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特許7210544コンプライアンス、患者遠隔モニタ、及びアドヒアランスを改善するための、オートインジェクタの使用状況をデジタル式にモニタする機器付属品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】コンプライアンス、患者遠隔モニタ、及びアドヒアランスを改善するための、オートインジェクタの使用状況をデジタル式にモニタする機器付属品
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20230116BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20230116BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
A61M5/20
A61M5/315 550A
A61M5/168 500
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020506766
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 US2018045932
(87)【国際公開番号】W WO2019032784
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】62/543,626
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504333972
【氏名又は名称】メディミューン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソング,マイケル,シー.
(72)【発明者】
【氏名】スブラモニー,ジャナルドハナン アナンド
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/118736(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/064691(WO,A1)
【文献】特表2009-530002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/315
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その中に自動注射器(AI)を受け、注入部位における前記AIによる注入の少なくとも1つの特性を感知するようになされた外部アダプタであって、
前記注入の開始時に前記AIにより生成される第一の音声と前記注入の終了時に前記AIにより生成される第二の音声を検出する音声センサと、
前記注入の前記開始時に前記AIにより生成される第一の移動と前記注入の前記終了時に前記AIにより生成される第二の移動を検出する振動センサと、
マイクロプロセッサに接続され、前記センサのためのタイムラインを提供するリアルタイムクロック(RTC)と、
を含み、
前記マイクロプロセッサは、前記音声センサにより検出された前記第一の音声と前記振動センサにより検出された前記第一の移動とが前記タイムライン上で実質的に一致したときに前記注入の開始時刻を特定し、前記マイクロプロセッサは、前記音声センサにより検出された前記第二の音声と前記振動センサにより検出された前記第二の移動とが前記タイムライン上で実質的に一致したときに前記注入の終了時刻を特定し、
前記AI内の少なくとも1つの磁性部材を感知するようになされた少なくとも1つの磁気センサをさらに含み、前記少なくとも1つの磁性部材は前記AI内の可動部材に取り付けられ、前記可動部材は、初期位置から前記注入を開始するための開始位置まで移動され、
前記初期位置において、前記少なくとも1つの磁気センサが第一の磁気読取り値を感知し、前記開始位置において、前記少なくとも1つの磁性部材は前記少なくとも1つの磁気センサに近接し、前記少なくとも1つの磁気センサは、前記第一の磁気読取り値より高い第二の磁気読取り値を感知し、
前記マイクロプロセッサは、前記開始位置において磁気開始時刻を特定し、
前記注入の前記終了後に、前記AIは前記注入部位から外され、前記可動部材は少なくともその初期位置まで戻り、前記少なくとも1つの磁気センサは前記第一の磁気読取り値より低いかそれと等しい第三の磁気読取り値を検出し、前記マイクロプロセッサは、前記少なくとも1つの磁気センサが前記第三の磁気読取り値を感知したときに磁気取り除き時刻を特定し、
注入持続時間は、前記開始時刻と前記終了時刻との差であり、
前記注入部位における総時間は、前記磁気開始時刻と前記磁気取り除き時刻との差であり、
前記注入部位における保持時間は、注入部位における前記総時間から前記注入持続時間を差し引いたものである、
外部アダプタ。
【請求項2】
温度センサをさらに含む、請求項1に記載の外部アダプタ。
【請求項3】
前記温度センサは赤外線温度センサ又はサーミスタである、請求項2に記載の外部アダプタ。
【請求項4】
前記AIを付勢する少なくとも1つのばねをさらに含む、請求項1に記載の外部アダプタ。
【請求項5】
デジタルスクリーン、少なくとも1つのLEDランプ、及び少なくとも1つのスピーカのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の外部アダプタ。
【請求項6】
前記振動センサは加速度計を含む、請求項1に記載の外部アダプタ。
【請求項7】
前記AI上にあるNFCタグの情報を読み取るようになされた近距離無線通信(NFC)リーダをさらに含む、請求項1に記載の外部アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、複数のセンサと、ディスプレイと、マイクロプロセッサと、リアルタイムクロックと、オートインジェクタ(AI)機器等の自己注射器の患者による使用状況を追跡する通信システムと、を含む外部アダプタ若しくは電子アダプタ(eアダプタ)と、eアダプタを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
注射療法のコンプライアンスは非常に低いことが知られている。これまでの調査で、増大するこの問題が報告されている。患者の中で次の処方を受けるために毎回きちんと受診しているのはわずか50%程度に過ぎず、多くが最初の数週間でやめてしまう(http://whqlibdoc.who.int/publications/2003/9241545992.pdfに掲載されているWHO(世界保健機構):“Adherence to Long-Term Therapies:Evidence for Action”,January 2003参照)。最適な患者の治療を確実に行うために、患者が担当の医療従事者(HCP:health care provider)により処方された投薬レジメント(regiments)を順守することが肝要である。同様に、まったく同じ患者は2人といないため、患者にとって最善の医療及び薬剤が確実に処方されるようにするためには、HCPは、患者がその処方薬を守っていて、自分の薬を正しく、失敗せずに自己摂取してきたことを知る必要がある。この情報は、HCPと医師が投薬の効能を特定する助けとなる。薬剤使用アドヒアランスと効能とを相関させることにより、精密な療法を考案し、患者の部分母集団がある薬剤からどのような利益を得るかを理解することにつなげることができる。同様に、患者が自分の処方を順守し、自分の薬を正しく自己摂取した(又はHCPの支援により投与された)ことを知ることは、臨床試験中も重要である。医療費の増大から、注射は現在、HCPがクリニックで行うのではなく、患者が家庭で実行するように処方されることがますます増えている。したがって、家庭での注射投薬のアドヒアランスは非常に重要である。
【0003】
従来のコンプライアンスツールは、物理的又はデジタル日誌、NFCラベル、又は患者によるAIの使用状況を捕捉するためのBluetooth(登録商標)接続されたAIキャップ付属装置を利用する。それに加えて、他の先行技術によるツールは、患者に薬の摂取を思い出させる電子リマインダからなる。物理的又はデジタル日誌とNFCラベルはどちらも、患者の誠実さとコンプライアンスに依存し、わずかな効果しかない。このようなシステムでは、HCPは、例えば患者が、実は順守していないのにそのHCPと会う直前に日誌にのみ書き込んで、コンプライアンスを示そうとしたにすぎなくても、それを区別できないであろう。電子リマインダとNFCラベルを用いた場合、患者は、実際には自己薬剤摂取を行わずに、アラームを止めるために単に注射をしたと表示する可能性がある。同様に、デジタル接続されたAIキャップには、患者の自己薬剤摂取の追跡の点で大きな欠点がある。デジタル接続されたAIキャップによるアプローチは、患者がAIキャップを外したとの確認を提供するだけで、患者による自己薬剤摂取を確認しなければ、自己薬剤摂取がいつ行われ、それが成功したか否かについての情報も提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、実際の患者の自己薬剤摂取イベント、AI情報(すなわち、薬剤の名称)、自己薬剤摂取が行われた時間、注入時のAI注入装置の状態、機器内の調合薬の温度(これについては次の段落でより詳しく述べる)、自己薬剤摂取手順へのコンプライアンス、注入が成功したか否かの確認を含むがこれらに限定されない注入情報を捕捉し、このような情報をスマートフォン等の受信スマートデバイスに無線で転送して、患者のコンプライアンスを確実にし、HCPが薬剤治療の効能を特定できるようにする方法、装置、及び/又は機器が求められている。さらに、スマートフォンが1回に1つのBluetooth機器としか通信できないというスマートフォンの限界又は、例えばスマートフォンのバッテリがなくなった、若しくは置き忘れたことによりスマートフォンと接続できない場合を考慮する必要がある。
【0005】
生物製剤の場合、注射時痛はAI内の調合薬の粘性に関する。これらの機器は冷蔵庫に保管されるため、調合薬が室温になるのに約20分のウォームアップ時間がある。より低温の調合薬はより粘性が高く、したがって、痛みもより強い。本発明調合薬?の温度を副作用と機器の利用状態と共に正確にモニタすることは、複合製品の開発の成功と患者によるその製品の受入れ可能性に関する重要な基準である。注射時痛(冷たいまま注入されたとき)の恐れによる製品の停止はアドヒアランス、ひいてはアウトカムの喪失である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は一般に、オートインジェクタ機器の患者による使用状況を追跡する方法と、外部又は電子アダプタ、すなわちeアダプタであって、センサ(温度センサ、音声センサ、振動センサ、及び磁気センサシステムを含むがこれらに限定されない)と、ディスプレイと、マイクロプロセッサと、リアルタイムクロックと、eアダプタがオートインジェクタ(AI)の使用のほか注入情報を捕捉、確認し、このような情報をスマートフォン又は他の何れかのデータ受信システム若しくは機器に無線で転送することができるようにする通信システムと、を含むeアダプタに関する。
