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特許7210360ラス材支持具及びこれを使用する吹付け被覆材の施工方法
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  • 特許-ラス材支持具及びこれを使用する吹付け被覆材の施工方法 図1
  • 特許-ラス材支持具及びこれを使用する吹付け被覆材の施工方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】ラス材支持具及びこれを使用する吹付け被覆材の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20230116BHJP
   E04F 13/04 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
E04B1/94 E
E04F13/04 105
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019067182
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020165210
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000126609
【氏名又は名称】株式会社エーアンドエーマテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品川 肇
(72)【発明者】
【氏名】飯山 拓
(72)【発明者】
【氏名】藤 雅史
(72)【発明者】
【氏名】寺垣 拓志
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3051319(JP,U)
【文献】特開2003-313942(JP,A)
【文献】特開2017-101387(JP,A)
【文献】実開平4-16203(JP,U)
【文献】特開平7-3907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38 - 1/61
E04B 1/94
E04F 13/04
H02G 7/00 - 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管からなる柱と壁との間を繋ぐように金網からなるラス材を当該間に取り付けるラス材支持具であって、
前記ラス材を支持する支持棒と、
前記柱に取り付けられて前記支持棒を保持する取付金具と、
前記柱に巻き付けられて前記取付金具を縛り付ける繋止バンドと、
前記繋止バンドを前記柱に締結する締結具と
を備えていることを特徴とするラス材支持具。
【請求項2】
請求項1に記載のラス材支持具であって、
前記取付金具が、
板状のベース部と、
前記ベース部に突設されて前記繋止バンド及び前記支持棒を通過させると共に当該支持棒を挟持する突出部と
を備えていることを特徴とするラス材支持具。
【請求項3】
請求項2に記載のラス材支持具であって、
前記柱が角形鋼管からなり、
前記取付金具の前記ベース部が、前記柱の角部に沿うように曲折する曲折部を有しているものである
ことを特徴とするラス材支持具。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のラス材支持具を使用して前記柱と前記壁との間及び当該柱に吹付け被覆材を施工する吹付け被覆材の施工方法であって、
前記取付金具の前記ベース部を前記柱に仮固定する金具仮固定工程と、
前記柱に仮固定された前記取付金具の前記突出部に前記繋止バンドを通して当該柱に巻き付けた後、当該繋止バンドを前記締結具で当該柱に締結するバンド締結工程と、
前記支持棒の先端を前記壁に隣接させるように前記取付金具の前記突出部に当該支持棒の基端側を差し込んで当該支持棒を当該取付金具に取り付ける支持棒取付工程と、
前記柱と前記壁との間を繋ぐように前記支持棒に前記ラス材を取り付けるラス材支持工程と、
前記吹付け被覆材の吹付け材料を前記ラス材及び前記柱へ吹付ける吹付け工程と
を行うことを特徴とする吹付け被覆材の施工方法。
【請求項5】
請求項4に記載の吹付け被覆材の施工方法であって、
前記支持棒へ加わる前記吹付け材料の吹付け方向の応力に抗するように当該支持棒の先端側をバックアップするバックアップ材を前記壁に取り付けるバックアップ材取付工程を行う
