(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】骨プレート内部固定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/80 20060101AFI20230116BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
A61B17/80
A61B17/86
(21)【出願番号】P 2019536528
(86)(22)【出願日】2018-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2018051237
(87)【国際公開番号】W WO2018134319
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】102017000006369
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516023685
【氏名又は名称】オーソフィックス エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヴェントゥリーニ,ダニエーレ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセンツィ,フェデリコ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0004691(US,A1)
【文献】特表2011-500166(JP,A)
【文献】特表2009-511122(JP,A)
【文献】特開2008-080125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56 - 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の保持要素を有し、前記保持要素の各々は、骨へのそれぞれの固定スクリューを受け入れるための貫通孔をそれぞれ有する、骨端固定のための骨プレート内部固定装置であって、前記骨プレート内部固定装置は、狭窄することなく横長形状を伴って平坦であるとともに前記保持要素を互いに構造的に接続する中央部分
であって、前記中央部分の端部が前記保持要素によって拘束される、中央部分をさらに有し、前記中央部分は、
前記骨プレート内部固定装置の屈曲及び角度の開きを可能にするように可撓性であり、各前記貫通孔は、それぞれの前記固定スクリューの対応する表面と
前記保持要素の各々を結合するように適合されたねじ山付き表面を有し、前記中央部分は、
前記固定スクリューが角度を付け、骨成長中に生じる角度の変動をサポート
することをさらに可能にするように可撓性であり、前記保持要素及び前記中央部分は、
複合構造として提供され、前記複合構造は少なくとも2つの異なる材料で作られる又は少なくとも2つの材料構成を含み、前記複合構造は、可撓性の前記中央部分を提供するように前記保持要素の周囲に対して接線方向に配置される部材を備えて提供される、
骨プレート内部固定装置。
【請求項2】
前記ねじ山付き表面は、それぞれの前記固定スクリューで前記保持要素の各々を結合するように構成され、前記中央部分においてのみ可撓性である骨プレートを提供する、
請求項1に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項3】
前記貫通孔は円筒形であり、前記ねじ山付き表面は、円筒形の前記貫通孔の内側側面である、
請求項1又は2に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項4】
前記複合構造の前記中央部分は、可撓性プラスチック材料で作られた少なくとも1つのブリッジ要素を有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項5】
前記複合構造の前記中央部分は、可撓性プラスチック材料で作られ且つ前記骨プレート内部固定装置の長手方向軸に対して対称に配置された、1対のブリッジ要素を有する、
請求項4に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項6】
前記複合構造の前記保持要素のそれぞれの周縁部分が、前記少なくとも1つブリッジ要素とともに1ピースに作られた可撓性プラスチック材料で作られ、金属材料の一対の環状要素をさらに有し、前記環状要素のそれぞれは、前記周縁部分のそれぞれの1つに結合され、前記環状要素のそれぞれは、前記ねじ山付き表面を有する、
