(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-13
(45)【発行日】2023-01-23
(54)【発明の名称】ガス精製装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20230116BHJP
B01J 8/06 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01J8/06 301
(21)【出願番号】P 2022160118
(22)【出願日】2022-10-04
【審査請求日】2022-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 献児
(72)【発明者】
【氏名】三尾 秀星
(72)【発明者】
【氏名】富田 伸二
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-003006(JP,A)
【文献】特開2000-229213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34 - 53/73
B01D 53/74 - 53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
B01J 10/00 - 12/02
B01J 14/00 - 19/32
B01J 8/00 - 8/46
B01J 20/00 - 20/28
B01J 20/30 - 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスの不純物を除去する不純物除去部と、
前記不純物除去部が収容された精製容器と、
前記不純物除去部と接触しない状態で前記精製容器の内側に設けられると共に前記精製容器を内側から加熱する加熱部と、を備え、
前記加熱部は、
前記精製容器の外側から前記精製容器に
、前記不純物除去部と接触しないように着脱可能
であり、
前記不純物除去部は、前記加熱部の少なくとも一部においてその周囲を取り囲むように設けられている、ガス精製装置。
【請求項2】
前記精製容器は、前記不純物除去部がその周囲を取り囲むように配置されており、前記加熱部が着脱可能に収容される内筒部を備える、請求項1に記載のガス精製装置。
【請求項3】
前記精製容器の内側で且つ前記不純物除去部よりも上流側に配置されるバッフル板を備える、請求項1に記載のガス精製装置。
【請求項4】
前記精製容器に原料ガスを供給する供給部と、
前記不純物除去部を通過した精製ガスを前記精製容器から排出する排出部と、を備え、
前記供給部及び前記排出部は、前記精製容器の一方端に配置されている、請求項1に記載のガス精製装置。
【請求項5】
前記精製容器に原料ガスを供給する供給部と、
一端が前記供給部と接続されると共に他端が前記精製容器の内部で開口する内部配管と、を備え、
前記加熱部は、前記内部配管に所定の間隔を有した状態で配置されている、請求項1に記載のガス精製装置。
【請求項6】
前記精製容器は、前記内部配管に配置された前記加熱部が着脱可能に収容される内筒部を備える、請求項5に記載のガス精製装置。
【請求項7】
前記内筒部と前記内部配管との間に、原料ガスの不純物を除去する管内不純物除去部を備える、請求項6に記載のガス精製装置。
【請求項8】
前記精製容器を外側から加熱する外側加熱部と、前記精製容器から熱が逃げることを抑制する断熱部と、のうち少なくとも一方を備え、
前記外側加熱部及び/又は前記断熱部は、前記精製容器の周囲を覆うように配置されている、請求項1~7の何れか1項に記載のガス精製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原料ガスから高純度な精製ガスを精製するガス精製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体の製造などに用いられるガスを高純度(例えば、不純物を1ppb以下にするなど)にする精製するガス精製装置が求められている。高純度なガスを精製するために、ゲッター材、触媒、吸着材などを単一又は複数組み合わせた充填材が用いられる(特許文献1~4)。充填材は、加熱して用いられることがあり、特許文献5には、ガスの精製容器の外側に加熱部が設けられたガス精製装置が開示されている。また、精製容器の内側に加熱部が設けられたガス精製装置もある。
【0003】
