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特許7210486抗ウイルス化合物を含んでいて膣内に適用可能な装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】抗ウイルス化合物を含んでいて膣内に適用可能な装置
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20230116BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20230116BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20230116BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20230116BHJP
   A61K 47/59 20170101ALI20230116BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20230116BHJP
   A61F 6/08 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61M37/00 550
A61P31/22
A61P15/02
A61K47/59
A61K9/00
A61F6/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019571956
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018067457
(87)【国際公開番号】W WO2019002486
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】17178439.0
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514134147
【氏名又は名称】アイクリス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゲシュワー バッチャブ
(72)【発明者】
【氏名】ズザネ ボンスマン
(72)【発明者】
【氏名】タマラ パフ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ビルクマン
(72)【発明者】
【氏名】カール マルコム
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/007538(WO,A1)
【文献】特表2014-520896(JP,A)
【文献】特表2014-528948(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0069850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A61M
A61F
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリテリビルを膣内に投与するための装置であって、
プリテリビルが、プリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩を含む群から選択され
プリテリビルメシラート塩を含むか、又はプリテリビル遊離塩基およびリテリビルメシラート塩を含む組成物を含そして
生体安定性かつ生体適合性であるポリマーマトリックスを含む、前記装置。
【請求項2】
シリコーンエラストマーを含む生体安定性かつ生体適合性であるポリマーマトリックスを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
膣内リングである、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
プリテリビルを膣内に投与するための装置であって、
プリテリビルが、プリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩を含む群から選択され、
プリテリビルメシラート塩を含むか、又はプリテリビル遊離塩基およびプリテリビルメシラート塩を含む組成物を含み、そして
膣内リングである、前記装置。
【請求項5】
プリテリビルの即時的放出に適している、請求項1~のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
プリテリビルの持続的放出に適している、請求項1~のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
プリテリビルの制御された放出に適している、請求項1~のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
プリテリビルの即時的かつ持続的な放出に適している、請求項1~のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
プリテリビルの即時的かつ制御された持続的放出に適している、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
プリテリビルを少なくとも25 mg、または少なくとも30 mg、または少なくとも40 mg、または少なくとも50 mg、または少なくとも75 mg、または少なくとも100 mg、または少なくとも150 mg、または少なくとも200 mg、または少なくとも225 mg、または少なくとも230 mg、または少なくとも240 mgの合計量で含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1~5810のいずれか1項に記載の装置において、この装置がプリテリビルの即時的放出に適していて、0.03μM以上という抗単純ヘルペスウイルスに有効な濃度EC50が、この装置を膣液の中に適用してから24時間後に測定される、装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の装置を製造する方法であって、
a)生体安定性かつ生体適合性であるポリマーとプリテリビルを混合する工程であって、プリテリビルがプリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩を含む群から選択される前記工程と;
b)工程a)で得られた混合物を射出成形する工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス化合物を放出する膣内装置に関する。特に本発明は、少なくとも1つの抗ウイルス薬物質を膣に投与するための膣内リング装置に関するものであり、抗ウイルス薬物質には、抗ヘルペス化合物N-[5-(アミノスルホニル)-4-メチル-1,3-チアゾル-2-イル]-N-メチル-2-[4-(2-ピリジニル)-フェニル]-アセトアミド(今後は「プリテリビル」とも呼ぶ)またはその塩が含まれる。本発明はしたがってヘルペス感染症の治療と予防に関する。
【背景技術】
【0002】
単純ヘルペスウイルス(HSV)はヒトのさまざまな器官(例えば皮膚、口、喉、目、中枢神経系、肛門性器部)の感染症をしばしば引き起こす。HSVは、2つの型、すなわちHSV1型(HSV-1)とHSV2型(HSV-2)に分けることができる。HSV-1は主に皮膚、口、喉、目、中枢神経系に感染するのに対してHSV-2は主に肛門性器感染症の原因である。しかしどちらの型のHSVも上記の任意の器官に感染することができる。
【0003】
HSV-1感染および/またはHSV-2感染は、口唇ヘルペス(HSV-1の感染が主因である口唇ヘルペス)、性器ヘルペス(HSV-1の感染が主因である)などの疾患の原因だが、角膜炎や脳炎などの深刻な疾患も稀に引き起こす可能性がある。これらのウイルスは世界中に遍在している。単純ヘルペス感染症の治療に用いられる周知の薬はアシクロビル(2-アミノ-1,9-ジヒドロ-9-((2-ヒドロキシエトキシ)メチル)-6H-プリン-6-オン)である。これは、ウイルスのデオキシリボ核酸(DNA)ポリメラーゼの特異的阻害剤である。
【0004】
肛門性器感染症は一般に性交によって生じる。男性は女性よりも感染する頻度が少ない。コンドームはHSV感染から保護してくれる。したがってコンドームなしの保護されていない性交は、以前は感染していなかった個人にウイルスが広がる機会となる。さらに、特に膣ヘルペス感染症には、新生児の産後感染という稀だが深刻なリスクがある。膣はドラッグデリバリーの対象となる重要な部位であり、その目的は特に、さまざまな疾患(細菌感染症、真菌感染症、原生動物感染症など)の局所的な治療、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の予防、避妊薬、殺精子剤、分娩誘発剤の送達、前がん性病変の治療である[Pereira R.R.、Bruschi M.L.「膣粘膜接着性ドラッグデリバリー系」Drug Dev. Ind. Pharm.、2012年;第38巻:643~652ページ;Hussain A.、Ahsan F.「全身ドラッグデリバリーのための経路としての膣」J. Control. Release, 2005年;第103巻:301~313ページ;Valenta C.「膣送達における粘膜接着性ポリマーの使用」Adv. Drug Deliv. Rev. 2005年;第57巻:1692~1712ページ]。膣は、全身ドラッグデリバリーの1つの代替経路としても機能する可能性がある[Owen D.H.、Katz D.F.「膣液模倣物」Contraception 1999年;第59巻:91~95ページ]。非刺激性、生体適合性、生体安定性が同時に満たされていて、有効量の活性成分の放出が保証される膣内装置を提供することは、1つの挑戦課題である。これらの成分が過剰な速度で放出されてはならず、各活性成分が、それを必要とする患者にとって望ましい治療期間にわたって有効な用量で適切に提供される必要がある。