(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】化粧材
(51)【国際特許分類】
B32B 3/30 20060101AFI20230116BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230116BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20230116BHJP
B41M 3/06 20060101ALI20230116BHJP
B41M 3/00 20060101ALI20230116BHJP
E04B 9/04 20060101ALI20230116BHJP
E04F 15/02 20060101ALN20230116BHJP
【FI】
B32B3/30
B32B27/00 E
E04F13/07 B
B41M3/06 E
B41M3/00 Z
E04B9/04 C
E04F15/02 C
(21)【出願番号】P 2019120456
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000222495
【氏名又は名称】東リ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 麻理恵
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩之
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-108512(JP,A)
【文献】特開平06-171025(JP,A)
【文献】特開2019-042993(JP,A)
【文献】特開平03-008477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
B41M 1/00- 3/18
B41M 7/00- 9/04
E04F 15/00- 15/22
E04B 9/04- 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸状に形成されている領域を下面に有する透明シートと、
前記透明シートの下方に積層され且つ前記透明シートの凹凸に沿った凹凸状の領域を上面に有するデザインシートと、を有し、
前記デザインシートが、平面視で、縦方向に延びる帯状の領域であって複数の長状の凸条部が間隔を開けて並設されている凹凸帯状領域を
3つ以上有し、
第1凹凸帯状領域と第2凹凸帯状領域
と第3凹凸帯状領域が、横方向において隣接し、
前記第1凹凸帯状領域の凸条部が、平面視で前記横方向に対して傾斜されており、
前記第2凹凸帯状領域の凸条部が、平面視で前記第1凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角とは異なる角度で前記横方向に対して傾斜されて
おり、
前記第3凹凸帯状領域の凸条部が、平面視で前記第1凹凸帯状領域及び第2凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角とは異なる角度で横方向に対して傾斜されており、
第1凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角<第2凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角<第3凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角、の関係を満たし、
前記デザインシートの全体又は一部分に、光輝性の部分と非光輝性の部分とが形成され、前記光輝性の部分及び非光輝性の部分が、前記デザインシートの凹凸状の領域に沿った凹凸状を成している、化粧材。
【請求項2】
前記第1凹凸帯状領域、第2凹凸帯状領域及び第3凹凸帯状領域が、平面視で、横方向に平行に配置されている、請求項1に記載の化粧材。
【請求項3】
前記光輝性の部分が、光輝性インキ印刷部から構成されている、請求項1または2に記載の化粧材。
【請求項4】
前記デザインシートが、シート本体と、前記シート本体の上面に設けられた印刷部と、を有し、
前
記非光輝性の部分が
、非光輝性インキ印刷部から構成されており、
前記非光輝性インキ印刷部が、濃色印刷部と、前記濃色印刷部よりも淡色である淡色印刷部と、を有する、請求項3に記載の化粧材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の床材、壁材、天井材などの化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の床材、壁材、天井材などとして、化粧材が用いられている。
特許文献1には、基材シートと、基材シートの上方に配置され、光輝性を有する第1領域と第1領域における光輝性よりも低い光輝性を有する第2領域とが上面に形成されたデザインシートと、デザインシートの上方に配置され、下面に凹凸面が形成されるとともに、光を透過する透明シートと、を有する化粧材が開示されている。
この化粧材は、奥行きを感じることができ、装飾性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
特許文献1の化粧材は、奥行きを感じることができ、装飾性に優れているが、市場においては、さらに異なる観点で需要を喚起するような装飾が求められている。
例えば、上面側から化粧材を見たときに、その外観が変化するような化粧材は、意外性があり、使用者の興味を刺激すると考えられる。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、意外性があり、装飾性の高い化粧材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化粧材は、凹凸状に形成されている領域を下面に有する透明シートと、前記透明シートの下方に積層され且つ前記透明シートの凹凸に沿った凹凸状の領域を上面に有するデザインシートと、を有し、前記デザインシートが、平面視で、縦方向に延びる帯状の領域であって複数の長状の凸条部が間隔を開けて並設されている凹凸帯状領域を3つ以上有し、第1凹凸帯状領域と第2凹凸帯状領域と第3凹凸帯状領域が、横方向において隣接し、前記第1凹凸帯状領域の凸条部が、平面視で前記横方向に対して傾斜されており、前記第2凹凸帯状領域の凸条部が、平面視で前記第1凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角とは異なる角度で前記横方向に対して傾斜されており、前記第3凹凸帯状領域の凸条部が、平面視で前記第1凹凸帯状領域及び第2凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角とは異なる角度で横方向に対して傾斜されており、第1凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角<第2凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角<第3凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角、の関係を満たし、前記デザインシートの全体又は一部分に、光輝性の部分と非光輝性の部分とが形成され、前記光輝性の部分及び非光輝性の部分が、前記デザインシートの凹凸状の領域に沿った凹凸状を成している。
【0007】
