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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】相互作用システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 11/04 20060101AFI20230116BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
B01D11/04 Z
B01J19/00 321
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019200930
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021074648
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(73)【特許権者】
【識別番号】504358148
【氏名又は名称】株式会社コベルコE&M
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】松岡 亮
(72)【発明者】
【氏名】垣尾 剛
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06485613(US,B1)
【文献】特開2014-014729(JP,A)
【文献】特開昭58-139701(JP,A)
【文献】米国特許第04753732(US,A)
【文献】米国特許第02023546(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 11/00-12/00
B01J 10/00-12/02,14/00-19/32
G01N 35/00-37/00
B81B 1/00-7/04
B81C 1/00-99/00
C22B 1/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と第2流体との間で相互作用を生じさせる相互作用システムであって、
前記第1流体を貯留する第1流体タンクと、
前記第2流体を貯留する第2流体タンクと、
前記第1流体と前記第2流体とが互いに接触して相互作用を生じるように前記第1流体及び前記第2流体を流通させる処理流路を内部に有する相互作用部、及び、前記処理流路から排出される前記第1流体と前記第2流体との混合流体を受け入れてその混合流体を滞留させることにより前記第1流体と前記第2流体とに分離させる分離容器をそれぞれ有する複数の処理ユニットであって、前記第2流体タンクから前記第2流体が当該複数の処理ユニットに所定の順番で流れるように構成され、当該複数の処理ユニットのそれぞれの前記分離容器で分離した前記第2流体がその処理ユニットに対して次の順番の処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路へ流入するように当該複数の処理ユニットのそれぞれの前記分離容器と対応する次の順番の処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路とが接続されたものと、
前記第1流体タンクから前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記相互作用部の前記処理流路へ前記第1流体を導く第1流体経路であって前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記相互作用部の前記処理流路に繋がる複数の接続経路部を有するものと、
前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記相互作用部の前記処理流路へそれぞれの処理ユニットから見て前記順番において後の処理ユニットである後段処理ユニットの前記分離容器からその分離容器内で分離した前記第1流体を導く複数の戻し経路と、
前記複数の接続経路部にそれぞれ設けられた複数の第1流体供給切換装置であって、その第1流体供給切換装置が設けられた前記接続経路部と接続された前記処理流路へその接続経路部を通じて前記第1流体タンクから前記第1流体が供給されるのを許容する供給許容状態と、その第1流体の供給を阻止する供給阻止状態とにそれぞれ切り換え可能に構成されたものと、
前記複数の戻し経路にそれぞれ設けられた複数の第1流体戻し切換装置であって、その第1流体戻し切換装置が設けられた前記戻し経路と接続された前記処理流路へその戻し経路を通じて対応する前記後段処理ユニットの前記分離容器から前記第1流体が流れるのを許容する戻し許容状態と、その第1流体の流れを阻止する戻し阻止状態とにそれぞれ切り換え可能に構成されたものと、を備える、相互作用システム。
【請求項2】
前記複数の第1流体供給切換装置をそれぞれ前記供給許容状態と前記供給阻止状態とに切り換える制御と、前記第1流体戻し切換装置をそれぞれ前記戻し許容状態と前記戻し阻止状態とに切り換える制御とを行う制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記後段処理ユニットの前記分離容器内で前記混合流体が前記第1流体と前記第2流体とに分離した後、所定のタイミングで、その後段処理ユニットの分離容器と接続された前記戻し経路に設けられた前記第1流体戻し切換装置を前記戻し阻止状態から前記戻し許容状態に切り換えるとともにその戻し経路に接続された前記処理流路と繋がる前記接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置を前記供給許容状態から前記供給阻止状態に切り換える、請求項1に記載の相互作用システム。
【請求項3】
前記所定のタイミングは、前記後段処理ユニットの前記分離容器内で分離した前記第1流体が前記戻し経路に流れ出たタイミングである、請求項2に記載の相互作用システム。
【請求項4】
前記後段処理ユニットの前記分離容器内で分離した前記第1流体が前記戻し経路に流れ出たことを検知する第1流体流れセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記第1流体流れセンサが前記後段処理ユニットの前記分離容器から前記戻し経路に前記第1流体が流れ出たことを検知したことに応じて、前記第1流体戻し切換装置を前記戻し阻止状態から前記戻し許容状態に切り換えるとともに前記第1流体供給切換装置を前記供給許容状態から前記供給阻止状態に切り換える、請求項3に記載の相互作用システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記相互作用部の前記処理流路へ前記第2流体が供給されるまでその処理流路に繋がる前記接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置を前記供給阻止状態にし、前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記相互作用部の前記処理流路へ前記第2流体が供給されるタイミングでその処理流路に繋がる前記接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置を前記供給阻止状態から前記供給許容状態に切り換える、請求項2~4のいずれか1項に記載の相互作用システム。
【請求項6】
前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記分離容器からその分離容器内で分離した前記第2流体がその処理ユニットの次の順番の処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路へ流れたことを検知する第2流体流れセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記第2流体流れセンサにより前記複数の処理ユニットのうちの任意の処理ユニットの前記分離容器からその分離容器内で分離した前記第2流体が前記次の順番の処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路へ流れたことが検知されたことに応じて、前記次の順番の処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路に繋がる前記接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置を前記供給阻止状態から前記供給許容状態に切り換える、請求項5に記載の相互作用システム。
【請求項7】
前記複数の処理ユニットは、前記順番において最初の前記処理ユニットである初段処理ユニットと、前記順番において最後の前記処理ユニットである最終段処理ユニットと、前記順番において前記初段処理ユニットと前記最終段処理ユニットとの間の前記処理ユニットである中間処理ユニットと、を含み、
前記複数の接続経路部は、前記初段処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路に繋がる初段接続経路部と、前記最終段処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路に繋がる最終段接続経路部と、前記中間処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路に繋がる中間接続経路部と、を含み、
前記中間接続経路部は、前記初段接続経路部と前記最終段接続経路部とを繋ぐ中継配管と、前記中継配管に接続されるとともに前記中間処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路に接続された中間接続配管と、を有し、
前記初段接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置は、前記初段接続経路部のうち前記中継配管が接続された箇所よりも前記第1流体の流路において前記第1流体タンクの箇所に設けられ、前記第1流体タンクから供給されて前記初段接続経路部を通って流れる前記第1流体の流量を制御する第1流量制御弁を有し、
前記最終段接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置は、前記最終段接続経路部のうち前記中継配管が接続された箇所よりも前記第1流体の流路において前記第1流体タンクの箇所に設けられ、前記第1流体タンクから供給されて前記最終段接続経路部を通って流れる前記第1流体の流量を制御する第2流量制御弁を有し、
前記中間接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置は、前記中継配管のうち前記中間接続配管が接続された箇所よりも前記第1流体の流路において前記初段接続経路部の部位である第1部位に設けられ、前記第1流体が前記初段接続経路部から前記第1部位を通って前記中間接続配管へ流れるのを許容する開状態とその第1流体の流れを阻止する閉状態とに切り換え可能に構成された第1開閉弁と、前記中継配管のうち前記中間接続配管が接続された箇所よりも前記第1流体の流路において前記最終段接続経路部の部位である第2部位に設けられ、前記第1流体が前記最終段接続経路部から前記第2部位を通って前記中間接続配管へ流れるのを許容する開状態とその第1流体の流れを阻止する閉状態とに切り換え可能に構成された第2開閉弁と、を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の相互作用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の流体の間で相互作用を生じさせるための相互作用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の流体の間で相互作用を生じさせるための相互作用システムが知られている。この従来の相互作用システムは、流体同士の相互作用をそれぞれ生じさせる複数段の相互作用部を備えている。下記特許文献1には、このような相互作用システムの一例として、原料流体から特定成分を抽出して抽出剤中に移動させる抽出処理をそれぞれ行う複数段の抽出部を備えた抽出装置が開示されている。
【0003】
具体的に、下記特許文献1には、原料流体が順次流れるように直列に接続された複数段の抽出部を備えた抽出装置であって、前記複数段の抽出部に対して原料流体が順番に流れる向きと逆向きに抽出剤が流れるように構成されたものが開示されている。
【0004】
この抽出装置では、前記複数段の抽出部は、それぞれ、複数の流路を内部に有する流路構造体を備えている。前記複数の流路は、それぞれ、抽出剤と原料流体を互いに接触した状態で流通させ、その流通過程で原料流体から特定成分が抽出されて抽出剤中へ移動するように構成されている。前記流路構造体の外面には、排出ヘッダが取り付けられ、前記複数の流路のそれぞれの出口が排出ヘッダの内部空間に連通している。これにより、各流路を通って流れた抽出剤と原料流体の混合流体が当該各流路の出口から排出ヘッダの内部空間へ排出され、その内部空間において混合流体が比重差により抽出剤と原料流体とに分離するようになっている。
【0005】
各段の抽出部の排出ヘッダのうち分離した原料流体が溜まる部分は、配管を介して次段の抽出部の流路に繋がっている。これにより、排出ヘッダ内で分離した原料流体が次段の抽出部の流路へ流れる。また、各段の抽出部の排出ヘッダのうち分離した抽出剤が溜まる部分は、配管を介して前段の抽出部の流路に繋がっている。これにより、排出ヘッダ内で分離した抽出剤が前段の抽出部の流路へ流れる。そして、原料流体からの前記特定成分の抽出は、原料流体の流れ方向において下流側の抽出部へ向かうにつれて進行するようになっている。このため、下流側の抽出部へ向かうにつれて、流路を流れる原料流体中の前記特定成分の濃度が低下する。一方、抽出剤中の前記特定成分の濃度は、上流側の抽出部へ向かうにつれて上昇する。従って、複数段の抽出部全体において、流路を流れる原料流体と抽出剤との間の前記特定成分の濃度差を大きく確保することができ、その結果、効率的な抽出処理が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5988504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された抽出装置では、当該抽出装置を、複数段の抽出部のいずれの流路にも未だ抽出剤及び原料流体が流入していない稼働停止状態からその複数段の抽出部に対して原料流体が順番に流れる向きと逆向きに抽出剤が流れて当該複数段の抽出部のそれぞれの流路において抽出剤と原料流体とによる抽出処理が行われる定常状態に立ち上げるまでにかかる立ち上げ時間が長くなる側面がある。
【0008】
具体的には、特許文献1に開示された抽出装置では、当該抽出装置が備える複数段の抽出部に抽出剤と原料流体とが互いに逆の順番で流れるため、例えば、その複数段の抽出部への抽出剤の供給と原料流体の供給とを同時に開始した場合には、原料流体が複数段の抽出部のうちの途中の段の抽出部に至るまで抽出剤と接触せず、抽出処理が不十分な原料流体が抽出装置から排出されることになる。このような事態を避けるため、特許文献1に開示された抽出装置では、まず、抽出剤を複数段の抽出部へ供給してそれらの全て抽出部の流路に抽出剤が流れている状態にし、その後、それらの抽出部の流路に原料流体を順番に流す必要があるが、この場合には、抽出剤が全ての抽出部の流路に流れるのを待つ必要があり、抽出装置が前記定常状態に立ち上がるまでの立ち上げ時間が長くなる。
【0009】
