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  • 特許-自動車ロック、特にリフトゲートロック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】自動車ロック、特にリフトゲートロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/90 20140101AFI20230117BHJP
   E05B 83/16 20140101ALI20230117BHJP
【FI】
E05B81/90
E05B83/16 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020520568
(86)(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 DE2018100833
(87)【国際公開番号】W WO2019072339
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】102017123622.8
(32)【優先日】2017-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロス, マーティン
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】カナダ国特許出願公開第02324720(CA,A1)
【文献】特開2005-068722(JP,A)
【文献】実開昭63-184873(JP,U)
【文献】国際公開第2010/122887(WO,A1)
【文献】米国特許第05649726(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ロック(1)、特にリフトゲートロックであって、回転式ラッチと少なくとも1つの爪とからなるロッキング機構と、前記自動車ロック(1)のハウジング(2)上に枢動可能に取り付けられた作動レバー(6)を有する緊急作動装置とを備え、前記作動レバー(6)をばね(8)の力に抗して作動させることができ、ブロックされたロッキング機構を前記作動レバー(6)によって手動でブロック解除することができる、自動車ロックにおいて、前記作動レバー(6)を前記ハウジング(2)に相互ロック式に連結することができ
前記作動レバー(6)が、前記ハウジング(2)と係合させることができる弾性延長部(8)を有することを特徴とする、自動車ロック(1)。
【請求項2】
前記作動レバー(6)を前記ハウジング(2)上に嵌めることができることを特徴とする、請求項1に記載の自動車ロック(1)。
【請求項3】
前記作動レバー(6)がばね要素(10)有し、前記ばね要素(10)を前記ハウジング(2)と係合させることができることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車ロック(1)。
【請求項4】
前記ばね要素(10)を前記ハウジング(2)内の凹部(17)と係合させることができることを特徴とする、請求項2に記載の自動車ロック(1)。
【請求項5】
前記作動レバー(6)が、前記ハウジング(2)の円筒状隆起部分(5)上で案内され得ることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車ロック(1)。
【請求項6】
前記作動レバー(6)が、ハンドリング手段(7)を有し、前記ハンドリング手段(7)を解放レバーと係合させることができることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の自動車ロック(1)。
【請求項7】
前記ハンドリング手段(7)が、ガイドトラック(19)によって前記ハウジング(2)上で案内され得ることを特徴とする、請求項に記載の自動車ロック(1)。
【請求項8】
前記ハンドリング手段(7)および前記延長部(8)が、前記作動レバー(6)上で反対に、特に互いに正反対に位置することを特徴とする、請求項6又は7に記載の自動車ロック(1)。
【請求項9】