本発明の好ましい化粧材は、前記第1凹凸帯状領域、第2凹凸帯状領域及び第3凹凸帯状領域が、平面視で、横方向に平行に配置されている。
本発明の好ましい化粧材は、前記光輝性の部分が、光輝性インキ印刷部から構成されている。
本発明の好ましい化粧材は、前記デザインシートが、シート本体と、前記シート本体の上面に設けられた印刷部と、を有し、前記非光輝性の部分が、非光輝性インキ印刷部から構成されており、前記非光輝性インキ印刷部が、濃色印刷部と、前記濃色印刷部よりも淡色である淡色印刷部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧材は、見る方向によって光沢が変化し、キラキラと輝くような外観を有する。かかる化粧材は、意外性があり、高い装飾性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る化粧材を上面側から見た平面図。
【
図3】断面で見たときの印刷部の配置の変形例を示す拡大断面図。
【
図4】断面で見たときの印刷部の配置のさらなる変形例を示す拡大断面図。
【
図7】
図6のVII-VII線で切断した端面図。端面図は、切断面のみの形状を表し、切断面より奥側の形状を表していない図である。
【
図9】化粧材を上面側から見たときのデザインの見え方を表した参考平面図。
【
図10】化粧材の1つの製造工程を示す参考断面図。
【
図12】第1変形例に係るデザインシートを上面側から見た平面図。
【
図13】第2変形例に係るデザインシートを上面側から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、適宜図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、「上」は、化粧材を施工する際の施工面とは反対となる側を指し、「下」は、化粧材を施工する際の施工面に近い側を指す。化粧材、透明シート及びデザインシートの縦方向は、それらの面内(平面視)における任意の1つの方向であり、化粧材、透明シート及びデザインシートの横方向は、前記面内において前記縦方向と直交する方向である。なお、化粧材、透明シート及びデザインシートの各縦方向及び横方向は、化粧材、透明シート及びデザインシートのそれぞれの長さや形状で決まるわけではない。もっとも、平面視略矩形状の化粧材の場合には、一般的に、矩形の一辺及びこの一辺に直交するもう一辺に沿った方向を、縦方向と横方向とする。
本明細書において、用語の頭に、「第1」、「第2」を付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するためだけに付加されたものであり、その順序や優劣などの特別な意味を持たない。
本明細書において、「~」で表される数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「~」で結んだ範囲とすることができるものとする。本明細書において、「略」は、本発明の属する技術分野において許容される範囲を意味する。また、「複数」は、2以上を意味する。
【0011】
[化粧材の概要]
本発明の化粧材は、オフィスビル、商業施設、マンション、一般家屋などの各種の建築物の床材、壁材、天井材などに使用でき、特に、床材として好適に使用できる。
図1は、本発明の1つの実施形態に係る化粧材1の平面図であり、
図2は、同化粧材1の一部分を切断した断面図である。
本発明の化粧材1は、
図1に示すように、長尺帯状に形成されていてもよく、或いは、特に図示しないが、枚葉状に形成されていてもよい。前記長尺帯状は、1つの方向の長さがそれに直交する方向よりも十分に長い平面視略長方形状をいう。長尺帯状の化粧材1は、例えば、短手方向長さが1000mm~4000mmで、長手方向長さが5m以上であり、好ましくは、長手方向の長さが10m以上である。長尺帯状の化粧材1は、その長手方向が縦方向でもよく、或いは、その長手方向が横方向でもよい。図示例の長尺帯状の化粧材1は、長手方向を縦方向とする。
前記枚葉状は、例えばタイル床材のような平面視で略矩形状などの略多角形状などの所定形状に形成されているものであり、一般に、積み重ねて保管・運搬できる形状をいう。枚葉状の化粧材1は、例えば、1つの方向の長さが200mm~1000mm、それに直交する方向の長さが200mm~1000mmの略矩形状などが挙げられる。
【0012】
前記化粧材1は、柔軟性を有するものでもよく、或いは、柔軟性を有さないもの(容易に曲がらないもの)でもよい。柔軟性を有する化粧材1は、ロール状に巻き取ることができ、保管・運搬の便に優れている。ここで、本明細書において、「柔軟性を有する」は、例えば、直径20cmの芯材にロール状に巻き取ることができる程度に柔軟であることをいう。「柔軟性を有さない」は、人力で曲げることができない又は人力で曲げることができるが前記直径20cmの芯材に巻き取ることができないほどに硬いものをいう。
化粧材1の厚みは、特に限定されず、例えば、0.5mm~10mmであり、好ましくは、2mm~5mmである。
【0013】
図2に示すように、化粧材1は、凹凸状に形成されている領域を下面に有する透明シート2と、前記透明シート2の下方に積層され且つ前記透明シート2の凹凸に沿った凹凸状の領域を上面に有するデザインシート3と、を有し、さらに、前記デザインシート3の下方に積層された基材シート4を有する。
なお、
図2は、凸条部の延びる方向に対して直交する方向で切断した拡大図である。前記透明シート2の1つの凹凸帯状領域の凹凸形状は、
図2の紙面手前から紙面奥行方向に向かって同形状で延びている。
以下、透明シート2、デザインシート3及び基材シート4を分説しつつ本発明の化粧材1について詳述する。
【0014】
<デザインシート>
(1)デザインシートの凹凸状の領域
デザインシート3は、所望のデザインが表されたシートである。
デザインシート3は、その上面に、透明シート2の下面の凹凸に沿った凹凸状の領域を有する。
デザインシートは、その上面側からデザインを視認できるものであれば特に限定されず、シート自体がデザインを表出しているデザインシートを用いてもよく、或いは、印刷によってデザインが表されているデザインシートを用いてもよい。この好ましいデザインシート3は、
図2に示すように、シート本体31と、前記シート本体31の上面又は下面に設けられた印刷部と、を有する。
【0015】
図5は、凹凸状を有するデザインシート3の平面図であり、
図6は、
図5の一部分を拡大した平面図であり、
図7は、
図6のVII-VII線で切断した端面図である。
図5乃至
図7においては、デザインシート3のうち印刷部を除いたシート本体31のみを表している。
図5乃至
図7を参照して、デザインシート3は、複数の平面視長状の凸条部7が縦方向に間隔を開けて並設されている凹凸帯状領域を2つ以上有する。各凸条部7は、平面視で横方向に対して傾斜されている。「凸条部7が平面視で横方向に対して傾斜されている」とは、平面視長状の凸条部7の延びる方向が、横方向とは非平行であることをいう。
【0016】
前記凹凸帯状領域は、平面視で縦方向に延びる帯状の領域である。凹凸帯状領域は、平面視で縦長の略帯状である。略帯状は、縦方向に直線状に延びる帯状(平面視で縦方向に細長い長方形状)や緩やかな曲線を描きながら縦方向に延びる帯状を含む。各凹凸帯状領域が縦方向に直線状に延びる帯状の領域である場合、デザイン的にシャープな感じを使用者に付与でき、各凹凸帯状領域が緩やかな曲線を描きながら縦方向に延びる帯状の領域である場合、デザイン的に柔らかい感じを使用者に付与できる。
