IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ HAPSモバイル株式会社の特許一覧

特許7210387通信装置、プログラム、システム及び方法
<>
  • 特許-通信装置、プログラム、システム及び方法 図1
  • 特許-通信装置、プログラム、システム及び方法 図2
  • 特許-通信装置、プログラム、システム及び方法 図3
  • 特許-通信装置、プログラム、システム及び方法 図4
  • 特許-通信装置、プログラム、システム及び方法 図5
  • 特許-通信装置、プログラム、システム及び方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】通信装置、プログラム、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/90 20180101AFI20230116BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20230116BHJP
   H04W 4/024 20180101ALI20230116BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20230116BHJP
【FI】
H04W4/90
H04W84/06
H04W4/024
H04W4/029
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019114571
(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2021002710
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】318002806
【氏名又は名称】HAPSモバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠 弘次
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/097921(WO,A1)
【文献】特開2000-163673(JP,A)
【文献】国際公開第2019/097855(WO,A1)
【文献】特開2013-101559(JP,A)
【文献】特開2017-004194(JP,A)
【文献】特開2013-142915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体に搭載されて、ビームを照射することによって無線通信エリアを形成して前記無線通信エリア内のユーザ端末に無線通信サービスを提供する通信装置であって、
前記無線通信エリア内の前記ユーザ端末から、前記ユーザ端末の位置情報を含む救難信号を受信する位置情報受信部と、
前記飛行体に搭載された撮像部によって撮像された前記位置情報が示す位置の方向の撮像画像を取得する撮像画像取得部と、
前記位置情報及び前記撮像画像を用いて生成した通知情報を外部に送信する通知情報送信部と、
前記撮像部によって撮像された撮像画像に基づいて、前記ユーザ端末の利用者の位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部によって特定された位置に基づいて、前記救難信号を送信した前記ユーザ端末に通信リソースが優先的に割り当てられるよう前記ビームを調整するビーム調整部と
備える通信装置。
【請求項2】
前記ビーム調整部は、前記ユーザ端末の前記位置情報の示す位置が前記無線通信エリアに含まれる状態を維持しながら前記無線通信エリアの範囲を狭くすることによって、前記ユーザ端末に通信リソースが優先的に割り当てられるよう前記ビームを調整する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記撮像部を制御する撮像制御部
を備え、
前記撮像制御部は、前記位置情報受信部が受信した前記位置情報が示す位置の方向を撮像するよう前記撮像部を制御する、請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記撮像制御部は、前記位置情報受信部が複数の前記ユーザ端末の位置情報を受信した場合、複数の前記位置情報が示す複数の位置が前記撮像部による撮像範囲に含まれるように、前記撮像部を制御する、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通知情報送信部は、前記位置情報及び前記撮像画像を含む前記通知情報を外部に送信する、請求項1から4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記撮像画像を解析することにより、前記ユーザ端末の状況又は前記ユーザ端末の利用者の状況を示す状況情報を生成する状況情報生成部
を備え、
前記通知情報送信部は、前記状況情報を含む前記通知情報を外部に送信する、請求項1から5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記撮像画像取得部は、前記撮像部によって断続的に撮像された複数の前記撮像画像を取得し、
前記通知情報送信部は、前記複数の撮像画像に基づいて特定した前記ユーザ端末又は前記ユーザ端末の利用者の位置の変化を含む前記通知情報を外部に送信する、請求項1から6のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記無線通信エリア内で発生した事故に関する事故情報を取得する事故情報取得部と、
前記無線通信エリア内の前記ユーザ端末に対して前記ユーザ端末の位置情報を要求する位置情報要求を送信する位置情報要求送信部と
を備え、
前記位置情報受信部は、前記位置情報要求を受信したことに応じて前記ユーザ端末が送信した前記位置情報を受信する、請求項1から7のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記事故情報取得部は、前記撮像部によって撮像された撮像画像を解析することによって、前記無線通信エリア内で発生した事故を検出する、請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記撮像画像取得部によって取得された前記撮像画像を、前記位置情報を送信した前記ユーザ端末に送信する端末送信部
