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特許7210620認知機能を改善するため、およびアルツハイマー病を治療するためのプリドピジンの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】認知機能を改善するため、およびアルツハイマー病を治療するためのプリドピジンの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/451 20060101AFI20230116BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230116BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20230116BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
A61K31/451
A61P25/24
A61P25/22
A61P25/28
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021001418
(22)【出願日】2021-01-07
(62)【分割の表示】P 2017545405の分割
【原出願日】2016-02-24
(65)【公開番号】P2021073206
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/120,771
(32)【優先日】2015-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/186,221
(32)【優先日】2015-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519062797
【氏名又は名称】プリレニア ニューロセラピューティクス リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】508152917
【氏名又は名称】ザ ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲバ、ミカル
(72)【発明者】
【氏名】ベズプロズヴァニー、イリャ
(72)【発明者】
【氏名】バッサン、メラブ
(72)【発明者】
【氏名】ハイデン、ミカエル
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-518095(JP,A)
【文献】特表2018-506569(JP,A)
【文献】特許第6887952(JP,B2)
【文献】特表2014-524463(JP,A)
【文献】国際公開第2014/195322(WO,A1)
【文献】特表2013-510114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鬱病または不安障害に罹患した患者を治療することにおける使用のための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する組成物。
【請求項2】
鬱病または不安障害に関連した認知障害を低減することにおける使用のための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する組成物。
【請求項3】
前記認知障害が、より高い推論の喪失、忘却、学習障害、集中困難、または知能低下を包含する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が22.5mg/日~315mg/日のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する、請求項1~3の何れか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記組成物が1日1回または1日2回投与される、請求項4項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記組成物が経口投与される、請求項1~5の何れか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記医薬的に許容可能な塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、コハク酸塩、パモ酸、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン-p-スルホン酸塩を包含する請求項1~6の何れか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記塩が塩酸塩を包含する、請求項7項に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年6月29日に出願された米国仮出願第62/186,221号および2015年2月25日に出願された米国仮出願第62/120,771号の優先権を主張し、その全内容を本明細書の一部として本願に援用する。
【0002】
この出願の全体を通して、様々な刊行物が筆頭著者および出版年によって参照される。これら刊行物の完全な引用は、特許請求の範囲の直前の参照文献の段落に示されている。本明細書に記載する発明日の時点における技術水準をより完全に説明するために、参照文献の段落で引用された刊行物の開示は、その全体を本明細書の一部として本願に援用する。
【背景技術】
【0003】
プリドピジン(4-[3-(メチルスルホニル)フェニル]-1-プロピル-ピペリジン、ACR16、Huntexil)は、ドーパミン作動性の安定化特性を有すると考えられる新規クラスの薬剤のドピジン類(dopidines)から開発中の薬物である(米国特許公開番号US2014/0378508)。ドーパミン作動性安定剤は、ドーパミン作動活性の初期レベルに依存して、中枢神経系(CNS)におけるドーパミン依存性機能を増強および相殺できる化合物である(米国特許公開第2014/0378508号)。ドーパミン作動性安定剤は、アンフェタミンなどの覚醒剤によって誘発される過活動を抑制する。対照的に、低レベルのドーパミン機能では、ドーパミン安定剤は行動活性を増強する(米国特許公開第2014/0378508号)。従って、HD関連の運動症状に対するプリドピジンの主な効果は、プリドピジンの性質を調節するドーパミン伝達を介して起こると予想される(Ponten 2010)。プリドピジンおよびその医薬的に許容可能な塩の合成方法は、米国特許第7,923,459号に開示されている。米国特許第6,903,120号は、パーキンソン病、ジスキネジー、ジストニア、トゥレット症、医原性および非医原性精神病および幻覚、気分および不安障害、睡眠障害、自閉症スペクトル障害、ADHD、ハンチントン病、加齢関連認知障害、並びにアルコール乱用および麻薬乱用に関連する障害の治療のためのプリドピジンを特許請求の範囲に記載している。
【0004】
<アルツハイマー病>
アルツハイマー病(AD)は、認知症の最も一般的な形態であり、記憶障害および日常生活を妨害するのに十分なほど深刻なその他の知的能力障害の総称である。ADは認知症症例の60~80%を占めている(www.alz.org)。
【0005】
ADは、脳からのシナプスおよびニューロンの喪失、並びに細胞外タンパク質含有沈着物(「老人斑」と呼ばれる)および神経原線維変化の蓄積によって特徴付けられる(Selkoeら、2001)。
【0006】
ADの最も一般的な初期症状は、新しく学んだ情報を覚えるのが困難なことである。ADの進行に伴い、方向感覚喪失、気分および行動の変化、並びに会話、嚥下および歩行の困難を含む症状がますます深刻化する。
【0007】
現在のところ、ADの治療法はない。ADのための新しい効果的な療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、被検者における認知機能を改善する方法であって、前記被検者に対して、前記被験者における認知機能を改善するのに有効な量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を定期的に投与することを含む方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容される塩、および医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物と、
b)認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被検者を治療するための、前記医薬組成物の使用説明書
を具備するパッケージを提供する。
【0010】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被検者に投薬するための、または該被検者への投薬において使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、斯かる各単位用量はある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有し、ここでの前記単位用量における前記プリドピジンの量は、前記被験者に投与したときに前記被験者を治療するのに有効である前記単位用量と、
b)その仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含み、前記容器は更に、前記被検者の治療において前記パッケージの使用を指示するラベルを含む前記容器
を具備する治療用パッケージを提供する。
【0011】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被験者を治療する際に使用するための、ある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被験者を治療するのに有用な、ある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明はまた、認知障害に関連した疾患または障害を治療することにおいて有用な単位用量形態の医薬組成物を提供し、これはある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有し、ここでの前記組成物中における前記量のプリドピジンは、前記被験者に対して前記組成物の前記単位用量形態の1以上を投与したときに、前記被験者を治療するのに有効である。
【0014】
本発明はまた、パッケージであって、
a)医薬組成物と、
b)認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被験者を治療するために、前記医薬組成物を使用するための使用説明書
を具備するパッケージを提供する。
【0015】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害の治療において使用するための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0016】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害を治療するための医薬の製造における、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0017】
加えて、本発明は、アルツハイマー病に罹患した被験者を治療する方法であって、被験者を治療するのに有効な量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物を提供する。
【0018】
本発明はまた、アルツハイマー病に罹患した被験者の治療に用いるための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0019】
本発明はまた、アルツハイマー病に罹患した被験者の治療において使用するための医薬の製造のための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0020】
本発明はまた、アルツハイマー病を治療するための有効量のプリドピジンまたはその医薬的に許容される塩を含有する医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明はまた、アルツハイマー病に罹患した被験者の治療において使用するための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物を提供する。
【0022】
本発明はまた、パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンを含む医薬組成物と、
b)アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するための、前記医薬組成物の使用説明書
を備えたパッケージを提供する。
【0023】
本発明は、アルツハイマー病に罹患した被験者に投与するための、またはアルツハイマー病に罹患した被験者に投与することにおいて使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、そのような単位用量の各々がある量のプリドピジンを含み、前記単位用量中の前記プリドピジンの量が、前記被験者に投与したときに前記被験者を治療するために有効である単位用量と、
b)仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含んでおり、前記容器は更に、前記被験者の治療において前記パッケージの使用を指示するラベル含み、または包含する医薬容器
