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特許7210532金属被覆された布帛の加熱毛布、およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】金属被覆された布帛の加熱毛布、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/34 20060101AFI20230116BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20230116BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
H05B3/34
H05B3/20 391
H05B3/10 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020500005
(86)(22)【出願日】2018-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2018022264
(87)【国際公開番号】W WO2018170020
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/471,103
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/841,044
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519333778
【氏名又は名称】エンコンパス・グループ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ジェームス・ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ケリー・テレル
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ベラン
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0191164(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0072113(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0299442(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0041980(KR,A)
【文献】米国特許第04912306(US,A)
【文献】特開2007-183036(JP,A)
【文献】特開2011-097976(JP,A)
【文献】特開2003-163070(JP,A)
【文献】特開2013-223624(JP,A)
【文献】米国特許第6770854(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第105640178(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00- 3/86
A47G 9/00- 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着金属層を有する第1の布帛と;
前記第1の布帛に連結された電気抵抗加熱素子と;
前記電気抵抗加熱素子を被覆し、前記第1の布帛の反対側に位置する電気絶縁性の第2の布帛と
前記電気抵抗加熱素子に電気的に連結された電気制御回路と
を含
前記第1の布帛は、前記蒸着金属層の第1の表面を覆う第1の熱可塑性層と、前記蒸着金属層の前記第1の表面から反対に配置された前記蒸着金属層の第2の表面を覆う電気絶縁性の第2の熱可塑性層と、電気絶縁性のスパンボンド熱可塑性不織布材料層とを、この順に含み、
前記電気抵抗加熱素子は、導電性インク加熱素子であり、炭素ベール材料と、導電性インクサイドレールと、電気絶縁性スパンボンド材料層と、下部導電性ストリップと、側部導電性ストリップとを含み、
前記炭素ベール材料は、ランダムに配向した炭素繊維のシートまたはマットからなり、前記第1の布帛に接合されており、前記電気絶縁性スパンボンド材料層に接着されており、抵抗熱を生成し、
前記導電性インクサイドレールは、ニッケルまたは銀インクからなり、前記炭素ベール材料の両側縁に配置されており、
前記下部導電性ストリップは、前記炭素ベール材料の底縁部に取り付けられており、前記導電性インクサイドレールに電気的に接続されており、