ことを特徴とする吹付け被覆材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管からなる柱と壁との間を繋ぐように金網からなるラス材を当該間に取り付けるラス材支持具及びこれを使用して当該間及び当該柱に耐火被覆材や断熱被覆材等の吹付け被覆材を施工する吹付け被覆材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨からなる柱を有する建設物は、火災発生時の耐火性能を担保することを目的として、当該柱の表面に耐火被覆材が設けられている。この耐火被覆材は、例えば、ロックウール等の無機繊維及びセメントスラリー等の無機バインダー等の吹付け材料を柱の表面に一緒に吹付けることにより容易に設けることができる。
【0003】
このような建設物では、柱と壁との間に500mm以下の比較的狭い隙間がある場合、壁と対向する柱の面に耐火被覆材を設けることが困難であるため、柱と壁との間を繋ぐように当該間に金網からなるラス材を設け、当該ラス材に上記無機繊維及び上記無機バインダー等の吹付け材料を一緒に吹付けることにより、当該間及び当該柱の周囲を耐火被覆材で囲むようにしている(合成耐火構造)。
【0004】
このような合成耐火構造においては、柱と壁との間を橋渡すように金属製の丸棒からなる支持材の基端側を柱に溶接固定して、当該支持材に前記ラス材を取り付けることにより、当該間に当該ラス材を設けるようにしているものの(例えば、下記特許文献1参照)、溶接によって、構造部材である柱にダメージが加わってしまい、好ましくないことから、無溶接工法の開発が強く望まれている。
【0005】
そのため、例えば、下記特許文献2においては、H形鋼からなる柱にコ字形の取付部を介して支持腕を取り付けるようにした下地金具を提案しているが、角形鋼管からなる柱に取り付けることはできなかった。
【0006】
そこで、例えば、下記特許文献3では、支持材を保持する取付具を水ガラス系の接着剤によって角形鋼管の柱に取り付けることを提案している。また、下記特許文献4では、金属製の丸棒からなる支持材に一対の板状の取付具を設け、当該取付具で角形鋼管の柱をクランプするように挟持することにより、当該支持材を柱に取り付けることを提案している。また、下記特許文献5では、金網からなるラス材を柱や壁に対してタッピンネジやステープル等で座金や添え板等を介して接合することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実用新案登録第2525050号公報
【文献】実開平5-092321号公報
【文献】実開平6-001514号公報
【文献】特開平11-264204号公報
【文献】特開2016-196787号公報
【文献】特開平9-149532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献3で提案されている手段では、地震等によって衝撃が加わると、水ガラス系の接着剤が損傷して、取付具が外れてしまうおそれがあった。また、前記特許文献4で提案されている手段では、柱が太くなると、クランプして挟持することが困難になってしまっていた。また、前記特許文献5で提案されている手段では、タッピンネジやステープル等でラス材を柱や壁に直接的に取り付けるため、各種工具を使用しなければならず、取付作業に手間がかかってしまっていた。
【0009】
このような問題は、前述したような合成耐火構造に限らず、例えば、断熱構造を必要とする建設物において、壁と柱との間を繋ぐように当該間に金網からなるラス材を設け、当該ラス材に繊維材料及びバインダー等の吹付け材料を吹付けることにより、当該間及び当該柱の周囲を断熱被覆材で囲む場合等のように、ラス材に吹付け被覆材を施工する場合であれば、同様にして生じ得ることであった。
【0010】
このようなことから、本発明は、鋼管からなる太い柱であっても、溶接を用いずに、衝撃による損傷を生じさせることなく容易に装着することができるラス材支持具及びこれを使用する吹付け被覆材の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決するための、本発明に係るラス材支持具は、鋼管からなる柱と壁との間を繋ぐように金網からなるラス材を当該間に取り付けるラス材支持具であって、前記ラス材を支持する支持棒と、前記柱に取り付けられて前記支持棒を保持する取付金具と、前記柱に巻き付けられて前記取付金具を縛り付ける繋止バンドと、前記繋止バンドを前記柱に締結する締結具とを備えていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るラス材支持具は、上述したラス材支持具において、前記取付金具が、板状のベース部と、前記ベース部に突設されて前記繋止バンド及び前記支持棒を通過させると共に当該支持棒を挟持する突出部とを備えていると好適である。
