にピペットで入れた。滑らかで均一な動きを用いて、Meyerロッドをラボシートの長手方向に引いた。ラボオーブン(Sheldon Ovens#SMO5 89409-456)でオーブン硬化する前に、ドローダウンプレートから被覆されたラボシートを取り出し、ホルダーに置いた。被覆されたラボシート及びホルダーを210°F(98.9℃)の空気温度のオーブンに60秒間置いた。乾燥したラボシートをオーブンから取り出し、周囲温度まで冷却した。更なる試験及び深絞り性能のために、被覆されたラボシートを保管した。
【0122】
例12に記載の方法を用いて、平坦なラボシートをTaberコーティング接着、Sutherland摩擦、コーティング厚さ、及びブロッキングについて試験した。結果を表Iに示す。
【表10】
【0123】
ラボ3ドロープレスを使用して、シートから直径30mm、長さ60mmのシェルを作成した。(方法については例12を参照)
【0124】
平坦なシートから30×60のシェルまでの引き抜きに耐えたコーティングについて、例12に記載の方法を用いて「トップ摩擦」及び「溶媒摩擦」試験を実施して、コーティングの耐久性を測定した。結果を表Jに示す。
【表11】
例17:硬化処理結果-時間及び温度
【0125】
ベース上のベースコーティング(例5参照)、カラーコーティング(例8参照)、及びカラー上のオーバーワニスコーティング(例11参照)を硬化させるのに必要な許容可能な時間及び温度を決定するためにアレイ(表K参照)を設計した。サイズコーティングがベースコーティングに置き換えられていることを除いて、コーティングを例16に挙げたのと同じ方法を用いてパネルに適用した。
【表12】
【0126】
ラボパネルをベースで被覆し、アレイに列挙されたパネル開始温度、滞留時間及びパネル最終温度を用いて硬化させた。ベース被覆されたサンプルを冷却し、カラーコーティングでオーバーコートし、次いで、表Kに列挙したのと同じ硬化温度及び時間を用いて硬化させた。カラー被覆されたサンプルを冷却し、オーバーワニスでオーバーコートし、表Kに列挙したのと同じ硬化温度及び時間を用いて硬化させた。次いで、平坦なパネルを、コーティング厚さ、Sutherland摩擦、Taberコーティング接着及びブロッキング性能を、例12に記載の方法を用いて評価した。結果を表Lに示す。
【表13】
【0127】
最小限に許容される硬化被覆特性を有する全ての被覆パネルを、3ドローラボプレス(例12に記載の方法)を用いて直径30mm×高さ60mmのシェルに引き抜いた。次いで、引き抜き工程に耐えたコーティングを有するシェルを、例12に記載の方法を用いて、「トップ摩擦」及び「溶媒摩擦」性能について試験した。これらの試験の結果を表Mに示す。
【表14】
例18:コーティング化学工程の結果
【0128】
表Nは、分散粒子サイズ、イオノマーカチオンタイプ、イオノマー化パーセント、アクリル酸対エチレン比、及びワックス量が最終コーティング性能をどのように変化させるかを示す。
【表15】
【0129】
Sunspers Blue 15:3顔料分散液を適切な量のEAA分散液と混合して、51パーセントのEAA固形分に顔料を混合させることにより、24回の試験コーティングのそれぞれからカラーコーティングを作製した。先の例の場合と同様に、700rpmに設定された30mm直径の316SS軸方向インペラーに嵌合されたCole-Parmerミキサー(Model#50006-01)で混合することにより、Uline(部品番号S-19520)1/2パイント(0.24リットル)錫めっきスチール缶でサンプルを作製した。混合速度を700rpmから2000rpmに徐々に増加させた。2000rpmに達したら、更に60秒間混合を続けた。次いで、缶を錫めっきした鋼製の蓋を用いて保管するために閉じた。
【0130】
被覆したラボパネルを作製し、210F(98.89℃)にて空気中で60秒間加熱した。次いで、平坦なパネルを、例12に記載の方法を用いて、Taberコーティング接着性、Sutherland摩擦、コーティング厚さ、及びブロッキング性能について試験した。結果を表Oに示す。
【表16】
【0131】
各試験のための被覆された平坦な金属を、例12に記載の方法を用いて引き、30mm直径×60mm高さのシェルにした。次いで、引張試験に耐えたコーティングを有するシェルを例12に記載の方法を用いて、「トップ摩擦」及び「溶媒摩擦」性能について試験した。これらの試験の結果を表Pに示す。
【表17】
例19:市販のロールコーティングアルミニウムパネル-一次EAAナトリウムイオノマー ベース/カラー/オーバーワニス及びインテリアラッカーコーティング
【0132】
60ガロン(227.1リットル)の反応器で調製した一次EAAナトリウムイオノマー(例2を作成するために用いたのと同じ処方)を用いて、各コーティング(ホワイトベース、カラー、オーバーワニス)5ガロン(18.9リットル)を製造した。「ホワイトベースコーティング」は、37.9ポンド(17.2キログラム)の一次EAAナトリウムイオノマーに2.1ポンド(953グラム)の「Sunsperse White 6」を撹拌しながら添加し、均質な組成物に混合し、次いで150ミクロンのバッグを通してプラスチックの5ガロン(18.9リットル)の缶に濾過することによって調製した。「カラーコーティング」は、34.6ポンド(15.7キログラム)の一次EAAナトリウムイオノマーに攪拌しながら5.4ポンド(2.4キログラム)の「Sunsperse Blue 15:3」を添加し、均質な組成物に混合し、次いで150ミクロンのバッグを通してプラスチックの5ガロン(18.9リットル)の缶に濾過することによりを調製した。「オーバーワニス」は、4.2ポンド(1.9キログラム)のカルナウバワックス分散液(例9を作製するために用いたのと同じ処方)を35.8ポンド(16.2キログラム)の一次EAAナトリウムイオノマーに撹拌しながら添加し、均質な組成物に混合し、次いで150ミクロンのバッグを通してプラスチック製の5ガロン(18.9リットル)の缶に濾過することにより調整した。