WO 2014/113693 A1には、放出が改変された浸透圧ポンプでpH反応性膣内薬を送達することが開示されていて、HSV感染症を例えばアシクロビルその他の抗ウイルス薬を用いて治療できることが、長いリストの中で言及されている。しかしヘルペス感染症(特に性器のHSV感染症)の治療と予防のための新規かつ有効な手段と方法を提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記の目的に取り組むものであり、プリテリビルを投与するための膣内装置のほか、この装置を利用する方法を提供する。プリテリビルは、WO2006103011A1に開示されているように、HSV(それぞれ1型と2型)の治療に有用な実験的抗ウイルス化合物である。プリテリビルは新しいクラスの抗ウイルス剤の最初のものであり、ウイルスのヘリカーゼ-プリマーゼ酵素複合体を標的とすることによってHSVの複製を抑制する。プリテリビルは、性器HSV-2感染症の治療に用いられているより一般的なヌクレオシド類似体(アシクロビルなど)とは異なり、リン酸化による活性化を必要とせず、感染していない細胞の中で活性である。プリテリビルは、HSV-1単離体とHSV-2単離体(ヌクレオシド類似体に対して抵抗性の株を含む)に対してインビトロで強力な活性を示し、動物における研究(モルモットでの性器感染症の研究が含まれる)で効果を示している。プリテリビルは、性器ヘルペスを有すること以外は健康な男女で、用量に依存して性器HSV排出の割合を減らすとともに病変が存在する日数を短くすることも報告されている[Wald, A.他「頻繁に再発する患者における性器HSV-2排出に対するプリテリビルの効果のバラシクロビルとの比較:無作為化臨床試験」JAMA、2016年、第316巻(23):2495~2503ページ;Wald, A.他「HSV-2感染症のためのヘリカーゼ-プリマーゼ阻害剤」N Engl J Med、2014年、第370巻(3):201~210ページ]。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】1:1イソプロパノール/H2O混合物の中に8μg/mlのプリテリビル遊離塩基(A)またはプリテリビルメシラート塩(B)を含む溶液に関する代表的なHPLCクロマトグラムであり、最大のピークが、図1Aでは2.887分の位置に、図1Bでは2.884分の位置にある。
図1B】1:1イソプロパノール/H2O混合物の中に8μg/mlのプリテリビル遊離塩基(A)またはプリテリビルメシラート塩(B)を含む溶液に関する代表的なHPLCクロマトグラムであり、最大のピークが、図1Aでは2.887分の位置に、図1Bでは2.884分の位置にある。
【0007】
図2】プリテリビル遊離塩基の代表的なDSC(示差走査熱量測定)とTGA(熱重量分析)。プリテリビルは2つの熱転移を示す。それは、(結晶化による溶媒の損失および/または多形転移に帰される)118℃の小さな熱転移と、206℃の主要な結晶融解である。
【0008】
図3】DDU 4320シリコーンエラストマーの中に10%w/wのプリテリビル遊離塩基を含むサンプルの代表的なDSC曲線。プリテリビル遊離塩基をシリコーンエラストマーの中に10%w/wの濃度で組み込むと、まったくよく似た熱的挙動が観察される。
【0009】
図4】プリテリビルメシラート塩の代表的なDSC(示差走査熱量測定)とTGA(熱重量分析)。供給されたプリテリビルメシラート塩材料は110~170℃の範囲にわたる非常に広い転移を示し、薬の分解は210℃超である証拠があった。合わせて示されているTGAデータに基づくと、この広い転移は2つのプロセスに起因するように見える。すなわち、120℃と160℃の間の溶媒損失と、その後の170℃での結晶性プリテリビルメシラート塩の融解である。
【0010】
図5】DDU 4320シリコーンエラストマーの中に10%w/wのプリテリビルメシラート塩を含むサンプルの代表的なDSC曲線。プリテリビルメシラート塩+シリコーンサンプルで観察された熱転移。
【0011】
図6】プリテリビル遊離塩基(PVR)とプリテリビルメシラート塩(PVR-M)の両方がマトリックス型シリコーンエラストマー膣リングからインビトロで放出されるデータ(A)。毎日の放出量のデータからプロットした、累積放出量と時間の関係(B)と、累積放出量と時間の平方根の関係(C)。
【0012】
図7】40 mgのプリテリビル遊離塩基または49.6 mgのプリテリビルメシラート塩を含有する膣リングを雌のサルの膣内に適用した後のプリテリビル遊離塩基平均血漿濃度-時間プロファイル(第1相)。
【0013】
図8】240 mgのプリテリビル遊離塩基また297 mgのプリテリビルメシラート塩を含有する膣リングを雌のサルの膣内に適用した後のプリテリビル遊離塩基平均血漿濃度-時間プロファイル(第2相)。
【0014】
図9】40 mgのプリテリビル遊離塩基または49.6 mgのプリテリビルメシラート塩を含有する膣リングを雌のサルの膣内に適用した後の膣液中のプリテリビル遊離塩基平均濃度-時間プロファイル(第1相)。
【0015】
図10】240 mgのプリテリビル遊離塩基また297 mgのプリテリビルメシラート塩を含有する膣リングを雌のサルの膣内に適用した後の膣液中のプリテリビル遊離塩基平均濃度-時間プロファイル(第2相)。
【0016】
図11】組織濃度と、HSVに関する細胞培養物EC50値の比較。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を詳細に記述する前に、この記述全体を通じて使用されるいくつかの技術用語の定義を提供することが適切であると思われる。本発明を特定の実施態様に関して記述するが、この記述が限定する意味でなされていると見なしてはならない。本発明の代表的な実施態様を詳細に記述する前に、本発明を理解する上で重要な定義を与える。
【0018】
本明細書と添付の請求項では、単数形の「1つの」は、文脈から明確にそうでないとわかる場合を除き、複数も包含する。
【0019】
本発明の文脈では、「約」と「ほぼ」は、当業者が、問題となっている特徴の技術的効果が相変わらず保証されると理解する正確さの幅を表わす。この用語は、典型的には、記載されている数値からのずれが±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、より一層好ましくは±5%であることを示す。
【0020】
「含む」という用語は、非限定的であると理解すべきである。本発明の目的では、「からなる」という表現は、「含んでなる」の好ましい1つの態様であると見なされる。今後は、1つのグループが少なくともいくつかの数の実施態様を含むと規定されている場合には、それは、好ましくはこれらの実施態様だけからなるグループも包含することを意味する。
【0021】
さらに、記述と請求項の中の「第1」、「第2」、「第3」、または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などと、それと同様の用語は、類似した要素同士を識別するのに用いられ、必ずしも逐次的または時間的な順番を記述しているわけではない。このように用いられているこれらの用語は、適切な状況下では交換可能に用いられ、本明細書に記載されている本発明の実施態様は、本明細書に記載されているか図示されている以外の順番で機能することができると理解すべきである。
【0022】
「第1」、「第2」、「第3」、または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などが方法または利用の工程に関係している場合には、工程と工程の間に時間または時間間隔の一貫性は存在しない。すなわち複数の工程を同時に実施すること、またはそのような工程と工程の間に、秒、分、時間、日、週、月、それどころか年の時間間隔が存在することが可能である。ただし、本明細書でここまでに記載したように、またはこれから記載するように、本出願に異なる指示がある場合は別である。
【0023】
本発明によれば、「抗ウイルスに有効な量」という表現は、患者にとって意味のある便益(すなわちヘルペスウイルス感染症の抑制を特徴とする急性状態の治癒)を示すのに十分な各活性成分の合計量を意味する。この表現は、個々の活性成分に適用されるときには、その成分だけを意味する。この表現は、組み合わせに適用されるときには、活性成分を組み合わせた量を意味し、その結果として、その組み合わせが順番に投与されても、同時に投与されても、治療効果が得られる。
【0024】
「治療する、治療している、治療」という用語は、本明細書と請求項では、ヘルペスウイルス感染症に関連する疾患の予防または改善を意味する。「防止または予防」という用語は、本明細書と請求項では、本明細書に開示した化合物または組成物を投与または利用して、感染していない生物、または生物の感染していない細胞を感染から保護することを意味する。すなわち、生物はウイルスに感染する可能性があるが、そのウイルスがその生物の体内に(細胞から細胞へと)広がること、またはその生物の社会環境に広がることが予防される。生物として、ヒト、またはそれ以外の哺乳動物が可能である。本発明の1つの側面では、化合物または医薬組成物が投与される生物は、ヘルペスウイルス(例えばHSV-1および/またはHSV-2)に感染しているヒト、またはそのようなウイルスに感染する危険があるヒトである。
【0025】
本発明の文脈では、即時的放出という用語は、大量の薬が投与後の最初の24時間以内に放出されるときの、リング装置からの薬の放出動態を意味する。本発明の文脈では、バースト放出は、典型的には、装置からの薬の即時的放出を意味する。
【0026】
本発明の文脈では、持続的放出という用語は、リング装置から数日、または数週間、または数ヶ月にわたって薬が定常的に放出されるときの、リング装置からの薬の放出動態を意味する。
【0027】
本発明の文脈では、制御された放出という用語は、薬の放出が装置の特徴(例えばポリマーの種類)に依存するときの、リング装置からの薬の放出動態を意味する。
【0028】
本明細書で言及するプリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩の物理的・化学的特徴づけは、欧州薬局方(Ph. Eur.)および/またはアメリカ合衆国薬局方協会(USP)による公定の方法を利用して実施した。
