(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置および物品を処理する方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/14 20060101AFI20230116BHJP
A61L 2/22 20060101ALI20230116BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20230116BHJP
A61L 2/26 20060101ALI20230116BHJP
A61L 9/22 20060101ALI20230116BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20230116BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20230116BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20230116BHJP
A61L 101/22 20060101ALN20230116BHJP
A61L 101/34 20060101ALN20230116BHJP
【FI】
A61L2/14
A61L2/22
A61L2/24
A61L2/26
A61L9/22
A61L9/01 E
A61L9/01 M
A61L9/12
H05H1/24
A61L101:22
A61L101:34
(21)【出願番号】P 2021097356
(22)【出願日】2021-06-10
(62)【分割の表示】P 2017552009の分割
【原出願日】2015-12-22
【審査請求日】2021-06-10
(32)【優先日】2014-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521254454
【氏名又は名称】ブルーウェーブ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】レガラド、ジュリウス
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ、シン
(72)【発明者】
【氏名】チェリソル、ケネス
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、マイルズ
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-217895(JP,A)
【文献】特開2012-081215(JP,A)
【文献】米国特許第03549528(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00- 12/14
A61L 9/00- 9/22
H05H 1/00- 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物品を受けるように構成された処理チャンバであって、前記物品を受ける容積を形成する少なくとも1つのコンフォーマブルウォールを含む処理チャンバと、
前記処理チャンバに操作可能に接続された少なくとも1つのポンプであって、前記処理チャンバ内の周囲空気の一部を前記少なくとも1つのポンプにより除去可能であり、これによって前記コンフォーマブルウォールが潰れ、少なくとも部分的に前記物品に適合させる負圧を形成し、有効容積の空気が前記処理チャンバ内にあるように前記処理チャンバの容積を減じるポンプと、
前記ポンプが、前記有効容積の少なくとも一部を前記処理チャンバから排出チャンバ内に繰り返し移動し、前記有効容積の一部
を前記処理チャンバに戻す前
に隔離
する、前記排出チャンバと、
前記排出チャンバへ繰り返し移動する際、前記処理チャンバの前記有効容積の一部が、プラズマ発生器を通過し、前記処理チャンバへ繰り返し移動する際、前記有効容積の一部が、前記プラズマ発生器を通過して、前記有効容積の一部が前記プラズマ発生器をそれぞれ通過する間、プラズマ濃度が増大するように、配置されたプラズマ発生器と、
を含む、
処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
材料を入れるように構成されたリザーバと、
前記少なくとも1つのポンプが、前記有効容積の一部を前記処理チャンバに移動する際、前記材料をエアロゾル化して、前記エアロゾル化された材料は、前記有効容積により、少なくとも一度、前記処理チャンバへ運ばれて、物品を処理する、ノズルと、
を含むエアロゾル機構をさらに含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記材料は、アルコール、水及び過酸化水素のうち少なくとも1つである、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記有効容積の一部が、前記プラズマ発生器を通過し、前記排出チャンバへ移動する前に、前記排出チャンバ内の空気を除去するように構成された
前記少なくとも1つのポンプをさらに含む、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
1)前記処理チャンバ内の圧力が所定値に達するまで、2)前記圧力が、前記少なくとも1つのポンプにより得られる最大真空に達するまで、3)ΔP/Δtが安定するまで、又は4)ΔP/Δtが所定値に達するまで、のうち少なくとも1つまで、前記少なくとも1つのポンプは、前記有効容積の一部を、前記排出チャンバへ移動する、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記処理チャンバ内の前記所定のΔP/Δtは、0.00PSIV~-14.7PSIV又は-0.001PSIV~-5PSIVである、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記有効容積の一部を、前記少なくとも1つのポンプによって、前記排出チャンバに移動する際、前記物品の少なくとも一部を圧縮する
前記コンフォーマブルウォールをさらに含む、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記負圧が形成された後、周囲環境からの空気の一部を前記処理チャンバへ移動して、前記有効容積が前記周囲環境からの空気の一部を含むように構成された
前記少なくとも1つのポンプをさらに含む、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、
50ml
~500リットル又は200ml~50リットルの容積を有する前記処理チャンバをさらに含む、装置。
【請求項10】
物品を処理する方法であって、
前記物品を、請求項1に記載の前記処理装置の前記処理チャンバに配置し、
前記少なくとも1つのポンプが、前記処理チャンバから前記周囲空気の一部を除去して、前記コンフォーマブルウォールを潰し、これによって有効容積の空気が前記処理チャンバ内に残るように、前記処理チャンバの容積を減じる、処理プロセスの第1段階を開始し、
前記少なくとも1つのポンプが、前記プラズマ発生器を通過することによって、前記有効容積の一部を前記排出チャンバへ移動し、前記プラズマ発生器を通過することによって、前記排出チャンバから前記有効容積を前記処理チャンバへ除去し、前記有効容積の一部が前記処理チャンバへ入って前記物品と接触するようにする、前記処理プロセスの第2段階を開始し、
前記処理プロセスの前記第2段階を少なくとも1回繰り返して、プラズマの濃度を増大し、
前記少なくとも1つのポンプが、前記処理チャンバから前記有効容積を除去し、前記処理チャンバ外の空気を前記処理チャンバに移動し、これによって、前記処理チャンバの容積を元に戻すようにする、前記処理プロセスの最終段階を開始する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記有効容積が前記処理チャンバに移動した後、前記第2段階は、少なくとも1つの休止期間を含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのポンプは、前記排出チャンバから周囲空気を除去するように構成され、前記方法は、前記第2段階を開始する前に、前記排出チャンバ内の周囲空気を除去するポンプをさらに含む、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
前記周囲空気の一部を除去した後、前記周囲環境からの空気の一部を前記処理チャンバへ移動して、前記有効容積が、前記周囲環境からの周囲空気の一部を含むようにする、少なくとも1つのポンプをさらに含み、装置。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、
材料を入れるように構成されたリザーバと、
前記材料をエアロゾル化するノズルと
を含むエアロゾル化機構をさらに含み、
前記方法は、前記ポンプが前記有効容積を前記処理チャンバに移動する際、前記材料をエアロゾル化して、少なくとも一度、前記有効容積が、前記エアロゾル化された材料を前記処理チャンバへ運ぶようにする、ノズルをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記材料は、アルコール、水及び過酸化水素のうち少なくとも1つである、方法。
【請求項16】
被処理物品を受けるように構成された処理チャンバであって、前記物品を受ける容積を形成する少なくとも1つのコンフォーマブルウォールを含む処理チャンバと、
前記処理チャンバに操作可能に接続された少なくとも1つのポンプであって、前記処理チャンバ内の周囲空気の一部を前記少なくとも1つのポンプにより除去可能であり、これによって前記コンフォーマブルウォールが潰れ、少なくとも部分的に前記物品に適合させる負圧を形成し、有効容積の空気が前記処理チャンバ内に残るように、前記処理チャンバの容積を減じる、ポンプと、
前記ポンプが、前記有効容積の少なくとも一部を排出チャンバ内に繰り返し移動し、前記少なくとも1つのポンプが前記有効容積の少なくとも一部を前記処理チャンバに戻す前
に隔離する前記排出チャンバと、
前記排出チャンバから前記処理チャンバへ、前記少なくとも1つのポンプにより移動する際、前記有効容積の一部に取り込まれる材料をエアロゾル化するエアロゾル化機構と
を含む、処理装置。
【請求項17】
請求項16に記載の処理装置であって、
前記有効容積に取り込まれた材料は、殺菌剤である、装置。
【請求項18】
請求項17に記載の処理装置であって、
前記殺菌剤は、アルコール、水及び過酸化水素のうち少なくとも1つである、装置。
