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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】接合方法及び接合装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/20 20060101AFI20230116BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20230116BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20230116BHJP
   G01N 21/71 20060101ALI20230116BHJP
   G01N 21/63 20060101ALI20230116BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20230116BHJP
   G01N 27/90 20210101ALI20230116BHJP
【FI】
B23K9/20 Z
B23K9/20 D
B23K31/00 L
G01N21/64 Z
G01N21/71
G01N21/63 A
G01N27/04 Z
G01N27/90
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019533415
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017083163
(87)【国際公開番号】W WO2018114719
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】102016125600.5
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504075577
【氏名又は名称】ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】エイッサラ バー
(72)【発明者】
【氏名】メシュット ゲルソン
(72)【発明者】
【氏名】ライス クリスティアン
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-094666(JP,A)
【文献】特開2002-310953(JP,A)
【文献】特表2003-519575(JP,A)
【文献】特開昭57-086743(JP,A)
【文献】特開2008-134184(JP,A)
【文献】国際公開第2005/021201(WO,A1)
【文献】特開平05-232042(JP,A)
【文献】特表平08-500432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/20
B23K 31/00
G01N 21/64
G01N 21/71
G01N 21/63
G01N 27/04
G01N 27/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合要素(24)を構成要素(32)に接合するための接合装置(10)であって、
前記接合要素(24)の第1の接合面(30)を前記構成要素(32)の第2の接合面(34)上に位置合わせすることができるように、前記構成要素(32)に接合される接合要素を保持するための保持装置(22)が配置された接合ヘッド(12)を含み、
前記接合装置(10)が、前記第1及び/又は前記第2の接合面(30、34)の状態を検出するための蛍光測定装置(40-1)を含む検出装置(40)を備え、前記蛍光測定装置は発生器放射(36-1)を生じさせる発生器(62)と、応答放射(38-1)を検出するセンサ(64)をさらに含むことを特徴とする、接合装置。
【請求項2】
接合要素(24)を構成要素(32)に接合するための接合装置(10)であって、
前記接合要素(24)の第1の接合面(30)を前記構成要素(32)の第2の接合面(34)上に位置合わせすることができるように、前記構成要素(32)に接合される接合要素を保持するための保持装置(22)が配置された接合ヘッド(12)を含み、
前記接合装置(10)が、前記第1及び/又は前記第2の接合面(30、34)の状態を検出するための蛍光測定装置(40-1)を含む検出装置(40)を備え、前記蛍光測定装置は発生器放射(36-1)を生じさせる発生器(62)と、応答放射(38-1)を検出するセンサ(64)をさらに含み、前記発生器(62)はLED放射又はレーザー放射を発生するものである接合装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した接合装置であって、前記発生器(62)及びセンサ(64)は直径が7mmから50mmの範囲内の測定プローブハウジング(60)内に収められている接合装置。