請求項4に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項7】
前記複合構造の前記中央部分は、複数の弾性要素を有し、前記弾性要素は、
前記複合構造の前記保持要素のそれぞれと各自身の末端で拘束される少なくとも1対の金属ワイヤ又はケーブルを有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項8】
前記弾性要素は、前記骨プレート内部固定装置の長手方向軸に対して対称に配置される、
請求項7に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項9】
前記骨プレート内部固定装置は平坦であり、
前記複合構造の前記中央部分は前記保持要素の底面に対して高くされ、前記底面は前記固定スクリューのステムに向かって面するように構成され、前記の高くされた中央部分は骨端への圧力を制限するように構成される、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項10】
前記複合構造の前記中央部分は、前記骨プレート内部固定装置の一時的な固定のためのガイドワイヤの通過を可能にするように構成された、中央貫通孔をさらに有する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項11】
前記ねじ山付き表面は、二条ねじ山を有する、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項12】
前記保持要素の少なくとも一部及び前記中央部分は、
前記複合構造を形成するように組み立てられる、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の骨プレート内部固定装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の骨プレート内部固定装置を有する骨端固定キットであって、骨への少なくとも2つの固定スクリューをさらに有し、前記2つの固定スクリューの各々は、それ自身の外面にねじ山を付けられたヘッドを有し、前記ヘッドは、それぞれの前記貫通孔の前記ねじ山付き表面と結合するように構成される、
骨端固定キット。
【請求項14】
前記固定スクリューは、それぞれの前記貫通孔の前記ねじ山付き表面のピッチより大きいピッチを有するそれぞれのねじ山付きステムをそれぞれ有する、
請求項13に記載の骨端固定キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に小児期の患者に対する、矯正手段として使用されることになる内部固定装置(internal fixator device)に関する。このような内部固定装置は、骨固定スクリューを受け入れるために少なくとも一対の貫通孔が得られる骨プレートを有するタイプのものである。
【0002】
本発明は、特に、しかし非排他的に、成長プレートの自然な成長を制限することにより、自然な成長をブロックするか、または肢軸偏位(limb axis deviation)を補正するために使用される、骨端固定術(epiphysiodesis surgery)を意図する骨プレート内部固定装置に関する。
【0003】
本発明は、小児整形外科部門において、例えば、小児患者の変形した長骨の末端における骨端固定術のために、有用に適用することができる。従って、以下の説明は、当該セクターの範囲内での非限定的な使用を参照して行われる。
【背景技術】
【0004】
骨端固定術の既知の技術は、長手方向に配置されたスクリュー、ステープル、または骨プレートのような装置の骨への挿入を通して、成長プレートの発達(development)を制限する。
【0005】
骨端固定に用いられる技術のうち、成長プレートを骨プレートを用いてブロックすることが広く行われている。
【0006】
このような骨プレートは、骨端(epiphysis)と骨変形の凸部で骨幹端(metaphysis)とにそれぞれ固定する固定スクリューによって骨に適用される。骨プレートの骨幹端部分及び骨端部分の両方は、前記固定スクリューの1つを受け入れるように構成された少なくとも1つの貫通孔を有する。
【0007】
本発明の特定の分野では、上述の骨プレートの患者の忍容性(tolerability)に関する問題が知られている。
【0008】
実際、骨プレートの固定スクリューが成長プレートの上下に配置される場合、それらは、骨プレートの拘束(constraint)及び成長の間に起こる変動に起因する湾曲(curve)に適合しなければならない。
【0009】