本発明の目的は、複数の処理ユニットの相互作用部に対して第2流体が順番に流れる向きと逆向きに第1流体が流れるとともにその複数の処理ユニットのそれぞれの相互作用部の処理流路において第1流体と第2流体とが流れながら相互作用を生じる定常状態に達するまでの立ち上げ時間を短縮可能な相互作用システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により提供される相互作用システムは、第1流体と第2流体との間で相互作用を生じさせる相互作用システムである。この相互作用システムは、前記第1流体を貯留する第1流体タンクと、前記第2流体を貯留する第2流体タンクと、前記第1流体と前記第2流体とが互いに接触して相互作用を生じるように前記第1流体及び前記第2流体を流通させる処理流路を内部に有する相互作用部、及び、前記処理流路から排出される前記第1流体と前記第2流体との混合流体を受け入れてその混合流体を滞留させることにより前記第1流体と前記第2流体とに分離させる分離容器をそれぞれ有する複数の処理ユニットであって、前記第2流体タンクから前記第2流体が当該複数の処理ユニットに所定の順番で流れるように構成され、当該複数の処理ユニットのそれぞれの前記分離容器で分離した前記第2流体がその処理ユニットに対して次の順番の処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路へ流入するように当該複数の処理ユニットのそれぞれの前記分離容器と対応する次の順番の処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路とが接続されたものと、前記第1流体タンクから前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記相互作用部の前記処理流路へ前記第1流体を導く第1流体経路であって前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記相互作用部の前記処理流路に繋がる複数の接続経路部を有するものと、前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記相互作用部の前記処理流路へその複数の処理ユニットのそれぞれに対応し且つ前記順番において後の処理ユニットである複数の後段処理ユニットの前記分離容器からその分離容器内で分離した前記第1流体を導く複数の戻し経路と、前記複数の接続経路部にそれぞれ設けられた複数の第1流体供給切換装置であって、その第1流体供給切換装置が設けられた前記接続経路部と接続された前記処理流路へその接続経路部を通じて前記第1流体タンクから前記第1流体が供給されるのを許容する供給許容状態と、その第1流体の供給を阻止する供給阻止状態とにそれぞれ切り換え可能に構成されたものと、前記複数の戻し経路にそれぞれ設けられた複数の第1流体戻し切換装置であって、その第1流体戻し切換装置が設けられた前記戻し経路と接続された前記処理流路へその戻し経路を通じて対応する前記後段処理ユニットの前記分離容器から前記第1流体が流れるのを許容する戻し許容状態と、その第1流体の流れを阻止する戻し阻止状態とにそれぞれ切り換え可能に構成されたものと、を備える。
【0011】
この相互作用システムでは、複数の処理ユニットのいずれの相互作用部の処理流路にも第1流体及び第2流体が流入していない稼働停止状態から複数の処理ユニットの相互作用部に対して第2流体が順番に流れる向きと逆向きに第1流体が流れるとともにその複数の処理ユニットのそれぞれの相互作用部の処理流路において第1流体と第2流体とが流れながら相互作用を生じる定常状態に立ち上げる過程で、第2流体タンクから第2流体が複数の処理ユニットに順番に流れる際、第2流体が流れ込んだ処理ユニットの相互作用部の処理流路へその第2流体が流れ込んだ時点で第1流体タンクから第1流体を供給してその処理流路において第1流体と第2流体との相互作用を生じさせることができる。このため、立ち上げの初期段階で従来のように複数の処理ユニットの全ての相互作用部の処理流路に第1流体が流れるのを待つ必要がなく、前記定常状態に立ち上がるまでの立ち上げ時間を短縮することができる。
【0012】
具体的に、この相互作用システムは、第1流体タンクから複数の処理ユニットのそれぞれの相互作用部の処理流路へ第1流体を導く第1流体経路であって複数の処理ユニットのそれぞれの相互作用部の処理流路に繋がる複数の接続経路部を有するものと、複数の接続経路部にそれぞれ設けられた複数の第1流体供給切換装置であって、その第1流体供給切換装置が設けられた接続経路部と接続された処理流路へその接続経路部を通じて第1流体タンクから第1流体が供給されるのを許容する供給許容状態と、その第1流体の供給を阻止する供給阻止状態とにそれぞれ切り換え可能に構成されたものとを備えるため、当該相互作用システムを立ち上げる過程で第2流体が複数の処理ユニットに順番に流れる際、第2流体が流れ込む処理ユニットの処理流路に繋がる接続経路部に設けられた第1流体供給切換装置を供給阻止状態から供給許容状態に切り換えることにより、その処理流路へ第1流体タンクから第1流体を供給することができる。このため、複数の処理ユニットのそれぞれの相互作用部の処理流路へ第2流体が順次流れ込んだ時点でその処理流路において第1流体と第2流体との相互作用を生じさせることができる。そして、この相互作用システムは、複数の処理ユニットのそれぞれの相互作用部の処理流路へその複数の処理ユニットのそれぞれに対応し且つ複数の後段処理ユニットの分離容器からその分離容器内で分離した第1流体を導く複数の戻し経路と、その複数の戻し経路にそれぞれ設けられた複数の第1流体戻し切換装置であって、その第1流体戻し切換装置が設けられた戻し経路と接続された処理流路へその戻し経路を通じて対応する後段処理ユニットの分離容器から第1流体が流れるのを許容する戻し許容状態と、その第1流体の流れを阻止する戻し阻止状態とにそれぞれ切り換え可能に構成されたものとを備えるため、各後段処理ユニットの分離容器においてその後段処理ユニットの相互作用部の処理流路から排出されて当該分離容器内に導入された混合流体が第1流体と第2流体とに分離した後、その各後段処理ユニットの分離容器に繋がる各戻し経路に設けられた各第1流体戻し切換装置を戻し阻止状態から戻し許容状態に順次切り換えるとともに対応する第1流体供給切換装置を供給許容状態から供給阻止状態に切り換えることにより、各後段処理ユニットの分離容器内で分離した第1流体を対応する処理ユニットの相互作用部の処理流路へ第1流体タンクからの第1流体に代えて供給することができる。これにより、相互作用システムを、複数の処理ユニットの相互作用部に対して第2流体が順番に流れる向きと逆向きに第1流体が流れるとともにその複数の処理ユニットのそれぞれの相互作用部の処理流路において第1流体と第2流体とが流れながら相互作用を生じる定常状態に移行させることができる。従って、この相互作用システムでは、前記定常状態に立ち上げる際に、従来必要であった複数の処理ユニットの全ての相互作用部の処理流路に第1流体が流れるのを待つ時間が不要となり、前記定常状態に達するまでの立ち上げ時間を短縮することができる。
【0013】
相互作用システムは、前記複数の第1流体供給切換装置をそれぞれ前記供給許容状態と前記供給阻止状態とに切り換える制御と、前記第1流体戻し切換装置をそれぞれ前記戻し許容状態と前記戻し阻止状態とに切り換える制御とを行う制御部をさらに備え、前記制御部は、前記後段処理ユニットの前記分離容器内で前記混合流体が前記第1流体と前記第2流体とに分離した後、所定のタイミングで、その後段処理ユニットの分離容器と接続された前記戻し経路に設けられた前記第1流体戻し切換装置を前記戻し阻止状態から前記戻し許容状態に切り換えるとともにその戻し経路に接続された前記処理流路と繋がる前記接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置を前記供給許容状態から前記供給阻止状態に切り換えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、後段処理ユニットの分離容器内で混合流体が第1流体と第2流体とに分離した後、所定のタイミングで、後段処理ユニットの分離容器と接続された戻し経路に設けられた第1流体戻し切換装置を戻し阻止状態から戻し許容状態に自動的に切り換えるとともにその戻し経路に接続された処理流路と繋がる接続経路部に設けられた第1流体供給切換装置を供給許容状態から供給阻止状態に自動的に切り換えることができる。
【0015】
前記所定のタイミングは、前記後段処理ユニットの前記分離容器内で分離した前記第1流体が前記戻し経路に流れ出たタイミングであることが好ましい。
【0016】
こうすれば、後段処理ユニットの分離容器内で分離した第1流体が戻し経路に流れ出た時点で、遅滞なく、その戻し経路に設けられた第1流体戻し切換装置を戻し阻止状態から戻し許容状態に切り換えるとともにその戻し経路に接続された処理流路と繋がる接続経路部に設けられた第1流体供給切換装置を供給許容状態から供給阻止状態に切り換えて、後段処理ユニットの分離容器から戻し経路に流れ出た第1流体をその戻し経路に接続された前の順番の処理ユニットの処理流路へ供給することができる。このため、相互作用システムの立ち上げ時間をより短縮できる。
【0017】
この場合において、相互作用システムは、前記後段処理ユニットの前記分離容器内で分離した前記第1流体が前記戻し経路に流れ出たことを検知する第1流体流れセンサをさらに備え、前記制御部は、前記第1流体流れセンサが前記後段処理ユニットの前記分離容器から前記戻し経路に前記第1流体が流れ出たことを検知したことに応じて、前記第1流体戻し切換装置を前記戻し阻止状態から前記戻し許容状態に切り換えるとともに前記第1流体供給切換装置を前記供給許容状態から前記供給阻止状態に切り換えることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、後段処理ユニットの分離容器内で分離した第1流体が戻し経路に流れ出たことに的確に応じて、その戻し経路へ流れ出た第1流体をその戻し経路と接続された前の順番の処理ユニットの処理流路へ供給することができる。
【0019】
前記制御部は、前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記相互作用部の前記処理流路へ前記第2流体が供給されるまでその処理流路に繋がる前記接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置を前記供給阻止状態にし、前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記相互作用部の前記処理流路へ前記第2流体が供給されるタイミングでその処理流路に繋がる前記接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置を前記供給阻止状態から前記供給許容状態に切り換えることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、各処理ユニットの相互作用部の処理流路へ第2流体が供給されるときに、遅滞なく、対応する第1流体供給切換装置を供給阻止状態から供給許容状態に切り換えて、その第2流体が供給される処理ユニットの相互作用部の処理流路へ第1流体タンクから第1流体を供給することができる。
【0021】
この場合において、相互作用システムは、前記複数の処理ユニットのそれぞれの前記分離容器からその分離容器内で分離した前記第2流体がその処理ユニットの次の順番の処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路へ流れたことを検知する第2流体流れセンサをさらに備え、前記制御部は、前記第2流体流れセンサにより前記複数の処理ユニットのうちの任意の処理ユニットの前記分離容器からその分離容器内で分離した前記第2流体が前記次の順番の処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路へ流れたことが検知されたことに応じて、前記次の順番の処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路に繋がる前記接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置を前記供給阻止状態から前記供給許容状態に切り換えることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、複数の処理ユニットのそれぞれの分離容器からその分離容器内で分離した第2流体が対応する次の順番の処理ユニットの相互作用部の処理流路へ流れたことに的確に応じて、前記次の順番の処理ユニットの相互作用部の処理流路へ第1流体タンクから第1流体を供給することができる。
【0023】
前記複数の処理ユニットは、前記順番において最初の前記処理ユニットである初段処理ユニットと、前記順番において最後の前記処理ユニットである最終段処理ユニットと、前記順番において前記初段処理ユニットと前記最終段処理ユニットとの間の前記処理ユニットである中間処理ユニットと、を含み、前記複数の接続経路部は、前記初段処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路に繋がる初段接続経路部と、前記最終段処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路に繋がる最終段接続経路部と、前記中間処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路に繋がる中間接続経路部と、を含み、前記中間接続経路部は、前記初段接続経路部と前記最終段接続経路部とを繋ぐ中継配管と、前記中継配管に接続されるとともに前記中間処理ユニットの前記相互作用部の前記処理流路に接続された中間接続配管と、を有し、前記初段接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置は、前記初段接続経路部のうち前記中継配管が接続された箇所よりも前記第1流体タンク寄りの箇所に設けられ、前記第1流体タンクから供給されて前記初段接続経路部を通って流れる前記第1流体の流量を制御する第1流量制御弁を有し、前記最終段接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置は、前記最終段接続経路部のうち前記中継配管が接続された箇所よりも前記第1流体タンク寄りの箇所に設けられ、前記第1流体タンクから供給されて前記最終段接続経路部を通って流れる前記第1流体の流量を制御する第2流量制御弁を有し、前記中間接続経路部に設けられた前記第1流体供給切換装置は、前記中継配管のうち前記中間接続配管が接続された箇所に対して前記初段接続経路部寄りの部位である第1部位に設けられ、前記第1流体が前記初段接続経路部から前記第1部位を通って前記中間接続配管へ流れるのを許容する開状態とその第1流体の流れを阻止する閉状態とに切り換え可能に構成された第1開閉弁と、前記中継配管のうち前記中間接続配管が接続された箇所に対して前記最終段接続経路部寄りの部位である第2部位に設けられ、前記第1流体が前記最終段接続経路部から前記第2部位を通って前記中間接続配管へ流れるのを許容する開状態とその第1流体の流れを阻止する閉状態とに切り換え可能に構成された第2開閉弁と、を有することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、相互作用システムの立ち上げ時に第1流体タンクから複数の処理ユニットの相互作用部の処理流路へそれぞれ供給される第1流体の流量を個別に制御できるようにしつつ、相互作用部の数に対する流量制御弁の数を削減して相互作用システムの製造コストを抑制することができる。
【0025】
