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特許7210573保護材料を使用したガラス貫通ビアの製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】保護材料を使用したガラス貫通ビアの製造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20230116BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20230116BHJP
   C03C 15/00 20060101ALI20230116BHJP
   C03C 17/32 20060101ALI20230116BHJP
   C03C 23/00 20060101ALI20230116BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230116BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
H01L29/78 626C
C03C15/00 B
C03C17/32 A
C03C23/00 D
G09F9/00 338
G09F9/30 310
H01L29/78 612C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020523434
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 US2018057203
(87)【国際公開番号】W WO2019084077
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】62/578,109
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】マンレイ,ロバート ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァディ,ラジェッシュ
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-92260(JP,A)
【文献】特開2010-254551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0123136(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0200207(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0147624(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0263742(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0025445(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
C03C 15/00
C03C 17/32
C03C 23/00
G09F 9/00
G09F 9/30
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブアセンブリにおいて、
第一面、該第一面と反対にある第二面、および該第一面と該第二面との間に延在する第三面を備えるガラス基板であって、該第一面から該第二面に延在する複数のレーザ損傷領域を含むガラス基板、
前記ガラス基板の第一面上にある複数の電子デバイス、および
前記複数の電子デバイスおよび前記ガラス基板の第三面上にある不活性化層であって、前記複数のレーザ損傷領域の各レーザ損傷領域への開口を構成する不活性化層、
を備えるサブアセンブリ。
【請求項2】
前記不活性化層が前記ガラス基板の第二面上にある、請求項1記載のサブアセンブリ。
【請求項3】
前記複数のレーザ損傷領域が、エッチングされて、対応する複数のガラス貫通ビアを与えるように作られている、請求項1または2記載のサブアセンブリ。
【請求項4】
ガラス部品を製造する方法において、
ガラス基板にレーザ損傷を与えて、該ガラス基板の第一面から該第一面の反対にある該ガラス基板の第二面まで延在する複数のレーザ損傷領域を形成する工程、
前記ガラス基板の第一面上に複数の電子デバイスを製造する工程、
前記複数の電子デバイスおよび前記ガラス基板の第一面と第二面との間に延在する該ガラス基板の第三面上に保護材料を施す工程、および
前記複数のレーザ損傷領域をエッチングして、対応する複数のガラス貫通ビアを与える工程、
を有してなる方法。
【請求項5】
ディスプレイを製造する方法において、
ガラス基板にレーザ損傷を与えて、該ガラス基板の第一面から該第一面の反対にある該ガラス基板の第二面まで延在する複数のレーザ損傷領域を形成する工程、
