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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】流体殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20230116BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20230116BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
H01L33/48
C02F1/32
A61L2/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019015540
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020123690
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】河崎 涼太
(72)【発明者】
【氏名】木内 裕紀
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-111346(JP,A)
【文献】特開2007-250899(JP,A)
【文献】特開2018-032796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0071830(US,A1)
【文献】特開2012-149946(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0338350(US,A1)
【文献】特開2004-223502(JP,A)
【文献】特開2017-175132(JP,A)
【文献】特開2018-030078(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009343(WO,A1)
【文献】特開2014-102190(JP,A)
【文献】特開2011-183295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
B01J 19/12
C02F 1/32
A61L 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が通過する処理容器と、
前記処理容器内の流体に向けて紫外光を照射する光照射装置と、
前記処理容器を挟んで前記光照射装置の反対側に配置され、前記処理容器内の流体ごしに前記光照射装置を撮像する撮像装置と、
制御装置と、を備え、
前記光照射装置は、それぞれが直列接続される複数の発光素子で構成される複数の発光素子群を備え
前記複数の発光素子群のそれぞれは、第1発光素子と、前記第1発光素子に隣接する第2発光素子、第3発光素子および第4発光素子とを含むように構成され
前記制御装置は、前記撮像装置が撮像する画像を解析し、前記複数の発光素子群のいずれが不点灯であるかを検出することを特徴とする流体殺菌装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子群のうちの一つである特定の発光素子群に含まれる前記第2発光素子は、前記特定の発光素子群に含まれる前記第1発光素子と第1方向に隣接し、
前記特定の発光素子群に含まれる前記第3発光素子は、前記特定の発光素子群に含まれる前記第1発光素子と前記第1方向に交差する第2方向に隣接することを特徴とする請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項3】
前記特定の発光素子群に含まれる前記第4発光素子は、前記特定の発光素子群に含まれる前記第1発光素子と前記第1方向および前記第2方向の双方に交差する第3方向に隣接することを特徴とする請求項2に記載の流体殺菌装置。
【請求項4】