具体的に、本構成では、第1流体タンクから初段処理ユニットの相互作用部の処理流路へ供給される第1流体の流量は第1流量制御弁によって制御することができ、第1流体タンクから最終段処理ユニットの相互作用部の処理流路へ供給される第1流体の流量は第2流量制御弁によって制御することができる。そして、複数の処理ユニットのうち初段処理ユニットと最終段処理ユニットとの間の順番の中間処理ユニットの相互作用部の処理流路へ第1流体タンクから供給される第1流体の流量は、第1流量制御弁と第2流量制御弁とのいずれか一方を利用して制御することができる。具体的には、第1開閉弁を開状態にするとともに第2開閉弁を閉状態にすれば、第1流体タンクから中間処理ユニットの相互作用部の処理流路へ第1流体が流れる経路が、初段接続経路部から中継配管の第1部位と中間接続配管とを通る経路、すなわち第1流量制御弁を通る経路になり、その第1流量制御弁を利用して中間処理ユニットの相互作用部の処理流路へ第1流体タンクから供給される第1流体の流量を制御することができる。また、第1開閉弁を閉状態にするとともに第2開閉弁を開状態にすれば、第1流体タンクから中間処理ユニットの相互作用部の処理流路へ第1流体が流れる経路が、最終段接続経路部から中継配管の第2部位と中間接続配管とを通る経路、すなわち第2流量制御弁を通る経路になり、その第2流量制御弁を利用して中間処理ユニットの相互作用部の処理流路へ第1流体タンクから供給される第1流体の流量を制御することができる。よって、本構成では、相互作用システムの立ち上げ時に第1流体タンクから複数の処理ユニットの相互作用部の処理流路へそれぞれ供給される第1流体の流量を個別に制御でき、しかも、相互作用部の数に対する流量制御弁の数を削減することができる。ただし、流量制御弁の数を削減できる代わりに第1開閉弁及び第2開閉弁が必要となるが、流量制御弁は開閉弁に比べて著しく高価であるため、流量制御弁の数の削減によるコスト低減の効果が大きく、相互作用システムの製造コストを抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、複数の処理ユニットの相互作用部に対して第2流体が順番に流れる向きと逆向きに第1流体が流れるとともにその複数の処理ユニットのそれぞれの相互作用部の処理流路に第1流体と第2流体とが流れながら相互作用を生じる定常状態に達するまでの立ち上げ時間を短縮可能な相互作用システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態による相互作用システムの模式図である。
図2】本発明の第1実施形態による相互作用システムの制御ブロック図である。
図3】第1実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図4】第1実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図5】第1実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図6】第1実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図7】第1実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図8】第1実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図9】本発明の第2実施形態による相互作用システムの模式図である。
図10】本発明の第2実施形態による相互作用システムの制御ブロック図である。
図11】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図12】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図13】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図14】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図15】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図16】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図17】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図18】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図19】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図20】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図21】第2実施形態による相互作用システムの立ち上げプロセスを説明するための図である。
図22】本発明の第2実施形態の一変形例による相互作用システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態による相互作用システム1の全体構成が示されている。また、図2は、本発明の第1実施形態による相互作用システム1の制御ブロック図である。この第1実施形態による相互作用システム1は、相互作用の一例として、原料液から特定成分を抽出して抽出剤中に移動させる抽出処理を行うものである。抽出剤は、本発明における第1流体の一例であり、原料液は、本発明における第2流体の一例である。抽出剤は、原料液に対して非相溶性の液体である。この第1実施形態で用いられる抽出剤の比重は、原料液の比重よりも小さい。
【0030】
抽出処理としては様々な例があり、その抽出処理の例ごとに原料液と抽出剤との組み合わせも様々である。例えば、抽出処理の一例として、有価金属が溶解した水溶液から特定の金属成分を抽出して分離する処理がある。このような処理では、有価金属が溶解している水溶液が原料液であり、そのような水溶液の一例としてNi及びCo等のレアメタルが溶解している水溶液が挙げられる。この水溶液からNi及びCo等のレアメタルを抽出するための抽出剤としては、例えば、大八化学工業株式会社製のPC88Aをケロシンで希釈した液が用いられる。また、抽出処理の別の例として、ポリマー合成反応後の液中に合成用触媒として溶存している金属成分をその液から抽出して分離除去する処理がある。この処理では、ポリマー合成反応後の液が原料液であり、その液から特定成分としての金属成分を抽出するための抽出剤として例えば水が用いられる。
【0031】
この第1実施形態による相互作用システム1は、図1に示すように、抽出剤タンク2と、原料タンク3と、第1処理ユニット4と、第2処理ユニット5と、第3処理ユニット6と、第1レベル計13と、第2レベル計14と、第3レベル計15と、原料供給ポンプ18と、抽出剤供給ポンプ19と、第1戻しポンプ21と、第2戻しポンプ22と、を備える。また、相互作用システム1は、原料供給流量制御弁24と、第1送り切換弁26と、第2送り切換弁27と、原料排出切換弁29と、第1圧力調整弁30と、第1原料流れセンサ32と、第2原料流れセンサ33と、第1供給切換装置37と、第2供給切換装置41と、第3供給切換装置42と、第1戻し切換装置44と、第2戻し切換装置47と、抽出剤排出流量制御弁48と、第2圧力調整弁49と、第1排出切換弁50と、第2排出切換弁51と、第1抽出剤流れセンサ53と、第2抽出剤流れセンサ54と、制御部55と、を備える。さらに、相互作用システム1は、原料供給配管56と、第1送り配管58と、第2送り配管60と、原料排出配管62と、抽出剤供給経路64と、第1戻し配管66と、第2戻し配管67と、抽出剤排出配管68と、第1逃し配管69と、第2逃し配管70と、を備える。
【0032】
抽出剤タンク2は、抽出剤を貯留するものであり、具体的には抽出処理に未だ使用されていない抽出剤を貯留する。この抽出剤タンク2は、本発明における第1流体タンクの一例である。
【0033】
原料タンク3は、原料液を貯留するものであり、具体的には未だ抽出処理が行われていない原料液を貯留する。この原料タンク3は、本発明における第2流体タンクの一例である。
【0034】
第1処理ユニット4、第2処理ユニット5及び第3処理ユニット6は、それぞれ、抽出剤と原料液とによる抽出処理、及び、その抽出処理後の抽出剤と原料液との混合流体を抽出剤と原料液とに分離する分離処理を行うものである。この第1~第3処理ユニット4,5,6は、本発明における複数の処理ユニットの一例である。第1処理ユニット4、第2処理ユニット5及び第3処理ユニット6は、この順番で原料タンク3から原料液が順次流れるように構成されている。
【0035】
第1処理ユニット4は、第1相互作用部7と、第1分離容器10と、第1接続配管57とを有する。
【0036】
第1相互作用部7は、抽出剤と原料液とによる抽出処理が行われる部分である。第1相互作用部7は、内部に多数の処理流路72を有する。各処理流路72は、抽出剤と原料液とが互いに接触して原料液から特定成分が抽出されて抽出剤中へ移動するようにその抽出剤及び原料液を流通させる。なお、各図において、第1相互作用部7内の多数の処理流路72は簡素化して1つの流路で表されており、その流路形状も単純化して表されている。また、後述の第2相互作用部8内の多数の処理流路72及び第3相互作用部9内の多数の処理流路72も同様に表されている。各相互作用部7,8,9内に設けられる処理流路72の数及び配置、各処理流路72の形状については、相互作用処理(抽出処理)の条件に応じて任意に設定される。
【0037】
各処理流路72は、いわゆるマイクロチャネル(微細流路)である。各処理流路72は、抽出剤が導入される第1導入路74と、原料液が導入される第2導入路76と、第1導入路74から抽出剤が流れ込むとともに第2導入路76から原料液が流れ込むようにそれらの第1及び第2導入路74,76の下流側の端部に繋がり、第1導入路74から流れ込んだ抽出剤と第2導入路76から流れ込んだ原料液とが互いに接触した状態で流れて前記抽出処理が行われる処理流路部78とを有する。
【0038】
また、第1相互作用部7は、第1入口82と、第2入口83と、出口84とを有する。
【0039】
第1入口82は、第1相互作用部7の全ての処理流路72の第1導入路74と繋がっている。この第1入口82は、抽出剤を受け入れる部分であり、当該第1入口82を通った抽出剤がその第1入口82に繋がる各第1導入路74へ分配されて流れるようになっている。
【0040】
第2入口83は、第1相互作用部7において全ての処理流路72の第2導入路76と繋がっている。この第2入口83は、原料液を受け入れる部分であり、当該第2入口83を通った原料液がその第2入口83に繋がる各第2導入路76へ分配されて流れるようになっている。
【0041】
出口84は、第1相互作用部7において全ての処理流路72の処理流路部78の下流側の端部と繋がっている。この出口84は、第1相互作用部7の処理流路部78を流れた抽出処理後の抽出剤と原料液とを第1相互作用部7の外部へ流出させる部分である。
【0042】
また、第1相互作用部7の第2入口83は、原料供給配管56を介して原料タンク3に接続されている。換言すれば、第1相互作用部7の処理流路72は、原料供給配管56を介して原料タンク3に繋がっている。原料供給配管56には、原料供給ポンプ18が設けられている。この原料供給ポンプ18により、原料タンク3に貯留された原料液が原料供給配管56を通じて第1相互作用部7の第2入口83へ送られるようになっている。
【0043】
原料供給配管56のうち原料供給ポンプ18よりも下流側(第2入口83寄り)の箇所には、原料供給流量制御弁24が設けられている。原料供給流量制御弁24は、第1相互作用部7の第2入口83へ供給される原料液の流量、すなわち原料供給ポンプ18によって第2入口83へ送られる原料液の流量を制御するものである。
【0044】
また、第1相互作用部7の第1入口82は、抽出剤供給経路64を介して抽出剤タンク2と接続されている。換言すれば、第1相互作用部7の処理流路72は、抽出剤供給経路64を介して抽出剤タンク2に繋がっている。
【0045】
第1分離容器10は、第1相互作用部7の各処理流路72の処理流路部78から流れ出た抽出処理後の抽出剤と原料液との混合流体、すなわち第1相互作用部7の出口84から排出される混合流体を受け入れるようにその出口84に接続されている。この第1分離容器10は、受け入れた混合流体を滞留させることにより、当該混合流体を比重差で抽出剤と原料液とに分離させる。
【0046】
具体的に、第1分離容器10は、第1相互作用部7の出口84に第1接続配管57を介して接続され、その出口84から排出された前記混合流体を、第1接続配管57を通じて受け入れる。第1分離容器10内の空間において、前記混合流体は軽液(抽出剤)と重液(原料液)とに上下に分離する。分離した重液(原料液)は第1分離容器10内の底に溜まり、その溜まった重液の上に分離した軽液(抽出剤)が溜まる。第1分離容器10内に溜まった重液と軽液との間には、界面が形成される。
【0047】
第1分離容器10には、第1レベル計13が取り付けられている。第1レベル計13は、第1分離容器10内に溜まった重液と軽液との間の界面の高さ位置を検出する。第1レベル計13は、検出した界面の高さ位置の情報を制御部55(図2参照)へ送信する。
【0048】
第1分離容器10のうち分離した抽出剤(軽液)が溜まる領域には、抽出剤排出配管68が接続されている。この抽出剤排出配管68には、抽出剤排出流量制御弁48と、第2圧力調整弁49とが設けられている。抽出剤排出流量制御弁48は、第1分離容器10から抽出剤排出配管68を通じて排出される抽出剤の流量を制御するものである。第2圧力調整弁49は、相互作用システム1内の圧力を所定の圧力に保持する。
【0049】
第2処理ユニット5は、第2相互作用部8と、第2分離容器11と、第2接続配管59とを有する。
【0050】
第2相互作用部8は、第1相互作用部7と同様のものであり、第1相互作用部7の多数の処理流路72と同様の多数の処理流路72を内部に有する。第2相互作用部8は、第1相互作用部7の第1入口82、第2入口83及び出口84と同様の第1入口85、第2入口86及び出口87を有する。
【0051】
第2相互作用部8の処理流路72は、第1処理ユニット4の第1分離容器10内で分離した原料液が第1処理ユニット4の次の順番の処理ユニットである第2処理ユニット5の当該第2相互作用部8の処理流路72へ流入するように、第1分離容器10のうち分離した原料液(重液)が溜まる領域と第1送り配管58を介して接続されている。具体的には、第2相互作用部8の第2入口86が第1送り配管58を介して第1分離容器10のうち分離した原料液が溜まる領域に接続されていて、前記分離した原料液が、第1分離容器10から第1送り配管58を通って第2入口86へ供給され、その第2入口86から第2相互作用部8の各処理流路72の第2導入路76へ流入するようになっている。
【0052】
第1送り配管58には、第1送り切換弁26が設けられている。この第1送り切換弁26は、第1分離容器10で分離した原料液が第1送り配管58を通じて第2相互作用部8の処理流路72へ供給されるのを許容する開状態とその供給を阻止する閉状態とに切り換え可能となっている。
【0053】
第1送り配管58のうち第1送り切換弁26よりも下流側の箇所には、第1原料流れセンサ32が接続されている。この第1原料流れセンサ32は、本発明における第2流体流れセンサの一例である。この第1原料流れセンサ32は、第1処理ユニット4の第1分離容器10からその第1分離容器10内で分離した原料液が当該第1処理ユニット4の次の順番の処理ユニットである第2処理ユニット5の第2相互作用部8の処理流路72へ第1送り配管58を通って流れたことを検知する。第1原料流れセンサ32は、第1分離容器10から第1送り配管58を通じて第2相互作用部8の処理流路72へ原料液が流れたことを検知したときには、検知信号を制御部55(図2参照)へ送信する。
【0054】
