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特許7210455空間分割多重化光通信システム及びそのための増幅器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】空間分割多重化光通信システム及びそのための増幅器
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/291 20130101AFI20230116BHJP
   H04J 14/04 20060101ALI20230116BHJP
   H04B 10/2581 20130101ALI20230116BHJP
   H04B 10/03 20130101ALI20230116BHJP
【FI】
H04B10/291
H04J14/04
H04B10/2581
H04B10/03
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019533709
(86)(22)【出願日】2017-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 IB2017054844
(87)【国際公開番号】W WO2018047029
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】15/257,895
(32)【優先日】2016-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502101180
【氏名又は名称】サブコム,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】サン,ユ
(72)【発明者】
【氏名】シンキン,オレグ ヴイ
(72)【発明者】
【氏名】ボルシュタイアンスキー,マクシム エー.
(72)【発明者】
【氏名】ピリペツキ,アレクセイ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】フォーサ,ドミトリ
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0042064(US,A1)
【文献】特開2016-139938(JP,A)
【文献】国際公開第2013/121744(WO,A1)
【文献】特開2002-221742(JP,A)
【文献】国際公開第2016/040086(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信システム(300)であって、
第1の複数の次元を有する第1の光ファイバー経路(310e)であって、第1の空間分割多重化(SDM)信号を第1の方向に搬送するように構成される、第1の光ファイバー経路(310e)と、
第2の複数の次元を有する第2の光ファイバー経路(310w)であって、第2のSDM信号を第2の方向に搬送するように構成される、第2の光ファイバー経路(310w)と、
前記第1のSDM信号及び前記第2のSDM信号を増幅するために構成される少なくとも1つの光増幅器組立体(308-1...308n)と、
を備え、前記少なくとも1つの光増幅器組立体(308-1...308n)は、
第1の複数の光増幅器(314-1...314n)であって、該第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のそれぞれは、前記第1の光ファイバー経路(310e)の前記第1の複数の次元のうちの関連する次元に、前記第1の複数の次元のうちの前記関連する次元を増幅するために結合される、第1の複数の光増幅器(314-1...314n)と、
第2の複数の光増幅器(316-1...316n)であって、該第2の複数の光増幅器(316-1...316n)のそれぞれは、前記第2の光ファイバー経路(310w)の前記第2の複数の次元のうちの関連する次元に、前記第2の複数の次元のうちの前記関連する次元を増幅するために結合される、第2の複数の光増幅器(316-1...316n)と、
前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)及び前記第2の複数の光増幅器(316-1...316n)をポンピングするために構成される光ポンプ組立体(318-1...318N)と、
を備え、前記光ポンプ組立体(318-1...318n)は、
少なくとも第1のポンプ出力(212)及び第2のポンプ出力(214)を提供するように構成される複数のポンプ源(202、204、206)を備える光ポンプユニット(118-1...118n)であって、前記複数のポンプ源(202、204、206)のそれぞれは、前記第1のポンプ出力(212)と前記第2のポンプ出力(214)の両方に結合されて、前記複数のポンプ源(202、204、206)のうちの1つのポンプ源が故障する場合に冗長性を提供し、前記複数のポンプ源(202、204、206)は、それぞれ、(ア)前記第1の複数の次元の数の和、及び(イ)前記第2の複数の次元の数の和より少ない数のポンプ源を備える、光ポンプユニット(118-1...118n)と、
前記第1のポンプ出力を前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のそれぞれに分割するように構成される第1のスプリッター(330a)と、
前記第2のポンプ出力を前記第2の複数の光増幅器(316-1...316n)のそれぞれに分割するように構成される第2のスプリッター(330b)と、
を備える、光通信システム。
【請求項2】
前記第1の複数の次元上で第1の変調された光信号を多重化するように構成される空間多重化器(318)を更に備え、前記第1の変調された光信号のうちの少なくとも1つの第1の変調された光信号は、前記第1の変調された光信号のうちの少なくとも1つの他の第1の変調された光信号と異なる変調フォーマットで変調される、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記第1のスプリッター(330a)は、前記第1のポンプ出力(212)を、前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの少なくとも1つの他の光増幅器と異なる分割比を持って、前記第1の変調された光信号のうちの前記少なくとも1つの第1の変調された光信号に関連する前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの1つの光増幅器に分割するように構成される、請求項2に記載の光通信システム。