前記特定の発光素子群に含まれる前記第4発光素子は、前記特定の発光素子群に含まれる前記第1発光素子を挟んで前記特定の発光素子群に含まれる前記第2発光素子または前記第3発光素子の反対側に配置されることを特徴とする請求項2に記載の流体殺菌装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子群のそれぞれは、前記複数の発光素子群が設けられる実装領域の外周に沿って隣接する二以上の発光素子を含むように構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子群のそれぞれは、前記実装領域の外周に隣接しない発光素子を含むように構成されることを特徴とする請求項5に記載の流体殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を備える光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光には殺菌能力があることが知られており、医療や食品加工の現場などでの殺菌処理に紫外光照射装置が用いられる。例えば、直管内を通過する流体の流れに沿う方向に紫外光LED(Light Emitting Diode)から出力される紫外光を照射する構成が知られている。殺菌処理能力を高めるため、例えば基板上に複数の発光素子を配列した光源が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-69166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板上に配列される複数の発光素子の動作のモニタが容易となることが好ましい。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、複数の発光素子の動作のモニタが容易となる光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の光照射装置は、それぞれが直列接続される複数の発光素子で構成される複数の発光素子群を備える。複数の発光素子群のそれぞれは、第1発光素子と、第1発光素子に隣接する第2発光素子、第3発光素子および第4発光素子とを含むように構成される。
【0007】
この態様によると、いずれかの発光素子群に含まれるいずれかの発光素子が故障し、発光素子群内で直列接続される複数の発光素子が不点灯となる場合に、第1発光素子と、第1発光素子に隣接する三つの発光素子とが同時に不点灯となる。その結果、同時に不点灯となる領域の範囲を縦方向および横方向の双方について広げることができ、直列接続される複数の発光素子が直線的に配置される場合に比べて、不点灯となる領域を視認しやすくできる。これにより、複数の発光素子の動作のモニタを容易化できる。
【0008】
複数の発光素子群の少なくとも一つの発光素子群に含まれる第2発光素子は、第1発光素子と第1方向に隣接してもよい。少なくとも一つの発光素子群に含まれる第3発光素子は、第1発光素子と第1方向に交差する第2方向に隣接してもよい。
【0009】
少なくとも一つの発光素子群に含まれる第4発光素子は、第1発光素子と第1方向および第2方向の双方に交差する第3方向に隣接してもよい。
【0010】
少なくとも一つの発光素子群に含まれる第4発光素子は、第1発光素子を挟んで第2発光素子または第3発光素子の反対側に配置されてもよい。
【0011】
複数の発光素子群のそれぞれは、複数の発光素子群が設けられる実装領域の外周に沿って隣接する二以上の発光素子を含むように構成されてもよい。
【0012】
複数の発光素子群のそれぞれは、実装領域の外周に隣接しない発光素子を含むように構成されてもよい。
【0013】
複数の発光素子群を撮像する撮像装置をさらに備えてもよい。
【0014】
撮像装置が撮像する画像を解析し、複数の発光素子群のいずれが不点灯であるかを検出する制御装置をさらに備えてもよい。
【0015】
複数の発光素子群は、処理容器内の流体に向けて紫外光を出力してもよい。撮像装置は、処理容器を挟んで複数の発光素子群の反対側に配置され、処理容器ごしに複数の発光素子群を撮像してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の発光素子の動作のモニタを容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2】実施の形態に係る光照射装置の構成を示す平面図である。
図3図2の光照射装置の電気的な接続構成を概略的に示す図である。
図4】比較例に係る光照射装置の照度分布を模式的に示す図である。
図5】実施の形態に係る光照射装置の照度分布を模式的に示す図である。
図6】変形例に係る光照射装置の電気的な接続構成を概略的に示す図である。
図7】別の変形例に係る光照射装置の電気的な接続構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
