(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】自己消化性及び改善された加工性を有する芳香族ビニルポリマーを含有する発泡性組成物
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20230116BHJP
C08L 25/00 20060101ALI20230116BHJP
C08L 101/04 20060101ALI20230116BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20230116BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20230116BHJP
C08F 2/18 20060101ALI20230116BHJP
C08F 12/00 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
C08J9/04 103
C08J9/04 CET
C08L25/00
C08L101/04
C08K5/13
C08K3/04
C08F2/18
C08F12/00 510
(21)【出願番号】P 2018555600
(86)(22)【出願日】2017-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2017067128
(87)【国際公開番号】W WO2018007602
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】102016000071347
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】508128303
【氏名又は名称】ベルサリス、ソシエタ、ペル、アチオニ
【氏名又は名称原語表記】VERSALIS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100196298
【氏名又は名称】井上 高雄
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ ポンティチェロ
(72)【発明者】
【氏名】ダリオ ギドーニ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ パスカリ
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-007156(JP,A)
【文献】特表2013-514397(JP,A)
【文献】特開昭60-206845(JP,A)
【文献】特表2016-505076(JP,A)
【文献】特開2016-017165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/04
C08L 25/00
C08L 101/04
C08K 5/13
C08K 3/04
C08F 2/18
C08F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマーを含有するポリマーマトリックスと、
b)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.1重量%から20重量%までの熱線吸収剤、ここで前記熱線吸収剤は
コークスから選択されてなる、と、
c)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.1重量%から4重量%までの、少なくとも一つの非ポリマー臭素化難燃添加剤
、ここで前記非ポリマー臭素化難燃添加剤がビスフェノールAの誘導体及びその混合物から選択される、と、
d)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された
0.1重量%から
4.0重量%までの、少なくとも一つの、臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマー
、ここで前記少なくとも一つの臭素化ポリマーが臭素を少なくとも50%含有する臭素化スチレン-ブタジエンブロックコポリマーである、と、
e)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.01重量%から5重量%までの相乗的難燃添加剤と、
f)1重量%から10重量%までの少なくとも一つの発泡剤と、
を含む、
発泡性顆粒の形態の発泡性ポリマー組成物。
【請求項2】
前記非ポリマー臭素化難燃添加剤の量が、0.2重量%から2.3重量%までの範囲であり、且つ前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記臭素化ポリマーの量が、0.25重量%から0.8重量%までの範囲であり、且つ前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、請求項
1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記非ポリマー臭素化難燃添加剤がビスフェノールAの誘導体から選択されてなる、請求項1
~3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記ビスフェノールAの誘導体が、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAビスアリルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(グリシジルエーテル)、及びこれらの混合物から選択されてなる、請求項
4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記非ポリマー難燃添加剤が、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)及びテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)を含む二元混合物であり、
該添加剤が、該混合物中に、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)との重量比が5:95及び95:5の間で変化する重量比に従って含有される、請求項
1~5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記非ポリマー難燃添加剤がテトラブロモビスフェノールAビスアリルエーテルであり、臭素を少なくとも50重量%含有する前記臭素化ポリマーが臭素化スチレン-ブタジエンブロックコポリマーである、請求項
1~5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記非ポリマー難燃添加剤が、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)との混合物であり、臭素を少なくとも50重量%含有する前記臭素化ポリマーが臭素化スチレン-ブタジエンブロックコポリマーである、請求項
1~5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記ビニル芳香族ポリマーが、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン異性体、エチルスチレン異性体、プロピルスチレン異性体、クロロスチレン異性体、メチルクロロスチレン異性体、メトキシスチレン異性体、アセトキシスチレン異性体、ヒドロキシスチレン異性体、メチルヒドロキシスチレン異性体、及びこれらの混合物から選択されるビニル芳香族モノマーを単独重合又は共重合させてなる、請求項
1~8のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記ビニル芳香族コポリマーがビニル芳香族モノマーから得られ、前記ビニルコモノマーが、ジエン、ニトリル、1~8個の炭素原子とアクリル酸又はメタクリル酸の誘導体とを有するアルキルエステル、ビニルアセテート、及びこれらの混合物から選択されてなる、請求項
1~8のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
ビニルコモノマーの混合物が、スチレン-ブタジエン、スチレン-イソプレン、水添スチレン-ブタジエン、水添スチレン-イソプレン、スチレン-アクリロニトリル、スチレン-アルキルアクリレート、スチレン-アルキルメタクリレート、スチレン-ブタジエン-アルキルアクリレート、スチレン-ブタジエン-アルキルメタクリレート、スチレン-アクリロニトリル-アルキルアクリレート、スチレン-ビニルアセテートから選択されてなる、請求項
10に記載の組成物。
【請求項12】
前記相乗的難燃添加剤の量が、0.05%~1%の範囲であり、前記ポリマーマトリックス(a)に対して算出された、請求項
1~11のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
前記相乗的な剤が、過酸化物又は不安定な炭化水素から選択されてなる、請求項
1~12のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、0.5重量%から15重量%までの可変的な分量の熱線吸収剤を含む、請求項
1~13のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、1重量%から7重量%までの可変的な分量の熱線吸収剤を含む、請求項
1~14のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記コークスが、0.2μmから100μmまでを含む粒子径D
90と、5m
2/gから200m
2/gまでを含む表面積と、を有し、
該表面積はASTM D-3037-89に従って測定され、
該コークスの粒子の該径D
90はマルバーン2000タイプレーザー粒度分布測定装置湿式により測定され、
該測定はISO 13320法に従ってなされ、
該測定中に、該コークスの粒子が蒸留水中に分散されてなる、請求
1~15のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
水性懸濁液中でなされ、
一つ以上のビニル芳香族モノマー及び/又はコモノマーを水性懸濁液中で重合する工程と、少なくとも一つの発泡剤を添加する工程と、少なくとも一つの熱線吸収剤、難燃添加剤、又はこれらの混合物を添加し、ラジカル過酸化物開始剤を添加する工程と、を含む、請求項
1~16のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項18】
次の工程:
顆粒状、又は粉末状、或いは、既に溶融状態であるビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマーを、それ自体又はマスターバッチの形状での熱線吸収剤と共に、及び任意の更なる添加剤と共に混合して、ポリマー混合物を形成する工程と、