従って、成長プレートの過剰な圧縮を回避し、骨端軟骨(physis)と骨の自然な成長プロセスを注意深くガイドするために、互いに分岐しやすい固定スクリューによって骨に拘束される特定の骨プレートが知られている。
【0010】
特許文献1に開示された1つの解決策は、骨変形の角度補正のためのプレート固定装置に関するものであり、プレート内に横方向に配置された回転可能なヒンジを有して、成長中に生じる湾曲変動をサポートするように、固定スクリューの負荷の影響下でプレートの相対回転を可能にする。
【0011】
しかし、特許文献1から知られる解決策は、軟組織でほとんど覆われていない領域において特に骨プレートの忍容性を低下させ得るヒンジの存在に起因する大きな障害(encumbrance)を構成する。さらに、特許文献1から知られる解決策はさらに、既知の外科的技術による、骨プレートの一時的な固定のためのキルシュナー(Kirschner)ワイヤの使用のために、成長プレート上に適切なセンタリング基準を有することを許容しない。
【0012】
特許文献2に開示されている1つのさらなる解決策は、骨成長を制御するための、特に骨の変形を矯正するためのプレート固定装置に言及し、この装置は、骨プレートで得られた適切な孔に挿入される2つの固定スクリューを有している。
【0013】
特許文献2に開示された一例において、各固定スクリューのヘッドは、プレート内に得られる細長いシート内で適切に回転し、それによって固定スクリューが角度を付ける(angulate)ことを可能にする球形プロファイルを有する。スクリューステムの回転を可能にするために、スクリューがねじ締め操作中にそれを通じてスクリューが操作される係合部も含むスクリューのヘッドの球形プロファイルを必要とする。従って、この既知の例では、スクリューヘッド及び概して骨プレートは、特に軟組織でほとんど覆われていない領域において、骨プレートの許容性を低下させ得る高さに関して大きな障害である。
【0014】
特許文献2に記載されるさらなる例では、固定スクリューが骨セクション(bone sections)の動きに従って動くことができるように、骨プレート孔間の中央接続部を可撓性にすることが提供される。特許文献2から公知の可撓性接続部の例は、可撓性材料で作られたプレートの中間部分、開口部を取り囲む剛性(rigid)材料を持つ布で作られた1つのプレート、またはプレートの代わりに固定スクリューを取り囲む可撓性バンドを使用して、最終的には、その中間に圧着を提供する。
【0015】
当技術分野で公知のインプラントは、患者の骨プレートの忍容性を部分的に改善し、固定スクリューが成長中に生じる変動をサポートすることができるように、プレート端部の相対的回転を可能にするが、それらは幾つかの限界を有する。
【0016】
まず、骨プレートの過度の可撓性は、それを所望の位置に固定する際に問題を引き起こすことがある。
【0017】
さらに、たとえそれらが骨セクションの動きに従ったとしても、可撓性骨プレートは、いかなる場合においても、特に高さに関して、軟組織における炎症プロセスのバースト(burst of an inflammatory process)を促進するために、そのような障害であり得る。
【0018】
加えて、可撓性骨プレートは壊れやす過ぎ、骨の成長によって引き起こされる応力を受けるとき壊れるリスクがある。
【0019】
また、既知の技術によって採用された可撓性骨プレートの形状は、成長プレートの押し潰れ(crushing)につながることがあり、従って、インプラントの忍容性をさらに低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】米国特許第8029,507号
【文献】米国特許出願公開第2004/0111089号
【発明の概要】
【0021】
本発明の目的は、先行技術の問題を解決することである。
【0022】
本発明の一つの特定の目的は、骨に最適に固定することができる骨プレートインプラントを提供することである。
【0023】
本発明の一つのさらなる特定の目的は、軟組織によってほとんど覆われていない解剖学的領域に適用される場合であっても、患者により良好に忍容される骨プレートインプラントを提供することである。
【0024】
本発明の一つのさらなる特定の目的は、頑強で骨端固定応用に適した骨プレートインプラントを提供することである。
【0025】
本発明の一つのさらなる特定の目的は、成長プレートと干渉しない骨プレートインプラントを提示することである。
【0026】
