(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】ダブルエスプレッソ、ダブルルンゴ及びダブルリストレットのようなダブル飲料を入れるためのカプセル、システム及び当該システムの使用
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20230116BHJP
【FI】
A47J31/36 122
(21)【出願番号】P 2019505442
(86)(22)【出願日】2017-08-03
(86)【国際出願番号】 NL2017050522
(87)【国際公開番号】W WO2018026280
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-28
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】メルローズ,ジョーン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュース,リチャード ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】ハープレー,ポール ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】デ グラーフ,ガーブランド クリスティアーン
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/144356(WO,A1)
【文献】特表2013-512741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルエスプレッソ、シングルリストレット又はシングルルンゴを調製するための第1のタイプのカプセル、およびダブルエスプレッソ、ダブルリストレット又はダブルルンゴを調製するための第2のタイプのカプセルを有するカプセルのセットであって、該シングルエスプレッソ、シングルリストレット又はシングルルンゴおよび該ダブルエスプレッソ、ダブルリストレット又はダブルルンゴは、それぞれ、類似の強さ及び収率を有し、各カプセルは、
円錐台形のカプセル本体であって、
カップ本体の中心軸の周りに延びる周側壁と、
前記カプセル本体の第1の端部を閉鎖するために前記周側壁の第1の端部と接続された底壁と、
前記周側壁の第2の端部から半径方向外向きに延びるフランジと、
前記フランジと接続された箔の蓋と、
前記カプセル本体及び前記蓋によって画定される内部空間内に収容されたコーヒー粉砕物のコーヒー床であって、前記コーヒー床は前記周側壁の前記第2の端部における前記カップ本体の内径と対応する最大コーヒー床直径を有し、前記内部空間は前記底壁と前記周側壁の前記第2の端部が延びる平面との間の最大距離によって規定される高さを有するコーヒー床と、
を含み、
上記第2のタイプのカプセルの頂部半径、底部半径及び高さを、上記第1のタイプのカプセルに相対的に一つのスケールファクタによって縮尺または拡大され、
上記スケールファクタは、1.3から1.7に範囲にあり、
前記第1のタイプのカプセル内の前記コーヒー床の重量は5~6グラムの範囲であり、 前記第2のタイプのカプセル内の前記コーヒー床の重量は9~13グラムの範囲であり、前記第2のタイプのカプセル内のコーヒー床の(高さ)/(最大直径)の比は0.9~1.2の範囲である、
前記カプセルのセット。
【請求項2】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、(前記内部空間の前記高さ)/(前記周側壁の前記第2の端部における前記カップ本体の内径)の比は0.9~1.2の範囲である、請求項1に記載のカプセルのセット。
【請求項3】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記コーヒー床の高さは前記内部空間の前記高さと同じである、請求項1又は2に記載のカプセルのセット。
【請求項4】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記コーヒー床の前記重量は10.0~12.5グラムの範囲である、請求項1~3のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項5】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記コーヒー床の体積は前記内部空間の体積と同じであり及び/又は前記(コーヒー床の体積)/(内部空間の体積)の比は0.6~1.0の範囲である、請求項1~4のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項6】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記内部空間の体積は25.0~30.0mLの範囲である、請求項1~5のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項7】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記コーヒー床の体積は25.0~30.0mLの範囲である、請求項1~6のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項8】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記内部空間の前記高さは37.0~39.0mmの範囲であり、及び/又は
前記周側壁の第2の端部における前記カプセル本体の内径(カップ本体開口部直径)は33.0~35.0mmの範囲であり、及び/又は
前記周側壁の前記第1の端部における前記カプセル本体の内径(底部直径)は27~30mmの範囲である、
請求項1~7のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項9】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記カプセル本体及び前記蓋はアルミニウム製である、請求項1~8のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項10】
前記第2のタイプのカプセルは密閉されている、請求項9に記載のカプセルのセット。
【請求項11】
前記第2のタイプのカプセルの前記底壁は加圧された水を前記第2のタイプのカプセルに供給するために穿孔して開くように設計され、前記蓋は前記第2のタイプのカプセル内の水の圧力を受けて裂けて開くように設計されている、請求項10に記載のカプセルのセット。
【請求項12】
前記第2のタイプのカプセルは50mLよりも大きな体積のコーヒー淹出物を入れるように構成される、請求項1~11のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項13】
第2のタイプのカプセルにおいて、前記カプセル本体及び/又は前記蓋はコーティングされている、請求項1~12のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項14】
第2のタイプのカプセルの内部体積がコーヒー粉砕物で完全に満たされ、かつ該カプセルはコーヒー淹出物を調製するように配設され、
該カプセルの
挽きサイズ分布、
平均挽きサイズ、
微粉率、
コーヒーのタップ密度(gr/cm
3)
体積平均直径、及び
該カプセル内のコーヒー床密度gr/cm
3
はすべて、得られる前記淹出物のテイストが、以下のパラメータ
乾物量は、エスプレッソの場合2.8~3.4%の範囲、ルンゴの場合1.3~1.5%の範囲;
(ビターラクトン類)/(酢酸類)の比は、エスプレッソの場合220~245の範囲、ルンゴの場合480~510の範囲;
(ビターラクトン類)/(キナ酸類)の比はエスプレッソの場合95~105の範囲、ルンゴの場合210~230の範囲;
(ビターラクトン類)/(クエン酸類)の比は、エスプレッソの場合210~225の範囲、ルンゴの場合390~420の範囲;
収率は20~28%の範囲;
強さは2.6~3.9%の範囲;
アロマは、エスプレッソの場合7180~7750ppmの範囲、ルンゴの場合7300~7550ppmの範囲、
のうちの少なくとも1つによって定義されるフィンガープリントにより定義されるように選択される、請求項1~13のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項15】
第2のタイプのカプセルの内部体積がコーヒー粉砕物で部分的に満たされ、かつ該カプセルはコーヒー淹出物を調製するように配設され、
該カプセルの
挽きサイズ分布、
平均挽きサイズ、
微粉率、
コーヒーのタップ密度(gr/cm
3)
体積平均直径、及び
カプセル内のコーヒー床密度gr/cm
3
はすべて、得られる前記淹出物のテイストは、以下のパラメータ
乾物量はエスプレッソの場合2.8~3.4%の範囲、ルンゴの場合1.3~1.5%の範囲;
(ビターラクトン類)/(酢酸類)の比はエスプレッソの場合220~245の範囲、ルンゴの場合480~510の範囲;
(ビターラクトン類)/(キナ酸類)の比はエスプレッソの場合95~105の範囲、ルンゴの場合210~230の範囲;
(ビターラクトン類)/(クエン酸類)の比はエスプレッソの場合210~225の範囲、ルンゴの場合390~420の範囲;
収率は20~28%の範囲;
強さは2.6~3.9%の範囲;
アロマはエスプレッソの場合7180~7750ppmの範囲、ルンゴの場合7300~7550ppmの範囲、
のうちの少なくとも1つによって定義されるフィンガープリントにより定義される、請求項1~14のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項16】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記(蓋直径)/(蓋厚さ)の比は700~2100の範囲である、請求項1~15のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項17】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、
前記コーヒー床の前記高さは、23.0~39.0mmの範囲であり、及び/又は
前記コーヒー床の最大直径は、33.0~35.0mmの範囲であり、及び
前記コーヒー床の特性のうちの少なくとも1つは、
タップ密度 : 380~500g/l、;
微粉率 : 6~24%<90ミクロン;
体積平均粒径: 240~440ミクロン、
の範囲である、請求項1~16のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項18】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、
前記内部空間の前記高さは37.0~39.0mmの範囲であり、及び/又は
前記第2の端部における前記カップ本体の前記内径は33.0~35.5mmの範囲であり、
前記内部空間は25.0~30.0mLの範囲
の体積を有し
前記中心軸に対する前記周側壁の角度は4.5~5.5度の範囲である、
請求項1~17のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項19】
前記第2のタイプのカプセルが、前記内部空間の前記周側壁と前記フランジとの間の移行縁部における内部空間内で接着剤の飛沫を有する、請求項1~18のいずれか記載のカプセルのセット。
【請求項20】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、
前記周側壁の前記第2の端部における前記カップ本体の前記内径は33.0~35.0mmの範囲であり、及び/又は
前記内部空間は25.0~30.0mLの範囲の体積を有し、及び/又は
前記内部空間の前記高さは37.0~39.0mmの範囲であり、
前記カップ本体の前記周側壁及び前記底壁の厚さは105~120μmの範囲である、
請求項1~19のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項21】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記周側壁の前記第2の端部における前記カップ本体の前記内径は33.0~35.0mmの範囲であり、
前記蓋は34.0~48.0mmの範囲の直径を有し、以下の条件
蓋の厚さは20~47マイクロメートルの範囲;
前記蓋は前記カップ本体の前記フランジとリング状の接続区域に沿って接続され、前記リング状の接続区域の表面積(Ar)と前記蓋の表面積(Al)との比(Ar/Al)は0.36~0.41の範囲;
バルジング量、すなわち、前記蓋の中心と前記周側壁の前記第2の端部が延びる前記平面との間の前記距離は、0.8~2.0mmの範囲;又は
前記蓋をスタッドプレートに接触させることなく勢いよく開く、又は前記蓋を前記フランジから引き剥がす内部圧力は、1.2~1.9バールの範囲
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1~20のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項22】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記フランジと接続される前記蓋には1つ又は複数の流出開口部が設けられており、該カプセルは前記コーヒー床と前記箔との間に配置される出口フィルタを更に備え、
前記出口フィルタの厚さは1.2~1.6mmの範囲であり、及び/又は
前記出口フィルタの透過率はDIN及びISO9237に従って、100mm/s@200Pa~700mm/s@200Paの範囲であり、及び/又は
前記出口フィルタはポリエステル繊維を含み、重量が300~600g/m2である、
請求項1~12のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項23】
前記第2のタイプのカプセルにおいて、前記1つ又は複数の流出開口部の合計表面積は1.5~5.0cm2の範囲である、請求項22に記載のカプセル。
【請求項24】
前記第2のタイプのカプセルは、実質的にクレマがないダブルルンゴを淹れるように構成される、請求項22又は23のいずれかに記載のカプセルのセット。
【請求項25】
請求項1~24のいずれかに記載の前記第2のタイプの第1のカプセルと、請求項1~24のいずれかに記載の前記第2のタイプの第2のカプセルとを備えるシステムであって、前記第2のタイプの前記第1のカプセルにはダブルリストレット又はダブルエスプレッソを淹れるためのコーヒー床が充填されており、前記第2のタイプの前記第2のカプセルにはダブルルンゴを淹れるためのコーヒー床が充填されており、前記第2のタイプの前記第1のカプセルの前記コーヒー床の高さは前記第2のタイプの前記第2のカプセルの前記コーヒー床の高さと同じであり、各コーヒー床の高さは前記内部空間の前記高さに対応する、システム。
【請求項26】
コーヒーを淹出するための装置と、請求項10に記載の前記第2のタイプのカプセルとを備えるシステムであって、前記装置は、前記第2のタイプの前記カプセルを使用しながらダブルリストレット又はダブルエスプレッソを調製する場合、前記装置のポンプが、コーヒーを淹出するために前記ポンプを用いて前記第2のタイプの前記カプセルに送出される流体の流量が前記システム内で最大となるようにフルパワーで動作するように構成される、システム。
【請求項27】
前記装置はまた、前記第2のタイプの前記カプセルよりも小さい前記第1のタイプのカプセルを使用することによって、シングルリストレット、シングルエスプレッソ及びシングルルンゴを淹れるように設計され、前記装置は、前記第1のタイプの前記カプセルのために使用される場合、前記ポンプが、コーヒーを淹出するために前記ポンプを用いて前記第1のタイプの前記カプセルに送出される流体の流量が前記システム内で最大となるようにフルパワーで動作するように構成される、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記装置は、請求項10に記載の前記第2のタイプの前記カプセルを使用しながらダブルルンゴを調製するように構成され、前記ポンプを用いて前記第2のタイプの前記カプセルに送出される水の流れは一定の時間にわたって制御され、前記ポンプは前記流量が所定値を超えないように電力供給され、前記所定値は2.5~5.0mL/secの範囲であり、あるいは
前記装置は、請求項10に記載の前記第2のタイプの前記カプセルを使用しながらダブルルンゴを淹れるように構成され、前記装置のポンプが、コーヒーを淹出するために前記ポンプを用いて前記第2のタイプの前記カプセルに送出される前記流体の流量が前記システム内で最大となるようにフルパワーで動作する、
請求項26又は27に記載のシステム。
【請求項29】
請求項22~24のいずれか1項に記載の前記第2のタイプの第2のカプセルを備え、前記装置は、前記第2のタイプの前記第2のカプセルを使用しながら実質的にクレマがないダブルルンゴを淹れる場合には、前記ポンプによって前記第2のタイプの前記第2のカプセルに送出される水の流れは一定の時間にわたって制御され、前記ポンプは前記流量が所定値を超えないように電力供給され、前記所定値は、2.5~5.0mL/secの範囲であるように構成される、請求項26~28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
前記第2のタイプの前記カプセルが使用され、前記ポンプがフルパワーで動作するときの前記流量は2.0~7.0mL/secの範囲である、請求項26~28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1のタイプの前記カプセルが使用され、前記ポンプがフルパワーで動作するときの前記流量は1.5~7.0mL/secの範囲である、請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
淹出時にカプセルを収容する淹出チャンバの水入口における水温プロファイルは、以下のパラメータ
開始から3秒の水温は90~95℃の範囲;
3秒から15秒の水温は83~95℃の範囲;
15秒後の水温は88~95℃の範囲
に適合する、請求項26~31のいずれかに記載のコーヒーを淹出するためのシステム。
【請求項33】
前記システムの
淹出時に形成される前記第1のタイプの前記カプセルの前記蓋の穿孔パターンは、淹出時に形成される前記第2のタイプの前記カプセルの前記蓋の穿孔パターンとは異なり、前記第1のタイプの前記カプセルの穿孔開口部を備える区域は、前記第2のタイプの前記カプセルの穿孔開口部を備える区域
よりも小さい、
請求項27に記載のシステム。
【請求項34】
前記システムの
前記第2のタイプの前記カプセルは、使用時に平均流量が3~5mL/secとなるように10~73.3秒の時間範囲で50~220mLの範囲の量のコーヒー淹出物を提供し、
(平均流量)/(最大コーヒー床直径)の比は0.008~0.16mL/mmの範囲である、