なお、各凹凸帯状領域は、概念上の領域であり、各凹凸帯状領域を区画する標線などが必ずしも形成されているわけではない。
ただし、各凹凸帯状領域に形成された凸条部7の平面視形状(傾斜角など)が異なるので、その異なる凸条部7を目印にして、各凹凸帯状領域を観念することができる。或いは、各凹凸帯状領域間に、縦方向に延びる幅の狭い平坦領域(凹凸のない平坦状の領域)を形成してもよく、この場合には、その縦方向に延びる平坦領域を目印にして、各凹凸帯状領域を観念することもできる。この平坦領域の幅(横方向長さ)は、0.1mm~0.5mm程度である。各凹凸帯状領域間に前記平坦領域が介在していることにより、複雑なデザインを表出できる。
図5及び
図6では、隣接する凹凸帯状領域の間に、前記縦方向に直線状に延びる平坦領域が形成されている場合を表している。なお、前記平坦領域についても、直線状に限られず、緩やかな曲線を描きながら縦方向に延びていてもよい。
図5において、凹凸帯状領域の概念を判り易くするため、複数の凹凸帯状領域のうち、符号Fで示す凹凸帯状領域に、無数のドットを付している。また、
図5の矢印は、隣接する凹凸帯状領域の概念上の境界部を示している。
【0017】
各凹凸帯状領域は、所定の幅(横方向長さ)で縦方向に延びる帯状である。各凹凸帯状領域は、横方向に並んで配置されている。つまり、1つの凹凸帯状領域ともう1つの凹凸帯状領域は横方向に隣接しており、それが、横方向に繰り返されている(連続している)。もっとも、デザインシート3の横方向全体に亘って凹凸帯状領域が繰り返されている場合に限られず、部分的に凹凸を有さない略平坦な帯状領域が存在してもよい。この略平坦な帯状領域は、上述の平坦領域よりも幅広である。
各凹凸帯状領域の幅(横方向長さ)は、均等であってもよい。或いは、各凹凸帯状領域の幅は、互いに異なっていてもよい。或いは、同じ幅の凹凸帯状領域が幾つか存在し且つこれと異なる幅の凹凸帯状領域が1つ又は幾つか存在してもよい。
図示例では、便宜上、全ての凹凸帯状領域の幅が同じである場合を図示している。
各凹凸帯状領域の幅は、特に限定されず、例えば、1mm~150mmの範囲であり、好ましくは、2mm~50mmの範囲であり、より好ましくは、2mm~5mmの範囲である。
【0018】
各凹凸帯状領域には、複数の平面視長状の凸条部7が形成されている。長状の凸条部7は、立体的に突出した凸部が所定方向に連続したものであり、全体として見ると、前記所定方向に延びる長い凸部をいう。
ここで、凸と凹は、相対的な概念であるので、縦方向に並設された複数の凸条部7の間には、凹条部8が存在する。
図5及び
図6では、凸条部7は、その凸条部7の稜線(凸頂点が連続した線)で表されている。
図5では、凹条部を表していないが、
図6では、凹条部8は、その凹条部8の谷線(凹底点が連続した線)で表されている。また、
図6において、凸条部7を太線で表し、凹条部8を細線で表している。
各凸条部7及び凹条部8は、平面視で直線状に延びているが、若干湾曲或いは屈曲して延びていてもよい。
【0019】
各凹凸帯状領域においては、縦方向に複数の凸条部7が並んでいるが、その複数の凸条部7は、平行である。換言すると、任意の1つの凹凸帯状領域において、それに形成されている複数の凸条部7は、平行に延びている(横方向に対して同じ傾斜角を有して傾斜している)。
任意の1つの凹凸帯状領域において、縦方向に並んだ凸条部7の間隔(縦方向における凸条部7の形成間隔)は、均等でもよく、或いは、互いに異なっていてもよく、或いは、同じ間隔の凸条部7が幾つか存在し且つこれと異なる間隔の凸条部7が1つ又は幾つか存在してもよい。
図示例においては、各凹凸帯状領域のそれぞれにおいて、縦方向に並んだ凸条部7の間隔(縦方向における凸条部7の形成間隔)は、均等である。
また、任意の1つの凹凸帯状領域中の凸条部7の間隔とそれに隣接する凹凸帯状領域中の凸条部7の間隔は、同じでもよく、或いは、異なっていてもよい。
【0020】
複数の凹凸帯状領域の関係を見ると、各凹凸帯状領域の凸条部7は、前記横方向に対する傾斜角が互いに異なっている。
凸条部7の傾斜角が異なる凹凸帯状領域は、少なくとも2つ以上であり、好ましくは、3つ以上であり、より好ましくは5つ以上存在する。
全ての凹凸帯状領域は、その凸条部7の傾斜角が異なっていてもよいが、通常、傾斜角の異なる幾つかの凹凸帯状領域を1つのユニットとし、そのユニットが横方向に繰り返して配置される。例えば、傾斜角の異なる複数の凹凸帯状領域を1つのユニットとし、そのユニットが横方向に繰り返して配置される。傾斜角の異なる凹凸帯状領域の数は、例えば、2個~100個であり、好ましくは、2個~30個であり、より好ましくは、10個~20個である。下限値以上であれば、見る角度によって光沢が変化する本願の効果を奏し、また、上限値以下であれば、製造の複雑化を防止できる。
各ユニットは横方向に繰り返して配置されていてもよく、或いは、繰り返される2つのユニットの間に、任意の凸部が形成された凹凸帯状領域が配置されていてもよく、或いは、繰り返される2つのユニットの間に、凹凸を有さない略平坦な領域が配置されていてもよい。
1つのユニットにおいて、横方向に隣接する各凹凸帯状領域の凸条部7の傾斜角は、横方向一方側に向かうに従って順に大きくなっていてもよく(この場合、横方向反対側に向かうに従って順に小さくなる)、或いは、横方向一方側に向かうに従って順に小さくなっていてもよく、或いは、不規則(ランダム)であってもよい。順に大きく又は順に小さくすることによって、上面側から化粧材を全体的に見た際、光沢の変化をグラデーションとして表現できる。特に、前記傾斜角の異なる凹凸帯状領域を、例えば、3個以上、好ましくは4個以上、より好ましくは6個以上有することにより、前記グラデーション効果が奏し易くなる。
【0021】
図5に示す例では、凸条部7の傾斜角が異なる15個の凹凸帯状領域が横方向に隣接して配置されている。
図5の符号A乃至Oは、各凹凸帯状領域を表している。
この15個の凹凸帯状領域A乃至Oを1つのユニットとして、そのユニットが横方向に繰り返して配置されている。
【0022】
例えば、凹凸帯状領域Aは、縦方向に間隔を開けて並設されている複数の凸条部7を有し、その各凸条部7は、横方向に対して鋭角に傾斜して延びる平面視長状である。凹凸帯状領域Aの各凸条部7は、平行であり(同じ傾斜角であり)、各凸条部7の形成間隔は同じである。
凹凸帯状領域B乃至Oにも、それぞれ、縦方向に間隔を開けて複数の凸条部7が並設されている。
凹凸帯状領域Bの凸条部7は、その傾斜角が凹凸帯状領域Aの凸条部7の傾斜角よりも大きいことを除いて、凹凸帯状領域Aと同様である。また、凹凸帯状領域Cの凸条部7は、その傾斜角が凹凸帯状領域Bの凸条部7の傾斜角よりも大きいことを除いて、凹凸帯状領域Bと同様である。このように凹凸帯状領域Aから凹凸帯状領域Nに向かうに従って、それぞれの凸条部7の傾斜角が順に大きくなっている。
つまり、凹凸帯状領域Aの凸条部7の傾斜角<凹凸帯状領域Bの凸条部7の傾斜角<凹凸帯状領域Cの凸条部7の傾斜角<・・・(略)・・・<凹凸帯状領域Lの凸条部7の傾斜角<凹凸帯状領域Mの凸条部7の傾斜角<凹凸帯状領域Nの凸条部7の傾斜角、の関係を満たしている。
【0023】
図示例の凹凸帯状領域A乃至Oの凸条部の傾斜角は、次の通りである。
凹凸帯状領域Aの凸条部の傾斜角:約15度。
凹凸帯状領域Bの凸条部の傾斜角:約23度。
凹凸帯状領域Cの凸条部の傾斜角:約34度。
凹凸帯状領域Dの凸条部の傾斜角:約45度。
凹凸帯状領域Eの凸条部の傾斜角:約56度。
凹凸帯状領域Fの凸条部の傾斜角:約68度。