本発明の基礎をなす解決策の一つのアイデアは、骨端固定のための骨プレート内部固定装置を提供することであり、この装置は、一対の保持要素を有し、保持要素の各々は、骨へのそれぞれの固定スクリューを受け入れるための貫通孔をそれぞれ有する。骨プレート内部固定装置は、さらに、保持要素を互いに構造的に接続し且つ拘束する中央部分を有し、中央部分は、骨プレートの屈曲を可能にするように可撓性である。貫通孔の各々は、それぞれの固定スクリューの対応する表面と結合するように適合されたねじ山付き表面を有する。保持要素及び中央部分は、複合構造として提供される。
【0027】
有利には、貫通孔のねじ山付き表面は、固定スクリューとの改善された結合を実現し、それにより、骨にさらに精密に埋め込まれると同時に、構造的により安定なアセンブリを実現することができる。
【0028】
さらに、貫通孔のねじ山付き表面の存在は、固定スクリューのヘッドと骨プレートとの間の結合を、高さに関して障害が少なく、突出部分がない状態で実現することを可能にし、従って、軟組織でほとんど覆われていない解剖学的領域にインプラントが適用される場合、特に、より高い忍容性をもたらす。
【0029】
また、可撓性の中央部分は、骨プレートの広い範囲の角度の開き(angular opening)を可能にするが、骨端固定術の進展の間に、固定スクリューは、屈曲角を包含する面に対して常に同一平面上に留まり、各固定スクリューの軸は、各保持要素に対して実質的に垂直に留まる。
【0030】
また、ねじ山付き表面孔を持つ内部固定装置の構造は、一般に、より頑強であり、従って、骨端固定応用に適しており、プレートは関連する応力さえも受ける。
【0031】
さらに、忍容性を改善するために、内部固定装置は、好ましくは、保持要素の底面に対して高くされた中央部分によって特徴付けられ、それにより、骨端(bone physis)への圧力を制限し、成長プレートの横方向の押し潰れ(lateral crushing)を回避する。
【0032】
本発明の骨プレート内部固定装置のさらなる特徴及び利点は、例示的且つ非限定的実施形態の以下説明からより明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本説明は、添付の図面に言及する。
【0034】
【
図1】本発明による骨プレート内部固定装置の一実施形態の斜視概略図を示す。
【
図2】
図1の固定器具の分解構成における、異なる視点からの斜視概略図を示す。
【
図3】本発明による骨プレート内部固定装置のための1つの固定スクリューの斜視概略図を示す。
【
図4】
図3の一対の固定スクリュー及び
図1の骨プレート内部固定装置を有するインプラントの側面図を示す。
【
図5】本発明による骨プレート内部固定装置の第2実施形態の斜視概略図を示す。
【
図6】下から見た
図5の固定装置の斜視概略図を示す。
【
図7】本発明による骨プレート内部固定装置の第3実施形態の斜視概略図を示す。
【
図8】部分的に分解された構成における
図7の固定装置を示す。
【
図9】下から見た
図7の固定装置の斜視概略図を示す。
【0035】
異なる図において、類似の要素は類似の参照番号によって示されている。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1の例を参照すると、骨プレート内部固定装置101の第1の実施形態が概略的に示されている。
【0037】
本発明による固定装置は、整形外科用骨端固定術、すなわち、特に小児及び/または青年期の患者に対する、長管骨奇形の、このような骨の骨端を横切る固定装置の適用による治療に特に適しているが、これらに限定されない。
【0038】
内部固定装置101は、1つの第1の保持要素102及び1つの第2の保持要素103を有し、これらの保持要素は貫通孔104及び105をそれぞれ有し、これらの貫通孔は、固定装置が骨に埋め込まれるとき1つのそれぞれの固定スクリューを受け入れるように構成される。
【0039】
保持要素102及び103は、好ましくは、剛性(rigid)且つ生体適合性材料(例えば、チタン)で構成され、均一な厚さを持つ実質的に円形の形状を有する。
【0040】
保持要素102及び103は、保持要素102及び103を互いに拘束する中央部分106によって構造的に相互接続され、骨プレート構造を実現する。
【0041】
保持要素102及び103、並びに中央部分106は、複合構造として提供される。
【0042】
「複合構造」とは、少なくとも2つの異なる材料で作られる、又は少なくとも2つの異なる材料構成(すなわち、固体金属及び編組金属)を含み、異なる機械的特性を示す構造である。
【0043】
換言すれば、本発明による内部固定装置の保持要素及び中央部分は、少なくとも部分的に、異なるか又は異なって構成された2つの材料で作られる。
【0044】