【0007】
本発明はまた、eアダプタとの自動及び手動同期、eアダプタとの双方向通信、AI及びeアダプタの状態の視覚的表示、注入ステップ/回数、捕捉情報の処理と伝送、AIの使用及び患者の経験に関する情報の視覚的表示、及びユーザの使用履歴の読出しと可視化等の機能を可能にする、対応するスマートフォンアプリケーション(APP)も含む。保存された使用状況データは、介護者、医師、他のHCP、又は家族による患者の遠隔モニタのために、外部サーバ、セキュリティ保護されたインターネットクラウドストレージを含むバックエンドシステムに転送できる。
【0008】
さらに、訓練を目的として、1回のeアダプタの使用中の考え得るあらゆるエラーの組合せを開始又はシミュレートできるようにするスマートフォンAPPも含む。
【0009】
本発明はまた、その中にAIを受け、注入部位におけるAIによる注入の少なくとも1つの特性を感知するようになされた外部アダプタにも関し、これは:
注入開始時にAIにより生成される第一の音声と注入終了時にAIにより生成される第二の音声を検出する音声センサと、
注入開始時にAIにより生成される第一の移動と注入終了時にAIにより生成される第二の移動を検出する振動センサと、
マイクロプロセッサに接続され、センサのためのタイムラインを提供するリアルタイムクロック(RTC)と、
を含み、
マイクロプロセッサは、音声センサにより検出された第一の音声と振動センサにより検出された第一の移動がタイムライン上で実質的に一致したときに注入の開始時刻を特定し、マイクロプロセッサは、音声センサにより検出された第二の音声と振動センサにより検出された第二の移動がタイムライン上で実質的に一致したときに注入の終了時刻を特定する。
【0010】
外部アダプタはまた、AI内の少なくとも1つの磁性部材を感知するようになされた少なくとも1つの磁気センサも含んでいてよく、前記少なくとも1つの磁性部材はAI内の可動部材に取り付けられ、前記可動部材は、初期位置から注入開始のための開始位置まで移動され、
初期位置において、少なくとも1つの磁気センサが第一の磁気読取り値を感知し、開始位置において、少なくとも1つの磁性部材は少なくとも1つの磁気センサに近接し、少なくとも1つの磁気センサは、第一の磁気読取り値より高い第二の磁気読取り値を感知し、
マイクロプロセッサは、開始位置において磁気開始時刻を特定する。
【0011】
注入終了後、AIは注入部位から外され、可動部材は少なくともその初期位置まで、又はそれを越えるように戻され、少なくとも1つの磁気センサは第一の磁気読取り値より低いかそれと等しい第三の磁気読取り値を検出し、マイクロプロセッサは、少なくとも1つの磁気センサが第三の磁気読取り値を感知したときに磁気取り除き時刻を特定する。
【0012】
注入持続時間は、開始時刻と終了時刻との差である。注入部位における総時間は、磁気開始時刻と磁気取り除き時刻との差である。注入部位における保持時間は、注入部位における総時間から注入持続時間を差し引いたものである。
【0013】
外部アダプタはまた、温度センサも有していてよく、これは赤外線温度センサ又はサーミスタとすることができる。外部アダプタはまた、AIを付勢するためのばねと、デジタルスクリーンと、少なくとも1つのLEDランプと、スピーカと、も含んでいてよい。振動センサは好ましくは、加速度計である。外部アダプタはまた、近距離無線通信(NFC)リーダも有していてよく、これはAI上にあるNFCタグの情報を読み取るようになされる。
【0014】
本発明はまた、外部アダプタとAIとの組合せにも関し、AIは少なくとも一部が外部アダプタ内に受けられ、組合せは:
外部アダプタ内に配置され、AI内の少なくとも1つの磁性部材を検出するようになされた少なくとも1つの磁気センサを含み、前記少なくとも1つの磁性部材はAI内の可動部材に取り付けられ、前記可動部材は初期位置から注入部位でAIの注入を開始するための開始位置まで移動され、
初期位置において、少なくとも1つの磁気センサが第一の磁気読取り値を感知し、開始位置において、少なくとも1つの磁性部材は少なくとも1つの磁気センサに近接し、少なくとも1つの磁気センサは、第一の磁気読取り値より高い第二の磁気読取り値を感知し、
リアルタイムクロック(RTC)を使用するマイクロプロセッサは、開始位置において磁気開始時刻を特定する。
【0015】
注入終了後、AIは注入部位から外され、可動部材は少なくともその初期位置まで、又はそれを越えるように戻され、少なくとも1つの磁気センサは第一の磁気読取り値より低いかそれと等しい第三の磁気読取り値を検出し、マイクロプロセッサは、少なくとも1つの磁気センサが第三の磁気読取り値を感知したときに磁気取り除き時刻を特定する。
【0016】
組合せの外部アダプタは、
注入開始時にAIにより生成される第一の音声と注入終了時にAIにより生成される第二の音声を検出する音声センサと、
注入開始時にAIにより生成される第一の移動と注入終了時にAIにより生成される第二の移動を検出する振動センサと、
をさらに含んでいてよく、
マイクロプロセッサは、音声センサにより検出された第一の音声と振動センサにより検出された第一の移動がタイムライン上で実質的に一致したときに注入の開始時刻を特定し、マイクロプロセッサは、音声センサにより検出された第二の音声と振動センサにより検出された第二の移動がタイムライン上で実質的に一致したときに注入の終了時刻を特定する。
【0017】
外部アダプタとAIは、実質的に円筒形状を有していてよく、AIは外部アダプタに何れの向きにも挿入される。少なくとも1つの磁気センサは、所定の有効感知角度円弧範囲を含み、少なくとも1つの磁気センサの数と少なくとも1つの磁性部材の数は、前記所定の有効感知角度円弧範囲に基づいて特定される。少なくとも1つの磁気センサは、複数の磁気センサを含み、これらは約90°の角度円弧範囲を感知するように位置決めされ、少なくとも1つの磁性部材は約90°間隔で位置決めされた複数の磁性部材を含む。外部アダプタは、AIを外部アダプタに向かって付勢する少なくとも1つのばねを有していてよい。
【0018】
組合せはまた、外部アダプタ上にある近距離無線通信(NFC)リーダも含んでいてよく、これはAI上にあるNFCタグ上の情報を読み取るようになされる。代替的に、組合せは、外部アダプタ上にあるリーダを含み、これは、AI上にある識別コードを読み取るようになされ、それはコンピュータストレージ又はクラウドストレージ等の外部ソースに保存されたAI情報に接続されるバーコード又はマトリクスバーコードとすることができる。
【0019】
本発明はまた、その中に自動注射器(AI)を受け、注入部位においてAIによる注入の少なくとも1つの特性を検知するようになされた外部アダプタの操作方法にも関し、これは:
a.AIを外部アダプタに接続するステップと、
b.AIが注入温度に到達したことを特定するステップと、
c.注入開始時刻を感知するステップと、
d.注入停止時刻を感知するステップと、
e.注入部位からの取り除き時刻を感知するステップと、
を含む。
【0020】
注入開始時刻は、磁気センサシステム、振動センサ、及び/又は音声センサにより特定される。注入開始時刻はまた、振動センサと音声センサとの比較により特定できる。取り除き時刻は、磁気センサにより特定される。注入後の注入部位での保持時間は、注入開始時刻、注入停止時刻、及び取り除き時刻から特定される。
【0021】
方法はまた、(f)AI情報をAIから読み取るステップ及び/又は(g)故障モードを特定するステップを含んでいてよい。故障モードは、注入開始時刻を特定できないとき、注入停止時刻を特定できないとき、注入部位からの取り除き時刻を特定できないとき、AIの使用期限が切れたとき、外部アダプタの使用期限が切れたとき、又は外部アダプタが故障したときに存在する。
【0022】
本発明の方法はまた、(h)外部アダプタをスマートデバイスに無線で接続するステップも含んでいてよい。本発明はまた、前述の方法と組み合わせられるようになされる、スマートデバイス内のAPPにも関し、スマートデバイスは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)をユーザに対して表示する。APPは、ユーザに対する注入成功のメッセージと注入成功のメッセージの後の少なくとも1つの指示を表示してよく、これには、AIを注入部位に所定の時間にわたり保持するようにとの指示及び/又はAIを廃棄するようにとの指示が含まれてよい。APPはまた、前述の少なくとも1つの故障モードも表示してよい。
【0023】
本発明はまた、オートインジェクタ(AI)の注入中のアイドル時間を管理する方法にも関し、これは:
a.AIを外部アダプタに接続するステップと、
b.AI及び外部アダプタの移動を加速度計でモニタするステップと、
c.第一の所定の期間が経過した後に移動がなければ、外部アダプタ上のデジタルスクリーンをオフにするステップと、
d.第二の所定の期間が経過した後に移動がなければ、AIの使用期限が切れたことをメモリに書き込むステップと、
を含み、
第二の所定の期間は第一の所定の期間より長い。方法は、(e)第二の所定の期間が経過した後に移動がなければ、外部アダプタをオフにするステップをさらに含んでいてよい。
【0024】
明細書の一部をなし、それと共に読むべきであり、その中では同様の参照番号が様々な図の同様の部品を指すために使用されている添付の図面において:
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は内部の特徴を示すために筐体外板の一部が省略されている、本発明のeアダプタの右正面斜視図である。
図2図2a-2cは内部の特徴を示すために筐体外板の一部が省略されている自動注射器(AI)の正面図であり、注入ステップのシーケンスを示す。
図3図3は明瞭にするために特定の機能が省略されている、本発明のeアダプタの左正面斜視図である。
図4図4aはさらに別の機能が省略されている図3のeアダプタを示す。図4bはNFCタグを有するAIの端面斜視図である。
図5図5aは磁性部材がロックスリーブに取り付けられているAI電源ユニットの正面図である。図5bはロックスリーブの正面図である。
図6図6は注入中の磁気センサの強度を示すグラフである。
図7図7は開始音声の周波数及び時間ドメインと停止音声の周波数及び時間ドメインを示す。
