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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20230116BHJP
【FI】
B60N2/28
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019203258
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021075155
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 健治
(72)【発明者】
【氏名】玉井 孝昌
(72)【発明者】
【氏名】辻 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】鹿嶋 功
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102017009056(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015221450(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャイルドシートの係止部材と係止されるアンカが配置された凹部と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材と、を有する乗り物用シートであって、
前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部と、を備え、
前記本体部は、前記スリット部の前記底部側の入口の少なくとも一部を覆う蓋部を備え
前記蓋部は、前記本体部の内部に挿通されている前記アンカの延びる方向における幅が前記スリット部の前記方向における幅と同じ部分を含む乗り物用シート。
【請求項2】
チャイルドシートの係止部材と係止されるアンカが配置された凹部と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材と、を有する乗り物用シートであって、
前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部と、を備え、
前記本体部は、前記スリット部の前記底部側の入口の少なくとも一部を覆う蓋部を備え、
前記蓋部は、前記本体部の内部に挿通されている前記アンカの延びる方向における幅が前記スリット部よりも大きい乗り物用シート。
【請求項3】
請求項2記載の乗り物用シートであって、
前記蓋部は、前記方向において、前記スリット部の両端よりも外側にはみ出ている乗り物用シート。
【請求項4】
チャイルドシートの係止部材と係止されるアンカが配置された凹部と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材と、を有する乗り物用シートであって、
前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部と、を備え、
前記本体部は、前記スリット部の前記底部側の入口の少なくとも一部を覆う蓋部を備え、
前記スリット部は、前記アンカが挿通されている第一領域と前記入口との間に、前記アンカの径よりも小さい第二領域を有し、
前記本体部は、前記スリット部の前記第二領域及び前記第一領域から、前記本体部の内部に挿通されている前記アンカの延びる方向の外側に向けて突出する突出部を備える乗り物用シート。
【請求項5】
チャイルドシートの係止部材と係止されるアンカが配置された凹部と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材と、を有する乗り物用シートであって、
前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部と、を備え、
前記本体部は、前記スリット部の前記底部側の入口の少なくとも一部を覆う蓋部を備え、
前記スリット部は、前記アンカが挿通されている第一領域と前記入口との間に、前記アンカの径よりも小さい第二領域を有し、
前記スリット部は、前記第一領域と、前記第二領域と、前記第二領域よりも広い第三領域と、を含み、
前記第三領域の少なくとも一部が前記蓋部によって覆われている乗り物用シート。
【請求項6】
チャイルドシートの係止部材と係止されるアンカが配置された凹部と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材と、を有する乗り物用シートであって、
前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部と、を備え、
前記本体部は、前記スリット部の前記底部側の入口の少なくとも一部を覆う蓋部を備え、