前記ガラス基板の第一面上に薄膜トランジスタのアレイを製造する工程、
前記薄膜トランジスタのアレイおよび前記ガラス基板の第一面と第二面との間に延在する該ガラス基板の第三面上に保護材料を施す工程、
前記複数のレーザ損傷領域をエッチングして、対応する複数のガラス貫通ビアを与える工程、
前記複数のガラス貫通ビアを金属化して、前記ガラス基板を貫通して延在し、前記薄膜トランジスタのアレイに結合された対応する複数の電気接点を形成する工程、および
前記保護材料を除去する工程、
を有してなる方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2018年10月27日に出願された米国仮特許出願第62/578109号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、ガラス貫通ビア(TGV)に関する。より詳しくは、本開示は、ディスプレイなどのデバイス内に電気信号経路を形成するために保護材料を使用するTGVの製造に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスは、ディスプレイ、インターポーザ、センサなどの多数の電子用途に広く使用されている材料である。電子ディスプレイは、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、自動車エレクトロニクス、拡張現実装置などの数多くの種類の機器に使用されることがある。電子デバイスは、ガラス基板の一方の主面からガラス基板の他方の主面まで電気信号を伝達するためにガラス基板の厚さを通じて延在するビアを含むことがある。それらのビアは、ガラス基板の上に位置する回路と、ガラス基板の下に位置する回路との間で電気信号と電力を運ぶことがある。
【0004】
ガラス貫通ビア(TGV)基板の表面に回路を形成するための電子パターンの製造は、TGV内のフォトレジストの閉込めをもたらす可能性があるフォトリソグラフィー工程を含むことがある。TGV内のこのフォトレジストの閉込めは、TGV基板の表面に形成される電子パターンの品質にとって有害であることがある。したがって、TGV内のフォトレジストの閉込めを防ぎつつ、TGVを備えたガラス基板上に電子パターンを製造する方法が、ここに開示されている。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実施の形態は、サブアセンブリに関する。そのサブアセンブリは、ガラス基板、複数の電子デバイス、および不活性化層を備える。そのガラス基板は、第一面、その第一面と反対にある第二面、およびその第一面と第二面との間に延在する第三面を備える。そのガラス基板は、第一面から第二面に延在する複数のレーザ損傷領域を含む。その複数の電子デバイスは、ガラス基板の第一面上にある。その不活性化層は、複数の電子デバイスおよびガラス基板の第三面上にある。その不活性化層は、複数のレーザ損傷領域の各レーザ損傷領域への開口を構成する。
【0006】
本開示のさらに他の実施の形態は、ガラス部品を製造する方法に関する。この方法は、ガラス基板にレーザ損傷を与えて、ガラス基板の第一面からその第一面の反対にあるガラス基板の第二面まで延在する複数のレーザ損傷領域を形成する工程を含む。この方法は、ガラス基板の第一面上に複数の電子デバイスを製造する工程をさらに含む。この方法は、その複数の電子デバイスおよびガラス基板の第一面と第二面との間に延在するガラス基板の第三面の上に保護材料を施す工程をさらに含む。この方法は、複数のレーザ損傷領域をエッチングして、対応する複数のガラス貫通ビアを与える工程をさらに含む。
【0007】
本開示のさらに他の実施の形態は、ディスプレイを製造する方法に関する。この方法は、ガラス基板にレーザ損傷を与えて、ガラス基板の第一面からその第一面の反対にあるガラス基板の第二面まで延在する複数のレーザ損傷領域を形成する工程を含む。この方法は、ガラス基板の第一面上に薄膜トランジスタのアレイを製造する工程をさらに含む。この方法は、その薄膜トランジスタのアレイおよびガラス基板の第一面と第二面との間に延在するガラス基板の第三面の上に保護材料を施す工程をさらに含む。この方法は、複数のレーザ損傷領域をエッチングして、対応する複数のガラス貫通ビアを与える工程をさらに含む。この方法は、その複数のガラス貫通ビアを金属化して、ガラス基板を貫通して延在し、薄膜トランジスタのアレイに結合された対応する複数の電気接点を形成する工程をさらに含む。この方法は、その保護材料を除去する工程をさらに含む。
【0008】
ここに開示されたサブアセンブリおよび方法は、TGV内のフォトレジストの閉込めを防ぎつつ、ガラス基板の一方の側に位置する回路からガラス基板の他方の側に位置する回路に電気信号および/または電力を運ぶために、ガラスを貫通する電気信号経路を使用できるようにする。
【0009】