を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記位置情報受信部は、海難事故に遭った利用者の前記ユーザ端末又は海難事故に遭った船に搭載された前記ユーザ端末から前記位置情報を受信し、
前記通知情報送信部は、前記位置情報が示す位置に基づいて特定した船に搭載されたユーザ端末に対して、前記通知情報を送信する、請求項1から10のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記位置情報受信部は、山で遭難した利用者の前記ユーザ端末から前記位置情報を受信し、
前記通知情報送信部は、前記位置情報が示す位置に基づいて特定した前記山の中に位置するユーザ端末に対して、前記通知情報を送信する、請求項1から11のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記無線通信エリア内の前記ユーザ端末から、前記ユーザ端末の利用者の生体情報を受信する生体情報受信部
を備え、
前記通知情報送信部は、前記生体情報を含む前記通知情報を外部に送信する、請求項1から12のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記撮像部は、赤外線カメラである、請求項1から13のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項15】
前記通信装置は、成層圏プラットフォームとして機能する前記飛行体に搭載される、請求項1から14のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1から15のいずれか一項に記載の通信装置として機能させるためのプログラム。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の通信装置と、
前記飛行体と
を備えるシステム。
【請求項18】
飛行体に搭載されて、ビームを照射することによって無線通信エリアを形成して前記無線通信エリア内のユーザ端末に無線通信サービスを提供する通信装置によって実行される方法であって、
前記無線通信エリア内の前記ユーザ端末から、前記ユーザ端末の位置情報を含む救難信号を受信する位置情報受信段階と、
前記飛行体に搭載された撮像部によって撮像された前記位置情報が示す位置の方向の撮像画像を取得する撮像画像取得部段階と、
前記位置情報及び前記撮像画像を用いて生成した通知情報を外部に送信する通知情報送信段階と、
前記撮像部によって撮像された撮像画像に基づいて、前記ユーザ端末の利用者の位置を特定する位置特定段階と、
前記位置特定段階で特定された位置に基づいて、前記救難信号を送信した前記ユーザ端末に通信リソースが優先的に割り当てられるよう前記ビームを調整するビーム調整段階と
備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、プログラム、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行体を用いて、捜索対象者の救助を支援するシステムが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2015-176418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
地上の無線基地局と通信できない環境下でも、救助対象の状況を把握可能にすることによって、迅速で効率的に救助対象の救助を支援できる技術を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、飛行体に搭載されて、地上に向けてビームを照射することによって無線通信エリアを形成して上記無線通信エリア内のユーザ端末に無線通信サービスを提供する通信装置が提供される。通信装置は、上記無線通信エリア内の上記ユーザ端末から上記ユーザ端末の位置情報を受信する位置情報受信部を備えてよい。通信装置は、上記飛行体に搭載された撮像部によって撮像された上記位置情報が示す位置の方向の撮像画像を取得する撮像画像取得部を備えてよい。通信装置は、上記位置情報及び上記撮像画像を用いて生成した通知情報を外部に送信する通知情報送信部を備えてよい。
【0005】
上記位置情報受信部は、上記ユーザ端末によって送信された、上記位置情報を含む救難信号を受信してよい。上記通信装置は、上記撮像部を制御する撮像制御部を備えてよい。上記撮像制御部は、上記位置情報受信部が受信した上記位置情報が示す位置の方向を撮像するよう上記撮像部を制御してよい。上記撮像制御部は、上記位置情報受信部が複数の上記ユーザ端末の位置情報を受信した場合、複数の上記位置情報が示す複数の位置が上記撮像部による撮像範囲に含まれるように、上記撮像部を制御してよい。上記通知情報送信部は、上記位置情報及び上記撮像画像を含む上記通知情報を外部に送信してよい。
【0006】
上記通信装置は、上記撮像画像に対して画像解析を施すことにより、上記ユーザ端末の状況又は上記ユーザ端末の利用者の状況を示す状況情報を生成する状況情報生成部を備えてよい。上記通知情報送信部は、上記状況情報を含む上記通知情報を外部に送信してよい。上記撮像画像取得部は、上記撮像部によって断続的に撮像された複数の上記撮像画像を取得してよい。上記通知情報送信部は、上記複数の撮像画像に基づいて特定した上記ユーザ端末又は上記ユーザ端末の利用者の位置の変化を含む上記通知情報を外部に送信してよい。
【0007】