前記作動レバー(6)、前記ハンドリング手段(7)、前記ばね手段(10)および前記延長部(8)が、一体的にプラスチック射出成形部品として形成され得ることを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の自動車ロック(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ロック、特にリフトゲートロックであって、回転式ラッチと少なくとも1つの爪とからなるロッキング機構と、自動車ロックのハウジング上に枢動可能に取り付けられた作動レバーを有する緊急作動装置とを備え、作動レバーをばねの力に抗して作動させることができ、ブロックされたロッキング機構を手動でブロック解除することができる、自動車ロックに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の自動車は、大部分が電気で作動される。この場合、電気的作動は、例えば、ドアおよび/またはリフトゲートの閉鎖システムのロック解除またはロッキング、ならびに、例えば、リフトゲートの電気的開口に関連する。リフトゲートの電気的開口のために、制御コマンドが、例えば、無線リモートコントロールによって自動車に送信され、それにより、リフトゲートが自立的に開く。この場合、一方では、閉鎖システムは電気的にブロック解除されており、リフトゲートは、例えば電気的作動によって開くことができる。
【0003】
この目的のために、閉鎖システム自体には、電気駆動装置が設けられており、それによって、回転式ラッチおよび爪からなるロッキング機構が、ブロック位置からブロック解除位置に移動される。ストライカに係合されるロッキング機構がブロック解除により解放されるため、ストライカは自由になり、リフトゲートは開口運動を行うことができる。この場合、作動される閉鎖システムは、自動車内の作動電圧の存在に関連付けられる。停電または電力の減少のために、自動車ロックを開くのに十分な作動電圧が得られない場合、自動車ロックを再び開くことはできない。この目的のために、電動式の閉鎖システムには緊急作動装置が設けられなければならない。ロッキング機構は、緊急作動装置を用いて手動でブロック解除することができる。
【0004】
自動車ロック用の緊急作動装置は、先行技術から以前から知られている。
【0005】
リフトゲートロックは、カナダ国特許出願公開第2324720号明細書から知られており、手動で作動できる緊急作動装置を有する。これに関連して、緊急作動レバーが、リフトゲートロックの外面に締結されており、ハンドリング手段によって表面に沿って枢動可能である。この場合、緊急作動レバーの枢動は、コイルばねの力および結合アームに抗って行われ、緊急作動レバーは、リベット接続によって自動車ロックに連結される。緊急作動レバー上に形成された延長部がカップリングアームと係合し、カップリングアームによって、対応する運動学が、ロッキング機構をブロック解除するために作動される。したがって、停電が発生した場合、緊急作動レバーを使用してテールゲートを手動で開くことができる。
【0006】
自動車ロックに組み込まれた緊急作動装置は、独国特許第69907356号明細書から知られている。この場合、緊急レバーが自動車ロック内に枢動可能に取り付けられており、手動操作により自動車ロックを開くことができる。ロッキング波状電流に接続され、ハウジングから外方向に延びる緊急レバーは、この場合、緊急作動装置として働く。
【発明の概要】
【0007】
既知の先行技術は、すべての点で説得力があるとは限らない。したがって、統合された解決策は、自動車ロックのコンパクトな構造を妨げ、さらに、必要な多数の構成要素がコストを増加させ、および/または設置を困難にする可能性がある。これが本発明の出発点である。
【0008】
本発明の目的は、改良された自動車ロックを提供することである。また、本発明の目的は、最小限の構造的手段で、自動車ロックの確実な緊急作動を可能にする緊急作動装置を提供することである。
【0009】
この目的は、独立請求項1の特徴によって本発明にしたがって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。以下に説明する例示的な実施形態は限定的ではなく、説明、従属請求項および図面に説明される特徴のいかなる可能な変形も可能であることが指摘される。
【0010】
請求項1によれば、本発明の目的は、自動車ロック、特にリフトゲートロックであって、回転式ラッチと少なくとも1つの爪とからなるロッキング機構と、自動車ロックのハウジング上に枢動可能に取り付けられた作動レバーを有する緊急作動装置とを備え、作動レバーをばねの力に抗して作動させることができ、ブロックされたロッキング機構を手動でブロック解除することができ、作動レバーを形状嵌合によってハウジングに連結することができる、自動車ロックによって達成される。
