(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】光コネクタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20230116BHJP
G02B 6/38 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/38
(21)【出願番号】P 2019032804
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】391005581
【氏名又は名称】三和電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069213
【氏名又は名称】平田 功
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 浩士
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-242476(JP,A)
【文献】特開2006-071888(JP,A)
【文献】特開2009-109627(JP,A)
【文献】特開2004-102251(JP,A)
【文献】特開2020-042091(JP,A)
【文献】特開2010-091929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0172922(US,A1)
【文献】中国実用新案第201163303(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24-6/255
G02B 6/36-6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルールが各保持された左右一対のフェルールハウジングと、該左右一対のフェルールハウジングに装着されるスライドカバーと、前記左右一対のフェルールハウジングで挟むようにスライドカバーの中央に形成されたタブスライドガイド孔と、
前記左右一対のフェルールハウジング間の上部における前記タブスライドガイド孔の上部壁面にコネクタ挿抜方向に平行となって片持支持された状態で上下方向へ弾性変形可能
に設けられたロックレバーと、前記スライドカバーの後方側からタブスライドガイド孔に挿入された回転操作可能なタブと、前記タブ先端に係止作動部が形成され、当該タブを左右何れかの方向に回転させることで、ロックレバーの動きを前記タブの係止作動部によって制限可能に形成した光コネクタであって、前記タブと前記スライドカバー間に、前記タブが前記スライドカバーの後方へ引っ張った部位に位置しているとき係合して前記スライドカバーに対して前記タブの回転が阻止され、前記タブを前方に押し込んだ部位に位置しているとき前記スライドカバーに対して前記タブの係合が外れて、当該タブが回転するようタブの回転阻止機構を備え
、前記回転阻止機構は、前記タブの外周に所定の間隔を置いて複数個の係止突起を各突設し、該係止突起間に係止凹部を各設けるとともに、前記フェルールハウジングのタブスライドガイド孔面側に、前記タブが後方に位置しているとき前記タブの係止凹部に係合し、前記タブが前方の押し込み部位に位置しているとき、前記タブの係止凹部から外れるよう回転阻止用突起を形成したものであることを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
前記タブの係止作動部は、正面視で矩形、長円形、楕円形、小判型のいずれかの形状を呈していることを特徴とする請求項1記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記タブの係止作動部の長手方向両側辺の中央には凸部が各形成されており、当該タブを回転させることで、前記タブスライドガイド孔の中央下部内壁面に形成された下側凹条部に一方辺側の凸部が係合され、前記下側凹条部に対向する前記ロックレバーの下面に形成された上側凹条部に他方辺側の凸部が係合されることを特徴とする請求項1または