【請求項4】
前記システムは、前記第1の光ファイバー経路(310e)及び前記第2の光ファイバー経路(310w)に沿って離間した複数の光増幅器組立体(308-1...308n)を備え、該複数の光増幅器組立体(308-1...308n)の第1の光増幅器組立体の前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの1つの光増幅器は、高出力パワーを提供するために前記光ポンプ組立体(318-1...318N)のうちの関連する光ポンプ組立体によってポンピングされるように構成され、前記光増幅器組立体(308-1...308n)の前記第1の光増幅器組立体の前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの前記1つの光増幅器の出力は、前記高出力パワーより低い低出力パワーを提供するために前記光ポンプ組立体(318-1...318N)のうちの関連する光ポンプ組立体によってポンピングされるように構成される前記光増幅器組立体(308-1...308n)の第2の光増幅器組立体の前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの1つの光増幅器に前記第1の光ファイバー経路(310e)によって結合される、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項5】
前記第1のスプリッター(330a)は、前記第1のポンプ出力を、前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)の間で等しい分割比を持って、前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のそれぞれに分割するように構成される、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項6】
前記第1のスプリッター(330a)は、前記第1のポンプ出力を、前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)の間で異なる分割比を持って、前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のそれぞれに分割するように構成される、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項7】
前記第1の光ファイバー経路(310e)は、前記第1の複数の次元を有する第1の光ファイバーを備える、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項8】
前記第1の光ファイバー経路(310e)は第1の複数の光ファイバーを備え、前記第1の複数の光ファイバーのそれぞれは、関連する第1の複数の次元を提供する、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項9】
第1の複数の次元を有する第1の光ファイバー経路(310e)上で第1の方向に第1の空間分割多重化(SDM)信号を送信する(602)ことと、
第2の複数の次元を有する第2の光ファイバー経路(310w)上で第2の方向に第2のSDM信号を送信する(604)ことと、
第1の複数の光増幅器(314-1...314n)であって、該第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のそれぞれは、前記第1の光ファイバー経路(310e)の前記第1の複数の次元のうちの関連する次元に結合されて、前記第1の複数の次元のうちの前記関連する次元を増幅するように構成される、第1の複数の光増幅器(314-1...314n)と、第2の複数の光増幅器(316-1...316n)であって、該第2の複数の光増幅器(316-1...316n)のそれぞれは、前記第2の光ファイバー経路(310w)の前記第2の複数の次元のうちの関連する次元に結合されて、前記第2の複数の次元のうちの前記関連する次元を増幅するように構成される、第2の複数の光増幅器(316-1...316n)とを備える少なくとも1つの光増幅器組立体を設ける(606)ことと、
複数のポンプ源(202、204、206)を備える単一ポンプユニット(118-1...118n)を使用して前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)及び前記第2の複数の光増幅器(316-1...316n)をポンピングする(608)ことと、
を含み、前記複数のポンプ源は、それぞれ、(ア)前記第1の複数の次元数の和、及び前記第2の複数の次元の数の和より少ない数のポンプ源(202、204、206)を備え、
前記単一ポンプユニット(118-1...118n)は、前記複数のポンプ源(202、204、206)のそれぞれに少なくとも第1のポンプ出力(212)及び第2のポンプ出力(214)を提供するように構成され、前記複数のポンプ源(202、204、206)のそれぞれは、該複数のポンプ源(202、204、206)のうちの1つのポンプ源が故障する場合に冗長性を提供するために前記第1のポンプ出力(212)及び前記第2のポンプ出力(214)の両方に結合され、前記光ポンプユニット(118-1...118n)は光ポンプ組立体(318-1...318N)内に設けられ、該光ポンプ組立体(318-1...318N)は、
前記第1のポンプ出力を前記第1の複数の光増幅器(314-1...314-n)のそれぞれに分割するように構成される第1のスプリッター(330a)と、
前記第2のポンプ出力を前記第2の複数の光増幅器(316-1...316n)のそれぞれに分割するように構成される第2のスプリッター(330b)と、
を更に備える、方法。
【請求項10】
前記第1のSDM信号のうちの少なくとも1つのSDM信号を、前記第1のSDM信号のうちの少なくとも1つの他のSDM信号と異なる変調フォーマットで変調することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のSDM信号のうちの少なくとも1つのSDM信号を、前記第1のSDM信号のうちの少なくとも1つの他のSDM信号と異なる変調フォーマットで変調することを含み、前記第1のスプリッター(330a)は、前記第1のポンプ出力を、前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの少なくとも1つの他の光増幅器と異なる分割比を持って、前記第1のSDM信号のうちの前記少なくとも1つのSDM信号に関連する前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの1つの光増幅器に分割するように構成される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の光ファイバー経路(310e)及び前記第2の光ファイバー経路(310w)に沿って離間した複数の光増幅器組立体(308-1...308n)を設けることと、