ところで、加熱部が故障した際、加熱部の修理や交換が必要になる。しかしながら、加熱部が精製容器の内側に設けられている場合、密封された精製容器を設置場所で開けることや精製容器から加熱部を取り出すことが容易ではない。そのため、加熱部の修理や交換は、精製容器を設置場所から別の場所に移動して行うか、加熱部などが収容された精製容器自体を交換することによって行われるが、どちらの場合もコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平05-116914号公報
【文献】特開平06-58663号公報
【文献】米国特許第4713224号明細書
【文献】米国特許出願公開2014/252266号明細書
【文献】特開平02-120212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、精製容器の内側に設けられた加熱部を容易に修理や交換することが可能なガス精製装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のガス精製装置は、原料ガスの不純物を除去する不純物除去部と、前記不純物除去部が収容された精製容器と、前記不純物除去部と接触しない状態で前記精製容器の内側に設けられると共に前記精製容器を内側から加熱する加熱部と、を備え、前記加熱部は、前記精製容器に着脱可能に取り付けられている。
【0007】
斯かる構成によれば、精製容器の内側に設けられた加熱部を精製容器から容易に取り外すことができ、加熱部を精製容器に容易に取り付けることができる。これにより、精製容器の内側に設けられた加熱部の修理や交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るガス精製装置を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態に係るガス精製装置を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第3実施形態に係るガス精製装置を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第4実施形態に係るガス精製装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るガス精製装置1について、
図1を参照しながら説明する。なお、各図(
図1~
図4)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面間での寸法比も、必ずしも一致していない。
図1は、第1実施形態に係るガス精製装置1を示す断面図である。
【0010】
図1に示すように、ガス精製装置1は、原料ガスの不純物を除去する不純物除去部2と、不純物除去部2が収容された精製容器3と、精製容器3を内部(不純物除去部2を内側)から加熱する加熱部4と、を備えている。ガス精製装置1は、精製容器3などを複数備えていてもよい。複数の精製容器3が設けられた場合は、各精製容器3を並列に接続してもよく、直列に接続してもよい。
【0011】
ガス精製装置1によって精製される精製ガスは、例えば、空気、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素、水素、ヘリウム、ネオン、クリプトン及びキセノンのうち少なくとも1つを含むガスである。不純物とは、原料ガスに含まれる成分のうち精製しようとしているガスを除く成分である。
【0012】
不純物除去部2は、精製容器3及び/又は後述する内筒部34に取り付けられている。不純物除去部2は、内筒部34の周囲を取り囲むように設けられている。本実施形態において、不純物除去部2は、円環状に形成されているが、これに限られない。不純物除去部2は、触媒、ゲッター材及び吸着材のうち少なくとも1つを含む充填材21を備えている。
【0013】
充填材21は、除去する不純物の種類などによって適宜設定される。触媒としては、例えば、貴金属触媒(例えば、パラジウムなど)や遷移金属触媒(例えば、ニッケル、銅、マンガンなど)などを用いることができる。ゲッター材としては、例えば、ジルコニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、チタン及びアルミニウムのうち少なくとも1種以上の金属を含む合金などを用いることができる。吸着材としては、例えば、活性炭、活性アルミナ、ゼオライト(例えば、モレキュラーシーブなど)などを用いることができる。充填材21の温度は、充填材の構成などによって適宜設定される。充填材21の温度は、例えば、80度以上で且つ700度以下である。
【0014】
