(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】圧延材を冷却するための冷却システム
(51)【国際特許分類】
B21B 45/02 20060101AFI20230116BHJP
C21D 1/00 20060101ALI20230116BHJP
C21D 9/573 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
B21B45/02 320H
C21D1/00 122
C21D1/00 123A
C21D9/573 101Z
(21)【出願番号】P 2019531754
(86)(22)【出願日】2017-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2017080669
(87)【国際公開番号】W WO2018108518
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2019-08-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-25
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515153152
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】516128728
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・レーナー
(72)【発明者】
【氏名】エリッヒ・オーピッツ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・ピヒラー
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ペシュル
(72)【発明者】
【氏名】アロイス・ザイリンガー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・ヴァインツィール
【合議体】
【審判長】見目 省二
【審判官】田々井 正吾
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/139916(WO,A1)
【文献】特開昭54-079817(JP,A)
【文献】特開2010-131644(JP,A)
【文献】実開昭62-067605(JP,U)
【文献】特開2014-097525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 45/00 - 45/08
C21D 1/00 - 1/84
C21D 9/00 - 9/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延材を冷却するための冷却システム(2)であって、
前記冷却システム(2)が、冷却剤を前記圧延材に付与するための複数の冷却バー(8)と、
前記冷却バー(8)それぞれに対して厳密に1つの専用の冷却剤供給配管(36)と、
前記冷却剤を前記冷却剤供給配管(36)に送るための送給配管システム(9)であって、前記冷却バー(8)それぞれが、前記冷却バー(8)の前記冷却剤供給配管(36)を介して前記送給配管システム(9)に連結されている、前記送給配管システム(9)と、
前記送給配管システム(9)からの冷却剤流れを排出するための
第1のバイパス配管
(48)であって、入力側において前記送給配管システム(9)の
第1の連結要素
(51)に連結されている前記
第1のバイパス配管
(48)と、
を備えている、前記冷却システム(2)において、
前記冷却システム(2)が、前記送給配管システム(9)に連結されている冷却剤リザーバ(4)と、スケールチャネル(42)と、前記スケールチャネル(42)に連結されているスケール沈降タンク(44)と、入力側において前記送給配管システム(9)の
第2の連結要素(53)に連結されている
第2のバイパス配管
(52)とをさらに備えており、
前記第2のバイパス配管(52)が、出力側において
前記冷却剤リザーバ(4)に連結されており、
且つ、第2の遮断部材(54)を備えており、第1のバイパス配管(48)が、出力側において前記スケールチャネル(42)に対して又は前記スケール沈降タンク(44)に対して開口しており、且つ、
第1の遮断部材(50)を備えており、
前記冷却システム(2)が、前記送給配管システム(9)、第1の分配配管(12)、及び第2の分配配管(16)の冷却剤圧力を上昇させるための冷却剤ポンプ(20)を備えており
、
前記送給配管システム(9)が、入力側において前記冷却剤リザーバ(4)に直接連結されていると共に出力側において前記第1の分配配管(12)に直接連結されている第1の主配管(10)を備えており、
前記送給配管システム(9)が、入力側において前記冷却剤リザーバ(4)に直接連結されていると共に出力側において前記第2の分配配管(16)に直接連結されている第2の主配管(14)を備えており、
前記第1の主配管(10)と前記第2の主配管(14)とが、連結配管(18)を介して、互いに対して連結されており、遮断部材(26)が、前記連結配管(18)に配置されており、遮断部材(28)が、前記冷却剤ポンプ(20)と前記第2の分配配管(16)との間において前記第2の主配管(14)に配置されており、
初めに、第1のバイパス配管(48)の前記
第1の遮断部材(50)が開かれ、その後、
第2のバイパス配管(52)の前記
第2の遮断部材(54)が、ゆっくりと開かれ、逆に前記第1のバイパス配管(48)の前記
第1の遮断部材(50)は、前記スケール沈降タンク(44)の内部に冷却剤がさらに導入されることがないように再び閉じられることを特徴とする冷却システム(2)。
