(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】破損防止グリッド機能を有する結晶シリコン太陽電池の正極
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20230116BHJP
【FI】
H01L31/04 262
(21)【出願番号】P 2021503890
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(86)【国際出願番号】 CN2019097297
(87)【国際公開番号】W WO2020020158
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】201810816451.0
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517358085
【氏名又は名称】浙江愛旭太陽能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG AIKO SOLAR ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.655, Haopai Road, Suxi Town, Yiwu City, Zhejiang Province, 322009, China
(73)【特許権者】
【識別番号】517309423
【氏名又は名称】広東愛旭科技有限公司
【住所又は居所原語表記】No.3, South Qili Avenue, Leping Town, Sanshui District, Foshan, Guangdong, 528000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】林 綱正
(72)【発明者】
【氏名】豊 明璋
(72)【発明者】
【氏名】方 結彬
(72)【発明者】
【氏名】陳 剛
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-156459(JP,A)
【文献】特開2009-272405(JP,A)
【文献】国際公開第2017/168474(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/076861(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0162722(US,A1)
【文献】中国実用新案第206907780(CN,U)
【文献】中国実用新案第203232876(CN,U)
【文献】中国実用新案第203932074(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/0224
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極バスバー(1)、正極グリッド(2)及び
印刷時に前記正極グリッドが破損することを防止する破損防止グリッド構造(3)を含む正極を備え、前記正極グリッド(2)と前記破損防止グリッド構造(3)とは一体に印刷されて成形されており、前記破損防止グリッド構造(3)における前記正極バスバー(1)と前記正極グリッド(2)との間の部分は、少なくとも1つのくり抜き溝(4)を含
み、
前記破損防止グリッド構造(3)は八角形であり、前記八角形は、中央に位置する矩形グリッドセグメント(31)と、前記矩形グリッドセグメント(31)の両側に位置し且つ前記矩形グリッドセグメント(31)を中心として対称的に設けられる二つの等脚台形グリッドセグメント(32)とを含み、前記矩形グリッドセグメント(31)は前記正極バスバー(1)に跨り、前記矩形グリッドセグメント(31)の左右両端は前記正極バスバー(1)の外にはみ出し、はみ出されたグリッドセグメントは、矩形の延出される破損防止グリッドセグメント(311)であり、前記等脚台形グリッドセグメント(32)の両端は、それぞれ前記延出される破損防止グリッドセグメント(311)と前記正極グリッド(2)に接触し、前記等脚台形グリッドセグメント(32)は、前記正極バスバー(1)から前記正極グリッド(2)に向かう方向に断面が漸減するテーパ状のグリッドセグメントであり、前記くり抜き溝(4)は、前記等脚台形グリッドセグメント(32)内のみに位置する、結晶シリコン太陽電池。
【請求項2】
前記少なくとも1つのくり抜き溝(4)は、前記正極グリッド(2)の長さ方向に配列されている、請求項1に記載の結晶シリコン太陽電池。
【請求項3】
前記少なくとも1つのくり抜き溝(4)は、前記正極グリッド(2)の長さ方向に垂直な方向に配列されている、請求項1に記載の結晶シリコン太陽電池。