本実施の形態は、複数の発光素子を備える光照射装置であり、例えば紫外光を出力するよう構成される。この光照射装置は、水などの流体に紫外光を照射して殺菌処理をするために用いることができる。光照射装置の構成を詳述する前に、光照射装置の応用例の一つである流体殺菌装置の構成について説明する。
【0020】
図1は、実施の形態に係る流体殺菌装置10の構成を概略的に示す図である。流体殺菌装置10は、矢印Aで示されるように流路12内を通過する流体に対して紫外光Bを照射して殺菌処理を施す。流体殺菌装置10は、直管20と、第1筐体23と、第2筐体24と、光照射装置30と、撮像装置36と、第1窓部材37と、第2窓部材38と、制御装置40とを備える。
【0021】
直管20は、流路12を区画する。直管20は、第1端部21および第2端部22を有する。第1端部21には第1筐体23が設けられ、第2端部22には第2筐体24が設けられる。直管20の材質は特に問わないが、少なくとも直管20の内面が紫外光に対する耐久性および反射率が高い材料であることが好ましい。直管20の内面は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂やアルミニウム(Al)などの金属材料で構成されることが好ましい。
【0022】
図面の理解を助けるため、直管20の第1端部21から第2端部22に向かう方向を「軸方向」ともいう。また、直管20の中心軸から離れる方向を「径方向」ともいい、直管20の中心軸周りの方向を「周方向」ともいう。
【0023】
第1筐体23は、直管20の外側に設けられる第1整流室13および光源室17を区画する。第1整流室13と光源室17の間は、第1窓部材37により仕切られる。第1筐体23には第1流通口25が設けられ、第1流通口25から第1流通管27が径方向に延びる。第1整流室13は、流路12と第1流通口25の間をつなぐ。第1整流室13は、直管20の第1端部21と、第1端部21に対向する第1窓部材37との間の第1隙間15を通じて流路12と連通する。第1整流室13は、例えば、直管20の全周にわたって設けられる。
【0024】
第2筐体24は、直管20の外側に設けられる第2整流室14および撮像室18を区画する。第2整流室14と撮像室18の間は、第2窓部材38により仕切られる。第2筐体24には第2流通口26が設けられ、第2流通口26から第2流通管28が径方向に延びる。第2整流室14は、流路12と第2流通口26の間をつなぐ。第2整流室14は、直管20の第2端部22と、第2端部22に対向する第2窓部材38との間の第2隙間16を通じて流路12と連通する。第2整流室14は、例えば、直管20の全周にわたって設けられる。
【0025】
図1の構成では、光源室17が設けられる第1筐体23を流体の流出側とし、撮像室18が設けられる第2筐体24を流体の流入側としている。つまり、第1流通口25を流出口とし、第1流通管27を流出管とし、第2流通口26を流入口とし、第2流通管28を流入管としている。変形例においては、流入側と流出側を逆にしてもよい。つまり、第1流通口25を流入口とし、第1流通管27を流入管とし、第2流通口26を流出口とし、第2流通管28を流出管としてもよい。
【0026】
光照射装置30は、光源室17に設けられる。光照射装置30は、複数の発光素子32と、基板33と、ヒートシンク34とを含む。光照射装置30は、第1窓部材37を介して第1端部21から直管20の内部に向けて軸方向に紫外光を照射するよう構成される。つまり、光照射装置30は、第1端部21から第2端部22に向けて直管の内部に紫外光を照射する。
【0027】
発光素子32は、いわゆるUV-LED(Ultra Violet-Light Emitting Diode)である。発光素子32は、発光のピーク波長が300nm以下であり、殺菌効率の高い波長である260nm~290nm付近の紫外光を発する。また、発光素子32は、波長400nm以上の可視光をわずかに出力するよう構成される。例えば、発光素子32の可視光域の発光強度は、例えばピーク波長の発光強度の1%未満または0.1%未満である。
【0028】
複数の発光素子32は、基板33の実装面上にアレイ状に並べられ、軸方向に紫外光Bを照射するように配置される。複数の発光素子32は、例えば円形や矩形状の基板33の実装面上に等間隔となるように二次元アレイ状に配置される。複数の発光素子32は、第1窓部材37を介して流路12の内部に紫外光を照射する。基板33の実装面の裏側にはヒートシンク34が設けられる。基板33は、第1ケーブル42を介して制御装置40と電気的に接続される。
