(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】熱源一体型空調機を利用したタスク空調システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
F24F 1/028 20190101AFI20230116BHJP
F24F 11/72 20180101ALI20230116BHJP
F24F 110/30 20180101ALN20230116BHJP
【FI】
F24F1/028
F24F11/72
F24F110:30
(21)【出願番号】P 2021187978
(22)【出願日】2021-11-18
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390018474
【氏名又は名称】新日本空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長島 晃
(72)【発明者】
【氏名】村田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】白石 等
(72)【発明者】
【氏名】磯 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】野澤 英美
(72)【発明者】
【氏名】深谷 良丸
(72)【発明者】
【氏名】永坂 茂之
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-310450(JP,A)
【文献】特開2021-173444(JP,A)
【文献】特開2011-094879(JP,A)
【文献】特開平11-230609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00 ~ 1/68
F24F 11/00 ~ 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋内に設けられた大空間の一部にパーティションが床面に置かれて、このパーティションで囲まれた空間をタスク領域とする空調対象領域、および、前記タスク領域の上方天井側および側面に位置付けられ且つ前記タスク領域の周囲を囲む空間をアンビエント領域とする非空調対象領域があって、
圧縮機を備えた熱源ユニット
を含む熱源一体型空調機があって、この熱源一体型空調機が、伝熱媒体を介し
た熱源ユニットとの熱交換機能を備えた空調ユニットを
、前記熱源ユニットと一体に搭載し且つ前記床面に対して移動可能
であり、この熱源一体型空調機を前記タスク領域の内部に配置したタスク空調システムにおいて、
前記熱源一体型空調機が前記タスク領域内の床面を下にした状態で且つ前記タスク領域内に据え置かれており、
前記空調ユニットの前側に設けた給気吹出口が対面する前記タスク領域内の空間をメインエリアとして、前記給気吹出口が温調空気を受け入れる前記メインエリアに対面して配置されており、そして、前記給気吹出口の後側に前記熱源ユニットを位置付けて、さらに、前記熱源ユニットの後側に当たる前記空調ユニットの背面に設けた還気吸込口が、前記タスク領域内で前記給気吹出口の後側に当たり且つ前記メインエリア以外の空間に当たるサブエリアに位置する、あるいはこのサブエリアの直上空間に当たる範囲の前記アンビエント領域に位置しており、
前記熱源ユニットへ送風する吸気開口部および前記熱源ユニットから排気する排気開口部
を、前記タスク領域から離れた直上部の
前記アンビエント領域に位置
付けるために、
吸気および排気ダクトカバー(31、32)が前記タスク領域から直上部の前記アンビエント領域に跨って前記熱源ユニットを概ね覆
い、
前記空調ユニットの
背面に設けた前記還気吸込口の引き込み気流
が、前記サブエリアから還流
および/または前記アンビエント領域から導入されて、省エネルギーモードでは前記サブエリアから還流する気流、換気モードでは前記アンビエント領域から導入する気流、そして、省エネルギー化中間モードでは前記アンビエント領域と前記タスク領域との混合空気を吸引する気流であり、
前記省エネルギーモード
、前記換気モード
、および前記省エネルギー化中間モードの
いずれのモードにおいても前記タスク領域の空調が可能であることを特徴とするタスク空調システム。
【請求項2】
前記請求項1に記載のタスク空調システムが、
(あ)前記省エネルギーモードが、前記メインエリアの空気を混合空調した後に前記サブエリアにある前記空調ユニットの還気吸込口に還流し、再び前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出し、前記メインエリアの前記混合空調を繰り返す空気循環であり、
(い)前記換気モードが、前記アンビエント領域の新鮮空気を前記空調ユニットの
前記還気吸込口から導入且つ前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出し、そして、前記メインエリアを混合空調してから再び前記アンビエント領域に排出する空気循環であり、
(う)前記アンビエント領域と前記タスク領域との混合空気を吸引する前記中間モードが、前記サブエリアに面する
前記還気吸込口を境界層の近くに配置して混合空調層の上部エリアに位置付けることで、熱負荷の軽いメインエリアからの還気流と熱負荷の大きな新鮮空気との混合空気を
前記空調ユニットに吸引し、前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出す空気が新鮮空気を含む空気循環である、
上記(あ)、(い)、(う)のいずれか一つを含むタスク空調システム。
【請求項3】
建屋内に設けられた大空間の一部にパーティションが床面に置かれて、このパーティションで囲まれた空間をタスク領域とする空調対象領域、および、前記タスク領域の上方天井側および側面に位置付けられ且つ前記タスク領域の周囲を囲む空間をアンビエント領域とする非空調対象領域があって、
圧縮機を備えた熱源ユニット
を含む熱源一体型空調機があって、この熱源一体型空調機が、伝熱媒体を介し
た熱源ユニットとの熱交換機能を備えた空調ユニットを
、前記熱源ユニットと一体に搭載し且つ前記床面に対して移動可能
であり、この熱源一体型空調機を前記タスク領域の内部に配置したタスク空調の方法において、
前記熱源一体型空調機が前記タスク領域内の床面を下にした状態で且つ前記タスク領域内に据え置
かれるステップ
と、
前記空調ユニットの前側に設けた給気吹出口が対面する前記タスク領域内の空間をメインエリアとして、前記給気吹出口が温調空気を受け入れる前記メインエリアに対面して配置
されるステップ
と、
前記給気吹出口の後側に前記熱源ユニットを位置付けて、さらに、前記熱源ユニットの後側に当たる前記空調ユニットの背面に設けた還気吸込口を、前記タスク領域内で前記給気吹出口の後側に当たり且つ前記メインエリア以外の空間に当たるサブエリアに位置する、あるいはこのサブエリアの直上空間に当たる範囲の前記アンビエント領域に位置付けるステップ
と、
前記熱源ユニットへ送風する吸気開口部および前記熱源ユニットから排気する排気開口部
を、前記タスク領域から離れた直上部の
前記アンビエント領域に位置
付けるために、
吸気および排気ダクトカバー(31、32)が前記タスク領域から直上部の前記アンビエント領域に跨って前記熱源ユニットを概ね覆
うステップ
と、
を含み、
前記空調ユニットの
背面に設けた前記還気吸込口の引き込み気流
が、前記サブエリアから還流
および/または前記アンビエント領域から導入されて、省エネルギーモードでは前記サブエリアから還流する気流、換気モードでは前記アンビエント領域から導入する気流、そして、省エネルギー化中間モードでは前記アンビエント領域と前記タスク領域との混合空気を吸引する気流であり、
前記省エネルギーモード
、前記換気モード
、および前記省エネルギー化中間モードの
いずれのモードにおいても、前記タスク領域の空調が可能であることを特徴とするタスク空調の方法。
【請求項4】
前記請求項3に記載のタスク空調の方法が、
(ア)前記省エネルギーモードが、前記メインエリアの空気を混合空調した後に前記サブエリアにある前記空調ユニットの還気吸込口に還流し、再び前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出し、前記メインエリアの前記混合空調を繰り返す空気循環のステップ、
(イ)前記換気モードが、前記アンビエント領域の新鮮空気を前記空調ユニットの
前記還気吸込口から導入且つ前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出し、そして、前記メインエリアを混合空調してから再び前記アンビエント領域に排出する空気循環のステップ、
(ウ)前記アンビエント領域と前記タスク領域との混合空気を吸引する前記中間モードが、前記サブエリアに面する
前記還気吸込口を境界層の近くに配置して混合空調層の上部エリアに位置付けることで、熱負荷の軽いメインエリアからの還気流と熱負荷の大きな新鮮空気との混合空気を
前記空調ユニットに吸引し、前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出す空気が新鮮空気を含む空気循環のステップ、
上記(ア)、(イ)、(ウ)のいずれか一つのステップを含むタスク空調の方法。
【請求項5】
建屋内に設けられた大空間の一部にパーティションが床面に置かれて、このパーティションで囲まれた空間をタスク領域とする空調対象領域、および、前記タスク領域の上方天井側および側面に位置付けられ且つ前記タスク領域の周囲を囲む空間をアンビエント領域とする非空調対象領域があって、