凹凸帯状領域Gの凸条部の傾斜角:約79度。
凹凸帯状領域Hの凸条部の傾斜角:約90度。
凹凸帯状領域Iの凸条部の傾斜角:約101度。
凹凸帯状領域Jの凸条部の傾斜角:約112度。
凹凸帯状領域Kの凸条部の傾斜角:約124度。
凹凸帯状領域Lの凸条部の傾斜角:約135度。
凹凸帯状領域Mの凸条部の傾斜角:約146度。
凹凸帯状領域Nの凸条部の傾斜角:約157度。
凹凸帯状領域Oの凸条部の傾斜角:約165度。
【0024】
ただし、各凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角は、図示例に限定されず、様々に変更できる。例えば、任意の1つの凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角と、これに隣接する1つの凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角との差(絶対値)が、全て同一となるように、それらの凸条部の傾斜角を設定してもよく、或いは、前記差が異なるように、それらの凸条部の傾斜角を設定してもよい。
前記任意の1つの凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角と、これに隣接する1つの凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角との差は、例えば、0度を超え45度以下であり、好ましくは2度~30度であり、より好ましくは3度~15度である。前記隣接する凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角の差を小さくし且つ凹凸帯状領域の個数を増やすことにより、より自然なグラデーション効果を奏する。
なお、
図5の例では、任意の1つの凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角と、これに隣接する1つの凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角との差が、11度~12度の範囲になっている。この例は、上述の任意の1つの凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角とこれに隣接する1つの凹凸帯状領域の凸条部の傾斜角との差が異なるように設定された場合である。
【0025】
ここで、各凹凸帯状領域の凸条部7の傾斜角は、横方向に対する角度である。つまり、各凹凸帯状領域の凸条部7の傾斜角は、凸条部7の延びる方向と横方向の成す角度をいう。
図8は、凸条部7の傾斜角の意味を説明するために、
図5の凹凸帯状領域A,B,N,Oを部分的に取り出し且つ拡大した参考平面図である。
図8において、各凸条部7の稜線を太線で表している。
図8を参照して、凸条部7の傾斜角αは、次の手順で決定される。
平面視において、対象となる凸条部7の稜線に交差するように、仮想横線aを引く。この仮想横線aは、横方向と平行な直線である。
図8において、仮想横線aを小さい破線で示している。凸条部7の稜線と仮想横線aの交点bにおいて仮想横線a及び凸条部7の稜線は2分されるが、2分された仮想横線aのうち紙面右側(横方向一方側)の仮想横線を「右仮想横線c」といい、2分された凸条部7の稜線のうち仮想横線aよりも紙面上側(縦方向一方側)の稜線を「上稜線d」という。
そして、本明細書において、凹凸帯状領域の凸条部7の傾斜角αは、前記右仮想横線cと上稜線dの成す角度をいう。
【0026】
図5及び
図8を参照して、凹凸帯状領域A乃至Gの各凸条部7は、横方向に対して鋭角に傾斜されており、凹凸帯状領域I乃至Oの各凸条部7は、横方向に対して鈍角に傾斜されている。
図5を参照して、凹凸帯状領域Hの凸条部7は、横方向に対して直角に傾斜されている。なお、図示例では、凹凸帯状領域A乃至Gの各凸条部7と、凹凸帯状領域I乃至Oの各凸条部7とは、凹凸帯状領域Aと凹凸帯状領域Oの仮想境界線を基準線とする線対称の関係となっているが、これに限定されるわけではない。
前記のような線対称の関係にすることによって、見る方向によるグラデーションが規則的になる。
【0027】
図6は、凹凸帯状領域B乃至Dの一部分を拡大している。
ここでは、用語上、区別するために、凹凸帯状領域Bを「第1凹凸帯状領域B」、凹凸帯状領域Cを「第2凹凸帯状領域C」、凹凸帯状領域Dを「第3凹凸帯状領域D」という。
第2凹凸帯状領域Cは、第1凹凸帯状領域Bに横方向において隣接し、第3凹凸帯状領域Dは、第2凹凸帯状領域Cの、第1凹凸帯状領域Bとは反対側に隣接している。つまり、横方向において、第1凹凸帯状領域B、第2凹凸帯状領域C及び第3凹凸帯状領域Dの順で隣接している。
第1凹凸帯状領域Bの凸条部7は、平面視で横方向に対して傾斜されており、第2凹凸帯状領域Cの凸条部7は、平面視で第1凹凸帯状領域Bの凸条部7の傾斜角とは異なる角度で横方向に対して傾斜されており、第3凹凸帯状領域Dの凸条部7は、平面視で第1凹凸帯状領域B及び第2凹凸帯状領域Cの凸条部7の傾斜角とは異なる角度で横方向に対して傾斜されている。第1凹凸帯状領域Bの凸条部7の傾斜角、第2凹凸帯状領域Cの凸条部7の傾斜角及び第3凹凸帯状領域Dの凸条部7の傾斜角は、互いに異なっていれば特に限定されないが、好ましくは、第1凹凸帯状領域Bの凸条部7の傾斜角<第2凹凸帯状領域Cの凸条部7の傾斜角<第3凹凸帯状領域Dの凸条部7の傾斜角、の関係を満たしている。
【0028】
図7は、任意の1つの凹凸帯状領域に形成された凸条部7の立体的な形状を説明するための模式的な端面図である。
図7は、
図6のVII-VII線で切断した端面であって、凸条部7及び凹条部8の延びる方向に対して直交する方向で切断した端面図である。なお、
図6のVII-VII線の切断箇所は、化粧材1では例えば
図1のII-II線の切断箇所に対応する。
図7を参照して、凸条部7は、稜線73において一方端部が一致し且つ他方端部が互いに離反した左右一対の傾斜面71,72(第1傾斜面71及び第2傾斜面72)で画成されている。具体的には、断面視での凸条部7は、凸頂点と、前記凸頂点から左斜め下に延びる第1斜線と、前記凸頂点から右斜め下に延びる第2斜線と、から画成されている。凸条部7の立体構造では、連続した凸頂点が凸条部7の稜線73を成し、第1斜線が第1傾斜面71を成し、第2斜線が第2傾斜面72を成している。
この第1傾斜面71と第2傾斜面72が交互に連設されることにより、複数の凸条部7を成している。なお、凹条部8は、凸条部7とは紙面で上下反対の関係になっている。
なお、
図7及び各断面図において、凸条部7の凸頂点及び凹条部8の凹底点は、角張った角状で表されているが、実際の製品においては、凸条部7の凸頂点及び凹条部8の凹底点は、角張っていないことが多いことに留意されたい。
【0029】
第1傾斜面71及び第2傾斜面72は、平坦な面を含み、好ましくは、略全体的に平坦な面である。第1傾斜面71(第1斜線)と第2傾斜面72(第2斜線)の内角βは、特に限定されないが、余りに小さいと、凸条部7を形成することが困難となり、余りに大きいと、デザインシート3の凹凸が小さくなりすぎる。かかる観点から、第1傾斜面71(第1斜線)と第2傾斜面72(第2斜線)の内角βは、30度~150度が好ましく、60度~140度がより好ましく、90度~130度がさらに好ましい。