2記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記タブの後端側に大径の取っ手を備え、該取っ手には窪み部または凸状部が形成され、該窪み部または凸状部は、前記タブの回転による前記係止作動部の姿勢がどのような位置であるかを示す指示部として機能するよう形成したことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか記載の光コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブの操作により光アダプタに対する光コネクタプラグの係脱を可能にした光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光コネクタの例えば上部壁面には、弾性変形(復帰)可能なフックアーム状の後述するロックレバー、係止アーム等がコネクタ挿抜方向に平行にして配されており、この係止部が光アダプタの係止孔に係合することで、光アダプタに対する光コネクタの不用意な抜脱が防止されている。この係止部は、光コネクタに装着される後述するスライドシャフト、ロック解除部材、係止解除操作アーム等の引き出し操作を介して下方に移動し、光アダプタに対するロックが解除され、光アダプタから光コネクタが抜去される構成となっている。
【0003】
具体的には特許文献1に示すように、コネクタ本体内に移動可能に挿入されて、コネクタ本体内に挿入された部分に係合溝を有し、指掛け部が光コネクタの外側に突出したスライドシャフトと、前記コネクタ本体内に回転可能に支持されて、ロック爪と、前記スライドシャフトの係合溝に挿入される操作用突出部を設けたロックレバーと、前記コネクタ本体、スライドシャフトならびにロックレバーを覆うように前記コネクタ本体に装着されるカバーを備え、前記ロックレバーがスライドシャフトとカバーの間に介在され、光コネクタを相手側のソケットに装着した状態で、前記ロック爪が前記光コネクタから突出して、前記ソケットに設けられているロック部と係合し、前記指掛け部を引くと、スライドシャフトの移動に伴って前記係合溝の側面が前記操作用突出部に当接し、さらに前記スライドシャフトを引っ張ると前記ロックレバーが回転軸を中心にして回転して、前記ロック爪が前記ロック部から外れる構成による光コネクタが公知である。
【0004】
また、特許文献2に示すように、ロックレバーに設けられるロック用の爪部とロック解除用操作部と、上下方向において前記爪部が突設された外側上方向と逆にして内側下方向に突出され垂設された係止部が設けられ、ロック解除部材が、光コネクタの本体部の上下左右方向のうち少なくとも一方向における幅寸法内に位置して設けられ、該ロック解除部材の先端部が、抜去方向に引かれた時に前記ロックレバーの係止部に係合して当該ロックレバーをロック解除方向に弾性変形させるように形成されているコネクタのロック解除構造が公知である。
【0005】
さらに、特許文献3に示すように、相手部品に挿入される本体の、相手部品に挿入される部分よりも嵌合方向後方に後端が固定されて、該嵌合方向前方に、前記相手部品に挿入される位置まで片持ち梁状に延び、先端部に、外向きに立ち上がって該相手部品に係止する係止突起を有する係止アームと、前記係止アームの先端から、前記外向きとは逆向きに延び、さらに該係止アームとは離間したまま該係止アームに沿って、前記嵌合方向後方に、前記本体から後方に突出する位置まで延び、該後方に引く操作を受けて前記係止アームを前記逆向きに撓ませることにより前記係止突起による前記相手部品への係止を解除させる係止解除操作アームとを備えたコネクタが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4630924号公報
【文献】特許第4843006号公報
【文献】特許第6006575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記した特許文献1によれば、スライドシャフトを引っ張るとロックレバーが回転軸を中心にして回転しロック爪がロック部から外れる構成となっていることから、ロック爪の下部側には隙間が常に存在する。このため光コネクタに意図しない強制的引き抜き作用が働いたり、光コネクタの周囲から障害物が不用意にロック爪に圧接したりした際には、ロックレバーが回転軸を中心にして回転しロック爪がロック部から容易に外れてしまう虞がある。
【0008】
また、前記した特許文献2によれば、ロック解除部材の先端部が、抜去方向に引かれた時にロックレバーの係止部に係合して当該ロックレバーをロック解除方向に弾性変形させるため、前記ロックレバーの係止部はロック解除部材の係止孔において下方へ移動可能な隙間が常に存在する。このため光コネクタに意図しない強制的引き抜き作用が働いたり、光コネクタの周囲から障害物が不用意にロックレバーのロック解除用操作部に圧接したりした際には、ロックレバーが下方に撓んでロック解除用操作部がアダプタの係止孔から容易に外れてしまう虞がある。
【0009】