請求項26~33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記装置には、ダブルリストレットを淹れることを選択するための第1のボタンであって、使用中に前記第1のボタンがアクティブ化された場合、前記装置は前記ダブルリストレットを淹れるのに十分な熱湯を前記第2のタイプの前記カプセル(4B)に最大ポンプパワーで供給する第1のボタンと、ダブルエスプレッソを淹れることを選択するための第2のボタンであって、使用中に前記第2のボタンがアクティブ化された場合、前記装置はダブルエスプレッソを淹れるのに十分な熱湯を前記第2のタイプの前記カプセル(4B)に最大ポンプパワーで供給する第2のボタンと、ダブルルンゴを淹れることを選択するための第3のボタンであって、使用中に前記第3のボタンがアクティブ化された場合、前記装置は一定の時間にわたって、ダブルルンゴを淹れるのに十分な熱湯を前記第2のタイプの前記カプセル(4B又は4B’)に供給し、一定の時間にわたって前記ポンプは電力供給され、前記流量が所定の最大値を下回るように保たれる第3のボタンを含む、淹出プロセスを選択するための3つのボタンが設けられている、請求項26~29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記装置はまた、前記第2のタイプの前記カプセルよりも小さい前記第1のタイプのカプセルを使用することによって、シングルリストレット、シングルエスプレッソ及びシングルルンゴを調製するように設計され、前記装置は、前記第1のタイプの前記カプセルのために使用される場合、前記ポンプが、コーヒーを淹出するために前記ポンプを用いて前記第1のタイプの前記カプセルに送出される流体の流量が前記システム内で最大となるようにフルパワーで動作するように構成され、
前記装置は、前記第1のタイプの前記カプセルを前記第2のタイプの前記カプセルと区別するように構成され、前記装置の中に前記第1のタイプの前記カプセルがあることが検出された場合、前記第1のボタンはシングルリストレットを調製することを選択するために作動し、使用中に前記第1のボタンがアクティブ化された場合、前記装置はシングルリストレットを調製するのに十分な熱湯を前記第1のタイプの前記カプセル(4A)に最大ポンプパワーで供給し、前記第2のボタンはシングルエスプレッソを調製することを選択するために作動し、使用中に前記第2のボタンがアクティブ化された場合、前記装置はシングルエスプレッソを調製するのに十分な熱湯を前記第1のタイプの前記カプセル(4A)に最大ポンプパワーで供給し、前記第3のボタンはシングルルンゴを調製することを選択するために作動し、使用中に前記第3のボタンがアクティブ化された場合、前記装置はシングルルンゴを調製するのに十分な熱湯を前記第1のタイプの前記カプセル(4A’)に最大ポンプパワーで供給する、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記装置には、ダブルリストレットを調製することを選択するための第1のボタンであって、使用中に前記第1のボタンがアクティブ化された場合、前記装置は前記ダブルリストレットを調製するために前記第2のタイプの前記カプセル(4B)に
十分な熱湯を最大ポンプパワーで供給する第1のボタンと、ダブルエスプレッソを調製することを選択するための第2のボタンであって、使用中に
前記第2のボタンがアクティブ化された場合、前記装置はダブルエスプレッソを調製するために前記第2のタイプの前記カプセル(4B)に
十分な熱湯を最大ポンプパワーで供給する第2のボタンと、ダブルルンゴを調製することを選択するための第3のボタンであって、使用中に前記第3のボタンがアクティブ化された場合、前記装置はダブルルンゴを調製するために前記第2のタイプの前記カプセルに
十分な熱湯を最大ポンプパワーで供給する第3のボタンと、実質的にクレマがないダブルルンゴを調製することを選択するための第4のボタンであって、使用中に前記第4のボタンがアクティブ化された場合、前記装置は
実質的にクレマがないダブルルンゴを調製するために前記第2のタイプの前記カプセル(4B’)に
十分な熱湯を供給し、前記流量が所定の最大値を下回るように保たれる第4のボタン
と、が備えられている、請求項26~29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記装置はまた、前記第2のタイプの前記カプセルよりも小さい前記第1のタイプのカプセルを使用することによって、シングルリストレット、シングルエスプレッソ及びシングルルンゴを調製するように設計され、前記装置は、前記第1のタイプの前記カプセルのために使用される場合、前記ポンプが、コーヒーを淹出するために前記ポンプを用いて前記第1のタイプの前記カプセルに送出される流体の流量が前記システム内で最大となるようにフルパワーで動作するように構成され、
前記装置は、前記第1のタイプのカプセルを前記第2のタイプのカプセルと区別するように構成され、前記装置の中に前記第1のタイプのカプセルがあることが検出された場合、前記第1のボタンはシングルリストレットを調製することを選択するために作動し、使用中に前記第1のボタンがアクティブ化された場合、前記装置はシングルリストレットを調製するのに十分な熱湯を前記第1のタイプの前記カプセル(4A)に最大ポンプパワーで供給し、前記第2のボタンはシングルエスプレッソを調製することを選択するために作動し、使用中に前記第2のボタンが選択された場合、前記装置はシングルエスプレッソを調製するのに十分な熱湯を前記第1のタイプの前記カプセル(4A)に最大ポンプパワーで供給し、前記第3のボタンはシングルルンゴを調製することを選択するために作動し、使用中に前記第3のボタンがアクティブ化された場合、前記装置はシングルルンゴを調製するのに十分な熱湯を前記第1のタイプの前記カプセル(4A’)に最大ポンプパワーで供給する、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記装置には、ダブルリストレットを調製することを選択するための第1のボタンであって、使用中に前記第1のボタンがアクティブ化された場合、前記装置は前記ダブルリストレットを調製するのに十分な熱湯を前記第2のタイプの前記カプセル(4B)に最大ポンプパワーで供給する第1のボタンと、ダブルエスプレッソを調製することを選択するための第2のボタンであって、使用中に前記第2のボタンがアクティブ化された場合、前記装置はダブルエスプレッソを調製するのに十分な熱湯を前記第2のタイプの前記カプセル(4B)に最大ポンプパワーで供給する第2のボタンと、ダブルルンゴを調製することを選択するための第3のボタンであって、使用中に前記第3のボタンがアクティブ化された場合、前記装置はダブルルンゴを調製するのに十分な熱湯を前記第2のタイプの前記カプセル(4B又は4B’)に供給する第3のボタンとを含む、淹出プロセスを選択するための3つのボタンが設けられており、前記装置には、前記淹出プロセスの所定の第1の時間中に前記流量が所定の第1の値を超えるかどうか、及び/又は飲料製造量が所定の第2の値を超えるかどうかを判定する検出手段が設けられており、前記装置は、前記第1の時間中に前記流量が前記所定の第1の値を超えたこと、及び/又は前記飲料製造量が前記所定の第2の値を超えたことを検出した場合には、前記淹出プロセスの前記第1の時間の後に続く第2の時間の間、前記流量を前記流量の所定の最大値未満に保つように更に構成される、請求項26~29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
前記第2のタイプの前記第1のカプセルを用いてダブルリストレット又はダブルエスプレッソを淹出し、前記第2のタイプの前記第2のカプセルを用いてダブルルンゴを淹出する、請求項25に記載のシステムの使用。
【請求項41】
前記第2のタイプのカプセルを用いてダブルリストレット、ダブルエスプレッソ又はダブルルンゴを淹出する、請求項26~39のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項42】
請求項1~24のいずれか1項に記載のカプセルのセットの、第2のタイプのカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー淹出物を淹出するためのカプセルに関し、当該カプセルは、
円錐台形のカプセル本体であって、
カップ本体の中心軸の周りに延びる周側壁と、
カプセル本体の第1の端部を閉鎖するために側壁の第1の端部と接続された底壁と、
周側壁の第2の端部から半径方向外向きに延びるフランジと、
を備える、円錐台形のカプセル本体を含み、
当該カプセルは、
フランジと接続された箔の蓋と、
カプセル本体及び蓋によって画定される内部空間内に収容されたコーヒー粉砕物のコーヒー床であって、コーヒー床は周壁の第2の端部におけるカップ本体の内径と対応する最大コーヒー床直径を有し、内部空間は底部と周側壁の第2の端部が延びる平面との間の最大距離によって規定される高さを有するコーヒー床と、を更に含む。
【背景技術】
【0002】
このようなカプセル自体は既知である。この既知のカプセルは第1のタイプのカプセルと呼ばれており、1カプセルにシングルエスプレッソ又はシングルルンゴを入れるための約5~6グラムのコーヒーが充填されている。
【0003】
カフェスタイルのエスプレッソメーカーはシングルエスプレッソとダブルエスプレッソの両方、又はシングルルンゴとダブルルンゴの両方を作ることができる。通常バリスタは、ダブルバージョンを作る際にバスケットの中のコーヒーの重量を2倍にする。
【0004】
近年、カプセルからエスプレッソ及びルンゴ、並びに任意でリストレットを作ることができる家庭用のオンデマンドエスプレッソシステムが普及してきたが、上記のようにNespresso(登録商標)システムなどで使用され、現在はいくつかの製造業者によって製造される標準的なエスプレッソカプセルは5~6gのコーヒーを詰めるように設計されており、これより多くの量を詰めることはできない。シングルリストレット淹出物の体積は通常22~28mLの範囲であり、より好ましくは約25mLである。シングルエスプレッソ淹出物の体積は通常35~60mLの範囲であり、好ましくは約40mLである。シングルルンゴ淹出物の体積は通常75~115mLの範囲であり、好ましくは約80mLである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シングル飲料のためのカプセル及びダブル飲料のためのより大きなカプセルといった、複数のカプセルに対応可能なシステムを作製することが望ましい。
【0006】
図101~
図108を参照し以下で淹出器システムを説明する。標準的な/シングルのカプセルのサイズは既に与えられており、典型的なカプセルはより小さい「頂部」の半径が(1.1)cm、より大きい「底部」の半径(1.45cm)及び高さが(2.45)cmの円錐台形である。カプセルは水入口を生成するためのアクションで穿孔される頂部半径の上のドーム状頂部、及び淹出器の淹出チャンバでカプセルを封止するように作用する底部半径の周りのリムなどの形状を有する。
【0007】
標準的なカプセルシングル(第1のタイプのカプセル又はSTNカプセルとも呼ばれる)の形状及びサイズは既に与えられている。本明細書は、一連の設計上の制約及び機能的制約を考慮してダブルを作ることができる大型カプセル(第2のタイプのカプセルとも呼ばれる)の最適な選択に関する。
【0008】
第1の制約は、入れたシングル飲料及びダブル飲料のフレーバー、アロマ及びクレマなどに関する品質の類似性が許容範囲にあるということである。最も単純なレベルでは、官能試験において異なっていると判断されない程度に十分な「大差のない」強さ及び収率を飲料が有することを必要とする。強さ(S)と収率(Y)のパーセンテージは以下のように定義される。飲料への全コーヒー抽出種(分子、コロイド、炭水化物)の質量をM、加えられる水の質量をMwとし、カプセル内の粉砕物の質量(乾燥)をMgrindとする。
【0009】
【0010】
実際には乾燥させた残渣を計量するか又は乾燥方法に対して較正された濃度計(屈折計など)を使用することによって強さが測定される。
【0011】
当業者は、淹出中に並行して使用される2つの同一かつ標準的なカプセルとして作用するシングルの大型カプセルを探すことになる。並行して使用される2つの同一かつ標準的なカプセルとは、標準的なカプセルを1つだけ使用する場合と同じ時間に同じ量の水がこれらのカプセルを流れることを意味する。定義によれば、その場合、シングルの標準的なカプセルの場合と同じ特性を持つ2倍の量のコーヒーが得られる。当業者はまた、2つの同一かつ標準的なカプセルが標準的なカプセルと同じ高さを有し、第1の方向における断面積の幅が標準的なカプセルの断面積の幅の2倍で、第1の方向に対して直交する第2の方向における断面積の幅が標準的なカプセルの断面積とほぼ同じであるシングルの大型カプセルと置き換えることができると理解している。本明細書では、このカプセルを直接ダブルカプセル(SFDカプセル:straight forward double capsule)と呼ぶ。その場合、SFDカプセルに送出される水の流量を2倍にしなければならず、より大きなカプセルのコーヒー床に水が広がり、シングルの標準的なカプセルのコーヒー床の場合と同様に大型カプセルのコーヒー床を通って流れなければならない。これは、例えば、十分なポンプ容量を持ち、互いが離れているカプセルの頂部の2つの場所に水を注入するデバイスによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、SFDカプセルを提供する上記の明白な仮定が無視される。つまり本発明はこの先入観を捨てるものである。本発明はSFDカプセルとは異なりながらも良好な淹出結果を提供する改良大型ダブルカプセル(ILDカプセル:improved larger double capsule)を提供することを目的とする。本発明によれば、ILDカプセルはSFDカプセルを上回る更なる特定の利点を有する。全てを考慮すると、ILDカプセルは
SFDカプセルに対する改良型カプセルである。
【0013】
本発明に従って提供されるILDカプセルは、コーヒー淹出物を淹出するための第2のタイプのカプセルであり、当該カプセルは、
円錐台形のカプセル本体であって、
カップ本体の中心軸の周りに延びる周側壁と、
カプセル本体の第1の端部を閉鎖するために側壁の第1の端部と接続された底壁と、
周側壁の第2の端部から径方向外向きに延びるフランジと、
を備える、円錐台形のカプセル本体を含み、
当該カプセルは、
フランジと接続された箔の蓋と、
カプセル本体及び蓋によって画定される内部空間内に収容されたコーヒー粉砕物のコーヒー床であって、コーヒー床は周壁の第2の端部におけるカップ本体の内径と対応する最大コーヒー床直径を有し、内部空間は底部と周側壁の第2の端部が延びる平面との間の最大距離によって規定される高さを有するコーヒー床と、
を更に含み、
コーヒー床の重量は9~13グラムの範囲であり、コーヒー床の(高さ)/(最大幅)の比は0.9~1.2の範囲である。
【発明の効果】
【0014】
以下に論じるように、本発明に係るカプセルは依然として(当業者の予想に反して)一方では良好な淹出結果を有し、もう一方では他の利点を有する。
【0015】
1つの利点は、標準的なカプセルに同じ(短い)淹出時間を提供しない器具の使用が可能であることである。したがって、ポンプへの要求は高くならない。別の利点は、より魅力的な形状のILDカプセルが利用可能なことである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図2はフラストラム台形を有するカプセルを概略的に示す。
【
図3】
図3及び表1は標準的なカプセルの寸法を概略的に示す。
【
図4A】
図4Aは使用時に破断する箔の蓋を備えるカプセルの実験的な圧力の時間曲線を示す。
【
図4B】
図4Bは開いていて使用時に破断しないフィルタ状の箔の蓋を備えるカプセルの実験的な圧力の時間曲線を示す。
【
図5A】
図5Aは異なる抵抗における標準的なカプセルのシミュレーションについての圧力と時間曲線のモデルを示す。
【
図5B】
図5Bは異なる抵抗における標準的なカプセルのシミュレーションについての流量と時間曲線のモデルを示す。
【
図5C】
図5Cは流入口が開口し出口面積が異なる立方体形状の床の多孔質の床を流れた際の出口面積への圧力の影響をモデル化したものを示す
【
図7A】
図7Aは標準的なカプセルのいくつかの実験データと一緒にプロットされた、いくつかの標準的なカプセルの最終的な淹出物の収率とポンプ時間(ポンプが停止する時間)のモデルに従った予測を示す。モデルと実験時間の両方において、淹出物にドリップを加える分の余裕が考慮されている(
図4~
図5を参照)。
【
図7B】
図7Bは標準的なカプセルのいくつかの実験データと一緒にプロットされた、いくつかの標準的なカプセルの最終的な淹出物の強さとポンプ時間のモデルに従った予測を示す。
【
図8A】
図8Aは標準的なカプセルのいくつかの実験データと一緒にプロットされた、DCAカプセルの最終的な淹出物の収率対(表2)とポンプ時間のモデルに従った予測を示す。
【
図8B】
図8Bは標準的なカプセルのいくつかの実験データと一緒にプロットされた、DCAカプセルの最終的な淹出物の強さ(表2)とポンプ時間のモデルに従った予測を示す。
【
図9】
図9は同じ重量のコーヒー床が充填されたスケールファクタの異なるカプセルの図である。
【
図10】
図10はスケーリング係数の変動とSTNカプセルの収率の範囲のモデルに従った収率の変化を示す。
【
図11】
図11はスケーリング係数の変動モデルに従って強さがどのように変動するかを示す。
【
図12】
図12は5.5grの標準的なカプセルからのエスプレッソ淹出物の収率のモデル予測を比較する。
【
図13】
図13は得られたデータを示す。3未満のDODは有意ではないと考えられる。
【
図14A】
図14Aは、重要なアロマ化合物のセットについてのGCMSデータのプロットを示している。
【
図14B】
図14Bは、重要なアロマ化合物のセットについてのGCMSデータのプロットを示している。
【
図15】
図15は、有機酸の分散に関する表であり、エスプレッソ1はSTNカプセルから淹出されたシングルエスプレッソの測定値に関連し、エスプレッソ2はDCAカプセルから淹出されたダブルエスプレッソの測定値に関連する。
【
図16】
図16は、pH/Ta、DMA及びカフェインの分散に関する表であり、エスプレッソ1はSTNカプセルから淹出されたシングルエスプレッソの測定値に関連し、エスプレッソ2はDCAカプセルから淹出されたダブルエスプレッソの測定値に関連する。
【
図17】
図17は、ビターラクトン類及びクロロゲン酸の分散に関する表であり、エスプレッソ1はSTNカプセルから淹出されたシングルエスプレッソの測定値に関し関連し、エスプレッソ2はDCAカプセルから淹出されたダブルエスプレッソの測定値に関連する。
【
図18】
図18は、非炭水化物及び全炭水化物の分散に関する表であり、エスプレッソ1はSTNカプセルから淹出されたシングルエスプレッソの測定値に関連し、エスプレッソ2はDCAカプセルから淹出されたダブルエスプレッソの測定値に関連する。