【0011】
本発明による自動車ロックの構造により、最小の構造的手段で自動車の信頼できる緊急作動を可能にする可能性が生み出される。特に、自動車ロックのハウジング内の作動レバーの形状嵌合式収容により、緊急作動に必要な構成要素を最小限に減らすことを可能にする。
【0012】
さらに、作動レバーをハウジングの外面、特に、ブーツ空間の方向に向けられた表面に連結することにより、ロッキング機構のブロック解除のために、作動レバーを容易に把持してこれを作動させ、特にこれを枢動させる可能性が、提供される。本発明の好適で単純な実施形態では、作動レバーは、例えば、クリップ連結によってハウジングに挿入可能であるように設計することができる。この場合、ハウジングは、作動レバーを導入することができ、ハウジングに非枢動式に連結することができる開口部を有する。この場合、ハウジングは、一方では作動レバーの締結のために働き、他方では、ハウジングはそれと同時にレバーを案内するために働く。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、作動レバーをハウジングに嵌めることができる。作動レバーを嵌めることにより、作動レバーのためのガイド手段を追加的に設けることができる。作動レバーは、その枢動運動において、ハウジングおよび/または作動レバーの輪郭によって案内され得る。この場合、作動レバーは、形状嵌合によってハウジングに接合され得る。好適な方法では、例えばハウジング上に半径を有する輪郭を形成することができ、ここでは、作動レバーは相補的な形状を有することができ、それにより作動レバーは、ハウジングの半径に沿って枢動可能である。作動中に、作動レバーが連続的に半径と当接する場合、作動レバーは、枢動運動に沿って、すなわち、完全な作動経路にわたって案内され得る。この場合、作動レバーとハウジングとの間の形状嵌合は、作動レバーをぴったりと嵌めることによって達成され得る。
【0014】
一実施形態の変形形態では、作動レバーがばね要素を有する場合が有効であり、ここでは、ばね要素をハウジングと係合させることができる。この場合、作動レバーに一体的に形成されたばね要素により、作動レバーを自動車のハウジング上に容易かつ確実に固定することが可能になる。したがって、作動レバーは、例えば直接ハウジングに取り付けることができ、ここではばね要素は、例えば弾性的にハウジングの輪郭に係合し、クリップ連結の形態で、作動レバーをロックハウジングにしっかりと連結する。したがって、ばね要素により、確実な締結を達成することができ、それと同時に、作動レバーの非常に簡単な設置が可能になる。
【0015】
この場合、ばね要素は、例えば、ハウジングとの作動レバーの確実な連結を達成するために、ハウジング上の縁または輪郭の後方に係合することができる。それと同時に、例えば、停止輪郭が、ばね要素と共働することができ、それにより、ばね要素は、作動レバーの停止手段として働くことができる。したがって、一方では、ばね要素は確実な締結として働くことができ、他方では、容易な設置を促すことができ、さらに、その操作は停止を含む。したがって、ばね要素は、作動レバー上の複数の機能を果たすことができる。
【0016】
本発明の好適な実施形態は、ばね要素をハウジング内の凹部と係合させることができるときに生み出される。ばね要素は、凹部内に好適に係合することができ、それにより、作動レバーは、ハウジングに嵌めるか、またはハウジングに挿入するだけでハウジングに連結することができる。したがって、作動レバーのためのさらなる締結手段は、必要ない。この場合、ばね要素は、例えば、クリップ輪郭の形態で構成することができ、ばね要素は、凹部の方向に付勢され得る。凹部の方向に付勢することにより、ハウジング上の設置後、ばね要素は、少なくとも部分的にハウジングの後方に係合し、それにより、作動レバーとハウジングとの間の確実な連結を生み出すことができる。ばね要素は、凹部の方向に付勢される。換言すれば、設置中、ばね要素は、設置中にばね要素が偏向され、最終位置に達した後、ばね要素が元の位置に戻されるように案内され、ここではばね要素は、ハウジングの凹部内に突起する。凹部内のばね要素による係合により、作動レバーをハウジングに確実に設置することができる。
【0017】
この場合、ばね要素は、ばね要素が凹部内の端部領域と組み合わせて相互作用するように、凹部と相互作用することができる。したがって、凹部と相互作用するばね要素によって、作動レバーの移動制限を生み出すことができる。したがって、凹部内の開口部の幅と相互作用するばね要素による作動レバーの枢動運動は、枢動制限器として使用され得る。換言すれば、ばね要素は、凹部と相互作用する停止手段として作用することができる。