可能性として、既に溶融状態でない場合は、該ポリマー混合物を、該ビニル芳香族ポリマーの融点超の温度にもたらす工程と、
溶融した該ポリマー混合物中に、少なくとも一つの発泡剤、難燃添加剤、又はこれらの混合物、及び任意の更なる添加物を加えて、ビニル芳香族ポリマー組成物を形成する工程と、
このようにして得られた該ポリマー組成物を、静的又は動的混合装置を用いて混合する工程と、
混合後の該ポリマー組成物を、スプレーノズルシステムの切断チェーンに送る、又は、該ポリマーの切断が造粒チャンバー内で行われ、該チャンバー内では発泡性顆粒が水中に完全に浸漬され、且つ切断しているチャンバー内の水圧が3bar超である、チェーンに送る工程と、
を順に含む、請求項
1~16のいずれか一項に記載の組成物を連続塊状で製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より良好な難燃挙動及びより良好な加工能力を有する、ビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマーを含有する発泡性ポリマー組成物に関する。本発明は、更に、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物を製造する方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物を含有する発泡性顆粒、並びに、該顆粒を更に変質させて得られる、EPS及びXPSとしても知られる、ビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマーを含有する発泡又は押出フォーム品に関する。
【0003】
本特許出願では、特段の記述がなくとも、本文中に含まれる全ての操作条件は好適条件として考慮されるものとする。
【0004】
本文の適用上、用語「含む(“comprise”又は“include”)」は、用語「からなる(“consist in”又は“essentially consisting of”)」をも含む。
【0005】
本文の適用上、別段の明記がない限り、間隔(intervals)の定義は常に極値を含む。
【0006】
本明細書の適用上、本明細書及び特許請求の範囲に記載された全ての組成物は、本明細書及び特許請求の範囲に記載された成分及び組成物の割合が常に合計100%以下となるように選択されて、含まれる。
【背景技術】
【0007】
建築物の周囲の遮断向け発泡ポリスチレン断熱スラブは、建築物の外面に上述したスラブを設置する際の現場における安全な状態を保証する目的で、規格DIN 4102-B2に従った難燃性試験に合格しなければならない。発泡ポリスチレンの品目に難燃性を付与する目的で、通常、難燃剤として作用する有機臭素化合物がポリマー中に導入される。長年にわたり、ヘキサブロモシクロドデカンが主要な難燃剤としての代表格であり、全ての主要な自己消化型発泡性ポリスチレンの製造業者によって工業的に使用されてきた。
【0008】
高性能を有するポリスチレンフォームの開発中に、熱線吸収剤としてポリマー内に導入された炭素物質が臭素化難燃剤分解プロセスを著しく促進し、その結果、相当量の臭化水素酸を放出する、最新世代の熱線吸収剤が確認された。
【0009】
熱伝導率の低減されたポリスチレンの発泡性顆粒は、熱の伝播を弱める熱線吸収剤のマイクロメートル又はナノメートル粒子を含有する。残念ながら、炭素コークス、グラファイト及びカーボンブラックなどの熱線吸収剤は、種々の難燃剤、とりわけ難燃剤がヘキサブロモシクロドデカンであるとき、の分解を著しく促進し、結果として臭化水素酸を放出する。臭化水素酸の発生は、発泡性ポリスチレン組成物(顆粒形状でも然り)の生産プラントにおける腐食の原因であり、結果として、金属部分の劣化、並びに発泡ポリスチレンの挙動特性及び変質特性の悪化を伴う。例えば、上述した組成物の発泡性が悪化する。これらの課題を解決するために、ビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマーを含有するポリマー組成物中に、例えばWO 2014/063993に記載されているテトラブロモビスフェノールAビス-2,3ジブロモプロピルエーテルといった:テトラブロモビスフェノールAの誘導体などの有機臭素化合物が難燃剤として用いられてきた。これらの有機臭素化合物はより大きな熱安定性を有するが、残念ながら効果がより低く、それゆえ、ポリマー組成物に対する難燃性の保証を維持して燃焼試験に合格できるようにするためには、より多量に投入されなければならない。
【0010】
US 4,542,164には、臭素化ビスフェノールA分子及びこれらの架橋物を含有するエポキシ樹脂を難燃剤として含有する、燃焼性が低減されたポリオレフィンフォームが記載されている。
【0011】
US 5,216,059には、ポリオレフィンポリマー組成物に使用可能な難燃添加剤が記載されている。該添加剤は、二つの難燃剤:テトラブロモビスフェノールAビス(ジブロモプロピルエーテル)などのビスフェノールのハロゲン化誘導体と、ポリプロピレンなどの特定のポリマー上にグラフト化されたブロモスチレンなどのハロゲン化ビニル芳香族コポリマーのコポリマーと、の混合物である。
【0012】
US 5,717,001には、ハロゲン化難燃剤及びゼオライトA系熱安定剤を含有する難燃性ポリスチレン組成物が記載されている。使用されている難燃剤はヘキサブロモシクロドデカン及びテトラブロモビスフェノールAビス(ジブロモプロピルエーテル)である。
【0013】
WO 01/29124には、ビニル芳香族ポリマー系のポリマー組成物、好ましくはHIPS中で使用可能な難燃添加剤が記載されている。該添加剤は、脂環式環に直接結合された複数の臭素原子を有する難燃性化合物から選ばれた感熱性有機臭素難燃剤;テトラブロモビスフェノール-Aのビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)化合物;テトラブロモビスフェノール-Sのビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル化合物;を含む。該添加剤は、メルカプトアルカノエートアルキルスズ化合物を0.01重量部から0.08重量部までと、ゼオライトを0.01重量部から0.35重量部までと、を更に含み、ここで、分量は難燃性化合物の各部について算出されている。
【0014】
WO 2010/140882には、難燃剤を含有して改善された難燃性を有する、微粒子形状の発泡性ポリスチレンが記載されている。例えばテトラブロモビスフェノールAビス-ジブロモプロピルエーテルを含むビスフェノールA由来の有機臭素化合物が、相乗的な剤として使用可能である。使用されている難燃剤は臭素化ポリスチレンである。
【0015】
EP 2495277には、難燃剤及び発泡剤を含有する、難燃性を有するポリスチレン顆粒が記載されている。難燃剤は、70重量%以下の臭素を含有し、分子中にベンゼン環を有し、200~300°Cの範囲の温度において5%の重量損失が記録された熱分解カイネティックスを有し、発泡性ポリスチレン顆粒全体に含有される難燃剤の分量と該顆粒の表面に含有される難燃剤の分量との間の比が0.8から1.2までの範囲である。使用されている難燃剤は、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、及びテトラブロモビスフェノールA-ビス(アリルエーテル)などのテトラブロモビスフェノールAの誘導体である。
【0016】
US 6,780,348には、熱安定剤として作用する、熱可塑性ポリマー用の添加剤が記載されている。該添加剤は、次の化合物:フェニル基が1分子当たり合計少なくとも6個の臭素原子で置換され、且つアルカンが1~3個の炭素原子を含有するポリブロモジフェニルアルカン;フェニル基が1分子当たり合計少なくとも6個の臭素原子で置換された、ポリブロモジフェニルの酸化物;又はこれらの混合物;の内少なくとも一つを含有する、少なくとも一つのテトラブロモビスフェノールA-ビス(ブロモ-アルキルエーテル)を所定の割合で含む混合物を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際公開第2014/063993号
【文献】米国特許第4,542,164号明細書
【文献】米国特許第5,216,059号明細書
【文献】米国特許第5,717,001号明細書
【文献】国際公開第01/29124号
【文献】国際公開第2010/140882号
【文献】欧州特許第2495277号明細書
【文献】米国特許第6,780,348号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
実験室試験により、ビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマーを含有するポリマー組成物中に難燃剤の混合物を使用することで、これらの組成物を含有する製品又は品物が燃焼試験に合格することを保証するのに必要な難燃剤の分量を著しく低減させることもできると強調された。
【0019】
該難燃剤の混合物の使用により、ただ一つの臭素化難燃剤を含有する発泡性ポリスチレン組成物において確認されてきた程度に対してより高い程度の発泡性を有する、ビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマーを含有する発泡性ポリマー組成物を得ることもできた。
【0020】
本特許出願では、発泡性(expandability)とは、ビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマー並びに発泡剤を含有する発泡性ポリマー組成物の特性を意味し、該組成物が予備発泡機内に投入され、該予備発泡機では該組成物が少なくとも100°Cの温度である水蒸気と接触することを含む発泡プロセスがなされた最初の発泡において発泡された品目が最小密度に到達する特性を意味する。該密度は、発泡された品目の質量及び体積間の比により求められ:発泡された品目の体積を定めた後に、スケールで量られる。従って、発泡性の程度は、顆粒形状である場合もビニル芳香族ポリマーの組成物によって到達可能な最小密度を測定することにより得られる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
従って、本特許出願の主題は、
a)ビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマーを含有するポリマーマトリックスと;
b)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.1重量%から20重量%までの熱線吸収剤と;
c)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.01重量%から10重量%までの、少なくとも一つの非ポリマー臭素化難燃添加剤と;