【
図19】
図19は、ILDカプセルに収容されたForzaコーヒーブレンドバッチ1(10.7g)からの淹出物を、共にSTNカプセルに入ったForzaコーヒーブレンドバッチ1(5,7g)からの淹出物及びForzaコーヒーブレンドバッチ2(5、7g)からの淹出物と比較するレーダーチャートである。
【
図20】
図20は、ILDカプセルに収容されたProfondoコーヒーブレンドバッチ1(11.1g)からの淹出物を、共にSTNカプセルに入ったProfondoコーヒーブレンドバッチ1(6.15g)からの淹出物及びProfondoコーヒーブレンドバッチ2(6.15g)からの淹出物と比較するレーダーチャートである。
【
図106A】
図106Aは抽出時における淹出チャンバ内の第1のタイプのカプセル及び抽出時における淹出チャンバ内の第2のタイプのカプセルをそれぞれ示している。
【
図106B】
図106Bは抽出時における淹出チャンバ内の第1のタイプのカプセル及び抽出時における淹出チャンバ内の第2のタイプのカプセルをそれぞれ示している。
【
図107A】
図107Aは、重力の効果でキャビティから使用済みの第1及び第2のタイプのカプセルを吐出するために下向きに旋回する第1の淹出チャンバ部をそれぞれ示している。
【
図107B】
図107Bは、重力の効果でキャビティから使用済みの第1及び第2のタイプのカプセルを吐出するために下向きに旋回する第1の淹出チャンバ部をそれぞれ示している。
【
図108A】
図108Aは第1の淹出チャンバ部及び第2の淹出チャンバ部によって形成された淹出チャンバにそれぞれ挿入された第1のタイプのカプセル及び第2のタイプのカプセルの例を示している。
【
図108B】
図108Bは第1の淹出チャンバ部及び第2の淹出チャンバ部によって形成された淹出チャンバにそれぞれ挿入された第1のタイプのカプセル及び第2のタイプのカプセルの例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前述のコーヒー床の最大幅は、カップ本体の最大内径に対応する。
【0018】
これはセクションI「ILDカプセルのモデル」の説明にて理解することができる。
【0019】
続いてセクションII「ILDカプセルの考えられる実施形態」にて、可能ないくつかの実用的な実施形態について論じる。
【0020】
セクションI:ILDカプセルのモデル
A.ILDカプセルの理論的考察
セクションAでは、以下の図面を参照する。
図1はULka-4ポンプの特性を示す。
図2はフラストラム台形を有するカプセルを概略的に示す。
図3及び表1は標準的なカプセルの寸法を概略的に示す。
図4Aは使用時に破断する箔の蓋を備えるカプセルの実験的な圧力の時間曲線を示す。
図4Bは開いていて使用時に破断しないフィルタ状の箔の蓋を備えるカプセルの実験的な圧力の時間曲線を示す。
図5Aは異なる抵抗における標準的なカプセルのシミュレーションについての圧力と時間曲線のモデルを示す。
図5Bは異なる抵抗における標準的なカプセルのシミュレーションについての流量と時間曲線のモデルを示す。
図5Cは流入口が開口し出口面積が異なる立方体形状の床の多孔質の床を流れた際の出口面積への圧力の影響をモデル化したものを示す
図6Aは予測される淹出物の重量と時間を示す。
図6Bは予測される淹出物の強さと時間を示す。
図6Cは予測される淹出物の収率と時間を示す。
図7Aは標準的なカプセルのいくつかの実験データと一緒にプロットされた、いくつかの標準的なカプセルの最終的な淹出物の収率とポンプ時間(ポンプが停止する時間)のモデルに従った予測を示す。モデルと実験時間の両方において、淹出物にドリップを加える分の余裕が考慮されている(
図4~
図5を参照)。
図7Bは標準的なカプセルのいくつかの実験データと一緒にプロットされた、いくつかの標準的なカプセルの最終的な淹出物の強さとポンプ時間のモデルに従った予測を示す。
図8Aは標準的なカプセルのいくつかの実験データと一緒にプロットされた、DCAカプセルの最終的な淹出物の収率対(表2)とポンプ時間のモデルに従った予測を示す。
図8Bは標準的なカプセルのいくつかの実験データと一緒にプロットされた、DCAカプセルの最終的な淹出物の強さ(表2)とポンプ時間のモデルに従った予測を示す。
図9は同じ重量のコーヒー床が充填されたスケールファクタの異なるカプセルの図である。
図10はスケーリング係数の変動とSTNカプセルの収率の範囲のモデルに従った収率の変化を示す。
図11はスケーリング係数の変動モデルに従って強さがどのように変動するかを示す。
図12は5.5grの標準的なカプセルからのエスプレッソ淹出物の収率のモデル予測を比較する。
図13は得られたデータを示す。3未満のDODは有意ではないと考えられる。
【0021】
上述のように、理想的な解決策は標準的なカプセルの2倍の重量のコーヒーを保持することができ、かつ仮定されたシステムのポンプ性能において、同じ淹出物時間で2倍の体積の飲料を製造することができるより大きなカプセル形状を選択することである。しかし、このような解決策は上述のように理論的には発見することができるが、以下の追加の制約及び問題を仮定すると、実用的とはとても言い難く許容できない。
【0022】
上記の第1の制約に加えて、第2の制約は、消費者には淹出されたコーヒーの品質を損なわないことが可能だとしても、許容範囲に近い飲料を標準的なカプセル及び大型カプセルでも製造できると考えられる理由がなければならないことである。第1の制約の観点からどの設計を選択するかが明らかになっていないので、標準的なカプセルの形状と同じ又はそれに近い形状の大型カプセルを作ることは可能である。これは頂部半径、底部半径及び高さといった標準的なカプセルの寸法を、同じファクタ又は数値的に類似のファクタとしてスケーリングすることによって達成できる。しかしこれは、カプセルの淹出性能が許容範囲に達しない結果が予想される。以下のモデルを使用すれば、スケーリング係数を用いても許容可能な淹出性能を得られることが証明される。約11grのコーヒー床ではスケーリング性能1.7で最良の淹出性能が予想され得る。しかし約11grのコーヒー床とスケーリング性能1.3を組み合わせても、許容可能な淹出性能が認められるので、スケーリング係数1.7を適用することでカプセルの体積をより小さくできるという更なる利点がある。
【0023】
本発明の考察によれば、単純なスケーリング係数を使用して標準的なカプセルに基づいた大型のカプセルを得ることができるという事実から、標準的なカプセルと同様な形状を有する大型カプセルが導き出される。大型カプセルの形状は円錐台形と定義され、(高さ)/(最大幅)の比は0.9~1.2の範囲である。その場合、カプセルには9~13グラムのコーヒーを充填することができる。本発明の一態様によれば、カプセル内には9~13グラムのコーヒー粉砕物が入っており、コーヒー床の(高さ)/(最大幅)の比は0.9~1.2の範囲である。本発明の別の態様によれば、カプセル内のコーヒー床の体積は好ましくは内部空間の体積とほぼ同じである。コーヒー床が11グラムである場合、モデルを用いて得られるスケーリング係数は1.3になる。コーヒー床が11グラムよりも大きくなれば好適なスケーリング係数は1.3よりも大きくなるが、本発明によればコーヒー床の(高さ)/(最大幅)の比は0.9~1.2の範囲にとどまる。
【0024】
したがって、このスケーリングの制約を採用すると、スケールファクタの選択が課題となる。カプセルの形状と淹出特性と飲み物の品質との間には複雑な関係が存在する。カプセルのコーヒーの形状、規模及び重量は、カプセルの流れ抵抗を判定する際のキーファクタであり、これによって淹出器のポンプが淹出中に床を通る流量及び粉砕物からのコーヒー種の抽出にどのように反応するかが決まる。特に、目標とする飲料体積を達成するためにはポンプ時間が必要とされる。いくつかの実験結果を提示する前に、不十分な設計に対する不要な実験を行うことなく設計を探求することを可能にするために、理論モデルが生成される。
【0025】
いくつかの理由から、スケールファクタを可能な限り小さくすることが望ましい。
・カプセル本体において材料を使用し過ぎることを避けるため。
・より大きいスケールファクタでは、固定重量のコーヒーのコーヒー床はカプセルの体積の一部分しか満たせない。
・システム内の過剰な空気は望ましくない
・淹出後にカプセルに残る水の一部は滴り落ち、捕捉された圧縮空気によって押し出されて大気圧に戻る。
・カプセルの幅が広いと床を通る流れが不均一になり、その結果抽出の不均一を引き起こす。
【0026】
シングルのスケールファクタの場合を考察すると、同じかさ密度で標準的なコーヒーの2倍の重量を保持するカプセルの必要性によって設定された、最小値のスケールファクタがある。標準的なカプセル設計では、製造中の充填に関する問題を避けるために何らかのヘッドスペースが存在するが、大型カプセルにおいても小さく作る場合にも同様の問題が生じる可能性がある。
【0027】
本明細書でダブルスカプセルAと呼ばれる解決策の寸法はサブセクションCに記載される。したがって、このDCAカプセルは上記で論じたILDカプセルの可能な実施形態である。DCAカプセルのスケールファクタはモデルにおいて約1.3となるように選択され、カプセルには11gの挽いたコーヒーが充填される。しかしスケールファクタが1.7前後から選択される場合、理論上最良の淹出結果得が得られることをモデルは示している。しかしスケールファクタが1.3である場合でも、カプセルは思いがけない良好な淹出結果を提供し、更に他の利点も有する。スケールファクタ1.3が適用された場合、より大きなカプセルの(高さ)/(最大幅)の比は0.93である。本発明のより広い態様によれば、9~13グラムのコーヒー粉砕物を含むより大きなカプセルのコーヒー床の(高さ)/(最大幅)の比は0.9~1.2の範囲である。本発明に係る選択範囲が実際に驚くべき結果を提供することを例証するために、単にモデルについて論じることを留意されたい。
【0028】
B.コーヒー豆からの抽出に関するポンプ、カプセル、及び床システムのモデル
B.1 淹出器、床及びカプセルモデル
家庭用オンデマンド(OD)システムにおける淹出器システムは、典型的には、振動ポンプ、及び目標の体積が送り込まれた後にポンプを停止する制御システムであり、ビーンツーカップシステムのより高価なカフェスタイルのシステムは回転ポンプを有することができる。一般的に使用される振動ポンプは別個の背圧流量関係を有し、
図1はULKAのウェブサイトによる例を示す。プロットはそこのシステムの能力を示し、min(最小)及びmax(最大)は淹出器毎に予想され得る変動の限界を示している。
【0029】
ポンプ特性は、(ポンプにとって限界の)最大背圧P
maxと、それに適用されたシステムが開いている(抵抗が極めて低い)時の最大流量Q
maxとによって定義される式(2)に示される線形形式によって近似される(
図1の破線を参照)。カプセル及びコーヒー床は、ポンプに対して主にコーヒー床自体の発生に起因する時間tと共に変動することが発見されている抵抗R(t)を示す。実際には、流れ及び圧力は通常50Hzでポンプと共に発振するが、所与の時間tにおいてカプセルの流れ抵抗R(t)を用いることで、圧力及び流れの発振平均は、以下のようになる。
【0030】
【0031】
以下のモデル化では、使用されるポンプ特性は、Nespresso(商標)システムで使用される既知のULKA4ポンプのポンプ特性:Pmax=20bar、かつQmax=450mL/minに近似している。R(t)のモデルを仮定すると、式(2)の解はシステムの流れ及び圧力の履歴を予測する抽出器モデルを与える(Melroseらの「The Principles of Coffee Extraction from Packed Beds in on-Demand Coffee Systems」(2014)(http://asic-cafe.org/proceedingsで入手可能な「Proceedings of 25th ASIC conference Colombia」を参照)。
【0032】
カプセルの本体は、
図2に示す成形された円錐台形に近い。市販のカプセルは溝付きの側面及びドーム状の頂部を有してもよく、これらの特徴はモデル化には含まれず、実際にはコーヒー床は円錐台形状の本体の一部分を占め、ドーム状の頂部には延びない。
【0033】
この形状のコーヒー床の流れ抵抗Rcap(t)は、
【0034】
【数3】
によって規定され、式中のQは流体の体積流量であり、ΔPは床の両端間の圧力差である。この抵抗は、
【0035】
【数4】
によって得られる。
式中のμは流体の粘度、F(a)は出口面積係数(以下を参照)、そしてK(t)は床の透過率で、これはコーヒー床内の粒間の細孔空間における複雑な配置を通る流体の流れから生じる強いパラメータであり、流れはナノ多孔性粒マトリックス自体を貫通しないと仮定する。式はカプセルにコーヒーが完全に充填されている場合に成り立ち、コーヒー床がカプセルを部分的に満たしている場合には、式(4)の寸法はカプセル内の床の寸法でなければならない。部分的に充填されている場合には、カプセルの空の部分を通る流れを考慮するために更なる抵抗を加えることができるが、実際には、これは床の抵抗に比べて無視できる程度のものである。部分的に充填されたカプセルは、セクションCの結果のモデル化によって生じる。
【0036】
透過率の一般的な形態は、周知のコゼニー・カルマンの式(Kozeny-Carman expression)の一般的なバージョンである。
【0037】
【数5】
式中のθ(t)は床内の任意の気体のごく一部、s(b)は粒の粗面についての分割因子、φは粒の真球度、d
32(t)は粒度分布の面積平均寸法、
は粒の気孔率である。しかしながら完全な透過率モデルは多くの議論の主題であり、式(5)は良好に成り立つことが分かっている球充填の式から一般化された形態である。
【0038】
示したように式(5)の係数の多くは時間に依存する。全体的なカプセル+床の抵抗及びそこを通る流れの発生に作用する係数がいくつかあるが、支配的効果は通常粒の充填床によって設定される。これらの係数はそこを流れるためのカプセル抵抗の自然変動を生じさせ、したがって淹出物毎の流れの履歴及び性能の変動が生じ、特にこの結果として目標とする飲料体積を達するための淹出時間が延びることが観測される。
【0039】
床透過率に対する以下の効果が知られている。
・加圧され湿潤した床が流れを強固にし、高さを収縮する。
・巨視的なスケールでは、床の中央がドーム状であり、カプセルの壁に向かって少し出るように成形されていることがあり、また捕捉された気体のチャネル及び領域を展開してもよい。
・微視的なスケールでは、粗粒間の微粉が床を塞ぐことがあり、これによって抵抗が増大される。これは複雑な現象であり、床を通る流れと結びついている。一方で流れは微粉の移動を誘起するが、他方では床内の狭孔に捕捉されてプラグ(微粉の集合)を形成することがある。プラグの分布及びサイズは完全には理解されないか又は観察が容易ではないやり方で流量及び床充填に依存している。
・乾燥時には一部の微粉が粗粒子の表面に凝集するので、微粉のレベルは粒が湿潤しているときに増大し、実際には湿潤測定時のコーヒー粒のPSDは乾燥測定時よりも著しく細かいことが分かった。
・粒は湿潤下で膨潤し、これは水質に左右され得る。
・システム内の気体について、乾燥した粒の体積の約50%は空気であり、床内で捕捉されると抵抗を高める。また、粒からどのようにしてうまくガス抜きするかに応じて、湿潤した粒からCO2ガスが放出され得る。
【0040】
カプセルから更なる効果が生じる。
・カプセルは、小さなホールが穿孔されている入口に抵抗構成要素を有する。
・カプセルの出口において、システムは圧力の発生の早期に、破断板のピンに金属箔を押し付けることによってアルミニウムの箔の基部を破断する。形成された穴の面積はカプセルの底部の円板面積よりも小さく、これらのホールを出るために流れは床の内部にあるときには出口へと収束しなければならず、この影響でカプセルの全体的な抵抗が増大し、理論モデル及び実験では、出口面積が基部の10%である場合カプセル抵抗が係数約F(10%)=2だけ増大し、1%の場合には、係数F(1%)=5によりスケーリングされる(式5参照)。
【0041】
コーヒー床の時間依存的な流れ透過率の全体的な進化は流量に反応し、これは測定されており、いくつかの結果は、(「A new methodology to estimate the steady-state permeability of roast and ground coffee in packed beds」(J.Food Eng.、150、106~116。Corrochanoら(2015))に報告されている。透過率の値は5~30秒にわたってo(10-12)m2からo(10-14)m2まで進化し、その後一部の場合には定常状態値に達する前にわずかに増加する。
【0042】
ほとんどのODシステム淹出が定常状態に達する前に行われ、淹出物の有意な部分については抵抗が過渡(変化)状況にあると知ることが重要である。この効果はエスプレッソなどの短時間淹出に特に顕著である。このプロセスの発見的モデルは著者のうちの何人かによって発展され、乾燥PSD及び低密度(典型的には440~480kg/M3)によって設定される高透過率から湿潤PSD及び高密度(典型的には500~530kg/M3)によって設定されるはるかに低い床透過率への流量に対する関数である時間における上昇を仮定する。上述のように、入口効果及び出口効果に起因するカプセルの抵抗をスケーリングする更なる係数が含まれる。
【0043】
これらのシステムは通常(上述した理由で)ポンプを停止した後に滴下し、特にエスプレッソについては追加された体積及び収率が有意であり得る。この特徴はモデル化に含まれる。これにより、「淹出時間」の定義を明確にする必要が生じる。実験及びモデル化により採用された取り決めは、ポンプが停止するまでの時間であるポンプ時間に対してデータをプロットするためのものである。しかし、この収率及び強さは滴下によって加えられた淹出体積により与えられるものを含む。
【0044】
B.2 粒からの抽出に関するモデル
抽出品質、強さ及び収率を推定するために、第2の抽出モデルは、コーヒー粒から抽出した分子種及びコロイド種が床に入り、そして床を通じて飲料へと入るようにする必要がある。このようなモデルは、開発されてきており、他の文献、「Kinetics of Coffee Extraction and Particle Microstructure:Numerical Modelling and Experimental Validation in Slurry Extractions」(Proceedings of 25th ASIC conference,Colombia Corrochano et al (2014))、「Optimising Coffee Brewing Using A Multiscale Approach” Proceedings of 24th ASIC conference Costa Rica Melroseら(2012))(他のコンテキストにおける発行されたモデルの直進適合である)、「Mathematical modelling and scale-up of size-exclusion chromatography」Biochemical Engineering J.1998,2 145~155 Liら(1998)で報告されており、粒を介した種の拡散を解決する周知の数値技術を使用する。モデルは、床内の粒子についてのものであり、抽出された種は粒子を通して細孔空間から床の出口への対流が起きている床の細孔空間へと拡散し、軸方向に対称な床を仮定し細孔空間に影響する壁面効果を無視して、軸から下った点Zが以下によって得られる。