上記通信装置は、上記無線通信エリア内で発生した事故に関する事故情報を取得する事故情報取得部を備えてよい。上記通信装置は、上記無線通信エリア内の上記ユーザ端末に対して上記ユーザ端末の位置情報を要求する位置情報要求を送信する位置情報要求送信部を備えてよい。上記位置情報受信部は、上記位置情報要求を受信したことに応じて上記ユーザ端末が送信した上記位置情報を受信してよい。上記事故情報取得部は、上記撮像部によって撮像された撮像画像を解析することによって、上記無線通信エリア内で発生した事故を検出してよい。上記通信装置は、上記撮像画像取得部によって取得された上記撮像画像を、上記位置情報を送信した上記ユーザ端末に送信する端末送信部を備えてよい。
【0008】
上記通信装置は、上記撮像部によって撮像された撮像画像に基づいて、上記ユーザ端末の利用者の位置を特定する位置特定部を備えてよい。上記通信装置は、上記位置特定部によって特定された位置に基づいて上記ビームを調整するビーム調整部を備えてよい。上記位置情報受信部は、海難事故に遭った利用者の上記ユーザ端末又は海難事故に遭った船に搭載された上記ユーザ端末から上記位置情報を受信してよい。上記通知情報送信部は、上記位置情報が示す位置に基づいて特定した船に搭載されたユーザ端末に対して、上記通知情報を送信してよい。上記位置情報受信部は、山で遭難した利用者の上記ユーザ端末から上記位置情報を受信してよい。上記通知情報送信部は、上記位置情報が示す位置に基づいて特定した上記山の中に位置するユーザ端末に対して、上記通知情報を送信してよい。上記通信装置は、上記無線通信エリア内の上記ユーザ端末から、上記ユーザ端末の利用者の生体情報を受信する生体情報受信部を備えてよい。上記通知情報送信部は、上記生体情報を含む上記通知情報を外部に送信してよい。上記撮像部は、赤外線カメラであってよい。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、コンピュータを、上記通信装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、上記通信装置と、上記飛行体とを備えるシステムが提供される。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、飛行体に搭載されて、地上に向けてビームを照射することによって無線通信エリアを形成して上記無線通信エリア内のユーザ端末に無線通信サービスを提供する通信装置によって実行される方法が、が提供される。方法は、上記無線通信エリア内の上記ユーザ端末から上記ユーザ端末の位置情報を受信する位置情報受信段階を備えてよい。方法は、上記飛行体に搭載された撮像部によって撮像された上記位置情報が示す位置の方向の撮像画像を取得する撮像画像取得部段階を備えてよい。方法は、上記位置情報及び上記撮像画像を用いて生成した通知情報を外部に送信する通知情報送信段階を備えてよい。
【0012】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】システム10の一例を概略的に示す。
図2】通信装置150の機能構成の一例を概略的に示す。
図3】通信装置150による処理の流れの一例を概略的に示す。
図4】通信装置150による処理の流れの一例を概略的に示す。
図5】システム10の一例を概略的に示す。
図6】通信装置150として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、システム10の一例を概略的に示す。本実施形態に係るシステム10は、飛行体100を備える。システム10は、ゲートウェイ400を備えてよい。システム10は、海難救助支援システム500を備えてよい。システム10は、通信衛星70を備えてよい。システム10は、ユーザ端末200を備えてもよい。
【0016】
飛行体100は、例えば、船300に海難事故が発生した場合に、船300に乗船していたユーザ端末200の利用者250の救助を支援する。飛行体100は、さらに船300に乗船していたユーザ端末200を所有していない者の救助を支援してもよい。飛行体100による救助の支援対象は、任意の対象であってよい。図1では、海難事故に遭った船300に乗船していたユーザ端末200の利用者250の救助を支援する場合を主に例に挙げて説明する。
【0017】
飛行体100は、主翼部101、本体部102、プロペラ104、スキッド106、車輪108、太陽電池パネル110、アンテナ112、アンテナ114及びカメラ116を有する。本体部102は、通信装置150と、不図示のバッテリ及び飛行制御装置とを有する。バッテリは、太陽電池パネル110によって発電された電力を蓄電する。飛行制御装置は、飛行体100の飛行を制御する。飛行制御装置は、例えば、バッテリに蓄電された電力を用いてプロペラ104を回転させることによって、飛行体100を飛行させる。
【0018】
通信装置150は、アンテナ112を用いてビーム122を照射することによって無線通信エリアを形成して、無線通信エリア内のユーザ端末200に無線通信サービスを提供する。通信装置150は、アンテナ112を用いて、無線通信エリア内のユーザ端末200との間でサービスリンクを確立してよい。通信装置150は、アンテナ114を用いて、地上のゲートウェイ400との間でフィーダリンク124を確立してよい。通信装置150は、ゲートウェイ400を介してネットワーク50と通信する。通信装置150と飛行制御装置とは一体であってもよい。
【0019】
ネットワーク50は、通信事業者によって提供されるコアネットワークを含んでよい。コアネットワークは、任意の移動体通信システムに準拠していてよく、例えば、3G(3rd Generation)通信システム、LTE(Long Term Evolution)通信システム、4G(4th Generation)通信システム、及び5G(5th Generation)通信システム以降の移動体通信システム等に準拠する。ネットワーク50は、インターネットを含んでもよい。
【0020】
飛行体100は、例えば、成層圏を飛行してユーザ端末200に無線通信サービスを提供する。飛行体100は、成層圏プラットフォームとして機能してよい。
【0021】
飛行体100は、例えば、カバー対象のエリアの上空を巡回しながら、無線通信エリアによって当該エリアをカバーする。また、飛行体100は、例えば、カバー対象のエリアの一部を無線通信エリアによってカバーしながら、エリアの上空を移動することによって、エリアの全体をカバーする。