を備えた治療用パッケージを提供する。
【0024】
本発明はまた、パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンおよび医薬的に許容可能な担体を含有する第1の医薬組成物と、
b)ある量のアルツハイマー病を治療することが承認された薬物および医薬的に許容可能な担体を含む第2の医薬組成物と、
c)アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するために、前記第1および前記第2の医薬組成物を一緒に使用するための使用説明書
を具備するパッケージを提供する。
【0025】
本発明はまた、パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンおよび医薬的に許容可能な担体を含有する第1の医薬組成物と、
b)ある量の1以上の抗鬱薬、抗不安薬または抗精神病薬、および医薬的に許容可能な担体を含有する第2の医薬組成物と、
c)アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するために、前記第1および前記第2の医薬組成物を一緒に使用するための使用説明書
を具備するパッケージを提供する。
【0026】
本発明はまた、アルツハイマー病に罹患した被験者に投薬するため、またはアルツハイマー病に罹患した被験者への投薬において使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、かかる各単位用量が、
i)ある量のプリドピジン、および
ii)アルツハイマー病を治療することが認可されたある量の薬物
を含有し、該単位用量中の前記プリドピジン及び前記アルツハイマー病を治療することが認可された薬物のそれぞれの量が、前記被検者に対する同時投与に際して前記被験者を治療するのに有効である前記単位用量と、
b)そのための仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含み、前記容器は更に、前記被検者の治療における前記パッケージの使用を指示するラベルを含みまたは備える医薬容器
を具備するパッケージを提供する。
【0027】
本発明はまた、アルツハイマー病に罹患した被験者に投薬するため、またはアルツハイマー病に罹患した被験者への投薬において使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、斯かる各単位用量が
i)ある量のプリドピジン、および
ii)ある量の1以上の抗鬱薬、抗不安薬または抗精神病薬
を含有し、
前記単位用量中の前記プリドピジン及び前記1以上の抗鬱薬、抗不安薬または抗精神病薬のそれぞれの量が、前記被験者への同時投与に際して有効である単位用量と、
b)そのための仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含み、前記容器は更に、前記被検者の治療における前記パッケージの使用を指示するラベルを含みまたは備える医薬容器
を具備するパッケージを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】Y字型迷路における、MK-801により誘発された自発的交替行動の破壊(図1A)および総アーム侵入数(図1B)に対するプリドピジンの効果。データは平均±SEMを表す。**p<0.01;正常群と比較して統計学的に有意(スチューデントt検定)。#p<0.05;対照群と比較して統計的に有意(ダネットの多重比較試験)。各群において12匹のマウスを使用した。
【0029】
図2】ハンチントン病SIRは神経核内封入体(NNI)に蓄積する。
【0030】
図3】プリドピジンは、YAC128皮質層共培養におけるスパインの喪失を救済する。
【0031】
図4】プリドピジンは、PS-KI(AD)ニューロンにおけるキノコ状スパインの喪失を救済する。
【0032】
図5】ラットのPFCにおけるアセチルコリン(Ach)レベルに対するプリドピジン(15および60mg/kg)の効果(データは平均ベースライン±SEMとして表した)。
【0033】
図6】ラットのSTRでのAChレベルに対するプリドピジン(15および60mg/kg)の効果(データは平均ベースライン±SEMとして表した)。
【0034】
図7】ラットの海馬でのAChレベルに対するプリドピジン(15および60mg/kg)の効果(データは平均%ベースライン±SEMとして表した)。
【0035】
図8】βアミロイド1~42(10μM)の存在下で培養した初代ニューロンの生存に対するプリドピジン(6濃度)およびBDNF(50ng/mL)の効果を、対照のパーセンテージで表したものである(平均±SEM;p<0.05;**p<0.01;***p<0.005;βアミロイド1~42対プリドピジン/BDNF;一方向Anova検定に続くダネット検定)。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、被験者における認知機能を改善する方法であって、被検者に対して、被験者における認知機能を改善するのに有効な量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を被験者に周期的に投与することを含む方法を提供する。
【0037】
一実施形態において、前記認知機能は、全般的認知機能、持続的認知、記憶、言語、執行機能、および注意力からなる群から選択される。別の実施形態では、前記認知機能は記憶である。
【0038】
一実施形態において、前記記憶は短期記憶である。別の実施形態において、前記記憶はワーキングメモリである。
【0039】
一実施形態において、前記被験者は認知障害に罹患している。別の実施形態において、前記被験者は認知障害を有する傾向があるか、またはその素因がある。
【0040】
一実施形態において、前記認知障害は記憶障害である。
【0041】
一実施形態において、前記記憶障害は、短期記憶障害である。別の実施形態において、前記記憶障害は記憶喪失である。
【0042】
一実施形態において、前記記憶喪失は、記憶における加齢関連変化、軽度認知障害、認知症または鬱病の1以上によって引き起こされる。
【0043】
一実施形態において、前記認知障害は、疾患または障害によって引き起こされるか、またはこれと関連する。
【0044】
一実施形態において、前記疾患または障害はNMDA受容体に関連する疾患または障害である。別の実施形態において、前記疾患または障害は、統合失調症または自閉症である。別の実施形態において、前記疾患または障害は癲癇または不安障害である。別の実施形態において、前記疾患または障害は、ハンチントン病である。別の実施形態において、前記疾患または障害は、大鬱病性障害(MDD)、パーキンソン病、アルツハイマー病、遅発性ジスキネジー、鬱病、鎌状赤血球貧血、脳卒中、慢性疼痛症候群および中毒からなる群より選択される。別の実施形態では、前記疾患または障害は、軽度の認知障害、記憶喪失、記憶障害、脳損傷または脳卒中後の事象に関連する記憶障害、学習欠陥、脳腫瘍に関連する行動的および認知的な問題が含まれる。別の実施形態において、前記疾患または障害は、認知症、レヴィ小体に関連する認知症、加齢性認知低下、精神病、注意欠陥障害(ADHD)、双極性障害、脳損傷、気分および情動障害、トゥレット進行性核上麻痺、クロイツフェルト-ヤコブ病、大脳基底核変性、血管性認知症、およびピック病が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
一実施形態において、前記量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩は、1日1回、ヒト被験者に投与される。別の実施形態において、前記量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩は、1日1回よりも頻繁に投与される。別の実施形態において、前記周期的投与は、少なくとも3日間、30日間を超えて、42日間を超えて、8週間以上、少なくとも12週間、少なくとも24週間、24週間を超えて、または6カ月以上継続する。
【0046】
一実施形態において、前記投与されるプリドピジンの量は、22.5mg/日~315mg/日または90mg/日~315mg/日である。別の実施形態において、前記投与されるプリドピジンの量は、約22.5mg/日、約45mg/日、約67.5mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約112.5mg/日、約125mg/日、約135mg/日、約150mg/日、約180mg/日、約200mg/日、約250mg/日、約315mg/日である。
【0047】
一実施形態において、前記量のプリドピジンは経口投与される。
【0048】
一実施形態において、前記医薬的に許容されるプリドピジンの塩は、塩酸プリドピジンである。
【0049】
一実施形態において、前記被験者はヒト患者である。
【0050】
本発明はまた、パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩および医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物と、
b)認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被検者を治療するための、前記医薬組成物の使用説明書
を具備するパッケージを提供する。
【0051】
一実施形態において、前記疾患または障害は、NDA受容体に関連する疾患または障害である。
【0052】
一実施形態において、前記認知障害は記憶喪失である。
【0053】
一実施形態において、前記プリドピジンの医薬的に許容可能な塩は、塩酸プリドピジンである。
一実施形態において、前記医薬組成物中のプリドピジンの量は、22.5mg~315mgまたは90mg~315mgである。別の実施形態において、医薬組成物中のプリドピジンの量は、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgである。
【0054】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被検者に投薬するための、または該被検者への投薬において使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、前記プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物であって、前記単位投与量中の前記プリドピジンの量は、前記被験者に投与すると、前記被験者を治療するのに有効である前記単位用量と、
b)そのための仕上げられた医薬容器であって、該容器は、前記単位用量または複数の単位用量を含み、前記容器は更に、前記被検者の治療において前記パッケージの使用を指示するラベルを含み、または包含する前記医薬容器
を具備した治療用パッケージを提供する。
【0055】
一実施形態において、前記疾患または障害は、NMDA受容体に関連する疾患または障害である。
【0056】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被験者を治療する際に使用するための、ある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物を提供する。
【0057】
一実施形態において、前記医薬組成物は、固体、カプセルまたは錠剤の形態である。
【0058】
一実施形態において、前記認知障害は記憶喪失である。
【0059】
一実施形態において、前記プリドピジンの医薬的に許容可能な塩は、プリドピジン塩酸塩である。
【0060】
一実施形態において、前記医薬組成物中のプリドピジンの量は、22.5mg~315mgまたは90mg~315mgである。別の実施形態において、前記医薬組成物中のプリドピジンの量は、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgである。
【0061】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被験者を治療するのに有用な単位用量形態の医薬組成物であって、ある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有し、前記組成物中の前記量のプリドピジンは、前記被検者に1以上の前記単位用量形態の組成物を投与したときに、前記被験者を治療するのに有効である医薬組成物を提供する。
【0062】
一実施形態において、前記疾患または障害は、NMDA受容体に関連する疾患または障害である。
【0063】
本発明はまた、パッケージであって、
a)医薬組成物と、
b)認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被験者を治療するための医薬組成物の使用説明書
を具備するパッケージを提供する。
【0064】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害を治療する際に使用するための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0065】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害を治療するための医薬の製造における、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0066】
前述のおよび以下の実施形態について、本明細書に開示された各実施形態は、開示された他の各実施形態に適用可能であると考えられる。例えば、本方法の実施形態に列挙される要素は、本明細書に記載の医薬組成物、パッケージ、および使用の実施形態において使用することができ、逆もまた同様である。