前記本体部は、前記スリット部から、前記本体部の内部に挿通されている前記アンカの延びる方向の外側に向けて突出する突出部を備える乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チャイルドシートを保持するためのアンカが配置された凹部と、この凹部をカバーするカバー部材と、を有する車両用シートが記載されている。このカバー部材は、不織布に合成樹脂材を含浸させて略容体状に成形されたものであり、シートの外被部材に縫着して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-64636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、弾性変形可能なカバー部材を採用する場合には、カバー部材のスリットを通して、シートのパッドやワイヤ等の内部構造が極力見えないようにすることが求められる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、美観性を向上させることのできる乗り物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乗り物用シートは、チャイルドシートの係止部材と係止されるアンカが配置された凹部と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材と、を有する乗り物用シートであって、前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部と、を備え、前記本体部は、前記スリット部の前記底部側の入口の少なくとも一部を覆う蓋部を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、美観性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態である車両用シート10の一部破断の概略側面図である。
図2図1に示すカバー部材40の斜視図である。
図3図2に示すカバー部材40をシートクッション14の凹部14B側から見た斜視図である。
図4図2に示すカバー部材40を左右方向に見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(乗り物用シートの構成)
図1は、本発明の一実施形態である車両用シートの一部破断の概略側面図である。図1に示すように、車両用シート10は、正規の姿勢で着座した人の背中と対面するシートバック12と、正規の姿勢で着座した人の足及び腰が載置されるシートクッション14と、を備える。車両用シート10は、自動車や電車等の車両に搭載して用いられる。
【0011】
以下では、車両用シート10に正規の姿勢にて人が着座した状態において、その人の正面の方向を前方向Frと記載し、その人の背面の方向を後方向Rrと記載する。前方向Frと後方向Rrを総称して前後方向とも記載する。また、その人を前方向Frに向かって見た時のその人の右方向(図1の紙面手前から奥に向かう方向)を右方向Rと記載する。また、その人を前方向Frに向かって見た時のその人の左方向(図1の紙面奥から手前に向かう方向)を左方向Lと記載する。右方向Rと左方向Lを総称して左右方向とも記載する。
【0012】
図1に示す車両用シート10にはチャイルドシート20が固定可能となっている。チャイルドシート20は、車両用シート10の前面側に設けられたアンカ30に係止可能な係止部材24を備えている。
【0013】
シートバック12は、その骨格となるシートバックフレーム(図示省略)に発泡ウレタン等の発泡材からなるパッドが被せられ、このパッドがトリムカバーで被覆されて構成されている。
【0014】
シートクッション14は、その骨格となるシートクッションフレーム(図示省略)に発泡ウレタン等の発泡材からなるパッド14Aが被せられ、このパッド14Aがトリムカバー16で被覆されて構成されている。シートクッション14には、その前面側且つ後端部に、チャイルドシート20の係止部材24が係止可能な左右一対のアンカ30が設けられている。アンカ30は、例えばISO-FIXタイプのものである。
【0015】
チャイルドシート20は、後方向Rrへ延びた左右一対の係止部材24を背面22の下部に有する。例えば、これら係止部材24の先端に形成された長溝状の切欠き24aを、対応するアンカ30に係止させることにより、チャイルドシート20がアンカ30に保持される。
【0016】
シートクッション14のパッド14Aには、その後端部前面において、アンカ30が配置された凹部14Bが形成されている。凹部14Bは、アンカ30のフロントバー30bが露出する状態にて、後述するカバー部材40によって覆われている。
【0017】
シートクッション14のトリムカバー16には、凹部14Bと対面する位置に開口が形成されている。そして、トリムカバー16の上記の開口は、カバー部材40のフランジ部42(図2から図4参照)と縫合されることで、閉じられた構成となっている。