【0029】
撮像装置36は、撮像室18に設けられる。撮像装置36は、第2窓部材38を介して第2端部22から直管20の内部を軸方向に撮像するよう構成される。撮像装置36は、第2端部22において直管20の内部を流れる流体ごしに光照射装置30の照度分布を撮像する。撮像装置36は、CCDやCMOSなどの撮像素子を含み、可視光を撮像するよう構成される。撮像装置36は、光照射装置30のピーク波長付近の紫外光(例えば300nm以下)を撮像せず、波長400nm以上の可視光を撮像する。撮像装置36は、第2ケーブル44を介して制御装置40と電気的に接続される。
【0030】
第1窓部材37は、光照射装置30と第1端部21の間に配置される。第1窓部材37は、光照射装置30のピーク波長付近の紫外光(例えば300nm以下)の透過率が高い材料で構成され、例えば石英ガラス(SiO)やサファイア(Al)などで構成される。第1窓部材37は、波長260nm以上300nm以下の紫外光の透過率が50%以上となるように構成され、波長260nm以上300nm以下の紫外光の透過率が70%以上または80%以上となることが好ましい。第1窓部材37は、可視光の透過率が高いことが好ましく、少なくとも波長400nm程度の可視光の透過率が50%以上となるよう構成される。
【0031】
第2窓部材38は、撮像装置36と第2端部22の間に配置される。第2窓部材38は、光照射装置30のピーク波長付近の紫外光(例えば300nm以下)の透過率が低く、波長400nm以上の可視光の透過率が高い材料で構成される。第2窓部材38は、波長260nm以上300nm以下の紫外光の透過率が1%未満となり、波長400nm以上の可視光の透過率が50%以上となるよう構成される。第2窓部材38は、波長300nm~400nm程度の中紫外光から近紫外光の透過率についても1%未満であることが好ましい。第2窓部材38は、例えば、ソーダ石灰ガラスなどの一般的なガラスや、紫外光を吸収する材料が分散されたガラス、紫外光が遮蔽可能な特殊なアクリル樹脂(いわゆるUVカットアクリル)などで構成することができる。
【0032】
第2窓部材38は、波長260nm以上300nm以下の紫外光を反射し、波長400nm以上の可視光を透過させるダイクロイックミラーであってもよい。第2窓部材38として、例えば、波長400nm付近をカットオフ波長とする誘電体多層膜ミラーなどを用いることができる。
【0033】
第2窓部材38は、第1窓部材37に比べて光照射装置30が出力する紫外光の透過率が低くなるように構成される。つまり、第1窓部材37は光照射装置30が出力する紫外光を透過させ、第2窓部材38は光照射装置30が出力する紫外光をカットするように構成される。一方、第1窓部材37および第2窓部材38はいずれも、光照射装置30が出力する波長400nm程度の可視光を透過させるよう構成される。
【0034】
制御装置40は、複数の発光素子32のそれぞれを駆動するための電力を供給する。制御装置40は、撮像装置36が撮像する画像を解析し、複数の発光素子32のそれぞれの発光強度を推定する。制御装置40は、例えば、撮像画像における複数の発光素子32のそれぞれの位置に対応する画素値から各発光素子の発光強度を推定し、劣化による発光強度の低下や故障による不点灯が生じた発光素子を特定する。
【0035】
制御装置40は、発光強度が低下している発光素子を特定した場合、その発光素子の駆動電流を増やして発光強度が既定値となるようにフィードバック制御してもよい。制御装置40は、発光強度の低下や不点灯といった異常のある発光素子を特定した場合、正常な発光素子の駆動電流を増やして、光照射装置30の全体としての照度が既定値となるようにフィードバック制御してもよい。制御装置40は、発光強度の低下や不点灯といった異常のある発光素子を特定した場合、外部にアラート信号を出力してもよい。
【0036】
つづいて、流体殺菌装置10の動作について説明する。殺菌処理の対象となる水などの流体は、第2流通管28、第2流通口26、第2整流室14、第2隙間16、流路12、第1隙間15、第1整流室13、第1流通口25および第1流通管27の順に通過する。流路12内の流体の流れは、第1整流室13および第2整流室14を設けることで整流されて層流状態となる。特に、第1隙間15および第2隙間16を狭くして流路12の内部に比べて通水断面積を小さくすることで、整流効果が高められる。このような層流状態の流体に対して、流れの方向Aに沿って紫外光Bを軸方向に照射することにより、流体に対して紫外光を効果的に作用させることができ、殺菌効果を高めることができる。