【0013】
また、本発明に係るラス材支持具は、上述したラス材支持具において、前記柱が角形鋼管からなり、前記取付金具の前記ベース部が、前記柱の角部に沿うように曲折する曲折部を有しているものであると好適である。
【0014】
他方、前述した課題を解決するための、本発明に係る吹付け被覆材の施工方法は、上述したラス材支持具を使用して前記柱と前記壁との間及び当該柱に吹付け被覆材を施工する吹付け被覆材の施工方法であって、前記取付金具の前記ベース部を前記柱に仮固定する金具仮固定工程と、前記柱に仮固定された前記取付金具の前記突出部に前記繋止バンドを通して当該柱に巻き付けた後、当該繋止バンドを前記締結具で当該柱に締結するバンド締結工程と、前記支持棒の先端を前記壁に隣接させるように前記取付金具の前記突出部に当該支持棒の基端側を差し込んで当該支持棒を当該取付金具に取り付ける支持棒取付工程と、前記柱と前記壁との間を繋ぐように前記支持棒に前記ラス材を取り付けるラス材支持工程と、前記吹付け被覆材の吹付け材料を前記ラス材及び前記柱へ吹付ける吹付け工程とを行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る吹付け被覆材の施工方法は、上述した吹付け被覆材の施工方法において、前記支持棒へ加わる前記吹付け材料の吹付け方向の応力に抗するように当該支持棒の先端側をバックアップするバックアップ材を前記壁に取り付けるバックアップ材取付工程を行うと好適である。特に、合成耐火構造の場合、上記バックアップ材は、火災時に、吹付け被覆材である耐火被覆材と外壁材との取合い部からの熱の侵入も防止できるようになるため、非常に有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、取付金具を柱に仮固定し、繋止バンドで取付金具を柱に縛り付けて締結具で繋止バンドを締結することにより、取付金具を柱に固定した後、取付金具に支持棒を取り付けて、支持棒にラス材を取り付けることができるので、鋼管からなる太い柱であっても、溶接を用いずに、衝撃による損傷を生じることなく容易に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るラス材支持具の主な実施形態の概略図である。
図2図1のラス材支持具を使用する吹付け被覆材の施工方法の主な実施形態の手順説明図である。
図3図2に続く手順説明図である。
図4図3に続く手順説明図である。
図5図4に続く手順説明図である。
図6図5に続く手順説明図である。
図7図6に続く手順説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るラス材支持具及びこれを使用する吹付け被覆材の施工方法の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0019】
〈主な実施形態〉
本発明に係るラス材支持具及びこれを使用する吹付け被覆材の施工方法の主な実施形態を図1~7に基づいて説明する。
【0020】
図1,2に示すように、角形鋼管からなる柱10と壁20との間を繋ぐように金網からなるラス材を当該間に取り付ける本実施形態に係るラス材支持具は、ラス材を支持する支持棒140(図1C参照)と、柱10に取り付けられて支持棒140を保持する取付金具110(図1A参照)と、柱10に巻き付けられて取付金具110を縛り付ける繋止バンド120(図1B参照)と、繋止バンド120を柱10に締結する締結具130(図1B参照)とを備えている。
【0021】
前記取付金具110は、板状のベース部111と、ベース部111の表面に突設されて繋止バンド120及び支持棒140を通過させると共に当該支持棒140を挟持するアーチ型の突出部112とを備えており、ベース部111が、柱10の角部11に沿うように曲折する曲折部113を有している。
【0022】
前記繋止バンド120は、長手方向で自由に屈曲可能なステンレス等の金属からなる帯状体であり、柱10を周方向に巻き回しするのに必要十分な長さを有すると共に、取付金具110の突出部112内を通過して当該取付金具110を柱10に押さえ付けるのに必要十分な幅を有している。
【0023】
前記締結具130は、繋止バンド120の一端側が内部に巻き付けられると共に、繋止バンド120の他端側が内部に挿入され、作業者がレバーを回動させることにより、当該繋止バンド120を巻き取ってその状態を維持できるラチェット機構を有することにより、当該繋止バンド120を柱10に締結することができる手動式となっており、例えば、前記特許文献6に記載の「緊縛具」を利用することができる。
【0024】