圧縮機を備えた熱源ユニット
を含む熱源一体型空調機があって、この熱源一体型空調機が、伝熱媒体を介し
た熱源ユニットとの熱交換機能を備えた空調ユニットを
、前記熱源ユニットと一体に搭載し且つ前記床面に対して移動可能に前記タスク領域の内部に据え置き配置するための
前記熱源一体型空調機において、
前記空調ユニットの前側に設けた給気吹出口が対面する前記タスク領域内の空間をメインエリアとして、前記給気吹出口が温調空気を受け入れる前記メインエリアに対面して配置されており、そして、前記給気吹出口の後側に前記熱源ユニットを位置付けて、さらに、前記熱源ユニットの後側に当たる前記空調ユニットの背面に設けた還気吸込口が、前記タスク領域内で前記給気吹出口の後側に当たり且つ前記メインエリア以外の空間に当たるサブエリアに位置する、あるいはこのサブエリアの直上空間に当たる範囲の前記アンビエント領域に位置しており、
前記熱源ユニットへ送風する吸気開口部および前記熱源ユニットから排気する排気開口部
を、前記タスク領域から離れた直上部の
前記アンビエント領域に位置
付けるために、
吸気および排気ダクトカバー(31、32)が前記タスク領域から直上部の前記アンビエント領域に跨って前記熱源ユニットを概ね覆
っており、
前記空調ユニットの
背面に設けた前記還気吸込口の引き込み気流
が、前記サブエリアから
および/または前記アンビエント領域から導入されて、省エネルギーモードでは前記サブエリアから還流する気流、換気モードでは前記アンビエント領域から導入する気流、そして、省エネルギー化中間モードでは前記アンビエント領域と前記タスク領域との混合空気を吸引する気流であり、
前記省エネルギーモード
、前記換気モード
、および前記省エネルギー化中間モードの
いずれのモードにおいても、前記タスク領域の空調を可能にする前記還気吸込口の高さを有することを特徴とする熱源一体型空調機。
【請求項6】
前記請求項5に記載の熱源一体型空調機が、前記床面から前記給気吹出口
の最上端部までの高さをhとして、前記床面から前記パーティションの最上端部までの高さをHとすると、h<H の関係を有する熱源一体型空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱源一体型空調機と衝立用パーティションとを組み合わせたタスク・アンビエント空調システムに関する。特に、本発明は熱源一体型空調機を天井が高い大部屋の一部に設けたパーティションの囲み空間に配置し、その囲み空間をタスク領域とする空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱源一体型空調機は室外機に相当する熱源ユニットおよび室内機に相当する空調ユニットを一体にし、両ユニットを冷媒または水の伝熱媒体で流体接続して架台や台車に搭載する空調装置の一つである。この装置は設備用パッケージ型エアコンの一種であり移動可能なスポットエアコン装置として利用されている。そして、主に工場や物流倉庫のような高い天井の大きな部屋の局所空調に利用されており、作業環境の快適さや設備あるいは物品の保全性を与える周知の装置である。
【0003】
従来利用されている移動型や衝立型のスポットエアコン装置は、空調対象エリアに接する空調ユニット正面の上側あるいは床面に近い下側から対象エリアに向けて冷風あるいは温風を吹き出し、そして、空調ユニット正面の上部や下部または側面に還気口を設ける構造が多い。この際の空調負荷は空調対象エリアに対しエアコンの裏側すなわち背面や、あるいはこのエアコンに接する上面で処理される。ところが、スポットエアコンの周辺空間では空調対象エリアと非対象エリアの障壁がないので両方の空気が混流することになる。この対象/非対象エリアの空気が混在することで空調対象エリアの温度管理は難しくなり、ひいてはスポットエアコン装置の空調効率が上がらない原因の一つになる。
【0004】
ところで、建物内の大部屋の床面を小区画に間仕切る簡易衝立としてパーティションが利用されている。パーティションには天井まで届くハイパーティションもあるが、スチール・アルミ製より薄くて軽量のプラスチック製で、高さ1200mm~2000mmのローパーティションも室内の簡易区分けに使われている。
【0005】
ローパーティションの囲み空間は、底を床面として通気の無い下側エリアと大部屋全体に拡がる大空間に接して開放された上側エリアとで構成するが、この小さな囲み空間を局所空調することで省エネルギー化を図る手法が知られている。例えば、室内を衝立で小区画に分けて区画毎に床ダクトから直接吹き上げ、衝立や机を介した吹き出し、あるいは天井ダクトから小区画に向けた気流噴射の手段が一般的である。
【0006】
天井ダクトや床ダクトを利用する方法は建物の構造に関わる大掛かりな空調設備になるが、このローパーティション囲み空間に前述のスポットエアコン装置を置く空調は、必要に応じた最小限の空調のみならず、前述のような建物自体に設けた空調設備よりも簡易な設備である。すなわち、この方法は対象エリアを小さくして、少ない設備投資で低コスト且つ省エネルギー化に向く。また、アトリウム造りの大規模イベント会場のような利用形態が特定されない大空間の中においては、ローパーティション囲みの空調対象空間が形成できれば、利用価値も高く且つ省エネルギーに果たす役割も大きい。
【0007】
そこで、前述した従来のスポットエアコン装置をローパーティション囲み空間に単純に配置した場合、空調対象の正面エリアは給気口から直接噴射の気流感を受けるとしても温調空気は素早く感受できる。ところが、この単純な配置では熱源ユニットで処理された空気が、このパーティション囲み空間の中でスポットエアコン装置の後側から温調された正面エリア側に回り込み、正面エリアの温度管理を難しくしている。これは従来のスポットエアコン装置がパーティション囲み空間での利用を意図していないことによる。そこで、ローパーティションで小さな囲み空間を作りその範囲の空調で省エネルギー化を狙う場合、スポットエアコン装置とローパーティションとの単純な組み合わせではない新たな空調システムが望ましい。
【0008】
このような観点を考慮した例として、地下鉄のプラットホームのような大規模空間にパーティションを設けて小区画空間を作り、そこに熱源一体型空調機を備える特許文献1の技術が開示されている。この特許文献1は、地下空間の天井側で外気と連通するような高さのパーティションをプラットホームに設け、それと一体にした熱源一体型空調機をプラットホームに据え付けることで省エネルギー化を図っている。
【0009】
この特許文献1ではパーティション囲み空間の箇所数に合わせた空調機の数が必要になる。駅のように乗客がいる場合に空調機を稼動させる際はパーティションも必要であるから、パーティション囲みの夫々に空調機の配置が必要になる。しかしながら、工場のように建屋内に多くの設備を設置している所では、必要に応じた設置設備を稼動させるので空調機がパーティション囲み空間の全てに必要ということでもない。言い換えると、稼動する設備のあるパーティション区画の必要に応じた空調機があればよいことになる。
【0010】
そこで、スポットエアコン装置は必要なパーティション区画に移動できればよく、大規模空間を小分けしたパーティション区画のうち最大稼動区画数に合う台数があればよいことになる。通常、構造の簡易なローパーティションの設置は容易であるが、複雑構造のスポットエアコン装置は高価格になるので、空調機台数を少なくする一方、パーティションの区画数を多くすることで省エネルギーのみならず、設備投資額も抑えることができる。
【0011】
また、アトリウム造りの大規模イベント会場では、個別空調を必要とするブースのみならず、パーティションで区分けしても空調が不要なブースもあり、あるいは不必要なブースであっても一時的に空調機を必要とする場合もあるので、パーティションで区分けしたブースに適した可搬式パッケージ型エアコン装置があればそのニーズは高い。
【0012】
このようなニーズに適する従来技術としては特許文献2がある。これは大規模空間にパーティションを配置してその内側にパッケージ型エアコン装置である熱源一体型空調機を配置した例である。この空調機は、空調ユニットを下側、熱源ユニットを上側に搭載して、空調ユニットの前面下部の給気ダクトから床に向かって冷却風を吹き出すと共に、空調ユニットの上部にあって特にパーティションの上端近傍部高さの前面側に還気ダクトを設けた構造にしている。この構造で給気する冷却気流を低速度にすることで生成される温度成層をパーティションの囲み空間に形成すると共に、熱源ユニットをパーティションより高い位置に設けることは、パーティションの囲み空間の外で熱源ユニットの排熱ができる利便性がある。この例ではパーティションの囲み空間の成層空調を行うので、パーティションで小さなタスク空間にして負荷を軽くし、さらに成層空調の持つ省エネルギー性も併せて与えることができる。
【0013】
この特許文献2の技術のポイントは、パーティション囲み空間内の成層空気を形成することにあるが、この成層形成はパーティションの外側の影響を受けないようにして、静謐水平に移流を起こすように成層を微妙に生成する繊細な手法である。そして、特許文献2は、熱源ユニットの排熱処理のためにパーティション高さ以上の高い位置に熱源ユニットを配置することで、空調空気の乱れを防ぐ構成にしている。そこで、この熱源一体型空調機はパーティション高さを優に越える上下に伸ばした縦長の空調ユニットになり、その空調ユニットの上に熱源ユニットを搭載する背丈の高い構造になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開平9-60922号公報