d)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.01重量%から10重量%までの、少なくとも一つの、臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーと;
e)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.01重量%から5重量%までの相乗的難燃添加剤と;
f)1重量%から10重量%までの少なくとも一つの発泡剤と;
を含む、発泡性ポリマー組成物である。
【0022】
該組成物は適切な装置を用いて造粒されてもよく、ここにおいてこれもまた本特許出願の主題である発泡性ポリマー顆粒を形成する。
【発明の効果】
【0023】
本特許出願に従った発泡性ポリマー組成物を分析することにより検出される臭化水素酸の濃度は重大ではなかった、又は生産プラントで腐食問題を引き起こすほどではなかった。
【0024】
二つ以上の有機臭素難燃剤の組合せ作用を利用することにより、比較的高温に設定したとしても、これによる腐食性の高い臭化水素酸の放出をもたらす著しい臭素化合物の分解現象を何ら目撃することなく、連続塊状ポリスチレン組成物の生産プラントを稼働し得る。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物中に、本明細書及び特許請求の範囲に記載されたそれぞれの割合で、非ポリマー臭素化難燃添加剤と、臭素を少なくとも50%含有する少なくとも一つの臭素化ポリマーとから選ばれた難燃剤の全ての二元または三元の組合せを利用することにより、これらの利点が得られる。好ましくは、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、又は、市販品であるエメラルド・イノベーション3000(登録商標)のような臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマー間の全ての二元又は三元の組合せを利用することにより、更に顕著な利点さえも得られる。
【0026】
従って、本明細書及び特許請求の範囲に記載された該組成物は、難燃剤の熱分解を制限するという主な効果を有し、直接的な結果として、生産プロセスにおける運転パラメータのより幅広い選択の自由を可能にする。
【0027】
より高温下で連続塊状プラントを稼働できることにより、ポリマーマトリックス中の難燃剤の分散を改善でき、この点が、燃焼試験の合格を保証するために必要な有機臭素化難燃剤の濃度の低減を決定づけることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
これより、出願人は、本特許出願に従ったポリマー組成物について詳細に説明する。
【0029】
本発明は、
a)ビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマーを含有するポリマーマトリックスと;
b)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.1重量%から20重量%までの熱線吸収剤と;
c)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.01重量%から10重量%までの、少なくとも一つの非ポリマー臭素化難燃添加剤と;
d)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.01重量%から10重量%までの、少なくとも一つの、臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーと;
e)前記ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.01重量%から5重量%までの相乗的難燃添加剤と;
f)1重量%から10重量%までの少なくとも一つの発泡剤と;
を含む、発泡性ポリマー組成物に関連する。
【0030】
本文において、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物及び方法中に含まれる臭素化ポリマーは難燃剤である。
【0031】
本特許出願に従った組成物中に使用可能なビニル芳香族ポリマーは、一般式(I):
【化1】
で示されるビニル芳香族モノマーの単独又は共重合により得られるポリマーである。
【0032】
該式中、Rは水素又はメチル基であり;nは零又は1から3までの整数であり;Yは、ハロゲン、好ましくは塩素又は臭素;クロロメチル;1~3個の炭素原子を有するアルキル又はアルコシキ基から選択される。
【0033】
式(I)に示される好適なビニル芳香族モノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン異性体、エチルスチレン異性体、プロピルスチレン異性体、クロロスチレン異性体、メチルクロロスチレン異性体、メトキシスチレン異性体、アセトキシスチレン異性体、ヒドロキシスチレン異性体、メチルヒドロキシスチレン異性体、及びこれらの混合物から選択される。スチレン及びα-メチルスチレンがより好ましい。
【0034】
本特許出願に従った組成物中に使用可能なコポリマーは、式(I)に示されるビニル芳香族モノマー及びビニルコモノマーから開始して得られる。好適なビニルコモノマーは、ジエン、ニトリル、1~8個の炭素原子とアクリル酸又はメタクリル酸の誘導体とを有するアルキルエーテル、ビニルアセテート、及びこれらの混合物から選択される。ビニルコモノマーの好適な混合物は、スチレン-ブタジエン、スチレン-イソプレン、水添スチレン-ブタジエン、水添スチレン-イソプレン、スチレン-アクリロニトリル、スチレン-アルキルアクリレート、スチレン-アルキルメタクリレート、スチレン-ブタジエン-アルキルアクリレート、スチレン-ブタジエン-アルキルメタクリレート、スチレン-アクリロニトリル-アルキルアクリレート、スチレン-ビニルアセテートから選択される。
【0035】
本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物中に使用され得る臭素化難燃添加剤は、好ましくはビスフェノールAの誘導体である。より好ましくは、これらは、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)(市販品PE68でCAS番号21850-44-2を有する)、テトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)(市販品FR130でCAS番号97416-84-7を有する)、テトラブロモビスフェノールAビス(2ヒドロキシエチル)エーテル(CAS番号4162-45-2を有する)、テトラブロモビスフェノールAビスアリルエーテル(CAS番号25327-89-3を有する)、テトラブロモビスフェノールA(CAS番号79-94-7を有する)、テトラブロモビスフェノールAビス(グリシジルエーテル)(CAS番号3072-84-2);及びこれらの混合物から選ばれる。
【0036】
臭素化難燃添加剤を含有する二元混合物では、該添加剤は、好ましくは5:95~95:5の間隔で、好ましくは15:85~85:15の間隔で、更により好ましくは25:75~75:25の間隔で変化する重量比に従って含有される。
【0037】
好適な混合物は、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)とを含むものであり、該混合物中に該難燃剤が、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)との間の重量比にして5:95~95:5の間隔で;好ましくは15:85~85:15の間隔で;更により好ましくは25:75~75:25の間隔で変化する重量比で含有される。
【0038】
臭素化難燃剤の更なる好適な混合物は、テトラブロモビスフェノールAビス(2ヒドロキシエチル)エーテルとテトラブロモビスフェノールAビスアリルエーテルとを含有するものであり、該難燃剤が、テトラブロモビスフェノールAビス(2ヒドロキシエチル)エーテルとテトラブロモビスフェノールAビスアリルエーテルとの間の重量比にして5:95~95:5の間隔で;好ましくは15:85~85:15の間隔で;更により好ましくは25:75~75:25の間隔で変化する重量比に従って含有される。
【0039】
臭素化難燃剤の更なる好適な混合物は、テトラブロモビスフェノールAとテトラブロモビスフェノールAビス(グリシジルエーテル)とを含有するものであり、該難燃剤が、テトラブロモビスフェノールAとテトラブロモビスフェノールAビス(グリシジルエーテル)との間の重量比にして5:95~95:5の間隔で;好ましくは15:85~85:15の間隔で;更により好ましくは25:75~75:25の間隔で変化する重量比に従って含有される。
【0040】
本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物中に使用可能な、臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーは、臭素化ポリスチレン(CAS番号88497-56-7を有する)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル系コポリマー(CAS番号68928-70-1及びCAS番号135229-48-0を有する)、臭素化ポリブタジエン(CAS番号68441-46-3を有する)、及び臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマー(CAS番号1195978-93-8を有する)から選ばれる。
【0041】
好適な臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーは、エメラルド・イノベーション3000という商品名で知られるGreat Lakes社製の市販品である。この臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーの特性は製品のテクニカルデータシート(2012年6月18日に公表された)に記載されている。
【0042】
本発明で用いられる臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーの構造式は(II)に示される:
【化2】
本発明において難燃剤として使用される臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーの特性に関する更なる情報は特許WO 2007/058736に含まれる。
【0043】
臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーのうちで好適な混合物は、臭素化ポリスチレンと、少なくともテトラブロモビスフェノールA 2,2ビス[4-(2,3エポキシプロポキシ)-ジブロモフェニル]-プロパンのコポリマーとを含み、該臭素化ポリマーが、臭素化ポリスチレンとテトラブロモビスフェノールA 2,2ビス[4-(2,3エポキシプロポキシ)-ジブロモフェニル]-プロパンのコポリマーとの間の重量比にして5:95~95:5の間隔で、好ましくは15:85~85:15の間隔で、更により好ましくは25:75~75:25の間隔で変化する重量比に従って含有される。
【0044】
臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーのうちで更なる好適な混合物は、臭素化ポリブタジエンと、少なくとも臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーとを含み、該臭素化ポリマーが、臭素化ポリブタジエンと臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーとの間の重量比にして5:95~95:5の間隔で、好ましくは15:85~85:15の間隔で、更により好ましくは25:75~75:25の間隔で変化する重量比に従って含有される。
【0045】
臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーのうちで更なる好適な混合物は、臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマー、テトラブロモビスフェノールA 2,2ビス[4-(2,3エポキシプロポキシ)-ジブロモフェニル]-プロパンのコポリマーを含み、該臭素化ポリマーが、臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーとテトラブロモビスフェノールA 2,2ビス[4-(2,3エポキシプロポキシ)-ジブロモフェニル]-プロパンのコポリマーとの間の重量比にして5:95~95:5の間隔で、好ましくは15:85~85:15の間隔で、更により好ましくは25:75~75:25の間隔で変化する重量比に従って含有される。
【0046】
好ましくは、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物中、個々の非ポリマー臭素化難燃添加剤の分量は0.01重量%から10重量%まで、より好ましくは0.1%から4%まで、更により好ましくは0.15%から3.5%まで、更により好ましくは0.2%から2.3%まで変化し、ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出されている。
【0047】
好ましくは、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物中、個々の臭素化ポリマーの分量は0.01重量%から10重量%まで、より好ましくは0.1%から4%まで、更により好ましくは0.2%から2.5%まで、更により好ましくは0.25%から0.8%まで変化し、ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出されている。
【0048】
好ましくは、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物中、非ポリマー臭素化難燃添加剤はテトラブロモビスフェノールAビス(2ヒドロキシエチル)エーテルであり、臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーは少なくとも臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーである。
【0049】
また、好適なのは、非ポリマー臭素化難燃添加剤がテトラブロモビスフェノールAビス(2ヒドロキシエチル)エーテルであり、且つその分量が0.01重量%から10重量%まで、好ましくは0.1%から4%まで、更により好ましくは0.15%から3.5%まで、更により好ましくは0.2%から2.3%まで変化し;臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーが少なくとも臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーであり、かつその分量が0.01重量%から10重量%まで、好ましくは0.1%から4%まで、更により好ましくは0.2%から2.5%まで、更により好ましくは0.25%から0.8%まで変化する、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物である。
【0050】
好ましくは、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物中、非ポリマー臭素化難燃添加剤がテトラブロモビスフェノールAビスアリルエーテルであり、臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーが少なくとも臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーである。
【0051】
また、好適なのは、非ポリマー臭素化難燃添加剤がテトラブロモビスフェノールAビスアリルエーテルであり、且つその分量が0.01重量%から10重量%まで、より好ましくは0.1%から4%まで、更により好ましくは0.15%から3.5%まで、更により好ましくは0.2%から2.3%まで変化し;臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーが少なくとも臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーであり、且つその分量が0.01重量%から10重量%まで、好ましくは0.1%から4%まで、更により好ましくは0.2%から2.5%まで、更により好ましくは0.25%から0.8%まで変化し、ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物である。
【0052】
好ましくは、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物中、非ポリマー臭素化難燃添加剤がテトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)及びテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)を含む二元混合物であると同時に、臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーが少なくとも臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーである。
【0053】
好ましくは、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物中、非ポリマー臭素化難燃添加剤がテトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)及びテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)を含む二元混合物であると同時に;臭素を少なくとも50%含有する臭素化ポリマーが臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーであり;該組成物中、臭素化添加物が二元混合物中に、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテルとの間の重量比にして5:95~95:5の間隔で、好ましくは15:85~85:15の間隔で、更により好ましくは25:75~75:25の間隔で変化する重量比に従って含有され;一方で、臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーが該組成物中に5重量%以上、好ましくは10重量%以上の濃度で含有され;割合は、該組成物中の3つの難燃剤の合計に対して算出される。
【0054】
更なる好適な実施形態では、本発明は、非ポリマー臭素化難燃添加剤がテトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)を含む二元混合物であると同時に、臭素化ポリマーが臭素化ポリブタジエンであり;該組成物中、臭素化添加物が二元混合物中に、5:95~95:5の間隔で、好ましくは15:85~85:15の間隔で、更により好ましくは25:75~75:25の間隔で変化する重量比に従って含有され、一方で、臭素化ポリブタジエンが5重量%超、好ましくは10重量%超の濃度で含有され;割合は、本明細書及び特許請求の範囲に記載された発泡性ポリマー組成物中に含有される3つの難燃剤(ポリマー及び/又は非ポリマー)の重量に対して算出される、本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物に関する。
【0055】
好適な実施形態では、本発明は、
a)ビニル芳香族ポリマー系ポリマーマトリックスと;
b)ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.1重量%から20重量%までの熱線吸収剤と;
c)ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、0.01重量%から10重量%までの、より好ましくは0.1%から4%までの、更により好ましくは0.15%から3.5%までの、更により好ましくは0.2%から2.3%までの、テトラブロモビスフェノールAビス2,3ジブロモプロピルエーテルと;
d)ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、0.01重量%から10重量%までの、好ましくは0.1%から4%までの、更により好ましくは0.2%から2.5%までの、更により好ましくは0.25%から1%までの、少なくとも、臭素を少なくとも50%含有する臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーと;
e)ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.01重量%から5重量%までの相乗的難燃添加剤と;
f)1重量%から10重量%までの少なくとも一つの発泡剤と;
を含む、ポリマー組成物に関する。
【0056】
好適な実施形態では、本発明は、
a)ビニル芳香族ポリマー系ポリマーマトリックスと;
b)ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.1重量%から20重量%までの熱線吸収剤と;