【請求項2】
前記冷却剤リザーバ(4)が、高架タンクとされることを特徴とする請求項1に記載の冷却システム(2)。
【請求項3】
前記冷却剤ポンプ(20)が、周波数制御駆動装置を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却システム(2)。
【請求項4】
前記バイパス配管が、出力側において前記スケールチャネル(42)又は前記スケール沈降タンク(44)に対して開口していることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却システム(2)。
【請求項5】
前記冷却システム(2)が、
前記第1のバイパス配管(48)及び前記第2のバイパス配管(52)それぞれに配置されている前記第1の遮断部材(50)及び前記第2の遮断部材(54)と、前記冷却バー(8)のうち少なくとも1つの冷却バーへの冷却剤の送給を中断するための少なくとも1つのさらなる遮断部材(40)とを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却システム(2)。
【請求項6】
前記第1のバイパス配管(48)及び前記第2のバイパス配管(52)それぞれに配置されている前記第1の遮断部材(50)及び前記第2の遮断部材(54)と前記さらなる遮断部材(40)とが、略同一の切換時間を少なくとも有していることを特徴とする、請求項5に記載の冷却システム(2)。
【請求項7】
前記さらなる遮断部材(40)が、前記送給配管システム(9)に又は前記冷却剤供給配管(36)のうち一の冷却剤供給配管に配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の冷却システム(2)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の冷却システム(2)を動作させるための方法であって、
入力側において前記送給配管システム(9)の前記
第1の連結要素
(51)に連結されている前記
第1のバイパス配管
(48)を介して、冷却剤流れが前記送給配管システム(9)から排出され、
出力側において冷却剤リザーバ(4)に連結されている前記
第2のバイパス配管
(52)を介して、前記冷却剤流れが、前記冷却システム(2)の前記冷却剤リザーバ(4)に送られるか、又は前記送給配管システム(9)に送り戻され、
さらなる冷却剤流れが、
前記第2のバイパス配管(52)又は前記第1のバイパス配管(48)を介して前記スケールチャネル(42)に又は前記冷却システム(2)の前記スケール沈降タンク(44)に送られることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記
第2のバイパス配管
(52)からの前記冷却剤流れが、前記冷却システム(2)の前記冷却剤リザーバ(4)に直接送られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のバイパス配管(52)又は前記第1のバイパス配管(48)からの前記さらなる冷却剤流れが、スケールチャネル(42)に又は前記冷却システム(2)のスケール沈降タンク(44)に直接送られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延材に対して冷却剤を付与するための複数の冷却バーと、冷却バーのそれぞれに対して厳密に1つの専用冷却剤供給配管と、冷却剤供給配管に対して冷却剤を送るための送給配管システムとを備え、各冷却バーが専用の冷却剤供給配管により送給配管システムに対して連結された、圧延材を冷却するための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる冷却システムは、圧延材の規定の冷却を実現するために使用される。これを目的として、圧延材は、冷却システムへと送給される。次いで、通常は水である冷却剤が、冷却バーの補助により圧延材に対して付与される。
【0003】
特にいわゆる熱間圧延の場合では、圧延材の規定の冷却は、例えば所望の微細構造などの圧延材の所望の材料特性を実現するためには中心的な重要性を持つ。
【0004】
圧延の一時停止中に冷却システム内に圧延材が存在しない場合には、冷却バーへの冷却剤送給は、通常は中断される。典型的には、冷却システムの1つ又は複数の遮断部材が、冷却剤送給を中断するために使用される。
【0005】
特許文献1、特許文献2、及び特許文献3は、圧延材に対して冷却剤を付与するための複数の冷却バー又は冷却剤ノズルと、冷却剤供給配管と、冷却剤供給配管に対して冷却剤を送るための送給配管システムとを備える、圧延材を冷却するための様々な冷却システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭54-79817号公報
【文献】実全昭62-67605号公報
【文献】特開昭52-56052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、圧延材を冷却するための改良された冷却システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する冷却システムにより達成される。
【0009】
本発明による冷却システムは、圧延材に対して冷却剤を付与するための複数の冷却バーを備える。また、冷却システムは、冷却バーのそれぞれに対して厳密に1つの専用冷却剤供給配管を備える。換言すれば、冷却システムは、複数の冷却剤供給配管を有し、厳密に1つの専用冷却剤供給配管が、冷却バーのそれぞれに対して設けられる。また、冷却システムは、冷却剤供給配管に対して冷却剤を送るための送給配管システムを備える。
【0010】