【請求項19】
請求項16に記載の処理装置であって、
前記有効容積が前記排出チャンバに移動する前に、前記少なくとも1つのポンプは、前記排出チャンバ内の周囲空気を除去するように構成されている、装置。
【請求項20】
請求項16に記載の処理装置であって、
1)前記処理チャンバ内の圧力が所定値に達するまで、2)前記圧力が、前記少なくとも1つのポンプにより得られる最大真空に達するまで、3)ΔP/Δtが安定するまで、及び4)ΔP/Δtが所定値に達するまで、のうち少なくとも1つまで、前記少なくとも1つのポンプは、前記有効容積を前記排出チャンバへ移動する、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の処理装置であって、
前記処理チャンバ内の前記所定のΔP/Δtは、0.00PSIV~-14.7PSIV又は-0.001PSIV~-5PSIVである、装置。
【請求項22】
請求項21に記載の処理装置であって、
前記有効容積を前記少なくとも1つのポンプによって、前記排出チャンバに移動する際、前記物品の少なくとも一部を圧縮する
前記コンフォーマブルウォールをさらに含む、装置。
【請求項23】
請求項16に記載の処理装置であって、
前記負圧が形成された後、周囲環境からの空気の一部を前記処理チャンバへ移動して、前記有効容積が、前記周囲環境からの周囲空気の一部を含むように、
前記少なくとも1つのポンプは構成されている、装置。
【請求項24】
請求項16に記載の処理装置であって、
50ml
~500リットル又は200ml~50リットルの容積を有する前記処理チャンバをさらに含む、装置。
【請求項25】
物品を処理する方法であって、
前記物品を、請求項1に記載の前記処理装置の前記処理チャンバに配置し、
前記少なくとも1つのポンプが、前記処理チャンバから周囲空気の一部を除去して、前記コンフォーマブルウォールを潰し、これによって前記有効容積の空気が前記処理チャンバ内に残るように、前記処理チャンバの容積を減じる、処理プロセスの第1段階を開始し、
前記少なくとも1つのポンプが、前記有効容積の一部を前記排出チャンバへ移動し、前記排出チャンバからの前記有効容積の一部を、前記処理チャンバへ移動して、前記エアロゾル化機構が、エアロゾル化材料を、前記有効容積の一部に取り込んで、前記物品と接触するようにする、前記処理プロセスの第2段階を開始し、
前記処理プロセスの前記第2段階を少なくとも1回繰り返し、
前記少なくとも1つのポンプが、前記処理チャンバからの前記有効容積を除去し、前記処理チャンバ外の空気を前記処理チャンバに移動して、前記処理チャンバの容積を元に戻すようにする、前記処理プロセスの最終段階を開始する、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記有効容積が前記処理チャンバに移動した後、前記第2段階は、少なくとも1つの休止期間を含む、
方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法であって、
前記材料は、殺菌剤である、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、
前記殺菌剤は、アルコール、水及び過酸化水素のうち少なくとも1つである、方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法であって、
前記有効容積が、前記排出チャンバに移動する前に、前記少なくとも1つのポンプは、前記排出チャンバ内の周囲空気を除去することをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願を相互参照
本出願は、2014年12月22日出願の米国仮出願第62/095,629号および2015年3月6日出願の米国仮出願第 62/129,533号の優先権を主張するものであり、図面や表を含む全内容を参照することにより組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
表面の消毒や悪臭の排除というのは、個人かプロを問わず、共通の課題である。悪臭の多くは、微生物や有機物質の存在によって生成される。微生物やその副生成物を排除すれば、通常、悪臭というのは制御したり排除できるものである。それには、数多くの方法、材料および技術が使われている。全ての物品を同じやり方で処理できるわけでなく、微生物を制御したり、有機材料を除去するのに現在用いられている技術や物質の中には、処理物品に損傷やその他望ましくない影響を与えるものがある。
【0003】
プラズマや反応ガスによる発電には、2つの電極端子間の電位差が、2つの端子間のガスの絶縁耐力を超えるプロセスが含まれており、端子間で電子アークが発生する。アーク(コロナ放電)と誘電体ガス間の相互作用により、誘電体ガスを含む分子が、高エネルギー状態まで励起して、高反応性生成物が生成される。
【0004】
コロナ生成に加え、同様の反応性プラズマを生成する他の方法も業界においては公知である。高反応性プラズマは、酸化によって、有機物質を破壊するのに有効である。この現象により、例えば、オゾン等の反応性プラズマやガスは、物品を消毒し、煙から微生物まで広範囲の源が原因の悪臭を排除するのに、長いこと用いられてきた。非特許文献1には、周囲空気中での30秒の物理的低温大気表面マイクロ放電(SMD)プラズマ操作が、異なる種類の栄養細胞に対して非常に有効で、410~610CFU(コロニー形成単位)の減少につながったと報告されている。
【0005】
標準的なプラズマ消毒装置は、無効であることが多く、特定のプラズマの毒性のために安全面での問題がある。EPAによれば、オゾンを吸い込むことが、胸痛、咳、喉の炎症、うっ血をはじめとする様々な健康上の問題の発端となり得るとされている。また、気管支炎、気腫、ぜんそくも悪化させる可能性がある。
【0006】
プラズマは、通常、不安定なので、普通のプラズマ消毒装置は、消毒中の物品に存在する実際の量の汚染物質と反応させるのに必要な量よりもはるかに過剰な量でプラズマを生成する。このプラズマの過剰生成は、初期段階のプラズマ生成プロセスと、最終段階のプラズマ除去プロセスの両方において非効率的である。業界において知られた装置の多くは、過剰量のプラズマを動かして、被消毒物品に吹き付けたり、過剰量のプラズマを生成して物品を浸漬してしまう。吹き付けたり、浸漬するタイプの消毒装置は、非効率であり、消毒が終了するまでに時間が長くかかる。
【0007】
さらに他の装置は、水等の液体に溶かしたオゾンを用いるものであり、被消毒物品周囲に流すことができる。この方法は、同じ効率に挑むばかりでなく、例えば、余計な重量、こぼれ、腐食、漏れ等といった、液体そのものを扱うことに関する様々な問題も生んでいる。さらに、皮の靴や財布といった多くの物品は、液体に晒されたらダメになってしまう。
【0008】
装置の中には、真空を用いて、クリーニングプロセスを補助するものがあるが、こういった装置の真空チャンバーは、一般的に、剛性で、クリーニングしている物品に適合可能でなく、成形可能でもない。すなわち、物品は、チャンバの壁で物理的に圧迫されるわけでないため、物品にある小さな開口部や孔にある不要な空気を除去するにはこのような装置では効率が悪い。真空チャンバに剛性の壁を用いるとまた、負圧を逆にする際にチャンバを最充填するのに大量のプラズマが必要となる。
【0009】
他の装置は、可撓性チャンバを用いて、郵便物や小包等の物品の生物負荷を減じるために、こうした物品にプラズマのフローを指向する。典型的に、この方法は、郵便物に「酸素含有」ガスストリームを連続的に当てるものである。このような装置は、容器内の他のガスの量を制限するが、非効率で、物品の表面のみにオゾンやその他プラズマを吹き付けることが多い。プラズマやその他ガスは、物品の内部、小さな空間や孔に物理的に注入されない。さらに、こうした装置では、ガスはプラズマ発生器を1回通過するだけである。このように、容器に入る活性「酸素含有」分子が、生成器を1回通過するだけで生成されてしまう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】クレンプフルら「Cold atmospheric air plasma Sterilization against Spores and Other Microorganisms of Clinical Interest」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明によれば、対象を消毒するのに必要な最低量の高反応性プラズマを生成するという問題に、物品内やその周囲の空間および周囲空気の量を減じることによって、取り組むものである。このように、本発明の装置より生成されたプラズマを、対象としない領域には指向せず、被消毒対象に指向する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、負圧が形成され、被消毒物品周囲でそれを維持できる処理チャンバを備えた筐体を利用するものである。処理チャンバ内の過剰の周囲空気を除去して、負圧を形成することにより、物品を消毒するのに必要なプラズマの量が減じる。チャンバから過剰の周囲空気を除去するプロセスによってまた、処理チャンバ内の物品全体へのプラズマの分散も促進される。筐体は、上部51と、上部が取り付けられる基部52とを有する。基部はまた、プラズマ処理装置の部品のための保管領域としても機能し得る。例えば、ポンプ、バルブ、管類、排出チャンバおよびその他部品も基部に保管することができる。これは、本発明の必要条件ではなく、部品は、プラズマ処理装置の他の場所に保管しても、プラズマ処理装置とは別の場所に保管してもよい。
【0013】
ある実施形態においては、少なくとも1つのコンフォーマブルウォールを有する処理チャンバを用いる。コンフォーマブルウォールは、物品に対して変形、崩壊、成形その他形成できる材料でできており、処理チャンバ内の空間や容積の量を減じる。被処理物品に実質的に適合する、または成形されて、物品周囲の対象としない空間の量を減じるコンフォーマブルウォールのこの能力によって、必要なプラズマの全体量をさらに減じることができる。コンフォーマブルウォールはまた、柔軟な物品も変形でき、物品中の空間や孔周囲へのプラズマの分散をさらに促すことができる。
【0014】
その他の実施形態においては、物品を配置してシールできる柔軟な可撓性の袋の形態にある処理チャンバを用いる。この実施形態によれば、袋内部を負圧にすると、袋全体が、物品の形状に適合する。
【0015】