高出力パワーを提供するために前記光増幅器組立体(308-1...308n)の第1の光増幅器組立体の前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの1つの光増幅器をポンピングすることと、
前記高出力パワーより低い低出力パワーを提供するために前記光増幅器組立体(308-1...308n)の第2の光増幅器組立体の前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの1つの光増幅器をポンピングすることと、
前記光増幅器組立体(308-1...308n)の前記第1の光増幅器組立体の前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの前記1つの光増幅器の出力を、前記光増幅器組立体(308-1...308n)の第2の光増幅器組立体の前記第1の複数の光増幅器(314-1...314n)のうちの前記1つの光増幅器の入力に結合することと、
を含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
波長分割多重化(WDM:wavelength division multiplexing)光通信システムにおいて、単一光ファイバーが複数の光信号を搬送するために使用することができる。複数の光信号は、多重化されて多重化信号又はWDM信号を形成し、複数の信号のそれぞれは別個のチャネル上で変調される。それぞれのチャネルは、関連付けられた波長に存在することができ、その波長は、例えば、国際電気通信連合(ITU:International Telecommunications Union)によって制定されたチャネル計画に従って、規定されたチャネル間隔だけ隣接チャネルから分離される。システム上で送信することができる波長範囲は、システム帯域幅として知られている。システムは、そのシステム帯域幅を利用して、所望の変調フォーマット及びビットレートで所望の数のチャネルを搬送する。
【0002】
従来技術のWDM伝送システム100の一例は図1に示される。示すWDMシステム100は、第1の送受信機102及び第2の送受信機104、光ケーブル106、及び光増幅器108-1...108-nを備える。光ケーブル106は、少なくとも一対の光ファイバー110e、110w及びケーブル106に結合された構成要素に電力を搬送するパワー導体112を備える。
【0003】
システム100は、第1の送受信機102からファイバー110eを通じて「東」方向に第2の送受信機104まで光信号TX1、TX2、TX3を送信するのに役立ち、第2の送受信機104にて、光信号TX1、TX2、TX3は、受信信号RX1、RX2、RX3としてそれぞれ再生される。また、システム100は、第2の送受信機104からファイバー110wを通じて「西」方向に第1の送受信機102まで光信号TX4、TX5、TX6を送信するのにも役立ち、第1の送受信機102にて、光信号TX4、TX5、TX6は、受信信号RX4、RX5、RX6としてそれぞれ再生される。
【0004】
増幅器108-1...108-nのそれぞれは、ファイバー110e及び110w上のWDM信号を増幅するために、「東」方向ファイバー110eにそれぞれ結合したエルビウム添加ファイバー増幅器(EDFA:erbium doped fiber amplifier)114-1...114-n、及び、「西」方向ファイバー110wにそれぞれ結合したEDFA116-1...116-nを含む。既知であるように、EDFA等の希土類添加光増幅器は、光信号を、添加ファイバーセグメントを通して通過させ、そのセグメントを、レーザー等の別の発生源からの光によって「ポンピングする(pumping)」ことによって動作する。ポンプ源は、添加セグメントにおいて、希土類原子、例えば、EDFAの場合、エルビウム原子を励起し、希土類原子は、その後、EDFAを通過する光信号を増幅するのに役立つ。
【0005】
それぞれの増幅器108-1...108-n内で、EDFA114-1...114-n及び116-1...116-nはそれぞれ、共通の光ポンプユニット(OPU:optical pump unit)118-1...118-nによってポンピングされて、光ファイバー110e、110w上でEDFA114-1...114-n及び116-1...116-nを通過するWDM信号の増幅をもたらす。OPU118-1...118-nのそれぞれは複数のポンプを含む。概して、ポンプの出力は、組合され、その後、それぞれのOPU118-1...118-nについて2つ以上のポンプ出力を提供するために分割される。そのため、OPU118-1...118-nのそれぞれの出力における出力パワーは、OPU118-1...118-n内の複数のポンプのそれぞれによって提供されるポンプ出力の組合せ体である。有利には、OPU118-1...118-n内のポンプのうちの1つのポンプが故障する場合、OPU118-1...118-n内の他のポンプ(複数の場合もある)からのポンプパワーが、EDFA114-1...114-n及び116-1...116-nをそれぞれポンピングするためにOPU118-1...118-nの出力に依然として提供される。そのため、それぞれの増幅器108-1...108-nにおける、EDFA114-1...114-n及び116-1...116-nについての共通OPU118-1...118-nのそれぞれの使用は、それぞれの増幅器108-1...108-n内でEDFA114-1...114-n及び116-1…116-nをポンピングするためのポンプパワーの冗長性を提供する。
【0006】