【請求項4】
特にスタッド溶接のための接合要素(24)を、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の接合装置により構成要素(32)に接合するための方法であって、
第1の接合面(30)を有する接合要素(24)を準備し、第2の接合面(34)を有する構成要素(32)を準備するステップと、
前記第1及び/又は前記第2の接合面(30、34)を調製するステップと、
前記第1の接合面(30)を有する前記接合要素(24)を前記構成要素(32)に接合するステップと、
を含み、
前記調製するステップが、前記第1及び/又は前記第2の接合面(30、34)上での蛍光測定を含む検出法を実行することを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記蛍光測定は、発生器(62)によって前記接合面(30、34)に電磁発生器放射(36-1)を供給して、前記接合面(30、34)上のコーティング(50)の材料を原子的に励起させることを含み、前記材料に基づいて放出された応答放射(38-1)の放出、特に光量子の放出がセンサ(64)によって検出されることを特徴とする、請求項4に記載の接合方法。
【請求項6】
前記調製するステップは、0.1秒を下回らずかつ2秒を上回らない時間枠内で実行されることを特徴とする、請求項4又は請求項5のいずれかに記載の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にスタッド溶接のための、接合要素を構成要素に接合するための方法であって、第1の接合面を有する接合要素を準備し、第2の接合面を有する構成要素を準備するステップと、例えばスタッド溶接又はスタッドボンディング/接着などによって、接合要素を構成要素に接合するステップとを含む、方法に関する。
【0002】
本発明はまた、特に上述の方法を実行するための、接合要素を構成要素に接合するための装置であって、接合要素の第1の接合面を構成要素の第2の接合面上に位置合わせすることができるように、構成要素に接合される接合要素を保持するための保持装置が配置された接合ヘッドを含む、接合装置に関する。
【背景技術】
【0003】
上述の方法においては、好ましくは、スタッドのような接合要素が、金属板のような構成要素に、スタッドが構成要素の表面に対して垂直に突出するように接合される。この種の接合構成を用いて、例えばプラスチック材料で作られたクリップをスタッドに締結することができる。クリップを用いて、例えばラインを、電気ライン、燃料ライン、又はブレーキラインのような構成要素に対して固定することができる。したがって、この一般的な接合方法は、特に自動車の車体構築の分野に適用される。
【0004】
スタッド溶接中、電流の流れが接合要素と構成要素との間に確立され、接合要素を構成要素に対して持ち上げて、電気アークをこれらの要素間で発生させる。電気アークは、構成要素と接合要素との対向する接合面を溶融させる。次いで接合要素を構成要素上に下して、接合電流を短絡させる。溶融部全体が固化して、接合プロセスが完了する。
【0005】
スタッドボンディング中、すなわちスタッド接着中、通常、まず接合要素の接合面に活性化可能な接着剤が付与される。次いで活性化された接着剤によってスタッドボンディングが行われる。その後、接合要素と構成要素とを互いに押し付け、最終的に接着剤を硬化させる。これは、種々の外的要因、特に熱によって行うことができる。
【0006】
この種の接合された接続部の品質を担保するのは、実際の接合プロセスだけではない。構成要素の、随意的には接合要素の、材料特性及び表面品質がこのプロセスにおいて果たす役割も少なからず重要である。このことは、構成要素及び接合要素が鋼で製造されている場合に当てはまる。しかしながら、この問題は、構成要素及び接合要素がそれぞれの場合においてアルミニウム合金で製造されている場合に特に存在する。
【0007】
ワークピースの固有特性に対する変更は、アルミニウム合金に基づく接合接続部において特に重要である。この種の特性は、そのアルミニウム合金がリサイクル材料であるかどうということを含み得る。さらに、特に押出材料の場合には、1mmの深さにまで達することがある、上層での不均一な粒度に関する問題も生じることがある。このような不均一な粒度は、異なる伝導率をもたらし得る。結果として、このことが電気アークを通る電流の流れに影響を及ぼし得る。