凸条部7の高さH7は、特に限定されないが、余りに小さいとデザインシート3の凹凸が小さくなりすぎ、余りに大きいと、凸条部7を形成することが困難となる。かかる観点から、凸条部7の高さH7は、0.05mm~3.0mmが好ましく、0.1mm~1.0mmがより好ましく、0.15mm~0.5mmがさらに好ましい。なお、凸条部7の高さH7は、凸条部7の稜線73と凹条部8の谷線まで(断面視で、凸条部7の凸頂点から凹条部8の凹底点まで)の長さをいう。
凸条部7の幅W7は、特に限定されないが、余りに小さいと、凸条部7を形成することが困難となり、余りに大きいと、デザインシート3の凹凸が小さくなりすぎる。かかる観点から、凸条部7の幅W7は、0.05mm~5.0mmが好ましく、0.1mm~2.0mmがより好ましく、0.2mm~1.0mmがさらに好ましい。なお、凸条部7の幅W7は、隣接する2つの凸条部7の稜線73間(断面視で隣接する凸条部7の頂点間)の長さをいう。なお、この凸条部7の幅W7は、上記縦方向における凸条部7の形成間隔と同じ意味である。
【0030】
1つの凹凸帯状領域に形成された各凸条部7は、立体的に同じ形状でもよく、或いは、異なる形状であってもよく、或いは、同じ立体形状の幾つかの凸条部7とこれと異なる立体形状の1つ又は幾つかの凸条部7とから構成されていてもよい。
また、複数の凹凸帯状領域の関係では、各凹凸帯状領域の凸条部7は、立体的に同じ形状でもよく、或いは、異なる形状であってもよく、同じ立体形状の幾つかの凸条部7とこれと異なる立体形状の1つ又は幾つかの凸条部7とから構成されていてもよい。
立体的に異なる形状としては、前記凸条部7を画成する第1傾斜面71と第2傾斜面72の内角が異なる場合、又は/及び、凸条部7の高さが異なる場合、又は/及び、凸条部7の幅が異なる場合、などが挙げられる。
【0031】
図示例では、デザインシート3は、全体的に凹凸状に形成されている。従って、デザインシート3の下面にも、凹凸状の領域を有する。このデザインシート3の下面の凹凸は、当該デザインシート3の上面の凹凸に対応している。つまり、下面の凸条部は、上面の凹条部に対応し、下面の凹条部は、上面の凸条部に対応している。
もっとも、デザインシート3の下面の凹凸状の領域は、上面の凹凸と対応しない凹凸であってもよく、或いは、デザインシート3の下面は、平坦状であってもよい。
【0032】
(2)デザインシートのデザインなど
デザインシート3に表されるデザインは、透明シート2の上面側から見たときに視認できるものをいう。前記デザインシート3に表されるデザインは、文字、線画、絵模様などの形状を特定できるデザインでもよく、或いは、杢調柄や2色以上で任意に塗り分けられた不定形柄などの形状を特定できないデザインでもよく、或いは、形状を特定できるデザインと形状が特定できないデザインとが組み合わされたものでもよい。
【0033】
図2を参照して、デザインは、光輝性の部分を含んでいることが好ましく、さらに、光輝性の部分5及び非光輝性の部分6を含んでいることがより好ましい。以下、光輝性の部分5を「光輝部5」と記し、非光輝性の部分6を「非光輝部6」という。光輝部5は、上面側から見て、パール光沢又は金属光沢によってキラキラと輝いて見える部分であり、非光輝部6は、上面側から見て、パール光沢又は金属光沢による輝きを視認できない有色の部分をいう。
光輝部5及び非光輝部6は、例えば、日本工業規格(JIS)Z8741:1997「鏡面光沢度-測定方法」の方法に従って評価することができる。前記鏡面光沢度は、測定面に対して、20°、45°、60°、75°及び85°の入射角で光を入射させ、その反射角の方向に設置した光検出器の測定結果に基づいて算出できる。このような鏡面光沢度の測定装置としては、例えば、コニカミノルタ株式会社製の商品名「MultiGloss268」、日本電色工業株式会社製の商品名「GlossMeter型番VGP5000」などが挙げられる。
【0034】
前記光輝部5の60°鏡面光沢度は、好ましくは100以上であり、より好ましくは200以上であり、さらに好ましくは300以上である。前記非光輝部6の60°鏡面光沢度は、100以下であり、好ましくは、100未満であり、より好ましくは50以下である。
上述のように、デザインシート3の上面には凹凸状の領域を有するが、前記光輝部5及び非光輝部6の鏡面光沢度の測定に関しては、平坦な面に形成されている光輝部5及び非光輝部6を測定面とする。
【0035】
デザインシート3は、その上面側からデザインを視認できるものであれば特に限定されず、シート自体がデザインを表出しているデザインシート3を用いてもよく、或いは、印刷によってデザインが表されているデザインシート3を用いてもよい。所望のデザインを簡単に表すことができることから、印刷によってデザインが表されているデザインシート3を用いることが好ましい。
この好ましいデザインシート3は、
図2に示すように、シート本体31と、前記シート本体31の上面又は下面に設けられた印刷部と、を有する。印刷部は、デザインを表す部分であって、シート本体31の上面又は/及び下面にインキを印刷することによって形成されたインキ固化部からなる。前記インキの印刷法は、グラビア印刷法などの従来公知の印刷法を採用すればよい。
デザインシート3のシート本体31は、通常、柔軟性を有するシートが用いられる。前記シート本体31は、透明でもよく、或いは、不透明でもよいが、好ましくは、透明なシートが用いられ、より好ましくは、無色透明なシートが用いられる。
【0036】
シート本体31としては、通常、合成樹脂製シートが用いられる。シート本体31の材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂;環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。前記合成樹脂製シートは、1つの層で構成されていてもよく、又、異種若しくは同種の複数の層が剥離不能に接合された積層体から構成されていてもよい。また、デザインシート3のシート本体31は、2枚以上のシートを接合したものでもよい。比較的安価で且つ加工し易いことから、デザインシート3を構成するシート本体31は、塩化ビニル系樹脂を主成分とする合成樹脂製シートを用いることが好ましい。
また、容易に接合させることができることから、透明シート2とデザインシート3のシート本体31は、同じ材質又は同種の材質であることが好ましい。
デザインシート3を構成するシート本体31の厚みは、特に限定されず、例えば、0.03mm~1mmであり、好ましくは、0.05mm~0.3mmである。
【0037】
前記シート本体31が不透明である場合、印刷部によって表されるデザインを上面側から視認できるようにするため、印刷部は、不透明なシート本体31の上面に設けられる。
前記シート本体31が透明である場合、印刷部がシート本体31の下面又は上面のいずれに設けられていても、上面側から印刷部によって表されるデザインを視認できる。このため、シート本体31が透明である場合、印刷部は、シート本体31の下面又は/及び上面に設けられる。光輝部5の光沢感をより強調できることから、印刷部は、シート本体31の上面(少なくとも上面)に設けられていることが好ましい。
図示例では、シート本体31として、白色などの所望の色彩を有する不透明な合成樹脂製シートが用いられ、そのシート本体31の上面に印刷部が設けられている。
【0038】
印刷部は、所望のインキから形成される。
上述のようにデザインシート3のデザインは光輝部5を含んでいることが好ましいことから、前記印刷部は、光輝性インキ印刷部51を含んでいることが好ましい。さらに、上述のようにデザインシート3のデザインは光輝部5及び非光輝部6を含んでいることがより好ましいことから、前記印刷部は、光輝性インキ印刷部51及び非光輝性インキ印刷部61を含んでいることがより好ましい。この場合、光輝部5は、光輝性インキ印刷部51から構成され、非光輝部6は、非光輝性インキ印刷部61から構成される。