【0018】
アンカ30は、円柱状のワイヤ材を折り曲げ加工して形成された略U字状の形状となっており、前後方向に互いに平行に延びた左右のサイドバー30aの前端を、左右方向に延びたフロントバー30bで連結した構成となっている。このフロントバー30bに、チャイルドシート20の係止部材24が係止可能となっている。アンカ30は、シートクッション14のシートクッションフレームに固定されている。
【0019】
なお、図1の例では、アンカ30がシートクッション14に設けられているが、シートバック12の下端部前面にアンカ30が設けられる構成であってもよい。また、アンカ30は、車両用シート10が搭載される車両のボディ(車体)に固定されていてもよい。
【0020】
(カバー部材の構成)
図2は、図1に示すカバー部材40を前側から見た斜視図である。図3は、図2に示すカバー部材40をシートクッション14の凹部14B側から見た斜視図である。図4は、図2に示すカバー部材40を左右方向に見た側面図である。図2及び図3では、アンカ30の図示は省略されている。
【0021】
カバー部材40は、弾性変形可能な可撓性を有するものであり、エラストマー等の軟質性の樹脂材料等が例えば射出成形等によって成形されたものである。カバー部材40は、シートクッション14の凹部14B内に配置された、開口41kを有する容器状の本体部41と、蓋部45と、を備える。
【0022】
本体部41は、その底部と側部が凹部14B内に配置されている。本体部41は、開口41kの縁より外方に鍔状に延設されたフランジ部42を有する。本体部41の底部とは、本体部41が延びる方向(開口41kの開口面に略垂直な方向)におけるフランジ部42側と反対側の端の部分である。本体部41の側部は、この底部とフランジ部42とを繋いでいる部分である。フランジ部42には、シートクッション14のトリムカバー16と縫合される縫合領域(図示省略)が設けられている。
【0023】
本体部41には、その底部から左右の両側部にわたって形成されたスリット部43が設けられている。スリット部43は、図4に示すように、左右方向に直交する方向X(換言すると、本体部41の底面から開口41kに向かう方向)に延びて形成されている。そして、スリット部43は、開口41k側の端部を構成する第一領域431と、本体部41の底部側の端部を構成する第三領域433と、第一領域431と第三領域433の間の第二領域432と、によって構成されている。図4では、左右方向及び方向Xに直交する方向を方向Yと記載している。
【0024】
第一領域431は、アンカ30のフロントバー30bが挿通されている領域である。第一領域431にフロントバー30bが挿通されることで、フロントバー30bが本体部41の内部にて車両用シート10の外部に露出する構成となっている。第一領域431の方向Yの幅は、フロントバー30bの外径と同じかそれよりも僅かに大きくなっている。
【0025】
第二領域432は、第一領域431よりも狭い領域となっている。具体的には、第二領域432の方向Yの幅は、第一領域431の方向Yの幅よりも小さくなっている。第二領域432の方向Yの幅は、フロントバー30bの外径よりも小さくなっていることが好ましい。
【0026】
第三領域433は、スリット部43における本体部41の底部側の入口を構成しており、第二領域432よりも広い領域となっている。具体的には、第三領域433の方向Yの幅は、第二領域432の方向Yの幅よりも大きくなっている。第三領域433の方向Yの幅は、フロントバー30bの外径よりも大きくなっていることが好ましい。
【0027】
蓋部45は、本体部41におけるスリット部43の第三領域433の方向Yの一端(図4中の下端)から方向Yに延びて形成された平面視略T字状の部分である。図3に示すように、蓋部45は、左右方向の幅がスリット部43の幅と同じである中心部45Cと、中心部45Cの右端部の上部から右方向Rに延びた右拡張部45Rと、中心部45Cの左端部の上部から左方向Lに延びた左拡張部45Lと、を備える。
【0028】
方向Xに見た状態では、中心部45Cによってスリット部43の第三領域433の大部分(図4中の隙間S1を除く部分)が閉じられて(覆われて)おり、スリット部43の右端部よりも外側に右拡張部45Rがはみ出し、スリット部43の左端部よりも外側に左拡張部45Lがはみ出す構成となっている。なお、隙間S1をなくし、中心部45Cによってスリット部43の第三領域433の全体が覆われる構成としてもよい。
【0029】
本体部41には、第一領域431及び第二領域432における方向Yの一端(シートバック12側と反対側の端部)に、左右方向の外側に突出する一対の突出部44が形成されている。突出部44は、スリット部43の外縁形状に沿った側面視略S字状の板状となっている。
【0030】
