(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230117BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2018179829
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】591023479
【氏名又は名称】ダイダン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【氏名又は名称】大塚 義文
(72)【発明者】
【氏名】前園 武
(72)【発明者】
【氏名】熊尾 隆丈
(72)【発明者】
【氏名】松田 侑樹
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-207585(JP,A)
【文献】国際公開第2017/216872(WO,A1)
【文献】特開2016-167700(JP,A)
【文献】特開2017-163609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の領域内にある被制御機器を領域外から通信ネットワークを介して制御する遠隔制御システムであって、
前記領域外に設けられた制御手段と、
前記領域内に設けられた信号変換手段と、を備え、
前記制御手段は、前記被制御機器の制御信号を生成する制御信号生成部と、前記制御信号を送信する制御信号送信部とを有し、
前記信号変換手段は、前記制御信号を受け取り、前記被制御機器の信号形式に変換した後で前記被制御機器の制御部に送る信号処理部を有し、
前記制御信号送信部は、前記被制御機器に対応付けて最新の制御信号を記憶しており、特定の間隔で前記最新の制御信号を送信
し、
前記信号変換手段は、新たな制御信号を受信するまで、前回の制御信号の内容を記憶する記憶部を有し、新たな制御信号を受信した場合に、記憶していた制御信号の内容を前記制御信号送信部に返信し、
前記制御信号送信部は、送信した前回の制御信号の内容と、前記信号変換手段に記憶されていた制御信号の内容とに違いがあるかを判定する、
ことを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項2】
管理対象の領域内にある被制御機器を領域外から通信ネットワークを介して制御する遠隔制御システムであって、
前記領域外に設けられた制御手段と、
前記領域内に設けられた
エッジデバイスおよび信号変換手段と、を備え、
前記制御手段は、前記被制御機器の制御信号を生成する制御信号生成
部を有し、
前記エッジデバイスは、前記制御信号を送信する制御信号送信部を有し、
前記信号変換手段は、前記制御信号を受け取り、前記被制御機器の信号形式に変換した後で前記被制御機器の制御部に送る信号処理部を有し、
前記制御信号送信部は、前記被制御機器に対応付けて最新の制御信号を記憶しており、特定の間隔で前記最新の制御信号を送信
し、
前記信号変換手段は、新たな制御信号を受信するまで、前回の制御信号の内容を記憶する記憶部を有し、新たな制御信号を受信した場合に、記憶していた制御信号の内容を前記制御信号送信部に返信し、
前記制御信号送信部は、送信した前回の制御信号の内容と、前記信号変換手段に記憶されていた制御信号の内容とに違いがあるかを判定する、
ことを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項3】
管理対象の領域内にある被制御機器を領域外から通信ネットワークを介して制御する遠隔制御システムであって、
前記領域外に設けられた制御手段と、
前記領域内に設けられた信号変換手段と、を備え、
前記制御手段は、前記被制御機器の制御信号を生成する制御信号生成部と、前記制御信号を送信する制御信号送信部とを有し、
前記信号変換手段は、前記制御信号を受け取り、前記被制御機器の信号形式に変換した後で前記被制御機器の制御部に送る信号処理部を有し、
前記制御信号送信部は、前記被制御機器に対応付けて最新の制御信号を記憶しており、特定の間隔で前記最新の制御信号を送信
し、
前記信号変換手段は、新たな制御信号を受信するまで、前回の制御信号の内容を記憶する記憶部を有し、記憶する前記前回の制御信号の内容とは異なる新たな制御信号を受信した場合に、前記前回の制御信号の内容を前記制御信号送信部に返信する、
ことを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項4】
管理対象の領域内にある被制御機器を領域外から通信ネットワークを介して制御する遠隔制御システムであって、
前記領域外に設けられた制御手段と、
前記領域内に設けられた
エッジデバイスおよび信号変換手段と、を備え、
前記制御手段は、前記被制御機器の制御信号を生成する制御信号生成
部を有し、
前記エッジデバイスは、前記制御信号を送信する制御信号送信部を有し、
前記信号変換手段は、前記制御信号を受け取り、前記被制御機器の信号形式に変換した後で前記被制御機器の制御部に送る信号処理部を有し、
前記制御信号送信部は、前記被制御機器に対応付けて最新の制御信号を記憶しており、特定の間隔で前記最新の制御信号を送信
し、
前記信号変換手段は、新たな制御信号を受信するまで、前回の制御信号の内容を記憶する記憶部を有し、記憶する前記前回の制御信号の内容とは異なる新たな制御信号を受信した場合に、前記前回の制御信号の内容を前記制御信号送信部に返信する、
ことを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項5】
前記信号変換手段は、自身が有する制御プログラムを前記通信ネットワーク上から書き換える機能を有しない、ことを特徴とする請求項1
ないし請求項4の何れか一項に記載の遠隔制御システム。
【請求項6】
前記領域内には、前記信号変換手段との間で通信可能な通信装置が設けられており、