また、この冷却システムの場合には、冷却バーのそれぞれが、専用の冷却剤供給配管により送給配管システムに対して連結されることが規定される。換言すれば、冷却バーのそれぞれが、それぞれの冷却バーに対して割り当てられた又はそれぞれの冷却バーを対象とした厳密に1つの冷却剤供給配管により送給配管システムに対して連結される。
【0011】
さらに、この冷却システムは、送給配管システムからの冷却剤流れを排出するためのバイパス配管であって、入力側において送給配管システムの連結要素、具体的には連結ピースに対して連結されるバイパス配管を有する。
【0012】
さらに、この冷却システムは、送給配管システムが連結される冷却剤リザーバと、スケールチャネルと、スケールチャネルに対して連結されたスケール沈降タンクと、入力側において送給配管システムの別の連結要素に対して連結されるさらなるバイパス配管であって、2つのバイパス配管の一方が出力側において冷却剤リザーバに対して又は送給配管システムのさらなる連結要素に対して連結され、2つのバイパス配管の他方が出力側においてスケールチャネル内へ又はスケール沈降タンク内へ開く、さらなるバイパス配管とを有する。
【0013】
本発明の有利な展開例は、従属請求項及び以下の説明の主題である。
【0014】
本発明は、冷却剤送給の突如の中断がある場合に、冷却システム内、具体的にはその配管内において圧力サージが発生する場合があり、幾つかの環境では冷却システムの構成要素に損傷を与え、場合によっては冷却システムの故障をもたらす恐れがあるという考慮事項に端を発している。冷却システムに損傷を与え得る圧力サージの発生は、特に冷却システムがいわゆる集中冷却モードで動作されている場合には常に問題となる。なぜならば、通常、このモードにおいては、冷却システムの配管中において、いわゆる層流冷却モードにおける冷却システムの動作の場合よりも高い冷却剤圧力が一般的となるからである。
【0015】
本発明は、冷却バーへの冷却剤送給の中断がある場合に、冷却剤がバイパス配管を経由して送給配管システムから流出することを可能にする。したがって、冷却剤は、バイパス配管により代替的な流路を与えられる。このようにすることで、冷却バーへの冷却剤送給の中断がある場合に、冷却システム内の圧力サージが回避され得る、又は少なくとも軽減され得る。さらに、結果として、冷却システムの構成要素の損傷が回避され、それらの耐用寿命が上昇し得る。適宜には、冷却バーへの冷却剤送給の中断がある場合に、バイパス配管は使用可能となる。
【0016】
バイパス配管が送給配管システムの連結要素に対して連結されることにより、複数の冷却バーが、このバイパス配管により一斉にブリッジされることが可能となり、すなわち複数の冷却バーが、同一のバイパス配管でブリッジされ得る。冷却剤供給配管のそれぞれに対する専用バイパス配管、及び場合によっては各かかるバイパス配管用の専用遮断部材が、結果として不要になる。これにより、構造的に単純であり低コストである冷却システムの実施形態が可能となる。さらに、制御技術に関して単純である冷却システムの動作が、結果として可能となる。
【0017】
本発明のコンテクストにおいて、配管は、特にパイプ、パイプ区間、又は相互連結されたパイプのシステムを意味するものとして理解することができる。
【0018】
「連結された」という用語は、「流体連結された」という表現の短縮形として理解することができる。この場合に、冷却システムの要素は、流体、特に前述の冷却剤が2つの要素の一方から他方へと流れ得る場合に、冷却システムの別の要素に対して連結されるものとして理解することができる。
【0019】
また、圧延材に対する冷却剤の付与は、圧延材の表面に対する冷却剤の付与を意味するものとして理解することができる。この冷却剤は、1つ又は複数の側から圧延材に対して付与され得る。好ましくは、冷却剤は、上方及び下方から圧延材に対して付与される。
【0020】
好ましくは、バイパス配管は、送給配管システムの連結要素に対して直接連結される。換言すれば、バイパス配管は、送給配管システムに対して直接連結され得る。
【0021】
適宜には、それぞれの冷却剤供給配管が、割り当てられた冷却バーに対して直接連結される(出力側において)。この場合に、冷却剤供給配管は、冷却バーの中の厳密に1つに対して冷却剤を供給する配管を意味するものとして理解することができる。また、それぞれの冷却バーが、もっぱら専用の冷却剤供給配管により送給配管システムに対して連結されることが好ましい。好ましい様式では、それぞれの冷却剤供給配管が、送給配管システムに対して直接連結される(入力側において)。
【0022】
好ましくは、全ての前述の冷却バーが、送給配管システムにより冷却剤を供給される。送給配管システムは、1つ又は複数の配管を備え得る。好ましくは、送給配管システムは、少なくとも1つの主配管及び少なくとも1つの分配配管を備える。適宜には、主配管は、出力側において分配配管に対して間接的に又は直接的に連結される。
【0023】
また、適宜には、冷却剤供給配管は、入力側において分配配管に対して間接的に又は直接的に連結される。有利には、出力側において、それぞれの冷却剤供給配管が、割り当てられた冷却バーに対して直接連結される。
【0024】
有利には、冷却システムは、送給配管システム内の冷却剤圧力を上昇させるための冷却剤ポンプを備える。適宜には、冷却剤ポンプは、前述の主配管中に配置される。冷却剤ポンプが適宜には主配管中に配置されるという表現は、かかる配置の場合に、冷却剤ポンプが主配管により囲まれることを意味するものとして必ずしも理解されるべきではない。例えば、主配管は、冷却剤ポンプの入力に対して連結される第1の配管セクションを有してもよい。さらに、主配管は、冷却剤ポンプの出力に対して連結される第2の配管セクションを有してもよい。
【0025】
冷却剤ポンプは、冷却システムの冷却能力を制御するために使用され得る。冷却剤ポンプに加えて、例えば1つ又は複数の制御弁などの冷却システムの他の要素が、冷却能力の制御において使用されてもよい。