図7-1】図7-1は開始音声の周波数及び時間ドメインと停止音声の周波数及び時間ドメインを示す。
図8図8は振動及び音声センサを示すために筐体外板の一部が省略されている、eアダプタの正面図である。
図9図9は振動及び音声センサにより感知される注入開始及び停止スパイクを示す。
図10図10は磁気、音声、及び振動センサにより感知される特性を示すベン図である。
図11図11aはAIの磁性部材とeアダプタの磁気センサとの間の相互作用の断面略図である。図11bは磁気センサを説明するために筐体外板が透明であるように示されている、eアダプタの斜視図である。
図12図12は本発明の磁気センサシステムの向き非依存性を説明するために、図11aのAIとeアダプタとの様々な相対的な向きを示す。
図13図13はAIがばねによってeアダプタの磁気センサへと押し付けられていることを示す、eアダプタの一部切欠き底面斜視図である。
図14図14aはeアダプタと共に使用できる、バッテリ等の二次構成部品を示す。図14bはeアダプタに取り付けられているこの二次構成部品を示す。
図15図15はeアダプタの電子構成部品の略図である。
図16図16及びそのサブパートは本発明のeアダプタを動作させる内部ロジックのフローチャートを示す。
図16-1】図16及びそのサブパートは本発明のeアダプタを動作させる内部ロジックのフローチャートを示す。
図16-2】図16及びそのサブパートは本発明のeアダプタを動作させる内部ロジックのフローチャートを示す。
図16-3】図16及びそのサブパートは本発明のeアダプタを動作させる内部ロジックのフローチャートを示す。
図16-4】図16及びそのサブパートは本発明のeアダプタを動作させる内部ロジックのフローチャートを示す。
図16-5】図16及びそのサブパートは本発明のeアダプタを動作させる内部ロジックのフローチャートを示す。
図16-6】図16及びそのサブパートは本発明のeアダプタを動作させる内部ロジックのフローチャートを示す。
図17A図17a及びそのサブパートは図16の内部ロジックの分岐「A」のフローチャートを示す。
図17A-1】図17a及びそのサブパートは図16の内部ロジックの分岐「A」のフローチャートを示す。
図17A-2】図17a及びそのサブパートは図16の内部ロジックの分岐「A」のフローチャートを示す。
図17A-3】図17a及びそのサブパートは図16の内部ロジックの分岐「A」のフローチャートを示す。
図17B図17bは図16の内部ロジックの分岐「B」としてのアイドルループのフローチャートを示す。
図18図18はeアダプタの内部ロジックと協働する、スマートフォン等のスマートデバイスの中にあるAPPのホームスクリーンを示すグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。
図19図19のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図19のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図20図20のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図20のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図21図21のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図21のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図22図22のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図22のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図23図23のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図23のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図24図24のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図24のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図25図25のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図25のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図26図26のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図26のサブパート(b)及び(c)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図27図27のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図27のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図28図28のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図28のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図29図29のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図29のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図30図30のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図30のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図31図31のサブパート(a)はeアダプタ上の各種のディスプレイを示す。図31のサブパート(b)はスマートフォン上に表示される各種のGUIを示す。
図32図32a~32cはeアダプタにより収集される注入データから計算される注入結果を示す。
図33図33は訓練及び/又は試験を目的とする多くのエラーシナリオを可能にするスマートフォン上に表示されたGUIを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、多くの実施形態を含む。
【0027】
本発明の1つの実施形態は、AIとやり取りしてAI使用状況情報を捕捉する、取付型又は追加型再使用可能外部電子アダプタ、すなわちeアダプタにおける技術的進歩に関する。センサが埋め込まれたアダプタは、注入を開始するプランジャロッドの移動を有効に追跡するとともに、音声及び振動を含む少なくとも2つの他の信号を捕捉する。
【0028】
本発明の他の実施形態は、eアダプタの内部ロジックと、スマートフォン若しくはスマートタブレット又は無線接続可能な他のコンピューティングデバイス等のスマートデバイスのための、eアダプタが送信した情報を捕捉して、eアダプタのディスプレイと共にユーザにフィードバックを提供する補足APPに関する。「スマートフォン」という用語は、個別に、又は他のコンピューティングデバイスと共に使用された場合、WiFi、Bluetooth、NFC(近距離無線通信)、RF(無線周波数)、及び他の既知の無線接続等の無線接続可能性を有するスマートフォン、スマートタブレット、及び/又はコンピューティングデバイスを含む。
【0029】
使用説明書(IFU:instruction for use)の使用は、AI等の注射器の正しい使用の必要な面である。しかしながら、患者や介護者はIFUに従わないことが多い。本発明の1つの実施形態は、APPの使用及び、ユーザが機器を使用するために開いたときのAPPの自動起動(追加のステップはとられない)である。この瞬時ペアリングにより、アプリと画像がスマートフォン上で起動され、それが正しい使用のために患者をステップごとに支援/誘導する。
【0030】
本発明の他の実施形態は、HCP及び/又はユーザにeアダプタの使用方法を訓練させる他のAPPに関し、1つのeアダプタによる何れの状況も説明できる。
【0031】
I.センサが埋め込まれた、接続可能なeアダプタ
従来のAI内の機械的及び相互可動(inter-movable)部品の接続可能性により、従来のAIにデジタル接続可能な電子部品及び通信システムを統合する上での問題が生じる。これらのAIに対して、十分なデジタル接続性統合を可能にするための大きな変更を加えることにより、AIの機能性、堅牢性、大きさ及び形状、並びに滅菌性(薬剤充填/仕上げ後に加工される場合)が損なわれる可能性がある。本発明のeアダプタは、AI構成部品及び設計を損なったり、大幅に変えたりせずに、モジュール式アプローチと使用状況情報を使ってAIの状態を捕捉するシステムを提供する。本発明のeアダプタはまた、変更されていない従来のAIから注入データを収集することもできる。
【0032】
eアダプタの他の態様は、その再使用可能性である。リサイクルを義務付け、使い捨て電子構成部品を嫌う規則により、数百回の注入をモニタできる再使用可能な電子アダプタを開発することが望ましい。特にグリーン政策をとる国々において、再使用可能アダプタは、そうでないものより好まれる。本発明はこの点に対応する。
【0033】
図1に最もよく示されているように、本発明のeアダプタ10は、多くの従来のAIと共に動作するような大きさ及び寸法である。eアダプタ10は好ましくは、AIを受けるようになされた開放端12と、閉鎖端14を有する。図1では機器の外板の一部が省略され、eアダプタ10の中の多数の電子構成部品が示されている。デジタルスクリーン16は、HCPや患者に対して情報を表示するようになされている。データは多数のセンサ、例えば温度センサ18、複数の磁気センサ20、音声センサ22、及び振動センサ24により収集され、これらについては後で詳しく説明する。eアダプタ10を制御し、動作させる電子部品は、プリント回路基板26の上に位置付けられる。eアダプタ10はまた、開放端12内のAIを、データ収集を最適化するように位置決めするのを助けるために、板ばね28等1つ又は複数の位置決め装置も含んでいてよい。
【0034】
従来のAIは、本発明のeアダプタ10に使用可能である。AI内に収容される薬剤は、保存のために冷蔵する必要があり、注入の前に適正な注入温度、例えば室温まで温められる。より低温であると、薬剤の粘性は典型的により高く、痛みを伴う注入の原因となり得る。適当なAIは、特定の電子又は接続性構成部品を有している可能性があり、内蔵センサを有している可能性があるが、前述のように、このような構成部品を持たない従来のAIもまた、eアダプタ10と共に使用できる。図2a~2c及びその他の図面に示されるAI 30は本発明のeアダプタ10に関して説明されて、本発明を例示しているにすぎない。適当なAIとしては、スイス、ブルクドルフのYpsoMed社製のもの、例えばYpsomateが含まれるが、これに限定されない。本発明は、何れの特定のAIにも限定されず、eアダプタの外形、フォームファクタ、又はフットプリントは、AIの種類に基づいて変更されてよい。