前記通信装置は、前記通信ネットワークに障害が発生した場合に、前記制御手段を介さずに前記制御信号を前記信号変換手段に送信することができる、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項
5の何れか一項に記載の遠隔制御システム。
【請求項7】
前記信号変換手段は、前記被制御機器と一体的に構成されている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の遠隔制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、建物内の設備機器(例えば、照明設備や空調設備)をコントロールする制御は、当該建物内に設置されたPLC(Programmable Logic Controller)を用いて行われる。建物内の設備機器をコントロールする技術に関して、通信ネットワークを介してPLCを遠隔地から制御する技術が従来から提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-299161号公報(段落0016、
図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載される技術では、建物内にPLCを設置しているので、依然としてPLCの管理を現地で行わなければならず、必要に応じて管理者及びシステム構築者が現地に赴いて作業を行う必要があった。例えば、部屋の用途や仕様が変わる度に、PLCの制御プログラムや設定データを書き換えるとともに配線を変更する必要があるので、従来の技術では、部屋の用途等が変わる度にエンジニアが現地に赴いてPLCの制御プログラムの書き換えや配線の変更を行わなければならなかった。
【0005】
このような観点から、本発明は、管理者の作業効率を向上させることができる、遠隔制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る遠隔制御システムは、管理対象の領域内にある被制御機器を領域外から通信ネットワークを介して制御する遠隔制御システムである。
この遠隔制御システムは、前記領域外に設けられた制御手段と、前記領域内に設けられた信号変換手段とを備える。
前記制御手段は、前記被制御機器の制御信号を生成する制御信号生成部と、前記制御信号を送信する制御信号送信部とを有する。
前記信号変換手段は、前記制御信号を受け取り、前記被制御機器の信号形式に変換した後で前記被制御機器の制御部に送る信号処理部を有する。
前記制御信号送信部は、前記被制御機器に対応付けて最新の制御信号を記憶しており、特定の間隔で前記最新の制御信号を送信する。
前記信号変換手段は、新たな制御信号を受信するまで、前回の制御信号の内容を記憶する記憶部を有し、新たな制御信号を受信した場合に、記憶していた制御信号の内容を前記制御信号送信部に返信する。前記制御信号送信部は、送信した前回の制御信号の内容と、前記信号変換手段に記憶されていた制御信号の内容とに違いがあるかを判定する。
また、本発明に係る遠隔制御システムは、管理対象の領域内にある被制御機器を領域外から通信ネットワークを介して制御する遠隔制御システムである。
この遠隔制御システムは、前記領域外に設けられた制御手段と、前記領域内に設けられたエッジデバイスおよび信号変換手段とを備える。
前記制御手段は、前記被制御機器の制御信号を生成する制御信号生成部を有し、前記エッジデバイスは、前記制御信号を送信する制御信号送信部を有する。
前記信号変換手段は、前記制御信号を受け取り、前記被制御機器の信号形式に変換した後で前記被制御機器の制御部に送る信号処理部を有する。
前記制御信号送信部は、前記被制御機器に対応付けて最新の制御信号を記憶しており、特定の間隔で前記最新の制御信号を送信する。
前記信号変換手段は、新たな制御信号を受信するまで、前回の制御信号の内容を記憶する記憶部を有し、新たな制御信号を受信した場合に、記憶していた制御信号の内容を前記制御信号送信部に返信する。前記制御信号送信部は、送信した前回の制御信号の内容と、前記信号変換手段に記憶されていた制御信号の内容とに違いがあるかを判定する。
また、本発明に係る遠隔制御システムは、管理対象の領域内にある被制御機器を領域外から通信ネットワークを介して制御する遠隔制御システムである。
この遠隔制御システムは、前記領域外に設けられた制御手段と、前記領域内に設けられた信号変換手段とを備える。
前記制御手段は、前記被制御機器の制御信号を生成する制御信号生成部と、前記制御信号を送信する制御信号送信部とを有する。
前記信号変換手段は、前記制御信号を受け取り、前記被制御機器の信号形式に変換した後で前記被制御機器の制御部に送る信号処理部を有する。
前記制御信号送信部は、前記被制御機器に対応付けて最新の制御信号を記憶しており、特定の間隔で前記最新の制御信号を送信する。
前記信号変換手段は、新たな制御信号を受信するまで、前回の制御信号の内容を記憶する記憶部を有し、記憶する前記前回の制御信号の内容とは異なる新たな制御信号を受信した場合に、前記前回の制御信号の内容を前記制御信号送信部に返信する。
また、本発明に係る遠隔制御システムは、管理対象の領域内にある被制御機器を領域外から通信ネットワークを介して制御する遠隔制御システムである。
この遠隔制御システムは、前記領域外に設けられた制御手段と、前記領域内に設けられたエッジデバイスおよび信号変換手段とを備える。
前記制御手段は、前記被制御機器の制御信号を生成する制御信号生成部を有し、前記エッジデバイスは、前記制御信号を送信する制御信号送信部を有する。
前記信号変換手段は、前記制御信号を受け取り、前記被制御機器の信号形式に変換した後で前記被制御機器の制御部に送る信号処理部を有する。
前記制御信号送信部は、前記被制御機器に対応付けて最新の制御信号を記憶しており、特定の間隔で前記最新の制御信号を送信する。