一般に、保持要素及び中央部分の少なくとも一部は、元来、内部固定装置の独立した構成要素として提供される。このような独立した構成要素は、内部固定装置の製造中に複合構造を形成するように接続される。
【0045】
中央部分106は、保持要素102と103との間の相対的な屈曲、すなわち骨プレートの屈曲を可能にするように可撓性である。同時に、中央部分106は、引張‐屈曲フェーズの間、骨プレートの構造的完全性を保証する引張強さを有する。
【0046】
骨プレートの屈曲は、保持要素102及び103の個々の平面の相対回転に対応し、その結果、骨成長中に生じる角度の変動をサポートように固定スクリューが角度を形成できるように適合され、骨端固定術におけるインプラントの改善された忍容性を提供する。
【0047】
特に、可撓性中央部分106は、内部固定装置101の保持要素102及び103の広い範囲の角度の開きを可能にする。この方法では、骨端固定術における骨成長中に、内部固定装置101によって許容される角度の変動をさらに改善することができる。
【0048】
中央部分106は、好ましくは、中央部分が成長プレートを正確に横切るような方法で、埋め込み中に骨プレートをセンタリングするためのKirschnerワイを使用するためにワイヤガイド(図示せず)の挿入を可能にするように構成された1つの貫通孔107を有する。
【0049】
保持要素102及び103を検討する場合、それらの各々は、貫通孔104及び105の内側にそれぞれ実現された1つのそれぞれのねじ山付き表面108及び109を有する。
【0050】
特に、好ましくは、貫通孔104及び105は、実質的に円筒形であり、ねじ山付き表面108及び109は、円筒形孔の内側側面である。換言すれば、貫通孔104及び105は、ほぼ互いに等しい入口直径及び出口直径と同軸に伸びるねじ山付き円筒孔を含む。
【0051】
さらに説明するように、このようなねじ山付き表面108及び109は、インプラント構造を実現するために、それぞれの固定スクリューの対応するねじ山付き表面と結合するように構成される。
【0052】
特に、貫通孔104及び105、ねじ山付き表面108及び109は、固定スクリューが常に屈曲角を包含する面に対して同一平面上に留まり、各固定スクリューの軸が各保持要素102または103に対して実質的に垂直に留まるように構成される。
【0053】
図2では、固定装置101は、可撓性中央部分106の特定の実施形態を理解するように、分解された構成で見える。
【0054】
この実施形態では、可撓性中央部分は、保持要素102及び103を拘束するように互いの間に対に配置された4つの弾性要素201a、201b、202a、202bを有する。他の可能な実施形態では、異なる数の弾性要素、例えば、1つの単一の対が提供されることができる。
【0055】
弾性要素201a、201b、202a、202bは、保持要素102及び103の1つのそれぞれに各々の端部で拘束される金属ワイヤまたはケーブルを有する。
【0056】
金属ワイヤまたはケーブルの数、それらのサイズ及び構造は、骨プレートに望ましい曲げ弾性及び引張強さに従って較正することができる。
【0057】
保持要素内のワイヤの拘束またはブロッキングは、溶接、塑性変形(クリンピング)、または他の機械的拘束によって得ることができる。特に、保持要素における拘束は、保持要素102及び103において接線方向に実現される適切な孔203の内部に金属ワイヤまたはケーブルを通すことによって生じる。
【0058】
一般に、用語「ワイヤ」は、任意の断面であるが好ましくは円形の細長いワイヤ様要素を意味し、このような「ワイヤ」は、均一且つ固体の材料またはストランド若しくは他の複合構成に配置された材料で作ることができる。
【0059】
一般に、「ケーブル」という用語は、好ましくは円形の断面を有し、均一な材料またはストランドとして配置された材料、特に金属材料または非金属材料で作られた細長いワイヤ様要素を意味する。
【0060】
好ましくは、弾性要素201a、201b、202a、202bは、固定装置101の長手方向軸、すなわち、孔104及び105の中心を理想的に接続する長手方向軸に対して対称に構成される。
【0061】
従って、弾性要素201a、201b、202a、202bは、既に説明した可撓性中央部分106の1つの特定の実施形態を表す。
【0062】
図3は、本発明による骨プレート内部固定装置で使用するために特に構成された、固定スクリュー301の一実施形態を示す。
【0063】
固定スクリュー301は、剛性で生体適合性の材料(例えば、チタン)から構成されることが好ましい。
【0064】