c)ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、0.01重量%から10重量%までの、より好ましくは0.1%から4%までの、更により好ましくは0.15%から3.5%までの、更により好ましくは0.2%から2.3%までの、テトラブロモビスフェノールAビス2,3ジブロモプロピルエーテルと;
d)ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、0.01重量%から10重量%までの;好ましくは0.1%から4%までの、更により好ましくは0.2%から2.5%までの、更により好ましくは0.25%から0.8%までの、臭素を少なくとも50%含有する臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマーと;
e)ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、0.01重量%から10重量%までの、より好ましくは0.1%から4%までの、更により好ましくは0.15%から3.5%までの、更により好ましくは0.2%から2.3%までの、テトラブロモビスフェノールAビス2メチル-2,3ジブロモプロピルエーテルと;
f)ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、0.01重量%から5重量%までの相乗的難燃添加剤と;
g)1重量%から10重量%までの少なくとも一つの発泡剤と;
を含む、ポリマー組成物に関する。
【0057】
本文の明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物は、ポリマーマトリックス(a)に対して算出された分量で、好ましくは2.5重量%から8重量%までの、更により好ましくは3重量%から7重量%までの、少なくとも発泡剤を含んでいてもよい。
【0058】
ポリマー中に加えることのできる任意の発泡剤が、本特許出願に従った組成物中に使用可能である。好ましくは、発泡剤は、大気圧下10°C~100°Cの間で;好ましくは20°C~60°Cの間で変化する沸点を有する液体物質であり得る。本発明中で使用可能な発泡剤は、3~6個の炭素原子を含有する脂肪族又は脂環式炭化水素;例えばn-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ブタン、イソブタン、及びこれらの混合物;或いは、ジクロロジフルオロメタン、1,2,2-トリフルオロエタン及び1,1,2-トリフルオロエタンなどの1~3個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素のハロゲン化誘導体;或いは二酸化炭素から選択される。
【0059】
ポリマー組成物(a)中の発泡剤の保持を促進する目的で、弱い結合(例えば水素架橋)又は強い結合(例えば酸塩基付加物)を形成することができる添加剤を発泡剤と共に使用することができる。好ましくは、このような添加剤は、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジオクチルフタレート、ジメチルカーボネート、アミン基を含有する誘導体から選択される。
【0060】
本発明に従った組成物は、ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された0.01重量%から5重量%までの、好ましくは0.05重量%から1重量%までの、より好ましくは0.1重量%から0.5重量%までの、可変的な分量の相乗的難燃添加剤を含んでいてもよい。相乗的な剤は、ハロゲン化難燃剤の分解を引き起こすラジカルを生成でき、燃焼温度下でハロゲンラジカルを形成できる物質として定義される。上述の相乗的な剤は、好ましくは、過酸化物又は不安定な炭化水素から選択される。より好ましくは、相乗的な剤は、ジクミルパーオキサイド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリパーオキシノナンから選択される。
【0061】
好適な相乗的な剤は、本明細書及び特許請求の範囲に記載されたポリマー組成物が水性懸濁液中での重合化プロセスにより製造されるときは、ジクミルパーオキサイドであり;本明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物が連続塊状重合化プロセスを通じて製造されるときは、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタンである。
【0062】
本特許出願の明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物は、ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出された、好ましくは0.5重量%から15重量%までの、更により好ましくは1重量%から7重量%までの、可変的な分量の熱線吸収剤を好適に含んでいてもよい。
【0063】
熱線吸収添加剤は、熱線(calorific rays)に対して本体を不透明にし、それゆえに断熱体とする機能を有する化合物である。本発明の目的に適した熱線吸収剤は、炭素質化合物から、好ましくはコークス、カーボンブラック、又はグラファイトから選択される。コークスの中でも、石油コークス、か焼石油コークス、ニードルコークス、及びそれらの混合物が好ましい。グラファイトの中でも、天然グラファイト、合成グラファイト、膨張グラファイト、及びそれらの混合物が好ましい。好適な熱線吸収剤はコークスであり、とりわけ石油コークス、更にとりわけか焼石油コークス又はニードルコークスである。
【0064】
本文の明細書及び特許請求の範囲に記載されたポリマー組成物中には、カーボンブラックが、0.1重量%から20重量%までの、好ましくは0.5重量%から15重量%までの、より好ましくは1重量%から7重量%までの分量で存在し得、該分量はポリマーマトリックス(a)に基づいて算出されている。
【0065】
本文の明細書及び特許請求の範囲に記載されたポリマー組成物中には、グラファイトが、0.1重量%から20重量%までの、好ましくは0.5重量%から15重量%までの、より好ましくは1重量%から7重量%までの分量で存在し得、該分量はポリマーマトリックス(a)に基づいて算出されている。
【0066】
本文の明細書及び特許請求の範囲に記載されたポリマー組成物中には、炭素コークス(又は単にコークス)が、0.1重量%から20重量%までの、より好ましくは0.5重量%から15重量%までの、更により好ましくは1重量%から7重量%までの分量で存在し得、ポリマーマトリックス(a)に基づいて算出されている。
【0067】
本文の明細書及び特許請求の範囲に記載されたポリマー組成物中に使用されるコークスは、0.2ミクロン(mm)から100ミクロン(mm)までの、好ましくは1ミクロン(mm)から10ミクロン(mm)までの、より好ましくは2ミクロン(mm)から20ミクロン(mm)までの粒子径(D90)を有する微粉として存在する。
【0068】
コークスの粒子径(D90)はマルバーン2000レーザー粒度分布測定装置湿式(damp)により測定され、該測定はISO 13320法の指示に従って行われ:測定中は、コークスの粒子は蒸留水中に分散された後に測定される。寸法値D90の意味は次のとおりである:それは粒子の直径値であり、マイクロメーターで表され、分析される粉体粒子の体積にして90%の集団が見出されるまでの積算値である。直径とは、マルバーン2000タイプレーザー粒度分布測定装置湿式により測定された粒子のサイズを意味し、該測定はISO 13320法の指示に従って行われる。
【0069】
本文の明細書及び特許請求の範囲に記載されたポリマー組成物中に使用されるコークスは、5m2/gから200m2/gまでの、好ましくは8m2/gから50m2/gまでの表面積を有していてもよく、該表面積はASTM D-3037-89に従って測定され、本文中にはBETとして示される。
【0070】
本文中に示されたコークスの特性はまた、石油コークス;とりわけ、か焼石油コークス又はか焼コークス、及びニードルコークスに対しても有効である。
【0071】
コークスは有機材料の熱分解により製造され、炭化プロセス中に、少なくとも部分的に、液体又は液晶状態を経る。好ましくは、有機開始材は、石油、石炭、又は褐炭である。
【0072】
より好ましくは、本発明に従ったポリマー組成物の製造に使用されるコークスは、石油の蒸留から来る高沸点炭化水素留分を炭化した生成物であり、これは従来、重質残渣留分として知られていた。とりわけ、コークスは、重質残渣留分をコーキングすることから開始して得られ、これは、幾分かの軽質留分及び固体分(石油コークス)が再び生成されるような高温で行われる作業である。このようにして得られる石油コークスは、1000°C~1600°Cの間の温度でか焼される(か焼コークス)。
【0073】
重質残渣留分が使用され芳香族成分が豊富である場合は、か焼及びマイクロ研削の後にニードルコークスが形成される。
【0074】
本発明に使用可能な種々のコークスの特性に関するより多くの情報については、市販の種々のグレード(グリーンコークス、石炭由来ピッチコークス、ディレードコークス、フルードコークス、ニードルコークス、プレミアムコークス、か焼コークス)の製造及び特性メソッドが、ウェブサイト「goldbook.iupac.org」で、又は「Pure Appl. Chem., 1995, Vol. 67, N. 3, pages 473-506, Recommended terminology for the description of carbon as a solid (IUPAC Recommendations 1995)」でオンラインにより入手可能である。
【0075】
カーボンブラック熱線吸収剤は、ISO 13320法に従って、マルバーン2000レーザー粒度分布測定装置湿式により測定された直径(D90)を有する。カーボンブラックの粒子径の測定は、前述の手法に従って行われる。カーボンブラックの粒子は、30nm~1000nmの間で、好ましくは40nm~500nmの間で変化するD90を有する。
【0076】
グラファイトは、他の熱線吸収剤に対する同様の測定について前述したとおり、ISO 13320法に従ったマルバーン2000タイプレーザー粒度分布測定装置湿式により測定された径(D90)を有し得る粒子形状であり:グラファイトの粒子は、0.05μm~100μmの間で、好ましくは1μm~20μmの間で変化するD90を有し、ASTM D-3037-89に従って測定され、またBETとして示される、5m2/g~50m2/gの間で変化する表面積を有する。
【0077】
本発明に従った組成物に、例えばポリエチレンワックス又はタルクといった核形成剤、酸化防止剤、顔料、安定化剤、帯電防止剤、及び離型剤などの更なる添加剤が添加されてもよい(通常は、従来のビニル芳香族ポリマー中に導入される)。難燃剤としてポリマー体に導入されたハロゲン化化合物の分解に起因して放出された酸を中和することができるような添加剤が投入されてもよい。本発明で使用可能な、中和作用を有する添加剤としては、CaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2、Al2O3、Al(OH)3などの無機系塩基物質、エポキシ官能基を含有する有機化合物、アミン基を含有する化合物が挙げられる。