前記信号変換手段は、新たな制御信号を受信するまで、前回の制御信号の内容を記憶する記憶部を有し、記憶する前記前回の制御信号の内容とは異なる新たな制御信号を受信した場合に、前記前回の制御信号の内容を前記制御信号送信部に返信する。
【0007】
本発明に係る遠隔制御システムにおいては、管理対象の領域外に制御手段(例えば、PLC)があると共に被制御機器が信号変換手段を介して制御信号を受信する。そのため、部屋の用途や仕様が変わった場合でも、エンジニアが現地に赴いて制御手段の制御プログラムや設定データの書き換えや配線の変更を行わなくてよい。
さらに、通信ネットワークに障害が発生することで一時的に制御信号が被制御機器に到達しない状況になっても、障害が回復した段階で最新の制御信号を被制御機器に送信することができる。そのため、システムの管理者が障害の回復後に制御信号を送信しなくてよい。
また、悪意ある第三者が被制御機器に偽りの制御信号を送信したとしても、特定の間隔で送信される制御信号によって被制御機器が保有する内容が上書きされる。そのため、被制御機器が第三者によって継続的にコントロールされることを防ぐことができる。
また、通信ネットワークに障害が発生することで一時的に制御信号が被制御機器に到達しない状況になっても、信号変換手段が保有する制御信号の内容を用いて被制御機器を制御することができる。そのため、制御信号の到達が途切れても、稼働していた被制御機器が突然停止することがない。
また、前回の制御信号の内容が返信されるので、システム障害や悪意ある制御信号の改ざんを容易に発見することができる。
【0008】
前記信号変換手段は、自身が有する制御プログラムを通信ネットワーク上から書き換える機能を有しないものとする(書き換える機能が制限されている場合も含む)。
このようにすると、信号変換手段をハッキングされたとしても信号変換手段そのものを乗っ取ることはできない。そのため、第三者によるハッキングの対象を限定することができる。
【0011】
前記信号変換手段との間で通信可能な通信装置が前記領域内に設けられている場合には、前記通信装置は、前記通信ネットワークに障害が発生したときに、前記制御手段を介さずに前記制御信号を前記信号変換手段に送信する構成であるのがよい。
このようにすると、通信ネットワークに障害が発生することで一時的に制御手段から被制御機器に対して制御信号を送信できない状況になっても、通信装置を用いて制御信号を送信できる。そのため、通信ネットワークに障害が発生したとしても、管理対象の領域内の人間が意図する制御を行うことができる。
【0012】
前記信号変換手段は、前記被制御機器と一体的に構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、管理者の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る遠隔制御システムの概略構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る遠隔制御システムにおける動作(被制御機器の状態情報の収集)のフローチャートの例示である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る遠隔制御システムにおける動作(被制御機器の遠隔制御)のフローチャートの例示である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る遠隔制御システムの概略構成図である。
【
図5】実施例1に係る遠隔制御システムの概略構成図である。
【
図6】仮想PLCおよびコレクターのイメージ図である。
【
図7】実施例2に係る遠隔制御システムの概略構成図である。
【
図8】実施例3に係る遠隔制御システムの概略構成図である。
【
図9】実施例4に係る遠隔制御システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施をするための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0016】
第1実施形態では、本発明の実施形態の中でも基礎的なシステム構成を説明する。第2実施形態では、第1実施形態の基礎的なシステム構成のバリエーションの概要を説明する。各実施例では、第2実施形態で説明したシステム構成のバリエーションの具体例を説明する。
【0017】
[第1実施形態]
<第1実施形態に係る遠隔制御システムの構成>
図1を参照して、第1実施形態に係る遠隔制御システム1の構成について説明する。遠隔制御システム1は、管理対象の領域(以下では「管理対象領域10」と呼ぶ)内にある被制御機器11を領域外から制御するものである。
管理対象領域10は、制御対象である被制御機器11が設置される空間であり、遠隔制御システム1の管理者が任意に設定したものであってよい。管理対象領域10は、屋内、屋外のどちらでもよく、例えば、住宅・ビルなどの建物、工場・病院・養殖場・農場などの施設、建物や施設が集合した地域、およびこれらの一部の区域を含むものである。
【0018】
図1に示す遠隔制御システム1は、被制御機器11と、信号変換手段12と、制御手段20とを主に備える。被制御機器11および信号変換手段12は、管理対象領域10内に設置される。制御手段20は、管理対象領域10の外に設置されており、制御信号生成部21と、制御信号送信部22とを備える。信号変換手段12と制御手段20とは、通信ネットワーク30を介して接続される。通信ネットワーク30は、情報を送受信することができるものであればよく、有線・無線のどちらでもよい。通信ネットワーク30には、例えば、公衆通信網、専用通信網が含まれる。
【0019】
被制御機器11は、制御対象となるものであり、種類は特に限定されない。被制御機器11には、例えば、センサ、スイッチ、設備機器(例えば、照明器具や空調機器)などが含まれる。