【0018】
ばね要素は、別個のばね、例えば、板ばねまたは渦巻ばねとすることができる。しかし、ばね要素は、有利には、作動レバーと一体的に形成することができる。
【0019】
一実施形態のさらなる変形例では、作動レバーは、ハウジング上の円筒状突起上で案内され得る。円筒状突起は、容易に、したがって好適にハウジング上に形成され得る。さらに、作動レバー内のボアとして構成された開口部との相互作用する円筒状突起は、作動レバーの取り付け点を形成することができる。取り付けの機能に加えて、円筒状突起は、作動レバーの設置を単純化することもできる。例えば、円筒状突起は、その自由な軸方向の端部に円錐形、すなわち、傾斜を設けることができ、それにより、作動レバーの設置をより簡単にすることができる。円筒状開口部が作動レバー上に形成される場合、ハウジング上の円筒状突起は、作動レバーの枢動のための信頼できる手段を提供する。この場合、作動レバー内の円筒状開口部は、ハウジング上の円筒状突起を少なくとも部分的に囲むことができる。このようにして、開口部と突起との間の嵌合の構成により、耐用期間全体にわたって作動レバーの操作の容易さをどのように予め決定することができるかを規定することが好適に可能である。
【0020】
一実施形態の変形形態では、作動レバーがハンドリング手段を有する場合が有効であり、ここではハンドリング手段を解放レバーに係合させることができる。ハンドリング手段は、作動レバーを手動で作動させるために操作者に役立つ。作動レバーはハウジング上に設置されており、特に、自動車ロックは、リフトゲートが閉じた状態で、作動レバーを操作者が手動で実施できるように自動車内に設置される。作動レバーがハンドリング手段を有する場合、操作者は、作動レバーを実装することができ、解放レバーと相互作用して、自動車ロックをブロック解除することができる。ハンドリング手段は、好ましくは、例えば矢印またはマーキングなどの操作指示を有することができる。好適には、ハンドリング手段は、作動レバーがこの時点で枢動されるべきであることを操作者に明らかにするために、着色することもできる。
【0021】
この場合、ハンドリング手段は解放機構と係合しており、ここでは、例えば、解放レバーが、ハンドリング手段を解除レバーと係合させることができるように自動車ロック内に配置される。この目的のために、ハンドリング手段は、ロック内に延びることができ、または解放レバーは、ロックから突出することができる。ここで解放レバーについて言及する場合、解放レバーは、ロッキング機構と間接的に相互作用することもできる。したがって、解放レバーは、ロッキング機構をブロック解除するための解放チェーン内の単なる連結部材または結合部材であることもできる。この場合、ロッキング機構をブロック位置からブロック解除位置に移動させることができるように、ハンドリング手段が解放チェーンの運動学と相互作用することが重要である。
【0022】
一実施形態のさらなる変形形態では、ハンドリング手段は、ハウジング上のガイドトラックによって案内され得る。作動レバーは、軸を中心に枢動可能であるようにハウジング内またはハウジング上に収容され、ばね要素によってハウジング上に固定することができる。この場合、作動中、すなわち枢動運動中に作動レバーを案内するガイドトラックを、ハウジング上に追加的に配置することができる。作動レバーの当接面、特にハウジング上のハンドリング手段の当接面を予め決定することができるので、作動レバーの操作のしやすさは、ガイドトラックによって支援される。特に、ガイドトラックは、ハウジングおよびハンドリング手段の移動経路に沿って外方向に延びることができる。延長部は、ハウジング上の突起として形成され得る。したがって、ガイドトラックは、ハンドリング手段、したがって作動レバーの規定された案内を容易にし、それと同時に作動レバーの容易な作動を促す。
【0023】