【0067】
本発明は更に、アルツハイマー病に罹患した被験者を治療する方法であって、被験者を治療するために有効な量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物を、被験者に定期的に投与することを含む方法を提供する。
【0068】
一実施形態において、前記量のプリドピジンは、被験者における神経毒性を低下させるのに有効である。別の実施形態において、前記量のプリドピジンは、被験者における進行性アルツハイマー病を阻止するのに有効である。さらなる実施形態では、プリドピジンの量は、被験者におけるアルツハイマー病の1以上の症状を軽減するのに有効である。
【0069】
一実施形態において、前記1以上の症状は、認知障害、機能パフォーマンス障害、日常生活の基本的および器械的活動の障害、生活の質の低下および精神病理からなる群から選択される。別の実施形態において、前記1以上の症状は、臨床医のインタビューに基づく変化の印象プラス介護者の入力(CIBIC-Plus)、重度障害バッテリー(SIB)、アルツハイマー病協同研究臨床医の全体的な変化の印象(ADCS-CCGIC)、アルツハイマー病評価尺度-認知(ADAS-Cog)、臨床的認知症評価尺度(CDR)、CIBICプラス-Jスコア精神機能障害スケール(MENFIS)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、Mini-cog試験、ブレスト情報-記憶力-集中力検査(BIMC)、ケンブリッジ神経心理学試験自動バッテリー(CANTAB)、アルツハイマー病共同研究-日常生活動作項目(ADCS-ADL)評価、ADCS-ADL-SIV(重度障害バージョン)、認知症のための障害評価表(DAD)、機能評価アンケート(FAQ)、手段的日常生活動作(IADL)、身体的自己メンテナンススケール(PSMS)および進行性悪化スケール(PDS),神経精神症状評価(NPI)、アルツハイマー病評価尺度におけるCIBICプラス-Jスコア行動病理(Behave-AD)、CIBICプラス-Jスコア精神機能障害スケール(MENFIS)、認知症-Liteにおける資源活用(RUD-Lite)、EuroQol5次元健康に関連した生活の質スケール(EQ-5D)、変化の臨床全般印象(CGIC)、臨床面接に基づく印象(CIBI)、または全般的認知機能低下スケール(GDS)によって測定される。
【0070】
一実施形態において、前記定期的投与は経口投与である。
【0071】
一実施形態では、1日当たり22.5~315mgのプリドピジンを患者に投与する。別の実施形態では、1日当たり約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgのプリドピジンを患者に投与する。
【0072】
一実施形態において、前記量のプリドピジンは、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgの単位用量で投与される。
【0073】
一実施形態において、前記単位用量は1日1回投与される。
【0074】
一実施形態において、前記単位用量は1日1回より多く投与される。別の実施形態において、前記単位用量は1日2回投与される。
【0075】
一実施形態において、前記プリドピジンは塩酸プリドピジンの形態である。
【0076】
一実施形態において、前記被験者はナイーブな被験者である。
【0077】
一実施形態において、前記方法は更に、アルツハイマー病を治療するために承認された薬物の投与を含む。別の実施形態において、前記方法は更に、向精神薬の投与を含む。一実施形態において、前記アルツハイマー病を治療するために承認された薬物は、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、タクリン、またはメマンチンである。
【0078】
一実施形態において、前記方法は更に、1上の抗鬱剤の投与を含む。別の実施形態において、該抗鬱薬は、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセイン、セルトラリン、およびトラゾドンからなる群から選択される。
【0079】
一実施形態において、前記方法は更に、1以上の抗不安薬の投与を含む。別の実施形態において、該抗不安薬は、ロラゼパムおよびオキサゼパムからなる群から選択される。
【0080】
一実施形態において、前記方法は更に、1以上の抗精神病薬の投与を含む。別の実施形態において、該抗精神病薬は、アリピプラゾール、クロザピン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドンからなる群から選択される。本発明はまた、アルツハイマー病に罹患しているヒト被験者の治療に使用するための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0081】
本発明はまた、アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するのに使用するための医薬の製造のための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0082】
本発明はまた、アルツハイマー病を治療するための有効量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物を提供する。
【0083】
本発明はまた、アルツハイマー病に罹患した被験者を治療する際に使用するための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。
【0084】
本発明はまた、パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンを含有する医薬組成物と、
b)アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するための、前記医薬組成物の使用説明
を具備するパッケージを提供する。
【0085】
本発明はまた、認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被検者に投薬するための、または該被検者への投薬において使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、斯かる各単位用量はある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有し、ここでの前記単位用量における前記プリドピジンの量は、前記被験者に投与したときに前記被験者を治療するのに有効である前記単位用量と、
b)その仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含み、前記容器は更に、前記被検者の治療において前記パッケージの使用を指示するラベルを含む前記容器
を具備する治療用パッケージを提供する。
【0086】
アルツハイマー病に罹患したヒト患者における神経毒性を低下させる方法であって、前記患者に対して、該患者を治療するのに有効なプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物を定期的に投与することを含む方法。
【0087】
一実施形態において、前記被験者はヒト被験者である。
【0088】
本発明はまた、パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンおよび医薬的に許容可能な担体を含有する第1の医薬組成物と、
b)ある量のアルツハイマー病を治療することが承認された薬物および医薬的に許容可能な担体を含む第2の医薬組成物と、
c)アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するために、前記第1および前記第2の医薬組成物を一緒に使用するための使用説明書
を具備するパッケージを提供する。
【0089】
一実施形態において、前記アルツハイマー病を治療するために承認された薬物は、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、タクリン、またはメマンチンである。
【0090】
本発明はまた、パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンおよび医薬的に許容可能な担体を含有する第1の医薬組成物と、
b)ある量の1以上の抗鬱薬、抗不安薬または抗精神病薬、および医薬的に許容可能な担体を含有する第2の医薬組成物と、
c)アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するために、前記第1および前記第2の医薬組成物を一緒に使用するための使用説明書
を具備するパッケージを提供する。
【0091】
一実施形態において、前記抗鬱薬は、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセイン、セルトラリン、およびトラゾドンからなる群から選択される。
【0092】
一実施形態において、前記抗不安薬は、ロラゼパムおよびオキサゼパムからなる群から選択される。
【0093】
一実施形態において、前記抗精神病薬は、アリピプラゾール、クロザピン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、およびジプラシドンからなる群から選択される。
【0094】
本発明はまた、アルツハイマー病に罹患した被験者に投薬するため、またはアルツハイマー病に罹患した被験者への投薬において使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、かかる各単位用量が、
i)ある量のプリドピジン、および
ii)アルツハイマー病を治療することが認可されたある量の薬物
を含有し、単位用量中の前記プリドピジン及び前記アルツハイマー病を治療することが認可された薬物のそれぞれの量が、前記被検者に対する同時投与に際して前記被験者を治療するのに有効である前記単位用量と、
b)そのための仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含み、前記容器は更に、前記被検者の治療における前記パッケージの使用を指示するラベルを含みまたは備える医薬容器
を具備するパッケージを提供する。
【0095】
一実施形態において、前記アルツハイマー病を治療するために承認された薬物は、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、タクリン、またはメマンチンである。
【0096】
本発明はまた、アルツハイマー病に罹患した被験者に投薬するため、またはアルツハイマー病に罹患した被験者への投薬において使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、かかる各単位用量が
i)ある量のプリドピジン、および
ii)ある量の1以上の抗鬱薬、抗不安薬または抗精神病薬
を含有し、
前記単位用量中の前記プリドピジン及び前記1以上の抗鬱薬、抗不安薬または抗精神病薬のそれぞれの量が、前記被験者への同時投与に際して有効である単位用量と、
b)そのための仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含み、前記容器は更に、前記被検者の治療における前記パッケージの使用を指示するラベルを含みまたは備える医薬容器
を具備するパッケージを提供する。
【0097】
一実施形態において、前記抗鬱薬は、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセイン、セルトラリン、およびトラゾドンからなる群から選択される。
【0098】
一実施形態において、前記抗不安薬は、ロラゼパムおよびオキサゼパムからなる群から選択される。
【0099】
一実施形態において、前記抗精神病薬は、アリピプラゾール、クロザピン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、およびジプラシドンからなる群から選択される。
【0100】
上記の実施形態の組み合わせもまた、本発明の範囲内である。
【0101】
前記抗精神病薬は、幻覚、妄想、攻撃性、興奮、敵意および/または非協調性を治療するために使用することができる。前記抗不安薬は、不安、不穏、口頭での破壊的な行動および/または抵抗を治療するために使用され得る。抗鬱薬は、低気分や過敏症を治療するために使用することができる(www.alz.org)。
【0102】
前述の実施形態では、本明細書で開示される各実施形態は、他の開示された各実施形態にも用可能であると考えられる。加えて、医薬組成物の実施形態に列挙される要素は、本明細書に記載の方法および使用の実施形態においても使用することができる。
【0103】
<用語>
本明細書中で使用するとき、別段の記載がない限り、以下の各用語は、下記の定義を有するものとする。
【0104】
本明細書中で使用するとき、「被験者に投与する」とは、疾患、障害または状態に関連する症状、例えば病的状態を緩和、治癒または軽減するために、被験者に薬剤、薬物、または救済物を与えること、投与すること、または適用することを意味する。経口投与は、本化合物を被験者に投与する1つの方法である。
【0105】
本明細書で使用するとき、「認知機能」とは、ヒトがアイデアを認識し、知覚し、または理解する知的プロセスを意味する。認知機能は、知覚、思考、推論、および記憶(短期記憶を含む)の全ての側面を含む。
【0106】