【0029】
本発明によれば、マトリックス型リングは、薬が物理的に、および/または分子状態で分散されているポリマーマトリックスでできたリング装置を意味する。典型的な放出動態は、溶解と拡散の機構によって駆動される。
【0030】
以下に、本発明のさまざまな実施態様をより詳細に説明する。組成物に含まれる成分、医薬組成物のタイプ、成分の濃度、投与期間、投与頻度、治療すべき医学的症状に関するそれぞれの代替例が記載されている場合にはいつでも、当業者は、技術的に可能である限り、または異なることが明示的に示されているのでなければ、個々の組み合わせが可能であることをただちに理解すると考えられる。
【0031】
プリテリビルの遊離塩基の形態を式(I)に示す。
【0032】
【化1】

【0033】
「防止および/または予防」という用語、または本発明に関係する分野のそれと同様の用語は、当業者にとっては明らかに、感染症の再発の抑制または減少を意味するか、HSV-1感染症またはHSV-2感染症の伝染の抑制または減少を意味する。本発明の文脈では、「防止および/または予防」という用語は、最も広い合理的な解釈のもとでさえ、患者から感染性のいかなるウイルス粒子も、感染した細胞も、完全かつ全面的に存在しないことを意味しない。本発明の背景のもとでは、そのような立場が、開示されている主題に関係する分野において合理的である。「防止および/または予防」という用語のこうした定義の支持材料として、以下の刊行物が、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0034】
Abdool Karim, S.S.他(2015年)「単純ヘルペスウイルス2型感染症を予防するためのテノフォビルゲル」N Engl. J Med 第373巻、530~539ページ;
Andrei, G.他 (2011年)「テノフォビルはHIVに対して有効な殺微生物剤であり、単純ヘルペスウイルス-2の複製を抑制する」Cell Host. Microbe第10巻、379~389ページ;
Corey, L., et al., (2004年)「1日に1回のバラシクロビルで性器ヘルペスの伝染リスクが低下する」N. Engl. J. Med. 第350巻、11~20ページ;
Gold, D.とCorey,L.、ミニレビュー「単純ヘルペスウイルス感染症のためのアシクロビル予防剤」Antimicrobial Agents and Chemotherapy、1987年3月、361-367ページ;
Kleymann, G.他(2002年)「単純ヘルペス疾患を治療するための薬候補としての新規なヘリカーゼ-プリマーゼ阻害剤」Nat. Med. 8巻、392~398ページ;
Mertz, G.J.他(1985年)「症候性と無症候性の感染源との接触からの単純ヘルペスウイルスによる初回エピソード性器感染症の獲得頻度」Sex Transm. Dis. 第12巻、33~39ページ;
Reitano, M.他(1998年)「再発性単純ヘルペスウイルス感染症を抑制するためのバラシクロビル:大規模な用量範囲発見研究」国際バラシクロビルHSV研究グループ、J. Infect. Dis. 第178巻、603~610ページ;
Schiffer, J.T.他(1997年)「免疫能が正常な女性における頻繁な性器単純ヘルペスウイルス2排出。アシクロビル療法の効果」J. Clin Invest第99巻、1092~1097ページ;
Tyring, S.、Baker,D.、Snowden, W.「単純ヘルペスウイルス感染症のためのバラシクロビル:アシクロビルを用いた20年間の実験の後の長期安全性と持続効果」The Journal of Infectious Diseases 2002年;第186巻(補1):S40~46ページ;
Wald, A.他(2014年)「HSV-2感染症のためのヘリカーゼ-プリマーゼ阻害剤であるプリテリビル」N Engl. J Med第370巻、201~210ページ;
Wald, A.他(2016年)「頻繁に再発する患者における性器HSV-2排出に対するプリテリビルの効果のバラシクロビルとの比較:無作為化臨床試験」JAMA第316巻(23):2495~2503ページ。訂正:JAMA. 2017年2月14日;第317巻(6):648ページ;
Wald, A.他(2000年)「無症候性である血清陽性の人における性器単純ヘルペスウイルス2型感染症の再活性化」N. Engl. J. Med. 第342巻、844~850ページ;
Zhu, J.他(2007年)「無症状 HSV-2再活性化の間に性器の皮膚内の感覚神経末端近傍にウイルス特異的CD8+ T細胞が蓄積する」J. Exp. Med. 第204巻、595~603ページ。
【0035】
先行技術において証明されてきたように、これらの文献が、ヘリカーゼ-プリマーゼ抑制とHSV感染症の予防または伝染予防の間の相関を支持している。さらに、上記のKleymann(2002年)は、396ページの左列下部に、再発疾患と無症候性ウイルス排出がヘリカーゼ-プリマーゼ抑制剤によってほぼ完全に抑制され、そのことによって人から人への伝染が減るはずであること、すなわちHSVの伝染が効果的に予防されることを教示している。Corey(2004年)の上記論文は、11ページの下部と17ページ第1列に、バラシクロビルを1日に1回用いる抑制療法により、異性愛HSV-2不一致カップルの間で性器ヘルペスが伝染するリスクが顕著に減ること、すなわち伝染が予防されたことを教示している。この研究は、性器粘膜の表面でHSV2型(HSV-2)の排出を抑制することがわかっている薬を用いてこの結果を達成した。さらに、性器粘膜の表面に無症状で排出されるHSVの頻度と量が、伝染した感染症の主因であることが見いだされている。そのため、性器粘膜の表面に無症状で排出されるHSVの頻度と量を減らすアプローチが、ヘルペスの伝染の予防を達成する1つの道である。
【0036】
Karim(2015年)は、530ページの下部に、性交前後にテノフォビルゲルを塗布することで女性が獲得するHSV-2を減らせること、すなわちHSV獲得が予防されたことを教示している。有効性は、51%の減少であった(534ページ、第2列)。同じグループによるそれ以前の2010年に遡る研究(この参考文献の引用6を参照されたい)では、テノフォビルの局所的膣ゲル製剤を性交前後に塗布するとHIV獲得が減ることが示されていた。HIVは異なるウイルスだが、上記のことに鑑みると、当業者にとって、ある薬がウイルス感染症の獲得を予防できることに驚きはなかろう。さらに、そのことが、KarimによってHSVの場合に明示的に確認されている。GoldとCoreyは、1987年3月から、アシクロビル(すなわちウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤)の周知の効果的防止効果を支持している。それに加え、Tyringらは、2002年から、プロドラッグであるバラシクロビル(すなわちウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤)の効果を支持している。
【0037】
当業者は、HSV-1感染症とHSV-2感染症について、感染が原因で体内にウイルスが存在していてもプリテリビルがウイルスの排出と出現を効果的に抑制するため、発症しないことを知っている。これは、HSV-1感染症とHSV-2感染症の結果である症状の「防止」または「抑制」である。本発明の防止=抑制の側面のさらなる支持材料として、バラシクロビル(すなわちTyring他、2002年)とアシクロビル(すなわちGold 他、1987年)に関する上記引用文献に再度言及する。これらも、HSV感染が正常な個人では無症候性であることがよく立証されていることと、この分野において防止/抑制療法が意味することを証明している。さらに、HSVが有効に防止されることが、ヒトの臨床試験で示されている(Wald他、2014年と2016年、上記文献)。最後に、ヘリカーゼ-プリマーゼ阻害剤であるプリテリビルがテノフォビルよりもHSVに対する抗ウイルス効果がはるかに大きいことが知られているため、当業者であれば、プリテリビルも、より顕著な防止効果を有すると予測すると考えられる。この点に関して特に重要なのは、上述のAndreiらとKleymannらによる論文である。その中でテノフォビルに関して示されているIC50値は、プリテリビルの値よりも顕著に大きい。
【0038】
本明細書では、「抗炎症剤」という用語は、一般に、炎症を有する個人に投与したとき、そのような炎症を減らす傾向がある任意の化合物または化合物の組み合わせ(例えばステロイドと非ステロイド性抗炎症薬(NSAID))を意味する。
【0039】
本明細書では、「中枢と末梢に作用する鎮痛剤」に、オピオイド系鎮痛剤が含まれる。オピオイド系鎮痛剤には、例えばブプレノルフィン、またはその生理学的に許容可能な塩またはエステルが含まれ、適切なオピオイド系鎮痛剤に含まれるのは、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブトルファノール、クロニタゼン、シクラゾシン、デスモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェンアシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナルブフィン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロファドール、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドールである。これらの中の任意のもののエステル、塩、混合物も含まれる。
【0040】