【0039】
光輝性インキ印刷部51は、光輝性インキを印刷することによって形成される。光輝性インキは、光反射粒子を含むインキである。光輝性インキ中の光反射粒子は、形成する光輝性インキ印刷部51を考慮して適宜濃度調整される。
光輝性インキ印刷部51は、透明なバインダー樹脂と、そのバインダー樹脂中に分散された複数の光反射粒子と、を含んでいる。光反射粒子による光反射を損なわないことを条件として、非光輝性インキ印刷部61は、顔料などの着色剤を含んでいてもよいが、好ましくは、着色剤を含まない。
前記バインダー樹脂は、無色透明又は有色透明の何れでもよいが、好ましくは無色透明である。バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、水性ポリアミド樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、硝化綿系樹脂、塩化ゴム系樹脂などが挙げられる。
【0040】
前記光反射粒子は、少なくとも可視光を反射する性質を有する粒子であれば特に限定されず、例えば、パール微粒子、金属微粒子、金属薄膜樹脂片などが挙げられる。光反射粒子としては、好ましくはパール微粒子が用いられる。
【0041】
(a)パール微粒子
パール微粒子は人工的にパール光沢を発現させるようにした微粒子であり、一般に、パールインキに用いられているパール顔料などが挙げられる。前記パール顔料は、パール光沢や干渉光沢を有する顔料である。具体的には、パール顔料としては、貝殻の内側の部分や真珠を粉砕したもの;数μm~数十μm程度の薄片状の基板の表面に、屈折率の高い金属酸化物である酸化チタンや酸化鉄などを略均一に被覆したもの(例えば二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母);魚鱗箔;酸塩化ビスマス;などが挙げられる。酸化チタンなどの被覆厚さを調整することによって光の拡散効果を調整して虹彩色などの特定の色を強調させることができる。前記薄片状の基板としては、マイカ、シリカフレーク、ガラスフレークなどが挙げられる。
【0042】
(b)金属微粒子
前記金属微粒子としては、一般に、メタリックインキに用いられているメタリック顔料などが挙げられる。前記メタリック顔料としては、アルミニウム、真鍮、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅やステンレスなどの金属微粒子を挙げることができる。
【0043】
(c)金属薄膜樹脂片
金属薄膜樹脂片(金属薄膜を有するプラスチックフィルムの破片)は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフイルムなどの樹脂製品に、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、銅などの金属を蒸着した後、それを粉砕したもの、或いは、前記樹脂製品に金属蒸着し、さらに着色した後にそれを粉砕したもの、或いは、前記樹脂製品に前記金属からなる膜を付着した後、それを粉砕したもの、或いは、前記樹脂製品に前記金属からなる箔を付着した後、さらに着色した後にそれを粉砕したもの、などが挙げられる。
前記光反射粒子の粒子径は、特に限定されないが、例えば、0.001μm~30μmであり、好ましくは0.01μm~1μmである。前記粒子径の光反射粒子を用いることにより、光反射粒子の粒状感が目立たず、良好な光輝性を発現する。ただし、前記粒子径は、平均粒径であり、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均値(D50)として求めた値をいう。
【0044】
光輝性インキ印刷部51中の光反射粒子の含有量は、特に限定されないが、光輝性インキ印刷部51の全体を100重量%として、例えば、2重量%~50重量%であり、好ましくは、15重量%~45重量%である。
光輝性インキ印刷部51の厚みは、特に限定されず、それぞれ独立して、例えば、0.5μm~10μmであり、好ましくは、1μm~5μmである。
【0045】
非光輝性インキ印刷部61は、非光輝性インキを印刷することによって形成される。例えば、非光輝性インキ印刷部61は、一般的なカラーインキ(非光輝性インキ)を印刷することによって形成される。このカラーインキは、光反射粒子を実質的に含まない。
非光輝性インキ印刷部61は、1色の印刷部から構成されていてもよく、2色以上の印刷部から構成されていてもよい。
また、非光輝性インキ印刷部61は、濃淡のある印刷部であってもよい。濃淡は、1色で濃淡がある場合、及び、2色以上で濃淡がある場合を含む。
好ましくは、非光輝性インキ印刷部61は、濃色印刷部611と、前記透明シート2の上面側から見たときに前記濃色印刷部611よりも淡色である淡色印刷部613と、を有する。なお、非光輝性インキ印刷部61は、2種類の濃淡に限られず、濃さが異なる3つ以上の印刷部を含んでいてもよい。
図2に示す例では、非光輝性インキ印刷部61は、最も濃い濃色印刷部611と、最も淡い淡色印刷部613と、濃色印刷部611と淡色印刷部613の中間的な濃さの中間印刷部612と、を有する。
濃色印刷部611などの非光輝性インキ印刷部61の厚みは、特に限定されず、それぞれ独立して、例えば、0.5μm~10μmであり、好ましくは、1μm~5μmである。
【0046】
光輝性インキ印刷部51及び非光輝性インキ印刷部61は、シート本体31の縦方向及び/又は横方向にそれぞれ独立して並設されていてもよく、或いは、両者が部分的に重なった状態でシート本体31に設けられていてもよい。ただし、光輝性インキ印刷部51の上側に非光輝性インキ印刷部61を重ねると、光輝性インキ印刷部51の光反射が阻害されるおそれがあるので、光輝性インキ印刷部51の上側には非光輝性インキ印刷部61が重なっていないことが好ましい。
また、非光輝性インキ印刷部61が濃さの異なる2つ以上の印刷部を含む場合、互いに濃さの異なる各印刷部は、シート本体31の縦方向及び/又は横方向にそれぞれ独立して並設されていてもよく、或いは、部分的に又は全体的に重なった状態でシート本体31に設けられていてもよい。
【0047】
例えば、
図2は、印刷部が部分的に重なって積層されている領域を有する態様を示している。例えば、光輝性インキ印刷部51及び非光輝性インキ印刷部61が部分的に重なっている領域を有する。詳しくは、淡色印刷部613、中間印刷部612、濃色印刷部611及び光輝性インキ印刷部51から選ばれる少なくとも2つが重なって積層されている領域を有する。
例えば、
図2では、デザインシート3のシート本体31の上面に淡色印刷部613がベタ状に設けられ、その淡色印刷部613の上側に、中間印刷部612、濃色印刷部611及び光輝性インキ印刷部51が設けられている。中間印刷部612、濃色印刷部611及び光輝性インキ印刷部51は、それぞれ独立して、縦方向及び/又は横方向に設けられている箇所もあれば、中間印刷部612、濃色印刷部611及び光輝性インキ印刷部51から選ばれる少なくとも2つの印刷部が部分的に又は全体的に積層されている箇所もある。
【0048】
図3は、
図2と対比して、印刷部の配置が異なる態様を示す。
図3では、淡色印刷部613、中間印刷部612、濃色印刷部611及び光輝性インキ印刷部51は、互いに重なることなく塗り分けられ、それぞれ独立して並設されている。