本明細書で使用される場合、「認知機能の改善」とは、認知機能を増大させることに加えて、認知障害の進行の遅延、停止、または逆転を含む。認知機能の領域は、Fioravanti,et.al(2012)に記載されている。
【0107】
本明細書で使用される場合、「認知障害」は、認知機能に対する障壁として作用する何れかの特徴を説明する包括的な用語である。認知障害には、より高い推論の喪失、忘却、学習障害、集中困難、知能低下、および精神機能の他の低下を含まれ得る。認知障害は先天性であるか、または環境要因、脳損傷、神経障害または精神疾患によって引き起こされる可能性がある。認知力低下および認知機能障害もまた、認知障害とみなされる。
【0108】
本明細書で使用される「短期記憶」は、少量の情報が、その発生直後に認識、回想、および復唱する能力である。
【0109】
MK-801、またはジゾシルピンは、MDA受容体アンタゴニストである。
【0110】
本明細書で使用するとき、「NMDA受容体に関連する疾患または障害」と、は、NMDA受容体の不均衡または機能不全に関連するか、またはそれに起因する任意の疾患または障害である。これは、NMDA受容体アンタゴニストにより誘発もしくは惹起され得る疾患または症状、MK-801のようなNMDA受容体アンタゴニストにより治療され得る疾患、またはMK-801のような受容体アンタゴニストが症状の重篤度を増加もしくは減少させる疾患を含むことができる。
【0111】
本発明の方法は、認知障害およびNMDA受容体の両方に関連する疾患および障害における認知機能を改善するために有用である。以下の疾患または障害が、認知障害およびNMDA受容体に関連している:即ち、統合失調症、自閉症(Saunders、2012)、癲癇(van Rijckevorsel 2006、Stafstrom 1997)、不安障害(Ferreri 2011、Dietz 2014)、大鬱病性障害(MDD)(Kabfe 2014、Rapaport 2009)、パーキンソン病(Dubois 1997、Jonkers 2000)、アルツハイマー病(米国特許公報第20130065966号)、遅発性ジスキネジア(Krabbendam 2000、Seo 1997)、鬱病(Austin 2001、Ates-Alagoz 2013)、鎌状赤血球貧血症(Steen 2005、米国特許第8680042号)、脳卒中(Cumming 2013、米国特許公開第20130065966号)、慢性疼痛症候群(Hart 2003、Zeynep 2013)、慢性疼痛症候群(Hart 2003, Zeynep 2013)、常用癖(Gould 2010、米国特許第5,321,012号)、及びハンチントン病(Foroud 1995、米国特許公開番号20130065966)である。
【0112】
本発明の方法により治療され得る他の疾患及び障害には次のものが含まれる:即ち、記憶欠損、軽度認知障害、記憶喪失、脳損傷または脳卒中後事象に関連する記憶障害、学習障害、および脳腫瘍に関連する行動障害および認知障害である。
【0113】
本発明の方法により治療され得る追加の疾患及び障害には、次のものが含まれる:即ち、認知症、レビー小体に関連した認知症、加齢に関連する認知低下、精神病、注意欠陥障害(ADHD)、双極性障害、脳傷害、気分および情動障害、睡眠時無呼吸症候群、トゥレット症候群、精神遅滞、進行性核上麻痺、クロイツフェルト・ヤコブ病、血管性認知症、大脳皮質基底核変性症、およびピック病である。
【0114】
本明細書中で使用される場合、ミリグラムで測定されたプリドピジンの「量」または「用量」は、製剤の形態にかかわらず、製剤中に存在するプリドピジン(4-[3-(メチルスルホニル)フェニル]-1-プロピル-ピペリジン)のミリグラムを指す。例えば、「90mgプリドピジン」を含有する単位用量は、製剤の形態にかかわらず、製剤中のプリドピジン塩基の量が90mgであることを意味する。従って、塩、例えばプリドピジン塩酸塩の形態である場合、90mgのプリドピジンの用量を提供するのに必要な塩形態の重量は、塩の存在のために90mgより大きいであろう。
【0115】
本明細書で使用する「単位用量(単数)」、「単位用量(複数)」および「単位用量形態(複数可)」は、単一の薬物投与実体(単数)/実体(複数)を意味する。
【0116】
本明細書で使用する場合、数値または範囲の文脈における「約」は、記載され、または請求された数値または範囲の±10%を意味する。
【0117】
本明細書で使用するとき、目的を達成するのに有効な量における「有効な」とは、本開示の方法で使用されたときに、過度の有害な副作用(例えば毒性、刺激またはアレルギー反応)を伴わずに、合理的な利益/リスク比に見合った指示された治療応答を生じるのに十分な成分量を意味する。例えば、認知障害を治療するのに有効な量である。特定の有効量は、治療される特定の状態、患者の身体状態、処置される哺乳動物のタイプ、治療の持続時間、併用療法の性質(存在する場合)、および使用される特定の製剤化合物またはその誘導体の構造にと共に変化する。
【0118】
本明細書中で使用するとき、「治療」または「治療する」とは、障害および/または疾患(例えば、AD)の阻害、退行または停滞、或いは疾患または障害の重症度を緩和、軽減、抑制、阻害、軽減すること、或いは疾患または障害の症状を実質的に排除または改善することを包含する。
【0119】
本明細書中で使用するとき、被験者における疾患の進行または疾患の合併症の「阻害」とは、被験者における疾患の進行および/または疾患の合併症を予防、遅延、または軽減することを意味する。これには、例えば、認知障害の進行を遅延させること、機能遂行の低下を遅延させること、および日常生活の基本的および器械的活動を遅らせること、被験者における1以上の症状の進行を遅らせること、生活の質の低下を遅延させること、または精神病の悪化を遅らせることが含まれる。
【0120】
ADに関連する「症状」には、ADに関連する臨床的または実験的症状が含まれ、被験者が感知または観察できるものに限定されない。ADの症状には、認知(記憶および行動、判断/問題解決、注意、集中、命名、理解、推論、言語、コミュニケーション、見当識および応用)、機能的パフォーマンス(ショッピング、食事の準備、家電製品の使用、趣味や興味の実行、人と会う約束を守る、および読書)、生活の質(例えば、移動性、セルフケア、日常活動、痛み/不快感、気分、関係性、全体的な身体状態、不安および抑うつ、嚥下)、または精神病理学(例えば、妄想および妄想の象徴、幻覚、活動障害、概日リズム障害、攻撃性、感情障害および不安、並びに恐怖症)における障害および/または悪化が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
AD患者の状態を評価するための様々な評価ツールがこの分野で受け入れられている。例えば、認知力は、臨床医のインタビューに基づく変化の印象プラス介護者の入力(CIBIC-Plus)、重度障害バッテリー(SIB)、アルツハイマー病協同研究臨床医の全体的な変化の印象(ADCS-CCGIC)、アルツハイマー病評価尺度-認知(ADAS-Cog)、臨床的認知症評価尺度(CDR)、CIBICプラス-Jスコア精神機能障害スケール(MENFIS)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、Mini-cog試験、ブレスト情報-記憶力-集中力検査(BIMC)、ケンブリッジ神経心理学試験自動バッテリー(CANTAB)、アルツハイマー病共同研究-日常生活動作項目(ADCS-ADL)評価、ADCS-ADL-SIV(重度障害バージョン)、認知症のための障害評価表(DAD)、機能評価アンケート(FAQ)、手段的日常生活動作(IADL)、身体的自己メンテナンススケール(PSMS)および進行性悪化スケール(PDS),神経精神症状評価(NPI)、アルツハイマー病評価尺度におけるCIBICプラス-Jスコア行動病理(Behave-AD)、CIBICプラス-Jスコア精神機能障害スケール(MENFIS)、認知症-Liteにおける資源活用(RUD-Lite)、例えばプロキシバージョン(EQ-5Dプロキシ)を含むEuroQol5次元健康に関連した生活の質スケール(EQ-5D)によって評価され得る。加えて、グローバルな評価尺度を用いて患者の状態を評価することができ、これには、例えば、変化の全体的印象(CGIC)、臨床インタビューに基づく印象(CIBI)、全般的悪化スケール(GDS)が含まれる。
【0122】
「バイオマーカー」は、疾患の重篤度、サブタイプまたは病期の指標となる測定可能なパラメーターである。ADのためのバイオマーカーには、限定されるものではないが、アミロイドベータ(Aβ)1-42血漿濃度、例えば陽電子放出断層撮影法(PET)によって測定される脳におけるグルコース代謝の変化、および例えば磁気共鳴撮像(MRI)により測定される海馬体積の変化が含まれる。アミロイドベータ(Aβ)1-42血漿濃度の増加、脳におけるグルコース代謝の減少、および海馬体積の減少は、疾患の重篤度の増加に関連すると考えられる。
【0123】
本明細書で使用する「ADに罹患した被験者」とは、例えば、「明確なAD」、「ほぼ確実なAD」または「可能性のあるAD」に罹患していると診断された被験者を含んだ、ADに罹患していると診断された被験者を意味する。一実施形態において、前記被験者は、NINCDS-ADRDAアルツハイマー病基準(McKhann et al.1984)とも称される1984年基準に従って診断される。別の実施形態において、被験者は、アルツハイマー病についての国立老化研究所-アルツハイマー病協会診断ガイドライン(McKhann et al.2011)のアルツハイマー病の診断のための改訂された基準に従って診断される。別の実施形態において、被験者はDSM-IV基準に従って診断される。別の実施形態において、被験者は国際疾病分類に従って診断される。
【0124】
「有害事象」または「AE」とは、医薬品を投与された治験被験者において、治療との因果関係のない任意の不適切な医療的出来事を意味する。従って、有害事象は、治験薬製品に関連するとみなされるか否かに関わらず、治験薬製品の使用に一時的に関連する異常な検査所見、症状、または疾患を含む、好ましくない予期せぬ兆候であり得る。
【0125】
本明細書中で使用する場合、「ベースライン」における被験者とは、プリドピジンの定期投与を開始する前の被験者である。
【0126】
本明細書で使用するとき、薬物または療法に関して「ナイーブな被験者」または「ナイーブな患者」とは、該被験者が以前に当該薬物または当該療法を受けていないことを意味する。
【0127】
「医薬的に許容可能な担体」とは、過度の有害な副作用(毒性、刺激およびアレルギー応答など)を伴わずに、妥当な利益/リスク比に見合った、ヒトおよび/または動物での使用に適した担体または賦形剤を言う。それは、本化合物を被験者に送達するための医薬的に許容可能な溶媒、懸濁化剤またはビヒクルであってよい。
【0128】
本明細書で使用するとき、「プリドピジン」の用語は、プリドピジン遊離塩基を言う。特定の実施形態において、プリドピジンには、HC1塩または酒石酸塩のような任意の医薬的に許容可能な塩も含まれる。好ましくは、ここに記載の本発明の任意の実施形態において、プリドピジンはその塩酸塩の形態である。
【0129】
本明細書において使用する場合、「組み合わせ」とは、同時投与または同時存在的投与の何れかによる治療に使用するための、薬剤の集合を意味する。同時投与は、プリドピジンと第2の化合物との混合物(真の混合物、懸濁液、エマルジョンまたは他の物理的な組み合わせ)の投与を指す。この場合、前記組み合わせは、投与直前に組み合わされるプリドピジンおよび第2の化合物の混合物、または別々の容器であってよい。同時存在的投与は、プリドピジンと第2の化合物の別々の投与を、同時に行うこと、またはプリドピジンおよび第2の化合物の何れか単独の活性と比較して相加的または好ましくは相乗的な活性が観察されるように、十分に近接して行うことをいう。
【0130】
本明細書で使用するとき、「同時投与」または「同時存在的投与」とは、各薬剤の個々の治療効果が重なり合うことが可能になるように、時間的に十分に近接して与えられる2つの薬剤の投与を意味する。
【0131】
本明細書中で使用するとき、「追加」または「追加療法」とは、治療に使用するための試薬の集合を意味し、ここでの治療を受ける被験者は、治療に使用される試薬の全てが同時に開始されないように、1以上の薬剤の第一の治療計画を、該第一の治療計画に加えて1以上の異なる薬剤の第2の治療計画が始まる前に開始する。例えば、既にドネペジル療法を受けている患者にプリドピジン療法を加える。
【0132】
本明細書で使用される投薬単位は、単一の化合物またはその化合物の混合物を含み得る。投薬単位は、錠剤、カプセル、ピル、粉末および顆粒のような経口剤型として調製することができる。
【0133】
<医薬的に許容可能な塩>
本発明に従う使用のための活性化合物は、意図された投与に適した任意の形態で提供することができる。適切な形態には、本発明の化合物の医薬的(即ち、生理学的)に許容可能な塩、およびプレドラッグまたはプロドラッグ形態が含まれる。
【0134】
医薬的に許容可能な塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、コハク酸塩、パモ酸、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン-p-スルホン酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような塩は、当該技術において周知かつ記載されている手順によって形成されてよい。
【0135】
<医薬組成物>
医薬組成物