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部には、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【0010】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、様々な実施の形態を記載しており、請求項の主題の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることが理解されよう。添付図面は、様々な実施の形態のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、ここに記載された様々な実施の形態を示しており、説明と共に、請求項の主題の原理および作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】ディスプレイの一例の説明図
図1B】ディスプレイの一例の説明図
図2】ガラス基板の一例の説明図
図3図2のガラス基板にレーザ損傷を与える一例の説明図
図4図3のガラス基板の上面に電子デバイスを形成する一例の説明図
図5A図4の電子デバイスおよびガラス基板の上に保護材料層を施した後のサブアセンブリの例の説明図
図5B図4の電子デバイスおよびガラス基板の上に保護材料層を施した後のサブアセンブリの例の説明図
図6】ガラス貫通ビア(TGV)を形成した後の図5Aのサブアセンブリの一例の説明図
図7】TGVを金属化した後の図6のサブアセンブリの一例の説明図
図8】ガラス基板の底面に電子デバイスを形成した後の図7のサブアセンブリの一例の説明図
図9】保護材料層を除去した後の図8のサブアセンブリの一例の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、その例が添付図面に示されている、本開示の実施の形態を詳しく参照する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部分を称するために、図面に亘り、同じ参照番号が使用される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形成で具体化されることがあり、ここに述べられた実施の形態に限定されると解釈すべきではない。
【0013】
範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値まで、としてここに表現することができる。そのような範囲が表現されている場合、別の実施の形態は、その1つの特定の値から、および/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が、「約」という先行詞によって近似として表現されている場合、その特定値は別の実施の形態を形成すると理解されよう。範囲の各々の端点は、他方の端点に関してと、他方の端点に関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
【0014】
ここに用いられているような方向を示す用語-例えば、上、下、右、左、前、後ろ、上部、底部、垂直、水平-は、描かれた図面に関してのみ用いられ、絶対的な向きを暗示する意図はない。
【0015】
特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることを必要とする、または任意の装置について、特定の向きが要求されると解釈されることは決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程が従うべき順序を実際に列挙していない場合、または装置の請求項が、個々の構成要素に関する順序または向きを実際に列挙していない場合、もしくは請求項または記載に、工程が特定の順序に限定されること、または装置の構成要素に対する特定の順序または向きが列挙されていない場合、どの点に関しても、順序または向きが暗示されることは決して意図されていない。このことは、工程の配列、操作の流れ、構成要素の順序、または構成要素の向き;文法構成または句読法に由来する明白な意味;および明細書に記載された実施の形態の数またはタイプに関する論理事項を含む、解釈に関するどの可能性のある非表現基準にも適用される。
【0016】
ここに用いられているように、名詞は、内容が明白に他に示していない限り、複数の対象を含む。それゆえ、例えば、成分に対する言及は、内容が明白に他に示していない限り、そのような成分を2つ以上有する態様を含む。
【0017】