さらに他の実施形態においては、少なくとも1つの排出チャンバを有することができる。周囲環境から空気をポンピングする、あるいは、排出チャンバにおいて隔離することによって、処理チャンバから過剰の空気を除去すると、処理チャンバが潰れて、処理チャンバ内の物品の形状に実質的に適合する。その結果、有効容積が減じ、処理サイクル中に減じるべき空気の容積も減じる。かかる実施形態において、処理サイクル中、有効容積の空気が、処理チャンバと第2の排出チャンバ間を往復する(プラズマ発生器を通して)。この容積の減少によって、空気をポンピングするのに費やす時間が少なくなり、物品を処理するのに用いるプラズマの濃度が増える。
【0016】
さらに、一実施形態において、本発明は、少なくとも1つのフィルタリング機構を用いて、過剰のプラズマを除去し、使用者を健康被害から守ることを想定している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明をより正確に理解するために、図面に示した具体的な実施形態により、本発明をより詳しく説明する。図面の縮尺は合っておらず、図面または詳細な説明における寸法については、開示した実施形態に特有のものである。本発明を意図する用途に供することを可能とするこれ以外の寸法も本発明の範囲に含まれるものとする。すなわち、図面は、本発明の典型的な実施形態を示すものに過ぎず、その範囲を限定するものではない。本発明を図面により、具体的かつ詳細に説明する。
【
図1】本発明の筐体の一実施形態による外形を示す。本実施形態において、筐体は、基部と、基部に嵌合する上部とを有する。
【
図2】本発明の具体的な実施形態を示す図であり、筐体の上部を外して、処理プロセス中の装置におけるチャンバの伸縮プロセスを示す。工程1は、処理チャンバ内の物品を示す。分かりやすくするために、物品は続く工程では示されていない。工程2において、装置を閉じて、コンフォーマブルウォールの端部が剛体板に対してシールされると、処理チャンバが形成される。剛体板に少なくとも1つの孔があると、周囲空気の少なくとも一部が、処理チャンバから引かれ、第1の排出チャンバに隔離される。工程2は、第1の真空サイクルの終了を示しており、処理チャンバは被処理物品の表面に適合しており、処理チャンバの上の第1の排出チャンバは、処理チャンバからの空気が過剰になると膨張する。(あるいは、第1の排出チャンバを用いずに、処理チャンバからの過剰の空気は、周囲環境に排出することもできる)。処理チャンバが、物品の形状に実質的に適合すると、第2の真空サイクルが始まる。工程3は、第2の真空サイクルの終了を示しており、物品、例えば、ブーツをさらに圧縮して、この圧縮中に除去された周囲空気を、ここでは、第1の排出チャンバの上に示される第2の排出チャンバに指向する。工程4は、第2の排出チャンバからの空気が、プラズマ発生器を通過して処理チャンバに入る、処理チャンバの部分再充填を示す。第2の排出チャンバと処理チャンバ間を周囲空気が往復する(プラズマ発生器を通って)際に、処理サイクルが行われる。工程5は、予定数の処理サイクルの終了時の処理チャンバの最終の再充填(第1の排出チャンバにおける、あるいは、周囲チャンバからの非プラズマ空気)、および、空気が処理チャンバへ移動することによる、第1の排出チャンバの収縮を示している。
【
図3A】
図3Aは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。これらの構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復する。
【
図3B】
図3Bは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。これらの構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復する。
【
図4A】
図4Aは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復をする。
【
図4B】
図4Bは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復をする。
【
図4C】
図4Cは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復をする。
【
図4D】
図4Dは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復をする。
【
図4E】
図4Eは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復をする。
【
図5A】
図5Aは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復をする。
【
図5B】
図5Bは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復をする。
【
図5C】
図5Cは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復をする。
【
図5D】
図5Dは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復をする。
【
図6A】
図6Aは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するための多方向バルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復する。
【
図6B】
図6Bは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するための多方向バルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復する。
【
図7A】
図7Aは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復する。
【
図7B】
図7Bは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復する。
【
図8A】
図8Aは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、芳香カートリッジ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復する。
【
図8B】
図8Bは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、芳香カートリッジ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復する。
【
図8C】
図8Cは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、芳香カートリッジ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復する。
【
図8D】
図8Dは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、芳香カートリッジ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。これらの構成において、空気は、周囲環境を往復する。
【
図9A】
図9Aは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。
図9Aに示される構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図9B】
図9Bは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。
図9Bに示される構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図9C】
図9Cは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。
図9Cに示される構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図9D】
図9Dは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。
図9Dに示される構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図9E】
図9Eは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。
図9Eに示される構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図9F】
図9Fは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。
図9Fに示される構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図9G】
図9Gは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。
図9Gに示される構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図9H】
図9Hは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。
図9Hに示される構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図10A】
図10Aは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図10B】
図10Bは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図10C】
図10Cは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図10D】
図10Dは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、フィルタリング機構、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、およびエアフローを制御するためのバルブが含まれる。
【
図11A】
図11Aは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、芳香カートリッジ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、少なくとも1つの第2の排出チャンバ、およびエアフローを制御するための多方向バルブが含まれる。