OPU118aの一例は図2に示される。示すOPU118aは、3つのポンプ202、204、206、例えば、連続波レーザー、コンバイナー208、及びカプラー210を備える。第1のポンプ202及び第2のポンプ204の出力は、別個の入力としてコンバイナー208に結合される。コンバイナー208は、例えば、偏波保持コンバイナーとすることができる。コンバイナー208は、第1のポンプ202及び第2のポンプ204の出力を組合せて、コンバイナー出力を提供する。コンバイナー出力は、カプラー210に対する第1の入力として結合され、ポンプ206の出力は、カプラー210に対する第2の入力として結合される。カプラー210は、例えば、既知の50/50の4ポート型カプラーとすることができる。カプラー210は、コンバイナー出力及びポンプ206の出力を組合せ、その後、組合せた出力を、OPU118aの第1の出力及び第2の出力として2つの別個の出力経路212、214上に分割する。そのため、ポンプ202、204、206のそれぞれは、OPU118aの第1の出力及び第2の出力の両方に結合される。これは、ポンプ202、204、206のうちの1つが故障する場合に冗長性を提供する。その理由は、ポンプ202、204、206のうちの1つ以上のポンプが故障する場合、OPU118のそれぞれの出力が、残りのポンプ(複数の場合もある)202、204、206からのポンプパワーを含むからである。
【0007】
再び図1を参照すると、OPU118-1...118-n内のポンプを駆動するための電力は、ケーブル106内のパワー導体112を通してOPUに結合される。示す例において、送受信機102内のパワー供給機器(PFE:power feed equipment)120は、電力をパワー導体112に供給する。システム100を、パワー制限システムとして述べることができる。その理由は、PFE機器120がパワー導体112に送出することができる最大パワーPmaxが、パワー導体112の長さ(送受信機間の距離によって決定される)及び構成(例えば、組成、直径等)によって制限されるからである。パワー導体112に送出される総パワーをPmaxより大きい値まで増加させることは、パワー導体112及び/又はPFE120の完全性を損なう。システム100がパワー制限システムであるため、OPU118-1...118-n内のポンプを駆動するために利用可能な電力は制限され、それは、OPU118-1...118-nが提供することができる総ポンプパワーの量を制限する。
【発明の概要】
【0008】
解決されるべき問題の1つは、パワー制限システムにおいて利用可能な制限された電力が、伝送容量を増加することに対して非常な難題をもたらしていることである。例えば、マルチレベル変調技法及びコヒーレント受信機は、伝送レートを増加させ、チャネル間隔を減少させ、それにより、WDMシステム内のそれぞれのチャネルのスペクトル効率(SE:spectral efficiency)を増加させるために使用されてきた。マルチレベル変調フォーマットの使用はスペクトル効率及び伝送容量を増加させることができるが、こうしたフォーマットは信号対雑音比(SNR)の増加を必要とする場合がある。高SNRで動作することは、特に広いシステム帯域幅について、高い光チャネル出力パワー及び高い増幅器ポンプパワーを必要とする。幾つかの構成において、必要とされる高いパワーレベルを送出することは、パワー制限システムにおいて技術的に及び/又は経済的に可能でない場合がある。
【0009】
スペクトル効率を増加させることに対する別のアプローチは、空間分割多重化(SDM:spatial division multiplexing)を実装することである。SDMシステムにおいて、多次元ファイバー、例えば、マルチコア又はマルチモードファイバーを使用することができ、WDM信号を、ファイバーの次元のそれぞれ上で分離することができる。例えば、単一コアファイバー上でWDM信号を伝送する代わりに、SDMシステムにおいて、信号は、マルチコアファイバーのコアのそれぞれ又はマルチモードファイバーのモードのそれぞれ上で分離され伝送することができる。
【0010】
残念ながら、長距離SDMシステムにおいて、伝送ファイバーの次元、例えば、コアのそれぞれは増幅されなければならない。WDM信号が単一光ファイバー上で搬送され、それぞれの増幅器がファイバー上でシステム帯域幅全体を増幅する非SDMシステムと対照的に、SDMシステム内の次元のそれぞれを増幅することは、それぞれの次元について別個の光増幅器を必要とする。多次元ファイバーの次元のそれぞれをポンピングするために必要とされる光ポンプパワーは、パワー制限システムにおいて利用可能でない場合がある。
【0011】
ここで、添付の図面を参照しながら、例として、本発明が説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来技術の波長分割多重化(WDM)光伝送システムのブロック線図である。
図2】従来技術の光ポンプユニットのブロック線図である。
図3】本開示に適合する空間分割多重化(SDM)光伝送システムの一例のブロック線図である。
図4】本開示に適合する光増幅器組立体の一例のブロック線図である。
図5】本開示に適合するスプリッターの一例のブロック線図である。
図6】本開示に適合する方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、光通信システムに関し、より具体的には、空間分割多重化光通信システム及びそのための増幅器に関する。
【0014】
概して、本開示は、空間分割多重化(SDM)光通信システム及びSDMシステムのための光増幅器に関する。それぞれの光増幅器組立体は、東方向に送信される信号を増幅するための第1の光ファイバー経路に結合した第1の複数の増幅器、及び、西方向に送信される信号を増幅するための第2の光ファイバー経路に結合した第2の複数の光増幅器を含む。第1の複数の光増幅器及び第2の複数の光増幅器のそれぞれは、第1の光ファイバー経路及び第2の光ファイバー経路の異なる関連する空間次元にそれぞれ結合される。
【0015】
それぞれの光増幅器組立体は、東方向及び西方向に移動する信号の増幅をもたらすために第1の複数の光増幅器及び第2の複数の光増幅器をポンピングするために構成される単一ポンプ組立体を含む。ポンプ組立体は、冗長性を提供するために複数のポンプを含む、既知の光ポンプユニット(OPU)を含む。OPUの出力は、OPUの出力を別個の経路上に分割する1つ以上のスプリッターに結合され、別個の経路のそれぞれは、第1の複数の増幅器又は第2の複数の増幅器のうちの関連する1つの増幅器に結合されて、ポンプパワーを第1の複数の増幅器及び第2の複数の増幅器に提供する。
【0016】