【文献】特開2016-180535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、キャスター移動を前提にすると、熱源一体型空調機は重心を低くする方が安定する。すなわち、圧縮器を内蔵する重量のある熱源ユニットを低い構造配置にする方が移動に適しており安全である。
【0016】
さらに、特許文献2の成層空調は、対象とする囲み空間の空気の安定が必要になるが、ローパーティションは軽量簡易な構造であるがゆえに空気漏れなどで囲み空間周りの影響を受けやすい。そのうえ、多くのパーティション囲み小区画がある場合はそのパーティション構造が必ずしも一様でなく、個々のパーティション囲み毎で成層形成のできる空調条件が異なり、小区画毎に設定条件を定める煩雑な作業が必要になる。そこで、成層空調よりも空気管理の容易な混合空調の図れる温調気流を生成する熱源一体型空調機が移動に向く構造で構成できれば、簡易構造のローパーティションの囲み空間に適した空調設備になると言える。
【0017】
ところで、近年、空調対象空間の換気機能についても重視されている。特許文献2で開示された成層空気の形成手法は、温度管理した囲み空間内の空気を空調ユニット前面の還気口から還流する循環気流回路を形成するので省エネルギー化の効果が与えられるが、新鮮空気を導入する換気機能については考慮されていない。そのため昨今の新鮮空気を求めるニーズに対して、省エネルギー化機能を有し且つ換気機能に対しても対応可能な空調技術が強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は以上の観点で昨今のニーズに対応するものであり、
第1に、ローパーティションを用いて建物内の大部屋を小区画に区分けし、
第2に、空調空気の給気および還気を行う空調ユニットとヒートサイクルを作用させる熱源ユニットとを一体にして可搬台車に搭載し、熱源ユニットの重心をより低く且つ可搬台車の概ね中心にした熱源一体型空調機をその小区画内に移動可能に配置し、
第3に、そのパーティション囲み空間の中をタスク領域とし、パーティション囲み空間の外側をアンビエント領域とし、さらに、このタスク・アンビエント領域を詳細に特定し、
第4に、このタスク領域の平面的な範囲は、空調ユニットの給気吹出口を設けた正面側に当たる温度管理を要する空調対象メインエリアおよび空調ユニットの背面側に設けた還気吸込口に面した空調対象サブエリアを設け、
第5に、パーティション上端位置より低い位置に当たる給気吹出口の上端部と床面との間の高さ(h)、パーティション上端位置と床面との間の高さ(H)にして、この(h)~(H)の高さ間の空気層を境界層として、タスク領域の最上部の境界層はアンビエント領域と接する高さであり、
第6に、上記第4および第5で特定する範囲の空間に存する空気をタスク領域に相当する空調の対象領域とし、
第7に、アンビエント領域の平面的な範囲は、パーティション囲み空間の直上部に当たるパーティションの囲む写像範囲、およびパーティション側面の外側から建物の側壁までの間に当たる幅範囲若しくは他のパーティション側面までの間に当たる幅範囲であり、
第8に、アンビエント領域の立面的な範囲はパーティションを設置した大空間内にあってパーティション囲み空間の直上部から天井までの間の縦断面を構成する範囲およびパーティションの衝立外側に当る空間の床面から天井までの縦断面を構成する範囲であり、
第9に、上記第7および第8で特定する範囲の空間に存する空気をアンビエント領域に相当する空調の非対象領域とし、
第10に、空調ユニットの給気吹出口はその上端高さ(h)から床面の近くまで伸延する縦長で平面形状であり、この平面形状の給気吹出口から空調対象メインエリアに向けて一様な温度調整空気を給気して、
第11に、熱源ユニットの吸気はアンビエント領域に位置付けた吸気口を介してアンビエント領域から吸い込み、
第12に、熱源ユニットの排気は熱源ユニットの吸気口よりも高い上空のプルーム気流層に向けて吐き出し、
第13に、このメインエリアを循環する空気流は、(1)サブエリアにある還気吸込口に還流する省エネルギー化機能、(2)境界層を介してアンビエント領域に排出且つ(3)還気吸込口をアンビエント領域に位置付けてアンビエント領域から新鮮空気を導入する換気機能、あるいは、(4)サブエリアに面する還気吸込口を境界層近くに位置付けてアンビエント領域とタスク領域の混合空気を吸引する換気を含む省エネルギーの中間機能、以上(1)~(4)に対応し得るシステムを提供し、
第14に、タスク・アンビエント領域に亘る循環気流回路を生成するために給気風量を設定することで空調対象メインエリアの混合空調を行う、
上記第1~第14の特徴で構成するタスク空調システム及びその方法並びにその装置を提案する。
【0019】
作用効果の観点で説明すると、本発明は、パーティションで小さなタスク領域にした対象容積の小さな空調負荷の軽い空間において、パーティション囲み空間内で空気循環させる省エネルギーモード、パーティション囲み空間に新鮮空気を導入する換気モード、および、この換気と省エネルギーモードを兼ねる両モードの中間機能を有し、熱源一体型空調機とパーティションとの組み合わせでこれらのいずれの機能も選択可能であることを明らかにする。
【0020】
本発明の省エネルギーモードであるエネルギー消費を効率化する機能は、メインエリアの空気を混合空調した後にサブエリアにある空調ユニット還気吸込口に還流し、再び給気吹出口から空調対象メインエリアに向けて一様な水平層状な温調気流で吹き出し、メインエリアの混合空調層との循環気流回路を構成することで熱負荷を軽減する省エネルギーモードである。
【0021】
本発明の換気モードである新鮮空気をタスク領域に引き入れる機能は、アンビエント領域の空気を空調ユニット還気吸込口から導入し、大型で平面形状の給気吹出口から空調対象メインエリアに向けて一様な水平層状の温調気流を吹き出し、メインエリアを混合空調してからピストンフロー効果で再びアンビエント領域に排出する換気モードである。
【0022】
本発明の換気機能および省エネルギー化機能を兼ねる中間モードは、サブエリアに面する還気吸込口を境界層の近くに配置して混合空調層の上部エリアに位置付けることで、熱負荷の軽いメインエリアからの還気流と熱負荷の大きな新鮮空気との混合空気を還気吸込口に吸引し、給気吹出口から空調対象メインエリアに向けた一様な水平層状の温調気流で吹き出す空気が新鮮空気を含む循環空気とし、上記換気モードに比べて空調負荷が軽くなる換気を含む省エネルギー化モードである。
【0023】
以上の機能を与える本発明は、建屋内に設けられた大空間の一部にパーティションが床面に置かれて、このパーティションで囲まれた空間をタスク領域とする空調対象領域、および、前記タスク領域の上方天井側および側面に位置付けられ且つ前記タスク領域の周囲を囲む空間をアンビエント領域とする非空調対象領域があって、
圧縮機を備えた熱源ユニットと、この熱源ユニットと伝熱媒体を介した熱交換機能を備えた空調ユニットを前記熱源ユニットと一体に搭載し且つ前記床面に対して移動可能な熱源一体型空調機が有り、この熱源一体型空調機を前記タスク領域の内部に配置したタスク空調システムにおいて、
前記熱源一体型空調機が前記タスク領域内の床面を下にした状態で且つ前記タスク領域内据え置かれており、
前記空調ユニットの前側に設けた給気吹出口が対面する前記タスク領域内の空間をメインエリアとして、前記給気吹出口が温調空気を受け入れる前記メインエリアに対面して配置されており、そして、前記給気吹出口の後側に前記熱源ユニットを位置付けて、さらに、前記熱源ユニットの後側に当たる前記空調ユニットの背面に設けた還気吸込口が、前記タスク領域内で前記給気吹出口の後側に当たり且つ前記メインエリア以外の空間に当たるサブエリアに位置する、あるいはこのサブエリアの直上空間に当たる範囲の前記アンビエント領域に位置しており、
前記熱源ユニットへ送風する吸気開口部および前記熱源ユニットから排気する排気開口部が前記タスク領域から離れた直上部のアンビエント領域に位置するように、前記熱源ユニットを概ね覆うダクトカバーを前記タスク領域、および/または前記タスク領域から直上部のアンビエント領域に跨って設けて、
前記空調ユニットの前記背面に設けた前記還気吸込口の引き込み気流を、前記サブエリアから還流する省エネルギーモードまたは前記アンビエント領域から導入する換気モード、あるいは前記アンビエント領域と前記タスク領域との混合空気を吸引する換気を含む省エネルギー化中間モードのうち、少なくとも一つのモードを選択したことを特徴とするタスク空調システムを第1の発明とする。
【0024】
前記第1の発明に記載のタスク空調システムが、
(あ)前記省エネルギーモードが、前記メインエリアの空気を混合空調した後に前記サブエリアにある前記空調ユニットの還気吸込口に還流し、再び前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出し、前記メインエリアの前記混合空調を繰り返す空気循環であり、
(い)前記換気モードが、前記アンビエント領域の新鮮空気を前記空調ユニットの還気吸込口から導入且つ前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出し、そして、前記メインエリアを混合空調してから再び前記アンビエント領域に排出する空気循環であり、
(う)前記アンビエント領域と前記タスク領域との混合空気を吸引する前記中間モードが、前記サブエリアに面する還気吸込口を境界層の近くに配置して混合空調層の上部エリアに位置付けることで、熱負荷の軽いメインエリアからの還気流と熱負荷の大きな新鮮空気との混合空気を空調ユニットに吸引し、前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出す空気が新鮮空気を含む空気循環である、