【0020】
制御手段20は、被制御機器11を遠隔操作するものである。制御手段20は、例えばクラウドサーバ、もしくは、クラウドシステムの一部をなすものであってもよい。制御手段20は、制御信号生成部21と、制御信号送信部22とを備える。制御信号生成部21および制御信号送信部22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理により実現される。制御信号生成部21と制御信号送信部22とは、
図1に示すように同一装置内に存在していてもよいし、二つの機能が別々の装置に存在していてもよい(詳細は後記する実施例3(
図8)を参照)。
【0021】
制御信号生成部21は、被制御機器11を制御するための制御信号を生成する。制御信号生成部21は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)をサーバで実現した仮想PLCである。制御信号の内容は、制御対象の被制御機器11の種類によって異なる。被制御機器11がセンサやスイッチの場合、例えば制御信号はON/OFF制御であり、被制御機器11が設備機器(電動弁や空調機など)の場合、例えば制御信号は目標値などの値の設定制御である。
【0022】
制御信号生成部21における制御信号の生成方法は特に限定されない。制御信号生成部21は、例えば、被制御機器11から情報を収集し、その収集した情報に基づいて当該被制御機器11や他の被制御機器11の制御信号を生成する。なお、制御信号生成部21は、被制御機器11から収集した情報の解析結果に基づいて、当該被制御機器11や他の被制御機器11の制御信号を生成してもよい(詳細は第2実施形態で説明する)。また、制御信号生成部21は、図示しない他のシステムから情報を取得し、その取得した情報に応じて被制御機器11の制御信号を生成してもよい(詳細は第2実施形態で説明する)。また、制御信号生成部21は、管理対象領域10の管理者から被制御機器11の制御指示を受信し、その指示に応じて被制御機器11の制御信号を生成してもよい(詳細は第2実施形態で説明する)。制御信号生成部21は、生成した制御信号を制御信号送信部22に受け渡す。
【0023】
制御信号送信部22は、制御信号生成部21によって生成された制御信号を信号変換手段12に送信し、被制御機器11に伝達する。制御信号送信部22は、被制御機器11に対応付けて最新の制御信号を記憶しており、記憶した最新の制御信号を特定の間隔で信号変換手段12を介して被制御機器11に送信する。制御信号を送信する間隔は、例えば、被制御機器11の種類、制御信号の内容などにより予め決められている。制御信号送信部22は、例えば、種々の通信方式に対応しており、制御信号を被制御機器11に対応した通信方式にプロトコル変換する。被制御機器11に対応した通信方式は、例えば、Modbus、BACnet(Building Automation and Control Network)、MQTT(Message Queue Telemetry Transport)などである。そして、制御信号送信部22は、通信ネットワーク30に則した方式(例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol))で、プロトコル変換後の制御信号を送信する。
【0024】
なお、制御信号送信部22は、被制御機器11や信号変換手段12の違いを意識することなく、制御信号生成部21を構築できるように信号変換機能を有しているのがよい。詳細は実施例で説明する。
【0025】
制御信号送信部22は、制御信号の送信における処理とは逆の処理を行うことで、被制御機器11から収集(受信)した状態情報を制御信号生成部21に転送(送信)する。収集する状態情報は、被制御機器11の種類によって異なる。被制御機器11がセンサの場合、例えば状態情報は計測結果(温湿度情報などの計測値)であり、被制御機器11がスイッチの場合、例えば状態情報は操作情報(ON/OFF操作など)であり、被制御機器11が設備機器の場合、例えば状態情報は動作情報である。
【0026】
信号変換手段12は、被制御機器11を通信ネットワーク30に接続し、被制御機器11の遠隔制御や被制御機器11からのデータ収集を可能にする。信号変換手段12は、例えば独立型のIoT(Internet of Things)デバイスである。信号変換手段12は、通信ネットワーク30を介して制御信号送信部22から制御信号を受信する。信号変換手段12は、受信した制御信号を被制御機器11の信号形式に変換し、変換後の制御信号を被制御機器11に送信する。信号変換手段12における信号形式の変換機能を「信号処理部」と呼ぶ場合がある。被制御機器11の信号形式への変換は、例えば、D/A変換(電気信号への変換)、シリアル通信形式への変換、PWM(pulse width modulation)信号への変換である。
【0027】
信号変換手段12は、自身が有する制御プログラムを通信ネットワーク30上から書き換える機能を制限されていることが望ましい。例えば、信号変換手段12は、ファームウェアのバージョンアップを制限されているのがよい。ハッキングによる制御信号の改ざんを抑制するためである。
【0028】
また、信号変換手段12は、新たな制御信号を受信するまで、前回の制御信号の内容を記憶部に記憶しておくのが望ましい。その場合、信号変換手段12は、記憶する前回の制御信号の内容とは異なる新たな制御信号を受信した場合に、記憶していた前回の制御信号の内容を制御手段20に返信するのがよい。ネットワーク障害などで制御信号が途切れた場合に稼働する被制御機器11が突然停止することを防止するとともに、制御手段20が第三者によるハッキングを検知するためである。
【0029】