精製容器3は、円筒状に形成された容器である。精製容器3は、第1端部31と、第2端部32と、第1端部31と第2端部32とを接続する側部33と、を備えている。本実施形態において、第1端部31は、精製容器3の上部であり、第2端部32は、精製容器3の下部であるが、これに限られない。例えば、第1端部31は、精製容器3の下部であり、第2端部32は、精製容器3の上部であってもよい。
【0015】
精製容器3は、精製容器3の中心軸L1方向(軸方向D1)に沿って延びる内筒部34を備えている。軸方向D1において、第2端部32から第1端部31に向かう方向を第1軸方向D11といい、第1端部31から第2端部32に向かう方向を第2軸方向D12という。本実施形態において、第1軸方向D11は上方向を示し、第2軸方向D12は下方向を示す。
【0016】
内筒部34は、筒状に形成されている。内筒部34は、熱膨張係数の低い材料で形成されていることが好ましい。これにより、加熱部4の熱によって内筒部34が膨張し、内筒部34に収容(挿入)された加熱部4と内筒部34との間の隙間が大きくなることを抑制できる。また、内筒部34は、伝熱性の良好な材料で形成されていることが好ましい。これにより、加熱部4の熱を精製容器3の内部に伝えやすくすることができる。
【0017】
内筒部34は、一端341が精製容器3の外側に開口し、他端342が精製容器3の内部で閉塞している。本実施形態において、内筒部34は、円筒状に形成され、精製容器3の第1端部31に接合されているが、これに限られない。例えば、内筒部34は、角筒状に形成されていてもよく、精製容器3の第2端部32に接合されていてもよい。
【0018】
内筒部34の一端341は、精製容器3の第1端部31よりも第1軸方向D11に突出した位置に設けられていることが好ましい。これにより、内筒部34の接合代を確保することができる。内筒部34の他端342は、不純物除去部2よりも第2軸方向D12側に設けられていることが好ましい。これにより、不純物除去部2と内筒部34との接触部分を増やすことができ、充填材21を加熱部4で効率よく加熱することができる。
【0019】
内筒部34の中心軸は、精製容器3の中心軸L1と実質的に一致していることが好ましい。これにより、加熱部4を精製容器3の中央に設けることができ、精製容器3の内部(充填材21)を効率よく加熱することができる。本実施形態において、内筒部34は、1つであるが、複数設けられていてもよい。
【0020】
加熱部4(内側加熱部4ともいう)は、不純物除去部2と接触しない状態で精製容器3の内側に設けられている。加熱部4としては、例えば、電熱器、シーズヒーター、セラミックヒーター、ハロゲンランプなどを用いることができる。本実施形態において、加熱部4は、1つであるが、複数設けられていてもよい。
【0021】
加熱部4は、精製容器3に着脱可能に取り付けられている。斯かる構成によれば、精製容器3の内側に設けられた加熱部4を精製容器3から容易に取り外すことができ、加熱部4を精製容器3に容易に取り付けることができる。これにより、精製容器3の内側に設けられた加熱部4の修理や交換を容易にすることができる。その結果、精製容器3自体の交換や精製容器3の設置場所からの移動が不要となり、加熱部4の修理や交換にかかるコストを削減することができる。
【0022】
本実施形態において、加熱部4は、棒状に形成され、内筒部34に着脱可能に収容(挿入)されている。これにより、加熱部4を内筒部34に収容することによって加熱部4を精製容器3に取り付けることができ、加熱部4を内筒部34から取り出す(引き抜く)ことによって加熱部4を精製容器3から取り外すことができる。また、精製容器3に蓋を設けることなく精製容器3内のガスが漏れることを防止できる。加熱部4は、内筒部34の他端342まで挿入されていることが好ましい。ガス精製装置1は、加熱部4を内筒部34に固定する固定手段を備えていてもよい。
【0023】
加熱部4は、精製容器3への着脱時に不純物除去部2(充填材21)と接触しない(非接触である)ことが好ましい。加熱部4が着脱時に充填材21と接触すると、充填材21の充填状態が変化し、不純物の除去能力が変化する恐れがあるためである。本実施形態においては、内筒部34を設けることによって、着脱時における加熱部4と充填材21との接触を防止している。後述する管内充填材91(
図4参照)についても同様である。
【0024】
加熱部4の外径は、内筒部34の内径よりも小さい。加熱部4は、内筒部34と密着していてもよい。また、加熱部4と内筒部34との隙間が大きい場合、加熱部4と内筒部34との間に加熱部4を支持する支持部を設けてもよい。
【0025】
加熱部4の軸方向D1の長さ寸法は、内筒部34の軸方向D1の長さ寸法よりも大きいことが好ましい。即ち、加熱部4を内筒部34に挿入した状態において、加熱部4は、内筒部34よりも突出していることが好ましい。これにより、加熱部4を内筒部34から取り出すことが容易になる。