【0037】
撮像装置36は、流路12を挟んで光照射装置30が設けられる第1端部21とは反対側の第2端部22から直管20の内部を撮像する。これにより、流路12を流れる流体に対する紫外光の照射Bを阻害することなく、光照射装置30の照度分布を撮像して光照射装置30の動作をモニタできる。光照射装置30から出力される可視光の照度分布を撮像することにより、紫外光の照度分布を撮像する場合に比べて流路12の内部の流体の流れの変動に起因する擾乱の影響を軽減できる。これにより、流路12を流れる流体の変動によらずに光照射装置30の動作を適切にモニタできる。
【0038】
撮像装置36は、紫外光ではなく、可視光を撮像するよう構成されるため、一般的な可視光用のCCDセンサやCMOSセンサを用いることができる。また、高エネルギーかつ高強度の紫外光を直接撮像しないようにすることで、紫外光による撮像素子の劣化を軽減することができる。これにより、撮像装置36によるモニタの信頼性を高めることができる。
【0039】
なお、変形例においては、撮像装置36が紫外光を撮像するよう構成されてもよい。つまり、光照射装置30から出力される紫外光の照度分布を撮像装置36が画像化し、紫外光の照度分布の画像を制御装置40が解析してもよい。
【0040】
つづいて、光照射装置30の構成について詳述する。図2は、実施の形態に係る光照射装置30の構成を示す平面図である。光照射装置30は、複数の発光素子32aa~32dd(総称して発光素子32ともいう)を備える。複数の発光素子32aa~32ddは、基板33の実装面上に正方格子状に並べられており、図示する例では4×4=16個の発光素子32が設けられる。
【0041】
複数の発光素子32aa~32ddは、X方向に延びる四本の直線Xa,Xb,Xc,Xdと、Y方向に延びる四本の直線Ya,Yb,Yc,Ydとのそれぞれの交点に配置されている。具体的には、X方向に延びる第1直線Xaに沿って4個の発光素子32aa,32ab,32ac,32adが等間隔で並んでおり、X方向に延びる第2直線Xbに沿って4個の発光素子32ba,32bb,32bc,32bdが等間隔で並んでいる。また、X方向に延びる第3直線Xaに沿って4個の発光素子32ca,32cb,32cc,32cdが等間隔で並んでおり、X方向に延びる第4直線Xbに沿って4個の発光素子32da,32db,32dc,32ddが等間隔で並んでいる。X方向に延びる4本の直線Xa~Xdは、Y方向に等間隔で並んでいる。
【0042】
複数の発光素子32aa~32ddは、複数の発光素子群にグループ化され、同じ発光素子群に含まれる発光素子が電気的に直列接続される。本実施の形態では、X方向の直線Xa~XdまたはY方向の直線Ya~Ydに沿って直線的に並べられる複数の発光素子を同じ発光素子群にグループ化するのではなく、特定の発光素子(第1発光素子ともいう)と、特定の発光素子に隣接する三つの発光素子(第2発光素子、第3発光素子および第4発光素子ともいう)とが同じ発光素子群に含まれるようにグループ化する。
【0043】
図3は、図2の光照射装置30の電気的な接続構成を概略的に示す図である。複数の発光素子32aa~32ddは、四つの発光素子群31a,31b,31c,31dにグループ化されており、各発光素子群31a~31dが2行2列(2×2)で配置される4個の発光素子32を含む。四つの発光素子群31a~31dのそれぞれに含まれる発光素子32は、制御装置40に含まれる電源(例えば定電流回路)61,62,63,64により駆動される。
【0044】
第1発光素子群31aは、第1発光素子32aaと、第1発光素子32aaに隣接する第2発光素子32ab、第3発光素子32baおよび第4発光素子32bbとを含む。第2発光素子32abは、第1発光素子32aaと第1方向(X方向)に隣接する。第3発光素子32baは、第1発光素子32aaと第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)に隣接する。第4発光素子32bbは、第1発光素子32aaと第1方向(X方向)および第2方向(Y方向)の双方に交差する第3方向(C方向)に隣接する。
【0045】