信号変換手段12は、制御信号の送信における処理とは逆の処理(例えば、A/D変換(電気信号からの変換))を行うことで、被制御機器11から収集(受信)した状態情報を制御信号送信部22に転送(送信)する。なお、信号変換手段12は、被制御機器11と一体的に構成されていてもよい(詳細は第2実施形態で説明する)。その場合、信号変換手段12は、被制御機器11の制御部との間で変換後の制御信号や状態情報を受け渡す。
【0030】
<第1実施形態に係る遠隔制御システムの動作>
図2および
図3を参照して、第1実施形態に係る遠隔制御システム1の動作について説明する。ここでは、遠隔制御システム1の動作を「被制御機器の状態情報の収集」と「被制御機器の遠隔制御」とに分けて説明する。
図2は、第1実施形態に係る遠隔制御システム1における動作(被制御機器の状態情報の収集)のフローチャートの例示である。
図3は、第1実施形態に係る遠隔制御システム1における動作(被制御機器の遠隔制御)のフローチャートの例示である。
【0031】
(被制御機器の状態情報の収集)
図2を参照して(適宜、
図1を参照)、遠隔制御システム1による被制御機器11(
図1参照)の状態情報の収集処理について説明する。最初に、制御手段20の制御信号送信部22(
図1参照)は、通知回数N
1に「0(ゼロ)」を設定する(ステップS10)。続いて、制御信号送信部22は、データを収集したい被制御機器11が接続される信号変換手段12へ、現在の状態を返信するように通知する(ステップS11)。なお、ステップS11の処理は、制御信号生成部21や他の装置の指示に基づいて行われてもよい。信号変換手段12は、制御信号送信部22から通知を受信すると(ステップS12)、被制御機器11から受信した電気信号を数値に変換し、変換した数値を制御信号送信部22へ返信する(ステップS13)。
【0032】
続いて、制御信号送信部22は、信号変換手段12から数値(現在の値)を受信し(ステップS14)、受信した現在の値を記憶部に保管(記録)する(ステップS15)。なお、制御信号送信部22は、ステップS11で信号変換手段12に通知してからの時間を測定し、一定時間経過しても返信がない場合(ステップS16)に、通知回数N1に「1」を加算し(ステップS16a)、通知回数N1が閾値を超えたならば、ネットワーク異常をシステム管理者に通知する(ステップS16b)。そして、ステップS11に戻って(ネットワーク異常が発生した場合は解消した後)、現在の状態を返信するように再度通知する。
【0033】
続いて、制御信号送信部22は、受信した現在の値を制御信号生成部21に通知する(ステップS17)。また、制御信号送信部22は、通知回数N1を「0(ゼロ)」にすると共に一定時間だけ待機し(ステップS18)、待機した後でステップS11に戻って現在の状態を返信するように再度通知する。待機する時間は、例えば、各々の被制御機器11により異なってよい。このように、制御信号生成部21は、一定時間間隔で被制御機器11から状態情報を収集する。
【0034】
(被制御機器の遠隔制御)
図3を参照して(適宜、
図1を参照)、遠隔制御システム1による被制御機器11の遠隔制御について説明する。最初に、制御手段20の制御信号送信部22(
図1参照)は、電文送信回数N
2に「0(ゼロ)」を設定する(ステップS20)。続いて、制御信号生成部21などの外部から制御信号送信部22に対して、新しい操作値又は目標値(以降では「新値」と呼ぶ)を送信する(ステップS21)。ここでの「新値」は、制御信号の一種である。制御信号送信部22は、記憶部から「新値」に相当する現在記録されている値を取り出し、「前値」として保管する(ステップS22)。そして、制御信号送信部22は、記憶部に「新値」を書き込む(ステップS23)。これにより、制御信号送信部22が保有する操作値や目標値が「新値」に更新される。
【0035】
続いて、制御信号送信部22は、「新値」を送る先の信号変換手段12(つまり、制御を行いたい被制御機器11に接続される信号変換手段12)へ、値を「新値」に変更する電文(制御信号)を送信する(ステップS24)。信号変換手段12は、制御信号送信部22から通知を受信すると(ステップS25)、記憶部から「変更前の値」を取得し、一時的に「変更前の値」を保管する(ステップS26)。そして、信号変換手段12は、記憶部に「新値」を書き込み(ステップS27)、制御信号送信部22へ書き換え完了と「変更前の値」を返信する(ステップS28)。書き換えられた「新値」は、電気信号に変換されて被制御機器11に送信される。なお、信号変換手段12は、「新値」と「変更前の値」とが異なる場合にのみ、書き換え(同値の書き変えも含む)や「変更前の値」の返信を行ってもよい。
【0036】
続いて、制御信号送信部22は、信号変換手段12から書き換え完了と「変更前の値」を受信する(ステップS29)。なお、制御信号送信部22は、ステップS24で信号変換手段12に通知してからの時間を測定し、再送間隔Tだけ経過しても返信がない場合(ステップS30)に、電文送信回数N2に「1」を加算し(ステップS30a)、電文送信回数N2が閾値を超えたならば、ネットワーク異常をシステム管理者に通知する(ステップS30b)。そして、ステップS24に戻って(ネットワーク異常が発生した場合は解消した後)、値を「新値」に変更する電文(制御信号)を再度通知する。次に、制御信号送信部22は、電文送信回数N2に「0(ゼロ)」を設定し(ステップS29a)、ステップS22で保管していた「前値」と受信した「変更前の値」とに違いがあるか否かを判定する(ステップS31)。正しく処理が行われた場合には、保管していた「前値」と受信した「変更前の値」とに違いがなく、これらの情報に違いがある場合は、何らかの異常が発生している場合である。例えば、悪意ある第三者が偽りの制御信号を被制御機器11に送信した場合や、制御信号が途中で改ざんされた場合、機器の故障などが想定される。
【0037】