【0078】
本特許出願の明細書及び特許請求の範囲に記載されたポリマー化合物は、熱線吸収添加剤、難燃添加剤、或いはこれらの混合物、並びにビニル芳香族モノマー及び/又はコモノマー中の任意の更なる添加剤の溶解及び/又は分散を含む懸濁プロセスを通じて実現されてもよい。一旦懸濁液が調製されると、水性懸濁液中で重合化が始まり、この間に発泡剤が添加される。
【0079】
本特許出願の明細書及び特許請求の範囲に記載されたポリマー組成物はまた、水性懸濁液中での重合化プロセスで、又は水相中のポリマー顆粒の再懸濁プロセスを通じて実現されてもよい。
【0080】
水溶液中での重合化プロセスは、リン酸の無機塩類を、より好ましくはリン酸マグネシウム三カルシウム又はリン酸塩/ピロリン酸塩を用いて行われてもよい。上述したリン酸の無機塩類は、既に微細に分けられた重合混合物に添加されてもよいし、例えばピロリン酸ナトリウムと硫酸マグネシウムとの反応などによりin-situ合成されてもよい。
【0081】
重合化はまた、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はポリビニルアルコールなどの更なる有機懸濁化剤の存在下で行われてもよい。
【0082】
本文の明細書及び特許請求の範囲に記載された水性懸濁液中での重合化プロセスに使用される開始剤システムは2つの過酸化物を含み、最初のものは85~95°Cで1時間半減期を有し、他のものは110~120°Cで1時間半減期を有する。このような開始剤の例としては、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート及びtert-ブチルパーオキシ2エチルヘキシルカーボネート(トリゴノックス117-化薬アクゾ社)が挙げられる。
【0083】
得られたポリマー及び/又はコポリマーの自己消化性発泡性組成物は、50000~300000の、好ましくは70000~220000の平均分子量MWを有する。一般に、発泡性ビニル芳香族ポリマー又はコポリマーの水溶液中での製造方法に関する、或いは、より一般に、懸濁液中での重合に関する更なる詳細は、Journal of Macromolecular Science, Review in Macromolecular Chemistry and Physics C31 (263) 215-299 (1991)で見つけることができる。
【0084】
懸濁液の安定性を高める目的で、モノマーのみに基づいて算出された、1重量%から30重量%の間の、好ましくは5%~20%の間の濃度で、懸濁液中にビニル芳香族ポリマーを溶解することにより、モノマーを含む試薬液の粘性を高めることが可能である。該溶液は、予備形成されたポリマー(例えば、先の重合及び/又は発泡からのフレッシュポリマー又はスクラップ)を試薬混合物中に溶解することにより、或いは、モノマー又はモノマーの混合物を、前述した濃度が得られるまで予備塊状重合し、その後水性懸濁液中で重合を続けることにより得ることができる。
【0085】
懸濁液中で重合している間、懸濁液安定化剤、連鎖移動剤、発泡助剤、核形成剤、可塑剤、及び防炎剤などの、発泡性ビニル芳香族ポリマーを製造するために典型的に使用される、更なる重合添加剤が使用される。
【0086】
更には、懸濁液中で重合している間、発泡性顆粒の変質用に得られた発泡品目に難燃性を付与する目的で、有機臭素化、有機塩素化の化合物、又はハロゲン化ポリマーが投入されてもよい。
【0087】
水性懸濁液中での重合化プロセスにおいて、重合化工程中に、又はその後の再懸濁化技術を通じて、発泡剤が好適に添加される。発泡剤は、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、及びこれらの混合物などの、3~6個の炭素原子を含有する脂肪族又は脂環式炭化水素;ジクロロジフルオロメタン、1,2,2-トリフルオロエタン、1,1,2-トリフルオロエタンなどの1~3個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素のハロゲン化誘導体;二酸化炭素、及び水から選択される。
【0088】
水性懸濁液中での重合化プロセスの終わりには、可能性として再懸濁の終わりには、0.2mm~3mmの平均直径を有する、ポリマーの実質的な球状顆粒が得られる。上述の発泡性顆粒は、好適な形態の全てにおいて、本特許出願の明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物を含有する。
【0089】
発泡性顆粒の内部では、発泡剤及び任意の添加剤が均一に分散されている。
【0090】
米国特許5,041,465号に記載されているように、発泡性顆粒はその後重合反応器から取り出され、非イオン性界面活性剤で、又は代わりに酸で、連続的又は非連続的に洗浄される。ポリマー顆粒は、20°C~60°Cの温度で空気で熱処理されてもよい。
【0091】
本特許出願の明細書及び特許請求の範囲に記載されたポリマー組成物は、次の工程:
i) 顆粒状、又は粉末状、或いは、既に溶融状態であるビニル芳香族ポリマー及び/又はコポリマーを、それ自体又はマスターバッチの形状での熱線吸収添加剤と共に混合して(これは一般に濃縮混合物として知られている)、及び任意の更なる添加剤と共に混合して、ポリマー混合物を形成する工程と;
ii) 可能性として、既に溶融状態でない場合は、ポリマー混合物を、ビニル芳香族のポリマーの融点超の温度にもたらす工程と;
iii)ポリマー溶融混合物中に、少なくとも一つの発泡剤、難燃添加剤、又はこれらの混合物、及び任意の更なる添加物を加えて、ビニル芳香族ポリマー組成物を形成する工程と;
iv) このようにして得られたポリマー組成物を、静的又は動的混合装置を用いて混合する工程と;
v) 混合後のポリマー組成物を、加圧下で切断チェーンに送る工程と;
を順に含む連続塊状プロセスを通じて実現されてもよい。
【0092】
使用される切断チェーンは、例えば「スプレーノズルシステム」として米国特許7,320,585号に記載されているものである。本発明に従った発泡性顆粒は、水で満たされた造粒チャンバー内でポリマーが切断される、「水中切断」として知られるシステムのような、異なるタイプのチェーンを用いて製造されてもよい。この場合、切断工程中は、ポリマーは水中に完全に浸漬されたままであり、造粒チャンバー内の水圧は3bar超である。
【0093】
連続塊状プロセスの終わりに、得られる組成物は、0.2~3mmの平均直径を有する球形ポリマー顆粒の形状である。
【0094】
連続塊状製造プロセスを通じて製造される発泡性顆粒の内部では、発泡剤、熱線吸収剤、難燃剤、及び任意の添加剤がポリマー中に均一に分散されている。
【0095】
本特許出願の明細書及び特許請求の範囲に記載されたポリマー組成物は、直接押出プロセスを通じて実現されてもよい。該プロセスに従えば、そのまま又はマスターバッチの形状での熱線吸収添加剤、そのまま又はマスターバッチの形状での難燃添加剤又はこれらの混合物、そのまま又はマスターバッチの形状での難燃添加剤又はこれらの混合物、及び少なくとも一つの発泡剤が、ポリマー及び/又はコポリマー顆粒の混合物に直接注ぎ込まれる。
【実施例】
【0096】
以下に記載される比較例と本発明の実施例との比較で見られるとおり、本特許出願の明細書及び特許請求の範囲に記載された組成物により、発泡ポリスチレン品目を耐火性にする目的でポリマーマトリックス中に加えられる臭素化難燃剤の投入量を著しく低減できる。
【0097】
該組成物の投入はまた、熱線吸収チャージ(athermanous charges)を含有する製品の発泡の程度を相当改善することを決定づけた。実際、比較例と本発明の実施例1~3との比較で見られるとおり、本発明に従った難燃剤混合物を用いて製造された発泡品目は、個々の難燃剤を用いて観察されたものよりも低い最小密度の値に到達した。同じ実施例は、有機臭素化化合物により受ける分解に起因して生成された、発泡性顆粒に含有される臭化水素酸の分量が感知可能に低減(sensitive reduction)されることを示している。
【0098】
本発明及び本出願の範囲のより良い理解のために、いくつかの例証的な実施例が以下に提供される。このような実施例は、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0099】
比較例1(連続塊状プロセス)
40.1部のポリスチレンN1782;Kostil B 855としてベルサリス社から販売されている3部のSAN(200°C-5KgでMFI=5g/10分を有する15%アクリロニトリルを含有);及び56.9部のか焼カーボンコークス4287 Asburyが、二軸スクリュー押出機で混合される。本発明に従った発泡性複合体の製造において、押出体は濃縮材料として使用される。
【0100】
89.8部のエチルベンゼン、786.2部のスチレン、0.2部のジビニルベンゼン、及び上述の通り調製された123.8部の濃縮体が撹拌反応器の中に注ぎ込まれ、合計1000部で溶解される。125°C下、2時間の平均滞留時間で反応が行われる。その後、出口での液体組成物が第二反応器に注ぎ込まれ、135°C下、2時間の平均滞留時間で反応が完了する。
【0101】
転化率72%を有する反応性ポリマー組成物が240°Cまで加熱され、溶媒及び残留モノマーを取り除くために脱気装置に注ぎ込まれる。結果として得られた組成物は、ガラス転移温度が101°C、メルトフローインデックス(MFI 200°C、5kg)が9g/10分、分子量MWが190000g/mol、及びMW/Mn比が2.8であり、ここで、MWは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。
【0102】
ビニル芳香族組成物が加熱タンクに集められ、その温度を200°Cまで下げるために熱交換器に注ぎ込まれる。
【0103】
125.9部のポリスチレンN2982、21部のHP900(アルベマール社から販売されているCAS番号3194-55-6のヘキサブロモシクロドデカン)及び3.1部のPerkadox30(登録商標)(アクゾノーベル社によって販売されている、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン)の、合計150部が二軸スクリュー押出機に注ぎ込まれる。ギアポンプが溶融添加剤の供給圧力を260bargに高める。n-ペンタン(70%)とイソペンタン(30%)との混合物50部がその後加圧され、添加剤の供給に注入される。混合は、約200°Cの温度で、静的混合機を通じて完了する。
【0104】