【請求項4】
前記破損防止グリッド構造(3)の全長(L1)は1~4mmである、請求項1に記載の結晶シリコン太陽電池。
【請求項5】
前記延出される破損防止グリッドセグメント(311)の幅(W1)は、前記矩形グリッドセグメント(31)の幅と同じであり、0.062~0.520mmであり、前記延出される破損防止グリッドセグメント(311)の長さ(L2)は0.016~0.026mmである、請求項
1に記載の結晶シリコン太陽電池。
【請求項6】
前記等脚台形グリッドセグメント(32)における前記延出される破損防止グリッドセグメント(311)に接触する端部の幅は、前記延出される破損防止グリッドセグメント(311)の幅と同じであり、前記等脚台形グリッドセグメント(32)における前記正極グリッド(2)に接触する端部の幅(W2)は、前記正極グリッド(2)の幅と同じであり、0.015~0.050mmである、請求項
1に記載の結晶シリコン太陽電池。
【請求項7】
前記くり抜き溝(4)は、矩形又は円形である、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の結晶シリコン太陽電池。
【請求項8】
前記矩形の長さ及び幅は、0.028~0.078mmの範囲から選択され、前記円形の直径は、0.028~0.078mmであり、前記くり抜き溝(4)の中心と前記正極バスバー(1)の縁との間の距離は、0.033~0.068mmである、請求項
7に記載の結晶シリコン太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池構造に関し、特に破損防止グリッド機能を有する結晶シリコン太陽電池の正極に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶シリコン太陽電池の正極の設計には、バスバーと、バスバーに垂直なグリッドとが含まれ、グリッド線の作用は、光生成電流をバスバー線に収集するためである。印刷時にグリッド線に破損や誤印刷が発生すると、光生成電流の収集に影響を与え、電池効率に影響を与えてしまう。グリッドが破損したセルピースでモジュールを製造する場合、破損したグリッドにおいて、局所的に発熱するホットスポット現象が発生し、モジュールの寿命に影響を与えてしまう。
【0003】
太陽電池の印刷時にグリッド破損が発生する原因は様々である。スクリーンのパラメータが正しく設定されないこと、スクリーン印刷版の線幅がペーストとマッチングしないこと、スクリーン印刷版が目詰まりになること、スクレーパーが摩耗されたこと、ペーストの粘度が高すぎる又はペーストが乾燥になること、シリコンウェハにスコアラインが発生することなどは、いずれもある程度でグリッド破損を起こす。スクリーン印刷時に、スクレーパーがバスバーを通過してバスバーとグリッドとの接合部に達すると、インク透過量が急激に低下するので、対応するグリッド線の印刷高さが低くなり、一定の割合でグリッド破損を起こすこともある。この状況に鑑み、通常、バスバーとグリッドとの接続部に、一定の幅を有する台形の破損防止グリッドを追加することで、このようなグリッド破損の問題に対処する。
【0004】
通常の破損防止グリッドの設計を採用することで、電池の表面(前面)印刷時のグリッド破損の確率を低減することができるが、モジュールが電池品質に対する要求が高くなるにつれて、通常の設計によるグリッド破損の割合は市場の要求を満たすことができなくなる。そこで、グリッド破損の割合を低減するためのより合理的で実用的な設計が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、破損防止グリッド機能を有する結晶シリコン太陽電池の正極、及び該正極を含む結晶シリコン太陽電池を提供することである。該正極における破損防止グリッドの設計は、八角形とくり抜き溝とを組み合わせることで、表面電極の印刷時のグリッド破損の確率を効果的に低減することができ、グリッド破損を防止することで、モジュールが局部的に発熱するホットスポット効果を低減する機能を達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、正極バスバー、正極グリッド及び破損防止グリッド構造を含む正極を備える結晶シリコン太陽電池を提供する。正極グリッドと破損防止グリッド構造とは一体に印刷されて成形される。破損防止グリッド構造における正極バスバーと正極グリッドとの間の部分は、少なくとも1つのくり抜き溝を含む。本開示の正極は破損防止グリッドの設計を有し、破損防止グリッドの設計にはくり抜き溝が含まれる。