上記(あ)、(い)、(う)のいずれか一つを含むタスク空調システムを第2の発明とする。
【0025】
本発明の主たる方法は、建屋内に設けられた大空間の一部にパーティションが床面に置かれて、このパーティションで囲まれた空間をタスク領域とする空調対象領域、および、前記タスク領域の上方天井側および側面に位置付けられ且つ前記タスク領域の周囲を囲む空間をアンビエント領域とする非空調対象領域があって、
圧縮機を備えた熱源ユニットと、この熱源ユニットと伝熱媒体を介した熱交換機能を備えた空調ユニットを前記熱源ユニットと一体に搭載し且つ前記床面に対して移動可能な熱源一体型空調機が有り、この熱源一体型空調機を前記タスク領域の内部に配置したタスク空調の方法において、
前記熱源一体型空調機が前記タスク領域内の床面を下にした状態で且つ前記タスク領域内に据え置くステップ、
前記空調ユニットの前側に設けた給気吹出口が対面する前記タスク領域内の空間をメインエリアとして、前記給気吹出口が温調空気を受け入れる前記メインエリアに対面して配置するステップ、
前記給気吹出口の後側に前記熱源ユニットを位置付けて、さらに、前記熱源ユニットの後側に当たる前記空調ユニットの背面に設けた還気吸込口を、前記タスク領域内で前記給気吹出口の後側に当たり且つ前記メインエリア以外の空間に当たるサブエリアに位置する、あるいはこのサブエリアの直上空間に当たる範囲の前記アンビエント領域に位置付けるステップ、
前記熱源ユニットへ送風する吸気開口部および前記熱源ユニットから排気する排気開口部が前記タスク領域から離れた直上部のアンビエント領域に位置するように、前記熱源ユニットを概ね覆うダクトカバーを前記タスク領域、および/または前記タスク領域から直上部のアンビエント領域に跨って設けるステップ、
前記空調ユニットの前記背面に設けた前記還気吸込口の引き込み気流を、前記サブエリアから還流する省エネルギーモードまたは前記アンビエント領域から導入する換気モード、あるいは前記アンビエント領域と前記タスク領域との混合空気を吸引する換気を含む省エネルギー化中間モードのうち、少なくとも一つのモードを選択したことを特徴とするタスク空調の方法を第3の発明とする。
【0026】
前記第3の発明に記載のタスク空調の方法が、
(ア)前記省エネルギーモードが、前記メインエリアの空気を混合空調した後に前記サブエリアにある前記空調ユニットの還気吸込口に還流し、再び前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出し、前記メインエリアの前記混合空調を繰り返す空気循環のステップ、
(イ)前記換気モードが、前記アンビエント領域の新鮮空気を前記空調ユニットの還気吸込口から導入且つ前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出し、そして、前記メインエリアを混合空調してから再び前記アンビエント領域に排出する空気循環のステップ、
(ウ)前記アンビエント領域と前記タスク領域との混合空気を吸引する前記中間モードが、前記サブエリアに面する還気吸込口を境界層の近くに配置して混合空調層の上部エリアに位置付けることで、熱負荷の軽いメインエリアからの還気流と熱負荷の大きな新鮮空気との混合空気を空調ユニットに吸引し、前記給気吹出口から前記メインエリアに吹き出す空気が新鮮空気を含む空気循環のステップ、
上記(ア)、(イ)、(ウ)のいずれか一つのステップを含むタスク空調の方法を第4の発明とする。
【0027】
本発明で用いる装置は、建屋内に設けられた大空間の一部にパーティションが床面に置かれて、このパーティションで囲まれた空間をタスク領域とする空調対象領域、および、前記タスク領域の上方天井側および側面に位置付けられ且つ前記タスク領域の周囲を囲む空間をアンビエント領域とする非空調対象領域があって、
圧縮機を備えた熱源ユニットと、この熱源ユニットと伝熱媒体を介した熱交換機能を備えた空調ユニットを前記熱源ユニットと一体に搭載し且つ前記床面に対して移動可能に前記タスク領域の内部に据え置き配置する熱源一体型空調機において、
前記空調ユニットの前側に設けた給気吹出口が対面する前記タスク領域内の空間をメインエリアとして、前記給気吹出口が温調空気を受け入れる前記メインエリアに対面して配置されており、そして、前記給気吹出口の後側に前記熱源ユニットを位置付けて、さらに、前記熱源ユニットの後側に当たる前記空調ユニットの背面に設けた還気吸込口が、前記タスク領域内で前記給気吹出口の後側に当たり且つ前記メインエリア以外の空間に当たるサブエリアに位置する、あるいはこのサブエリアの直上空間に当たる範囲の前記アンビエント領域に位置しており、
前記熱源ユニットへ送風する吸気開口部および前記熱源ユニットから排気する排気開口部が前記タスク領域から離れた直上部のアンビエント領域に位置するように、前記熱源ユニットを概ね覆うダクトカバーを前記タスク領域、および/または前記タスク領域から直上部のアンビエント領域に跨って設けており、
前記空調ユニットの前記背面に設けた前記還気吸込口の引き込み気流を、前記サブエリアからの還流する省エネルギーモードまたは前記アンビエント領域から導入する換気モード、あるいは前記アンビエント領域と前記タスク領域との混合空気を吸引する換気を含む省エネルギー化中間モードのうち、一つのモードで定まる前記還気吸込口の高さを有することを特徴とする熱源一体型空調機を第5の発明とする。
【0028】
この装置本体とパーティションとの相対高さ関係に着目した発明として、前記第5の発明に記載の熱源一体型空調機が、前記床面から前記給気吹出口または吹出空気の最上端部までの高さをhとして、前記床面から前記パーティションの最上端部までの高さをHとすると、h<Hの関係を有する熱源一体型空調機を第6の発明とする。
【発明の効果】
【0029】
第1の発明は、建屋内の大空間に設けた工場用製造ラインやオープンフロアのイベント会場などにおいて、そのラインの配置を変えることなく簡易的に間仕切り、あるいはイベントに応じて衝立で仕切られた小区画エリア毎に適した温度環境を提供する空調システムであり、特に、省エネルギーモードまた新鮮空気取入の換気モードへの切り替え、あるいは新鮮空気を導入しながら省エネルギーも考慮した中間モードを選択可能にする空調システムであるが、このパーティションの小区画化は、対象領域の熱負荷を少なくして、部屋全体の空調をする完全混合空調システムに比べて省エネルギーになることは当然として、さらに、本発明の空調システムは、空気の静謐さを求めない混合空調を採用しているので、従来の成層空調で必須の間仕切り気密性については成層空調方式よりも要求されず、パーティション外に空気の漏洩があるとしても熱負荷として処理する省エネルギー効果の高いシステムである。そして、この第1の発明は、従来技術では考慮していない換気機能も可能な上、新鮮空気を導入しながら空気循環も図れる換気・省エネルギー中間機能の選択も可能である。したがって、本発明の空調システムは省エネルギーのみならず設備の適切保全や利用者に快適性を与えることになり、そのうえ設備投資を最小限にした社会的ニーズの高い空調システムになる。
【0030】
第2の発明は第1の発明に係り、特に、(あ)省エネルギーモード、(い)換気モード、および、(う)アンビエント領域とタスク領域との混合空気を吸引する換気を含む換気モードと省エネルギーモードとを併合する中間モード、この3つのモード(あ)、(い)、(う)をより具体的に構成して第1の発明を実施する空調システムを提供できる。
【0031】
第3の発明は、建屋内の大空間に設けた工場用製造ラインやオープンフロアのイベント会場などにおいて、そのラインの配置を変えることなく簡易的に間仕切り、あるいはイベントに応じて衝立で仕切られた小区画エリア毎に適した温度環境を提供する空調方法であり、省エネルギーモードまた新鮮空気取入の換気モードへの切り替え、あるいは新鮮空気を導入しながら省エネルギーも考慮した中間モードも選択可能にする空調方法である。このパーティションでの小区画化は、対象領域の熱負荷は少なくして、部屋全体の空調をする完全混合空調方法に比べて省エネルギーになることは当然として、さらに、本発明の空調方法は、空気の静謐さを求めない混合空調を採用しているので、従来の成層空調で必須の間仕切り気密性については成層空調方式よりも要求されず、パーティション外に空気の漏洩があるとしても熱負荷として処理する省エネルギー効果の高い方法であり、そして、従来技術では考慮していない換気機能も可能な上、新鮮空気を導入しながら空気循環も図れる換気・省エネルギー中間機能の選択も可能である。したがって、本発明の空調方法は省エネルギーのみならず設備の適切保全や利用者に快適性を与えることになり、そのうえ設備投資を最小限にした社会的ニーズの高い空調方法になる。
【0032】
第4の発明は第3の発明に係り、特に、(ア)省エネルギーモード、(イ)換気モード、および、(ウ)アンビエント領域とタスク領域との混合空気を吸引する前記中間モード、この3つのモード(ア)、(イ)、(ウ)のより具体的な方法であり、第3の発明を実施する空調方法を提供できる。
【0033】
第5の発明は第1の発明あるいは第3の発明を実施する上で必須となる熱源一体型空調機をパーティションとの関係で特定して明らかにし、パーティション囲み空間内の省エネルギーモード、換気モードおよびその両モードの省エネルギー化中間モードとが選択的に実施できることも含めた熱源一体型空調機を提供できる。
【0034】