【0045】
【数6】
式中のε
bは床の気孔率であり、υは細孔空間における流体速度である。D
bedは分散係数として知られており、j(R,t)は粒の単位面積当たりの粒からのフラックスである。粉砕物は代表的な粒子によってモデル化されるが、多数の粒をモデル化してもよく、良好な近似には粉砕物の粒度分布の二峰性を反映する粗粒子と微粒子が用いられることを発明者らは発見した。フラックスは各粒の濃度プロファイルをモデル化することによって与えられる。この時間依存性の拡散方程式は代表的な各粒子/粒について解く:
【0046】
【数7】
粒からのフラックスを用いると以下のようになる。
【0047】
【数8】
式中のC(t)は粒の外部の細孔空間濃度であり、粒内の開始濃度は数時間にわたる平衡状態に入った後の希釈スラリー状態で測定される、ブレンドの最大収率及び挽きサイズを測定することによって設定される。
【0048】
実際には式(6)はz軸に沿ってセルへと離散化され、各セルにおいて1つは粗粒子であり、1つは微粒子である2つの代表的な粒子を(3)及び(4)を使用してシミュレートする。(3)及び(4)及び(2)を連結するフラックス項は以下によって得られる。
【0049】
【数9】
式中のD
gは粒の内部の放出種の拡散定数である。現実的には多くの異なる放出種が存在するが、発明者らはD=1.0を使用し10
-10m
2/sとすることで、時間40~60秒にわたる全収率に対する良好な代用となることを発見した。
【0050】
したがって床を通る流れとカプセルの所与の断面における細孔速度は式(2)から求められる。これらのカプセルにおける淹出時間は、流れに対するカプセル抵抗の発生と式(2、3)の解とによって判定される。流量は時間によって変動するが、これらのシステムは経時的に送り込まれる体積を監視し、事前に設定された目標体積に達したときにポンプのスイッチを切る。一般的には使用後にいくらかの流体がカプセル内に残っているので、この目標体積は所望の飲料体積よりも大きい。加えて前述したように、ポンプが停止すると、カプセル内の捕捉された気体の緩和に起因していくらかの流体が飲料に滴下し、システムは大気圧に戻る。これらの効果は全てモデルに含まれる。実際のシステムでは、ポンプは所望の体積、例えばエクスプレッソの場合約40mL、及びダブルエスプレッソの場合は2×40mLの飲料を与えるように停止される。
【0051】
カプセルの形状、コーヒーの重量及びかさ密度を仮定すると、カプセル内の粉砕物の床が規定される。式(6)はカプセルの軸に対して垂直な層における離散化により求められ、各層はPSDの2粒子モデルを含み、粒子からのフラックスが導き出され、対流項によって層間の細孔空間濃度が交換される。カプセルの軸線に沿った任意の点において、式(6)において使用される細孔空間の流れの速度は、床の断面積を多孔率で除算した、時間変動する体積流量から求められる。システムの底部からの流れ及び床の底部における濃度を経時的に積算して、時間依存性の強さ及び収率が与えられる。
【0052】
C.モデル予測
標準なシングルスのカプセルモデル(
図3を参照)は、図示したような寸法の円錐台形状である。これに近い寸法のカプセルは幅広く商業利用されている。特にNespresso(商標)ファミリーの淹出システムで使用されている。
【0053】
これはNespresso(商標)システムの本体の寸法に近い。流れは細い端部に入り、より厚い端部から出る。更にこれらのカプセルはドーム状の頂部を有することもでき、フィルタで満たされる場合もあるが、本モデルでは無視している。床は通常本体の頂部のみを満たしている。
【0054】
標準的なカプセル内の充填重量は、粉砕物及びブレンドに応じて5~6グラム間を変動する。以下のモデル化では5.5グラムの充填重量について考察する。
【0055】
ダブル(ダブルエスプレッソ、ダブルルンゴ等)を淹出する大型カプセルの設計は、この形状のスケールバージョンである。
【0056】
【0057】
標準的なカプセルで5.5グラムの場合、収率は22~27%であることが発見された。これは後述の
図7Aにて示している。淹出毎にポンプ時間(いわゆる収率)に変動があり、これは上記に列挙した全ての係数の変動に起因する、運転毎のカプセル抵抗の変動によるものである。この変動を模倣するために、本モデルでは抵抗の基本ケースを仮定し、乾燥及び湿潤した床の典型的な測定透過率と典型的な破断面積(10%)を定め、乾燥から湿潤へとシフトする透過率の入口抵抗及びタイムスケール観察した。次いで、係数を乗算することによって抵抗を任意に変化させて、この基本値付近の変動を模倣した。
【0058】
図4Aは流体の圧力を受けて破断する箔の蓋を備える、標準的アルミニウムのNespressoカプセルの実験的な圧力の時間曲線を示す。
図4Bは開放頂部及び流体の圧力を受けても破断しない蓋を備える、プラスチックのL’orカプセルの実験的な圧力の時間曲線である。これらのプロットではポンプの発振が見られる。50Hzサイクル毎に最大圧力、最小圧力、平均圧力をプロットする。
【0059】
図5A及び
図5Bは、標準的なカプセルのシミュレーションについて、いくつかの圧力と時間曲線のモデル(A)及び流量と時間曲線のモデル(B)を示しており、5つの異なる抵抗は、観測されたカプセル抵抗の変動を模倣したものである(上記コメントを参照)。モデルは、平均圧力及び流れについてのものにすぎず、実際のシステムに見られるフル発振パターンではない(
図4参照)。これらの運転ではP
max=20bar及びQ
max=9mL/secが使用された。抵抗の変動は、緩和時間0.5秒で0.29 10
-10から0.83 10
-10m
2からまで低下する透過率の値を選択し、F(a)=5.5,6.0,6,5,7.0,7.5を乗算して異なる出口面積をシミュレートすることによって以下のように行われ(式4を参照)、式(4)の係数F(a)は性能範囲を与えるためのものである。F(a)係数は理論及び実験により確立されたものであり、
図5Cに示されている。
【0060】
図5Cは、流れの入口で開いているが出口面積が異なる立方体形状の床に関して、多孔質床を通る圧力駆動流について周知のダルシーの式を解いた出口面積効果のモデル化を示しており、メッシュサイズ59×59×59及び30×30×30の計算立方グリッドが使用された。緑色の丸は中心の穴から周囲の穴への穴パターンの変動を示す。紫色の四角は穴の数及びサイズを変動させて流れを8mlsに固定した、底部に鋼板を有する半径3.5cmかつ高さ2cmの円筒状の床を通る流れに関する実験結果を示す。圧力を測定して式(3)からシステムの抵抗値を推定した。横軸は出口の開口面積の%であり、縦軸は式(4)の係数F(a)である。
【0061】
図6A、
図6B及び
図6Cは、予測された淹出物の強さと時間、淹出物の濃度と時間、及び収率と時間をそれぞれ示している。
【0062】
D.収率及び強さと実験のモデル予測
図7A及び
図7Bは、STNカプセル(標準的なカプセル又は第1のカプセル)で淹出されたエスプレッソ及びルンゴとSTNカプセルについてのモデル予測を比較したものである。エスプレッソブレンドAはブレンドA(5.7グラム)のための標準的なエスプレッソカプセルについての実験結果であり、淹出物の重量は39~45グラムの範囲であった。STNルンゴブレンドBはブレンドB(6.0g)のための標準的なエスプレッソカプセルについての実験結果であり、ルンゴの淹出物の重量は110~116gの範囲であった。両方のケースについてのモデルの予測は線で結んで示している。モデルSTNエスプレッソは、実験ブレンドと比べて粗い挽きサイズの340マイクロメートルのモデルを用いた標準的なエスプレッソカプセルについての(サブセクションB及びCで論じるモデルに基づく)計算結果を提供し、例示的なブレンドに相当する44~45グラムの範囲の淹出物の重量物を与え、カプセル抵抗を変動させて、実際のポンプ時間で見られる変動を模倣した。モデルSTNルンゴは、同じ挽きサイズの標準的なエスプレッソカプセルに115~117グラムの範囲の淹出物の重量を与え(サブセクションB及びCで論じるモデルに基づく)計算結果を提供した。適用された(発振にわたって平均化された)圧力と流れとの間のポンプ特性の関係は、
図1によって与えられる。
図7Aは収率とポンプ時間を示し、
図7Bは強さとポンプ時間を示している。モデル予測では、使用される挽きサイズの典型値である29%に最大収率を設定した。モデル化における淹出時間変動は、カプセルの抵抗を変動させることによって生成した。
図7A及び
図7Bはモデルの信頼性が高いことを示している。
【0063】
実験及びモデル化の両方において、エスプレッソの収率には20~26%の自然変動があり、強さは2.5~4%で変動する。これは実際に現在の消費者が経験するものである。
【0064】
図8A及び
図8Bは、ブレンドAを共に使用した標準的なカプセル及びDCAカプセルのモデル化と実験とを比較する。STNカプセルには5.7グラムの重量のコーヒーが充填されており、DCAカプセルには10.7グラムの重量のコーヒーが充填されている。モデルコーヒー重量はSTNのケースでは5.5gmとし、DCAのケースでは11.0gとした。またモデルデータは線で結んで示している。
【0065】
収率は
図8Aにプロットされ、強さは
図8Bにプロットされている。STNのケースの実験は
図7と同じデータであり、淹出物の重量は39~45グラムの範囲であった。DCAカプセル内のブレンドAの淹出物は75~85グラムの範囲のダブルエスプレッソ重量を与え、重量81~82グラムに対して標準的なカプセルでは5.5g、ダブルの設計では11gを用いてモデルを運用した。ポンプ時間はシングルの淹出時間に対する広がりに匹敵する淹出時間を有する理想的な設計よりも長くした。DCAカプセルによるダブルの収率範囲はシングル(エスプレッソ)の収率の範囲の中間から始まり、より高い値まで延びた。スケーリングされたカプセルの収率は標準的なカプセルの収率の上端にあるが、依然として22~27%の理想的な範囲にあった。DCAカプセルでより大きな重量のコーヒーを用いると、ダブルの強さはシングルの強さに匹敵し、STNシングル及びDCAダブルの広がりは多くが重複する。
【0066】
このセクションの結論は、モデルが(
図7の)実験に匹敵する結果を与えたことと、実験を上回る設計を探求するためにモデルが使用できることである。
図8はポンプ時間が(驚くほど)長いにもかかわらず、STNカプセルから淹出されたシングルエスプレッソ及びDCAカプセルによるダブルエクスプレッソが、同等の淹出収率及び強さの広がりを有することを示している。すなわち、理想的な設計から設計選択を遠ざける制約を仮定すると(シングル及びダブルについて同じポンプ時間を与える次のセクションを参照)、DCAカプセルの性能は許容可能であり、許容可能な性能を持ちつつ制約を満たしている設計であることが発明者らにより発見された。
【0067】
E.標準的なカプセルによるシングル対スケーリングされたカプセルによるダブル
このセクションは、モデル化を用いてカプセル形状のより広い空間のオプションを検討し、「理想的な」解決策に関する制約を満たすDCA設計を設定する。分かりやすくするために、
図3の表1の全ての寸法にシングル係数fを乗算した標準的なカプセルから生じたカプセルのファミリーを考察する。スケーリングされたカプセルには標準的なカプセルの重量の2倍が充填されており、体積の2倍が淹出される。標準的なカプセルは5.5gmのコーヒーでモデル化され、スケーリングされたカプセルには11gmが充填され、スケールファクタが大きくなればなるほど、固定重量のコーヒーが充填されたカプセルの体積は小さくなることが明らかである。スケーリングされたカプセルは出口(大径端部)から充填されると仮定する。
図9はこれを模式的に示している。スケールファクタを大きくすると、コーヒー床は出口から上向きに充填され、高さを短くするとより幅広くかつより短くなる。
【0068】
図9は、固定重量のコーヒーが充填されたスケーリングされたカプセルの模式図であり、スケールファクタは左から右へと増大し、ハッチングゾーンは固定重量のコーヒーが充填された床を仮想的に示している。点線の四角は以下の議論において使用される。
【0069】
標準的なカプセルをコーヒー5.5グラム及び観察されたコーヒーの流れ抵抗の中間範囲でシミュレートし、15.5秒ポンプを動かして収率22.4%及び強さ3.0%の41.1グラムの重量の淹出物を生産した。
【0070】
モデルを用いて、コーヒー11グラムの重量でシングルスケールファクタによるカプセルからの収率、床透過率及び出口面積効果を、標準的なカプセルのモデル化で使用されるように設定した。カプセルの抵抗は床がより短くかつより幅広くなるにつれて、スケールファクタが増加し形状が減少するように変動し、したがって、淹出時間及び収率も同様に変動することに留意されたい。f=1.3においてモデル化されたポンプ時間は28秒であったが、f=1.7では24秒であった。生産される淹出物の重量は捕捉された気体により駆動された滴下効果の変動に起因して変動し、ポンプ時間すなわち送り出された体積は、ダブルエスプレッソの淹出物の重量を範囲81~83グラムに保つように調節される。初めにカプセルを充填するために必要なより大きな体積も考慮し、大型カプセルと共により長いポンプ時間も必要である。これは、
図10及び
図11によって示される可変性を駆動する。
【0071】
図10は固定床透過率及び出口係数と共に抵抗が変動することに起因して、収率と形状がどのように変動するかを示している。
【0072】
図11は対応する強さと形状がどのように変動するかを示している。
【0073】
以下の
図12で示すように、異なる寸法についてのわずかに異なる係数(表2)を用いたDCAの設計選択は、シングルスケールファクタ1.3に対する性能に非常に近く、後者の性能は
図10及び
図11の矢印によって示されている。
【0074】
図12は、標準的なカプセル内の5.5グラムによるエスプレッソ淹出収率、(DCAカプセルに近い)f=1.3のシングルスケールファクタカプセル内の11グラムによるダブルエスプレッソ淹出に関する収率、及びフル設計DCA(表2)内の11gからの収率に関する淹出時間の変動に関するモデル予測を比較する。
【0075】
しかしながら、係数1.7は標準的なカプセルに近い淹出時間、収率及び強さを与えるという点で理想的であると考えられる。具体的には、カプセルは底部の直下において床が非常に大きくなり(
図9右側を参照)、充填されていない体積が大きくなる。床が部分的にのみ充填されたこのような大型カプセルは、実際には、セクションAに列挙した望ましくない効果の範囲を有し得る。(
図9に点線の四角により示されるように)ぴったり11gを収容する十分な薄い「フラット」設計を選択することもできるが、このような設計は標準的なカプセルとは根本的に異なる外観であり、消費者の知覚の観点(セクションAの制約1)からは全く受け入れられない。更に発明者の経験では、このような幅広で短い床を通る均質な流れパターンを実現することは実際には困難であると。ダブル設計選択(DCAカプセルに近くILDカプセルの一実施形態である、f=1.3のカプセル)は、収率及び強さがより高く、わずかに味の異なる飲料を与える。しかしそれは許容可能な範囲内であり、これは官能データによってサポートされる。これはスケールファクタが1.3から1.7になることにつながる。これは内部体積が27.66~68.67cm3の範囲になり得ることを意味する。
【0076】
F.官能データ
官能パネルを用いて以下のサンプル間の違いを試験した。以下のエスプレッソ淹出物間で違いの程度を判断した。3つの異なるブレンドを試験した。
基準-Nespresso(Citiz(登録商標)淹出器)におけるL’orブレンド
ブラインド調整-基準と同じ
以下に論じる装置で淹出された標準的なカプセル
以下に論じる装置上で淹出されたILDカプセル
【0077】
図13は得られたデータを示す。3未満のDoDは有意ではないと考える。
【0078】
G.分析データ
下記の試料を淹出した
エスプレッソ1:STNカプセルにおけるブレンドA、(飲み物長さ40mL)
エスプレッソ2:DCAにおけるブレンドA(2倍の重量及び飲み物長さ80mL)
ルンゴ1:STNカプセルにおけるブレンドB(飲み物長さ110mL)
ルンゴ2:DCAにおけるブレンドB(2倍の重量及び飲み物長さ220mL)
【0079】
図14A及び
図14Bは、重要なアロマ化合物のセットについてのGCMSデータのプロットを示している。
【0080】
図14Aは、DCAカプセルから淹出された平均的なダブルエスプレッソ(エスプレッソ2)とSTNカプセルから淹出された平均的なシングルエスプレッソ(エスプレッソ1)の正規化アロマ分析を示し、STNカプセルの値が100%に正規化されている。図の下の表では絶対値をppm単位で示す。これらのデータから、エスプレッソ1からの淹出物中の成分とエスプレッソ2からの淹出物中の成分との間には大きな違いはない。
【0081】
図14Bは、DCAカプセルから淹出された平均的なダブルルンゴ(ルンゴ2)とSTNカプセルから淹出された平均的なシングルルンゴ(ルンゴ1)の正規化アロマ分析を示し、STNカプセルの値が100%に正規化されている。図の下の表では絶対値をppm単位で示す。これらのデータからフェノールにおいて大きな違いがあり、他の成分は大きな違いを示さない。より長い淹出時間を考慮しより高いフェノール濃度を予想していたので、これは予想しない結果である。
【0082】
データはシングルのデータに対して正規化され、したがってダブルの濃度は、シングルの濃度のパーセンテージとしてプロットされる。多くの場合、データは淹出物の測定時の反応が大きく異ならないという点で、炭水化物(
図18を参照)及び酸化物分析(
図15を参照)の全体的な傾向に一致する。しかしフェノールについては、
図14Bに見られるように10%超のずれは大きいと考えられる。
図14Aにも、同じ分子についての違いがいくつか示されている。これは驚くべきことであるが、消費者の知覚の観点からかなり肯定的な利点を構成している。分子のうちの3つは、望ましくない過抽出と関連するキアコールである。
【0083】
文献The Craft and Science of Coffee Ch 15(Brita,F.著)((2017)Academic press ISBN:978-0-12-803520-7)を引用する。第365頁第2パラグラフの下段には、「Leeらは、過抽出とリンクするオフフレーバーの増大と高度に相関した、グアイコール、4-エチルグアイコール及び4-ビニルグアイコールが抽出中にどのように増大するかを示す(2011)(Lee et al(2011)show how guiacol,4-ethylguiacol and 4-vinylguaicol increased during extraction which was highly correlated with increasing off-flavours linked to over extraction)」と述べられている。Leeらの言及は、過抽出されたコーヒーからのオフフレーバー化合物の分析である(Korean Journal of Food Science and Technology(2011)、43(3)、348~360))。