また、第2相互作用部8の第1入口85は、抽出剤供給経路64を介して抽出剤タンク2と接続されている。換言すれば、第2相互作用部8の処理流路72は、抽出剤供給経路64を介して抽出剤タンク2に繋がっている。
【0055】
第2分離容器11は、第2相互作用部8の各処理流路72の処理流路部78から流れ出た抽出処理後の抽出剤と原料液との混合流体、すなわち第2相互作用部8の出口87から排出される混合流体を受け入れるようにその出口87に第2接続配管59を介して接続されている。この第2分離容器11は、第1分離容器10と同様のものであり、第2接続配管59を通じて受け入れた混合流体を滞留させることにより、その混合流体を比重差で抽出剤(軽液)と原料液(重液)とに上下に分離させる。
【0056】
第2分離容器11には、第2レベル計14が取り付けられている。第2レベル計14は、第1レベル計13と同様のものであり、第2分離容器11内に溜まった重液と軽液との間の界面の高さ位置を検出する。第2レベル計14は、検出した界面の高さ位置の情報を制御部55(図2参照)へ送信する。
【0057】
第3処理ユニット6は、第3相互作用部9と、第3分離容器12と、第3接続配管61とを有する。
【0058】
第3相互作用部9は、第1相互作用部7と同様のものであり、第1相互作用部7の多数の処理流路72と同様の多数の処理流路72を内部に有する。第3相互作用部9は、第1相互作用部7の第1入口82、第2入口83及び出口84と同様の第1入口88、第2入口89及び出口90を有する。
【0059】
第3相互作用部9の処理流路72は、第2処理ユニット5の第2分離容器11内で分離した原料液が第2処理ユニット5の次の順番の処理ユニットである第3処理ユニット6の当該第3相互作用部9の処理流路72へ流入するように、第2分離容器11のうち分離した原料液(重液)が溜まる領域と第2送り配管60を介して接続されている。具体的には、第3相互作用部9の第2入口89が第2送り配管60を介して第2分離容器11のうち分離した原料液が溜まる領域に接続されていて、前記分離した原料液が、第2分離容器11から第2送り配管60を通って第2入口89へ供給され、その第2入口89から第3相互作用部9の各処理流路72の第2導入路76へ流入するようになっている。
【0060】
第2送り配管60には、第2送り切換弁27が設けられている。この第2送り切換弁27は、第2分離容器11で分離した原料液が第2送り配管60を通じて第3相互作用部9の処理流路72へ供給されるのを許容する開状態とその供給を阻止する閉状態とに切り換え可能となっている。
【0061】
第2送り配管60のうち第2送り切換弁27よりも下流側の箇所には、第2原料流れセンサ33が接続されている。この第2原料流れセンサ33は、本発明における第2流体流れセンサの一例である。この第2原料流れセンサ33は、第2処理ユニット5の第2分離容器11からその第2分離容器11内で分離した原料液が当該第2処理ユニット5の次の順番の処理ユニットである第3処理ユニット6の第3相互作用部9の処理流路72へ第2送り配管60を通って流れたことを検知する。第2原料流れセンサ33は、第2分離容器11から第2送り配管60を通じて第3相互作用部9の処理流路72へ原料液が流れたことを検知したときには、検知信号を制御部55(図2参照)へ送信する。
【0062】
第3分離容器12は、第3相互作用部9の各処理流路72の処理流路部78から流れ出た抽出処理後の抽出剤と原料液との混合流体、すなわち第3相互作用部9の出口90から排出される混合流体を受け入れるようにその出口90に第3接続配管61を介して接続されている。この第3分離容器12は、第1分離容器10と同様のものであり、第3接続配管61を通じて受け入れた混合流体を滞留させることにより、その混合流体を比重差で抽出剤(軽液)と原料液(重液)とに上下に分離させる。
【0063】
第3分離容器12には、第3レベル計15が取り付けられている。第3レベル計15は、第1及び第2レベル計13,14と同様のものであり、第3分離容器12内に溜まった重液と軽液との間の界面の高さ位置を検出する。第3レベル計15は、検出した界面の高さ位置の情報を制御部55(図2参照)へ送信する。
【0064】
第3分離容器12のうち分離した原料液(重液)が溜まる領域には、原料排出配管62が接続されている。原料排出配管62には、原料排出切換弁29と、第1圧力調整弁30とが設けられている。原料排出切換弁29は、第3分離容器12から原料排出配管62を通じて原料液が排出されるのを許容する開状態とその排出を阻止する閉状態とに切り換え可能となっている。第1圧力調整弁30は、相互作用システム1内の圧力を所定の圧力に保持する。
【0065】
抽出剤供給経路64は、抽出剤タンク2から第1~第3処理ユニット4,5,6の第1~第3相互作用部7,8,9の処理流路72へ抽出剤を導くものである。この抽出剤供給経路64は、本発明における第1流体経路の一例である。抽出剤供給経路64は、タンク接続配管65と、第1供給配管65aと、第2供給配管65bと、第3供給配管65cとを有する。
【0066】
タンク接続配管65は、抽出剤タンク2に接続された配管部である。第1~第3供給配管65a,65b,65cは、タンク接続配管65から分岐している。この第1~第3供給配管65a,65b,65cは、本発明における複数の接続経路部の一例である。第1供給配管65aは、第1相互作用部7の第1入口82に接続されていて、その第1相互作用部7の処理流路72に繋がっている。第2供給配管65bは、第2相互作用部8の第1入口85に接続されていて、その第2相互作用部8の処理流路72に繋がっている。第3供給配管65cは、第3相互作用部9の第1入口88に接続されていて、その第3相互作用部9の処理流路72に繋がっている。
【0067】
タンク接続配管65のうち第1~第3供給配管65a,65b,65cが分岐している箇所よりも上流側(抽出剤タンク2寄り)の箇所には、抽出剤供給ポンプ19が設けられている。この抽出剤供給ポンプ19により、抽出剤タンク2に貯留された抽出剤が抽出剤供給経路64を通じて第1~第3相互作用部7,8,9の第1入口82,85,88へ送られるようになっている。
【0068】
第1及び第2戻し配管66,67は、本発明の複数の戻し経路の一例である。第1戻し配管66は、第1処理ユニット4の第1相互作用部7の処理流路72へ当該第1処理ユニット4に対応する後段処理ユニットである第2処理ユニット5の第2分離容器11からその第2分離容器11内で分離した抽出剤を導くものである。また、第2戻し配管67は、第2処理ユニット5の第2相互作用部8の処理流路72へ当該第2処理ユニット5に対応する後段処理ユニットである第3処理ユニット6の第3分離容器12からその第3分離容器12内で分離した抽出剤を導くものである。
【0069】
具体的に、第1戻し配管66は、第2分離容器11のうち分離した抽出剤(軽液)が溜まる領域と抽出剤供給経路64の第1供給配管65aとを繋いでいる。すなわち、第2分離容器11のうち分離した抽出剤が溜まる領域は、この第1戻し配管66と第1供給配管65aとを介して第1相互作用部7の第1入口82に接続されている。
【0070】
また、第2戻し配管67は、第3分離容器12のうち分離した抽出剤(軽液)が溜まる領域と抽出剤供給経路64の第2供給配管65bとを繋いでいる。すなわち、第3分離容器12のうち分離した抽出剤が溜まる領域は、この第2戻し配管67と第2供給配管65bとを介して第2相互作用部8の第1入口85に接続されている。
【0071】
第1戻し配管66には、第1戻しポンプ21が設けられている。この第1戻しポンプ21により、第2分離容器11内で分離した抽出剤を第1戻し配管66を通じて第1相互作用部7の第1入口82へ供給可能となっている。
【0072】
また、第1戻し配管66のうち第1戻しポンプ21よりも第2分離容器11側の箇所に、第1抽出剤流れセンサ53が接続されている。この第1抽出剤流れセンサ53は、本発明における第1流体流れセンサの一例である。第1抽出剤流れセンサ53は、第2分離容器11内で分離した抽出剤がその第2分離容器11から第1戻し配管66へ流れ出たことを検知する。第1抽出剤流れセンサ53は、前記分離した抽出剤が第2分離容器11から第1戻し配管66へ流れ出たことを検知したときには、検知信号を制御部55(図2参照)へ送信する。
【0073】
また、第1戻し配管66のうち第1抽出剤流れセンサ53が接続された箇所よりも第2分離容器11側の箇所は、第1逃し配管69を介して抽出剤排出配管68に接続されている。第1逃し配管69には、第1排出切換弁50が設けられている。
【0074】
第2戻し配管67には、第2戻しポンプ22が設けられている。この第2戻しポンプ22により、第3分離容器12内で分離した抽出剤を第2戻し配管67を通じて第2相互作用部8の第1入口85へ供給可能となっている。
【0075】
また、第2戻し配管67のうち第2戻しポンプ22よりも第3分離容器12側の箇所に、第2抽出剤流れセンサ54が接続されている。この第2抽出剤流れセンサ54は、本発明における第1流体流れセンサの一例である。第2抽出剤流れセンサ54は、第3分離容器12内で分離した抽出剤がその第3分離容器12から第2戻し配管67へ流れ出たことを検知する。第2抽出剤流れセンサ54は、前記分離した抽出剤が第3分離容器12から第2戻し配管67へ流れ出たことを検知したときには、検知信号を制御部55(図2参照)へ送信する。
【0076】
また、第2戻し配管67のうち第2抽出剤流れセンサ54が接続された箇所よりも第3分離容器12側の箇所は、第2逃し配管70を介して抽出剤排出配管68に接続されている。第2逃し配管70には、第2排出切換弁51が設けられている。
【0077】
第1供給切換装置37は第1供給配管65aに設けられ、第2供給切換装置41は第2供給配管65bに設けられ、第3供給切換装置42は第3供給配管65cに設けられている。第1~第3供給切換装置37,41,42は、本発明における複数の第1流体供給切換装置の一例である。
【0078】
第1供給切換装置37は、第1供給配管65aと接続された第1相互作用部7の処理流路72へ第1供給配管65aを通じて抽出剤タンク2から抽出剤が供給されるのを許容する供給許容状態と、その抽出剤の供給を阻止する供給阻止状態とに切り換え可能に構成されている。具体的には、第1供給切換装置37は、第1供給配管65aに設けられた第1抽出剤供給流量制御弁35からなる。第1抽出剤供給流量制御弁35は、抽出剤タンク2から供給されて第1供給配管65aを通って第1相互作用部7の処理流路72へ流れる抽出剤の流量を制御するものである。第1供給切換装置37の供給許容状態は、第1抽出剤供給流量制御弁35が第1供給配管65aを通じて抽出剤が所定の流量で流れるのを許容する状態である。また、第1供給切換装置37の供給阻止状態は、第1抽出剤供給流量制御弁35が第1供給配管65aを通じて抽出剤が流れるのを阻止する状態である。
【0079】
第2供給切換装置41は、第2供給配管65bと接続された第2相互作用部8の処理流路72へ第2供給配管65bを通じて抽出剤タンク2から抽出剤が供給されるのを許容する供給許容状態と、その抽出剤の供給を阻止する供給阻止状態とに切り換え可能に構成されている。具体的には、第2供給切換装置41は、第2供給配管65bに設けられた第2抽出剤供給流量制御弁39及び第1抽出剤供給切換弁45を有する。
【0080】
第2抽出剤供給流量制御弁39は、第2供給配管65bのうち第2戻し配管67が接続された箇所よりも抽出剤供給ポンプ19寄りの箇所に設けられている。第2抽出剤供給流量制御弁39は、抽出剤タンク2から供給されて第2供給配管65bを通って第2相互作用部8の処理流路72へ流れる抽出剤の流量を制御するものである。
【0081】
第1抽出剤供給切換弁45は、第2供給配管65bのうち第2戻し配管67が接続された箇所よりも第2相互作用部8寄りの箇所に設けられている。この第1抽出剤供給切換弁45は、第2相互作用部8の処理流路72へ抽出剤が流れるのを許容する開状態とその抽出剤の流れを阻止する閉状態とに切り換え可能となっている。
【0082】
第2供給切換装置41の供給許容状態は、第2抽出剤供給流量制御弁39が第2供給配管65bを通じて抽出剤が所定の流量で流れるのを許容し且つ第1抽出剤供給切換弁45が開状態になっている状態である。また、第2供給切換装置41の供給阻止状態は、第2抽出剤供給流量制御弁39が第2供給配管65bを通じて抽出剤が流れるのを阻止し且つ第1抽出剤供給切換弁45が閉状態になっている状態である。
【0083】
第3供給切換装置42は、第3供給配管65cと接続された第3相互作用部9の処理流路72へ第3供給配管65cを通じて抽出剤タンク2から抽出剤が供給されるのを許容する供給許容状態と、その抽出剤の供給を阻止する供給阻止とに切り換え可能に構成されている。具体的には、第3供給切換装置42は、第3供給配管65cに設けられた第3抽出剤供給流量制御弁43及び第2抽出剤供給切換弁46を有する。
【0084】
第3抽出剤供給流量制御弁43は、抽出剤タンク2から供給されて第3供給配管65cを通って第3相互作用部9の処理流路72へ流れる抽出剤の流量を制御するものである。
【0085】
第2抽出剤供給切換弁46は、第3供給配管65cのうち第3抽出剤供給流量制御弁43よりも第3相互作用部9寄りの箇所に設けられている。この第2抽出剤供給切換弁46は、第3相互作用部9の処理流路72へ抽出剤が流れるのを許容する開状態とその抽出剤の流れを阻止する閉状態とに切り換え可能となっている。
【0086】
第3供給切換装置42の供給許容状態は、第3抽出剤供給流量制御弁43が第3供給配管65cを通じて抽出剤が所定の流量で流れるのを許容するとともに、第2抽出剤供給切換弁46が開状態になっている状態である。また、第3供給切換装置42の供給阻止状態は、第3抽出剤供給流量制御弁43が第3供給配管65cを通じて抽出剤が流れるのを阻止し且つ第2抽出剤供給切換弁46が閉状態になっている状態である。
【0087】
第1戻し切換装置44は第1戻し配管66に設けられ、第2戻し切換装置47は第2戻し配管67に設けられている。第1及び第2戻し切換装置44,47は、本発明における複数の第1流体戻し切換装置の一例である。
【0088】
第1戻し切換装置44は、第1供給配管65aを介して第1戻し配管66と繋がる第1相互作用部7の処理流路72へ第2処理ユニット5の第2分離容器11からその第2分離容器11内で分離した抽出剤が第1供給配管65aを通じて流れるのを許容する戻し許容状態と、その抽出剤の流れを阻止する戻し阻止状態とに切り換え可能に構成されている。具体的には、第1戻し切換装置44は、第1戻し配管66のうち第1戻しポンプ21から抽出剤が送出される側の箇所に設けられた第1戻し流量制御弁36からなる。第1戻し流量制御弁36は、第2分離容器11から第1戻し配管66を通って第1相互作用部7の処理流路72へ流れる抽出剤の流量を制御するものである。第1戻し切換装置44の戻し許容状態は、第1戻し流量制御弁36が第1戻し配管66を通じて抽出剤が所定の流量で流れるのを許容する状態である。また、第1戻し切換装置44の戻し阻止状態は、第1戻し流量制御弁36が第1戻し配管66を通じて抽出剤が流れるのを阻止する状態である。
【0089】
第2戻し切換装置47は、第2供給配管65bを介して第2戻し配管67と繋がる第2相互作用部8の処理流路72へ第3処理ユニット6の第3分離容器12からその第3分離容器12内で分離した抽出剤が第2供給配管65bを通じて流れるのを許容する戻し許容状態と、その抽出剤の流れを阻止する戻し阻止状態とに切り換え可能に構成されている。具体的には、第2戻し切換装置47は、第2戻し配管67のうち第2戻しポンプ22から抽出剤が送出される側の箇所に設けられた第2戻し流量制御弁40からなる。第2戻し流量制御弁40は、第3分離容器12から第2戻し配管67を通って第2相互作用部8の処理流路72へ流れる抽出剤の流量を制御するものである。第2戻し切換装置47の戻し許容状態は、第2戻し流量制御弁40が第2戻し配管67を通じて抽出剤が所定の流量で流れるのを許容する状態である。また、第2戻し切換装置47の戻し阻止状態は、第2戻し流量制御弁40が第2戻し配管67を通じて抽出剤が流れるのを阻止する状態である。