【0026】
本実施形態に係るガス精製装置1は、精製容器3を外側から加熱する外側加熱部5、及び、精製容器3から熱が逃げることを抑制する断熱部(不図示)のうち少なくとも一方と、精製容器3に原料ガスを供給する供給部6と、不純物除去部2を通過した精製ガスを精製容器3から排出する排出部7と、を備えているが、これに限られない。
【0027】
外側加熱部5は、精製容器3の周囲に配置されている。本実施形態において、外側加熱部5は、電熱線を有するパッドやバンドヒーターなどであり、精製容器3の側部33に取り付け(貼り付け)られているが、これに限られない。例えば、外側加熱部5は、加熱部4と同じものであってもよい。
【0028】
断熱部は、精製容器3の周囲に配置されている。断熱部は、例えば、精製容器3の側部33や外側加熱部5の外側に取り付けられる。断熱部は、断熱材を備えている。断熱材としては、例えば、グラスウールやロックウールなどの高温用断熱材を用いることができる。
【0029】
外側加熱部5及び/又は断熱部は、精製容器3の周囲を覆うように配置されている。本実施形態において、外側加熱部5及び断熱部は、精製容器3の側部33を覆うように精製容器3に取り付けられているが、これに限られない。例えば、外側加熱部5及び/又は断熱部は、精製容器3の第1端部31や第2端部32に取り付けられていてもよく、精製容器3から離れた位置に配置されていてもよい。
【0030】
供給部6は、精製容器3に取り付けられている。本実施形態において、供給部6は、精製容器3の第2端部32に取り付けられているが、これに限られない。例えば、供給部6は、精製容器3の第1端部31や側部33に取り付けられていてもよい。供給部6は、径方向D2の中央(中心軸L1上)に配置されているが、これに限られない。径方向D2は、中心軸L1と直交し且つ中心軸L1から離れる方向である。
【0031】
排出部7は、精製容器3に取り付けられている。本実施形態において、排出部7は、精製容器3の第1端部31に取り付けられているが、これに限られない。例えば、排出部7は、精製容器3の第2端部32や側部33に取り付けられていてもよい。供給部6は、内筒部34よりも径方向D2の外側に配置されているが、これに限られない。
【0032】
ガス精製装置1は、精製容器3の内側で且つ不純物除去部2よりも上流側に配置される不図示のバッフル板(邪魔板ともいう)を備えていることが好ましい。これにより、不純物除去部2よりも上流側において、 原料ガスの流路をバッフル板によってコントロールすることができ、原料ガスの流速が増え、且つ、原料ガスと加熱部4との接触時間も増える。その結果、加熱効率が向上して原料ガスの温度を高めることができ、精製ガスの精製純度を高めることができる。バッフル板は、例えば、供給部6と不純物除去部2との間に配置される。
【0033】
本実施形態において、供給部6から供給された原料ガスは、加熱部4及び外側加熱部5によって加熱された充填材21を通過して不純物が除去され、精製ガスとして排出部7から排出される。精製容器3内のガスは、第1軸方向D11(一方向)に流れている。
【0034】
(第2実施形態)
次に、
図2を参照して、本開示のガス精製装置1の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るガス精製装置1は、以下に説明する構成の他は、第1実施形態に係るガス精製装置1と同様に構成できるため、共通点を省略して主に相違点について説明する。
図2は、第2実施形態に係るガス精製装置1を示す断面図である。
【0035】
図2に示すように、精製容器3は、開口部35と、開口部35からガスが漏れることを抑制する蓋部36と、を備えている。本実施形態において、開口部35は、第1端部31に設けられ、蓋部36は、開口部35に設けられた筒部37に取り付けられているが、これに限られない。例えば、開口部35は、第2端部32に設けられてもよく、蓋部36は、開口部35に取り付けられてもよい。本実施形態おいて、精製容器3は、第1実施形態における内筒部34(
図1参照)を備えていない。
【0036】
筒部37は、円筒状に形成された筒部本体371と、筒部本体371の第1軸方向D11の端部に設けられた第1フランジ部372と、を備えている。第1フランジ部372の外径は、筒部本体371の外径よりも大きい。蓋部36は、第1フランジ部372に取り付けられている(例えば、ボルト止め)。
【0037】
精製容器3は、加熱部4を保持するための保持部38を備えている。保持部38は、円環状に形成されている。保持部38の外径は、筒部本体371の外径よりも大きい。本実施形態において、保持部38は、筒部本体371の第2軸方向D12の端部(下端部)に接合されているが、これに限られない。