さらに、前記した特許文献3によれば、係止アームから係止解除操作アームが折り返し状に一体形成され、当該係止解除操作アームにより後方に引く操作を受けて係止アームを逆向きに撓ませることから、係止解除操作アーム(係止アーム)の下部側には撓み動作を許容するための隙間が常に存在する。このため光コネクタに意図しない強制的引き抜き作用が働いたり、光コネクタの周囲から障害物が不用意に係止アームに圧接したりした際には当該係止アームが下方に撓んでアダプタの係止孔から容易に外れてしまう虞がある。
【0010】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、光コネクタが光アダプタに挿入され、光コネクタのロックレバーの係止部が光アダプタの係止孔に係合しロックされた状態において、光コネクタに意図しない強制的引き抜き作用が働いたり、光コネクタの周囲から障害物がロックレバーに不用意に圧接したりした場合でも前記係止部が下方に撓んでしまうのを防止でき、光アダプタからの光コネクタの不用意な抜去を未然に防止できるものとした光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、フェルールが各保持された左右一対のフェルールハウジングと、該左右一対のフェルールハウジングに装着されるスライドカバーと、前記左右一対のフェルールハウジングで挟むようにスライドカバーの中央に形成されたタブスライドガイド孔と、該タブスライドガイド孔の上部壁面にコネクタ挿抜方向に平行となって片持支持された状態で上下方向へ弾性変形可能となしたロックレバーと、前記スライドカバーの後方側からタブスライドガイド孔に挿入された回転操作可能なタブと、前記タブ先端に係止作動部が形成され、当該タブを左右何れかの方向に回転させることで、ロックレバーの動きを前記タブの係止作動部によって制限可能に形成した光コネクタであって、前記タブと前記スライドカバー間に、前記タブが前記スライドカバーの後方へ引っ張った部位に位置しているとき係合して前記スライドカバーに対して前記タブの回転が阻止され、前記タブを前方に押し込んだ部位に位置しているとき前記スライドカバーに対して前記タブの係合が外れて、当該タブが回転するようタブの回転阻止機構を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記回転阻止機構は、前記タブの外周に所定の間隔を置いて複数個の係止突起を各突設し、該係止突起間に係止凹部を各設けるとともに、前記フェルールハウジングのタブスライドガイド孔面側に、前記タブが後方に位置しているとき前記タブの係止凹部に係合し、前記タブが前方の押し込み部位に位置しているとき、前記タブの係止凹部から外れるよう回転阻止用突起を形成したものであることを特徴とする。
【0013】
前記タブの係止作動部は、正面視で矩形、長円形、楕円形、小判型のいずれかの形状を呈していることを特徴とする。
【0014】
前記タブの係止作動部の長手方向両側辺の中央には凸部が各形成されており、当該タブを回転させることで、前記タブスライドガイド孔の中央下部内壁面に形成された下側凹条部に一方辺側の凸部が係合され、前記下側凹条部に対向する前記ロックレバーの下面に形成された上側凹条部に他方辺側の凸部が係合されることを特徴とする。
【0015】
前記タブの後端側に大径の取っ手を備え、該取っ手には窪み部または凸状部が形成され、該窪み部または凸状部は、前記タブの回転による前記係止作動部の姿勢がどのような位置であるかを示す指示部として機能するよう形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光コネクタが光アダプタに挿入され、光コネクタのロックレバーの係止部が光アダプタの係止孔に係合しロックされた状態において、光コネクタに意図しない強制的引き抜き作用が働いたり、光コネクタの周囲から障害物がロックレバーに不用意に圧接したりした場合でも前記係止部が下方に撓んでしまうのを防止でき、光アダプタからの光コネクタの不用意な抜去を未然に防止できる。
【0017】
すなわち、本発明によれば、前記タブが前記スライドカバーのフェルールハウジングのタブスライドガイド孔後方へ引っ張った部位に位置しているとき係合して、前記スライドカバーのスライドガイド孔に対して前記タブの回転が阻止され、前記タブを前方に押し込んだ部位に位置しているとき前記スライドカバーのスライドガイド孔に対して前記タブの係合が外れて、当該タブが回転するようタブの回転阻止機構を備えたので、従来ではタブがスライドカバーのスライドガイド孔前後との部位に位置していても回転できるようになっていたが、本発明ではタブを押した状態でのみ回転させることができ、当該タブをある方向に合わせて引っ張ることで容易に抜脱することができる。したがって、光コネクタに意図しない強制的引き抜き作用が働いたり、光コネクタの周囲から障害物がロックレバーに不用意に圧接したりした場合でも前記係止部が下方に撓んでしまうのを防止することができる。