【0035】
例えば、本発明を一切限定しないが、AIは一般に、以下のように機能する:オートインジェクタキャップを取り外すと、オートインジェクタは発射可能な状態となり、発射プロセス中、患者がオートインジェクタの前端を注入部位に押し付けると、安全シールド/カバースリーブが押し下げられる。カバースリーブを押し上げると、ロックスリーブも押し上げられ、それによってオートインジェクタの発射機構が作動し、その結果、薬品が患者の体内に押し出され、注入が完了すると、ユーザはオートインジェクタを注入部位から持ち上げ、それによってロックスリーブが再び伸展してロックモードになる(カバースリーブが再び押し上げられることが防止される)。注入の作動及び終了中に、オートインジェクタは機械的に誘発された可聴的なクリック音を生成し、これは振動信号も生じさせ、さらに後述するように、この機能は本発明の実施形態で使用できる。
【0036】
一般に、AI 30は、注入端32と後端33を有し、前面シールド34は、注入端32から突出してシリンジ36内に収容される薬剤を注入する針を隠す。前面シールド34は電源ユニット38と接触し、これは後端33に向かって移動してばね42を圧縮するロックスリーブ40と、注入端32に向かって移動して、薬剤を吐出させるピストンを含む。AI 30は典型的に、注入端32の前面シールド34に取り付けられた取外し可能なカバー(図示せず)を有し、塵埃がAIに入り込むのを防止し、針を保護する。図2aに示されるAI 30は注入前の状態にある。薬剤を注入するために、AI 30は注入部位、例えば患者の皮膚に当てられ、図2bに示されるように、AI 30が患者の皮膚に押し付けられる。この動作により、前面シールド34が矢印で示されるように上方に移動して、ばね42を圧縮し、ロックスリーブ40を押し上げて、最終的にピストンがトリガされ、薬剤がシリンジ36から患者の体内へと押し出される。図2bに示される状態は、ロックスリーブ40が移動する最大高さを示しており、AI 30が図2cに示されるように注入部位から取り外されるまで保持され、ロックスリーブ40は、図2bの矢印に示されるように後端33から反対に移動する。1つの実施形態において、ロックスリーブ40は図2aに示される初期位置を越えて移動して、AIの再使用を防止する位置に永久的にロックされてもよい。
【0037】
AI 30は、ロックスリーブ40がその最大上方移動位置に到達して注入が開始した時に第一の音声を、またピストンがその下方移動を完了して薬剤をシリンジ36から押し出したときに第二の音声を生成するように設計される。一般に、AI用IFUでは、患者又はHCPに、注入完了後にAIを注入部位に所定の時間にわたり保持するように、すなわち図2bに示されるように保持して、AIを早く抜きすぎること、又は注入漏れ(wet injections)を防止するように指示されるであろう。
【0038】
本発明によれば、AIのこれらの特性は本発明のeアダプタ10により測定又は感知され、AI 30には好ましくは、センサ及び/又は接続時にeアダプタに転送できるAIに関する関連情報が埋め込まれる。eアダプタ10は、スマートフォン等のスマートデバイスに、好ましくはBluetoothにより無線接続されるように設計される。
【0039】
従来のスマートフォンには典型的に、1つのBluetooth通信ポートしかなく、これは1つの適合可能なBluetoothデバイスとしかペアリングできない。したがって、eアダプタ10を接続するために、スマートフォンは他のBluetooth対応デバイスとの接続を切断しなければならない。eアダプタ10がスマートフォンを占領する時間を最小限にするために、eアダプタ10には、図3に示されるようなスイッチ44が設けられる。スイッチ44は、開放端12の終端に配置され、AIがeアダプタ10の中に完全に挿入されると作動する。スイッチ44は、電気機械的コンタクトスイッチ、例えばポゴ(pogo)スイッチとすることができ、AI 30の後端33と接触すると、eアダプタ10がオンになる。スイッチ44はまた、近接又は光スイッチであってもよく、これが後端33がスイッチに近接するとeアダプタ10はオンになる。オンになると、eアダプタ10はスマートフォンとペアリングされ、これは、後述のように患者及びHCPによる注入を支援し、注入データを収集するために必要なソフトウェア/APPを含む。代替的に、eアダプタ10は別のON/OFスイッチを有し、スイッチ44は前述のようにBluetoothの機能をオン又はオフに切り替えるために使用される。
【0040】
eアダプタはまた、注入及びIFUによる保持時間が完了して、注入データが保存されるか、スマートフォンに転送された後、又はそのようになるまで所定の時間だけ待機した後に、自動的にオフになってもよい。eアダプタ10の内部ロジックはまた、スマートフォンからの確認信号を待ってから、Bluetooth接続をオフにするか、又はオフにするためにオートスリープモードにしてもよい。
【0041】
関連するAI情報には、薬品名、ロット番号、有効期限、及び患者がHCPにより処方された正しい薬剤を確実に注入するのを助けるその他の重要な情報が含まれるが、これらに限定されない。さらに、この情報の捕捉は、安全性、すなわち正しい患者のための正しい薬品であることを患者にさらに確信させ、強調する。これは、患者による有効期限と正しい薬剤の自己チェックに頼る場合に対する改良点である。eアダプタ10は、この情報を読み、自動的にチェックを行って、その薬剤の有効期限が切れている場合は患者及び/又はHCPに知らせることができ、また、有効期限の切れたAIを拒絶できる。
【0042】
このような関連AI情報は、製造中にAI 30に貼付され、又は取り付けられる近距離無線通信(NFC)タグ又はラベル48上に保存できる。NFCタグ48は、図4a~4bに示されるように、eアダプタ上に保管されるNFCリーダ50により、電磁誘導を使って読み出される。NFCタグ48は、NFCリーダ50が近距離で読み取ることのできるAI情報を担持する。タグ48とリーダ50との間の通信は、20cm未満の距離及び通常は4cm(1.6インチ)未満の距離で行うことができる。NFCタグ48は符号化でき、情報はAI 30の使用前の何れの時点でもタグ48に書き込むことができる。NFCリーダ50はeアダプタ10内の奥深くに位置付けられるため、NFCリーダが意図されないNFCタグを読む可能性が最小化される。好ましくは、AI情報が書き込まれた後は追加の情報をNFCタグ48に書き込むことができず、AI情報が消去されないようにする。代替的に、NFCタグの一部は、追加情報、例えばそのAIは使用済みであり、患者は使用済みのAIの再使用を試みるべきではないとの追加データを受けるのに利用できる。このような追加情報は、リーダ50によってタグ48に書き込むことができる。NFCリーダが意図しない情報を読まないように遮蔽するために、シールド52をリーダ50の、タグ48を読む側とは反対の裏側に位置付けてもよい。シールド52は、フェライト材料で製作できる。代替的に、タグ48はAI 30の内部に、ただしリーダ50により読み取られるAI 30の外側筐体に十分に近い位置に位置付けることができる。NFCタグとリーダについては、米国特許第9,037,083号明細書及び米国特許出願公開第2015/0106113号明細書に記載されており、これらの全体を参照によって本願に援用する。
【0043】
代替的に、関連AI情報はウェブサイト又はインターネットクラウドストレージに保存でき、AIには識別コード、例えばバーコード、2Dバーコード、又はQRタグ若しくはマトリクスバーコードが提供される。スマートフォンはこの識別コードをスキャンしてよく、これは、AIと、関連AI情報が掲載されていてスマートフォンにダウンロードできるインターネットアドレス/ウェブサイトを一意的に識別する。この情報はBluetoothを介してeアダプタ10に転送できる。任意選択的に、eアダプタ10は、識別コードをスキャンする光センサを有していてもよく、このコードをスマートフォンに転送して、インターネットから情報を取得するか、又はこのような情報を直接取得する。
【0044】
捕捉された情報が日付と時間に正しく関連付けられることを確実にするために、PCB 26上の電子部品は好ましくは、内部リアルタイムクロック(RTC)を含む。何れのRTCチップを選択してPCB 26に含めることもできる。適当なRTCチップとしては、DS1302、DS1307等が含まれるが、これらに限定されない。一貫した正確な時間帯日付情報を確保するために、eアダプタ10がスマートフォンに接続されるたびに、PCB 26上のRTCの時間と日付はスマートフォン上のそれらと同期される。好ましくは、スマートフォン上の時間帯情報もRTCと同期されるか、そこに書き込まれる。
【0045】
IFUは、AIを冷蔵庫から出した後に、患者及び/又はHCPはAIが注入のために室温に到達するまで、十分な時間だけ、例えば特定のAIに応じて約20分間又は15若しくは10分間待つことを推奨する。低温での注入、すなわち室温より低い温度での注入は、より低温では薬剤の粘性が高いことから、患者にとって痛い可能性がある。
【0046】
図1において先に示したように、eアダプタ10は温度センサ18を含む。温度センサ18は、赤外線温度センサ、サーミスタ、サーモカプラ、又は内部電子部品により読み取ることのできる何れの既知の温度計とすることもできる。赤外線温度計は、測定対象の物体、すなわちAI 30により発せられた、黒体放射として知られる熱放射から温度を推測する温度計である。赤外線温度センサは、AI 30と物理的に接触せずに温度を読み取ることができるため、有利である。図1に示されるように、温度センサ18は、好ましくは赤外線センサ又は直接接触式サーミスタであり、eアダプタ10の、AI 30を受けることになる開放空洞に向けられて、AIの温度を取得する。薬剤シリンジ36はAI 30の内部にあるため、薬剤の温度はAIの感知温度とは異なると予想され、それは、大気からの熱がAIの中の薬剤シリンジが位置する中央部へと流れるのに時間がより長くかかることによる。それゆえ、AIをeアダプタに挿入した後、AIの外面は内部シリングより早く室温に到達するであろう。したがって、内部シリンジとAIの外部との間に温度差がある。この温度差は、温度差が各種のAIの形状、室温、並びに薬剤の、及びAIの熱膨張率により決まるため、実験と校正により特定できる。1つの実施形態において、温度センサ18による測定からAIの外部が室温到達したところで、eアダプタ10は、校正時間が確実に内部の薬剤温度も室温に到達するまでカウントする。好ましくは、eアダプタ10はAI 30の温度を継続的に、又は所定の時間間隔、例えば0.1秒又は1秒ごとにモニタする。eアダプタ10は、AI 30と薬剤が室温に到達した時間と日付をRTCを使って記録する。