前記側部導電性ストリップは、前記導電性インクサイドレールに縫いつけられ、前記導電性インクサイドレール及び前記下部導電性ストリップと電気的に接触している、
前記加熱毛布。
【請求項2】
前記電気抵抗加熱素子と前記第1の布帛の間に位置する電気絶縁性の第3の布帛をさらに含む、請求項1に記載の加熱毛布。
【請求項3】
前記側部導電性ストリップおよびは導電性箔からなる、請求項1に記載の加熱毛布。
【請求項4】
前記電気絶縁性の第2の布帛はスパンボンド材料である、請求項1に記載の加熱毛布。
【請求項5】
前記電気絶縁性の第3の布帛はスパンボンド材料である、請求項2に記載の加熱毛布。
【請求項6】
前記電気絶縁性の第2の布帛はスパンボンド材料である、請求項に記載の加熱毛布。
【請求項7】
前記電気抵抗加熱素子は、導電性インクストリップを介して電気的にともに連結される複数の電気抵抗加熱素子を含む、請求項1に記載の加熱毛布。
【請求項8】
加熱毛布であって、
蒸着金属層を被覆する外向き熱可塑性層を有する金属被覆された布帛と;
前記金属被覆された布帛に連結された導電性インク電気抵抗加熱素子と;
前記導電性インク電気抵抗加熱素子を被覆し、前記金属被覆された布帛から反対側に配置された第1の電気絶縁性布帛と
前記導電性インク電気抵抗加熱素子に電気的に連結された電気制御回路と
を含
前記金属被覆された布帛は、前記蒸着金属層の第1の表面を覆う電気絶縁性の第1の熱可塑性層と、前記蒸着金属層の前記第1の表面から反対に配置された前記蒸着金属層の第2の表面を覆う電気絶縁性の第2の熱可塑性層と、電気絶縁性のスパンボンド熱可塑性不織布材料層とを、この順に含み、
前記電気抵抗加熱素子は、導電性インク加熱素子であり、炭素ベール材料と、導電性インクサイドレールと、電気絶縁性スパンボンド材料層と、下部導電性ストリップと、側部導電性ストリップとを含み、
前記炭素ベール材料は、ランダムに配向した炭素繊維のシートまたはマットからなり、前記金属被覆された布帛に接合されており、前記電気絶縁性スパンボンド材料層に接着されており、抵抗熱を生成し、
前記導電性インクサイドレールは、ニッケルまたは銀インクからなり、前記炭素ベール材料の両側縁に配置されており、
前記下部導電性ストリップは、前記炭素ベール材料の底縁部に取り付けられており、前記導電性インクサイドレールに電気的に接続されており、
前記側部導電性ストリップは、前記導電性インクサイドレールに縫いつけられ、前記導電性インクサイドレール及び前記下部導電性ストリップと電気的に接触している、
前記加熱毛布。
【請求項9】
前記導電性インク電気抵抗加熱素子と前記金属被覆された布帛の間に位置する第2の電気絶縁性布帛をさらに含む、請求項1に記載の加熱毛布。
【請求項10】
前記側部導電性ストリップはアルミニウム箔からなる、請求項8に記載の加熱毛布。
【請求項11】
前記第1の電気絶縁性布帛はスパンボンド材料である、請求項に記載の加熱毛布。
【請求項12】
前記第2の電気絶縁性布帛はスパンボンド材料である、請求項に記載の加熱毛布。
【請求項13】
前記第1の電気絶縁性布帛はスパンボンド材料である、請求項12に記載の加熱毛布。
【請求項14】
前記導電性インク電気抵抗加熱素子は、導電性インクストリップを介して電気的にともに連結される複数の電気抵抗加熱素子を含む、請求項に記載の加熱毛布。
【請求項15】
上記請求項1または8に記載された加熱毛布の製造方法であって:
(A)蒸着金属被覆された布帛を用意する工程と;
(B)電気抵抗加熱素子を作製する工程と;
)電気抵抗加熱素子を該蒸着金属被覆された布帛に連結する工程と;
)該電気抵抗加熱素子上に第1の電気絶縁性布帛を連結する工程と;
)電気制御回路を該電気抵抗加熱素子に連結する工程と
を含む、前記加熱毛布の製造方法。
【請求項16】
電気抵抗加熱素子は蒸着金属被覆された布帛上に堆積される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第2の電気絶縁性布帛は、蒸着金属被覆された布帛と電気抵抗加熱素子の間に提供される、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
電気抵抗加熱素子は第2の電気絶縁性布帛上に堆積される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