【0008】
さらにまた、多くの構成要素は、鋳造プロセスで製造される。この結果、表面がワックス、オイル、ポリシロキサン、炭化水素、ポリマー等のような離型剤でコーティングされるという問題が生じる。特にこの種の薬剤によるコーティングが接合面上に不均一に存在している場合には、それに応じて接合パラメータを適合させることは困難である。炭化水素による被覆は、溶接部に孔又は気泡を生じさせることがあり、したがって、全体として溶接部の空隙率がより高くなることがあり、そのことが溶接部の強度に悪影響を及ぼすことがある。合金元素もまた溶接性に影響を与えることがある。
【0009】
一般に、構成要素はある特定の表面仕様を有することが要求され、後でこの仕様に対して接合プロセスが接合パラメータに関して特別に適合されることになるが、実際には、このような表面仕様に準拠するのは必ずしも簡単なことではない。
【0010】
スタッド溶接の分野において、実際のスタッド溶接プロセスの前に電気アーク洗浄プロセス(「クリーンフラッシュ」)を実行することが知られている。これは、溶接プロセスの前に小さい電流及び交番極性を有する電気アークを確立し、このアークにより不純物をイオン化し、該不純物を構成要素表面から脱離させることを含む。このプロセスに伴う問題は、この種の不純物が後でスタッド上の他の接合面によって取り込まれることがあり得ることであり、したがって、むらのない接合部に関する問題がこの場合においても生じることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のことに鑑み、本発明が取り組む課題は、接合要素を構成要素に接合するための改善された方法を提供すること、及び改善された接合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の問題は、特にスタッド溶接のために、接合要素を構成要素に接合するための方法であって、第1の接合面を有する接合要素を準備し、第2の接合面を有する構成要素を準備するステップと、第1及び/又は第2の接合面の状態を検出することを含む、第1及び/又は第2の接合面を調製するステップと、接合要素を構成要素に接合するステップとを含み、調製するステップは、第1及び/又は第2の接合面上で、(i)接合面上での電気接触抵抗測定、(ii)接合面上での電気伝導率測定、(iii)接合面上での蛍光測定、及び(iv)接合面上でのレーザ測定のうちの少なくとも1つの検出法を実行することを含む方法により解決される。
【0013】
さらに、上述の問題は、冒頭に述べた種類の接合装置であって、第1及び/又は第2の接合面の状態を検出するための、(i)電気接触抵抗測定装置、(ii)電気伝導率測定装置、(iii)蛍光測定装置、及び(iv)レーザ測定装置のうちの少なくとも1つの検出装置をさらに含む。
【0014】
検出法を実行するとき、例えば構成要素又はその接合面を分類するために、構成要素及び/又は接合要素の少なくとも1つの固有変数を検出することができる。接合要素が接合されることになる構成要素の表面部分又は接合面の少なくとも1つの固有変数が検出されることが好ましい。この場合、固有変数は、材料、表面品質、表面仕上げ、表面を覆う炭化水素、清浄度に関するものとすることができ、又は鋳造ワークピースの場合は離型物質に関連するものとすることができるが、この変数は、接合要素材料に対する構成要素材料の相対サイズのような相対サイズを含むこともできる。
【0015】
以下、もっぱら構成要素の少なくとも1つの固有変数が検出される好ましい変法に焦点を合わせる。したがって必然的に、この方法は、具体的には、第2の接合面を調製することと、調製ステップを構成要素の第2の接合面に対して実行することとに関する。しかしながら、特段の明示的な記述がない限り、調製ステップ及び検出法の実行に対する以下のすべての言及は、対応する接合要素の変数に対しても同様に関連するものとすることができる。
【0016】
検出装置は、各場合において、構成要素が能動的に物理的プロセスを受け、それに対する反応がその後センサによって検出される、能動的装置であることが好ましい。
【0017】
検出の実行は、その後の評価ステップにおいて構成要素を分類することを可能にする。例えば、その後の接合プロセスの接合パラメータを次いで分類に応じて変更し又は適合させることができる。分類に応じて、接合プロセスの前に補助的な洗浄法を実行することも可能であり、その方法は、例えばスノージェット法又はプラズマガスを用いる方法とすることができる。
【0018】