【0090】
制御部55は、第1レベル計13から送信される第1分離容器10内の重液と軽液との間の界面の高さ位置の情報と、第2レベル計14から送信される第2分離容器11内の重液と軽液との間の界面の高さ位置の情報と、第3レベル計15から送信される第3分離容器12内の重液と軽液との間の界面の高さ位置の情報とを取得する。また、制御部55は、第1原料流れセンサ32、第2原料流れセンサ33、第1抽出剤流れセンサ53及び第2抽出剤流れセンサ54からそれぞれ送信される検知信号を受信する。
【0091】
図2に示す制御部55は、原料供給ポンプ18、抽出剤供給ポンプ19、第1戻しポンプ21及び第2戻しポンプ22のそれぞれの作動の制御を行う。また、制御部55は、原料供給流量制御弁24の開度制御、第1送り切換弁26の開閉の切換制御、第2送り切換弁27の開閉の切換制御、及び、原料排出切換弁29の開閉の切換制御を行う。
【0092】
また、制御部55は、第1~第3供給切換装置37,41,42をそれぞれ供給許容状態と供給阻止状態とに切り換える制御を行う。具体的には、制御部55は、第1抽出剤供給流量制御弁35の開度制御、第2抽出剤供給流量制御弁39の開度制御、第3抽出剤供給流量制御弁43の開度制御、第1抽出剤供給切換弁45の開閉の切換制御、及び、第2抽出剤供給切換弁46の開閉の切換制御を行う。
【0093】
また、制御部55は、第1及び第2戻し切換装置44,47をそれぞれ戻し許容状態と戻し阻止状態とに切り換える制御を行う。具体的には、制御部55は、第1戻し流量制御弁36の開度制御及び第2戻し流量制御弁40の開度制御を行う。
【0094】
また、制御部55は、抽出剤排出流量制御弁48の開度制御、第1排出切換弁50の開閉の切換制御、及び、第2排出切換弁51の開閉の切換制御を行う。
【0095】
この制御部55により行われる制御の具体的な内容は、以下の相互作用システム1の立ち上げプロセスについての説明中にて述べられる。
【0096】
次に、図2図8を参照して、相互作用システム1を、第1~第3処理ユニット4,5,6のいずれにも抽出剤及び原料液が流入していない稼働停止状態から、第1~第3処理ユニット4,5,6にその順番で原料液が流れるとともにその原料液が流れる向きと逆向きに抽出剤が流れ、第1~第3処理ユニット4,5,6の第1~第3相互作用部7,8,9の処理流路72においてそれぞれ抽出剤と原料液とによる抽出処理が行われる定常状態に立ち上げるプロセスについて説明する。なお、図3図8では、抽出剤と原料液とがそれぞれ流れている流路が太線で示されている。
【0097】
相互作用システム1の稼働停止状態では、原料供給ポンプ18、抽出剤供給ポンプ19、第1戻しポンプ21及び第2戻しポンプ22の全ての作動が停止している。また、原料供給流量制御弁24、第1抽出剤供給流量制御弁35、第2抽出剤供給流量制御弁39、第3抽出剤供給流量制御弁43、第1戻し流量制御弁36、第2戻し流量制御弁40及び抽出剤排出流量制御弁48は、全て、開度が0になるように閉じられている。また、第1送り切換弁26、第2送り切換弁27、原料排出切換弁29、第1抽出剤供給切換弁45、第2抽出剤供給切換弁46、第1排出切換弁50及び第2排出切換弁51は、全て、閉状態になっている。
【0098】
この稼働停止状態から、制御部55が、原料供給ポンプ18及び抽出剤供給ポンプ19を起動させて、原料供給ポンプ18に原料タンク3から供給される原料液を送出させるとともに、抽出剤供給ポンプ19に抽出剤タンク2から供給される抽出剤を送出させる。同時に、制御部55は、原料液が原料供給配管56を通って第1相互作用部7の第2入口83へ所定の流量で流れるように原料供給流量制御弁24の開度を0から上げて所定の開度にするとともに、抽出剤が抽出剤供給経路64の第1供給配管65aを通って第1相互作用部7の第1入口82へ所定の流量で流れるように第1抽出剤供給流量制御弁35の開度を0から上げて所定の開度にする。また、制御部55は、抽出剤排出流量制御弁48の開度を0から上げて所定の開度にする。
【0099】
以上の制御により、図3に示すように、原料タンク3から第1相互作用部7の第2入口83へ原料液が送られるとともに、抽出剤タンク2から第1相互作用部7の第1入口82へ抽出剤が送られる。
【0100】
第1相互作用部7の第2入口83へ送られた原料液は、その第1相互作用部7の各処理流路72の第2導入路76に流入する。また、第1相互作用部7の第1入口82へ送られた抽出剤は、その第1相互作用部7の各処理流路72の第1導入路74に流入する。そして、第1相互作用部7の各処理流路72において、原料液が第2導入路76から処理流路部78に流れ込むとともに抽出剤が第1導入路74から処理流路部78に流れ込み、その原料液と抽出剤とが互いに接触した状態で処理流路部78を流れる。この原料液と抽出剤とが処理流路部78を流れる過程で原料液から特定成分が抽出されて抽出剤中に移動する抽出処理が行われる。そして、抽出処理後の原料液と抽出剤との混合流体が第1相互作用部7の出口84から流れ出て、第1接続配管57を通って第1分離容器10内へ導入される。
【0101】
第1分離容器10内に導入された混合流体は、その第1分離容器10内で滞留し、比重差によって軽液(抽出剤)と重液(原料液)とに上下に分離する。そして、時間が経過するにつれて、第1分離容器10内に溜まる軽液(抽出剤)及び重液(原料液)の量が増加する。この第1分離容器10内の液量の増加に伴って、第1分離容器10内に元々存在していた空気が抽出剤排出配管68へ排出される。
【0102】
制御部55は、第1分離容器10内に溜まった原料液(重液)の量が所定量に達した時点で、第1送り切換弁26を開状態に切り換える。このとき、制御部55は、第1レベル計13から取得した情報に基づいて、第1分離容器10内に溜まった原料液(重液)と抽出剤(軽液)との間の界面の高さ位置、すなわち第1分離容器10内の底面からの原料液(重液)の上面の高さ位置が予め設定された所定の高さ位置に達したと判断した時点で、第1送り切換弁26を開状態に切り換える。同時に、制御部55は、第1排出切換弁50を開状態に切り換える。これにより、図4に示すように、第1分離容器10内で分離した原料液が第1送り配管58を通じて第2相互作用部8の第2入口86へ流れる。
【0103】
また、第1分離容器10内の空間の上端まで抽出剤(軽液)が溜まると、抽出剤が、第1分離容器10内から抽出剤排出配管68へ流出し、その抽出剤排出配管68を通じて相互作用システム1の外部へ排出される。制御部55は、第1レベル計13から取得した情報に基づいて抽出剤排出流量制御弁48の開度を制御することにより、第1分離容器10内の原料液(重液)と抽出剤(軽液)との間の界面の高さ位置を所定の高さ位置に維持するように第1分離容器10から排出される抽出剤の流量を制御する。
【0104】
前記のように第1分離容器10内で分離した原料液が第1送り配管58を通って第2相互作用部8の第2入口86へ流れると、第1原料流れセンサ32が、その原料液の流れを検知し、制御部55へ検知信号を送信する。制御部55は、この検知信号を受けて、第1抽出剤供給切換弁45を開状態に切り換える。同時に、制御部55は、抽出剤供給ポンプ19により送出される抽出剤が抽出剤供給経路64の第2供給配管65bを通って第2相互作用部8の第1入口85へ所定の流量で流れるように第2抽出剤供給流量制御弁39の開度を0から上げて所定の開度にする。これにより、図5に示すように、抽出剤タンク2から第2相互作用部8の第1入口85へ抽出剤が流れる。
【0105】
第2相互作用部8では、第2入口86に流入した原料液が各処理流路72の第2導入路76を通って処理流路部78に流れ込むとともに、第1入口85に流入した抽出剤が各処理流路72の第1導入路74を通って処理流路部78に流れ込む。そして、第1相互作用部7の場合と同様に、第2相互作用部8の各処理流路72の処理流路部78において抽出処理が行われる。その抽出処理後の原料液と抽出剤との混合流体は、第2相互作用部8の出口87から流れ出て、第2接続配管59を通って第2分離容器11内へ導入される。
【0106】
第2分離容器11内では、第1分離容器10内と同様に、導入された混合流体が軽液(抽出剤)と重液(原料液)とに上下に分離し、時間の経過とともに第2分離容器11内に溜まる軽液と重液の量が増加する。この際、第2分離容器11内に元々存在していた空気は、第1逃し配管69を通じて抽出剤排出配管68へ逃がされる。
【0107】
そして、第2分離容器11内の空間の上端まで分離した抽出剤(軽液)が溜まると、その抽出剤が第2分離容器11から第1戻し配管66へ流れ出る。このとき、第1抽出剤流れセンサ53が、第2分離容器11から第1戻し配管66へ抽出剤が流れ出たことを検知し、制御部55へ検知信号を送信する。
【0108】
制御部55は、第1抽出剤流れセンサ53からの検知信号を受けて、第1抽出剤供給流量制御弁35の開度を0にするとともに、第1排出切換弁50を閉状態に切り換え、第1戻し流量制御弁36の開度を0から上げて所定の開度にし、第1戻しポンプ21を起動させる。これにより、図6に示すように、抽出剤タンク2から抽出剤供給経路64の第1供給配管65aを通じた第1相互作用部7の第1入口82への抽出剤の供給は停止され、その代わりに、第2分離容器11内で分離した抽出剤が、第1戻しポンプ21により、第1戻し配管66及び第1供給配管65aを通じて第1相互作用部7の第1入口82へ送られる。従って、これ以降、第1相互作用部7の各処理流路72では、第2相互作用部8の各処理流路72において抽出処理に用いられた後、第2分離容器11内で原料液と分離された抽出剤が供給され、その抽出剤によって原料液からの特定成分の抽出が行われる。
【0109】
また、制御部55は、第1抽出剤流れセンサ53からの検知信号を受けて、上記のように、第1抽出剤供給流量制御弁35の開度を0にし、第1排出切換弁50を開状態に切り換え、第1戻し流量制御弁36の開度を所定の開度にするのと同時に、第2送り切換弁27を開状態に切り換える。これにより、図6に示すように、第2分離容器11内で分離した原料液が第2送り配管60を通じて第3相互作用部9の第2入口89へ流れる。
【0110】
また、制御部55は、第2レベル計14から取得した情報に基づいて第1戻し流量制御弁36の開度を制御し、それによって、第2分離容器11内の原料液(重液)と抽出剤(軽液)との間の界面の高さ位置を所定の高さ位置に維持するように第2分離容器11から流れ出る抽出剤の流量を制御する。
【0111】
第2分離容器11内で分離した原料液が第2送り配管60を通って第3相互作用部9へ流れると、第2原料流れセンサ33が、その原料液の流れを検知し、制御部55へ検知信号を送信する。制御部55は、この検知信号を受けて、第2抽出剤供給切換弁46を開状態に切り換える。同時に、制御部55は、抽出剤供給ポンプ19により送出される抽出剤が抽出剤供給経路64の第3供給配管65cを通って第3相互作用部9の第1入口88へ所定の流量で流れるように第3抽出剤供給流量制御弁43の開度を0から上げて所定の開度にする。これにより、図7に示すように、抽出剤タンク2から第3相互作用部9の第1入口88へ抽出剤が流れる。
【0112】
第3相互作用部9の各処理流路72では、第2入口89に流入した原料液と第1入口88に流入した抽出剤とにより、第1及び第2相互作用部7,8の各処理流路72で行われたのと同様の抽出処理が行われる。その抽出処理後の抽出剤と原料液との混合流体は、第3相互作用部9の出口90から流れ出て、第3接続配管61を通って第3分離容器12内へ導入される。第3分離容器12内では、第1及び第2分離容器10,11内と同様に、導入された混合流体が軽液(抽出剤)と重液(原料液)とに分離する。
【0113】
その後、第2分離容器11の場合と同様に、第3分離容器12から分離した抽出剤が第2戻し配管67へ流れ出る。このとき、第2抽出剤流れセンサ54が、第3分離容器12から第2戻し配管67へ抽出剤が流れ出たことを検知し、制御部55へ検知信号を送信する。制御部55は、この第2抽出剤流れセンサ54からの検知信号を受けて、第2抽出剤供給流量制御弁39、第2排出切換弁51、第2戻し流量制御弁40及び第2戻しポンプ22を、前記第1抽出剤供給流量制御弁35、前記第1排出切換弁50、前記第1戻し流量制御弁36及び前記第1戻しポンプ21と同様に制御する。これにより、図8に示すように、抽出剤タンク2から抽出剤供給経路64の第2供給配管65bを通じた第2相互作用部8の第1入口85への抽出剤の供給は停止され、その代わりに、第3分離容器12内で分離した抽出剤が、第2戻しポンプ22により、第2戻し配管67及び第2供給配管65bを通じて第2相互作用部8の第1入口85へ送られる。従って、これ以降、第2相互作用部8の各処理流路72では、第3相互作用部9の各処理流路72において抽出処理に用いられた後、第3分離容器12内で原料液と分離された抽出剤が供給され、その抽出剤によって原料液からの特定成分の抽出が行われる。
【0114】
また、制御部55は、第2抽出剤流れセンサ54からの検知信号を受けて、原料排出切換弁29を開状態に切り換える。これにより、第3分離容器12内で分離した抽出処理後の原料液が原料排出配管62を通じて相互作用システム1の外部へ排出される(図8参照)。
【0115】
また、制御部55は、第3レベル計15から取得した情報に基づいて第2戻し流量制御弁40の開度を制御し、それによって、第3分離容器12内の原料液(重液)と抽出剤(軽液)との間の界面の高さ位置を所定の高さ位置に維持するように第3分離容器12から流れ出る抽出剤の流量を制御する。
【0116】
以上のようにして、相互作用システム1が、定常状態、すなわち、第1~第3相互作用部7,8,9に対して原料液が順番に流れる向きと逆向きに抽出剤が流れるとともに、第1~第3相互作用部7,8,9のそれぞれの処理流路72において抽出剤と原料液とが流れながらその抽出剤と原料液とによる抽出処理が行われる状態に立ち上がる。
【0117】
(第1実施形態による効果)
当該第1実施形態による相互作用システム1では、第1~第3供給切換装置37,41,42が、第1~第3相互作用部7,8,9のそれぞれの処理流路72へ原料液が流入するときにその第1~第3相互作用部7,8,9の処理流路72へ抽出剤タンク2から抽出剤供給経路64の第1~第3供給配管65a,65b,65cを通じて抽出剤が供給されるのを許容する供給許容状態になる。よって、相互作用システム1の立ち上げの初期段階において、第1~第3相互作用部7,8,9の全ての処理流路72に抽出剤が流れるのを待つことなく、第1~第3相互作用部7,8,9のそれぞれの処理流路72に原料液が順次流入するたびにその原料液が流入した相互作用部の処理流路72へ抽出剤タンク2から抽出剤を供給してその処理流路72において抽出剤と原料液とによる抽出処理を行うことができる。
【0118】
そして、第2処理ユニット5の第2分離容器11内で混合流体が抽出剤と原料液とに分離した後、所定のタイミングで、第1戻し切換装置44が戻し阻止状態から戻し許容状態に切り換えられるとともに第1供給切換装置37が供給許容状態から供給阻止状態に切り換えられ、第2分離容器11内で分離した抽出剤が第1相互作用部7の処理流路72へ抽出剤タンク2からの抽出剤に代えて供給される。また、第3処理ユニット6の第3分離容器12内で混合流体が抽出剤と原料液とに分離した後、所定のタイミングで、第2戻し切換装置47が戻し阻止状態から戻し許容状態に切り換えられるとともに第2供給切換装置41が戻し阻止状態から戻し許容状態に切り換えられるとともに第2供給切換装置41が供給許容状態から供給阻止状態に切り換えられ、第3分離容器12内で分離した抽出剤が第2相互作用部8の処理流路72へ抽出剤タンク2からの抽出剤に代えて供給される。よって、相互作用システム1が前記定常状態に移行する。従って、当該第1実施形態による相互作用システム1では、前記定常状態に立ち上げる際に、従来必要であった複数の処理ユニットの全ての相互作用部の処理流路に抽出剤が流れるのを待つ時間が不要となり、前記定常状態に達するまでの立ち上げ時間を短縮することができる。