【0047】
代替的に、NFCタグ48はまた、室温に応じた必要待機時間も含み、NFCリーダ50がこのような情報を取得した後、eアダプタ10の内部ロジックが、薬剤が室温に到達するための必要待機時間をカウントダウンしてから、患者及び/又はHCPにスクリーン16又はスマートフォンのスクリーンを通じて、薬剤の注入の最適時間であることを知らせることができる。
【0048】
本発明のeアダプタはまた、磁気近接センサを使ってAIに関する使用状況情報を感知する。より具体的には、eアダプタ10は、図1、3、及び4に示される1つ又は複数の磁気センサ20を利用する。これらのセンサは、ホール効果型センサとすることができる。これらの磁気センサからの磁力/磁場読取り値は、PCB 26上の電子部品により読み取ることができる。磁気センサ20により生成される磁場に影響を与えることのできる補足的磁性部材54、好ましくは永久磁石又は鉄鋼材は好ましくは、AI 30内の内部移動部材上に位置付けられる。好ましくは、図5a~5bに示されるように、磁性部材54は、AI電源ユニット38の可動ロックスリーブ40上に配置される。図2a~2cに関連して上述したように、注入開始時に、ロックスリーブ40は上方に移動し、患者がAIを注入部位から取り外すまで最大高さに保持され、その後、ロックスリーブ40は下方にロック位置まで移動する。
【0049】
好ましくは、この最大高さにおいて、AI 30上の磁性部材54とeアダプタ10上の磁気センサ20は相互に近接してそれらの間の磁場が最適化される。図5a~5b並びに図1、3、及び4に示されるように、磁性部材54はロックスリーブ40の底部に、又はその付近に配置され、磁気センサ20はeアダプタ10の開放端12に、又はその付近に配置され、それによって磁気センサ20と磁性部材54は注入開始時に相互に近接して、磁場が最適化される。図6を参照すると、時間に応じた磁場の強度(出力電圧)の代表的なグラフが示されている。第一の区間Aは、ロックスリーブ40上にある磁性部材54の磁気センサ20に向かう図2aから図2bへの上方への移動を示す。AI 30から患者の体内への薬剤の注入と注入後の保持時間を含む期間は第二の区間Bにより表され、ここでは、ロックスリーブ40は実質的に静止したままである。区間Cは、ロックスリーブ40の、その初期位置を越えてそのロック位置への下方移動を表す。時間(横軸)で測定された区間Bは、注入時間と保持時間の組合せである。
【0050】
前述のように、AI 30は注入開始時の音声と注入終了時の別の音声を生成する。ピストンの移動はまた、開始及び停止時の振動も生成する。図7は、それぞれ左上と左下に開始音声の周波数ドメインと時間ドメインを、またそれぞれ右上と右下に終了音声の周波数ドメインと時間ドメインを示している。図8は、音声センサ22と振動センサ24の好ましい位置を示す。図9に示されるように、マイクロフォンを音声センサとして使用でき、スマートフォンに含まれているような加速度計を振動センサとして使用できる。加速度計は、デカルト座標に沿った3次元の回転及び並進を測定できる。検出された移動と音声のトレースも図9に示されている。移動トレースは、短い持続時間の2つの顕著なスパイクを示しており、これは注入の開始及び停止を示している。音声トレースもまた、短い持続時間の2つの同様の顕著なスパイクを示し、これは注入の開始及び停止を示している。移動及び音声の開始スパイクと移動及び音声の停止スパイクは、注入の開始及び停止を示し、開始スパイクと停止スパイクの重複により、注入の開始及び停止時刻が再確認又は確認される。
【0051】
音声センサにより拾われた外部ノイズ、例えば人の声、家庭内のノイズ等からの偽陽性及び振動センサによる外部移動、例えば患者によるeアダプタの取扱いからの偽陽性を最小化するために、eアダプタ10のスイッチ44は音声センサと振動センサがそれぞれ音声と移動を感知するように起動する範囲を限定するために利用できる。これは、スイッチ44を作動させるためにAI 30が完全にeアダプタ10に挿入された時だけ、eアダプタ10が起動し、音声と移動を検出できる状態になることを意味する。ハイパス、ローパス、及び/又はバンドパスフィルタもまた、背景ノイズ及び振動を最小化するために使用できる。他の方法は、もともと注入の開始と終了に触覚振動が生じるように構成することであり、センサは所定の時間内にこれらの触覚信号を拾うように設計される。
【0052】
図9に示されるように音声センサと振動/移動センサを組み合わせ、外部及び/又は環境源を最小化することにより、堅牢な複合センサができる。前述の音声及び振動スパイクの重複をマッチさせることにより、偽陽性はさらに最小化され、信頼性の高い注入開始及び停止時刻が得られる。音声及び振動周波数/波長、ピッチ、及びその他の特徴、例えばルーチンの、又は計画された遅延を予想値にマッチさせることもまた、注入の開始及び停止時刻の検出をよりよくするために使用できる。
【0053】
本実施形態の他の態様によれば、磁気/近接センサシステム及び音声/振動センサを組み合わせて使用することによって追加のAI情報を得ることができる。図10において最もよくわかるように、上述の磁気センサシステムにより、注入開始時刻(図6の区間Bの左端)が得られ、前面シールド34の作動(図6の区間A)及び使用されたAIが作動部位から取り除かれた時刻(図6の区間Bの右端)が得られる。音声及び振動センサにより、注入開始時刻と注入停止時刻(図9の重複するスパイク)、注入持続時間(前記スパイク間の時間)、及び注入が成功したか否か(停止注入スパイクの存在又は、注入持続時間が容認可能範囲内にあるか否か)が得られる。それに加えて、これら2つのセンサシステムを組み合わせることにより、注入漏れ(wet injection)(注入部位における皮膚が認識可能な程度に濡れていることであり、完全な注入に満たないことを示す)を防止するためにIFUが推奨する注入保持時間が得られる。注入保持時間は、磁気センサからの図6の区間Bの時間から振動又は音声センサからの図9の開始及び停止スパイク間の時間を差し引いたものとして視覚的に示すことができる。図10は、本発明のeアダプタは、ベン図の重複部分で示されるように、センサを組み合わせて使用でき、センサを単独で使用してデータを取得できることを示している。
【0054】
他の情報はまた、eアダプタ10のセンサからも抽出できる。例えば、ロックスリーブ40がロックされて再使用が防止されているか否かは、図6の区間Cが区間Aの最下点より下まで延びているが否かを特定すること、すなわちロックスリーブ40がその開始位置より先まで移動したことを確認することによって確かめることができる。
【0055】
上述のようなNFCラベル又は識別コードを持たないAIもまた、本発明のeアダプタ10で使用されてよい。eアダプタ10を動作させるロジック/ソフトウェアは、AIがそのようなラベル又はコードを持たないことを検出し、注入の前又は後の何れかに患者又はHCPに関連AI情報をスマートフォンに手で入力するように命じてよい。代替的に、eアダプタ又はスマートフォンは、患者に対してこのAIを廃棄し、NFCラベル又は読み取り可能識別コードを有するAIだけを使用するように伝えるメッセージを表示してもよい。
【0056】
磁性部材54を持たないがNFCラベル又は識別コードを有するAIは、本発明のeアダプタ10に使用できるが、磁気センサシステムにより得られる情報は取得できず、音声及び振動センサにより得られる情報のみ取得できる。NFCラベル/識別コードも磁性部材54も何れも持たないAI、例えば変更されていない従来のAIも前述のように依然として使用でき、すなわち、AI情報を手作業で入力すべきであり、音声及び振動センサデータを取得できる。
【0057】
スマートフォン若しくはスマートタブレット又は他の接続可能なコンピューティングデバイスが通信及びeアダプタ10からの注入データ受信に利用できない場合、eアダプタ10の電子部品には、注入データを、好ましくは複数の注入データ群を保存し、相互に区別できるようにする固有のマーカと共に保存するメモリ又はデータストレージデバイス、例えばフラッシュメモリ、フラッシュドライブ、EEPROM、EPROM等が含まれていてよい。スマートフォンが利用可能である場合、保存されたデータはスマートフォン又は他の目的地、例えばインターネットクラウドストレージに転送できる。
【0058】
本発明の他の態様によれば、AI 30はeアダプタ10の中に何れの向きに挿入することもできるが、磁気センサシステムの動作に不利な影響を与えない。AIは一般に、円形、楕円、又は多角形の断面の円筒形状を有する。eアダプタ上の磁気センサ20の、磁性部材54の位置に関する位置は、相互に近付けられたときに強力な、又は読取り可能な磁場を得るために、相互に対応すべきであるか、又は相互に近接すべきである。本発明者らは、注入開始時に少なくとも1つの磁性部材54が少なくとも1つの磁気センサ20に近付けられて、それらの間に読取り可能な磁気信号が作られるような配置を発明した。
【0059】
この向き非依存性の非限定的な図が図11a~11bに示されている。この図において、AI 30はロックスリーブ40の周辺に沿って均等に、すなわち90°間隔で、図11aに示されるように12時、3時、6時、及び9時の位置に配置された4つの磁性部材54を有する。約22.5°(すなわち中心線から±11.25°の角度をカバーできる磁気センサ20は、eアダプタ10の周辺上に相互に約22.5°離間されて配置されている。図のように、4つの磁気センサ20が配置され、360°のうちの約67.5°の角度円弧範囲をカバーする。67.5°の円弧範囲が最も左の磁気センサ20の左側の11.25°の範囲及び最も右の磁気センサ20の右側の11.25°の範囲に追加されると、90°のカバレージが得られる。図11aに示されるように、12時の位置にある磁性部材54は、最も左の磁気センサと共に磁場を形成する。
【0060】
図12は、AI 30とeアダプタ10との間の15種類の角度向きの違いを示しており、本発明の向き非依存性を説明する。15種類の向きの違いは2つのインデックス(i,j)で表され、これらはそれぞれ行番号と列番号である。図12(1,1)は前述の図11aに示される向きと同様である。AI 30が図12(1,2)及び12(1,3)へと反時計回りにわずかに回転すると、最も左及び最も右のセンサ20は、もともと12時及び3時の位置にあった磁性部材54を感知する。図12(1,4)及び12(1,5)に示されるさらなる反時計回りは、最も右のセンサ20がもともと3時の位置にあった磁性部材との磁気接触を保持していることを示す。