【0018】
ここにおいて、前記回転阻止機構は、前記タブの外周に所定の間隔を置いて複数個の係止突起を各突設し、該係止突起間に係止凹部を各設けるとともに、前記スライトカバーのフェルールハウジングのタブスライドガイド孔面側に、前記タブが後方に位置しているとき前記タブの係止凹部に係合し、前記タブが前方の押し込み部位に位置しているとき、前記タブの係止凹部から外れるよう回転阻止用突起を形成したものなので、光アダプタからの光コネクタの不用意な抜去を未然に防止することができる。
【0019】
前記タブの係止作動部は、正面視で矩形、長円形、楕円形、小判型のいずれかの形状を呈しているので、前記係止作動部の長手方向が垂直となるようにタブを左右何れかに回転させるだけで、ロックレバーの動きを容易に制限することができる。
【0020】
前記タブの係止作動部の長手方向両側辺の中央には凸部が各形成されており、当該タブを回転させることで、前記タブスライドガイド孔の下部内壁面に形成された下側凹条部に一方辺側の凸部が係合され、前記下側凹条部に対向する前記ロックレバーの下面に形成された上側凹条部に他方辺側の凸部が係合されるものとしたので、前記ロックレバーの動きを前記タブの係止作動部によって確実に制限することができる。しかも、前記タブの係止作動部両側の凸部が例えば「カチッ」という嵌合音を発しつつ各係合するので、前記ロックレバーが下方へ撓曲不可なロック状態となったことを確実に知ることができる。
【0021】
前記タブの後端側に大径の取っ手を備え、該取っ手には窪み部または凸状部が形成され、該窪み部または凸状部は、前記タブの回転による前記係止作動部の姿勢がどのような位置であるかを示す指示部として機能するよう形成したので、例えば取っ手の窪み部または凸状部が上方に向けられているかまたは側方に向けられているかした場合には、ロックレバーは下方へ撓曲自在なロック解除状態(非ロック状態)となっているか、あるいはロックレバーは下方へ撓曲不可なロック状態となっているかを容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す光コネクタからタブが分離されている状態の斜視図である。
【
図4】光コネクタを中央部分で切断した状態の斜視図である。
【
図7】タブの全容を示し、(a)は側面図、(b)は90度回転した状態の側面図、(c)は180度回転した状態の側面図、(d)は270度回転した状態の側面図である。
【
図8】光コネクタへのタブの組立後の状態を示す平面図である。
【
図10】光コネクタへのタブの組立後の状態を斜め前方から視た斜視図である。
【
図11】光コネクタへのタブの組立後の状態を斜め後方から視た斜視図である。
【
図12】光コネクタへのタブの組立後の状態の前面図であり、(a)はタブが非ロック(ロック解除)方向に回転している場合の前面図、(b)はタブがロック方向に回転した場合の前面図である。
【
図13】光アダプタに光コネクタを接続する前の状態を示し、(a)は平面図、(b)は
図13(a)のC-C断面図である。
【
図14】光アダプタに光コネクタを接続した後の状態を示し、(a)は平面図、(b)は
図14(a)のD-D断面図である。
【
図15】回転阻止機構の全容を示し、(a)は回転阻止状態の断面図、(b)は回転阻止解除状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明に係る光コネクタの実施の一形態を詳細に説明する。本発明に係る光コネクタ1は、後述するタブ11の操作により光アダプタQに対する係脱を可能とした機構となっている。
【0024】
すなわち、
図1乃至
図6、
図8乃至
図14に示すように、光コネクタ1は、フェルールFが各保持された左右一対の角筒状のフェルールハウジングFHと、該フェルールハウジングFHに外部から装着される横長矩形状のスライドカバー2とによって形成されている。尚、前記スライドカバー2の左右側壁面に湾曲凹状の摘み部2Aを備え且つ後端にフランジ部2Bを備えている。
【0025】