構成要素及び接合要素は、特にアルミニウム合金で製造される。
【0019】
特に、接合面上での電気伝導率(導電率)測定に基づく検出法を実行する場合、構成要素材料の熱伝導率、冷硬化性アルミニウム合金の場合の硬度、構成要素材料の均質性、特にアルミニウム合金形態の構成要素材料の硬化、構成要素材料の強度及び硬度、及び不均質な粒子構造に基づくAl鋳造部品の伝導率の変動のうちの少なくとも1つの固有変数を検出することができる。
【0020】
接合面に対する蛍光測定によって、特に、接合面上のコーティング(油膜、脂肪付着物、ホットメルト被覆等)又は不純物を検出することが可能である。
【0021】
接触抵抗測定を用いて金属面の溶接性を推定することができる。このプロセスにおいて、接触抵抗は、集中抵抗として知られるものと不純物層抵抗として知られるものとの合計として得られる。集中抵抗は、好ましくは、測定接点と表面突起との間の非常に小さい接触面による電流ラインの収縮によって決まる。不純物層抵抗は、具体的には不純物層(酸化層等)を有する接触面に関する。接触抵抗測定は、好ましくは、非常に小さい接触面の溶接を避けることができるほど低い最小限の電圧又は非常に小さい電圧で行われる。このようにして接触抵抗測定の歪みを防ぐことができる。
【0022】
アルミニウム材料の時効は接触抵抗を著しく増大させることがあるので、接触抵抗測定は、例えばアルミニウム材料の時効の検出を可能にする。
【0023】
このようにして課題が完全に解決される。
【0024】
好ましい実施形態によれば、電気伝導率測定は、発生器によって電磁発生器場を発生させることと、発生器を接合面の近傍に持ってきて構成要素の材料内及び/又は接合要素の材料内で渦電流を誘導することとを含み、誘導された渦電流によって発生した電磁反応場をセンサによって検出することをさらに含む。
【0025】
発生器によって発生される電磁発生器場は、具体的には磁気発生器場であり、好ましくは交番場である。発生器は、接合面から離間するように配置されることが好ましい。伝導率測定を実行するために、前もって構成要素の(又は接合要素の)基準ワークピースをその伝導率に関して測定し、次いでその後の測定値を基準ワークピースに関して得られた値と比較することが好ましい。構成要素材料は非磁化可能材料であることが好ましい。伝導率測定の測定範囲は、好ましくは0.1MS/mから100MS/mの範囲、好ましくは1MS/mから100MS/mの範囲である。
【0026】
また、発生される電磁発生器場は、特に好ましくは10kHzから2MHzの範囲、具体的には10kHから500kHzの範囲、特に好ましくは20kHzから300kHzの範囲の周波数を有する。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、蛍光測定は、発生器によって接合面に電磁発生器放射を供給して、接合面上のコーティング又は被覆材料を原子的に励起させることを含み、材料に基づいて放出された応答放射の放出、特に光量子の放出がセンサによって検出される。
【0028】
電磁発生器放射は、UVに加えて及び/又はIRに加えて、人間に可視の周波数範囲であることが好ましい。
【0029】
発生器放射はUV放射であることが特に好ましい。
【0030】
結果として、蛍光測定は、放射線誘導蛍光分光法として、具体的には電磁放射と物質との相互作用に基づいて実行することができる。接合面の表面層内の原子は、電磁放射由来の光量子又は量子の結果として、より高いエネルギー準位に上がる。このエネルギーは、その後、蛍光のため放射の形態で、具体的には放射パルスとして再放出される。材料及び被覆量に応じて、異なる量のパルスが放出される。これらの「カウント」が計数され、解析される。
【0031】
蛍光測定中に基準被覆を用いた所定範囲の事前試験を行って、その後、現在の構成要素の実測値との比較を実行することができるように、及びそれらの比較を行うことができるようにすることができる。例えば、この目的のために、例えば構成要素の特定の材料とコーティング又は被覆の特定の組成と組み合わせについての較正を、蛍光検出装置内に保存することができる。
【0032】
接合面上のコーティングを励起させるのに用いられる発生器放射は、LED又はレーザ放射であることが特に好ましい。この目的のために用いられるレーザは、例えば固体レーザ、具体的には1M出力クラスのものとすることができる。
【0033】
LED放射は、UV LED放射とすることができる。
【0034】
別の好ましい実施形態によれば、発生器及びセンサは、測定プローブ内に収容され、その直径は、7mmから50mmの範囲、特に8mmから40mmの範囲である。