このように混合された組成物が、熱交換器から来るビニル芳香族組成物850部に添加される。成分はその後、静的混合装置を通じて、計算された平均(滞留)時間の7分間混合される。組成物はその後チェーンに配置され、該チェーンでは、直径0.5mmを有する数多くの穴を通じて押出され、水のジェットで即座に冷却され、一連の回転ナイフで切断される(米国公開特許2005/0123638号に従う)。造粒圧は5bargであり、切断変形速度は1.2mmの平均直径を有する造粒物が得られるように選ばれる。水はスプレー液体として、窒素はキャリアガスとして使用される。スプレーされる水のフローレートとポリマー体のフローレートとの間の比は30であり、窒素とポリマー体とのそれは20である。水温は40°Cである。
【0105】
結果として得られた造粒パールは遠心脱水機で乾燥され、その後コーティングされる。コーティングは、1.5部のグリセリルモノステアレート、1部のグリセリルトリステアレート、1部のステアリン酸亜鉛、及び0.2部のポリソルベート80(商品名Crillet 4 Superでクローダ社から販売されている)を1000部の乾燥造粒パールに対して上部に添加することにより調製される。コーティング添加剤は、連続スクリュー混合機を通じて造粒物と混合される。発泡プロセスを受けた発泡性顆粒のサイズは0.9~1.6mmである。
【0106】
生成物は、AMD社製の非連続予備発泡機、モデルP125 D(有用容量:125リットルのレベルで)で、100°Cの温度の蒸気を用いて予備発泡された。ポリマー顆粒の予備発泡に使用される蒸気圧は0.1barに設定された。予備発泡機に注ぎ込まれた発泡性顆粒の分量は1000gである。発泡パールは成熟(mature)のため12時間放置され、その後ブロック成形に使用された(寸法1040mm×1030mm×550mm)。
【0107】
発泡材料のブロックから得られたスラブの一部分は70°Cのオーブンに2日間置かれ(残留ペンタンは0.15%未満):その後、規格DIN 4102-B2に従った燃焼挙動試験のための試料(9cm×19cm×2cm)が得られる。試料は試験に合格する。熱伝導率は30.6mW/mK(ISO 8301法に従って測定された)であった。発泡スラブの密度は17.0g/lである。発泡性顆粒は臭化水素酸を2150ppm含有する。
【0108】
比較例2(連続塊状プロセス)
40.1部のポリスチレンN1782;Kostil B 855としてベルサリス社から販売されている3部のSAN(200°C-5KgでMFI=5g/10分を有する15%アクリロニトリルを含有);及び実施例1で使用された56.9部のか焼カーボンコークス4287 Asbury、が、二軸スクリュー押出機で混合される。本発明に従った発泡性複合体の製造において、押出体は濃縮材料として使用される。
【0109】
撹拌反応器内では、89.8部のエチルベンゼン、786.2部のスチレン、0.2部のジビニルベンゼンが撹拌反応器の中に注ぎ込まれる。上述の通り調製された123.8部の濃縮体が反応器に注ぎ込まれ、合計1000部で溶解される。125°C下、2時間の平均滞留時間で反応が行われる。その後、出口での液体組成物が第二反応器に注ぎ込まれ、135°C下、2時間の平均滞留時間で反応が完了する。
【0110】
転化率72%を有する反応性ポリマー組成物が240°Cまで加熱され、その後溶媒及び残留モノマーを取り除くために脱気装置に注ぎ込まれる。結果として得られた組成物は、ガラス転移温度が101°C、メルトフローインデックス(MFI 200°C、5kg)が9g/10分、分子量MWが190000g/mol、及びMW/Mn比が2.8であり、ここで、MWは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。
【0111】
ビニル芳香族組成物が加熱タンクに集められ、その温度を200°Cまで下げるために熱交換器に注ぎ込まれる。
【0112】
109.1部のポリスチレンN2982、37.8部のテトラブロモビスフェノールA2,3ジブロモプロピルエーテル(CAS番号21850-44-2)及び3.1部のPerkadox30(登録商標)(アクゾノーベル社によって販売されている2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン)の、合計150部が二軸スクリュー押出機に注ぎ込まれる。ギアポンプが溶融添加剤の供給圧力を260bargに高める。n-ペンタン(70%)とイソペンタン(30%)との混合物50部がその後加圧され、添加剤の供給に注入される。混合は、約200°Cの温度で、静的混合機を通じて完了する。
【0113】
このように混合された組成物が、熱交換器から来るビニル芳香族組成物850部に添加される。成分はその後、静的混合装置を通じて、計算された平均(滞留)時間の7分間混合される。組成物はその後チェーンに配置され、該チェーンでは、直径0.5mmを有する数多くの穴を通じて押出され、水のジェットで即座に冷却され、一連の回転ナイフで切断される(米国公開特許2005/0123638号に従う)。造粒圧は5bargであり、切断変形速度は1.2mmの平均直径を有する造粒物が得られるように選ばれる。水はスプレー液体として、窒素はキャリアガスとして使用される。スプレーされる水のフローレートとポリマー体のフローレートとの間の比は30であり、窒素とポリマー体とのそれは20である。水温は40°Cである。
【0114】
結果として得られた造粒パールは遠心脱水機で乾燥され、その後コーティングされる。コーティングは、1.5部のグリセリルモノステアレート、1部のグリセリルトリステアレート、1部のステアリン酸亜鉛、及び0.2部のポリソルベート80(商品名Crillet 4 Superでクローダ社から販売されている)を1000部の乾燥造粒パールに対して上部に添加することにより調製される。コーティング添加剤は、連続スクリュー混合機を通じて造粒物と混合される。
【0115】
造粒パールの発泡及び成形は比較例1で指示された通りに行われた。やはり比較例1の通り得られたスラブの一部分は70°Cのオーブンに2日間置かれ(残留ペンタン<0.15%):その後、規格DIN 4102-B2に従った燃焼挙動試験のための試料(9cm×19cm×2cm)が得られる。試料は試験に合格する。ブロックから得られた発泡品目に対して測定された熱伝導率は30.6mW/mK(規格ISO 8301に従う)であった。発泡スラブの密度は16.7g/lである。発泡性顆粒は臭化水素酸を290ppm含有する。
【0116】
比較例3(連続塊状プロセス)
比較例2が繰り返された。124.9gのポリスチレンN2982、22部のテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)及び3.1部のPerkadox30(2,3ジメチルジフェニルブタン-アクゾノーベル社)の、合計150部を二軸スクリュー押出機に注ぎ込むことにより、難燃添加剤を含むマスターバッチが調製された。
【0117】
比較例2で報告されている通り、成分はその後、静的混合装置を通じて、計算された平均(滞留)時間の7分間混合される。比較例1に記載されている手法に従い、組成物はその後、直径0.5mmを有する数多くの穴を通じて押出されるチェーンに配置される。造粒圧は5bargであり、切断変形速度は1.2mmの平均直径を有する造粒物が得られるように選ばれる。水はスプレー液体として、窒素はキャリアガスとして使用される。スプレーされる水のフローレートとポリマー体のフローレートとの間の比は30であり、窒素とポリマー体とのそれは20である。水温は40°Cである。
【0118】
結果として得られた造粒パールは遠心脱水機で乾燥され、その後コーティングされる。コーティングは比較例1で使用されたものと同様である。コーティング添加剤は、連続スクリュー混合機を通じて造粒物と混合される。
【0119】
造粒パールの発泡及び成形は比較例1の通りに行われた。やはり比較例1の通り得られたスラブの一部分は70°Cのオーブンに2日間置かれ(残留ペンタンは0.15%未満):その後、規格DIN 4102-B2に従った燃焼挙動試験のための試料(9cm×19cm×2cm)が得られる。発泡材料のブロックから得られた発泡品目に対して測定された熱伝導率は30.8mW/mK(規格ISO 8301に従って測定された)であった。発泡スラブの密度は16.8g/lである。発泡性顆粒は臭化水素酸を1800ppm含有する。
【0120】
実施例1
比較例2が繰り返された。126gのポリスチレンN2982、15.7部のテトラブロモビスフェノールA2,3ジブロモプロピルエーテルと5.2部の臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマー(エメラルド・イノベーション3000)とを含む難燃剤の混合物、及び3.1部のPerkadox30(2,3ジメチルジフェニルブタン、アクゾノーベル社)の、合計150部を二軸スクリュー押出機に注ぎ込むことにより、難燃添加剤を含むマスターバッチが調製された。
【0121】
比較例2で報告されている通り、成分はその後、静的混合装置を通じて、計算された平均(滞留)時間の7分間混合される。比較例1に記載されている手法に従い、組成物はその後、直径0.5mmを有する数多くの穴を通じて押出されるチェーンに配置される。造粒圧は5bargであり、切断変形速度は1.2mmの平均直径を有する造粒物が得られるように選ばれる。水はスプレー液体として、窒素はキャリアガスとして使用される。スプレーされる水のフローレートとポリマー体のフローレートとの間の比は30であり、窒素とポリマー体とのそれは20である。水温は40°Cである。
【0122】
結果として得られた造粒パールは遠心脱水機で乾燥され、その後コーティングされる。コーティングは比較例1で使用されたものと同様である。コーティング添加剤は、連続スクリュー混合機を通じて造粒物と混合される。
【0123】
造粒パールの発泡及び成形は比較例1の通りに行われた。やはり実施例1の通り得られたスラブの一部分は70°Cのオーブンに2日間置かれ(残留ペンタンは0.15%未満):その後、規格DIN 4102-B2に従った燃焼挙動試験のための試料(9cm×19cm×2cm)が得られる。試料は試験に合格する。
【0124】
発泡材料のブロックから得られた発泡品目に対して測定された熱伝導率は30.5mW/mK(ISO 8301法に従って測定された)であった。発泡スラブの密度は15.8g/lである。発泡性顆粒は臭化水素酸を250ppm含有する。
【0125】
実施例2
比較例2が繰り返された。126gのポリスチレンN2982、15.7部のテトラブロモビスフェノールA2,3ジブロモプロピルエーテルと、3.1部の臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマー(エメラルド・イノベーション3000)と、2.1部のテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)とを含む難燃剤の混合物、及び3.1部のPerkadox30(2,3ジメチルジフェニルブタン、アクゾノーベル社)の、合計150部を二軸スクリュー押出機に注ぎ込むことにより、難燃添加剤を含むマスターバッチが調製された。