固定スクリュー301は、好ましくは三角形プロファイルのねじ山を含むねじ山付きステム302を有する。固定スクリュー301は、好ましくはセルフタッピングタイプの先端303をさらに有する。固定スクリュー301は、ヘッド304をさらに有し、ヘッド304は、その外部円筒面上にねじ山を備える。ヘッド304は、適切な把持手段(grasping means)305、例えば固定スクリュー301を骨にねじ込むための六角穴を備える。
【0065】
ヘッドねじ山304は、インプラント構造を実現するために、対応してねじ山が設けられた内部固定装置のねじ山付き表面108及び109と結合するように構成されている。
【0066】
好ましくは、ねじ山付き表面108及び109、従って対応するヘッドねじ山304も、二条(two-starts)ねじ山を提供し、インプラント適用中のねじ締めを単純化し、ステム302上のねじ山のピッチに等しい前進を可能にする。
【0067】
好ましくは、固定スクリュー301のステム302のねじ山は、表面108及び109のねじ山ピッチとは異なるねじ山ピッチを有し、これは、さらにインプラントの適用を単純化するのに寄与する。特に、ステム302のねじ山は、ヘッドねじ山304が骨プレートのねじ山108または109と係合するとき、終わりのねじ締め部分における適切な前進及びより正確な適用を可能にするために、ねじ山ピッチ304と比べて2倍のピッチを有する。
【0068】
図4には、本発明による骨端固定用インプラント、すなわち、一対の固定スクリュー301及び骨プレート内部固定装置101を有する組み立てられたキットが示されている。固定スクリューは、ヘッド304のねじ山を介して、保持要素102及び103の貫通孔104及び105内のそれぞれのねじ山108及び109に適用される。
【0069】
したがって、固定スクリュー301によって、保持要素102及び103は、それぞれ、組み立てスクリューを介して、小児期患者の長骨の骨端及び骨幹端、例えば、固定装置101の適用によって矯正されることになる角度変形を有する骨に固定されるように構成される。
【0070】
可撓性である中央部分106は、スクリュー301のステムが角度をつけることを可能にし、骨成長の様々なフェーズにおいてさえ、患者によって良好に忍容される。
【0071】
上述したように、骨プレート内部固定装置101は、固定スクリュー301の各々が常にそれぞれの保持要素102または103に対する平面に対して同一平面上に留まるように構成され、これにより内部固定装置101への望ましくない応力を回避し、インプラントの忍容性を改善する。
【0072】
したがって、保持要素102及び103のねじ山付き表面108及び109は、保持要素102及び103の各々をそれぞれの固定スクリュー301で固く拘束するように構成され、これにより、中央部分106においてのみ可撓性である骨プレートアセンブリを実現する。
【0073】
固定スクリュー301のヘッドと保持要素102、103との間のねじ結合は、改善された拘束を得ることを可能にし、その結果、内部固定装置101は、より高い精度で埋め込まれることができ、構造的により安定である。
【0074】
図4で理解されるように、保持要素102及び103の貫通孔のねじ山付き表面の存在は、突出部分なしに、高さに関して障害が小さい固定スクリュー301のヘッドと骨プレート101との間の結合を可能にする。実際、本発明によれば、固定スクリュー301が保持要素の底部ヘッド表面に「当接」する必要はないが、スクリューヘッド及び貫通孔のそれぞれのねじ山が互いに係合し、安定したアセンブリを実現すれば十分である。
【0075】
従って、本発明による内部固定装置は、特に、インプラントが軟組織によってほとんど覆われていない解剖学的領域に適用される場合、より高く忍容できる(more tolerable)。
【0076】
さらに、ねじ山付き表面孔を持つ内部固定装置101の構造は、一般に、より頑強であり、骨端固定応用における応力に耐えるように適合される。
【0077】
図4で理解されるように、忍容性を改善するために、内部固定装置は、保持要素102及び103の底面401に対して高くされた(raised)隆起する中央部分106を有し、骨表面に接触して配置されるように設けられる。従って、骨端(bone physis)への圧力を制限することができ、従って、骨プレートを横方向に押し潰すことを回避することができる。
【0078】
換言すれば、内部固定装置101は、実質的に平坦であるが、中央部分106は、固定スクリュー301のステムに向かって面するように構成された保持要素102及び103の底面401に対して高くされる。これにより、骨端への圧力を制限することが可能である。
【0079】
