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特許7210647薄膜蒸着方法及びこれを用いた半導体素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】薄膜蒸着方法及びこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20230116BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230116BHJP
   C23C 16/56 20060101ALI20230116BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
H01L21/318 C
H01L21/31 C
C23C16/56
C23C16/50
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021106518
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2022022111
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0091046
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519122792
【氏名又は名称】ウォンイク アイピーエス シーオーエルティーディー
【氏名又は名称原語表記】WONIK IPS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】75, Jinwisandan-ro, Jinwi-myeon, Pyeongtaek-si, Gyeonggi-do, 17709, Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】金 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】崔 暎▲吉▼
(72)【発明者】
【氏名】辛 昌學
(72)【発明者】
【氏名】朴 愍隅
(72)【発明者】
【氏名】金 智賢
(72)【発明者】
【氏名】金 京美
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-168930(JP,A)
【文献】特開平09-055351(JP,A)
【文献】特開2001-015506(JP,A)
【文献】特開2010-053397(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0075266(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/318
H01L 21/31
C23C 16/56
C23C 16/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に処理空間を限定するチャンバー、前記チャンバーの下部領域に位置し、基板が載置される基板支持部、前記チャンバーの上部領域に位置し、前記基板にソースガス及び反応ガスを提供するガス供給部、並びに、前記チャンバーに高周波及び低周波の電源を供給する電源供給部を含む基板処理装置を用いた薄膜蒸着方法であって、
低温帯域の工程温度条件により蒸着された下部薄膜を含む前記基板を、前記基板支持部上に載置するステップ;
前記下部薄膜の上部に、前記低温帯域の工程温度条件によりプラズマ雰囲気で上部薄膜を蒸着するステップ;及び、
前記上部薄膜を蒸着するステップの以後、前記上部薄膜の表面を前記低温帯域の工程温度条件によりプラズマ雰囲気でプラズマトリートメントするステップを含み、
前記低温帯域の工程温度は100℃乃至250℃であり、
前記下部薄膜は、非晶質炭素膜、チタニウム酸化膜又はSOGである
ことを特徴とする、薄膜蒸着方法。
【請求項2】
前記上部薄膜を蒸着するステップは、前記基板上にシリコンを含有するソースガスと、窒素及び酸素を含有する反応ガスとを供給し、前記チャンバーの内部に高周波及び低周波を印加してプラズマを発生させた状態で進行することを特徴とする、請求項1に記載の薄膜蒸着方法。
【請求項3】
前記上部薄膜を蒸着するステップは、前記ソースガス対前記反応ガスの比率を1.2~2.5対1の割合で供給することを特徴とする、請求項1に記載の薄膜蒸着方法。
【請求項4】
前記ソースガスは、SiHガスを含むことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜蒸着方法。
【請求項5】
前記反応ガスは、NO及びNOの何れか一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜蒸着方法。
【請求項6】
前記上部薄膜を蒸着する際に、前記チャンバー内の圧力は1.5乃至4.0Torrであることを特徴とする、請求項1に記載の薄膜蒸着方法。
【請求項7】