【
図11B】
図11Bは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、芳香カートリッジ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、少なくとも1つの第2の排出チャンバ、およびエアフローを制御するための多方向バルブが含まれる。
【
図11C】
図11Cは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、芳香カートリッジ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、少なくとも1つの第2の排出チャンバ、およびエアフローを制御するための多方向バルブが含まれる。
【
図11D】
図11Dは、本発明によるプラズマ処理装置の異なる構成の概略図である。構成には、処理チャンバ、プラズマ発生器、エアポンプ、芳香カートリッジ、少なくとも1つの第1の排出チャンバ、少なくとも1つの第2の排出チャンバ、およびエアフローを制御するための多方向バルブが含まれる。
【
図12】
図12は、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態の空気式構成を示す概略図である。
【
図13】
図13は、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態を用いた処理チャンバの排気中の空気の流れの概略図である。
【
図14】
図14は、本発明による処理サイクルを物品に行う際のプラズマ処理装置の一実施形態についての空気の流れの概略図である。
【
図15】
図15は、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態の図である。図中、コンフォーマブルシートは、処理前の物品の周囲で潰れている。
【
図16】
図16は、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態の筐体の基部の分解図であり、動作部品が、装置の基部内に完全に収まっているのが示されている。
【
図17】
図17は、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態を用いて物品を処理する方法を示しており、異なる処理工程中の装置の構成および/または空気の流れを示す概略図であり、同じく、装置の図であり、各工程中の処理チャンバの状態を示している。
【
図18】
図18は、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態を用いて物品を処理する方法を示しており、異なる処理工程中の装置の構成および/または空気の流れを示す概略図であり、同じく、装置の図であり、各工程中の処理チャンバの状態を示している。
【
図19】
図19は、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態を用いて物品を処理する方法を示しており、異なる処理工程中の装置の構成および/または空気の流れを示す概略図であり、同じく、装置の図であり、各工程中の処理チャンバの状態を示している。
【
図20】
図20は、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態を用いて物品を処理する方法を示しており、異なる処理工程中の装置の構成および/または空気の流れを示す概略図であり、同じく、装置の図であり、各工程中の処理チャンバの状態を示している。
【
図21】
図21は、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態を用いて物品を処理する方法を示しており、異なる処理工程中の装置の構成および/または空気の流れを示す概略図であり、同じく、装置の図であり、各工程中の処理チャンバの状態を示している。
【
図22A】
図22Aは、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態を用いて物品を処理する方法を示しており、異なる処理工程中の装置の構成および/または空気の流れを示す概略図であり、同じく、装置の図であり、各工程中の処理チャンバの状態を示している。
【
図22B】
図22Bは、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態を用いて物品を処理する方法を示しており、異なる処理工程中の装置の構成および/または空気の流れを示す概略図であり、同じく、装置の図であり、各工程中の処理チャンバの状態を示しており、エアロゾル化機構を利用した別の芳香注入装置を示す。
【
図23】
図23は、本発明によるプラズマ処理装置の一実施形態を用いて物品を処理する方法を示しており、異なる処理工程中の装置の構成および/または空気の流れを示す概略図であり、同じく、装置の図であり、各工程中の処理チャンバの状態を示している。
【
図24】
図24は、ガス指向部品の一実施形態を示す。本実施形態において、剛体板内のポートは、ホースまたは管に取り付けられており、より直接的または集中的な消毒のために、物品の特定の領域に指向することができる。
【
図25A】
図25Aは、ガス指向部品の変形例を示す。本実施形態は、剛体板内の1つ以上のポートを覆って、覆いを通して、物品の上方にガスが拡散するようにした、複数の小開口部を有する覆いを用いている。
【
図25B】
図25Bは、ガス指向部品の変形例を示す。本実施形態は、剛体板内の1つ以上のポートを覆って、覆いを通して、物品の上方にガスが拡散するようにした、複数の小開口部を有する覆いを用いており、剛体板のポートに配置される覆いの断面図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施形態で用いることのできる真空リザーバシステムの一実施形態を示す。
【
図27】
図27は、処理チャンバ用のコンフォーマブルバッグを用いるプラズマ処理装置の実施形態を示す。
【
図28】
図28は、コンフォーマブルバッグ内に清浄および/または消毒する物品を入れ、より綿密な処理のためにガス指向部品を入れた、
図27のプラズマ処理装置を示す。
【
図29】
図29は、物品をシールした後、排出チャンバを、処理チャンバ内の周囲空気で充填する前の、
図28のプラズマ処理装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、物品の消毒装置および方法に関する。特に、本発明は、中に入れた物品を消毒できるプラズマ処理チャンバの実施形態を提供するものである。具体的な実施形態において、処理チャンバは、物品の形状に少なくとも適合可能であって、物品を消毒するのに必要なプラズマの量が減少する。
【0019】
本発明は、標準的なエアレーションや消毒手順があまり効果のない、家庭または個人用物品、特に、多孔性物品や不規則な形状の物品について悪臭をきれいにする、特に、制御または排除するのに特に有用である。
【0020】
本発明に関して用いられる「プラズマ」という用語は文言上簡便にするためであり、電流やコロナ放電により生成され、その物理的状態は問わない、高反応性イオン、原子および分子を指す。
【0021】
「空気」および「ガス」という用語は、装置操作中、移動する流体混合物を説明するのに本明細書では区別なく用いられる。
【0022】
数多くの変形例は、当業者には明白であるため、単なる例示を目的として、特に、以下の実施形態により、本発明を説明する。明細書および特許請求項で用いる単数形には、特に断りのない限り、複数形も含まれるものとする。
【0023】
同じまたは同様の部品を示すのに同じ参照番号を用いた図面を参照する。本発明の実施形態を示す図面を参照すると、本発明のプラズマ処理装置10の実施形態は、処理チャンバの負圧の量によって決められる、サイズ可変の処理チャンバ100を含む筐体50を有する。処理チャンバ100を形成するバッグまたはコンフォーマブルウォール102の構成は変形する。さらに、少なくとも1つの排出チャンバ3がある。また、少なくとも1つの第1の排出チャンバ1および/または少なくとも1つの第2の排出チャンバ2がある。その他の実施形態では、処理のために物品の配置されるコンフォーマブルバッグを用いる。コンフォーマブルバッグは、必須ではないが、筐体50内に配置される。
【0024】
一実施形態において、プラズマ発生器200は、物品を消毒および/または洗浄するために、処理チャンバにポンピングできるプラズマを形成するために用いられる。あるいは、エアロゾル化機構を、プラズマ発生器と共に、またはその代わりに用いて、物品を消毒および/または洗浄にすることができる。各一般部品には、1つ以上の従属部品が含まれる。これについては後述する。
【0025】
本発明の装置または部品を操作または指向するのに用いることのできる、業界で公知の様々な制御機構については、本明細書では、言及あるいは具体的には説明しない。本発明の電気配線については詳細に説明しない。ただし、当業者であれば、本明細書に記載した様々な部品の、例えば、部品同士、電源への取り付け方が分かり、本発明の利点の得られるやり方で、様々な種類のコントローラまたは操作機構で装置を構成することができる。最も簡便な文言だと、コントローラは、バルブ等の部品をプラズマ処理装置に移動または移すアクチュエータ機構とすることができ、これによって、処理手順を変更する、または処理手順を行う。コントローラは、コントローラの状態を検出して、コントローラを操作できる様々なセンサ800のいずれかに操作可能に接続することができる。本明細書に記載したのと実質的に同じ機能で、実質的に同じ所望の結果の得られる、様々なタイプのコントローラおよび本発明の部品の付属品も本発明の範囲に含まれる。
【0026】
一実施形態において、プラズマ処理装置10は、プラズマ発生器200、処理チャンバ100、およびプラズマ発生器と処理チャンバ間で空気を移動する機構を含む。プラズマ発生器は、コロナ、電解または紫外線によりプラズマを発生するものであるが、これらに限られない。ある実施形態には、本発明のプラズマ処理装置10と共に用いられるエアポンプ300の使用を促すフロースタイル発生器が含まれる。本発明の処理プロセスで用いられるプラズマ発生器により形成される様々な生成物はガス状またはプラズマ状である。変形例では、処理チャンバにおける物品を処理するのに、プラズマに加えて、またはプラズマの代わりに、エアロゾル殺菌剤を用いる。本明細書において、処理とは、微生物の死滅をはじめとする、生物または非生物の有機物質との反応のことを指す。処理には、有機物質と関連する悪臭の削減または排除も含まれる。