前記支持棒140は、金属からなる中実丸棒であり、柱10と壁20との間を繋ぐのに必要十分な長さを有すると共に、取付金具110の突出部112内に差し込み保持されてラス材や吹付け被覆材を保持するのに必要十分な直径サイズを有している。
【0025】
このようなラス材支持具を使用して柱10と壁20との間に吹付け被覆材を施工する本実施形態に係る吹付け被覆材の施工方法を次に説明する。
【0026】
まず、取付金具110のベース部111の裏面に両面粘着テープを貼り付けて、壁20と対向する柱10の両側の角部11に当該取付金具110の曲折部113を合わせるように当該取付金具110の上記ベース部111を柱10の規定の高さ位置ごと(本実施形態では3か所)に貼り付けることにより、当該取付金具110を柱10の角部11に仮固定する(金具仮固定工程:図3)。
【0027】
次に、柱10に仮固定した取付金具110の突出部112に繋止バンド120を通して柱10に巻き付けた後、当該繋止バンド120の一端側を締結具130の内部に巻き付けると共に、当該繋止バンド120の他端側を締結具130の内部に挿入して、レバーを回動させると、当該締結具130が、上記繋止バンド120で柱10を締め付けるように当該繋止バンド120を巻き取って締結することにより、上記取付金具110が柱10の角部11に縛り付けられて本固定される(バンド締結工程:図4)。
【0028】
続いて、支持棒140の先端を壁20に隣接させるように取付金具110の突出部112に支持棒140の基端側を差し込んで当該支持棒140を当該取付金具110に挟持させて固定保持させる(支持棒取付工程:図5)。
【0029】
そして、支持棒140へ加わる吹付け被覆材の吹付け方向の応力に抗するように支持棒140の先端側をバックアップするロックウール等からなる角柱形のバックアップ材180を耐熱性の接着剤等によって壁20に取り付けた後(バックアップ材取付工程:図6)、金網からなるラス材190を支持棒140に針金等で縛り付けることにより、当該ラス材190で柱10と壁20との間を繋ぐように支持棒140にラス材190を取り付ける(ラス材支持工程:図6)。
【0030】
最後に、ロックウール等の無機繊維及びセメントスラリー等の無機バインダー等からなる吹付け材料である耐火材料を柱10の外周面と共にラス材190へ吹付けることにより、柱10の周囲及びラス材190を吹付け被覆材である耐火被覆材30で被覆する(吹付け工程:図7)。
【0031】
つまり、本実施形態に係るラス材支持具は、支持棒140を保持する取付金具110を繋止バンド120で柱10に押え付けて締結具130によって当該繋止バンド120を締結することにより、取付金具110を柱10に固定するようにしたのである。
【0032】
このため、本実施形態に係るラス材支持具においては、柱10が太くても、それに対応した長さを有する繋止バンド120を使用するだけで取付金具110を柱10に何ら問題なく固定することができる。また、地震等によって衝撃が加わっても、繋止バンド120が損傷することはなく、取付金具110が柱10から外れてしまうことを防止することができる。また、支持棒140を柱10に手作業だけで固定することができるので、各種工具を使用することなく支持棒140にラス材190を取り付けることができる。
【0033】
したがって、本実施形態に係るラス材支持具によれば、角形鋼管からなる太い柱10であっても、溶接を用いずに、衝撃による損傷を生じることなく容易に装着することができる。
【0034】
また、取付金具110のベース部111に曲折部113を設けたことから、柱10の角部11に曲折部113を合わせるようにベース部111を取り付けることにより、取付金具110の水平方向のずれを確実に防止することができる。
【0035】
〈他の実施形態〉
なお、前述した実施形態においては、取付金具110のベース部111の裏面に両面粘着テープを貼り付けることにより、当該取付金具110を柱10に仮固定するようにしたが、他の実施形態として、例えば、両面粘着テープに代えて、瞬間接着剤を用いて仮固定したり、取付金具110のベース部111の表面側から柱10に粘着テープを貼り付けて仮固定したり、粘着テープとマグネットシートとを組み合わせたものを用いることにより、取付金具110の高さ等の位置を微調整できるように仮固定したりすることも可能である。
【0036】
また、前述した実施形態においては、取付金具110のベース部111に曲折部113を設けて、柱10の角部11に曲折部113を合わせるようにして取付金具110を装着するようにしたが、他の実施形態として、例えば、柱10の角部11の曲率と異なる曲率の曲折部をベース部に設けた取付金具や、曲折部を省略した平坦な板状のベース部をなす取付金具を適用して、前記繋止バンド120を前記締結具130で締め付けたときに、当該柱10の当該角部11に沿って当該取付金具の当該ベース部を密接させるように変形させて本固定することも可能である。