【0126】
比較例2で報告されている通り、成分はその後、静的混合装置を通じて、計算された平均(滞留)時間の7分間混合される。比較例1に記載されている手法に従い、組成物はその後、直径0.5mmを有する数多くの穴を通じて押出されるチェーンに配置される。造粒圧は5bargであり、切断変形速度は1.2mmの平均直径を有する造粒物が得られるように選ばれる。水はスプレー液体として、窒素はキャリアガスとして使用される。スプレーされる水のフローレートとポリマー体のフローレートとの間の比は30であり、窒素とポリマー体とのそれは20である。水温は40°Cである。
【0127】
結果として得られた造粒パールは遠心脱水機で乾燥され、その後コーティングされる。コーティングは比較例1で使用されたものと同様である。コーティング添加剤は、連続スクリュー混合機を通じて造粒物と混合される。
【0128】
造粒パールの発泡及び成形は比較例1の通りに行われた。やはり比較例1の通り得られたスラブの一部分は70°Cのオーブンに2日間置かれ(残留ペンタンは0.15%未満):その後、規格DIN 4102-B2に従った燃焼挙動試験のための試料(9cm×19cm×2cm)が得られる。試料は試験に合格する。
【0129】
発泡材料のブロックから得られた発泡品目に対して測定された熱伝導率は30.3mW/mK(ISO 8301法に従って測定された)であった。発泡スラブの密度は16g/lである。発泡性顆粒は臭化水素酸を280ppm含有する。
【0130】
実施例3
比較例2が繰り返された。124.9gのポリスチレンN2982、16.8部のテトラブロモビスフェノールA2,3ジブロモプロピルエーテルと5.2部のテトラブロモビスフェノールAビス(2メチル2,3ジブロモプロピルエーテル)とを含む難燃剤の混合物、及び3.1部のPerkadox30(2,3ジメチルジフェニルブタン、アクゾノーベル社)の、合計150部を二軸スクリュー押出機に注ぎ込むことにより、難燃添加剤を含むマスターバッチが調製された。
【0131】
比較例2で報告されている通り、成分はその後、静的混合装置を通じて、計算された平均(滞留)時間の7分間混合される。比較例1に記載されている手法に従い、組成物はその後、直径0.5mmを有する数多くの穴を通じて押出されるチェーンに配置される。造粒圧は5bargであり、切断変形速度は1.2mmの平均直径を有する造粒物が得られるように選ばれる。水はスプレー液体として、窒素はキャリアガスとして使用される。スプレーされる水のフローレートとポリマー体のフローレートとの間の比は30であり、窒素とポリマー体とのそれは20である。水温は40°Cである。
【0132】
結果として得られた造粒パールは遠心脱水機で乾燥され、その後コーティングされる。コーティングは比較例1で使用されたものと同様である。コーティング添加剤は、連続スクリュー混合機を通じて造粒物と混合される。
【0133】
造粒パールの発泡及び成形は比較例1の通りに行われた。やはり比較例1の通り得られたスラブの一部分は70°Cのオーブンに2日間置かれ(残留ペンタンは0.15%未満):その後、規格DIN 4102-B2に従った燃焼挙動試験のための試料(9cm×19cm×2cm)が得られる。試料は試験に合格する。
【0134】
発泡材料のブロックから得られた発泡品目に対して測定された熱伝導率は30.8mW/mK(ISO 8301法に従って測定された)であった。発泡スラブの密度は16.1g/lである。発泡性顆粒は臭化水素酸を380ppm含有する。
【0135】
比較例4(連続塊状プロセス)
82.1部のポリスチレンN1782;Kostil B 855としてベルサリス社から販売されている3部のSAN(200°C-5KgでMFI=5g/10分を有する15%アクリロニトリルを含有);及び14.9部のか焼カーボンコークス4287 Asburyが、二軸スクリュー押出機で混合される。本発明に従った発泡性複合体の製造において、押出体は濃縮材料として使用される。
【0136】
89.8部のエチルベンゼン、786.2部のスチレン、0.2部のジビニルベンゼン、及び上述の通り調製された123.8部の濃縮体が撹拌反応器の中に注ぎ込まれ、合計1000部で溶解される。125°C下、2時間の平均滞留時間で反応が行われる。その後、出口での液体組成物が第二反応器に注ぎ込まれ、135°C下、2時間の平均滞留時間で反応が完了する。
【0137】
転化率72%を有する反応性ポリマー組成物が240°Cまで加熱され、溶媒及び残留モノマーを取り除くために脱気装置に注ぎ込まれる。結果として得られた組成物は、ガラス転移温度が101°C、メルトフローインデックス(MFI 200°C、5kg)が9g/10分、分子量MWが190000g/mol、及びMW/Mn比が2.8であり、ここで、MWは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。
【0138】
ビニル芳香族組成物が加熱タンクに集められ、その温度を200°Cまで下げるために熱交換器に注ぎ込まれる。
【0139】
109.1部のポリスチレンN2982、37.8部のテトラブロモビスフェノールAビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)、及び3.1部のPerkadox30(登録商標)(アクゾノーベル社によって販売されている、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン)の、合計150部が二軸スクリュー押出機に注ぎ込まれる。ギアポンプが溶融添加剤の供給圧力を260bargに高める。n-ペンタン(70%)とイソペンタン(30%)との混合物50部がその後加圧され、添加剤の供給に注入される。混合は、約200°Cの温度で、静的混合機を通じて完了する。
【0140】
このように混合された組成物が、熱交換器から来るビニル芳香族組成物850部に添加される。成分はその後、静的混合装置を通じて、計算された平均(滞留)時間の7分間混合される。組成物はその後チェーンに配置され、該チェーンでは、直径0.5mmを有する数多くの穴を通じて押出され、水のジェットで即座に冷却され、一連の回転ナイフで切断される(米国公開特許2005/0123638号に従う)。造粒圧は5bargであり、切断変形速度は1.2mmの平均直径を有する造粒物が得られるように選ばれる。水はスプレー液体として、窒素はキャリアガスとして使用される。スプレーされる水のフローレートとポリマー体のフローレートとの間の比は30であり、窒素とポリマー体とのそれは20である。水温は40°Cである。
【0141】
結果として得られた造粒パールは遠心脱水機で乾燥され、その後コーティングされる。コーティングは、1.5部のグリセリルモノステアレート、1部のグリセリルトリステアレート、1部のステアリン酸亜鉛、及び0.2部のポリソルベート80(商品名Crillet 4 Superでクローダ社から販売されている)を1000部の乾燥造粒パールに対して上部に添加することにより調製される。コーティング添加剤は、連続スクリュー混合機を通じて造粒物と混合される。発泡プロセスを受けた発泡性顆粒のサイズは0.9~1.6mmである。
【0142】
生成物は、AMD社製の非連続予備発泡機、モデルP125 D(有用容量:125リットルのレベルで)で、100°Cの温度の蒸気を用いて予備発泡された。ポリマー顆粒の予備発泡に使用される蒸気圧は0.1barに設定された。予備発泡機に注ぎ込まれた発泡性顆粒の分量は1000gである。発泡パールは成熟(mature)のため12時間放置され、その後ブロック成形に使用された(寸法1040mm×1030mm×550mm)。
【0143】
発泡材料のブロックから得られたスラブの一部分は70°Cのオーブンに2日間置かれ(残留ペンタンは0.15%未満):その後、規格DIN 4102-B2に従った燃焼挙動試験のための試料(9cm×19cm×2cm)が得られる。試料は試験に合格する。熱伝導率は33.8mW/mK(ISO 8301法に従って測定された)であった。発泡スラブの密度は16.5g/lである。発泡性顆粒は臭化水素酸を180ppm含有する。
【0144】
実施例4
比較例4が繰り返された。130.1gのポリスチレンN2982、12.6部のテトラブロモビスフェノールA2,3ジブロモプロピルエーテルと4.2部の臭素化スチレン/ブタジエンブロックコポリマー(エメラルド・イノベーション3000)とを含む難燃剤の混合物、及び3.1部のPerkadox30(2,3ジメチルジフェニルブタン、アクゾノーベル社)の、合計150部を二軸スクリュー押出機に注ぎ込むことにより、難燃添加剤を含むマスターバッチが調製された。
【0145】
比較例2で報告されている通り、成分はその後、静的混合装置を通じて、計算された平均(滞留)時間の7分間混合される。比較例1に記載されている手法に従い、組成物はその後、直径0.5mmを有する数多くの穴を通じて押出されるチェーンに配置される。造粒圧は5bargであり、切断変形速度は1.2mmの平均直径を有する造粒物が得られるように選ばれる。水はスプレー液体として、窒素はキャリアガスとして使用される。スプレーされる水のフローレートとポリマー体のフローレートとの間の比は30であり、窒素とポリマー体とのそれは20である。水温は40°Cである。
【0146】
結果として得られた造粒パールは遠心脱水機で乾燥され、その後コーティングされる。コーティングは比較例1で使用されたものと同様である。コーティング添加剤は、連続スクリュー混合機を通じて造粒物と混合される。
【0147】
造粒パールの発泡及び成形は比較例1の通りに行われた。やはり比較例1の通り得られたスラブの一部分は70°Cのオーブンに2日間置かれ(残留ペンタン<0.15%):その後、規格DIN 4102-B2に従った燃焼挙動試験のための試料(9cm×19cm×2cm)が得られる。試料は試験に合格する。
【0148】
発泡材料のブロックから得られた発泡品目に対して測定された熱伝導率は33.6mW/mK(ISO 8301法に従って測定された)であった。発泡スラブの密度は15.9g/lである。発泡性顆粒は臭化水素酸を280ppm含有する。
【0149】
臭化物の定量方法
臭素化化合物を含有するポリマー組成物の秤量された試料0.1~1.5g(予想される臭化物に基づく)が50ml試験管に入れられ、15mlのクロロホルムで溶解される。溶解後、イオンクロマトグラフィー用に25mlの溶離剤が添加され(NaHCO30.0020M及びNa2CO30.0013Mの水溶液)、試験管は閉じられて20分間振とうされる。振とう後、有機相及び水相が分離されたまま、後者が、メトロームDual2カラム(コード6.1006.100)及び電気伝導度サプレッサー、Metrosep A Supp 4/5プレカラム(コード6.1006.500)を用いたイオンクロマトグラフィーメトロームモデルCompact 761 ICで分析される。溶液の濃度はクロマトグラムから得られ、ppm p/pで表される。
【0150】