出願人は、2017年3月14日に出願された、「Metalized Fabric Heating Blanket」と題する米国仮特許出願第62/471,103号、および2017年12月13日に出願された、「Metalized Fabric Heating Blanket」と題する米国特許出願第15/841,044号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、加熱毛布、より詳細には、金属被覆された布帛を用いた加熱毛布、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
何世紀にもわたり、断熱性の毛布などが作られてきた。そのような毛布は、伝統的に羊毛か綿布製であった。これらの材料は、ある程度の保温特性を提供してきたが、これらはそのような課題に最適ではない。
【0004】
毛布および衣類を金属被覆された材料で作製して、赤外線熱反射機能という追加の利点を提供し、それによって、人からの熱損失をよりよく防止できることが、最近発見された。これらの製品は、屋外用毛布、医療患者の覆い、または体温の維持が所望される他の衣類として使用することができる。しかしながら、これらの金属被覆された布帛は、通常堅く、肌触りが柔軟ではない。
【0005】
Encompass Group,LLCは、長年Thermoflectという商品名で金属被覆された布帛材料を提供してきた。この金属被覆された布帛には、ともに接合されて布帛を形成する4つの個別の層がある。これらの4つの層には、透明なポリエチレン層、蒸着させたアルミニウム層、第2のポリエチレン層および滑らかな表面のスパンボンドポリプロピレン層が含まれ、これらの層は、外面から布帛を組み込んだ物品を着用する人に面している内面に向かって順に記載されている。肌触りが柔軟で、剛性が低く良好なドレープ特性および嵩高特性をもたらす金属被覆された布帛材料があることが望ましいと考えられる。より迅速かつ効率的な方法で人を暖めるための補助加熱を提供することも望ましいと考えられる。
【0006】
補助加熱を提供する1つの方法は、電気抵抗加熱素子を毛布に連結することである。加熱素子に電流を通じると、人を暖めるために利用される熱が生成される。これらの電気加温毛布に関する問題は、それらが効率的ではないということである。別の問題は、熱が加熱素子の領域に集中するので、不均一な加温領域が生じることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
人に使用するのに従来技術の加温毛布に比べてより適するように、より効率的に、時間をかけずに、均一な熱を人に提供する加温毛布を提供することは、有益なはずである。したがって、本発明は主としてその提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい形態では、加熱毛布は、金属層を有する第1の布帛と、第1の布帛に連結された電気抵抗加熱素子と、電気抵抗加熱素子を被覆し、第1の布帛の反対側に位置する電気絶縁性の第2の布帛とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の原理を好ましい形態で具体化する加温毛布の斜視図である。
図2図1の加温毛布の一部の断面図である。
図3図1の加温毛布の一部の上面図である。
図4図1の加温毛布の平面図である。
図5】本発明の原理を別の好ましい形態で具体化する加温毛布の平面図である。
図6図5の加温毛布の一部の断面図である。
図7】別の好ましい実施形態における加温毛布の一連の上面図である。製造工程を示している。
図8】別の好ましい実施形態における加温毛布の一連の上面図である。製造工程を示している。
図9】別の好ましい実施形態における加温毛布の一連の上面図である。製造工程を示している。
図10】別の好ましい実施形態における加温毛布の一連の上面図である。製造工程を示している。
図11】別の好ましい実施形態における加温毛布の一連の上面図である。製造工程を示している。
図12】別の好ましい実施形態における加温毛布の一連の上面図である。製造工程を示している。
図13図7図12に示される加温毛布の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に図面を参照すると、本発明の原理を好ましい形態で具体化する金属被覆された布帛10で部分的に作製された加温毛布8が示されている。加温毛布8は、材料で覆われているかまたは、材料を着用している人(患者)から離れる方に面するよう意図された下面11と、人(患者)に面するように意図された上面12とを有する。金属被覆された布帛は、透明な熱可塑性(例えばポリエチレン)材料の第1の層15と、蒸着させたアルミニウム材料(固体の金属被覆された層)の第2の層16と、熱可塑性(例えばポリエチレン)材料の第3の層17と、嵩高くふわふわしたスパンボンド熱可塑性(例えばポリプロピレン)不織布材料の第4の層18とを含んでいる。第1の層15の外面は布帛の下面11を構成し、第4の層18の外面は上面12を構成している。