【0084】
したがって、これらの分子は比較的ゆっくり放出され、長い抽出時間と共に望ましくない過抽出を生じることが知られている。DCAカプセルは(
図8A及び
図8Bで参照されるように)、ダブルの淹出時間がシングルに対してより長くなるがより長い淹出時間にもかかわらずこれらの分子のレベルが低減されるので、淹出時間がより長いDCA形状は過抽出を与えるという専門家の予想に反して、床形状は、過淹出と相関することが知られているフレーバーを緩和すると仮定される。理論によって拘束されることなく、これは、背の高い床の上部の面から放出される分子は、床の下部を出る前に下方の粒に結合する場合に生じる。
【0085】
図15は、有機酸の分散に関する表であり、エスプレッソ1はSTNカプセルから淹出されたシングルエスプレッソの測定値に関連し、エスプレッソ2はDCAカプセルから淹出されたダブルエスプレッソの測定値に関連する。エスプレッソ1とエスプレッソ2との間には大きな違いは観察されない。ルンゴ1はSTNカプセルから淹出されたシングルルンゴの測定値に関連し、ルンゴ2はDCAカプセルにおいて淹出されたダブルルンゴの測定値に関連する。ルンゴ1とルンゴ2との間で観察された違いは方法の可変性の範囲内である。
【0086】
図16はpH/Ta、DMA及びカフェインの分散に関する表であり、エスプレッソ1はSTNカプセルから淹出されたシングルエスプレッソの測定値に関連し、エスプレッソ2はDCAカプセルから淹出されたダブルエスプレッソの測定値に関連する。ルンゴ1はSTNカプセルから淹出されたシングルルンゴの測定値に関連し、ルンゴ2はDCAカプセルにおいて淹出されたダブルルンゴの測定値に関連する。大きな分散がある物質には列の下部に「有り」と示されている。
【0087】
図17はビターラクトン類及びクロロゲン酸の分散に関する表であり、エスプレッソ1はSTNカプセルから淹出されたシングルエスプレッソの測定値に関し関連し、エスプレッソ2はDCAカプセルから淹出されたダブルエスプレッソの測定値に関連する。ルンゴ1はSTNカプセルから淹出されたシングルルンゴの測定値に関連し、ルンゴ2はDCAカプセルにおいて淹出されたダブルルンゴの測定値に関連する。これらの物質に関しては大きな違いは観察されなかった。
【0088】
図18は、非炭水化物及び全炭水化物の分散に関する表であり、エスプレッソ1はSTNカプセルから淹出されたシングルエスプレッソの測定値に関連し、エスプレッソ2はDCAカプセルから淹出されたダブルエスプレッソの測定値に関連する。ルンゴ1はSTNカプセルから淹出されたシングルルンゴの測定値に関連し、ルンゴ2はDCAカプセルにおいて淹出されたダブルルンゴの測定値に関連する。これらの物質に関しては大きな違いは観察されなかった。
【0089】
図19は、ILDカプセルに収容されたForzaコーヒーブレンドバッチ1(10.7g)からの淹出物を、共にSTNカプセルに入ったForzaコーヒーブレンドバッチ1(5,7g)からの淹出物及びForzaコーヒーブレンドバッチ2(5、7g)からの淹出物と比較するレーダーチャートである。この図では、AR=アロマ、AP=見た目、MF=口あたり、FL=フレーバーであり、ATは後味である。レーダーチャートから、ILDカプセルの淹出物はSTNカプセルの淹出物と比較して著しく濃い色であると結論付けることができる。しかしForzaのILDカプセル淹出物は、STNカプセル淹出物との官能マッチが良好であった。
【0090】
図20は、ILDカプセルに収容されたProfondoコーヒーブレンドバッチ1(11.1g)からの淹出物を、共にSTNカプセルに入ったProfondoコーヒーブレンドバッチ1(6.15g)からの淹出物及びProfondoコーヒーブレンドバッチ2(6.15g)からの淹出物と比較するレーダーチャートである。同じくこの図では、AR=アロマ、AP=見た目、MF=口あたり、FL=フレーバーであり、ATは後味である。レーダーチャートから、ILDカプセルの淹出物はSTNカプセルの淹出物と比較して著しく濃い色であると結論付けることができる。またProfundoブレンドが充填されたSTNカプセルの淹出物と比較すると、ProfundoブレンドのILDカプセルのシトラスフレーバーは著しく弱い。それでもProfundoのILDカプセル淹出物は、STNカプセル淹出物との官能マッチが良好であった。
【0091】
セクションII:実際の実施形態
このセクションでは以下の図面を参照する。
図101A及び
図101Bはシステムの概略図を示している。
図102Aは半閉状態の装置の透視側面図を示している。
図102Bは全閉状態の装置の透視側面図を示している。
図103A~
図103Bはキャビティが第1のタイプのカプセルを保持しているときの
図101Aに示したシステムの係止機構の機能を示している。
図104A~
図104Bはキャビティが第2のタイプのカプセルを保持しているときの
図101Bに示したシステムの係止機構の機能を示している。
図105A~
図105Bはキャビティが第1のタイプのカプセルを保持しているときの
図101Aに示したシステムの拘束リングの機能を示している。
図106A~
図106Bは抽出時における淹出チャンバ内の第1のタイプのカプセル及び抽出時における淹出チャンバ内の第2のタイプのカプセルをそれぞれ示している。
図107A~
図107Bは、重力の効果でキャビティから使用済みの第1及び第2のタイプのカプセルを吐出するために下向きに旋回する第1の淹出チャンバ部をそれぞれ示している。
図108A~
図108Bは第1の淹出チャンバ部及び第2の淹出チャンバ部によって形成された淹出チャンバにそれぞれ挿入された第1のタイプのカプセル及び第2のタイプのカプセルの例を示している。
図109Aは第2のタイプのカプセルの実施形態の図である。
図109Bは
図109Aに係るカプセルの断面である。
図109Cは
図109Aに示した矢印P方向の蓋で可能な実施形態の図である。
図109Dは
図109Aに示した矢印P方向の蓋の代替実施形態の図である。
図109Eは
図109Aに示した矢印P方向の蓋の代替実施形態の図である。
【0092】
図101A及び
図101Bは飲料を調製するためのシステム1の概略断面図を示している。このシステムは装置2及び交換可能なカプセルを含む。ここでシステム1は第1のタイプのカプセル4A及び第2のタイプの第2のカプセル4Bと協働するように構成される。
図101Aと
図101Bに示した装置2は同一の装置である。装置2はカプセル4A(
図101Aを参照)又はカプセル4B(
図101Bを参照)のいずれかと選択的に協働するように構成される。システム1は装置2、カプセル4A及びカプセル4Bを含むことができると理解される。
【0093】
カプセル4Aと4Bはタイプが異なる。この例では、カプセル4Bはカプセル4Aよりも大きい。カプセル4Bの軸方向の長さLBは、カプセル4Aの軸方向の長さLAよりも大きい。第2のタイプのカプセル4Bの直径DBは、第1のタイプのカプセル4Aの直径DAよりも大きい。これらの違いにもかかわらず、この例では第1のカプセル4A及び第2のカプセル4Bは同様の視覚的印象を生み出すように設計される。上述のように、第2のタイプのカプセルはそのような拡大されたカプセルの予想される淹出挙動を考慮すると、第1のタイプのカプセルと同じ形状を有することは当業者にとって明白ではない。第2のタイプのカプセルは上述したILSカプセルの一実施形態である。第1のタイプのカプセルは上述した標準的なカプセルの一実施形態である。第1のカプセル4A及び第2のカプセル4Bは同じ系統の外見と印象を有するように設計される。ここでは、第1のタイプのカプセル4Aの軸方向の長さと直径の比LA/DAは、第2のタイプ4Bのカプセルの軸方向の長さと直径の比LB/DBと実質的に同じである。好ましくは、第1及び第2のカプセルの長さと直径の比は20%以内で、好ましくは例えば、10%以内で、同一である。
【0094】
次に類似性を考慮して、カプセル4A、4Bの両方について同時に説明する。この例ではカプセル4A、4Bは共にカップ形状の本体6A、6Bを含む。ここでカップ形状の本体6A、6Bは、底部8A 8B及び周壁10A、10Bを含む。底部8A、8Bと周壁10A、10Bはモノリシック部分を形成することができる。カプセル4A、4Bは共に蓋12A、12Bを含む。蓋12A、12Bはカップ形状の本体6A、6Bの開放端部を閉じる。以下に説明するように、蓋12A、12Bは飲料がそこを通ってカプセルから流出できる出口区域13A、13Bを有する。この例では蓋12A、12Bはカプセル4A、4Bのフランジ状のリム14A、14Bに接続される。ここでのリム14A、14Bは外向きに延びたリムである。底部8A、8Bと周壁10A、10B、リム14A、14Bはモノリシック部分を形成することができる。ここで出口区域13A、13Bは、潜在的に飲料がそこを通ってカプセル4A、4Bを出ることができる蓋12A、12Bの区域を規定する。したがって蓋12A、12Bのリム14A、14Bに封止される区域は出口区域13A、13Bの一部を構成しない。この例でのカプセル4A、4Bは、実質的に底部8A、8Bから蓋12A、12Bまで延びる軸の周りで対称的に回転する。カップ形状の本体6A、6B及び蓋12A、12Bはカプセルの内部空間16A、16Bを囲んでいる。内部空間16A、16Bは抽出可能物質又は可溶性物質といった一定量の飲料成分を含む。例えば飲料成分は焙煎し挽いたコーヒーや茶などであってもよい。飲料成分は粉末コーヒーであってもよい。飲料成分は液体であってよい。カプセル4A、4Bの大きさの違いを考慮すると、第2のタイプのカプセル4Bは、第1のタイプのカプセル4Aよりも多量の飲料成分が含まれることが理解される。この例では、第2のタイプのカプセル4Bの内部空間16Bは第1のタイプのカプセル4Aの内部空間16Aの約2倍である。例えば、第1のタイプのカプセル4Aには、4~8グラム、例としては約6グラムの挽いたコーヒーを含めることができる。例えば、第2のタイプのカプセル4Bには8~16グラム、例としては約12グラムの挽いたコーヒーを含めることができる。
【0095】
カップ形状の本体6A、6Bはアルミ箔などの金属箔、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのプラスチック材料、あるいはそれらの組み合わせから製造することができる。カップ形状の本体6A、6Bはプレス、深絞り、真空成形、射出成形などによって製造することができる。蓋はアルミ箔などの金属箔、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのプラスチック材料、あるいはそれらの組み合わせから製造することができる。この例ではカプセル4A、4Bはいわゆる閉鎖カプセルである。これは装置に挿入する前に密閉されたカプセルを示す。以下に説明するように、閉鎖カプセルは装置によって開くことができる。代替的に、非封止又は再充填可能なカプセルを使用してもよい。
【0096】
この装置は第1の淹出チャンバ部18及び第2の淹出チャンバ部20を含む。第1及び第2の淹出チャンバ部18、20は(
図101A及び
図101Bには示されていない)淹出チャンバ22A、22Bを形成するために互いに対して閉鎖することができる。
【0097】
第1の淹出チャンバ部18はキャビティ24を含む。キャビティ24は第1又は第2のカプセルカプセル4A、4Bを受け入れるように構成される。ここでは第1の淹出チャンバ部18のキャビティ24は、第1のタイプのカプセル4A又は第2のタイプのカプセル4Bを保持するように構成された所定のキャビティ24である。ここではキャビティ24は第1のタイプのカプセル又は第2のタイプのカプセルを保持するための不変の形状を有する。ここでは第1の淹出チャンバ部18は第1の淹出チャンバ部18の構成を変更することなく第1のタイプのカプセル又は第2のタイプの第2のタイプを保持するように構成される。この例では第1の淹出チャンバ部18は、モノリシック部分である。この例では第1の淹出チャンバ部18は、第1の当接面26を含む。第1の当接面はキャビティ24の内側に配置される。ここでは第1の当接面26は第1の慨環状当接面である。第1の慨環状当接面26は連続する環状であってもよく、あるいは環に沿って複数の部分を備える中断した環状などであってもよい。第1の当接面26はキャビティ24内に突出する1つ以上のアーチ状のリッジをとることができる。ここでは第1の当接面26は段付き形状のキャビティ24を提供する。この例では、第1の淹出チャンバ部18は第2の当接面28を含む。第2の当接面はキャビティ24の開放端部の近くに配置される。ここでは第2の当接面28は第2の慨環状当接面である。第2の慨環状当接面28は連続する環状であってもよく、あるいは環に沿って複数の部分を備える中断した環状であってもよい。第2の当接面28は1つ以上のアーチ状のリッジをとることができる。第1の当接面26及び第2の当接面28は第1の淹出チャンバ部18の軸方向に相互距離で離間していることが理解される。第1の当接面26及び第2の当接面は固定間隔で配置される。第1の当接面26及び第2の当接面は互いに対して移動不能である。ここでは第1の淹出チャンバ部18はエジェクタ38を含む。エジェクタ38は円錐状のリング及び/又は及び弾性要素42、ここでは螺旋ばねを含むことができる。第1の淹出チャンバ部18はカプセルの底部を穿孔する穿孔手段44を含む。ここでは穿孔手段は3つのナイフなどの複数のナイフを含む。
【0098】
第2の淹出チャンバ部20は抽出プレート30を含む。この例では、抽出プレート30は中央部分32と周辺部分34とを含む。中央部分32は周辺部分34に対して移動可能である。ここでは中央部分32は第2の淹出チャンバ部に20の軸方向に移動可能である。
【0099】
前述したシステム1は以下のように飲料を調製するために使用することができる。システム1の更なる特徴については方法に沿って説明する。
【0100】
図101A及び
図101Bの例では、装置2はカプセルを受け入れる準備ができた状態である。
図101A及び
図101Bでは、カプセル4A、4Bが第1の淹出チャンバ部18のキャビティにちょうど挿入されたところである。第1の淹出チャンバ部18は傾斜位置にある。キャビティ24の開放端部は上方を向いている。
【0101】
図101Aに示すように、第1のタイプのカプセル4Aは重力の影響でキャビティ24内に落下することができる。ここでは第1のタイプのカプセル4Aのリム14Aは第1の淹出チャンバ部18の内面36によって誘導される。第1のタイプのカプセル4Aの底部8Aはエジェクタ38に隣接するまでキャビティ24の中に下げられる。ここでは第1のタイプのカプセル4Aの底部8Aはエジェクタ38の中心にある。第1のタイプのカプセル4Aのリム14Aは第1の当接面26と第2の当接面28との間に配置されていることが理解される。この状態では第1のタイプのカプセル4Aの底部8Aはまだ穿孔されていない。
【0102】
図101Bに示すように、第2のタイプのカプセル4Bもまた重力の影響でキャビティ24内に落下することができる。ここでは第2のタイプのカプセル4Bの周壁10Bは第1の淹出チャンバ部18の内面46によって誘導される。第2のタイプのカプセル4Bの底部8Bはエジェクタ38に隣接するまでキャビティ24の中に下げられる。ここでは第2のタイプのカプセル4Bの底部8Bはエジェクタ38の中心にある。第2のタイプのカプセル4Bのリム14Bは、穿孔手段44から見たときに第2の当接面28を越えて配置されていることが理解される。この状態では第2のタイプのカプセル4Bの底部8Bはまだ穿孔されていない。
【0103】
図101A及び
図101Bに示すように、カプセル4A、4Bがキャビティ24に挿入されると、第1の淹出チャンバ部18は、カプセル4A、4Bの周囲で淹出チャンバを閉鎖するために第2の淹出チャンバ部20に向かって移動することができる。第1の淹出チャンバ部18は装置のフレーム48に誘導される。
【0104】
図102A及び
図102Bに示すように、この例では第1の淹出チャンバ部18は第1のボス50及び第2のボス52を含む。第1のボス50はフレーム48の第1の溝54に誘導される。第2のボス52はフレーム48の第2の溝56に誘導される。ボス50、52及び溝54、56により第1の淹出チャンバ部18が辿る経路が決定されることが理解される。ここでは第1の溝54及び第2の溝56はフレーム48の側壁57に設けられている。第1の溝54は第1の深さまで側壁57の中に延びる。第2の溝56は第2の深さまで側壁の中に延びる。第2の深さは第1の深さよりも大きい。第1のボス50は第2のボス52よりも大きい直径を有する。第1の溝54は第2の溝56よりも大きい幅を有する。第1の溝54の幅は第1のボス50の直径に対応する。第2の溝56の幅は第2のボス52の直径に対応する。第1の溝54は第2の溝56とは異なる軌跡に沿って延びることが理解される。溝の幅及び深さが異なることによって、第1のボス50と第2のボス52は異なる軌跡を辿ることが可能になる。この構造により、第1のボス50及び第2のボス52を誘導するための構造を非常にコンパクトにすることが可能になる。
【0105】
装置2はレバー58を含む。レバーはユーザーが手動で作動させることできる。レバーはレバー軸60の周りにフレーム48に枢動接続される。第1の淹出チャンバ部18はひざ継手62を介してフレーム48に接続される。ひざ継手62はプッシュロッド64及びクランク66を含む。プッシュロッド64はひざ軸68においてクランク66に枢動接続される。クランク66はクランク軸70においてフレーム48に枢動接続される。レバー58は動作中に第1の淹出チャンバ部18を作動させるためにひざ継手62に接続される。ここではレバー58はレバーリンク74を介してひざ継手62に接続される。レバーリンク74はレバーリンク軸76においてレバー58に枢動接続される。レバーリンク74はひざリンク軸78においてプッシュロッド74に枢動接続される。
【0106】
拘束リング80は第1の淹出チャンバ部18を取り囲んで配置される。拘束リング80は第1の淹出チャンバ部18に対する軸方向に移動可能である。ここでは拘束リング80は第1の淹出チャンバ部18の外面によって誘導される。拘束リングは1つ以上の弾性要素82を介して、第1の淹出チャンバ部に接続され、ここでは螺旋ばねが用いられる。プッシュロッドはプッシュロッド軸72において拘束リング80に枢動接続される。したがって、ここではひざ継手62は拘束リング80又は1つ以上の弾性要素82を介して第1の淹出チャンバ部18に間接的に接続される。拘束リングの機能について以下に説明する。
【0107】
レバー58を下方向に移動させると、ひざ継手62は第1の淹出チャンバ部18を第2の淹出チャンバ部20に向かって押す。同時に第1の溝54及び第2の溝56の形状に起因して、第1の淹出チャンバ部18は、上向きに傾斜した配向から、第1の淹出チャンバ部18の軸方向が第2の淹出チャンバ部20の軸方向と整列する整列配向に回転する。
【0108】