【0035】
伝導率測定装置に関して、測定プローブの直径は、例えば、7mmから20mmの範囲とすることができる。蛍光測定に関して、測定プローブ又は測定ヘッドは、例えば8mmから40mm、特に30mmから40mmの直径を有することができる。
【0036】
また、調製ステップは、0.1秒を下回らずかつ2秒を上回らない時間枠内で実行されることが有利である。
【0037】
この結果、接合プロセスチェーンへの調製ステップの最適な統合がもたらされる。
【0038】
調製ステップはいずれも、測定又は調製時間の持続期間にわたって測定プローブと構成要素とが固定された相対位置で一緒に保持されるように静的に実行することができる。あるいは、調製ステップは動的に実行することも可能であり、調製ステップは、構成要素と測定プローブとの間で相対運動している間に実行される。
【0039】
別の好ましい実施形態によれば、接触抵抗測定は、接触プローブによって電位を接合面に印加し、(a)増大する力(F)で接触プローブを接合面上に押し付ける、及び/又は、(b)接触プローブ上の電位(U)の値を増大させることを含み、この増大の結果生じる抵抗の変化が検出される。接触抵抗測定は、接合面上の汚染表面又はバリア層を検出するのに特に適している。この層を貫通した後、接触抵抗は、通常、著しく減少し、これを対応する抵抗変化によって検出することができる。
【0040】
接触抵抗測定は、前もって実行された洗浄法を評価するために実行することもできる。電気伝導率測定は、溶接に関連した多くの材料特性についての情報を提供することができ、低い測定サイクル時間を有することができる。また、測定プローブ又は試験ヘッドの寸法を小さくすることができる。
【0041】
蛍光測定を用いて、前もって実行された洗浄法を評価することもできる。これもまた低い測定サイクル時間をもたらす。試験ヘッド又は測定プローブの寸法も小さくすることができる。
【0042】
1つ又は複数の検出装置を、接合ヘッドとは独立して接合システム技術に統合することができる。
【0043】
好ましい実施形態において、少なくとも1つの検出装置が接合ヘッド上に装着される。
【0044】
この結果、接合システム技術において著しく高められた統合がもたらされる。また、ロボットを用いて、検出装置を接合面に対して適切に位置決めすることができる。
【0045】
上述の特徴及び以下で説明される特徴は、各場合において述べられた組み合わせで用いることができるのみならず、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせ又は単独でも用いることができることは言うまでもない。
【0046】
本発明の実施形態は、図面に示され、以下の説明においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の1つの実施形態による接合装置の略図である。
図2図1の詳細なIIを示す。
図3】接合面上の蛍光測定による、コーティング密度に対するカウント値を示すグラフである。
図4】蛍光測定を実行するための測定プローブの略図である。
図5】伝導率測定を実行するための測定プローブの略図である。
図6】温度の関数として材料の伝導率、硬度、及び引張強さを示す、伝導率測定に用いられるグラフである。
図7】接触抵抗測定用の構成の略図である。
図8】接触抵抗測定法を実行するときの抵抗を力に対して示すグラフである。
図9】接触抵抗測定方法を実行するときの抵抗を電圧に対して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、全体が10で示される接合装置を概略的に示す。接合装置10は、接合ヘッド12を含み、接合ヘッド12は、ロボット14のロボットアーム16に固定されることが好ましい。キャリッジ18は、接合軸20に沿って動くことができるように接合ヘッド12上に配置される。保持装置22がキャリッジ18上に形成され、この装置によって接合要素24を保持することができる。接合要素24は、保持装置22が接合要素24を保持することができるシャフト部分26と、フランジ部分28とを含む。第1の接合面30は、フランジ部分28の、シャフト部分26とは軸方向の反対側に形成される。
【0049】
接合要素24は、接合装置10によって、例えば車体の金属板構成要素のような構成要素32に接合することができる。構成要素32は、接合プロセスの開始前に第1の接合面30と位置合わせすることができる第2の接合面34を含む。
【0050】