【0038】
加熱部4は、保持部38に着脱可能に取り付けられている。加熱部4は、保持部38に保持された状態で、保持部38よりも第1軸方向D11に飛び出していることが好ましい。これにより、加熱部4を保持部38から取り外すことが容易になる。本実施形態において、加熱部4の中心軸は、精製容器3の中心軸L1と実質的に一致するように配置されているが、これに限られない。
【0039】
ガス精製装置1は、精製容器3の内部に設けられた(収容された)内部配管8を備えている。内部配管8は、一端81が供給部6と接続され、他端82が精製容器3の内部で開口している。本実施形態において、内部配管8は、直管であり、内部配管8の中心軸は、精製容器3の中心軸L1(加熱部4の中心軸)と実質的に一致しているが、これに限られない。
【0040】
内部配管8の他端82は、不純物除去部2と保持部38との間に設けられている。即ち、内部配管8の他端82は、不純物除去部2よりも第1軸方向D11に設けられている。内部配管8の他端82には、第2フランジ部83が設けられている。第2フランジ部83の外径は、保持部38の外径と実質的に同じである。第2フランジ部83は、不純物除去部2から軸方向D1に離れた位置に設けられている。
【0041】
不純物除去部2は、精製容器3及び/又は内部配管8に取り付けられている。加熱部4は、内部配管8の他端82から内部配管8に挿通されている。内部配管8を設けることによって、着脱時における加熱部4と充填材21との接触を防止している。本実施形態において、加熱部4は、精製容器3の内部に設けられている。
【0042】
加熱部4は、内部配管8に所定の間隔を有した状態で配置されている。即ち、内部配管8の内径Dm1は、加熱部4の外径Dm2よりも大きい。これにより、内部配管8と加熱部4との間に隙間を設けることができ、原料ガスを流すことができる。なお、ガス精製装置1は、例えば、加熱部4を支持するための支持部を備えていてもよい。その場合、支持部は、内部配管8の配管内に設けられる。支持部は、加熱部4の第2軸方向D12の端部側に設けられていることが好ましい。
【0043】
供給部6及び排出部7は、精製容器3の一方端(第1端部31又は第2端部32)に配置されている。供給部6及び排出部7は、保持部38と軸方向D1の反対側に位置する精製容器3の端部に配置されていることが好ましい。本実施形態において、供給部6及び排出部7は、精製容器3の第2端部32に配置されているが、これに限られない。供給部6は、精製容器3の径方向D2の中央に配置され、排出部7は、供給部6よりも径方向D2の外側に配置されているが、これに限られない。
【0044】
バッフル板は、例えば、加熱部4の内側又は外側に取り付けられ 、加熱部4と共に内部配管8 に挿入 される。バッフル板は、取り外し可能なように構成されてもよい。
【0045】
本実施形態において、供給部6から供給された原料ガスは、内部配管8で加熱部4に加熱された後に、保持部38と第2フランジ部83との間から充填材21に流れる。そして、原料ガスは、充填材21を通過して不純物が除去され、精製ガスとして排出部7から排出される。充填材21は、例えば、外側加熱部5及び原料ガスによって加熱される。精製容器3内のガスは、第1軸方向D11(一方向)に流れた後に、第2軸方向D12(他方向)に流れている。即ち、精製容器3内のガスは、軸方向D1に沿って往復して流れている。
【0046】
(第3実施形態)
次に、
図3を参照して、本開示のガス精製装置1の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係るガス精製装置1は、以下に説明する構成の他は、第2実施形態に係るガス精製装置1と同様に構成できるため、共通点を省略して主に相違点について説明する。
図3は、第3実施形態に係るガス精製装置1を示す断面図である。
【0047】
精製容器3は、内部配管8に配置された加熱部4が着脱可能に収容される内筒部34を備えている。内筒部34は、内部配管8の配管内に配置されている。内筒部34の中心軸は、精製容器3の中心軸L1と実質的に一致する。内部配管8の内径Dm1は、内筒部34の外径Dm3よりも大きい。本実施形態において、内筒部34は、円筒状に形成され、保持部38に接合されているが、これに限られない。
【0048】
本実施形態において、精製容器3は、蓋部36を備えておらず、筒部37は、第1フランジ部372を備えていないが、これに限られない。ガス精製装置1は、例えば、加熱部4における内筒部34から突出した部分を覆うカバーを備えていてもよい。精製容器3内のガス流れは、第2実施形態と同様である。