【0133】
0.009インチ(0.023センチ)厚の35.7インチ(90.68センチ)×33.3インチ(84.58センチ)の平坦な8011アルミニウムシートを取り扱うことができる市販のダイレクトロールコーターをセットアップした。72rpmで回転する直径12インチ(30.48センチ)のウレタンコーティング塗布ローラを使用して毎分60シートにてコーターを作動させた。コーティングをシートに施した直後に、それを乾燥させ、
図10に示す時間/温度プロファイルを有するWagner Lithoオーブン内でEAAフィルムを形成した。
【0134】
施された最初のコーティングは白色ベースであった。このコーティングをウィケット搬送オーブンで硬化させ、ベース塗膜を元の配向に戻してコーター供給系に送り返した。液体ベースコーティングをロールコーターシステムから取り出し、システムを水で洗浄し、カラーコーティングで下塗りした。次いで、ベースコーティングされたシートをカラーコーティングでオーバーコートし、同じオーブン曲線を用いて硬化させた。硬化したシートを再び反転させることなくコーター供給に戻し、システムを液体カラーコートからパージして、水で洗浄し、オーバーワニス(内側ラッカーとして使用)で下塗りした。「内側ラッカー」を地金(露出金属面)に塗布し、同じオーブン曲線を使用して硬化させ、最後のオーバーワニス塗布のために、ひっくり返すことなくコーターフィードに戻した。内側ラッカーとオーバーワニスコーティングが同じであったため、これらのコーティング用途の間にシステムのパージ又は洗浄は必要ではなかった。オーバーワニスされたサンプルは、スクリューキャップ製造用の金属コーティングを完成させるのと同じオーブン曲線を有する硬化オーブンを通して供給された。
【0135】
約500枚の完全に被覆されたシートをパレット上に積み重ね、更なる処理のために商業的なスクリューキャップ製造施設にトラックで輸送した。キャップ製造会社に到着すると、ブロックテストが設定された。これは、500枚のパレットに温度センサを置き、500枚のシートの上に市販の標準的な900ポンド(408.2キログラム)のパレットを設定し、パレットを収納庫に保管することによって行われた。パレットは収納庫内に4日間留まり、温度は70°F(21.11℃)から110°F(43.33℃)の間で変動した。4日後、900ポンド(408.2キログラム)のパレットを取り除き、500枚のシートをブロッキングがないか検査した。ブロッキングを生じたシートはなかった。
【0136】
商業的なスクリューキャップ成形ライン上でシートを走らせる前に、例12に記載した方法を用いて、平坦に被覆された金属をTaberコーティング接着性、Sutherland摩擦、コーティング厚さ及びブロッキングについて試験した。結果を以下の表Qに示す。
【表18】
【0137】
平坦なシートを試験した後、商業的な製造ラインを通してスクリューキャップを作製した。キャップを例12に記載の方法を用いて「トップ摩擦」及び「溶媒摩擦」性能について試験した。これらの試験の結果を表Rに示す。
【表19】
【0138】
キャップを、標準GPI 1680仕上げを有するボトルに嵌めた。
【0139】
キャップ嵌めは、Andre Zalkin Model TM3、シングルヘッドキャッパー(5 Route Andre Zalkin,27390 Montreuil-l’ Argille,フランス)を用いて行った。このキャッパーには、Zalkin 30×60 Stelvin型キャッパーヘッドが取り付けられ、業界標準のトップロード、スレッドローラー、スレッドローラーフォース、開栓ローラー、開栓ローラーフォース、及び改造設定を用いてセットアップされた。キャップをされた試料を24時間放置し、次いでTorqo II(Mesa Labs,12100 West 6th Ave. Lakewood,CO 80228)を用いてスリップトルク及び破壊トルクを試験した。その結果を表Sに示す。
【表20】
【0140】
キャップを取り外した後、内側ラッカーを目視検査して、キャップ取り付け及びキャップ取り外し工程がコーティングを損傷したか否かを判定した。コーティングの剥離又は除去は観察されなかった。
【0141】
上述した様々な実施形態は、説明のみのために与えられたものであり、特許請求する発明を限定するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、本明細書に例示して説明した例示的な実施形態及び用途に従わずに、且つ特許請求の範囲に記載の発明の真の要旨及び範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲に記載の発明に対してなされ得る様々な改変及び変更を容易に認識するであろう。これは以下の請求項に記載されている。