【0022】
飛行体100は、無線通信エリア内のユーザ端末200から、救難信号を受信する。救難信号は、非常時に救助を要請するための信号である。救難信号は、ユーザ端末200の位置情報を含んでよい。飛行体100は、受信した救難信号に含まれる位置情報が示す位置の方向をカメラ116で撮像して撮像画像を取得する。飛行体100は、取得した撮像画像と、ユーザ端末200の位置情報とを用いて通知情報を生成し、通知情報を外部に送信する。通知情報は、例えば、救助の要請を通知するものである。飛行体100は、例えば、ネットワーク50を介して海難救助支援システム500に通知情報を送信する。
【0023】
飛行体100は、ユーザ端末200の位置情報によって示される位置がカメラ116の撮像エリア126に含まれている場合、カメラ116によって撮像されている撮像画像を取得してよい。カメラ116が撮像を行っていない場合、飛行体100は、カメラ116に撮像を指示してよい。
【0024】
ユーザ端末200の位置情報によって示される位置がカメラ116の撮像エリア126に含まれていない場合、飛行体100は、カメラ116に撮像エリア126を変更させてよい。また、飛行体100の飛行制御装置が、位置情報によって示される位置が撮像エリア126に含まれるように飛行体100を移動させてもよい。
【0025】
飛行体100は、アンテナ114による無線通信範囲内にゲートウェイ400が位置しない等の理由によってゲートウェイ400とフィーダリンク124を確立できない場合に、他の通信経路によって、ネットワーク50と通信してよい。飛行体100は、例えば、他の飛行体100に搭載されている他の通信装置150と無線通信するためのアンテナを有し、ゲートウェイ400とフィーダリンク124を確立している他の通信装置150との間で無線通信接続を確立する。これにより、飛行体100は、他の飛行体100の通信装置150が確立しているフィーダリンク124を介して、ネットワーク50と通信することができる。また、飛行体100は、通信衛星70と無線通信するためのアンテナを有し、通信衛星70との間で無線通信接続を確立する。これにより、飛行体100は、通信衛星70を介して、ネットワーク50と通信することができる。
【0026】
ユーザ端末200は、飛行体100と通信可能な通信端末であればどのような端末であってもよい。例えば、ユーザ端末200は、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末及びウェアラブル端末等であってよい。
【0027】
ユーザ端末200は、救難信号を飛行体100に送信する機能を有する。ユーザ端末200は、例えば、GPS(Global Positioning System)機能を用いてユーザ端末200の位置情報を取得して、取得した位置情報を救難信号に含める。ユーザ端末200は、利用者250によって入力されたメッセージを救難信号に含めてもよい。ユーザ端末200は、例えば、利用者250の指示に従って、救難信号を飛行体100に送信する。
【0028】
ユーザ端末200は、救難信号を間欠的に送信してよい。例えば、ユーザ端末200は、利用者250の指示に従って救難信号を飛行体100に送信した後、予め定められた周期で救難信号を飛行体100に送信する。ユーザ端末200は、ユーザ端末200の電池残量に応じて救難信号を送信する周期を変更してもよい。例えば、ユーザ端末200は、電池残量が少ないほど、救難信号を送信する周期を大きくしてよい。
【0029】
ユーザ端末200は、利用者250の状況を示す情報を救難信号に含めて送信してもよい。利用者250の状況を示す情報は、例えば、利用者250の生体情報である。生体情報は、例えば、利用者250の体温、心拍数、脈拍数、血圧の少なくともいずれかを含む。
【0030】
ユーザ端末200がウェアラブル端末であり、利用者250の生体情報を検出するセンサを有している場合、ユーザ端末200は、当該センサによって出力された生体情報を取得してよい。ユーザ端末200がウェアラブル端末でない場合、ユーザ端末200は、利用者250が装着しているウェアラブル端末から利用者250の生体情報を受信してもよい。ユーザ端末200は、利用者250によって入力された利用者250の生体情報を取得してもよい。
【0031】
利用者250の状況を示す情報は、利用者250の移動速度を示す情報であってもよい。ユーザ端末200は、例えば、加速度センサによって、利用者250の移動速度を示す情報を取得する。
【0032】
ユーザ端末200は、海難事故に遭った船300の状況を示す情報を救難信号に含めて送信してもよい。船300の状況を示す情報は、例えば、船300の撮像画像である。ユーザ端末200は、例えば、利用者250に船300の撮影を促して、船300を撮像させることによって、船300の撮像画像を取得する。ユーザ端末200は、例えば、船300を撮影する指示をディスプレイに表示出力したり、音声出力したりすることによって、利用者250に船300の撮影を促す。
【0033】
ユーザ端末200は、ユーザ端末200の利用者250の状況を示す情報を、救難信号とは別に送信してもよい。また、ユーザ端末200は、海難事故に遭った船300の状況を示す情報を、救難信号とは別に送信してもよい。
【0034】
ユーザ端末200は、例えば、ユーザ端末200の電池残量に応じて、ユーザ端末200の利用者250の状況の情報を送信する。ユーザ端末200は、例えば、ユーザ端末200の電池残量が予め定められた閾値よりも多い場合、利用者250の状況の情報を送信し、ユーザ端末200の電池残量が予め定められた閾値よりも少ない場合、利用者250の状況の情報を送信しない。予め定められた閾値は、任意に設定可能であってよい。
【0035】
上述のユーザ端末200の機能は、事前にインストールされたアプリケーションによって実現されてよい。
【0036】
ユーザ端末200は、いわゆるIoT(Internet of Thing)デバイスであってもよい。ユーザ端末200は、いわゆるIoE(Internet of Everything)に該当するあらゆるものを含み得る。
【0037】