本明細書では、非オピオイド系鎮痛剤に含まれるのは、例えばNSAID、三環系抗鬱剤(例えばアミトリプチリン)、抗痙攣剤(例えばガバペンチン)、抗片頭痛化合物(例えばスマトリプタン、ナラトリプタン)である。NSAIDとして、シクロオキシゲナーゼ(COX)COX-1またはCOX-2の阻害剤が可能である。NSAIDの具体例に含まれるのは、イブプロフェン、フルビプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、ピロキシカム、ケトプロフェン、エトドラク、ジフルシナール、メロキシカム、アセクロフェナク、フェノプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェン酸、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブと、これらの生理学的に許容可能な塩およびエステルである。適切な塩は、アルカリ添加塩(カリウム塩やナトリウム塩など)である。
【0041】
本発明の組成物では、ブピバカイン、リドカイン、キシクロカイン、テトロドトキシン(TTX)、サキシトキシン(STX)などを含むグループから選択される長期と短期に作用する局所性と揮発性の麻酔剤を用いることができる。
【0042】
一実施態様では、プリテリビルを製剤化することによって得られる医薬組成物は、局所麻酔剤をさらに含むことができる。
【0043】
一実施態様では、プリテリビルを製剤化することによって得られる医薬組成物は、局所麻酔剤リドカインをさらに含むことができる。
【0044】
別の一実施態様では、本出願は、前記実施態様のいずれか1つに規定されている本出願は医薬組成物に関するものであり、この医薬組成物は、抗炎症剤、抗ウイルス剤、中枢と末梢に作用する鎮痛剤、(局所)麻酔剤を含むグループから選択された活性な化合物をさらに含んでいるか、その活性な化合物を最初に含んでいるように製剤化される。
【0045】
プリテリビル遊離塩基またはそのメシラート塩と、さらに別の活性剤(抗炎症剤、免疫調節剤、抗ウイルス剤などであり、例えば治療用ワクチン、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ナノ粒子、ウイルス取り込み阻害剤(n-ドコサノール)がある)の組み合わせを、本明細書に開示されている装置を用いて投与することができる。
【0046】
一実施態様は、本発明は、プリテリビル、またはその塩、その溶媒和物、その多形体を膣内に投与する装置に関する。
【0047】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビルがプリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩から選択される、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0048】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩を含む組成物を含む、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0049】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビルがプリテリビル遊離塩基および/またはプリテリビルメシラート塩を含む、上記実施態様に記載の装置に関する。上記の実施態様と下記の実施態様のいずれにおいても、固体状態(アモルファス形態または結晶形態)の任意のプリテリビルを用いることが可能だが、そうでないことが明示されている場合は別である。
【0050】
別の一実施態様では、本発明は、生体安定性かつ生体適合性のポリマーマトリックスを含む、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0051】
別の一実施態様では、本発明は、シリコーンエラストマーを含む生体安定性かつ生体適合性のポリマーマトリックスを含むが、本分野で知られているように、熱可塑性材料などの他の材料(例えばポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル(EVA))も使用できる、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0052】
別の一実施態様では、本発明は、熱可塑性ポリマーを含む生体安定性かつ生体適合性のポリマーマトリックスを含む、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0053】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、この装置が膣内リングである装置に関する。別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、この装置が小型錠剤(microtablet)である装置に関するものであり、その小型錠剤は、被覆されていてもいなくてもよい。小型錠剤は本分野で知られており、本分野で知られている成分、例えば可溶剤、安定剤、ゲル化剤、希釈剤、崩壊剤、被覆剤、分散剤などを含むことができる。
【0054】
別の一実施態様では、本発明は、マトリックス型であって薬がそのマトリックスの中に物理的に、および/または分子状態で分散されている膣内リングに関する。
【0055】
別の一実施態様では、本発明は、リザーバ型リング、またはサンドイッチ/シェル型リング、または多数の部分的コア型リング、または挿入可能なコア型リング、またはオーバーモールド金属ばねリング、または既知の他の任意のタイプのリングである膣内リングに関する。
【0056】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビルの即時的放出に適した、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0057】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビルの持続的放出に適した、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0058】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビルの制御された放出に適した、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0059】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビルの即時的かつ持続的な放出に適した、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0060】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビルの即時的かつ制御された持続的な放出に適した、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0061】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビルを少なくとも25 mg、または少なくとも30 mg、または少なくとも40 mg、または少なくとも50 mg、または少なくとも75 mg、または少なくとも100 mg、または少なくとも150 mg、または少なくとも200 mg、または少なくとも225 mg、または少なくとも230 mg、または少なくとも240 mgの合計量で含む、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0062】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、この装置がプリテリビルの即時的放出に適していて、50%抗HSVに有効な濃度(EC50)が0.03μM以上という状態が、この装置を適用した後の少なくとも30分間にわたって、または少なくとも60分間~少なくとも24時間にわたって膣液中で測定される装置に関する。
【0063】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、この装置がプリテリビルの即時的かつ持続的な放出に適していて、抗HSV EC50が0.03μM以上という状態が、この装置を適用した後の少なくとも7日間にわたって膣液および/または膣組織および/または陰門組織の中で測定される装置に関する。
【0064】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、この装置がプリテリビルの即時的かつ持続的な放出に適していて、抗HSV EC50が0.03μM以上という状態が、この装置を適用した後の少なくとも14日間にわたって膣液および/または膣組織および/または陰門組織の中で測定される装置に関する。
【0065】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、この装置がプリテリビルの即時的かつ持続的な放出に適していて、抗HSV EC50が0.03μM以上という状態が、この装置を適用した後の少なくとも21日間にわたって膣液および/または膣組織および/または陰門組織の中で測定される装置に関する。
【0066】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、この装置がプリテリビルの即時的かつ持続的な放出に適していて、抗HSV EC50が0.03μM以上という状態が、この装置を適用した後の少なくとも28日間にわたって膣液および/または膣組織および/または陰門組織の中で測定される装置に関する。
【0067】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビルを、0.01%w/w~40.0%w/w、0.01%w/w~20.0%w/w、0.25%w/w~10.0%w/w、0.25%w/w~7.5%w/w、0.25%w/w~1.0%w/wを含む範囲のグループから選択された量で含む、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0068】