作動レバーが、ハウジングと係合させることができる弾性延長部を有する場合、この結果、本発明の実施形態のさらに好適な変形形態がもたらされる。作動レバーは、自動車ロックのハウジング内またはそれ上に枢動可能に配置される。作動レバーの復元力を達成するために、この実施形態では、作動レバーは、ハウジングと係合させることができる延長部を有する。この場合、延長部は、作動レバーの枢動軸から始まり、径方向外側の方向に延び、それにより、延長部は、径方向延長部として説明することができる。延長部は、ハウジング突出部の方向に延び、ハウジング突出部と係合している。この場合、ハウジング突出部は、例えば、自動車ロック内にさらなる構成要素を設置するために必要なハウジング内の隆起部分によって形成することができる。例えば、隆起部分は、モータギアユニットが自動車ロック内に配置される場所に配置することができ、隆起部分は、モータギアユニットの寸法およびサイズに基づいて自動車ロック内に生み出される。次に、作動レバー上の延長部または伸延部は、作動レバーをハウジング上の延長部の当接部によってその位置に保持できるようにハウジングと係合している。
【0024】
停止部は、好適には、延長部の反対側の作動レバーの端部においてハウジングによって形成され得る。作動レバーの信頼性の高い位置決めは、延長部とハウジングに形成された停止部との相互作用によって行うことができる。したがって、位置決めは、作動レバーと解放レバーとの係合とは無関係に行われる。したがって、作動レバーは、解放レバーとの係合によってばね付勢力に拘束されず、自動車ロック上の解放レバーの位置とは無関係に保持することができる。延長部は、例えば、長方形の先細りの延長部として形成することができる。
【0025】
一実施形態のさらなる変形形態では、ハンドリング手段および延長部は、作動レバー上で互いに反対に、特に互いに正反対に形成される。ハンドリング手段および延長部が互いに反対に形成されている場合、この結果、枢動運動のために必要なスペースが小さくなるため、作動レバーを形成するための構造的に好適な解決策が得られる。さらに、延長部のために自動車ロックの他の領域を使用することができ、それにより、延長部のために別個の停止部を形成する必要はない。作動レバーの偏向中の力比は、正反対の配置によって確実に設定することもできるので、作動レバーの後方への移動を確実に行うことができる。
【0026】
一実施形態のさらなる変形形態は、作動レバー、ハンドリング手段、ばね要素および延長部を、好ましくはプラスチック射出成形部品として一体的に形成できるときに生み出される。作動レバーの一体形成により、緊急作動装置を実現するために必要な構成要素の数が最小限に抑えられる。したがって、作動、作動レバーの固定、およびばねプリテンションの達成は、単一の構成要素から生み出され得る。加えて、例えばハウジング上の突起の凹部と相互作用するばね要素の形成により、容易な設置が非常に簡単になり、容易な設置が可能になり、作動レバーの確実な保持が保証される。
【0027】
本発明は、好ましい例示的な実施形態に基づいて、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。しかし、原則として、例示的な実施形態は、本発明を限定せず、一実施形態を構成するにすぎない。例示する特徴は、個々に、または特許請求の範囲でもあるような本明細書の個々のまたは組み合わせたさらなる特徴と組み合わせて実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明にしたがって設計された作動レバーが設置位置にある自動車ロックのハウジングの三次元図である。
図2】自動車ロックハウジングおよびハウジング上に形成された隆起部分の三次元図である。
図3】別個の構成要素として本発明にしたがって設計された作動レバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1では、自動車ロック1、特に自動車ロック1のハウジング2が、三次元図で示されている。ハウジング2は、自動車ロックの一部として、自動車ロック1の他の構成要素とは別に示されている。入口開口部3を見ることができ、この中にストライカ(図示せず)を、自動車ロック1内のロッキング機構と相互作用するために挿入することができる。ハウジング2またはハウジング部分は、解放レバーが通過できる凹部4を有する。ハウジング2上の円筒状隆起部分5上に作動レバー6が、設置されている。作動レバー6は、円筒状隆起部分6に枢動可能に設置されている。この場合、作動レバー6は、ハンドリング手段7と、弾性延長部8とを有する。加えて、ばね要素10が、作動レバー6の開口部9内に配置される。
【0030】