【0026】
バイパス配管により代替的な流路が提供されることによって、冷却バーへの冷却剤送給の中断がある場合に、冷却剤が冷却システム内において動作状態に維持されることが可能となるということは、冷却剤送給の中断がある場合に、冷却剤ポンプをオフに切り替える必要がないことを意味する。むしろ、冷却バーへの冷却剤送給が中断される場合でも、規定された最小体積の冷却剤流れ量が冷却剤ポンプにより送達されることが確保され得る。
【0027】
好ましい方法では、冷却剤ポンプは、周波数制御駆動装置を備える。かかるポンプでは、ポンプにより送達される冷却剤体積流量が厳密に設定され得る。周波数制御駆動装置を有する冷却剤ポンプは、回転速度が被制御変数としての役割を果たすポンプを意味するものとして理解され得る。
【0028】
また、冷却システムは、複数の冷却剤ポンプを、具体的には前述のタイプの複数の冷却剤ポンプを有し得る。
【0029】
本発明の好ましい展開例は、冷却システムが冷却剤を貯蔵するための高架タンクを有することを規定する。
【0030】
好ましくは、送給配管システム、具体的にはその主配管が、入力側において冷却剤リザーバに対して又は冷却剤リザーバの連結要素に対して直接連結される。冷却剤は、送給配管システムを経由して冷却剤リザーバから退出し得る。
【0031】
さらに、送給配管システムの連結要素は、主配管の又は分配配管の要素であってもよい。換言すれば、バイパス配管は、入力側において特に送給配管システムの主配管又は分配配管に対して連結され得る。バイパス配管が主配管に対して連結される場合には、バイパス配管は、入力側において前述の冷却剤ポンプの下流にて主配管に対して連結される。
【0032】
本発明の有利な構成では、バイパス配管は、出力側において冷却剤リザーバに対して連結され、特に冷却剤リザーバに対して直接連結される。結果として、冷却剤流れは、冷却剤リザーバ内へと送られ得る(送り戻され得る)。また、このようにすることで、冷却剤リザーバを再充填するために他の手段によって冷却剤リザーバ内へと導入されなければならない冷却剤の量が、より少量となり、これによりエネルギーが節減され得る。
【0033】
本発明の別の有利な構成の場合には、バイパス配管は、出力側において送給配管システムのさらなる連結要素に対して連結され、特にさらなる連結要素に対して直接連結されることが規定される。結果として、冷却剤流れは、送給配管システム内へと送られ得る(送り戻され得る)。このようにすることで、冷却剤リザーバを再充填するために他の手段によって冷却剤リザーバ内へと導入されなければならない冷却剤の量が、より少量となることが実現され得ることによって、エネルギーが節減され得る。
【0034】
適宜には、冷却システムは、前述の冷却剤ポンプの上流に配置される追加の連結要素を備える。本発明の好ましい実施形態によれば、バイパス配管は、出力側において追加の連結要素に対して連結され、特に直接連結される。この追加の連結要素は、例えば送給配管システムのさらに上述したさらなる連結要素か、又は冷却剤リザーバの連結要素であってもよい。
【0035】
適宜には、スケールチャネル内に導入された流体、具体的には冷却剤が、スケール沈降タンク内へとスケールチャネルから流出し得る。
【0036】
本発明の別の有利な変形例では、バイパス配管は、出力側においてスケールチャネル内へ又はスケール沈降タンク内へ開くように規定される。この場合に、バイパス配管は、スケールチャネル又はスケール沈降タンクに対して必ずしも連結されなくてもよい。むしろ、「バイパス配管が出力側においてスケールチャネル内へ又はスケール沈降タンク内へ開く」という表現は、バイパス配管の出力が、冷却剤流れがスケールチャネル内へ又はスケール沈降タンク内へバイパス配管から流出し得るように構成されることを意味するものとして理解することができる。例えば、バイパス配管の出力は、スケールチャネル又はスケール沈降タンクの上方に配置される。
【0037】
スケール沈降タンクから、冷却剤は、場合によっては処理システムの通過後に、前記冷却剤リザーバ内へ及び/又は送給配管システム内へ送られ(送り戻され)てもよい。
【0038】
適宜には、さらなるバイパス配管は、入力側において他の連結要素に対して直接連結される。
【0039】
適宜には、冷却システムは、バイパス配管中に配置された遮断部材、具体的には弁を有する。また、適宜には、冷却システムは、冷却バーの中の少なくとも1つへの冷却剤送給を中断するための少なくとも1つのさらなる遮断部材、具体的には弁を有する。
【0040】
有利には、バイパス配管中に配置された遮断部材及びさらなる遮断部材は、少なくとも実質的に同一の切換時間を有する。このようにすることで、バイパス配管の開通が、冷却バーへの冷却剤送給の中断と同期的に実施され得る。対照的に、結果として、バイパス配管の閉鎖は、冷却バーへの冷却剤送給の(再開される)有効化と同期的に実施され得る。
【0041】
遮断部材の切換時間は、遮断部材が(遮断命令又は解除命令が発せられた後に)、遮断部材が配置される配管の配管断面を完全開状態から完全に閉じるために、又は完全閉状態から配管断面を完全に開くために必要とされる時間を意味するものとして理解することができる。
【0042】
好ましい様式では、さらなる遮断部材は、送給配管システム中に、特に送給配管システムの前述の主配管中に、又は冷却剤供給配管の中の1つに配置される。
【0043】
また、冷却システムは、複数の遮断部材を有してもよく、これらの遮断部材は、冷却バーの中の少なくとも1つへの冷却剤送給を中断するようにそれぞれ設計される。この場合には、共通遮断部材が、複数の冷却バーに対して用意され得る。代替的には、専用遮断部材が、冷却バーのそれぞれに対して用意され得る。したがって、例えば、遮断部材が、冷却剤供給配管のそれぞれの中に配置され得る。