【0027】
一実施形態において、処理チャンバ100は、被処理物品の形状を少なくとも部分的に囲むまたは適合する形状に変化する少なくとも1つのコンフォーマブルウォール102を有する。コンフォーマブルウォールは、ガスケット103を用いて剛体板102にシールされる。その例を
図16に示す。コンフォーマブルウォールに用いることのできる材料としては、これらに限られるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPDM、フッ素化炭化水素(PTFE等)、PEEKまたはこれらの組み合わせ、あるいは、適切な圧力差を保持するようにガスを通さないその他材料が挙げられ、本発明の消毒プロセスで生成され得るさまざまなプラズマおよび化学生成物に晒されても十分に耐性のあるものである。
【0028】
処理チャンバ100は、コンフォーマブルウォール102を使うと、中の被処理物品の形状に適合するよう調整できるため、処理サイクル中に移動させなければならない処理チャンバ中の空気の量も減じることができ、装置を加速させ、より効率的にすることができる。処理チャンバの適合性によってまた、十分な負圧が処理チャンバ内につくられると、プラズマ処理装置10は、中にある物品を圧搾または圧縮することもできる。この圧搾または圧縮によって、物品中の空隙からの汚染物質の除去や、プラズマの透過が向上する。本発明の実施形態が、エアロゾル殺菌剤を用いる場合には、負圧によってまた、物品の材料への殺菌剤の分配および透過も改善し得る。これによって、プラズマ発生装置10は、多孔性物品をより早く深くまで処理することができる。
【0029】
一実施形態において、筐体の上部51を基部52の上で閉じ、操作可能に取り付けると、プラズマ処理装置10の筐体50が閉じて処理チャンバ100が形成される。剛体板101は、例えば、
図2の工程1に示すように、被処理物品が中にある状態でコンフォーマブルシート102に対してシールされる。本実施形態によれば、例えば、ポンプ、バルブ、管類、配線および/またはその他部品等の装置10の操作機構の1つ以上が、基部52内に格納または保持される。あるいは、様々な部品を、筐体の他の部分または筐体から離して保持することができる。
【0030】
他の実施形態において、処理チャンバは、例えば、
図27、28および29に示すような少なくとも1つのコンフォーマブルウォール102を有するコンフォーマブルバッグ125で構成される。コンフォーマブルバッグは、負圧を形成し、プラズマや殺菌等の所望の処理材料を注入するのに必要なポンプ300およびその他部品に操作可能に接続することができる。一実施形態において、コンフォーマブルバッグは、例えば、
図27、28および29に示すように、ポンプやその他部品が格納される基部に接続されている。コンフォーマブルバッグに負圧が形成されると、物品に向かって少なくともコンフォーマブルウォールが崩れて、物品の形状に少なくとも部分的に適合する。
【0031】
コンフォーマブルバッグには、様々なシーリング装置130および業界で公知の技術を用いることができる。一実施形態において、バッグの、繰り返しの使用の際、バッグを開閉可能な再利用シールを用いることができる。例えば、家庭用保管袋に一般的に用いられているようなスライドシールやジッパーシールを用いたり、別の部品をバッグに取り付けてシールしてもよい。バッグはまた、折り畳んでつまんだり、気密シールできるようなその他のやり方でシールすることができる。
【0032】
一実施形態において、中に入れた物品が周囲環境から完全に隔離されるよう、バッグを永久シールすることができる。この実施形態によれば、コンフォーマブルバッグ125は使い捨てとなり、物品を清浄かつ/または消毒した後は、ポンプ300およびプラズマ処理装置の他の部品からバッグを取り出すことができる。新たな交換バッグをプラズマ処理装置に取り付けて、他の物品の処理をすることができる。
【0033】
あるいは、中の物品を受け取って隔離するためにバッグを繰り返し開閉可能とするシール130を付けることで、バッグを再利用可能とすることができる。この実施形態によれば、コンフォーマブルバッグは、ポンプおよびその他の部品に永久取付することができる。あるいは、バッグをプラズマ処理装置から取り出して、交換することができる。コンフォーマブルウォールまたはコンフォーマブルバッグのコンフォーマル材料を保護するために、実施形態には、コンフォーマル材料と被処理物品間の処理チャンバ内部に亀裂防止ライニングを含めることができる。当業者であれば、本発明の処理チャンバおよびシールの実施形態に用いることのできる様々な材料およびシールを判断することができる。
【0034】
処理チャンバとプラズマ発生器間の周囲空気の移動には、真空ポンプ300と、処理チャンバ100、プラズマ発生器200および真空ポンプを接続する気密管とが使われる。本発明で用いるのに好適なポンプとしては、振動ピストン、ピストン式、ダイアフラム、振動プランジャ、振動ダイアフラム、蠕動、容積式、遠心、スクリュー、ブロワおよび回転羽根式ポンプが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0035】
プラズマ処理装置の一実施形態は、装置の様々な部品間でエアフローを指向するバルブ機構500を含む。本発明に好適なバルブの種類としては、逆流と選択バルブの両方が挙げられる。用いることのできる逆流バルブとしては、4/2、4/3、5/2、または5/3バルブが挙げられるが、これらに限られるものではない。マルチソレノイドバルブを配置して、システムにおけるエアフロー方向を逆にすることもできる。ポンピング機構を用いる場合は、逆流させるエアフロー逆流バルブは取り除くことができる。選択バルブは、複数の出口ポートを選択する共通の入口ポートとなるバルブとすることができる。当然、部品間のエアフローは、1つまたはいくつかの部品に直接接続された管またはマニホルドを通って移動する。
【0036】
周囲環境15を往復するポンピングは可能であるが(
図3A-8Dに示すとおり)、本発明のある実施形態は、処理チャンバ100に接続された1つ以上の排出チャンバ3(エアフローに関して)を含む。これら排出チャンバによって、プラズマと、軽減されるまで悪臭を含ませておくことができ、かつ、物品をより効率的に処理することができる。一実施形態において、排出チャンバ3は、空気が取り込まれても形状が変化しないよう、または変化が最少となるよう、剛性材料で形成されている。変形例において、排出チャンバは、空気がポンピングされて排出チャンバを出入りする際、膨張と収縮が可能な可撓性またはコンフォーマブル材料で形成される。本明細書で、第1および第2の排出チャンバを参照する際、特に断りのない限り、特定の目的について排出チャンバの存在を識別するためだけであり、少なくとも1つあればよい。このように、「第1」は、2つ以上なければならないということを示唆するものではない。さらに、第2の排出チャンバを参照する場合、第1の排出チャンバがなければならないことを示唆するものではない。これらの参照は、特定の要素について、時系列、構造の向きまたは方向(例えば、左または右、上または下)を与えようとするものではない。
【0037】
一実施形態は、2つの排出チャンバ3、第1の排出チャンバ1および第2の排出チャンバ2を含む。各排出チャンバは、例えば、
図2および
図9A-11Dに示すとおり、処理チャンバ100に(エアフローに関して)接続することができる。本実施形態において、処理チャンバ100からの周囲空気は、特定のプロセス条件に合うまで、第1の排出チャンバ1にポンピングすることができる。かかるプロセス条件とは、例えば、エアポンピングの際の所定のタイムリミット、または圧力センサ850等のセンサ800が、処理チャンバ100で所定の圧力に達したことを示すときの所定のタイムリミットである。第1のプロセス条件が満たされた後、処理チャンバに残った空気は、第2の排出チャンバ2にポンピングすることができる。
【0038】
一実施形態において、コントローラは、1つ以上のセンサ800により測定される処理チャンバ内で得られる明確な「絶対」圧力(大気に対して測定)に基づいて、装置を第1段階から他の段階へ切り替える(例えば、第1から第2真空サイクルへ)ことができる。本実施形態において、圧力は、第1の真空サイクル中処理チャンバ内で測定される。処理チャンバ壁は物品に実質的に適合したときを判断するために、処理チャンバ内の圧力が所定の圧力に達するまで、第1の真空サイクルを継続することができる。この所定の圧力レベルは、処理チャンバのコンフォーマブルウォールの剛性にある程度依存している。例えば、厚く、より剛性のコンフォーマブルウォール材料だと、材料を物品に適合させるのに、より低い圧力が必要とされる。当業者であれば、特定の材料でできたチャンバを適合させるのに適切な圧力を判断することができ、これは、チャンバに真空を適用して、コンフォーマブルウォールが潰れて、チャンバ内の物品に適合する際の圧力を測定することでわかる。第1の真空サイクルの終了(処理チャンバのコンフォーマル材料が、物品を実質的に圧搾またはその他変形することなく、チャンバ内で物品に実質的に適合した点)を判断するには、圧力センサが、処理チャンバ内の圧力が、コンフォーマブルウォール材料を変形させるのに必要な圧力より若干低い圧力を判断する。一実施形態において、コンフォーマブルウォール102が、物品75に実質的に適合したことを示すのに十分な負圧レベルは、約0.00PSIV~約-14.7PSIVである。より具体的な実施形態において、コンフォーマブルウォールが、物品に実質的に適合したことを示すのに十分な負圧レベルは、約-0.001PSIV~約-5PSIVである。
【0039】
具体的な実施形態において、センサ800が、例えば、圧力測定によって、処理チャンバが物品75に実質的に適合していると判断すると、第2の真空サイクルが始まる。第2の真空サイクルで、処理チャンバ100内の真空が増すことにより、物品を圧搾することができ、これによって、物品に対してコンフォーマブルウォールが押し付けられる。本実施形態において、第2の真空サイクルは、次の3つのうち少なくとも1つが生じるまで継続される。すなわち、1)チャンバ内の圧力が所定値に達する、2)圧力が、真空ポンプにより得られる最大真空に達する、または3)ΔP/Δt(後述)が安定、もしくは安定し始める。
【0040】