図5の例を参照すると、骨プレート内部固定装置501の1つの第2実施形態が概略的に示されている。
【0080】
内部固定装置501は、1つの第1の保持要素502及び1つの第2の保持要素503を有し、各々は、内部固定装置101を参照して既に説明した要素と同様に、それぞれの貫通孔504及び505を有する。
【0081】
中央部分506は、保持要素502及び503を互いの間で構造的に接続及び拘束し、骨プレートの屈曲を可能にするように可撓性である。
【0082】
中央部分506は、好ましくは、キルシュナーワイヤを使用するためにワイヤガイド(図示せず)の挿入を可能にするように構成された1つの中央貫通孔507を有する。
【0083】
保持要素502及び503の貫通孔504及び505はそれぞれ、1つのねじ山付き表面508及び509をそれぞれ有する。
【0084】
このようなねじ山付き表面508及び509は、内部固定装置101を参照して説明したものと同様に、固定スクリュー301のヘッドの対応する表面と結合するように構成される。
【0085】
中央部分506は、貫通孔507によって互いの間を分離された可撓性プラスチック材料で作られた一対のブリッジ要素501a及び501bを有する。代替的な一実施形態では、中央孔507を省略して、単一のブリッジ要素をもたしてもよい。
【0086】
一般に、一対のブリッジ要素501a及び501bは、可撓性プラスチック材料で構成され、内部固定装置501の長手方向軸に対して対称に配置される。
【0087】
一般に、適切な抵抗性及び生体適合性特性を有するプラスチック材料は、ポリエーテル‐エーテル‐ケトン(PEEK)である。
【0088】
好ましくは、保持要素502及び503も、プラスチック材料から作られ、より好ましくは、ブリッジ要素501a及び501bを備えたピースに、1つの単一モールドで作られる。
【0089】
有利には、プラスチック材料要素は、成形プロセスによってより容易に得ることができ、これらの実施形態を、金属材料要素を含む実施形態よりも安価にする。
【0090】
さらに、プラスチック材料部分は、放射線透過性であり、生体適合性であることに加えて、それらはまた、適切な機械的強度及び弾性を確保する。
【0091】
代替的な一実施形態では、保持要素502及び503は、適切な接合によってブリッジ要素に接続された金属材料で作ることができる。
【0092】
従って、固定装置501の実施形態は、可撓性中央部分506を提供するための異なる要素を想定し、固定装置101に対して既に記載されていることに関して、同時に骨プレートの機能を変えずに保つ。
【0093】
図6は、下から見た固定装置501を示す。この図では、中央部分506が、底面に1つの凹部601を有し、これにより、中央部分506をさらに高くし、プレート501の1つの好適な曲げ軸を生成することが可能になる。従って、高くされた中央部分506は、固定装置501が埋め込まれるときに、骨端への圧力を制限するようにさらに適合される。
【0094】
図7の例を参照すると、骨プレート内部固定装置701の第3実施形態が概略的に示されている。
【0095】
内部固定装置701は、1つの第1の保持要素702及び1つの第2の保持要素703を有し、それぞれの貫通孔704及び705を有する。中央部分706は、保持要素702及び703を互いの間で構造的に接続し且つ拘束し、骨プレートの屈曲を可能にするように可撓性である。中央部分706は、好ましくはガイドワイヤの助けなしに、キルシュナーワイヤの直接通過を可能にするように構成された1つの中央貫通孔707を好ましくは有する。
【0096】
保持要素702及び703の貫通孔704及び705はそれぞれ、1つのそれぞれのねじ山付き表面708及び709をそれぞれ有する。このようなねじ山付き表面708及び709は、内部固定装置101を参照して説明したものと同様に、固定スクリュー301のヘッドの対応する表面と結合するように構成される。
【0097】
中央部分706は、一対のブリッジ要素710a及び710bを有し、これらは、とりわけ、貫通孔707の幾何学的形状を実現する。概して、ブリッジ要素710a及び710bは、内部固定装置701の長手方向軸に対して対称に配置される。
【0098】
したがって、固定装置701の実施形態は、異なる支持構造のため、固定装置101または501とは区別される。
【0099】
図8で見られるように、部分的に分解された固定装置701は、1ピースのプラスチック材料で作られた1つの支持フレーム801を有する。これにより、保持要素の各々の構造の一部である周縁部分(perimetric portion)802及び803が実現され、それによって、保持要素の周縁部分802及び803は、ブリッジ要素710a及び710bとともに1ピースに作られる。