ステップS31で「前値」と「変更前の値」とに違いがない場合、制御信号送信部22は、異常回数Fと再送間隔Tをリセットする(ステップS32)。そして、制御信号送信部22は、再送間隔Tだけ待機し(ステップS33)、待機した後でステップS24に戻って再度通知する。異常回数Fは、信号変換手段12を単位とする通信エラーの回数をカウントするものである。
【0038】
ステップS31で「前値」と「変更前の値」とに違いがある場合、制御信号送信部22は、全体異常回数FALLと該当する信号変換手段12の異常回数Fを加算「+1」する(ステップS34)。全体異常回数FALLは、複数の信号変換手段12(例えば、一つの管理対象領域10内に存在するすべての信号変換手段12)の通信エラーの合計数をカウントするものである。また、制御信号送信部22は、異常回数Fが閾値を超えたか否かを判定し(ステップS35)、異常回数Fが閾値を超えていない場合に、該当する信号変換手段12の再送間隔Tを小さくする(ステップS36)。そして、制御信号送信部22は、小さくした再送間隔Tだけ待機し(ステップS33)、待機した後でステップS24に戻って該当する信号変換手段12に電文(制御信号)を再度通知する。
【0039】
ステップS35で異常回数Fが閾値を超えている場合に、制御信号送信部22は、全体異常回数FALLが閾値を超えたか否かを判定し(ステップS37)、全体異常回数FALLが閾値を超えていない場合に、該当する信号変換手段12の異常又はハッキングを検知したと認識する(ステップS38)。この場合、制御信号送信部22は、例えば該当する信号変換手段12の異常などをシステム管理者に通知する。そして、制御信号送信部22は、再送間隔Tだけ待機し(ステップS33)、待機した後でステップS24に戻って該当する信号変換手段12に電文(制御信号)を再度通知する。
【0040】
ステップS37で全体異常回数FALLが閾値を超えている場合に、制御信号送信部22は、全体のネットワーク異常又はハッキングを検知したと認識する(ステップS39)。この場合、制御信号送信部22は、例えばネットワーク全体の異常などをシステム管理者に通知する。また、制御信号送信部22は、全体異常回数FALLと再送間隔Tをリセットする(ステップS40)。そして、制御信号送信部22は、リセットした再送間隔Tだけ待機し(ステップS33)、待機した後でステップS24に戻って該当する信号変換手段12に電文(制御信号)を再度通知する。
【0041】
以上のように、第1実施形態に係る遠隔制御システム1は、管理対象の領域外に制御手段20(例えば、PLC)があると共に被制御機器11が信号変換手段12を介して制御信号を受信する。そのため、部屋の用途や仕様が変わった場合でも、エンジニアが現地に赴いて制御手段20の制御プログラムや設定データの書き換えや配線の変更を行わなくてよい。
さらに、通信ネットワーク30に障害が発生することで一時的に制御信号が被制御機器11に到達しない状況になっても、障害が回復した段階で最新の制御信号を被制御機器11に送信することができる。そのため、システムの管理者が障害の回復後に制御信号を送信しなくてよい。
また、悪意ある第三者が被制御機器11に偽りの制御信号を送信したとしても、特定の間隔で送信される制御信号によって被制御機器11が保有する内容が上書きされる。そのため、被制御機器11が第三者によって継続的にコントロールされることを防ぐことができる。
【0042】
[第2実施形態]
<第2実施形態に係る遠隔制御システムの構成>
図4を参照して、第2実施形態に係る遠隔制御システム1Aの構成について説明する。第1実施形態に係る遠隔制御システム1(
図1参照)との違いは、以下の4点である。
(1)通信ネットワーク30にクラウドサーバ40が接続されている点
(2)制御手段20が拡張機能23を備える点
(3)管理対象領域10に被制御機器13が配置されている点
(4)管理対象領域10に通信端末14が配置されている点
【0043】
クラウドサーバ40は、制御手段20とは別体の装置であり、制御手段20とは通信ネットワーク30を介して接続されている。クラウドサーバ40は、拡張機能41を備えている。拡張機能41は、制御手段20が備える制御信号生成部21や制御信号送信部22の機能を拡張するものであればよく、種類は特に限定されない。拡張機能41は、例えば、被制御機器11から収集した状態情報を解析し、エネルギーや排出CO2の最適化制御や管理対象領域10に居る人間の好みに合わせた快適性制御を実現する最適化AI(Artificial Intelligence)機能である。また、拡張機能41は、例えば、スケジュール管理を行うスケジュール機能である。拡張機能41は、被制御機器11の制御に必要となる情報を制御手段20に送信する。これにより、制御手段20の制御信号生成部21は、拡張機能41から受信した情報に応じた制御信号を生成できる。なお、制御信号送信部22は、拡張機能41から受信した情報に基づいて、制御信号の送信間隔を設定してもよい。
【0044】
制御手段20が備える拡張機能23は、クラウドサーバ40が備える拡張機能41と同様の機能であり、説明したクラウドサーバ40の拡張機能41を制御手段20自身が備える構成であってもよいことを示している。つまり、制御手段20自身がエネルギーや排出CO2の最適化制御などを行ってもよい。
【0045】
管理対象領域10に配置される被制御機器13は、被制御機器11に信号変換手段12を含めた構成である。つまり、被制御機器13は、被制御機器11と信号変換手段12とが一体になったものであり、例えば組込み型のIoTデバイスである。このように、制御対象の被制御機器13は、信号変換手段12を備える構成であってもよい。この場合、信号変換手段12は、被制御機器13の制御部内で制御信号の変換を行う。
【0046】