ユーザ端末200は、例えば、ライフジャケットに組み込まれる。ライフジャケットに組み込まれたユーザ端末200は、ライフジャケットの着用者が例えば船300から落水した場合に、救難信号を飛行体100に送信する。これにより、船300の乗組員が落水したような場合に、当該乗組員の位置及び状況を把握可能にできる。
【0038】
ユーザ端末200は、例えば、船300に設置される。この場合、ユーザ端末200の位置情報は、船の位置を示す。
【0039】
ユーザ端末200は、船300に搭載された荷物に取り付けられてもよい。この場合、ユーザ端末200の位置情報は、船300に搭載された荷物の位置を示す。これにより、船に搭載された荷物が荷崩れしたり、積載オーバによって落水した場合にも、荷物をトラッキングすることを可能にできる。
【0040】
ユーザ端末200は、飛行機に設置されてもよい。ユーザ端末200は、例えば、飛行機が海に墜落した場合において、着水した際に、救難信号を飛行体100に発信する。これにより、墜落した飛行機の状況を把握可能にできる。
【0041】
海難救助支援システム500は、飛行体100から受信した通知情報に基づいて、海難事故に遭った利用者250の救助方法を決定する。海難救助支援システム500は、例えば、海難救助に動員する救助隊の数、海難救助に必要な救援物資、海難事故の現場へ向かう手段を決定する。
【0042】
海難救助支援システム500は、無線通信エリア内で発生した事故に関する事故情報を飛行体100に送信してもよい。事故情報は、例えば、事故の発生時刻、事故の種類、事故の大きさ、無線通信エリア内の気象情報、及び無線通信エリア内の船の情報等を含む。
【0043】
本実施形態に係るシステム10によれば、上空を飛行している飛行体100によって、利用者250のユーザ端末200から救難信号を受信することができる。地上の無線基地局と無線通信可能な位置であれば、救助を要請する人は、スマートフォン等によって、地上の無線基地局を介して救難信号を送信することができる。しかし、海上等のように、地上の無線基地局と無線通信できない位置の場合、救難信号を送信することが難しかった。例えば、衛星通信機能を有しているスマートフォンを所持している人は、衛星を介して救難信号を送信することができるが、衛星通信機能を有しているスマートフォンの普及率は高くない。それに対して、本実施形態に係るシステム10によれば、海上を飛行している飛行体100によって、海難事故に遭った利用者250のユーザ端末200から救難信号を受信して、海難救助支援システム500に通知することができる。また、飛行体100によって、ユーザ端末200の方向を撮像した撮像画像を海難救助支援システム500に送信することもできるので、海難事故の現場の視覚的情報を取得できる。これにより、本実施形態に係るシステム10は、迅速で効率的な救助活動を支援できる。
【0044】
図2は、通信装置150の機能構成の一例を概略的に示す。通信装置150は、格納部152、救難信号受信部154、事故情報受信部156、位置情報受信部158、生体情報受信部160、撮像部162、撮像制御部164、撮像画像取得部166、通知情報生成部168、通知情報送信部170、位置特定部172、ビーム調整部174、状況情報生成部176、事故情報取得部178、位置情報要求送信部180、及び端末送信部182を含む。なお、通信装置150がこれらの全ての構成を備えることは必須とは限らない。
【0045】
格納部152は、各種情報を格納する。格納部152は、例えば、救難信号、事故情報、無線通信エリア内のユーザ端末200の位置情報、無線通信エリア内のユーザ端末200の利用者250の生体情報、及び撮像画像を格納する。格納部152は、その他の情報をさらに格納してもよい。
【0046】
救難信号受信部154は、無線通信エリア内のユーザ端末200から救難情報を受信して、受信した救難情報を格納部152に格納する。救難信号は、例えば、海難事故に遭った利用者250のユーザ端末200から送信される。また、例えば、救難信号は、山で遭難した利用者250のユーザ端末200から送信される。救難信号は、位置情報を含んでよい。救難信号受信部154は、位置情報受信部の一例であってよい。救難信号は、ユーザ端末200の識別情報を含んでよい。救難信号は、救難信号を送信した時刻を含んでよい。救難信号は、ユーザ端末200の利用者250の状況を示す情報を含んでもよい。救難信号は、ユーザ端末200の利用者250の周囲の状況を示す情報を含んでもよい。
【0047】
事故情報受信部156は、事故情報を受信して、受信した事故情報を格納部152に格納する。事故情報受信部156は、例えば、海難救助支援システム500から事故情報を受信する。事故情報受信部156は、海難救助支援システム500以外の他のシステムから事故情報を受信してもよい。
【0048】
位置情報受信部158は、無線通信エリア内のユーザ端末200からユーザ端末200の位置情報を受信して、受信したユーザ端末200の位置情報を格納部152に格納する。
【0049】
生体情報受信部160は、無線通信エリア内のユーザ端末200から、ユーザ端末200の利用者250の生体情報を受信して、受信した生体情報を格納部152に格納する。
【0050】
撮像部162は、飛行体100の下方の画像を撮像して、撮像画像を格納部152に格納する。撮像部162は、例えば、上空から撮像エリア126内の地上又は海上の画像を撮像する。撮像部162は、画像を断続的に撮像してよい。撮像部162は、任意の種類のカメラであってよい。撮像部162は、例えば、赤外線カメラである。カメラ116は、撮像部162の一例である。
【0051】
撮像制御部164は、撮像部162を制御する。撮像制御部164は、例えば、撮像部162のパン、チルト、及びズームのうちの少なくともいずれかを制御する。
【0052】
撮像制御部164は、例えば、ユーザ端末200の位置情報が示す位置の方向を撮像するよう撮像部162を制御する。撮像制御部164は、例えば、救難信号受信部154が複数の救難信号を受信した場合や、位置情報受信部158が複数の位置情報を受信した場合、複数の位置情報が示す複数の位置が撮像部162による撮像範囲に含まれるように、撮像部162を制御する。