以上の構成のカバー部材40は次のようにして凹部14Bに装着される。まず、カバー部材40が縫合されたトリムカバー16によってシートクッション14のパッド14Aを覆う。この状態にて、カバー部材40の本体部41を凹部14Bに押し込む。この際、カバー部材40の蓋部45を弾性変形させて、スリット部43の入口を広げて、第三領域433にフロントバー30bを押し込む。更に、本体部41を弾性変形させながら、フロントバー30bを第二領域432に押し込み、ここを通過させて、フロントバー30bを第一領域431に到達させる。
【0031】
カバー部材40は、図2に示すように、本体部41の内部を開口41k側から方向Xに対し斜めに見た状態では、蓋部45の中心部45Cによって、凹部14Bにおけるスリット部43の入口の裏側の部分が目隠しされた状態となる。また、蓋部45の左拡張部45L及び右拡張部45Rによって、凹部14Bにおける第三領域433の左右方向外側の部分が目隠しされた状態となる。また、一対の突出部44によって、凹部14Bにおける第一領域431及び第二領域432の左右方向外側の部分が目隠しされた状態となる。
【0032】
(実施形態の効果)
車両用シート10は、蓋部45を有する構成であるため、カバー部材40の本体部41の内部を観察した際に、スリット部43の入口が蓋部45によって目隠しされた状態となり、凹部14Bの内部が観察されるのを防ぐことができる。この結果、美観性を向上させることができる。また、カバー部材40のスリット部43にフロントバー30bを通す際には、蓋部45を変形させてスリット部43の入口を広げることができるため、スリット部43にフロントバー30bを挿通する際の作業効率を向上させることができる。
【0033】
また、車両用シート10では、カバー部材40の蓋部45の左右方向における幅がスリット部43よりも大きくなっている。この構成によれば、カバー部材40の本体部41の内部を観察した際に、本体部41の側部に形成されたスリット部43と観察者とを結ぶ線の延長線上に蓋部45が存在するため、凹部14Bの内部の観察防止効果を高めることができる。特に、蓋部45が左拡張部45Lと右拡張部45Rを持つ構成とすることで、凹部14Bの内部の観察防止効果をより高めることができる。
【0034】
また、車両用シート10では、カバー部材40のスリット部43が、第一領域431と第三領域433の間に、これらよりも小さい第二領域432を有している。この構成によれば、第一領域431と第三領域433との間の狭い第二領域432に隣接する本体部41の部分を目隠しとして機能させることができる。このため、凹部14Bの内部の観察防止効果を高めることができる。また、第二領域432がフロントバー30bの径よりも小さいことで、車両用シート10に荷重が加わった場合でも、第一領域431に挿入されているフロントバー30bがスリット部43から外れてしまうのを防ぐことができる。
【0035】
また、車両用シート10では、カバー部材40の本体部41が突出部44を備えている。この構成によれば、カバー部材40のスリット部43にフロントバー30bを通す際に、突出部44の左右方向の幅を利用して、この突出部44をガイドとして利用することができる。このため、スリット部43にフロントバー30bを挿通する際の作業効率を向上させることができる。また、突出部44が目隠しとしても機能し得るため、美観性を更に向上させることができる。
【0036】
また、車両用シート10では、カバー部材40のスリット部43が、第一領域431と、第二領域432と、第三領域433とによって構成されている。この構成によれば、スリット部43にフロントバー30bを通す際には、蓋部45を変形させてスリット部43の入口を広げることで、スリット部43の第三領域433にフロントバー30bを容易に通すことができる。その後は、第二領域432を広げながらフロントバー30bをスリット部43に対して相対移動させることで、第一領域431にフロントバー30bを安定して配置することができる。これにより、スリット部43にフロントバー30bを挿通する際の作業効率を向上させることができる。
【0037】
(実施形態の変形例)
蓋部45は、中心部45Cのみによって構成されていてもよい。この構成であっても美観性を十分に向上させることができる。
【0038】
蓋部45は、中心部45Cと、左拡張部45L及び右拡張部45Rのいずれか一方と、によって構成されていてもよい。この構成であっても美観性を十分に向上させることができる。
【0039】
突出部44は必須ではなく省略されてもよい。この構成であっても、第二領域432が狭くなっていることで、スリット部43から凹部14Bの内部構造を観察しにくくする効果を得ることができる。
【0040】
スリット部43は、第一領域431のみで構成されていてもよい。つまり、スリット部43は、本体部41の底部から方向Xに延びる、方向Yの幅が略一定の構成としてもよい。この構成であっても、蓋部45があることで、凹部14Bの内部構造が観察されるのを防ぐことができる。
【0041】