ポンプ組立体におけるOPUの使用は、システムが、システムのパワー導体に送出される電力を最大許容可能パワーより小さく維持することを可能にする。そのため、本開示に適合するSDM光伝送システムは、同じ伝送距離、電力導体構成、及びパワー供給構成の場合、パワー消費を、非SDM光伝送システムのパワー消費以下に維持しながら、非SDM光伝送システムのデータ容量と比較して増加した伝送容量を提供し得る。ポンプ組立体をSDM構成で使用することができ、SDM構成において、第1及び第2の光ファイバー経路は、単一マルチコアファイバーであって、それぞれのコアに関連する増幅器を有する、単一マルチコアファイバー、単一マルチモードファイバーであって、それぞれのモードに関連する増幅器を有する、単一マルチモードファイバー、又は、単一コア、単一モードファイバーのバンドルであって、それぞれのファイバーに関連する増幅器を有する、単一コア、単一モードファイバーのバンドルである。
【0017】
本開示に適合するSDMシステム300の一例は図3に概略的に示される。示すSDMシステム300は、第1の送受信機302及び第2の送受信機304、光ケーブル306、並びに光増幅器組立体308-1...308-nを備える。光ケーブル306は少なくとも、第1の光ファイバー経路310e及び第2の光ファイバー経路310wを備える。それぞれの光ファイバー経路310e、310wは複数の次元を含む。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「次元(dimension)」は、識別可能な光データ経路を指す。例えば、単一モード及び単一コア光ファイバーは、1つの次元のみを有する。マルチコアファイバーは、それぞれのコアが関連する次元をサポートできるため、ファイバー内のコアの数に等しい数の次元を有する。マルチモードファイバー又はフューモードファイバーは、ファイバーによってサポートされるモードに等しい数の次元を有する。単一モード、単一コアファイバーのバンドルも、複数の次元を有し、複数の次元のそれぞれは、ファイバーの全く異なる1つのファイバーによってサポートされる。本開示に適合するSDMシステムは、任意のタイプの任意の数の多次元光ファイバー経路を備えることができる。
【0019】
システム300は、送受信機302から光ファイバー経路310eを通じて東方向に送受信機304まで光信号TX1、TX2、TX3を送信するのに役立ち、送受信機304にて、光信号TX1、TX2、TX3は、受信信号RX1、RX2、RX3としてそれぞれ再生される。また、システム300は、送受信機304から光ファイバー経路310wを通じて西方向に送受信機302まで光信号TX4、TX5、TX6を送信するのにも役立ち、送受信機302にて、光信号TX4、TX5、TX6は、受信信号RX4、RX5、RX6としてそれぞれ再生される。方向に関して相対的な用語「東(east)」及び「西(west)」等は、光ケーブル内の光ファイバー経路に沿う異なる方向の伝送を記述するための説明の容易さのために本明細書で使用することができる。これらの用語は、地理的方向を指すことを意図されるのではなく、代わりに、単に異なる伝送方向を示す。
【0020】
示す実施形態において、送受信機302内の空間多重化器318は、変調された光信号TX1、TX2、及びTX3を受信し、信号TX1、TX2、及びTX3を光ファイバー経路310eの別個の次元上で多重化するように構成することができる。例えば、単一マルチコアファイバーの場合、空間多重化器318は、マルチコアファイバーの別個のコア上で光信号TX1、TX2、及びTX3を提供することができ、マルチモード又はフューモードファイバーの場合、空間多重化器318は、マルチモード又はフューモードファイバーの異なるモード上で光信号TX1、TX2、及びTX3を提供するように構成することができ、単一モード、単一コアファイバーのバンドルを含む光ファイバー経路の場合、空間多重化器318は、ファイバーのバンドルの別個のファイバー上で光信号TX1、TX2、及びTX3を提供することができる。同様に、送受信機304内の空間多重化器324は、変調された光信号TX4、TX5、及びTX6を受信し、信号TX4、TX5、及びTX6を光ファイバー経路310wの別個の次元上で多重化するように構成することができる。
【0021】
光増幅器組立体308-1...308nは、光ファイバー経路310e及び310w上の信号を増幅するために光ケーブル306に結合される。信号は、空間多重分離器320、322によってそれぞれ受信されるまで、光ファイバー経路310e及び310w内を伝播し、光増幅器組立体308-1...308-nによって途中で周期的に増幅される。空間多重分離器320は、空間多重化器318によって当初適用された多重化の逆を行い、元の信号TX1、TX2、及びTX3に対応する受信信号RX1、RX2、及びRX3を提供する。空間多重分離器322は、空間多重化器324によって当初適用された多重化の逆を行い、元の信号TX4、TX5、及びTX6に対応する受信信号RX4、RX5、及びRX6を提供する。
【0022】
システム300は、例証を容易にするために、「東」方向及び「西」方向のそれぞれにおいて、3つの信号のみを送受信するものとして示される。WDMシステムが最大128以上の光チャネル上で多数の信号を送信し得ることを当業者は認識するであろう。例示的なシステム100は、5000km以上の距離にわたってチャネルを送信するために構成される長距離海底システムとすることができる。
【0023】
光ケーブル306は、光ケーブル306に結合された、光増幅器組立体308-1...308n、光アドドロップ多重化器(add-drop-multiplexers)等に電力を運ぶように設計されたパワー導体312を備える。パワー導体312の構成は、パワーがひと続きの光ケーブル306に沿って搬送されなければならない海中光伝送システムにおいて一般的であり得る。示す実施形態において、送受信機302内のパワー供給機器(PFE)120は、電力をパワー導体312に供給する。PFE120は、例証を容易にするために送受信機302内に位置するものとして示される。パワー供給機器302が送受信機302、304のいずれか一方又は両方に位置することができることを当業者は認識するであろう。
【0024】
システム300はパワー制限システムである。その理由は、PFE機器120がパワー導体312に送出することができる最大パワーPmaxが、パワー導体312の長さ(送受信機間の距離によって決定される)及び構成(例えば、組成、直径等)によって制限されるからである。パワー導体312に送出される総パワーをPmaxより大きい値まで増加させることは、パワー導体312及び/又はPFE120の完全性を損なう。PFE機器120が提供できる最大パワーPmaxは、システム300がSDMシステム(図示する)として構成されるか、非SDMシステムとして構成されるかに無関係であり、WDM信号は、図1に示すように単一コア、単一モードファイバーを通じて伝送される。