【0119】
また、この第1実施形態では、制御部55が、第1~第3供給切換装置37,41,42をそれぞれ供給許容状態と供給阻止状態とに切り換える制御と、第1及び第2戻し切換装置44,47をそれぞれ戻し許容状態と戻し阻止状態とに切り換える制御とを行うため、その第1~第3供給切換装置37,41,42の切換制御と第1及び第2戻し切換装置44,47の切換制御とを自動的に行うことができる。
【0120】
また、この第1実施形態では、第1戻し切換装置44が戻し阻止状態から戻し許容状態に切り換えられるとともに第1供給切換装置37が供給許容状態から供給阻止状態に切り換えられる所定のタイミングは、第2分離容器11内で分離した抽出剤が第1戻し配管66に流れ出たタイミングである。このため、第2分離容器11内で分離した抽出剤が第1戻し配管66に流れ出た時点で、遅滞なく、その第1戻し配管56に流れ出た抽出剤を第1相互作用部7の処理流路72へ供給することができる。また、第2戻し切換装置47が戻し阻止状態から戻し許容状態に切り換えられるとともに第2供給切換装置41が供給許容状態から供給阻止状態に切り換えられる所定のタイミングは、第3分離容器12内で分離した抽出剤が第2戻し配管67に流れ出たタイミングである。このため、第3分離容器12内で分離した抽出剤が第2戻し配管67に流れ出た時点で、遅滞なく、その第2戻し配管67に流れ出た抽出剤を第2相互作用部8の処理流路72へ供給することができる。よって、相互作用システム1の立ち上げ時間をより短縮できる。
【0121】
また、当該第1実施形態では、第2分離容器11から第1戻し配管66に抽出剤が流れ出たことを第1抽出剤流れセンサ53が検知したことに応じて、制御部55が、第1戻し切換装置44を戻し阻止状態から戻し許容状態に切り換えるとともに第1供給切換装置37を供給許容状態から供給阻止状態に切り換える。また、第3分離容器12から第2戻し配管67に抽出剤が流れ出たことを第2抽出剤流れセンサ54が検知したことに応じて、制御部55が、第2戻し切換装置47を戻し阻止状態から戻し許容状態に切り換えるとともに第2供給切換装置41を供給許容状態から供給阻止状態に切り換える。よって、第2分離容器11から第1戻し配管66に抽出剤が流れ出たことに的確に応じて、その第1戻し配管66に流れ出た抽出剤を第1相互作用部7の処理流路72へ供給することができるとともに、第3分離容器12から第2戻し配管67に抽出剤が流れ出たことに的確に応じて、その第2戻し配管67に流れ出た抽出剤を第2相互作用部8の処理流路72へ供給することができる。
【0122】
また、当該第1実施形態では、制御部55が、第1~第3相互作用部7,8,9のそれぞれの処理流路72へ原料液が供給されるまで第1~第3供給切換装置37,41,42を供給阻止状態にし、第1~第3相互作用部7,8,9のそれぞれの処理流路72へ原料液が供給されるタイミングで、第1~第3供給切換装置37,41,42のうち原料液が供給される相互作用部に対応するものを供給阻止状態から供給許容状態に切り換える。このため、第1~第3相互作用部7,8,9のそれぞれの処理流路72へ原料液が供給されるときに、遅滞なく、その原料液が供給される処理流路72へ抽出剤タンク2から抽出剤を供給することができる。
【0123】
また、当該第1実施形態では、第1原料流れセンサ32により第1分離容器10からその第1分離容器10内で分離した原料液が第2相互作用部8の処理流路72へ流れたことが検知されたことに応じて、制御部55が、第2供給切換装置41を供給阻止状態から供給許容状態に切り換える。また、第2原料流れセンサ33により第2分離容器11からその第2分離容器11内で分離した原料液が第3相互作用部9の処理流路72へ流れたことが検知されたことに応じて、制御部55が、第3供給切換装置42を供給阻止状態から供給許容状態に切り換える。よって、第1分離容器10からその第1分離容器10内で分離した原料液が第2相互作用部8の処理流路72へ流れたことに的確に応じて、その第2相互作用部8の処理流路72へ抽出剤タンク2から抽出剤を供給することができるとともに、第2分離容器11からその第2分離容器11内で分離した原料液が第3相互作用部9の処理流路72へ流れたことに的確に応じて、その第3相互作用部9の処理流路72へ抽出剤タンク2から抽出剤を供給することができる。
【0124】
(第2実施形態)
以下、図9図21を参照して、本発明の第2実施形態による相互作用システム1について説明する。
【0125】
図9には、当該第2実施形態による相互作用システム1の全体構成が示されている。また、図10は、当該第2実施形態による相互作用システム1の制御ブロック図である。
【0126】
当該第2実施形態による相互作用システム1は、図9に示すように、5つの処理ユニット(第1~第5処理ユニット4,5,6,80,81)を備えている。第1処理ユニット4は、本発明における初段処理ユニットの一例である。第5処理ユニット81は、本発明における最終段処理ユニットの一例である。第2~第4処理ユニット5,6,80は、本発明における中間処理ユニットの一例である。
【0127】
当該第2実施形態の相互作用システム1における第1~第3処理ユニット4,5,6の構成は、前記第1実施形態と同様である。また、第4処理ユニット80及び第5処理ユニット81は、それぞれ、第1処理ユニット4と同様の構成を有する。すなわち、第4処理ユニット80は、第4相互作用部92と、第4分離容器94と、第4接続配管134とを有し、この第4相互作用部92、第4分離容器94及び第4接続配管134の構成は、第1処理ユニット4の第1相互作用部7、第1分離容器10及び第1接続配管57の構成と同様である。また、第5処理ユニット81は、第5相互作用部93と、第5分離容器95と、第5接続配管144とを有し、この第5相互作用部93、第5分離容器95及び第5接続配管144の構成は、第1処理ユニット4の第1相互作用部7、第1分離容器10及び第1接続配管57の構成と同様である。
【0128】
また、当該第2実施形態による相互作用システム1は、原料供給ポンプ18、抽出剤供給ポンプ19、第1戻しポンプ21及び第2戻しポンプ22に加えて、第3戻しポンプ98及び第4戻しポンプ99を備える。
【0129】
また、相互作用システム1は、第1送り切換弁26及び第2送り切換弁27に加えて、第3送り切換弁28及び第4送り切換弁100を備える。また、相互作用システム1は、第1排出切換弁50及び第2排出切換弁51に加えて、第3排出切換弁118及び第4排出切換弁119を備える。
【0130】
また、相互作用システム1は、第1供給切換装置37、第2供給切換装置41、第3供給切換装置42、第4供給切換装置152及び第5供給切換装置153を備える。第1~第5供給切換装置37,41,42,152,153は、本発明における第1流体供給切換装置の一例である。
【0131】
また、相互作用システム1は、第1戻し切換装置44、第2戻し切換装置47、第3戻し切換装置156及び第4戻し切換装置157を備える。第1~第4戻し切換装置44,47,156,157は、本発明における第1流体戻し切換装置の一例である。
【0132】
また、相互作用システム1は、第1レベル計13、第2レベル計14及び第3レベル計15に加えて、第4レベル計96及び第5レベル計97を備える。また、相互作用システム1は、第1原料流れセンサ32及び第2原料流れセンサ33に加えて、第3原料流れセンサ102及び第4原料流れセンサ103を備える。また、相互作用システム1は、第1抽出剤流れセンサ53及び第2抽出剤流れセンサ54に加えて、第3抽出剤流れセンサ120及び第4抽出剤流れセンサ121を備える。
【0133】
第3分離容器12のうち分離した原料液(重液)が溜まる領域は、第3送り配管130を介して第4相互作用部92の第2入口132に接続されている。第3送り配管130には、第3送り切換弁28が設けられているとともに、第3原料流れセンサ102が接続されている。第3送り切換弁28及び第3原料流れセンサ102の機能は、第1送り切換弁26及び第1原料流れセンサ32の機能と同様であり、第3送り配管130上における第3送り切換弁28及び第3原料流れセンサ102の配置は、第1送り配管58上における第1送り切換弁26及び第1原料流れセンサ32の配置と同様である。
【0134】
第4相互作用部92の出口133は、第4接続配管134を介して第4分離容器94に接続されている。第4分離容器94のうち分離した原料液(重液)が溜まる領域は、第4送り配管135を介して第5相互作用部93の第2入口142に接続されている。第4送り配管135には、第4送り切換弁100が設けられているとともに、第4原料流れセンサ103が接続されている。第4送り切換弁100及び第4原料流れセンサ103の機能は、第1送り切換弁26及び第1原料流れセンサ32の機能と同様であり、第4送り配管135上における第4送り切換弁100及び第4原料流れセンサ103の配置は、第1送り配管58上における第1送り切換弁26及び第1原料流れセンサ32の配置と同様である。
【0135】
第4分離容器94のうち分離した抽出剤(軽液)が溜まる領域は、第3戻し配管128及び後述の第2中間接続配管126を介して第3相互作用部9の第1入口88に接続されている。第3戻し配管128には、第3戻しポンプ98と、第3戻し流量制御弁107とが設けられている。また、第3戻し配管128には、第3抽出剤流れセンサ120が接続されている。第3戻しポンプ98、第3戻し流量制御弁107及び第3抽出剤流れセンサ120の機能は、第1戻しポンプ21、第1戻し流量制御弁36及び第1抽出剤流れセンサ53の機能と同様である。また、第3戻し配管128上における第3戻しポンプ98、第3戻し流量制御弁107及び第3抽出剤流れセンサ120の配置は、第1戻し配管66上における第1戻しポンプ21、第1戻し流量制御弁36及び第1抽出剤流れセンサ53の配置と同様である。
【0136】
第3戻し配管128は、第3逃し配管136を介して抽出剤排出配管68に接続されている。第3逃し配管136には、第3排出切換弁118が設けられている。第3逃し配管136及び第3排出切換弁118の機能及び構成は、第1逃し配管69及び第1排出切換弁50の機能及び構成と同様である。
【0137】
第5相互作用部93の出口143は、第5接続配管144を介して第5分離容器95に接続されている。第5分離容器95のうち分離した原料液(重液)が溜まる領域には、原料排出配管62が接続されている。原料排出配管62には、原料排出切換弁29と、第1圧力調整弁30とが設けられている。
【0138】
第5分離容器95のうち分離した抽出剤(軽液)が溜まる領域は、第4戻し配管129及び後述の第3中間接続配管127を介して第4相互作用部92の第1入口131に接続されている。第4戻し配管129には、第4戻しポンプ99と、第4戻し流量制御弁108とが設けられている。また、第4戻し配管129には、第4抽出剤流れセンサ121が接続されている。第4戻しポンプ99、第4戻し流量制御弁108及び第4抽出剤流れセンサ121の機能は、第1戻しポンプ21、第1戻し流量制御弁36及び第1抽出剤流れセンサ53の機能と同様である。また、第4戻し配管129上における第4戻しポンプ99、第4戻し流量制御弁108及び第4抽出剤流れセンサ121の配置は、第1戻し配管66上における第1戻しポンプ21、第1戻し流量制御弁36及び第1抽出剤流れセンサ53の配置と同様である。
【0139】
第4戻し配管129は、第4逃し配管146を介して抽出剤排出配管68に接続されている。第4逃し配管146には、第4排出切換弁119が設けられている。第4逃し配管146及び第4排出切換弁119の機能及び構成は、第1逃し配管69及び第1排出切換弁50の機能及び構成と同様である。
【0140】
また、当該第2実施形態では、抽出剤タンク2から第1~第5処理ユニット4,5,6,80,81の第1~第5相互作用部7,8,9,92,93の処理流路72へ抽出剤を導く抽出剤供給経路64は、タンク接続配管65と、第1供給配管65aと、第2供給配管65dと、中間接続経路部150とを有する。第1供給配管65a、第2供給配管65d及び中間接続経路部150は、それぞれ、本発明における接続経路部の一例である。
【0141】
第1供給配管65aは、第1処理ユニット4の第1相互作用部7の第1入口82に接続されており、その第1相互作用部7の処理流路72に繋がっている。この第1供給配管65aは、本発明における初段接続経路部の一例である。
【0142】
第2供給配管65dは、第5処理ユニット81の第5相互作用部93の第1入口141に接続されており、その第5相互作用部93の処理流路72に繋がっている。この第2供給配管65dは、本発明における最終段接続経路部の一例である。
【0143】
中間接続経路部150は、第2~第4処理ユニット5,6,80の第2~第4相互作用部8,9,92の第1入口85,88,131にそれぞれ接続されており、その第2~第4相互作用部8,9,92の処理流路72に繋がっている。中間接続経路部150は、中継配管124と、第1中間接続配管125と、第2中間接続配管126と、第3中間接続配管127と、を有する。第1~第3中間接続配管125,126,127は、本発明における中間接続配管の一例である。
【0144】
中継配管124は、第1供給配管65aと第2供給配管65dとを繋いでいる。中継配管124は、第1供給配管65aのうち第1戻し配管66が接続された箇所よりも抽出剤タンク2寄り(抽出剤供給ポンプ19寄り)の箇所に繋がっている。
【0145】
第1中間接続配管125は、中継配管124に接続されるとともに第2処理ユニット5の第2相互作用部8の第1入口85に接続されており、その第2相互作用部8の処理流路72に繋がっている。当該第2実施形態では、この第1中間接続配管125に第2戻し配管67が接続されている。
【0146】
第2中間接続配管126は、中継配管124に接続されるとともに第3処理ユニット6の第3相互作用部9の第1入口88に接続されており、その第3相互作用部9の処理流路72に繋がっている。前記第3戻し配管128は、この第2中間接続配管126に接続されている。
【0147】
第3中間接続配管127は、中継配管124に接続されるとともに第4処理ユニット80の第4相互作用部92の第1入口131に接続されており、その第4相互作用部92の処理流路72に繋がっている。前記第4戻し配管129は、この第3中間接続配管127に接続されている。
【0148】
また、当該第2実施形態による相互作用システム1は、第1供給切換装置37と、第2供給切換装置41と、第3供給切換装置42と、第4供給切換装置152と、第5供給切換装置153と、を有する。この第1~第5供給切換装置37,41,42,152,153は、本発明における複数の第1流体供給切換装置の一例である。
【0149】
第1供給切換装置37は、第1供給配管65aに設けられている。第1供給切換装置37は、第1抽出剤供給流量制御弁35と、抽出剤流入切換弁106とを有する。
【0150】
第1抽出剤供給流量制御弁35は、第1供給配管65aのうち中継配管124が接続された箇所よりも抽出剤タンク2寄り(抽出剤供給ポンプ19寄り)の箇所に設けられている。第1抽出剤供給流量制御弁35は、本発明における第1流量制御弁の一例である。
【0151】
抽出剤流入切換弁106は、第1供給配管65aのうち第1戻し配管66が接続された箇所と中継配管124が接続された箇所との間の箇所に設けられている。この抽出剤流入切換弁106は、開閉弁である。
【0152】