【0044】
適宜には、追加の遮断部材、具体的には弁が、さらなるバイパス配管中に配置される。さらなるバイパス配管中に配置されたこの追加の遮断部材は、初めに述べたバイパス配管中に配置された遮断部材と同等に形成され得る。具体的には、追加の遮断部材は、初めに述べたバイパス配管中に配置された遮断部材と同一の切換時間を有し得る。
【0045】
適宜には、遮断部材は、制御デバイスの補助により制御可能又は作動可能である。具体的には、それぞれの遮断部材は、電気的に、空気圧により、及び/又は油圧的に作動可能であってもよい。好ましくは、それぞれの遮断部材が、完全に開閉され得るだけではなく、さらにこれらの2つの状態の間において中間位置を、具体的には連続中間位置をとることもできる。換言すれば、遮断部材は、連続的に調節可能であってもよい。
【0046】
バイパス配管の中の少なくとも1つが、複数の配管セクションを備えてもよく、これらの配管セクションは、相互に対して並列に連結される。適宜には、相互に対して並列連結された配管セクションは、入力側においてそれぞれのバイパス配管の共通配管セクション内へと開く。また、適宜には、相互に対して並列連結された配管セクションは、出力側においてそれぞれのバイパス配管の共通配管セクション内へと開く。遮断部材、具体的には弁が、相互に並列連結された各配管セクション中にそれぞれ配置されてもよい。かかる構成の利点は、それぞれのバイパス配管が単一の遮断部材を有する場合に比べて、遮断部材が比較的小さいことが可能となり、短い切換時間で具現化される点である。
【0047】
さらに、本発明は、冷却システムを動作させるための方法に関する。
【0048】
本方法に関連して述べられる冷却システムは、本発明による冷却システムであり、具体的には上述のその有利な展開例の中の1つである。さらに、本方法に関連して述べられる実際の要素は、既に事前に述べられた要素であり得る。
【0049】
本発明によれば、本方法の場合には、入力側において送給配管システムの連結要素に対して連結されるバイパス配管により、冷却剤流れが送給配管システムから排出されることが規定される。
【0050】
初めに述べた冷却剤流れは、初めに述べたバイパス配管により冷却システムの冷却剤リザーバ内へ送られるか又は送給配管システム中に送り戻される、具体的には冷却剤リザーバ内に直接送られるか又は送給配管システム中に直接送り戻される。他方において、有利には、さらなる冷却剤流れは、さらなるバイパス配管によりスケールチャネル内へ又は冷却システムのスケール沈降タンク内へ送られる、具体的にはスケールチャネル内へ直接又は冷却システムのスケール沈降タンク内へ直接送られる。
【0051】
適宜には、冷却システム内に冷却対象の圧延材が存在しない場合に、冷却剤流れは、バイパス配管により送給配管システムから排出される。
【0052】
バイパス配管により送給配管システムから排出される冷却剤流れは、送給配管システムを通り流れる全冷却剤流れの中の部分流か、又は前記全冷却剤流れであってもよい。
【0053】
好ましい様式では、冷却剤流れは、冷却剤流れが冷却剤供給配管を迂回するように、バイパス配管により送給配管システムから排出される。換言すれば、好ましくは、冷却剤流れは、供給配管に流入するのではなく、例えば冷却システムの別の要素へ流入する又は冷却システムから流出するようにバイパス配管によって送られる。
【0054】
冷却剤流れは、例えばバイパス配管から、送給配管システム中に配置された冷却剤ポンプの上流に位置決めされた冷却システムの冷却剤入力内へと送られてもよい。
【0055】
本発明の有利な実施形態では、冷却剤流れは、バイパス配管から冷却剤リザーバ内へと直接送られる。通常これは、冷却剤の汚染を伴わないため、冷却剤の処理を省くことが可能であり、それにより冷却剤リザーバ内に送られた冷却剤の処理のためのエネルギーが不要である。
【0056】
本発明の別の有利な実施形態では、冷却剤流れは、バイパス配管から送給配管システム内へと直接送り戻される。適宜には、この場合に、冷却剤流れは、送給配管システム中に配置された冷却剤ポンプの上流において送給配管システム内に戻される。換言すれば、冷却剤流れは、冷却剤ポンプの入力の前に、送給配管システム内に、具体的にはバイパス配管から送り戻され得る。
【0057】
本発明の有利な変形例によれば、さらなる冷却剤流れが、さらなるバイパス配管からスケールチャネル内へ又はスケール沈降タンク内へと直接的に送られる。冷却剤がスケールチャネル内に送られる場合には、好ましくは、スケールチャネル内の冷却剤は、スケールチャネルからスケール沈降タンク内へと送られる。
【0058】
さらに、スケール沈降タンクから、冷却剤は、冷却剤リザーバ内及び/又は送給配管システム内へ送られ得る(送り戻され得る)。スケール沈降タンク内の冷却剤が、冷却剤リザーバ内へ及び/又は送給配管システム内へ送られる(送り戻される)前に、冷却剤は、場合によっては処理システム内で処理されてもよく、具体的には異物を除去されてもよい。
【0059】
また、好ましくは、冷却剤流れは、冷却剤ポンプの下流にて、具体的には冷却剤ポンプと冷却剤供給配管との間においてバイパス配管により送給配管システムから排出される。
【0060】
これまで示した本発明の有利な構成の説明は、個別の独立請求項内において再現される多数の特徴を、場合によっては共に含む。しかし、適宜には、これらの特徴は、個別に考慮されてもよく、及び適切なさらなる組合せへと組み合わされてもよい。特に、これらの特徴は、個別に、及び本発明による冷却システム及び本発明による方法の両方を有する任意の適切な組合せにおいてそれぞれ組み合わされ得る。したがって、方法特徴は、対応するデバイスユニットの特性として見なすことも可能であり、その逆も可能である。
【0061】