第6の発明は第5の発明に係り、特に、熱源一体型空調機に備える給気吹出口とパーティションとの関係をより具体的に特定した本発明の効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明のために準備する熱源一体型空調機の右側面図である。
【
図2】本発明のために準備する熱源一体型空調機の一部破断の正面図である。
【
図3】本発明のために準備する熱源一体型空調機の左側面図である。
【
図4】本発明のために準備する熱源一体型空調機の背面図である。
【
図5】本発明を実施するための空調機をパーティション囲み領域に配置した平面図である。
【
図6】本発明を実施するための空調機の右側側面図である。
【
図7】本発明で実施する省エネルギーモードを平面的に示す気流図である。
【
図8】本発明で実施する省エネルギーモードを側面的に示す気流図である。
【
図9】建屋内大空間に分布する気層を表す側面図である。
【
図10】本発明で実施する換気モードに好適な空調機の右側側面図である。
【
図11】本発明で実施する換気モードを側面的に示す気流図である。
【
図12】本発明で実施する換気モードを含めた省エネルギー化中間モードに好適な空調機の右側側面図である。
【
図13】本発明で実施する換気モードを含めた省エネルギー化中間モードを側面的に示す気流図である。
【
図14】本発明の換気モードを含める省エネルギー化中間モードでの実験データが混合空調特有のプロフィールを示すことを説明する図である。
【
図15】本発明の換気モードの他の実施例の平面的な説明図である。
【
図16】本発明の換気モードの他の実施例の側面的な説明図である。
【
図17】本発明の換気モードのさらに他の実施例の説明図である。
【
図18】熱源一体型空調機とパーティションとの関係をまとめた説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1~
図4は、本発明を実施する熱源一体型空調機のために準備する装置であり、送風路用のカバー部材を取り付ける前の基本構造を説明する図である。ここで、空調対象メインエリアに給気する給気吹出口を正面にして、
図1は右側面図、
図2は正面図、
図3は左側面図、
図4は背面図である。なお、
図2の正面図は前面に配置した給気吹出チャンバーの一部を省略して図示し、裏側に有る熱源ユニットの正面の一部を示すように給気吹出チャンバーの外形を二点鎖線で示した一部破断図である。
【0037】
<熱源一体型空調機の空調ユニット2と熱源ユニット3との位置関係>
本発明を実施するために準備する熱源一体型空調機1は、
図2の中央に十字クロスで図示する大型で平面型の給気吹出口10を空調ユニット2の前面に配置し、その給気吹出口10の後ろ側に熱源ユニット3を取り付ける。さらに、熱源ユニット3の後ろ側に空調ユニット2の還気吸込口15を設ける構造である。すなわち、この熱源一体型空調機1は、前後に伸びる空調ユニット2の前部と後部との間の略中央位置に熱源ユニット3を搭載する。以下にこの構造の詳細を説明するが、はじめに、この装置の基本構造を説明して、次に、パーティション内に配置して動作させるために取り付けたカバー構造を説明する。
【0038】
<本発明のために準備する空調機の基本構造>
熱源一体型空調機1は、大型の吹き出し面を取り付けて室内機の機能を持たせた空調ユニット2、および空調熱を処理する室外機の機能を持たせた熱源ユニット3を可搬台車4に搭載して固定してある。この可搬台車4は、板状に図示しているが山形鋼あるいは溝型鋼を四角い枠体として組付けた移動方向に長い長方形フレームであり、床面5で支える車輪付きキャスター6(6a、6b、6c、6d、6e、6f)を取り付けて移動可能である。この枠体は台車4の中央部分で上に延ばしたフレーム状の搭載用架台7を設ける。この搭載用架台7には熱源ユニット3を搭載して固定するので、重量のある熱源ユニット3を台車4のほぼ中央で直接支える。そして、熱源ユニット3は、大型の吹き出し面すなわち給気吹出口10と、これを装着した給気吹出チャンバー11の必要高さよりも床面5に近い低位置に下げて搭載用架台7に載置する。これらの構成部品のサイズ等は後述するが、この熱源一体型空調機1の重心は、タスク領域に面した給気吹出口10の上端高さ10aよりも低い位置に下げてあり且つ可搬台車4の略中央に位置しているので、安全に移動できる安定構造である。
【0039】
<熱源一体型空調機1の空調ユニット2の概略構造>
空調ユニット2は給気吹出口10、給気吹出チャンバー11、給気ダクト12、熱交換器部13、還気ダクト14、還気吸込口15を概ね横一列に並べ、送風ファン(図省略)を内蔵している。この構造で給気吹出口10がタスク領域8のメインエリアに対接して温調空気を吹き出し、背面に設けた還気吸込口15がサブエリアに接して空気を取り入れる。
【0040】
<空調ユニット2の給気吹出口と給気吹出チャンバー>
ところで、タスク領域8の混合空調を行うためには、この給気吹出口10から一様に水平拡散される空気を吹き出す必要がある。特に、パーティション囲み範囲の直上部を含む大空間のアンビエント領域9からの誘引を抑えるためには、拡散気流の内周誘引域の風量供給を考慮した水平吹き出しをする必要があるので、そのために給気吹出口10の構造は、多孔板を外面に置き、整流子を内面にしてその間に水平気流を吹き出すための水平気流調整ガイド(図省略)を設け、タスク領域8の高さ方向に長い縦長長方形の大型吹き出し口にする。言い換えると、この給気吹出口10は、タスク領域8の空気混合促進および大空間のアンビエント領域9からの混合抑制のために大きな給気吹出口且つ大きな風量を供給する大面積の平面状給気吹出口10が必要である。この給気吹出口10のサイズは、例えば凡そ400×1200 mmあるいは600×1500mmになる。このような給気吹出口10から一様な水平気流を吹き出すためには給気吹出チャンバー11を設けて、給気ダクト12から吹き出す気流方向を変え、気流速度を調整する必要がある。そこで、内部構造に工夫を施したので、給気吹出チャンバー11は給気吹出口10より一回り大きなサイズであり、一例では凡そ600×1900mmの直方筐体である。なお、
図2では後ろの熱源ユニット3の形状を示すために直方筐体の一部を破断11aして二点鎖線11bで示す。ところで、熱源一体型空調機1が換気モードや省エネルギーモードでの冷房動作時では、給気吹出口10から吹き出す気流を上記の水平吹き出しにするが、暖房動作時には調整板で風向きを床面5に向けることができる。
【0041】
<空調ユニット2のその他の構造>
熱交換器部13の内部には伝熱媒体を流通させる多数の伝熱管チューブやプレートを接続して並べる一般的な熱交換器の構造である。そして、この熱交換器部13の後ろ側、すなわち熱源一体型空調機1の背面に還気吸込口15を設ける。この還気吸込口15はタスク領域8あるいはアンビエント領域9からの空気を吸い込む。その還気吸込口15と給気吹出チャンバー11との間にはフィルターおよび送風ファン(図省略)および後述する熱源ユニット3の吸気・排気ダクトカバーを設けるスペースを得るために給気ダクト12、還気ダクト14を設けてある。そして、この還気吸込口15と給気吹出口10との間の水平長さは凡そ1600~1900mm以上にして、給気吹出口10の吹き出し気流が直接に還気吸込口15に流れ込むショートサーキットを発生させない十分に長い構造である。
【0042】
<熱源一体型空調機1の熱源ユニット3と操作パネル>
熱源ユニット3はコンプレッサー、四方弁、膨張弁、アキュームレータ等(図省略)のヒートポンプ要素を内蔵するヒートポンプ室16と、熱交換器室17と、このヒートポンプ室16・熱交換器室17とを区分けする内部仕切板18とを備え、熱交換器(図省略)、
図2の中央にクロスハッチで図示する正面吸気口19、
図1の中央にクロスハッチで図示する側面吸気口20、送風ファン21a、21b、ファンガード22a、22b、背面排気口23a、23bを設けてある。なお、図を省略するが正面吸気口から背面排気口の構造に代わりヒートポンプ・チラーおよび冷却塔・加熱塔構造の熱源ユニットに置き換える構造でもよい。そして、可搬台車4は複数のキャスター6a、6b、6c、6d、6e、6fを床側左右に配置してある。そこで、空調ユニット2と熱源ユニット3の間には熱源ユニット用搭載架台7を設けて熱源ユニット3を固定し、空調ユニット2と熱源ユニット3との間は伝熱媒体を流す配管(図省略)で接続する。さらに、その架台7の上には
図3の中央に図示する制御盤24および操作パネル25が取り付けてある。この操作パネル25は冷房・暖房切り替え、温度・風量・風速の設定を可能にする。
【0043】
<熱源ユニット3の重心と空調ユニット2の上端高さとの関係>
熱源ユニット3はコンプレッサー等のヒートポンプ要素を内蔵するので重量が有り、熱源一体型空調機1の重心に大きく影響する。本発明の対象とする工場等の大規模空間に設けたパーティション区画内に温調空気を給気する熱源一体型空調機では、熱源ユニット3が概ね150kg以上の重量(質量)は有り、この熱源一体型空調機1の重心を決める主要素である。熱源ユニット3の内部の下部にコンプレッサーを配置してあるので、
図3に示すような熱源ユニット3の丈高hnの中心高さhgより低く、搭載用架台7に近い高さに重心がある。すなわち、この空調ユニット2で必要とする縦長大面積の給気吹出口10よりも一回り大きな給気吹出チャンバー11の最上端部11cの高さhcよりも床面5に近づけた低い重心の熱源一体型空調機1になっている。このことは、従来技術で明らかにした室外機を室内機に上乗せする構造よりも重心を低くできる装置になる。そして、
図3に示すように可搬台車4の前後幅の略中央に重心が位置するので移動に安全な構造の熱源一体型空調機1にしてある。
【0044】
<空調ユニット2と熱源ユニット3との動作関係>