ここで図1A~1Bを参照すると、例示のディスプレイ100が示されている。図1Aはディスプレイ100の上面図を示しており、図1Bはディスプレイ100の断面図を示している。ディスプレイ100は、ガラス基板102、第1の金属化されたガラス貫通ビア(TGV)104、第2の金属化されたTGV106、第1の導電線108、第2の導電線110、薄膜電子部品111、光源112、制御盤130、および電極132を備えている。ガラス基板102は、第一面114および第一面114と反対にある第二面116を備えている。ガラス基板102は、ガラス基板102の第一面114と第二面116との間に延在する側面117、118、119、および120も備えている。一例において、第一面114は第二面116に対して平行であり、側面117、118、119、および120は、ガラス基板102の第一面114と第二面116に対して直角である。
【0018】
薄膜電子部品111は、薄膜トランジスタ(TFT)であることがある。TFT111は、行と列のアレイで配列されている。各TFT111は、光源112に電気的に結合されている。各光源112は、マイクロLEDなどの発光ダイオード(LED)であることがある。マイクロLEDは、小さい(例えば、典型的に、約100μm×100μmより小さい)発光部品である。それらは、約五千万ニトまでの高輝度を生じる無機半導体部品である。したがって、マイクロLEDは、高解像度ディスプレイに特に適している。各TFT111は、第1の導電線108(例えば、TFTのソースまたはドレインを通じて)および第2の導電線110(例えば、TFTのゲートを通じて)に電気的に結合されている。第2の導電線110は、第1の導電線108の上に配列され、そこから電気的に絶縁されている。この例において、第2の導電線110は第1の導電線108に対して垂直であり、第1の導電線108はガラス基板102の側面117と119の間に延在し、第2の導電線110はガラス基板102の側面118と120の間に延在する。TFT111、第1の導電線108、および第2の導電線110は、ガラス基板102の第一面114上に形成されている。各光源112は、TFT111と電気的に接触して(例えば、TFTのドレインまたはソースを通じて)ガラス基板102の第一面114上に配列されている。各光源112の上に、図示されていない平面電極が施され、そこに電気的に結合されて、共通電極を提供することがある。
【0019】
各第1の導電線108は、第1の金属化されたTGV104に電気的に結合されている。この例において、金属化されたTGV104は、ガラス基板102の側面117に隣接した行でガラス基板102を通って延在している。各第2の導電線110は、第2の金属化されたTGV106に電気的に結合されている。この例において、金属化されたTGV106は、ガラス基板102の中央にある列でガラス基板102を通って延在している。各第1の金属化されたTGV104および各第2の金属化されたTGV106は、ガラス基板102を通って延在している電気信号経路(例えば、電気接点)を提供する。各第1の金属化されたTGV104および各第2の金属化されたTGV106は、制御盤130の電極132を通じて制御盤130に電気的に結合されている。作動において、制御盤130は、各TFT111を個別に制御して、各光源112を個別に制御することがある。
【0020】
図2は、例示のガラス基板200を概略示している。ガラス基板200は、第一面202、その第一面と反対にある第二面204、および第一面202と第二面204との間に延在する第三面206を備えている。ガラス基板200は、第一面202と第二面204との間に延在する第四面208も備えることがある。一例において、第一面202は第二面204に対して平行であり、第三面206と第四面208は、第一面202と第二面204に対して直角である。ガラス基板200は、第一面202と第二面204との間に延在する追加の側面を備えることがある。例えば、長方形のガラス基板について、ガラス基板200は、第三面206と第四面208に対して垂直な、第一面202と第二面204との間に延在する第五面および第六面を備えることがある。他の例において、ガラス基板200は、円形、三角形、六角形など、対応する数の側面を有する他の適切な形状を有することがある。ガラス基板200における第一面202と第二面204との間の厚さが、約0.1mmと約0.63mmの間または別の適切な厚さであることがある。
【0021】
図3は、図2のガラス基板200にレーザ損傷を与える一例を概略示している。ガラス基板200は、複数のレーザ損傷領域210を形成するために、レーザ211により発せられたレーザビーム212により損傷を受ける。各レーザ損傷領域210は、ガラス基板200の第一面202からガラス基板200の第二面204まで延在する。一例において、レーザ損傷領域210は、約7μmと約9μmの間の直径を有する開放または中空マイクロチャネルを備えている。他の例において、レーザ損傷領域210は、ガラス基板200の結晶構造を分断するまたは分裂させる他の構造を備えている。ともかく、ガラス基板200のレーザ損傷領域210は、ガラス基板200の非損傷領域よりも速い速度でエッチングされる。
【0022】