【0053】
撮像画像取得部166は、撮像部162によって撮像されたユーザ端末200の位置情報が示す位置の方向の撮像画像を取得する。撮像画像取得部166は、例えば、撮像部162によって断続的に撮像された複数の撮像画像を取得する。
【0054】
通知情報生成部168は、通知情報を生成する。通知情報生成部168は、例えば、救難信号受信部154が救難信号を受信した場合に、通知情報を生成する。通知情報生成部168は、事故情報受信部156が事故情報を受信した場合に、通知情報を生成してもよい。
【0055】
通知情報生成部168は、例えば、位置情報受信部158によって受信されたユーザ端末200の位置情報、及び撮像画像取得部166によって取得された撮像画像を用いて通知情報を生成する。通知情報生成部168は、例えば、ユーザ端末200の位置情報及び撮像画像を含む通知情報を生成する。
【0056】
通知情報生成部168は、生体情報受信部160によって受信されたユーザ端末200の利用者250の生体情報をさらに用いて通知情報を生成してよい。通知情報生成部168は、例えば、ユーザ端末200の利用者250の生体情報をさらに含む通知情報を生成する。
【0057】
通知情報送信部170は、通知情報生成部168によって生成された通知情報を外部に送信する。通知情報送信部170は、例えば、通知情報を通信装置150の外部に送信する。通知情報送信部170は、例えば、通知情報を飛行体100の外部に送信する。通知情報送信部170は、例えば、通知情報を海難救助支援システム500に送信する。
【0058】
通知情報送信部170は、海難事故に遭った利用者250のユーザ端末200から救難信号が送信された場合に、無線通信エリア内の、海難事故に遭った船300以外の他の船に搭載された他のユーザ端末200に対して通知情報を送信してもよい。通知情報送信部170は、例えば、通知情報に含まれるユーザ端末200の位置情報が示す位置に基づいて、無線通信エリア内の他の船を特定し、特定した船に搭載された他のユーザ端末200に対して通知情報を送信する。通知情報送信部170は、例えば、ユーザ端末200の位置情報の示す位置から予め定められた範囲内に位置する他の船を特定する。通知情報送信部170は、無線通信エリア内で通知情報をブロードキャストしてもよい。
【0059】
位置特定部172は、撮像エリア126内の人物の位置を特定して、特定した撮像エリア126内の人物の位置を示す位置情報を格納部152に格納する。位置特定部172は、例えば、海難事故が発生した場合、撮像エリア126内の被害者の位置を特定する。
【0060】
位置特定部172は、撮像部162によって撮像された撮像画像に基づいて、撮像エリア126内の人物の位置を特定してよい。位置特定部172は、撮像部162によって撮像された撮像画像を画像解析することによって、撮像エリア126内の人物の位置を特定してよい。
【0061】
位置特定部172は、例えば、撮像エリア126内の人物の位置の変化を特定して、格納部152に格納してもよい。位置特定部172は、例えば、撮像部162によって時系列に撮像された複数の撮像画像に基づいて、撮像エリア126内の人物の位置の変化を特定する。位置特定部172は、例えば、複数の撮像画像をそれぞれ解析し、撮像エリア126内の人物の位置をトラッキングすることによって、撮像エリア126内の人物の位置の変化を特定する。
【0062】
通知情報生成部168は、位置特定部172によって特定された撮像エリア126内の人物の位置の又は撮像エリア126内の人物の位置の変化をさらに用いて通知情報を生成してもよい。通知情報生成部168は、例えば、撮像エリア126内の人物の位置又は撮像エリア126内の人物の位置の変化をさらに含む通知情報を生成する。例えば、海難救助支援システム500の監視員は、人物の位置の変化を含む通知情報を参照することによって、当該人物が潮流等によって流された場合であっても、位置を把握できる。
【0063】
位置特定部172は、ユーザ端末200の位置情報が示す位置を、撮像画像取得部166によって取得された撮像画像に基づいて修正してもよい。位置特定部172は、例えば、撮像画像を画像解析することによって特定した複数の人物の位置のうち、位置情報が示す位置に最も近い位置を、ユーザ端末200の位置とする。救難信号に含まれる位置情報及び位置情報受信部158によって受信された位置情報の精度は、ユーザ端末200のGPS機能の精度に依存するので、精度が低い場合がある。位置情報に加えて、撮像画像の解析結果を用いることによって、ユーザ端末200の利用者250のより正確な位置を特定することができる。
【0064】
ビーム調整部174は、アンテナ112のビーム122を調整する。ビーム調整部174は、例えば、位置特定部172によって特定されたユーザ端末200の利用者250の位置に基づいて、ビーム122を調整する。ビーム調整部174は、救難信号受信部154又は位置情報受信部158によって受信されたユーザ端末200の位置情報に基づいて、ビーム122を調整してもよい。
【0065】
ビーム調整部174は、例えば、救難信号を送信したユーザ端末200に通信リソースが優先的に割り当てられるようビーム122を調整する。ビーム調整部174は、例えば、ユーザ端末200の位置情報の示す位置が無線通信エリアに含まれる状態を維持しながら無線通信エリアの範囲を狭くすることによって、ユーザ端末200に通信リソースが優先的に割り当てられるようビーム122を調整する。
【0066】
状況情報生成部176は、ユーザ端末200の状況又はユーザ端末200の利用者250の状況を示す状況情報を生成する。状況情報生成部176は、例えば、撮像画像取得部166によって取得された撮像画像に基づいて、ユーザ端末200の状況又はユーザ端末200の利用者250の状況を示す状況情報を生成する。状況情報生成部176は、例えば、撮像画像を解析することにより、ユーザ端末200の状況又はユーザ端末200の利用者250の状況を示す状況情報を生成する。
【0067】