また、前記左右一対のフェルールハウジングFHで挟むようにスライドカバー2の中央にはタブスライドガイド孔3が形成されており、該タブスライドガイド孔3の上部壁面には、弾性変形(復帰)可能なフックアーム状のロックレバー4が、コネクタ挿抜方向に平行に片持支持された状態となって構成されている。すなわち、前記スライドカバー2の中央位置に所定の間隔(ロックレバーの横幅)を置いて前記左右一対のフェルールハウジングFH間に設けられたタブスライドガイド孔3の両端側と前端が各連通され、且つ後述する押圧突起6の後方で閉鎖される2本一対のスリット4aを設けることによって上下方向へ撓曲自在の前記ロックレバー4は形成される。尚、前記タブスライドガイド孔3の中央下部は開放部分19となっている。
【0026】
前記ロックレバー4の先端側上面には、光アダプタQの係止孔QA(
図13、
図14参照)に係合する前方傾斜面5aを備えたフック爪状の係止部5が上方に向けて突出形成され、当該ロックレバー4の長手方向略中間には、手押操作によって光アダプタQの係止孔QAから係止部5を離脱解除するための平面視矩形状の押圧突起6が上方に向けて突出形成されている。この押圧突起6と係止部5との間の凹所4bに、前記光アダプタQの挿入開口部QBの開口端縁と、係止孔QAの挿入開口部QB側の孔縁との間の狭幅部分が嵌合するものとなっている(
図14参照)。尚、この押圧突起6の上面には、図示の如く三角波形状の滑り止め溝が形成されている。
【0027】
また、前記ロックレバー4の幅方向両側には、後端側に前傾テーパ面7Aを有する略直角三角形の係止突部7(
図3、
図4、
図5、
図6、
図9、
図12参照)が下方に向けて対向形成されており、該係止突部7の下端は、正面視でL字状となるタブ11の脱落防止部7Bとなっている。そして、前記係止突部7の間には、前記タブスライドガイド孔3に挿入される後述するタブ11先端の係止作動部15後方に備えた小径のネック部14が挟持されつつ摺接するものとなっている。これによって左右一対の前記係止突部7、7は、前記タブ11が前記タブスライドガイド孔3の中央下部の開放部分19に落下するのを防止するタブホルダーの役割をも兼用し得るようになっている。因みに、
図3、
図4中、左右一対の係止突部7のうち片側一方のみが見えている状態となっている。
【0028】
前記タブスライドガイド孔3の中央下部内壁面にはタブ11挿入方向に沿って下側凹条部8が形成され、一方前記下側凹条部8に対向して前記ロックレバー4の下面にはタブ11挿入方向に沿って上側凹条部9が形成されている。これら両凹条部8、9は、タブスライドガイド孔3に挿入されるタブ11先端の係止作動部15両側に備えた凸部15a、15bが各係合するものである(
図12(b)参照)。
【0029】
すなわち、前記タブ11は、
図1、
図7、
図12、
図13、
図14に示すように、円柱ロッド状の作動棒12の後端側に大径の取っ手13を備え、前記作動棒12の先端側には小径の既述ネック部14を介して正面視で例えば矩形、長円形、楕円形、小判型等の係止作動部15を備え、長軸方向には前記凸部15a、15bが形成され、一方短軸方向には当該凸部15a、15bよりも短い支持部15c、15dが形成されている。
【0030】
而して、前記作動棒12の略中間には外周に所定の間隔を置いて複数個(本実施形態では4個)の係止突起16が各突設され、これによって前記係止突起16の間に同数の係止凹部16aが凹設される。
【0031】
また、前記スライドカバー2のタブスライドガイド孔3の内奥部上壁には左右一対の回転阻止用突起18が各形成され、前記タブ11が前記タブスライドガイド孔3の後方に位置しているときは当該タブ11の前記係止凹部16aに回転阻止用突起18が係合し、前記タブ11が前記タブスライドガイド孔3の前方の押し込み部位に位置しているときは、前記タブ11の係止凹部16aから回転阻止用突起18は外れるようになっている。
【0032】
これら回転阻止用突起18および係止突起16(係止凹部16a)によって、タブ11の回転阻止機構Gが形成されている(
図12、
図13、
図14、
図15参照)。
【0033】
尚、本実施形態では、前記係止突起16はタブ11の外周に4個が設けられ、該各係止突起16間に4個の係止凹部16aが設けられているが、これに限定されない。例えば、上下両側に2個あるいは左右両側に2個設けるだけでも良い。
【0034】
また、本実施形態では、これに応じて前記スライドカバー2のタブスライドガイド孔3の回転阻止用突起18も当該タブスライドガイド孔3の内部上方両側に2個設けているが、下方両側でも左右両側でも良い。要するに前記回転阻止用突起18がタブ11の係止凹部16aに係止してタブ11の回転が阻止されれば足りる。
【0035】