前記上部薄膜は、シリコン酸窒化膜を含むことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜蒸着方法。
【請求項8】
前記電源供給部において、
前記高周波は、中心周波数帯域が10MHz~40MHzを持つHFであり、
前記低周波は、前記中心周波数帯域が300kHz~500kHzを持つLFであることを特徴とする、請求項1に記載の薄膜蒸着方法。
【請求項9】
前記トリートメントステップは、前記反応ガスを供給し、前記チャンバーの内部に高周波及び低周波を印加して、プラズマを発生させた状態で進行することを特徴とする、請求項1に記載の薄膜蒸着方法。
【請求項10】
前記プラズマトリートメントステップは、前記上部薄膜蒸着ステップと連続して、前記ソースガスの供給を中断したままに進行することを特徴とする、請求項1に記載の薄膜蒸着方法。
【請求項11】
基板の上部に下地層を形成するステップ;
前記下地層の上部に前記下地層とエッチング選択比を持つ下部薄膜を低温帯域の工程温度で蒸着するステップ;
前記下部薄膜の上部に前記下部薄膜とエッチング選択比を持つ上部薄膜を前記低温帯域の工程温度で蒸着するステップ;
前記上部薄膜をプラズマトリートメントして、ハードマスクを形成するステップ;及び、
前記ハードマスクを用いて前記下地層をパタニングするステップを含み、
前記低温帯域の工程温度は100℃乃至250℃の範囲であり、
前記上部薄膜は、反応ガス及び前記反応ガスよりも過量で含まれたソースガスを用いて蒸着し、
前記プラズマトリートメントは、前記反応ガスを供給して進行されることを特徴とする、請求項1乃至10に記載の薄膜蒸着方法を用いた半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着方法及びこれを用いた半導体素子の製造方法に関する。より具体的には、ハードマスク(hard mask)を形成するための薄膜蒸着方法及びこれを用いた半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高集積化した半導体素子を製造する際に、パターンの微細化は必須である。狭い面積により多くの素子を集積するために、素子を構成する各々のパターン及びパターン間のピッチを縮小させる必要がある。最近、半導体素子のデザインルール(design rule)が急激に減少されることで、現在のフォトリソグラフィ工程の露光限界により、微細線幅及びピッチを持つパターンを形成するのに限界がある。
【0003】
現在、露光限界の以下の微細パターンを限定するために、多様なエッチング方式が提案されており、その一つがハードマスクを用いる方法である。
【0004】
ハードマスクは、被エッチング層に対する耐エッチング性を持つことが要求される。特に、複数のシリコン酸化膜及び複数のシリコン窒化膜が積層構造物を含む3Dナンド素子の場合、積層構造物に対して高いエッチング選択比が確保できるように、ハードマスクとして非晶質カーボン膜及びシリコン酸窒化膜の積層構造が用いられている。
【0005】
一般に、非晶質カーボン膜及びシリコン酸窒化膜からなるハードマスクは、450℃乃至650℃の高温で蒸着される。しかしながら、前記のような高温でハードマスク膜を製作する場合、下部の被エッチング層の特性を劣化させ、更に素子の特性を変形させるという問題点があった。
【0006】
よって、従来は、相対的に被エッチング層と隣接している非晶質カーボン膜のみを100℃乃至250℃の低温で蒸着する技術が提案された。しかしながら、前記の方式は、相変らずハードマスクを構成するシリコン酸窒化膜が高温で蒸着されるので、下部の非晶質カーボン膜に高温によるダメージを与えることができる。これにより、ハードマスクパターンのパターン不良を発生させる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施例等は、下部薄膜とエッチング選択比を維持しながら、下部薄膜のダメージを低減させることができる薄膜蒸着方法及びこれを用いた半導体素子の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施例に係る薄膜蒸着方法は、内部に処理空間を限定するチャンバー、前記チャンバーの下部領域に位置し、基板が載置される基板支持部、前記チャンバーの上部領域に位置し、前記基板にソースガス及び反応ガスを提供するガス供給部、並びに、前記チャンバーに高周波及び低周波の電源を供給する電源供給部を含む基板処理装置を用いた薄膜蒸着方法であって、低温帯域の工程温度条件により蒸着された下部薄膜を含む前記基板を、前記基板支持部上に載置するステップ;前記下部薄膜の上部に、前記低温帯域の工程温度条件によりプラズマ雰囲気で上部薄膜を蒸着するステップ;及び、前記上部薄膜を蒸着するステップの以後、前記上部薄膜の表面を前記低温帯域の工程温度条件によりプラズマ雰囲気でプラズマトリートメントするステップを含み、前記低温帯域の工程温度は100℃乃至250℃である。
【0009】