別の一実施態様では、本発明は、プリテリビルを、0.3~5.5%w/wの範囲から選択された量(例えば0.3~5.25%w/w)で含む、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0069】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、この装置を受け入れた個人の血漿サンプル中のプリテリビルの濃度が、この装置を適用した後の1~28日間の期間に100 nM以下、または50 nM以下、または30 nM以下、または20 nM以下、または10 nM以下である装置に関する。一実施態様では、この装置を受け入れた個人の血漿サンプル中のプリテリビルの濃度は、この装置を適用した後の1~28日間の期間に100 nM以下である。一実施態様では、この装置を受け入れた個人の血漿サンプル中のプリテリビルの濃度は、この装置を適用した後の1~28日間の期間に50 nM以下である。一実施態様では、この装置を受け入れた個人の血漿サンプル中のプリテリビルの濃度は、この装置を適用した後の1~28日間の期間に30 nM以下である。一実施態様では、この装置を受け入れた個人の血漿サンプル中のプリテリビルの濃度は、この装置を適用した後の1~28日間の期間に20 nM以下である。一実施態様では、この装置を受け入れた個人の血漿サンプル中のプリテリビルの濃度は、この装置を適用した後の1~28日間の期間に10 nM以下である。
【0070】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、血漿サンプル中のプリテリビルの濃度が、この装置を適用した後の1~28日間の期間に50 nM以下、または30 nM以下、または20 nM以下、または10 nM以下である装置に関する。一実施態様では、血漿サンプル中のプリテリビルの濃度は、この装置を適用した後の1~28日間の期間に50 nM以下である。一実施態様では、血漿サンプル中のプリテリビルの濃度は、この装置の適用後の1~28日間の期間に30 nM以下である。一実施態様では、血漿サンプル中のプリテリビルの濃度は、この装置を適用した後の1~28日間の期間に20 nM以下である。一実施態様では、血漿サンプル中のプリテリビルの濃度は、この装置を適用した後の1~28日間の期間に10 nM以下である。
【0071】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、膣液の中、または膣組織の中、または陰門組織の中のプリテリビルの濃度が、この装置を適用した後の1~28日間の期間(例えば1~14日間の期間)に0.1~3,000μMの範囲である装置に関する。
【0072】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、この装置を患者に適用後2日目~14日目の期間に0.1~500.0μgの範囲の1日用量がリングまたは小型錠剤から放出されること、および/またはこの装置を適用後14日目~28日目の期間に0.1~50.0μgの1日用量がリングから放出されることを特徴とする装置に関する。
【0073】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様に記載の装置であって、この装置を適用した後に0.001~750μMの濃度のプリテリビルが膣組織に28日間存在すること、および/または膣組織1g当たり約2.0~250μgのプリテリビルが存在することを特徴とする装置に関する。
【0074】
別の一実施態様では、本発明は、少なくとも1つの追加活性成分を含む、上記実施態様に記載の装置に関する。別の一実施態様では、本発明は、抗ウイルス剤、抗炎症剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗生剤、ホルモン、避妊剤のグループから選択された少なくとも1つの追加活性成分を含む、上記の実施態様に記載の装置に関する。ホルモンは、性ホルモンとステロイドホルモンを含むグループから選択することができる。避妊剤は、非ホルモン性避妊剤とホルモン性避妊剤を含むグループから選択することができ、その例として、例えばホルモン補充療法で用いられるステロイド物質(プロゲステロン化合物(例えば酢酸ノルエチンドロンやNESTORONEM(商標)(すなわち16-メチレン-17α-アセトキシ-19-ノルプレグネン-3,20-ジオン))、エストロゲン物質(例えばエチニルストラジオール)など)、ホルモン補充療法で用いられる他のステロイド物質、プロゲスチン、エストラジオール、精子静止剤としての1,1,5,5-四置換-ジチオビウレットの金属塩、軽金属(ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウム、バリウムなど、)、キレートとして経口で与えられてジチオビウレット塩を形成することがわかっていて避妊剤および妊娠中絶剤として作用する重金属(亜鉛、カドミウム、スズ、水銀、銅、ニッケル、クロム、鉄、マンガン、コバルトなど)、 塩化ベンジルアルコニウム、 オクトキシノール-9、ノノキシル-9、リシノール酸、殺精子剤として作用する酢酸フェニル水銀、他の化合物(プロゲステロン、酢酸クロルマジノン、酢酸ノルエチステロン、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、レボノルゲストレル、他の天然および/または合成のゲスタゲン、抗ゲスタゲン、ゲスタゲン作用または抗ゲスタゲン作用があるホルモン類似体のほか、摂取後に少なくとも1つのゲスタゲンを迅速に分離させるホルモン化合物がある。
【0075】
別の一実施態様では、本発明は、HSV抗ウイルス剤、HIV抗ウイルス剤を含むグループから選択される少なくとも1つの追加活性成分を含むか、HSV抗ウイルス剤とHIV抗ウイルス剤の両方を含む、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0076】
別の一実施態様では、本発明は、HSV抗ウイルス剤の選択が、バラシクロビル、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、グリシルリチン酸、セイヨウニワトコ、プロポリス、L-リシン、ドコサノール、バルガンシクロビル、これらの塩、これらの溶媒和物、これらの組み合わせを含むグループからなされる、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0077】
別の一実施態様では、本発明は、HIV抗ウイルス剤の選択が、ダピビリン、テノフォビル、ダルナビル、エムトリシタビン、ラミブジン、エファビレンズ、ラルテグラビル、ドルテグラビル、マラビロク、リルピリビン、これらの塩、これらの溶媒和物、これらの組み合わせを含むグループからなされる、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0078】
別の一実施態様では、本発明は、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)によって求めたとき、イソプロパノール:H2Oの1:1 Vol/Vol溶液の中のプリテリビルをインビトロで1日目に10.0~500.0μgおよび/または14日後に10.0~125μgの量で放出する、上記実施態様に記載の装置に関する。HPLC分析は、例えばAgilent 1200 シリーズHPLCシステムを用いて実施することができる。このHPLCシステムは、クォータナリHPLCポンプと、自動サンプラーと、インラインDegasser AFユニットと、二重λ吸光度検出器と、カラムヒーターからなる。BDS Hypersil C18(Thermo Scientific社)カラム(長さ150 mm、内径4.6 mm、粒径3μm)を使用することができる。移動相は、45%の1%w/v氷酢酸と55%のメタノールを含むことができ、それを1 ml/分の流速でアイソクラティックに注入した。サンプルの注入体積は25μlにすることができ、カラムの温度は25℃にすることができ、検出は280 nmで実施することができる。この方法を実施する時間は5分間にすることができる。
【0079】
別の一実施態様では、本発明は、HPLCによって求めたとき、イソプロパノール:H2Oの1:1 Vol/Vol溶液の中のプリテリビルをインビトロで0.1~500.0μg/日の割合で放出する、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0080】
別の一実施態様では、本発明は、性器ヘルペスイルス感染症を治療および/または予防する方法で使用するための、上記実施態様に記載の装置に関する。別の一実施態様では、本発明は、性器ヘルペスイルスの伝染を治療および/または予防する方法で使用するための、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0081】
別の一実施態様では、本発明は、性器ヘルペスイルスが単純ウイルス目から選択される、上記実施態様に記載の装置に関する。別の一実施態様では、本発明は、その単純ヘルペスウイルスがHSV-1とHSV-2から選択される、上記実施態様に記載の装置に関する。別の一実施態様では、本発明は、性器ヘルペスイルス感染症を治療および/または予防する方法において上記実施態様の任意の1つに従って使用されて、ウイルス排出と性器病変と再発を抑制する、上記実施態様に記載の装置に関する。別の一実施態様では、本発明は、性器ヘルペスイルス感染症を治療および/または予防する方法において上記実施態様の任意の1つに従って使用するための、上記実施態様に記載の装置であって、この装置が、それを必要とする患者に適用するためのものであり、その患者の選択が、性器ヘルペスイルス感染症であると診断された女性、HSV血清陽性である女性、性器ヘルペスイルス感染症にかかっていることが疑われる女性、生殖管の細菌感染症または真菌感染症、または生殖管の非ヘルペスウイルス感染症にかかっているか、かかっていることが疑われる女性、妊娠することを望む女性、妊娠している女性、生殖管の感染症(特にHSVの感染症)にかかっていると診断されたか、かかっていることが疑われる男性との性交がある女性、臓器移植のレシピエントであるか臓器移植を受ける予定の女性、免疫が抑制されている女性、臓器移植のレシピエントであるか臓器移植を受ける予定の男性との性交がある女性、免疫が抑制されている男性との性交がある女性、臓器移植のレシピエントであるか臓器移植を受ける予定である、または免疫が抑制されている0~18歳の子どもがいる女性、HIV感染症またはヒトパピローマウイルス(HPV)感染症にかかっている女性のグループからなされる装置に関する。