図4は、
図2及び
図3と対比して、シート本体31の上面の所々(一部分)に、印刷部が設けられていない箇所31aがある。つまり、シート本体31の上面が露出した箇所31aが複数存在している。
図4は、前記のようにシート本体31の上面が露出した箇所31aが存在すること以外は
図2及び
図3と同様である。なお、
図4では、便宜上、印刷部が部分的に重なって積層されている領域を有する態様(
図2の態様)において、前記シート本体31の上面が部分的に露出している場合を示している。
また、
図3及び
図4は、
図2と同様の箇所で切断した拡大断面図である。
【0049】
図9は、淡色印刷部613、中間印刷部612、濃色印刷部611及び光輝性インキ印刷部51が設けられたデザインシート3を有する化粧材1を、その上面側から見たときの参考平面図である。
図9の点線及び矢印は、デザインシート3の各凹凸帯状領域の概念上の境界を表し、さらに、
図9に、各凹凸帯状領域を指し示す符号A乃至Oを付加している。
図9の間隔が狭い斜線であって紙面右上から左下に延びる斜線で表された領域は、透明シート2の上面側から見たときに、光輝性インキ印刷部51に起因する光輝色を視認できる光輝部5である。
図9の間隔が狭い斜線であって紙面左上から右下に延びる斜線で表された領域は、透明シート2の上面側から見たときに、濃色印刷部611に起因する濃色を視認できる非光輝部6である。
図9の間隔が広く且つ細線の斜線であって紙面左上から右下に延びる斜線で表された領域は、透明シート2の上面側から見たときに、中間印刷部612に起因する中間色を視認できる非光輝部6である。
図9の間隔が広く且つ細線の斜線であって紙面右上から左下に延びる斜線で表された領域は、透明シート2の上面側から見たときに、淡色印刷部613に起因する淡色を視認できる非光輝部6である。
図9では、各印刷部によって表されたデザインが不定形柄である場合を表している。つまり、
図9は、形状を特定できないデザインが表された化粧材1を例示している。
なお、
図9は、断面で見ると印刷部が部分的に重なって積層されている領域を有する態様(
図2の態様)であるが、断面においては、
図3や
図4などの態様であってもよい。
【0050】
凹凸との関係では、光輝部5(光輝性インキ印刷部51)は、幾つかの凹凸帯状領域に跨がって配置されている。1つの凹凸帯状領域のみに対して光輝部5(光輝性インキ印刷部51)が設けられている箇所があってもよいが、光輝部5(光輝性インキ印刷部51)は、少なくとも複数の凹凸帯状領域に跨がって設けられる。
【0051】
<透明シート>
透明シート2は、その上面側から下面側を透視できる透明なシートである。透明シート2は、通常、柔軟性を有する透明なシートが用いられる。
ここで、本明細書において、「透明」は、無色透明又は有色透明のいずれでもよい。「透明」は、その対象物(シートが透明か否かを判別する場合には、そのシートが対象物である)の上面側から下面側を視覚的に認識できることをいい、「不透明」は、前記下面側を視認できないことをいう。
透明(無色透明又は有色透明)の指標としては、例えば、全光線透過率などを用いて表すことができる。透明(無色透明又は有色透明)の指標としては、例えば、全光線透過率が70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、透明である対象物(シートである場合にはそのシート自体が測定対象物、印刷部である場合には、全光線透過率が90%以上の合成樹脂製シートに印刷部を設けたものが測定対象)を、JIS K 7361(プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
透明シート2は、無色透明又は有色透明のいずれでもよいが、デザインシート3の色彩をそのまま視認できることから、無色透明なシートが好ましい。
無色透明なシートは、視覚的に色彩を認識できないものをいう。無色透明なシートの指標としては、前記全光線透過率が85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上である。
【0052】
透明シート2としては、通常、合成樹脂製シートが用いられる。透明シート2の材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂;環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。前記合成樹脂製シートは、1つの層で構成されていてもよく、又、異種若しくは同種の複数の層が剥離不能に接合された積層体から構成されていてもよい。比較的安価で且つ加工し易いことから、透明シート2は、塩化ビニル系樹脂を主成分とする合成樹脂製シートを用いることが好ましい。
また、容易に接合させることができることから、透明シート2とデザインシート3は、同じ材質又は同種の材質であることが好ましい。
透明シート2の厚みは、特に限定されず、例えば、0.05mm~2mmであり、好ましくは、0.1mm~0.5mmである。
【0053】
図2を参照して、透明シート2の下面は、凹凸状に形成されている領域を有する。透明シート2の下面は、その全体に亘って凹凸状の領域を有していてもよく、或いは、凹凸状に形成された領域と平坦状に形成された領域とを有していてもよい。
透明シート2の下方には、デザインシート3が積層され、そのデザインシート3の上面には、透明シート2の下面の凹凸に沿った凹凸状の領域が形成される。
透明シート2の下面の凹凸は、デザインシート3の上面の凹凸と略一致するので、透明シート2の下面の凹凸の詳細説明は省略し、デザインシート3の凹凸の説明を援用するものとする。
【0054】
さらに、透明シート2の上面に、無色透明な保護層、無色透明な汚れ防止層などが積層されていてもよい(図示せず)。前記保護層としては、紫外線硬化型樹脂層などの比較的硬質の樹脂層などを用いることができ、汚れ防止層は、フッ素樹脂を含む樹脂層などを用いることができる。前記保護層や汚れ防止層の厚みは、特に限定されず、例えば、2μm~50μmである。
透明シート2の上面(保護層などが設けられている場合には、その保護層などの上面)は、平坦状に形成されている。もっとも、透明シート2の上面に、梨地模様のような微細なエンボス凹凸が施されていてもよい。
【0055】
<基材シート>
基材シート4は、化粧材1の重量及び機械的強度などを成すものである。
基材シート4は、例えば、公知の床材、壁材及び天井材などの化粧材1の中から化粧層を含む表層を除いたものを用いることができる。
基材シート4としては、例えば、樹脂層、ゴム層、布材などが挙げられる。
基材シート4は、樹脂層を有することが好ましく、樹脂層及び繊維補強層を有することがより好ましい。前記樹脂層は、1層構造でもよく、或いは、2層以上の積層構造でもよい。また、前記樹脂層は、非発泡樹脂層でもよく、発泡樹脂層でもよい。なお、樹脂層が2層以上の積層構造である場合、全ての層が非発泡樹脂又は発泡樹脂でもよく、或いは、少なくとも1つの層が非発泡樹脂で且つ少なくとも1つの層が非発泡樹脂でもよい。前記繊維補強層は、1層でもよく、或いは、2層以上であってもよい。繊維補強層は、樹脂層の上面に積層されていてもよく、樹脂層の中間に積層されていてもよく(樹脂層の厚み方向中途部に埋設されていてもよく)、樹脂層の下面に積層されていてもよい。繊維補強層が2層以上である場合、樹脂層の上面、中間及び下面から選ばれる少なくとも2箇所に積層されていてもよい。
