(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】圧電センサ付き超音波振動装置
(51)【国際特許分類】
B06B 1/06 20060101AFI20230116BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20230116BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
H01L41/09
(21)【出願番号】P 2021532518
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2019071297
(87)【国際公開番号】W WO2020035384
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】102018120124.9
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520062177
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ガーブリエル エルツ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス トビエフェル
(72)【発明者】
【氏名】イェルク バラシェク
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-513217(JP,A)
【文献】特開2013-161955(JP,A)
【文献】特表2008-500904(JP,A)
【文献】特開平07-163163(JP,A)
【文献】特開2005-146988(JP,A)
【文献】米国特許第06286747(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/06
H01L 41/09
H01L 41/113
H01L 41/187
G01H 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソノトロードとコンバータを備えた超音波振動装置であって、
前記コンバータは交流電圧を機械的振動に変換するための圧電アクチュエータを有し、
前記機械的振動の振動振幅に応じて変化する第1の測定信号を出力する第1の圧電センサ素子が設けられており、
前記機械的振動の振動振幅に応じて変化する第2の測定信号を出力する第2の圧電センサ素子が設けられ、
前記第2の圧電センサ素子は、物理的特性において前記第1の圧電センサ素子とは異なることを特徴とする、超音波振動装置。
【請求項2】
前記第1の測定信号と前記第2の測定信号を比較する比較装置が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の超音波振動装置。
【請求項3】
前記第1の圧電センサ素子と前記第2の圧電センサ素子は、異なる焦電特性を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の超音波振動装置。
【請求項4】
前記第1の圧電センサ素子と前記第2の圧電センサ素子は、結晶子サイズが異なる結晶を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の超音波振動装置。
【請求項5】
前記両圧電センサ素子のうち一方の圧電センサ素子は圧電性の単結晶を有し、他方の圧電センサ素子は圧電性の多結晶を有することを特徴とする、請求項4に記載の超音波振動装置。
【請求項6】
前記両圧電センサ素子
のうち少なくとも1つの圧電センサ素子、又は、前記両圧電センサ素子がコンバータ内に配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の超音波振動装置。
【請求項7】
前記両圧電センサ素子は縦方向に互いに並列に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の超音波振動装置。
【請求項8】
前記圧電アクチュエータと前記第1の圧電センサ素子は同じ圧電材料からなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の超音波振動装置。
【請求項9】
前記圧電アクチュエータは、前記第2の圧電センサ素子よりも縦方向に長いことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の超音波振動装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の超音波振動装置の構成要素の示強性状態量の変化を測定する方法であって、第1の重み係数を掛けた
前記第1の測定信号と、第2の重み係数を掛けた
前記第2の測定信号との差を求め、その差を示強性状態量の変化の尺度として利用することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソノトロードとコンバータを備えた超音波振動装置に関し、コンバータは交流電圧を機械的振動に変換するための圧電アクチュエータを有する。
【背景技術】
【0002】
前述した超音波振動装置は公知である。通常、圧電アクチュエータには発電機から供給される交流電圧が印加され、その交流電圧を機械的振動に変換する。コンバータにはソノトロードが固定されており、しばしばその間に振幅変換器(Amplitudentransformator)が挿入されている。交流電圧は、コンバータ、ソノトロード、及び必要に応じて振幅変換器からなる超音波振動装置全体に定常波が形成されるように選択される。