【0011】
加温毛布8はまた、第3の層17と第4の層18の間に位置する抵抗加熱部30を含む。抵抗加熱部30は、加温毛布31および金属被覆された布帛10の周辺部または外縁から遠位に位置し、その結果、周辺マージン32がその間に形成される。
【0012】
抵抗加熱部30は、図4に最もよく示されるように、各加熱素子34が横方向に延在する長手方向アレイに配置されたヒータートレース抵抗器または加熱素子34を有する。加熱素子34は、所望のパターンで第3の層17上に従来の導電性インクを堆積させることにより形成される。加熱素子34は、加熱素子の端部に連結された一対の導電性テープ35を介して電気的にともに接合されている。導電性テープ35は、銅などの金属で作製することができ、または、導電性テープ35は、追加の導電性インクストリップもしくは導電性素子の任意の他の構成で置き換えることができる。抵抗加熱部30はまた、サーミスタ37または熱電対を含むコントローラへの迅速な接続を可能にする従来のフラットフレックスクリンプピンタイプの接続性、またはカプラ36を含み、加温毛布8の電流および温度を調整することができる。
【0013】
加温毛布8の入力電圧は、100~250VACであってもよく、最大の毛布電力は7W@12VDC~109W@48VDCである。
【0014】
金属被覆された布帛は、抵抗加熱部30を有する熱可塑性材料の第3の層17を、スパンボンド熱可塑性不織布材料の第4の層18に接合することにより製造される。次いで、蒸着させたアルミニウム材料の第2の層16は真空堆積チャンバを介して第3の層17上に堆積または接合される。次いで、第1の層15は、第2の層16の上に押し出されるか接合される。次いで、この層の組合せは、大きな枕状領域のシリーズ、マトリックスもしくはフィールドまたは小さな枕状領域21によって四方を囲まれた領域20を形成するパターンで層をともに封止するコールドカレンダーローラーを通過する。大きな枕状領域20は、長さが約3/16インチの長手方向長さLAおよび約2/16インチの横幅LWを有するほぼ楕円形である。封止23自体は、いくつかの非接合セグメント24によって形成されているため非連続的または断片的であり、封止されていない布帛の領域よりも硬い傾向がある封止を破壊することによって、金属被覆された布帛に、硬さのより少ない風合いをもたらすのに役立つ。すなわち、封止での材料の接合は、封止された領域を硬くする傾向があり、それにより、全体の材料を硬くする傾向があるので、そのドレープ性および嵩高性を低下させる。本発明の金属被覆された布帛は、最小で18%の融着、接合または封止を含む従来技術の材料とは対照的に、材料の約14%で融着、接合または封止されている。
【0015】
人と金属被覆された第2の層16の間の加熱素子の位置は、熱のより均一な分布を提供すると考えられている。加熱素子から発生した熱は、金属被覆された第2の層16によって反射されて人に戻る。したがって、最初に人から引き出された熱は、周囲環境へ失われず、その代り、人を暖めるために使用されるので、これは従来技術に対する歴然とした利点である。
【0016】
金属被覆された布帛の枕は、より高い絶縁品質、より柔らかい風合い、よりよく低減されたギラツキ感、改善されたドレープ性、および改善された嵩高性をもたらすと考えられている。
【0017】
別の発見された利点は、材料の交差方向の引裂き抵抗が改善されたことであった。先に述べた金属被覆された従来のThermoflect材料を本発明の金属被覆された布帛と比較して、試験を行った。本発明の金属被覆された布帛は、435.7の横方向引裂き係数を有することが見出された一方、金属被覆された従来のThermoflect材料は試験された393の横方向引裂き係数を有した。この試験では、耐引裂性の約11パーセント(11%)の改善が示されている。
【0018】
第1の実施形態の代替として、好ましい形態の本発明の第2の実施形態を、図5および図6に示す。ここに、加温毛布40には一体構造として形成されている前述の第1の層15、第2の層16、第3の層17および第4の層18がある。第5の層41は、第4の層18に連結されている。第5の層41は、スパンボンド熱可塑性(例えばポリプロピレン)不織布材料であってもよい。第5の層41は、抵抗加熱部30と、特に導電性インクの形態で第4の層18に面する第5の層41の内面42に接合されるか連結することができる加熱素子34を含む前述のすべての構成要素とを含んでいる。
【0019】