第1発光素子群31aに含まれる4個の発光素子32aa,32ab,32ba,32bbは、基板33上で第1配線51により直列接続される。第1発光素子群31aに含まれる4個の発光素子32aa~32bbは、制御装置40に含まれる第1電源61により駆動される。第1発光素子群31aに含まれる4個の発光素子32aa~32bbの直列接続の順序は特に問わず、図示する例とは異なる順序で4個の発光素子32aa~32bbが直列接続されてもよい。
【0046】
同様に、第2発光素子群31bは、第1発光素子32acと、第1発光素子32acに隣接する第2発光素子32ad、第3発光素子32bcおよび第4発光素子32bdとを含む。第2発光素子32adは、第1発光素子32acと第1方向(X方向)に隣接する。第3発光素子32bcは、第1発光素子32acと第2方向(Y方向)に隣接する。第4発光素子32bdは、第1発光素子32acと第3方向(C方向)に隣接する。第2発光素子群31bに含まれる4個の発光素子32ac~32bdは、基板33上で第2配線52により直列接続され、制御装置40に含まれる第2電源62により駆動される。
【0047】
第3発光素子群31cは、第1発光素子32caと、第1発光素子32caに隣接する第2発光素子32cb、第3発光素子32daおよび第4発光素子32dbとを含む。第2発光素子32cbは、第1発光素子32caと第1方向(X方向)に隣接する。第3発光素子32daは、第1発光素子32caと第2方向(Y方向)に隣接する。第4発光素子32dbは、第1発光素子32caと第3方向(C方向)に隣接する。第3発光素子群31cに含まれる4個の発光素子32ca~32dbは、基板33上で第3配線53により直列接続され、制御装置40に含まれる第3電源63により駆動される。
【0048】
第4発光素子群31dは、第1発光素子32ccと、第1発光素子32ccに隣接する第2発光素子32cd、第3発光素子32dcおよび第4発光素子32ddとを含む。第2発光素子32cdは、第1発光素子32ccと第1方向(X方向)に隣接する。第3発光素子32dcは、第1発光素子32ccと第2方向(Y方向)に隣接する。第4発光素子32ddは、第1発光素子32ccと第3方向(C方向)に隣接する。第4発光素子群31cに含まれる4個の発光素子32cc~32ddは、基板33上で第4配線54により直列接続され、制御装置40に含まれる第4電源64により駆動される。
【0049】
つづいて、光照射装置30が奏する効果について、比較例を参照しながら説明する。図4は、比較例に係る光照射装置130の照度分布を模式的に示す図である。比較例は、基板33上の複数の発光素子32の配置が実施の形態と同じであるが、複数の発光素子32が実施の形態とは異なる態様でグループ化されている。比較例では、複数の発光素子群131a,131b,131c,131dのそれぞれがX方向に直線的に並ぶ4個の発光素子32を含むように構成される。
【0050】
比較例において、例えば第2発光素子群131bに含まれる発光素子が故障した場合、第2発光素子群131bに含まれる全ての発光素子が不点灯となる。その結果、図4に示されるように、第2発光素子群131bが設けられる領域(不点灯領域ともいう)において照度が低下する。このとき、第2発光素子群131bに隣接する第1発光素子群131aおよび第3発光素子群131cに含まれる発光素子は点灯しているため、第2発光素子群131bが位置する不点灯領域の照度はそれほど低下しないかもしれない。例えば、第2発光素子群131bの中央に位置する特定の発光素子32bbに着目すると、この発光素子32bbには8個の発光素子が隣接し、そのうちのX方向(紙面の左右)に隣接する2個の発光素子32ba,32bcのみが不点灯であり、その他の6個の発光素子は点灯している。特に、特定の発光素子32bbとY方向(紙面の上下)に隣接する2個の発光素子32ab,32cbは特定の発光素子32bbの近くに配置されるため、隣接して点灯する発光素子32ab,32cbの照明光が特定の発光素子32bbの位置で重なり合うように見える。そのため、不点灯である特定の発光素子32bbの位置の照度がそれほど低下しないという状況が生じる。そうすると、撮像装置36を用いて不点灯領域を検出するためには、高解像度の撮像素子や高性能の画像処理部などが必要となり、コストの増加につながりうる。
【0051】