本発明に従って使用するための化合物は、生の化合物の形態で投与することができるが、前記活性成分は、必要に応じて生理学的に許容される塩の形態で、1以上のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、および/または他の慣習的な医薬補助剤をと共に医薬組成物中に導入されるのが好ましい。
【0136】
一実施形態において、本発明は、活性化合物またはその医薬的に許容可能な塩もしくは誘導体を、1以上の医薬的に許容可能な担体と共に、場合により、当該技術において知られ且つ使用される他の治療成分および/または予防成分と共に含有する医薬組成物を提供する。前記担体は、当該製剤の他の成分と適合し、且つそのレシピエントに有害でなく、使用できるものでなければならない。
【0137】
本発明の医薬組成物は、所望の治療に適した任意の便利な経路で投与することができる。好ましい投与経路には、経口投与、特に錠剤、カプセル、糖衣錠、粉末、または液体形態での投与、並びに非経口投与、特に皮内、皮下、筋肉内または静脈内注射が含まれる。本発明の医薬組成物は、標準的な方法および所望の製剤に適した従来の技術の使用によって、当業者が製造することができる。所望のときには、有効成分の持続放出を与えるように適合された組成物を使用することができる。
【0138】
製剤技術および投与技術に関する更なる詳細は、レミングトンの薬学(Maack Publishing Co.、Easton、PA)の最新版に見出すことができる。
【0139】
パラメータ範囲が提供される場合、その範囲内の全ての整数およびその10分の1もまた、本発明によって提供されることが理解される。例えば、「0.1mg~40.0mg」は、40.0mgまでの、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mgなどを含むものである。
【0140】
本発明は、以下の実験の詳細を参照することによって更に良好に理解されるであろうが、当業者は、詳細な具体的な実験は後述の特許請求の範囲においてより完全に記載される本発明の例示に過ぎないことを容易に理解するであろう。
【実験の詳細】
【0141】
実施例1:プリドピジンは、Y字型迷路マウスにおけるMK-801誘導性ワーキングメモリ欠損を減弱する
この実施例では、ワーキングメモリの欠損に対するプリドピジンの効果およびマウスY-迷路におけるMK-801に誘発された全アームエントリーにおける増加を調べる。
【0142】
<材料および方法>
動物:5週齢の雄ddYマウス(Japan SLC Inc.、Shizuoka、Japan)を用いた。これらのマウスは、飼料および水への自由なアクセスが維持された。マウスは実験の少なくとも1時間前に実験室内に置かれた。
【0143】
薬剤:塩酸プリドピジンを水に溶解し、経口投与した。(+)-MK-801マレイン酸水素塩(ジゾシルパンマレイン酸水素塩)[Sigma-Aldrich(St Louis、MO、USA)から市販されている]を生理食塩水に溶解し、腹腔内投与した。薬剤は10mL/kgの容量で投与した。プリドピジンの用量レベルは、遊離塩基の量として示される。
【0144】
Y字型迷路:Y字型迷路は、齧歯類の学習および記憶テストである(van den Buuse 2005)。Y字型迷路試験は、新規環境を探索するための齧歯類の本来の好奇心に基づいている(Luszczki et al.、2005)。これは、齧歯類における探索的行動、学習および記憶機能、短期記憶、ワーキングメモリ、全身運動活性、および常習的行動を評価するために使用される(Hazim 2011、Onaolapo 2012、Detrait 2010)。
【0145】
齧歯類は、迷路アーム間で行きつ戻りつする(交替する)傾向を示し、それによって短期空間記憶の尺度を提供する。高い交替率は、動物が最後に入った腕を記憶して、且つ再度入らないことを記憶しなければならないため、持続的な認知を示す(Bryan 2009)。
【0146】
Y字型迷路は灰色塩化ビニル製であった。各腕は、長さ40cm、高さ13cm、底部の幅3cm、頂部の幅10cmであった。全ての腕は等しい角度で一点に収束された。
【0147】
実験手順:本実験は、Maurice et al.(1997)により確立された方法に従って行われた。プリドピジンを投与し、その10分後にMK-801を投与した。MK-801の投与から20分後に、各マウスを一つのアームの一端に置き、8分間のセッション中に迷路を通して自由に移動させた。一連のアームエントリーが記録された。交替は、連続して三つのアーム全てを訪問するものとして定義された。最大交替の数は、アームの総数から2を差し引いたものであった。交替のパーセンテージは、交替の数を最大交替で除して100を掛けたものとして計算した。
【0148】
統計分析:交替および総アームエントリーのパーセンテージを平均±SEMとして表した。正常群と対照群との間の統計的有意性はスチューデントt検定を用いて計算した。薬物治療対対照群の統計解析は、Dunnettの多重比較試験を用いて行った。統計的有意性のレベルはp<0.05であった。
【0149】
<結果>
MK-801の投与は、有意に(P<0.01、図1A、スチューデントt検定を用いて)交替率を減少させた。プリドピジンは、10および20mg/kgにおいて、統計学的有意性をもってMK-801処置マウスの交替率を回復させた(P<0.05、図1A、Dunnettの多重比較試験による)。MK-801での処置によって増強されたアームエントリーの総数は、有意に(P<0.01、図1B、スチューデントt検定を使用して)高かった。プリドピジンは、MK-801に誘発されたアーム総数の増加が統計的に有意な変化を示さなかった(図1B)。201
<考察>
Y字型迷路では、非競合的NMDAアンタゴニストであるMK-801(ジゾシルピン)は、ワーキングメモリを反映する自発的な交替行動を損ない、運動活性を表すアームのエントリー総数を増大させる(Parada-Turska and Turski、1990)。
【0150】
実施例1は、MDA受容体ブロックに関連したワーキングメモリ障害に対するプリドピジンの抗健忘効果を実証している。プリドピジンは、10および20mg/kgにおいて統計学的有意性をもって、MK-801誘発性の交替率低下を減弱させた。これらの結果は、プリドピジンが、認知障害をもった患者を含む患者での認知状態を改善し、認知障害(ワーキングメモリなど)を改善することを実証している。
【0151】
Nilsson 2004は、プリドピジンが、マウスにおけるMK-801に誘導された行動初期化を妨害することを示した。しかし、Nilsson 2004で完了した実験は、実施例1に記載の実験とは異なる。具体的には、Nilsson 2004で完了した実験は、プリドピジンが認知機能または記憶喪失を改善できることを示さなかった。
【0152】
実施例1は、上記のように、認知機能および記憶機能の測定に一般的に使用されているY字型迷路を使用する。Y字型迷路実験では、齧歯動物の認知機能を使用してY迷路のどのアームを以前に移動したかを記憶する能力が、交替率を測定する際に試験される。これと比較して、Nilsson 2004の実験(さらにNilsson 2001に記載されている)には、このような記憶コンポーネントは含まれていない。Nilsson 2004の実験では、齧歯動物を長方形のアリーナに配置し、カメラを使用してマウスの動きおよび行動を測定した。測定された特定の行動は、前方歩行、探索的臭い嗅ぎを伴う立上り、毛繕いおよび穴掘りであった。Nilsson 2004およびNilsson 2001において、実験の前にMK-801でマウスを処置することは、特定の測定された行動間で自然に交替するマウスに、殆ど単調な前方移動を行わせる(Nilsson 2001)。Nilsson 2004が発見したことは、プリドピジンが、マウスに対するMK-801のそのような作用を妨害することであった。しかしながら、Nilsson 2004の実験では、測定された行動と認知機能との間に明確な関係はない。従って、Nilsson 2004に示された実験では、プリドピジンが認知機能を高めることを示すことはできない。このことが、Nilsson 2004の著者は、プリドピジンが認知機能を高めることができるかどうかを決定するためには追加の検査が必要であると述べている理由であると考えられる。
【0153】
実施例2:統合失調症に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的な経口投与(例えば、1日1回または2回)は、統合失調症に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的な経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、被験者における統合失調症に関連する認知障害を軽減するのに有効である。
【0154】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、統合失調症に罹患した被験者に経口投与される。組成物の投与は、統合失調症に罹患した被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与は、被験者における統合失調症に関連する認知障害を軽減するためにも有効である。
【0155】
実施例3:自閉症に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的投与(例えば1日1回または1日2回)は、自閉症に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの周期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、被験者における自閉症に伴う認知障害を軽減するのに有効である。
【0156】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、自閉症に罹患している被験者に経口投与される。該組成物の投与は、自閉症を患っている被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与はまた、治療における自閉症に伴う認知障害を軽減するのに有効である。
【0157】
実施例4:癲癇に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば、1日1回または2回)は、癲癇に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの周期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、被験者の癲癇に関連する認知障害を軽減するのに有効である。本明細書に記載のプリドピジン組成物は、癲癇に罹患した被験者に経口投与される。組成物の投与は癲癇に罹患した被験者を治療するのに有効である。組成物の投与は、被験者の癲癇に関連する認知障害を軽減するためにも有効である。
【0158】
実施例5:不安障害に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの周期的経口投与(例えば、1日1回または2回)は、不安障害に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの周期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、被験者の不安障害に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0159】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、不安障害に罹患した被験者に経口投与される。組成物の投与は、不安障害に罹患した被験者を治療するのに有効である。組成物の投与はまた、被験者における不安障害に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0160】
実施例6:大鬱病性障害に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば、1日1回または2回)は、大鬱病に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、被験者の大鬱病性障害に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0161】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、大鬱病性障害に罹患した被験者に経口投与される。該組成物の投与は、大鬱病性障害に罹患した被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与はまた、被験者における不安障害に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0162】
実施例7:パーキンソン病に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば、1日1回または2回)は、パーキンソン病に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的経口投与(例えば、1日1回または1日2回)は、被検者におけるパーキンソン病に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0163】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、パーキンソン病に罹患した被験者に経口投与される。該組成物の投与は、パーキンソン病に罹患した被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与は、被験者におけるパーキンソン病に関連した認知障害を軽減するためにも有効である。