【0061】
AIが約1/8回転(約45°)反時計回りに回転すると、もともと3時の位置にあった磁性部材は、図12(2,1)に示されるように、中央の磁気センサ20の両方により感知される。反時計回り方向にさらに回転すると、もともと3時の位置にあった磁性部材54は、図12(3,1)、12(3,2)、及び12(3,3)に示されるように左から2番目の磁気センサにより感知される。さらに反時計回りに回転して、全体の回転が90°に近付くと、図12(3,4)示されるように、もともと3時の位置にあった磁性部材54は左の2つの磁気センサにより感知される。反時計回りの回転が約90°になると、もともと3時の位置にあった磁性部材54は、図12(1,1)の初期位置と同様の、ほぼ12時の位置に位置付けられ、この向きのプロセスが繰り返される。
【0062】
再び図12(2,1)を参照すると、AIが代わって時計回り方向に回転すると、もともと3時の位置にあった磁性部材54は図12(2,2)、12(2,3)、及び12(2,4)に示されるように、右から2番目の磁気センサ20により感知されるであろう。図12(2,5)に示されるように時計回りの回転を継続すると、もともと3時の位置にあった磁性部材54は右の2つの磁気センサ20により感知される。
【0063】
したがって、図12は、何れの向きにおいてもAI 30が少なくとも1つの磁気センサ20により感知されることを示している。当業者であれば、本発明者らの教示を応用して、eアダプタ10上の磁気センサ20の数とAI 30上の磁性部材の数を変更し、依然として本発明の範囲内にとどまることができる。例えば、センサ20が約22.5°間隔で配置され、eアダプタ10の周辺全体をカバーする場合、AI上には1つの磁性部材54だけあればよく、その逆もまた真である。他の例において、2つの磁性部材54が約180°間隔で位置付けられた場合、8つのセンサ20を約22.5°間隔で配置して(180°-22.5°)をカバーすべきである。各磁気センサ20が感知できる、何れの角度とすることもできる角度又は円弧を考慮して、当業者はセンサ20と磁性部材54の適正な数を選択できる。
【0064】
AIは、eアダプタ10の内径よりかなり小さい外径を有していてよい。したがって、AI上の磁性部材54がeアダプタ上の磁気センサ20のできるだけ近くに位置付けられることを確実にするために、図3において最もよくわかるように、少なくとも1つ、好ましくは2つの板ばね28がAI 30を磁気センサ20の列に向かって押し付ける。図13に示されるように、ばね28はAI 30をeアダプタ10上の磁気センサ20に向かって押す。
【0065】
本発明の他の態様によれば、不使用時に、eアダプタ10は、図14a~14bに示されるように、バッテリ56等の二次構造と嵌合させることができる。バッテリ56はまた、スマートフォンを充電してその機能を増大させるためにも使用できる。他の二次構造は、eアダプタに接続できる正しい接続性のユニバーサルインタフェースを備えている場合、血糖値計、肺活量計、フラッシュメモリスティック、ポータブルスピーカ等とすることができる。
【0066】
PCB 26に電気的に接続されるeアダプタ10の電子部品が、図15に概略的に示されている。eアダプタ10とRAMメモリを動作させるためのファームウェア/ソフトウェア、命令は、マイクロコントローラ58の中に保存される。図15において、二重矢印は双方向の通信又はでデータ/命令伝送を示しており、単方向矢印は1方向の通信、制御、又はデータ伝送を示している点に留意されたい。デジタルスクリーン16、振動センサ24、磁気センサ20、磁気センサ、音声/振動センサ等の注入開始センサと音声/振動センサ等の停止センサを伴う音声センサ22、温度センサ18、NFCリーダ50、及びNFCタグ48が、マイクロプロセッサ58に接続された状態で示されている。他の構成部品も接続されており、これは例えばスマートフォンに接続するためのBluetoothモジュール60、音声警告等を患者に向けて発するためのスピーカ62、USBポート66及び充電回路68を通じて外部電源から再充電可能な電源64である。eアダプタ10はまた、バッテリの状態、注入の状態、及びBluetooth接続性等の情報を患者に伝えるための1つ又は複数のカラーLEDランプ70も有していてよい。eアダプタ10はまた、技術者がデバイスの潜在的問題を診断するためのデバッグポート72も有していてよい。
【0067】
II.注入情報を捕捉し、ユーザフィードバックを提供する内部ロジック及び/又はAPP
本明細書中で使用されるかぎり、内部ロジック100とは、eアダプタ10の中、具体的にはPCB 26の上、及びより具体的にはマイクロプロセッサ58の上、並びに図15に示される個々の電子構成要素がもしあれば、その上にあるコンピュータ命令及びプログラミングを含むソフトウェア又はファームウェアを指す。アプリケーション、すなわちAPPとは、スマートフォン若しくはスマートタブレット又はその他の無線接続機能なコンピューティングデバイスを含むことのできるスマートデバイス250上にあるコンピュータ命令及びプログラミングを含むソフトウェアを指す。APPは、内部ロジックと共に動作して、eアダプタから情報又はデータを受信し、それを処理、計算、及び操作するように設計される。APPはまた、eアダプタ10上のデジタルスクリーン16で表示されるメッセージより詳細な事柄を伴う、テキストを含むメッセージを表示してもよい。スマートデバイス250は好ましくは、eアダプタ10により収集されたデータと前記データから計算された結果を保存する機能を有し、また、このようなデータ及び結果を他のコンピューティングデバイス又はインターネットストレージクラウドに転送することもできる。好ましくは、内部ロジック100は、APPがなくてもeアダプタとAIを独立して動作させることができ、これは、eアダプタ10がスマートデバイス250がなくても機能しうるからである。
【0068】
eアダプタ10の内部ロジック又は動作命令は、図16及びそのサブパートに示されている。内部ロジック又はロジック100は、eアダプタ及びリンクされたスマートフォンを動作させるステップ及びブーリアン決定を含む。ペアリングされたスマートフォン上で実行されるAPPはロジック100とは異なるが、ロジック100と共に動作する点に留意されたい。ロジック100は好ましくは、ステップ102で、AI 30がeアダプタに挿入され、前述のスイッチ44と接触することによってeアダプタの電源がオンになると開始する。好ましくは、ステップ104で緑のLEDランプ70が点灯し、ON状態を示す。ロジック100は、決定点106において、まずAI 30がNFCタグ48を有するか否かを特定する。NFCタグ又は、バーコード等の他の識別コードがあれば、ステップ108でNFCリーダ50がその中に含まれるAI情報を読み取る。好ましくは、ステップ108の後の決定点109は、さらに後述するが、AIが有効期限切れか否かを特定し、AIが有効期限切れであると、ロジック100は患者に対してメッセージ111を表示し、患者に期限切れのAIを取り外すように命じる。患者が期限切れのAIを取り外すと、ステップ115で、AIが挿入されないためスイッチ44がオフになるため、eアダプタは自動でオフとなる。決定点113は、患者が期限切れのAIを取り外していないか否かを特定し、その後、ステップ117で、ある長さの時間後にeアダプタが自動でシャットダウンする。ロジック100に関して述べたように、「スクリーン」には、eアダプタ10のデジタルスクリーン16とスマートフォンのスクリーンが含まれる。AIにNFCタグ又はその他の識別コードがなくても、ロジック100はステップ110に進む。
【0069】
AIが期限切れではない場合、ステップ110で緑のLED(又は何れかの視覚的インディケータ)が再び点灯し、スクリーンはAIを確認するメッセージを表示する。次に、決定点112において、ロジック100は、それに動作を行うのに十分なバッテリパワーがあるか否かを特定する。バッテリパワーが十分であると、ロジック100はeアダプタがセルフチェックするための決定点114に進む。セルフチェックには、eアダプタ内のすべてのセンサ及び電気構成部品を検出することが含まれてよいが、これに限定されない。バッテリパワーが不十分であると、ロジック100はステップ116でメッセージを表示し、及び/又は赤のLEDを点灯させ、及び/又はスピーカ62からビープ音を鳴らし、ステップ118でeアダプタをシャットダウンする。ステップ114のセルフチェックがイエスであれば、ロジック100は決定点120に進み、ペアリングされたスマートフォンが利用可能か否かを特定する。ステップ114でのセルフチェックの結果がノーであると、ロジック100は、それぞれ決定点122及び124でセルフチェックが失敗したか、又はeアダプタが期限切れであるか否かを特定することに進む。eアダプタ10が故障した、又は期限切れであると、それぞれ故障メッセージ126及び128が表示され、その後、ステップ118でロジック100がシャットダウンする。
【0070】
ロジック100がペアリングされたスマートフォンを検出すると、ステップ130でeアダプタ10がスマートデバイスに接続され、適当な音声及びLEDカラーランプが、スマートデバイスとのBluetooth接続が確立されたことを患者に伝える。その後、ロジック100は、ステップ132での何れかの保存された/オフラインの注入データとスマートフォンとの同期へと進む。ロジック100がペアリングされたスマートフォンを検出しない場合、ステップ134で、メッセージがスクリーン16上に表示され、適当な音声とLEDカラーランプが、Bluetooth接続がないことを患者に伝え、ステップ136で注入データがメモリに保存される。
【0071】
ペアリングされたスマートフォンが検出されたか否かにかかわらず、ロジック100はその後、決定点138に進み、例えばスイッチ44がAI 10の挿入により完全に又は部分的に作動されたか否かを感知することによって、AI 30がeアダプタ10に適正に取り付けられたか否かを特定する。AIが適正に取り付けられていない場合、ステップ139でメッセージが表示され、音声とLEDカラーランプが患者に伝えられる。すると、ロジック100は、図のようにAIが適正に取り付けられるまで繰返しループを実行する。AIがeアダプタに適正に取り付けられた後、ステップ140でメッセージが表示され、音声とLEDカラーランプが患者に伝えられる。患者に対するこれらの通信手段は、法令の観点から、適正なデバイスの利用に関して適当である。
【0072】