【0049】
(第4実施形態)
次に、
図4を参照して、本開示のガス精製装置1の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係るガス精製装置1は、以下に説明する構成の他は、第3実施形態に係るガス精製装置1と同様に構成できるため、共通点を省略して主に相違点について説明する。
図4は、第4実施形態に係るガス精製装置1を示す断面図である。
【0050】
図4に示すように、ガス精製装置1は、内部配管8に挿通された加熱部4の周囲を覆う管内不純物除去部9を備えている。管内不純物除去部9は、内部配管8において原料ガスの不純物を除去している。管内不純物除去部9は、内筒部34と内部配管8との間に配置されている。管内不純物除去部9は、環状に形成され、管内不純物除去部9の内側に内筒部34が挿通されている。管内不純物除去部9は、内部配管8及び/又は内筒部34に取り付けられている。本実施形態において、管内不純物除去部9は、円環状に形成されているが、これに限られない。
【0051】
内筒部34(加熱部4)の第2軸方向D12の端部は、管内不純物除去部9の第2軸方向D12の端部よりも第2軸方向D12側に配置されている。管内不純物除去部9の軸方向D1に沿った長さは、不純物除去部2の軸方向D1に沿った長さと実質的に同じである。管内不純物除去部9の軸方向D1の端部は、軸方向D1において、不純物除去部2の軸方向D1の端部と実質的に同じ位置に配置されている。
【0052】
管内不純物除去部9は、触媒、ゲッター材及び吸着材のうち少なくとも1つを含む管内充填材91を備えている。管内充填材91は、充填材21と実質的に同じであってもよく、異なってもよい。ガス精製装置1は、供給部6を流れる原料ガスを加熱する加熱部をさらに備えていてもよい。
【0053】
本実施形態において、供給部6から供給された原料ガスは、管内充填材91を通過して不純物が除去された後に、充填材21を通過してさらに不純物が除去され、精製ガスとして排出部7から排出される。管内充填材91は、例えば、加熱部4によって加熱される。充填材21は、例えば、外側加熱部5及び管内充填材91を通過したガスによって加熱される。精製容器3内のガス流れは、第2実施形態と同様である。
【0054】
[1]
以上、本開示のガス精製装置1は、原料ガスの不純物を除去する不純物除去部2と、不純物除去部2が収容された精製容器3と、不純物除去部2と接触しない状態で精製容器3の内側に設けられると共に精製容器3を内側から加熱する加熱部4と、を備え、加熱部4は、精製容器3に着脱可能に取り付けられている。
【0055】
斯かる構成によれば、精製容器3の内側に設けられた加熱部4を精製容器3から容易に取り外すことができ、加熱部4を精製容器3に容易に取り付けることができる。これにより、精製容器3の内側に設けられた加熱部4の修理や交換を容易にすることができる。
【0056】
[2]
上記実施形態[1]に係るガス精製装置1おいて、精製容器3は、不純物除去部2がその周囲を取り囲むように配置されており、加熱部4が着脱可能に収容される内筒部34を備える、という構成が好ましい。
【0057】
斯かる構成によれば、加熱部4の抜き差しによって、加熱部4を内筒部34(精製容器3)に容易に着脱することができる。また、加熱部4の着脱時に加熱部4が不純物除去部2と接触することを防止することができる。
【0058】
[3]
上記実施形態[1]に係るガス精製装置1は、精製容器3の内側で且つ不純物除去部2よりも上流側に配置されるバッフル板を備える、という構成が好ましい。
【0059】
斯かる構成によれば、不純物除去部2よりも上流側において、原料ガスの流路をバッフル板によってコントロールすることができ、原料ガスの流速が増え、且つ、原料ガスと加熱部4との接触時間も増える。 これにより、加熱効率が向上して原料ガスの温度を高めることができ、精製ガスの精製純度を高めることができる。
【0060】
[4]
上記実施形態[1]~[3]の何れか1つに係るガス精製装置1は、精製容器3に原料ガスを供給する供給部6と、不純物除去部2を通過した精製ガスを精製容器3から排出する排出部7と、を備え、供給部6及び排出部7は、精製容器3の一方端に配置されている、という構成が好ましい。
【0061】
斯かる構成によれば、ガス精製装置1と供給部6の配管との接続点と、ガス精製装置1と排出部7の配管との接続点と、を同一平面上に設けることができる。これにより、配管の計画および施工が容易になり、ガス精製装置1と供給部6及び排出部7の配管構成が簡素化される。
【0062】
[5]