【0164】
実施例8:アルツハイマー病に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば、1日1回または2回)は、アルツハイマー病に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、アルツハイマー病に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0165】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、アルツハイマー病に罹患した被験者に経口投与される。該組成物の投与は、アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与はまた、被験者におけるアルツハイマー病に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0166】
実施例9:遅発性ジスキネジアに罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば、1日1回または2回)は、慢性ジスキネジーに罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、被験者における遅発性ジスキネジアに関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0167】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、遅発性ジスキネジアに罹患した被験者に経口投与される。該組成物の投与は、遅発性ジスキネジアに罹患した被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与はまた、被験者における遅発性ジスキネジアに関連した認知障害を軽減するためにも有効である。
【0168】
実施例10:鬱病に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば、1日1回または2回)は、鬱病に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、被験者の鬱病に伴う認知障害を軽減するのに有効である。
【0169】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、鬱病に罹患した被験者に経口投与される。該組成物の投与は鬱病に罹患した被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与はまた、被験者における鬱病に伴う認知障害を軽減するためにも有効である。
【0170】
実施例11:鎌状赤血球貧血に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば、1日1回または2回)は、鎌状赤血球貧血に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、被験者における鎌状赤血球貧血に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0171】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、鎌状赤血球貧血に罹患した被験者に経口投与される。該組成物の投与は、鎌状赤血球貧血罹患した被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与はまた、前記被験者における鎌状赤血球貧血に関連した認知障害を軽減するためにも有効である。
【0172】
実施例12:脳卒中に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、脳卒中後のヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、被験者の脳卒中に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0173】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、脳卒中に罹患した後、被験者に経口投与される。該組成物の投与は、脳卒中に罹患した後の被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与はまた、前記被験者の脳卒中に伴う認知障害を軽減するためにも有効である。
【0174】
実施例13:慢性疼痛症候群に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、慢性疼痛症候群に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、慢性疼痛症候群に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0175】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、慢性疼痛症候群に罹患した被験者に経口投与される。該組成物の投与は、慢性疼痛症候群に罹患した被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与は、前記被験者における慢性疼痛症候群に関連する認知障害を軽減するためにも有効である。
【0176】
実施例14:中毒に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、中毒に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的経口投与(例えば1日1回または1日2回)は、被験者の中毒に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0177】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、中毒に罹患した被験者に経口投与される。該組成物の投与は、中毒に罹患した被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与はまた、前記被験者における中毒に関連した認知障害を軽減するのに有効である。
【0178】
実施例15:ハンチントン病に罹患した患者を治療するためのプリドピジンの有効性の評価
プリドピジンの定期的経口投与(例えば、1日1回または2回)は、ハンチントン病に罹患したヒト患者の治療に有効である。プリドピジンの定期的経口投与(例えば、1日1回または2回)は、被験者におけるハンチントン病に関連する認知障害を軽減するのに有効である。
【0179】
本明細書に記載のプリドピジン組成物は、ハンチントン病に罹患した被験者に経口投与される。該組成物の投与は、ハンチントン病に罹患した被験者を治療するのに有効である。該組成物の投与はまた、被験者におけるハンチントン病に関連した認知障害を減少させるのに有効である。
【0180】
実施例16
HD患者の脳では、脊椎の密度における変化および脊椎のサイズおよび形状の異常が観察された(Graveland、1985)。図3は、プリドピジンがYAC128皮質線条体共培養物における脊椎喪失を救済することを示す。図4は、プリドピジンがPS-KI(AD)ニューロンにおけるマッシュルーム背骨喪失を救済することを示す。
【0181】
樹状突起は、認知機能および運動機能を維持する上で重要である。樹状突起の形成は、興奮性シナプスネットワークの確立にとって重要である。脊椎は、学習および記憶の基礎となるシナプスの有効性における生理学的変化の基礎として、構造的可塑性を示す。運動制御は、皮質-中型有棘ニューロンのシナプス結合によって調節される。脊椎がこれらの接続の基礎となる(reitzer 2008およびBourne 2008)。
実施例17:アセチルコリンおよびプリドピジン
動物:18匹の成体雄スプラグドーリー系ラット(Harlan、USA)を用いた。実験の前に、ラットをプラスチックケージ(3~4匹/ケージ)に飼育し、飼料および水を自由に摂取させた。動物を12/12時間の明/暗サイクルに維持した。実験は、ブレイン・オンラインLLCの施設内動物管理および使用委員会に承認されたプロトコールに従って行われた。
【0182】
微小透析実験:手術の1日後に微小透析実験を行った。実験当日に、プローブを柔軟なPEEK配管でマイクロ灌流ポンプ(ハーバードPHD2000シリンジポンプ、Hollisto、MA、またはこれと同様のもの)に接続した。微小透析プローブには、147mMのNaCl、3.0mMのKCl、1.2mMのCaClおよび1.2mMのMgClを含有するaCSFを、1.5μL/分の流量で灌流した。微小透析サンプルは、既に15μLの0.02Mギ酸(FA)および超純水中の0.04%のアスコルビン酸を含有する300μLのポリスチレン製ミニバイアルの中に、自動フラクションコレクター(820微小サンプラー、Univentor、Malta)を用いて30分の期間内に収集した。四つの基本サンプルを回収した後に、プリドピジン(15または60mg/kg、PO)またはビヒクルを投与した。
【0183】
結果:透析液中のアセチルコリン(Ach)のレベル
図5,6および7は、それぞれ前頭前野(PFC)、線条体(STR)および海馬(Hipp)におけるAChのレベルを示す。プリドピジンによる処置は、投与後30分において(ベースラインから219%変化;p<0.05)、投与後60分において(ベースラインから226%変化;p<0.05)、および投与後90分において(ベースラインから226%変化;p<0.05)、15mg/kg投与後に前頭前野におけるAchに有意な増加をもたらし、また投与後30分において(ベースラインから215%変化;p<0.05)、投与後60分において(ベースラインから201%変化;p<0.05)、投与後90分において(ベースラインから211%変化;p<0.05)および投与後180分において(ベースラインから212%変化;p<0.05)、60mg/kg投与後に前頭前野におけるAchに有意な増加をもたらした。プリドピジンでの処置は、投与後30分において(ベースラインから160%変化;p<0.05)、15mg/kg投与後に海馬におけるAchに有意な増加をもたらし、また投与後60分において(ベースラインから157%変化;p<0.05)、および投与後90分において(ベースラインから158%変化;p<0.05)、60mg/kg投与後に海馬におけるAchに有意な増加をもたらした。表1および2は、15および60mg/kg投与後の、Achレベルにおけるベースラインからの最大%変化を提示する。
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
【0186】
アセチルコリンは、神経系における重要な神経伝達物質であり、学習および記憶機能に必要である(Winkler 1995)。アセチルコリンは、海馬における学習および記憶プロセスをサポートする上で重要な役割を果たしている。海馬および前頭前野におけるコリン作用は記憶と相関している(Hironaka 2001)。加えて、セプト海馬脊髄路破壊後の海馬におけるAChの回復は、記憶を救出するのに十分である(Parent 2004)。
【0187】
実施例18:ADモデルにおけるプリドピジンの効果:ヒトアミロイドβ1-42によるラット一次皮質ニューロンの損傷
ADは、細胞内神経原線維変化、細胞外実質老化プラーク、およびアミロイド-β1-42ペプチドからなる脳血管沈着の進行性の蓄積によって特徴付けられる(Sakonoら、2010)。
【0188】
βペプチドは、β-セクレターゼおよびγ-セクレターゼによる切断の結果として起こる、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の逐次タンパク質分解により得られるタンパク質分解生成物である。APP中の切断部位における突然変異は、Aβオリゴマーの産生を増加させる。ADの病理学的特徴の1つである老人斑の形でのAβの進行性蓄積は、神経毒性、酸化的損傷および炎症を誘発することにより(Pike et al.、1991;Cummings et al.、1998;Combs et al.、2000)、AD病理の主要な原因の1つとして認識されている(Kawahara and Kuroda、2000)。AD脳老人斑において見出される最も豊富なαβペプチド形態は、40および42アミノ酸形態である(Sisodia et al.、1990)。
【0189】
しかしながら、AD脳の特定の領域における老人斑の数は、ニューロン死またはシナプス喪失の局所的な程度、または認知障害との相関が低い。最近の研究では、可溶性αβオリゴマー(αβO)レベルと、シナプス喪失の程度および認知障害の重篤度との間に強い相関関係が見られた(Sakono et al.、2010参照)。
【0190】
この研究は、ADのインビトロモデル(Callizot et al.、2013)の存在下で24時間インキュベートした、皮質ニューロンに対するプリドピジンの神経保護効果を調べた。50ng/mLのBDNFを本試験における陽性対照として用いた。
【0191】
<実験プロトコル>
・皮質ニューロン細胞培養