【0025】
増幅器組立体308-1...308-nのそれぞれは、「東」方向光ファイバー経路310eにそれぞれ結合された第1の複数の光増幅器314-1...314-n、及び、「西」方向光ファイバー経路310wにそれぞれ結合された第2の複数の光増幅器316-1...316-nを備える。第1の複数の光増幅器314-1...314-n及び第2の複数の光増幅器316-1...316-n内のそれぞれの光増幅器は、第1の光ファイバー経路310e及び第2の光ファイバー経路310wの異なる関連する次元にそれぞれ結合される。第1の複数の光増幅器314-1...314-n及び第2の複数の光増幅器316-1...316-n内のそれぞれの光増幅器は、1つ以上のポンプ源、例えば、任意の希土類添加増幅器、ラマン増幅器、及び/又はその組合せを必要とする任意のタイプの既知の光増幅器とすることができる。
【0026】
それぞれの増幅器組立体308-1...308-n内で、第1の複数の光増幅器314-1...314-n及び第2の複数の光増幅器316-1...316-nはそれぞれ、共通ポンプ組立体318-1...318-nによってポンピングされて、光ファイバー経路310e、310wのそれぞれの次元上で第1の複数の光増幅器314-1...314-n及び第2の複数の光増幅器316-1...316-nを通過するSDM信号の増幅をもたらす。それぞれのポンプ組立体318-1...318-nは、冗長性を提供するために複数のポンプを含む、例えば、図1及び図2に関連して述べるような、既知の光ポンプユニット(OPU)118-1...118-nを備える。それぞれのOPU118-1...118-n内のポンプの数は、第1の光ファイバー310e内の空間次元の数と第2の光ファイバー310w内の空間次元の数との和より少ない。幾つかの実施形態において、それぞれのOPU118-1...118-n内のポンプの数は、第1の光ファイバー310e又は第2の光ファイバー310w内の空間次元の数より少ない。
【0027】
それぞれのOPU118-1...118-nの出力は、OPU118-1...118-nの出力をN個の別個の経路上に分割する1つ以上のスプリッター(それぞれ複数の場合もある)330-1...330-nに結合され、N個の別個の経路のそれぞれは、第1の複数の増幅器314-1...314-n及び第2の複数の増幅器316-1...316-nにポンプパワーを提供するために第1の複数の増幅器314-1...314-n又は第2の複数の増幅器316-1...316-nのうちの関連する1つの増幅器に結合される。この構成によって、第1の複数の増幅器314-1...314-n及び第2の複数の増幅器316-1...316-n内の増幅器はそれぞれ、別個のポンプを必要としない。代わりに、OPU118-1...118-n内のポンプの数は、光ファイバー経路310e及び310wの次元に結合された全ての増幅器314-1...314-n及び316-1...316-nに依然としてポンピングしながら、システムパワー要件を最大パワーPmax以下に維持するために選択され得る。これは、非SDMシステム増幅器とSDMシステム増幅器との置換えが、非SDMシステムをSDMシステムに変換することを可能にし、それにより、最大パワーPmaxを超えてシステムパワー消費を増加させることなく、システム容量を増加させる。
【0028】
本開示に適合する光増幅器組立体318aの一例は図4に示される。この示す実施形態は、第1の光ファイバー経路310e-aのセクション及び第2の光ファイバー経路310w-aのセクションを示す。第1の光ファイバー経路310e-a及び第2の光ファイバー経路310w-aは、信号のそれぞれを搬送するために4つの次元402e-1...402e-4及び402w-1...402w-4をそれぞれ有する。次元402e-1...402e-4及び402w-1...402w-4は、マルチコアファイバーの異なるコア、マルチモード又はフューモードファイバーの異なるモード、単一モード、単一コアファイバーのバンドル内の異なるファイバー、又はその組合せによって確立することができる。示す実施形態は、それぞれが4つのコアを有するファイバー経路310e-a及び310w-aを含むが、本開示に適合するシステム及び方法が任意の数の次元を有するファイバー経路によって動作することができることを当業者は認識するであろう。同様に、ファイバー経路は、同じ数の次元を有する必要はない。
【0029】
光増幅器組立体308aは、第1の複数の光増幅器314a、第2の複数の光増幅器316a、及びポンプ組立体318aを備える。第1の複数の光増幅器314aは、4つのEDFA404-1...404-4を備え、EDFA404-1...404-4のそれぞれは、光ファイバー経路310e-aの4つの次元402e-1...402e-4のうちの異なる関連する1つの次元に結合される。第2の複数の光増幅器316aは、4つのEDFA406-1...406-4を備え、EDFA406-1...406-4のそれぞれは、光ファイバー経路310w-aの4つの次元402w-1...402w-4のうちの異なる関連する1つの次元に結合される。
【0030】
ポンプ組立体318aは、既知のOPU118並びに第1の1×4スプリッター330a及び第2の1×4スプリッター330bを備える。OPU118は、例えば図1及び図2に関連して示し述べるように、冗長性を提供するために、2つの別個のポンプ出力を提供し、別個の出力に結合された複数のポンプを備える。OPU118のそれぞれの出力は、1×4スプリッター330a、330bのうちの異なる1つの1×4スプリッターに結合される。1×4スプリッター330a、330bはそれぞれ、それにより4つの別個の出力経路上で受信されるOPU118出力を分割するために既知の構成をとることができる。スプリッター330aの出力における4つの別個の経路のそれぞれは、ポンプパワーをEDFA404-1...404-4に提供するためにEDFA404-1...404-4のうちの関連する1つのEDFAに結合される。スプリッター330bの出力における4つの別個の経路のそれぞれは、ポンプパワーをEDFA406-1...406-4に提供するためにEDFA406-1...406-4のうちの関連する1つのEDFAに結合される。
【0031】