印刷時にスクレーパーがバスバーを通過してくり抜き領域に達するとき、この破損防止グリッド領域の高さを増加させることができ、これにより、表面電極の印刷時にグリッドが破損する確率を効果的に低減し、グリッド線が最大限で光生成キャリアを収集することを確保し、電池効率を向上させることができる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記破損防止グリッド構造は、少なくとも1つのくり抜き溝が設けられた八角形であり、該八角形は、中央に位置する矩形グリッドセグメントと、矩形グリッドセグメントの両側に位置し且つ矩形グリッドセグメントを中心として対称的に設けられる2つの等脚台形グリッドセグメントとを含む。矩形グリッドセグメントは正極バスバーに跨り、矩形グリッドセグメントの左右両端は正極バスバーの外にはみ出す。はみ出されたグリッドセグメントは、矩形の延出される破損防止グリッドセグメントである。等脚台形グリッドセグメントの両端は、それぞれ延出される破損防止グリッドセグメントと正極グリッドに接触する。等脚台形グリッドセグメントは、正極バスバーから正極グリッドに向かう方向に断面が漸減するテーパ状のグリッドセグメントである。くり抜き溝は、等脚台形グリッドセグメント内に位置し、又は延出される破損防止グリッドセグメント及び等脚台形グリッドセグメントに跨っている。
【0008】
このような実施例では、破損防止グリッドの設計は、八角形とくり抜き溝との組み合わせであり、八角形は、広く且つ長くなってバスバーとグリッドとを接続し、印刷時に十分な緩衝作用を果たす。八角形の破損防止グリッドに、印刷方向に沿ってくり抜き設計を重ねており(追加しており)、印刷時にスクレーパーがバスバーを通過してくり抜き領域に達するとき、該破損防止グリッド領域の高さを増加させることができ、これにより、表面電極の印刷時にグリッドが破損する確率を効果的に低下し、グリッド線が最大限で光生成キャリアを収集することを確保し、電池効率を向上させることができる。また、グリッドが破損したセルピースでモジュールを製造する場合、モジュールのホットスポット効果が増加するが、本発明は、グリッド破損を防止することで、モジュールが局所的に発熱するホットスポット効果を低減させる機能を達成する。
【0009】
いくつかの実施例では、少なくとも1つのくり抜き溝は、正極グリッドの長さ方向に配列されている。選択肢として、少なくとも1つのくり抜き溝は、正極グリッドの長さ方向に垂直な方向に配列されている。
【0010】
いくつかの実施例では、破損防止グリッド構造の全長は1~4mmである。1つの例では、前記破損防止グリッド構造の全長L1は2.4~3.4mmであり、延出される破損防止グリッドセグメントの幅W1は矩形グリッドセグメントの幅と同じであり、0.062~0.520mmで、特に0.050~0.090mmであり、延出される破損防止グリッドセグメントの長さL2は0.016~0.026mmであり、等脚台形グリッドセグメントにおける延出される破損防止グリッドセグメントに接触する端部の幅は、延出される破損防止グリッドセグメントの幅と同じであり、等脚台形グリッドセグメントにおける正極グリッドに接触する端部の幅W2は正極グリッドの幅と同じであり、0.015~0.050mm、特に0.025~0.050mmである。
【0011】
前記八角形の破損防止グリッドの設計のバスバーとグリッドとの接続部における幅は0.050~0.090mmであり、且つこの幅のままでバスバーの縁から0.016~0.026mmの位置に延出する。この設計の作用について、バスバーとグリッドとの接続部におけるインク透過量が急激に低下することによる高さの低下を防止するとともに、くり抜きに十分な上下空間を確保し、くり抜きの上下領域が小さすぎることによるグリッド破損を防止するためである。八角形の破損防止グリッドの設計の全長は2.4~3.3mmである。破損防止グリッドは、全体として通常の破損防止グリッドの設計の全体に比べて長くなる。この設計の作用は、印刷時に、十分な緩衝作用を果たすためである。
【0012】
いくつかの実施例では、くり抜き溝は矩形又は円形であり、矩形の長さ及び幅は、0.028~0.078mmの範囲から選択され、円形の直径は0.028~0.078mmであり、くり抜き溝の中心と正極バスバーの縁との間の距離は0.033~0.068mmである。
【0013】
1つの例では、前記くり抜き溝は正方形の孔であり、くり抜き溝の辺長は0.034~0.084mmであり、くり抜き溝の中心と正極バスバーの縁との間の距離は0.033~0.068mmである。
【0014】
方形のくり抜き設計により、バスバーとグリッドとの接続部におけるグリッド破損防止の効果をさらに向上させることができる。方形のくり抜き設計は、辺長が0.034~0.084mmであり、その作用は、印刷時にスクレーパーが方形のくり抜き領域を通過する時に、印刷方向に沿って、該破損防止グリッド領域の高さは徐々に高くなり、これにより、グリッド破損防止の效果をさらに向上させることができる。