ラット皮質ニューロンを以下のように培養した。妊娠15日の妊娠した雌ラットを頸部脱臼(Rats Wistar; Janvier Lab)により致死させ、胎児を子宮から取り出した。皮質を取り出し、2%のペニシリン10.000U/mLおよびストレプトマイシン10mg/mL(PS、Panbiotech、ref:P06-07100)、並びに1%ウシ血清アルブミン(BSA、Panbiotech、Ref:P06-1391100)を含有するLeibovitz(L15、Panbiotech、ref:P04-27055)の氷冷培地中に入れた。皮質をトリプシン-EDTA(Panbiotech、Ref:P10-023100)により37℃で20分間解離させた。この反応を、DNaseelグレードII(0.1mg/mL、Panbiotech、Ref:P60-37780100)および10%の胎仔牛血清(FCS、Invitrogen、ref:10270-098)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Panbiotech、Ref:P04-03600)の添加により停止させた。次いで、細胞を10mLピペットに続けて3回通過させることにより機械的に解離させた。その後、4℃において、細胞を515×gで10分間遠心分離した。上清を捨て、B27(2%、Invitrogen、ref:17504)、L-グルタミン(2mM、Panbiotech、ref:P04-80100)、2%のPS溶液および10ng/mLの脳由来神経栄養因子(BDNF、PanBiotech、Ref:CB-1115002)を補充したNeurobasal(Nb、Invitrogen、ref:21103)からなる定義された培養培地中に再懸濁させた。トリパンブルー排除試験を用いて、Neubauerサイトメーターで生存細胞を計数した。細胞を、ポリ-L-リシン(Greiner、ref:655930)でプレコートした96ウェルプレートに30,000細胞/ウェルの密度で播種し、加湿空気(95%)/CO雰囲気中において、+37℃で培養した。
【0192】
11日間培養した後、皮質ニューロンを10μMのヒトα1-42で24時間麻酔した。
【0193】
条件毎に1つの培養、条件ごとに6ウエルでの培養を行った。
【0194】
・プリドピジンおよびヒトβアミロイド1-42処理
ヒトβアミロイド1-42ペプチドの調製は、ニューロンの専門家によって検証された内部的且つ独自の手順(Callizot et al.、2013)に従って行った。簡単に言えば、培養の12日目に上清を除去し、ヒトアミロイドβ1-42(10μM)およびプリドピジンを含む新しい培地を加えた。
【0195】
以下の条件が含まれた:
a)ヒトβアミロイド1-42を含まない培地(対照)で24時間
b)ヒトβアミロイド1-42(10μM)で24時間
c)プリドピジン(200μM、50μM、10μM、0.1μMおよび10μM)と共に、ヒトβアミロイド1-42(10μM)で24時間、
d)BDNF(50ng/mL)と共に、ヒトβアミロイド1-42(10μM)で24時間
・エンドポイント評価:MAP2ニューロンの総数の測定。
【0196】
24時間インキュベートした後、生存したニューロンをMAP2で染色した。24時間後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、PanBiotech、ref:P04-36500)で2回洗浄し、エタノール(95%、Sigma、ref:32221)および酢酸(5%、Sigma、ref:33209)で5分間処理した。次いで、細胞を透過処理し、非特異的部位を0.1%サポニン(Sigma Aldrich、ref:S7900)および1%FCSを含有するPBS溶液を用いて室温で15分間ブロックした。次いで、細胞をマウスモノクローナル一次微小管関連タンパク質2抗体(MAP-2、Sigma、M4403)と共に、1/400希釈の同じ溶液中で2時間インキュベートした。この抗体をAlexa・Fluor488ヤギ抗マウス(Molecular probe、ref:A11001)を用いて同じ溶液中で1時間現像した。
【0197】
細胞の核を蛍光マーカー(Hoechst solution、SIGMA、ref:B1155)で標識した。
【0198】
各条件について、1ウェル当たり20枚の写真を、InCell Analyzer(商標)2000(GE Healthcare)を用いて倍率20倍で撮影した。全ての画像は同じ条件で撮影した。
【0199】
・統計
データは、平均±SEM(条件毎に6または12のデータ)として表した。データの全体的分析は、一方向分散分析(ANOVA)を使用して実施した。p<0.05;**p<0.01;***p<0.005。
【0200】
・結果
10μMで24時間適用したβアミロイド1-42損傷は、MAP2陽性細胞において大きくかつ有意な減少(~40%、p<0.005)を誘導した(図8)。
【0201】
参照化合物BDNF(50ng/mL)の適用は、βアミロイド1-42損傷に起因する細胞死を阻害した。これらの結果は、本研究の正当性を立証する。
【0202】
プリドピジンは、βアミロイド1-42の毒性効果を用量依存的に減少させた。200μg/mLのプリドピジンと共にインキュベートした場合のニューロンの生存割合は、培地対照の87%であった(p<0.005)。100、50、25および10μg/mLのプリドピジンは、βアミロイド1-42損傷に起因するニューロン生存を有意に増加させた(それぞれ79%、p<0.005;77%、p<0.005;74%、p<0.01、および71%、p <0.05)。
【0203】
・結論
プリドピジンは、βアミロイド1-42損傷に起因するニューロンの生存を、用量依存的に有意に増加させた。
以下に、出願当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
<付記>
[1]被検者における認知機能を改善する方法であって、前記被検者に対して、前記被験者における認知機能を改善するのに有効な量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を定期的に投与することを含む方法。
[2]付記1に記載の方法であって、前記認知機能が全般的認知機能、持続的認知、記憶、言語、執行機能、および注意力からなる群から選択される方法。
[3]付記1に記載の方法であって、前記認知機能が記憶である方法。
[4]
付記3に記載の方法であって、前記記憶が短期記憶である方法。
[5]
付記3に記載の方法であって、前記記憶がワーキングメモリである方法。
[6]付記1~5の何れか1項に記載の方法であって、前記被検者は認知障害に罹患している方法。
[7]付記1~6の何れか1項に記載の方法であって、前記被検者は認知障害を有する傾向があるか、または認知障害の素因を有する方法。
[8]付記6~7の何れか1項に記載の方法であって、前記認知障害は記憶障害である方法。
[9]付記8に記載の方法であって、前記記憶障害は短期記憶障害である方法。
[10]付記8または9に記載の方法であって、前記記憶障害は記憶喪失である方法。
[11]付記10に記載の方法であって、前記記憶喪失が記憶の加齢変化、軽度認知障害、認知症または鬱病の1以上によって生じる方法。
[12]付記6~10の何れか1項に記載の方法であって、前記認知障害が疾患または障害により生じまたはこれに関連する方法。
[13]付記12に記載の方法であって、前記疾患または障害は、NMDA受容体に関連した疾患または障害である方法。
[14]付記12または13に記載の方法であって、前記疾患または障害は、統合失調症または自閉症である方法。
[15]付記12または13に記載の方法であって、前記疾患または障害は、癲癇または不安障害である方法。
[16]付記12または13に記載の方法であって、前記疾患または障害は、ハンチントン病である方法。
[17]付記12または13に記載の方法であって、前記疾患または障害は、大鬱病性障害(MDD)、パーキンソン病、アルツハイマー病、遅発性ジスキネジー、鬱病、鎌状赤血球貧血、脳卒中、慢性疼痛症候群および中毒からなる群より選択される方法。
[18]付記12または13に記載の方法であって、前記疾患または障害は、軽度の認知障害、記憶喪失、記憶障害、脳損傷または脳卒中後事象に関連する記憶障害、学習障害、脳腫瘍に関連する行動的および認知的問題からなる群から選択される方法。
[19]付記12または13に記載の方法であって、前記疾患または障害は、認知症、レヴィ小体に関連する認知症、加齢性認知力低下、精神病、注意欠陥障害(ADHD)、双極性障害、脳傷害、気分および情動障害、トゥレット症候群、精神遅滞、進行性核上麻痺、クロイツフェルト・ヤコブ病、大脳基底核変性、血管性認知症、およびピック病からなる群から選択される方法。
[20]付記1~19の何れか1項に記載の方法であって、前記量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩は、1日1回、前記ヒト被験者に投与される方法。
[21]付記1~19の何れか1項に記載の方法であって、前記量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩は、1日1回よりも頻繁に投与される方法。
[22]付記1~21の何れか1項に記載の方法であって、前記定期的投与は、少なくとも3間、30日超、42日超、8週超、少なくとも12間、少なくとも2週、または6月超の間継続される方法。
[23]付記1~22の何れか1項に記載の方法であって、前記投与されるプリドピジンの量は、22.5mg/日~315mg/日、または90mg/日~315mg/日である方法。
[24]付記23に記載の方法であって、前記投与されるプリドピジンの量は、約22.5mg/日、約45mg/日、約67.5mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約112.5mg/日、約125mg/日、約135mg/日、約150mg/日、約180mg/日、約200mg/日、約250mg/日、または約315mg/日であるである方法。
[25]付記1~24の何れか1項に記載の方法であって、前記量のプリドピジンは経口投与される方法。
[26]付記1~25の何れか1項に記載の方法であって、前記プリドピジンの医薬的に許容される塩がプリドピジン塩酸塩である方法。
[27]付記1~26の何れか1項に記載の方法であって、前記被検者がヒト患者である方法。
[28]パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容される塩、および医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物と、
b)認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被検者を治療するための、前記医薬組成物の使用説明書
を具備するパッケージ。
[29]付記28に記載のパッケージであって、前記疾患または障害がNMDA受容体に関連する疾患または障害であるパッケージ。
[30]付記28または29に記載のパッケージであって、前記認知障害が記憶喪失であるパッケージ。
[31]付記28~30の何れか1項に記載のパッケージであって、前記プリドピジンの医薬的に許容可能な塩がプリドピジン塩酸塩であるパッケージ。
[32]付記28~31の何れか1項に記載のパッケージであって、前記医薬組成物中のプリドピジンの量が、22.5mg~315mg、または90mg~315mgであるパッケージ。
[33]付記32に記載のパッケージであって、前記医薬組成物中のプリドピジンの量が、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mgである、付記32に記載のパッケージ。約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgであるパッケージ。
[34]認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被検者に投薬するための、または該被検者への投薬において使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、斯かる各単位用量はある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有し、ここでの前記単位用量における前記プリドピジンの量は、前記被験者に投与したときに前記被験者を治療するのに有効である前記単位用量と、
b)その仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含み、前記容器は更に、前記被検者の治療において前記パッケージの使用を指示するラベルを含む前記容器
を具備する治療用パッケージ
[35]付記34に記載の治療用パッケージであって、前記疾患または障害がNMDA受容体に関連する疾患または障害である治療用パッケージ。
[36]認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被験者を治療する際に使用するための、ある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物。
[37]付記36に記載の医薬組成物であって、固体、カプセルまたは錠剤形態である医薬組成物。
[38]付記36または37に記載の医薬組成物であって、前記認知障害が記憶喪失である医薬組成物。
[39]付記36~38の何れか1項に記載の医薬組成物であって、前記プリドピジンの医薬的に許容可能な塩がプリドピジン塩酸塩である医薬組成物。
[40]付記36~39の何れか1項に記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物中のプリドピジンの量が22.5mg~315mg、または90mg~315mgである医薬組成物。