レーザ損傷領域210は、ガラス基板200の第一面202にレーザ211により発せられたレーザビーム212を照射することによって形成される。レーザビーム212は、例えば、レンズ213によって、ガラス基板200の第一面202の約±100μm以内の焦点に集束されることがある。特定の例示の実施の形態において、レンズ213は、厚さが約0.1mmと約0.63mmの間の範囲にあるガラス基板200について、約0.1と約0.4の間の範囲にある開口数を有する。レーザ211は、レーザ損傷領域210をガラス基板200の第二面204まで延在させるのに十分な照射期間に亘り約50kHz以下の繰り返し率で作動されることがある。
【0023】
特定の例示の実施の形態において、レーザ211は、約9μmと約10.2μmの間の波長を有するレーザビーム212を発生させる炭酸ガスレーザである。別の例において、レーザ211は、約355nmなど、約300nmと約400nmの間の波長を有するUVレーザビーム212を発生させる紫外線(UV)レーザ(例えば、ネオジムがドープされたタングステン酸カリウムガドリニウムレーザまたは別のNdドープレーザ)である。レーザ211は、例えば、レーザ損傷領域210当たり約8から150ミリ秒の範囲内の期間に亘り、ガラス基板200の第一面202を照射することがある。レーザ損傷領域210当たりの個別の照射期間は、ガラス基板200の厚さに依存する。
【0024】
レーザ損傷領域210は、ガラス基板200上に電子デバイスを製造するためにガラス基板200の寸法安定性を維持しつつ、ガラス基板200に、下記に記載されるようなレーザエッチング過程の準備をする。同時に、TGVは、電子デバイスの製造前に、まだ完全には形成されていないので、フォトリソグラフィー過程によるTGV内のフォトレジストの閉込めが防がれる。
【0025】
図4は、図3のガラス基板200の表面上に電子デバイス214を形成する一例を概略示している。電子デバイス214は、ガラス基板200の第一面202上に製造される。特定の例示の実施の形態において、電子デバイス214は、TFTなどの薄膜電子デバイスを含む。電子デバイス214は、フォトリソグラフィー過程を使用して、電子デバイスの導電性および/または誘電性部分を形成することによって、製造されることがある。例えば、電子デバイス214は、先に記載され、図1A~1Bに関して示された、第1の導電線108、第2の導電線110、およびTFT111を備えることがある。電子デバイス214の間に開口216が残って、レーザ損傷領域210を露出するように、電子デバイス214の基準がレーザ損傷領域210とされる。別の例において、電子デバイス214は、図3に関して記載されるようなレーザ損傷領域210の形成前に、図2のガラス基板200上に製造されることがある。
【0026】
図5Aは、電子デバイス214およびガラス基板200の上に保護材料層218(例えば、不活性化層)を施した後の例示のサブアセンブリを概略示している。保護材料層218が、電子デバイス214、ガラス基板200の第一面202、およびガラス基板200の第三面206と第四面208を含むガラス基板200の側面上に施されている。保護材料層218は、物理的気相成長法(PVD)または別の適切な堆積過程を使用して、電子デバイス214およびガラス基板200上に堆積される。特定の例示の実施の形態において、開口216を維持して、レーザ損傷領域210を露出するために、堆積過程中に、マスキング過程が使用される。別の例において、レーザ損傷領域210上の保護材料は、開口216を形成するために、堆積過程後に除去される。保護材料層218は、例えば、樹脂材料、ポリイミド材料、アクリル材料、無機材料、または別の適切な不活性化材料を含むことがある。保護材料層218は、約1μmと約50μmの間の範囲にある厚さを有することがある。保護材料層218は、約100℃から約300℃の範囲内の適切な熱安定性および適切な酸耐久性を有する。
【0027】
保護材料層218は、下記に記載されるようなレーザ損傷領域210のエッチング中に、電子デバイス214および第三面206と第四面208を含むガラス基板200の側面を保護する。例えば、先に記載され、図1A~1Bに関して示されたディスプレイ100の製造中、第1の導電線108、第2の導電線110、TFT111、並びにガラス基板102の側面117、118、119、および120は、TGVを提供するためにレーザ損傷領域をエッチングする前に、保護材料層によって覆われることがあり、このTGVは、第1の金属化されたTGV104および第2の金属化されたTGV106を提供するために、後で充填される。ガラス基板200の側面を保護することによって、側面の側方エッチングが防がれ、したがって、その側面近くの電子デバイス214の品質は、マイクロLEDを利用するディスプレイなど、ベゼルのないディスプレイのために維持される。
【0028】