上記実施形態[1]、[3]又は[4]に係るガス精製装置1は、精製容器3に原料ガスを供給する供給部6と、一端81が供給部6と接続されると共に他端82が精製容器3の内部で開口する内部配管8と、を備え、加熱部4は、内部配管8に所定の間隔を有した状態で配置されている、という構成が好ましい。
【0063】
斯かる構成によれば、内部配管8を流れる原料ガスを加熱部4で加熱することができる。これにより、加熱された原料ガスが通過した際に、不純物除去部2(充填材21)を加熱することができ、不純物除去部2(充填材21)の加熱効率を高めることができる。その結果、例えば、精製ガスの純度を高めることができる。また、加熱部4の着脱時に加熱部4が不純物除去部2と接触することを防止することができる。
【0064】
[6]
上記実施形態[5]に係るガス精製装置1おいて、精製容器3は、内部配管8に配置された加熱部4が着脱可能に収容される内筒部34を備える、という構成が好ましい。
【0065】
斯かる構成によれば、加熱部4の抜き差しによって、加熱部4を内筒部34(精製容器3)に容易に着脱することができる。
【0066】
[7]
上記実施形態[6]に係るガス精製装置1は、内筒部34と内部配管8との間に、内部配管8に挿通された加熱部4の周囲を覆うと共に原料ガスの不純物を除去する管内不純物除去部9を備える、という構成が好ましい。
【0067】
斯かる構成によれば、原料ガスが管内不純物除去部9を通過することによって不純物が除去され、管内不純物除去部9を通過したガスが不純物除去部2を通過することによってさらに不純物が除去される。即ち、原料ガスが不純物除去部2,9を通過する距離を増やすことによって、不純物と充填材21,91との接触率を高めることができる。これにより、精製ガスの純度を高めることができる。
【0068】
[8]
上記実施形態[1]~[7]の何れか1つに係るガス精製装置1は、精製容器3を外側から加熱する外側加熱部5と、精製容器3から熱が逃げることを抑制する断熱部と、のうち少なくとも一方を備え、外側加熱部5及び/又は断熱部は、精製容器3の周囲を覆うように配置されている、という構成が好ましい。
【0069】
斯かる構成によれば、外気によって精製容器3の内側温度が下がることを抑制、即ち、精製容器3を保温することができる。外側加熱部5を設けた場合、精製容器3に収容された不純物除去部2(充填材21)の加熱効率を高めることができる。
【0070】
なお、ガス精製装置1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ガス精製装置1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記した複数の実施形態の各構成等を任意に採用して組み合わせてもよく、さらに、下記する各種の変更例に係る構成等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成等に採用してもよいことは勿論である。
【0071】
(A)上記第2実施形態において、内部配管8の他端82は、精製容器3の内側で開口している、という構成であるが、これに限られない。例えば、内部配管8は、不純物除去部2と保持部38との間に複数の貫通孔又はスリットを備え、内部配管8の他端82は、保持部38と接続されている、という構成であってもよい。斯かる構成においては、複数の貫通孔又はスリットから原料ガスが流れ出る。
【0072】
(B)上記第2実施形態において、内部配管8は、直管であるが、これに限られない。例えば、内部配管8は、T字管であってもよい。斯かる構成においては、内部配管8の第1軸方向D11の端部(上端部)に加熱部4を挿通するための貫通孔が設けられ、その端部が加熱部4の保持部38となる。また、例えば、内部配管8は、クロス管であってもよい。斯かる構成においては、内部配管8の第1軸方向D11側(上側)が筒部37となる。
【符号の説明】
【0073】
1…ガス精製装置、2…不純物除去部、21…充填材、3…精製容器、31…第1端部、32…第2端部、33…側部、34…内筒部、35…開口部、36…蓋部、37…筒部、371…筒部本体、372…第1フランジ部、38…保持部、4…加熱部、5…外側加熱部、6…供給部、7…排出部、8…内部配管、83…第2フランジ部、9…管内不純物除去部、91…管内充填材、L1…中心軸
【要約】
【課題】精製容器の内側に設けられた加熱部を容易に修理や交換することが可能なガス精製装置を提供する。
【解決手段】ガス精製装置1は、原料ガスの不純物を除去する不純物除去部2と、不純物除去部2が収容された精製容器3と、不純物除去部2と接触しない状態で精製容器3の内側に設けられると共に精製容器3を内側から加熱する加熱部4と、を備え、加熱部4は、精製容器3に着脱可能に取り付けられている。
【選択図】
図1