【0082】
別の一実施態様では、本発明は、第1の装置が適用され、14~28日後に、その装置と置換されて少なくとも1つのさらに別の装置が適用され、その後の各装置は、14~28日後に、直前に適用された装置と置換されて適用される、性器ヘルペスイルス感染症を治療および/または予防する方法において上記実施態様の任意の1つに従って使用するための、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0083】
別の一実施態様では、本発明は、少なくとも2つの層を含んでいて、そのうちの少なくとも1つの外層は、プリテリビル遊離塩基よりも大きなモル濃度のプリテリビルメシラート塩を含み、少なくとも1つの内層は、プリテリビルメシラート塩よりも多い量のプリテリビル遊離塩基を含む、上記実施態様に記載の装置に関する。
【0084】
別の一実施態様では、本発明は、適切な容器内の前記実施態様のいずれか1つに記載の少なくとも1つの装置と、適切なパッケージング内の利用のための指示を含む医療用キットに関する。
【0085】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様のいずれか1つに記載の装置を製造する方法であって、
a)生体安定性かつ生体適合性であるポリマーとプリテリビルを混合する工程と;
b)工程a)で得られた混合物を射出成形する工程
を含む方法に関する。鋳型はあらかじめ加熱しておくことができる。
【0086】
別の一実施態様では、本発明は、上記実施態様のいずれか1つに記載の装置を製造する方法であって、
a)生体安定性かつ生体適合性である熱可塑性材料とプリテリビルを混合する工程と;
b)工程a)で得られた混合物を射出成形する工程
を含む方法に関する。鋳型はあらかじめ加熱しておくことができる。
【0087】
さらに別の実施態様では、0.1~50 mg(例えば25 mg)または250~500 mg(例えば400 mg)のプリテリビルを含有するヒトサイズ(例えば外径56 mm×内径7.6 mm)のマトリックス型でシリコーンエラストマー製または熱可塑性材料製の膣リングを、薬+シリコーン混合物の反応射出成形によって作製した。例えばプリテリビルを計量し、パートA(40 g)およびパートB(40 g)のDDU-4320シリコーンエラストマーとともに、ポリプロピレン製Speedmixer容器に入れることができる。混合した後、混合物を移し、射出成形機に取り付けてあらかじめ加熱しておいた特注リング鋳型の中に注入することができる。その後、硬化したリングを鋳型から取り出すことができる。
【0088】
さらに別の一実施態様では、本発明は、HSV-1またはHSV-2によって起こる性器ヘルペスの感染症を治療または予防/抑制する方法、またはHSV-1またはHSV-2によって起こる性器ヘルペスの伝染を予防/抑制する方法、またはHSV-1またはHSV-2によって起こる性器ヘルペスの獲得を予防する方法に関するものであり、この方法は、この方法を必要とする対象に、上記実施態様のいずれか1つに記載の装置を適用することを含んでいる。
【0089】
本発明のさらに別の一実施態様は、HSV亜型1または2の感染症の発生を治療または抑制する方法、またはHSV-1またはHSV-2の感染症の伝染を抑制する方法であり、この方法は、この方法を必要とする対象に本発明の装置を適用して有効量のプリテリビル遊離塩基またはプリテリビルメシラート塩を提供することを含んでいる。
【0090】
さらに別の一実施態様では、本発明は、適切な容器内の上記実施態様のいずれか1つに記載の少なくとも1つの装置と、適切なパッケージング内の利用のための指示を含む医療用キットに関する。
【0091】
実験
【0092】
プリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩のためのプリテリビル放出膣リングの潜在力を評価する予備研究がこれまで実施されてきた。プリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩の両方とも、25 mgと400 mgの装填量で、DDU-4320医学グレードの追加硬化シリコーンエラストマーから製造されたマトリックス型膣リングにうまく組み込むことができた。硬化の問題はまったく観察されず、DSC分析から、結晶化した薬がリングの中に存在することが確認された(プリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩の両方)。インビトロでの放出の研究から、プリテリビルがリングから放出されることと、膣リング装置を用いたプリテリビルの持続的放出が実現可能であることが示された。
【0093】
プリテリビルを定量するためのHPLC法
【0094】
Agilent 1200シリーズのHPLCシステムを利用してHPLC分析を実施した。このHPLCシステムは、クォータナリHPLCポンプと、自動サンプラーと、インラインDegasser AFユニットと、二重λ吸光度検出器と、カラムヒーターからなる。BDS Hypersil C18(Thermo Scientific社)カラム(長さ150 mm、内径4.6 mm、粒径3μm)を使用した。移動相は、45%の1%w/v氷酢酸と55%のメタノールからなり、それを1 ml/分の流速でアイソクラティックに注入した。サンプルの注入体積は25μlであり、カラムの温度は25℃であり、検出は280 nmで実施した。この方法を実施した時間は5分間であった。
【0095】
示差走査熱量測定分析
【0096】
DSCQ100(TA Instruments社)を標準的な加熱速度モードで用いてシリコーンエラストマーサンプルの中のプリテリビルの示差走査熱量測定(DSC)を実施した。サンプルをアルミニウム製パンの中で室温から300℃まで10℃/分で加熱した。
【0097】
熱重量分析
【0098】
TGA Q200装置(TA Instruments社)を標準的な加熱速度モードで用いてプリテリビル遊離塩基の熱重量分析(TGA)を実施した。サンプルをアルミニウム製パンの中で室温から300℃まで10℃/分で加熱した。すべてのサンプルをトリプリケートで調べた。
【0099】
マトリックス型シリコーンエラストマー製膣リングの作製
【0100】
25 mgまたは400 mgのプリテリビルを含有するヒトサイズ(外径56 mm×内径7.6 mm)のマトリックス型シリコーンエラストマー製膣リングを、薬+シリコーン混合物の反応射出成形によって作製した。25 mgのリングに関しては、272 mgのプリテリビル遊離塩基またはプリテリビルメシラート塩を計量し、パートA(40 g)およびパートB(40 g)のDDU-4320シリコーンエラストマーとともに、ポリプロピレン製Speedmixer容器に入れた。(Speedmixer DAK 150 FVZ-K;3000 rpmで30秒間)混合した後、混合物を60 mlの使い捨てプラスチック製注射器に移し、実験室スケールの射出成形機に取り付けてあらかじめ加熱しておいた(90℃)特注2キャビティリング鋳型の中に注入した。3分後、硬化したリングを鋳型から取り出した。400 mgのリングに関しては、4325 mgのプリテリビル遊離塩基またはプリテリビルメシラート塩を計量した。各タイプのリングのサンプルを4つ作製した。
【0101】
インビトロでの放出法
【0102】
プリテリビルリングを個別に、100 mlのイソプロパノール/H2Oを収容した別々のストッパ付きガラス製フラスコに入れた。これらのフラスコを、振盪させているオービタルシェイカー(37℃、60 rpm)の中に配置した。放出媒体を14日間の期間にわたって24時間ごとにサンプリングし(約5 ml)、各サンプリングの時点でこの100 mlの放出媒体を全面的に交換してシンク条件を維持した。HPLC-UV法を利用してサンプル中のプリテリビル遊離塩基またはプリテリビルメシラート塩の濃度を定量した。
【0103】
HPLCクロマトグラム
【0104】
図1は、1:1イソプロパノール/H2O混合物の中のプリテリビル遊離塩基(A)とプリテリビルメシラート塩(B)の8μg/ml溶液に関する代表的なHPLCクロマトグラムを示している。各クロマトグラムの主要なピークは、プリテリビル遊離塩基(クロマトグラムA)とプリテリビルメシラート塩(クロマトグラムB)をそれぞれ表わしている。特徴的なピークが示されており、図1Aでは2.887分の位置に最大のピークがあり、図1Bでは2.884分の位置に最大のピークがある。
【0105】
DSCとTGAのデータ
【0106】
単独のプリテリビルと、シリコーンエラストマーの中のプリテリビルに関するDSCのトレースを図2図3に示してある。開始温度(℃)と、ピーク温度(℃)と、各融解ピークに関するエンタルピー(ΔH、J/g)の値を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