管理対象領域10に配置される通信端末14は、管理対象領域10に居る人間(例えば、管理対象領域10の管理者)によって操作される。通信端末14は、例えばモバイル端末である。通信端末14は、通信ネットワーク30を介して制御手段20および信号変換手段12および被制御機器13に接続されている。通信端末14は、例えば、通常時には遠隔制御システム1Aを監視するために使用される。通信端末14は、遠隔制御システム1Aを構成する各種装置(被制御機器11及び13に相当するもの)の試運転の調整に使用されてもよい。また、通信ネットワーク30に障害が発生することで、一時的に制御手段20から制御信号が届かなくなった場合、制御手段20を介さずに通信端末14を用いて信号変換手段12および被制御機器13に制御信号を送信してもよい。つまり、通信端末14は、非常時に仮の制御手段20として機能してもよい。
【0047】
<第2実施形態に係る遠隔制御システムの動作>
第2実施形態に係る遠隔制御システム1Aの動作は、
図2および
図3に示す第1実施形態に係る遠隔制御システム1の動作と同様である。
【0048】
以上のように、第2実施形態に係る遠隔制御システム1Aは、第1実施形態で説明した効果に加えて、拡張機能41,23を用いたエネルギーや排出CO2の最適化制御を行える。また、第2実施形態に係る遠隔制御システム1Aは、通信端末14が非常時に仮の制御手段20として機能する。
【0049】
[実施例1]
実施例1は、管理対象領域10の外部からスマートフォンを用いて制御手段20による制御の内容や被制御機器11から収集した状態情報を監視できるシステム構成である。
【0050】
<実施例1に係る遠隔制御システムの構成>
図5を参照して(適宜、
図4参照)、実施例1に係る遠隔制御システム101の構成について説明する。遠隔制御システム101は、クラウドサーバ120,140,150と、スマートフォン160と、無線アクセスポイント(無線AP)170a,170bとを備える。
【0051】
クラウドサーバ120は、制御手段20(
図4参照)の一例であり、仮想PLC121と、コレクター122とを備える。仮想PLCは、制御信号生成部21(
図4参照)の一例であり、コレクター122は、制御信号送信部22(
図4参照)の一例である。仮想PLC121およびコレクター122のイメージを
図6に示す。
【0052】
コレクター122は、例えば、「最新構成維持機能」、「データ送受信機能」、「一括転送機能」、「通信管理機能」、「エッジ対応機能」、「値記録機能」を備える。以下、各機能について説明する。
【0053】
最新構成維持機能は、構成情報(プロファイル)122aをクラウドシステム内のサーバから自動収集する機能である。コレクター122は、構成情報(プロファイル)122aをダウンロードし、展開することにより稼働可能な状態になる。なお、コレクター122は、収集した最新の構成情報(プロファイル)122aを保存しておくのがよい。
【0054】
データ送受信機能は、「個別管理機能」、「通信間隔の個別調整機能」、「プロトコル変換機能」、「値変換機能」を含む。
・個別管理機能は、被制御機器11を個別に管理する機能である。個別管理機能は、例えば、IP(Internet Protocol)アドレスやタグなどを用いて各々の被制御機器11を論理的に管理する。そのため、管理対象領域10が複数存在していても、一つの装置でデータを収集できる。
・通信間隔の個別調整機能は、被制御機器11との間における通信間隔を個別に調整できる機能である。通信間隔の個別調整機能は、例えば、被制御機器11ごとに制御信号の最適な送信間隔を設定できる。
・プロトコル変換機能は、被制御機器11単位で通信方式を設定できる機能である。プロトコル変換機能は、例えば、被制御機器11にデータを送信する場合や被制御機器11からデータを受信した場合に、設定された通信方式にプロトコル変換を行う。そのため、被制御機器11毎に通信方式が異なっていても、通信方式の違いを意識せずに通信を行える。
・値変換機能は、収納値を制御信号生成部21や被制御機器11のレンジにあわせて変換する機能である。
・値記録機能は、現在値とタイムスタンプ(現在値を記録した時間)を一定時間保管する機能である。
【0055】
一括転送機能は、データを効率良くやり取りする機能である。一括転送機能は、例えば、被制御機器11から収集した同じ種類のデータ(例えば、状態値や操作値)をブロック単位でまとめて制御信号生成部21に送信する。
【0056】
通信管理機能は、他の装置(例えば、制御信号生成部21や被制御機器11)との通信状態(通信可/通信エラー)を管理する機能である。通信管理機能は、例えば、直前に行った通信のデータを保持することで、通信エラー発生時でも制御信号生成部21の制御に通信異常の影響がないようにする。また、通信管理機能は、通信エラーの対象に定期的にリトライし、通信の回復を図る。また、通信管理機能は、通信エラーやハッキングなどのネットワークの異常についての情報を制御信号生成部21に通知する。
【0057】
エッジ対応機能は、管理対象領域10にエッジデバイスを設置する構成にも対応できる機能である。言い換えると、エッジデバイスにコレクター122が収納された構成でも、前記説明した制御信号送信部22の機能を実現する機能である。
エッジデバイスにコレクター122が収納されている場合(詳細は実施例3で説明する
図8参照)、値記録機能により、制御手段20(
図8では、クラウドサーバ320)とエッジデバイス間の通信が不通の場合でも、現在値の変化を一時的に残すことができる。通信復帰後に、エッジデバイスに残された記録を使ってデータベースの欠落したデータを保管することができる。
【0058】
図5に戻って、実施例1に係る遠隔制御システム101の説明を続ける。クラウドサーバ140は、インターネット網130を介してクラウドサーバ120に接続される。クラウドサーバ140は、スマホ連携機能141を備える。スマホ連携機能141は、拡張機能41(