一実施形態において、コントローラに操作可能に接続されたセンサ800は、処理チャンバで測定された圧力の変化率ΔP/Δtに基づいて、第1または第2の真空サイクルの終了を判断する。この方法は、処理チャンバ内のコンフォーマル材料の変化にはあまり影響を受けず、被処理物品の物理的な変形特性により多くの影響を受ける。例えば、剛性物品75(例えば、ラクロスのヘルメット)を処理するときは、第1の真空サイクルの終了時のΔP/Δtは、同様のサイズの柔らかく曲げやすい物品(例えば、装飾用クッション)を処理する時よりかなり大きくなる。一実施形態において、プラズマ処理装置10は、処理シーケンスを開始させるのに用いる異なるΔP/Δt値パラメータを構成する処理物品の種類に基づいて、異なる設定オプションを有する。例えば、柔らかい物品についての設定では、硬い物品の設定よりも小さいΔP/Δt値を用いる。第1の真空サイクル中、処理チャンバから過剰に空気が除去されると、処理チャンバ内の圧力が、チャンバが物品に適合するまで、かなり一定の速度で減じる。コンフォーマブルウォール102が、容易に潰れる(物品と接触することによる)のを防ぐと、ΔP/Δtは即時に増大する。このように、圧力を測定し、ΔP/Δtを計算すると、処理チャンバ壁が物品に実質的に適合する時をコントローラは予測でき、その時点で装置は第2の真空サイクルを開始することができる。
【0041】
さらなる実施形態において、ΔP/Δt値を用いて、第2の真空サイクルの終了を判断することができる。1つ以上のポンプが、最大真空量に達し始めると、ΔP/Δt値は、安定化し始め、コントローラは、装置を次の段階へ切り替える。この場合も、処理チャンバのコンフォーマブルウォールが、物品に実質的に適合するものの、物品を実質的には変形していない時に観察しながら、ΔP/Δtを測定することにより、第1の真空サイクルの終了を示す適切なΔP/Δt値を経験的に判断することができる。第2の真空サイクルの終了を示すのに用いられるΔP/Δt値は、ポンプが最大真空に達する、または物品の変形が止まる際のΔP/Δt値の安定化により判断することができる。
【0042】
プラズマ処理装置10のある実施形態において、ポンプにおける負荷変化率(時間(t)変化に対する電流(I)変化:ΔI/Δt)を測定する。基本的に、ΔP/Δt値と同様に、同じ事象(例えば、物品に適合し、最大真空に達すること)が高いΔI/Δt値をもたらし、その測定結果は同様に用いられる。
【0043】
処理チャンバにおいて所定の圧力レベルに達したら、様々なコントローラのいずれかを用いて、バルブ機構500を操作して、第1の排出チャンバ1からの周囲空気の除去を中断し、処理チャンバから残りの空気を除去するのを開始して、空気を、第1の排出チャンバ1でなく第2の排出チャンバ2へ入れ、バルブ機構500に操作可能に接続されたポンプ300が、処理チャンバに真空を引いてより負圧にし、処理チャンバ100のコンフォーマブルウォール102が潰れ、さらに、物品をできる限り圧搾または圧縮するようにする。
図11A-11D、
図12、および
図13は、第1の排出チャンバ1および第2の排出チャンバ2を有するプラズマ処理装置10を示すが、これらに限られるものではない。
図13において、第1の排出チャンバは、筐体50により形成され、第2の排出チャンバは中にある。
【0044】
装置の一実施形態は、処理時間を減じるための真空リザーバシステム900を含む。真空リザーバシステムは、十分な負圧に耐え得る真空リザーバ920と、真空リザーバに操作可能に接続された負圧に耐え得るハイフローバルブ940と、同じく真空リザーバに操作可能に接続された真空ポンプとを有する。一実施形態において、真空リザーバシステムは、処理チャンバに操作可能に接続されていて、ハイフローバルブが開くと、周囲空気が処理チャンバから真空リザーバに入るようになっている。
【0045】
さらなる実施形態において、装置に電源を入れると、ハイフローバルブが閉じ、真空ポンプが真空リザーバに負圧を引いて、負圧チャンバを形成することができる。
【0046】
被処理物品は、まず、処理チャンバ内に配置され、シールされて、ハイフローバルブを開くと、2つのチャンバ間の圧力差が平衡に達すると、空気が、処理チャンバから真空リザーバへすぐに流れる。処理チャンバと真空リザーバ間が圧力平衡に達したら、ハイフローバルブを閉じ、真空ポンプを作動させて、真空リザーバに再び負圧を引く。第1の真空サイクルの終了を示す、上述した圧力パラメータに達するために、より多くの空気を除去しなければならない場合は、かかるパラメータに達するまで第1の真空サイクルを続ける。
【0047】
負圧の真空リザーバシステムを利用するこの技術によって、ハイフローポンプを必要とすることなく、あるチャンバから空気を非常に急速に除去することができる。代わりに、ポンプを用いて、処理プロセスの遊び工程中に負の真空「リザーバ」を徐々に構築してもよく、ハイフローバルブを用いて、必要になるまで、負圧を保持してもよい。
【0048】
一実施形態において、真空リザーバは、装置の他の部品と同じ区画に配置された剛性容器である。一実施形態において、真空リザーバは、剛性円筒チャンバである。他の実施形態において、保管区画の他の部品の周りの空隙を充填し、他の部品を適所に保持するのをさらに補助する剛性容器である。
【0049】
さらなる実施形態において、第2の排出チャンバと処理チャンバ間でポンピングされて、第2の排出チャンバを出入りする容積の周囲空気が、プラズマ発生器200を通過する。この配置には次のような利点がある。すなわち、1)安全である-プラズマに変換されるガスの容量が限られると、装置から、有害となる可能性のある量のプラズマが生成されるのを防ぐ助けとなる。2)効率的である-処理チャンバと第2の排出チャンバ間でポンピングされる空気の容積が小さいと、サイクルタイムが短くなり、物品を処理するのに用いるプラズマの濃度が高くなる(容量が小さくて、チャンバ間を動く際に、発生器を複数回通るときはとりわけである)。本発明にはさらに、フィルタリング機構を用いて、周囲環境15を、第1の排出チャンバ1、第2の処理チャンバ100、またはその両方の代わりに用いることも含まれる。
【0050】
プラズマを処理チャンバへポンピングすると、ファイバー、開口、ポア、空間および物品75の接触表面を囲み、浸透する。プラズマイオンの反応性によって、処理チャンバおよび/または物品の生物、その他有機材料と効率的かつ即時に反応し始める。この接触を促すために、処理中に休止期間250を設けることができ、処理サイクル中に形成されたプラズマが、所定の時間にわたって処理チャンバに残る。
図2に、処理サイクルに組み込むことのできる休止期間の例を示す。休止期間の長さは、例えば、用いているプラズマの種類、物品のサイズまたは構成、物品についている有機または生物材料の量、その他因子をはじめとするいくつかの要因に依存し得る。
【0051】
一実施形態において、第1の排出チャンバ1は、処理チャンバ100を形成するコンフォーマブルシート102の外側表面に対してシールされた剛性エンクロージャである。この実施形態によれば、第1の排出チャンバは、基部52にある筐体取付具の上部51により形成され、第2の排出チャンバ2と処理チャンバ100の両方を含むことができる(装置が閉じている時)。この例を
図15に示す。他の実施形態において、第1の排出チャンバ1は、少なくとも1つのコンフォーマブルサイド、またはコンフォーマブルバッグを有している。同様に、ある実施形態において、第2の排出チャンバは剛性で、少なくとも1つのコンフォーマブルサイドを有していてもよい。
【0052】
本発明のある実施形態は、空気を移動させる2つ以上の装置を含む。例えば、ある実施形態は、過剰の空気を処理チャンバから第1の排出チャンバまたは周囲環境15へ即時に除去するための第1のポンプ300と、処理チャンバから第2の排出チャンバへ空気を移動して、物品を圧搾するために、十分な能力で、処理チャンバ内に負圧を作り、または負圧を増大する第2のポンプ300とを含む。
【0053】
多数の真空ポンプを直列または並列で用いることも可能であり、2つ以上のポンプを並列と直列の構成で切り替える少なくとも1つの実施形態が含まれる。並列構成だと、ある時間内に大容量の空気を移動させることができ、直列構成だと、処理チャンバで引くことのできる負圧が増大する。
図4A-4Eに、これらのポンプ構成の例を示すが、これらに限られるものではない。
【0054】
例えば、コントローラが、第1の排出チャンバ1へ指向する空気を、第2の排出チャンバ2へ指向するように、バルブを再構成する時を示す圧力差であって様々な空気の通り道やチャンバ間の圧力差をモニターするために、本発明のある実施形態はまた、1つ以上のセンサ800を含む。一実施形態において、センサ800は、処理チャンバ100内の圧力を検出し、および/または反応させ、並びに様々な公知の制御機構のいずれかを動作させることで、特定のイベントを開始可能な圧力センサ850である。他の実施形態において、システムのいずれかの圧力に応答する圧力センサ850を用いて、同じまたはその他のイベントを動作させることができる。
図13、14および17-23に、圧力センサ850を用いる実施形態を示す。圧力センサおよびその他の種類のセンサは、数多くの目的および装置について業界において公知である。当業者であれば、本明細書に記載したチャンバのいずれかで用いることのできる、または圧力が測定されるチャンバに接続されたガスラインに接続可能なものとして、圧力センサかその他の適切なセンサを決定することができる。同じく、ある実施形態においては、圧力センサ850でなく、1つ以上のガスフローメータを用いることも可能である。
【0055】
本発明の他の実施形態は、物品75そのものから生じる悪臭を除去し、過剰のプラズマと反応し得るフィルタリング機構400を含む。
図13および14は、フィルタ400を含む実施形態を示すが、これに限られるものではない。一実施形態において、フィルタリング機構は、処理チャンバ100と、実施形態に応じて、第1の排出チャンバ1、第2の排出チャンバあるいは周囲環境15とのいずれかの間に配置される(エアフローに対して)。プラズマの中には、人体に有害と考えられるものもあるため、フィルタリング機構が、本発明の実施形態における別の安全対策となり得る。フィルタリング機構400は、電気的に生成されたプラズマを触媒して、より安定な生成物を形成する触媒(二酸化マンガン等)を含んでいてもよい。あるいは、フィルタリング機構400は、電気的に生成されたプラズマと反応して、より安定な生成物を形成する反応物質材料(炭素または酸化性金属、例えば、鉄等)でできた消耗フィルタであってもよい。フィルタリング機構400 はまた、触媒と消耗フィルタの組み合わせとすることもできる。消耗フィルタを用いるフィルタリング機構400の一実施形態は、交換式カートリッジとすることができる。
【0056】