上述のように、装置2は第1のタイプのカプセル4A又は第2のタイプのカプセル4Bのいずれかと選択的に協働するように配置される。ここではシステム1は第1のタイプのカプセル4Aが挿入されたか、あるいは第2のタイプのカプセル4B(又は4B’、下記参照)が挿入されたかに応じて、淹出チャンバを自動的に調節するように構成される。これは第1又は第2のタイプのカプセルの適切な取り扱いを選択するためにユーザー入力が必要ないという利点を提供する。したがって、間違いのリスクを大幅に低減することができる。
【0109】
上述のように、第2の淹出チャンバ部20は中央部分32及び周辺部分34を有する抽出プレート30を含む。ここでは中央部分32は第2の淹出チャンバ部に20の軸方向に移動可能である。この例では、中央部分32はフレーム48に関して軸方向に摺動移動可能なシャフト32’を含む。中央部分32は、弾性部材84介してフレーム48に接続され、ここでは螺旋ばねが用いられる。
図101A及び
図101Bにあるように、弾性部材84は中央部分を準備位置へと偏らせる。この例では準備位置は拡張位置にある。第1のタイプのカプセル4Aと協働するために、中央部分32を第1の淹出位置に配置することができる。第2のタイプのカプセル4Bと協働するために、中央部分を第2の淹出位置に配置することができる。この例では、システム1はキャビティ24が第1のタイプのカプセル4Aを保持したときに中央部分32を第1の淹出位置に又はその近くに係止するように構成された係止機構86を含む。
【0110】
係止機構86は係止部88を含む。ここでは係止部88は枢動軸90の周りで枢動可能な枢動フィンガとして設計される。係止部88はシャフト32’から離れるように枢動する位置に偏る。係止部はまた任意の他の好適な位置に偏らせることができる。係止機構86はプッシャ92を更に含む。プッシャは第2の淹出部20の本体94に摺動可能に誘導される。プッシャ92は弾性部材96介して本体94に接続され、ここでは螺旋ばねが用いられる。弾性部材96はプッシャを拡張位置に偏らせる。第1の淹出チャンバ部18はアクチュエータ98を含む。ここではアクチュエータは第1の淹出チャンバ部18の前面によって形成される。
【0111】
図103A及び
図103Bはキャビティ24が第1のタイプのカプセル4Aを保持したときの係止機構86の機能を示す。この例では、蓋12A、出口区域13A及び/又はリム14Aによって形成される第1のタイプのカプセル4Aの最外部は、アクチュエータ98に対して後方、すなわち穿孔手段44のより近くに配置される。その結果、第1のタイプのカプセル4Aを第2の淹出チャンバ部20に向かって前進させると、アクチュエータ98は第1のタイプのカプセル4Aの最外部が中央部分32に接触する前にプッシャ92に接触する。プッシャは弾性部材96の偏る力に抗して押される。プッシャ92のリップ100は係止部88の傾斜面102に沿って摺動し、係止部88をシャフト32’に向かって枢動させる。その結果、係止部88のサム104は中央部分32の部分106の移動経路に置かれる(
図103Bを参照)。第1のタイプのカプセル4Aを第2の淹出チャンバ部20に向かって更に前進させると、第1のタイプのカプセル4Aは中央部分32に隣接する。これにより弾性部材84の偏る力に抗して中央部分を押すことができる。枢動した係止部88はサム104に部分106が隣接する位置を越える中央部分の移動を防止する。これは本明細書において第1の淹出位置として定義される。したがって、第1のタイプのカプセル4Aは中央部分32を準備位置から第1の淹出位置に移動させるように構成される。淹出中第1のタイプのカプセル4Aは第1の淹出チャンバ部18と第2の淹出チャンバ部20との間に保持され、中央部分32は第1の淹出位置にある。
【0112】
図104A及び
図104Bはキャビティ24が第2のタイプのカプセル4B’(又は4B’)を保持したときの係止機構86の機能を示す。この例では、蓋12B、出口区域13B及び/又はリム14Bよって形成される第2のタイプのカプセル4Bの最外部は、アクチュエータ98に対して前方、すなわち第2の淹出チャンバ部20のより近くに配置される。その結果、第2のタイプのカプセル4Bを第2の淹出チャンバ部20に向かって前進させると、第2のタイプのカプセル4Bの最外部はアクチュエータ98がプッシャ92に接触する前に中央部分32に隣接する。中央部分32は弾性部材84の偏る力に抗して押されるが、係止部88は依然としてシャフト32’から離れるように枢動する。その結果、部分106はサム104の下を通過する。部分106がサム104を通過した後にのみ、プッシャはアクチュエータ98によって弾性部材96の偏る力に抗して押される。プッシャ92のリップ100は依然として係止部88の傾斜面102に沿って摺動し、係止部88をシャフト32’に向かって枢動させる。しかしその時点で部分106は既にサム104を通過している。この例では、第2のタイプのカプセル4Bは中央部分32を本体94と隣接した状態で押す。これは本明細書において第2の淹出位置として定義される。したがって、第2のタイプのカプセル4Bは中央部分32を準備位置から第2の淹出位置に移動させるように構成される。淹出中第2のタイプのカプセル4Bは第1の淹出チャンバ部18と第2の淹出チャンバ部20との間に保持され、中央部分32は第2の淹出位置にある。
【0113】
したがって、係止機構86はキャビティ24が第1のタイプのカプセル4Aを保持したときに中央部分32を第1の抽出位置に係止するように構成される。係止は片側でもよく、つまり係止機構はキャビティ24が第1のタイプのカプセル4Aを保持したときに中央部分32が第1の抽出位置を越えて移動するを防止することができる。しかし第1の抽出位置から準備位置への中央部分32の移動を防止することはできない。係止ユニット86は、第2のタイプのカプセル4Bが淹出チャンバ内に含まれるときに、中央部分32が第1の淹出位置に又はその近くに係止されるのを選択的に防止するように構成される。係止ユニット86は、第2のタイプのカプセルが淹出チャンバ内に含まれるときに、中央部分32が第2の淹出位置に移動されるのを選択的に許可するように構成される。
【0114】
図103Aと
図104Aとを比較すると、第1の淹出チャンバ部18を第2の淹出チャンバ部20に向かって前進させる間、第1のタイプのカプセル4Aは第2のタイプのカプセル4Bよりも更に第1の淹出チャンバ部へと入り込んでいることが理解される。そして第1の蓋12A、出口区域13A及び/又はリム14Bは、第2の蓋12B、出口区域13B及び/又はリム14Bよりも更に第1の淹出チャンバ部18へと入り込んでいる。
【0115】
図103Bと
図104Bとを比較すると、淹出チャンバが第1のタイプのカプセル4Aを保持するときに、中央部分32はキャビティ24へと延びていることが理解される。中央部分32は、第1の淹出チャンバ部18に第2のタイプのカプセルが含まれる場合に、第2のタイプのカプセル4Bの蓋12B、出口区域13B及び/又はリム14Bがある位置を越えて、第1の淹出チャンバ部18の中に延びる。
【0116】
上述のように、ひざ継手62は拘束リング80及び1つ以上の弾性要素82を介して第1の淹出チャンバ部18に間接的に接続される。
図105A~
図105Cは拘束リング80の機能を実証している。
【0117】
図105Aでは、第1のタイプのカプセル4Aは中央部分が第1の淹出位置にある状態で中央部分32に逆らって隣接する。拘束リング80は依然として後方位置にある。レバー58はまだ終端位置に達していないことが理解される。第1の淹出チャンバ部18は突起108を含む。ここでは突起108は実質的に環状の突起である。突起108は外向きに延びる。ここでは突起108は第1の淹出チャンバ部18の最外縁部を形成する。第2の淹出チャンバ部20はリテーナ110を含む。ここではリテーナ110はリテーナリップの円周リングとして設計される。リテーナ110は本体94に枢動接続される。ここではリテーナ110は本体94に弾性的に枢動接続される。リテーナ110は歯112を含む。ここでは歯は第1の斜面114及び第2の斜面116を有する。
【0118】
レバー58を下げると、拘束リング80は第2の淹出チャンバ部20に向かって前進することになる。1つ以上の弾性要素82は、例えば間にカプセル4A、4Bを挟持した状態で、第1の淹出チャンバ部が第2の淹出チャンバ20部に隣接するまで第1の淹出チャンバ部18を拘束リング80の前方に押す。この移動の間に突起108は第1の斜面114に対して前進する。これによりリテーナ110が外向きに枢動する(
図105Aを参照)。更に前進すると突起108が第2の斜面116を通り過ぎ、リテーナ110が内向きに枢動する(
図105Bを参照)。レバー58を更に下げると、第1の淹出チャンバ部が第2の淹出チャンバ20部に隣接し、1つ以上の弾性要素82が圧縮される。その結果、拘束リング80は第2の淹出チャンバ部20に向かって前進する。レバー58を完全に下げると、拘束リング80がリテーナ110と係止リング118との間に挟まれる(
図105Cを参照)。リテーナ110を取り囲んでいる拘束リング80はリテーナ110が外向きに枢動するのを防止する。したがって、第1の淹出チャンバ部は第2の淹出チャンバ部20に関して係止される。第1の淹出チャンバ部は第2の淹出チャンバ部20上に係止される。
【0119】
装置は流体、例えば加圧された熱湯などの液体を第1の淹出チャンバ部18に供給する流体供給システムを含むことができる。飲料を淹出するために淹出チャンバが流体で加圧されると、第1の淹出チャンバ部18及び第2の淹出チャンバ部20は、流体圧力によって互いから離れるように押される。リテーナ110及び拘束リング80、並びに任意選択的に係止リング118は、流体圧力によって加えられる力の全部又は一部に耐える。リテーナ110と係止リング118との間に挟まれた拘束リング80は、機械的安定性度を高める。拘束リング80は係止リング118に隣接し、リテーナ110によって加えられた力の少なくとも一部を係止リング118に伝達することができるので、作用する力全体に耐える必要はない。係止リング118は移動不能にすることができるので、簡単に補強することができる。第1の淹出チャンバ部は第2の淹出チャンバ部20上に係止されるので、フレーム48及びひざ継手などの作動機構はこの力、又は力の少なくともより小さな部分に耐える必要はない。したがってフレーム及び/又は作動機構はより弱く及び/又はより安価に設計することができる。
【0120】
拘束リング80の機能は第1のタイプのカプセル4Aに関する
図105A~
図105Cに示されているが、拘束リング80は第2のタイプのカプセル4Bに関して全く同じに機能することができることが理解される。
図106Aは抽出中の淹出チャンバ内の第1のタイプのカプセル4Aを示す。
図106Bは抽出中の淹出チャンバ内の第2のタイプのカプセル4Bを示す。
【0121】
穿孔部材44はカプセル4A、4Bの底部8A、8Bを穿孔するように構成される。
図105A~
図105Cを見て分かるように、この例では穿孔部材44はカプセル4A、4Bの蓋12A、12Bが第1又は第2の淹出位置において中央部分32に隣接するまで底部8A、8Bを穿孔しない。加えて弾性要素42及び弾性部材84の剛性を選択することができる。この例では、弾性要素42の剛性は弾性部材84の剛性よりも大きくなるように選択される。しかし弾性要素42の剛性を弾性部材84の剛性に等しくするか、あるいは弾性要素42の剛性を弾性部材84の剛性よりも小さくすることも可能であることが理解される。
【0122】
カプセル4A、4Bが淹出チャンバ内に含まれ、底部8A、8Bが穿孔されると流体、この例では加圧された熱湯を淹出チャンバに供給することができる。したがって、淹出チャンバは密封性があることが望ましい。加えて中央部分32には第1の封止部材120が設けられている。周辺部分34には第2の封止部材122が設けられている。飲料調製装置2は第1のタイプのカプセル4A又は第2のタイプのカプセル4Bのいずれかを使用して、消費に好適な一定量の飲料を調製するように構成される。その量は所定の量にすることができる。またその量はユーザーが選択可能な量、ユーザーが設定可能な量、又はユーザーがプログラム可能な量にすることができる。
【0123】
図103Bを参照して、第1のタイプのカプセル4Aの観点からの封止について説明する。第1の封止部材120は、第1のタイプのカプセル4Aを保持する淹出チャンバを形成するときに中央部分32と第1の淹出チャンバ18部との間に流体封止係合を提供するように構成される。第1の封止部材120は任意の弾性プラスチック製又はゴム製とすることができ、例えば50~70ショアAの範囲の硬度を有するシリコンで作製することができる。この例では、第1の封止部材120は、第1のタイプのカプセル4Aが淹出チャンバ内に含まれているときには第1の淹出チャンバ部18に隣接する。これにより、カプセル4Aの外側のキャビティ24内に存在する水に対する封止が提供される。このようにして、淹出チャンバ22Aに注入された淹出流体がカプセル4Aの外側の周りでバイパスすることが防止される。
図103Bの例では、第1の封止部材120は弾性リップ121を含んでいる。弾性リップ121は、例えば5~20バール程度である淹出チャンバ内の流体圧力の影響で中央部分32と第1の淹出チャンバ部18との間に自己補強型の封止係合を提供するように構成される。したがって弾性リップ121の剛性は第1の封止部材120の他の部分の剛性よりも高くても、低くても、あるいは同じでもよい。この例では、第1の封止部材120は第1のタイプのカプセル4Aのリム14Aに当接する。リム14Aは第1の当接面26によって第1の封止部材120に押し付けられる。これにより出口区域13Aを介してカプセル4Aを出る飲料に対して中央部分32とカプセル4Aとの間に封止係合が提供される。ここでは、カップ形状の本体6Aと反対を向いたリム14Aの側は第2の淹出チャンバ部20に封止されることが理解される。この封止係合を補強するために、第1の封止部材120は、第1のタイプのカプセル4Aのカップ形状の本体6Aの反対を向いたリム14A上の対応する溝に受け入れられるように構成された小さい突出リッジを含んでもよい。小さい突出リッジはまた、第1のタイプのカプセル4Aのカップ形状の本体6Aの反対を向いたリム14A上の平坦部分に封止するように構成されてもよい。代替的又は追加的に、リム14Aのカップ形状の本体6A側を第1の淹出チャンバ部18に封止してもよい。加えて第1の淹出チャンバ部18、例えば第1の当接面26に対して、及び/又はカプセル4A、例えばリム14Aに対して、あるいはカップ形状の本体6Aに対して、追加の封止を設けることができる。カプセルに対する封止は、第1の淹出チャンバ部18と第2の淹出チャンバ部20との間の封止への追加であり得ることは明白である。これにより第1の封止部材120による封止の手間を低減することができる。
【0124】
図104Bを参照して、第2のタイプのカプセル4Bの観点からの封止について説明する。第2の封止部材122は、第2のタイプのカプセル4Bを保持する淹出チャンバを形成するときに周辺部分34と第1の淹出チャンバ18部との間に流体封止係合を提供するように構成される。第2の封止部材122は任意の弾性プラスチック製又はゴム製とすることができ、例えば50~70ショアAの範囲の硬度を有するシリコンで作製することができる。第2の封止の特徴、例えば、サイズ、厚さ、剛性などは、第1の封止部材120と同じことでもよいが、必ずしも同じにする必要はないことは当業者には明白である。この例では、第2の封止部材122は、第2のタイプのカプセル4Bが淹出チャンバ内に含まれているときには第1の淹出チャンバ部18に隣接する。これにより、カプセル4Bの外側のキャビティ24内に存在する水に対する封止が提供される。
図104Bの例では、第2の封止部材122は弾性リップ123を含んでいる。弾性リップ123は、例えば5~20バール程度である淹出チャンバ内の流体圧力の影響で、周辺部分34と第1の淹出チャンバ部18との間に自己補強型の封止係合を提供するように構成される。したがって、弾性リップ123の剛性は、第2の封止部材122の他の部分の剛性よりも高くても、低くても、あるいは同じでもよい。また、例えば長さとについての弾性リップ123の特徴は、第1の封止部材120の弾性リップ121と同じことでもよいが、必ずしも同じである必要はない。この例では、第2の封止部材122は第2のタイプのカプセル4Bのリム14Bに隣接する。リム14Bは、第2の当接面28によって第2の封止部材122に押し付けられる。これにより、出口区域13Bを介してカプセル4Bを出る飲料に対して、周辺部分34とカプセル4Bとの間に封止係合が提供される。
図104Bでは、第1の封止部材120は、第2のタイプのカプセル4Bを保持する淹出チャンバを形成するときに中央部分32と周辺部分34との間に封止係合を提供する。中央部分32と周辺部分34との間のこの封止係合は自己補強することができる。加えて周辺部分34と第2のタイプのカプセル4Bとの間の係合は、淹出流体が第1の封止部材120へ通過できるようにすることができる。したがって、第1の封止部材120は、出口区域13Bを介してカプセル4Bを出る飲料に対する中央部分32とカプセル4Bとの間の封止係合が提供することができる。一実施形態では、第1の封止部材120は、第2のタイプのカプセル4Bを保持する淹出チャンバを形成するときに、周辺部分34の第1の封止部材120と第2の封止部材122との間に突出している部分と直接的に封止接触してもよい。代替実施形態では、第1の封止部材120は周辺部分34に含まれる第2の封止部材122と直接封止接触してもよい。ここでは、カップ形状の本体6Bの反対を向いたリム14Bの側の蓋は、例えば箔で覆われていても覆われていなくてもよいが、第2の淹出チャンバ部20に封止されることが理解される。代替的又は追加的に、リム14Bのカップ形状の本体6Bと反対側を第1の淹出チャンバ部18に封止してもよい。それに対して、第1の淹出チャンバ部18、例えば第2の当接面28に対して、及び/又はカプセル4B、例えばリム14Bに対して、あるいはカップ形状の本体6Bに対して追加の封止を設けることができる。カプセルに対する封止は第1の淹出チャンバ部18と第2の淹出チャンバ部20との間の封止への追加であり得ることが明白である。これにより第2の封止部材122による封止の手間を低減することができる。
【0125】
淹出チャンバにおいて加圧された流体がカプセル4A、4Bに供給されると、出口区域13A、13Bは抽出プレート30に対して開くことができる。この例の抽出プレート30は複数のレリーフ要素124を含む。ここではレリーフ要素124は角錐台である。カプセル4A、4B内の圧力上昇により出口区域13A、13Bがレリーフ要素で裂かれ、飲料がカプセル4A、4Bを出ることが可能になる。
【0126】
飲料は抽出プレートの開口を介して抽出プレート30を通過することができる。次に飲料は出口126へと流れることができる。飲料は出口126から、カップなどの受容器に流入することができる。
【0127】
飲料が淹出されると、レバー58を上向きに移動させることができる。これにより拘束リング80はリテーナ110から離れるように移動する。次に第1の淹出チャンバ部18が後方に移動される。リテーナ110の第2の斜面116により、リテーナが突起108を通過できるようにすることができる。第1の淹出チャンバ18部は第2の淹出チャンバ部20のから離れるように移動する。中央部分32は準備位置に戻る。ボス50、52及び溝54、56により、第1の淹出チャンバ部18が辿る経路が決定される。