また、本発明の一実施例に係る半導体素子の製造方法は、基板の上部に下地層を形成するステップ;前記下地層の上部に前記下地層とエッチング選択比を持つ下部薄膜を低温帯域の工程温度で蒸着するステップ;前記下部薄膜の上部に前記下部薄膜とエッチング選択比を持つ上部薄膜を前記低温帯域の工程温度で蒸着するステップ;前記上部薄膜をプラズマトリートメントして、ハードマスクを形成するステップ;及び、前記ハードマスクを用いて前記下地層をパタニングするステップを含み、前記低温帯域の工程温度は100℃乃至250℃の範囲であり、前記上部薄膜は、反応ガス及び前記反応ガスよりも過量で含まれたソースガスを用いて蒸着し、前記プラズマトリートメントは、前記反応ガスを供給して進行される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施例によれば、ハードマスクを構成する下部薄膜及び上部薄膜を全部低温帯域の工程温度で蒸着する代りに、上部薄膜のエッチング選択比を補償するために、上部薄膜の蒸着方式を変更する。これにより、充分なエッチング選択比の補償と共にハードマスクを低温で蒸着できるので、つまり、パターン欠陥が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例に係る薄膜を含む半導体素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図2】本発明の一実施例に係る薄膜を含む半導体素子の製造方法を説明するための工程別断面図である。
図3】本発明の一実施例に係る薄膜を含む半導体素子の製造方法を説明するための工程別断面図である。
図4】本発明の一実施例に係る薄膜を含む半導体素子の製造方法を説明するための工程別断面図である。
図5】本発明の一実施例に係る基板処理装置を示す概略断面図である。
図6】本発明の一実施例に係る上部薄膜蒸着方法を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の一実施例に係る上部薄膜蒸着方法を説明するためのタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の利点や特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述する実施例を参照すれば明確になる。しかしながら、本発明は、以下で開示している実施例に限定されず、互い異なる多様な形態で具現可能である。但し、本実施例等は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有した者に、本発明のカテゴリを完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は請求の範囲のカテゴリにより定義されるだけである。図において、層及び領域等の大きさ及び相対的な大きさは、説明の明確性を期するために誇張されたものであり得る。明細書の全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0013】
図1は、本発明の一実施例に係る薄膜を含む半導体素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。図2乃至図4は、本発明の一実施例に係る薄膜を含む半導体素子の製造方法を説明するための各工程別断面図である。
【0014】
図1図2及び図3を参照すれば、下部薄膜120が形成された基板100を提供する(S1)。本実施例において、基板100及び下部薄膜120間に、被エッチング層に該当する下地層110がさらに形成され得る。下地層110は、例えば、シリコン酸化膜110a及びシリコン窒化膜110bが交互に繰返し積層された構造体であり得る。また、図では詳細に示していないが、基板100及び下地層110間に別途の素子層がさらに介在されることもできる。本実施例において、下地層110は、シリコン酸化膜110a及びシリコン窒化膜110bを交互に積層した例に対して示しているが、多様な被エッチング層がここに該当することができる。
【0015】
下部薄膜120は、被エッチング層とエッチング選択比を持つ物質として、例えば、非晶質炭素膜(amorphous carbon layer)、チタニウム酸化膜又はSOG(Spin on glass)が用いられる。本実施例の下部薄膜120は、低温帯域の工程温度、例えば、100℃乃至250℃で形成されることができる。これにより、下部薄膜120を蒸着する際に、下部の被エッチング層に及ぼす熱的な影響が低減できる。
【0016】
図1及び図4を参照すれば、下部薄膜120の上部にハードマスク膜の他の一部として、デュアル周波数(例えば、高周波及び低周波)下で上部薄膜130を蒸着する(S2)。上部薄膜130は、下部薄膜120とエッチング選択比を持つ物質膜、例えば、シリコン酸窒化膜(SiON)が用いられる。本実施例の上部薄膜130は、低温帯域の工程温度、例えば、下部薄膜120の蒸着温度と実質的に同一の低温帯域の工程温度(100℃乃至250℃)で蒸着されることができる。これにより、上部薄膜130を蒸着する際に、下部薄膜120に熱的なダメージを与えない。図において、“HM”はハードマスク膜を示すことができる。