前記タブ11前方のネック部14は前記ロックレバー4前方に垂設された左右一対の係止突部7(タブホルダー兼用)に挟持されるようにして摺接保持され、さらに既述した如く前記係止作動部15の長手方向両側辺の中央には凸部15a、15bが各形成されており、後端の取っ手13を手で摘んでタブ11を回転させることで、前記タブスライドガイド孔3の中央下部内壁面の下側凹条部8に一方辺側の凸部15a(または15b)が係合され、下側凹条部8に対向する前記ロックレバー4の下面の上側凹条部9に他方辺側の凸部15b(または15a)が係合されるものとなっている(
図12(b)参照)。
【0036】
また、前記取っ手13の上部位置には矩形平面状の浅底の窪み部17が形成されており、下部位置はフラットな平面部17Aとなっている。この平面部17Aに例えばコネクタコード情報、識別ナンバー、コードネーム等が記載されたシール(図示せず)が貼着される。一方、前記窪み部17は、タブ11の回転による前記係止作動部15の姿勢が縦横どのような位置であるかを示す指示部として機能するようになっている。尚、前記指示部として機能する窪み部17は凸状部(図示しない)に形成しても良い。
【0037】
さらに、本実施形態では、例えば取っ手13の窪み部17(または凸状部)が上方(下方)に向けられている場合には、タブ11先端の前記係止作動部15の長さ方向が水平位置に向けられた状態となるように設定されている(
図12(a)参照)。また、取っ手13の窪み部17(または凸状部)が左右側方に向けられている場合には、タブ11先端の前記係止作動部15の長さ方向が垂直に向けられた状態となるように設定されている(
図12(b)参照)。
【0038】
図7、
図12、
図13、
図14、
図15に示すように、いったんタブ11を前方に押し込むことで、回転阻止用突起18から係止突起16を前方へ離脱させ、前記取っ手13の一方の窪み部17(または凸状部)が上方に向けられている状態から、当該取っ手13を角度90°だけ左右何れかの方向に回転させる、こうすることで、前記タブ11先端の前記係止作動部15の長さ方向が水平位置から垂直位置に向けられる。例えば、前記タブ11の係止作動部15の長さ方向が水平位置に向けられている場合には、当該タブ11の係止作動部15と前記ロックレバー4の係止部5との間に隙間が生じ、当該ロックレバー4は下方へ撓曲自在となる。このため押圧突起6の手押操作によって光アダプタQの係止孔QAからロックレバー4の係止部5が解除されるロック解除状態となり、光アダプタQからの光コネクタ1の抜去が可能となる。
【0039】
一方、前記タブ11の係止作動部15の長さ方向が垂直位置に向けられている場合には、前記ロックレバー4の係止部5下面にタブ11の係止作動部15が当接し、前記タブスライドガイド孔3の下側凹条部8と、前記ロックレバー4の上側凹条部9に、前記タブ11の係止作動部15両側の凸部15a、15bが「カチッ」という音を発しつつ各係合することでロックレバー4は下方へ撓曲不可となる。このためロックレバー4の係止部5の動きがタブ11の係止作動部15によって阻止され、押圧突起6を手押操作しても光アダプタQの係止孔QAからロックレバー4の係止部5が解除できないロック状態となり、光アダプタQからの光コネクタ1の抜去が不可能となる。
【0040】
また、前記タブ11の係止作動部15とロックレバー4の係止部5との間に隙間が生じたロック解除状態において、前記取っ手13を介してタブ11を後方へ引き抜くと、前記ロックレバー4の幅方向左右両側にある係止突部7の垂直前部にタブ11の係止作動部15が引っ掛かり(
図13(b)参照)、ロックレバー4の係止部5にモーメントが作用して当該係止部5は下方に撓曲移動する。これによって光アダプタQから光コネクタ1が容易に外せる。
【0041】
次に、以上のように構成された形態についての使用・動作の一例について説明する。
【0042】
先ず、前記光コネクタ1にタブ11を取付ける場合には、当該タブ11の取っ手13を手に持って、光コネクタ1の後方からタブスライドガイド孔3にタブ11の係止作動部15側先端を挿入する。因みに、このとき、いったん係止作動部15は狭小の前記係止突部7間を通過するため両端の凸部15a、15bは上下側に向けられる。
【0043】
そして、前記タブ11の挿入後には、前記ネック部14は前記左右一対の係止突部7に挟持されるようにして摺接保持される。すなわち、係止突部7の下端の脱落防止部7Bによって下方(解放部分19)への脱落を防止させる。
【0044】
15(a)に示すように、タブ11の中空円形状の作動棒12の外周に設けた4個の係止突起16間に設けられた係止凹部16aに前記スライドカバー2のタブスライドガイド孔3の内実部上壁に設けられた左右一対の回転阻止用突起18が係合し、当該タブ11の回転を阻止している。
【0045】
他方、