一対の両面テープストリップ44を、第5の層41に貼り付けて、既存の加温毛布に取付けまたは連結することができる。また、必要であれば、電子部品を備えた第5の層41は加温毛布から容易に取り外しまたは剥離することができる。そのため、既存の加温毛布を、静的なまたは厳密に言えば体熱を捕捉する加温毛布から、積極的なまたは能動的な電気抵抗性熱付加加温毛布に変換することができる。その後、加温毛布を、第5の層42および電子部品を取り外すことにより、静的な、体熱を捕捉する加温毛布に再構成することができる。このように、電子部品を取り付けることができ、次いで、電子部品が汚れた場合や使用できなくなった場合に、複数の加温毛布から取り外すことができ、廃棄することができる。この分別廃棄性は、抵抗加熱機能を有する加温毛布の提供に関わる費用を減少させる。
【0020】
患者から離れる方向に最初に放射される加熱素子34からの熱の一部が、第4の層18を通過するときに分散され、第2の層16によって反射され、次いで人に到達する前に第4の層18を再び通過するときにさらに分散するので、この実施形態は、さらに高い量の熱分散または分布を提供すると考えられる。すなわち、熱は人に到達する前に第4の層18を2回通過する。これにより、追加の反射熱が人に戻されるので、導電性加熱素子34の温度を、より低い温度に設定することが可能になる。
【0021】
本明細書で使用される「嵩高い(lofted)」という用語は、毛羽立って膨らんだ(fluffed)、ふわふわした(fluffy)、膨張した(expanded)、膨張した層(expanded layers)などを意味することが意図されていることを理解されたい。また、用語「ふわふわした(billow)」または、「ふわふわした(billowed)」は、隆起した(raised)、浮き彫りにした(embossed)、うねるような起伏のある表面(undulating surface)、嵩高い領域のある(having lofted areas)などを意味することが意図されている。薄い層を利用する場合に熱が集中するのとは対照的に、嵩高い内部材を使用することにより、加熱素子34からの熱と、金属被覆された第2の層16から反射して戻ってくる熱とを、より均一な加熱を提供するように、拡張または拡散できるようになると考えられる。
【0022】
次に図7図13の実施形態を参照すると、本発明の別の好ましい形態の加熱毛布40が示されている。
【0023】
ここで、加熱素子34は、電気絶縁性スパンボンド材料の小さなパッチ53を炭素ベール材料52の外側に面する表面に接着することにより形成され、炭素ベール材料52は、ランダムに配向した炭素繊維のシートまたはマットであってもよい。次いで、炭素ベール材料52は、縫製、接着剤、音波溶接などにより電気絶縁性スパンボンド材料63の第2の層に接着され、これは、後で前述の金属被覆された布帛54に接合される。金属被覆された布帛54は、前述のものとほぼ同じであり、透明な熱可塑性(例えばポリエチレン)材料の第1の層15と、蒸着させたアルミニウム材料(金属被覆された層)の第2の層16と、熱可塑性(例えばポリエチレン)材料の第3の層17と、嵩高くふわふわしたスパンボンド熱可塑性(例えばポリプロピレン)不織布材料の第4の層18とを含んでいる。第3の層17および第4の層18は、電気的に絶縁性であってもよい。
【0024】
次に、ニッケルまたは銀インクで作製することができる導電性インク層56の形態の導電性ストリップが、図7にも示されている薄いストリップまたはサイドレール56として炭素ベール材料52の両側縁に堆積、噴霧、または印刷される。導電性インクサイドレール56は、炭素ベール材料52の異なる深さでランダム導電性繊維を局所的に接続するように作用する。
【0025】
次に図8を参照すると、次いで、下部導電性ストリップ58が、炭素ベール材料52の底縁部に縫い付けられるか、または導電性接着剤もしくは他の接合方法によって取り付けられる。下部導電性ストリップ58は、それぞれ、サイドレール56に電気的に接続される。下部導電性ストリップ58は、アルミニウム箔または他の導電性材料から作製することができる。下部導電性ストリップ58は、炭素ベール材料52から電気的に絶縁されている。下部導電性ストリップ58には、以下により詳細に説明される接続回路基板を受け入れるように、互いに間隔を空けた接続端部60がある。
【0026】
次に図9を参照すると、次いで、側部導電性ストリップ62は、導電性インクサイドレール56と電気的に接触して、導電性インクサイドレール56に縫いつけられる。導電性インクサイドレール56のニッケル境界は、抵抗ドリフトの発生を防ぐ。側部導電性ストリップ62も下部導電性ストリップ58と電気的に接触するように縫い付けられている。
【0027】