図5は、実施の形態に係る光照射装置の照度分布を模式的に示す図である。図5に示す実施の形態においても、上述の比較例と同様、第2発光素子群31bに含まれる全て(4個)の発光素子32ac,32ad,32bc,32bdが不点灯となっている。このとき、第2発光素子群31bの第1発光素子32acは、X方向またはY方向に隣接して点灯する発光素子が1個(発光素子32ab)しかないため、上述の比較例における不点灯領域よりも照度が低くなる。また、第2発光素子群31bの第2発光素子32adは、隣接する3個の発光素子32ac,32bc,32bdの全てが不点灯であるため、上述の比較例における不点灯領域よりも照度がさらに低下する。その結果、撮像装置36を用いた不点灯領域の検出が容易となる。仮にコスト削減のために低解像度の撮像素子や低性能の画像処理部を用いる場合であっても、不点灯領域を適切に検出できる。
【0052】
また、複数の発光素子群31a~31dのそれぞれは、複数の発光素子32が設けられる実装領域の外周Sに沿って隣接する二以上の発光素子を含むように構成される。図5に示されるように、第2発光素子群31bは、実装領域の外周Sに沿って第1方向(x方向)に隣接する第1発光素子32acおよび第2発光素子32adを含む。第2発光素子群31bは、実装領域の外周Sに沿って第2方向(Y方向)に隣接する第2発光素子32adおよび第4発光素子32bdを含む。実装領域の外周Sに隣接する発光素子(例えば第1発光素子32ac)は、実装領域の外周Sに隣接しない発光素子(例えば第3発光素子32bc)に比べて隣接する発光素子数が少ないため、不点灯時の画像検出が容易である。このような不点灯時の画像検出が容易となる外周Sに隣接する複数の発光素子を同じ発光素子群に含めて直列接続することで、不点灯領域の検出をさらに容易化できる。
【0053】
また、複数の発光素子群31a~31dのそれぞれは、実装領域の外周Sに隣接しない発光素子を含むように構成される。これにより、画像解析による不点灯が検出しにくい基板33の中央付近に配置される発光素子が故障する場合であっても、同時に実装領域の外周Sに隣接する発光素子が不点灯となるため、画像解析による不点灯の検出が容易化できる。
【0054】
図6は、変形例に係る光照射装置70の電気的な接続構成を概略的に示す図である。本変形例は、基板73の上に4×4=16個の発光素子72が配置され、複数の発光素子群71a,71b,71c,71dのそれぞれが4個の発光素子72を含む点で上述の実施の形態と共通する。一方で、本変形例では、上述の実施の形態とは異なる態様で各発光素子群71a~71dに含まれる発光素子がグループ化されている。以下、本変形例について、上述の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0055】
第1発光素子群71aは、第1発光素子72aaと、第1発光素子72aaに隣接する第2発光素子72ab、第3発光素子72acおよび第4発光素子72adとを含む。第2発光素子72abは、第1発光素子72aaと第1方向(+X方向)に隣接する。第3発光素子72acは、第1発光素子72aaと第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)に隣接する。第4発光素子72adは、第1発光素子72aaを挟んで第2発光素子72abの反対側(-X方向)に隣接する。第1発光素子群71aに含まれる4個の発光素子72aa~72adは、電気的に直列接続されている。
【0056】
第2発光素子群71bは、第1発光素子72baと、第1発光素子72baに隣接する第2発光素子72bb、第3発光素子72bcおよび第4発光素子72bdとを含む。第2発光素子72bbは、第1発光素子72baと第1方向(-X方向)に隣接する。第3発光素子72bcは、第1発光素子72baと第1方向(X方向)と交差する第2方向(+Y方向)に隣接する。第4発光素子72bdは、第1発光素子72baを挟んで第3発光素子72bcの反対側(-Y方向)に隣接する。第2発光素子群71bに含まれる4個の発光素子72ba~72bdは、電気的に直列接続されている。
【0057】
第3発光素子群71cは、第2発光素子群71bと同様に構成され、第2発光素子群71bとX方向に対称な配置となるように構成される。第4発光素子群71dは、第1発光素子群71aと同様に構成され、第1発光素子群71aとY方向に対称な配置となるように構成される。
【0058】
本変形例においても、上述の実施の形態と同様の効果を奏することができる。例えば、第1発光素子群71aに含まれる発光素子72のいずれかが故障する場合、第1発光素子72aaと、第1発光素子72aaに隣接する三個の発光素子72ab,72ac,72adとが同時に不点灯となるため、第1発光素子72aaが設けられる位置の照度を顕著に低下させることができる。また、不点灯時に照度が顕著に低下する位置にある第1発光素子72aaが実装領域の外周Sに隣接して配置されるため、不点灯領域の検出をさらに容易化できる。