空調ユニット2と熱源ユニット3との間には伝熱媒体を流す配管(図省略)で接続して冷房・暖房の切り替えができる。伝熱媒体として水やフロン系冷媒があるが、ここではHFC(ハイドロフルオロカーボン)を使用し、以下、冷房時の空調ユニット2と熱源ユニット3との動作関係を説明するが、通常の冷凍サイクルの動作として理解してよい。なお、熱媒体としてはHFC以外、水も含めて各種あるがいずれにおいても利用可能である。
【0045】
<冷房時の熱源ユニット3および空調ユニット2の動作>
冷房モードで熱源一体型空調機1の運転が開始されると、熱源ユニット3で圧縮された高温・高圧気相冷媒は、四方弁を経由して放熱/凝縮機能部(図省略)に導入し、熱源ユニット3の正面吸気口19および側面吸気口20からアンビエント領域9の空気を吸込み、熱源ユニット3に内蔵した熱交換器(図省略)を通り、気相冷媒が凝縮する。そして、熱交換後の空気はファンガード22a、22bで保護する送風ファン21a、21bを介して背面排気口23a、23bから後述のプルーム気流層に排出する。一方、その凝縮した高圧の液相冷媒を減圧した低圧の気液二相冷媒は、空調ユニット2の熱交換器部13に導かれて、空気から熱を奪って蒸発して低温・低圧の気相冷媒に変化する。そこで、還気吸込口15から吸い込まれたタスク領域8やアンビエント領域9の空気を、液相冷媒の蒸発潜熱で冷やした冷風として、給気吹出チャンバー11を介して給気吹出口10からタスク領域8のメインエリアに向けて一様水平に吹き出す。そして、熱交換器部13を通った低温・低圧の気相冷媒は、四方弁およびアキュームレータ(図省略)に導かれて液相冷媒を分離した気相冷媒を再び圧縮機に吸い込むサイクルを繰り返す。
【0046】
<暖房時の熱源ユニット3および空調ユニット2の動作>
暖房モードで熱源一体型空調機1の運転が開始されると、四方弁が切り換わり、圧縮機で圧縮した高温・高圧の気相冷媒が四方弁を経由して冷房動作での運転とは逆方向に流れ、空調ユニット2の熱交換器部13が凝縮器として機能する。そして、熱交換器部13を通過する空気は気相冷媒との熱交換により加熱され、温風となって給気吹出チャンバー11を介して給気吹出口10からタスク領域のメインエリアの床面5に向け、風向ガイドで調整して吹き出す。
【0047】
<熱源一体型空調機1の重心位置>
熱源ユニット3は対象とするタスク領域の容積に応じて必要馬力が変わるのでその大きさや重量も各種あり得る。しかし、海外にある10万立方メートルを超えるような屋内アリーナで利用したとしてもパーティション区画空間を細かくすることで凡そ熱源一体型空調機の大きさは統一できる。実質的には、熱源一体型空調機1の台車部分4が前後方向で約1800~2200mm、幅方向で約1400mmの長方形の鋼製フレームとして
図1~
図4に示す形態で搭載可能である。実施例の
図3に示す熱源一体型空調機1は、平面として台車部分の幅1350mm、前後長さ1780mmである。また、高さとしては空調ユニット2で一番高い給気吹出チャンバー11の上端部11cが床面5から凡そhc=1960mm、一方、熱源ユニット3の上端部3aの高さが床面5から凡そhs=2600mmであり熱源ユニット3(丈高さ、hn=約1600mm)の真ん中の高さは凡そhg=1800mmになる。ところで、重量のあるコンプレッサー(図省略)が空調ユニット2の熱交換器部13に近い低位置にあるので、この装置の重心高さは
図3に示すような熱源ユニット3の丈高hnの真ん中の高さhgより、実質のところ低い。そこで、熱源一体型空調機1の重心高さは、給気吹出チャンバー11の最上端部11cの高さhcよりも床面5に近づく低重心であり、給気吹出チャンバー11の丈高さhcよりも低い低重心の熱源一体型空調機1になる。このことは、室外機を室内機に上乗せする従来技術の熱源一体型空調機の構造よりも低重心であり、その上、
図3に示すように可搬台車4の前後幅の略中央にその重心が位置するので、実施例に適用する熱源一体型空調機1は安定移動する安全構造である。
【0048】
<本発明に適用するパーティション>
図5はこのシステムに適用するためにこの熱源一体型空調機の一部を変更したうえで建屋内の大空間に据え置いて天井側から床面を見た平面図である。この
図5ではドアや窓、ルーフトップファン等を省略して図示しているが、それらを設けた建屋壁26の床面5には、パーティション27を据え付けたパーティション囲み空間28がある。このパーティションの囲み空間28は、厚さ0.1mm高さ2.1mのポリエチレン製シートで床に達するようにして、7.2×8.9mの面積64平方メートル四方に吊るし、衝立支柱として高さ2.1m、幅約1mの樹脂製化粧板を約1~2m間隔で四方に並べて簡易に作れるので周囲の四方外側域29との断熱性は低い。
【0049】
<熱源一体型空調機の配置位置>
熱源一体型空調機の一部変更は後述するダクトカバーを取り付けることで熱源ユニット3の専用空気流路を作ることにある。このダクトカバーを取り付けた熱源一体型空調機30は、例えば、
図5に示すパーティション囲み空間28の角隅に配置する。ここで、空調ユニット2の給気吹出口10の前面は、空調対象のタスク領域8のうち温度管理が必要なメインエリア37に向けて配置する。この給気吹出口10から吹き出す温調空気はメインエリア37でまず受け入れ、
図5中の破線35で示す給気吹出口10を含める平面位置の図中右上側、すなわち、矢印36側が給気する一様な層状気流の流れ込むメインエリア37である。逆に、矢印38側が還気流の流れるサブエリア39になる。そこで、空調ユニット2の還気吸込口15は、パーティション囲み空間28に含まれるタスク領域8であるが温度管理が厳しくないサブエリア39に配置される。給気吹出口10から吹き出された温調空気はパーティション囲み空間28を回流して還気吸込口15に戻るが、還気吸込口15と給気吹出口10との間の長さがあるのでショートサーキットの発生はない。なお、この
図5では本発明に適用する熱源一体型空調機30をパーティション囲み空間28の図中左下の角隅に配置してあるが、実施に際してはこの位置にとらわれるものではない。
【0050】
<本発明のシステムに適用するダクトカバー付き熱源一体型空調機>
図1~
図4に示す本発明のために準備する空調機は、タスク領域8の温度管理を徹底するために熱源ユニット3の空気流がタスク領域8への混入を防ぐ必要がある。そこで、パーティション囲み空間にこの装置を据え置く前に、熱源ユニット用ダクトカバーを
図6に示すように熱源ユニット3の側面を概ね囲むように取り付ける。このダクトカバー付きの熱源一体型空調機30は、熱源ユニット3の吸気および排気の専用流路を設けている以外、
図1~
図4で説明した通りの空調ユニット2および熱源ユニット3である。すなわち、可搬台車4に空調ユニット2の給気吹出口10、給気吹出チャンバー11、給気ダクト12、熱交換器部13、還気ダクト14、還気吸込口15の夫々を前面から背面にかけて配列し、空調ユニット2の直上に熱源ユニット3を位置付けている。本発明のシステムに組み込むための熱源一体型空調機30は、熱源ユニット3の正面吸気口19と側面吸気口20を覆う吸気ダクトカバー31、および熱源ユニット3の背面排気口23a、23bを覆う排気ダクトカバー32を取り付けた従来にない構造である。この吸気ダクトカバー31は熱源ユニット3の側面を取り囲むように設けてあるので、吸気開口部33は上部にある。また、排気ダクトカバー32は熱源ユニット3の背面排気口23a、23bの後ろ側を取り囲み、上に向けて排熱するための排気開口部34が設けてある。ここで、吸気開口部33の開口面積は500mm×1100mmであり、排気開口部34の開口面積は500~650mm×900mmである。この吸気開口部33と排気開口部34とは、熱源ユニット3の上端部3aからそれぞれ凡そ100mmおよび500mmほど高くしてあるが、後述のプルーム気流層に排熱できればよいので、吸気開口部33の高さhaと排気開口部34の高さhwとは、概ねha≦hwの関係であればよい。そこで、排気開口部34は床面5から高くてもhw=約3100mm程度である。なお、吸気開口部33は熱源ユニット3の直上部に位置する。そして、排気開口部34は吸気開口部33から200~300mmほど斜め後方に離して示しているが、これについてもこの形状にとらわれるものではない。
【0051】
<省エネルギーモードの実施例>
図7は、本発明で使用するダクトカバー付きの熱源一体型空調機30をパーティション囲み空間28に配置し、省エネルギーモードで稼動した場合のタスク領域8の冷房気流を矢印で平面的に示し、給気吹出口10を含めた平面35で境目になるメインエリア37からサブエリア39への流れ図である。同様に、
図8は
図7のA-A矢視を側面的に見た気流を矢印で示す図である。なお、
図9はその際の建屋内大空間に分布する気層を表している。
【0052】
<省エネルギーモードの気流と大空間の気層>
ここで、給気吹出口10から一様な層状で冷却した水平拡散気流40は、比重の大きさに従い床面5に向け除々に下がりながらメインエリア37に拡がるが、パーティション27で遮られて回流41しながらサブエリア39に還流42する。この水平拡散気流40と還流42はタスク領域8の中に混合空調層43を生成する。ところで、パーティション囲み空間28の上部には室内上部に向かい温度成層44が生成されているので、温度成層44と接する面45および混合空調層43と接する面46を夫々上・下面にして、温度成層44と混合空調層43との間には境界層47が作られる。この境界層47はその上層の温度成層44や下層の混合空調層43から移流や誘引を受けるが、発明者はこの境界層47の上・下面45、46がパーティション27の上端部27aの成す平面および給気吹出口上端部10aの成す平面の夫々に対応していることを見出した。そして、パーティション27の高さhpと給気吹出口10の高さhに着目し、hpをhより高くすることが安定な境界層47になり、その差(hp-h)を300mm以上、好ましくは600mmにすると混合空調層43を安定にする知見を得た。そこで、実質的なタスク領域8は混合空調層43を形成するメインエリア37およびサブエリア39が主なエリアになり、境界層47の直上に当たる温度成層44はタスク領域8と異なるアンビエント領域9になる。