【0003】
ソノトロードはしばしば溶接面若しくはシール面を有し、前記シール面が加工すべき材料と接触する。超音波振動装置が振動すると、溶接面若しくはシール面を通して高周波振動が材料に伝えられる。
【0004】
このような超音波振動装置を用いて多種多様な材料、特にプラスチックや不織布を加工できる。通常、コンバータには圧電アクチュエータとして機能する偶数の圧電センサ素子が装備されており、圧電センサ素子は少なくとも1つの上部と下部を有し、これらはダブルスクリュー(Doppelschraube)で固定されている。通常、圧電アクチュエータは、セラミックからなり、焼結法により極めて多様な形状に製造できる。よく用いられるセラミックは、誘電性、圧電性、焦電性、及び強誘電性の特性を持つチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。圧電アクチュエータは高周波電気信号(通常、20~100kHz)を機械的ひずみに変換し、それによって超音波振動装置全体に伝播する変動を生成する。
【0005】
生成された変動の振動振幅は、加工にとって極めて重要である。この振動振幅は、超音波振動子(Ultraschallschwingers)のプロセス品質、プロセス速度、及び寿命に影響を与える。
【0006】
しかし実際には圧電アクチュエータは温度に依存する挙動を示し、温度に応じてその特性を変化させる。しかしながら温度変化は完全に回避できず、特に使用する圧電セラミック自体は理想的な振幅変換器ではなく、供給された電気エネルギーの一部が機械的振動エネルギーではなく熱に変換される。そのため温度の変化は加工プロセスにとって本質的な振動振幅の変化を引き起こす。
【0007】
加工プロセスを可能な限り一定の品質で実行できるようにするために、既に幾つかの応用例で振動振幅が測定され、印加された交流電圧の振幅を調節することによって、その振動振幅が制御されている。これは、例えば超音波振動装置の外側に取り付けたひずみゲージによって行うことができる。
【0008】
特許文献1でも、超音波振動装置の振動振幅を測定することが提案されている。例として第1の圧電センサ素子を使用した測定が挙げられている。この第1の圧電センサ素子は、機械的振動の振動振幅に応じて変化する第1の測定信号を出力する。
【0009】
基本的に圧電アクチュエータが交流電圧を機械的振動に変換する能動的要素であるのに対して、前記第1の圧電センサ素子は、圧電センサ素子のひずみを圧電センサ素子の電荷分離に変換する受動的要素であり、さらにこの電荷分離は検出できる。この場合、電荷分離の大きさが圧電センサ素子のひずみの尺度である。
【0010】
しかしながらこの実施形態では、単に機械的振動の振動振幅を測定し、それに対して応答できるに過ぎない。
【0011】
実際、温度の変化によって引き起こされる圧電セラミックの物理的特性の変化は、完全に可逆的ではない。したがって圧電セラミックの温度が過度に上昇すると、セラミックが部分的に破壊される可能性があり、これは公知の振動振幅測定によって防ぐことはできない。
【0012】
さらに、市場で入手可能な圧電セラミックは、時効効果(Alterungseffekte)を示す。高周波電気信号を機械的ひずみに変換する圧電セラミックの能力は、時間の経過とともに低下する。このことは説明した測定方法により交流電圧の振幅を大きくすることによりある程度補償できる。しかし老朽化が進むと、ある時点で、圧電アクチュエータで必要な振動振幅を確実に生成できなくなる。
【0013】
さらに、他の示強性状態量の変化も、圧電アクチュエータが生成する振動振幅の変化をもたらす可能性がある。示強性状態量(intensiven Zustandsgroesse wird)とは、考察する系の大きさが変わっても変化しない状態量と理解される。示強性状態量の例には温度と老朽化状態の他にも、例えば圧力がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】ドイツ国特許出願公開第102004026826(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、上述した先行技術の事情を出発点として、圧電アクチュエータの温度又は老朽化状態などの少なくとも1つの示強性状態量の測定を可能にする超音波振動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題は本発明により、機械的振動の振動振幅に応じて変化する第2の測定信号を出力する第2の圧電センサ素子によって解決され、第1の圧電センサ素子と第2の圧電センサ素子は物理的特性が異なり、そのため第1の測定信号と第2の測定信号は、示強性状態量への異なる依存性を示す。
【0017】
したがって本発明による超音波振動装置により、示強性状態量は第1の測定信号と第2の測定信号に異なる影響を与えるので、示強性状態量の変化は簡単に検出することができる。
【0018】
例えば第1の圧電センサ素子は焦電気物質からなるのに対し、第2の圧電センサ素子は焦電気性が弱いか全くないとすることができる。第1の圧電センサ素子はその焦電気性に基づいて状態量である温度への依存性を示し、第1の測定信号は温度によって明らかに影響を受ける一方で、第2の圧電センサ素子は温度依存性をほとんど又は全く示さないため、第2の測定信号は温度変化の影響をほとんど受けないままである。