【0015】
従来の技術に比べて、本発明の正極は、表面電極の印刷時にグリッドが破損する確率を効果的に低下し、グリッド線が最大限で光生成キャリアを収集することを確保し、電池効率を向上させることができる。また、グリッドが破損したセルピースでモジュールを製造する場合、モジュールのホットスポット効果が増加するが、本発明は、グリッド破損を防止することで、モジュールが局所的に発熱するホットスポット効果を低減させる機能を達成する。さらに、本発明によれば、モジュールが局所的に発熱するホットスポット効果を効果的に低減させることができ、モジュールの寿命が長くなる。本発明の構造設計は簡単であり、広く使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、図面及び具体的な実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。
【
図1】本発明に係る正極を含む結晶シリコン太陽電池の正面図である。
【
図2】本発明に係る破損防止グリッド機能を有する結晶シリコン太陽電池の正極の表面構造の模式図である。
【
図3】本発明に係る破損防止グリッド機能を有する結晶シリコン太陽電池の正極の背面構造の模式図である。
【
図4】本発明に係る破損防止グリッド機能を有する結晶シリコン太陽電池の正極にける破損防止グリッド構造の表面構造の模式図である。
【
図5】本発明に係る破損防止グリッド機能を有する結晶シリコン太陽電池の正極における破損防止グリッド構造の背面構造の模式図である。
【
図6】本発明に係る破損防止グリッド機能を有する結晶シリコン太陽電池の正極における破損防止グリッド構造の半分の背面構造の模式図である。
【
図7】本発明に係る破損防止グリッド機能を有する結晶シリコン太陽電池の正極における方形のくり抜き領域の印刷前後の高さ変化の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~
図7に示す破損防止グリッド機能を有する結晶シリコン太陽電池の正極は、正極バスバー1、正極グリッド2及び破損防止グリッド構造3を含む。破損防止グリッド構造3と正極グリッド2とは一体に印刷されて成形されている。破損防止グリッド構造3は、背面に少なくとも1つのくり抜き溝4が設けられた八角形である。破損防止グリッド構造3は、中央に位置する矩形グリッドセグメント31と、矩形グリッドセグメント31の両側に位置し且つ矩形グリッドセグメント31を中心として対称的に設けられる二つの等脚台形グリッドセグメント32からなる。矩形グリッドセグメント31は、正極バスバー1に跨っており、矩形グリッドセグメント31の左右両端は、正極バスバー1の外にはみ出し、はみ出されたグリッドセグメントは、矩形の延出される破損防止グリッドセグメント311になる。等脚台形グリッドセグメント32の両端は、それぞれ延出される破損防止グリッドセグメント311及び正極グリッド2に接触する。等脚台形グリッドセグメント32は、正極バスバー1から正極グリッド2に向かう方向に断面が漸減するテーパ状のグリッドセグメントである。くり抜き溝4は、延出される破損防止グリッドセグメント311及び等脚台形グリッドセグメント32に跨っている。
【0018】
いくつかの実施例では、複数のくり抜き溝4があり、複数のくり抜き溝4は、正極グリッド2の長さ方向に配列されている。いくつかの実施例では、複数のくり抜き溝4は、正極グリッド2の長さ方向に垂直な方向に配列されている。
【0019】
本実施例では、破損防止グリッド構造3の全長L1は、1~4mmであり、特に2.4~3.4mmである。延出される破損防止グリッドセグメント311の幅W1は、矩形グリッドセグメント31の幅と同じであり、0.080mmである。延出される破損防止グリッドセグメント311の長さL2は0.022mmである。等脚台形グリッドセグメント32における延出される破損防止グリッドセグメント311に接触する端部の幅は、延出される破損防止グリッドセグメント311の幅と同じである。等脚台形グリッドセグメント32における正極グリッド2に接触する端部の幅W2は、正極グリッド2の幅と同じであり、0.034mmである。
【0020】
くり抜き溝4は正方形の孔であり、くり抜き溝4の辺長は0.050mmであり、くり抜き溝4の中心と正極バスバー1の縁との間の距離は0.038mmである。このとき、くり抜き溝4は、延出される破損防止グリッドセグメント311及び等脚台形グリッドセグメント32に跨っている。くり抜き溝4は、例えば、矩形、円形、楕円形等の他の形状であってもよい。
【0021】