【0017】
シリコン酸窒化膜からなる本実施例の上部薄膜130は、例えば、SiH及びNOガス(又は、NOガス)の反応により形成できる。一例として、SiH及びNOの比は1.2~2.5対1の割合で提供できる。NOに比べてSiHガスの含有量を増大させることにより、シリコン酸窒化膜のエッチング選択比が改善できる。また、シリコン酸窒化膜は1.5乃至4.0Torrの圧力下で形成できる。また、本実施例において、シリコン酸窒化膜を形成するための反応ガスとして、NHの代りにNO又はNOを用いることで、シリコン酸窒化膜内の水素(H)の含有量を減少させることができる。これにより、低温蒸着によるシリコン酸窒化膜のエッチング選択比が補償できる。
【0018】
本実施例の上部薄膜130は、例えば、図5に示す基板処理装置により蒸着されることができる。
【0019】
図5は、本発明の一実施例に係る基板処理装置を示す概略断面図である。
【0020】
図5を参照すれば、基板処理装置150は、チャンバー200、コントローラ201、シャワーヘッド230、基板支持部240、駆動部250、プラズマ電源供給部260、マッチングネットワーク270及びヒータ電源供給部290を含むことができる。
【0021】
チャンバー200は、上部が開放された本体210と、本体210の上端外周に設置されるトップリード220とを含むことができる。トップリード220の内部空間はシャワーヘッド230により閉鎖されることができる。シャワーヘッド230及びトップリード220間には絶縁リング(r)が設置され、チャンバー200及びシャワーヘッド230を電気的に絶縁させることができる。
【0022】
チャンバー200の内部空間において、上部薄膜130の蒸着工程が行われる。本体210の側面の所定の位置に基板(W)の搬出入が可能であるようにゲート(G)を備えることができる。
【0023】
チャンバー200の内部を真空化するために、チャンバー200の下部に位置した排気口212にポンプ213を連結することができる。
【0024】
シャワーヘッド230は、トップリード220の内側に基板支持部240と対向するように設置されることができる。シャワーヘッド230は、外部から供給される多様なソースガスをガス供給ライン(L)を介して受信して、チャンバー200の内部に噴射できる。本実施例において、シャワーヘッド230は、プラズマを発生させるための第1の電極として作用できる。
【0025】
本実施例のシャワーヘッド230のガス供給ライン(L)に、ソースガス供給部240a及び反応ガス供給部240bが連結できる。本実施例において、ソースガス供給部240aは、例えば、SiHガスが受容でき、反応ガス供給部240bは、例えば、NOガスが受容できる。
【0026】
図5では、ソースガス供給部240a及び反応ガス供給部240bのみに対して示しているが、ガス供給ライン(L)にパージ(purge)ガス供給部、及び/又はシーズニング(seasoning)ガス供給部がさらに連結されることもできる。ソースガス供給部240a及びガス供給ライン(L)間と、反応ガス供給部240b及びガス供給ライン(L)間とに、バルブV1、V2が各々設置されることができる。
【0027】
基板支持部240は、基板載置部(サセプタ)242及び支持軸244を含むことができる。基板載置部242は、上面に少なくとも一つの基板(W)が載置されるように全体的に平板状を持つことができる。支持軸244は、基板載置部242の後面に垂直結合され、チャンバー200の底部の貫通孔を通じて外部の駆動部250と連結され、基板載置部242を昇降及び/又は回転させることができる。本実施例において、基板載置部242は、プラズマを発生させるための第2の電極として作用できる。
【0028】
また、基板載置部242の内部にヒータ246が具備されることで、上部に載置された基板100の温度、更にチャンバー200内の温度が調節できる。ヒータ電源供給部290は、ヒータ246と連結して電源が提供できる。
【0029】
コントローラ201は、基板処理装置150の全般の動作を制御するように構成される。一実施例において、コントローラ201は、基板処理装置150の各構成要素200~290、V1、V2の動作を制御し、上部薄膜130を蒸着するための制御パラメータが設定できる。図に示していないが、コントローラ201は、中央処理装置、メモリ及び入出力インターフェースなどを含むことができる。
【0030】
プラズマ電源供給部260は、第1の電源供給部261及び第2の電源供給部263を含むことができる。第1の電源供給部261は、中心周波数帯域が10MHz~40MHz、例えば、13.56MHzを持つHF(High frequency)電源をプラズマ電源ソースとして提供できる。かつ、第2の電源供給部263は、中心周波数帯域が300kHz~500kHz、例えば、370kHzを持つLF(low frequency)電源をプラズマ電源ソースとして提供できる。コントローラ201は、制御パラメータによって第1の電源供給部261及び/又は第2の電源供給部263から供給される電源ソースが制御できる。
【0031】