この場合には、接合装置は、スタッド溶接用に設計されているが、スタッドボンディング/スタッド接着用に設計することもできる。スタッド溶接中、接合要素24は、キャリッジ18の動きによって構成要素32上に下ろされる。その後、接合要素24と構成要素32との間に電圧が印加され、その結果、電流の流れが生じる。次いで接合要素24を持ち上げて戻し、その結果、電気アークが発生する。対向する接合面30、34が電気アークの結果として互いに溶融する。次いで接合要素24を再び構成要素32上に下ろし、続いて短絡のため電気アークがカットオフされる。溶融部全体が固化し、接合要素24が構成要素32に一体的に結合する。
【0051】
この種のスタッド溶接プロセスは一般に知られている。ドローンアーク点火プロセスの代わりに先端点火プロセスを用いてもよい。
【0052】
接合要素24及び構成要素32は、好ましくはアルミニウム合金で製造される。接合プロセスは、特定の接合パラメータを用いて実行される。接合パラメータは、随意的に、すなわち特に接合プロセス前の第2の接合面34の状態に応じて、設定することができる。
【0053】
第2の接合面34の状態の判断を用いて、接合パラメータを適合させるか、又は接合プロセスを開始する前にさらなるステップ、例えば第2の接合面34にプラズマガス又はスノージェットのような物理的な媒体を供給する付加的な洗浄ステップを開始することができる。
【0054】
状態を検出するのに用いられる検出装置40は、通常、完全に受動的に動作することができる。しかしながら、この場合には、検出装置40を能動的な検出装置として設計することができ、この検出装置40は、参照符号36で模式的に示されるように第2の接合面34を励起させ、その点において、図1で参照符号38で模式的に示されるように第2の接合面34において反応が起こり、これを検出装置40によって検出することができる。
【0055】
検出装置40は、図示のように、接合ヘッド12上に装着することができる。
【0056】
あるいは、やはり図1に示されるように、検出装置は、接合ヘッド12とは別個の検出装置40’として設計することができる。
【0057】
図1において、第2の接合面34の直径は、DFにより示される。構成要素32の表面上の検出装置40又は40’によって覆うことができる直径DMは、直径DFより大きいことが好ましい。例えば、検出装置40’は、好ましくはDFより大きい直径DMを有する測定プローブを含むことができる。
【0058】
図2は、図1の詳細なIIを示す。ここで、構成要素32は、表面層内に粒状構造42を有することができることが模式的に示されており、この構造は、例えば小さい粒44と大きい粒46とを含み得る。
【0059】
図2はまた、構成要素32の表面上又は第2の接合面34上にコーティング又は被覆50が形成され得ることを示し、このコーティング又は被覆は、例えば、油膜、脂肪若しくはホットメルト被覆、又はワックス、オイル、ポリシロキサンの被覆、又は炭化水素、ポリマーの被覆等であり得る。
【0060】
コーティング50の材料又は組成、及び図2に示されるコーティング厚52は、上述の接合プロセスにかなりの影響を有し得る。
【0061】
図2は、励起36が例えば波様のものとすることができ、コーティング50の材料を具体的には原子的に励起することができ、この点において応答放射38がその後コーティング50から放出されることを示す。
【0062】
したがって、図2は蛍光測定装置40-1の形態の検出装置の例を示す。
【0063】
この場合、接合面34又はそのコーティング50に電磁放射、具体的には光放射が供給され、コーティング50及び/又はその下の構成要素32の材料の構成成分が励起され、次いで蛍光特性により応答放射38が放出され、この放射は、多くの場合、励起放射36とは異なる波長範囲にある。
【0064】
具体的には、応答放射パルスはコーティング50又は構成要素32から放出されることができ、カウントすることができる。
【0065】
図3は、g/m2で測定されたコーティング密度又は厚さに対するカウントnのグラフを示す。
【0066】
コーティング50の密度又はコーティング厚が増大するにつれて、励起放射によって励起されてより高いエネルギー状態にシフトした原子の数がより多くなることの結果として、対応してより高いカウントがもたらされることがわかる。
【0067】
図3に示されるグラフ56は、対応する蛍光曲線58を含むことができ、これは部分的には線形であり得るが、コーティング強度が増大するに伴い、好ましくは遅延要素の機能に基づいて、飽和範囲に入る。
【0068】
図3は、蛍光曲線58上に、線形の較正部分を有する複数の測定点を示す。
【0069】