プリテリビルは2つの熱転移を示す。すなわち118℃の位置にある(結晶化による溶媒の損失および/または多形転移に帰される)より小さな転移と、206℃の位置にある主要な結晶融解である(図2)。熱分解はほぼ215℃で始まることが、TGA曲線での大きな質量損失によって証明される(図2)。プリテリビル遊離塩基をシリコーンエラストマーの中に10%w/wの濃度で組み込むと、まったくよく似た熱的挙動が観察される(図3)。205℃の位置にある一次結晶融解転移は、リングのマトリックス内にプリテリビル遊離塩基が少なくとも部分的に分散された状態で(すなわち結晶状態の固体として)存在することの確認となっている。プリテリビル遊離塩基+シリコーンのサンプルでは(供給されたそのままの状態の)プリテリビル遊離塩基と比べて熱流が減少している。供給されたプリテリビルメシラート塩材料は110~170℃の範囲にわたる非常に広い転移を示し(図4)、薬の分解は210℃超である証拠があった。合わせて示されているTGAデータ(図4)に基づくと、この広い転移は2つのプロセスに起因するように見える。すなわち、120℃と160℃の間の溶媒損失(TGA曲線における質量損失に注意されたい)と、その後の170℃での結晶性プリテリビルメシラート塩の融解(TGA曲線に質量損失はない)である。同じ熱転移が、プリテリビルメシラート塩+シリコーンのサンプルでもたいてい観察される(図5)。これも、結晶性プリテリビルメシラート塩がシリコーンエラストマーの中に存在することを示唆している。これらの曲線をよりよく解釈するには、薬材料と、その薬材料が再結晶化してくる溶媒に関するさらなる情報が必要であると考えられる。好ましいことに、シリコーンエラストマーの中にプリテリビルを組み込んでもこの化合物の結晶の性質には影響しないことが判明した。結晶化した薬がポリマーの中で溶解した後、その溶解した薬がポリマー全体に浸透することが関係しているように見える。
【0109】
インビトロでの放出データ
プリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩は、マトリックス型シリコーンエラストマー製膣リングから効果的に放出された。さまざまな1日放出量と時間の関係を示すグラフ(図6A)は、典型的なマトリックス型挙動を示していて、リングの即時的放出特性に帰される1日目の比較的大きなバーストと、それに続く日々の着実に減少していく量での放出を含んでいるため、持続的放出の潜在力があることが確認される。放出は、初期薬装填量と薬のタイプの両方に強く依存しており、次のような順位になることが観察された:400 mgのプリテリビル遊離塩基>400 mgのプリテリビルメシラート塩>25 mgのプリテリビル遊離塩基>25 mgのプリテリビルメシラート塩。累積放出量と時間の関係を示すグラフ(図6B)と、累積放出量と時間の平方根の関係を示すグラフ(図6C)を、1日放出量のデータから構成した。累積放出量と時間の平方根の関係を示すグラフ(図6C)で観察された直線的プロファイル(R2≧0.995)は、リングからのプリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩の放出がt1/2動力学に支配されていることを示している。これは、薬放出機構が浸透(拡散)に制御されていることを示している。リングからのプリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩の放出に関する累積値を表2に提示する。好ましいことに、本明細書に例示したリングを用いると、プリテリビルの持続的放出を少なくとも2週間にわたって実現することが可能である。
【0110】
【表2】
【0111】
この研究の結果から明らかにわかるのは、シリコーンエラストマー製膣リング装置から1日目に他の日よりも多い量のプリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩がただちに放出され、その後は制御された持続的放出が続くことである。得られたインビトロでの放出プロファイルはマトリックス型装置の典型であり、薬がポリマーマトリックスの中に飽和濃度を超えて存在している。固体薬粒子はリング内でリザーバを提供しており、溶解して、放出された薬分子を補充する。その結果として「時間の平方根」での薬放出動態になることが、累積放出量と時間の平方根の関係が直線状プロットになることから確認される。PKデータに基づくと、明らかにプリテリビルメシラート塩が、膣リングで投与する薬の好ましい形態である。遊離塩基の形態のプリテリビルはメシラート塩の形態よりも疎水性であるため、シリコーンエラストマーの中での溶解度が驚くほど大きくなり、そのことによってシリコーンエラストマーマトリックス全体への浸透率が上昇すると考えられる。
【0112】
霊長類で膣リングを用いたプリテリビル遊離塩のPK研究
研究設計
この研究は、第1相と第2相の後のサンプリング期間が28日間である4つの単一投与相で実施した(投与と投与の間に7日間の休薬期間)。膣リングを、プリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩について、器具ごとに2つの用量レベルで調べた。試験物質は、雌のサルに第1相と第2相で膣リングとして適用した。この研究設計を下記の表3に示す。
【0113】
【表3】
【0114】
以下の段落に記載されているようにして血液、膣液、組織をサンプリングして濃度を求めた。
【表4】
【0115】
試験物質と器具
器具、試験物質、薬装填量、バッチ番号を下の表に示す。
【表5】
【0116】
薬物動態のための血液採取
静脈血サンプルをすべての動物から、投与後の下記の時点で採取した。
【表6】
【0117】
膣液のサンプリング
膣液サンプルをすべての動物から、投与後の下記の時点で採取した。
【表7】
【0118】
サンプリングは、Weck-Cel(登録商標)スポンジによって実施した(膣内の所定の位置に1分間保持した後、サンプリングの直後に収容チューブに移した)。サンプルの回収前と回収後にすべてのWeck-Cel(登録商標)スポンジと収容チューブを計量し、回収された膣液サンプルの重量を評価した。Weck-Cel(登録商標)スポンジを膣液サンプリングのためにあらかじめ湿らせておくことはしなかった。サンプルに大まかにラベルを付け、分析まで、個別に、15 mlのポリプロピレン管の中に冷凍保管した(-20℃未満)。
【0119】
陰門と膣の生検
陰門と膣の生検をすべての動物から、投与後の下記の時点で採取した。
【表8】
【0120】
サンプリングのため、適切な生検器具を用いて生検を採取した。生検サンプルをドライアイスの上で瞬間凍結させた後に回収し、分析まで冷凍保管した(-20℃未満)。
【0121】
サンプルの分析
【0122】
血漿サンプルと膣サンプルを適度に希釈した後、1.8μmの粒子を有するUPLCシステムWaters Acquity UPLC-HSS PFPカラム(100×2.1 mm)で、0.1%ギ酸と、0.1%ギ酸を含有するメタノールを用いた勾配溶離によって分析した。検出のため、飛行時間質量分析器(Xevo GS-2 QTOF、Waters社)を正のイオン化モード(MSe分析)で操作した。サンプルのプリテリビル遊離塩基の含量を分析した。
【0123】
結果
【0124】
本研究は、雌のカニクイザルの膣内にリングを1回だけ適用した後、血漿と膣液/膣組織の中で変化しなかった試験化合物の濃度の経時変化に関する情報を取得するために設計された。本研究の目的は、プリテリビルを装填したリングの安全性と耐忍性のほか、全身曝露と局所的曝露(それぞれ血漿、膣液、膣組織、陰門組織)を明らかにすることであった。局所的曝露をプリテリビルのインビトロでの効率データと比較することで、膣リングのための初期薬物動態/薬力学(PK/PD)パラメータに関する着想を得た。すなわちプリテリビルを装填したリングが標的組織の中でウイルスの複製を抑制する潜在能力を評価した。表9に、HSV-1とHSV-2に関するプリテリビルのEC50値の概要を示す。データの出典:Field, H.J.他「ヘリカーゼ-プリマーゼ阻害剤プリテリビルに対するHSV-1とHSV-2の臨床単離体と特定のアシクロビル耐性株のベースライン感度」Antiviral Res、2013年、第100巻(2):297~299ページ。EC50=50%有効濃度。
【0125】
【表9】
【0126】
40 mgまたは400 mgのプリテリビル遊離塩基と、49.6 mgまたは297 mgのプリテリビルメシラート塩が装填されたリングとして挿入されるプリテリビルの一回膣用量により、臨床徴候または体重にいかなる有害な所見も見られなかった。研究の第1相と第2相において、40 mgまたは400 mgのプリテリビル遊離塩基(群1)、または49.6 mgまたは297 mgのプリテリビルメシラート塩(群2)を含有する膣リングを雌のサルに適用した後の28日間まで、血漿と、膣液と、膣組織の中のプリテリビルの濃度を求めた。プリテリビルの血漿濃度はすべて、小さなナノモルの範囲(132 nM未満、または54μg/l未満)であることが見いだされた。最大血漿濃度に達したのは、膣リングを適用してから2~4日後であった。その後は濃度が4日目(第1相)または10日目(第2相)まで低下し、プラトーに達した。その後は、血漿濃度は14日目またはそれ以降(例えば28日目)まで変化しないままであった。
【0127】
血漿濃度は個体間で大きな変動を示し、変動係数は90%に達した。血漿濃度は用量に依存して上昇することが見いだされたが、両方の試験物質で、用量に比例して上昇するほどではなかった。したがってカニクイザルでのプリテリビルの全身曝露は、マトリックス型リングを用いてプリテリビル遊離塩基またはプリテリビルメシラート塩を1回だけ膣内投与した後には少ないことが見いだされた。その一方で、望んでいたように、組織濃度はEC50よりも大きかった。プリテリビル遊離塩基またはプリテリビルメシラート塩を含有する即時的放出リングを膣内に適用した後に、典型的な濃度-時間プロファイルを膣液で観察することができた。最大濃度はリングを適用した直後に見られた。濃度は4日目~10日目まで着実に低下し、プラトーに達した。膣液中のプリテリビルの濃度は、両方の試験物質に関し、第1相から第2相へと用量に比例する以上に上昇することが見いだされた。
【0128】
膣内リングを適用してから28日後に膣生検と陰門生検を採取した。生検は抽出前には計量しなかったため、重量は、生検に関して同じ設定を用いた同様の研究からのデータに基づいて推定した。この研究から、生検重量の最小値、最大値、平均値を計算に用いた。これら生検の重量は0.7~6.3 mgの範囲であり、平均値は2.95 mgであった。すべての計算で1 kgの組織は1lの水と同等であると見なした。
【0129】
第1相では、プリテリビル遊離塩基またはプリテリビルメシラート塩を含有する膣リングを適用した後の膣組織と陰門組織で同等の濃度が見いだされた。第2相では、6倍大きい用量によってプリテリビル遊離塩基については膣組織で2倍大きい濃度になり、プリテリビルメシラート塩については膣組織で10倍大きい濃度になった。陰門組織での濃度は同様に上昇した。