状況情報生成部176は、撮像画像取得部166によって取得された、時系列に撮像された複数の撮像画像に基づいて、ユーザ端末200の状況又はユーザ端末200の利用者250の状況の変化を示す情報を生成してもよい。状況情報生成部176は、複数の撮像画像をそれぞれ解析し、ユーザ端末200の状況又はユーザ端末200の利用者250の状況をトラッキングすることによって、ユーザ端末200の状況又はユーザ端末200の利用者250の状況の変化を示す情報を生成する。
【0068】
ユーザ端末200の状況又はユーザ端末200の利用者250の状況を示す状況情報は、例えば、ユーザ端末200が搭載される又はユーザ端末200の利用者250が乗船している船300の状況を示す状況情報である。船300の状況を示す状況情報は、例えば、衝突の大きさ等を示す衝突に関する情報、例えば、沈没の速度等を示す沈没に関する情報、例えば、船火事の程度等を示す船火事に関する情報、例えば、座礁の程度等を示す座礁に関する情報、及び原油漏れに関する情報の少なくともいずれかであってよい。
【0069】
ユーザ端末200の状況又はユーザ端末200の利用者250の状況を示す状況情報は、ユーザ端末200又はユーザ端末200の利用者250の周囲における救助の状況を示す状況情報であってもよい。救助の状況を示す状況情報は、救助隊の人数等を示す救助隊に関する情報、救難ボートの配置等を示す救難ボートに関する情報、及び、救援物資の量等を示す救援物資に関する情報の少なくともいずれかであってよい。
【0070】
ユーザ端末200の状況又はユーザ端末200の利用者250の状況を示す状況情報は、ユーザ端末200又はユーザ端末200の利用者250の周囲における海の状況情報を生成してもよい。海の状況を示す情報は、例えば、風浪又はうねりの状態等を示す波に関する情報である。
【0071】
通知情報生成部168は、状況情報生成部176によって生成されたユーザ端末200の状況又はユーザ端末200の利用者250の状況を示す状況情報をさらに用いて通知情報を生成してもよい。例えば、通知情報生成部168は、状況情報を含む通知情報を生成する。
【0072】
事故情報取得部178は、事故情報を取得する。事故情報取得部178は、例えば、撮像部162によって撮像された撮像画像を解析して、無線通信エリア内で発生した事故を検出し、事故に関連する事故情報を生成する。事故情報取得部178は、事故情報受信部156によって受信された事故情報を取得してもよい。通知情報生成部168は、事故情報取得部178が取得した事故情報を含む通知情報を生成してもよい。
【0073】
通知情報送信部170は、例えば、事故情報取得部178によって取得された事故情報を、通知情報とは別に外部に送信してもよい。通知情報送信部170は、事故情報を海難救助支援システム500に対して送信してよい。通知情報送信部170は、事故情報を無線通信エリア内のユーザ端末200に対して送信してもよい。
【0074】
位置情報要求送信部180は、無線通信エリア内のユーザ端末200に対してユーザ端末200の位置情報を要求する位置情報要求を送信する。位置情報要求送信部180は、例えば、無線通信エリア内で位置情報要求をブロードキャストする。
【0075】
位置情報要求送信部180は、例えば、事故情報取得部178が事故情報を取得した場合に、位置情報要求を送信する。位置情報要求送信部180は、位置情報要求を断続的に送信してもよい。位置情報受信部158は、位置情報要求送信部180によって送信された位置情報要求に応じて、無線通信エリア内のユーザ端末200が送信したユーザ端末200の位置情報を受信してよい。
【0076】
端末送信部182は、撮像画像取得部166によって取得されたユーザ端末200の位置情報が示す位置の方向の撮像画像を送信する。端末送信部182は、例えば、撮像画像を、位置情報要求を受信したことに応じて位置情報を送信したユーザ端末200に送信する。例えば、撮像画像取得部166が取得した、船300が浸水で傾いてきた際に、船300が沈没するまでの状況を示す画像を、ユーザ端末200に送信することによって、ユーザ端末200の利用者250の避難の参考にさせることができる。端末送信部182は、撮像制御部164によって取得された撮像画像をブロードキャストしてもよい。
【0077】
図3は、通信装置150による処理の流れの一例を概略的に示す。図3は、通信装置150を搭載した飛行体100が船300の上空を飛行している状態を開始状態として説明する。
【0078】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、救難信号受信部154が、救難信号を受信したか否かを判定する。救難信号受信部154が救難信号を受信したと判定した場合、S104に進む。
【0079】
S104では、撮像画像取得部166が、S102で受信された救難信号に含まれるユーザ端末200の位置情報が示す位置の方向の撮像画像を取得する。S106では、状況情報生成部176が、S104で取得された撮像画像を解析する。
【0080】
S108では、通知情報生成部168が、S102で受信された救難信号に含まれる位置情報、及びS106で解析された解析結果を用いて通知情報を生成する。S110では、通知情報送信部170が、S108で生成された通知情報を外部に送信する。
【0081】
図4は、通信装置150による処理の流れの一例を概略的に示す。図4は、通信装置150を搭載した飛行体100が船300の上空を飛行している状態を開始状態として説明する。
【0082】
S202では、事故情報取得部178が、撮像部162によって撮像された撮像画像を取得する。S204では、事故情報取得部178が、S202で取得された撮像画像を解析する。
【0083】
S206では、事故情報取得部178が、S204で解析された解析結果に基づいて、撮像エリア126内で事故が発生したか否かを判定する。事故が発生したと判定した場合、事故情報取得部178が事故情報を生成して、S208に進む。事故が発生していないと判定した場合、S202に戻る。
【0084】