図107A及び
図107Bに示すように、第1の淹出チャンバ部は下向きに旋回する。これにより重力の影響で使用済みのカプセル4A、4Bのキャビティ24からの排出が促進される。エジェクタ38はカプセル4A、4Bを押して穿孔部材44からはずし、キャビティ24から出すのを補助することができる。使用済みのカプセル4A、4Bは装置2の廃棄物用バスケットへと落下することができる。
【0128】
この例では、第1のカプセル4A及び第2のカプセル4Bは、同様の視覚的印象となるように設計される。
図108Aは第1の淹出チャンバ部18及び第2の淹出チャンバ部20によって形成された淹出チャンバ22Aに挿入された第1のタイプのカプセル4Aの例を示している。周壁10Aはその位置ではキャビティ24よりも狭いことが理解される。その結果、キャビティ24の内側に第1のタイプのカプセル4Aを取り囲んでいる第1の体積126が存在する。
図108Bは、第1の淹出チャンバ部18及び第2の淹出チャンバ部20によって形成された淹出チャンバ22Bに挿入された第2のタイプのカプセル4Bの例を示している。周壁10Aの部分128はその位置ではキャビティ24よりも狭いことが理解される。この部分128は周壁10Bの第1の当接面26を越えて延びる部分によって形成される。その結果、キャビティ24の内側に第2のタイプのカプセル4Bを取り囲んでいる第2の体積130が存在する。
【0129】
第1の体積126は、淹出チャンバが第1のタイプのカプセル4Aを保持したときに第1のタイプのカプセル4Aに占められないことに留意されたい。しかしこの第1の体積126は、淹出チャンバが第2のタイプのカプセル4Bを保持したときには第2のタイプのカプセル4Bによって占められる。第2の体積130は、淹出チャンバが第2のタイプのカプセル4Bを保持したときに第2のタイプのカプセル4Bには占められない。この第2の体積130は、淹出チャンバが第1のタイプのカプセル4Aを保持したときに抽出プレート30の中央部分32を受ける。
【0130】
第1のタイプのカプセル4Aを使用して飲料を淹出するときには、第1の体積126が水などの流体で満たされるが、その流体は飲料の淹出には使用されない。この液体は淹出後に廃棄物用バスケットに排出することができる。第2のタイプのカプセル4Bを使用して飲料を淹出するときには、第2の体積130が水などの流体で満たされるが、その流体は飲料の淹出には使用されない。この液体は淹出後に容器、例えば廃棄物用バスケットに排出することができる。この例では第1の体積126は第2の体積130と実質的に等しい。したがって、第1のタイプのカプセル4Aを使用して飲料を淹出するときと、第2のタイプのカプセル4Bを使用して飲料を淹出するときとで、廃棄物用バスケットに送られる流体の体積は実質的に等しい。
【0131】
本明細書では、本発明は本発明の実施形態の具体例を参照して説明する。しかしながら、本発明の本質から逸脱することなしに、様々な修正及び変更を行うことができることは明白である。明瞭性及び簡潔な説明を目的として、本明細書では、記載した特徴について同じ又は別個の実施形態の一部として説明してきたが、これらの別個の実施形態において説明した特徴の全部又は一部の組み合わせを有する代替実施形態もまた想定される。
【0132】
この例では、抽出プレートの中央部分は複数のレリーフ要素を含む。周辺部分はレリーフ要素を含まない。しかし、周辺部分もまたレリーフ要素が含み得ることが理解される。抽出プレート及び第2の出口区域は、互いに開いたときの第1の出口区域の流れ抵抗が開いたときの第2の出口区域の流れ抵抗よりも低くなるように適応することができる。抽出プレート及び第2の出口区域は、互いに第2の出口区域が第1の出口区域よりも大きい表面積にわたって抽出プレート上で裂けるように適応することができる。抽出プレート及び第2の出口区域は、互いに第1の出口区域が第1の出口区域よりも多くの場所で抽出プレート上で裂けるように適応することができる。外側のレリーフ要素は第1の出口区域と第2の出口区域の両方を裂くように設計してもよく、第2の出口区域は第1の出口区域よりも大きい表面積にわたって、外側のレリーフ要素上で裂ける。抽出プレートは第1のタイプのレリーフ要素、及び少なくとも1つの第2のタイプのレリーフ要素を含むことができ、第1のタイプのレリーフ要素は第1の出口区域に対応する区域内に配置され、第2の出口区域に対応する区域内と第1の出口区域に対応する区域の外側には少なくとも1つの第2のタイプのレリーフ要素が配置される。第2のタイプのレリーフ要素は、第1のタイプのレリーフ要素よりも鋭利なエッジを有してもよい。第2の出口区域は脆弱ゾーンを含んでもよい。脆弱ゾーンは第2の出口区域の周辺区域に配置してもよい。
【0133】
この例では、第1のタイプのカプセルは外向きに延びたフランジ状のリムを有する。第1のタイプのカプセルは、外向きに延びたリムを含まないことも可能であることが理解される。この例では、第2のタイプのカプセルは外向きに延びたフランジ状のリムを有する。第2のタイプのカプセルは、外向きに延びたリムを含まないことも可能であることが理解される。
【0134】
この例では、カプセル本体及び蓋は本体に蓋を容易に溶接できるようにするアルミ箔製、好ましくはポリマー被覆アルミ箔製である。カプセル本体及び/又は蓋は当業者が好適であると考える多種多様な材料で作製され、押出成形、共押出し、射出成形、ブロー成形、真空成形などのような、当分野で従来から知られる技術を使用して、シート、フィルム又は箔へと加工することが可能であることが理解される。カプセル本体及び/又は蓋のための好適な材料としてプラスチック材料、特に熱可塑性プラスチック材料、例えばポリオレフィンポリマー、例えばポリエチレン又はポリプロピレン、PVC、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET);アルミニウム、ステンレス鋼、金属合金などの金属箔;あるいは織布又は不織布のシート、場合によっては紙、ポリエステルなどのような加工された繊維質材料;あるいは多層といったそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。カプセルの材料は生分解性ポリマー又は別の生物分解性材料とすることができる。当業者にはカプセルの利用中に想定される食材の利用及びその他の関連する状況を考慮に入れて適切な材料を選択することが可能である。シート又は箔の厚さは、カプセルに形態安定を提供するように選択することができる。シート又は箔の厚さは材料の性質に応じて変動する。
【0135】
この例では、カプセルは閉鎖カプセルである。また開放カプセルを用いるシステムを提供することも可能である。開放カプセルは装置に挿入する前に開いている。開放カプセルは予め穿孔することができる。開放カプセルは密封されたパッケージにパックすることができ、そのパッケージは装置に開放カプセルを挿入する前に除去しなければならない。この例ではカプセルは穿孔手段によって穿孔される。また、穿孔手段で穿孔しないカプセルを備えるシステムを提供するも可能である。このようなカプセルは、例えば入口フィルタを含むことができる。この例ではカプセルを抽出プレートに対して開放する。また抽出プレートに対して開放されないカプセルを備えるシステムを提供するも可能である。このようなカプセルは、例えば出口フィルタを含むことができる。
【0136】
この例では、カプセル自体は封止部材を含まない。封止部材、例えば弾性封止部材を有するカプセルを提供することが可能であることが理解される。封止部材は例えばリム上、カップ形状の本体を向いた側、又はカップ形状の本体の反対を向いた側に配置することができる。代替的又は追加的に、封止部材は周壁及び/又は底部に設けることができる。
【0137】
この例では、拘束リング及びリテーナは第1及び第2の淹出チャンバ部の実質的に全周に沿って延びる。これにより、2つの淹出チャンバ部は互いに対して特にうまく係止される。しかし拘束リング及びリテーナは周縁に沿った1つ以上の別個の位置、例えば、2箇所、3箇所、4箇所、6箇所、又は8箇所に拘束手段及び保持手段を含むことが可能であることが理解される。
【0138】
上述した全ての例において、カプセル4Bは、以下で論じるカプセル4B’と置換することができる。
【0139】
第2のタイプのカプセル4B(ILDカプセルとも呼ばれる)の詳細な実施形態(
図109A~
図109Cを参照)の場合、円錐台形のカプセル本体6Bを含んだカプセル4Bが適用される。本体はカップ本体の中心軸の周りの延びる周側壁10B、カプセル本体の第1の端部を閉鎖するために側壁の第1の9B端部と接続する底壁8B、及び周側壁の第2の端部11Bから径方向外向きに延びるフランジ(リム又はフランジ状のリムとも呼ばれる)14Bを備える。
【0140】
カプセルは、フランジと接続する金属箔蓋12Bを更に含む。またカプセル本体と蓋とによって画定された内部空間16Bに収容されるコーヒー粉砕物のコーヒー床13Bも含む。コーヒー床は周壁の第2の端部においてカップ本体の内径に対応する最大コーヒー床直径D1を有する。内部空間は底部と周側壁の第2の端部が延びている平面との間の最大距離によって規定された高さH1を有する。コーヒー床の重量は9~13グラムの範囲である。コーヒー床の(高さ)/(最大幅)の比は0.9~1.2の範囲である。この例ではD1は約34mmであり、H1は約39mmである。また(内部空間の高さ)/(周壁の第2の端部におけるカップ本体の内径)の比は、0.9~1.2の範囲である。したがって、コーヒー床の高さは内部空間の高さとほぼ同じである。カプセル本体6Bと蓋12Bとはそれぞれがアルミニウム製である。カプセル4Bは密閉されている。上述のように、カプセル4Bの底部は加圧された水をカプセルに供給するために穿孔して開くように設計され、蓋はカプセル内の水の圧力を受けて裂けて開くように設計されている。
【0141】
この効果は、第2のタイプのカプセルが良好な淹出性能を有するということである。例えば淹出性能は以下のような特徴を有することができる。
乾物量はエスプレッソの場合2.8~3.4%の範囲、ルンゴの場合1.3~1.5%の範囲;
(ビターラクトン類)/(酢酸類)の比はエスプレッソの場合220~245の範囲、ルンゴの場合480~510の範囲;
(ビターラクトン類)/(キナ酸類)の比はエスプレッソの場合95~105の範囲、ルンゴの場合210~230の範囲;
(ビターラクトン類)/(クエン酸類)の比はエスプレッソの場合210~225の範囲、ルンゴの場合390~420の範囲;
収率は20~28%の範囲;
強さは2.6~3.9%の範囲;
-アロマは、エスプレッソの場合7180~7750ppmの範囲、ルンゴの場合7300~7550ppmの範囲
【0142】
他の値の範囲が
図14A、
図14B、
図15、
図16、
図17、
図18、
図19及び
図20に示されており、エスプレッソ2に関する値は本発明によるILDカプセルの一実施形態であるDCAカプセルで作製されたエスプレッソ淹出物に関する。ルンゴ2に関する値は本発明によるILDカプセルの一実施形態であるDCAカプセルで作製されたルンゴ淹出物に関する。エスプレッソ1及びルンゴ1に関する値は、本発明によらない標準的なカプセル(STN)を用いて作製された淹出物と関連する。
【0143】
【0144】
一般にはコーヒー床の体積は内部空間の体積と少なくとも実質的に同じにすることが好ましい。また(コーヒー床の体積)/(内部空間の体積)の比は0.6~1.0の範囲、好ましくは0.75~1.0の範囲、より好ましくは、0.85~1.0の範囲、更により好ましくは、0.9~1.0の範囲、最も好ましくは0.95~1.0の範囲とする。内部空間がコーヒーで(ほぼ)満たされているという事実は、淹出動作が予測可能であることを表している。コーヒー床の形状が(ほぼ)完全に満たされないことはあまりない。ダブルリストレット、ダブルエスプレッソ及びダブルルンゴを調製するために、このようなカプセルが使用できることは驚くべきことである。当業者はダブルルンゴ用のカプセルはコーヒーで(ほぼ)完全に満たされており、リストレット及び/又はエスプレッソ用のカプセルはコーヒー床で完全には満たされていないと予測するであろう。その場合、カプセルの底部付近の残りの開放空間には、水が流れるように開放構造を有するプラスチックの充填用ピースを充填してもよい。充填用ピースによってコーヒー床は所定の形状を有し、流れ込みが回避されるようになる。また、エスプレッソ又はリストレットについての淹出物の強さが強くなることが回避される。本発明の一態様によれば、充填用ピースはコーヒー粉砕物と置換される。エスプレッソ又はリストレットについての淹出物の強さは依然として望まれており、強くはならない。
【0145】
この点から見て、本発明はまた上述のような第2のタイプの第1のカプセル4B及び上述のような第2のタイプの第2のカプセル4B(第2のタイプの第2のカプセル4B’を含む)を備えるシステムであって、第2のタイプの第1のカプセル4Bにはダブルリストレット又はダブルエスプレッソを調製するためのコーヒー床が充填されており、第2のタイプの第2のカプセル4B.4B’にはダブルルンゴを調製するためのコーヒー床が充填されており、第2のタイプの第1のカプセルのコーヒー床の高さは第2のコーヒー床の高さとほぼ同じであり、好ましくは、各コーヒー床の高さは内部空間16Bの高さと実質的に対応するシステムにも関連する。
【0146】
より一般的には内部空間の体積は25~30mLの範囲であり、より好ましくは27.5~28.5mLの範囲である。これは上述の可能なスケーリング係数fに対応する。またより一般的にはコーヒー床の体積は25.0~30.0mLの範囲であり、より好ましくは27.5~28.5mLの範囲である。
【0147】
またより一般的には内部空間の高さは37.0~39.0mm、好ましくは38.0~38.8mmの範囲であり、及び/又は周壁の第2の端部におけるカプセル本体の内径(カップ本体開口部直径)は33.0~35.0mm、好ましくは34.0~34.9mmの範囲であり、及び/又は周壁の第1の端部におけるカプセル本体の内径(底部直径)は27.0~30.0mm、好ましくは28.0~29.0mmの範囲である。より一般的な特徴の点では、カプセルは50mLよりも大きな体積のコーヒー淹出物を入れるように構成される。この実施形態ではカプセル本体及び/又は蓋はコーティングされている。
【0148】
本発明の更なる態様によれば、第2のタイプのカプセルについて、以下の項目が適用される。
挽きサイズ分布、
平均挽きサイズ、
微粉率、
コーヒーのタップ密度(gr/cm3)
体積平均径、及び
カプセル内のコーヒー床密度gr/cm3
は全て内部体積がコーヒー粉砕物で完全に、又は代替的か部分的に満たされるように選択され、得られる淹出物のテイストは、以下のパラメータ
乾物量はエスプレッソの場合2.8~3.4%の範囲、ルンゴの場合1.3~1.5%の範囲;
(ビターラクトン類)/(酢酸類)の比はエスプレッソの場合220~245の範囲、ルンゴの場合480~510の範囲;
(ビターラクトン類)/(キナ酸類)の比はエスプレッソの場合95~105の範囲、ルンゴの場合210~230の範囲;
(ビターラクトン類)/(クエン酸類)の比はエスプレッソの場合210~225の範囲、ルンゴの場合390~420の範囲;
収率は20~28%の範囲;
強さは2.6~3.9%の範囲;
アロマはエスプレッソの場合7180~7750ppmの範囲、ルンゴの場合7300~7550ppmの範囲
のうちの少なくとも1つによって定義されるフィンガープリントにより定義される。
【0149】
好ましい(蓋直径)/(蓋厚さ)の比は700~2100の範囲であり、900~1400の範囲であることが好ましい。このような蓋は比較的大きい表面積を有するにもかかわらず、使用時の最適な瞬間に裂けて開く。
【0150】
上述のように、上記の範囲はより予測可能な所望の収率及び強さを提供する。
【0151】
本発明の別の態様によれば、第2のタイプのカプセルについて以下の項目が適用される。
コーヒー床の高さは23.0~39.0mm、好ましくは35.0~38.8mmの範囲であり、及び/又は
コーヒー床の最大直径は33.0~35.0mm、好ましくは34.0~34.9mmの範囲であり、及び/又は
-内部空間の体積は25.0~30.0mL、好ましくは27.5~28.5mLの範囲であり、
コーヒー床の特性のうちの少なくとも1つは以下の範囲である。
【0152】
タップ密度 : 380~500g/l、好ましくは400~460g/l;
微粉率 : 6~24%<90ミクロン、好ましくは10~21%<90ミクロン
体積平均粒径: 240~440ミクロン、好ましくは260~400ミクロン
【0153】
効果は、第2のタイプのカプセルの使用時に平均流量が3~5ml/secとなるように、10~73秒の時間範囲で50~220mLの範囲の量のコーヒー淹出物を提供することである。体積範囲の下方部はダブルリストレットに関連し、体積範囲の中間部はダブルエスプレッソに関連し、体積範囲の上方部は、ダブルルンゴに関連する。
【0154】
本発明による微粉率及び体積平均径(VMD:volume mean diameter)は、乾燥した生成物における粒子分布及びサイズを判定するのに適した、一般に知られているSympatecの分析器を用いて判定される。そのような分析器は、乾式分散システムRodos T4.1ユニットと組み合わせて使用されるSympatecの中央ユニット「HELOS」であってもよい。使用測定範囲R6は9.0~1750である。測定ユニットに試料を置く。レーザ回折技術を用いて当該試料の粒度分布を判定する。レーザにより射出された光は試料粒子によって回折される。回折量は試料の焙煎し挽いたコーヒーの粒度によって変わる。拡散光はレンズを通過した後に検出器によって検出され、当該レンズはR6レンズである。
【0155】
フィンガープリントが以下のパラメータのうちの少なくとも1つを含むコーヒー淹出物を得ることができる。
乾物量はエスプレッソの場合2.8~3.4%の範囲、ルンゴの場合1.3~1.5%の範囲;
(ビターラクトン類)/(酢酸類)の比はエスプレッソの場合220~245の範囲、ルンゴの場合480~510の範囲;
(ビターラクトン類)/(キナ酸類)の比はエスプレッソの場合95~105の範囲、ルンゴの場合210~230の範囲;
(ビターラクトン類)/(クエン酸類)の比はエスプレッソの場合210~225の範囲、ルンゴの場合390~420の範囲;
収率は20~28%の範囲;
強さは2.6~3.9%の範囲;
アロマはエスプレッソの場合7180~7750ppmの範囲、ルンゴの場合7300~7550ppmの範囲。
【0156】
本発明の更に別の態様によれば、第2のタイプのカプセルについて以下の項目が適用される。
内部空間の高さは37.0~39.0mm、好ましくは38.0~38.8mmの範囲であり、及び/又は
第2の端部におけるカップ本体の内径は33.0~35.0mm、好ましくは34~34.9の範囲であり、及び/又は
内部空間の体積は25.0~30.0mL、好ましくは27.5~28.5mLの範囲であり、
中心軸に対する側壁の角度φは4.5~5.5度、好ましくは4.9~5.1度の範囲である。
【0157】