いずれの場合においても、幾つかの用語が、本説明及び/又は特許請求の範囲の中なで単数形で又は数字との組合せにおいて使用されるが、本発明の範囲は、それらの用語に関する単数形又はそれぞれの数字に限定されるようには意図されない。
【0062】
上述の本発明の特性、特徴、及び利点と、それらが実現される様式は、図面との組合せにおいてさらに詳細に説明される本発明の例示の実施形態の以下の説明と組み合わせることによってより明白に及びより明瞭に理解可能になろう。これらの例示の実施形態は、本発明を説明するために使用され、明示される機能的特徴に関するものを含む特徴の組合せに本発明を限定しない。そのため、さらに、各例示の実施形態の適切な特徴を、はっきりと単独において見なす、例示の一実施形態から除去する、別の例示の実施形態を補足するために導入する、及び請求項の中のいずれか1つと組み合わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】入力側において分配配管に対して連結され出力側においてスケール沈降タンク中へと開くバイパス配管を有する冷却システムを示す図である。
【
図2】入力側において分配配管に対して連結され出力側において冷却剤リザーバに対して連結されたバイパス配管を有する別の冷却システムを示す図である。
【
図3】入力側において主配管に対して連結され出力側において冷却剤リザーバに対して連結されたバイパス配管を有するさらなる冷却システムを示す図である。
【
図4】入力側及び出力側の両方において主配管に対して連結されたバイパス配管を有するさらに別の冷却システムを示す図である。
【
図5】第1のバイパス配管及び第2のバイパス配管を有するさらに他の冷却システムであって、第1のバイパス配管が入力側において主配管に対して連結され、出力側において冷却剤リザーバに対して連結され、第2のバイパス配管が入力側において分配配管に対して連結され、出力側においてスケール沈降タンク内へと開く、冷却システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、熱間圧延材(図中には示さない)を冷却するための冷却システム2の概略図を示す。
【0065】
冷却システム2は、冷却剤6を貯蔵するための、高架タンクとして形成された冷却剤リザーバ4を備える。本例の実施形態では、冷却剤6は水である。また、冷却システム2は、圧延材に対して冷却剤6を付与するための複数の冷却バー8を備える。さらに、冷却システム2は、送給配管システム9を有する。
【0066】
送給配管システム9は、第1の主配管10及び第1の分配配管12を備える。第1の主配管10は、入力側において冷却剤リザーバ4に対して直接連結される。出力側では、第1の主配管10は、第1の分配配管12に対して直接連結される。
【0067】
さらに、送給配管システム9は、第2の主配管14及び第2の分配配管16を備える。第2の主配管14は、入力側において冷却剤リザーバ4に対して直接連結される。出力側では、第2の主配管14は、第2の分配配管16に対して直接連結される。さらに、第1の主配管10及び第2の主配管14は、連結配管18により相互に連結される。さらに、冷却システム2は、冷却剤ポンプ20を備え、この冷却剤ポンプ20は、第2の主配管14中に配置され、周波数制御駆動装置を有する。冷却剤ポンプ20は、第1のサービスフラップ弁22と第2のサービスフラップ弁24との間に配置され、これらのフラップ弁は、第2の主配管14中に配置される。前記サービスフラップ弁22、24は、サービス及び/又は修理を目的として冷却剤ポンプ20を隔離し、それにより冷却剤6が流出することなくサービス、修理、又は交換の実施が可能となるようにする役割を果たす。
【0068】
第2の主配管14に対して第1の主配管10を連結する連結配管18中に、連結配管18の開閉を行うための弁として形成された遮断部材26が配置される。さらに、冷却剤ポンプ20と第2の分配配管16との間において第2の主配管14中に、第2の主配管14の開閉を行うための弁として形成された遮断部材28が配置される。
【0069】
冷却システム2の冷却バー8は、冷却領域30に沿って配置され、圧延材は、その冷却のためにこの冷却領域30を通過される。本例の実施形態における冷却領域30は、第1の冷却領域区間32及び第2の冷却領域区間34へと区分される。
【0070】
「冷却領域区間」という用語に関連する「第1の」及び「第2の」という用語は、冷却領域30の2つの冷却領域区間32、34間を識別するための役割を果たすに過ぎない。これらの2つの冷却領域区間32、34は、冷却されることとなる圧延材(少なくとも冷却領域30の第1の通過において)が、初めに第1の冷却領域区間32を通過され、次いで第2の冷却領域区間34を通過される様式で構成され得る。代替的には、2つの冷却領域区間32、34は、圧延材(少なくとも冷却領域30の第1の通過において)が、例えば初めに第2の冷却領域区間34を通過され、次いで第1の冷却領域区間32を通過される様式で構成されてもよい。したがって、原則的に、冷却システム2は、第2の冷却領域区間34が、圧延材の進行方向において第1の冷却領域区間32の前又は後に配置される様式で形成され得る。
【0071】
さらに、冷却システム2は、冷却バー8に冷却剤を供給するための複数の冷却剤供給配管36を備え、厳密に1つの専用冷却剤供給配管36が、冷却バー8のそれぞれに設けられる。
【0072】
第1の冷却領域区間32の各冷却バー8は、専用の冷却剤供給配管36により送給配管システム9の第1の分配配管12に対して連結される。同様に、第2の冷却領域区間34の各冷却バー8は、専用の冷却剤供給配管36により送給配管システム9の第2の分配配管16に対して連結される。結果として、第1の冷却領域区間32の冷却バー8は、第1の分配配管12により冷却剤6を供給され、第2の冷却領域区間34の冷却バー8は、第2の分配配管16により冷却剤6を供給される。