当該第2実施形態では、第1供給切換装置37の供給許容状態は、第1抽出剤供給流量制御弁35が第1供給配管65aを通じて抽出剤が所定の流量で流れるのを許容し且つ抽出剤流入切換弁106が開状態になっている状態である。また、第1供給切換装置37の供給阻止状態は、第1抽出剤供給流量制御弁35が第1供給配管65aを通じて抽出剤が流れるのを阻止し且つ抽出剤流入切換弁106が閉状態になっている状態である。
【0153】
第2供給切換装置41は、第1抽出剤供給切換弁45と、第5抽出剤供給切換弁111と、第8抽出剤供給切換弁114と、第9抽出剤供給切換弁115と、第10抽出剤供給切換弁116と、第11抽出剤供給切換弁117とからなる。また、第3供給切換装置42は、第2抽出剤供給切換弁46と、第6抽出剤供給切換弁112と、第8抽出剤供給切換弁114と、第9抽出剤供給切換弁115と、第10抽出剤供給切換弁116と、第11抽出剤供給切換弁117とからなる。また、第4供給切換装置152は、第3抽出剤供給切換弁109と、第7抽出剤供給切換弁113と、第8抽出剤供給切換弁114と、第9抽出剤供給切換弁115と、第10抽出剤供給切換弁116と、第11抽出剤供給切換弁117とからなる。従って、第8~第11抽出剤供給切換弁114,115,116,117が、第2~第4供給切換装置41,42,152において共用されている。
【0154】
第2供給切換装置41における第8抽出剤供給切換弁114と、第3供給切換装置42における第8及び第9抽出剤供給切換弁114,115と、第4供給切換装置152における第8~第10抽出剤供給切換弁114,115,116とは、それぞれ、本発明における第1開閉弁の一例である。また、第2供給切換装置41における第9~第11抽出剤供給切換弁115,116,117と、第3供給切換装置42における第10及び第11抽出剤供給切換弁116,117と、第4供給切換装置152における第11抽出剤供給切換弁117とは、それぞれ、本発明における第2開閉弁の一例である。
【0155】
第1抽出剤供給切換弁45は、第1中間接続配管125のうち第2戻し配管67が接続された箇所よりも第2相互作用部8の第1入口85側の箇所に設けられている。第2抽出剤供給切換弁46は、第2中間接続配管126のうち第3戻し配管128が接続された箇所よりも第3相互作用部9の第1入口88側の箇所に設けられている。第3抽出剤供給切換弁109は、第3中間接続配管127のうち第4戻し配管129が接続された箇所よりも第4相互作用部92の第1入口131側の箇所に設けられている。
【0156】
また、第5抽出剤供給切換弁111は、第1中間接続配管125のうち第2戻し配管67が接続された箇所よりも中継配管124側の箇所に設けられている。第6抽出剤供給切換弁112は、第2中間接続配管126のうち第3戻し配管128が接続された箇所よりも中継配管124側の箇所に設けられている。第7抽出剤供給切換弁113は、第3中間接続配管127のうち第4戻し配管129が接続された箇所よりも中継配管124側の箇所に設けられている。
【0157】
また、第8抽出剤供給切換弁114は、中継配管124のうち第1中間接続配管125が接続された箇所よりも第1供給配管65a側の箇所に設けられている。第9抽出剤供給切換弁115は、中継配管124のうち第1中間接続配管125が接続された箇所と第2中間接続配管126が接続された箇所との間の箇所に設けられている。第10抽出剤供給切換弁116は、中継配管124のうち第2中間接続配管126が接続された箇所と第3中間接続配管127が接続された箇所との間の箇所に設けられている。第11抽出剤供給切換弁117は、中継配管124のうち第3中間接続配管127が接続された箇所よりも第2供給配管65d側の箇所に設けられている。
【0158】
第2供給切換装置41は、第2相互作用部8の処理流路72へ中間接続経路部150の第1中間接続配管125を通じて抽出剤タンク2から抽出剤が供給されるのを許容する供給許容状態と、その抽出剤の供給を阻止する供給阻止状態とに切り換え可能に構成されている。この第2供給切換装置41は、供給許容状態として、抽出剤が抽出剤タンク2から第1供給配管65a、中継配管124及び第1中間接続配管125を通って第2相互作用部8の処理流路72へ流れるのを許容する状態と、抽出剤が抽出剤タンク2から第2供給配管65d、中継配管124及び第1中間接続配管125を通って第2相互作用部8の処理流路72へ流れるのを許容する状態とを取り得る。前者の供給許容状態は、第1抽出剤供給切換弁45、第5抽出剤供給切換弁111及び第8抽出剤供給切換弁114が開状態で、且つ、第9抽出剤供給切換弁115、第10抽出剤供給切換弁116及び第11抽出剤供給切換弁117が閉状態になっている状態である。また、後者の供給許容状態は、第1抽出剤供給切換弁45、第5抽出剤供給切換弁111、第9抽出剤供給切換弁115、第10抽出剤供給切換弁116及び第11抽出剤供給切換弁117が開状態で、且つ、第8抽出剤供給切換弁114が閉状態になっている状態である。
【0159】
また、第2供給切換装置41の供給阻止状態は、第1抽出剤供給切換弁45、第5抽出剤供給切換弁111、第8抽出剤供給切換弁114、第9抽出剤供給切換弁115、第10抽出剤供給切換弁116及び第11抽出剤供給切換弁117のいずれもが閉状態になっている状態、もしくは、少なくとも第5抽出剤供給切換弁111が閉状態になっている状態である。
【0160】
第3供給切換装置42は、第3相互作用部9の処理流路72へ中間接続経路部150の第2中間接続配管126を通じて抽出剤タンク2から抽出剤が供給されるのを許容する供給許容状態と、その抽出剤の供給を阻止する供給阻止状態とに切り換え可能に構成されている。この第3供給切換装置42は、供給許容状態として、抽出剤が抽出剤タンク2から第1供給配管65a、中継配管124及び第2中間接続配管126を通って第3相互作用部9の処理流路72へ流れるのを許容する状態と、抽出剤が抽出剤タンク2から第2供給配管65d、中継配管124及び第2中間接続配管126を通って第3相互作用部9の処理流路72へ流れるのを許容する状態とを取り得る。前者の供給許容状態は、第2抽出剤供給切換弁46、第6抽出剤供給切換弁112、第8抽出剤供給切換弁114及び第9抽出剤供給切換弁115が開状態で、且つ、第10抽出剤供給切換弁116及び第11抽出剤供給切換弁117が閉状態になっている状態である。また、後者の供給許容状態は、第2抽出剤供給切換弁46、第6抽出剤供給切換弁112、第10抽出剤供給切換弁116及び第11抽出剤供給切換弁117が開状態で、且つ、第8抽出剤供給切換弁114及び第9抽出剤供給切換弁115が閉状態になっている状態である。
【0161】
また、第3供給切換装置42の供給阻止状態は、第2抽出剤供給切換弁46、第6抽出剤供給切換弁112、第8抽出剤供給切換弁114、第9抽出剤供給切換弁115、第10抽出剤供給切換弁116及び第11抽出剤供給切換弁117のいずれもが閉状態になっている状態、もしくは、少なくとも第6抽出剤供給切換弁112が閉状態になっている状態である。
【0162】
第4供給切換装置152は、第4相互作用部92の処理流路72へ中間接続経路部150の第3中間接続配管127を通じて抽出剤タンク2から抽出剤が供給されるのを許容する供給許容状態と、その抽出剤の供給を阻止する供給阻止状態とに切り換え可能に構成されている。この第4供給切換装置152は、供給許容状態として、抽出剤が抽出剤タンク2から第1供給配管65a、中継配管124及び第3中間接続配管127を通って第4相互作用部92の処理流路72へ流れるのを許容する状態と、抽出剤が抽出剤タンク2から第2供給配管65d、中継配管124及び第3中間接続配管127を通って第4相互作用部92の処理流路72へ流れるのを許容する状態とを取り得る。前者の供給許容状態は、第3抽出剤供給切換弁109、第7抽出剤供給切換弁113、第8抽出剤供給切換弁114、第9抽出剤供給切換弁115及び第10抽出剤供給切換弁116が開状態で、且つ、第11抽出剤供給切換弁117が閉状態になっている状態である。また、後者の供給許容状態は、第3抽出剤供給切換弁109、第7抽出剤供給切換弁113及び第11抽出剤供給切換弁117が開状態で、且つ、第8抽出剤供給切換弁114、第9抽出剤供給切換弁115及び第10抽出剤供給切換弁116が閉状態になっている状態である。
【0163】
また、第4供給切換装置152の供給阻止状態は、第3抽出剤供給切換弁109、第7抽出剤供給切換弁113、第8抽出剤供給切換弁114、第9抽出剤供給切換弁115、第10抽出剤供給切換弁116及び第11抽出剤供給切換弁117のいずれもが閉状態になっている状態、もしくは、少なくとも第7抽出剤供給切換弁113が閉状態になっている状態である。
【0164】
第5供給切換装置153は、第2供給配管65dに設けられている。第5相互作用部93の処理流路72へ第2供給配管65dを通じて抽出剤タンク2から抽出剤が供給されるのを許容する供給許容状態と、その抽出剤の供給を阻止する供給阻止状態とに切り換え可能に構成されている。この第5供給切換装置153は、第2抽出剤供給流量制御弁105と、第4抽出剤供給切換弁110とを有する。
【0165】
第2抽出剤供給流量制御弁105は、第2供給配管65dのうち中継配管124が接続された箇所よりも抽出剤タンク2寄り(抽出剤供給ポンプ19寄り)の箇所に設けられている。この第2抽出剤供給流量制御弁105は、本発明における第2流量制御弁の一例である。
【0166】
第4抽出剤供給切換弁110は、第2供給配管65dのうち中継配管124が接続された箇所よりも第5相互作用部93寄りの箇所に設けられている。この第4抽出剤供給切換弁110は、開閉弁である。
【0167】
第5供給切換装置153の供給許容状態は、第2抽出剤供給流量制御弁105が第2供給配管65dを通じて抽出剤が所定の流量で流れるのを許容し且つ第4抽出剤供給切換弁110が開状態になっている状態である。また、第5供給切換装置153の供給阻止状態は、第2抽出剤供給流量制御弁105が第2供給配管65dを通じて抽出剤が流れるのを阻止且つ第4抽出剤供給切換弁110が閉状態になっている状態である。
【0168】
また、当該第2実施形態における第1戻し切換装置44及び第2戻し切換装置47は、第1実施形態における第1戻し切換装置44及び第2戻し切換装置47と同様に構成されている。
【0169】
第3戻し切換装置156は、第3戻し配管128に設けられている。第3戻し切換装置156は、第4分離容器94内で分離した抽出剤がその第4分離容器94から第3相互作用部9の処理流路72へ第3戻し配管128を通じて流れるのを許容する戻し許容状態と、その抽出剤の流れを阻止する戻し阻止状態とに切り換え可能に構成されている。具体的には、第3戻し切換装置156は、第3戻し配管128のうち第3戻しポンプ98から抽出剤が送出される側の箇所に設けられた第3戻し流量制御弁107からなる。第3戻し切換装置156の戻し許容状態は、第3戻し流量制御弁107が第3戻し配管128を通じて抽出剤が所定の流量で流れるのを許容する状態である。また、第3戻し切換装置156の戻し阻止状態は、第3戻し流量制御弁107が第3戻し配管128を通じて抽出剤が流れるのを阻止する状態である。
【0170】
第4戻し切換装置157は、第4戻し配管129に設けられている。第4戻し切換装置47は、第5分離容器95内で分離した抽出剤がその第5分離容器95から第4相互作用部92の処理流路72へ第4戻し配管129を通じて流れるのを許容する戻し許容状態と、その抽出剤の流れを阻止する戻し阻止状態とに切り換え可能に構成されている。具体的には、第4戻し切換装置157は、第4戻し配管129のうち第4戻しポンプ99から抽出剤が送出される側の箇所に設けられた第4戻し流量制御弁108からなる。第4戻し切換装置157の戻し許容状態は、第4戻し流量制御弁108が第4戻し配管129を通じて抽出剤が所定の流量で流れるのを許容する状態である。また、第4戻し切換装置157の戻し阻止状態は、第4戻し流量制御弁108が第4戻し配管129を通じて抽出剤が流れるのを阻止する状態である。
【0171】
当該第2実施形態による相互作用システム1の上記以外の構成は、第1実施形態による相互作用システム1と同様である。
【0172】
次に、図11図21を参照して、当該第2実施形態による相互作用システム1を、第1~第5処理ユニット4,5,6,80,81のいずれにも抽出剤及び原料液が流入していない稼働停止状態から、第1~第5処理ユニット4,5,6,80,81に対して原料液が順番に流れるとともにその原料液が流れる向きと逆向きに抽出剤が流れ、第1~第5処理ユニット4,5,6,80,81の第1~第5相互作用部7,8,9,92,93の処理流路72においてそれぞれ抽出剤と原料液とによる抽出処理が行われる定常状態に立ち上げるプロセスについて説明する。なお、図11図21では、抽出剤と原料液とがそれぞれ流れている流路が太線で示されている。
【0173】
当該第2実施形態では、原料タンク3から第1相互作用部7への原料液の供給、抽出剤タンク2から第1相互作用部7への抽出剤の供給、第1相互作用部7の処理流路72での抽出処理、第1相互作用部7の出口84から排出されて第1分離容器10内に導入された混合流体の分離、第1分離容器10内で分離した抽出剤(軽液)の抽出剤排出配管68を通じた排出、及び、第1分離容器10内で分離した原料液(重液)の当該第1分離容器10から第2相互作用部8の第2入口86への供給が、前記第1実施形態と同様に行われる(図10図12参照)。
【0174】
そして、当該第2実施形態では、抽出剤タンク2から第2相互作用部8の第1入口85へ抽出剤が供給される際には、第1分離容器10から第2相互作用部8の第2入口86への原料液の流れを検知した第1原料流れセンサ32が制御部55(図10参照)へ検知信号を送信し、制御部55が、その第1原料流れセンサ32からの検知信号を受けて、第1抽出剤供給切換弁45、第5抽出剤供給切換弁111、第9抽出剤供給切換弁115、第10抽出剤供給切換弁116及び第11抽出剤供給切換弁117を開状態に切り換える。同時に、制御部55は、抽出剤供給ポンプ19により送出される抽出剤が第2相互作用部8の第1入口85へ所定の流量で流れるように第2抽出剤供給流量制御弁105の開度を0から上げて所定の開度にする。これにより、図13に示すように、抽出剤が、抽出剤供給経路64の第2供給配管65dから中継配管124と第1中間接続配管125とを通って第2相互作用部8の第1入口85へ流れる。
【0175】
その後、第2相互作用部8の処理流路72での抽出処理、第2相互作用部8の出口87から排出されて第2分離容器11内に導入された混合流体の当該第2分離容器11内での分離、及び、第2分離容器11内で分離した原料液(重液)の当該第2分離容器11から第3相互作用部9の第2入口89への供給が、前記第1実施形態と同様に行われる(図13及び図14参照)。
【0176】
そして、当該第2実施形態では、第2分離容器11内で分離して溜まった抽出剤(軽液)が第1戻し配管66へ流れると、第1抽出剤流れセンサ53が、その抽出剤の流れを検知し、制御部55(図10参照)へ検知信号を送信する。制御部55は、この第1抽出剤流れセンサ53からの検知信号を受けて、抽出剤流入切換弁106及び第1排出切換弁50を閉状態に切り換え、第1戻し流量制御弁36の開度を0から上げて所定の開度にし、第1戻しポンプ21を起動させる。これにより、図15に示すように、抽出剤タンク2から第1相互作用部7の第1入口82への抽出剤の供給が停止され、その代わりに、第2分離容器11内で分離した抽出剤が、第1戻しポンプ21により、第1戻し配管66及び抽出剤供給経路64の第1供給配管65aを通じて第1相互作用部7の第1入口82へ送られる。
【0177】
また、制御部55は、前記のように抽出剤流入切換弁106を閉状態に切り換えるのと同時に、第8抽出剤供給切換弁114を開状態に切り換えるとともに、第9抽出剤供給切換弁115を閉状態に切り換える。これにより、第2相互作用部8の第1入口85には、抽出剤供給ポンプ19によって送出される抽出剤が、抽出剤供給経路64の第1供給配管65aから中継配管124と第1中間接続配管125とを通って供給される。