【0059】
図7は、別の変形例に係る光照射装置80の電気的な接続構成を概略的に示す図である。本変形例では、基板83の上に複数の発光素子82が三角格子状に配置される点で上述の実施の形態と相違する。
【0060】
複数の発光素子82は、複数の発光素子群81a,81b,81c,81dにグループ化されている。第1発光素子群81aは電気的に直列接続される5個の発光素子82aa~82aeを含む。第2発光素子群81bは電気的に直列接続される4個の発光素子を含み、第3発光素子群81cは電気的に直列接続される5個の発光素子を含み、第4発光素子群81dは電気的に直列接続される5個の発光素子を含む。光照射装置80は、全部で19個の発光素子82を含む。
【0061】
第1発光素子群81aは、第1発光素子82aaと、第1発光素子82aaに隣接する第2発光素子82ab、第3発光素子82ac、第4発光素子82adおよび第5発光素子82aeとを含む。第2発光素子82abは、第1発光素子82aaと第1方向(+X方向)に隣接する。第3発光素子82acは、第1発光素子82aaと第1方向に交差する第2方向(D方向)に隣接する。第4発光素子82adは、第1発光素子82aaと第1方向および第2方向の双方に交差する第3方向(E方向)に隣接する。第5発光素子82aeは、第1発光素子82aaを挟んで第2発光素子82abの反対側(-X方向)に隣接する。
【0062】
第2発光素子群81b、第3発光素子群81cおよび第4発光素子群81dのそれぞれは、第1発光素子群81aと同様に構成され、第1発光素子と、第1発光素子に隣接する第2発光素子、第3発光素子および第4発光素子82とを含む。第2発光素子は第1発光素子と第1方向(例えばX方向)に隣接し、第3発光素子は第1発光素子と第2方向(例えばD方向)に隣接し、第4発光素子は第1発光素子と第3方向(例えばE方向)に隣接する。第3発光素子群81cおよび第4発光素子群81dのそれぞれは、第1発光素子に隣接する第5発光素子を含む。本変形例においても、上述の実施の形態および変形例と同様の効果を奏することができる。
【0063】
上述の実施の形態および変形例に係る光照射装置30,70,80を上述の流体殺菌装置10に適用した場合、光照射装置から出力される紫外光または可視光の照度分布は、直管20を流れる流体ごしに撮像される。その結果、撮像装置36が撮像する照度分布は、直管20を流れる流体や直管20の内壁面によって反射および散乱されたものとなり、光照射装置の近傍の照射分布に比べてぼやけた分布となりうる。そのため、光照射装置の近傍を撮像する場合に比べて、画像解析による不点灯箇所の特定が難しくなるかもしれない。しかしながら、上述の実施の形態および変形例に係る光照射装置30,70,80によれば、不点灯の発生時には二次元方向(例えばX方向およびY方向)に範囲の広い不点灯領域が生じるため、ぼやけた分布を撮像する場合であっても不点灯箇所の検出精度を高めることができる。特に、発光素子の劣化などにより一部箇所の発光強度が低下する場合であっても、強度低下による照度低下と不点灯による照度低下とを高精度で識別できる。
【0064】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0065】
上述の実施の形態および変形例では、発光素子が紫外光を出力する場合について説明した。変形例においては、複数の発光素子が可視光や赤外光を出力するよう構成されてもよい。
【0066】
上述の光照射装置は、流体殺菌装置以外の任意の用途に適用されてもよい。また、光照射装置の照度分布は、撮像装置により画像化して解析するのではなく、目視で確認されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…流体殺菌装置、30…光照射装置、31a,31b,31c,31d…発光素子群、32…発光素子、32aa,32ac,32ca,32cc…第1発光素子、32ab,32ad,32cb,32cd…第2発光素子、32ba,32bc,32da,32dc…第3発光素子、32bb,32bd,32db,32dd…第4発光素子、33…基板、36…撮像装置、40…制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7