【0019】
本発明の好適な実施形態では、第1の測定信号と第2の測定信号を比較する比較装置が設けられている。この比較によって、測定信号の変化が温度に起因するものかどうかを確認できる。
【0020】
両測定信号は、まず第一に、圧電センサ素子の圧電特性によって超音波振動装置内で生成される機械的振動によって引き起こされる振動挙動を示す。但し、これらの機械的振動は、両圧電センサ素子に同じように作用する。両圧電センサ素子は所与の温度において交流電圧によって引き起こされる同じ分極で同じひずみを有する場合、両測定信号の差が生じ得る。この場合、所与の温度で差は理想的にはゼロである。必要に応じて、常温での測定信号は、差がゼロになるように重み付けされる。
【0021】
加工プロセス中に超音波振動装置、したがってコンバータ及び付属の圧電アクチュエータが熱くなると、両測定信号の温度への依存性が異なるために差がゼロではなくなる。したがってこの差に基づいて温度変化を推定できる。
【0022】
この差が所定の値を超えると、圧電アクチュエータの損傷を防ぐための措置を講じることができる。例えばコンバータを駆動する発電機のスイッチをオフにするか又はコンバータを冷却するための冷却装置をアクティブにすることができる。
【0023】
別の好適な実施形態では、第1の圧電センサ素子と第2の圧電センサ素子は、平均結晶子サイズが異なる結晶を有する。
【0024】
老朽化状態も示強性状態量である。特に強誘電性材料の場合は原子格子構造が複雑であるため老朽化の進行が強く現れて、脱分極効果、時効効果、及び材料疲労を招く。非強誘電性圧電材料は、原子格子が比較的単純であるため、これらの老朽化の進行の影響を受けにくい。したがって結晶子又は単結晶が大きい物質は老朽化プロセスの影響を受けにくいため、時効効果のある圧電センサ素子と時効効果のない圧電センサ素子の比較測定により、老朽化の程度について推定できる。この措置により、第1のセンサ部の時効効果を推定できる。この場合、一方の圧電センサ素子が多結晶であるのに対し、他方の圧電センサ素子が単結晶である実施形態が特に選好される。
【0025】
第1の圧電センサ素子が圧電アクチュエータと同じ材料で作製されている場合、第1の圧電センサ素子の老朽化は圧電アクチュエータの老朽化の尺度になる。
【0026】
好適な実施形態では、圧電センサ素子はコンバータ内に配置されている。この場合、圧電アクチュエータにできるだけ近く配置することが有利である。特に、圧電アクチュエータの温度を検出する場合は、測定信号がより高い温度依存性を示す方の圧電センサ素子が、他方の圧電センサ素子よりも圧電アクチュエータの近くに配置されていると有利である。例えば第2の圧電センサ素子が石英を有するのに対し、第1の圧電センサ素子がPZTからなる場合は、第1の圧電センサ素子が第2の圧電センサ素子よりも圧電アクチュエータの近くに配置されていると有利である。
【0027】
さらに、圧電アクチュエータと、両圧電センサ素子のうちの1つは、非常に類似している物理的特性を有するべきである。それゆえ第1の圧電センサ素子が圧電アクチュエータと同じ材料からなる場合、特に好ましい。
【0028】
特にここで考察する超音波振動装置においては、圧電アクチュエータで縦効果(Longitudinaleffekt)(d33方向)がよく使用される。それゆえ圧電アクチュエータと圧電センサが縦方向で互いに並列に配置されていると有利である。圧電アクチュエータの縦方向での厚さは、実質的に必要な機械的振動の振動振幅によって決まる。これに対して圧電センサ素子の厚さは大幅に小さくすることができる。それにより圧電センサ素子のコストが削減される。
したがって示強性状態量の変化を測定するために、第1の測定信号と第2の測定信号が検出される。検出された両測定信号は互いに差し引かれて、差が得られる。場合によっては差が得られる前に、両測定信号の少なくとも1つに重み係数を掛ける必要がある。重み係数は1であってもよい。このようにして測定された差は、示強性状態量の変化の尺度である。
【0029】
本発明のその他の利点、特徴及び可能な応用は、好適な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明による超音波振動装置のコンバータの第1の実施形態を示す。
【
図2】
図2は、本発明による超音波振動装置のコンバータの第2の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1と
図2には、コンバータ10若しくは10’の2様のバリエーションが示されている。コンバータは、必要に応じて振幅変換器を介してソノトロードと接続できる。
【0032】
簡単にするために、ここではコンバータのみが示されている。しかしながらコンバータのソノトロード又は振幅変換器との接続は一般に知られており、本発明の主題ではない。
【0033】
コンバータ10又は10’は、基体部13及び14を有し、それらの間に圧電アクチュエータ2及び圧電センサ素子3、4が配置されている。固定は、ねじロッド11及び固定ナット12を用いて行われる。下部の基体部13は、コンバータを保持できる保持フランジ9を有する。
【0034】