作動レバー6は、作動レバー6が円筒状隆起部分5上に嵌合できるようにハウジング2に連結される。この目的のために、円筒状隆起部分5は、プラスチック製のハウジング2に一体的に連結される。ハウジング2は、例えば、ハウジングカバーを形成する自動車ロックのハウジングの少なくとも一部である。さらに、ハウジングは、モータおよび/またはトランスミッションを収容するための領域11含み、ここではモータおよび/またはトランスミッションを、例えば、ハウジング2に挿入することができる。この場合、モータおよび/またはトランスミッションは、ハウジング、好ましくは図1の図では背面に挿入され得る。いずれの場合にも、モータおよび/またはトランスミッション収容部11は、延長部8のための停止面12を形成する。さらなるフリースペース13、14は、例えば、ロッキング機構のための取り付け軸線を収容するように働く。例えばギアのような伝達要素が、例えばボア15内に取り付けられ得る。
【0031】
図1に示す作動レバー6の位置から開始して、作動レバー6は、時計回りの方向に矢印Pの方向に枢動可能である。この開始位置では、図1に示すように、作動レバー6は、延長部8の当接によって停止面12上に保持される。この例示的な実施形態では、作動レバー6は一体的に構成され、プラスチックから作製される。延長部8はばねとして作用し、それにより、作動レバー6の作動中に延長部8が変形され、作動レバー6をその開始位置に戻すばね力が発生する。
【0032】
作動レバー6が時計回り方向に枢動されると、ハンドリング手段7上の当接面16が解放レバーと係合する。この例示的な実施形態では、例えば、解放レバー(図示せず)は、凹部4を通って延びることができ、支承面16と係合することができる。作動レバー6を時計回り方向に移動させることにより、解放レバーは、それに応じて枢動可能となり、それにより、ロッキング機構をブロック解除することができる。
【0033】
ハウジング2の隆起部分5の拡大図が、図2に示されている。この場合、ハウジング部2は、作動レバー6なしで示されている。明らかなように、アンダーカットを形成する凹部17が、隆起部分5内に成形される。ばね要素10は、このアンダーカットに係合することができる。さらに、隆起部分5は導入をより容易にする働きをする導入傾斜面18を有する。
【0034】
作動レバー6は、円筒状隆起部分5上に嵌められており、ここではばね要素10は偏向され、作動レバー6の設置位置に達した後、凹部17内に係合する。作動レバー6は、ばね要素10および凹部17内のばね要素10の係合によって、ハウジング2にしっかりと連結することができる。この場合、作動レバー6は、一方では、隆起部分5によって案内され、それにより、作動レバー6の枢動運動を容易にすることができ、他方では、ガイドトラック19が、ハウジング2上に形成され、それにより、作動レバー6の容易な作動を促すことができる。
【0035】
この例示的な実施形態では、別個の停止部20が、ハウジング2上に形成される。この例示的な実施形態では、停止部20は、ハンドリング手段7と相互作用する。したがって、一方では、作動レバー6は、弾性延長部8および停止部20によってその位置に保持される。この場合、延長部8およびハンドリング手段の正反対の配置は、延長部8が作動レバー6を停止部20に押し付けるように設計されており、それにより、ハウジング2上の作動レバー6の確実であそびのない取り付けを容易にすることができる。
【0036】
作動レバー6は、図3では別個の構成要素として示されている。延長部8、ばね要素10およびハンドリング手段7を備えた作動レバー6の釣り合いのとれた構造をはっきりと見ることができる。作動レバー6を隆起部分5上に取り付けることができるボア21が、作動レバー6上に形成されている。ばね要素10は、径方向端部22とともにボア21内に突出し、それにより、円筒状隆起部分5と径方向端部22との間の重なりを容易にすることができる。こうして、ばね要素10は、ハウジング2とのクリップ連結を形成する。
【0037】
構造的に単純な緊急作動装置は、ハウジング2の形成と相互作用する本発明による作動レバー6の構造によって達成することができ、この作動レバー6は最小限の構造構成要素で、ブロッキング機構のロック解除のための運動学的解放チェーンの確実であそびがなく、容易な作動を形成する。
【符号の説明】
【0038】
1…自動車ロック、2…ハウジング、3…入口開口部、4、17…凹部、5…隆起部分、6…作動レバー、7…ハンドリング手段、8…延長部、9…開口部、10…ばね要素、11…モータおよび/またはトランスミッション収容部、12…停止面、13、14…フリースペース、15…ボア、16…当接面、18…導入傾斜面、19…ガイドトラック、20…停止部、21…ボア、22…径方向端部、P…矢印。
図1
図2
図3