図5Bは、電子デバイス214およびガラス基板200の上に保護材料層218を施した後のサブアセンブリの別の例を概略示している。この例では、保護材料層218が、ガラス基板200の第二面204の上にも堆積されているということを除いて、この例は、図5Aに示された例と似ている。特定の例示の実施の形態において、開口220を形成して、ガラス基板200の第二面204でレーザ損傷領域210を露出するために、堆積過程中に、マスキング過程が使用される。別の例において、レーザ損傷領域210の下の保護材料は、開口220を形成するために、堆積過程後に除去される。
【0029】
図6は、TGV222を形成した後の、図5Aのサブアセンブリの例示の実施の形態を概略示している。レーザ損傷領域210がエッチングされて、TGV222が与えられている。特定の例示の実施の形態において、レーザ損傷領域210をエッチングするために、ウェットエッチング(例えば、酸浴)が使用される。ウェットエッチングは、例えば、フッ化水素および硝酸の溶液(例えば、20体積%のHF+10体積%のHNOの水溶液)を含むことがある。エッチング速度は、エッチング浴の温度と濃度に基づいて、調節されることがある。エッチングパラメータ(例えば、酸の濃度、エッチング液の処方、エッチングの期間、溶液の温度)により、TGV222の直径および形状が決まる。この例において、エッチングパラメータは、実質的に円筒形のTGV222を提供するように選択される。TGV222は、例えば、約25μmと約100μmの間の直径を有することがある。他の例において、レーザ損傷領域210をエッチングするために、スプレーエッチングまたはドライエッチングが使用されることがある。
【0030】
図7は、TGV222を金属化した後の、図6のサブアセンブリの例示の実施の形態を概略示している。TGV222は、ガラス基板200の第一面202からガラス基板200の第二面204まで延在する金属化されたTGV224を提供するために金属化されている。金属化されたTGV224は、電子デバイス214に結合された電気信号経路(例えば、電気接点)を提供する。特定の例示の実施の形態において、TGV222は、TGVメッキに備えて金属有機気相成長法(MOCVD)を使用して、共形銅シード層を堆積させることによって金属化される。そのシード層は、例えば、TGV222の全体に亘り約0.75μmの厚さまで堆積されることがある。次に、Cuの電気メッキを使用して、TGV222を完全に充填して、金属化されたTGV224を提供することができる。他の例において、TGV222に、電気メッキまたは別の適切な過程によって、Cu以外の導電性材料が充填されることがある。
【0031】
図8は、ガラス基板200の第二面204上に電子デバイス226を形成した後の、図7のサブアセンブリの例示の実施の形態を概略示している。電子デバイス226は、例えば、金属化されたTGV224を他の薄膜電子部品、または他の適切な電子デバイスの各々に電気的に結合する導電線を含むことがある。他の例において、電子デバイス226は排除されることがある。
【0032】
図9は、保護材料層218を除去した後の、図8のサブアセンブリの例示の実施の形態を概略示している。保護材料層218は、例えば、電子デバイス214およびガラス基板200の第三面206と第四面208を含むガラス基板200の側面を露出するために、エッチング過程または別の適切な過程を使用して除去することができる。特定の例示の実施の形態において、図9のサブアセンブリは、電子デバイスの、インターポーザなどのガラス部品として使用されることがある。別の例において、各電子デバイス214に光源が電気的に結合されることがあり、各金属化されたTGV224は、図1A~1Bのディスプレイ100などの表示装置を提供するために、制御盤に電気的に結合されることがある。
【0033】
本開示の精神および範囲から逸脱せずに、本開示の実施の形態に様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白である。それゆえ、本開示は、そのような改変および変更を、それらが付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に入るという条件で、網羅することが意図されている。
【0034】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0035】
実施形態1
サブアセンブリにおいて、
第一面、該第一面と反対にある第二面、および該第一面と該第二面との間に延在する第三面を備えるガラス基板であって、該第一面から該第二面に延在する複数のレーザ損傷領域を含むガラス基板、
前記ガラス基板の第一面上にある複数の電子デバイス、および
前記複数の電子デバイスおよび前記ガラス基板の第三面上にある不活性化層であって、前記複数のレーザ損傷領域の各レーザ損傷領域への開口を構成する不活性化層、
を備えるサブアセンブリ。
【0036】
実施形態2