その後、ロジック100は、決定点142において、前述のようにAIが室温に到達したか否かを、温度センサ18を使ってチェックする。AIの温度にまだ到達していないと、ステップ144でメッセージが表示され、音声とLEDカラーランプが患者に伝えられる。すると、ロジック100は、図のようにAIの温度に到達するまで繰返しループを実行する。AIの温度に到達した後、ステップ146で、AIが注入可能な状態になったとのメッセージが表示され、音声とLEDカラーランプが患者に伝えられる。
【0073】
この点で、センサは音声、振動、及び注入にかかわる磁場の変動を感知することができる状態である。決定点148で、ロジック100は、音声及び振動閾値レベルが感知されたか否かを特定する。感知されていないと、ロジック100は、音声及び振動閾値が感知されるまで、別の繰返しループを実行する。音声及び振動閾値レベルは、注入開始時の音声と移動又は他の閾値レベルとすることができる。これらの閾値が感知されると、ロジック100は決定点150で、注入開始時の磁気読取り値又は他の磁気読取り値とすることのできる磁気読取り値の閾値が感知されたか否かを特定する。eアダプタ10上の磁気センサ20が音声及び振動閾値読取り値の検出と実質的に同時に磁気閾値読取り値を検出できない場合、ロジック100は、AIを磁気能力のないものとして扱い、ロジック100は分岐「A」で示され、後述される別の命令セットを実行するであろう。
【0074】
磁気閾値レベルが感知されると、ステップ152でAIからの第一の音声/クリックが音声及び振動センサ22及び24により感知され、関連する音声及びLEDカラーランプと共に、注入が始まったとのメッセージが表示される。ロジック100はまた、注入開始日時も記録する。次に、決定点154で、注入の停止を示す第二の音声及び振動が感知されるべきである。第二の音声及び振動が感知されない場合、ロジック100は決定点156で、磁気センサシステムをチェックして、図6に関して述べたようにAIが注入部位から取り外されたか否かを特定する。AIが注入部位から移動されると、ロジック100はステップ158でエラーメッセージを表示し、赤のLEDを点灯させ、ステップ160でeアダプタ10をシャットダウンする。AIが注入部位から移動されていないと、ロジック100は、ステップ162で、RTCをチェックすることにより、例えば15秒、20秒、30秒等の所定の時間が経過したか否かを特定する必要がある。所定の待機時間が満了していなければ、ロジック100は図のように他の繰返しループを実行し、第二の音声及び振動を待つ。所定の待機時間が満了した場合、これはAIが動かなくなり、第二のクリック音及び振動が聞こえない/感知されないことを示し、すると、ロジック100はステップ164で注入失敗のメッセージを表示し、eアダプタ及びAIが注入部位から取り外されるまでそのまま保持する。ステップ164は、決定点156(又は後述の170)につながり、eアダプタを適切にシャットダウンできる。
【0075】
決定点154で注入の停止を示す第二の音声及び振動が感知されると、ステップ166で、注入停止が記録され、ディスプレイ16又はスマートフォンのディスプレイはまた、患者に対し、AI及びeアダプタを注入部位に所定の長さの時間、例えば5秒、10秒等にわたり保持するように命じるべきである。ロジック100はすると、決定点168で、保持時間が適当であることを確認するチェックを行う。適切でなければ、ロジック100は、保持時間が満たされるまで他の繰返しループを実行し、決定点170で、AIが注入部位から取り外されたか、又はeアダプタをから取り外されたか否かを特定してよい。保持時間が守られないか、又は満たされずに、AIが注入部位から取り外されると、ロジック100はステップ172を実行し、注入部位からの早すぎる取り除き時刻を記録する。
【0076】
保持時間が守られ、又は満たされると、eアダプタはステップ174で注入成功の表示を、またステップ176で、患者にAIを注入部位、すなわち自分の皮膚から取り除くように指示する別の表示を表示する。すると、ロジック100は、決定点178でAIが取り除かれたか否か、すなわち図6の区間Cを特定する。AIが取り除かれていないと、ロジック100はAIが取り除かれるまで、もう一度繰返しループを実行し、その後、ステップ180でAIの取り除き時刻を記録する。ロジック100はその後、ステップ182で、AIを取り除いて廃棄するようにとのメッセージを患者に対して表示する。すると、ロジック100は決定点184でAIが取り除かれたか否か、すなわちスイッチ44がオフになったか否かを特定する。AIが取り除かれていない場合、ロジック100はAIが取り除かれるまで、もう一度繰返しループを実行できる。
【0077】
その後、ロジック100は図のようにステップ172に再びつながり、決定点186及び188でeアダプタが引き続き実行可能な状態か否かを特定し、そこでロジック100は、eアダプタが有効期限切れとなったか否かを特定する。eアダプタ10の中の特定の電子的及び機械的構成部品の寿命予想により、eアダプタは何度も、例えば最大100回、25回、15回、又は5回にわたり、安全に使用できる。決定点186で、ロジック100は使用回数が設計上の限度を超えたか否かを特定する。イエスの場合、ロジック100はステップ190で、eアダプタを廃棄するようにとのメッセージを表示する。使用回数が設計上の限度を超えていない場合、ロジック100は決定点188で実際の使用回数を特定し、ステップ192で残りの使用回数を表示する。
【0078】
その後、ロジック100は、ステップ194で、eアダプタがスマートフォンに接続されたか否かを特定する。接続されていないと、ステップ196で、注入データはeアダプタ上のメモリに保存される。接続された場合、ロジック100は、決定点198で、eアダプタが過去の注入又は使用データを持っているか否かを特定する。過去の使用データがある場合、ロジック100はステップ200で、保存されているすべての注入及び使用データのほか、現在のデータをスマートフォンに転送し、ステップ202で、スマートフォンから確認を受信し、ステップ204で、eアダプタ内のメモリ空間を空ける。過去の使用データがなければ、ロジック100は同様のステップを実行するが、ステップ206、208、及び210では過去の使用データが転送されない。図16に示されるように、ステップ196、204、又は210の後に、注入が成功し、使用/注入データが保存されるか転送されてから、ステップ212でeアダプタがシャットダウンする。
【0079】
再び決定点150を参照すると、ロジック100は磁気閾値を検出できないと、eアダプタ10の動作は図16の中で分岐「A」として示される異なる動作経路に分割される。図17aを参照すると、図16のものと同様のステップと決定には同様の参照番号が割り当てられており、ロジック100はステップ152で、第一の注入開始音声/振動を感知し、決定点154で第二の注入停止音声/振動が感知されたか否か決定する。ロジック100はすると、決定点162で、注入開始からの経過時間を所定の限度、例えば30秒、45秒、又は60秒と比較し、図のように第二の音声/振動が感知されるまで繰返しループを開始する。経過時間が所定の限度を超えると、ロジック100はステップ164で注入失敗のメッセージを表示する。前述のように、ステップ164は決定点156又は170につながり、eアダプタを適正にシャットダウンしてよい。
【0080】
第二の注入終了音/振動が感知されると、ステップ166で注入停止時刻が記録され、保持時間の表示が患者に対して示される。ロジック100は、図のように保持時間が完了するまで決定点168で繰返しループを開始してよい。その後、ロジック100は、ステップ174で注入成功メッセージと適切な音声及びランプを表示してよく、ステップ176で、患者にAIを注入部位から取り外すように助言してよい。ロジック100はすると、ステップ180でAI取り除き時刻を記録し、ステップ182でAIを廃棄させるメッセージを表示する。決定点184で、AIが取り外されたか否かを確かめるための繰返しループが実行されてよい。
【0081】
その後、ロジック100は、前述のステップ/決定点186~212を実行して、eアダプタが有効期限切れか否かを特定して、前述のように注入データをスマートフォンに転送してもよい。
【0082】
再び決定点142を参照すると、ロジック100はAIが適正な注入温度に到達したことを感知する。ブーリアン回答が「イエス」であると、ロジック100は、分岐「B」で開始する独立アイドルループを実行してよく、これは決定点142につながり、AIが挿入されたときに背景で実行される。決定点138でAIの挿入が確認され、アイドルループが開始される前にAIが取り外された場合、eアダプタはスイッチ44によって自動的にシャットダウンされる。アイドルループはまた、加速度計又は振動センサ24が検出されたときに実行されるべきである。決定点114でセンサ24と他のすべてのセンサ及び電子構成部品がチェックされ、アイドルループに使用可能であるべきである。分岐「B」のアイドルループは好ましくは、AIが注入温度に到達した後に実行され、好ましくはeアダプタ10がONである間に実行を続ける。独立ループは、eアダプタとAIが取り付けられていないままであることを感知するように設計される。この独立アイドルループは、バッテリパワーを節約するために第一の所定のアイドル又は休止時間の後にデジタル表示スクリーン16をオフにし、第二の所定のアイドル又は休止時間の後にeアダプタ10をオフにする。好ましくは、第二の所定のアイドル時間は第一の所定のアイドル又は休止時間より長い。
【0083】
図17bに戻ると、この独立アイドルループは「B」において、ステップ213で任意選択的に振動センサ24にアクセスし/それを確認することによって開始し、決定点214で、eアダプタが動作中か否かをこのセンサ24を使って特定する。振動センサ24は、好ましくは加速度計であり、eアダプタが休止状態にあるか、又は患者若しくはHCPにより取り扱われているか否かを感知できる。加速度計の読取り値は、eアダプタがアイドル状態のときには実質的にゼロである。答えが「ノー」である、すなわちeアダプタが動作中である場合、ステップ216でタイムアウトカウンタがリセットされ、ロジック100は、eアダプタ及びAIがアイドル状態になるまで、繰返しループを実行する。決定点214でeアダプタがアイドル状態であると、ロジック100は、決定点218で、アイドル時間が第一の所定のアイドル時間、例えば5分、10分等を超えたか否かを特定する。第一の所定のアイドル時間に到達していないと、ロジック100は、第一の所定のアイドル時間に到達するまでもう一度繰返しループを実行する。到達すると、ステップ220でロジック100はデジタルディスプレイ16をオフにして電力を節約するが、eアダプタ10内の他のセンサ、プロセス、及びロジック100は動作中のままであり、実行し続ける。
【0084】