【0178】
そして、抽出剤タンク2から第3相互作用部9の第1入口88へ抽出剤が供給される際には、第2分離容器11から第3相互作用部9の第2入口89への原料液の流れを検知した第2原料流れセンサ33が制御部55(図10参照)へ検知信号を送信し、制御部55が、その第2原料流れセンサ33からの検知信号を受けて、第2抽出剤供給切換弁46及び第6抽出剤供給切換弁112を開状態に切り換える。これにより、抽出剤供給ポンプ19によって送出される抽出剤が、第2抽出剤供給流量制御弁105によって設定される所定の流量で抽出剤供給経路64の第2供給配管65dから中継配管124と第2中間接続配管126とを通って第3相互作用部9の第1入口88へ送られる。
【0179】
その後、第3相互作用部9の処理流路72での抽出処理、第3相互作用部9の出口90から排出されて第3分離容器12内に導入された混合流体の分離、及び、第3分離容器12内で分離した原料液(重液)の第4相互作用部92の第2入口132への供給(図16参照)が、第2相互作用部8と第2分離容器11とにおいて行われたのと同様に行われる。
【0180】
そして、第3分離容器12内で分離して溜まった抽出剤(軽液)が第2戻し配管67へ流れると、第2抽出剤流れセンサ54が、その抽出剤の流れを検知し、制御部55(図10参照)へ検知信号を送信する。制御部55は、この第2抽出剤流れセンサ54からの検知信号を受けて、第5抽出剤供給切換弁111及び第2排出切換弁51を閉状態に切り換え、第2戻し流量制御弁40の開度を0から上げて所定の開度にし、第2戻しポンプ22を起動させる。これにより、図17に示すように、抽出剤タンク2から第2相互作用部8の第1入口85への抽出剤の供給が停止され、その代わりに、第3分離容器12内で分離した抽出剤が、第2戻しポンプ22により、第2戻し配管67及び第1中間接続配管125を通じて第2相互作用部8の第1入口85へ送られる。
【0181】
また、制御部55は、前記のように第5抽出剤供給切換弁111を閉状態に切り換えるのと同時に、第9抽出剤供給切換弁115を開状態に切り換えるとともに、第10抽出剤供給切換弁116を閉状態に切り換える。これにより、第3相互作用部9の第1入口88には、抽出剤供給ポンプ19によって送出される抽出剤が、抽出剤供給経路64の第1供給配管65aから中継配管124と第2中間接続配管126とを通って供給される。
【0182】
そして、抽出剤タンク2から第4相互作用部92の第1入口131へ抽出剤が供給される際には、第3分離容器12から第4相互作用部92の第2入口132への原料液の流れを検知した第3原料流れセンサ102が制御部55(図10参照)へ検知信号を送信し、制御部55が、その第3原料流れセンサ102からの検知信号を受けて、第3抽出剤供給切換弁109及び第7抽出剤供給切換弁113を開状態に切り換える。これにより、抽出剤供給ポンプ19によって送出される抽出剤が、第2抽出剤供給流量制御弁105によって設定される所定の流量で抽出剤供給経路64の第2供給配管65dから中継配管124と第3中間接続配管127とを通って第4相互作用部92の第1入口131へ送られる。
【0183】
その後、第4相互作用部92の処理流路72での抽出処理、第4相互作用部92の出口133から排出されて第4分離容器94内に導入された混合流体の分離、及び、第4分離容器94内で分離した原料液(重液)の第5相互作用部93の第2入口142への供給(図18参照)が、第3相互作用部9と第3分離容器12とにおいて行われたのと同様に行われる。
【0184】
そして、第4分離容器94内で分離して溜まった抽出剤(軽液)が第3戻し配管128へ流れると、第3抽出剤流れセンサ120が、その抽出剤の流れを検知し、制御部55(図10参照)へ検知信号を送信する。制御部55は、この第3抽出剤流れセンサ120からの検知信号を受けて、第6抽出剤供給切換弁112及び第3排出切換弁118を閉状態に切り換え、第3戻し流量制御弁107の開度を0から上げて所定の開度にし、第3戻しポンプ98を起動させる。これにより、図19に示すように、抽出剤タンク2から第3相互作用部9の第1入口88への抽出剤の供給が停止され、その代わりに、第4分離容器94内で分離した抽出剤が、第3戻しポンプ98により、第3戻し配管128及び第2中間接続配管126を通じて第3相互作用部9の第1入口88へ送られる。
【0185】
また、制御部55は、前記のように第6抽出剤供給切換弁112を閉状態に切り換えるのと同時に、第10抽出剤供給切換弁116を開状態に切り換えるとともに、第11抽出剤供給切換弁117を閉状態に切り換える。これにより、第4相互作用部92の第1入口131には、抽出剤供給ポンプ19によって送出される抽出剤が、抽出剤供給経路64の第1供給配管65aから中継配管124と第3中間接続配管127とを通って供給される。
【0186】
そして、抽出剤タンク2から第5相互作用部93の第1入口141へ抽出剤が供給される際には、第4分離容器94から第5相互作用部93の第2入口142への原料液の流れを検知した第4原料流れセンサ103が制御部55へ検知信号を送信し、制御部55が、その第4原料流れセンサ103からの検知信号を受けて、第4抽出剤供給切換弁110を開状態に切り換える。これにより、抽出剤供給ポンプ19によって送出される抽出剤が、第2抽出剤供給流量制御弁105によって設定される所定の流量で抽出剤供給経路64の第2供給配管65dを通って第5相互作用部93の第1入口141へ送られる。
【0187】
その後、第5相互作用部93の処理流路72での抽出処理、及び、第5相互作用部93の出口143から排出されて第5分離容器95内に導入された混合流体の当該第5分離容器95内での分離が、第3相互作用部8と第3分離容器12とにおいて行われたのと同様に行われる。
【0188】
そして、制御部55は、第5レベル計97から取得した情報に基づいて原料排出切換弁29を開状態に切り換え、第5分離容器95内で分離した抽出処理後の原料液を、原料排出配管62を通じて相互作用システム1の外部へ排出させる(図20参照)。
【0189】
また、第5分離容器95内で分離して溜まった抽出剤(軽液)が第4戻し配管129へ流れると、第4抽出剤流れセンサ121が、その抽出剤の流れを検知し、制御部55へ検知信号を送信する。制御部55は、この第4抽出剤流れセンサ121からの検知信号を受けて、第7抽出剤供給切換弁113及び第4排出切換弁119を閉状態に切り換え、第4戻し流量制御弁108の開度を0から上げて所定の開度にし、第4戻しポンプ99を起動させる。これにより、図21に示すように、抽出剤タンク2から第4相互作用部92の第1入口131への抽出剤の供給が停止され、その代わりに、第5分離容器95内で分離した抽出剤が、第4戻しポンプ99により、第4戻し配管129及び第3中間接続配管127を通じて第4相互作用部92の第1入口131へ送られる。
【0190】
以上のようにして、当該第2実施形態による相互作用システム1が前記定常状態に立ち上がる。
【0191】
当該第2実施形態による相互作用システム1の立ち上げ方法の上記以外のプロセスは、前記第1実施形態と同様である。
【0192】
(第2実施形態による効果)
この第2実施形態では、相互作用システム1の立ち上げ時に抽出剤タンク2から第1~第5処理ユニット4,5,6,80,81の第1~第5相互作用部7,8,9,92,93の処理流路72へそれぞれ供給される抽出剤の流量を個別に制御できるようにしつつ、第1~第5相互作用部7,8,9,92,93の数に対する流量制御弁の数を削減して相互作用システム1の製造コストを抑制することができる。
【0193】
具体的に、当該第2実施形態では、抽出剤タンク2から第1相互作用部7の処理流路72へ供給される抽出剤の流量は第1抽出剤供給流量制御弁35によって制御することができ、抽出剤タンク2から第5相互作用部93の処理流路72へ供給される抽出剤の流量は第2抽出剤供給流量制御弁105によって制御することができる。そして、第2~第4相互作用部8,9,92の処理流路72へ抽出剤タンク2から供給される抽出剤の流量は、第1抽出剤供給流量制御弁35と第2抽出剤供給流量制御弁105とのいずれか一方を利用して制御することができる。具体的には、第5~第11抽出剤供給切換弁111,112,113,114,115,116,117の開閉が切り換えられることにより、抽出剤タンク2から第2~第4相互作用部8,9,92の処理流路72へ抽出剤が流れる経路を、第1抽出剤供給流量制御弁35を通る経路と第2抽出剤供給流量制御弁105を通る経路とのいずれか一方にすることができ、第1抽出剤供給流量制御弁35と第2抽出剤供給流量制御弁105とのいずれか一方を利用して第2~第4相互作用部8,9,92のそれぞれの処理流路72へ抽出剤タンク2から供給される抽出剤の流量をそれぞれ制御することができる。よって、当該第2実施形態では、相互作用システム1の立ち上げ時に抽出剤タンク2から第1~第5相互作用部7,8,9,92,93の処理流路72へそれぞれ供給される抽出剤の流量を個別に制御できるとともに、第1~第5相互作用部7,8,9,92,93の数(5つ)に対する第1及び第2抽出剤供給流量制御弁35,105の数(2つ)を削減することができる。ただし、流量制御弁の数を削減できる代わりに、第5~第11抽出剤供給切換弁111,112,113,114,115,116,117が必要となるが、流量制御弁は第5~第11抽出剤供給切換弁111,112,113,114,115,116,117のような開閉の切換機能のみを有する開閉弁に比べて著しく高価であるため、流量制御弁の数の削減によるコスト低減の効果が大きく、相互作用システム1の製造コストを抑制することができる。
【0194】
第2実施形態による上記以外の効果は、前記第1実施形態による効果と同様である。
【0195】
(変形例)
本発明による相互作用システム及び相互作用方法は、前記各実施形態のようなものに必ずしも限定されない。本発明による相互作用システム及び相互作用方法には、例えば以下のような技術を採用することが可能である。
【0196】
前記第1実施形態の相互作用システムの構成において、処理ユニットの数は、必ずしも3つに限定されるものではなく、3つ以上の任意の数であってもよい。
【0197】
また、前記第2実施形態の相互作用システムの構成において、処理ユニットの数は、必ずしも5つに限定されるものではなく、3つ以上の任意の数であればよい。
【0198】
例えば、前記第2実施形態の相互作用システムの構成において処理ユニットの数が5つよりも多くなったとしても、それらの処理ユニットのそれぞれの相互作用部の処理流路へ抽出剤タンクから供給される抽出剤の流量を第1抽出剤供給流量制御弁と第2抽出剤供給流量制御弁との2つの流量制御弁によって制御することができる。このように処理ユニットの数がより増加した場合には、処理ユニットの相互作用部の数に対する流量制御弁の数の差がより大きくなり、相互作用システム1の製造コストの抑制効果がより大きくなる。
【0199】
また、逆に、処理ユニットの数は5つより少なくてもよく、例えば、処理ユニットの数が3つである場合の前記第2実施形態の一変形例による相互作用システム1の構成が図22に示されている。
【0200】
この変形例による相互作用システム1では、その立ち上げの過程において、初段処理ユニットである第1処理ユニット4の第1相互作用部7の処理流路72へ抽出剤タンク2から供給される抽出剤の流量を第1抽出剤供給流量制御弁35によって制御できるとともに、最終段処理ユニットである第3処理ユニット6の第3相互作用部9の処理流路72へ抽出剤タンク2から供給される抽出剤の流量を第2抽出剤供給流量制御弁105によって制御でき、中間処理ユニットである第2処理ユニット5の第2相互作用部8の処理流路72へ抽出剤タンク2から供給される抽出剤の流量を第1抽出剤供給流量制御弁35と第2抽出剤供給流量制御弁105とのいずれか一方によって制御することができる。
【0201】
この変形例による相互作用システム1では、第2供給切換装置41が、第1中間接続配管125に設けられた第1抽出剤供給切換弁45と、中継配管124に設けられた第3抽出剤供給切換弁162及び第4抽出剤供給切換弁163とを有する。抽出剤タンク2から第2相互作用部8の処理流路72へ抽出剤が供給されるときには、第1抽出剤供給切換弁45及び第3抽出剤供給切換弁162が開状態とされるとともに第4抽出剤供給切換弁163が閉状態とされることによって第1抽出剤供給流量制御弁35を通る経路で第2相互作用部8の処理流路72へ抽出剤が供給されるか、もしくは、第1抽出剤供給切換弁45及び第4抽出剤供給切換弁163が開状態とされるとともに第3抽出剤供給切換弁162が閉状態とされることによって第2抽出剤供給流量制御弁105を通る経路で第2相互作用部8の処理流路72へ抽出剤が供給される。このため、第2処理ユニット5の第2相互作用部8の処理流路72へ抽出剤タンク2から供給される抽出剤の流量を第1抽出剤供給流量制御弁35と第2抽出剤供給流量制御弁105とのいずれか一方によって制御することができる。
【0202】
よって、この変形例では、相互作用システム1の立ち上げ時に抽出剤タンク2から第1~第3相互作用部7,8,9の処理流路72へ供給される抽出剤の流量を個別に制御でき、しかも、第1~第3相互作用部7,8,9の数(3つ)に対して第1及び第2抽出剤供給流量制御弁35,105の数(2つ)が少なくてすむので、流量制御弁の数の削減による相互作用システム1の製造コストの低減効果が得られる。
【0203】
本発明における第1流体と第2流体は、必ずしも液体に限定されず、第1流体と第2流体の一方もしくは両方が気体であってもよい。
【0204】
本発明における第1流体と第2流体との相互作用は、原料液から特定成分を抽出して抽出剤中に移動させる抽出処理に必ずしも限定されない。例えば、ある対象気体中の特定成分を吸収液に吸収させる吸収処理や、2つの流体同士を接触させて化学反応させる処理等も本発明における相互作用の概念に含まれ、本発明による相互作用システム及び相互作用方法は、そのような処理についても適用可能である。吸収処理の場合は、吸収液が本発明における第1流体に相当し、対象気体が本発明における第2流体に相当する。また、化学反応の場合は、その化学反応を生じる2つの流体の一方が本発明の第1流体に相当し、他方が本発明の第2流体に相当する。
【0205】
また、本発明における前段処理ユニットは、相互作用システムが備える複数の処理ユニットに対して第2流体が流れる順番において後段処理ユニットの1つ前の処理ユニットに必ずしも限定されず、後段処理ユニットの2つ以上前の処理ユニットであってもよい。
【符号の説明】
【0206】
1 相互作用システム
2 抽出剤タンク(第1流体タンク)
3 原料タンク(第2流体タンク)
4 第1処理ユニット
5 第2処理ユニット
6 第3処理ユニット
7 第1相互作用部
8 第2相互作用部
9 第3相互作用部
10 第1分離容器
11 第2分離容器
12 第3分離容器
32 第1原料流れセンサ(第2流体流れセンサ)
33 第2原料流れセンサ(第2流体流れセンサ)
35 第1抽出剤供給流量制御弁(流量制御弁)
37 第1供給切換装置(第1流体供給切換装置)
39 第2抽出剤供給流量制御弁(流量制御弁)
41 第2供給切換装置(第1流体供給切換装置)
42 第3供給切換装置(第1流体供給切換装置)
44 第1戻し切換装置(第1流体戻し切換装置)
47 第2戻し切換装置(第1流体戻し切換装置)
53 第1抽出剤流れセンサ(第1流体流れセンサ)
54 第2抽出剤流れセンサ(第1流体流れセンサ)
55 制御部
64 抽出剤供給経路(第1流体経路)
65a 第1供給配管(接続経路部)
65b 第2供給配管(接続経路部)
65c 第3供給配管(接続経路部)
66 第1戻し配管
67 第2戻し配管
72 処理流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22