前記不活性化層が前記ガラス基板の第二面上にある、実施形態1に記載のサブアセンブリ。
【0037】
実施形態3
前記複数のレーザ損傷領域が、エッチングされて、対応する複数のガラス貫通ビアを与えるように作られている、実施形態1に記載のサブアセンブリ。
【0038】
実施形態4
前記不活性化層が、樹脂材料、ポリイミド材料、アクリル材料、および無機材料の内の1つから作られている、実施形態1に記載のサブアセンブリ。
【0039】
実施形態5
前記不活性化層が、1μmと50μmの間の厚さを有する、実施形態1に記載のサブアセンブリ。
【0040】
実施形態6
前記複数の電子デバイスが複数の薄膜電子デバイスを含む、実施形態1に記載のサブアセンブリ。
【0041】
実施形態7
前記ガラス基板の第二面上にある複数の電子デバイス、
をさらに備える、実施形態1に記載のサブアセンブリ。
【0042】
実施形態8
ガラス部品を製造する方法において、
ガラス基板にレーザ損傷を与えて、該ガラス基板の第一面から該第一面の反対にある該ガラス基板の第二面まで延在する複数のレーザ損傷領域を形成する工程、
前記ガラス基板の第一面上に複数の電子デバイスを製造する工程、
前記複数の電子デバイスおよび前記ガラス基板の第一面と第二面との間に延在する該ガラス基板の第三面の上に保護材料を施す工程、および
前記複数のレーザ損傷領域をエッチングして、対応する複数のガラス貫通ビアを与える工程、
を有してなる方法。
【0043】
実施形態9
前記複数のガラス貫通ビアを金属化して、前記ガラス基板の第一面から第二面に延在する対応する複数の電気信号経路を形成する工程、
をさらに含む、実施形態8に記載の方法。
【0044】
実施形態10
前記保護材料を除去する工程、
をさらに含む、実施形態9に記載の方法。
【0045】
実施形態11
前記複数のレーザ損傷領域をエッチングする工程が、該複数のレーザ損傷領域をウェットエッチングする工程を含む、実施形態8に記載の方法。
【0046】
実施形態12
前記ガラス基板の第二面上に複数の電子デバイスを製造する工程、
をさらに含む、実施形態8に記載の方法。
【0047】
実施形態13
前記ガラス基板にレーザ損傷を与える工程が、前記ガラス基板の第一面上に複数の電子デバイスを製造する工程に先行する、実施形態8に記載の方法。
【0048】
実施形態14
前記保護材料を施す工程が、樹脂材料、ポリイミド材料、アクリル材料、および無機材料の内の1つを施す工程を含む、実施形態8に記載の方法。
【0049】
実施形態15
前記保護材料を施す工程が、該保護材料を、1μmと50μmの間の厚さまで施す工程を含む、実施形態8に記載の方法。
【0050】
実施形態16
前記ガラス基板にレーザ損傷を与える工程が、該ガラス基板に、9μmと10.2μmの間の波長を有する炭酸ガスレーザを照射する工程を含む、実施形態8に記載の方法。
【0051】
実施形態17
前記ガラス基板にレーザ損傷を与える工程が、該ガラス基板に、300nmと400nmの間の波長を有する紫外線レーザを照射する工程を含む、実施形態8に記載の方法。
【0052】
実施形態18
ディスプレイを製造する方法において、
ガラス基板にレーザ損傷を与えて、該ガラス基板の第一面から該第一面の反対にある該ガラス基板の第二面まで延在する複数のレーザ損傷領域を形成する工程、
前記ガラス基板の第一面上に薄膜トランジスタのアレイを製造する工程、
前記薄膜トランジスタのアレイおよび前記ガラス基板の第一面と第二面との間に延在する該ガラス基板の第三面の上に保護材料を施す工程、
前記複数のレーザ損傷領域をエッチングして、対応する複数のガラス貫通ビアを与える工程、
前記複数のガラス貫通ビアを金属化して、前記ガラス基板を貫通して延在し、前記薄膜トランジスタのアレイに結合された対応する複数の電気接点を形成する工程、および
前記保護材料を除去する工程、
を有してなる方法。
【0053】
実施形態19
各電気接点を制御盤に電気的に結合する工程、
をさらに含む、実施形態18に記載の方法。
【0054】
実施形態20
前記薄膜トランジスタのアレイの各薄膜トランジスタに光源を電気的に結合させる工程、
をさらに含む、実施形態18に記載の方法。
【符号の説明】
【0055】
100 ディスプレイ
102、200 ガラス基板
104 第1の金属化されたガラス貫通ビア(TGV)
106 第2の金属化されたTGV
108 第1の導電線
110 第2の導電線
111 薄膜電子部品
112 光源
114、202 第一面
116、204 第二面
117、118、119、120 側面
130 制御盤
132 電極
206 第三面
208 第四面
210 レーザ損傷領域
211 レーザ
212 レーザビーム
213 レンズ
214、226 電子デバイス
216、220 開口
218 保護材料層
222 TGV
224 金属化されたTGV
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9