【0037】
さらには、例えば、曲折部113を省略した平坦な板状のベース部をなす取付金具を柱10の平面部に装着するようにすることも可能である。
【0038】
しかしながら、前述した実施形態のように、取付金具110のベース部111に曲折部113を設けて、柱10の角部11に曲折部113を合わせるようにベース部111を取り付けるようにすれば、取付金具110の水平方向のずれを確実に防止することができるので、非常に好ましい。
【0039】
また、前述した実施形態においては、角形鋼管からなる柱10に対して支持棒140を取り付ける場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、丸形鋼管からなる柱に対して支持棒140を取り付ける場合であっても、取付金具のベース部を当該柱の外周面に沿って曲折するようにすれば、前述した実施形態の場合と同様にして実施することができる。
【0040】
また、前述した実施形態においては、中実丸棒の支持棒140を適用した場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、中実角棒、丸パイプ、角パイプ等を始めとして、必要な荷重を支承できる断面形状を有する支持棒であれば、前述した実施形態の場合と同様に適用可能である。
【0041】
また、前述した実施形態においては、アーチ型の突出部112を有する取付金具110を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、繋止バンド120及び支持棒140の形状に対応して当該繋止バンド120及び当該支持棒140を通過させると共に当該支持棒140を挟持することができる形状(例えば、フック型やクランプ型等)の突出部を有する取付金具であれば、前述した実施形態の場合と同様な作用効果を得ることができる。
【0042】
このとき、フック型やクランプ型等のように切欠きを形成された突出部を有する取付金具であれば、例えば、繋止バンド120を柱10に巻き付けて締結具130で一旦仮止めした後、前記取付金具の前記突出部内に上記繋止バンド120を介在させるように前記切欠きに当該繋止バンド120を通過させて、当該取付金具を柱10と繋止バンド120との間に位置させるように挟み込んでから、当該緊締バンド120を前記締結具130でさらに締め付けて本固定した後に、当該取付金具の当該突出部に支持棒140を固定保持させるようにすることも可能である。
【0043】
また、前述した実施形態においては、吹付け材料として耐火材料を使用することにより、吹付け被覆材として耐火被覆材30を施工した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、他の実施形態として、例えば、吹付け材料として断熱材料を使用することにより、吹付け被覆材として断熱被覆材を施工することも可能である。
【0044】
このような耐火材料としては、ロックウールやセラミックウール等の無機繊維、セメントスラリーや水ガラス等の無機バインダー等が挙げられ、当該無機繊維と当該無機バインダーとを一緒に吹付けることにより、耐火被覆材を容易に施工することができる。特に、ロックウールとセメントスラリーとを組み合わせた耐火材料であると、耐火被覆材の施工性やコスト性が優れ、非常に好適である。
【0045】
他方、断熱材料としては、上記無機繊維を始めとしたグラスウールやセルロースパルプ等の繊維材料、上記無機バインダーを始めとした樹脂エマルジョン等のバインダー、発泡ウレタン等が挙げられ、当該繊維材料と当該バインダーとを一緒に吹付けたり、発泡ウレタンを吹付けたりすることにより、断熱被覆材を容易に施工することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係るラス材支持具及びこれを使用する吹付け被覆材の施工方法は、鋼管からなる太い柱であっても、溶接を用いずに、衝撃による損傷を生じることなく容易に装着することができるので、建設産業において、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 柱
11 角部
20 壁
30 耐火被覆材
110 取付金具
111 ベース部
112 突出部
113 曲折部
120 繋止バンド
130 締結具
140 支持棒
180 バックアップ材
190 ラス材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7