【0100】
支持フレーム801は、周縁部分802及び803にそれぞれ埋め込むことができる一対の環状要素804及び805に関連付けられる。
【0101】
環状要素804及び805は、好ましくは、金属材料などのより強い材料で作られ、既に説明したねじ山付き表面708及び709を含む。
【0102】
これにより、スクリュー301と環状要素804、805のねじ山付き表面708、709との間のねじ結合が実現され、これは構造的により堅牢であり、フレーム801に中央部分706の柔軟性に寄与するタスク(task)を残す。
【0103】
こうして得られた固定装置701は、サイズ許容度及び実装品質を改善することを可能にし、上述の最適な機能性を変えないままにする。
【0104】
周縁部分802及び803において得られるそれぞれの座部(seats)における環状要素804及び805の結合(engraftment)は、固定スクリュー301の締め付けトルクを受ける環状要素の望ましくない回転を回避するために、適切に刻みを付けられた(knurled)表面を通して起こることが好ましい。
【0105】
図9は、下から見た固定装置701を示す。この図では、中央部分706が底面に1つの凹部901を有し、これにより中央部分706をさらに高くすることが可能であることを理解することができる。従って、すでに説明したように、高くされた中央部分706は、骨端に対する圧力を制限する。
【0106】
概して、全ての実施形態において、どのように、内部固定装置が有利に、より高い忍容性のために丸められたより低い周縁部分及びより高い周縁部分を有するかを理解することが可能である。
【0107】
特に、概して、実施形態は、実質的に平坦で、狭窄することなく(without narrowing)横長形状(oblong shape)を持つ骨プレート内部固定装置を提供する。この意味において、本明細書に記載される実施形態は、当該技術分野で既知の典型的な「8プレート(eight plates)」とは異なる。
【0108】
本発明による内部固定装置の可撓性中央部分は、保持要素の周囲に対して接線方向に配置される弾性要素またはブリッジ要素などの部材を提供する。これにより、骨プレートの適切な柔軟性を確保するが、機械的安定性の改善がもたらされる。さらに、狭窄することのない横長形状の部分は、インプラントの適用の間、外科医による改良された操作を可能にする。
【0109】
結論として、
図4を参照して、本発明の骨プレート内部固定装置の使用を統合的に説明する。
【0110】
一旦、埋め込みに供される患者の皮膚及び肉において比較的非侵襲的な切開を行なうと、固定装置101は、2つの保持要素102及び103が、それぞれ、治療されることになる骨の骨端及び骨幹端とそれぞれ接触するように、骨端を横切って(across of the physis)配置される。
【0111】
可撓性中央部分106の中央貫通孔を介して骨端軟骨(physis cartilage)に挿入される固定ワイヤは、固定装置101を、一時的にはあるが、定位置に保持することを可能にする。
【0112】
固定スクリュー301は、ヘッド304が貫通孔のねじ山付き表面に到達して係合するまで、骨の骨端及び骨幹端の対応する部分に貫入するように、最初に貫通孔に挿入される。
【0113】
骨端組織の成長の間、固定スクリュー301は、ドラッギング作用(dragging action)を受け、このドラッギング作用は、治療全体にわたり角度の開き(angular opening)、すなわち、内部固定装置101の骨プレートの張力及び屈曲を決定する。
【0114】
骨プレート101の屈曲を可能にすることにより、固定スクリュー301の角度の開きも可能になり、治療期間全体にわたって骨の成長に追従する(following)。
【0115】
有利には、本発明による骨プレート内部固定装置は、インプラントを取り囲む軟組織との摩擦領域を避けるために、平坦な形態(conformation)及び突起を伴わない均一な厚さを有する。
【0116】
同時に、有利には、本発明による骨プレート内部固定装置は、貫通孔のねじ山付き表面とスクリューヘッドとの間の拘束により、構造的安定性が増大し、その結果、インプラントの性能が向上し、骨の成長による湾曲変動に追従することができる。
【0117】
なお有利には、固定装置の形態は、合理的な構造を有し、質的に良好な公差で製造されるように適合される。
【0118】
本発明による骨プレートは、技術的課題を解決し、いくつかの利点を達成し、それらの間で1つの骨端固定術によって完全な骨変形矯正を確実にする。