【0073】
2つの冷却領域区間32、34のそれぞれにおいて、冷却バー8の一方の半部が、上方から冷却対象の圧延材に対して冷却剤6を付与するように設計され、冷却バー8の他方の半部が、下方から冷却対象の圧延材に対して冷却剤6を付与するように設計される。
【0074】
本例の実施形態では、第2の冷却領域区間34の全ての冷却バー8が、同一タイプの構造の冷却バーである。これらの冷却バー8は、ノズルを有し、冷却システム2の冷却動作中には冷却剤6がこれらのノズルから退出する。他方において、第1の冷却領域区間32の冷却バー8同士は、構造タイプに関して相互に異なる。したがって、例えば、第1の冷却領域区間32の冷却バー8のいくつかが、スワンネック状形状の冷却剤出力パイプを有する。また、原則的に、第1の冷却領域区間32中の全ての冷却バー8が、同一タイプの構造を有することが可能である。
【0075】
さらに、サービスフラップ弁38は、各冷却剤供給配管36中に配置される。さらに、連続調整可能弁として形成されそれぞれの冷却剤供給配管36を通過する冷却剤流れを制御する役割を果たす遮断部材40が、各冷却剤供給配管36中に配置される。
【0076】
また、冷却システム2は、スケールチャネル42を備え、このスケールチャネル42は、冷却領域30の下方に配置され、冷却バー8から出てくる冷却剤6を捕獲することとスケール粒子を捕獲することとを目的とする。さらに、冷却システム2は、スケール粒子を沈殿させるためのスケール沈降タンク44を備える。スケール沈降タンク44は、排出配管46によりスケールチャネル42に対して連結され、スケールチャネル42中に導入された冷却剤は、この排出配管46により配管中のスケール粒子と共にスケール沈降タンク44内に送られる。
【0077】
また、冷却システム2は、バイパス配管48とバイパス配管48中に配置された遮断部材50とを有し、遮断部材50は、連続調節可能弁として形成される。
【0078】
バイパス配管48は、入力側において分配配管16の連結要素51に対して直接連結される。バイパス配管48は、出力側においてスケール沈降タンク44中へと開口する。また、バイパス配管48中に配置された遮断部材50及び冷却剤供給配管36中に配置された遮断部材40は、少なくとも実質的に同一の切換時間を有する。
【0079】
冷却システム2の第2の冷却領域区間34は、任意には、層流冷却モード、準層流冷却モード、又は集中冷却モードにおいて動作され得る。
【0080】
層流冷却モードでは、冷却剤6は、第1の主配管10により冷却剤リザーバ4から第1の冷却領域区間32の冷却剤供給配管36へ及び第2の冷却領域区間34の冷却剤供給配管36へ送られる。この場合に、連結配管18中に配置された遮断部材26は、開いており、第2の主配管14中に配置された遮断部材28は、閉じられている。冷却剤ポンプ20は、この冷却モードにおいてオフに切り替えられる。
【0081】
準層流冷却モード及び集中冷却モードでは、冷却剤6は、第1の主配管10により冷却剤リザーバ4から第1の冷却領域区間32の冷却剤供給配管36へ、及び第2の主配管14により第2の冷却領域区間34の冷却剤供給配管36へ送られる。この場合に、連結配管18中に配置された遮断部材26は、閉じられており、第2の主配管14中に配置された遮断部材28は、開いている。
【0082】
換言すれば、層流冷却モードでは、冷却領域30の全ての冷却剤供給配管36が、第1の主配管10により冷却剤6を供給される。他方において、準層流冷却モード及び集中冷却モードでは、第1の冷却領域区間32の冷却剤供給配管36のみが、第1の主配管10により冷却剤6を供給され、第2の冷却領域区間34の冷却剤供給配管36は、第2の主配管14により冷却剤6を供給される。
【0083】
準層流冷却モードでは、冷却剤ポンプ20は、冷却剤ポンプ20を通り流れる時に発生する冷却剤6における圧力降下が少なくとも実質的に補償される回転速度で動作される。他方では、集中冷却モードでは、冷却剤ポンプ20の補助により、第2の主配管14内の冷却剤圧力は、冷却剤リザーバ4により引き起こされた結果得られる圧力を超えて上昇される。
【0084】
3つの冷却モードのそれぞれにおいて、冷却剤は、第1の冷却領域区間32の冷却バー8及び第2の冷却領域区間34の冷却バー8の両方により圧延材に対して付与される。この場合に、第1の冷却領域区間32の冷却バー8は、第1の主配管10により冷却剤6を常に供給され、第2の主配管14によっては常には供給されない。
【0085】
圧延が一時停止される場合に、又は冷却システム2が集中冷却モードで動作されている間に圧延材を冷却するために空気が使用される場合(冷却材の代わりに)に、冷却バー8への冷却剤送給は、冷却剤供給配管36中に配置された遮断部材40の補助により中断される。同時に、バイパス配管48中に配置された遮断部材50は、バイパス配管48を使用可能にする。
【0086】
この場合に、冷却剤ポンプ20は、オフに切り替えられず、後に再開される冷却剤ポンプ20の起動を回避するために動作状態に維持される。第2の主配管14を通る冷却剤流れを低減するために、冷却剤ポンプ20の回転速度は低減され得る。
【0087】
第2の主配管14からの冷却剤流れが、バイパス配管48により排出され、それにより冷却剤流れは、第2の冷却領域区間34の冷却剤供給配管36を迂回する。換言すれば、前記冷却剤供給配管36に流入する代わりに、冷却剤流れはバイパス配管48に流入する。バイパス配管48を経由して冷却剤流れを排出することにより、本冷却システム2内の圧力サージが、回避されるか又は少なくとも軽減される。
【0088】
本例の実施形態では、冷却剤流れは、バイパス配管48により第2の主配管14から直接排出されず、第2の主配管14に対して連結された第2の分配配管16により排出される。バイパス配管48から、冷却剤流れは、スケール沈降タンク44内に直接送られる。スケール沈降タンク44から、冷却剤6は、直接的に又は冷却剤処理システム(図面には示さず)を経由してのいずれかによって、さらなる利用のために冷却剤リザーバ4内へと移送され得る。