【0053】
<熱源ユニット3の吸気と排気>
この混合空調層43および境界層47の上層は温度成層44になるが、熱源ユニット3の排気開口部34から処理熱が排気噴流48としてプルーム気流層49に放出される。このプルーム気流層49が天井部分の外気ファン(図省略)で排出されるとしても、他の熱と共に攪拌されて高温滞留層51を形成する。熱源ユニット3の排気は送風ファン21a、21bで強制吹き出しをするので排気噴流48がプルーム気流層49を生成することになるが、排気開口部34より低い高さにある吸気開口部33は、プルーム気流層49や高温滞留層51より下層の温度成層44から一方向吸込流52を引き込む。この一方向吸込流52は、熱源ユニット3の熱交換器(図省略)で熱交換後、排気噴流49として排出される。すなわち、熱源ユニット3の側面を概ね取り囲む吸気・排気ダクトカバー31、32は、プルーム気流層49や温度成層44に至るまで風路を伸ばしてある。そこで、熱源ユニット3の吸気流および排気流は、タスク領域のメインエリア37、サブエリア39、境界層47に在る空気と混合しない。なお、排気開口部は吸気開口部より高くすることが望ましいが、排気開口部の排気流を指向性の有る吹出し噴流とし、吸気開口部の吸気流を指向性のない一様な吸込流にして、この気流特性の違いを利用することで排気開口部と吸気開口部とは同じ高さで構成することも可能である。
【0054】
<パーティションの外側域層>
また、パーティション27の側面に当たる外側域29は、建物壁26のペリメータゾーン53と冷房時の冷えたパーティション27から伝熱する熱移動ゾーン54との影響で温度成層を形成あるいは外気流の混在する攪拌層が形成される。しかし、パーティション囲み空間28に影響を与えないように給気吹出口10の水平拡散気流40の風量・温度を調整して混合空調層43を形成するので、このパーティションの外側域29はタスク領域としては見なされず、アンビエント領域9に含まれるとしてよい。
【0055】
<省エネルギーモードの暖房>
図6に示すダクトカバー付き熱源一体型空調機30は
図5に示す位置に置いた状態で省エネルギーモードの暖房も可能である。暖房時は給気吹出口10の一様な層状気流が床面5に向かうように調整板を使い、操作パネルで熱源ユニット3および空調ユニット2を暖房動作に設定することで四方弁を切り換えて暖房動作の運転にする。給気吹出口10から吹き出された温調空気は、床面5に沿って前方に流れると共にパーティション直上の温度成層44から下がる比重の大きな空気を巻き込みながら攪拌して混合空調層43を形成し、冷房動作時と同様に空調ユニット2の還気吸込口15に還気する。
【0056】
<換気モードに好適な熱源一体型空調機>
換気モードでは前述したダクトカバー付きの熱源一体型空調機30の一部を調整した装置がより好適である。前述
図6に示すダクトカバー付きの熱源一体型空調機30の背面部に当たる空調ユニット2の還気吸込口15に還気ダクトカバー55を取り付ける。
図10は還気吸込口15aの高さを変えた換気モードに好適な熱源一体型空調機57であり、この還気ダクトカバー55の床面5からの高さhvは概ね吸気ダクトカバー31の床面5からの高さhaと同じであり、給気吹出口10から還気ダクトカバー55の背面までの長さLsは略2200mmである。そこで、この熱源一体型空調機57の空調ユニット2の還気は、
図11に示すように、熱源ユニット3の吸気開口部33で吸い込む一方向吸込流52と同じ温度成層44の空気層から吸い込む新鮮空気になる。この熱源一体型空調機57は還気吸込口15aが異なる以外、
図6に示す熱源一体型空調機30と同じである。
【0057】
<換気モードの実施例>
換気モードでは給気吹出口10から吹き出す一様な層状の水平拡散気流40が、比重の大きさに従い床面5に向け除々に下がりながらメインエリア37に拡がるのは、省エネルギーモードの場合と同じである。しかし、パーティション27で遮られた回流空気流58はタスク領域8の中に混合空調層43を生成後、パーティション囲み空間28の直上に当たるアンビエント領域9にピストンフローのような押出空気59になる。これは熱源一体型空調機57の還気吸込口15aが省エネルギーモードのような低い位置でなく高いアンビエント領域9に位置することで、省エネルギーモードと異なる挙動を現す。給気吹出口10から吹き出す空気40は還気吸込口15aの吸い込み流であり、その吸込み空気60はサブエリア39の直上部に当たるアンビエント領域9から吸い込まれる。そこで、換気モードでは新鮮空気をメインエリア37に吹き込み、タスク領域8の空気が入れ換えられる。
【0058】
<中間モードに好適な熱源一体型空調機>
中間モードでは前述した前述の換気モードに適した熱源一体型空調機57と同様にダクトカバー付きの熱源一体型空調機30の一部を調整した装置がより好適である。前述
図6に示すダクトカバー付きの熱源一体型空調機30の背面部に当たる空調ユニット2の還気吸込口15に還気ダクトカバー61を取り付ける。
図12は還気吸込口15bの高さを変えて中間モードに好適な熱源一体型空調機62を示すが、この熱源一体型空調機62は還気吸込口15bの高さが異なる以外、
図6に示す熱源一体型空調機30と同じである。この還気ダクトカバー61の床面5からの高さhmは、吸気ダクトカバー31の床面5からの高さhaより低く、且つ、省エネルギーモードに用いる還気吸込口15の高さhb(
図3)より高く、給気吹出口10の上端部10aの高さhに近い。
【0059】
<還気ダクトカバーの共通化>
ところで、上記の
図6、
図10、
図12では還気吸込口15、15a、15bの高さ(hb、hv、hm)がそれぞれ異なる。しかしながら、そのため異なる還気ダクトカバーを準備する必要はない。たとえば、共通の還気ダクトカバーは、一番高い還気ダクトカバー55の中間高さhmに切替弁と空気取入窓を設けたカバーを用いればよく、換気モードや中間モードで同じカバーを利用できる。また各高さに応じた還気吸込口を3か所設けたカバーを取り付ける構造であれば、モード毎に取り替える必要はない。
【0060】
<中間モードの実施例>
図13は、本発明の中間モードに好適な熱源一体型空調機62をパーティション囲み空間28に配置し、この中間モードで稼動した場合のタスク領域8およびアンビエント領域9の気流を矢印で側面的に示した流れ図である。この中間モードでは給気吹出口10から吹き出す一様な層状の水平拡散気流40が、前述の省エネルギーモードの場合と同様にメインエリア37に拡がる。しかし、パーティション27で遮られた混合空調の空気流63は、タスク領域8の中に混合空調層43を生成後、境界層47近くにある還気吸込口15bがサブエリア39に流れる還流64およびその直上部に当たるアンビエント領域9からの新鮮空気の混合空気65を吸い込む。そこで、アンビエント領域9からの導入空気量に相当する空気量66がタスク領域8からアンビエント領域9に溢れ出ることになる。さらに説明を加えると、省エネルギーモードのような低い位置や換気モードの高い還気吸込口15aと異なり、熱源一体型空調機62の還気吸込口15bが境界層47に近い高さにあるので、還気吸込口15bがタスク領域8のサブエリアからの還流64とアンビエント領域9との混合空気65を吸引することになる。そこで、アンビエント領域9から入る新鮮空気量に見合う分が混合空調の空気流63からの溢れ分空気66となり、省エネルギーモードや換気モードとは異なる挙動になる。
【0061】
<中間モードでの温度検証の必要性>
給気吹出口10から吹出す空気はアンビエント領域9にある還気吸込口15bから吸い込まれるので、還流64との混合空気65はサブエリア39の直上部に当たるアンビエント領域9からの引き込み分も含んでいる。そこで、この中間モードでは新鮮空気が含まれる分、軽負荷の省エネルギーモードよりも熱負荷が増える。一方、換気モードではパーティション囲み空間28内の空気を短時間で迅速に新鮮空気に入れ替える必要があるので、一時的な消費電力やタスク空間での温度変化は許容されるが、中間モードでは常にアンビエント領域から新鮮空気を導入することになり温度管理に難しさが生まれる。そこで、このような負荷が増えたモードであっても温度管理も含めた本発明が実現可能であることの検証が必要である。
【0062】
<中間モードでの温調検証実験>
この検証はパーティション囲み空間の温度分布の測定を行ない、混合空調層がタスク領域で形成されていることで確認できる。表1にこの検証実験の諸元をまとめて示す。空調対象とするパーティション囲み空間は、ポリエチレン製透明シートで、面積560平方メートルの四方を高さ2.1メートルで囲い、樹脂性化粧板で支え、床面との接合は行わずシートを吊るした成り行き状態とし、天井高さ4.4m~6.6mの室内容積2420立方メートルの大部屋中央に設けた。室内温度はパーティション高さで35.0℃である。
使用した熱源ユニットは設備用エアコンとして比較的中型の8馬力相当のパッケージエアコンを使用し、空調ユニットは縦長平面型の開口面(高さ1200mm、幅400mm)を持つ多孔板+水平気流調整ガイド付きの給気吹出口および長方形背面還気口(幅940mm、丈370mm)とし、
図12に示す構造の熱源一体型空調機を準備する。
【0063】