以上の説明では、乗り物用シートの一実施形態として、自動車などに搭載される車両用シート10を例にした。しかし、本発明は、自動車等の車両に搭載されるシートに限らず、自動車を含む、電車、航空機、及び船舶などの乗り物に搭載されるシートであれば適用可能である。
【0042】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0043】
(1)
チャイルドシート(チャイルドシート20)の係止部材(係止部材24)と係止されるアンカ(アンカ30のフロントバー30b)が配置された凹部(凹部14B)と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材(カバー部材40)と、を有する乗り物用シート(車両用シート10)であって、
前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部(本体部41)と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部(スリット部43)と、を備え、
前記本体部は、前記スリット部の前記底部側の入口の少なくとも一部を覆う蓋部(蓋部45)を備える乗り物用シート。
【0044】
(1)によれば、カバー部材の本体部の内部を観察した際に、スリット部の入口が蓋部によって目隠しされた状態となるため、凹部の内部構造が観察されるのを防ぐことができる。この結果、美観性を向上させることができる。また、カバー部材のスリット部にアンカを通す際には、例えば、蓋部を変形させてスリット部の入口を広げることで、スリット部にアンカを挿通する際の作業効率を向上させることができる。
【0045】
(2)
(1)記載の乗り物用シートであって、
前記蓋部は、前記本体部の内部に挿通されている前記アンカの延びる方向(左右方向)における幅が前記スリット部よりも大きい乗り物用シート。
【0046】
(2)によれば、カバー部材の本体部の内部を観察した際に、本体部の側部に形成されたスリット部と観察者とを結ぶ線の延長線上に蓋部が存在するため、凹部の内部の観察防止効果を高めることができる。
【0047】
(3)
(2)記載の乗り物用シートであって、
前記蓋部は、前記方向において、前記スリット部の両端よりも外側にはみ出ている乗り物用シート。
【0048】
(3)によれば、凹部の内部の観察防止効果を高めることができる。
【0049】
(4)
(1)から(3)のいずれか1つに記載の乗り物用シートであって、
前記スリット部は、前記アンカが挿通されている第一領域(第一領域431)と前記入口との間に、前記アンカの径よりも小さい第二領域(第二領域432)を有する乗り物用シート。
【0050】
(4)によれば、第一領域と入口との間の狭い第二領域に隣接する本体部の部分を目隠しとして機能させることができる。このため、凹部の内部の観察防止効果を高めることができる。また、第二領域がアンカの径よりも小さいことで、シートに荷重が加わった場合でも、第一領域に挿入されているアンカがスリット部から外れてしまうのを防ぐことができる。
【0051】
(5)
(4)記載の乗り物用シートであって、
前記本体部は、前記スリット部の前記第二領域及び前記第一領域から、前記本体部の内部に挿通されている前記アンカの延びる方向(左右方向)の外側に向けて突出する突出部(突出部44)を備える乗り物用シート。
【0052】
(5)によれば、カバー部材のスリット部にアンカを通す際に、突出部をガイドとして利用することができる。このため、スリット部にアンカを挿通する際の作業効率を向上させることができる。また、突出部が目隠しとしても機能し得るため、美観性を更に向上させることができる。
【0053】
(6)
(4)又は(5)記載の乗り物用シートであって、
前記スリット部は、前記第一領域と、前記第二領域と、前記第二領域よりも広い第三領域(第三領域433)と、を含み、
前記第三領域の少なくとも一部が前記蓋部によって覆われている乗り物用シート。
【0054】
(6)によれば、カバー部材のスリット部にアンカを通す際には、例えば、蓋部を変形させてスリット部の入口を広げることで、スリット部の第三領域にアンカを容易に通すことができる。その後は、スリット部の第二領域を広げながらアンカをスリット部に対して相対移動させることで、第一領域にアンカを安定して配置することができる。これにより、スリット部にアンカを挿通する際の作業効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0055】
S1 隙間
10 車両用シート
12 シートバック
14A パッド
14B 凹部
14 シートクッション
16 トリムカバー
20 チャイルドシート
24 係止部材
30a サイドバー
30b フロントバー
30 アンカ
40 カバー部材
41k 開口
41 本体部
42 フランジ部
43 スリット部
44 突出部
45C 中心部
45L 左拡張部
45R 右拡張部
45 蓋部
431 第一領域
432 第二領域
433 第三領域
図1
図2
図3
図4