図17-23に例を示す一実施形態は、第1の真空サイクル中に処理チャンバ100から出てくる空気から悪臭を除去するための、少なくとも1つの悪臭フィルタリング機構401と、処理サイクル完了後、周囲空気から過剰のプラズマを除去するフィルタリング機構402とを利用するものである。さらなる安全性のために、ある実施形態には、処理サイクル後、処理チャンバを解除する前に、処理チャンバからのプラズマ除去レベルを判断する検出機構が含まれる。
【0057】
更なる実施形態には、処理チャンバに操作可能に接続された(エアフローに対して)芳香カートリッジ700が含まれ、一例を
図16および
図17-23に示す。本実施形態において、予定数の処理サイクル完了後、空気を能動的(例えば、ポンピングまたは強制的に通過)あるいは受動的(例えば、処理チャンバにおいて負圧を保持しているバルブを解放して、周囲の周囲空気を取り込むことにより)に、芳香カートリッジ700に通過させて、処理中の物品に香気を付与することができる。かかる実施形態において、芳香カートリッジ700は、プラズマ発生器と直列か並列のいずれかで(空気経路に対して)配置されてよい。別の実施形態において、芳香カートリッジ700は、エアポンプ300と直列か並列のいずれかで(空気経路に対して)配置されてよい。芳香カートリッジ700はまた、バルブに対して直列に配置され、処理チャンバ100に操作可能に取り付けてもよい。かかる実施形態において、バルブは、芳香カートリッジ700の処理チャンバ100側に配置する、または処理チャンバ100の逆の芳香カートリッジ700の側に配置してよい。ある実施形態において、本発明はさらに、フィルタリング機構と共に芳香カートリッジを用いる。具体的な実施形態において、芳香カートリッジをフィルタリング機構と組み合わせる。
【0058】
その他の装置および技術と、本発明の実施形態を組み合わせて、物品についている生きている微生物を効率的に減じることができる。一実施形態に、UV光を処理チャンバ内の物品に放出するべく配置されたUV光源150が含まれる。UV照射装置は、病室やその他の環境において、微生物を死滅させるのに用いられてきた。UV光源を利用する本発明の実施形態によれば、抗菌効果が増大する。
図2および16に、本発明の実施形態に組み込むことのできるUV光源の例を示すが、これらに限られるものではない。
【0059】
物品によっては、微生物を死滅させ、悪臭を除去するという所望の効果を得るために、プラズマや殺菌剤といった処理材料を含む空気をさらに必要とし、より直接的に適用することを必要とする領域、スペースまたは構造を持つ。本発明の実施形態の更なる特徴としては、こうした物品を最大限処理できるよう処理空気を指向することができる。本発明の一実施形態は、処理チャンバにつながる複数のポート750を有する。一例を
図24および25B示す。
図27、28および29にコンフォーマブルバッグを示す。これらのポートは、特定のパターンで配置されて、処理チャンバに出入りする処理空気の流れを調整するばかりでなく、ポートに取り付けられて特定の物品の処理を向上させるホース、漏斗または拡散器といった、ガス指向部品755を別途、配置させることもできる。例えば、ボクシングのグローブの内側を処理するには、グローブの内側へ及び内側から処理ガスを直接通すのが望ましい。
【0060】
一実施形態に、少なくとも1つのポートに取り付けられた可撓性管の形態のガス指向物品が含まれ、
図24に示す例によれば、物品、例えばグローブ、の内側に管の端部を挿入可能で、処理サイクル中、物品の内側へ及び内側からガスを指向することができる。あるいは、例えば、タオルを処理する時は、全体的にガスを拡散させて処理チャンバを出入りさせるのが望ましい。他の実施形態によれば、処理チャンバの壁、例えば、剛体板101等、に複数のポート75を用いることができる。さらに他の実施形態によれば、例えば、
図25Aおよび25Bに示すように、拡散アタッチメントを1つ以上のポートに取り付けることができる。
【0061】
本発明のプラズマ処理装置10は、特定のサイズの物品75に限定されない。処理できる物品のサイズは、処理チャンバ100の寸法および/または容積によってのみ限定される。一実施形態において、プラズマ処理装置は、持ち運び可能で、家庭用途に好適である。例えば、家庭用物品や衣類を処理するのに有用な本発明のプラズマ処理装置は、携帯用の筐体50にフィットするサイズの処理チャンバを有することができる。他の実施形態によれば、携帯用処理装置は、永久配置する、または、少なくとも持ち運び可能とせず、大きな物品を入れられるサイズの処理チャンバ、または工業または商用とすることができる。一実施形態によれば、処理チャンバの容積は約50ml~約500リットルである。より具体的な実施形態によれば、処理チャンバの容積は約200ml~50リットルである。
【0062】
本発明の装置を用いると、真空段と再充填段階を含む繰り返し可能なプロセスを用いることにより物品を処理することができる。このプロセスの一実施形態を、
図17-23に示す。例えば、
図18に示す、このプロセスの真空段において、コンフォーマブルウォール102を有する処理チャンバ100に負圧を引くと、コンフォーマブルウォールが、物品の上で潰れて、処理チャンバからできる限り多くの周囲空気を除去するために、処理中の物品をさらに圧搾または圧縮することができる。
図19に示す、本プロセスの再充填段階において、中立圧力または正圧になるまで、処理チャンバ内で負圧を反転または解除する。1つの真空段と1つの再充填段階で1つの処理サイクルが構成される。ある実施形態によれば、真空段階と再充填段階を複数回繰り返すと、多数の多処理サイクルを行うことができる。
【0063】
さらなる実施形態によれば、多数の処理サイクル後には最終サイクルがあり、最終サイクルでは、
図23に示すように、処理チャンバから物品を取り出すことのできる中立または略中立圧力に、処理チャンバ内の圧力が戻るまで、空気を処理チャンバに通過させる。ある実施形態によれば、最終サイクル中、
図22および23に示すように、処理チャンバに入る前に、空気は芳香カートリッジを通過し、処理中の物品に芳香を付与する。
【0064】
本方法の具体的な実施形態によれば、プラズマを利用して、処理チャンバ内の物品を処理する。かかる実施形態において、再充填段階において処理チャンバに入る空気は、処理チャンバ100に入る前に、プラズマ発生器200を通過する。プラズマの反応性は高いため、物品の有機物質を攻撃し得る。物品の有機物質が分解または不活性化されて、悪臭中和、脱臭または抗菌効果をもたらす。
【0065】
変形例によれば、プラズマに加えて、またはプラズマの代わりに、エアロゾル殺菌剤を用いて物品を処理することができる。かかるエアロゾル殺菌剤としては、過酸化水素やアルコールが例示されるが、これらに限られるものではない。装置の一実施形態においては、エアロゾル化機構960を組み込んで、周囲空気が処理チャンバ100に戻ったときに、エアロゾル殺菌剤を物品75に適用している。
図22Bに、本実施形態の例を示すが、これに限られるものではない。本実施形態においては、殺菌剤は、各処理サイクル中、または最終再充填サイクル中に用いられる。ある実施形態によれば、エアロゾル化機構には、流体リザーバ965があって、殺菌剤と、流体殺菌剤をエアロゾル化するためのノズル970とを有しており、流体殺菌剤が周囲空気通路を通過するようになっている。本発明の実施形態で用いることのできるエアロゾル化ノズルとしては、ベンチュリスタイル、ジェットオリフィスノズル、またはリザーバから流体の十分に小さい液滴を形成して、周囲空気の流れにより処理チャンバへ運ぶことのできる業界で公知のその他ノズルが例示されるが、これらに限られるものではない。さらなる実施形態によれば、エアロゾル機構は、処理チャンバへつながる周囲空気通路に接続されているのが好ましく、周囲空気が処理チャンバを通過している間エアロゾル化機構を作動させることができ、エアロゾル殺菌剤が、再充填のときに処理チャンバへ注入される。変形例によれば、エアロゾル化機構を用いて、殺菌流体の代わり、または殺菌流体に加えて、芳香の付いた流体を分散させる。
【0066】
本プロセスの真空段には、第1および第2の真空サイクルが含まれる。第2の真空サイクルを含む実施形態において、第1の真空サイクルは、まず、処理チャンバ100から周囲空気を除去する。これによって、処理チャンバのコンフォーマブルウォール102が、物品に適合し始め、処理チャンバ内の空気の有効容積が減じる。第1の真空サイクル中、周囲空気の除去を、処理チャンバ内を負圧にするのに行う必要はないが、行うこともできる。本プロセスのこの工程に続いて、第2の真空サイクルを行って、処理チャンバに少なくとも最小の負圧を引いて、減じた有効容積の残りの周囲空気の全てまたは大半を移動する。第2の真空サイクルにより、直接、あるいは、プラズマ発生器により、残りの周囲空気を排出チャンバへと除去することができる。その後、再充填段階において、排出チャンバからの空気は、プラズマ発生器を通って、処理チャンバに戻る。後の処理サイクルによって、排出チャンバと処理チャンバとの間で減じた容積の空気が往復する(プラズマ発生器を通して)。有効容積を減じると、往復する空気をポンピングするのに必要な時間が短くなって、処理の効率が上がる(上述した通り)。
【0067】
上述の通り、プラズマ処理装置のある実施形態では、少なくとも1つのコンフォーマブルウォール102を有するシール可能な130コンフォーマブルバッグ125を処理チャンバ110として利用する。コンフォーマブルバッグは、剛体板101にシールされるコンフォーマブルウォール102を用いて、実施形態で記載した方法および部品のいずれも利用することができる。コンフォーマブルバッグを処理チャンバとして用いる実施形態において、シールされた入口および出口ポートを形成して、サイクル中、空気を出し入れすることができる。ポートはまた、ガス指向部品のためのアタッチメントを有していてもよい。かかる実施形態において、処理チャンバは筐体50に囲まれていてもよいし、変形例においては、処理チャンバは筐体に囲まれていなくてもよい。処理チャンバが囲まれていない方が有利な場合の例を挙げると、装置を用いて非常に大きな物品(例えば、マットレス)を処理する場合である。かかる実施形態においては、被処理物品はコンフォーマブルバッグに入れ、バッグの開口部をシールして閉じる。
【0068】