現在の第2の接合面34を評価できるようにするために、接合面は、好ましくは、構成要素32の材料及び/又はコーティング50の材料若しくは主成分に関して較正される。これにより、現在の接合面34を、好ましくは構成要素32の材料とコーティング50の主成分との複数の異なる組み合わせについて検出装置40-1を較正した、以前に測定された基準接合面と比較することが可能になる。
【0070】
図4は、測定プローブ又はプローブハウジング60内に、発生器放射36-1を発生させるための発生器62と応答放射38-1を検出するためのセンサ64とを含む、検出装置40-1の略図である。
【0071】
測定プローブ60の直径は、DM1によって図4に示され、好ましくは8mmから40mmの範囲にある。
【0072】
図5は、伝導率測定装置の形態の検出装置40-2の類似の実施形態を示す。
【0073】
ここでは、電磁場、特に交番磁場を発生させるための発生器62が測定プローブ60内に配置される。この場合には、測定プローブ60は、反応場を検出するためのセンサ64も含む。
【0074】
構成要素32の材料は、この場合には、好ましくは非磁化可能材料である。したがって、交番磁場36-2によって、構成要素32の材料内で渦電流iが誘導され、これが次いで反応場38-2をもたらす。
【0075】
反応場38-2の検出は、接合面34の領域内の構成要素32の伝導率に関する結論を導き出すことを可能にする。
【0076】
図6は、一例として、特に構成要素32の例示的な材料の温度に対して、伝導率a(MS/mで測定)、硬度b(バーコルで測定)、及び引張強さc(dN/mm2で測定)が示されるグラフ66を示す。
【0077】
例えば図5の検出装置40-2によって検出することができる伝導率が既知ならば、こうしたグラフ66から特定の結論を導き出すことができる。
【0078】
図5の検出装置40-2はまた、以前に種々の基準接合面34を検出した較正された検出装置であることが好ましく、その測定値が現在の接合面の測定値と比較される。
【0079】
図7は、接触抵抗測定装置の形態の検出装置40-3のさらなる実施形態を示す。
【0080】
ここで、検出装置40-3は、力Fによって接合面34上に押し付けることができる接触プローブ70を含む。
【0081】
さらに、電圧Uの形態の電位を接触プローブ70に印加することができ、この電圧は調整することができる。符号74の場合、接触プローブ70と構成要素32との間の抵抗を測定することができる。
【0082】
接触抵抗測定の場合、接触プローブ70を増大し続ける力によって接合面34に向かって徐々に押し付け、及び/又は、電圧Uを徐々に高める。
【0083】
第1の場合には、図8に示されるようなグラフ76が得られる。力Fが増大するにつれて抵抗Rが減少する。閾値Sに達すると(抵抗差ΔRに対応する)、実線の場合、この線がコーティングなしの又は少量のコーティングしか有さない構成要素32に関連したものであることがわかる。図8における破線は、コーティングが接合面34上に存在する場合を示す。結果として、力が増大しても、抵抗Rは閾値Sまではほとんど一定のままであり、その後、急に減少する。ここで、Sの値に依存し得る特定の厚さを有するコーティングが接合面34上に存在することがわかる。
【0084】
図9における対応するグラフ78は、電圧Uを徐々に高める代替的な又は付加的な別形を示す。この場合でも抵抗Rは徐々に減少する。抵抗差ΔRを次に閾値Sと相関させる。この場合でも、コーティングが存在する場合には、抵抗Rはこうした閾値Sまでほとんど一定のままであり、その後、急に減少する。
【0085】
レーザ測定装置を用いて、上述の他の測定装置と同様の原理により、第1及び/又は第2の接合面上の表面条件を識別することもできる。励起放射36に対する応答放射38を測定し、目標値と比較することができ、これによって表面条件を診断して、接合ステップの前及び/その間に実施すべき正しい手順を定めることが可能になる。
【符号の説明】
【0086】
10:接合装置
12:接合ヘッド
14:ロボット
16:ロボットアーム
18:キャリッジ
20:接合軸
22:保持装置
24:接合要素
26:シャフト部分
28:フランジ部分
30:第1の接合面
32:構成要素
34:第2の接合面
36:励起放射
36-1:発生器放射
36-2:交番磁場
38、38-1:反応放射
38-2:反応場
40、40’:検出装置
40-1:蛍光測定装置
40-2:伝導率測定装置
40-3:接点抵抗測定装置
42:粒状構造
50:コーティング
52:コーティング厚
60:測定プローブ
62:発生器
64:センサ
70:接触プローブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9