このようなカプセルはアルミニウム製であってもよく、カプセル本体は深絞りプロセス中にカプセル本体が裂けたり及び/又はシワが生じるリスクなしに、深絞りプロセスによって形成できることが分かる。(アルミニウムの円形シートで作製された)カプセルの延伸率は1.28~1.31である。その場合、5度を越えると当該リスクを冒すことなく製造するのが難しくなる。
【0158】
好ましくは、第2のタイプのカプセルは内部空間の周壁とフランジ14Bとの間の移行縁部に接着剤の飛沫17を有する。これにより、淹出中に蓋が裂けてカプセル本体からはずれ得ることが回避される。カプセル本体のフランジに係合するのではなく、封止の形成のために蓋の表面に係合することで、上述のような装置との適切な封止を得ることが可能にするいくつかの追加の支持を提供することができる。
【0159】
また、本発明の別の態様によれば、第2のタイプのカプセルについて、以下の項目が適用される。
周壁の第2の端部におけるカップ本体の内径は33.0~35.0、好ましくは34.0~34.9mmの範囲であり、及び/又は
内部空間は25.0~30.0mL、好ましくは27.5~28.5mLの範囲の体積を有し、及び/又は
内部空間の高さは37.0~39.0mm、好ましくは38.0~38.8mmの範囲であり、
カップ本体の周壁及び底壁の厚さは105~120μmの範囲である。また相対的な厚さの壁は上述のようにシワを回避し得ることを助ける。
【0160】
また本発明の別の態様によれば、第2のタイプのカプセルについて、周壁の第2の端部におけるカップ本体の内径は33.0~35.0mmの範囲、好ましくは34.0~34.9mmの範囲であることが成り立つ。蓋は34.0~48.0mm、好ましくは39.0~43.0mm、更により好ましくは約40.8mmの範囲、の直径を有する。これにより、蓋をフランジに接続する表面積が十分な大きさになる。蓋の厚さは20~47マイクロメートル、好ましくは30~40マイクロメートルの範囲である。蓋はカップ本体のフランジとリング状の接続区域に沿って接続され、リング状の接続区域の表面積(Ar)と蓋の表面積(Al)との比(Ar/Al)は0.36~0.41、好ましくは0.375~0.385の範囲である。バルジング量、すなわち、蓋の中心と周壁の第2の端部が延びる平面との間の距離は0.8~2.0mmの範囲である。この可能なバルジング量によって、閉鎖カプセルにパックしたコーヒー粉砕物に新鮮で多くのアロマを保持することが可能になる。蓋をスタッドプレートに接触させることなく勢いよく開く、又は蓋をフランジから引き剥がす内部圧力は1.2~1.9バールの範囲、より好ましくは1.6~1.8バールの範囲である。
【0161】
次に、第2のタイプのカプセル4B’の別の実施形態について説明する。この第2のタイプの第2のカプセル4B’は、第2のタイプの(第1の)カプセル4Bと同じであるが、フランジ14Bと接続した蓋12B’(
図109D)が流出開口部21B’(
図109D)又は複数の流出開口部21B’(
図109E)を備えているという違いがある。カプセル4B’はコーヒー床13B’と蓋12B’との間に配置された(
図109A、
図109Bに任意選択として破線で模式的に示され、
図109D及び
図109Eに示した)出口フィルタ19B’を更に備える。好ましくは、出口フィルタの厚さは1.2~1.6mmの範囲であり、及び/又は出口フィルタの透過率は、DIN及びISO9237に従って100mm/s@200Pa~700mm/s@200Paの範囲であり、及び/又は出口フィルタはポリエステル繊維を含み、及び/又はフィルタの重量は、300~600g/m2である。
【0162】
図109D又は
図109Eに係る蓋を備える
図109A及び
図109Bに記載したようなカプセルは、クレマがない又はほとんどクレマがないコーヒーのダブルルンゴを調製するために使用することができる。このようなコーヒー抽出物は淹出されたコーヒーとも呼ばれる。
【0163】
開口部21B’又は複数の開口部21B’の合計表面積は1.5~5.0cm2の範囲である。
【0164】
本発明はまた、上述のような第2のタイプの第1のカプセル4B、及び上述のような第2のタイプの第2のカプセル4B’を備えるシステムであって、第2のタイプの第1のカプセル4Bにはダブルリストレット又はダブルエスプレッソを入れるためのコーヒー床が充填されており、第2のタイプの第2のカプセル4B’は実質的にクレマがないダブルルンゴを入れるためのコーヒー床が充填されており、第2のタイプの第1のカプセルのコーヒー床の高さは第2のタイプの第2のカプセルのコーヒー床の高さとほぼ同じであり、好ましくは各コーヒー床の高さは内部空間16Bの高さと実質的に対応するシステムに関する。
【0165】
本発明の別の態様によれば、上述のようなコーヒーを淹出するための装置2と第2のタイプのカプセル4B又は4B’とを備えるシステムであり、装置は第2のタイプのカプセル4Bを使用しながらダブルリストレット又はダブルエスプレッソを入れる場合、装置のポンプがコーヒーを淹出するためにポンプを用いて第2のタイプのカプセルに送出される流体の流量がシステム内で最大となるようにフルパワーで動作するように構成される。
【0166】
更に別の態様によれば、装置は第2のタイプのカプセル4B又は4B’を使用しながらダブルルンゴを入れるように構成され、ポンプを用いて第2のタイプのカプセルに送出される水の流れは一定の時間期間、好ましくは全期間にわたって制御され、ポンプは流量が所定値を超えないように電力供給され、所定値は2.5~5.0mL/sec、好ましくは3.0~4.0mL/secの範囲である。このようなシステムでは、第2のタイプのカプセル4Bよりも低い流れ抵抗を本質的に有する第2のタイプのカプセル4B’が使用されるときに、カプセル4B’の比較的低い流れ抵抗にもかかわらず、第2のタイプのカプセル4B’を通る流量が高くなり過ぎるということが回避される。以下の例Aでは、時間期間はポンプが電力供給される全時間期間である。以下の例Bでは時間期間は、ポンプの始動後10秒から始まる。
【0167】
代替的例では、装置は第2のタイプのカプセル4Bを使用しながらダブルルンゴを入れるように構成され、装置のポンプはコーヒーを淹出するためにポンプを用いて第1のタイプのカプセルに送出される流体の流量がシステム内で最大となるようにフルパワーで動作する。その場合、装置はまた、第2のタイプのカプセル4B’を使用しながらダブルルンゴを入れるように構成され、ポンプを用いて第2のタイプのカプセルに送出される水の流れは一定の時間期間、好ましくは全期間にわたって制御され、ポンプは流量が所定値を超えないように電力供給され、所定値は、2.5~5.0mL/sec、好ましくは3.0~4.0mL/secの範囲となる。カプセル4Bはカプセル4B’よりも高い抵抗を有するので、カプセル4Bを使用する場合にポンプがフルパワーで動作することは問題ではない。
【0168】
そして例Aでは、装置には第2のタイプのカプセル4B、4B’と組み合わせて使用できる(
図106Bに模式的に示されている)淹出プロセスを選択するための3つのボタン300、すなわち、ダブルリストレットを入れることを選択するための第1のボタンであって、使用中に第1のボタンがアクティブ化された場合、装置はダブルリストレットを入れるのに十分な熱湯を第2のタイプのカプセル(4B)に最大ポンプパワーで供給する第1のボタンと、ダブルエスプレッソを入れることを選択するための第2のボタンであって、使用中に第2のボタンがアクティブ化された場合、装置はダブルエスプレッソを調製するのに十分な熱湯を第2のタイプのカプセル(4B)に最大ポンプパワーで供給する第2のボタンと、ダブルルンゴを入れることを選択するための第3のボタンであって、使用中に第3のボタンがアクティブ化された場合、装置所定の最大値を下回るように流量を保ちながらダブルルンゴを調製するのに十分な熱湯を第2のタイプのカプセル(4B又は4B’)に供給する、第3のボタンが設けられている。
【0169】
代替的例として、装置には第2のタイプのカプセル4B、4B’と組み合わせて使用できる(
図106Bにのみ模式的に示されている)淹出プロセスを選択するための4つのボタン300、すなわち、ダブルリストレットを入れることを選択するための第1のボタンであって、使用中に第1のボタンがアクティブ化された場合、装置はダブルリストレットを調製するのに充分な熱湯を第2のタイプのカプセル(4B)に最大ポンプパワーで供給する第1のボタンと、ダブルエスプレッソを入れることを選択するための第2のボタンであって、使用中に第2のボタンがアクティブ化された場合、装置はダブルエスプレッソを調製するのに十分な熱湯を第2のタイプのカプセル(4B)に最大ポンプパワーで供給する第2のボタンと、ダブルルンゴを入れることを選択するための第3のボタンであって、使用中に第3のボタンがアクティブ化された場合、装置はダブルルンゴを調製するのに十分な熱湯を第2のタイプのカプセルに最大ポンプパワーで供給する第3のボタンと、実質的にクレマがないダブルルンゴを入れることを選択するための第4のボタンであって、使用中に第4のボタンがアクティブ化された場合、装置は流量が所定の最大値を下回るように保ちながら実質的にクレマがないダブルルンゴを調製するのに十分な熱湯を第2のタイプの第2のカプセル4B’に供給する第4のボタンとが設けられている。
【0170】
同じく代替例として、例Bでは装置に淹出プロセスを選択するための3つのボタンが設けられている。ダブルリストレットを入れることを選択するための第1のボタンは、使用中に第1のボタンがアクティブ化された場合、装置はダブルリストレットを入れるのに十分な熱湯を最大ポンプパワーで第2のタイプのカプセル4Bに供給する。ダブルエスプレッソを入れることを選択するための第2のボタンは、使用中に第2のボタンがアクティブ化された場合、装置はダブルエスプレッソを入れるのに十分な熱湯を第2のタイプのカプセル4Bに最大ポンプパワーで供給する。ダブルルンゴを入れることを選択するための第3のボタンは、使用中に第3のボタンがアクティブ化された場合、装置は、ダブルルンゴを入れるのに十分な熱湯を第2のタイプのカプセル4B又は4B’に供給する。この装置には、淹出プロセスの所定の第1の時間期間(淹出プロセスの最初の10秒など)中に流量が所定の第1の値(例えば7~9mL/s)を超えるかどうか、及び/又は飲料の生産量が所定の第2の値(50mLなど)を超えるかどうかを判定する流量計などの検出手段を更に備えることもできる。装置は、更に第1の時間期間中に流量が所定の第1の値を超えたこと、及び/又は飲料製造量が所定の第2の値を超えたことを検出した場合に、第1の時間期間の後に続く淹出プロセスの第2の時間期間(例えば淹出プロセスの開始から10秒後に始まり、淹出プロセスの終了まで)における流量について、(上述したような)所定の最大値を下回る流量を保つように構成してもよい。この例では、淹出プロセスをポンプが電力供給される総時間期間として定義する。
【0171】
好ましくは、装置は第2のタイプのカプセルよりも小さい第1のタイプのカプセルを使用してシングルリストレット、シングルエスプレッソ及びシングルルンゴを入れられるようにも設計される。その場合、ポンプは常にフルパワーで動作し、コーヒーを淹出するためにポンプを用いて第1のタイプのカプセルに送出される流体の流量をシステム内で最大とする。装置は第1のタイプのカプセルと第2のタイプのカプセルとを(自動的に)区別するように設計してもよい。
【0172】
その場合、上述の3つのボタンによる解決策では、第1のタイプのカプセルが装填され、装置が第1のタイプのカプセルが装填されたことを認識したときに、同じ3つのボタンを使用して淹出プロセスを選択することもできる。その場合、3つのボタンのアクティブ化は、第2のタイプのカプセルに関連して上述したものとは異なる機能を有する。シングルリストレットを入れることを選択するための第1のボタンでは、使用中に第1のボタンがアクティブ化された場合、装置はシングルリストレットを入れるのに十分な熱湯を第1のタイプのカプセル(4A)に最大ポンプパワーで供給し、シングルエスプレッソを入れることを選択するのための第2のボタンでは、使用中に第2のボタンがアクティブ化された場合、装置はシングルエスプレッソを入れるのに十分な熱湯を第1のタイプのカプセル(4A)に最大ポンプパワーで供給し、シングルルンゴを入れることを選択するための第3のボタンでは、使用中に第3のボタンがアクティブ化された場合、装置はシングルルンゴを調製するのに十分な熱湯を第2のタイプのカプセル(4A’)に最大ポンプパワーで供給する。
【0173】
上述の4つのボタンによる解決策では、第1のタイプのカプセルが装填されたときに、同じ最初の3つのボタンを使用して淹出プロセスを選択することができる。同様に装置は第1のタイプのカプセルが装填されたことを認識する。その場合、4つのボタンのアクティブ化は第2のタイプのカプセルに関連して上述したものとは異なる機能を有する。第1のボタンはシングルリストレットの調製を入れることを選択するためのものであり、使用中に第1のボタンがアクティブ化された場合、装置はシングルリストレットを入れるのに十分な熱湯を第1のタイプのカプセル(4A)に最大ポンプパワーで供給し、第2のボタンはシングルエスプレッソを入れることを選択するためのものであり、使用中に第2のボタンがアクティブ化された場合、装置はシングルエスプレッソを入れるのに充分な熱湯を第1のタイプのカプセル(4A)に最大ポンプパワーで供給し、第3のボタンはシングルルンゴを入れることを選択するためのものであり、使用中に第3のボタンがアクティブ化された場合、装置はシングルルンゴを入れるのに十分な熱湯を第2のタイプのカプセル(4A’)に最大ポンプパワーで供給する。第4のボタンは、第1のタイプのカプセルには使用されない。
【0174】
ダブルエスプレッソ、ダブルリストレット、又は任意に選択されるダブルルンゴを入れるために第2のタイプのカプセル4Bが使用される(ポンプがフルパワーで動作する)ときの最大流量は2.0~7.0mL/secの範囲である。第1のタイプのカプセル4Aが使用されるときの最大流量は1.5~7.0mL/secの範囲である。
【0175】
装置は、ダブルルンゴを入れる場合に流量が所定の値を超えないようにポンプによってカプセルに送出される水の流れを制御するように設計され、この時の所定の値は7~9mL/secの範囲である。
【0176】
好ましくは、システムは淹出時に第2のタイプのコーヒーカプセルを収容する淹出チャンバの水入口における水温プロファイルが、例えば以下のパラメータに適合するように設計される。
開始から3秒の水温は90~95℃の範囲
3秒から15秒の水温は83~95℃の範囲;
15秒後の水温は88~95℃の範囲。
【0177】
効果は、淹出されたコーヒー全体積の最終的な淹出温度が85~92℃の範囲であることである。また、以下のパラメータのうちの少なくとも1つを含むフィンガープリントを有するコーヒー淹出物を得ることができる。
乾物量はエスプレッソの場合2.8~3.4%の範囲、ルンゴの場合1.3~1.5%の範囲;
(ビターラクトン類)/(酢酸類)の比はエスプレッソの場合220~245の範囲、ルンゴの場合480~510の範囲;
(ビターラクトン類)/(キナ酸類)の比はエスプレッソの場合95~105の範囲、ルンゴの場合210~230の範囲;
(ビターラクトン類)/(クエン酸類)の比はエスプレッソの場合210~225の範囲、ルンゴの場合390~420の範囲;
収率は20~28%の範囲;
強さは2.6~3.9%の範囲;
アロマはエスプレッソの場合7180~7750ppmの範囲、ルンゴの場合7300~7550ppmの範囲。
【0178】
好ましくは、淹出時に形成される第1のタイプのカプセル4Aの蓋の穿孔パターンは、淹出時に形成される第2のタイプのカプセル4Bの蓋の穿孔パターンとは異なり、淹出時に形成される第1のタイプのカプセルの蓋の穿孔パターンは、淹出時に形成される第2のタイプのカプセルの蓋の穿孔パターンとは異なり、第1のタイプのカプセルの穿孔開口部を備える区域は、第2のタイプのカプセルの穿孔開口部を備える区域よりもわずかに小さく、より詳細には0.5~5.0%小さくなる。
【0179】
本発明によるシステムの別の態様によれば、第2のタイプのカプセルは、使用時に平均流量が3~5mL/secとなるように10~73秒の時間範囲で50~220mLの範囲の量のコーヒー淹出物を提供し、
(平均流量)/(最大コーヒー床直径)の比は0.008~0.16mL/mmの範囲である。
【0180】
このようなシステムを用いると、以下のパラメータのうちの少なくとも1つを含むフィンガープリントを有するコーヒーを得ることができる。
乾物量はエスプレッソの場合2.8~3.4%の範囲、ルンゴの場合1.3~1.5%の範囲;
(ビターラクトン類)/(酢酸類)の比はエスプレッソの場合220~245の範囲、ルンゴの場合480~510の範囲;
(ビターラクトン類)/(キナ酸類)の比はエスプレッソの場合95~105の範囲、ルンゴの場合210~230の範囲;
(ビターラクトン類)/(クエン酸類)の比はエスプレッソの場合210~225の範囲、ルンゴの場合390~420の範囲;
収率は20~28%の範囲;
強さは2.6~3.9%の範囲;
アロマはエスプレッソの場合7180~7750ppmの範囲、ルンゴの場合7300~7550ppmの範囲。
【0181】
別の態様では、本発明はまた第2のタイプの第1のカプセルを用いてダブルリストレット又はダブルエスプレッソを淹出し、第2のタイプの第2のカプセルを用いてダブルルンゴを淹出する、請求項26に記載のシステムに関する。
【0182】
最後に別の態様によれば、本発明は、第2のタイプのカプセルを用いてダブルリストレット、ダブルエスプレッソ又はダブルルンゴを淹出する、請求項27~40のいずれか一項に記載のシステムの使用に関する。
【0183】
また、第1のタイプのカプセルを使用して飲料を淹出することはできないが、第2のタイプのカプセルを使用して飲料を淹出するようにされた第2の装置を提供することも可能であることが理解される。このような第2の装置は、図に関して説明したような装置と、第2のタイプのカプセルと、任意選択的に第1のタイプのカプセルを備えるシステムに含めることができる。
【0184】
しかし、他の修正形態、変形形態及び代替形態もまた可能である。したがって、明細書、図面及び実施例を、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考えるべきである。
【0185】
明瞭性及び簡潔な説明を目的として、本明細書では、記載した特徴について同じ又は別個の実施形態の一部として説明するが、本発明の範囲は、記載した特徴の全部又は一部の組み合わせを含み得ることが理解される。
【0186】
特許請求の範囲では、括弧を付けて示したいかなる参照記号も、請求項を限定するものとして解釈されない。単語「~を備える/~を含む(comprising)」は、請求項に列挙されているもの以外の特徴又はステップの存在を除外するものではない。更に、単語「1つの(「a」及び「an」)は、「ただ1つ(only one)に限定するものと解釈されず、「少なくとも1つ(at least one)」を意味するために使用され、複数を除外しない。特定の手段が互いに異なる請求項で列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。