[41]付記40に記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物中のプリドピジンの量が、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mgである、付記40に記載の医薬組成物。約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgである医薬組成物。
[42]認知障害に関連した疾患または障害を治療することにおいて有用な単位用量形態の医薬組成物であって、ある量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有し、ここでの前記組成物中における前記量のプリドピジンは、前記被験者に対して前記組成物の前記単位用量形態の1以上を投与したときに、前記被験者を治療するのに有効である医薬組成物。
[43]付記35~42の何れか1項に記載の医薬組成物であって、前記疾患または障害がMDA受容体に関連する疾患または障害である医薬組成物。
[44]パッケージであって、
a)請求項36~43の何れか1項の医薬組成物と、
b)認知障害に関連する疾患または障害に罹患した被験者を治療するために、前記医薬組成物を使用するための使用説明書
を具備するパッケージ
[45]認知障害に関連する疾患または障害の治療において使用するための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩。
[46]認知障害に関連する疾患または障害を治療するための医薬の製造における、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩の使用。
[47]アルツハイマー病に罹患した被験者を治療する方法であって、前記被験者を治療するのに有効な量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物を、前記被験者に定期的に投与することを含む方法。
[48]付記47に記載の方法であって、前記量のプリドピジンは前記被験者における神経毒性を低減させるのに有効である方法。
[49]付記47~48の何れか1項に記載の方法であって、前記量のプリドピジンは前記被験者における進行性アルツハイマー病を阻害するのに有効である方法。
[50]付記47~48の何れか1項に記載の方法であって、前記量のプリドピジンは、前記被験者におけるアルツハイマー病の1つ以上の症状を軽減するのに有効である方法。
[51]付記50に記載の方法であって、前記1以上の症状は、認知障害、機能パフォーマンス障害、日常生活の基本的および器械的活動の障害、生活の質の低下および精神病理からなる群から選択される方法。
[52]付記50または51に記載の方法であって、前記1以上の症状は、臨床医のインタビューに基づく変化の印象プラス介護者の入力(CIBIC-Plus)、重度障害バッテリー(SIB)、アルツハイマー病協同研究臨床医の全体的な変化の印象(ADCS-CCGIC)、アルツハイマー病評価尺度-認知(ADAS-Cog)、臨床的認知症評価尺度(CDR)、CIBICプラス-Jスコア精神機能障害スケール(MENFIS)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、Mini-cog試験、ブレスト情報-記憶力-集中力検査(BIMC)、ケンブリッジ神経心理学試験自動バッテリー(CANTAB)、アルツハイマー病共同研究-日常生活動作項目(ADCS-ADL)評価、ADCS-ADL-SIV(重度障害バージョン)、認知症のための障害評価表(DAD)、機能評価アンケート(FAQ)、手段的日常生活動作(IADL)、身体的自己メンテナンススケール(PSMS)および進行性悪化スケール(PDS),神経精神症状評価(NPI)、アルツハイマー病評価尺度におけるCIBICプラス-Jスコア行動病理(Behave-AD)、CIBICプラス-Jスコア精神機能障害スケール(MENFIS)、認知症-Liteにおける資源活用(RUD-Lite)、EuroQol5次元健康に関連した生活の質スケール(EQ-5D)、変化の臨床全般印象(CGIC)、臨床面接に基づく印象(CIBI)、または全般的認知機能低下スケール(GDS)によって測定される方法。
[53]付記47~52の何れか1項に記載の方法であって、前記定期的投与が経口である方法。
[54]付記47~53の何れか1項に記載の方法であって、1日当たり22.5~315のプリドピジンが前記患者に投与される方法。
[55]付記54に記載の方法であって、1日当たり約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgのプリドピジンが前記患者に投与される方法。
[56]付記47~55の何れか1項に記載の方法であって、前記量のプリドピジンは、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約100mg、約100mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgのプリドピジンの単位用量によって投与される方法。
[57]付記56に記載の方法であって、前記単位用量が1日1回投与される方法。
[58]付記56に記載の方法であって、前記単位用量が1日1回よりも多く投与される方法。
[59]付記58に記載の方法であって、前記単位用量が1日2回投与される方法。
[60]付記47~59の何れか1項に記載の方法であって、前記プリドピジンがプリドピジン塩酸塩の形態である方法。
[61]付記47~60の何れか1項に記載の方法であって、前記被験者がナイーブな被験者である方法。
[62]付記47~61の何れか1項に記載の方法であって、更に、アルツハイマー病を治療するために承認された薬物の投与を含む方法。
[63]付記62に記載の方法であって、前記アルツハイマー病を治療するために承認された薬物が、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、タクリンまたはメマンチンである方法。
[64]付記47~63の何れか1項に記載の方法であって、更に、向精神薬の投与を含む方法。
[65]付記47~64の何れか1項に記載の方法であって、更に、1以上の抗鬱剤の投与を含む方法。
[66]付記65に記載の方法であって、前記抗鬱剤が、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセイン、セルトラリン、およびトラゾドンからなる群から選択される方法。
[67]付記47~66の何れか1項に記載の方法であって、更に、1以上の抗不安薬の投与を含む方法。
[68]付記67に記載の方法であって、前記抗不安薬が、ロラゼパムおよびオキサゼパムからなる群から選択される方法。
[69]付記47~68の何れか1項に記載の方法であって、更に、1以上の抗精神病薬の投与を含む方法。
[70]付記69に記載の方法であって、前記抗不安薬が、前記抗精神病薬が、アリピプラゾール、クロザピン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドンからなる群から選択される方法。
[71]付記47~70の何れか1項に記載の方法であって、前記被験者がヒト被験者である方法。
[72]アルツハイマー病に罹患した被験者を治療する際に使用するためのプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩。
[73]アルツハイマー病に罹患した被験者を治療する際に使用する医薬の製造のための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩。
[74]アルツハイマー病を治療するための、有効量のプリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物。
[75]アルツハイマー病に罹患した被験者を治療する際に使用するための、プリドピジンまたはその医薬的に許容可能な塩を含む医薬組成物。
[76]パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンを含有する医薬組成物と、
b)アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するための、前記医薬組成物の使用説明書
を具備するパッケージ。
[77]アルツハイマー病に罹患した被験者に投与するための、またはアルツハイマー病に罹患した被験者に投与することにおいて使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、そのような単位用量の各々がある量のプリドピジンを含み、前記単位用量中の前記プリドピジンの量が、前記被験者に投与したときに前記被験者を治療するために有効である単位用量と、
b)仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含んでおり、前記容器は更に、前記被験者の治療において前記パッケージの使用を指示するラベル含み、または包含する医薬容器
を備えた治療用パッケージ。
[78]パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンおよび医薬的に許容可能な担体を含有する第1の医薬組成物と、
b)ある量のアルツハイマー病を治療することが承認された薬物および医薬的に許容可能な担体を含む第2の医薬組成物と、
c)アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するために、前記第1および前記第2の医薬組成物を一緒に使用するための使用説明書
を具備するパッケージ
[79]付記78に記載のパッケージであって、前記アルツハイマー病を治療するために承認された薬物が、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、タクリン、またはメマンチンであるパッケージ。
[80]
パッケージであって、
a)ある量のプリドピジンおよび医薬的に許容可能な担体を含有する第1の医薬組成物と、
b)ある量の1以上の抗鬱薬、抗不安薬または抗精神病薬、および医薬的に許容可能な担体を含有する第2の医薬組成物と、
c)アルツハイマー病に罹患した被験者を治療するために、前記第1および前記第2の医薬組成物を一緒に使用するための使用説明書
を具備するパッケージ
[81]付記80に記載のパッケージであって、前記抗鬱薬が、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセイン、セルトラリン、およびトラゾドンからなる群から選択されるパッケージ。
[82]付記80に記載のパッケージであって、前記抗不安薬が、ロラゼパムおよびオキサゼパムからなる群から選択されるパッケージ。
[83]付記80に記載のパッケージであって、前記抗精神病薬が、アリピプラゾール、クロザピン、ハロペリドール、オランザピン、グアイアピン、リスペリドン、およびジプラシドンからなる群から選択されるパッケージ。
[84]アルツハイマー病に罹患した被験者に投薬するため、またはアルツハイマー病に罹患した被験者への投薬において使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、かかる各単位用量が、
i)ある量のプリドピジン、および
ii)アルツハイマー病を治療することが認可されたある量の薬物
を含有し、単位用量中の前記プリドピジン及び前記アルツハイマー病を治療することが認可された薬物のそれぞれの量が、前記被検者に対する同時投与に際して前記被験者を治療するのに有効である前記単位用量と、
b)そのための仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含み、前記容器は更に、前記被検者の治療における前記パッケージの使用を指示するラベルを含みまたは備える医薬容器
を具備するパッケージを提供する。
[85]付記84に記載のパッケージであって、前記アルツハイマー病を治療するために承認された薬物が、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、タクリン、またはメマンチンであるパッケージ。
[86]アルツハイマー病に罹患した被験者に投薬するため、またはアルツハイマー病に罹患した被験者への投薬において使用するための治療用パッケージであって、
a)1以上の単位用量であって、斯かる各単位用量が
i)ある量のプリドピジン、および
ii)ある量の1以上の抗鬱薬、抗不安薬または抗精神病薬
を含有し、
前記単位用量中の前記プリドピジン及び前記1以上の抗鬱薬、抗不安薬または抗精神病薬のそれぞれの量が、前記被験者への同時投与に際して有効である単位用量と、
b)そのための仕上げられた医薬容器であって、該容器は前記単位用量または複数の単位用量を含み、前記容器は更に、前記被検者の治療における前記パッケージの使用を指示するラベルを含みまたは備える医薬容器
を具備するパッケージ。
[87]付記86に記載の治療用パッケージであって、前記抗鬱剤が、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセイン、セルトラリン、およびトラゾドンからなる群から選択される治療用パッケージ。
[88]付記86に記載の治療用パッケージであって、前記抗不安薬が、ロラゼパムおよびオキサゼパムからなる群から選択される治療用パッケージ。
[89]付記86に記載の治療用パッケージであって、前記抗精神病薬が、アリピプラゾール、クロザピン、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、およびジプラシドンからなる群から選択される治療用パッケージ。
【参照文献】
【0204】





図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8