マッチングネットワーク270は、第1の電源供給部261と接続される第1のマッチング部271、及び、第2の電源供給部263と接続される第2のマッチング部273を含むことができる。マッチングネットワーク270の第1及び第2のマッチング部271、273は、各々第1及び第2の電源供給部261、263の出力インピーダンス及びチャンバー200内の負荷インピーダンスを相互マッチングさせて、RF電源がチャンバー200から反射されることによる反射損失を除去するように構成できる。
【0032】
図6は、本発明の一実施例に係る上部薄膜蒸着方法を説明するためのフローチャートである。図7は、本発明の一実施例に係る上部薄膜蒸着方法を説明するためのタイミング図である。
【0033】
図1図4乃至図7を参照すれば、上部薄膜を蒸着するステップ(S2)は、チャンバー200の内部を安定化させるステップ(S21)を含むことができる。安定化ステップ(S21)は、低温帯域の工程温度で上部薄膜130を蒸着させることができる雰囲気を造成するステップであり得る。上部薄膜130を蒸着させるために、チャンバー200の内部は、例えば、100℃乃至250℃の温度及び1.5乃至4.0Torrの圧力を造成することができる。
【0034】
チャンバー200の内部を安定化させた状態において、下部薄膜120上に上部薄膜130を蒸着する(S22)。上部薄膜130は、前述したように、100℃乃至250℃の温度及び1.5乃至4.0Torrの圧力下で、ソースガス(SiH)及び反応ガス(NO)を1.2~2.5対1の割合で供給して形成できる。ソースガス(SiH)の比率を反応ガス(NO)の比率よりも所定量増大させることにより、下部薄膜120に対する上部薄膜130のエッチング選択比を改善させることができる。結果として、上部薄膜130の低温蒸着によるエッチング選択比が補償できる。
【0035】
また、本実施例の上部薄膜130は、デュアル周波数、すなわち、高周波(HF)及び低周波(LF)下で蒸着される。低周波(LF)の利用により、イオンエネルギー及びイオン衝撃(ion bombardment)が促進されて、低温蒸着による上部薄膜130の熱エネルギーが補償され、不安定な結合の発生が防止できる。
【0036】
その後、デュアル周波数下でプラズマトリートメントを進行する(S3)。プラズマトリートメントステップ(S3)は、ソースガス(SiH)の供給は中断し、反応ガス(NO)のみを供給して進行できる。NOガスによるプラズマトリートメントステップ(S3)は、低温帯域の工程温度、例えば、100℃乃至250℃の温度で上部薄膜130の蒸着ステップと連続して進行されることができる。プラズマトリートメントにより上部薄膜130の表面の硬度が改善されるように、上部薄膜130の表面の改質が行われる。これにより、エッチング選択比が一層改善できる。図に詳細に示していないが、プラズマトリートメント工程により、上部薄膜130の表面に酸化膜が生成されることもできる。
【0037】
その後、図に示していないが、工程チャンバー200の内部をパージ(purge)して、未反応成分及びチャンバー200内の不純物を除去する。
【0038】
一般に、ハードマスク膜を構成する上部薄膜130は、高いエッチング選択比を確保するために高温で蒸着される。ところが、高温下で上部薄膜130を蒸着する場合、下部薄膜120、甚だしくは下地層110まで熱的にダメージが印加される恐れがある。
【0039】
よって、本実施例では、上部薄膜130を下部薄膜120と同様に、下地層110の物質特性に影響を与えない低温帯域の工程温度、例えば、100℃乃至250℃で蒸着する。
【0040】
合わせて、低温で蒸着される上部薄膜130のエッチング選択比が補償できるように、ソースガスの比率を反応ガスの比率よりも増加させ、1.5乃至4.0Torrの圧力下で上部薄膜130が蒸着できる。また、本実施例において、低温で蒸着される上部薄膜130のエッチング選択比が補償できるように、上部薄膜130の蒸着と連続して反応ガスのみを供給して、プラズマトリートメントを低温帯域で進行する。従って、上部薄膜の表面特性の改質によりエッチング選択比が補償される。
【0041】
また、上部薄膜を蒸着するための反応ガスとして、水素含有量が少ないNOガスを用いることで、エッチング選択比を一層補償できる。
【0042】
また、本実施例において、上部薄膜130を蒸着する際に、HF電源と共にLF電源を用いることで、熱的エネルギー及びイオン反応の効率が補償されて、上部薄膜130のエッチング選択比をさらに補償できる。
【0043】
なお、本発明を好適な実施例により詳細に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内において当該分野における通常の知識を有した者によって色々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0044】
100 基板
110 下地層
120 下部薄膜
130 上部薄膜
150 基板処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7