S208では、通知情報送信部170が、S206で生成された事故情報を海難救助支援システム500に送信する。S210では、位置情報要求送信部180が、無線通信エリア内のユーザ端末200に対して位置情報要求を送信する。S212では、位置情報受信部158は、S210で送信された位置情報要求に応じて無線通信エリア内のユーザ端末200が送信したユーザ端末200の位置情報を受信する。
【0085】
S214では、撮像画像取得部166は、S212で受信されたユーザ端末200の位置情報が示す位置の方向の撮像画像を取得する。S216では、状況情報生成部176が、S214で取得された撮像画像を解析する。
【0086】
S218では、通知情報生成部168が、S212で受信されたユーザ端末200の位置情報、及びS216で解析された解析結果を用いて通知情報を生成する。S220では、通知情報送信部170が、S218で生成された通知情報を外部に送信する。
【0087】
図4に示す処理において、S202からS208までの処理を、事故情報受信部156が海難救助支援システム500から事故情報を受信する処理に置き換えてもよい。
【0088】
図5は、システム10の一例を概略的に示す。図5に示す例におけるシステム10は、山岳救助支援システム600を備えてよい。図5では、山で遭難したユーザ端末200の利用者250の救助を支援する場合を例に挙げて説明する。
【0089】
飛行体100は、山で遭難した利用者250のユーザ端末200から、救難信号を受信する。飛行体100は、受信した救難信号に含まれるユーザ端末200の位置情報が示す位置の方向をカメラ116で撮像して撮像画像を取得する。飛行体100は、取得した撮像画像及びユーザ端末200の位置情報を用いて通知情報を生成し、通知情報を山岳救助支援システム600に送信する。
【0090】
山岳救助支援システム600は、飛行体100から受信した通知情報に基づいて、山で遭難したユーザ端末200の利用者250の救助方法を決定する。山岳救助支援システム600は、決定した救助方法に従って、救助隊650を派遣する。
【0091】
飛行体100は、例えば、ユーザ端末200の位置情報が示す位置に基づいて特定した山の中に位置する他のユーザ端末200に対して、通知情報を送信してもよい。他のユーザ端末200は、例えば、救助隊650のユーザ端末200である。他のユーザ端末200は、特定した山の登山者のユーザ端末200であってよい。
【0092】
救助隊650のユーザ端末200は、飛行体100に搭載された通信装置150が提供する無線通信サービスを介して、山で遭難した利用者250のユーザ端末200との間に無線通信を確立してもよい。
【0093】
飛行体100に搭載されたカメラ116は、赤外線カメラであってよい。赤外線カメラは、夜間でも山で遭難したユーザ端末200の利用者250を撮影できる。さらに、赤外線カメラは、飛行体100と山で遭難したユーザ端末200の利用者250との間に雲80が発生している場合であっても、山で遭難したユーザ端末200の利用者250を撮影できる。
【0094】
図6は、通信装置150として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0095】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0096】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0097】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0098】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0099】
プログラムは、ICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0100】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0101】
また、CPU1212は、記憶装置1224、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0102】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0103】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0104】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0105】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0106】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0107】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0108】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0109】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0110】
10 システム、50 ネットワーク、70 通信衛星、80 雲、100 飛行体、101 主翼部、102 本体部、104 プロペラ、106 スキッド、108 車輪、110 太陽電池パネル、112 アンテナ、114 アンテナ、116 カメラ、122 ビーム、124 フィーダリンク、126 撮像エリア、150 通信装置、152 格納部、154 救難信号受信部、156 事故情報受信部、158 位置情報受信部、160 生体情報受信部、162 撮像部、164 撮像制御部、166 撮像画像取得部、168 通知情報生成部、170 通知情報送信部、172 位置特定部、174 ビーム調整部、176 状況情報生成部、178 事故情報取得部、180 位置情報要求送信部、182 端末送信部、200 ユーザ端末、250 利用者、300 船、400 ゲートウェイ、500 海難救助支援システム、600 山岳救助支援システム、650 救助隊、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6