<中間モードでの実験データ>
実験は、パーティション囲み空間28の角隅に
図12に示す熱源一体型空調機を配置して、13.3℃の冷房空気を一様な水平層状の温調気流として給気吹出口から対向する角隅に向けて吹き出し、囲み空間内で2.5メートル平面マトリックス状に配置した9本の垂直温度分布温度計(床上0.6m、1.1m、1.7m毎に垂直温度を計る)で計測した。
図14の黒塗丸印のデータプロフィール70は9本の垂直温度分布の計測平均値を横軸、上下方向高さを縦軸でプロットした温度分布である。この実験の給気条件は、周囲環境温度35.0℃、給気吹き出し温度13.3℃、その差21.7℃、吹き出し面風速2.3メートル/秒、風量3600CMHとすることで、結果として上下温度差dT=3.5℃が得られることを確認できた。この温度プロフィールは国際標準化機構ISO7730の指標値である居住域の上下温度差3℃に近く、実用上許容できる範囲である。また、この実験の過程で、この熱源一体型空調機の動作範囲として、吹き出し面風速1~1.5メートル/秒、風量とパーティション囲み空間の換気回数9回以上、望ましくは14~21回/hとすることで実用化でき、あるいは、建付け不十分で気密性がないパーティション構造であるとしても、概ね31回/hであれば実用上許容できる仕様が得られることを見出している。
【0064】
<実験結果の考察>
図14で得られた黒丸印の温度プロフィール70は概ね垂直に近いが、対照として破線71は本発明システムを適用しない場合の垂直温度分布を示す。この破線71の床面近くの温度72は13.3℃、パーティション上端位置の温度73で35.0℃であるから、この破線71は温度成層を形成した温度傾斜の緩いプロフィールである。この破線71の傾きに対して急峻角度を示す本発明の実験データは混合空調特有のプロフィールを示している。したがって、この実験から本発明の空調システムは、パーティション囲み空間のタスク領域を混合空調で温調管理していることが明らかである。また、給気吹出口の面風速は成層空調のような超低速でなく、爽快感の得られる微風1~2.3メートル/秒で混合空調になることも判明した。これは工場内で通常使用されている汎用局所冷房装置のようなジェット噴射気流でなくとも混合空調が得られることになる。これも大型の平面型給気吹出口10を採用した本発明の熱源一体型空調機で得られる効果の一つである。
【0065】
<中間モードの暖房>
図12に示すダクトカバー付き熱源一体型空調機62を
図13に示す位置に置いた状態で中間モードの暖房も可能である。暖房時は省エネルギーモードと同様に給気吹出口10の一様な層状気流を床面5に向けると共に、操作パネルで熱源ユニット3および空調ユニット2を暖房動作に設定することで四方弁を切り換えて暖房動作の運転にできる。給気吹出口10から吹き出された暖房空気は、床面5に沿って前方に流れると共にパーティション直上の温度成層44から比重の大きな空気で押されてタスク領域で還流し、混合空調層43を形成しながら、冷房動作時と同様に空調ユニット2の還気吸込口15bに還気する。
【0066】
<特殊な実施例で省エネルギーモードに適した装置が換気モードに代わる例>
パーティション27と組み合わせるとさらに別の応用例が実施できる。
図15はその平面、
図16はその側面の気流を示す図である。すでにダクトカバー付きの熱源一体型空調機30を用いて省エネルギーモードを説明しているが、同じ熱源一体型空調機30を用いて換気モードを構成できる。それはパーティション27のうちサブエリア39のパーティション80を開放した状態にする例である。熱源一体型空調機30は空調ユニット2の還気吸込口15がサブエリア39に在り、その近くにある回転自在ヒンジ81で開かれたパーティション80を開放、あるいは単純に外し、還気吸込口15の吸引力でアンビエント領域9から新鮮空気の流入82が起こる。幾分の還流42は残るが新鮮空気流入82が換気モードを引き起こし、押出空気59を生成する。この組合わせでは、前述の省エネルギーモードで利用した熱源一体型空調機30がパーティション27との組み合わせの仕方で換気モードに代わることになる。すなわち、本発明で用いる熱源一体型空調機30はいずれのモードも構成可能な優れた装置である。
【0067】
<特殊の実施例であり高速換気できる清掃換気モード>
パーティション27との組み合わせを検討すると例えば
図10に示す換気モードに適した使用した熱源一体型空調機57はさらに清浄効果を高める換気モードの熱源一体型空調機として利用可能になる。
図17は開かれたパーティション80でパーティション囲み空間28内から低温空気が床面5を這ってアンビエント領域9に浸入するが、それに伴い換気流84がタスク領域8に流入する。一方、還気吸込口15aは強制的にアンビエント領域9から吸引し続けているので、タスク領域8の床面5に近い空気流が開かれたパーティション80から送出されるので、結果として床面5付近に漂う塵埃は強制的に開かれたパーティション80から排出されることになる。したがって、換気モードに適した使用した熱源一体型空調機57と開かれたパーティション80との組合わせは床面5付近に漂う塵埃を強制排除する清掃換気モードを作ることになり、このモードで床面5付近に漂う塵埃を高速排除できる。
【0068】
<本発明のまとめ>
本発明は、(1)一様層状の温調空気をタスク領域のメインエリアに向けて吹き出す大型で平面形状の給気吹出口を具えた空調ユニットと、(2)タスク領域上方のアンビエント領域で吸入排気を行う熱源ユニットとを備え、(3)この空調ユニットがタスク領域のサブエリアあるいはアンビエント領域からタスク領域の混合空調後に還流する空気を吸い込む還気吸込口を背面に設け、(4)熱源ユニットが(1)と(3)の間に位置して搭載された熱源一体型空調機をパーティション囲み空間に配置し、(5)還気吸込口が省エネルギーモードや換気モードあるいは換気を含む省エネルギー化中間モードを機能させるタスク空調システムであり、この(1)~(5)を作業ステップとしたタスク空調方法およびパーティション囲み空間に配置する熱源一体型空調機である。
図18はこの機能との関係をまとめたものである。この
図18では3種類の熱源一体型空調機として図示しているが、形状の異なる還気吸込口の構造が一つの形態に統一できることは前述のとおりであり、これらの熱源一体型空調機は同じ形状にしても本発明に適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1、30、57、62・・・熱源一体型空調機、
2・・・空調ユニット、
3・・・熱源ユニット、
3a・・・熱源ユニットの上端部、
4・・・可搬台車、
5・・・床面、
7・・・搭載用架台、
8・・・タスク領域、
9・・・アンビエント領域、
10・・・空調ユニットの給気吹出口、
10a・・・給気吹出口の上端部、
11・・・空調ユニットの給気吹出チャンバー、
12・・・空調ユニットの給気ダクト、
13・・・空調ユニットの熱交換器部、
14・・・空調ユニットの還気ダクト、
15、15a、15b・・・空調ユニットの還気吸込口、
16・・・ヒートポンプ室、
17・・・熱交換器室、
18・・・内部仕切板、
19・・・熱源ユニットの正面吸気口、
20・・・熱源ユニットの側面吸気口、
21a、21b・・・熱源ユニットの送風ファン、
22a、22b・・・熱源ユニットのファンガード、
23a、23b・・・熱源ユニットの背面排気口、
24・・・制御盤、
25・・・操作パネル、
26・・・建屋壁、
27・・・パーティション、
27a・・・パーティションの上端部、
28・・・パーティション囲み空間、
29・・・パーティション囲み空間の外側域、
31・・・正面吸気口と側面吸気口を覆う吸気ダクトカバー、
32・・・熱源ユニットの排気口を覆う排気ダクトカバー、
33・・・熱源ユニットの吸気開口部、
34・・・熱源ユニットの排気口の排気開口部、
35・・・給気吹出口を含める平面位置を示す線、
37・・・一様な層状気流が流れ込むメインエリア、
39・・・還気流の流れるサブエリア、
40・・・一様な層状の水平拡散気流、
41・・・タスク領域内の回流、
42・・・タスク領域内の還流、
43・・・混合空調層、
44・・・温度成層、
47・・・境界層、
48・・・排気噴流、
49・・・プルーム気流層、
50・・・天井、
51・・・高温滞留層、
52・・・一方向吸込流、
53・・・建物壁26のペリメータゾーン、
54・・・パーティションから伝熱する熱移動ゾーン、
55、61・・・還気ダクトカバー、
58・・・回流空気流、
59・・・押出空気、
60・・・吸込み空気流、
63・・・混合空調の空気流、
64・・・還流、
65・・・新鮮空気の混合空気、
66・・・溢れ空気、
70・・・垂直温度プロフィール、
73・・・パーティション上端位置の温度、
80・・・開かれたパーティション、
82・・・流入する新鮮空気、
83・・・流出する低温空気、
【要約】
【課題】パーティション囲み空間をタスク領域にした空調システムを提供する。
【解決手段】空調ユニットおよび熱源ユニットが一体の空調機をパーティション囲み空間内に配置する。空調ユニットはその前面に給気吹出口、背面に還気吸込口、その間に熱交換器部を配置して、熱交換器部の上に熱源ユニットおよび熱源ユニットを覆う吸気・排気ダクトカバーを構成する。この吸気・排気ダクトカバーはタスク領域からアンビエント領域に伸延して吸気・排気開口部をタスク領域から離れた直上部に位置付ける。還気吸込口をタスク領域、アンビエント領域、その中間領域を選ぶように還気ダクトカバーを選定することで、省エネルギーモード、換気モード、換気を含む省エネルギー化中間モードのいずれの空調モードでも対応できるタスク空調システムを提供する。
【選択図】
図18