図4参照)の一例である。スマホ連携機能141は、スマートフォン160と通信可能に接続されており、スマートフォン160の操作情報をクラウドサーバ120に送信する。また、クラウドサーバ120の制御情報をスマートフォン160に送信する。
【0059】
クラウドサーバ150は、インターネット網130を介してクラウドサーバ120に接続される。クラウドサーバ150は、データ保存機能151を備える。データ保存機能151は、拡張機能41(
図4参照)の一例である。データ保存機能151は、コレクター122が収集した状態情報をデータベース152に記憶させる。また、データ保存機能151は、要求に応じてデータベース152に記憶される状態情報を返信する。
【0060】
無線AP170a,170bは、建物110内に無線通信網を構築する。建物110は、管理対象領域10(
図4参照)の一例である。
ここでの無線AP170aは、信号変換器112aと、タブレット端末114とを収容する。信号変換器112aおよびタブレット端末114は、無線AP170aを介してクラウドサーバ120と通信可能である。信号変換器112aは、信号変換手段12(
図4参照)の一例であり、設備機器111aに接続される。設備機器111aは、被制御機器11(
図4参照)の一例である。タブレット端末114は、通信端末14(
図4参照)の一例である。無線AP170bは、信号変換器112bと、センサ113とを収容する。信号変換器112bおよびセンサ113は、無線AP170bを介してクラウドサーバ120と通信可能である。信号変換器112bは、信号変換手段12(
図4参照)の一例であり、スイッチ111bに接続される。スイッチ111bは、被制御機器11(
図4参照)の一例である。センサ113は、被制御機器13(
図4参照)の一例であり、通信機能を備える。
【0061】
[実施例2]
実施例2では、管理対象領域10に配置される装置をモバイル通信網に接続し、制御手段20によるダイレクトな制御を実現するシステム構成である。
【0062】
<実施例2に係る遠隔制御システムの構成>
図7を参照して(適宜、
図4参照)、実施例2に係る遠隔制御システム201の構成について説明する。遠隔制御システム201は、クラウドサーバ120,140,150を備える。クラウドサーバ120,140,150は、基幹通信回線230に接続される。基幹通信回線230は、電気通信事業者が提供する通信網である。基幹通信回線230は、アンテナを備える基地局装置260を有し、モバイル通信網を実現する。
【0063】
建物110内のタブレット端末114、信号変換器112a,112bおよびセンサ113は、SIMカード(Subscriber Identity Module Card)を有している。SIMカードは、電話番号やユーザーを特定するためのID番号などが保存されている小型のICカードである。その結果、タブレット端末114、信号変換器112a,112bおよびセンサ113は、基幹通信回線230を介してクラウドサーバ120と通信可能である。
【0064】
[実施例3]
実施例3では、制御信号送信部22を管理対象領域10外ではなく、管理対象領域10内のエッジデバイスに配置するシステム構成である。この構成は、システムの信頼性を高めることができるので、特に通信が切断された場合に影響が大きい場所(例えば、病院、工場など)に用いるのがよい。
【0065】
<実施例3に係る遠隔制御システムの構成>
図8を参照して(適宜、
図4参照)、実施例3に係る遠隔制御システム301の構成について説明する。遠隔制御システム301は、クラウドサーバ320,340を特に備える。
【0066】
クラウドサーバ320は、仮想PLC121を備えるが、コレクター122を備えない。コレクター122は、建物310内に配置されたエッジデバイス内に収容されている。建物310には、インターネット網130との境界にファイルウォール(FW)360が設置される。コレクター122は、ファイルウォール360を介して仮想PLC121から制御信号を受け取り、建物310内の各装置に制御信号を送信する。
【0067】
クラウドサーバ340は、インターネット網130を介してクラウドサーバ320に接続される。クラウドサーバ340は、バックエンド機能341を備える。バックエンド機能341は、拡張機能41(
図4参照)の一例であり、例えば、「FACERE(ファケレ)」(登録商標)である。バックエンド機能341は、ログイン認証や会員管理などの機能を備える。
【0068】
[実施例4]
実施例4では、制御を最適化するAIを利用して、エネルギーや排出CO2の最適化制御や管理対象領域10に居る人間の好みに合わせた快適性制御を実現するシステム構成である。
【0069】
<実施例4に係る遠隔制御システムの構成>
図9を参照して(適宜、
図4参照)、実施例4に係る遠隔制御システム401の構成について説明する。遠隔制御システム401は、クラウドサーバ440を特に備える。
【0070】
クラウドサーバ440は、最適化AI機能441を備える。最適化AI機能441は、拡張機能41(
図4参照)の一例である。最適化AI機能441は、エネルギーや排出CO
2の最適化制御や管理対象領域10に居る人間の好みに合わせた快適性制御を実現する。最適化AI機能441は、コレクター122との間で情報のやり取りを行うことが可能であり、コレクター122に対して機器の制御に関する情報(例えば、ON/OFFのタイミング、目標温湿度、出力調整など)を通知する。
【0071】
以上、本発明の各実施形態および各実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。
【符号の説明】
【0072】
1,1A 遠隔制御システム
10 管理対象領域
11,13 被制御機器
12 信号変換手段
14 通信端末
20 制御手段
21 制御信号生成部
22 制御信号送信部
23 拡張機能
30 通信ネットワーク
40 クラウドサーバ
41 拡張機能