この構成によって、OPU118は、第1の光ファイバー経路310e-a及び第2の光ファイバー経路310w-aに結合されたEDFA404-1...404-4及び406-1...406-4をポンピングして、第1の光ファイバー経路310e-a及び第2の光ファイバー経路310w-a内の次元の数(正:the number of dimensions)の和(すなわち、示す例では8)より少ない数のポンプをOPU118内で使用して、次元402e-1...402e-4及び402w-1...402w-4上で伝播する信号を増幅し得る。OPU118が、例えば図2に示すように3つのポンプを備えるように構成される場合、OPU118は、第1の光ファイバー経路310e-a又は第2の光ファイバー経路310w-a内の次元の数(すなわち、示す例では4)より少ない数(3)のポンプをOPU118内で使用して、第1の光ファイバー経路310e-a内の4つの次元のそれぞれに関連するEDFA404-1...404-4及び第2の光ファイバー経路310w-a内の4つの次元のそれぞれに関連するEDFA406-1...406-4をポンピングし得る。
【0032】
再び図3を参照すると、本開示に適合するポンプ組立体318内のスプリッター(複数の場合もある)330が、システム要件及び制約に応じて種々の方法で構成することができることを当業者は認識するであろう。例えば、本開示に適合する実施形態において、光ファイバー経路310e及び/又は310wの異なる次元は、異なる変調フォーマットに従って変調された信号を搬送することができる。或る次元は、例えば、直交位相シフトキーイング(QPSK:quadrature phase shift keying)フォーマットに従って変調された信号を搬送することができ、一方、他の次元は、たとえ同じ光ファイバー経路においても、直交振幅変調(QAM:quadrature amplitude modulation)変調フォーマットに従って変調された信号を搬送する。異なる次元上で異なる変調フォーマットについて同じ伝播距離を達成するために、次元に結合された増幅器に異なるポンプパワーを提供する(正:provide)ことが必要である場合がある。本開示に適合する実施形態において、スプリッター330は、異なる変調フォーマットで信号を搬送する次元に結合された増幅器に、必要とされる異なるポンプパワーを提供するように構成することができる。
【0033】
本開示に適合する光ポンプ組立体318内のスプリッター330は、カプラーカスケードとして構成することができる。カプラーカスケードを含むスプリッターの一例502は図5に示される。示す実施形態502は、第1の1×2カプラー504、第2の1×2カプラー506、及び第3の1×2カプラー508を備える1×4スプリッターである。スプリッター502に対する入力は第1のカプラー504に結合され、第1のカプラー504の出力は第2のカプラー506及び第3のカプラー508に結合される。第2のカプラー506及び第3のカプラー508の出力はスプリッター502の出力として設けられる。
【0034】
カプラー504、506、508の分割比は、スプリッター502の出力の所望のパワー分配比を提供するために選択することができる。スプリッター502の4つの出力の間における名目上等しい分配を提供するために、カプラー504、506、508のそれぞれの分割比は50/50とすることができる。カプラー504、506、508についての50/50以外の分割比の使用は、例えば、異なる次元が異なる変調フォーマットで信号を搬送する一実施形態において、異なるポンプパワーで異なる次元をポンピングするためにスプリッター502の4つの出力の間の不等のパワー分配をもたらすことになる。
【0035】
実際には、本開示に適合するスプリッター、例えば、スプリッター502内のカプラーの分割比は、名目上の分割比に等しくなく、スプリッターがその出力の間で不等のパワー分配を提供することをもたらす場合がある。結果として、第1の複数の増幅器314-1...314-n及び第2の複数の増幅器316-1...316-n内の増幅器は、わずかに異なる利得及び傾斜特性を示すことになる。これらの利得偏差を平均化して取去るために、第1の複数の増幅器314-1...314-n及び第2の複数の増幅器316-1...316-n内の増幅器は、一定利得制御下で又は傾斜制御によってではなく、一定ポンプ電流又は一定パワー制御又は一定信号パワー制御下で動作することができる。これらの利得偏差の更なる調整が所望される場合、スプリッター出力を第1の複数の増幅器314-1...314-n及び第2の複数の増幅器316-1...316-n内のそれぞれの増幅器に接続するときのオフセットスプライスを使用して調整を達成することができるため、スプリッターと増幅器との間の損失が調整される。
【0036】
付加的に又は代替的に、1つの光増幅器組立体308-1...308-nの出力は、後続の、例えば、次に隣接する光増幅器組立体308-1...308-nの相補的入力に整合され得る。例えば、光増幅器組立体308-1...308-nの第1の光増幅器組立体の第1の複数の増幅器314-1...314-nのうちの1つの増幅器は、高出力パワーを提供するために、その関連する光ポンプ組立体318-1...318-nによってポンピングすることができる。その増幅器の出力は、光増幅器組立体308-1...308-nの第2の光増幅器組立体の第1の複数の増幅器314-1...314-nのうちの1つの増幅器であって、その関連する光ポンプ組立体318-1...318-nによってポンピングされる、1つの増幅器の入力に第1の光経路310eによって結合されて、高出力パワーより低い低出力パワーを提供し、それにより、総合性能を平均化するのを支援することができる。
【0037】
図6は、本開示に適合する方法600を示すフローチャートである。動作602は、第1の複数の次元を有する第1の光ファイバー経路上で第1の方向に第1の空間分割多重化(SDM)信号を送信することを含み、動作604は、第2の複数の次元を有する第2の光ファイバー経路上で第2の方向に第2のSDM信号を送信することを含む。第1の複数の光増幅器であって、第1の複数の光増幅器のそれぞれが、第1の光ファイバー経路の第1の複数の次元のうちの関連する次元に結合されて、第1の複数の次元のうちの関連する次元を増幅するように構成される、第1の複数の光増幅器と、第2の複数の光増幅器であって、第2の複数の光増幅器のそれぞれが、第2の光ファイバー経路の第2の複数の次元のうちの関連する次元に結合されて、第2の複数の次元のうちの関連する次元を増幅するように構成される、第2の複数の光増幅器とを備える少なくとも1つの光増幅器組立体が設けられる(606)。動作608は、複数のポンプ源を含む単一ポンプユニットを使用して第1の複数の光増幅器及び第2の複数の光増幅器をポンピングすることを含み、複数のポンプ源は、第1の複数の次元及び第2の複数の次元の数の和より少ない数のポンプ源を備える。