図15(b)に示すように、前記スライドカバー2に対してタブ11を前方へ押し込むことで当該タブ11を前方に移動させて、前記係止凹部16aに対する前記スライドカバー2の回転阻止用突起18の係合を外し、当該タブ11を回転自在としている。
【0046】
而して、前記光アダプタQに光コネクタ1を装着する場合には、いったんタブ11を前方に押し込むことで、回転阻止用突起18から係止突起16(係止凹部16a)を離脱させておき、前記タブ11の係止作動部15の長さ方向が水平位置に向けられるよう取っ手13を左右どちらかに90°回転させる。このとき、前記取っ手13の窪み部17(または凸状部)は上方に向けられている。するとタブ11の係止作動部15とロックレバー4の係止部5下面との間に隙間が生じ、当該ロックレバー4は下方へ撓曲自在なロック解除状態(非ロック状態)となる。
【0047】
図13に示すように、前記ロック解除状態で光アダプタQの挿入開口部QBに光コネクタ1のフェルールF先端側を装着すると、光アダプタQの挿入開口部QBの縁部によりロックレバー4の係止部5の前方傾斜面5aが押されていったん下方へ撓曲し、ロックレバー4の係止部5は自体の弾性復帰力によって光アダプタQの係止孔QAに係合する。
【0048】
ついで、
図14に示すように、タブ11の係止作動部15の長さ方向が垂直位置に向けられるよう取っ手13を介してタブ11を左右どちらかに90°回転させる。これにより、前記ロックレバー4の係止部5下面にタブ11の係止作動部15が当接し、前記タブスライドガイド孔3の下側凹条部8と、前記ロックレバー4の上側凹条部9に前記タブ11の係止作動部15両側の凸部15a、15bが「カチッ」という嵌合音を発しつつ各係合することで前記ロックレバー4は下方へ撓曲不可なロック状態となる。
【0049】
このため前記ロックレバー4の係止部5の下方への動きがタブ11の係止作動部15によって阻止され、当該ロックレバー4の押圧突起6を手押操作しても光アダプタQの係止孔QAからロックレバー4の係止部5が解除できないロック状態となり、前記光アダプタQからの光コネクタ1の抜去が不可能となる。
【0050】
前記光アダプタQから光コネクタ1を抜去する場合には、前記タブ11の係止作動部15の長さ方向が水平位置に向けられるよう取っ手13を左右いずれかに90°回転させる。すると当該タブ11の係止作動部15とロックレバー4の係止部5との間に隙間が生じ、当該ロックレバー4は下方へ撓曲自在となる。
【0051】
このとき、前記取っ手13の平面部17Aは上方(または下方)に向けられる。このためロックレバー4の押圧突起6の手押操作によって前記光アダプタQの係止孔QAからロックレバー4の係止部5が離脱可能なロック解除状態となり、光アダプタQからの光コネクタ1の抜去が可能となる。
【0052】
このロック解除状態において、前記取っ手13を介してタブ11を後方へ引き抜くと、前記ロックレバー4の幅方向左右両側にある、係止突部7にタブ11の係止作動部15が引っ掛かり、ロックレバー4の係止部5にモーメントが作用して当該係止部5は下方に撓曲移動する。これによって光アダプタQから光コネクタ1が容易に外すことができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態においては、いったんタブ11を前方に押し込むことで、回転阻止機構Gを構成する回転阻止用突起18から係止突起16(係止凹部16a)を離脱させておき、前記タブ11の係止作動部15の長さ方向が水平位置を保持するよう回転することでロックレバー4に対するロック解除状態となし(
図12(a)参照)、前記タブ11を角度90°回して前記係止作動部15の長さ方向が垂直位置を保持するよう回転することでロックレバー4に対するロック状態となすので(
図12(b)参照)、前記タブ11の後端側に設けられた前記取っ手13を若干前方に押し込んでから、僅かに回転操作させるだけで前記ロックレバー4に対するロック解除状態とロック状態とを容易且つ瞬時に切り替えることができる。
【符号の説明】
【0054】
Q 光アダプタ
QA 係止孔
QB 挿入開口部
F フェルール
FH フェルールハウジング
G 回転阻止機構
1 光コネクタ
2 スライドカバー
2A 摘み部
2B フランジ部
3 タブスライドガイド孔
4 ロックレバー
4a スリット
4b 凹所
5 係止部
5a 前方傾斜面
6 押圧突起
7 係止突部
7A 前傾テーパ面
7B 脱落防止部
8 下側凹条部
9 上側凹条部
11 タブ
12 作動棒
13 取っ手
14 ネック部
15 係止作動部
15a、15b 凸部
15c、15d 支持部
16 係止突起
16a 係止凹部
17 窪み部
17A 平面部
18 回転阻止用突起
19 開放部分