本発明のプラズマ処理装置10を用いて物品を処理する方法は、物品を処理チャンバ100に入れ、処理チャンバ100を閉じたときに開始される。第1の真空サイクルが始まる。一実施形態において、第1の真空サイクル中、処理チャンバ100から空気を除去し、直接、または、フィルタリング機構400から周囲環境15へ送る。1つ以上のプロセス条件が満たされたら(例えば、タイムリミットに達したら、または圧力センサ850が、処理チャンバ100内が所定の圧力に達したことを示したら)、コントローラが作動するまで、第1の真空サイクルを続ける。その後、コントローラが、プラズマ発生器200を動作させて、再充填サイクルが開始される。周囲環境15から、動作したプラズマ発生電極200へ空気が移動し(能動的に、エアポンプ300を用いて空気を送る、または受動的に、バルブを単に開いて、相対圧力を平衡にする)、プラズマが発生する。上述した通り、センサ850が1つ以上のプロセス条件を満たすと判断するか、またはコントローラ850を動作させるまで、プラズマを処理チャンバ100へ通す空気の能動的または受動的な移動を続ける。一実施形態において、コントローラは、所定の時間にわたって処理を中断し、その間プラズマは処理チャンバ内で物品を消毒する。処理中断後、コントローラを動作させて、第1の真空サイクルを再び開始し、センサが1つ以上のプロセス条件を満たすと判断するまで、空気を処理チャンバ100から、フィルタリング機構を通して、周囲環境15へ再度ポンピングする。
【0069】
さらなる実施形態において、コントローラは、さらなる処理サイクル(予定されたレジームに応じて)を開始する。コントローラは、プラズマ発生器200を作動させ、空気の流れを切り替えて、周囲環境15から、プラズマ発生器200へ流し、プラズマが処理チャンバ100に入る。最後の処理サイクル後、コントローラは、最終真空サイクルを開始し、処理チャンバ100からの空気を、直接、またはフィルタリング機構400を通して、ポンピングして周囲環境15へ戻す。予定数の処理サイクルと最終真空サイクルの完了後、コントローラは、最終フローサイクルを開始し、センサが、特定のプロセス条件を満たすと判断するまで(例えば、タイムリミット、または圧力センサ850が、処理チャンバ100で所定の圧力に達したことを示すとき)、周囲環境15からの空気を、処理チャンバ100へ入れる(能動的または受動的に)。ある実施形態によれば、最終フローサイクルによって、空気が周囲環境15から直接処理チャンバ100へ入れられる。他の実施形態によれば、芳香カートリッジ700を通して、物品に芳香が付与される。センサが、全処理レジームが完了したと判断したら、物品を処理チャンバ100から取り出してよい。
【0070】
一実施形態において、第1の真空サイクル中、空気を処理チャンバ100から除去し、フィルタリング機構400を通して、または作動させたプラズマ発生器200を通して、第1の排出チャンバ1へ直接入れる。かかる実施形態において、コントローラに操作可能に接続されたセンサ800が、第1の真空サイクルの終了を示す、特定のプロセス条件を満たす(例えば、タイムリミット、または圧力センサ850が、処理チャンバ100で所定の圧力に達したことを示すとき)と判断するまで、第1の真空サイクルを続ける。
【0071】
第1の真空サイクルの開始時にプラズマ発生器が作動していない実施形態において、第1の真空サイクルが終了したら、コントローラはプラズマ発生器200を動作させ、センサが、特定のプロセス条件を満たす(例えば、タイムリミット、または圧力センサ850が、処理チャンバ100で所定の圧力に達したことを示すとき)と判断し、コントローラを作動させるまで、空気を第1の排出チャンバ1から動作させたプラズマ発生電極を通して送り(能動的または受動的に)、それによりプラズマが発生し、処理チャンバ100へ入る。
【0072】
プラズマ発生器200が、第1の真空サイクルの開始時に作動している場合は、発生器200は、第1の真空サイクルが終了した後も作動したままとし、空気は、第1の排出チャンバ1から、発生器200を通って、処理チャンバ100に入る。そして、コントローラは、所定の時間にわたって処理を中断して、その時間の間にプラズマで物品を消毒する。処理中断後、コントローラは、第1の真空サイクルを再び開始し、空気を処理チャンバ100から、フィルタリング機構を通して、第1の排出チャンバ1へ再度ポンピングする。
【0073】
変形例によれば、センサ800が、特定のプロセス条件を満たすと判断し(例えば、タイムリミット、または圧力センサ850が、処理チャンバ100で所定の圧力に達したことを示すとき)、コントローラを作動させるまで、フィルタリング機構を通過させることなく、空気を直接、処理チャンバ100から第1の排出チャンバ1へポンピングする。
【0074】
一実施形態において、コントローラは、さらなる処理サイクル(予定されたレジームに応じた数)を開始する。コントローラは、プラズマ発生器200を作動させ、空気の流れを切り替えて、第1の排出チャンバ1から、プラズマ発生器200へ流し、プラズマが処理チャンバ100に入る。最後の処理サイクル後、コントローラは、最終真空サイクルを開始し、処理チャンバ100からの空気をポンピングして第1の排出チャンバ1へ戻す。予定数の処理サイクルと最終真空サイクルの完了後、コントローラは、最終フローサイクルを開始し、所望のプロセス条件を満たすと判断するセンサによりコントローラが作動するまで、第1の排出チャンバ1からの空気を、処理チャンバ100へ(能動的または受動的に)入れる。一実施形態によれば、最終フローサイクルによって、空気が第1の排出チャンバ1から直接処理チャンバ100へ入れられる。他の実施形態によれば、芳香カートリッジ700を通して、物品75に芳香が付与される。全処理レジームが完了したら、物品を処理チャンバ100から取り出してよい。
【0075】
一実施形態において、コントローラが第1の真空サイクルを開始すると、空気が処理チャンバ100から除去され、直接、またはフィルタリング機構400を通って、第1の排出チャンバ1へ入る。少なくとも1つの実施形態において、上述したように、プロセス条件を満たすと判断するセンサによりコントローラが動作するまで、第1の真空サイクルを続ける。コントローラは第2の真空サイクルを開始して、処理チャンバ100の空気を第2の排出チャンバ2へポンピングする。第2の排出チャンバ2もまた、膨張と収縮を可能とする適合可能なものであってよい。圧力センサ850が、処理チャンバ100内が所定の圧力に達したことを示す等、プロセス条件を満たすとき、例えば、第1の真空サイクルの終了を知らせるものである処理チャンバ100内の圧力より低くなったとき、コントローラは、プラズマ発生器200を作動させ、空気の流れを切り替えて、第2の排出チャンバ2から、プラズマ発生器200へ流し、プラズマが処理チャンバ100に入る。この方法の一例を
図2に示す。
【0076】
さらなる実施形態において、コントローラは、所定の時間にわたって処理を中断し、その間プラズマは物品を消毒する。コントローラは第2の真空サイクルを再び開始し、特定のプロセス条件を満たすと判断されるまで、空気を処理チャンバ100から、フィルタリング機構またはプラズマ発生器を通して、第2の排出チャンバ2へ再度ポンピングする。次に、コントローラは、さらなる処理サイクル(予定されたレジームに応じて)を開始する。コントローラは、プラズマ発生器200を作動させ、空気の流れを切り替えて、第2の排出チャンバ2から、プラズマ発生器200へ流し、プラズマが処理チャンバ100に入る。この方法により得られるいくつかの利点の1つは、第2の排出チャンバと処理チャンバ間を往復する空気の容積が少ないことであり、これによって、装置は、物品をより効率的に処理できる。この方法はまた、各処理サイクルを完了するのに要する時間も少ない。また、空気が処理チャンバと第2の排出チャンバを往復してプラズマ発生器に入る実施形態において、プラズマに変換される空気の量が増え、物品を処理するのに用いるプラズマの濃度が増大する。
【0077】
少なくとも1つの実施形態においてコントローラが第1の真空サイクルを開始すると、処理チャンバ100からの空気が、(直接、またはフィルタリング機構400を通して)周囲環境15にポンピングされる。少なくとも1つの実施形態において、コントローラが、特定のプロセス条件を満たすと判断するまで、第1の真空サイクルを続ける。次に、コントローラは第2の真空サイクルを開始して、バルブを切り替え、空気が、処理チャンバ100から第2の排出チャンバ2にポンピングされるようにする。一実施形態において、第2の排出チャンバ2は、膨張と収縮を可能とする適合可能なものである。センサが、特定のプロセス条件を満たすと判断すると、コントローラは、プラズマ発生器200を作動させ、空気の流れを切り替え、空気を第2の排出チャンバ2からプラズマ発生器200を通って流れるようにし、プラズマは処理チャンバ100へ入る。そして、コントローラは、所定の時間にわたって処理を中断して、その時間の間にプラズマで物品を消毒する。処理中断後、コントローラは、第2の真空サイクルを再び開始し、センサが特定のプロセス条件を満たすと判断するまで、空気を処理チャンバ100から、フィルタリング機構を通すか、または直接、第2の排出チャンバ2へ再度ポンピングする。コントローラは、さらなる処理サイクル(予定されたレジームに応じて)を開始する。コントローラは、プラズマ発生器200を作動させ、空気の流れを切り替えて、第2の排出チャンバ2から、プラズマ発生器200へ流し、プラズマが処理チャンバ100に入る。
【0078】
最後の処理サイクル後、コントローラは、最終真空サイクルを開始し、コントローラが、特定のプロセス条件を満たすと判断するまで、処理チャンバ100からの空気を、フィルタリング機構を通して、周囲環境15へポンピングする。コントローラが、特定のプロセス条件を満たすと判断するまで、バルブを切り替えて、周囲環境15からの空気を、直接、また芳香カートリッジ700を通って、処理チャンバ100にポンピングする。コントローラが、全処理レジームが完了したと判断したら、物品を処理チャンバ100から取り出してよい。
【0079】
本明細書に記載した実施例および実施形態は、例示のためだけであり、その観点から様々な修正および変更は、当業者に示唆され、本願の主旨および範囲に含まれるものとする。
【0080】
本明細書で言及した「一実施形態」、「実施形態」、「実施例」、「更なる実施形態」、「変形例」等は文言上簡便にするためである。かかる実施形態に関連して記載された何らかの特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示唆している。明細書の様々な箇所において現れるかかる言い回しは、必ずしも同じっ実施形態を指すものではない。また、本明細書に開示された発明または実施形態の何らかの要素または限定は、本明細書に開示された他の発明または実施形態の何らかの、かつ/または全てのその他の要素または限定と組み合わせる(個々に、または任意の組み合わせで)ことができ、かかる組み合わせの全てが、限定されることなく、本発明の範囲内と考えられる。