【0038】
図6は、例示的な実施形態による種々の動作を示すが、本開示の他の実施形態において、図6に示す動作及び/又は本明細書で述べる他の動作を、図面のいずれかに具体的に示されないが、本開示に依然として完全に適合する方法で組合すことができることが本明細書で完全に企図される。したがって、1つの図面において正確に示されない特徴及び/又は動作を対象とする特許請求項は、本開示の範囲及び内容内にあると見なされる。
【0039】
したがって、一態様によれば、光通信システムが提供され、光通信システムは、第1の複数の次元を有する第1の光ファイバー経路であって、第1の空間分割多重化(SDM)信号を第1の方向に搬送するように構成される、第1の光ファイバー経路と、第2の複数の次元を有する第2の光ファイバー経路であって、第2のSDM信号を第2の方向に搬送するように構成される、第2の光ファイバー経路と、第1のSDM信号及び第2のSDM信号を増幅するために構成される少なくとも1つの光増幅器組立体とを備える。光増幅器組立体は、第1の複数の光増幅器であって、第1の複数の光増幅器のそれぞれは、第1の光ファイバー経路の第1の複数の次元のうちの関連する次元に、第1の複数の次元のうちの関連する次元を増幅するために結合される、第1の複数の光増幅器と、第2の複数の光増幅器であって、第2の複数の光増幅器のそれぞれは、第2の光ファイバー経路の第2の複数の次元のうちの関連する次元に、第2の複数の次元のうちの関連する次元を増幅するために結合される、第2の複数の光増幅器と、第1の複数の光増幅器及び第2の複数の光増幅器をポンピングするために構成される光ポンプ組立体とを備える。光ポンプ組立体は、少なくとも第1のポンプ出力及び第2のポンプ出力を提供するように構成される複数のポンプ源を備える光ポンプユニットであって、複数のポンプ源のそれぞれは、第1のポンプ出力及び第2のポンプ出力の両方に結合されて、第1のポンプ源及び第2のポンプ源のうちの1つのポンプ源が故障する場合に冗長性を提供し、複数のポンプ源は、第1の複数の次元及び第2の複数の次元の数の和より少ない数のポンプ源を備える、光ポンプユニットと、第1のポンプ出力を第1の複数の光増幅器のそれぞれに分割するように構成される第1のスプリッターと、第2のポンプ出力を第2の複数の光増幅器のそれぞれに分割するように構成される第2のスプリッターとを備える。
【0040】
別の態様によれば、空間分割多重化(SDM)光通信システムのための光増幅器組立体が提供され、空間分割多重化(SDM)光通信システムは、第1の複数の次元を有する第1の光ファイバー経路であって、第1のSDM信号を第1の方向に搬送するように構成される、第1の光ファイバー経路と、第2の複数の次元を有する第2の光ファイバー経路であって、第2のSDM信号を第2の方向に搬送するように構成される、第2の光ファイバー経路とを備える。光増幅器組立体は、第1の複数の光増幅器であって、第1の複数の光増幅器のそれぞれが、第1の光ファイバー経路の第1の複数の次元のうちの関連する次元に結合されて、第1の複数の次元のうちの関連する次元を増幅するように構成される、第1の複数の光増幅器と、第2の複数の光増幅器であって、第2の複数の光増幅器のそれぞれが、第2の光ファイバー経路の第2の複数の次元のうちの関連する次元に結合されて、第2の複数の次元のうちの関連する次元を増幅するように構成される、第2の複数の光増幅器と、第1の複数の光増幅器及び第2の複数の光増幅器をポンピングするために構成される光ポンプ組立体とを備える。光ポンプ組立体は、少なくとも第1のポンプ出力及び第2のポンプ出力を提供するように構成される複数のポンプ源を備える光ポンプユニットであって、複数のポンプ源のそれぞれが、第1のポンプ出力及び第2のポンプ出力の両方に結合されて、第1のポンプ源及び第2のポンプ源のうちの1つのポンプ源が故障する場合に冗長性を提供し、複数のポンプ源が、第1の複数の次元及び第2の複数の次元の数の和より少ない数のポンプ源を備える、光ポンプユニットと、第1のポンプ出力を第1の複数の光増幅器のそれぞれに分割するように構成される第1のスプリッターと、第2のポンプ出力を第2の複数の光増幅器のそれぞれに分割するように構成される第2のスプリッターとを備える。
【0041】
別の態様によれば、第1の複数の次元を有する第1の光ファイバー経路上で第1の方向に第1の空間分割多重化(SDM)信号を送信することと、第2の複数の次元を有する第2の光ファイバー経路上で第2の方向に第2のSDM信号を送信することと、第1の複数の光増幅器であって、第1の複数の光増幅器のそれぞれは、第1の光ファイバー経路の第1の複数の次元のうちの関連する次元に結合されて、第1の複数の次元のうちの関連する次元を増幅するように構成される、第1の複数の光増幅器と、第2の複数の光増幅器であって、第2の複数の光増幅器のそれぞれは、第2の光ファイバー経路の第2の複数の次元のうちの関連する次元に結合されて、第2の複数の次元のうちの関連する次元を増幅するように構成される、第2の複数の光増幅器とを備える少なくとも1つの光増幅器組立体を設けることと、複数のポンプ源を備える単一ポンプユニットを使用して第1の複数の光増幅器及び第2の複数の光増幅器をポンピングすることとを含み、複数のポンプ源は、第1の複数の次元及び第2の複数の次元の数の和より少ない数のポンプ源を備える、方法が提供される。
【0042】
「結合される/結合された(coupled)」という用語は、本明細書において用いられるとき、1つのシステム要素によって搬送される信号が「結合された」要素に与えられる任意の接続、結合、リンク又は同様のものを指す。そのような「結合された」デバイス、又は信号及びデバイスは、必ずしも互いに直接接続されておらず、そのような信号を操作又は変更することができる中間構成要素又は中間デバイスによって分離されている場合がある。同様に、「接続される/接続された(connected)」又は「結合される/結合された」という用語は、機械的接続若しくは物理的接続又は機械的結合若しくは物理的結合に関して本明細書において用いられるとき、相対語であり、直接の物理的接続を必要としない。
【0043】
本明細書において用いられるとき、「名目的な」又は「名目的に」という用語の使用は、或る量を指すときに、実際の量とは異なる場合がある指定量又は理論量を意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6