次いで、スパンボンド材料63の第2の層は、第4の層(スパンボンド材料)18および/または炭素ベール材料52の周縁部に積層されるか、またはそうでなければ接合され(接着剤、音波溶接など)、それによって、スパンボンド材料の2つの層の間に炭素ベール材料52が挟まれる。スパンボンド材料63の第2の層は、患者の快適さと安全性のために柔軟な外部層を提供しながら、炭素ベール材料52を保護する。スパンボンド材料63の第2の層とスパンボンド材料(金属被覆された布帛)の第1の層の組合せは、本質的に炭素ベールを包囲するかまたは包む包被を作製する。
【0028】
次に図10を参照すると、下部導電性ストリップ58の接続端部60を露出するように、穴または開口部66が金属被覆された布帛54に切り込まれる。次いで、図11に示すように、バッキングプレート68を、開口部66の位置でスパンボンド材料63の第2の層の裏側に、またはその後に毛布の患者側に接着されるスパンボンド材料のパッチに、取り付ける。図13に示すように、バッキングプレート68は、パッチ53に対して面一であるようにスパンボンド材料63の第2の層において、スロットまたはカット67を通過することができる。バッキングプレート68の使用は、サーミスタボードの接触面と下部導電性ストリップ58(クロスレール)との間に圧力を提供するだけでなく、加温毛布の接続点の局所的な支持を提供する。バッキングプレート68は、サーミスタ(サーミスタプレート71)を含んでいるスナップオン回路基板70、または熱電対と係合、嵌合できるように、パッチ53および炭素ベール材料52を貫通して延びるかまたは貫通してパンチ形成される1セットの装着爪69を含んでいる。次いで、回路基板70は、図12および図13に示すように、金属被覆された布帛54の外面に装着され、下部導電性ストリップ58の接続端部60に接続される。回路基板70は、サーミスタが配置されている場所への熱伝達を支援するためにビアホールの大きな配列を含む。接続目的で大きな回路基板を使用すると、加熱布帛(炭素ベール材料)の平均温度がより正確になる。つまり、エラーの可能性を最小限に抑えるために、平均化のために広い範囲にわたって温度が検出される。コネクタハウジング内にサーミスタを収めることができるように、ビアホールは回路基板の上面に熱を伝達する。これにより、操作者の安全のためにサーミスタも保護される。
【0029】
使用に際して、回路基板70を介して電流を制御し、下部導電性ストリップ58の接続端部60に流す。次いで、電流を側部導電性ストリップ62および導電性インクサイドレール56に移動し、そこで、抵抗熱が生成される炭素ベール材料52に流す。金属被覆された布帛は、熱を反射して、熱の均一な分布と、より効率的な使用を生み出す。嵩高い材料層は、熱を拡散して、熱の集中またはホットスポットを防止する。
【0030】
回路基板70は、ばらつきを最小限にするために複数のサーミスタを使用する。サーミスタを回路基板70上に配置することにより、サーミスタを使い捨ての「毛布」または材料被覆部分ではなく、加温毛布50の再使用可能な部分に配置することが可能になる。この配置により、加温毛布の交換コストが削減される。
【0031】
下部導電性ストリップ58および側部導電性ストリップ62の導電性箔を、スパンボンド材料63の第2の層および炭素ベール材料52に縫い付けると、より良好な電気接続が得られると考えられる。また、縫製により、加温毛布のよりよいドレープ性が維持されると考えられる。改善されたドレープ性は、患者の快適さ、効果的な加温、および製造コストの削減にとって重要である。
【0032】
下部導電性ストリップ58、および側部導電性ストリップ62の縫製工程は、非導電性の綿-ポリ混紡糸を使用して達成されることが好ましい。
【0033】
説明は、加温毛布を構築する1つの方法に関するものであることを理解されたい。構築に関与するステップの正確な順序は、本発明を実施している間に異なってもよい。
【0034】
本明細書で使用される縫製、接着剤接合、音波溶接、熱溶接、または任意の他の従来の接合もしくは連結方法は、同等であることを理解されたい。
【0035】
したがって、金属被覆された布帛を使用する加熱毛布およびその製造方法がここで提供され、これは従来技術の加熱毛布に関連した問題を克服することが分かる。当然のことながら、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に具体的に列挙したものに加えて、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態に多くの変更を加えることができることを理解されたい。
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