【0089】
いずれの場合においても、以下の例の実施形態の説明は、
図1に関連して説明された前出の例の実施形態との相違点に主に限定され、同一に留まる特徴及び機能に関しては
図1を参照されたい。実質的に同一である又は相互に対応する要素は、該当する場合には、記述されない同一の参照符号及び特徴によって示され、再度説明されることなく以下の例の実施形態に含まれる。
【0090】
図2は、熱間圧延ストックを冷却するための別の冷却システム2を示す。
【0091】
この例の実施形態の場合では、バイパス配管48は、出力側において冷却剤リザーバ4に対して直接連結される。結果として、本例の実施形態では、バイパス配管48により第2の主配管14から排出された冷却剤流れは、バイパス配管48から冷却剤リザーバ4内へと(スケール沈降タンク44内へではなく)直接送られる。この場合には、バイパス配管48により冷却剤リザーバ4内へと導入される冷却剤の処理は不要である。
【0092】
図3は、熱間圧延された圧延材を冷却するためのさらなる冷却システム2を示す。
【0093】
この例の実施形態の場合では、バイパス配管48は、入力側において第2の主配管14の連結要素53に対して直接連結される。結果として、この場合では、バイパス配管48を経由する冷却剤流れは、第2の主配管14から直接排出される。さらに、バイパス配管48は、出力側において冷却剤リザーバ4に対して直接連結される。結果として、本例の実施形態では、バイパス配管48を経由して第2の主配管14から排出された冷却剤流れは、バイパス配管48から冷却剤リザーバ4内へと(スケール沈降タンク44内へではなく)直接送られる。この場合には、バイパス配管48により冷却剤リザーバ4内へと導入される冷却剤の処理は不要である。
【0094】
さらに、冷却バー8への冷却剤送給の中断がある場合に、冷却剤ポンプ20のオフへの切り替えを省略することができる。
【0095】
図4は、熱間圧延された圧延材を冷却するためのさらに別の冷却システム2を示す。
【0096】
図4の例の実施形態の場合では、バイパス配管48は、入力側において第2の主配管14の連結要素53に対して直接連結される。これに対応して、この場合では、バイパス配管48を経由する冷却剤流れは、第2の主配管14から直接排出される。
【0097】
さらに、バイパス配管48は、出力側において第2の主配管14のさらなる連結要素55に対して連結され、第2の主配管14の初めに述べた連結要素53は、冷却剤ポンプ20の下流に配置され、第2の主配管14のさらなる連結要素55は、冷却剤ポンプ20の上流に配置される。
【0098】
本例の実施形態では、バイパス配管48を経由して第2の主配管14から排出された冷却剤流れは、バイパス配管48から再び第2の主配管14内へと(スケール沈降タンク44内に送られるのではなく)直接送り戻される。バイパス配管48の遮断部材50が開いており、第2の冷却領域区間34の冷却剤供給配管36の遮断部材40が閉じられている限りにおいて、冷却剤ポンプ20は、バイパス配管48内及び第2の主配管14内において冷却剤流れ循環を生じさせる。
【0099】
図5は、熱間圧延された圧延材を冷却するためのさらに他の冷却システム2を示す。
【0100】
この例の実施形態の場合では、冷却システム2は、遮断部材54を有する追加のバイパス配管52を備え、この遮断部材54は、連続調節可能弁として形成される。このバイパス配管52は、入力側において第2の主配管14の連結要素53に対して直接連結される。出力側では、このバイパス配管52は、冷却剤リザーバ4に対して直接連結される。
【0101】
追加のバイパス配管52により、さらなる冷却剤流れが第2の主配管14から排出され、さらなる冷却剤流れは、追加のバイパス配管52から冷却剤リザーバ4内へと直接送られる。
【0102】
冷却バー8への冷却剤送給が中断される場合の圧力サージを効果的に回避するために、初めに、第1のバイパス配管50の遮断部材50が開かれる。その後、追加のバイパス配管52の遮断部材54は、ゆっくりと開かれ、逆に初めに述べたバイパス配管48の遮断部材50は、スケール沈降タンク44内に冷却剤がさらに導入されることがないように再び閉じられる。なぜならば、スケール沈降タンク44内に導入された冷却剤が冷却剤リザーバ4内へと戻ることは、第2の主配管14から冷却剤リザーバ4内への冷却剤の直接的な戻りよりも高いエネルギー消費量を伴うからである。
【0103】
また、
図1~
図4の例の実施形態の場合では、複数のバイパス配管を組み合わせることが可能である。特に、
図1~
図3の例の実施形態の場合では、そこでそれぞれ開示されるバイパス配管48に加えて、
図1におけるようなバイパス配管48が設けられてもよい。本発明が、好ましい例示の実施形態によりより具体的に示され詳細に説明されたが、本発明は、開示された例に限定されず、他の変形形態が、本発明の保護範囲から逸脱することなくこれらの例示の実施形態から導出され得る。
【符号の説明】
【0104】
2 冷却システム
4 冷却剤リザーバ
6 冷却剤
8 冷却バー
9 送給配管システム
10 主配管
12 分配配管
14 主配管
16 分配配管
18 連結配管
20 冷却剤ポンプ
22 サービスフラップ弁
24 サービスフラップ弁
26 遮断部材
28 遮断部材
30 冷却領域
32 冷却領域区間
34 冷却領域区間
36 供給配管
38 サービスフラップ弁
40 遮断部材
42 スケールチャネル
44 スケール沈降タンク
46 排出配管
48 バイパス配管
50 遮断部材
51 連結要素
52 バイパス配管
53 連結要素
54 遮断部材
55 連結要素