本実施例の変形として、破損防止グリッド構造3の全長L1は、1~4mm(特に、2.4~3.4mm)の範囲から選択される値であってもよい。延出される破損防止グリッドセグメント311の幅W1は、0.062~0.520mmの範囲から選択される値であってもよい。延出される破損防止グリッドセグメント311の長さL2は、0.016~0.026mmの範囲から選択される値であってもよい。正極グリッド2の幅は、0.015~0.050mm(特に、0.025~0.050mm)の範囲から選択される値であってもよい。くり抜き溝4の辺長は、0.034~0.084mmの範囲から選択される値であってもよい。くり抜き溝4の中心と正極バスバー1の縁との間の距離は、0.033~0.068mmの範囲から選択される値であってもよい。くり抜き溝4が矩形である場合、その長さ及び幅の値は、0.028~0.078mmの範囲から選択される。くり抜き溝4が円形である場合、その直径は0.028~0.078mmである。従って、くり抜き溝4は等脚台形グリッドセグメント32内のみに位置してもよい。即ち、くり抜き溝4は、等脚台形グリッドセグメント32内に設けられてもよいし、延出される破損防止グリッドセグメント311及び等脚台形グリッドセグメント32に跨ってもよい。
【0022】
本発明のくり抜き溝4の成形プロセスは以下の通りである。太陽電池に対してスクリーン印刷版が設計されるとき、スクリーン印刷版における破損防止グリッド構造のくり抜き溝に対応する部分に、突出した方形の感光性乳剤を追加することで、破損防止グリッド構造にくり抜きを形成することを達成する。これにより、実際に正極を印刷するとき、破損防止グリッド構造3の背面にくり抜き溝4が形成されることになる。
【0023】
本発明に係る太陽電池の破損防止グリッド構造3は、八角形と方形のくり抜きとを組み合わせるように設計されている。延出される破損防止グリッドセグメントの幅W1は、正極バスバー1と正極グリッド2との接続部における幅でもあり、0.050~0.090mmであることが好ましい。延出される破損防止グリッドセグメント311の長さL2は、延出される破損防止グリッドセグメント311と正極バスバー1の縁との距離でもあり、0.016~0.026mmであることが好ましい。また、方形のくり抜き溝4が設けられている。この設計の作用について、バスバーとグリッドとの接続部におけるインク透過量が急激に低下することによる高さの低下を防止するとともに、方形のくり抜き溝4に十分な上下空間を確保し、方形のくり抜きの上下領域が小さすぎることによるグリッド破損を防止するためである。破損防止グリッド構造3の全長さL1は1~4mm(特に、2.4~3.4mm)である。破損防止グリッドは、全体として通常の破損防止グリッドの設計の全体に比べて長くなる。この設計の作用は、印刷時に、十分な緩衝作用を果たすためである。くり抜き溝4の設計は、バスバーとグリッドとの接続部におけるグリッド破損防止の効果をさらに向上させ、補強作用を果たすことができる。
【0024】
本発明の方形のくり抜き溝4の辺長は、0.034~0.084mmである。くり抜き溝4の作用の原理は
図7に示される。印刷時にスクレーパーがバスバー領域5を通過する時、対応するペーストの印刷高さは徐々に低下し、くり抜き溝を重ねない破損防止グリッド領域6に入ると、印刷高さは徐々に増加する。一方、印刷は、くり抜き溝を重ねた破損防止グリッド領域7に入ると、印刷高さは急速に上昇する。これにより、グリッド破損防止効果をさらに向上させることができる。
【0025】
従って、本発明は、表面電極の印刷時にグリッドが破損する確率を効果的に低下し、グリッド線が最大限で光生成キャリアを収集することを確保し、電池効率を向上させることができる。また、グリッドが破損したセルピースでモジュールを製造する場合、モジュールのホットスポット効果が増加するが、本発明は、グリッド破損を防止することで、モジュールが局所的に発熱するホットスポット効果を低減させる機能を達成し、モジュールの寿命が長くなる。本発明の構造設計は簡単であり、広く使用されることができる。
【0026】
本発明の上記実施例は、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の実施形態はこれに限定されない。本発明の上記内容によれば、本分野の通常の技術知識及び慣用手段に従って、本発明の上記の基本の技術思想から逸脱することなく本発明の上記構造に対する他の様々な修正、取替及び変更は、いずれも本発明の保護範囲に入る。
【符号の説明】
【0027】
1:正極バスバー、2:正極グリッド、3:破損防止グリッド構造、31:矩形グリッドセグメント、311:延出される破損防止グリッドセグメント、32:等脚台形グリッドセグメント、4:くり抜き溝、5:バスバー領域、6:くり抜き溝を重ねない破損防止グリッド領域、7:くり抜き溝を重ねた破損防止グリッド領域。