デジタルディスプレイ16がオフになった後、ロジック100は決定点222で、加速度計が動きを検出したか否かを特定する。加速度計が動きを検出しないと、ロジック100のアイドルループは、決定点224で、第二の所定のアイドル時間、例えば30分、1時間、又は2時間に到達したか否かを特定する。第二の所定の時間に到達していないと、アイドルループは、決定点218に戻り、繰返しループを実行して、決定点224で第二の所定のアイドル時間が満了するか、又は決定点222で加速度計が動きを検出するかの何れかを待つ。決定点222で動きが検出されると、これは患者がeアダプタとAIを取り上げたと解釈でき、ロジック100はステップ226でデジタルディスプレイをONにし、ロジック100は図16の分岐「B」のスタートか、任意選択的にその上流の何れかの点に戻る。好ましくは、ステップ226の後、図17bに示されるように、分岐「B」のスタートに戻ることによってアイドルループが実行され続け、eアダプタとAIがアイドル状態に戻ったか否かを感知する。
【0085】
第二の所定のアイドル時間は、AIが冷蔵庫から取り出された後の期間を表し、その時、AIに収容されている薬剤は患者に注入されるのに安全ではなくなっている。したがって、決定点224でブーリアン回答が「イエス」であると、ロジック100は、この特定のAIからのAI情報をメモリに書き込み、患者がこのAIを再使用しようとしたときに、前述のようにステップ108及び決定点109で前記AIを拒絶する。好ましくは、第二の所定のアイドル時間は、AIがeアダプタに挿入された時刻から累積されるため、いくつかのアイドル時間の期間がある場合、ロジック100はAIが冷蔵庫から取り出されてからの総時間をカウントする。
【0086】
加速度計があり、決定点222で検出されると、加速度計はeアダプタからの振動/移動を検出することにより、ステップ226でデジタルスクリーン16を起動させ、又はONにするために使用できる。スクリーン16は、スクリーンがオフとなる以前の過去に存在していたすべてのメッセージを表示する。システムは動作中であるため、ロジック100はステップ216でタイムアウトカウンタをリセットし、この独立アイドルループが再開する。
【0087】
前述のように、本発明のeアダプタ10と内部ロジック100は、不完全な注入/投与量、AIを注入部位から早く取り除きすぎたこと、AIの異常、AIの有効期限切れ等、幾つかの故障モードを区別することができる。情報は保存され、送信され、又はHCP若しくは医師による利用に供されるようにすることができる。それに加えて、スマートフォンのAPPは不適正又は不完全な使用のレポートをHCP又は医師に送信でき、それによって交換用AI又はそのための処方を患者に送信できる。
【0088】
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)は、患者のためのロジック100のナビゲーションを容易にするように設計される。スマートフォン250のスクリーン及びeアダプタ10のデジタルスクリーン16上に表示される可能性がある例示的で非限定的なGUIは、図18~32及びそのサブパートに示されている。スマートフォンAPPは、スマートフォン250がeアダプタ10とペアリングされた後でロジック100に接続される。スマートフォンAPPは、GUIを使ってユーザにメッセージを表示する。図18は、初期画面を示しており、これは患者に対し、注射、履歴、電話とeアダプタとの間の同期日時、担当医師、又は設定調整の選択肢を提供する。これらの選択肢のうちの1つを選択することにより、患者はスマートフォン250上でAPPに入ることができる。
【0089】
ロジック110のステップ126で述べた、eアダプタが故障したとの表示は、図19a~19bに示されている。ディスプレイ16とスマートフォン250は同様のメッセージを有するべきであり、スマートフォンはそのスクリーンがより大きいため、追加のテキストを示す。図20a~20bは、ステップ138からの、AI 30がeアダプタ10に適正に取り付けられていないとの表示を示しており、図21a~21bは、ステップ140からの、AIがeアダプタに適正に取り付けられたとの表示を示している。図22a~22bは、ステップ134からの、eアダプタとスマートフォンとの間にBluetooth接続がないとの表示を示し、図23a~23bは、eアダプタとスマートフォンがBluetoothを介して接続されているとの表示を示す。
【0090】
図24a~24bは、ステップ144からの、薬剤温度がまだ適正温度、例えば室温に到達していないとの表示を示し、図25a~25bは、ステップ146からの、薬剤温度が適正な注入温度に到達したとの表示を示す。図26a、26b、及び26cは、ステップ166からの、注入後の保持時間及びカウントダウンを示す。図27a~27bは、ステップ174からの、注入成功の表示を示し、図28a~28bは、ステップ158及び164からの、注入失敗の表示を示す。図29a~29bは、ステップ182からの、使用済みAIを廃棄すべきであるとの表示を示す。図30a~30bは、ステップ192からの、eアダプタに関する残りの使用/注入回数を示し、図31a~31bは、ステップ190からの、eアダプタを廃棄又はリサイクルすべきであるとの表示を示す。
【0091】
好ましくは、データ計算及び操作はスマートフォン250上で行われ、それは、これらのスマートデバイスがよりロバストなプロセッサ58を有し、eアダプタ上のメモリ空間を空けるからである。このような計算及び操作は、eアダプタ上のマイクロプロセッサにより実行できるが。データ計算及び操作は、注入時刻、注入時間、注入失敗又は成功等の結果を生成できる。図32aは、履歴の選択肢が選択されたときの図18のGUIを示す。注入履歴は、図32bに示されるように過去の注入イベントの一覧によるコンパクトな形で、又は図32cに示されるように1つ又は複数のスクリーン上に示されるより詳細な事柄と共に表示できる。
【0092】
III.訓練及びシミュレーションAPP
新規ユーザ又は患者向けの訓練を提供するために、ユーザが機器に慣れ、詳しくなるように、好ましくは、あり得るeアダプタ故障及び成功モードがAPPによってユーザに提示される。実際のeアダプタ上にあり得る故障モードの各々を作り出すことは、コストがかかり、実質的に不可能であろう。本発明者らは、新規ユーザのための訓練又はシミュレーションAPPを考案した。
【0093】
図33a~33cに関して、訓練APPは管理者ページを含む。この管理者ページでは、考え得るeアダプタ上故障点の各々、例えば注入温度未到達、センサエラー等を「オン」の選択肢を選択することによって選択できる。「オフ」の選択肢は、そのエラー又は故障が発生していないことを意味する。選択及び確認後、訓練APPはeアダプタ10をシミュレートして、選択された故障の各々が発生したかのように動作する。上述したように、管理者ページの中で、「復元」又は「デフォルト」の選択肢は、eアダプタとAPPを、エラー又は故障を検出するために通常の状態に素早く復元させるために提示される。
【0094】
訓練により、患者又はユーザは、これらの状況又はシナリオでのeアダプタ10の使用方法がわかるであろう。このような訓練により、患者は、エラー又は故障が発生した場合にどのような措置を取るべきかがわかるであろう。
【0095】
代替的に、上述のスマートフォンAPPは、eアダプタ10から収集した実際の注入からエラー/故障データを取得し、図33a及び33bに示される管理者ページに示される「オン」又は「オフ」の選択肢をポピュレートすることができる。患者が図33cに示されるこれらのエラー/故障を保存すると、APPは患者に対して次の一連の動作を指示し、これは例えば、そのエラーによって注射の有効性は損なわれないが、医師に連絡して報告すること、新しいAIで注入を繰り返すこと、医師に連絡してさらに指示を仰ぐこと、等である。
【0096】
IV.ヒューマンファクタ/ユーザ評価のための調査
ユーザ評価のための調査を行った。eアダプタ10を、喘息患者6名、慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)患者5名、及びCOPD/喘息患者の介護者5名を含む16名の参加者に提示した。(i)eアダプタ10及び関係するAPP/ロジック100を用いてオートインジェクタ30で自己投与を行う、又は(ii)オートインジェクタ30単独で自己投与を行う選択肢を提示したところ、16名の参加者のうち14名(87.5%)がeアダプタ10及び関連するAPP/ロジック100の使用を選択した。当初はeアダプタと関連するAPPの使用を選択しなかった2名のうち、調査のファシリテータ又は管理者がeアダプタ及び関連するAPPの目的を説明した後、1名の参加者であるCOPD患者はそれを使った方がよいだろうと述べた。もう一方の参加者は介護者であった。
【0097】
参加者はまた、赤と緑の表示ランプの使用を報告し、緑はすべてが満足であることを示し、赤はエラーの状態を示す。この色付け方式をユーザ評価のための調査中に試験し、ユーザが想定するとおりであることがわかった。
【0098】
参加者はまた、eアダプタ10の形状が、オートインジェクタ30の後端の約1/3~1/2をカバーする付属品として、参加者にとって握りやすく、注入しやすいことを発見した。これもまた、ユーザ評価のための調査により確認された。
【0099】
参加者はまた、注入ステップ中にユーザがeアダプタのディスプレイに従うためのステップごとのガイダンスの表示は役立ったと述べた。このステップごとのガイダンスは、参加者又は患者、特に新たな患者が、薬品を正しく投与していることを確認するのを助けた。これもまた、ユーザ評価のための調査により確認された。
【0100】
参加者はまた、eアダプタ10のスクリーンとAPP及びスマートフォンのスクリーンとの同期は患者の役に立ったとも報告した。注入プロセスを誘導するために、ある患者はeアダプタのスクリーンを使用したいと思う可能性があり、また別の患者はAPPスクリーンを使うことを望む可能性がある。この付加価値同期もまた、ユーザ評価のための調査により確認された。
【0101】
本明細書で開示される本発明の例示的実施形態が前述の目的を達成することは明らかであるが、様々な改良及びその他の実施形態も当業者により案出される可能性があると理解されたい。このような改良の1つは、スピーカ62が、スマートデバイス上又はデジタルスクリーン16上でGUIとして表示されるメッセージと同様の口頭の指示を放送してよいことである。したがって、付属の特許請求の範囲はこのような改良及び実施形態のすべてを含むと理解され、これらは本発明の主旨と範囲内に含められる。
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図17A
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