【0130】
一般に、血漿、膣液、膣組織の中のプリテリビルの濃度は、プリテリビルメシラート塩を含有する膣リングを適用した後のほうが、プリテリビル遊離塩基を含有する膣リングを適用した後よりも大きいことが見いだされた。遊離塩基は、メシラート塩よりも低い血漿濃度を示した。これは、少ない全身曝露だけが望ましい場合の1つの利点である。
【0131】
【表10】
【0132】
【表11】
【0133】
【表12】
【0134】
【表13】
【0135】
【表14】
【0136】
【表15】
【0137】
【表16】
【0138】
【表17】
【0139】
【表18】
【0140】
【表19】
【0141】
本発明の実施態様
1.プリテリビルを膣内に投与するための装置。
2.プリテリビルが、プリテリビル遊離塩基とプリテリビルメシラート塩を含むグループから選択される、実施態様1に記載の装置。
3.プリテリビル遊離塩基および/またはプリテリビルメシラート塩を含む組成物を含む、実施態様1に記載の装置。
4.生体安定性かつ生体適合性であるポリマーマトリックスを含む、実施態様1~3のいずれか1つに記載の装置。
5.シリコーンエラストマーを含む生体安定性かつ生体適合性であるポリマーマトリックスを含む、実施態様1~4のいずれか1つに記載の装置。
6.膣内リングである、実施態様1~5のいずれか1つに記載の装置。
7.プリテリビルの即時的放出に適している、実施態様1~6のいずれか1つに記載の装置。
8.プリテリビルの持続的放出に適している、実施態様1~6のいずれか1つに記載の装置。
9.プリテリビルの制御された放出に適している、実施態様1~6のいずれか1つに記載の装置。
10.プリテリビルの即時的かつ持続的な放出に適している、実施態様1~6のいずれか1つに記載の装置。
【0142】
11.プリテリビルの即時的かつ制御された持続的放出に適している、実施態様1~6のいずれか1つに記載の装置。
12.プリテリビルを少なくとも25 mg、または少なくとも30 mg、または少なくとも40 mg、または少なくとも50 mg、または少なくとも75 mg、または少なくとも100 mg、または少なくとも150 mg、または少なくとも200 mg、または少なくとも225 mg、または少なくとも230 mg、または少なくとも240 mgの合計量で含む、実施態様1~11のいずれか1つに記載の装置。
13.実施態様1~7と10~12のいずれか1つに記載の装置において、この装置がプリテリビルの即時的放出に適していて、0.03μM以上という抗単純ヘルペスウイルスに有効な濃度EC50が、この装置を膣液内に適用してから24時間後に測定される、装置。
14.実施態様1~8と10~13のいずれか1つに記載の装置において、この装置がプリテリビルの即時的かつ持続的な放出に適していて、0.03μM以上という抗単純ヘルペスウイルスに有効な濃度EC50が、この装置を膣液および/または膣組織および/または陰門組織の中に適用した後の少なくとも7日間にわたって測定される、装置。
15.プリテリビルが、0.01%w/w~40.0%w/w、0.1%w/w~20.0%w/w、0.25%w/w~10.0%w/w、0.25%w/w~7.5%w/w、0.25%w/w~1.0%w/wを含む範囲のグループから選択された量で存在する、実施態様1~14のいずれか1つに記載の装置。
16.プリテリビルが0.3%w/w~5.5%w/wの範囲から選択された量で存在する、実施態様1~15のいずれか1つに記載の装置。
17.実施態様1~16のいずれか1つに記載の装置において、この装置を受け入れた個人の血漿サンプル中のプリテリビルの濃度が、この装置を適用した後の1~28日間の期間に、100 nM以下、または50 nM以下、または30 nM以下、または20 nM以下、または10 nM以下である装置。
18.実施態様1~17のいずれか1つに記載の装置において、プリテリビルの血漿濃度が、この装置を適用した後の1~28日間の期間に、50 nM以下、または30 nM以下、または20 nM以下、または10 nM以下である装置。
19.実施態様1~18のいずれか1つに記載の装置において、膣液、または膣組織、または陰門組織の中のプリテリビルの濃度が、この装置を適用した後の1~28日間の期間に、0.1~3,000μMの範囲である装置。
20.実施態様1~19のいずれか1つに記載の装置において、0.1~500.0μgの1日用量が、この装置を患者に適用した後の2日目~14日目の期間にこの装置(リング)から放出される、および/または0.1~50.0μgの1日用量が、この装置を患者に適用した後の14日目~28日目の期間にこの装置(リング)から放出されることを特徴とする装置。
【0143】
21.実施態様1~20のいずれか1つに記載の装置において、この装置を適用した後、膣組織の中に0.001~750μMの濃度のプリテリビル、および/または膣組織1 g当たり約2.0~250μgのプリテリビルが28日間存在することを特徴とする装置。
22.少なくとも1つの追加活性成分を含む、実施態様1~21のいずれか1つに記載の装置。
23.抗ウイルス剤、抗炎症剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗生剤、ホルモンのグループから選択された少なくとも1つの追加活性成分を含む、実施態様1~22のいずれか1つに記載の装置。
24.少なくとも1つの追加抗ウイルス活性成分を含み、その成分が、HSV抗ウイルス剤、HIV抗ウイルス剤を含むグループから選択されるか、HSV抗ウイルス剤とHIV抗ウイルス剤の両方である、実施態様1~23のいずれか1つに記載の装置。
25.前記HSV抗ウイルス剤の選択が、バラシクロビル、アシクロビル、ファムシクロビル、ペンシクロビル、ガンシクロビル、グリシルリチン酸とその誘導体、セイヨウニワトコ、プロポリス、L-リシン、ドコサノール、バルガンシクロビル、これらの塩、これらの溶媒和物、これらの組み合わせを含むグループからなされる、実施態22~24のいずれか1つに記載の装置。
26.前記HIV抗ウイルス剤の選択が、テノフォビル、エムトリシタビン、ラミブジン、エファビレンズ、ラルテグラビル、ドルテグラビル、マラビロク、リルピリビン、これらの塩、これらの溶媒和物、これらの組み合わせを含むグループからなされる、実施態様22~24のいずれか1つに記載の装置。
27.HPLCによって求めたとき、イソプロパノール:H2Oの1:1 Vol/Vol溶液の中のプリテリビルをインビトロで1日目に10.0~500.0μgおよび/または14日後に10.0~125μgの量で放出する、実施態様1~26のいずれか1つに記載の装置。
28.HPLCによって求めたとき、イソプロパノール:H2Oの1:1 Vol/Vol溶液の中のプリテリビルをインビトロで0.1~500.0μg/日の割合で放出する、実施態様1~27のいずれか1つに記載の装置。
29.性器ヘルペスイルス感染症を治療および/または予防する方法で使用するための、前記実施態様のいずれか1つに記載の装置。
30.性器ヘルペスイルスの伝染を治療および/または予防する方法で使用するための、前記実施態様のいずれか1つに記載の装置。
【0144】
31.前記性器ヘルペスイルスが単純ウイルス目から選択される、性器ヘルペスイルス感染症を治療および/または予防する方法で使用するための実施態様29と30に記載の装置。
32.前記単純ウイルスが、単純ヘルペスウイルス1と単純ヘルペスウイルス2から選択される、性器ヘルペスイルス感染症を治療および/または予防する方法で使用するための実施態様29~31に記載の装置。
33.ウイルス排出と性器病変と再発が抑制される、性器ヘルペスイルス感染症を治療および/または予防する方法で使用するための実施態様29~32に記載の装置。
34.性器ヘルペスイルス感染症を治療および/または予防する方法で使用するための実施態様29~33に記載の装置において、この装置が、それを必要とする患者に適用するためのものであり、その患者の選択が、性器ヘルペスイルス感染症であると診断された女性、HSV血清陽性である女性、性器ヘルペスイルス感染症にかかっていることが疑われる女性、生殖管の細菌感染症または真菌感染症、または生殖管の非ヘルペスウイルス感染症にかかっているか、かかっていることが疑われる女性、妊娠することを望む女性、妊娠している女性、生殖管の感染症(特に単純ヘルペスウイルス感染症)にかかっていると診断されたか、かかっていることが疑われる男性との性交がある女性、臓器移植のレシピエントであるか臓器移植を受ける予定の女性、免疫が抑制されている女性、臓器移植のレシピエントであるか臓器移植を受ける予定の男性との性交がある女性、臓器移植のレシピエントであるか臓器移植を受ける予定である、または免疫が抑制されている0~18歳の子どもがいる女性、HIV感染症またはHPV感染症にかかっている女性のグループからなされる、装置。
35.第1の装置が適用され、14~28日後に、その装置と置換されて少なくとも1つのさらに別の装置が適用され、その後の各装置は、14~28日後に、直前に適用された装置と置換されて適用される、性器ヘルペスイルス感染症を治療および/または予防する方法で使用するための実施態様29~34に記載の装置。
36.単純ヘルペス1型または2型によって起こる性器ヘルペスの感染症を治療または予防/抑制する方法、または単純ヘルペス1型または2型によって起こる性器ヘルペスの伝染を予防/抑制する方法、または単純ヘルペス1型または2型によって起こる性器ヘルペスの獲得を予防する方法であって、この方法を必要とする対象に、前記実施態様のいずれか1つに記載の装置を適用することを含む方法。
37.適切な容器内の前記実施態様のいずれか1つに記載の少なくとも1つの装置と、適切なパッケージング内の利用のための指示を含む医療用キット。
38.前記実施態様のいずれか1つに記載の装置を製造する方法であって、
a)生体安定性かつ生体適合性であるポリマーとプリテリビルを混合する工程と;
b)工程a)で得られた混合物を射出成形する工程
を含む方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11