圧電アクチュエータは、2対の圧電ディスク2からなる。各対は、その外表面でそれぞれ接地電極1に接続されている。各対の相互に向き合う面は、アクチュエータを制御することができる+電極6に接続されている。圧電アクチュエータを用いて機械的振動がコンバータ内に、したがってまた接続された素子、すなわちソノトロード、及び場合によっては振幅変換器内でも生成される。この目的のために発電機(図示せず)が+電極を介して圧電アクチュエータと接続されている。発電機は交流電圧を供給し、これは圧電アクチュエータによって圧電効果に基づき機械的振動に変換される。
【0035】
しかしながら圧電アクチュエータは理想的な振幅変換器ではなく、動作中に損失が発生し、それが圧電アクチュエータの温度上昇につながる。圧電アクチュエータは温度に応じてその特性を変化させる。変化の一部しか可逆的ではない。温度が特定の値を超えるとすぐに、圧電アクチュエータに不可逆的な損傷が発生する。それゆえ効率的な監視を行い、必要に応じて温度に影響を与えるためには、基本的に振動構成体における温度測定が望ましい。
【0036】
さらに、老朽化の監視が望ましい。圧電アクチュエータにおけるパワー超音波の適用で通常使用される圧電センサ素子の老朽化は、電気から機械的振動への変換における老朽化による減少を補償するための非常に重要な問題である。現在の推定方法では、老朽化状態に関する情報が欠けていると、装置の全寿命にわたり一貫して十分な品質で振幅を測定することが妨げられる。
【0037】
本発明は、コンバータ内の幾つかの異なるセンサ材料の組み合わせは、それらの物理的特性において明確に区別されるという概念に基づいている。即ち、温度測定では圧電性及び焦電性と、圧電性及び非焦電性であり、寿命監視では単結晶と多結晶、である。物理的特性の違いにより、例えば、温度又は老朽化状態などの示強性状態量への依存性の違いも生じる。
【0038】
さらに、圧電センサは、必ずしも必要ではないが、超音波振動の振幅を測定するために使用できる。
【0039】
図に示す例では、老朽化、温度及び振幅の測定の組み合わせは2種類の圧電センサ素子で実現されており、そのうちの第1の圧電センサ素子4は圧電性及び焦電性(場合によっては強誘電性)であり、好ましくは圧電アクチュエータと同じ材料からなり、第2の圧電センサ素子3は単に圧電性で、焦電性ではない。
【0040】
図示の例では、第1の圧電センサ素子4はPZTからなり、第2のセンサ部3はPZTなどの多結晶圧電材料と比較して、はるかにゆっくりと老朽化するか又は全く老朽化しない石英などの単結晶からなる。
【0041】
両圧電センサ素子は、振動構成体内で最大ひずみの近くに配置するのが最も良い。これは、例えば図に示すようにコンバータ内で圧電アクチュエータの近くで行われる。
図1では、第1の圧電センサ素子4は一方の面で接地電極1に接続されている。他方の面は測定電極7に接続されており、当該電極を介して第1の測定信号を読み取ることができる。同様に、第2の圧電センサ素子3は、一方の面で接地電極1と接続され、他方の面で測定電極8と接続されている。測定電極8を介して第2の測定信号を読み取ることができる。
【0042】
両測定電極を分離するために、両圧電センサ素子3、4は絶縁層5によって互いに分離されている。
【0043】
圧電特性と焦電特性を備えた第1の圧電センサ素子4は、超音波発振器の振動振幅に実質的に比例する圧電効果によって第1の測定信号を出力する。さらに、センサ部が熱くなると、焦電効果によって別の測定信号成分が出力される。
【0044】
圧電性であるが焦電性ではない若しくは非常に弱い焦電性である第2の圧電センサ素子3は、第1のセンサ部4の近くに配置され、同様に超音波振動装置の振動振幅に実質的に比例する測定信号を出力する。しかしながら第1の圧電センサ素子4とは異なり、ここでは温度変化は第2の測定信号に有意な影響を与えないため、超音波発振器の振動振幅に比例した測定信号のみが出力される。
【0045】
基本的に、絶縁部5を省略することも可能である。それ以外には構成に変化がないならば、両測定信号は同じ電極に生じる。両センサ部が同じ分極で配置されると、両測定センサ信号は互いに差し引かれて、振動振幅に比例する成分がほぼ除去される。その結果、温度への依存性を示す測定信号のみが得られる。場合によって最初に両センサの幾何学的寸法のスケーリングが必要になると、機械的振動によって引き起こされる信号成分も同じ振動に対して両センサで同じ大きさである。
【0046】
上述した例では、第2の圧電センサ素子3は単結晶、例えば石英からなるので、この圧電センサ素子では第1の圧電センサ素子4又は圧電アクチュエータにおけるよりも老朽化の進行が大幅に遅くなる。したがって両センサ間又は第2の圧電センサ素子3と圧電アクチュエータとの間の高周波測定信号を比較することにより、老朽化若しくは圧電定数、ここでは特にd33定数の変化を推定することができ、必要に応じて発電機による閉ループ制御を用いて補償することができる。
【0047】
図2に示されているように、絶縁素子を省き、それでもなお両測定信号を互いに分離して検出することも可能である。この実施形態では、第1の圧電センサ素子3も第2の圧電センサ素子4も、それぞれ2つの圧電ディスクを有しており、これらの圧電ディスクは互いに反対に向いた面では接地電極1と接続され、互いに向き合う内側の面では測定電極7、8と接続されており、これらの電極を介して測定信号を読み取ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 接地電極
2 圧電アクチュエータ
3 第2の圧電センサ素子
4 第1の圧電センサ素子
5 絶縁部
6 (+)電極
7 測定電極
8 測定電極
9 保持フランジ
10 コンバータ
10´ コンバータ
11 ねじロッド
12 固定ナット
13 基体部
14 基体部