樹脂層の形成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂;環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。容易に接合させることができることから、樹脂層の形成材料は、上述のデザインシート3と同じ材質又は同種の材質であることが好ましく、例えば、塩化ビニル系樹脂を主成分とする合成樹脂を用いることが好ましい。
繊維補強層としては、繊維を含んでいれば特に限定されず、不織布、織布などが挙げられる。前記不織布や織布を構成する繊維の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィンなどの合成樹脂繊維;ガラス、カーボンなどの無機繊維;天然繊維などが挙げられる。
基材シート4の厚みは、特に限定されず、例えば、1mm~10mmである。
【0056】
[化粧材の製法]
本発明の化粧材1は、例えば、次のようにして製造できる。
図10を参照して、下面が凹凸面とされた透明シート2Xを準備する。この透明シート2Xの凹凸面の凹凸形状は、上述したデザインシート3の凹凸形状に対応している。つまり、上述のデザインシート3の上面の凹凸は、透明シート2の凹凸面(下面)をエンボス型として形成されるものである。製造時の透明シート2Xの凹凸面と後述するデザインシート3Xの上面の凹凸は、型と形成物の関係にある。透明シート2Xの凹凸面は、例えば、シート状(平板状)の透明シート2Xにエンボス加工を行うことによって形成できる。
他方、デザインが表されたシート状(平板状)のデザインシート3Xを準備する。
図10では、デザインシート3Xは、1枚のシート本体31Xと、そのシート本体31Xの上面に印刷された光輝性インキ印刷部51及び非光輝性インキ印刷部61などの印刷部と、からなる。また、シート状(平板状)の基材シート4Xを準備する。透明シート2X、デザインシート3X及び基材シート4Xとしては、例えば、塩化ビニル系樹脂シートを用いることができる。
下から順に、基材シート4X、デザインシート3X及び透明シート2Xを積層し、この積層物を加熱及び加圧する。加熱加圧により、これらのシート4X,3X,2Xが一体化されることにより化粧材1が製造される。化粧材1の製造には、プレス機、連続ラミネート機などが用いられる。また、基材シート4X、デザインシート3X及び透明シート2Xから選ばれる少なくとも2つのシートを接合するために、それらのシート間に接着剤を用いてもよい。
【0057】
製造に用いられる透明シート2Xの下面は凹凸面であるので、透明シート2Xの下面とデザインシート3Xの上面を合せて加熱加圧した際に、デザインシート3Xの上面が透明シート2Xの凹凸面に追従して凹凸状に変化する。このため、例えば、
図2に示すように、デザインシート3の上面が透明シート2の下面の凹凸面に対応した凹凸状に形成される。つまり、得られた化粧材1のデザインシート3と透明シート2の境界面は凹凸面となっている。
デザインシート3Xは、凹凸面が形成された透明シート2Xと加熱加圧されることにより、その上面が凹凸状に変化するだけでなく、それに追従して下面も凹凸状に変化する(つまり、デザインシート3Xは、全体的に凹凸状に変化する)。このデザインシート3Xの下面と基材シート4Xの上面が合わせられているので、
図2に示すように、基材シート4の上面も凹凸状に形成される。
【0058】
図11で表す製法は、デザインシート3Xが2枚のシート本体311X,312Xによって構成される点が
図10の製法とは異なる。
本例の製造に使用されるデザインシート3Xは、光輝性インキ印刷部51及び非光輝性インキ印刷部61などの印刷部を上面に有する第1デザインシート311Xと、第2シート312Xと、からなる。第1シート311X及び第2シート312Xとしては、例えば、塩化ビニル系樹脂シートを用いることができる。
下から順に、基材シート4X、第2シート312X、第1シート311X及び透明シート2Xを積層し、この積層物を加熱及び加圧する。加熱加圧により、これらのシートが一体化される。第2シート312Xと第1シート311Xが一体化したものが、デザインシート3(2枚以上のシートを接合したシート本体を有するデザインシート3)となる。
得られた化粧材は、上側から順に、透明シート/印刷部/第1シートと第2シートの接合物からなるシート本体/基材層、の層構成を有する。この場合、第1シートとして透明なシート(好ましくは無色透明なシート)を用い、第2シートとして着色シートを用いることにより、印刷部が設けられていない箇所から第2シートの色彩を視認できる。かかる化粧材は、奥行き感のあるデザインを表現できる。
【0059】
[化粧材の視覚的効果]
本発明の化粧材1は、平面視で横方向に対して傾斜されている複数の凸条部7を有する第1凹凸帯状領域と、平面視で前記第1凹凸帯状領域の凸条部7の傾斜角とは異なる角度で横方向に対して傾斜されている複数の凸条部7を有する第2凹凸帯状領域と、を有するデザインシート3が具備されている。
かかる化粧材1を上面側から見たときに、その見る方向によって光沢が変化する。これは、凸条部7は傾斜面によって画成されるが、2つの凹凸帯状領域において凸条部7の傾斜角が異なるので(必然的に、傾斜面の向きも異なるので)、凹凸帯状領域毎に光の反射角度が異なる。その結果、見る方向によって光沢が変化するように見える。
特に、デザインシート3に、キラキラと輝くような外観を生じる光輝性インキ印刷部51が設けられていることにより、見る方向によって顕著に光沢が変化するように見える。
【0060】
[変形例]
上記実施形態では、凸条部7の傾斜角が異なる15個の凹凸帯状領域A乃至Oを有するデザインシート3を例示したが、デザインシート3の上面に、凸条部7の傾斜角が異なる少なくとも2個の凹凸帯状領域を有していればよい。
図12は、凸条部7の傾斜角が異なる2個の凹凸帯状領域P,Qを有するデザインシート3を例示している。
図12は、
図5と同様に凹凸状を有するデザインシートの平面図であって印刷部を除いたシート本体のみを表している(
図13も同様)。
図12を参照して、凸条部7の傾斜角が異なる2個の凹凸帯状領域P,Qを1つのユニットとして、そのユニットが横方向に繰り返して配置されている。また、
図12では、横方向において、繰り返された複数のユニットと、繰り返された複数のユニットとの間に、凹凸を有さない略平坦な領域Y1,Y2が配置されている場合を例示している。
2個の凹凸帯状領域P,Qの幅(横方向長さ)は、同じでもよく、或いは、異なっていてもよい。また、略平坦な領域Y1,Y2の幅(横方向長さ)は、同じでもよく、或いは、異なっていてもよい。また、略平坦な領域Y1,Y2の幅は、凹凸帯状領域P,Qの幅と同じでもよく、或いは、異なっていてもよい。なお、略平坦な領域Y1の数は、1個でもよく、或いは、複数でもよい。
【0061】
図13は、凸条部7の傾斜角が異なる3個の凹凸帯状領域R,S,Tを有するデザインシート3を例示している。
図13を参照して、凸条部7の傾斜角が異なる3個の凹凸帯状領域R,S,Tを1つのユニットとして、そのユニットが横方向に繰り返して配置されている。上記実施形態では、各凹凸帯状領域間に、縦方向に延びる細長い平坦領域を有する場合を例示したが、
図13では、隣接する凹凸帯状領域R,S,Tの凸条部7が繋がっている場合を例示している。
【符号の説明】
【0062】
1 化粧材
2 透明シート
3 デザインシート
4 基材シート
5 光輝部
51 光輝性インキ印刷部
6 非光輝部
61 非光輝性インキ印刷部
611 濃色印刷部
613 淡色印刷部
7 凸条部
A乃至T 凹凸帯状領域